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特許7137000磁石ホルダおよび磁石ホルダを有するストロークセンサ
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  • 特許-磁石ホルダおよび磁石ホルダを有するストロークセンサ 図1A
  • 特許-磁石ホルダおよび磁石ホルダを有するストロークセンサ 図1B
  • 特許-磁石ホルダおよび磁石ホルダを有するストロークセンサ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】磁石ホルダおよび磁石ホルダを有するストロークセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/245 20060101AFI20220906BHJP
   B60T 8/171 20060101ALI20220906BHJP
   F16D 65/14 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
G01D5/245 110L
G01D5/245 R
B60T8/171 Z
F16D65/14
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021512625
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 EP2019072774
(87)【国際公開番号】W WO2020048818
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】18193005.8
(32)【優先日】2018-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597007363
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D-80809 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ リッツィ
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2017-0096248(KR,A)
【文献】特表2017-503149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00-5/62
B60T 8/171
F16D 65/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プランジャ/シリンダ装置の円筒形のボディ(320)内でのプランジャ(310)の線形の変位(M)を検知するように構成された、磁石(220)を有する磁気抵抗式のセンサ(210)を備えるストロークセンサであって、
前記ストロークセンサは、さらに、
前記円筒形のボディ(320)の側方の部分に配置され、前記円筒形のボディ(320)の内部空間(322)に対して封止されたチャンバ(230)と、
前記チャンバ(230)用のクロージャを提供する取外し可能なサイドカバー(240)であって、前記磁気抵抗式のセンサ(210)は、前記磁石(220)とともに前記チャンバ(230)の内側に配置されている、取外し可能なサイドカバー(240)と、
石ホルダであって
前記プランジャ(310)を取り囲むスリーブ(110)と、
- 前記スリーブ(110)から半径方向外側に突出した、前記磁石(220)用の取付け部(120)と、
- 前記スリーブ(110)を片側で閉鎖し、前記プランジャ(310)の前記線形の変位(M)を可能にするための開口(135)を有するカバー(130)と
を備えている、磁石ホルダと
を備えており、
前記スリーブ(110)と前記カバー(130)とは、前記プランジャ(310)が前記円筒形のボディ(320)内で前記線形の変位(M)を実施するときに互いに相対的に運動すること
を特徴とする、ストロークセンサ
【請求項2】
前記プランジャ/シリンダ装置は、前記円筒形のボディ(320)の内側で前記プランジャ(310)とともに運動するように構成されたピストン(330)をさらに備え、
前記スリーブ(110)は、前記ピストン(330)の少なくとも上側の部分を取り囲むように形成されていることを特徴とする、請求項1記載のストロークセンサ
【請求項3】
前記プランジャ(310)は、前記円筒形のボディ(320)に対して相対的に前記線形の変位(M)および/または回転を実施することができ、
前記取付け部(120)は、前記スリーブ(110)と前記円筒形のボディ(320)との間に回転方向のインターロックを提供しつつ、前記円筒形のボディ(320)内での前記線形の変位(M)を可能にするように構成されている
