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特許7137037印刷機によって少なくとも2つの印刷ジョブを印刷する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】印刷機によって少なくとも2つの印刷ジョブを印刷する方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 33/00 20060101AFI20220906BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20220906BHJP
【FI】
B41F33/00 238
B41J2/525
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022077383
(22)【出願日】2022-05-10
【審査請求日】2022-06-10
(31)【優先権主張番号】10 2021 112 243.0
(32)【優先日】2021-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390009232
【氏名又は名称】ハイデルベルガー ドルツクマシーネン アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Heidelberger Druckmaschinen AG
【住所又は居所原語表記】Kurfuersten-Anlage 52-60, D-69115 Heidelberg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ペトラ スヴォボダ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラウス プファイファー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ボルマン
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-167809(JP,A)
【文献】特開2008-230049(JP,A)
【文献】特表2013-510024(JP,A)
【文献】特開2013-186433(JP,A)
【文献】特開2000-103028(JP,A)
【文献】特開2001-301124(JP,A)
【文献】特開2007-230134(JP,A)
【文献】特開2014-135602(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 33/00
B41J 2/525
B41J 2/01-2/215
G03G 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷機によって少なくとも2つの印刷ジョブを印刷する方法であって、前記方法は、次のステップ、すなわち、a)印刷流体(F1,F2)および被印刷物(S1,S2)から成る第1組み合わせ(K1)と、あらかじめ設定されるICCプロファイル(ICC)と、前記印刷機の第1機械設定(M1)とを使用し、前記印刷機(1)によって第1印刷ジョブ(2)を印刷するステップ(a)、b)前記印刷流体および/または前記被印刷物の、印刷流体(F1,F2)および被印刷物(S1,S2)から成る第2組み合わせ(K2)への交換(W)を行って、第2印刷ジョブ(3)の印刷を準備するステップ(b)、およびc)印刷流体および被印刷物から成る前記第2組み合わせ(K2)を使用し、前記印刷機(1)によって前記第2印刷ジョブ(3)を印刷するステップ(c)を有する、方法において、
ステップb)がさらに、b1)印刷流体および被印刷物から成る前記第2組み合わせ(K2)と、あらかじめ設定される前記ICCプロファイル(ICC)と、前記第1機械設定(M1)とを使用し、前記印刷機(1)によって、複数のテストフィールド(5,11)を有するテスト印刷(4)を印刷するサブステップ(b1)、b2)検出のための装置(6)を使用して、前記テスト印刷のすべての前記テストフィールド、または少なくとも1つの選択された前記テストフィールドを検出するサブステップ(b2)、b3)検出した前記テストフィールドから品質値(GW)を計算技術的に特定して記憶するサブステップ(b3)、b4)機械設定についての少なくとも1つの設定値(EW)を計算技術的に特定して記憶するサブステップ(b4)、およびb5)前記設定値(EW)を使用して、前記第1機械設定(M1)から第2機械設定(M2)に前記印刷機の設定を選択的に変更するサブステップ(b5)か、または前記印刷機の前記第1機械設定(M1)を選択的に維持するサブステップ(b5)を有し、前記選択を前記品質値(GW)に依存して行い、ステップc)がさらに、印刷流体および被印刷物から成る前記第2組み合わせ(K2)と、あらかじめ設定される前記ICCプロファイル(ICC)と、(ステップb)による選択(W)に応じて)前記第1機械設定(M1)または前記第2機械設定(M2)を使用し、前記第2印刷ジョブ(3)を印刷するサブステップを有する、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1印刷流体(F1)が、第1印刷インキまたは第1印刷インキセットであり、前記第2印刷流体(F2)が、第2印刷インキまたは第2印刷インキセットである、ことを特徴とする、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第2機械設定(M2)が、前記印刷インキの量、または前記印刷インキセットの少なくとも1つの印刷インキの量の、前記第1機械設定(M1)に対する変更を含んでおり、前記変更の際に前記設定値(EW)を使用する、ことを特徴とする、請求項2記載の方法。
【請求項4】
サブステップb5)がさらに、b5a)第2の版(8)または第2の版セット(8)を作製するサブステップ(b5a)を有する、ことを特徴とする、請求項記載の方法。
【請求項5】
前記第2の版(8)または前記第2の版セット(8)を作製し、これにより、前記印刷インキの変更された量が前記被印刷物(S1,S2)に転写されるようにする、ことを特徴とする、請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記作製には、前記設定値(EW)、または前記設定値(EW)に対応する値、または前記設定値(EW)から計算される値を使用して露光することが含まれる、ことを特徴とする、請求項5記載の方法。
【請求項7】
ステップc)では、前記第2の版(8)または前記第2の版セット(8)を使用する、ことを特徴とする、請求項4から6までのいずれか1記載の方法。
【請求項8】
前記第1印刷流体(F1)が、第1インクまたは第1インクセットであり、前記第2印刷流体(F2)が、第2インクまたは第2インクセットである、ことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項9】
前記第2機械設定(M2)が、前記インクの量、または前記インクセットの少なくとも1つのインクの量の、前記第1機械設定(M1)に対する変更を含んでおり、前記変更の際に前記設定値(EW)を使用する、ことを特徴とする、請求項8記載の方法。
【請求項10】
サブステップb5)がさらに、b5b)前記印刷機(1)の印刷ヘッド(10)の較正を変更するサブステップ(b5b)を有する、ことを特徴とする、請求項9記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明
本発明は、請求項1の上位概念の特徴的構成を有する、印刷機によって少なくとも2つの印刷ジョブを印刷する方法に関する。
【0002】
技術分野
本発明は、グラフィック産業の技術分野に関し、この技術分野において特に、印刷ジョブ間で印刷機、特に版を有する印刷機または印刷ヘッドを有する印刷機を設定または較正する領域に関しており、機械設定の変更は、例えば、印刷流体および/または被印刷物を交換する際に行われる。
【0003】
従来技術
従来技術では、ICCプロファイルおよびその使用が公知である。ICCプロファイルは、規格化されたデータセットであり、このデータセットは、色入力装置または色再生装置、例えば印刷機の色空間を記述し、色空間変換の際に使用可能である。ICCプロファイルは、例えば、印刷対象の原稿から出発して印刷ジョブが実行されるかもしくはその際に結果として印刷製品が生成されて、結果と原稿とが(少なくともその際に有効な品質規定に対応して)一致するようにするために、印刷機のカラーマネージメントシステムの枠内で使用可能である。
【0004】
