(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】多列型プロンググラバー
(51)【国際特許分類】
A61M 5/32 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
A61M5/32 502
A61M5/32 500
(21)【出願番号】P 2021519001
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2019074297
(87)【国際公開番号】W WO2020064336
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2020-12-16
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・フロスト
(72)【発明者】
【氏名】スロボダン・ステファノフ
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-530083(JP,A)
【文献】米国特許第05098400(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第03257536(EP,A1)
【文献】特表2016-540584(JP,A)
【文献】国際公開第2010/146358(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤送達デバイスのキャップと組み立てるための針遮蔽体除去器であって、
近位端及び遠位端を有する除去器本体と;
少なくとも1つの第1の遮蔽体把持部材及び少なくとも1つの第2の遮蔽体把持部材であって、同一の針遮蔽体と係合するように構成された、第1の遮蔽体把持部材及び第2の遮蔽体把持部材と;
を備え、
前記第1の遮蔽体把持部材及び前記第2の遮蔽体把持部材が、前記除去器本体の長手方向においてかつ周面に沿っての双方で、互いに関してオフセットして配置されていることを特徴とする針遮蔽体除去器。
【請求項2】
前記除去器本体が、略シリンダ状であり、前記除去器本体の異なる部分を取り巻く第1の周囲及び第2の周囲を有し、前記第1の遮蔽体把持部材の少なくとも2つが、前記第1の周囲の周りで分配され、前記第2の遮蔽体把持部材の少なくとも2つが、前記第2の周囲の周りで分配されていることを特徴とする請求項1に記載の針遮蔽体除去器。
【請求項3】
前記第1の遮蔽体把持部材の1つのみが、第1の線に沿って配置され、前記第2の遮蔽体把持部材の1つのみが、第2の線に沿って配置されており、
前記第1の線及び前記第2の線がそれぞれ、前記除去器本体の長手方向において且つ前記除去器本体の周面に沿って延在しており、前記第1の線が、前記第2の線と相違することを特徴とする請求項1に記載の針遮蔽体除去器。
【請求項4】
前記第1の遮蔽体把持部材及び前記第2の遮蔽体把持部材が、径方向内側にかつ前記近位端に向かって延在し、前記第1の遮蔽体把持部材及び前記第2の遮蔽体把持部材が、前記針遮蔽体の周囲側面又は前記遠位端と係合するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の針遮蔽体除去器。
【請求項5】
前記第1の遮蔽体把持部材及び前記第2の遮蔽体把持部材が、
前記除去器本体から前記近位端に向かって延在する第1の部分と;
前記針遮蔽体と係合するために前記第1の部分から径方向内側にかつ前記近位端に向かって延在する第2の部分と;
を有することを特徴とする請求項1に記載の針遮蔽体除去器。
【請求項6】
前記第1の遮蔽体把持部材の前記第2の部分が、前記第2の遮蔽体把持部材の前記第2の部分の形状と異なる形状を有することを特徴とする請求項5に記載の針遮蔽体除去器。
【請求項7】
前記第1の遮蔽体把持部材の前記第2の部分が、前記第2の遮蔽体把持部材の前記第2の部分と実質的に同一の形状とされていることを特徴とする請求項5に記載の針遮蔽体除去器。
【請求項8】