ことを特徴とする、請求項記載のストロークセンサ
【請求項4】
前記スリーブ(110)は、前記プランジャ(310)および/または前記ピストン(330)とともに前記線形の変位(M)を実施するように適合されていることを特徴とする、請求項2または3記載のストロークセンサ
【請求項5】
前記磁気抵抗式のセンサ(210)がホールセンサである、請求項1から4までのいずれか1項記載のストロークセンサ。
【請求項6】
前記取外し可能なサイドカバー(240)に取り付けられ、前記チャンバ(230)内に前記磁気抵抗式のセンサ(210)を保持するように適合されたプリント回路板(250)を備えることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載のストロークセンサ。
【請求項7】
前記カバー(130)は、前記円筒形のボディ(320)と前記チャンバ(230)とを閉鎖するように適合されていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載のストロークセンサ。
【請求項8】
車両のブレーキシステム用のプランジャ/シリンダ装置であって、
プランジャ(310)と、
前記プランジャ(310)が線形の変位(M)を内部で実施することができる円筒形のボディ(320)と、
前記線形の変位(M)に基づき/応じてセンサ信号を発生させるように構成された、請求項からまでのいずれか1項記載のストロークセンサと
を備えることを特徴とする、プランジャ/シリンダ装置。
【請求項9】
前記円筒形のボディ(320)は、前記取付け部(120)の一部を収容して、前記スリーブ(110)のための軸線方向の案内部を提供しつつ、前記スリーブ(110)と前記円筒形のボディ(320)との間の相対的な回転を防止する軸線方向のスロット(325)を備えることを特徴とする、請求項記載のプランジャ/シリンダ装置。
【請求項10】
前記円筒形のボディ(320)の内側で前記プランジャ(310)とともに少なくとも一方向に運動するように構成されたピストン(330)であって、前記スリーブ(110)は、前記円筒形のボディ(320)の内側で摺動しかつ前記ピストン(330)の少なくとも上側の部分を包囲するように適合されている、ピストン(330)と、
前記円筒形のボディ(320)の内部空間(322)に対して前記チャンバ(230)を封止するための、前記ピストン(330)の下側の部分と前記円筒形のボディ(320)との間の封止部(340)と
を備えることを特徴とする、請求項または記載のプランジャ/シリンダ装置。
【請求項11】
請求項から10までのいずれか1項記載のプランジャ/シリンダ装置を有する車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石ホルダおよび磁石ホルダを有する、プランジャ/シリンダ装置における軸線方向の変位を特定するためのストロークセンサに関する。
【0002】
電子ブレーキシステムが、商用車においてますます普及してきている。これらのシステムは、ブレーキ作用に関する運転者の要求が正確に測定されることに依存している。また、従来の空気圧式または液圧式のブレーキシステムに関して、車両の運転者が意図する通りにブレーキ動作を正しく特定したいという要求が増えている。したがって、例えばシリンダに対するプランジャまたはピストンの軸線方向の変位をストロークセンサによって正確に測定することが重要である。
【0003】
独国特許出願公開第19637296号明細書では、円筒形のボディに配置された磁気抵抗素子を有する従来型のピストン用ストロークセンサであって、関連する磁石がピストンに取り付けられているストロークセンサが開示されている。ピストンが軸線方向に変位すると、ピストンの軸線方向の位置に応じて、磁気抵抗素子において電気信号が発生する。しかし、このセンサはシリンダ内に配置されており、したがって、シリンダ内部の湿分または汚れにさらされる。従来の別のマスタシリンダ用センサモジュールが、米国特許第9266517号明細書に開示されており、このセンサモジュールも磁気抵抗素子に依存し、対応する磁石を含む。このセンサモジュールは分離されたセンサチャンバを使用し、このセンサチャンバ内で、磁石が付加的なプランジャの端部分に取り付けられており、この付加的なプランジャは、位置を検知すべきマスタシリンダのプランジャに同調して往復運動する。このセンサモジュールは、磁気抵抗素子用の分離されたチャンバを提供しており、ひいては、湿分や汚れにさらされにくいが、案内部を有する磁石ホルダとしての付加的なプランジャにより、センサ装置がより複雑になる。
【0004】
したがって、高い信頼性を提供し、製造しやすく、正確なセンサ結果を提供する更なる磁石ホルダおよびストロークセンサが要求される。
