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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】太陽電池及び光起電力モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/0224 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
H01L31/04 262
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022044999
(22)【出願日】2022-03-22
(62)【分割の表示】P 2021169744の分割
【原出願日】2021-10-15
【審査請求日】2022-03-22
(31)【優先権主張番号】202110998210.4
(32)【優先日】2021-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521376620
【氏名又は名称】上海晶科緑能企業管理有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】519095522
【氏名又は名称】ジョジアン ジンコ ソーラー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲かん▼ 迎利
(72)【発明者】
【氏名】黄 世亮
(72)【発明者】
【氏名】郭 志球
(72)【発明者】
【氏名】▲かく▼ 国暉
(72)【発明者】
【氏名】曹 云成
【審査官】佐竹 政彦
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第211428184(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第112635586(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112701194(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112466990(CN,A)
【文献】特開2018-067547(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106229356(CN,A)
【文献】中国実用新案第209119121(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第110246912(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池であって、
基板、及び前記基板の少なくとも一つの面に位置するパッシベーション層と、前記基板の面に互いに交差して設置されたメイングリッド(1)とサブグリッド(2)と、前記基板の面に設置された溶接点(3)とを含み、
前記メイングリッド(1)とサブグリッド(2)が電気的に接続され、前記メイングリッド(1)の数は、10~15本であり、
ハーフセルの前記太陽電池において、前記溶接点(3)の数は、4~6個であり、前記溶接点(3)は、第1溶接点(31)及び第2溶接点(32)を含み、前記第1溶接点は、前記メイングリッド(1)の両端に位置し、前記第2溶接点(32)は、前記第1溶接点(31)の間に位置し、
前記基板は、N型半導体であり、前記サブグリッド(2)の幅は、20μm~40μmであり、且つ前記サブグリッド(2)の数は、80~100本であり、
あるいは、
前記基板は、P型半導体であり、前記サブグリッド(2)の幅は、20μm~45μmであり、且つ前記サブグリッド(2)の数は、100~150本である、ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記第1溶接点(31)の面積は、0.6mm~1.3mmであり、前記第2溶接点(32)の面積は、0.2mm~0.5mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記メイングリッド(1)及び/又はサブグリッド(2)の前記太陽電池の厚さ方向に沿ったサイズは、10μm以下であり、及び/又は、