前記第1の遮蔽体把持部材及び前記第2の遮蔽体把持部材が、前記除去器本体と前記第1の部分との間に第1の開口部を有し、前記第1の遮蔽体把持部材及び前記第2の遮蔽体把持部材が、前記除去器本体と前記第2の部分との間に第2の開口部を有し、前記第1の開口部が、前記第2の開口部に接続され、前記第1の開口部が、前記第1の部分が径方向外側に曲がることを可能にすることを特徴とする請求項5に記載の針遮蔽体除去器。
【請求項9】
前記針遮蔽体除去器が、前記除去器本体から径方向外側に延在する複数のキャップ固定部材を含むキャップ取り付け構造をさらに備え、切り欠きが、2つの隣接するキャップ固定部材の間に存在することを特徴とする請求項1に記載の針遮蔽体除去器。
【請求項10】
前記キャップの除去器取り付け部材と係合するように構成された、前記除去器本体の外面上の少なくとも1つのキャップ取り付け開口部をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の針遮蔽体除去器。
【請求項11】
ハウジングと;
前記ハウジングの近位開口部を覆うために前記ハウジングに取り付けられるように構成されたキャップ組立体であって、
キャップと;
請求項1から10のいずれか一項に記載の針遮蔽体除去器であって、前記キャップと組み立てられるように構成された、針遮蔽体除去器と;
を含む、
キャップ組立体;と
を備えることを特徴とする薬剤送達デバイス。
【請求項12】
前記キャップ組立体が、前記キャップ内に配置されかつ前記針遮蔽体除去器と係合するように構成された除去器取り付け部材を含むことを特徴とする請求項
11に記載の薬剤送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、針遮蔽体除去器に関し、特に、互いに関してオフセットして配置された少なくとも2セットの針遮蔽体把持部材を有する、薬剤送達デバイスの針遮蔽体のための針遮蔽体除去器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の薬剤送達デバイスは、複雑であり、多くのさまざまな構成要素を含むことがある。各構成要素の物理的特徴と、構成要素がともに組み立てられる方法と、は、どのようにこれらの構成要素が互いに相互作用するかに関してかつ使用中の薬剤送達デバイスの十分なレートに関して直接的な効果を有する。
【0003】
1つのこのような範囲は、薬剤容器から離れるように針遮蔽体を引っ張るための薬剤送達デバイス上でのキャップの除去であり、針遮蔽体は、まず、薬剤容器上の注入部材(例えば針)を覆って保護するために、薬剤容器(例えばシリンジ)に取り付けられる。成功した針遮蔽体の除去は、2つの部分、すなわちキャップと針遮蔽体除去器との間の相互作用と、針遮蔽体除去器と針遮蔽体との間の相互作用と、を含む。キャップは、針遮蔽体除去器を堅く把持する必要があり、針遮蔽体除去器は、同様に、針遮蔽体を堅く把持する必要があり、これにより、ユーザが、薬剤送達デバイスから離れるようにキャップを引っ張ることによって針遮蔽体をうまく除去する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、針遮蔽体除去器の一例は、径方向内側に延在しかつユーザがキャップを引っ張るときに針遮蔽体内にひっかかるように構成されたプロングを含む。除去中に針遮蔽体除去器が針遮蔽体を堅く把持するために、プロングは、プロングが針遮蔽体内に深くひっかかることを保証するために、可能な限り径方向内側に延在することができることが重要である。しかしながら、プロングが非常に大きく径方向内側に延在することを可能にすることは、組み立て中に、針遮蔽体と衝突することと、針遮蔽体が針遮蔽体除去器内に入ることを防止することと、のリスクがある。従って、除去中に針遮蔽体上での針遮蔽体除去器の把持力を最大化させるとともに、プロングが針遮蔽体の針遮蔽体除去器との組み立てを妨害しないことを確実にすることが必要とされている。
【0005】