【0005】
前述した従来のシステムの問題の少なくとも一部は、請求項1記載の磁石ホルダ、請求項5記載のストロークセンサおよび請求項9記載のプランジャ/シリンダ装置によって解決される。従属請求項には、独立請求項の主題の更なる有利な実現形態が記載してある。
【0006】
本発明は、ストロークセンサ用の磁石ホルダに関する。ストロークセンサは、磁石を有する磁気抵抗式のセンサを備え、プランジャ/シリンダ装置の円筒形のボディ内でプランジャの線形の変位を検知するように構成されている。磁石ホルダは、プランジャを取り囲むスリーブと、スリーブから半径方向に突出した、磁石用の取付け部と、スリーブを片側で閉鎖するためのカバーとを備える。カバーは、(例えば、プランジャロッドを案内することにより)プランジャの線形の変位を可能にするための開口を備える。スリーブとカバーとは、プランジャが円筒形のボディ内で線形の変位を実施するときに互いに相対的に運動する。
【0007】
「取り囲む」という用語は、軸線方向の変位の方向に対して垂直な断面において、スリーブがプランジャをそのプランジャの全周にわたって包囲していてよいことを示すものとする。しかし、取り囲むことは、プランジャが軸線方向で包囲されていることを示唆しない。その代わりに、軸線方向に関して、プランジャの少なくとも一部(例えばプランジャロッド)がスリーブを越えて突出していてよい。
【0008】
当然ながら、磁気抵抗式のセンサは、センサ素子の抵抗値を変化させることになる磁場の変動に応じてセンサ信号を発生させる任意のセンサとすることができる。磁場の変動は、磁気抵抗式のセンサに対する磁石の軸線方向の変位によって生じる。このような磁気抵抗式のセンサの例は、ホール効果、GMR(巨大磁気抵抗)効果、AMR(異方性磁気抵抗)効果、TMR(トンネル磁気抵抗)効果を利用して、それぞれのセンサ信号を発生させる。対応するホールセンサは、磁性材料を必要としないが、対応するGMRセンサ、TMRセンサ、AMRセンサは、少なくとも部分的に磁性材料に依存する。本発明は、磁気抵抗式のセンサの特定の例に限定されないものとする。
【0009】
選択的に、プランジャ/シリンダ装置は、円筒形のボディの内側でプランジャとともに運動するように構成されたピストンを備える。この実施形態では、スリーブが、ピストンの少なくとも上側の部分を取り囲むように形成されていてよい。しかし、ピストンとプランジャとは、互いに分離可能な別個の要素である。
【0010】
プランジャは、円筒形のボディに対して相対的に回転および線形の変位を実施することができる。この場合、取付け部が、スリーブとともに一体の部分を形成していてよく、スリーブと円筒形のボディとの間に回転方向のインターロックを提供しつつ、円筒形のボディ内での線形の変位(線形の運動)を可能にするように構成されていてよい。回転方向のインターロックは、円筒形のボディに設けられた軸線方向のスロット(細長い/線形の開口)によって実現されてよく、スリーブは、この軸線方向のスロットに係合して相対的な回転を防止するピンを備えてよい。このようなピンとして、磁石ホルダの取付け部が機能してよい。このインターロック係合の結果、磁石は、磁気抵抗式のセンサに対して線形に運動することになり、ひいては、良好に規定されたセンサ信号が提供される。
【0011】
選択的に、スリーブは、プランジャおよび/またはピストンとともに線形の変位を実施するように適合されている。このことは、スリーブとプランジャとの間のピン/溝の係合によって同様に実現可能である。ピン/溝の係合は、スリーブとピストンとの間でも同様に形成可能である。
【0012】
また、本発明は、円筒形のボディ内でのプランジャの線形の変位を検知するように構成された、磁石を有する磁気抵抗式のセンサ(ホールセンサであってよい)を備えるストロークセンサに関する。このストロークセンサは、前述した磁石ホルダを備える。
【0013】
選択的に、ストロークセンサは、円筒形のボディの側方の部分に配置され、円筒形のボディの内部空間に対して封止されたチャンバを備える。さらに、ストロークセンサは、チャンバ用のクロージャを提供する取外し可能なサイドカバーを備えてよい。磁気抵抗式のセンサは、磁石とともにチャンバの内側に配置されていてよい。カバーは、円筒形のボディとチャンバとを閉鎖するように適合されていてよい。
【0014】
選択的に、取外し可能なサイドカバーにプリント回路板が取り付けられている。プリント回路板はチャンバ内に磁気抵抗式のセンサを保持している。
【0015】
また、本発明は、車両、特に商用車のブレーキシステム用のプランジャ/シリンダ装置に関する。プランジャ/シリンダ装置は、前述したように、円筒形のボディと、プランジャと、ストロークセンサとを備える。プランジャは、円筒形のボディ内で線形の変位を実施することができ、この線形の変位は、ブレーキ要求に対応していてよい。ストロークセンサは、車両に対するこのブレーキ要求を検知することができる。