前記第1溶接点(31)及び/又は前記第2溶接点(32)の前記太陽電池の厚さ方向に沿ったサイズは、8μm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記第1溶接点(31)及び/又は第2溶接点(32)の形状は、矩形、菱形、円形、楕円形のうちのいずれか一つまたはそれらの組み合わせを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記第1溶接点(31)の長さ及び幅は、それぞれ0.3mm~1.1mmである、ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記第2溶接点(32)の長さ及び幅は、それぞれ0.4mm~0.8mmである、ことを特徴とする請求項4に記載の太陽電池。
【請求項7】
前記第2溶接点(32)は、前記メイングリッド(1)に接触しかつ前記サブグリッド(2)に接触しない、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記基板は、N型半導体であり、前記メイングリッド(1)の幅は、20μm~45μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記基板は、P型半導体であり、前記メイングリッド(1)の幅は、40μm~60μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記メイングリッド(1)の数は、10~13本である、ことを特徴とする請求項に記載の太陽電池。
【請求項11】
光起電力モジュールであって、
前記光起電力モジュールは、表面から裏面まで順にガラス、第1接着フィルム材料、太陽電池ストリング、第2接着フィルム材料、バックシートであり、
前記太陽電池ストリングは、複数の太陽電池から構成され、前記太陽電池は、請求項1~10のいずれか一項に記載の太陽電池である、ことを特徴とする光起電力モジュール。
【請求項12】
前記太陽電池同士は、溶接ワイヤによって接続され、前記溶接ワイヤの直径は、0.25mm~0.32mmである、ことを特徴とする請求項11に記載の光起電力モジュール。
【請求項13】
前記第1接着フィルム材料及び/又は前記第2接着フィルム材料の重量は、300g/m~500g/mである、ことを特徴とする請求項11に記載の光起電力モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、太陽電池の技術分野に関し、特に太陽電池及び光起電力モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
技術の発展に伴い、光起電力モジュール等の太陽電池装置は、世界で既に従来のクリーンエネルギー供給装置となり、一般的に、光起電力モジュールは、複数の太陽電池ストリングで構成され、また、太陽電池ストリングは、複数の太陽電池が溶接ストリップによって接続され、溶接点は、太陽電池上の溶接点と溶接することによって電気的に接続する役割を果たす。しかしながら、太陽電池における溶接点が太陽電池の面を遮蔽することがあるため、太陽電池の吸収光線に影響を与え、さらに太陽電池の効率に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願は、太陽電池及び光起電力モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の実施形態は、太陽電池を提供し、前記太陽電池は、基板、及び前記基板の少なくとも一つの面に位置するパッシベーション層と、前記基板の面に互いに交差して設けられたメイングリッドとサブグリッドと、前記基板の面に設けられた溶接点と、を含み、
前記メイングリッドとサブグリッドが電気的に接続され、ここで、前記メイングリッドの数が10~15本であり、
前記溶接点の数が4~6個であり、前記溶接点が第1溶接点及び第2溶接点を含み、前記第1溶接点が前記メイングリッドの両端に位置し、前記第2溶接点が前記第1溶接点の間に位置し、前記第1溶接点の面積が0.6mm~1.3mmであり、前記第2溶接点の面積が0.2mm~0.5mmである。
【0005】
一つの可能な実施形態において、前記メイングリッド及び/又はサブグリッドの前記太陽電池の厚さ方向に沿ったサイズは、10μm以下であり、及び/又は、
