(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】水噴霧ノズル用取付具及び水噴霧設備の点検装置
(51)【国際特許分類】
A62C 37/50 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
A62C37/50
(21)【出願番号】P 2022101360
(22)【出願日】2022-06-23
【審査請求日】2022-06-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508061549
【氏名又は名称】阪神高速技術株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509182065
【氏名又は名称】株式会社テクノ阪神
(74)【代理人】
【識別番号】100138896
【氏名又は名称】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】花坂 謙一
(72)【発明者】
【氏名】炭▲崎▼ 智貴
(72)【発明者】
【氏名】南 敏浩
(72)【発明者】
【氏名】西村 達朗
(72)【発明者】
【氏名】谷口 直矢
(72)【発明者】
【氏名】多田 尚巨
(72)【発明者】
【氏名】江頭 陽平
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-319548(JP,A)
【文献】特開2004-020490(JP,A)
【文献】特開2012-125347(JP,A)
【文献】特開2011-005020(JP,A)
【文献】特開2021-137479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C2/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルに設置された水噴霧設備の点検のために水噴霧ノズルに取り付けられる水噴霧ノズル用取付具であって、
分割可能に形成され、上記水噴霧ノズルのノズルヘッドを内部に収容する箱体と、
上記箱体を形成する分割部分の一方の内側に設置され、上記水噴霧ノズルのノズルヘッド又は上記ノズルヘッドに連なる管体に係合する係合具と、
上記箱体の分割部分が互いに接合する接合部に形成され、上記分割部分が互いに接合されたときに上記管体に嵌合する切欠部と、
上記箱体に形成され、この箱体が上記管体に固定されたときに上記ノズルヘッドの吐出口に対向するように配置された排水口と
を備えることを特徴とする水噴霧ノズル用取付具。
【請求項2】
請求項1に記載の水噴霧ノズル用取付具において、
上記箱体の分割部分の少なくとも一方の外側に、把持具が設置されていることを特徴とする水噴霧ノズル用取付具。
【請求項3】
請求項1に記載の水噴霧ノズル用取付具において、
上記箱体の分割部分が蝶番で互いに連結されていることを特徴とする水噴霧ノズル用取付具。
【請求項4】
請求項1に記載の水噴霧ノズル用取付具において、
上記排水口に、この水噴霧ノズル用取付具が取り付けられる水噴霧ノズルのノズルヘッドと中心軸が一致する排水管が接続されていることを特徴とする水噴霧ノズル用取付具。
【請求項5】
トンネルに設置された水噴霧設備の点検を行う点検装置であって、
請求項1に記載の水噴霧ノズル用取付具と、
上記水噴霧ノズル用取付具の排水口に接続された導水管と、
上記導水管に接続された気液分離装置と、
上記気液分離装置で気体が分離された水の流量を測定する流量計と、
上記流量計からの水をトンネルの排水溝に排出する排水装置と
を備えることを特徴とする水噴霧設備の点検装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルに設置された水噴霧設備の点検を行うために用いられる水噴霧ノズル用取付具と、これを用いた点検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高速道路等のトンネルには、火災の発生時に消火や延焼防止を行うための水噴霧設備が設置されている。水噴霧設備は、トンネル軸方向に所定間隔をおいてトンネルの壁面に設置された水噴霧ノズルと、この水噴霧ノズルに水を供給する配水管と、この配水管に水を圧送するポンプと、火災の発生に応じてポンプを作動させる制御装置を備える。トンネル内で火災が発生すると、火災を検知した火災センサの信号を受けて制御装置が制御を開始し、ポンプが作動して配水管に水を圧送し、水噴霧ノズルから霧状の水を吐出して、トンネル内に霧状の水を充満させる。これにより、水の蒸発による冷却効果と、水滴の充満による酸欠効果を生じさせて、火災の抑制とトンネルの保護を行うようになっている。
【0003】
水噴霧設備は定期的な点検の実施が求められており、この点検では、水噴霧ノズルに実際に通水して水の吐出量を確認している。このような水噴霧設備の点検を行うための点検装置として、従来、
図9に示す水噴霧ノズル用取付具を用いたものが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
上記従来の水噴霧ノズル用取付具202は、一つの面に開口221aを有する箱体221と、開口221aの縁部に設けられたパッキン224と、箱体221の底面に連結された排水管222を備える。
