(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-05
(45)【発行日】2022-09-13
(54)【発明の名称】数値制御装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 15/013 20060101AFI20220906BHJP
【FI】
B23Q15/013
(21)【出願番号】P 2022535218
(86)(22)【出願日】2022-03-15
(86)【国際出願番号】 JP2022011745
【審査請求日】2022-06-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】貝原 賢治
【審査官】牧 初
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-228309(JP,A)
【文献】国際公開第2014/184820(WO,A1)
【文献】特開昭56-107862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 15/00-15/28
B23B 35/00-49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削工具を回転させながらワークを切り込む切り込み動作と、前記切削工具を回転させながら前記ワークの切り込みを停止する切り込み停止動作とを繰り返しながら深穴あけ加工を行う深穴加工実行部と、
前記切り込み動作における各切り込み後の前記切削工具の位置に応じた切粉排出時間を算出する切粉排出時間算出部と、を備え、
前記深穴加工実行部は、前記切粉排出時間の間、前記切り込み停止動作を行う、
数値制御装置。
【請求項2】
前記切粉排出時間算出部は、前記切削工具の回転数、刃数、半径及びねじれ角と、前記切り込み動作における各切り込み後の前記切削工具の位置と、切粉分断能力係数とに基づいて前記切粉排出時間を算出し、
前記深穴加工実行部は、前記切粉排出時間の間、前記切り込み停止動作を行う、請求項1に記載の数値制御装置。
【請求項3】
前記切粉排出時間算出部は、前記深穴あけ加工を行う加工プログラムの引数指令において、前記ねじれ角の指令がない場合は、予め定めたねじれ角を前記切粉排出時間の算出に採用する、請求項2に記載の数値制御装置。
【請求項4】
前記深穴加工実行部は、前記深穴あけ加工を行う加工プログラムの引数指令において引数P指令を含む場合、前記加工プログラムの指令値までの全ての切込みが終了した穴底に対して、前記切削工具の回転を継続したまま、引数で指令した時間だけ停止動作を行う、請求項2又は3に記載の数値制御装置。
【請求項5】
前記深穴加工実行部は、前記深穴あけ加工を行う加工プログラムの引数指令において退避速度を指令する引数指令を含む場合、前記引数指令によって指令される前記退避速度で前記切削工具を移動する、請求項2から4のいずれか一項に記載の数値制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、穴あけ加工には固定サイクル機能を使用した加工方法が用いられている(例えば、特許文献1参照)。特に、連続した穴あけ加工では、固定サイクル機能を使用した加工が一般的である。固定サイクルにおいて必要な引数を指令することによって、指定した穴位置に対して加工する加工プログラムが作成される。
【0003】
穴あけ加工の精度は、低精度から高精度まで幅広く、いずれの穴あけ加工においても低振動且つ高速な加工を求められている。特に、深穴あけ加工では、切粉詰まりを防ぐため、切り込みと戻りとを繰り返しながら加工する固定サイクル(ペックサイクル)がよく利用される。切削工具21の戻り量は、固定サイクルの指令値によって任意に指定できる。また、戻り量は、切粉の排出量を考慮して、戻り量を指令する必要がある。なお、R点から穴底まで切り込み及び戻り量の値は、加工開始時から一定である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、固定サイクル中の切り込み後の戻り動作を早送り速度を用いて動作することによって、切削工具の加減速が大きくなり、工作機械の振動が発生する。特に、深穴あけ加工では、刃長の長いロングドリルを使用することが多いため、工作機械の振動時に切削工具の振れが発生し、切削工具がよりも早く磨耗する。
【0006】
また、戻り量の指令が小さく、指令値が深い場合、工作機械の振動によって切り込み時に垂直に切り込めず、穴が曲がってしまうことがある。そこで、穴あけ加工において切削工具の急な加減速が不要となり、工作機械の振動を抑制できる数値制御装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る数値制御装置は、切削工具を回転させながらワークを切り込む切り込み動作と、前記切削工具を回転させながら前記ワークの切り込みを停止する切り込み停止動作とを繰り返しながら深穴あけ加工を行う深穴加工実行部と、前記切り込み動作における各切り込み後の前記切削工具の位置に応じた切粉排出時間を算出する切粉排出時間算出部と、を備え、前記深穴加工実行部は、前記切粉排出時間の間、前記切り込み停止動作を行う。