キャップと針遮蔽体除去器との間の組み立てに関しては、針遮蔽体除去器がキャップからそれ自体を取り外すことができないことを保証することが重要である。針遮蔽体除去器が、キャップと組み立てられるときに回転することができないことが等しく重要であり、これは、回転が、針遮蔽体を回転させ、これが、次に、薬剤容器上の送達部材をねじって損傷させる可能性があるからである。従って、針遮蔽体除去器をキャップと堅く連結する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示では、用語“遠位”が使用されると、これは投与量送達部位から離れるように指し示す方向を指す。用語“遠位部/端”が使用されると、これは、薬剤送達デバイスの使用の下では投与量送達部位から最も遠く離れて配置される、送達デバイスの部分/端又は送達デバイスの部材の部分/端を指す。対応して、用語“近位”が使用されると、これは投与量送達部位を指し示す方向を指す。用語“近位部/端”が使用されると、これは、薬剤送達デバイスの使用の下では投与量送達部位に最も近く配置される、送達デバイスの部分/端又は送達デバイスの部材の部分/端を指す。
【0007】
さらに、“軸”の有無にかかわらず、用語“長手方向”は、デバイス又はデバイスの構成要素の最も長い延在方向においてデバイス又は構成要素を通る方向又は軸を指す。
【0008】
“軸”の有無にかかわらず、用語“横方向”は、デバイス又はデバイスの構成要素の最も幅広の延在方向においてデバイス又は構成要素を通る方向又は軸を指す。“横方向”は、“長手方向に”細長い本体の側面に対する位置を指すこともある。
【0009】
同様の方法で、“軸”の有無にかかわらず、用語“径方向”又は“横断方向”は、長手方向に対して全体として垂直な方向においてデバイス又はデバイスの構成要素を通る方向又は軸を指し、例えば“径方向外側”は、長手方向軸から離れるように指し示す方向を指す。
【0010】
また、以下の説明において少なくともが記載され、以下の説明では、デバイスの機械的構造及びその構成要素の機械的相互接続が説明され、デバイスは、初期には作動していないか、又は非動作状態にある。
【0011】
上記を考慮して、本開示の全体的な目的は、組み立てるのがより容易である、薬剤送達デバイスのキャップのための針遮蔽体除去器を提供することである。
【0012】
本開示のこれら及び他の態様並びに本開示による利点は、本発明の以下の詳細な説明及び添付の図面から明らかになるであろう。
【0013】
本開示のメインの態様によれば、本開示は、薬剤送達デバイスのキャップと組み立てるための針遮蔽体除去器によって特徴づけられる。針遮蔽体除去器は、近位端及び遠位端を有する除去器本体と、少なくとも1つの第1の遮蔽体把持部材と、少なくとも1つの第2の遮蔽体把持部材と、を備える。第1の遮蔽体把持部材及び第2の遮蔽体把持部材は、針遮蔽体と係合するように構成されている。第1の遮蔽体把持部材及び第2の遮蔽体把持部材が、除去器本体の長手方向においてかつ周面に沿っての双方で、互いに関してオフセットして配置されている。
【0014】
除去器本体が、略シリンダ状であり、除去器本体の異なる部分を取り巻く第1の周囲及び第2の周囲を有し、第1の遮蔽体把持部材の少なくとも2つが、第1の周囲の周りで分配され、第2の遮蔽体把持部材の少なくとも2つが、第2の周囲の周りで分配されている。
【0015】
第1の遮蔽体把持部材及び第2の遮蔽体把持部材が、径方向内側にかつ近位端に向かって延在し、第1の遮蔽体把持部材及び第2の遮蔽体把持部材が、針遮蔽体の周囲側面又は遠位端と係合するように構成されている。
【0016】
第1の遮蔽体把持部材及び第2の遮蔽体把持部材が、除去器本体と第1の部分との間に第1の開口部を有し、第1の遮蔽体把持部材及び第2の遮蔽体把持部材が、除去器本体と第2の部分との間に第2の開口部を有し、第1の開口部が、第2の開口部に接続され、第1の開口部が、第1の部分が径方向外側に曲がることを可能にする。
【0017】
本開示の別の実施形態によれば、第1の遮蔽体把持部材の1つのみが、第1の線に沿って配置され、第2の遮蔽体把持部材の1つのみが、第2の線に沿って配置されている。
【0018】
第1の遮蔽体把持部材及び第2の遮蔽体把持部材が、除去器本体から近位端に向かって延在する第1の部分と、針遮蔽体と係合するために第1の部分から径方向内側にかつ近位端に向かって延在する第2の部分と、を有する。
【0019】