図10は、この水噴霧ノズル用取付具202が点検時に取り付けられる水噴霧ノズルを示す図である。この水噴霧ノズル211は、水が供給される配水管212から分岐した分岐管213と、分岐管213の先端に設けられたノズルヘッド214と、ノズルヘッド214の背面側に位置するように分岐管213に取り付けられた連結板215を有する。
【0005】
点検を行う際には、水噴霧ノズル211に、水噴霧ノズル用取付具202を次のようにして取り付ける。まず、水噴霧ノズル211の連結板215に、水噴霧ノズル用取付具202の箱体221の開口221aを嵌合させる。この後、箱体221の側面に設けられたスナップ錠の操作部225を操作し、この操作部225が有する蔓部材を、連結板215の縁に設けられた係止爪216に係合させて、箱体221を連結板215に固定する。これにより、水噴霧ノズル211のノズルヘッド214が、水噴霧ノズル用取付具202の箱体221の内側に収容される。水噴霧ノズル211に取り付けられた水噴霧ノズル用取付具202の排水管222にホースの上端を接続し、このホースの下端に流量測定装置を接続する。こうして、水噴霧設備に、水噴霧ノズル用取付具202とホースと流量測定装置で構成される点検装置が設置される。
【0006】
点検装置による水噴霧設備の点検を開始すると、ポンプを作動させて配水管212に水を圧送し、水噴霧ノズル211のノズルヘッド214から水を吐出させる。ノズルヘッド214から吐出された水は、水噴霧ノズル用取付具202の箱体221で受け取られ、この箱体221内に貯留された後、排水管222とホースを経て流量測定装置に導かれる。流量測定装置により、導かれた水の流量を測定し、水噴霧ノズル211の放水量が規定値を満たしているかを確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の水噴霧ノズル用取付具202を用いるためには、水噴霧ノズル211に連結板215を予め設置しておく必要がある。したがって、点検作業のほかに、連結板215の設置作業が必要であるので手間がかかる不都合がある。また、上記従来の水噴霧ノズル用取付具202は、連結板215を設置していない水噴霧ノズルには使用できないので、汎用性が低いという不都合がある。
【0009】
また、上記従来の水噴霧ノズル用取付具202は、水噴霧ノズル211からの水を箱体221内に一旦貯留して排水するので、寸法の比較的大きい箱体221が必要であるため、大型化する不都合がある。
【0010】
また、上記従来の水噴霧ノズル用取付具202は、水噴霧ノズル211に設置するとき、作業者が梯子等に上った状態で連結板215との位置合わせを行う作業が必要になる。この水噴霧ノズル用取付具202は比較的大型であるため、このような作業は危険性が伴う不都合がある。
【0011】
そこで、本発明の課題は、水噴霧ノズルに予め部品を設置する必要が無くて手間が少なく、汎用性のある水噴霧ノズル用取付具を提供することにある。また、寸法の比較的小さい水噴霧ノズル用取付具を提供することにある。また、水噴霧ノズルに設置する作業を、従来よりも安全に行うことができる水噴霧ノズル用取付具を提供することにある。また、点検時の手間が少なく、安全に点検を行うことができる水噴霧設備の点検装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の水噴霧ノズル用取付具は、トンネルに設置された水噴霧設備の点検のために水噴霧ノズルに取り付けられる水噴霧ノズル用取付具であって、
分割可能に形成され、上記水噴霧ノズルのノズルヘッドを内部に収容する箱体と、
上記箱体を形成する分割部分の一方の内側に設置され、上記水噴霧ノズルのノズルヘッド又は上記ノズルヘッドに連なる管体に係合する係合具と、
上記箱体の分割部分が互いに接合する接合部に形成され、上記分割部分が互いに接合されたときに上記管体に嵌合する切欠部と、
上記箱体に形成され、この箱体が上記管体に固定されたときに上記ノズルヘッドの吐出口に対向するように配置された排水口と
を備えることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、水噴霧ノズル用取付具は、トンネルに設置された水噴霧設備の点検を行うために、水噴霧ノズルに取り付けられるものである。水噴霧ノズルは、例えば、管体と、この管体の下流側に設けられたノズルヘッドを有して形成される。この水噴霧ノズル用取付具は、水噴霧ノズルのノズルヘッドを内部に収容する箱体が、分割可能に形成されている。すなわち、複数の分割部分が組み合わされて箱体が形成される。この箱体を形成する分割部分の一方の内側に、上記水噴霧ノズルのノズルヘッド又は上記ノズルヘッドに連なる管体に係合する係合具を備える。水噴霧ノズル用取付具を水噴霧ノズルに取り付けるとき、上記係合具をノズルヘッド又は管体に係合することにより、箱体の分割部分を、ノズルヘッド又は管体に仮固定することができる。したがって、従来のように、水噴霧ノズル用取付具を保持して連結板との位置合わせを行う必要が無いので、水噴霧ノズル用取付具の設置作業を容易かつ安全に行うことができる。上記係合具で箱体の分割部分をノズルヘッド又は管体に仮固定した後、他の分割部分を上記仮固定した分割部分に接合させることにより、分割部分の接合部に形成された切欠部が、ノズルヘッドに連なる管体に嵌合する。これにより、分割部分が互いに接合して箱体が完成すると共に、切欠部の管体への嵌合により本発明の水噴霧ノズル用取付具を水噴霧ノズルに固定することができる。