独国特許発明第10223479号明細書には、装置に依存しない色値に基づいて印刷機を色制御する方法、すなわち、制御要素を用いて印刷機を色制御する方法が開示されている。ここでは、プリプレスから印刷機の計算装置に印刷パラメータを伝送し、プリプレスの印刷パラメータから出発して、制御要素の設定パラメータを計算し、制御要素用に機械制御部の設定パラメータを供給する方法において、プリプレスの伝送される印刷パラメータは、印刷機に依存する目標色調値を含み、それぞれの目標色調値について、印刷機に対応付けられる少なくとも1つのICCカラープロファイルを使用して、印刷インキの所属の目標色値を特定する。この際に特に印刷品質が判定可能である。
【0005】
従来技術では、印刷流体および/または被印刷物を交換する際には一般に、印刷機の較正が、例えば印刷品質設定、例えばドットゲインまたはグレーバランスなどにしたがって行われる。この際に印刷機は、例えば、個別の色網点またはグレーフィールドのいずれかが、あらかじめ設定される値に相当するように較正される。較正は、例えば、あらかじめ設定される判定基準、例えばドットゲインに、テスト印刷の個々の測定フィールドを適合させるという課題を有する。しかしながら、満足の行く結果がつねに得られるわけではない。
【0006】
技術的な課題
したがって本発明の課題は、特に、質的に満足の行く印刷結果が得られるように、印刷ジョブ間の印刷機械の設定(または較正)(機械設定の変更は、例えば、印刷流体および/または被印刷物の交換の際に行われる)ができるようにする、従来技術に対する改善を行うことである。
【0007】
本発明による課題の解決
この課題は、本発明により、請求項1に記載された方法によって解決される。
【0008】
本発明の有利な、したがって好ましい発展形態は、従属請求項から、ならびに以下の説明および図面から得られる。
【0009】
印刷機によって少なくとも2つの印刷ジョブを印刷する本発明による方法は、次のステップ、すなわち、a)印刷流体および被印刷物から成る第1組み合わせと、あらかじめ設定されるICCプロファイルと、印刷機の第1機械設定とを使用し、印刷機によって第1印刷ジョブを印刷するステップ、b)印刷流体および/または被印刷物の、印刷流体および被印刷物から成る第2組み合わせへの交換を行って、第2印刷ジョブの印刷を準備するステップ、およびc)印刷流体および被印刷物から成る第2組み合わせを使用し、印刷機によって第2印刷ジョブを印刷するステップを有し、上記の方法は、ステップb)がさらに、b1)印刷流体および被印刷物から成る第2組み合わせと、あらかじめ設定されるICCプロファイルと、第1機械設定とを使用し、印刷機によって、複数のテストフィールドを有するテスト印刷を印刷するサブステップ、b2)検出のための装置を使用して、テスト印刷のすべてのテストフィールド、または少なくとも1つの選択されたテストフィールドを検出するサブステップ、b3)検出したテストフィールドから品質値を計算技術的に特定して記憶するサブステップ、b4)機械設定についての少なくとも1つの設定値を計算技術的に特定して記憶するサブステップ、およびb5)設定値を使用して、第1機械設定から第2機械設定に印刷機の設定を選択的に変更するサブステップか、または印刷機の第1機械設定を選択的に維持するサブステップを有し、この選択を品質値に依存して行い、ステップc)がさらに、印刷流体および被印刷物から成る第2組み合わせと、あらかじめ設定されるICCプロファイルと、(ステップb)による選択に応じて)第1機械設定または第2機械設定を使用し、第2印刷ジョブを印刷するサブステップを有する、という特徴を有する。
【0010】
本発明の有利な実施形態および効果
本発明によって有利に可能になるのは、質的に満足の行く印刷結果が得られるように、印刷ジョブ間の印刷機械の設定(または較正)(機械設定の変更は、例えば印刷流体および/または被印刷物の交換の際に行われる)を行うことである。
【0011】