本開示の一実施形態によれば、第1の遮蔽体把持部材の第2の部分が、第2の遮蔽体把持部材の第2の部分の形状と異なる形状を有する。しかしながら、別の実施形態では、第1の遮蔽体把持部材の第2の部分が、第2の遮蔽体把持部材の第2の部分と実質的に同一の形状とされている。
【0020】
本開示の別の実施形態によれば、針遮蔽体除去器が、除去器本体から径方向外側に延在する複数のキャップ固定部材を含むキャップ取り付け構造を備え、切り欠きが、2つの隣接するキャップ固定部材の間に存在する。
【0021】
本開示の別の対象によれば、針遮蔽体除去器は、キャップの除去器取り付け部材と係合するように構成された、除去器本体の外面上の少なくとも1つのキャップ取り付け開口部をさらに備える。
【0022】
本開示の以下の詳細な説明では、添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】先行技術による針遮蔽体除去器の透視図である。
【
図2】本開示の第1の実施形態による針遮蔽体除去器の水平図である。
【
図3】本開示の第1の実施形態による針遮蔽体除去器の拡大斜視図である。
【
図4】本開示の第1の実施形態による針遮蔽体除去器の平面透視図である。
【
図5】本開示の第1の実施形態による針遮蔽体除去器の別の拡大斜視図である。
【
図6】本開示の第1の実施形態によるキャップ及び針遮蔽体除去器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、キャップ120内に含まれた公知の針遮蔽体除去器10を示す。キャップ120及び針遮蔽体除去器10は、剛性を有する針遮蔽体又はRNS130上に配置され、剛性を有する針遮蔽体又はRNS130は、可撓性を有する針遮蔽体又はFNS140を覆っている。シリンジ160の針150が、FNS140内に埋め込まれている。シリンジ160は、薬剤送達デバイス(図示せず)、例えば自動注入器内に収納され得る。針遮蔽体除去器10は、キャップ120に取り付けられ、内側に突出する把持部材を備え、これら把持部材は、その遠位端によって又はRNS130の周面との係合によって、RNS130と係合し、このため、キャップ120の除去は、針150を露出させるために、RNS130及びFNS140をシリンジから離れるように引っ張る。
【0025】
本開示は、公知の針遮蔽体、例えば
図1に示される針遮蔽体に適用されるよう意図された針遮蔽体除去器に関する。本開示の針遮蔽体除去器は、
図2から
図6に関連してより詳細に説明される。
【0026】
図2は、本開示の第1の実施形態による針遮蔽体除去器10の斜視図を示す。
図3は、本開示の第1の実施形態による針遮蔽体除去器10の水平図を示す。以下の説明のために
図2及び
図3の双方を参照されたい。針遮蔽体除去器10は、近位端31及び遠位端32を有する、長手方向に細長いチューブ状の除去器本体30を備える。針遮蔽体除去器10は、いくつかの第1の遮蔽体把持部材40及び第2の遮蔽体把持部材45も含み、第1の遮蔽体把持部材40及び第2の遮蔽体把持部材45は、除去器本体30上に配置され、薬剤容器に取り付けられた送達部材(針など)を覆って保護するための薬剤容器(シリンジなど)上の針遮蔽体と接触するように構成されている。遮蔽体把持部材40,45は、弾性を有し、径方向内側にかつ近位端31に向かって延在している。針遮蔽体除去器10は、近位端31上に配置された複数のキャップ固定部材90及び切り欠き91も含み、複数のキャップ固定部材90及び切り欠き91は、針遮蔽体除去器10をキャップと連結させるように構成され、キャップは、その後、薬剤送達デバイスに連結される。針遮蔽体除去器10とキャップとの間の相互作用は、以下の説明において後にさらに説明される。
【0027】
第1の遮蔽体把持部材40及び第2の遮蔽体把持部材45のそれぞれは、第1の部分80及び第2の部分81を含む。第1の部分80は、除去器本体30から近位端31に向かって延在している。言い換えると、第1の部分80の一端は、除去器本体30に接続されるとともに、他端は、近位端31に向かって延在している。一方で、第2の部分81の一端は、第1の部分80に接続されるとともに、他端は、除去器本体30内に位置決めされた針遮蔽体と接触するために、近位端31に向かってかつ内側への双方で延在している。第1の部分80と第2の部分81との間の接続は、第2の部分81が第1の部分80に対して可撓性を有することを可能にする。同様に、第1の部分80と除去器本体30との間の接続は、第1の部分80が除去器本体30に対して可撓性を有することを可能にする。