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、穴あけ加工において切削工具の急な加減速が不要となり、工作機械の振動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る数値制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】従来の固定サイクル機能によって工作機械による深穴あけ加工の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る深穴あけ加工の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係る切削工具のねじれ角及び1回転あたりの工具長さを示す図である。
【
図5】ねじれ角が30°の場合における切粉排出時間の算出に用いられる切削工具を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る深穴あけ加工の別の例の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係る数値制御装置1及び工作機械2の構成を示す図である。
【0011】
数値制御装置1は、工作機械2を制御することにより、工作機械2に所定の機械加工等を行わせるための装置である。数値制御装置1は、制御部11及び記憶部12を備える。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することによって、深穴加工実行部111及び切粉排出時間算出部112として機能する。
【0012】
記憶部12は、OS(Operating System)やアプリケーションプログラム等を格納するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、その他の各種情報を格納するハードディスクドライブやSSD(Solid State Drive)等の記憶装置である。
【0013】
工作機械2は、数値制御装置1の制御に基づいて、穴あけ加工等の所定の機械加工や、工具の測定等を行う装置である。具体的には、本実施形態において、工作機械2は、切削工具21を備え、穴あけ加工を行うための装置である。
【0014】
工作機械2は、ワークを加工するために駆動するサーボモータや、このサーボモータに取り付けられた主軸及び送り軸、これら各軸に対応する治具及び切削工具、ワークを固定するテーブル等を備える。そして、工作機械2は、数値制御装置1から出力される動作指令に基づいてサーボモータを駆動させ、切削工具21を回転及び移動することにより穴あけ加工を行う。より具体的には、工作機械2は、切削工具21によって深穴あけ加工を行う。ここで、深穴あけとは、穴あけを行う場合に、一般的に穴の長さと直径との比が4倍以上ある穴をあけることをいう。
【0015】
数値制御装置1は、深穴あけ加工を行うための加工プログラムを用いて、工作機械2に深穴あけ加工を行わせるように制御する。加工プログラムは、例えば、深穴あけ加工を実行するためのGコードや穴あけ条件を定義する各種アルファベットによる引数コードによって構成される。
【0016】
図2は、従来の固定サイクル機能によって工作機械2による深穴あけ加工の一例を示す図である。一般的な深穴あけ加工では、工作機械2は、まず、穴あけ開始位置であるリファレンス点(以下、R点)まで切削工具21を早送りさせる。
【0017】
次に、工作機械2は、R点から切削送りの送り速度で切削工具21を回転させながら、R点から切り込み量qを切り込む。次に、工作機械2は、切削工具21を戻り量dまで後退させる。
【0018】
このように工作機械2は、切り込み及び戻りを繰り返しながら、R点から穴底Zまで深穴を形成する。特に、深穴あけ加工では、切粉詰まりを防ぐため、切り込みと戻りとを繰り返しながら加工する固定サイクル(ペックサイクル)がよく利用される。切削工具21の戻り量は、固定サイクルの指令値によって任意に指定できる。また、戻り量は、切粉の排出量を考慮して、戻り量を指令する必要がある。なお、R点から穴底まで切り込み及び戻り量の値は、加工開始時から一定である。
【0019】
なお、本明細書において、説明の便宜上、複数の切り込み及び戻りの動作は、X位置及びY位置が異なるように図示されているが、実際には、同一のX位置及びY位置において行われる。
【0020】
図3は、本実施形態に係る深穴あけ加工の一例を示す図である。
図4は、本実施形態に係る切削工具21のねじれ角V及び1回転あたりの工具長さZ’’を示す図である。
図5は、ねじれ角Vが30°の場合における切粉排出時間の算出に用いられる切削工具21を示す図である。なお、
図3におけるW点は、ワーク3の表面の基準点を示し、Z点は、深穴の穴底の位置(深さ)を示す。
【0021】
深穴加工実行部111は、切削工具21を回転させながらワーク3を切り込む切り込み動作と、切削工具を回転させながらワーク3の切り込みを停止する切り込み停止動作(すなわち、ドウェル動作)とを繰り返しながら深穴加工を行う。
【0022】
