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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】振動アクチュエーター及び携帯機器
(51)【国際特許分類】
   H02K 33/16 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
H02K33/16 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017254218
(22)【出願日】2017-12-28
(65)【公開番号】P2019122101
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】坂口 和隆
(72)【発明者】
【氏名】北村 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】下村 重幸
(72)【発明者】
【氏名】荻原 裕樹
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-347224(JP,A)
【文献】特開2015-91189(JP,A)
【文献】特開2006-68688(JP,A)
【文献】特開2002-177882(JP,A)
【文献】特開平9-85169(JP,A)
【文献】特開平11-76939(JP,A)
【文献】特開2002-263572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと前記コイルを保持するコイルホルダーとウェイトとを有する可動体と、
前記コイルの径方向内側に離間して前記コイルに挿通されるマグネットを有し、給電されるコイルと前記マグネットとの協働により前記可動体を振動方向に往復動させる固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して片持ち構造で可動自在に支持する弾性支持部と、
を有し、
前記弾性支持部は、前記可動体の側方で前記固定体に一端側が固定されるとともに、前記一端側から他端側に前記振動方向と交差する方向で延在し、前記他端側で前記可動体に固定される板状の主面部と、前記主面部の前記一端側に折曲して設けられ、前記主面部とL字形状の板ばねを構成する主面固定部と、を有し、
前記可動体は、前記コイルホルダーが前記コイル内に前記マグネットを前記振動方向に挿通させた状態で前記主面部の前記他端側に接続され、前記ウェイトが前記主面部の延在方向で前記コイルホルダーに連続して設けられ、
前記固定体は、前記コイルホルダーにおける前記一端側の端面に対向配置される側端壁部を有し、
前記主面固定部は、前記側端壁部の裏面に面接触して固定される
振動アクチュエーター。
【請求項2】
コイルと前記コイルを保持するコイルホルダーとウェイトとを有する可動体と、
前記コイルの径方向内側に離間して前記コイルに挿通されるマグネットを有し、給電されるコイルと前記マグネットとの協働により前記可動体を振動方向に往復動させる固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して片持ち構造で可動自在に支持する弾性支持部と、
を有し、
前記弾性支持部は、前記可動体の側方で前記固定体に一端側が固定されるとともに、前記一端側から他端側に前記振動方向と交差する方向で延在し、前記他端側で前記可動体に固定される板状の主面部を有し、
前記可動体は、前記コイルホルダーが前記コイル内に前記マグネットを前記振動方向に挿通させた状態で前記主面部の前記他端側に接続され、前記ウェイトが前記主面部の延在方向で前記コイルホルダーに連続して設けられ、
前記固定体は、前記一端側から前記他端側に延在し、且つ、前記可動体を可動自在に収容する矩形状のケースと、
前記ケースの天面部及び底面部に設けられ、前記可動体が往復動する際に、前記可動体の前記他端側に接触し、接触時の衝撃を緩和しつつ、前記天面部及び前記底面部に振動を伝達するダンパーと、
を有し、
前記弾性支持部は、板ばねであり、前記主面部の前記一端側に連設され、且つ、前記ケースにおいて前記一端側から前記他端側に延在するケース側面部に固定される主面固定部を有する、
振動アクチュエーター。
【請求項3】
コイルと前記コイルを保持するコイルホルダーとウェイトとを有する可動体と、