従来技術とは異なり、印刷システム、特に印刷機の設定(または較正)、すなわち機械設定は、印刷流体および/または被印刷物の交換の際に、印刷品質設定値、例えばドットゲインまたはグレーバランスにしたがって行われるのではなく、ICCプロファイル(またはあらかじめ設定されるICCプロファイルまたは選択されるICCプロファイル)が、実質的に変更されずに使用できるように行われる。したがって設定または較正は、従来技術とは対照的に、あらかじめ設定される判定基準、例えば、ドットゲインにテスト印刷の個々の測定フィールドを適合させるという課題ではなく、例えば、印刷と設定値との間の色偏差を、ICCプロファイルによって最小化することにより、特定のICCプロファイルに印刷機もしくはその機械設定を適合させるという課題を有する。時間的なコストおよび作業上のコストを要するICCプロファイルの変更は、本発明によって有利に回避される。同様に、例えば、第2印刷ジョブ用の被印刷物が印刷の直前になってはじめて準備される場合に、短時間では実行できないICCプロファイルの変更も回避される。
【0012】
被印刷物は、紙、厚紙、シート(プラスチックもしくは金属)またはラベル材料であってよい。被印刷物は、枚葉紙状またはウェブ状であってよい。
【0013】
印刷流体は、印刷インキ、例えば、オフセット印刷インキ、またはトナーもしくはインク、例えば、UV硬化可能インクであってよい。
【0014】
印刷流体の交換は、印刷流体それ自体が交換されることによって、かつ/または印刷流体が被印刷物に印刷される網点が交換されることによって行われてよい。
【0015】
ICCプロファイルは、従来のICCプロファイル、特に印刷機、例えばオフセット印刷機またはトナー印刷機またはインク印刷機用のICCプロファイルであってよい。
【0016】
第1機械設定および/または第2機械設定はそれぞれ、印刷機用の1つの設定または設定セット、例えば転写すべきインキ量またはインク量であってよい。相応のことが設定値にも当てはまる。
【0017】
印刷流体および被印刷物から成る第1組み合わせから、印刷流体および被印刷物から成る第2組み合わせへの、印刷流体および/または被印刷物の交換は、例えばデジタル計算機によって制御されて、自動的に行われてよい。択一的には交換は、手動で行われてよい。
【0018】
あらかじめ設定されるICCプロファイルおよび第1機械設定は、印刷流体および被印刷物から成る組み合わせを交換する際に実質的に変更されずそのままである、すなわち、印刷流体の交換および/または被印刷物の交換に起因することのない、ICCプロファイルおよび/または第1機械設定の生じ得る変更は、(この関連において重要でないため)考慮されずそのままである。
【0019】
品質値は好ましくは、以下であってよい。すなわち、テスト印刷の検出されるn個のテストフィールドの、その目標値からのすべての色偏差の和、すなわち例えばSumme(dE(i))であってよく、ただしnは、検出されるテストフィールドの個数、dE(i)は、i番目のテストフィールドの、その目標値からの色偏差である。目標値は好ましくは、あらかじめ設定される。
【0020】
品質値は好ましくは、択一的に以下であってよい。すなわち、テスト印刷の検出されるn個のテストフィールドの、平均の色偏差または重み付き平均値、つまり、例えば1/n×Summe(dE(i))または1/Summe(Gewicht(i))×Summe(dE(i)×Gewicht(i))であってよく、ただしnは、検出されるテストフィールドの個数、dE(i)は、i番目のテストフィールドの、その目標値からの色偏差、Gewicht(i)は、i番目のテストフィールドについての重み付け係数である。目標値および重み付け係数は好ましくは、あらかじめ設定される。
【0021】
別の選択肢は、テスト印刷の検出されるn個のテストフィールドから結果的に得られる変化を直接に(重み付けを行ってまたは重み付けなしに)平均化することである。
【0022】
サブステップb5)は、別の選択肢として、例えば、第2印刷ジョブにおいて達成可能な結果(印刷製品および/または印刷画像)が品質的に受け入れられないような場合に、アラートを出力することを含んでいてよい。この場合に別の手順、すなわちM1またはM2の選択、またはM2によるM2の置き換えは、ユーザによって決定されてよく、品質を保証する、機械設定の別の変更が行われる。
【0023】
ただ1回のテスト印刷の代わりに複数のテスト印刷を行ってもよい。
【0024】
本発明の発展形態
以下では、本発明の好ましい発展形態(略して発展形態)を説明する。
【0025】
1つの発展形態は、第1印刷ジョブと第2印刷ジョブとが互いに同じであることによって特徴付けられてよい。1つの発展形態は、第1印刷ジョブと第2印刷ジョブとが互いに異なることによって特徴付けられてよい。本発明において「印刷ジョブ」とは、印刷対象の印刷画像またはそのデータのことを意味する。同じ印刷ジョブにおいても、印刷流体および/または被印刷物が変更されてもよい、すなわちこれらは変わってもよい。