【0016】
選択的に、円筒形のボディは、取付け部の一部を収容して、スリーブのための軸線方向の案内部を提供しつつ、スリーブと円筒形のボディとの間の相対的な回転を防止する軸線方向のスロット(裂け目状の開口)を備える。
【0017】
選択的に、プランジャ/シリンダ装置は、円筒形のボディの内側でプランジャとともに少なくとも一方向に運動するように構成されたピストンであって、スリーブが、円筒形のボディの内側で摺動しかつピストンの少なくとも上側の部分を包囲するように適合されている、ピストンを備える。さらに、円筒形のボディの内部空間に対してチャンバを封止するための、ピストンの下側の部分と円筒形のボディとの間の封止部が提供されていてよい。したがって、この装置は、従来の装置のように付加的なプランジャなどの付加要素を必要とすることなく、チャンバ内の磁気抵抗式のセンサを、例えば湿分、汚れなどに対して確実に保護する。
【0018】
また、本発明の実施形態は、前述したプランジャ/シリンダ装置を有する車両に関する。車両は、商用車であってよく、プランジャ/シリンダ装置は、車両のブレーキシステムの一部であってよい。
【0019】
システムのいくつかの例を添付の図面を参照しながら単なる例として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1A】本発明の一実施形態による、プランジャ/シリンダ装置システム用のストロークセンサを有する磁石ホルダを示す図である。
図1B】本発明の一実施形態による、プランジャ/シリンダ装置システム用のストロークセンサを有する磁石ホルダを示す図である。
図2】断面線A-Aに沿った、図1Aまたは図1Bのストロークセンサの断面図である。
【0021】
図1Aおよび図1Bは、プランジャ/シリンダ装置用のストロークセンサを有する磁石ホルダを示す。ストロークセンサは、磁石220を有する磁気抵抗式のセンサ210を備え、プランジャ/シリンダ装置は、軸線方向のMに沿って互いに相対的に運動すること(線形の変位)ができるプランジャ310と円筒形のボディ320とを備える。磁石ホルダは、プランジャ310を包囲するスリーブ110と、スリーブ110から半径方向外向きに突出した、磁石220用の取付け部120と、スリーブ110を片側で閉鎖するためのカバー130とを備える。カバー130は、開口135を有しており、この開口135を通ってプランジャ310の線形の変位が可能になる。より正確には、プランジャ310は、開口135を通って延在するプランジャロッド312と、円筒形のボディ320の内部空間322に配置されたピストン部分314(拡径された部分)とを備えてよい。プランジャ310が、円筒形のボディ320の内部空間322を通って線形の変位Mを実施するとき、スリーブ110とカバー130は互いに相対的に運動する。
【0022】
図1Aの実施形態では、プランジャ310はピストン330に当接しており、線形に変位Mするときピストン330を押圧する。プランジャ/シリンダ装置は、プランジャ310に対してピストン330を(図1Aでは上方に)押圧する付勢力を提供するための少なくとも1つのばね(図1Aには図示せず)をさらに含んでよい。ピストン330が、他の連結要素(例えば、スナップ接続またはクリック接続)を介してプランジャ310に連結することも可能である。プランジャ310は、同じくスリーブ110にも連結し、軸線方向のMへのスリーブ110とプランジャ310との相対的な変位が防止される。スリーブ110は、プランジャ310ではなく、ピストン330に連結されてよい。しかし、プランジャ310とスリーブ110は、軸線方向のMを中心として互いに相対的に回転してよい。この連結は、溝/ピン連結115によって実現されてよく、この溝/ピン連結115は、例えば、スリーブ110から半径方向内向きに延在する凸部または突出リングと、プランジャ310またはピストン330(またはその拡径された部分)の外周面に形成された対応する凹部または溝とを含む。この連結は、逆の形態で実現されてもよく、つまり、溝/凹部がスリーブ110に形成され、凸部がプランジャ310に形成されてもよい。
【0023】
図1Bに示す実施形態は、溝/ピン連結115が、スリーブ110と(プランジャではなく)ピストン330とを含む点だけが、図1Aの実施形態と異なっている。他の構成要素は全て、同様に配置されてよい。
【0024】