前記コイルの径方向内側に離間して前記コイルに挿通されるマグネットを有し、給電されるコイルと前記マグネットとの協働により前記可動体を振動方向に往復動させる固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して片持ち構造で可動自在に支持する弾性支持部と、
を有し、
前記弾性支持部は、前記可動体の側方で前記固定体に一端側が固定されるとともに、前記一端側から他端側に前記振動方向と交差する方向で延在し、前記他端側で前記可動体に固定される板状の主面部を有し、
前記可動体は、前記コイルホルダーが前記コイル内に前記マグネットを前記振動方向に挿通させた状態で前記主面部の前記他端側に接続され、前記ウェイトが前記主面部の延在方向で前記コイルホルダーに連続して設けられ、
前記弾性支持部は、前記主面部の他端から前記主面部の延在方向に突出して設けられ、中央に前記マグネットが挿通される開口を有し前記コイルホルダーが固定されるとともに、前記可動体の一部となる可動体固定部を有し、
前記可動体固定部には、補強部材が積層して設けられている、
振動アクチュエーター。
【請求項4】
前記コイルホルダーは、前記コイルに給電するための基板を挿入して固定するポケット状の挿入部を有する、
請求項1からのいずれか一項に記載の振動アクチュエーター。
【請求項5】
前記ウェイトは、前記端側である前記可動体の自由端側に向かって前記振動方向の厚みが薄くなるように形成される、
請求項1からのいずれか一項に記載の振動アクチュエーター。
【請求項6】
請求項1からのいずれか一項に記載の振動アクチュエーターを実装していることを特徴とする携帯機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動アクチュエーター及び携帯機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯機器には、振動を指や手足等に伝達することによって、着信を通知したり、タッチパネルの操作感触やゲーム機のコントローラー等の遊戯装置の臨場感を向上させたりする振動発生源として振動アクチュエーターが実装されている。なお、携帯機器は、携帯電話やスマートフォンなどの携帯通信端末、タブレットPCなどの携帯情報端末、携帯型ゲーム端末、据置型ゲーム機のコントローラー(ゲームパッド)の他、服や腕などに装着されるウェアラブル端末を含む。
【0003】
特許文献1~3に開示の振動アクチュエーターは、コイルを有する固定体と、マグネットを有する可動体と、を備え、コイルとマグネットで構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して、可動体を往復動させることにより、振動を生じさせる。この振動アクチュエーターは、可動体がシャフトに沿って直線移動するリニアアクチュエーターであり、振動方向が携帯機器の主面と平行になるように実装される。携帯機器と接触するユーザーの体表面には、体表面に沿う方向の振動が伝達される。
【0004】
また、特許文献4、5に開示の振動モータでは、可動体が、コイルに対して上下方向で対向するように配置された磁石を有する。可動体は、ばねの主面部を上下方向と平行に配置した板ばねにより支持されており、コイルと磁石との間で発生する力により横方向に振動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-095943号公報
【文献】特開2015-112013号公報
【文献】特許第4875133号公報
【文献】特開2016-226247号公報
【文献】特開2016-221495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
振動機能を有する携帯機器には、ユーザーに十分な体感振動を与えられることが要求される。しかしながら、特許文献1~5に開示の振動アクチュエーターの場合、体表面に沿う方向の振動であるため、十分な体感振動を与えられない虞がある。また、特許文献4、5のように、コイルと磁石とを上下方向で対向して配置した構成では、ユーザーに十分な体感振動を付与するためには、上下方向で所定厚を有するコイル及び磁石を用いる必要があり、上下方向の厚みを薄くできないという問題がある。また、これら振動アクチュエーターでは、可動体を支持するばねを固定体の底板に取り付ける場合、取り付けの際の加工痕が底板に残り、振動アクチュエーターを底板で平面に取り付ける際に、その取付を阻害する恐れがある。
【0007】