切粉排出時間算出部112は、切り込み動作における各切り込み後の切削工具21の位置に応じた切粉排出時間を算出する。そして、深穴加工実行部111は、切粉排出時間の間、切り込み停止動作を行う。
【0023】
なお、ドウェル機能とは、指令された時間分を次のブロックの動作に移る前に遅らせる機能である。固定サイクル時にドウェルが指令されると、切削工具21の刃先は、穴底に到達した時点で指令時間分停滞する。ドウェルが実行されている間、主軸の回転等は停止しない。ドウェル機能は、主に溝加工や穴加工等において底面の削り残しを防ぎ、精度を向上させために用いられる。
【0024】
また、切り込み停止動作によって薄くなる切粉が標準の送り速度で生成された切粉と分断されることは、材質や工具のすくい角(ねじれ角)、摩擦係数に大きく依存する。それを実験値によって求めた係数が切粉分断能力係数Kcである。鋳鉄のように切粉の分断性が良いものからアルミニウムのような延性をもつワークもあり、切粉が完全に分断されないことや、切粉の長さによっては第2の切り込み動作内での排出ができなくなるが、切粉分断能力係数Kcを用いることで切粉排出時間Tが最適化できる。
【0025】
具体的には、切粉排出時間算出部112は、切削工具21の回転数S、刃数B、半径Dc及びねじれ角Vと、切り込み動作における各切り込み後の切削工具21の位置Zqと、切粉分断能力係数Kcとに基づいて切粉排出時間Tを算出する。深穴加工実行部111は、切粉排出時間Tの間、切り込み停止動作を行う。
【0026】
ここで、切粉排出時間Tは、下記のように式(1)、(2)、(3)及び(4)を用いて算出される。
1回転あたりの時間T’’=1/S×60 (1)
切り込み後、切粉が分断される時間T1=1/S×60×1/B (2)
ねじれ角Vにおける1回転あたりの工具長さZ’’=Dc×π/tanV (3)
切粉排出時間T=(Zq/Z’’×T’’×Kc)+T1 (4)
【0027】
なお、上記の式において、回転数Sは、固定サイクル指令より前に指令された値を参照する。また、ねじれ角V及び工具長さZ’’は、
図4に示すように定義される。
【0028】
図5に示すように、式(2)において、ねじれ角Vが30°である場合、tan30°=D
c×π/Z’’となり、Z’’=D
c×π/tan30°となる。
また、ねじれ角Vにおける1回転あたりの工具長さZ’’は、切削工具21の刃先先端から溝に沿って360°回転させたときの切粉の移動距離に相当する。
【0029】
上述したような深穴あけ加工を行うために、加工プログラムは、例えば、以下のようになる。
G73.1 X** Y** Z** B** R** Q** F** K** V** ,D999
【0030】
ここで、G73.1は、深穴あけ加工を行うためのGコードの一例であり、引数指令X及びYは、切削工具21の位置決め、引数Zは指令値、引数RはR点、引数Qは切り込み量、引数Fは切削送り速度、引数Kは繰り返し動作、引数Vは切削工具21のドリルのねじれ角、引数,D999は、上述した切粉排出時間Tを用いて切り込み停止動作を行う最適化モードを示す。
【0031】
このように切粉が穴から排出される切粉排出時間Tの間、切り込み停止動作を行うことによって、切り込み後の動作を従来の戻り動作から切り込み停止動作(すなわち、ドウェル動作)に変更することによって、戻り動作時の急な切削工具21の加減速が不要となり、工作機械2の振動を抑制できる。
【0032】
また、固定サイクルの指令に含まれないパラメータが存在する場合、切粉排出時間算出部112は、深穴あけ加工を行う加工プログラムの引数指令において、ねじれ角Vの指令がない場合、予め定めたねじれ角Vを切粉排出時間Tの算出に採用する。例えば、切粉排出時間算出部112は、ねじれ角Vの指令がない場合、汎用ドリルの一般的なねじれ角である30°を採用する。
【0033】
また、切削工具21の半径Dc及び切粉分断能力係数Kcは、加工プログラムの引数として指令されず、工作機械2内に登録されたデータを参照してもよい。切削工具21の回転数Sは、固定サイクル指令より前に指令された値を参照する。数値制御装置1は、このように固定サイクルの指令に含まれないパラメータが存在する場合であっても問題なく深穴あけ加工を行うことができる。
【0034】
図6は、本実施形態に係る深穴あけ加工の別の例の概要を示す図である。深穴加工実行部111は、深穴あけ加工を行う加工プログラムの引数指令においてドウェルを指令する引数Pを含む場合、加工プログラムの指令値までの全ての切込みが終了した穴底に対して、切削工具21の回転を継続したまま、ドウェルを指令する引数Pによって指令した時間だけ切削工具21の停止動作を行う。これにより、数値制御装置1は、深穴あけ加工の完了時、穴底の品質向上のために、固定サイクルの指令値に応じたドウェルを行うことができる。
【0035】
更に、深穴加工実行部111は、深穴あけ加工を行う加工プログラムの引数指令において退避速度を指令する引数Eを含む場合、退避速度を指令する引数Eによって指令される退避速度を用いて切削工具21を移動する。加工プログラムの引数指令において引数Eを含まない場合、深穴加工実行部111は、早送り速度を用いて切削工具21を移動する。これにより、数値制御装置1は、加工後の退避速度を引数によって指令できる。
【0036】