前記第1溶接点及び/又は前記第2溶接点の前記太陽電池の厚さ方向に沿ったサイズは、8μm以下である。
【0006】
一つの可能な実施形態において、前記第1溶接点及び/又は第2溶接点の形状は、矩形、菱形、円形、楕円形のうちのいずれか一つまたはそれらの組み合わせを含む。
【0007】
一つの可能な実施形態において、前記第1溶接点の長さ及び幅は、それぞれ0.3mm~1.1mmである。
【0008】
一つの可能な実施形態において、前記第2溶接点の長さ及び幅は、それぞれ0.4mm~0.8mmである。
【0009】
一つの可能な実施形態において、前記第2溶接点は、前記メイングリッドと接触しかつ前記サブグリッドと接触しない。
【0010】
一つの可能な実施形態において、前記基板は、N型半導体である。
【0011】
一つの可能な実施形態において、前記メイングリッドの幅は、20μm~45μmである。
【0012】
一つの可能な実施形態において、前記サブグリッドの幅は、20μm~40μmであり、前記サブグリッドの数は、80~100本である。
【0013】
一つの可能な実施形態において、前記基板は、P型半導体である。
【0014】
一つの可能な実施形態において、前記メイングリッドの数は、10~13本である。
【0015】
一つの可能な実施形態において、前記メイングリッドの幅は、40μm~60μmである。
【0016】
一つの可能な実施形態において、前記サブグリッドの幅は、20μm~45μmであり、前記サブグリッドの数は、100~150本である。
【0017】
本願は、さらに光起電力モジュールを提供し、前記光起電力モジュールは、表面から裏面まで順にガラス、第1接着フィルム材料、太陽電池ストリング、第2接着フィルム材料、バックシートであり、ここで、前記太陽電池ストリングは、複数の太陽電池から構成され、前記太陽電池は、上記のいずれか一項に記載の太陽電池である。
【0018】
一つの可能な実施形態において、前記太陽電池同士は、溶接ワイヤによって接続され、前記溶接ワイヤの直径は、0.25mm~0.32mmである。
【0019】
一つの可能な実施形態において、前記第1接着フィルム材料及び/又は前記第2接着フィルム材料の重量は、300g/m~500g/mである。
【発明の効果】
【0020】
本願は、太陽電池及び光起電力モジュールに関し、太陽電池は、基板と、基板に位置するパッシベーション層と、基板の面に設けられたメイングリッド及びサブグリッドとを含み、メイングリッドとサブグリッドは、電気的に接続され、サブグリッドは、基板に電気的に接続され、ここで、メイングリッドの数は10~15本であり、太陽電池は、さらに基板の面に設けられた溶接点を含み、溶接点の数は4~6個であり、溶接点は第1溶接点及び第2溶接点を含み、第1溶接点はメイングリッドの両端に位置し、第2溶接点は第1溶接点の間に位置し、第1溶接点の面積は0.6mm~1.3mmであり、第2溶接点の面積は0.2mm~0.5mmである。このような設計によって、基板に対する遮蔽を減少させることができ、太陽電池が光線を吸収することに有利となるとともに、メイングリッドの数が増加し、単一のメイングリッドを通過する電流が小さくなるため、内部損失を減少させることに有利であり、溶接点の面積が小さくなり、銀ペーストの消費量を減少させることができ、コストを低減することに有利であり、より実際の使用需要に合致する。
【0021】
以上の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、単に例示的なものであり、本願を限定するものではないと理解されるべきである
【図面の簡単な説明】
【0022】
ここでの図面は、明細書に組み込まれて明細書の一部を構成し、本願に適した実施形態を示し、明細書とともに本願の原理を説明するために用いられる。
図1】本願の実施形態による太陽電池の構造概略図である。
図2図1におけるI位置の部分拡大図である。
図3】本願の実施形態による第1溶接点の構造概略図である。
図4】本願の実施形態による第2溶接点の実施形態の構造概略図である。
図5】本願の実施形態による第2溶接点の別の実施形態の構造概略図である。
図6】本願の実施形態による第2溶接点のさらに別の実施形態の構造概略図である。
図7】本願の実施形態による実施形態と従来技術の比較表である。