本発明の目的は、サイズを大型化することなく、底板の平面性を確保しつつ、ユーザーに十分な体感振動を与えることができる振動アクチュエーター及び携帯機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る振動アクチュエーターは、
コイルと前記コイルを保持するコイルホルダーとウェイトとを有する可動体と、
前記コイルの径方向内側に離間して前記コイルに挿通されるマグネットを有し、給電されるコイルと前記マグネットとの協働により前記可動体を振動方向に往復動させる固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して片持ち構造で可動自在に支持する弾性支持部と、
を有し、
前記弾性支持部は、前記可動体の側方で前記固定体に一端側が固定されるとともに、前記一端側から他端側に前記振動方向と交差する方向で延在し、前記他端側で前記可動体に固定される板状の主面部と、前記主面部の前記一端側に折曲して設けられ、前記主面部とL字形状の板ばねを構成する主面固定部と、を有し、
前記可動体は、前記コイルホルダーが前記コイル内に前記マグネットを前記振動方向に挿通させた状態で前記主面部の前記他端側に接続され、前記ウェイトが前記主面部の延在方向で前記コイルホルダーに連続して設けられ、
前記固定体は、前記コイルホルダーにおける前記一端側の端面に対向配置される側端壁部を有し、
前記主面固定部は、前記側端壁部の裏面に面接触して固定される構成を採る。
本発明の一態様に係る振動アクチュエーターは、
コイルと前記コイルを保持するコイルホルダーとウェイトとを有する可動体と、
前記コイルの径方向内側に離間して前記コイルに挿通されるマグネットを有し、給電されるコイルと前記マグネットとの協働により前記可動体を振動方向に往復動させる固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して片持ち構造で可動自在に支持する弾性支持部と、
を有し、
前記弾性支持部は、前記可動体の側方で前記固定体に一端側が固定されるとともに、前記一端側から他端側に前記振動方向と交差する方向で延在し、前記他端側で前記可動体に固定される板状の主面部を有し、
前記可動体は、前記コイルホルダーが前記コイル内に前記マグネットを前記振動方向に挿通させた状態で前記主面部の前記他端側に接続され、前記ウェイトが前記主面部の延在方向で前記コイルホルダーに連続して設けられ、
前記固定体は、前記一端側から前記他端側に延在し、且つ、前記可動体を可動自在に収容する矩形状のケースと、
前記ケースの天面部及び底面部に設けられ、前記可動体が往復動する際に、前記可動体の前記他端側に接触し、接触時の衝撃を緩和しつつ、前記天面部及び前記底面部に振動を伝達するダンパーと、
を有し、
前記弾性支持部は、板ばねであり、前記主面部の前記一端側に連設され、且つ、前記ケースにおいて前記一端側から前記他端側に延在するケース側面部に固定される主面固定部を有する構成を採る。
本発明の一態様に係る振動アクチュエーターは、
コイルと前記コイルを保持するコイルホルダーとウェイトとを有する可動体と、
前記コイルの径方向内側に離間して前記コイルに挿通されるマグネットを有し、給電されるコイルと前記マグネットとの協働により前記可動体を振動方向に往復動させる固定体と、
前記可動体を前記固定体に対して片持ち構造で可動自在に支持する弾性支持部と、
を有し、
前記弾性支持部は、前記可動体の側方で前記固定体に一端側が固定されるとともに、前記一端側から他端側に前記振動方向と交差する方向で延在し、前記他端側で前記可動体に固定される板状の主面部を有し、
前記可動体は、前記コイルホルダーが前記コイル内に前記マグネットを前記振動方向に挿通させた状態で前記主面部の前記他端側に接続され、前記ウェイトが前記主面部の延在方向で前記コイルホルダーに連続して設けられ、
前記弾性支持部は、前記主面部の他端から前記主面部の延在方向に突出して設けられ、中央に前記マグネットが挿通される開口を有し前記コイルホルダーが固定されるとともに、前記可動体の一部となる可動体固定部を有し、
前記可動体固定部には、補強部材が積層して設けられている構成を採る。
【0009】
本発明の一態様に係る携帯機器は、上記の振動アクチュエーターを実装している構成を採る。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、サイズを大型化することなく、底板の平面性を確保しつつ、ユーザーに十分な体感振動を与えることができる振動アクチュエーター及び携帯機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1に係る振動アクチュエーターを示す外観斜視図である。
