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特許7136962パルス無線電力を最適に送達するシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】パルス無線電力を最適に送達するシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/20 20160101AFI20220906BHJP
   H02J 50/40 20160101ALI20220906BHJP
【FI】
H02J50/20
H02J50/40
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021067422
(22)【出願日】2021-04-13
(62)【分割の表示】P 2019088102の分割
【原出願日】2014-02-04
(65)【公開番号】P2021101615
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2021-04-13
(31)【優先権主張番号】61/760,648
(32)【優先日】2013-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】14/171,750
(32)【優先日】2014-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515213630
【氏名又は名称】オシア インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゼイン,ハテム
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,トーマス,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,ケン,ケー.
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0274154(US,A1)
【文献】特表2011-510535(JP,A)
【文献】特開2009-268311(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/00-50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線電力送達環境において、複数のアンテナを備えた位相アレイを有する電力送信機アセンブリを用いてパルス無線電力を無線受信機に送達する方法であって、
前記電力送信機アセンブリからのビーコン要求信号に応答して、1または複数の無線電力受信機からのビーコン信号を受信することであって、前記ビーコン信号は前記無線電力送達環境における前記1または複数の無線電力受信機の存在を識別することと、
1または複数の前記無線電力受信機によって作られた1または複数のバッテリ充電需要要求を受信することと、
前記対応するバッテリ充電需要要求に応じて前記無線電力受信機に電力バーストの複数の連続する無線電力パルスを配分することと、
前記電力バーストの前記配分された連続する無線電力パルスを介して、前記無線電力受信機に無線電力を送達することを含み、
前記無線電力パルスは、前記無線電力送達環境において、前記無線電力受信機のうち、異なる無線電力受信機の各位置においてピーク電力を取得する前記無線電力パルスの送達のそれぞれを簡易化するように、それぞれの受信されたビーコン信号に従って、前記位相アレイの前記複数のアンテナの1または複数の位相を変調することにより、前記無線電力受信機のうち、異なる受信機に対して連続して送達され、
前記電力送信機アセンブリから前記無線電力パルスを受信したと検知すると、前記ビーコン信号を前記電力送信機アセンブリに送信し、前記無線電力受信機が所在不明の無線電力パルスを検知した場合、前記無線電力受信機は、スキップ係数に基づき、あらゆる無線電力パルスにビーコン信号で応答せず、ビーコン信号を送信する前にいくつかの数の無線電力パルスをスキップするように構成される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記無線電力パルスが、前記位相アレイの前記複数のアンテナの送信周波数、タイミング、振幅、または方向のうち1または複数をさらに変調することにより、前記無線電力受信機のうち、前記異なる受信機に連続して送達されることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電力バーストの前記無線電力パルスが、より緊急の充電需要を有する前記無線電力受信機のサブセットに対して配分される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記無線電力パルスが周波数変調パルスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記無線電力パルスが、バッテリ、コンデンサ、超コンデンサのうち少なくとも1つの充電を行う、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1または複数の前記バッテリ充電需要要求のそれぞれが少なくとも1つの測定基準を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの測定基準が、充電状態、消費量、受信電力のうち1または複数を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの測定基準が符号化され、前記測定基準がデータパケット内で前記電力送信機アセンブリによって無線で受信される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの測定基準が暗号化される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
ビーコン信号は第1の周波数で前記電力送信機アセンブリによって受信され、無線電力パルスは前記第1の周波数とは異なる第2の周波数で、前記無線電力受信機のうち前記異なる無線電力受信機に送達される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記1または複数の無線電力受信機によって開始される前記1または複数のバッテリ充電需要要求を正規化することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記位相アレイが位相マイクロ波送信アレイを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記無線電力受信機への無線電力パルスの配分が予測モデリングに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
無線電力送達環境において、複数の無線電力受信機に無線電力パルスを送達するコンピュータ無線電力送信機アセンブリであって、
複数のアンテナを備える位相アレイと、
処理システムであって、
前記無線電力送達環境において前記1または複数の無線電力受信機の存在を識別するビーコン信号に応答して、1または複数の無線電力受信機から受信されたビーコン信号を処理し、
1または複数の無線電力受信機によって開始されたバッテリ充電需要要求を処理し、
前記対応するバッテリ充電需要要求に応じて、前記無線電力受信機に電力バーストの複数の連続する無線電力パルスを配分し、
前記配分された連続する無線電力パルスを送信するための前記位相アレイの前記複数のアンテナを、前記各々の無線電力受信機に向けさせるように構成された処理システムを備え、
前記無線電力パルスは、前記無線電力送達環境において、前記無線電力受信機のうち、異なる無線電力受信機の各位置でピーク電力を取得する前記無線電力パルスの送達のそれぞれを簡易化するように、それぞれの受信されたビーコン信号に従って、前記位相アレイの前記複数のアンテナの1または複数の位相を変調することにより、前記無線電力受信機のうち異なる受信機に連続して送信され、
前記電力送信機アセンブリから前記無線電力パルスを受信したと検知すると、前記ビーコン信号を前記電力送信機アセンブリに送信し、前記無線電力受信機が所在不明の無線電力パルスを検知した場合、前記無線電力受信機は、スキップ係数に基づき、あらゆる無線電力パルスにビーコン信号で応答せず、ビーコン信号を送信する前にいくつかの数の無線電力パルスをスキップするように構成される、
ことを特徴とする無線電力送信機アセンブリ。
【請求項15】
無線電力送達環境において、複数のアンテナを備えた位相アレイを有する電力送信機アセンブリからパルス無線電力を受信する方法であって、
ビーコン要求信号に応答してビーコン信号を前記電力送信機アセンブリに送信することであって、前記ビーコン信号は前記無線電力送達環境における無線電力受信機の存在を識別することと、
無線電力送信機アセンブリにバッテリ充電需要要求を送信することと、
前記受信されたビーコン信号、および、前記バッテリ充電需要要求に応じて、前記位相アレイの複数のアンテナから電力バーストの複数の無線電力パルスの配分を受信することと、
前記無線電力送達環境において、前記無線電力受信機の位置でピーク電力を取得するように配置された位相角を有する前記無線電力パルスのそれぞれからエネルギーを取得することと、
前記電力送信機アセンブリから前記無線電力パルスを受信したと検知すると、前記ビーコン信号を前記電力送信機アセンブリに送信し、前記無線電力受信機が所在不明の無線電力パルスを検知した場合、前記無線電力受信機は、スキップ係数に基づき、あらゆる無線電力パルスにビーコン信号で応答せず、ビーコン信号を送信する前にいくつかの数の無線電力パルスをスキップするように構成されことと、
を備える方法。
【請求項16】
無線電力送達環境において、複数のアンテナを備えた位相アレイを有する電力送信機アセンブリからパルス無線電力を受信する無線電力受信機であって、
1または複数のアンテナと、
処理システムであって、
ビーコン要求信号に応答してビーコン信号を前記電力送信機アセンブリに送信し、前記ビーコン信号は前記無線電力送達環境における無線電力受信機の存在を識別し、
無線電力送信機アセンブリにバッテリ充電需要要求を送信し、
前記ビーコン信号、および、前記バッテリ充電需要要求に応じて、前記位相アレイの複数のアンテナから電力バーストの複数の無線電力パルスの配分を受信し、
前記無線電力送達環境において、前記無線電力受信機の位置でピーク電力を取得するように配置された位相角を有する前記無線電力パルスのそれぞれからエネルギーを取得するように構成され、
前記電力送信機アセンブリから前記無線電力パルスを受信したと検知すると、前記ビーコン信号を前記電力送信機アセンブリに送信し、前記無線電力受信機が所在不明の無線電力パルスを検知した場合、前記無線電力受信機は、スキップ係数に基づき、あらゆる無線電力パルスにビーコン信号で応答せず、ビーコン信号を送信する前にいくつかの数の無線電力パルスをスキップするように構成された、
処理システムを備える無線電力受信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
多くの有益な用途は無線パルスの送信に基づく。たとえば、送信および反射されるパルスマイクロ波信号を使用するレーダ検知や、目標身体組織を切除するのにパルスマイクロ波を使用する医療切除術などである。
【0003】
電力を無線で送達するパルス信号に関しては、Powercast社が2007年1月に特許文献1を提出している。この出願は無線給電を最適化するためのパルシングについて記載している。
【0004】
上記特許文献1は、無線給電用のパルシングの利点を以下のように述べている。
・整流器の効率向上
・出力電圧の増大
・少ない平均送信電力で同量の直流電力を取得
【0005】