ここで、切欠部が嵌合する管体とは、管状部材と、管状部材を他の部材に連結するナット等の連結部材とを含む。すなわち、箱体の分割部分の切欠部は、管体の管状部材と連結部材のいずれに嵌合してもよい。水噴霧ノズル用取付具の箱体が管体に固定されると、この箱体内に位置するノズルヘッドの吐出口が排水口に対向する。これにより、点検時にノズルヘッドの吐出口から吐出した水を、排水口に直接導いて箱体から排出することができる。したがって、箱体を、ノズルヘッドからの水を一旦貯留する従来の箱体よりも小型にできて、水噴霧ノズル用取付具を従来よりも小型にできる。その結果、水噴霧ノズル用取付具の取り扱いを容易にできるので、水噴霧ノズルに水噴霧ノズル用取付具を設置する際の作業を容易かつ安全にできる。また、この水噴霧ノズル用取付具は、点検対象の水噴霧ノズルに従来のような連結板を予め設置する必要が無い。したがって、水噴霧ノズルに取り付ける準備の手間が少なく、また、従来よりも点検可能な水噴霧ノズルの数が多いので高い汎用性を有する。
【0014】
一実施形態の水噴霧ノズル用取付具は、上記箱体の分割部分の少なくとも一方の外側に、把持具が設置されている。
【0015】
上記実施形態の水噴霧ノズル用取付具によれば、箱体の分割部分の少なくとも一方の外側に設置された把持具を把持することにより、水噴霧ノズル用取付具を容易に保持することができる。したがって、特に高所に位置する水噴霧ノズルに、梯子等を使用して水噴霧ノズル用取付具を設置する作業を行うとき、水噴霧ノズル用取付具の取り扱いを容易にできるので、作業の安全性を高めることができる。
【0016】
一実施形態の水噴霧ノズル用取付具は、上記箱体の分割部分が蝶番で互いに連結されている。
【0017】
上記実施形態の水噴霧ノズル用取付具によれば、箱体の分割部分が蝶番で互いに連結されているので、分割部分の分離を防止できる。したがって、水噴霧ノズル用取付具の取り扱いが容易になる。また、分割部分が互いに開いた状態で切欠部を管体に嵌合させ、その後、蝶番を支点に他の分割部分を回動させて閉じることにより、容易に箱体を形成すると共に水噴霧ノズルに箱体を固定することができる。したがって、水噴霧ノズル用取付具を管体へ固定する作業を容易にできる。
【0018】
一実施形態の水噴霧ノズル用取付具は、上記排水口に、この水噴霧ノズル用取付具が取り付けられる水噴霧ノズルのノズルヘッドと中心軸が一致する排水管が接続されている。
【0019】
上記実施形態の水噴霧ノズル用取付具によれば、排水口に排水管が接続され、この排水管の中心軸が、この水噴霧ノズル用取付具が取り付けられる水噴霧ノズルのノズルヘッドの中心軸と一致するように形成されている。これにより、水噴霧ノズル用取付具が水噴霧ノズルに設置されたとき、ノズルヘッドの吐出口から排水口に向かって吐出された水が、迅速に排水管を通って外部に排出される。したがって、箱体内の水位を効果的に低減できるので、箱体を大幅に小型にできる。
【0020】
本発明の水噴霧設備の点検装置は、トンネルに設置された水噴霧設備の点検を行う点検装置であって、
上記水噴霧ノズル用取付具と、
上記水噴霧ノズル用取付具の排水口に接続された導水管と、
上記導水管に接続された気液分離装置と、
上記気液分離装置で気体が分離された水の流量を測定する流量計と、
上記流量計からの水をトンネルの排水溝に排出する排水装置と
を備えることを特徴としている。
【0021】
上記構成の点検装置は、トンネルに設置された水噴霧設備の点検において、水噴霧ノズルからの水の吐出量を測定するために使用される。この点検装置は、水噴霧ノズル用取付具が水噴霧ノズルに取り付けられると、水噴霧ノズルのノズルヘッドの吐出口が水噴霧ノズル用取付具の排水口に対向するように配置される。この状態で水噴霧ノズルに通水すると、水噴霧ノズルのノズルヘッドから吐出された水が、排水口と導水管を通して気液分離装置に送られる。ここで、排水口と導水管は、直接接続されてもよく、あるいは、排水管を介して接続されてもよい。上記気液分離装置で空気が分離された水の流量が流量計で測定され、流量が測定された水が排水装置でトンネルの排水溝に排出される。上記構成の点検装置によれば、水噴霧ノズルへの設置作業を容易かつ安全に行うことができる水噴霧ノズル用取付具を備えるので、水噴霧設備の点検作業を容易かつ安全に行うことができる。また、従来よりも小型の水噴霧ノズル用取付具を用いるので、水噴霧設備の点検作業に使用する機器を従来よりも小型にでき、点検作業に関する手間を少なくできる。また、汎用性の高い水噴霧ノズル用取付具を備えるので、従来よりも多くの水噴霧設備の点検作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の第1実施形態の水噴霧ノズル用取付具を示す側面図である。
【
図2】第1実施形態の水噴霧ノズル用取付具を開いた状態を示す正面図である。
【
図3】第1実施形態の水噴霧ノズル用取付具を水噴霧ノズルに設置する様子を示す側面図である。
【
図4】第1実施形態の水噴霧ノズル用取付具を水噴霧ノズルに設置した様子を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施形態の点検装置により水噴霧設備の点検を行う様子を示す模式図である。
【
図6】第2実施形態の水噴霧ノズル用取付具を示す側面図である。
【
図7】第2実施形態の水噴霧ノズル用取付具を開いて水噴霧ノズルに設置した様子を示す正面図である。
【