【0028】
図2に示されるように、第1の遮蔽体把持部材40及び第2の遮蔽体把持部材45は、除去器本体30の長手方向においてかつ周面に沿っての双方で、互いに関してオフセットして配置されている。
図2に示されるように、第1の遮蔽体把持部材40は、第1の仮想線60に沿って延在するとともに、第2の遮蔽体把持部材45は、第2の仮想線65に沿って延在する。
図3に示されるように、第1の遮蔽体把持部材40は、第1の周囲66の周りで分配されるが、第2の遮蔽体把持部材45は、第2の周囲67の周りで分配される。従って、第1の遮蔽体把持部材40及び第2の遮蔽体把持部材45は、ジグザグ形態で除去器本体30上で分配されると言える。
【0029】
上述した形態は、針遮蔽体除去器10が、針遮蔽体のより大きな表面積をカバーするように遮蔽体把持部材40,45の把持力を分配することを可能にする。把持力を広げるために針遮蔽体の異なるセクションを把持することによって、遮蔽体把持部材40,45は、針遮蔽体に付与される全体的な把持力を向上させる。この形態は、針遮蔽体除去器10が、除去器本体30全体を占めるために過度な数の遮蔽体把持部材40,45を有する必要なく、又は組み立て中に針遮蔽体が針遮蔽体除去器10内に挿入されることを防止する可能性があるより大きな遮蔽体把持部材を有する必要なく、針遮蔽体上でより大きな全体的な把持力を有することを可能にする。
【0030】
ここで、針遮蔽体除去器10の平面透視図を示す
図4を参照されたい。示されるように、第1の遮蔽体把持部材40の第2の部分81は、鋭い端を有するように構成されているが、第2の遮蔽体把持部材45の第2の部分は、湾曲した端を有するように構成されている。第2の部分81の上記で言及した形状は、キャップが薬剤送達デバイスから離れるように引っ張られるときの除去中に第2の部分81が針遮蔽体内に深く食い込むことを可能にする縁部を作り出すように構成されている。本実施形態では、第1の遮蔽体把持部材40及び第2の遮蔽体把持部材45の第2の部分81は、異なる形状とされているが、それらは、異なる形状を有するように限定されない。他の実施形態では、第2の遮蔽体把持部材40,45の端は、実質的に同一の形状を有するように構成され得る。さらに、第2の部分も、針遮蔽体を把持するために必要とされる把持力に応じて、丸みを有する、角度をつけられているなどのように構成され得る。
【0031】
図5は、本開示の第1の実施形態による針遮蔽体除去器10の拡大斜視図を示す。本実施形態では、第1の遮蔽体把持部材40及び第2の遮蔽体把持部材45は、除去器本体30の周壁部から形成された、切り欠き又は舌部として構成されている。また、第1の遮蔽体把持部材40及び第2の遮蔽体把持部材45のそれぞれは、第1の部分80及び第2の部分81を含む。
図5に示されるように、針遮蔽体除去器10は、第2の部分81を収容する第1の開口部82を含み、第2の部分81が可撓性を有することを可能にする。従って、組み立て中に、第2の部分81は、針遮蔽体が除去器本体30に入るように、針遮蔽体によって押され、外側に曲げられ得る。さらに、針遮蔽体除去器10は、第1の部分80と除去器本体30との間に第2の開口部83を含む。本実施形態では、第2の開口部83は、第1の部分80が径方向において内側及び外側双方に可撓性を有することを可能にするリリーフカット部として作用する。従って、第2の開口部83は、針遮蔽体を除去器本体30内に挿入するために必要とされる組み立て力を低減させる可撓性を第1の部分80に提供する。
【0032】
ここで、針遮蔽体除去器10とキャップ120との間の連結に関する説明のために、
図2及び
図6を参照されたい。なお、キャップ120の半分は、例示を容易にするために透明とされている。