少ない平均送信電力は以下の利点を有する。
・人体安全距離の低減
・広帯域での動作が可能
・連続波力送信よりも少ない平均出力での再充電
・より高い電力レベルでの距離増大ならびにRFの浸透-平均出力電力を上げずに対象を減衰させる。
【0006】
しかしながら、特許文献1は、無線電力送達から生じる独自の課題を開示しておらず、これらの独自の課題に対する解決策も開示していない。課題とは次の通りである。
・順次送達
・受信の減衰
・充電状態が可変
・貯蔵消費量 これらの課題をそれぞれ以下説明する。
【0007】
順次送達とは、無線電力システムにおいて、通常は送信機によって生成される電力の大半または全部が一度に1つまたは数個の受信機に送達されるという事実を指す。1つの理由は、逆二乗法則(信号強度が距離の自乗に比例して低下する)により信号強度が距離と共に大幅に低下するためである。つまり、どの時点でも、送信機電力の大半または全部が1つまたは数個のみの受信機に優先的に送達される。
【0008】
受信の減衰とは、受信機によって送達される電力信号の強度が、送信機からの距離、送信機と受信機間の障害物、受信機の配向などの各種要因によって低下する可能性があるという事実を指す。
【0009】
可変充電状態は、受信機内の電荷保持装置の状態に関する。通常、この装置はバッテリであるが、コンデンサとすることもできる。この電荷保持装置は、ゼロからフルまでの充電状態を呈する。
【0010】
貯蔵消費量は、電荷保持装置(たとえば、バッテリ)が電荷を失う量に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】米国特許出願第20070149162号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、こうした無線電力送達の主要な問題の解決策について述べる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によると、無線電力の複数の受信機への送達を最適化するのに有益である送信機アセンブリを用いて、パルス無線電力を最適に送達するシステムおよび方法が提供される。各受信機は、自身のバッテリの電力需要を測定して、その測定値を送信機に要求として送信する。送信機はバッテリ需要要求を正規化し、比較するように構成される。その後、送信機はバッテリ需要に応じて、要求する受信機間で無線電力のパルスを配分する。
【0014】
なお、上述した本発明の各種特徴は単独でまたは組み合わせて実施することができる。本発明のこれらのおよびその他の特徴を、以下の図面と併せて発明の詳細な説明においてより詳細に説明する。
【0015】
本発明をより明瞭に認識できるように、いくつかの実施形態を例として添付図面を参照して以下説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】無線送信機および複数の受信機を示す高レベルブロック図である。
図2A】バッテリの充電状態を算出するように構成される回路を示す図である。
図2B】バッテリの電力消費量を算出するように構成される回路を示す図である。
図3】バッテリの受信電力を算出するように構成される回路を示す図である。
図4】バッテリの受信電力を算出するように構成される別の回路を示す図である。
図5】充電状態、電力消費量、バッテリによる受信電力を算出するように構成される回路を示す図である。
図6】バッテリが過充電されているか否かを検出するように構成される回路を示す図である。
図7】複数の受信機と通信する送信機のための一連のパルスを示す図である。
図8】電力バーストを形成する一連の電力パルスを示す図である。
図9】受信機が送信機によって検出されない送信機-受信機通信スキームの1例を示す図である。
図10】1つの受信機が送信機によって検出される送信機-受信機通信スキームの1例を示す図である。
図11】送信機によって検出される受信機が認可受信機として認められる送信機-受信機通信スキームの1例を示す図である。
図12】認可受信機が無線電力を受信している送信機-受信機通信スキームの1例を示す図である。
図13-1】送信機が少なくとも2つの受信機を認識し電力を供給する送信機-受信機通信スキームの1例を示す図である。
図13-2】送信機が少なくとも2つの受信機を認識し電力を供給する送信機-受信機通信スキームの1例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明を、添付図面に示すようないくつかの実施形態を参照して以下詳細に説明する。以下の説明では、本発明の実施形態を十分に理解してもらうために、具体的な細部を多数記載する。しかしながら、当業者にとっては、そうした具体的な細部の一部または全部がなくても実施形態を実施できることは自明である。他の例では、本発明を不要に曖昧にしないために、十分に既知な工程ステップおよび/または構造は詳細に説明しない。実施形態の特徴および利点は、図面および以下の説明を参照することでより深く理解できる。
【0018】
本発明の例示の実施形態の側面、特徴、利点は、添付図面と併せて以下の説明に関連して理解されるであろう。当業者にとっては、説明される本発明の実施形態は単に例示であり限定ではなく、例としてのみ提示されていることは自明である。本明細書に開示するすべての特徴は、特段明記されない限り、同一または類似の目的に供する別の特徴と置き換えることができる。したがって、その他多数の変更された実施形態も、本明細書で定義する本発明の範囲およびその等価物に含まれるものと考えられる。本願に開示される実施形態は単に例であるため、「will」、「will not」、「shall」、「shall not」、「must」、「must not」、「first」、「initially」、「next」、「subsequently」、「before」、「after」、「lastly」、「finally」などの絶対的用語および/または順序を示す用語は本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0019】
本発明は、パルス無線電力の送受信システムおよび方法に関する。図1は、無線通信3と無線電力4を送信する送信機2を示す高レベルブロック図1である。複数の受信機5a、5b、5c、5nは、無線信号6a、6b、6c、6nをそれぞれ通じて送信機2と通信する。受信機5a、5b、5c、5nは、送信機2によって送信される必要な無線電力7a、7b、7c、7nを回収する。
【0020】
無線電力信号のパルシングは、送信機の位相、周波数、時間、振幅、または方向を変更することによって個々のパルスを異なる受信機に配分することができるために連続的送達を簡易化する。本願の詳細な説明は位相合わせパルシングに関するが、本発明は別の信号変調アプローチにも同等に適用可能である。
【0021】
さらに、後述の説明は、一度に1つの受信機へのパルスの送達に関する。ただし、本発明は、一度に受信機のサブセットに電力を供給することを含むアプローチを含む。たとえば、周波数変調パルシングアプローチでは、数サブセットの受信機が特定の周波数を受信するように調整され得る。送信機がその周波数のパルスを送達すると、この2つ以上のサブセットの受信機が同時に充電される。
【0022】
本発明の1実施形態では、送信機による複数の受信機への無線電力の送達が開示される。後述の説明は、これらの受信機の電荷貯蔵手段であるバッテリに関する。しかし、本発明は、コンデンサおよび超コンデンサなどの任意の貯蔵手段にも同等に適用される。
【0023】
さらに、バッテリの電力需要以外にも、一部の受信機は他の受信機よりも重大/緊急の電力需要を有する場合がある。たとえば、救命受信機(たとえば心臓ポンプ)は重大でない受信機(たとえば玩具)よりも差し迫った電力需要を有し、その需要は2つの装置の各バッテリ電力需要とは無関係である。
【0024】
上述の発明の1実施形態は可変バッテリ需要に関する。
1つまたはそれ以上の受信機の可変バッテリ需要を満足させることは、以下の機能を含む。
・バッテリ需要の測定
・バッテリ需要の通信
・バッテリ需要の受信
・バッテリ需要の充足
【0025】
バッテリ需要の測定の際、受信機が送信機に送信する前に自身の需要を判定するのに使用するスキームがいくつかある。これらのスキームは、単純な電圧測定から高度な計算まで多岐にわたる。後者の場合、予測的ですらあり、将来の予測状況の概算を提示し、発生した場合に予測需要が満たされるように電力量を判定する。
【0026】
受信機は様々な測定を行わなければならず。いくつかの実施形態では、必要な情報を送信機に送信できる前に様々な計算を行う。
【0027】
受信機内に配置される、あるいは受信機に関連付けられる電子回路は、バッテリ需要の算出に必要である主要な測定基準(計量、測定基準)を測定する。バッテリ需要を測定するのに有効な3つの連続的に変動する測定基準(「バッテリ需要の測定基準」)は、
・バッテリがどの程度充電されているかを表す充電状態(「充電状態」)
・バッテリ充電がどの程度の量で消費されているかを表す消費量(「消費量」)
・バッテリがどの程度の電力を受信しているかを表す受信電力(「受信電力」)
である。
【0028】
2つのバッテリ間で他の条件が同じであれば、
・充電状態が他方よりも低い
・消費量が他方よりも高い、あるいは
・受信電力が他方よりも低い
場合、2つのうち一方の電力需要が大きい。
【0029】
標準的なバッテリの場合、3つのバッテリ需要測定基準はそれぞれ比較的頻繁に(たとえば、数秒内または数分の1秒内)変動する傾向がある。
【0030】
受信機内の電子回路はバッテリ需要測定基準の一部または全部を測定する。以下、これらの回路の別の実施形態を説明する。
【0031】
これらの実施形態のうち第1の実施形態は、測定基準(計量、測定量)毎の個々の回路を開示する。図2Aは、バッテリの充電状態を算出するように構成される回路10を示す。回路10では、電圧源11はバッテリ12を充電する受信電力を表す。バッテリ12は抵抗器13を介して演算増幅器(「オペアンプ」)14に接続される。第2の抵抗器15はオペアンプ14のゲインを設定する。オペアンプ正「+」端子は、少なくとも2つの方法で設定することができる電圧基準(「VREF」)16に接続される。
【0032】
電圧基準(VREF)16を設定する少なくとも2つの方法のうち第1の方法では、電圧がバッテリの最大予測電圧値よりも高く設定される。これにより、オペアンプ14は、バッテリの充電状態に関係なくアナログ-デジタル変換器(「ADC」)17にとって正の値の範囲を生成する。ADC17はオペアンプ14からの信号をデジタル化し、マイクロプロセッサ18に8ビットのデータを提供する。マイクロプロセッサ18は、バッテリ電圧とバッテリの%フルを列挙した表19を生成するように構成することができる。
【0033】
電圧基準(VREF)16を設定する少なくとも2つの方法のうち第2の方法では、電圧は、バッテリがもはや安全に電力を供給できないときに達するよりもわずかに高い電圧値に合致するように設定される。この変化した符号はマイクロプロセッサ18によって容易にテストされる状態であり、ソフトウェアをより書きやすくすることができる。
【0034】
図2Bは、バッテリの消費量を算出するように構成される回路20を示す。回路20は、受信電力を表す電圧源21に接続される「+」電力端子と2つの抵抗器23および25に接続される「-」電力端子とを有する電子装置22と、オペアンプ24とを備える。2つの抵抗器23および25はオペアンプ24のゲインを設定する。
【0035】
抵抗器23はオペアンプ24の正「+」入力端子と負「-」入力端子を共に接続し、非常に低い抵抗(たとえば、1~5ミリオーム程度)を有する。
【0036】
抵抗器25はオペアンプ24の負「-」入力をオペアンプ24の出力端子に接続する。オペアンプ24の出力信号はADC27の入力に接続される。ADC27はオペアンプ24からの信号をデジタル化し、8ビットのデータをマイクロプロセッサ28に提供する。