【0026】
1つの発展形態は、第1印刷流体が、第1印刷インキまたは第1印刷インキセットであり、第2印刷流体が、第2印刷インキまたは第2印刷インキセットであることによって特徴付けられてよい。印刷インキは好ましくは、オフセット印刷インキであってよい。印刷インキセットは、プロセスカラーCMYK(シアン、マゼンタ、黄、黒)および場合によってはスペシャルカラーを含んでいてよい。
【0027】
1つの発展形態は、第1印刷インキと第2印刷インキとが互いに同じであるか、または第1印刷インキセットと第2印刷インキセットとが互いに同じであることによって特徴付けられてよい。1つの発展形態は、第1印刷インキと第2印刷インキとが互いに異なるか、または第1印刷インキセットと第2印刷インキセットとが互いに異なることによって特徴付けられてよい。例えば、異なるメーカーの印刷インキセットが使用可能である。
【0028】
1つの発展形態は、第2機械設定が、印刷インキの量、または印刷インキセットの少なくとも1つの印刷インキの量の、第1機械設定に対する変更を含んでおり、変更の際に設定値を使用する、ことによって特徴付けられてよい。
【0029】
1つの発展形態は、ステップa)では、第1の版または第1の版セットを使用することによって特徴付けられてよい。第1の版または第1の版セットは、露光器によって作製可能である。この作製は、ステップaの前に行われてよい。版は、印刷版、例えばオフセット印刷版であってよい。
【0030】
1つの発展形態は、サブステップb5)がさらに、b5a)第2の版または第2の版セットを作製するサブステップを有することによって特徴付けられてよい。1つの発展形態は、第2の版または第2の版セットを作製し、これにより、印刷インキの変更された量が被印刷物に転写されるようにすることによって特徴付けられてよい。1つの発展形態は、上記の作製には、設定値、またはこれに対応する値、または設定値から計算される値を使用して露光することが含まれることによって特徴付けられてよい。1つの発展形態は、ステップc)では、第2の版または第2の版セットを使用することによって特徴付けられてよい。したがって設定(または較正、特にシングルチャネル較正)の枠内では好ましくは、(第1の版/第1の版セットと比較して)別の版または別の版セットを生成し、引き続いて使用し、この版/この版セットにより別のインキ量を転写する。しかしながらICCプロファイルは実質的に変更されずそのままである。版は、印刷版、例えばオフセット印刷版であってよい。
【0031】
1つの発展形態は、第1印刷流体が、第1インクまたは第1インクセットであり、第2印刷流体が、第2インクまたは第2インクセットであることによって特徴付けられてよい。インクは好ましくは、UV硬化可能なインクであってよい。インクセットは、プロセスカラーCMYK(シアン、マゼンタ、黄、黒)および場合によってはスペシャルカラーを含んでいてよい。
【0032】
1つの発展形態は、第1インクと第2インクとが互いに同じであるか、または第1インクセットと第2インクセットとが互いに同じであることによって特徴付けられてよい。1つの発展形態は、第1インクと第2インクとが互いに異なるか、または第1インクセットと第2インクセットとが互いに異なることによって特徴付けられてよい。例えば、異なるメーカーのインクセットが使用可能である。
【0033】
1つの発展形態は、第2機械設定が、インクの量、またはインクセットの少なくとも1つのインクの量の、第1機械設定に対する変更を含んでおり、変更の際に設定値を使用することによって特徴付けられてよい。
【0034】
1つの発展形態は、サブステップb5)がさらに、b5b)印刷機の印刷ヘッドの較正を変更するステップを有することによって特徴付けられてよい。較正は、較正特性曲線を介して行うことができる。したがって設定(または較正、特にシングルチャネル較正)の枠内では好ましくは、印刷ヘッド用の別の較正特性曲線を生成し、引き続いて使用し、この別の較正特性曲線によって別のインキ量を転写することができる。しかしながらICCプロファイルは実質的に変更されずそのままである。それぞれの印刷ヘッドについて、固有の特性曲線が生成可能である。
【0035】