図8】本願の実施形態による銀ペーストの消費量とメイングリッドの数との関係概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本願の技術案をより良く理解するために、以下、図面を参照しながら本願の実施形態を詳細に説明する。
【0024】
なお、説明される実施形態は、本願の一部の実施形態だけであり、全ての実施形態ではないと理解されるべきである。本願における実施形態に基づいて、当業者が創造的な労力を要さずに得られる他の実施形態は、いずれも本願の保護範囲に含まれるべきである。
【0025】
本願の実施形態に使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のみに用いられるものであり、本願を限定することを意図するものではない。本願の実施形態及び添付された特許請求の範囲に使用される単数の形式の「一つ」、「前記」及び「該」は、文脈上別に解すべき場合を除き、複数の形式も含むこが理解されるべきである。
【0026】
理解すべきことは、本明細書で使用される用語「及び/又は」は、関連対象を説明する関連関係のみであり、3種類の関係が存在してもよいことを示し、例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在し、A及びBが同時に存在し、Bが単独で存在するという3種類の状況を示すことができる。また、本明細書における文字「/」は、一般的に、前後関連対象が「又は」の関係にあることを示す。
【0027】
本願の実施形態に記載された「上」、「下」、「左」、「右」等の方位語は、図面に示された角度で記載されるものであり、本願の実施形態を限定するものではないと理解されるべきである。また、コンテキストにおいて、一つの素子が他の素子の「上」又は「下」に接続されると言及する場合、それは他の素子の「上」又は「下」に直接接続できるだけでなく、中間素子を介して他の素子の「上」又は「下」に間接的に接続されてもよい。
【0028】
技術の発展に伴い、太陽電池は、既に人々がよく用いている太陽電池装置となり、太陽電池は、一般的に、N型太陽電池とP型太陽電池に分けることができる。エネルギーを純粋なシリコンに添加する場合(例えば熱の形式で)、それはいくつかの電子がその共有結合から離脱しかつ原子から離れることをもたらす。一つの電子が離れると、一つの正孔が残る。次に、これらの電子は結晶格子の周囲で遊走し、別の正孔を探して安定する。これらの電子は自由キャリアと呼ばれ、それらは電流を搬送することができる。純粋なシリコンとリン原子を混合し、少ないエネルギーだけでリン原子(最外層の5つの電子)のある「余分」の電子を逃がすことができ、リン原子を用いてドープする場合、得られたシリコンはN型と呼ばれ、太陽電池は一部だけがN型である。他の部分のシリコンにホウ素がドープされ、ホウ素の最外電子層は4つの電子ではなく3つだけであり、このようにしてP型シリコンを得ることができる。P型シリコンには自由電子はない。p型半導体材料上にリン元素を拡散してp/n型構造を形成する太陽電池は、すなわちP型シリコンウェハとなり、N型半導体材料上にホウ素元素を拡散してn/p型構造を形成する太陽電池は、すなわちN型シリコンウェハとなる。
【0029】
N型太陽電池は、N型シリコンウェハを含み、電子導電を採用し、P型太陽電池は、P型シリコンウェハを含み、正孔導電を採用する。一般的に、N型太陽電池の両側にそれぞれ銀ペーストが設けられる。一つの可能な実施形態において、N型太陽電池は、TOPC
on(Tunnel Oxide Passivated Contact、トンネル酸化物不動態化接触)電池であってもよく、TOPCon電池の基板はN型半導体であり、基板の裏側には順に超薄いトンネル酸化層、N型多結晶シリコン、裏面パッシベーション層及び金属電極が設けられ、他方側にはホウ素がドープされた拡散層及び金属電極が設けられる。
【0030】
P型太陽電池の両側のうちの一方側は銀ペーストを採用し、他方側はアルミニウムペースト及び銀ペーストを組み合わせて採用する。一つの可能な実施形態において、P型太陽電池はPERC(Passivated Emitter and Rear Cell、パッシベーションエミッタ及び局所裏面接触電池)電池であってもよく、PERC電池の基板はP型半導体であり、かつ基板の表側にはパッシベーション層及び銀電極が設けられ、他方側にはパッシベーション層、アルミニウム電極及び銀電極が設けられる。