【0037】
抵抗器25は、(電子装置22による)最大予測電力抽出が、オペアンプ24からの出力電圧をADC27入力段が読み取ることのできる最大値近傍とするように選択されるべきである。
【0038】
受信電力は図3に示す回路30を用いて算出することができる。アンテナ31は変圧器32の一次側に接続される。変圧器32の二次側は整流ダイオード36とコンデンサ39に接続される。コンデンサ39間の電圧はほぼ直流(いくらかのリプルを有する直流)であり、アンテナによって受信される電力に比例するように構成される。
【0039】
受信電力を算出する別の実施形態を図4に示す。回路40は、コンデンサ39間の電圧に加えて、「電子装置」22に流れ込む電流も測定するように構成される。地点Aでのアナログ電圧「VA」は「電子装置」22に流れる電流に比例する。地点Bでのアナログ電圧「VB」はコンデンサ39間の電圧に比例する。アナログ電圧VAおよびVBはミキサ47で掛け合わされる。よって、地点Cでのミキサ47の出力電圧「VC」はアンテナが受信する電力に比例する。電圧VCはADC37でデジタル化されてから、マイクロプロセッサ18に供給される。回路40は、ワット単位で電力を供給し、それを無線で受信機に送達するように構成することができる。
【0040】
受信電力を測定するさらに別の実施形態では、図4のアナログ電圧VAおよびVBは、図示しない2つのアナログ-デジタル変換器(ADC)を用いてデジタル化することができる。その後、2つのADCの出力はデジタルで容易に掛け合わせることができ、デジタル結果はマイクロプロセッサ18によって利用可能である。
【0041】
別の実施形態では、単独の電子回路がバッテリ需要測定基準の3つすべてを測定するように構成することができる。本実施形態は6つの測定を行う(「未加工(実測)の測定基準」):
・V[RF](RFからのボルト)
・A[RF](RFからのアンペア)
・V[S](貯蔵でのボルト)
・A[S](貯蔵でのアンペア)
・V[D](装置でのボルト)
・A[D](装置でのアンペア)
【0042】
これら6つの未加工の(実際の)測定基準は、図5に示す回路50を用いて測定される。整流アンテナ(レクテナ)51は電流計A[RF]53を通じて蓄電池52(たとえば、バッテリ)に電力を供給する。蓄電池は電流計A[S]55およびA[D]57を通じて電子装置22に電力を供給する。電圧計V[RF]54はレクテナ51の平滑化電圧を測定し、電圧計V[S]56は蓄電池52間の電圧を測定し、電圧計V[D]58は電子装置22間の電圧を測定する。
【0043】
優先的に、これら6つの測定は、掛け合わされたときの関連する変動電圧と電流の測定値間の時間遅延によるエラーを最小化するのに十分なほど同時に行われる。
【0044】
いったんこれら6つの未加工(実測)の測定基準の測定が実行されれば、バッテリ需要測定基準を取得する計算が実行される。まず、消費量が
消費量=A[D]
として算出される。
【0045】
受信電力は、以下のようにレクテナからの電圧と電流を掛け合わせることによって取得することができる。
受信電力=W[RF]=V[RF]*A[RF]
【0046】
第3のバッテリ需要測定基準充電状態-は、総貯蔵装置容量のパーセントである。この測定基準は複数の方法で測定することができる。
【0047】
第1の方法では、充電状態は、貯蔵装置のわずかに変動する電圧を観察し、参照表を使用してSOC値を求めることによって取得することができる。
充電状態~=f{V[S]}
【0048】
第2の方法では、充電状態は、貯蔵装置に供給される(あるいは貯蔵装置から取り出される)瞬時電流を連続的に合計し、適切な補正率を適用することによって判定することができる。これは「クーロン計算」として当該技術において既知である。
充電状態~=g{Sum(A[S])}
【0049】
充電状態を測定する2つの方法はいずれも、継続的な研究と改良の対象である周知の課題を抱えている。いずれの場合も、充電状態は単位なしの数字-装置の総充電容量のパーセントに変換される。
【0050】
A[S]の測定値が提供されない場合、V[S]のみとなる欠点の1つが、参照表が、バッテリが休止期間を経た後の「無負荷」状態に関してのみ正確な値を提供することである。追加の電流計を用いて、第2の式(充電状態~=g{Sum(A[RF]-A[D])})は以下の式と置き換えることができる。
充電状態~=h{Sum(V[S]*A[S])}
【0051】
なお、関数g{}はアンペアを提供し、関数h{}は、h{}がどのように算出されるかに応じてワットまたはワット*秒を提供する。
【0052】
連続的に変動するバッテリ需要測定基準に加えて、本発明のいくつかの実施形態は、緩やかに変動する測定基準も利用する。これらの後者の測定基準は貯蔵容量と最大充電量(「バッテリ定格測定基準」)を含む。
【0053】
バッテリの貯蔵容量(「貯蔵容量」)は、バッテリが保持できる最大電荷に関する。この測定基準はバッテリの充電状態を算出するために使用される。充電状態は貯蔵容量におけるパーセントで表すことができる。
通常、貯蔵容量はアンペア*時間で測定される。定格貯蔵容量を超えてバッテリを充電しようとすると、通常は発熱し、場合によってはバッテリに損傷を及ぼす。
【0054】
貯蔵容量に加えて、バッテリは、どのくらい速くバッテリが電荷を吸収できるかを示す尺度である最大充電量(「最大充電量」)を有する。あまりにも短時間にバッテリに大きすぎるエネルギーを送り込むと、バッテリに損傷をもたらす可能性がある。最大充電量は秒当たりのワット*秒(ジュール)で測定することができ、ワット(すなわち、W*s/s=W)と等価である。
【0055】
貯蔵容量はバッテリ間で大きく変動する。さらに、バッテリは通常、静的貯蔵容量で評価される。これらの等級はバッテリの製造業者により算出および公開される。通常、製造業者は、これらの表示値がいかに時間の経過と共に低下するかを示すグラフを公開する。
【0056】
貯蔵容量と同様、最大充電量は通常、バッテリの静的定格として評価され、製造業者はこの定格が時間の経過と共にどのように減少するかを示すデータシートを提供する。
【0057】
本発明の1実施形態は、これらの製造業者が提供する貯蔵容量および最大充電量の静的定格を使用する。
【0058】
しかしながら、好適な1実施形態はバッテリ定格測定基準を直接算出する。これは、これらの測定基準に関するバッテリの実際のパフォーマンスが非効率な再充電実施により静的定格から変動する可能性があるためである。ただし、このバッテリパフォーマンスの変動(大抵は低下)は、秒よりもずっと長い期間(たとえば、数週間、数ヶ月、さらには数年)をかけて発生する。
【0059】
今日、バッテリ定格測定基準は概して、使用されている機器の貯蔵装置では測定されない。
【0060】
最大充電量を超過する時点を検出する直接的な方法が有効であろう。図6は、バッテリ61の最大充電量を超過する時点を検出するように構成される電子回路60を示す。2つのサーミスタA62およびB63が採用される。サーミスタは、標準的な抵抗器よりも抵抗が温度と共に大きく変動する種類の抵抗器である。サーミスタは、回路保護のために電流が制限される装置で広く使用される。
【0061】
サーミスタA62は大気温度に晒されるが、サーミスタB63はバッテリ61に密接に接触する。バッテリ61が過充電により加熱されると、生じた熱によりサーミスタB63の抵抗が変動する結果、B63間の電圧も変動する。比較回路64はサーミスタA62およびB63間の電圧差を検出し、ADC65に供給される地点Cでのアナログ電圧VCを生成し、比較回路64のアナログ電圧出力VCをデジタル化する。その後、デジタル信号
はマイクロプロセッサ18に供給される。サーミスタB63を確実にバッテリ61に密接させるため、円柱状クランプ66を使用して、サーミスタB63をバッテリ61に保持することができる。ブロット67を使用して、クランプ66をバッテリ61の周囲に固定することができる。
【0062】
2進値「過充電される」は曖昧であり、「最大充電量を超過する」あるいは「100%貯蔵容量を超えるまで充電される」ことを意味する。しかしながら、どちらの意味も有効である(バッテリは過剰に急速に放電される場合も過熱するが、消費量の符号を確認することによって充電か放電かを判定することは容易である。負の場合は充電であり、正の場合は放電である)。
【0063】
いったんバッテリ需要測定基準が測定され、デジタル表示に変換されれば、瞬時バッテリ需要を算出することができる。瞬時バッテリ需要は、現在のバッテリ需要を表す単独の測定基準である。
【0064】
関数fが瞬時バッテリ需要を表し、s、d、rがそれぞれ充電状態、消費量、受信電力を表すとする。次に、関数f(s、d、r)は瞬時バッテリ需要である。
【0065】
関数f(s、d、r)に関するいくつかの制約は以下の通りである。2つの受信機、および2つの測定で同一の受信機の場合、
dとrが等しい場合、fは低sの受信機に対して高い。
dとsが等しい場合、fは低rの受信機に対して高い。
rとsが等しい場合、fは高dの受信機に対して高い。
【0066】
論理上の関数fの実質上の代替が「機能停止時間」(「TTD」)である。TTDは、貯蔵装置が現行レベルでエネルギーを提供し続ける時間の予測測定値である。その時間後、貯蔵装置は、貯蔵していたすべてのエネルギーが尽きると予測される。その時点で、従属している電子装置はもはやエネルギーを受信しないために機能を止める(すなわち「停止」する)。
【0067】
TTDの算出の際、蓄電池(またはバッテリ)の残留電荷(「残留電荷」)を取得し、枯渇までの時間を求めることが目的である。
TTD=残留電荷(As)/消費量(A)=A*s/A=s
【0068】
残留電荷は充電状態(パーセンテージ)と、通常はアンペア時間(A*hまたはAh)で測定され、容易にアンペア秒(A*sまたはAs)に変換可能である貯蔵容量とから算出される。
残留電荷(As)=充電状態(%)*貯蔵容量(Ah)*3600
【0069】
したがって、TTDパラメータは、貯蔵装置が現行の電力消費レベルを支持することのできる秒数を推定する。
【0070】
時間の経過と共に、各受信機のTTDの複数の読取値は、上述したように関数fの負(すなわち、-f)に関する同じ制約条件を満たす。
【0071】
瞬時バッテリ需要を算出する他の例として、3つのバッテリ需要測定基準のいずれも概算推定値としての役割を果たすことができる。すなわち、瞬時バッテリ需要は充電状態、消費量、または受信電力と等しくすることができる。
【0072】
TTDの代わりに上記バッテリ需要測定基準を使用する理由の1つは、受信機内で必要な測定用電子回路の簡易化である。
【0073】
本発明の1実施形態では、異なる受信機が異なるバッテリ需要測定を採用することができる。ある受信機がTTDを採用し、他の受信機がバッテリ需要測定基準のうちの1つを採用し、さらに別の受信機がバッテリ需要測定基準に基づく別の変形を使用することができる。
【0074】
瞬時バッテリ需要は、真の需要に関して不正確な表示値を提供する可能性がある。というのは、瞬間毎に、瞬時バッテリ需要が大幅に変動する場合があるからである。
【0075】
したがって、本発明の好適な実施形態は、瞬時バッテリ需要複数の表示値に基づき算出される平滑化バッテリ需要を計算する。
【0076】
たとえば、移動平均は変動する瞬時バッテリ需要表示値を平滑化し、平滑化バッテリ需要を提供することができる。移動平均の平滑化アルゴリズムの1例は、それぞれの連続表示値の平滑化結果を算出する一連のステップとして表すことができる。
合計=合計-表示値(This)
表示値(This)=新表示値
合計=合計+表示値(This)
This=Next(This)
帰還(合計/カウント)
【0077】
この仮定によると、「カウント」は移動平均範囲内のアイテム数を含む。第1の「カウント」が生成する結果は無視する。「Next」関数は「カウント」を認識し、「This」は「表示値」アレイの最後に達した後、「表示値」の開始に戻る。