図8】第2実施形態の水噴霧ノズル用取付具を開いた様子を示す平面図である。
【
図9】従来の水噴霧ノズル用取付具を示す図である。
【
図10】従来の水噴霧ノズル用取付具が設置される水噴霧ノズルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の第1実施形態の水噴霧ノズル用取付具を示す側面図であり、
図2は上記水噴霧ノズル用取付具を開いた状態を示す正面図であり、
図3は上記水噴霧ノズル用取付具を水噴霧ノズルに設置する様子を示す側面図である。この水噴霧ノズル用取付具1は、トンネルに設置された水噴霧設備の点検に用いられるものであり、水噴霧設備の水噴霧ノズル22に設置され、この水噴霧ノズル22から吐出される水を流量計に送るために用いられる。本実施形態の水噴霧ノズル用取付具1は、近投用の第1ノズルヘッド24Aと遠投用の第2ノズルヘッド24Bを有する水噴霧ノズル22に取り付けられるものである。
【0025】
水噴霧ノズル用取付具1は、分割可能に形成された箱体2と、この箱体2の下部に設けられた排水管3と、箱体2の側面に設置された2つの把手26,26を有する。
【0026】
箱体2は、水噴霧ノズル22の第1及び第2ノズルヘッド24A,24Bを内部に収容し、これらの第1及び第2ノズルヘッド24A,24Bから吐出される水を受け取るものである。この箱体2は、水噴霧ノズル22に設置されたときの上下方向の寸法が、幅方向の寸法よりも長い縦長の直方体に対し、前面の下部を面取りして傾斜面2aを設けたような形状を有する。これにより、
図1の側面視において、縦長の長方形から右下の角部を削除したような形状を成している。この箱体2は、水噴霧ノズル22に設置されたときに水噴霧ノズル22の背面側に位置する第1分割部分4と、水噴霧ノズル22の正面側に位置する第2分割部分5で構成されている。これらの第1分割部分4と第2分割部分5は、箱体2の底面に設けられた蝶番7により、接合部の短辺回りに、互いに回動可能に形成されている。上記第1分割部分4と第2分割部分5と蝶番7は、ステンレス等のような、耐腐食性を有して強度の比較的高い素材で形成されている。
【0027】
上記第1分割部分4の内側には、この水噴霧ノズル用取付具1を水噴霧ノズル22に仮固定するための係合具20が設けられている。この係合具20は、ステンレス等で形成され、切り欠きを有する環状のクリップ部と、このクリップ部を第1分割部分4の内側の壁面に固定する固定部を有する。この係合具20は、水噴霧ノズル22が有する2つのノズルヘッド24A,24Bのうちの第1ノズルヘッド24Aの基部に係合することにより、水噴霧ノズル用取付具1を水噴霧ノズル22に仮固定するようになっている。ここで、係合具20は、第2ノズルヘッド24Bの基部に係合してもよく、あるいは、第1及び第2ノズルヘッド24A,24Bに連なる管体に係合してもよい。
【0028】
上記第1分割部分4と第2分割部分5が互いに接合する部分である接合部には、パッキン14が設けられている。このパッキン14は、第1分割部分4と第2分割部分5が接合する接合面に接するように、中空の矩形状に形成されている。パッキン14はゴム製の板状体で形成され、第1分割部分4と第2分割部分5が接合されたときに互いの接合部を密封し、第1及び第2ノズルヘッド24A,24Bからの吐出水が接合部から漏出することを防止している。パッキン14は、第1分割部分4に固定されており、この第1分割部分4の接合面と、この接合面に形成された切欠部10の表面に沿うように固定されている。
【0029】
上記第1分割部分4と第2分割部分5の接合部には、これらの第1分割部分4と第2分割部分5の各々に、切欠部10,11が形成されている。切欠部10,11は、側面視において略半円形に形成され、第1分割部分4と第2分割部分5が接合されて箱体2を構成したときに円形を成すように形成されている。上記第1分割部分4の切欠部10には、パッキン14が接合面から連なって配置されている。一方、第2分割部分5の切欠部11には、ゴム製の板状体で形成された切欠部用パッキン15が設けられている。第1分割部分4と第2分割部分5を、内側に水噴霧ノズル22の第1及び第2ノズルヘッド24A,24Bを収容した状態で接合したとき、切欠部10,11が、水噴霧ノズル22を分岐管23に連結して固定する連結部材としてのナット25に嵌合するように形成されている。このとき、切欠部10,11とナット25の間を、パッキン14と切欠部用パッキン15で密封するように形成されている。なお、上記切欠部10,11は、半円形以外に、半六角形や半八角形等の他の形状に形成されてもよい。
【0030】
上記第2分割部分5の正面側の傾斜面2aには、排水管3が取り付けられている。この排水管3は、ステンレス等で形成され、第2分割部分5に形成された排水口28に連通して形成されている。排水口28は、この水噴霧ノズル用取付具1を水噴霧ノズル22に取り付けたときに、水噴霧ノズル22の第1ノズルヘッド24Aの吐出口に対向する位置に形成されている。また、排水管3は、上記第1ノズルヘッド24Aと中心軸が一致するように、第2分割部分5に取り付けられている。上記排水口28に対向するように配置された第1ノズルヘッド24Aは、比較的近い位置に放水を行うものであり、円錐形の放水形状を有する。上記排水口28は、第1ノズルヘッド24Aから吐出されて放水形状が円錐形の水について、この排水口28の位置における断面よりも大きな円形に形成されている。他方の第2ノズルヘッド24Bは、上記第1ノズルヘッド24Aの上方に配置され、第1ノズルヘッド24Aよりも遠くに放水を行うものであり、扇形の放水形状を有する。
【0031】
上記第1分割部分4と第2分割部分5には、この水噴霧ノズル用取付具1を保持するための把持具としての2つの把手26,26が設けられている。把手26は、水噴霧ノズル用取付具1の正面視においてアーチ状の形状を有し、第1分割部分4と第2分割部分5の互いに同一の側面に、それぞれ設置されている。上記第1分割部分4の把手26を把持することにより、水噴霧ノズル用取付具1を水噴霧ノズル22に仮固定する作業を容易に行うことができる。また、上記第2分割部分5の把手26を把持することにより、第2分割部分5を蝶番7の支点に回動させて、第1分割部分4と接合する作業を容易に行うことができる。こうして、把手26を把持することにより、水噴霧ノズル用取付具1を容易に保持して水噴霧ノズル22への設置作業を行うことができる。なお、把手26,26の設置位置は、側面に限られず、天面等に設置してもよい。また、把持具の形状は、アーチ状に限定されず、ハンドル状等の他の形状でもよい。
【0032】
上記箱体2を形成する第1分割部分4と第2分割部分5は、スナップ錠によって接合状態を保持するようになっている。スナップ錠は、線状の蔓部材を進退駆動させる操作部18と、この操作部18の蔓部材が係止する係止爪19を有する。第1分割部分4の側面と天面に、複数のスナップ錠の係止爪19,19,19,・・・が設けられていると共に、第2分割部分5の側面と天面に、複数のスナップ錠の操作部18,18,18,・・・が設けられている。これらのスナップ錠の操作部18の蔓部材と係止爪19が係止することにより、第1分割部分4と第2分割部分5の接合状態が保持されるようになっている。
【0033】
上記構成の水噴霧ノズル用取付具1は、次のようにして使用される。まず、水噴霧ノズル用取付具1を設置する水噴霧ノズル22の近傍に、作業用の梯子を設置する。この後、作業者が、第1分割部分4と第2分割部分5が閉じた状態に保持された水噴霧ノズル用取付具1の把手26を把持し、梯子に登って水噴霧ノズル22に接近する。次いで、作業者が、スナップ錠の操作部18を操作し、全てのスナップ錠の蔓部材と係止爪19の係止を解除し、第1分割部分4と第2分割部分5を開く。この後、
図3の矢印Aで示すように、第1分割部分4を水噴霧ノズル22に背後から接近させる。第1分割部分4を更に水噴霧ノズル22に接近させて、係合具20を水噴霧ノズル22の第1ノズルヘッド24Aの基部に係合させることにより、水噴霧ノズル用取付具1を水噴霧ノズル22に仮固定する。そして、作業者は、第2分割部分5の把手26を把持し、矢印Bで示すように第2分割部分5を蝶番7の回りに回動させ、第1分割部分4に第2分割部分5を接合する。この後、全てのスナップ錠の操作部18を操作して蔓部材を係止爪19に係止させ、第1分割部分4と第2分割部分5の接合を保持して箱体2を形成する。これと共に、水噴霧ノズル22と分岐管23との間のナット25に、第1分割部分4の切欠部10と第2分割部分5の切欠部11を嵌合させて、水噴霧ノズル用取付具1を固定する。こうして、水噴霧ノズル用取付具1を水噴霧ノズル22に設置する。
【0034】
図4は、上記水噴霧ノズル用取付具1を水噴霧ノズル22に設置した様子を示す斜視図であり、
図5は、水噴霧ノズル用取付具1を含む点検装置により、水噴霧設備の点検を行う様子を示す模式図である。
【0035】
水噴霧ノズル22は、
図4に示すように、トンネルに沿って配置された配水管30から分岐するように設けられた分岐管23の先端に設けられており、この分岐管23の先端の水噴霧ノズル22を覆うように、水噴霧ノズル用取付具1が設置される。水噴霧ノズル22に水噴霧ノズル用取付具1が設置されると、水噴霧ノズル用取付具1の排水管3に、導水管としてのホース32が連結され、このホース32の下端が、
図5に示されるように、流量計測装置45に接続される。
図5において、40はトンネルであり、41はトンネル壁面である。
【0036】
流量計測装置45は、ホース32で導かれた水と空気を分離する気液分離装置と、この気液分離装置で分離された水の流量を測定する流量計を有する。流量計装装置45は、ストッパ付きの車輪とハンドルを有する台車に固定されており、人力によって移動可能に形成されている。流量計は、例えばフラッパ式の面積流量計を採用することができる。この流量計測装置45は、比較的小型に形成され、トンネル40内の道路の路肩に設置して水噴霧設備の点検を行うことが可能になっている。
【0037】
流量計装装置45は、流量計で流量が測定された水を排水路47に排出する排水装置46に接続されている。この排水装置46は、上記流量計装装置45に接続されたホースと、このホースの下流側に接続された複数の分岐管を有し、これらの分岐管が、路肩に開口した排水開口に挿入され、この排水開口の下方に埋設された排水路47に排水を行うようになっている。
【0038】
上記水噴霧ノズル用取付具1と、導水管としてのホース32と、気液分離装置及び流量計を含む流量計測装置45と、排水装置46とで、実施形態の水噴霧設備の点検装置35を構成している。
【0039】