【0031】
N型太陽電池は、耐用年数が長く、効率が高く、P型太陽電池は、プロセスが簡単であり、コストが低い。
【0032】
図1及び図2に示すように、本願は、太陽電池を提供し、太陽電池は、基板、及び基板の面に位置するパッシベーション層を含み、太陽電池は、PN接合を必要として光エネルギーから電気エネルギーへの変換を実現し、拡散方法によってPN接合を製造し、拡散層を形成することができ、パッシベーション層の製造は、太陽電池の光変換効率を増加させる作用を果たすことができる。太陽電池は、基板の面に互いに交差して設けられたメイングリッド1及びサブグリッド2をさらに含み、メイングリッド1とサブグリッド2は、電気的に接続され、サブグリッド2は、基板に電気的に接続され、基板に生成された電流を収集するために用いられ、メイングリッド1は、サブグリッド2の電流を収集するために用いられ、ここで、メイングリッド1の数は、10~15本であり、具体的には、10、11、12、13、14、15本であってもよく、太陽電池は、基板の面に設置された溶接点3をさらに含み、溶接点3の数は、4、5、6個であり、溶接点3は、第1溶接点31及び第2溶接点32を含み、第1溶接点31は、メイングリッド1の両端に位置し、第2溶接点32は、第1溶接点31の間に位置し、第1溶接点31の面積は、0.6~1.3mmであり、具体的には、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mm、1.2mm、1.3mmであってもよく、第2溶接点32の面積は、0.2~0.5mmであり、具体的には、0.2mm、0.25mm、0.3mm、0.35mm、0.4mm、0.45mm、0.5mmであってもよい。
【0033】
本願の実施形態による太陽電池は、サイズの範囲が160mm~170mmのセルに適用することができ、例えば、一般的に常用される161.75mm、163.75mm、166mmなどのセルに適用することができる。
【0034】
従来の技術案において、メイングリッド1の数は、一般的に5~9本であり、本願による実施形態において、メイングリッド1の数は、10~15本に設けられ、メイングリッド1の数を増加させることによって、メイングリッド1の間隔を減少させ、単一のメイングリッド1の電流伝送が担当する面積を減少させ、それによって単一のメイングリッド1を通過する電流を減少させる。一般的には、太陽電池の内部損失は主に動作時に生成された熱であり、公式Q=IRtによれば、回路において電流が減少するとき、抵抗が変化せずかつ動作時間が一定の条件の下で、生成された熱が減少し、すなわち内部損失が減少し、太陽電池全体の変換効率を向上させることに有利となる。ただし、上記公式では、Qは、動作時に生成された熱であり、すなわち内部主損失であり、Iは電流であり、Rは抵抗であり、tは動作時間である。
【0035】
一般的には、従来の160+型のセルは、ハーフセルであることが多く、7つ以上の溶接点が設けられ、本願実施形態のハーフセル太陽電池の溶接点3の数は、従来の解決手段に比べて、4~6個を設けるまで減少し、かつ第1溶接点31の面積は0.6mm~1.3mmに設けられ、第2溶接点32の面積は0.2mm~0.5mmであり、第1溶接点31はメイングリッド1の対向する両側に設けられてもよく、第2溶接点32は第1溶接点31の間に位置する。第1溶接点31は、メイングリッド1の対向する両端に位置し、メイングリッド1は、一般的に直線となるため、第1溶接点31の溶接が成功した場合には、メイングリッド1及び溶接ストリップの位置も相対的に固定される。
【0036】
本願による実施形態において、メイングリッド1の数を増加させ、単一のメイングリッド1が収集する必要がある電流が小さくなるため、各メイングリッド1の幅を減少させることができるとともに、溶接ワイヤの直径を減少させることができる。よって、溶接歩留まり及び必要な溶接引張力を確保しながら、必要な溶接点3の数及び面積も相対的に減少し、これによって銀ペーストの消費量を減少させることができ、コストの低減に有利である。
【0037】
本願の実施形態は、溶接点3の数及び面積を調整することによって、溶接点3の基板に対する遮蔽を低減することができ、基板が光線を吸収することに対する溶接点3の影響を低減することに有利であり、太陽電池の作動効率を向上させることに有利であり、それと同時に、溶接点3の面積が減少し、消費された銀ペーストも対応的に減少し、それによってコストを低減することに有利となる。