【0078】
上記の例では、帰還(合計/カウント)が瞬時バッテリ需要、たとえば瞬時TTDに等しい。したがって、アルゴリズムによって返される値が平滑化バッテリ需要、たとえば平滑化TTDである。
【0079】
上記は1つの平滑化関数を示す。しかし、当該技術では代替の平滑化関数が多数既知である。本発明は任意の平滑化関数を使用することができる。
【0080】
真のバッテリ需要を測定する際のもう1つの考慮事項が、受信機のバッテリ消費量の履歴が未来の需要予測に役立つことである。このアプローチでは、平滑化バッテリ需要を算出するのに使用されるような直前の「帰還(合計/カウント)」読取値では十分ではない。バッテリ需要を予測するため、好ましくは前の読取値は、有益なパターンを認識するために単に秒または分ではなく数週間または数ヶ月にわたることがある。
【0081】
好ましくは、受信機の履歴データは受信機に記憶される。というのは、受信機の履歴がそれに供する無線電力送信機に保持される際、受信機が1日にわたって異なる送信機間を移動する場合(たとえば、携帯電話が自宅から、車、職場、レストランへ移動し、職場、車、自宅へと戻り、それらの場所の一部または全部が電話を充電する送信機のホストを務める場合)、送信機は利用可能な履歴のごく部分的な記録だけを有する。
【0082】
未来を予測し始める時間は、無線電力が受信機にとって再び入手可能となる瞬間である。無線電力「セッション」は、無線電力が受信機にとって入手可能となる時間と無線電力が入手可能になる次の時間との間の期間-無線電力が入手できなかった中間の時間を含む-である。セッションは、電力が入手可能となって予測需要を満たすときに開始され、予測の算出は同時に開始されるべきである。
【0083】
各セッションに関して、セッションを特徴付ける「セッションデータ」が収集される。このようなデータの1例を以下に示す。
セッションデータ
開始タイムスタンプ HHMMSS
曜日 1~7
セッション期間 秒
電力利用可能期間 秒
受信電力レベル平均 W
総エネルギー消費 Ws
【0084】
開始タイムスタンプはセッションの開始である。曜日はセッション開始タイムスタンプが開始された曜日である。セッション期間はセッションが継続する期間である。
【0085】
電力利用可能期間は、受信電力(V[RF]*A[RF])がゼロを超える期間の長さである。
【0086】
受信電力レベル平均は、セッション中の受信電力の平均である。これはセッション全体にわたり受信電力の周期的読取値を受信電力レベルに合計して、後者を電力利用可能期間で割ることによって算出される。
【0087】
総エネルギー消費は、消費量の合計にセッション期間を掛けて(V[D]*A[D])ワット秒(Ws)を導いたものである。
【0088】
十分な数の「セッションデータ」記録が収集された後、予測を必要とするときに現在のシステム時間に近い開始タイムスタンプ値でセッションデータ記録を見つけることができる。その基準に合致するすべての記録が、以下のパラメータを提供するために(おそらくは曜日を考慮に入れることによって)算出される平均、中央値、または中数(またはその他の統計パラメータ)を有することができる。
基準セッション期間 秒
基準電力利用可能期間 秒
基準受信電力レベル平均 W
基準総エネルギー消費 Ws(セッション全体)
【0089】
「基準」で始まるパラメータの名称は、過去の状態に基づき未来を予測するために使用される。これらのパラメータ(およびおそらくは他のパラメータ)は有益な測定基準を得るために使用される。
・予測エネルギー需要(Ws)=基準総エネルギー消費(Ws)
・予測受信エネルギー(Ws)=基準受信電力レベル平均(W)*基準電力利用可能期間(s)
【0090】
これらの測定基準を使用して、受信機が無線電力を受信できる場所に何秒滞在する必要があるかを算出することができる。適切な計算で、過去の同様のセッションに基づく予測から、送信機は受信機にeメールで警告を送ることができる。警告の1例を以下に示す。
推奨するよりも早く無線電力の供給場所から離れようとしています。あなたのiPhone(登録商標)の電力は、通常の使用で午後10時頃まではもつと予測されます。あと9分間とどまり、無線電力を得られたら、午後11時まで延長できます。あなたの無線電池から送信してください。
【0091】
このeメールはこのようにして生成することができる。
TODは時刻である。
追加エネルギー需要(Ws)=予測エネルギー需要(Ws)-予測受信エネルギー(Ws)
追加エネルギー需要が0より大きければ、
バッテリエネルギー(Ws)=充電状態(%)*貯蔵容量(Ws)
予測無電力期間(s)=基準セッション期間(s)-基準電力利用可能期間(s)
予測最終電力消費(W)=基準総エネルギー消費(Ws)/予測無電力期間(s)
バッテリ残留秒(s)=バッテリエネルギー(Ws)/予測最終電力消費(W)
バッテリ枯渇時刻(TOD)=現在タイムスタンプ(TOD)+バッテリ残留秒
追加需要時間=追加エネルギー需要/基準受信電力平均
拡張時間(TOD)=開始タイムスタンプ+基準セッション期間
Eメール(ユーザID、バッテリ枯渇時刻,追加需要時間、拡張時間)
if文終わり
【0092】
バッテリ残留秒を使用して、予測TTDの値として提供することができる。
【0093】
上述の説明はバッテリ需要の測定方法に関する。本発明の1実施形態では、受信機で実行しなければならないこれらの方法の唯一の側面は、需要測定基準を測定する電子回路である。
【0094】
たとえば、充電状態、消費量、受信電力のそれぞれを測定する上述の電子回路は受信機に配置される。同様に、未加工(実際)の測定基準(V[RF]、A[RF]、V[S]、A[S]、V[D]、S[D])を測定するために開示される単独の回路が受信機に配置される。
【0095】
しかし、受信機または送信機のいずれかが、瞬時バッテリ需要、平滑化バッテリ需要、または予測バッテリ需要を算出することができる。
【0096】
さらに、複数の受信機の場合、異なる受信機は異なる需要測定値を算出することができる。たとえば、1つの受信機が、未加工の測定基準、バッテリ需要測定基準、瞬時バッテリ需要、平滑化バッテリ需要、予測バッテリ需要(一括して「バッテリ需要」)のうちの1つを測定することができる。他の受信機はバッテリ需要を推定する他の形式を測定することができる。
【0097】
いったん受信機がバッテリ需要を算出すれば、次のステップで受信機はこの情報を送信機に通信する。
【0098】
本発明の1実施形態では、このバッテリ需要情報はデジタル形式に符号化され、データパケットとして受信機によって無線で送信機に送信される。
【0099】
様々なビットおよびバイトスキームにおける数字表示は数十年の歴史を有する。概して、数学関数と共に使用される数字の場合、生じる数字の範囲と、数字に望まれる精度とを知ることが必要である。符号化スキームで使用されるビット数は、これらの特性の両方に影響を及ぼす。
【0100】
受信機はバッテリ需要パケットを生成および送信する。このパケットは受信機のバッテリ需要に関する情報を含む。
【0101】
バッテリ需要パケットは、1)開始バイトを含むヘッダ、2)どの受信機がデータを送信するかを特定する受信機ID、3)パケット化情報のバッテリ需要式を示すメッセージ種によって先行される。
【0102】
1実施形態では、パケット化情報がバイトストリームに暗号化され、変調器がバイトを無線送信機へ送り込む。メッセージ全体は1続きのビットとされる。
【0103】
1実施形態は以下のようにパケットヘッダを符号化する。
【0104】
開始バイト。これらは、リアルデータに現れる可能性の低い特定の変更不能な一連のバイトである。これにより、入力スキャナがこの一連のバイトを連続的に探すことによって、データ送信の開始を認識することができる。バイト数は実施形態に応じて変動するが、8バイトを超過することが多い。
【0105】
受信機IDバイト。このバイトは、受信機が自己紹介するときに送信機によって割り当てられる。
【0106】
メッセージ種。これらのバイトは、メッセージのデータセクションで使用される特定の符号化スキームを開示する。2バイトは、十分な供給を超えてあまりある50000超のメッセージ種に備える。異なる受信機が異なる形でバッテリ需要を測定する実施形態では、メッセージ種は、どのバッテリ需要式が使用されたか(たとえば、平滑化貯蔵容量)も示す。
【0107】
1実施形態では、バッテリ需要パケットのデータ部分は3つのバッテリ需要測定基準のうち1つまたはそれ以上を含む。
【0108】
受信電力。受信電力に適した測定値に関する数字の場合、約5ミリワット(mW)~5ワット、または約1000の範囲を予測することができる。送信機が必要とする精度は約10mWの差を許容するため、3有効桁で十分である。測定値が10ビットで符号化される場合、結果は3有効10進数であり、1024の一意値である。さらにビットを追加すると、精度または範囲、あるいはその両方を向上させることができるため、受信電力測定値を16ビットの符号付き整数で表すのは十分以上であり、1mW刻みで-32W~+32Wの範囲の値を提供する。
【0109】
充電状態。バッテリ電圧から正確な充電状態値を得るのが困難であるため、送信機はちょうど10の値の範囲の1有効桁でなんとかやり過ごすことができる。言い換えると、10%刻みで約10%~100%の範囲の「フル充電のパーセント」が最新技術である。このため、4ビット未満の情報が必要となる。
【0110】
消費量。消費量の数字は約0~500mAの範囲となる可能性が高く、約1mAの刻みほど正確である必要はない。これは約500値の範囲で、3有効桁未満の精度である。このため、9ビット未満の情報が必要である。
【0111】
1実施形態では、受信機は上記3つの測定基準すべてを符号化する。いったんデジタル符号化されれば、データはパケット化される。
【0112】
あるパケット化アプローチでは、2バイトは3つのバッテリ需要測定基準のそれぞれに以下のように配分される。
受信電力 2バイト
充電状態 2バイト
消費量 2バイト
【0113】
これらを合計すると、バッテリ需要情報データパケットに関して6バイトとなる。
【0114】
別のパケット化アプローチでは、3つのバッテリ需要測定基準が最小ビットパターンで表される。
受信電力 10ビット
充電状態 4ビット
消費量 9ビット
計23ビット(または約3バイト)
【0115】
第2のアプローチの利点はデータペイロードサイズを50%削減できることである。このアプローチの欠点は、送信機がまず3バイトを3つの測定基準に符号化する必要があるために、送信機での計算が遅くなることである。このような符号化ステップが6バイトのパケットアプローチでは必要である。
【0116】
本発明の別の実施形態では、受信機は高位バッテリ需要測定基準ではなく未加工の測定基準を符号化し、パケット化する。
【0117】
未加工の測定基準の電圧はおおよそ+/-30ボルトにまで達せず、最も近いミリボルトまで解明することで十分である。したがって、2バイトの符号付き整数を尺度として、1ミリボルト刻みで-32.767ボルト~+32.767ボルトを読み取ることができる。
【0118】
未加工の測定基準電流はおおよそ+/-3アンペアまで達せず、最も近い100マイクロアンペアまで解明することで十分である。したがって、2バイトの符号付き整数を尺度として、100マイクロアンペア刻みで-3.2767~+3.2767アンペアボルトを読み取ることができる。
【0119】
したがって、6つの未加工の測定基準(3つが電圧、3つが電流)の場合、12バイトの配分で十分である。
【0120】
未加工の測定基準から生じるパケットは以下のように構成することができる。
ヘッダ
開始バイト 2バイト16ビット
受信機ID 1バイト8ビット
メッセージ種 2バイト16ビット
データ
V[RF]2バイト16ビット
A[RF]2バイト16ビット
V[S]2バイト16ビット
A[S]2バイト16ビット