本実施形態の点検装置35で水噴霧設備の点検を行う場合、図示しないポンプで配水管30に水を圧送し、上記水噴霧ノズル用取付具1が設置された水噴霧ノズル22に通水する。これに伴い、水噴霧ノズル22の2つの第1ノズルヘッド24A,24Bから水が吐出される。ここで、一つの第1ノズルヘッド24Aは、水噴霧ノズル用取付具1の第2分割部分5に形成された排水口28に対向しているので、この第1ノズルヘッド24Aから吐出されて円錐形の放水形状をなす水が、排水口28へ直接噴射される。さらに、水噴霧ノズル用取付具1の排水口28に連通する排水管3は、第1ノズルヘッド24Aと中心軸が一致するように取り付けられているので、排水口28へ噴射された水は、少なくとも一部が排水管3内をそのまま進み、速やかにホース32に流入する。第2ノズルヘッド24Bから吐出された水は、箱体2内で受け取られ、排水口28から排水管3を通してホース32に導かれる。この水噴霧ノズル用取付具1は、上記第1ノズルヘッド24Aからの水が排水口28へ直接噴射されることにより、箱体2内の水の滞留を抑制した状態で、第1及び第2ノズルヘッド24A,24Bからの水をホース32へ導く。ホース32に流入した水は、流量計測装置45の気液分離装置で空気が分離され、流量計で流量が測定された後、排水装置46によって排水路47に排出される。
【0040】
以上のように、本実施形態の水噴霧ノズル用取付具1によれば、第1ノズルヘッド24Aから吐出された水を、箱体2内で実質的に滞留することなく排出することができる。したがって、水噴霧ノズル22から吐出された水を、箱体2内での滞留を少なくして排出できるので、水の滞留量の多い従来の水噴霧ノズル用取付具よりも小型にできる。その結果、水噴霧ノズル用取付具1の取り扱いを容易にできるので、水噴霧ノズル22に水噴霧ノズル用取付具1を容易かつ安全に、少ない手間で取り付けることができる。また、本実施形態の水噴霧ノズル用取付具1は、水噴霧ノズル22に従来のような連結板を予め設置する必要が無いので、水噴霧設備の点検を行うための準備の手間を少なくできる。また、この水噴霧ノズル用取付具1は、従来よりも多くの水噴霧ノズル22に取り付けて点検を行うことができるので、高い汎用性を有する。
【0041】
図6は、本発明の第2実施形態の水噴霧ノズル用取付具を示す側面図であり、
図7は上記水噴霧ノズル用取付具を開いた状態を示す正面図であり、
図8は上記水噴霧ノズル用取付具を開いた様子を示す平面図である。
【0042】
第2実施形態の水噴霧ノズル用取付具101において、第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0043】
第2実施形態の水噴霧ノズル用取付具101は、近投用の第1ノズルヘッド24Aと、遠投用の第2ノズルヘッド24Bと、超遠投用の第3ノズルヘッド24Cを有する水噴霧ノズル122に設置され、この水噴霧ノズル122から吐出される水を流量計に送るために用いられる。
【0044】
本実施形態の水噴霧ノズル用取付具101は、分割可能に形成された箱体102と、この箱体102の下部に設けられた排水管3と、箱体102の両側面に設置された2つの把手26,26を有する。
【0045】
箱体102は、水噴霧ノズル122に設置されたときの上下方向の寸法が幅方向の寸法よりも長い縦長の直方体に、前面の下部を面取りして傾斜面102aを設けたような形状を有する。これにより、
図6の側面視において、縦長の長方形から右下の角部を削除したような形状を成している。この箱体102は、水噴霧ノズル122に設置されたときに水噴霧ノズル122の背面側に位置する第1分割部分104と、水噴霧ノズル122の正面側に位置する第2分割部分105で構成されている。これらの第1分割部分104と第2分割部分105は、箱体102の正面視において右側に設けられた蝶番107により、接合部の長辺回りに、互いに回動可能に形成されている。上記第1分割部分104と第2分割部分105と蝶番107は、ステンレス等で形成されている。
【0046】
上記第1分割部分104の内側には、この水噴霧ノズル用取付具101を水噴霧ノズル122に仮固定するための2つの係合具20が設けられている。これらの係合具20,20は、水噴霧ノズル122が有する3つのノズルヘッド24A,24B,24Cのうちの第3ノズルヘッド24Cに連なる管体に係合することにより、水噴霧ノズル用取付具101を水噴霧ノズル122に仮固定するようになっている。ここで、係合具20は、第1,第2又は第3ノズルヘッド24A,24B,24Cの基部に係合してもよく、あるいは、第1及び第2ノズルヘッド24A,24Bに連なる管体に係合してもよい。また、第1分割部分104の内側には、この水噴霧ノズル用取付具101を水噴霧ノズル122に対して位置決めするための係止具55が設けられている。この係止具55は、ステンレス等で形成され、帯状部材を門型に屈曲した係止部と、この係止部を第1分割部分104の内側の壁面に固定部を有する。この係止具55は、第1及び第2ノズルヘッド24A,24Bに連なる管体に接近して、第1分割部分104の位置決めを行うようになっている。
【0047】
上記第1分割部分104と第2分割部分105が互いに接合する部分である接合部には、パッキン114が設けられている。このパッキン114は、第1分割部分104と第2分割部分105が接合する接合面に接するように、中空の矩形状に形成されている。パッキン114はゴム製の板状体で形成され、第1分割部分104と第2分割部分105が接合されたときに互いの接合部を密封し、第1、第2及び第3ノズルヘッド24A,24B,24Cからの吐出水が接合部から漏出することを防止している。パッキン114は、第1分割部分104に固定されており、この第1分割部分104の接合面と、この接合面に形成された切欠部110の表面に沿うように固定されている。