図2に示されるように、キャップ固定部材90及び切り欠き91は、除去器本体30の近位端31から径方向外側に延在している。組み立て中に、キャップ固定部材90は、キャップ120の第1の組み立て層121上に配置され、第1の組み立て層121は、キャップ固定部材90を捕捉し、-Z方向において針遮蔽体除去器10がキャップ120から離れるように移動することを防止する。一方で、キャップ120は、針遮蔽体除去器10の(
図2に示される)キャップ取り付け開口部100と連結されたキャップ取り付け部材110をさらに含む。キャップ取り付け部材110は、キャップ120の第2の組み立て層122上に位置するように構成されている。第2の組み立て層122は、キャップ取り付け部材110を捕捉し、Z方向において針遮蔽体除去器10がキャップ120に向かって移動することを防止する。まとめると、キャップ固定部材90及びキャップ取り付け部材110は、針遮蔽体除去器10をキャップ120と連結させるだけでなく、針遮蔽体除去器10がキャップ120に対して軸方向に移動することを防止する。
【0033】
さらに、針遮蔽体除去器10がキャップ120に対して軸方向に回転することを可能にされると、針遮蔽体除去器10の遮蔽体把持部材40,45は、次に針遮蔽体を回転させ、これが、針遮蔽体内で針を損傷させることを引き起こす可能性がある。従って、このような回転を防止するため又は少なくとも低減させるため、切り欠き91は、キャップ固定部材90がキャップ120の内面と接触するために鋭い縁部を有するように作り出される。このような形態では、回転力が針遮蔽体除去器10にかけられると、キャップ固定部材90の縁部は、キャップ120の内面と衝突し、これにより、このような回転力を相殺し、針遮蔽体除去器10が回転することを防止する。
図6では、複数のキャップ固定部材90が、針遮蔽体除去器10が回転することを防止するために、針遮蔽体除去器10の近位端31に形成されるが、キャップ固定部材は、この形態には限定されない。他の実施形態では、近位端31は、キャップ120の内面との接触を維持する他の適切な形状の延在部を有するように構成され得る。また、
図6のキャップ取り付け部材110は、キャップ120から独立している。しかしながら、他の実施形態では、キャップ取り付け部材110は、針遮蔽体除去器10の(
図2に示される)キャップ取り付け開口部100と連結するためのキャップ120の一体部分であり、針遮蔽体除去器10を安定して保つ。
【0034】
図では、さまざまな係合特徴が、薬物送達デバイスの1つ以上の構成要素の間の係合を提供するために示されている。係合特徴は、スナップロック、スナップフィット、形状嵌合、バヨネット、ルアーロック、ねじ山又はこれら設計の組み合わせなどのいかなる適切な接続機構であってもよい。他の設計が、同様に可能である。
【0035】
示された構成要素は、例としてのみ意図されることを理解されたい。他の例の実施形態では、より少ない構成要素、追加的な構成要素及び/又は代替的な構成要素が、同様に可能である。さらに、本開示の上記で説明されかつ示された実施形態は、非限定的な例とみなされ、それらは、特許請求の範囲の権利範囲内で修正され得ることを理解されたい。
【0036】
さまざまな態様及び実施形態が、本明細書で説明されたが、他の態様及び実施形態が、当業者には明らかである。本明細書で開示されたさまざまな態様及び実施形態は、例示のためのものであり、限定するよう意図されておらず、実際の権利範囲は、以下の特許請求の範囲と、このような特許請求の範囲が権利を与えられたものの等価物の全権利範囲と、により示される。本明細書で使用される技術は、特定の実施形態を説明するためのみであり、限定するよう意図されていないことも理解される。
【符号の説明】
【0037】
10 針遮蔽体除去器、30 除去器本体、31 近位端、32 遠位端、40 第1の遮蔽体把持部材、45 第2の遮蔽体把持部材、60 第1の線、65 第2の線、66 第1の周囲、67 第2の周囲、80 第1の部分、81 第2の部分、82 第2の開口部、83 第1の開口部、90 キャップ固定部材、91 切り欠き、100 キャップ取り付け開口部、110 除去器取り付け部材、120 キャップ、130,140 針遮蔽体