V[D]2バイト16ビット
A[D]2バイト16ビット
計17バイト136ビット
【0121】
バッテリ需要測定基準対未加工の測定基準のパケット化のトレードオフは、パケットサイズ(サイズが大きいほど送信時間が長い)対算出サイクル(算出が大きいほど、負荷が高い)に関する。バッテリ需要測定基準のパケット化は送信されるバイトを節約するが、計算を受信機へと押しつける。その逆が未加工の測定基準のパケット化の場合である。
【0122】
バッテリ定格測定基準(最大充電量と貯蔵容量)はバッテリ需要の算出に役立つ。しかしながら、これらのパラメータの値は比較的緩やかに変化する傾向があるため、変動するバッテリ需要値が送信される度に受信機がこれらの値を送信するのは無駄が多い。
【0123】
バッテリ定格測定基準は、何ヶ月および何年かの使用にわたって緩やかに減少する。上述したように、これらのパラメータは、入念な受信機測定に基づき、あるいは歴日付に基づく直線的予測などの単純な概算を使用して定期的に再計算することができる。
【0124】
最小バッテリ定格パケットはこれらの値を含む。
ヘッダ
開始バイト 2バイト
受信機ID 1バイト
メッセージ種 2バイト
データ
最大充電量 2バイト[0..65535]mW
貯蔵容量 2バイト[0..65535]Wh
【0125】
バッテリ定格パケットは、これらの値の稀だが重要な更新に対応するために使用される。しかしながら、これらは稀なパケットであるため、多くのフィールドでこれらの特別なパケットをロードすることによって、1つの多目的パケットが2つ以上の目的に供することができる。
【0126】
たとえば、周期的バッテリ定格パケットは受信機に関するその他多くのパラメータも含むことができる。
装置ID 特定の装置、おそらくは製造番号
Manuf 製造業者名
部品# SKUすなわち部品番号
Lot 追跡のためのロット番号
修正 ハードウェア/ソフトウェア修正レベル
MAC 通信用の特殊番号
装置種類 携帯電話
バッテリ種類 Part#
最大充電量 2バイト0..65535mW
貯蔵容量 2バイト[0..65535Wh
【0127】
受信機は、バッテリ需要パケットを送信機へ無線で送信する。その目的で、受信機は側路を使用する、あるいはビーコン信号にパケットを付加する。
【0128】
好適な1実施形態では、受信機がビーコン信号を生成する。この信号の目的は、受信機が自身の存在を送信機に知らせることである。
【0129】
ビーコン信号は、タイミング、期間、反復速度に多くの厳しい制約がある。ビーコン信号の長さに追加されるデータのビット毎に、送信機からの無線電力の送信に利用可能な時間が削られる。したがって、可能な限り最小量のデータをビーコン信号のID部分と共に含めるべきである。1実施形態では、ビーコンは最小開始バイトでメッセージ種またはデータ部分を含まずに設計される。後者には側路が使用される。
【0130】
さらに別の好適な実施形態では、バッテリ需要パケット全体に側路が使用される。別の実施形態では、バッテリ需要パケットが各ビーコンと共に送信される。
【0131】
ビーコンの前文として送信されるバッテリ需要パケットは、ビーコンが送信される度に送信される。好適な1実施形態では、この頻度は約10ミリ秒とすることができる。
【0132】
側路で送信されるパケットはビーコンの制約がなく、頻度が送信機によって使用される頻度から変更されて無線電力を受信機に送達する場合は特に、連続的を含め任意の頻度で送信することができる。
【0133】
上述したように、バッテリ定格パケットは、バッテリ需要パケットよりもずっと低い頻度で送信される(秒で測定)。
【0134】
1実施形態では、受信機は、フルのときにバッテリフルメッセージを無線電力送信機に送信する。これは、受信機がその時点で送信機をそれ以上必要とせず、需要が発生するまで追加のバッテリ需要パケットによって送信機に負荷を与えたくないという表示である。
【0135】
別の実施形態では、バッテリがフルであるとき、受信機は単に送信機へのすべての通信を停止する。次に、送信機は、受信機が領域を出たと推定する。
【0136】
両実施形態とも、受信機はさらに無線電力の需要を感知すると、送信機が存在するようになると、すべての受信機が実行しなければならない通常の導入プロセスを履行することができる。これに続き、受信機は、本願に記載するようにバッテリ需要パケットの送信を開始する。
【0137】
複数の受信機がバッテリ需要パケットを無線で送信する場合、次のステップは送信機がこれらのパケットを受信することである。
【0138】
送信機はバッテリ需要パケットを受信する少なくとも1つの中心収集点を有する。これは、送信機内(あるいは送信機と関連付けられる)データコントローラである。送信機は、0、1,または複数の受信機から無線バッテリ需要パケットを受信する。
【0139】
標準的な設置では、少なくとも1つの無線電力送信機の近傍に複数の無線電力受信機を配置することができる。その後、多数の受信機がバッテリ需要パケットをデータコントローラに送信することができる。
【0140】
複数の調整されていない送信間の干渉を防止しなければならない。パケットは、バッテリ需要パケットに関して無線電力送信機に各受信機にポーリングさせることによって調整することができる。もしくは、複数の多対1メッセージングスキーム、たとえばCSMA-CDがデータ通信技術において十分に既知である。
【0141】
概して、データコントローラ内の無線送受信機は受信機と通信する。送受信機はデータラインを受信し、データ検出器によってビットに変換される信号を提示し、おそらくは解読回路を通過して、バイトストリームとして出る。これらのバイトは、データブロックヘッダの開始を構成する特定の一連のバイトを探すプロセッサのデータ入力チャネルへ移動させられる。
【0142】
通常、上述したように、ヘッダはメディアアクセス制御バイト(MACアドレス)または受信機IDなどの詳細を含むため、コントローラはどの受信機がメッセージを送信したかが分かる。最終ヘッダバイトは通常、メッセージ種を符号化する。これがデータストリームで発見されれば、残りのバイトは、特定のメッセージ種においてビットが何を意味するのかを割り当てるプロトコルに応じて意味を呈する。
【0143】
このパケット解明アプローチは多くのプロトコルの基準であり、当該技術において様々な例がある。
【0144】
いったんメッセージ種が特定されれば、それらのメッセージが送信されるように設計される特定のデータパラメータをデータストリームから回収することができる。
【0145】
パケットヘッダからのメッセージ種を使用して、データコントローラは特定の符号化バッテリ需要(たとえば、未加工の測定基準またはバッテリ需要測定基準、瞬時、平滑化、または予測)から抽出することができる。
【0146】
極めて多数のメッセージ種は、相互に類似する、あるいは類似の種類のデータを含むが、符号化、高位の意味、または目的の異なるメッセージ種の多様性から生じる。
【0147】
データコントローラは、可変データを共通の需要フォーマットに正規化しなければならない。好適な実施形態では、この共通需要フォーマットはTTDである。
【0148】
1実施形態では、すべての受信機は、同じメッセージ種を使用して、常に同じように同じ符号化で未加工の測定基準を送信する。この場合、TTDは、上述の式を用いてこれらの読取値から算出することができる。
【0149】
別の実施形態では、異なるメッセージ種が同じ必須データだが、未加工の測定基準の低位で表される生データに関しては異なる符号化または高位の意味を有するデータを送信することができる。たとえば、すべての受信機はバッテリ需要に関しては同じ関数(たとえば、TTD)を使用するが、未加工の測定基準を送信する受信機もあれば、バッテリ需要測定基準を送信する受信機もあり、さらにはTTDを送信する別の受信機もある。
【0150】
この場合、各受信機は、TTDの値を算出するための完全な情報を送信している。TTDを含むバッテリ需要パケットの場合、さらなる処理は不要である。バッテリ需要測定基準を含むパケットの場合、TTDが上述の関数を用いて算出される。未加工の測定基準を含むパケットの場合、上述の式はこれらの値をバッテリ需要測定基準に変換するために使用される。次に、TTD関数がTTDの値の算出に適用される。
【0151】
第3の実施形態では、異なる受信機は、共存しない測定群を使用する、あるいは特注受信機ハードウェアまたはソフトウェアの独自の機能に依存する特別な特徴を履行する。これらの場合、データを正規化する何らかの手段が必要となる。
【0152】
たとえば、受信機が消費量または充電状態のみを測定し伝達するには、送信機はそれらの測定値をTTDに正規化するため、不明データについて推定する必要がある。こうした推定は、受信機バッテリの基準パフォーマンスに関する製造業者データから引き出すことができる。
【0153】
バッテリ需要パケットが受信され、共通の読取値(優先的にはTTD)に正規化されると、送信機はこれらの需要要求を最適に満たす準備が整う。
【0154】
本発明では、任意の種類の無線電力送信アプローチを使用することができる。たとえば、
・OmniLectric社が開発したような位相マイクロ波アレイ
・UBeam社が開発したような超音波
・Witricity社が開発したような磁気共鳴
・Powerbeam社が開発したような赤外線レーザ
・PowerCast社が開発したような大気エネルギー捕捉
・その他任意の無線電力送信技術
【0155】
本発明がすべての無線送信技術に適用される理由は、これらすべての技術がパルスを介して電力を送達できるからである。これらの技術のうちのいくつかは、パルス変調アプローチ(たとえば、位相、時間、または有向送信機の代わりに周波数変調)の選択に制約を受ける。
【0156】
しかしながら、本発明は、無線電力の少なくとも2つのパルスを生成するすべての手段を適用し、各パルスは異なる場所に配置される2つの受信機のうちの一方に送信される。
【0157】
しかしながら、次に説明する好適な実施形態は、送信機において位相合わせパルシングを用いる位相マイクロ波アレイ技術(Ominiectricによる米国特許第8159364号に記載)を採用する。
【0158】
位相アレイの複数のアンテナから単独の受信機へ電力を誘導できることは多くの利点を有する。ここで説明する1つの利点は、需要に基づき異なる受信機に特定量の電力を誘導できることである。
【0159】
電力を一連のパルスとして送信できることは当該技術において十分に既知である。これらの電力パルスは1つの電子回路によって収集され平滑化されて、他の電子回路への一定電力源を提供する。
【0160】
個々の電力パルスを、パルスを平滑化する異なる回路に送信することによって、1つのソースからの電力を複数の目的回路に配分することができる。
【0161】
適切なパルス配分は、最適な数のパルスを個々の受信機に送信することによって達成される。各受信機は送信されるパルスから電力を回収することによって、必要に応じて使用に必要な電力を取得する。
【0162】
異なる電力要件を充足させなければならないとき、各受信機は受信機の特定の要件を満たすのに十分な電力パルスの目標とすることができる。すべての電力パルスが同一サイズであれば、多い電流を必要とする受信機(たとえば、低TTDの受信機)は多くのパルスを受信し、少ない電力を必要とする受信機(たとえば、高TTD)は少ないパルスを受信することができる。たとえば、電力パルスが様々なサイズである(たとえば、個々のパルスは複数の最小パルスとして表すことができる)場合、他のスキームを採用することができる。
【0163】
送信機では、パルス配分を算出できる前に、受信機群のすべての受信機の電力需要を認識していなければならない。
【0164】
この情報は受信機自体から得られ、収集した情報により送達される総電力とパルス配分とを算出することができる。
【0165】
なお、送信機は、どの受信機が電力を受信し、パルスを配分する必要があるかを収集している。
【0166】