【0048】
上記第1分割部分104と第2分割部分105の接合部には、これらの第1分割部分104と第2分割部分105の各々に、切欠部110,111が形成されている。切欠部110,111は、側面視において略半円形に形成され、第1分割部分104と第2分割部分105が接合されて箱体102を構成したときに円形を成すように形成されている。上記第1分割部分104の切欠部110には、パッキン114が接合面から連なって配置されている。一方、第2分割部分105の切欠部111には、ゴム製の板状体で形成された切欠部用パッキン115が設けられている。第1分割部分104と第2分割部分105を、内側に水噴霧ノズル122の第1、第2及び第3ノズルヘッド24A,24B,24Cを収容した状態で接合したとき、切欠部110,111が水噴霧ノズル122を分岐管23に固定するナット25に嵌合するように形成されている。このとき、切欠部110,111とナット25の間を、パッキン114と切欠部用パッキン115で密封するように形成されている。なお、上記切欠部10,11は、半円形以外に、半六角形等の他の形状に形成されてもよい。
【0049】
上記第2分割部分105の正面側の傾斜面102aには、排水管3が取り付けられている。この排水管3は、第2分割部分105に形成された排水口に連通して形成されている。排水口は、この水噴霧ノズル用取付具101を水噴霧ノズル122に取り付けたときに、水噴霧ノズル122の第1ノズルヘッド24Aの吐出口に対向する位置に形成されている。この排水口は、第1ノズルヘッド24Aから吐出されて放水形状が円錐形の水について、この排水口の位置における断面よりも大きな円形に形成されている。上記排水管3は、上記第1ノズルヘッド24Aと中心軸が一致するように、第2分割部分105に取り付けられている。上記排水口に対向するように配置された第1ノズルヘッド24Aは、比較的近い位置に放水を行うものであり、円錐形の放水形状を有する。第2ノズルヘッド24Bは、上記第1ノズルヘッド24Aの上方に、この上記第1ノズルヘッド24Aと同じ管体に取り付けられている。この第2ノズルヘッド24Bは、第1ノズルヘッド24Aよりも遠くに放水を行うものであり、扇形の放水形状を有する。第3ノズルヘッド24Cは、上記第1及び第2ノズルヘッド24A,24Bの管体から分岐した第2の管体に取り付けられており、上記第2ノズルヘッド24Bよりも遠くに放水を行うものである。この第3ノズルヘッド24Cは、扇形の放水形状を有する。
【0050】
上記第1分割部分104と第2分割部分105には、この水噴霧ノズル用取付具101を保持するための把持具としての2つの把手26,26が設けられている。把手26は、第1分割部分104の正面視に置いて左右の側面に、それぞれ設置されている。この把手26を把持することにより、水噴霧ノズル用取付具101を水噴霧ノズル122に仮固定する作業を容易に行うことができる。こうして、把手26を把持することにより、水噴霧ノズル用取付具101を容易に保持して水噴霧ノズル122への設置作業を行うことができる。なお、把手26,26の設置位置は、側面に限られず、天面等に設置してもよい。また、把手26は、第2分割部分105に取り付けられてもよい。
【0051】
上記箱体102を形成する第1分割部分104と第2分割部分105は、スナップ錠によって接合状態を保持するようになっている。第1分割部分410の側面と天面に、複数のスナップ錠の係止爪19,19,19,・・・が設けられていると共に、第2分割部分105の側面と天面に、複数のスナップ錠の操作部18,18,18,・・・が設けられている。これらのスナップ錠の操作部18の蔓部材と係止爪19が係止することにより、第1分割部分104と第2分割部分105の接合状態が保持されるようになっている。
【0052】
上記構成の水噴霧ノズル用取付具101は、次のようにして使用される。まず、水噴霧ノズル用取付具101を設置する水噴霧ノズル122の近傍に、作業用の梯子を設置する。この後、作業者が、第1分割部分104と第2分割部分105が閉じた状態に保持された水噴霧ノズル用取付具101の把手26を把持し、梯子に登って水噴霧ノズル122に接近する。次いで、作業者が、スナップ錠の操作部18を操作し、全てのスナップ錠の蔓部材と係止爪19の係止を解除し、第1分割部分104と第2分割部分105を開く。この後、第1分割部分104を水噴霧ノズル122に背後から接近させて、係合具20を水噴霧ノズル122の第3ノズルヘッド24Cに連なる管体に係合させて、水噴霧ノズル用取付具101を水噴霧ノズル122に仮固定する。このとき、係止具55が、第1及び第2ノズルヘッド24A,24Bに連なる岐管に接近して、第1分割部分104の位置決めを行う。そして、作業者は、第2分割部分105を、
図8の矢印Cで示すように蝶番107の回りに回動させ、第1分割部分104に第2分割部分105を接合する。この後、全てのスナップ錠の操作部18を操作して蔓部材を係止爪19に係止させ、第1分割部分104と第2分割部分105の接合を保持して箱体102を形成する。これと共に、水噴霧ノズル122と分岐管23との間のナット25に、第1分割部分104の切欠部110と第2分割部分105の切欠部111を嵌合させて、水噴霧ノズル用取付具101を固定する。こうして、水噴霧ノズル用取付具101を水噴霧ノズル122に設置する。
【0053】