図2】振動アクチュエーターのカバーを外した状態を示す斜視図である。
図3】振動アクチュエーターの分解斜視図である。
図4】振動アクチュエーターの要部構成を示す縦断面図である。
図5】振動アクチュエーターのカバーとFPCとを外した状態を示す斜視図である。
図6】可動体においてウエイトを外した状態の要部構成を示す斜視図である。
図7図6の可動体の要部構成を下側から見た斜視図である。
図8】FPCとコイルホルダーと弾性支持体の取付構造の説明に供する図である。
図9】振動アクチュエーターの磁気回路を示す図である。
図10】可動体の動作を示す縦断面図である。
図11】本発明の実施の形態2に係る振動アクチュエーターを示す外観斜視図である。
図12】同振動アクチュエーターのカバーを外した状態を示す斜視図である。
図13】同振動アクチュエーターの分解斜視図である。
図14】同振動アクチュエーターの要部構成を示す縦断面図である。
図15】ベースプレートを外した振動アクチュエーターを下方から見た図である。
図16】振動アクチュエーターを有する携帯機器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
<実施の形態1>
[振動アクチュエーター1の全体構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る振動アクチュエーター1を示す外観斜視図である。図2は、振動アクチュエーター1のカバー15を外した状態を示す斜視図である。図3は、振動アクチュエーター1の分解斜視図である。図4は、振動アクチュエーター1の要部構成を示す縦断面図である。図5は振動アクチュエーターのカバーとFPCとを外した状態を示す斜視図であり、図6は、可動体においてウエイトを外した状態の要部構成を示す斜視図であり、図7は、図6の可動体の要部構成を下側から見た斜視図である。
【0014】
本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する図(実施の形態2、3の説明に供する図も含む)においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。以下において、振動アクチュエーター1の幅、奥行き、高さは、それぞれ、X方向、Y方向、Z方向の長さである。また、Z方向プラス側を「上側」、Z方向マイナス側を「下側」として説明する。また、本実施の形態における「可動体の側方」は、可動体を中心としてZ方向に直交する放射方向を意味し、本実施の形態では、可動体を中心としたX方向、-X方向、Y方向を意味する。
【0015】
振動アクチュエーター1は、スマートフォン等の携帯機器(図16A図16B参照)に振動発生源として実装され、携帯機器の振動機能を実現する。振動アクチュエーター1は、例えば、振動することで、ユーザーに対して着信を通知したり、操作感や臨場感を与えたりする場合に駆動する。振動アクチュエーター1は、例えば、携帯機器において、ユーザーに接触する振動伝達面とXY面が平行となるように実装される。振動伝達面は、例えば、携帯機器では、スマートフォンやタブレット端末の場合はタッチパネル面であり、ユーザーの服や腕などに装着されるウェアラブル端末では、服や腕に接触する外面(図16Aでは内周面605)である。
【0016】
図1図4に示すように、振動アクチュエーター1は、固定体10、可動体20及び弾性支持体30を備える。固定体10は、一端側を支点として他端側が往復動するように、弾性支持体30を介して可動体20と連結され、可動体20を支持する。
【0017】
本実施の形態では、固定体10はマグネット11を有し、可動体20はコイル21を有する。すなわち、振動アクチュエーター1では、ムービングコイル方式のボイスコイルモーター(VCM:Voice Coil Motor)が採用されている。なお、振動アクチュエーター1において、固定体10がコイルを有するとともに可動体20がマグネットを有する、ムービングマグネット方式のボイスコイルモーターを適用することもできる。
【0018】
[固定体10]
固定体10は、弾性支持体30を介して可動体20を支持する。
【0019】
固定体10は、マグネット11、ベースプレート13、カバー15及びダンパー材45を有する。