図7は、送信機が4つの受信機A、B、C、Fと通信するように構成される例示のスキーム70を示す。受信機Aはビーコンパルス71を送信しており、その後で受信機Bが2つのビーコンパルス72と73を送信している。ビーコンサイクル74毎に、送信機はこれらの受信機に4パルスを送信する。Aによって送信された第1のビーコン71の場合、バッテリ需要を示す受信機は他にないため、Aがすべての4パルス75を受信する。Bによって送信される第2のビーコン72の場合、4つすべての受信機はほぼ同等のバッテリ需要を表している。したがって、送信機は4つの電力パルス76、77、78、79を4つの受信機B、A、C、Fにそれぞれ配分する。1つの電力パルスが4つの受信機のそれぞれに向かう。
【0167】
1実施形態では、送信機はビーコンサイクル毎にたとえば100パルスで送信する。送信機は受信機間でこれらの100パルスを割り当てる。これらの受信機のそれぞれに送信されるパルスの数は以下のようにして算出することができる。
#受信機iに割り当てられるパルス=round((受信機iの需要/すべての受信機の総需要)*100)
【0168】
需要がTTDとして表される場合、異なる配分関数が必要である。たとえば、
関数:TTD2PULSE
TTD値のリストをパルスカウントのリストに変換
GIVEN INPUT ARRAY=TTD[1...N]
CALCULATE OUTPUT ARRAY=NUMPULSES[1...N]
NORMALISE=SUM(TTD[1...N])
WEIGHT[1...N]=NORMALISE/TTD[1...N]
WEIGHTSUM=SUM(WEIGHT[1...N])
PULSRFACTOR=WEIGHTSUM/MAXPULSES
NUMPULSES[1...N]=WEIGHT[1...N]*PULSRFACTOR
別の最終行
NUMPULSES[1...N]=MAX(1,WEIGHT[1...N]*PULSRFACTOR)
【0169】
この方法は、TTDとして表される各自のバッテリ需要に応じて受信機間でパルスを配分する。
【0170】
上述の2つの配分スキームは単に例である。本発明は、受信機の各自のバッテリ需要に応じて利用可能なパルスを受信機に配分するその他の任意のアプローチに対応する。
【0171】
無線電力データコントローラと送信機は複数の受信機と協働して、それらの受信機に電力を送達する。以下のセクションでは、本発明により0、1、または2の受信機と相互作用する送信機の1実施形態について説明する。
【0172】
受信機は、送信機から電力バーストを得る時期を検出することができる。各電力バーストは複数の電力パルスを含む。各パルスは複数の受信機のうちの1つに振り向けることができる。好適な1実施形態では、たとえばバースト当たり100の電力パルスを有するが、本発明では任意の割合が許容される。
【0173】
図8は、バースト内の多数の電力パルス、すなわち100個のパルスから成る電力バースト81を示す。これらの電力パルスの26個を9つの受信機に供給すると考える。受信機#1は4つの電力パルス82を受信し、受信機#2は7つのパルス83を受信し、受信機#9は3つのパルス84を受信する。上述したように、この受信機間のパルス配分の不一致は、各受信機のバッテリ需要の差による。
【0174】
電力パルスは特定の受信機に向けられるエネルギーを含むが、すべての電力バーストがあらゆる活動中の受信機に対して電力パルスを含む必要はない。言い換えると、特定の受信機は、電力パルスをその特定のバースト内に配分させないことによって電力バーストから除外することができる。
【0175】
送信機は側路を使用して、ビーコン要求を受信機に通信する。これらの要求は、受信機に自身を特定し、電力需要を表明し始めるように求める。
【0176】
送信機範囲内のすべての受信機がすべてのビーコン要求を受信する。しかし、各ビーコン要求は単独の受信機にのみ振り向けられる。これは、メッセージに一意の受信機IDを使用することによって達成される。範囲内の各受信機は、特定のビーコン要求が対応されているか否かを調べる。
【0177】
2つの受信機が同時に電力を要求する場合、衝突を回避する必要がある。これは、各受信機にあるビーコン要求を無視させ、次のビーコン要求に対応させることによって達成される。たとえば、2つの受信機の場合、一方の受信機が偶数番目の要求をスキップし、他方の受信機が奇数番目の要求をスキップすることができる。
【0178】
後述の例では、受信機がビーコンの一部として各自のバッテリ需要パケットを送信していると仮定する。上述したように、このアプローチは本発明の1実施形態である。他の実施形態では、ビーコンに関係なく、受信機の側路がバッテリ需要パケットを送信する。
【0179】
送信機の近傍に受信機がない第1の単純なケースについて検討する。このケースに相当する簡易なスキーム90を図9に示す。単独の無線電力送信機91が一連の全般的告知(「定時告知」)92を時間間隔93(たとえば、5秒毎)に放送する。最終的に近傍の受信機を発見することを予測し、送信機は「プロキシ」と呼ばれる単独のアンテナ94からの定時告知92で終了する。特別なアンテナプロキシ94は送信機91におけるアンテナ95のクラスタの一部である。定時告知92は可能な受信機「クライアント」96によって受信され得る。通信スキーム90は、受信機が存在しない、あるいは対応する電力を有していないケースの例とみなされる。どちらの場合も、受信機から信号が戻らない。
【0180】
図10は、送信機-受信機通信の別の例を示す。通信スキーム100では、クライアント受信機96は最終的には環境に現れない。受信機は「定時告知」92を受信し、ランダムな時間待機し「ランダム中断」101、「不足です」メッセージ102で応答する。この通信スキーム100では、送信機は、(「不足です」メッセージの内容から)送信者が電力の受信を認可しないと決定する。この場合、送信機91は「助けられません」メッセージ103で返答する。クライアント受信機96はこのメッセージを受信し、送信機とその構造修正レベルを応答不可とマークする。これにより、再構成されるまで、クライアント受信機96は再度送信機91に不要に接触せずにすむ(受信機が電力を受信する新たな認可を受けたときに再構成が行われる可能性がある)。
【0181】
図11は、送信機-受信機通信の別の例を示す。通信スキーム110は、クライアント受信機96を送信機の認可受信機リストに無事導入できた状態を示す。上述したように、受信機は「定時告知」92を受信し、ランダムな時間「ランダム中断」101待機し、「不足です」メッセージ102で応答する。この受信機の場合、送信機91は、受信機に実際に電力受信を許可すると判定する。この場合、送信機91は利用可能な受信機IDのプールから選択された受信機IDで応答する。いったんこの受信機IDが選択されれば、(順序は無関係であり、異なっていなければならない)、たとえば図11に示す通信スキーム110では、「クライアント#3です」111と受信機に告知する。
【0182】
受信機はこのメッセージを受信し、「マイストーリー」メッセージ112を返す。1実施形態では、このメッセージがバッテリ定格パケットである。このパケットは、送信機91によって受信機IDを割り当てられた後でコンパイルされ、受信機によって送信される。
【0183】
いったん送信機91はこのパケットを受信すれば、どのように受信機を取り扱うかを判定し、「ビーコンを送信してください」メッセージ113を受信機に送信する。
【0184】
図12に示す例示の通信スキーム120は、首尾よく認可されたクライアント受信機96が、到達範囲内に受信機を有していない送信機91と相互作用するケースについて説明する。
【0185】
送信機の「ビーコンを送信してください」メッセージ113を受信すると、クライアント受信機96は第1のビーコン121を送信する。第1のビーコン121は、送信機アレイのあらゆるアンテナに、そのアンテナで受信機の信号の正確な位相角を判定させる。これにより、送信機91のすべてのアンテナは位相情報を捕捉し、クラスタ内の各アンテナの位相角の複素共役行列を算出することができる。後で、これらの位相角は、それらすべてのアンテナから受信機に戻す無線電力122の単独パルスを送信するのに使用することができる。
【0186】
すべてのアンテナ素子から戻る送信の位相角は、受信機の受信アンテナの位置(設計によって他のどこでもない)を通過する際にピークになるように構成されている。このため、エネルギーを取得し、そこから電力を得るように設計された回路を有する受信機に電力パルスを提供することができる。
【0187】
受信機がバースト内の1つまたはそれ以上の電力パルスを受信したと検知すると、第2のビーコン123を送信し、次いで別の電力バースト124を受信する。この相互作用は、送信機91が電力バーストの送達を停止するまで継続される。
【0188】
前記電力送信機アセンブリから前記無線電力パルスを受信したと検知すると、前記ビーコン信号を前記電力送信機アセンブリに送信し、「ビーコン送信」モードの受信機が所在不明の(未知の)電力パルスを検知すると、送信機プロキシからの別の「ビーコンを送信してください」コマンド125を待つ。「ビーコンを送信してください」コマンド125は「1つのビーコンを送信してください」を意味し、スキップ係数も有する。スキップ係数は、あらゆる電力パルスにビーコンで応答せず、ビーコンを送信する前にいくつかの数の電力パルスをスキップするように受信機に命じる。
【0189】
次に、少なくとも2つの受信機がビーコン要求を待つ場合について検討する。図13に示す通信例130では、通信が、1つの送信機91と「A」と称する1つのクライアント受信機131との相互作用によって開始される。クライアント受信機A131は電力バースト132を検出し、0スキップ係数で別のバーストを要求するビーコン信号133を送信している。
【0190】
送信機91は別の「定時告知」134を送信する時点を発見する。「定時告知」134を受信する第2のクライアント受信機B135(たとえば、受信機#6)はランダムな期間遅延させ「ランダム中断」101、その要求に「不足です」メッセージ102で応答する。
【0191】
この時点で、送信機91は、第2のクライアント受信機B135が電力パルスの受信を許可されると判定する。したがって、無線送信機91は空いた受信機IDプールから別の受信機IDを選択し、プロキシ93を使用して「受信機#6です」メッセージ136を送信する。
【0192】
この期間中、クライアント受信機A131はビーコンメッセージ133を送信し、それに応じて別の電力バーストを予測する。送信機は第2のクライアント受信機B135を設定しているため、このビーコンは無視される。クライアント受信機A131は不明の電力バーストに気づき、モードを変更する。要請される代わりにビーコンを送信することによって、この新しいモードは送信前にビーコン要求を待つ。また、新しいモードは応答前に構成可能な数のビーコン要求をスキップする。
【0193】
「受信機#6です」メッセージ136を受け取った直後の第2のクライアント受信機B135(受信機#6)に戻ると、自身の「マイストーリー」メッセージ137を送信することによって応答する。第2のクライアント受信機B135(受信機#6)からこのパケットを受信するとき、無線電力送信機91は電力供給を必要とするクライアント受信機A131およびクライアント受信機B135の2つの活動中のクライアント受信機を有しており、どちらもビーコン要求を待っている。
【0194】
引き続き図13に示す通信例130で、送信機91が要請し、2つの活動中のクライアント受信機(クライアント受信機A131およびクライアント受信機B135)のそれぞれからビーコン要求を受信した直後、2つのビーコンはすべてのアンテナの位相関係を設定するため、電力パルスを所望するどちらの受信機にも向けることができる。両受信機は(電力バースト内のどこかからの)電力パルスを待っており、第1の電力バーストを無視することを予期してビーコンを返さない。まるで両者とも一直線に並んでいると考えているようである。