【0038】
溶接点3の形状を矩形、菱形、円形、楕円形等の形状に設けることによって、従来の正方形構造に比べて、これらの形状は、溶接点3の面積を減少させることができ、このような設計によって、基板に対する遮蔽を低減することができるだけでなく、銀ペーストの消費を減少させ、コストを低減することもできる。
【0039】
一つの可能な実施形態において、基板がN型半導体である太陽電池のメイングリッド1の幅は、20μm~45μmであり、例えば、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm等であってもよい。
【0040】
一つの可能な実施形態において、基板がP型半導体である太陽電池のメイングリッド1の数は、10、11、12、13本である。メイングリッド1の幅は、40μm~60μmであり、例えば、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm等であってもよい。
【0041】
メイングリッド1の幅を調整することによってメイングリッド1の数を増加させることは、メイングリッド1の基板に対する遮蔽を低減することに有利であり、それによって基板が光線を吸収することに有利であり、太陽電池の作動効率を向上させることに有利となる。
【0042】
メイングリッド1の幅を減少させると、単一のメイングリッド1の抵抗の増加を引き起こすが、電流の減少量に比べて、増加した抵抗の発熱量に対する影響が小さいため、太陽電池全体の発熱量は、依然として従来の解決手段に対して減少した。
【0043】
一つの可能な実施形態において、メイングリッド1及び/又はサブグリッド2の太陽電池の厚さ方向に沿ったサイズは、10μm以下であり、及び/又は、第1溶接点31及び/又は第2溶接点32の太陽電池の厚さ方向に沿ったサイズは、8μm以下である。
【0044】
従来の技術案に比べて、メイングリッド1及び/又はサブグリッド2の厚さを減少させ
て、メイングリッド1及び/又はサブグリッド2の体積を減少させ、及び/又は第1溶接点31及び第2溶接点32の太陽電池の厚さ方向に沿ったサイズを減少させて、溶接点3の体積を減少させ、それによって銀ペースト原料を減少させ、製造コストを低下させることができる。
【0045】
図3図6に示すように、一つの可能な実施形態において、第1溶接点31及び/又は第2溶接点32の形状は、矩形、菱形、円形、楕円形のうちのいずれか一つまたはそれらの組み合わせを含む。
【0046】
第1溶接点31及び/又は第2溶接点32の形状を設定することによって、接続強度を保証しつつ、面積を減少させ、遮蔽面積を減少させ、作動効率を向上させることができるとともに、銀ペーストの消費量を低下させ、製造コストを低下させることができる。
【0047】
一つの可能な実施形態において、第1溶接点31の長さ及び幅は、それぞれ0.3mm~1.1mmであり、例えば、0.3mm、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mm、0.9mm、1.0mm、1.1mmなどであってもよい。
【0048】
一つの可能な実施形態において、第2溶接点32の長さ及び幅は、それぞれ0.4mm~0.8mmであり、例えば、0.4mm、0.5mm、0.6mm、0.7mm、0.8mmなどであってもい。
【0049】
上記した長さ及び幅について、楕円形状の溶接点3に対応させる場合、長さ範囲は、楕円形状の長軸範囲に対応し、幅範囲は、楕円形状の幅範囲に対応する。
【0050】
本技術案では、第1溶接点31及び第2溶接点32の長さ及び幅を減少させ、十分な接続強度を有する前提のもとで溶接点3の面積を減少させ、銀ペーストの使用量を減少させ、製造コストを低下させ、かつ溶接点3の遮蔽面積を減少させ、太陽電池の作動効率を向上させることができる。
【0051】
一つの可能な実施形態において、第2溶接点32は、メイングリッド1と接触しかつサブグリッド2と接触しない。すなわち、第2溶接点32は、第1溶接点31と第2溶接点32との接続位置に設けられていない。
【0052】
このような設計によって、溶接に起因してメイングリッド1とサブグリッド2との間の接続位置にグリッド切れが発生して、太陽電池の正常な使用に影響を与える可能性を低減することができ、より実際の使用需要に合致する。