磁石220用の取付け部120は、スリーブ110から半径方向外向きに延在しており、それにより磁石220は、円筒形のボディ320の内部空間322から分離されたチャンバ230内に保持される。チャンバ230は、円筒形のボディ320の側方の部分に形成され、取外し可能なサイドカバー240によって覆われる。磁気抵抗式のセンサ210は、チャンバ230の内側に磁石220とともに配置され、このチャンバ230は、封止手段340(例えば、封止リング)によって、円筒形のボディ320の内部空間322に対して封止される。磁気抵抗式のセンサ210は、プリント回路板250に配置されてよく、このプリント回路板250は、チャンバ230の取外し可能なサイドカバー240に取り付けられてよい。
【0025】
カバー130は、円筒形のボディ320ならびにスリーブ110および/またはチャンバ230用のクロージャを提供するように適合される。カバー130は、円筒形のボディ320に取り付けられ、開口135を備えており、この開口135を通ってピストンロッド312が延在し、線形の方向Mに沿って運動する。任意選択の封止要素137が、カバー130とピストン310との間に形成されて、線形の運動M(変位)中の封止が提供されてよい。
【0026】
図2は、ピストン330と、スリーブ110と、円筒形のボディ320と、磁石220と、回路板250の付いたサイドカバー240とを通る断面線A-Aに沿った断面図を示す。
【0027】
この断面図から明らかなように、スリーブ110は、円筒形のボディ320のスロット325を通って延在している。この係合により、円筒形のボディ320に対してスリーブ110が回転方向に固定され、それにより、円筒形のボディ320に対するスリーブ110の回転が防止される。その結果、磁石120は、必然的に図2の同じ角度位置に保たれる(軸線方向の変位Mは、図2の描画平面に対して垂直である)。したがって、磁気抵抗素子210によって発生させられるセンサ信号は、線形の動作範囲内に保たれる(線形性が維持される)。
【0028】
実施形態の有利な態様は、以下のようにまとめることができる。
【0029】
説明した装置は、プランジャ310のストロークに比例した電気信号を提供することを目的として、例えばホール効果技術に基づくストロークセンサを提供する。センサは、磁場変動に対する感応性を有しており、したがって、センサのコア要素(例えば、ホールチップ210)の近くに永久磁石220が配置され、プランジャ310が作動すると磁場密度が変動可能になるように、この永久磁石220が適切に案内される。プランジャ310の方向と異なる、他の方向への磁石220の運動は、センサ信号の線形性に逸脱を生じさせることになる。
【0030】
プランジャ310およびピストン330は、磁石ホルダとして機能するスリーブ110とともに、上側の(円筒形の)ボディ320の内側で摺動している(スリーブ110と取付け部120は一体部分とすることができる)。スリーブ110は、プランジャ310とピストン330の両方を取り囲み、組立てを容易にするために開口しており、この開口は、磁石220に対して反対側に配向される。磁石ホルダはカバー130も囲み、プランジャ310の完全なストロークのためにカバー130に接して摺動する。磁石座部(取付け部220)が、上側のボディ320のスロット325の内側で運動するので、スリーブ110は回転することができない。
【0031】
磁石ホルダは、3つの機能、つまり、
- 上側のボディ320の内側でプランジャ110およびピストン330の円滑な摺動を可能にする、
- 磁石220をクランプ固定し、プランジャ310の回転する可能性があっても、磁石220をプランジャ310とともに動かし、横方向の運動をなくす、
- プリント回路板250と磁石220との両方が配置されているチャンバ230を保護する、
を提供するように設計される。
【0032】
説明および図面は、本開示の原理を示すにすぎない。したがって、本明細書で明示的に説明または図示していなくても、本開示の原理を実施する本開示の範囲に含まれる様々な構成を当業者が創作できることは明らかである。
【0033】
さらに、それぞれの実施形態は、別個の例として独立していてよいが、他の実施形態では、定義された機能を異なる形態で組み合わせることが可能であり、つまり、一実施形態において説明した特定の特徴は、他の実施形態においても実現可能であることに留意すべきである。このような組合せは、特定の組合せが対象外であるという記載のない限り、本明細書の開示によって網羅される。
【符号の説明】
【0034】
110 スリーブ
115 凸部/ピンおよび凹部
120 磁石用の取付け部(支持部)
130 カバー
135 カバーに設けられた開口
137 封止部
210 磁気抵抗式のセンサ(例えばホールセンサ)
220 磁石
230 チャンバ
240 取外し可能なサイドカバー
250 プリント回路板
310 プランジャ
312 プランジャロッド
314 プランジャのピストン部分
320 円筒形のボディ
322 内部空間
325 スロット、間隙、裂け目状の開口
330 ピストン
340 封止部
M 線形の変位
図1A
図1B
図2