加工プログラムは、例えば、以下のようになる。
G73.1 X** Y** Z** B** R** Q** F** K** V** ,D999 E** P**
ここで、引数Pは、ドウェル(穴底戻り)を示し、引数Eは、加工後の退避速度を示す。
【0037】
また、深穴加工実行部111は、固定サイクルのステップごとに切り込み量を変化させてもよい。これにより、数値制御装置1は、切削が容易なワークを用いる場合、ステップ回数を削減することができる。
【0038】
また、深穴加工実行部111は、固定サイクルのステップごとに送り速度を変化させてもよい。これにより、数値制御装置1は、従来よりも汎用性を有することが可能となる。例えば、切り込み位置が浅い部分では、送り速度を増加させ、深い位置では送り速度を減少させる。また、例えば、数値制御装置1は、切削工具21がワーク3へ進入する際に送り速度を減少させることによって、加工完了時における深穴の曲がりを抑制することができる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、数値制御装置1は、切削工具21を回転させながらワーク3を切り込む切り込み動作と、切削工具21を回転させながらワーク3の切り込みを停止する切り込み停止動作とを繰り返しながら深穴あけ加工を行う深穴加工実行部111と、切り込み動作における各切り込み後の切削工具21の位置に応じた切粉排出時間Tを算出する切粉排出時間算出部112と、を備え、深穴加工実行部111は、切粉排出時間Tの間、切り込み停止動作を行う。
【0040】
このように数値制御装置1は、切粉が穴から排出される切粉排出時間Tの間、切り込み停止動作を行う。数値制御装置1は、切り込み後の動作を従来の戻り動作から切り込み停止動作(すなわち、ドウェル動作)に変更することによって、戻り動作時の急な切削工具21の加減速が不要となり、工作機械2の振動を抑制できる。
【0041】
また、切粉排出時間算出部112は、切削工具21の回転数S、刃数B、半径Dc及びねじれ角Vと、切り込み動作における各切り込み後の切削工具21の位置Zqと、切粉分断能力係数Kcとに基づいて切粉排出時間Tを算出する。深穴加工実行部111は、切粉排出時間Tの間、切り込み停止動作を行う。これにより、数値制御装置1は、切粉が穴から排出される切粉排出時間Tの間、切り込み停止動作を行うことによって、切粉を穴から適切に排出することを促すことができる。
【0042】
また、切粉排出時間算出部112は、深穴あけ加工を行う加工プログラムの引数指令において、ねじれ角Vの指令がない場合、予め定めたねじれ角を切粉排出時間Tの算出に採用する。これにより、数値制御装置1は、このように固定サイクルの指令に含まれないパラメータが存在する場合であっても効率良く深穴あけ加工を行うことができる。
【0043】
また、深穴加工実行部111は、深穴あけ加工を行う加工プログラムの引数指令においてドウェルを指令する引数Pを含む場合、加工プログラムの指令値までの全ての切り込みが終了した穴底に対して、切削工具21の回転を継続したまま、ドウェルを指令する引数Pによって指令した時間だけ停止動作を行う。これにより、数値制御装置1は、深穴あけ加工の完了時、固定サイクルの指令値に応じたドウェルを行うことができ、穴底の品質向上させることができる。
【0044】
また、深穴加工実行部111は、深穴あけ加工を行う加工プログラムの引数指令において退避速度を指令する引数Eを含む場合、退避速度を指令する引数Eによって指令される退避速度を用いて切削工具21を移動する。これにより、数値制御装置1は、加工後の退避速度を引数によって指令でき、深穴あけ加工の効率を更に向上させることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の数値制御装置1は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、上記の数値制御装置1により行なわれる制御方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0046】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。
【0047】
また、上述した各実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記各実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 数値制御装置
2 工作機械
3 ワーク
21 切削工具
11 制御部
12 記憶部
111 深穴加工実行部
112 切粉排出時間算出部
【要約】
穴あけ加工において切削工具の急な加減速が不要となり、工作機械の振動を抑制できる数値制御装置を提供する。数値制御装置は、切削工具を回転させながらワークを切り込む切り込み動作と、前記切削工具を回転させながら前記ワークの切り込みを停止する切り込み停止動作とを繰り返しながら深穴あけ加工を行う深穴加工実行部と、前記切り込み動作における各切り込み後の前記切削工具の位置に応じた切粉排出時間を算出する切粉排出時間算出部と、を備え、前記深穴加工実行部は、前記切粉排出時間の間、前記切り込み停止動作を行う。