【0053】
一つの可能な実施形態において、基板がN型半導体である太陽電池のサブグリッド2の幅は、20μm~40μmであり、サブグリッド2の数は、80~100本であり、例えば、80本、90本、100本であってもよい。メイングリッド1の幅は、サブグリッド2の幅と一致してもよい。
【0054】
一つの可能な実施形態において、基板がP型半導体である太陽電池のサブグリッド2の幅は、20μm~45μmであり、サブグリッド2の数は、100本~150本であり、例えば、110本、120本、130本、140本、150本等であってもよい。
【0055】
一つの可能な実施形態において、P型太陽電池において、表面には109~123本のサブグリッド2が設けられてもよく、裏面には123~139本のサブグリッド2が設けられてもよい。P型太陽電池の表面には銀を用いて導電し、銀のコストが高いため、サブグリッド2の数を適切に減少させることが可能であり、裏面にはアルミニウム及び少量の
銀を用いて導電し、アルミニウムのコストが低いため、裏面にサブグリッド2の数を適切に増加させて、太陽電池の作動効率を向上させることが可能である。
【0056】
本願の実施形態による技術案は、サブグリッド2の数を減少させることによって、サブグリッド2の基板に対する遮蔽を低減することができ、基板が光線を吸収することに有利であり、太陽電池の作動効率を向上させることができる。
【0057】
従来の技術案に比べて、本願による技術案においてメイングリッド1の幅がより狭く、数が多く、溶接点3の数が少なく(溶接パッドの数が少ない)、かつ溶接点3の面積が小さいため、銀ペーストの消費量を低減することができ、コストの低減に有利である。
【0058】
本願は、光起電力モジュールを提供し、光起電力モジュールは、表面から裏面まで順にガラス、第1接着フィルム材料、太陽電池ストリング、第2接着フィルム材料、バックシートであり、また、太陽電池ストリングは、複数の太陽電池から構成され、太陽電池は、以上のいずれか一項に記載の太陽電池である。
【0059】
太陽電池の表面のガラスは、保護及び光透過の作用を有し、第1接着フィルム材料及び第2接着フィルム材料は、ガラス及び太陽電池ストリングを接着固定するために用いられ、太陽電池ストリングは、光エネルギーを電気エネルギーに変換するために用いられ、バックシートは、封止、絶縁及び防水の作用を有するものである。
【0060】
一つの可能な実施形態において、太陽電池同士は、溶接ワイヤによって接続され、溶接ワイヤの直径は、0.25mm~0.32mmであり、例えば、0.25mm、0.26mm、0.27mm、0.28mm、0.29mm、0.30mm、0.31mm、0.32mmなどであってもよい。
【0061】
従来の技術案に比べて、より細い溶接ワイヤを使用することによって、溶接ストリップの電池に対する遮蔽面積を減少させ、電池の作動効率を向上させることができる。
【0062】
一つの可能な実施形態において、溶接ワイヤに局所的な押し潰し処理を行うことによって、溶接ワイヤの溶接点3に対応する位置に扁平構造を形成することができ、このような設計によっては、溶接ワイヤと溶接点3とが接触する時に、溶接ワイヤと溶接点3の接触面積を大きくすることを容易にすることができる。別の可能な実施形態において、溶接ワイヤの第1溶接点31に対応する位置に扁平構造を形成し、このようにすることは、第1溶接点が主たる溶接を担うためである。
【0063】
一つの可能な実施形態において、第1接着フィルム材料及び/又は第2接着フィルム材料の重量は、300g/m~500g/mである。
【0064】
従来の技術案に比べて、本願による実施形態は、消費する銀ペーストが少なく、溶接ワイヤが細く、溶接ワイヤの高さが低く、溶接ワイヤが接着フィルム材料を突き破る可能性が低いため、坪量のより低い第1接着フィルム材料及び/又は第2接着フィルム材料、例えば、EVA又はPOEを選択することが可能となり、製造コストを低減することができる。
【0065】
なお、本願に例示されたデータは、本願の実施形態が提供するデータ範囲内に比較的好ましく及び常用されるデータのみであり、残りは列挙されないが、本願に提供されたデータ範囲内のデータであれば、対応する技術効果を達成することができる。
【0066】
試験によって、図7に示される表が得られ、そのうち、実施形態は、本願による技術案