1つの発展形態は、テスト印刷がメディアウェッジを含むことによって特徴付けられてよい。メディアウェッジは、テストフィールド、少なくとも1つの選択されたテストフィールドを形成するか、またはテストフィールドに加えて設けられていてよい。1つの発展形態は、メディアウェッジが、Fograメディアウェッジであることによって特徴付けられてよい。
【0036】
1つの発展形態は、印刷機の設定の変更が、自動的に、例えばデジタル計算機によって行われることによって特徴付けられてよい。1つの発展形態は、印刷機の設定の変更が、手動で行われることによって特徴付けられてよい。
【0037】
1つの発展形態は、検出のための装置がカメラであることによって特徴付けられてよい。1つの発展形態は、検出のための装置が分光器であることによって特徴付けられてよい。
【0038】
1つの発展形態は、品質値を計算技術的に特定して記憶する際にデジタル計算機を使用することによって特徴付けられてよい。1つの発展形態は、設定値を計算技術的に特定して記憶する際にデジタル計算機を使用することによって特徴付けられてよい。
【0039】
技術分野、本発明および発展形態の上記の段落において、また実施例の以下の段落において開示される特徴的構成および特徴的構成の組み合わせは、(互いに任意の組み合わせにおいて)本発明の別の有利な発展形態である。
【0040】
本発明の実施例および図面
図1図4には、本発明および発展形態の好ましい実施例が示されている。互いに対応する特徴的構成には複数の図において同じ参照符号が付されている。複数の図において繰り返される参照符号は、わかり易くするため、部分的に省略されている。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】印刷機によって少なくとも2つの印刷ジョブを印刷する、本発明による方法の好ましい実施例の方法ステップa~cを示す図である。
図2】印刷機によって少なくとも2つの印刷ジョブを印刷する、本発明による方法の好ましい実施例の方法サブステップb1~b5を、また選択的に方法サブステップb5aまたはb5bまでを示す図である。
図3】本発明による方法の好ましい実施例を実施するための装置が示されている。
図4】いわゆるa-b平面においてカラーグラデーションを線図13として示す線図である。
【0042】
図1および図2にはそれぞれ、印刷機によって少なくとも2つの印刷ジョブを印刷する、本発明による方法の好ましい実施例の詳細が示されている。図1には、方法ステップa~cが、また図2には方法サブステップb1~b5および選択的に方法サブステップb5aまたはb5bまでが示されている。
【0043】
ステップa)は、印刷流体および被印刷物から成る第1組み合わせK1と、あらかじめ設定されるICCプロファイルICCと、印刷機の第1機械設定M1とを使用し、印刷機1(図3を参照されたい)によって第1印刷ジョブ2を印刷するステップaである。印刷流体は、例えば、第1印刷流体F1である。被印刷物は、図示された実施例において第1被印刷物S1、例えば紙である。図示された実施例において設定は、K1(もしくはF1およびS1)、ICCおよびM1である。組み合わせK1は、網点も含んでいてよい。
【0044】
ステップb)は、印刷流体および/または被印刷物(および/または網点)の、印刷流体および被印刷物(および/または網点)から成る第2組み合わせK2への交換Wを行って、第2印刷ジョブ3の印刷を準備するステップbである。印刷流体は、図示された実施例において、第1印刷流体F1のままであり、被印刷物は、第2被印刷物S2、例えば別の紙に交換される。択一的には、例えば、S1を変更せずにF1をF2に、またはS1をS2に変更してF1をF2にする別の交換を行ってよい。交換Wについては、2つの印刷流体または2つの被印刷物だけでなくより多くの、一般にn個の相異なる印刷流体およびm個の相異なる被印刷物(ただしn>1かつm>1)が設けられていてもよい。
【0045】
ステップbには、サブステップb1~b5が含まれており、また選択的にはサブステップb5aまたはb5bまでが含まれている。
【0046】
サブステップb1)は、印刷流体および被印刷物から成る第2組み合わせK2と、あらかじめ設定されるICCプロファイルと、第1機械設定M1とを使用し、印刷機1によって、複数のテストフィールド5を有するテスト印刷4を印刷するサブステップb1である。テスト印刷4は、メディアウェッジ11、例えばFograメディアウェッジを含んでいてよい。
【0047】