【0020】
ベースプレート13は、鋼板等の板状材(本実施の形態では矩形板)により形成され、振動アクチュエーター1の底面を形成する矩形状のプレート本体131と、可動体20の側方(ここでは奥行き側の側方を意味する)で、弾性支持体30の一端が固定される側端壁部133とを有する。なお、可動体20の側方のうち、奥行き側の側方には、側端壁部133が配置され、幅方向側の側方には、カバー15の側壁部が配置され、奥行き方向と逆側の先端側、つまり、自由端側には、カバー15の先端壁部が配置されている。
【0021】
プレート本体131上には、第1マグネット111が固定されるとともに、プレート本体131上に離間して可動体20が対向配置される。
【0022】
側端壁部133は、図1図5に示すように、本実施の形態では、プレート本体131の一端側(奥行き側)の端部から屈曲して立ち上がるようにプレート本体131と一体に設けられている。
【0023】
側端壁部133は、可動体20の基端側の端面と離間して対向して配置されている。
【0024】
カバー15は、ベースプレート13に対応し、ベースプレート13側で開口する箱形状(本実施の形態では角箱状)を有し、両側壁部及び先端壁部により、振動アクチュエーター1における底面部(以下では、便宜上、「天面部」と称する)、幅方向で離間する両側面部、及び、先端側の側面である先端側面部を形成する。
【0025】
ベースプレート13にカバー15が取り付けられることにより、振動アクチュエーター1の箱形状(本実施の形態では角箱状)の筐体(ケース)が形成される。振動アクチュエーター1の外形及び寸法は特に制限されないが、本実施の形態では、幅(X方向)、奥行き(Y方向)、高さ(Z方向)のうち、奥行きが最も長く、高さが最も短い直方体形状となるように構成されている。ベースプレート13とカバー15によって形成される空間に、可動体20を含む構成要素が収容される。
【0026】
ベースプレート13及びカバー15は、導電性を有する材料により形成されるのが好ましい。これにより、ベースプレート13及びカバー15は、電磁シールドとして機能するとともに、マグネット11とともに磁気回路を形成するヨークとして機能する。
【0027】
また、ベースプレート13及びカバー15には、それぞれ、振動する可動体20に可動体20の自由端側で接触するダンパー材45が設けられている。
【0028】
ダンパー材45は、可動体20が振動した際に、可動体20のウエイト23に接触することにより、可動体20の振動を振動アクチュエーター1の筐体であるベースプレート13及びカバー15に伝達する(図10B図10C参照)。これにより、ダンパー材45は、大きな振動を筐体に発生させることができる。ダンパー材45は、例えば、エラストマー、ゴム、樹脂、又は多孔質弾性体(例えば、スポンジ)などの軟質材料により形成される。本実施の形態ではダンパー材45は、ベースプレート13及びカバー15に設けた構成としたが、可動体20側、ここではウエイト23に設けて、可動体20の振動時に、ベースプレート13及びカバー15に接触するようにしてもよい。
【0029】
マグネット11は、2つのマグネット111、112で構成される。マグネット111、112のうち、振動アクチュエーター1を組み立てた状態において上側(カバー15側)に位置するマグネット111を第1マグネット111、下側(ベースプレート13側)に位置するマグネット112を第2マグネット112と称する。
【0030】
第1マグネット111及び第2マグネット112は、略同一の形状(本実施の形態では奥行き方向に長い直方体状)を有し、着磁方向が逆となるように接合されている。すなわち、第1マグネット111及び第2マグネット112は、同磁極で対向して配置され、接合されている。なお、本実施の形態では、第1マグネット111及び第2マグネット112は、着磁方向が逆となるように接合された構成としたが、着磁方向が逆となるように互いに離間して配置された構成としてもよい。
【0031】
本実施の形態では、第1マグネット111及び第2マグネット112は、それぞれ、接合面側がN極、カバー15側又はベースプレート13側がS極となるように着磁されているものとする。なお、「略同一」とは、第1マグネット111及び第2マグネット112の外形は同じであるが、細部(例えば、接合面に形成される凹部111a、112a(図3参照))の構造は異なっていてもよいことを意味する。
【0032】