であり、具体的には163電池で得た技術効果であり、比較例は、従来の一般的な技術案である。比較例1、比較例2及び実施形態1~実施形態5から分かるように、メイングリッド1の数が増加する場合、サブグリッド2の数が減少することができ、かつメイングリッド1の数が増加する場合、単一のメイングリッド1が収集する必要がある電流が減少するため、各メイングリッド1の幅を減少させることができるとともに、溶接ワイヤの直径を減少させることができ、したがって、溶接歩留まり及び必要な溶接引張力を確保しつつ、必要な溶接点3の数及び面積も相対的に減少し、コストを効果的に低減することができる。一般的には、溶接引張力の最小値が0.75Nよりも大きくすれば、プロセス要件を満たすことができ、表から分かるように、比較例1及び2に比べて、実施形態1~5は、銀ペーストの消費量を減少させ、コストを低減することができるとともに、依然として溶接引張力の要件を満たすこともでき、溶接歩留まりの変動が小さく、実際の使用要件を満たすことができる。それに、表中のデータからわかるように、比較例に比べて、実施形態は、コストを低減することができるとともに、電池効率及びモジュール効率を向上させることもでき、より実際の使用需要に合致する。
【0067】
実施形態2~4からわかるように、メイングリッド1とサブグリッド2の数が一定である場合、メイングリッド1の幅が小さいほど、溶接点の数が少なく面積が小さくなり、消費された銀ペーストが少なくなり、それと同時に、メイングリッド1の幅が小さくなるため、溶接ワイヤの直径も相対的に小さくなるので、消費された銀ペーストが少なくなる。
【0068】
実施形態4及び5から分かるように、溶接点3の面積が一定である場合、サブグリッド2の数を減少させても、メイングリッド1の数が増加するため、銀ペーストの消費量も増加する。そのため、サブグリッド2の数に比べて、メイングリッド1の数のほうが、銀ペースト消費量に対する影響がより大きい。
【0069】
本願の提供した上記技術案において、メイングリッド1の数の範囲は、10~15本であり、メイングリッド1の数が15を超える場合、実施形態1~5及び比較例3からわかるように、比較例3において、メイングリッド1の数が増加し、幅が減少し、溶接点面積が減少し、この時、サブグリッド2の数を減少させるが、メイングリッド1の数が多すぎるため、銀ペーストの消費量がかえって増加し、そして、溶接引張力がプロセス要件を満たすことができなくなり、さらに、電池効率及びモジュール効率が各実施形態に比べて明らかに低下し、実際に使用する時にコストパフォーマンスが低く、実際の製造及び使用需要に合致しない。
【0070】
図8に示すように、メイングリッド1の増加及びサブグリッド2の減少に伴い、銀ペーストの消費量の曲線は、逆放物線状を呈し、メイングリッド1の数が15を超える場合、サブグリッド2の減少による銀ペーストの低下はメイングリッド1の増加による銀ペーストの増加に比べて量が少なく、総合的に銀ペーストの消費量は明らかに増加し、コストを増加させるだけでなく、溶接歩留まり、電池効率及びモジュール効率にもある程度の低下が存在する。
【0071】
以上は本願の好ましい実施形態に過ぎず、本願を限定するものではなく、当業者にとって、本願は様々な修正及び変更を加えることができる。本願の精神及び原則内で、行われるいかなる修正、同等置換、改良等は、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0072】
1-メイングリッド
2-サブグリッド
3-溶接点
31-第1溶接点
32-第2溶接点
【要約】
【課題】本願は、太陽電池及び光起電力モジュールに関する。
【解決手段】太陽電池は、基板及び基板に位置するパッシベーション層と、基板の面に設けられたメイングリッド及びサブグリッドとを含み、メイングリッドとサブグリッドは電気的に接続され、サブグリッドは基板に電気的に接続され、メイングリッドの数は10~15本であり、太陽電池は基板の面に設けられた溶接点をさらに含み、溶接点の数は4~6個であり、溶接点は第1溶接点及び第2溶接点を含み、第1溶接点はメイングリッドの両端に位置し、第2溶接点は第1溶接点の間に位置し、第1溶接点の面積は0.6mm~1.3mmであり、第2溶接点の面積は0.2mm~0.5mmである。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8