サブステップb2)は、検出のための装置6、例えばカメラまたは分光器を使用して、テスト印刷4のすべてのテストフィールド5(および/またはメディアウェッジ11)、または少なくとも1つの選択されたテストフィールド5(および/またはメディアウェッジ11)を検出するサブステップb2である。検出された結果、例えばカメラ画像は好ましくは、デジタル計算機7に伝送される。
【0048】
サブステップb3)は、検出したテストフィールド5(および/またはメディアウェッジ11)から品質値GWを計算技術的に特定して記憶するサブステップb3である。ここではデジタル計算機7(または択一的には別のデジタル計算機)が使用可能である。
【0049】
サブステップb4)は、機械設定についての少なくとも1つの設定値EWを、図示された実施例では第2機械設定M2(サブステップb5を参照されたい)についての少なくとも1つの設定値EWを計算技術的に特定して記憶するサブステップb4である。ここではデジタル計算機7(または択一的には上記の別のデジタル計算機/さらに別のデジタル計算機)が使用可能である。
【0050】
サブステップb5)は、設定値EWを使用して、第1機械設定M1から第2機械設定M2に印刷機1の設定を選択的に変更するサブステップb5か、または印刷機1の第1機械設定M1を選択的に維持するサブステップb5であり、この選択は品質値GWに依存して行われる。ここではデジタル計算機7(または択一的には上記の別のデジタル計算機/さらに別のデジタル計算機)が使用可能である。図示された実施例では、品質値GWに依存して機械設定がM1からM2に変更される。ここでは、変更について2つの機械設定だけでなくより多くの、一般にk個の相異なる機械設定(ただしk>1)が設けられていてもよい。例えば、品質値があらかじめ設定される境界値を上回る場合に変更を行うことができる。
【0051】
第2機械設定M2は、印刷インキの量、または印刷インキセットの少なくとも1つの印刷インキの量の、第1機械設定M1に対する変更を含んでいてよく、変更の際に設定値EWを使用する。設定値は、例えば、変更の値(すなわち相対値)または新たに設定される値(すなわち絶対値)であってよい。
【0052】
選択的なサブステップb5a(版を有する印刷機、例えばオフセット印刷の場合)は、第2の版8または第2の版セット8を作製するサブステップである。ここでは、第2の版または第2の版セットを作製して、これにより、印刷インキの変更された量が被印刷物に転写されるようにしてよい。作製には、設定値EW、または設定値EWに対応する値を使用して、露光器9によって露光することが含まれていてよい。
【0053】
選択的なサブステップb5b(印刷ヘッドを有する印刷機、例えばインクジェット印刷の場合)は、印刷機1の印刷ヘッド10の較正を変更するサブステップである。
【0054】
ステップc)は、印刷流体および被印刷物から成る第2組み合わせK2と、あらかじめ設定されるICCプロファイルICCと、(ステップb)による選択に応じて)第1機械設定M1または第2機械設定M2を使用し、印刷機1によって第2印刷ジョブ3を印刷するステップcである。図示された実施例において設定は、K2(もしくはF1およびS2)、ICCおよびM2である。組み合わせK2はまた、網点、特に変更された網点を含んでいてもよい。
【0055】
図3には、本発明による方法の好ましい実施例を実施するための装置が示されている。ここでは、印刷機1が使用され、すなわち、(好ましくは露光器9によって露光される)版8を有する印刷機(この図において下に示されている、例えばオフセット印刷機)か、または印刷ヘッド10を有する印刷機(図において上に示されている、例えばインク印刷機)が使用される。印刷機1の制御は、上記のデジタル計算機7または別のデジタル計算機7によって行われる。印刷機により、被印刷物12が搬送されて(図示された矢印を参照されたい)処理され、図示された実施例では、枚葉紙状の被印刷物がスタックから、択一的にはウェブ状の被印刷物がロールから搬送されて処理される。
【0056】
図4にはカラーグラデーションが、いわゆるa-b平面において線図13として示されている。以下の色もしくは線図におけるそれらのおおよその位置が例示的に示されており、すなわちシアンは14、マゼンタは15、青は16、黄は17、緑は18、橙は19である。
【0057】