上記水噴霧ノズル122に水噴霧ノズル用取付具101を設置すると、第1実施形態と同様に、水噴霧ノズル用取付具101の排水管3にホース32を連結し、このホース32の下端を流量計測装置45に接続する。流量計測装置45に排水装置46を接続して、水噴霧設備の点検装置を構成する。この後、水噴霧設備を作動させ、水噴霧ノズル122から放水を行い、水噴霧ノズル用取付具101で収集した水の流量を流量計測装置45で測定し、水噴霧設備の点検を行う。
【0054】
第2実施形態の水噴霧ノズル用取付具101によれば、第1ノズルヘッド24Aから吐出されて円錐形の放水形状をなす水が、排水口へ直接噴射される。さらに、水噴霧ノズル用取付具101の排水口に連通する排水管3は、第1ノズルヘッド24Aと中心軸が一致するように取り付けられているので、排水口へ噴射された水は、少なくとも一部が排水管3内をそのまま進み、速やかにホース32に流入する。また、第2及び第3ノズルヘッド24B,24Cから吐出された水は、箱体102内で受け取られ、排水口から排水管3を通してホース32に導かれる。この水噴霧ノズル用取付具1は、上記第1ノズルヘッド24Aからの水が排水口28へ直接噴射されることにより、箱体102内の水の滞留を抑制した状態で、第1乃至第3ノズルヘッド24A,24B,24Cからの水をホース32へ導くことができる。したがって、水噴霧ノズル122から吐出された水を、箱体102内での滞留を少なくして排出できるので、水の滞留量の多い従来の水噴霧ノズル用取付具よりも小型にできる。その結果、水噴霧ノズル用取付具101の取り扱いを容易にできるので、水噴霧ノズル122に水噴霧ノズル用取付具101を容易かつ安全に、少ない手間で取り付けることができる。また、本実施形態の水噴霧ノズル用取付具101は、水噴霧ノズル122に従来のような連結板を予め設置する必要が無いので、水噴霧設備の点検を行うための準備の手間を少なくできる。また、この水噴霧ノズル用取付具101は、従来よりも多くの水噴霧ノズル122に取り付けて点検を行うことができるので、高い汎用性を有する。
【0055】
また、第2実施形態の水噴霧ノズル用取付具101によれば、第1分割部分104の内側に、水噴霧ノズル122に対して位置決めするための係止具55が設けられているので、水噴霧ノズル用取付具101を水噴霧ノズル122に適正な位置と姿勢で設置することができる。したがって、水噴霧ノズル用取付具101の誤装着を防止することができる。
【0056】
上記第1及び第2実施形態において、水噴霧ノズル用取付具1,101を水噴霧ノズル22,122に設置するとき、第1分割部分4,104の切欠部10,110と第2分割部分5,105の切欠部11,111をナット25に嵌合させたが、水噴霧ノズル22,122を構成する管状部材や分岐管23の管状部材に嵌合させてもよい。
【0057】
上記第1実施形態では、水噴霧ノズル用取付具1を2つのノズルヘッド24A,24Bを有する水噴霧ノズル22に設置し、上記第2実施形態では、水噴霧ノズル用取付具101を3つのノズルヘッド24A,24B,24Cを有する水噴霧ノズル122に設置したが、本発明の水噴霧ノズル用取付具を設置する水噴霧ノズルのノズルヘッドの数は、1個でもよく、また、4個以上でもよい。水噴霧ノズルのノズルヘッドの数が1個である場合、このノズルヘッドは放水形状が円錐形状であるのが好ましく、この水噴霧ノズルに水噴霧ノズル用取付具を取り付けたとき、上記ノズルヘッドに対向する位置に箱体の排水口が配置されるように形成する。
【0058】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、多くの変形が、本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
【符号の説明】
【0059】
1,101 水噴霧ノズル用取付具
2,102 箱体
2a,102a 箱体の傾斜面
3 排水管
4,104 第1分割部分
5,105 第2分割部分
7,107 蝶番
10,11,110,111 切欠部
14,114 パッキン
15,115 切欠部用パッキン
18 スナップ錠の操作部
19 スナップ錠の係止爪
20 係合具
22,122 水噴霧ノズル
23 分岐管
24A 第1ノズルヘッド
24B 第2ノズルヘッド
24C 第3ノズルヘッド
25 ナット
26 把手
28 排水口
30 配水管
32 ホース
35 水噴霧設備の点検装置
40 トンネル
41 トンネル壁面
45 流量計測装置
46 排水装置
47 排水路
【要約】
【課題】 水噴霧ノズルへの設置の手間が少なく、汎用性のある水噴霧ノズル用取付具を提供する。
【解決手段】
水噴霧ノズル用取付具1は、互いに分割可能な第1分割部分4と第2分割部分5で形成される箱体2と、第1分割部分4の内側の壁面に設けられた係合具と、第1分割部分4と第2分割部分5の接合部に形成された切欠部10,11と、箱体2の正面の下部に形成された傾斜面2aに設けられた排水管3を備える。第1分割部分4と第2分割部分5を蝶番7の回りに回動させて開き、第1分割部分4の係合具を水噴霧ノズルのノズルヘッドの基部に係合させて、水噴霧ノズル用取付具1を仮固定する。第1分割部分4と第2分割部分5を閉じ、切欠部10,11を水噴霧ノズルの分岐管に嵌合させて、水噴霧ノズル用取付具1を水噴霧ノズルに固定する。水噴霧ノズルのノズルヘッドが、箱体2の傾斜面2aに設けられた排水口に対向して配置される。
【選択図】
図1