また、第1マグネット111及び第2マグネット112は、コイル21に対してコイル21の径方向内側で所定間隔を空けて離間するように配置される。ここで、「径方向」とは、コイル軸(Z方向)に直交する方向である。また、「所定間隔」とは、第1マグネット111及び第2マグネット112に対するコイル21のZ方向の移動(揺動)を許容する間隔である。なお、コイル21は、振動アクチュエーター1を組み立てた状態において、第1マグネット111と第2マグネット112の接合部分と高さ位置が同じになるように配置される。
【0033】
第1マグネット111及び第2マグネット112において、接合面側がN極、カバー15側又はベースプレート13側がS極となるように着磁されている場合、マグネット11のZ方向中心部分(接合部分)から放射され、Z方向で離間する両端部(上下方向のそれぞれの端部)に入射する磁束が形成される。したがって、コイル21のどの部分に対しても、内側から外側に磁束が横切るので、コイル21に通電したときに同じ方向にローレンツ力が作用する。例えば、図10Bに示すようにコイル21への通電が行われた場合は、コイル21には上方向のローレンツ力が作用し、図10Cに示すようにコイル21への通電が行われた場合は、コイル21に下方向のローレンツ力が作用する。
【0034】
第1マグネット111と第2マグネット112は互いに接合される場合、例えば、接着剤によって接着される。すなわち、第1マグネット111と第2マグネット112の間には、接着層(符号略)が介在する。接着剤には、例えば、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、又は嫌気硬化性樹脂からなる接着剤を適用できる。紫外線硬化型接着剤(アクリル樹脂系又はエポキシ樹脂系)の場合、紫外線照射により短時間で硬化させることができるので、タクトタイム及び工程を低減することができる。一方、熱硬化型接着剤(エポキシ樹脂系又はアクリル樹脂系)又は嫌気硬化型接着剤(アクリル樹脂系)の場合、接合強度を高めることができる。本実施の形態では、第1マグネット111と第2マグネット112とは、エポキシ樹脂系の熱硬化型接着剤で接合している。紫外線硬化型接着剤の場合、接着層の中心部に紫外線光が照射されにくいため、硬化が不十分となる虞がある。同様に、嫌気硬化型接着剤の場合、マグネット11が小型であり、空気と接触しない部分が小さいために、硬化が不十分となる虞がある。これに対して、エポキシ樹脂系の熱硬化型接着剤の場合、加熱により確実に硬化させることができるので、安定した製造工程となり、製造性、信頼性が向上する。
【0035】
本実施の形態では、第1マグネット111及び第2マグネット112は、それぞれの接合面に、凹部111a、112aを有する。これにより、凹部111a、112aが樹脂溜まりとなって接着面積が広くなり、接着強度が高まるため、耐衝撃性が改善され、信頼性が向上する。また、接着剤のはみ出しが低減されるため、作業性も改善される。さらには、凹部111a、112aは、同じ極性を有する磁極面に設けられているので、第1マグネット111及び第2マグネット112の着磁方向を判別するためのマーキングとして利用することもできる。
【0036】
第1マグネット111及び第2マグネット112を、着磁方向が逆となるように接着剤により接合する場合、接着剤の塗布量が多いとマグネット間の隙間が大きくなり振動特性に影響する。また、接着剤の塗布量が少ないと十分な接合強度が得られず振動時に破損する虞がある。本実施の形態では、第1マグネット111及び第2マグネット112のそれぞれの接合面に凹部111a、112aを設けているので、このような課題は解決されている。
【0037】
なお、第1マグネット111及び第2マグネット112の少なくとも一方が、凹部111a、112aを有していればよく、凹部111a、112aの形状は異なっていてもよく、本実施の形態では直線状に設けられているが、十字形状であってもよい。凹部111a、112aが十字形状である場合、接着剤の溜まる量が多くなり、直線形状とした場合よりも効果的に接着強度を高めることができる。一方、凹部111a、112aを直線形状とする場合は、加工がしやすく、安定した形状を実現でき、個体間のばらつきを抑制でき、安定した品質のマグネット11を提供できる。
【0038】
第2マグネット112は、例えば、エポキシ樹脂等の熱硬化型接着剤により、ベースプレート13のプレート本体131の所定の位置に固定される。また、第1マグネット111は、例えば、マグネット11を可動体20に挿通し、カバー15を取り付けた後、カバー15の注入穴(符号略)から接着剤を注入することにより、カバー15の所定の位置に固定される。