さらに線図13には、特定の色についての曲線20~25が示されている。それぞれの色の層厚は、所属の曲線に沿って中心から外側に向かって増大している。ここでは以下の曲線が示されている。すなわちシアンの曲線20、シアンの曲線21、青の曲線22、青の曲線23、黄の曲線24および黄の曲線25が示されている。ここで、「」がないことはそれぞれ、これらの曲線20,22および24が第1印刷ジョブに該当し、「」がついていることは、これらの曲線21,23および25が第2印刷ジョブに該当することを意味する。曲線21,23および25は好ましくは、評価されたテスト印刷、すなわち例えばテストフィールドおよび/またはメディアウェッジを使用して生成可能である。
【0058】
以下は1つの実施例である。シアン純色について最適な色目標値を見つけるために、シアンの曲線20上のシアン純色についての色目標値に最も近い(最小の間隔DeltaE)位置をシアンの曲線21上で見つけて、次にこれを選択する。間隔DeltaEを特定するための1つの定義は、あらかじめ設定可能である(例えば、このための公知の数学的な方法)。相応のことは、青および黄および場合によってスペシャルカラーにも当てはまる。
【0059】
ここでは、ICCプロファイルの目標値設定にしたがって制御を行うことができる。ここでは択一的に、モデルベースで複数の目標値を被印刷物に適合させて、これらの目標値にしたがって制御することができる。
【0060】
以下は、(例えばFograメディアウェッジに基づく)設定/較正の例示的な決定である。すなわち、
-個別の色網点および/また多色網点の測定、
-それぞれの測定フィールドおよびそれぞれの色について(版を使用する際の)最適「版・特性曲線」もしくは(印刷ヘッドを使用する際の)最適「較正特性曲線」の計算、
-例えば、以下のアルゴリズム、すなわち、
-色毎の較正の平均値、
-色毎の重み付き平均値
-残存している色偏差DeltaEの最小化、
のうちの1つによる最適化。
【符号の説明】
【0061】
1 印刷機
2 第1印刷ジョブ
3 第2印刷ジョブ
4 テスト印刷
5 複数のテストフィールド
6 検出のための装置、特にカメラまたは分光器
7 デジタル計算機
8 版
9 露光器
10 印刷ヘッド
11 メディアウェッジ
12 被印刷物
13 線図「a-b平面におけるカラーグラデーション」
14 シアン
15 マゼンタ
16 青
17 黄
18 緑
19 橙
20 「シアン 旧」曲線
21 「シアン 新」曲線
22 「青 旧」曲線
23 「青 新」曲線
24 「黄 旧」曲線
25 「黄 新」曲線
F1 第1印刷流体、特に印刷インキまたはインク
F2 第2印刷流体、特に印刷インキまたはインク
S1 第1被印刷物、特に枚葉紙
S2 第2被印刷物、特に枚葉紙
K1 印刷流体および被印刷物から成る第1組み合わせ
W 印刷流体および/または被印刷物の交換
K2 印刷流体および被印刷物から成る第2組み合わせ
ICC あらかじめ設定されるICCプロファイル
M1 第1機械設定
M2 第2機械設定
GW 品質値
EW 設定値
a 第1印刷ジョブの印刷
b 第2印刷ジョブの印刷の準備
b1 テスト印刷の印刷
b2 すべてのテストフィールドまたは少なくとも1つの選択されたテストフィールドの検出
b3 品質値の計算技術的な特定および記憶
b4 少なくとも1つの設定値の計算技術的な特定および記憶
b5 印刷機の設定の選択的な変更または維持
b5a 第2の版または第2の版セットの作製
b5b 印刷ヘッドの較正の変更
c 第2印刷ジョブの印刷
【要約】      (修正有)
【課題】印刷ジョブ間の印刷機械の設定を行う。
【解決手段】a)印刷流体および被印刷物から成る第1組み合わせと、予め設定されるICCプロファイルと、第1機械設定とを使用し、第1印刷ジョブを印刷するステップ、b)印刷流体および/または被印刷物の印刷流体および被印刷物から成る第2組み合わせへの交換を行い第2印刷ジョブの印刷を準備するステップ、c)印刷流体および被印刷物から成る第2組み合わせを使用し第2印刷ジョブを印刷するステップを有する。
更に、テスト印刷、テスト印刷のテストフィールドを検出、テストフィールドから品質値を計算し記憶し、第1機械設定から第2機械設定に印刷機の設定を選択的に変更するか、または、予め設定されるICCプロファイルとステップbによる選択に応じて第1機械設定または第2機械設定を使用し第2印刷ジョブを印刷する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4