【0195】
一方の受信機を他方の受信機に先行させる方法が必要であるため、一方は奇数のバーストにビーコンを返し、他方は偶数のバーストにビーコンを返す。さもなければ、両者とも奇数の(または偶数の)バーストに応答し、それらのビーコンが干渉する。ある受信機にバーストを無視させる方法は、その受信機に対してバースト内にパルスを持たないことである。したがって、図13に示すように、電力バースト全体がパルスを検出するクライアント受信機A131のみに向けられて、それに応じて送信するビーコンをスキップする。第2のクライアント受信機B135(受信機#6)はその電力バースト内の電力パルスを受信しないため、第1の電力バーストを待ち続ける。第2のクライアント受信機B135(受信機#6)は第1の電力バーストをスキップする準備を整えている。
【0196】
次に、電力パルス138を含む第2の電力バーストがクライアント受信機A131と第2のクライアント受信機B135(受信機#6)の両方に送信される。両受信機は自身のスキップ状態を調べ、クライアント受信機A131は既に十分にスキップしていると分かり(一度)、第2のクライアント受信機B135(受信機#6)はまだスキップしていないと分かる。したがって、無線電力送信機は、現在奇数番目の電力バーストをスキップしているクライアント受信機A131からビーコンを受信する。次の電力バーストは偶数または奇数であり、使用するよう命令されている一方のスキップ係数に基づきクライアント受信機A131または第2のクライアント受信機B135(受信機#6)からビーコンを受信する。
【0197】
2つ以上のスキップ係数を使用することができる。3つの受信機の場合、たとえば、2つのスキップ係数は、各受信機に対して、あとの2つの受信機のいずれかがビーコンを受信しているときにはビーコンの送信をスキップさせる。このスキームは複数の受信機で機能することができるが、各受信機からのビーコンの障害なしでの受信に依存する。
【0198】
別の実施形態では、受信機および送信機は、送信機に認識する受信機からのビーコンを要求させてスキップ係数を不要にすることによって相互作用することができる。受信機は自らを説明するデータパケット(「マイストーリー」)で「定時告知」に応答する。その受信機を指名する特定のビーコン要求は、送信機が決定するときは常に対応することができる。いったん受信機がビーコンで応答すれば、受信機は次の電力バースト内のパルスから電力を受信する。各受信機に順番を待たせるのではなくビーコン送信を要求することに時間を費やさなければならないため、効率の悪いプロトコルである。
【0199】
好適な実施形態では、データコントローラによって送信機に供給される正規化バッテリ需要データはTTDである。このため、送信機は、瞬時TTD、平滑化TTD、予測TTDを含むTTDにより受信機を比較することができる。
【0200】
別の実施形態(「1Bitディレクティブ」)では、需要データが「1」または「0」である。「1」は多い電力(「電力増」)に相当し、「0」は少ない電力(「電力減」)に相当する。この別の実施形態はバッテリ需要に関しては情報の程度は低いが、複雑でないために好適な実施形態では有利である。
【0201】
1Bitディレクティブでは、受信機が貯蔵バッテリ電流の符号(+または-)を監視し、電流がバッテリから流出しているときに電力増を要求し、電力がバッテリに流入しているときに、電力減を要求する。
【0202】
また、受信機は、最大充電量を超過したときと、充電状態が「フル」(たとえば、100%または90%超)のときに電力減を要求する。
【0203】
受信機のタスクは、以下のようにプログラム設計言語(PDL)で表すことができる。
バッテリ電流>0ならば
バッテリ電流>最大充電量ならば
「電力減」を要求
もしくは
充電状態=フルならば
「電力減」を要求
もしくは
「電力増」を要求
if文終わり
if文終わり
「電力増」を要求
if文終わり
【0204】
上記のコードは、最大充電量を超過する、あるいは充電状態がフルになるまで電力需要を増加させる。これは消費量の変動に関係なく実行される。コード断片は、ビーコンにつき1回のみ動作させる必要がある。電子回路は当該技術において既知な回路設計技術を用いてこのコードを容易に実行することができる。
【0205】
最小パケットは、開始バイト、受信機ID、おそらくは1つまたは2つのメッセージ種を含む必要な分だけを含む。メッセージ種は予め割り当てられた数字となる。通常、これらの数字はメッセージのデータセクションの特定レイアウトを指す。
【0206】
1つの可能性は、データセクションに1ビットのレイアウトを有することである。この1ビットは電力増または電力減ディレクティブを担持する。もしくは、ヘッダは、データセクションにデータビットの存在しないメッセージレイアウトを採用することができる。その代わりに、メッセージ種自体が電力増または電力減ディレクティブを担持する。
【0207】
パケットが、開始バイト、受信機ID、メッセージ種バイト、データバイトのうち1つまたはそれ以上を備える。
【0208】
開始バイト:これはたとえば「0xA55A」を含む2バイトとなり、稀な長いシーケンスとなる場合がある。
【0209】
受信機IDバイト:この受信機IDは一意であるものなら何でもよい。IEEE802フォーマットでは、特定の受信機が01:23:45:67:89:ABを有すると仮定する。しかし、この種のIDはビーコンにとっては長すぎる。上述のプロトコルにより、受信機IDが無線電力送信機によって割り当てられる。1バイトは200超の受信機を一意に特定することができる。この例の場合、バイト「0xAB」が選択されている。
【0210】
メッセージ種:1Bitディレクティブレイアウトを伝達するために割り当てられる2バイトとなる。効率的なのは、無関係な頻繁に使用されるメッセージ種の電力増および電力減バージョンを有することである。もしくは、メッセージ種0x62をレイアウトに1ビットのデータを有する1Bitディレクティブ用のメッセージ種とする。
【0211】
データバイト:別の1Bitディレクティブ実施形態では、パケットはデータバイトを含む。最小カウントは1バイトとなる可能性が高いため、電力増を「0x01」、電力減を「0x00」と符号化することができる。このため、送信されるのに必要な1ビットの情報よりも多く担持される。
【0212】
1Bitディレクティブメッセージ(16進法で)の例は「A5 5A AB 62 01」である。
【0213】
このメッセージは2つの開始ビット「A5」および「5A」として分割され、その後に(無線電力送信機によって割り当てられた)受信機ID「AB」とメッセージ種「62」が続く。#62メッセージ種は、最小桁位置(最も右)に単独ビットを含む単独バイトを有することが既知である。メッセージ62を抽出するコードは以下の通りである。
電力増=(「0x01」==ペイロード(O))
【0214】
ペイロードは、受信機ビーコンのデータ部分から受信されるバイトアレイである。ゼロオフセットで1つのみのペイロードバイトである。ペイロードが「0x01」に等しければ、要求される電力増は真である。もしくは要求される電力増は偽である(実際には要求される電力減であり、このスキームでは等価である)。
パケット内容の概要は以下の通りである。
受信機# 通信する受信機の受信機ID
電力増 求める電力増の真偽
【0215】
この情報は、各受信機の要求を追跡する送信機に供給される。
【0216】
1ビット増/減信号がビーコン毎に受信機によって送信される場合、その結果はパルス幅変調フィードバック信号に類似すると考えられる。
【0217】
プログラム設計言語(PDL)フォーマットでは、送信機は以下の手順を実行する。
受信機毎に、
電力増[受信機]ならば
パルス数[受信機]を増加
もしくは
パルス数を減少[受信機]
if文終わり
次の受信機
【0218】
パルス数[受信機]は、送信機が現在受信機に割り当てている電力パルスの数である。
【0219】
1実施形態では、領域内のすべての受信機からたとえば秒当たり100ビーコン、ビーコンサイクル当たり100パルスを得る(他のカウントも可能であり、100は計算しやすい例として選んだ)。
【0220】
秒当たり100ビーコンの場合、単独の受信機が電力増を要求することができる。それに応じて、送信機は秒当たり0~100パルスと電力を円滑に増減させる。適切な保護により、「増加」および「減少」コードが100パルスの配分を超過するのを防止することができる。たとえば20の受信機が競合する場合、この例では各受信機が5秒内の範囲をカバーする。これは十分な応答時間である。
【0221】
いったん送信機が各受信機に割り当てられたパルス数を知ると、割り当てられたパルスの総数(「総パルス」)が利用可能なパルス以下であれば、送信機は以下のようにパルスを配分する。
パルス=I
受信機毎に、
(I=0;I<パルス数[受信機];I++)
受信機のパルス[パルス++]=受信機
次のI
次の受信機
【0222】
これは、バースト内の第1の電力パルスからパルスを配分することから開始される。コードは受信機リストを一通り通過し、続く各受信機に受信機に割り当てられるパルス数を配分する。
【0223】
パルス配分の1Bitディレクティブアプローチは「ランプ・ディザ」とも称することができる。たとえば、携帯電話が送信機近傍で一晩中未使用のままであれば、朝にはバッテリはフル充電されている。パルス数は受信機においてほぼゼロの電力をうろついている。
【0224】
朝に携帯電話の電源を入れると、バッテリ電流はすぐに携帯電話回路から流出し始め、電力増を要求する。これらの要求は、送信機電力レベルが受信機電子部品からの需要を超過するほど十分に上昇し、電力減の要求が発生するまで継続する。
【0225】
送信機では、その受信機用のパルス数がある値まで増加し、その後、ちょうど必要な電力を供給するレベルをうろつく。増加プロセスが長すぎると、充電状態はもはや「フル」を示さず、充電状態が「フル」に戻るまで追加の電力増を要求する。
【0226】
送信機では、総パルスは利用可能な総数(たとえば、上記の例では100パルス)を超える。要求される総数を低減させるいくつかのアプローチが可能である。
【0227】
あるアプローチでは、総パルスをたとえば100の係数で割り、「除算係数」を得る。次に、各受信機用のパルス数をその係数で割って、送信される実際のパルス数を決定する。この結果、すべての受信機が同等に電力不足となり、いくらかの受信機にとっては問題である。
【0228】
まもなくすべての電力不足の受信機が全100パルスを要求する。この結果、すべての受信機が同量の電力を受信し、一部の受信機に問題が生じることがある。しかしながら、たとえば20の受信機が利用可能な総無線電力の20分の1を受け取ることは妥当な応答である。
【0229】
別のアプローチによると、コードがリストを反復的に通過して、総数が100になるまですべての受信機の配分から1を減じる。この例では、10ミリ秒のバーストの電力パルスを送信することができる。
【0230】
改良点は、どの受信機の配分も1パルス未満にさせないことである。さらなる改良は、ローカルバッテリなどの内部貯蔵のないユニットの配分を格下げしないことである。この「無バッテリ」状態は各受信機にとって既知であり、「降格可能」コードなどでテストすることができる。
While総パルス>100
受信機=次の(受信機)
総パルス>100ならば
降格可能[受信機]ならば
パルス[受信機]=Max(1,
パルス数[受信機]-1)
総パルスを再度算出
if文終わり
if文終わり
Wend
【0231】
これにより、格下げすることができるが同等にそうされるすべての受信機の電力を不足させる。内部貯蔵のない受信機は、必要な応答である要求するすべての電力を受信する。欠点の1つは、受信機がもはやバッテリを再充電しないためグレースフルな故障モードを引き起こすことである。
【0232】