【0039】
[可動体]
可動体20は、振動アクチュエーター1において、駆動時に振動(揺動)する。具体的には、可動体20は、弾性支持体30により固定体10に対して、自由端部が、振動伝達面に対して直交する方向、ここではZ方向である上下方向に振動する。
【0040】
可動体20の一端(ここでは、コイルホルダー22の奥行き側の端部)は、可動体20の側方で、弾性支持体30の板ばね部33を介して固定体10のベースプレート13の側端壁部133と連結され、他端が自由端である。可動体20は、筐体内部において、ベースプレート13とカバー15の天面部との間の中間の位置に、それぞれと略平行に片持ち支持された状態で配置される。すなわち、弾性支持体30は、可動体20を振動方向(Z方向)に可動自在に、片持ちで支持する構造を有する。
【0041】
可動体20は、コイル21、コイルホルダー22、ウエイト23、及び補強部材28を有する。なお、本実施の形態では、弾性支持体30(詳細は後述する)のウエイト固定部31及びホルダ取付部(可動体固定部)32も可動体20の一部を構成し可動体20として揺動する。
【0042】
可動体20は、非通電状態において、ベースプレート13およびカバー15の天面部に対向した状態となっている。可動体20は、コイル21に通電が行われると、ベースプレート13(具体的にはプレート本体131)及びカバー15の天面部に対して接離するように高さ方向(Z方向)に往復動する(図10B図10C参照)。
【0043】
図6は、可動体20においてウエイト23を外した状態の要部構成を示す斜視図であり、図7図6の可動体20の要部構成を下側から見た斜視図である。また、図8は、FPC40とコイルホルダー22と弾性支持体30の取付構造の説明に供する図である。
図2図7に示すコイルホルダー22は、コイル21を弾性支持体30に接続するための接続部品である。コイルホルダー22は、コイル21を収容するコイル収容部222、収容部固定部224及び基板挿入部(挿入部)226を有する(図3図5参照)。
【0044】
本実施の形態では、コイルホルダー22は、樹脂材料により形成される。これにより、金属製の他の部材(例えば、弾性支持体30)との電気的絶縁を確保することができるので、信頼性が向上する。また、コイルホルダー22は、コイル21を固定した状態で弾性支持体30に取り付けられるので、コイル21の変形やほつれを抑制し、作業性及び取付性の向上を図ることができる。
【0045】
樹脂材料には、例えば、液晶ポリマー又はポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)が好適である。コイルホルダー22の樹脂材料として、高流動性を有する液晶ポリマー又はPPSを用いることにより、コイルホルダー22の強度を確保しつつ肉厚を薄くすることができるため、スペースを低減できる。したがって、コイル21とマグネット11の設計の自由度が高まり、振動アクチュエーター1の振動出力の向上を図ることができる。また、液晶ポリマー及びPPS樹脂は、耐熱性及び機械的強度に優れるため、信頼性も向上する。
【0046】
コイル収容部222は、本実施の形態では、奥行き方向(Y方向)に延在する両側面で開口する直方体フレーム形状に形成され、コイル収容部222の内面に、コイル21の外周面及び上端面が固定されるようになっている。コイル収容部222の上面は、マグネット11を挿通するために開口222a(図3参照)が形成された枠状をなしている。
【0047】
コイル収容部222は、上面において奥行き方向(Y方向)で離間する端辺部から下方に垂下して端面部(222b、222c)が設けられている。なお、以下では便宜上、コイル収容部222の奥行き側の端面部(222b)を、板ばね部333に固定される固定端側の面部として基端面部222bと称し、奥行き方向とは逆側の端面部(222c)であり自由端側の面部を先端面部222cと称する。
【0048】
コイル収容部222の基端面部222bの外面(奥行き方向側の面)には、幅方向(X方向)で離間する両側辺部から奥行き方向(Y方向)に突出するリブが設けられている。基端面部222bとリブは、コイル収容部222の内側、つまり、基端面部222bとリブの内側にコイル21を取り付ける際に、コイル21の取付け位置を安定させ、その取付け精度を向上させている。これにより、振動アクチュエーター1の製品間の振動出力の安定を確保できる。また、コイル21の位置決めが容易となるため、作業性が向上する。さらに、コイル21とマグネット11との間に介在物がないため、コイル21とマグネット11を近接させることができ、振動アクチュエーター1の振動出力を増大させるのに好適である。