しかしながら、RF吸収環境に囲まれる送信機と多数の要求する受信機とは圧倒されて、消費量が多い受信機は放電させられることもある。送信機が供給できるよりも多くの電力を要求されていることを送信機所有者に何らかの表示を行うことができる。
【0233】
予測バッテリ需要を採用する本発明の実施形態は、上述の他の実施形態よりもずっと詳しい分析を実行することができる。予測使用量が最近の使用(たとえば、瞬時バッテリ需要と平滑化バッテリ需要)ではなく送信機に依存する場合、受信機の差別化特徴がより重要となる。
【0234】
以下、これらの異なる受信機特徴と電力使用別の受信機種類の分類とを説明する追加のパラメータについて説明する。この情報の目的は、送信機が、送信機の供する受信機のより豊富な収集モデルを可能にすることである。
【0235】
この豊かな予測モデリングを実行し、電力バースト内のパルス配分のためこのモデルに依存する主な利点は、電力バースト送達の各サイクルで送信機が必要とする計算量を低減することである。
【0236】
受信機電力使用の先験的モデルに依存する欠点は、実際の使用がモデルから大幅に逸脱するときに生じる。
【0237】
上述のバッテリ需要測定基準とバッテリ定格測定基準以外にも、予測モデリングは追加パラメータを使用して最適化される。
【0238】
後述の予測パラメータは、各種受信機に送信される一連の電力パルスを予定し、各受信機に特別に調整した電力レベルを提供するのに十分である。すべての受信機から送信機へこれらのパラメータが入手可能である場合、送信機がその値を使用して、利用できる電力パルスの最適な配分を決定することができる。
【0239】
各受信機は、受信機に電力を供給し、バッテリ(1つの場合)を再充電するのに必要ないくつかの電力パルスを受信することで、受信機が無線電力を受信すると予測する時間内に、バッテリサイズまたは現在の充電レベルに関係ないが、安全な再充電速度で、予測される将来の短時間の使用をカバーする。
【0240】
いくつかの受信機は、常に送信機近傍の棚に搭載される。他の受信機、特に携帯型受信機は、遠隔位置で無線電力にアクセスして使用されることがない。携帯型受信機の中には1日のうち短時間だけ無線電力にアクセスするものもあれば、定期的に夜通しアクセスするものもある。
【0241】
以下の電力可用性パラメータは、受信機の無線電力へのアクセスを特徴付ける。
無線利用可能電力 [...]分/日
無線電力アクセスの平均期間 [...]分
電力アクセスセッションの回数 [...]1日あたり
【0242】
好ましくは、これらのパラメータも収集されて、受信機自体に保持される。
【0243】
少ない電力を引き出す無線電力受信機もあれば、多い電力を引き出す無線電力受信機もある。ある受信機は1日中動作し続けるために継続的に電力を引き出すが、別の受信機は人が使用するとき、あるいはセンサ(または他の受信機)が始動するときのみ電力を引き出す。それらの間欠的に電力を使用する受信機は通常、電力消費の短期または長期セッションを有し、残りの時間は非常に小さな待機電力しか消費しないか、全く電力を消費しない。
【0244】
以下の電力消費パラメータは無線電力受信機の電力消費を特徴付ける。
基準電力消費 [...]ワット
期間 [...]分/日
基準電力消費セッションの平均期間 [...]分
電力消費セッションの回数 [...]1日あたり
【0245】
好ましくは、これらのパラメータが測定され、受信機自体に保持されて、電力パルスの配分を企画する際に送信機へオンデマンドで送信される。
【0246】
いくつかの受信機は送信機からの電力を管理することを望む場合があるため、追加の需要パラメータを含めることができる。
このレベルの電力を供給してください [...]ワット
送信機が自身で判断する [Y/N]
【0247】
1アプローチでは、要求される電力レベルがこのフィールドでは「N」で、そのフィールドでは「Y」で要求される約束が確立され、送信機は受信機に供給される電力レベルを選択することができる。
【0248】
電力可用性および消費パターンによって分類される異なる種類の受信機は、異なる種類の予測パラメータを生成する傾向がある。
【0249】
自身で電力を貯蔵する手段を持たない受信機は、無線電力源によって常時十分な電力を供給されなければならない。これらの受信機の位置は常時ソースに認識されるため、無線電力を受信機の位置に向けることができる。主要電力が停電などの延長期間遮断された後でも、送信機は位置データを保持することができる。したがって、完全に従属した受信機のすべての位置情報は送信機の不揮発性記憶装置に記憶される。これらの受信機は、通常はゼロである「総エネルギー貯蔵容量」パラメータによって特定することができる。その1例が、給湯器を通って水を循環させることによってパイプ内の水を保温する電気水ポンプである。
【0250】
常に稼働中でなければならない受信機には、送信機または大型のバックアップバッテリが常時十分な電力を供給しなければならない。これは完全従属受信機と似た種類の受信機であるが、異なる点としてこうした受信機は通常、利用可能なときに送信機から確実に電力を受信するため、ビーコンに電力を供給するローカルエネルギー貯蔵装置を有する。考えられる例が、停電中に使用するバッテリバックアップを備えた酸素濃縮器(呼吸を助ける医療用受信機)である。
【0251】
枯渇した受信機は既に自身の電力備蓄を使い尽くしており、強制的に機能停止される。これらの受信機は、迅速に再充電するために優先的に高電力パルスを受信するが、特別な処理を必要とする。
【0252】
通常、受信機によって送信されるビーコン信号は近傍の無線電力源によって受信され、その後、その受信機の位置に電力を送信することによって応答するために特別処理が必要となる。これらの受信機は携帯型受信機であるため、位置が分からない。枯渇した受信機はビーコンを生成するのに利用可能な電力を有していない。よって、近傍の送信機が受信機を感知することができる。ビーコンが「受信機を電源に移動させる」代わりに、受信機を電源に移動させなければならない。
【0253】
この場合、備蓄電力のない受信機は、無線電力を常に供給される少なくとも1つの特定位置を有することによって取り扱うことができる。枯渇した受信機がこの「復活スポット」に配置されると、ビーコンを生成できるようになるまで無線電力が受信機に供給される。この時点で、受信機の使用がすぐに要求される場合、無線電力源の到達範囲内にいる限り、受信機は充電されながら使用することができる。受信機が迅速充電要件と共に高電力を必要とする場合でも、送信機は、受信機がその範囲にいる間は受信機の充電と給電に十分な電力を供給することができると予想される。
【0254】
備蓄電力がほぼ枯渇した受信機は、無線電力フィールドに入ると充電され始める。これは、ビーコン信号が、受信機に給電可能な送信機によって検知されると発生する。これらの受信機は、動作するのに十分な電力を有する他の受信機よりも優先的に電力を供給される。現在の予備容量パラメータがこれらの受信機にとって重要であるため、迅速充電電力パルス列を供給することができる。
【0255】
高電力要件を有する受信機は、電力需要の少ない受信機よりも利用可能な電力ポールから大きな電力スロットを配分されなければならない。技術が成熟するにつれ、より多くの電力が供給可能になる。ヘアドライヤーなどの連続的な高電力要件を有する受信機は、使用中に安定的な配分を必要とする。送信機が容量の限界近くの電力を供給しているとき、一部の受信機は変動する電力レベルを許容することができ、必要に応じて総電力出力からの負荷を享受する。この良い例が車庫で充電する電気自動車である。悪い例は、無線電力源の制限された容量に対処するため、ランダムに低温状態へ後退するように見えるヘアドライヤーである(ヘアドライヤーは大半のユーザによって欠陥品とみなされる可能性が高い)。「基準電力消費」パラメータはこれらの受信機を特定するのに重要である。ヘアドライヤーは、たとえば「判断なしに1000Wをすぐに供給してください」という状態を主張することを望むかもしれない。
【0256】
ラジオやテレビなどの受信機の中には常時使用し続けるものがある。上述したように、このような常時オンの受信には、電力スロットの安定配分を提供する必要がある。「基準電力消費セッションの平均継続期間」が、これらの受信機を特定する際に重要である。
【0257】
1日中酷使される受信機もあれば、同じ型番でもあまり使用されない受信機もある。2つの同一の携帯電話を、一方を常に電話を手元に置いている株式仲買人、他方を退職者が所有すると仮定する。両者とも残量容量が50%のバッテリで、パブリックアクセス送信機に共に到達することができる。つまり、一方の予備容量が4時間分、他方の予備容量が4日分という可能性がある。受信機は予備容量だけでなく基準使用のレベルおよび分/日を報告する。この情報が送信機に提供されれば、株式仲買人の電話がより多くの電力を受信したとしても、両者とも80%の予備容量を残しておくことができる。
【0258】
制限された、あるいは間欠的な使用パターンを有する受信機もある。テレビのリモコンは、1日に数時間、頻繁にだが間欠的に使用される場合がある。スタッドファインダーは数年毎にしか使用されないことがある。この種の受信機は、ある放電レベルに達したときのみ再充電するのが最適であろう。いくつかのバッテリ技術-特にニッカド電池は、連続的に充電器に保持されると適切に反応しない。送信機の使用する適切なアルゴリズムはこれらのバッテリをうまく扱い、必要に応じて充電することができる。
【0259】
家庭によっては、家庭用インターホンをあまり使用しない。設計者がインターホンの無線電力の使用を予測する場合、1つまたは2つのビーコンを送信するだけで十分な超小型バッテリを使用することができる。インターホンの使用が求められる場合は常に「すぐに100mWを供給してください」の更新を送信することができる。
【0260】
エレクトロルミネセント夜間灯はバッテリなしで点灯を維持させることができ、秒当たりに供給される電力パルスの平均数を変動させることで照度を制御することができる。
【0261】
動作センサと壁掛け時計は無線電力の範囲外に移動しない。
【0262】
無線電力が近傍にない物置に保管される真空掃除機の場合、バッテリが再充電を必要としたときに無線電力受信機がビーパの電源を入れることができる。その後、受信機は使用中であっても、(無線電力源の近傍の)筐体に運ばれて再充電させることができる。電力パルス配分装置はたとえば、低「無線利用可能電力0分/日」や「現在予備容量4%」を示し、「本バッテリの最大連続充電量」によって制限される適切な高電力ラッシュを算出する。
【0263】
遠隔地に保管される受信機の場合、状態中継器により、受信機は送信機にバッテリ充電レベルを送信することができる(中継器はデータを無線電力送信機に再送信するだけで、電力を受信機に再送信しない)。次いで、送信機は、遠隔受信機が充電を必要とすることをユーザに通知する。遠隔状態中継器は電力線通信またはWifiを使用して、送信機が受信機と通信するのに使用するのと同じ無線通信技術によって送信機と通信することができる。
【0264】
本発明をいくつかの実施形態を参照して説明したが、変更、修正、変形、置換の等価物も本発明の範囲に含まれる。これらの変更の多くは単独で、または様々な組み合わせで実行することができる。
【0265】
なお、本発明の方法と装置を実現する手段は他にも多数ある。したがって、以下の添付の請求項は、本発明の真の精神と範囲に属するすべての変更、修正、変形、置換の等価物を含むものと考えられる。
図1
図2A
図2B
図3
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図7
図8
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図10
図11
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図13-1】
図13-2】