【0049】
収容部固定部224は、コイルホルダー22を弾性支持体30に固定する。
【0050】
収容部固定部224は、本実施の形態では、コイル収容部222の上面に設けられる。収容部固定部224は、コイル収容部222の枠状の上面において奥行き方向(Y方向)で対向する端辺部に設けられた突起であり、当該上面に積層される弾性支持体30の枠状のホルダ取付部32の挿入孔322に挿入されて位置決めされる。
【0051】
基板挿入部226は、図3図4及び図6図8に示すように、コイル21と電気的に接続するフレキシブルプリント回路基板40(以下、「FPC40」と称する)の接続基板部42を挿入して固定する。これにより、コイル21の両端部とFPC40の接続基板部42とを所定の決められた位置、例えば、基端面部222b近傍に位置させることができる。
【0052】
基板挿入部226は、コイル収容部222の基端面部222bの両側辺部から外側(奥行方向)に突出するように形成される。基板挿入部226には、上方から接続基板部42が挿入されて係合する。本実施の形態では、接続基板部42は、端面部222bの外面に重なるように配置され、端面部222bと基板挿入部226とに係合する。
【0053】
基板挿入部226に挿入されたPFC40の接続基板部42の配線は、端面部222bの下端部に形成された溝部223を介してコイル収容部222の内側から外側に導出されるコイル21の両端部に、例えば、半田付けにより接続される。この構造により、コイル21の両端部を端面部222bの溝部223を介してコイル収容部222の内側から外側に導出してFPC40に半田付け等して接続できるので、FPC40とコイル21との接続を、可動体20の外側から容易に行うことができる。溝部223内にコイル21の両端部が配置されるので、コイル21の両端部が、可動体20が振動する際の邪魔になることがない。
【0054】
コイルホルダー22が基板挿入部226を有することにより、コイルホルダー22へのFPC40への固定を強固に行うことができる。また、コイル21の両端部を基板挿入部226により強固に保持されたFPC40の配線に容易に半田付け或いは接着により接合することができ、作業性が高く、安定した信頼性の高い製造が可能となる。
【0055】
コイル21は、駆動時に通電される空芯コイルであり、マグネット11とともにボイスコイルモーターを構成する。コイル21は、例えば、自己融着線を巻線して融着することにより形成される。コイル21は、コイルホルダー22を介して弾性支持体30のホルダ取付部32に取り付けられる。
【0056】
コイル21は、ホルダ収容部222の内周面の形状、つまり、上面、基端面部222b、先端面部222cおよびリブとで囲まれる領域に対応する形状(ここでは、略長方形状)を有する。これにより、コイルホルダー22に対してコイル21を容易に取り付けることができる。具体的には、コイル21の上面とコイル21の奥行き方向で離間する両端面(基端側の端面と先端側の端面)で、コイル収容部222の上面と端面部222b、222cとに、例えば接着によりコイル21を容易に固定することができる。
【0057】
振動アクチュエーター1を組み立てた状態では、上述したように、コイル21の径方向内側に、所定間隔をあけてマグネット11が配置される。このとき、コイル21は、第1マグネット111と第2マグネット112の接合部分の周囲に位置する。
【0058】
コイル21の両端は、それぞれ、ホルダ収容部222の基端面部222bの溝部223を外部に導出してFPC40の接続基板部42に接続され、このFPC40を介してコイル21に通電が行われる。
【0059】
ウエイト23は、可動体20の振動出力を増加させるための錘である。ウエイト23は、可動体20において自由端側に配置されることが好ましい。ウエイト23は、本実施の形態では、矢じり形状に形成され、上下面が自由端側つまり先端側に向かって接近するように、テーパが付けられている。これによりウエイト23は、自由端側に向かって振動方向の厚みが薄くなっている。ウエイト23は、弾性支持体30のウエイト固定部31に、ウエイト固定部31の延在方向に沿って連設され、コイルホルダー22を介してコイル21に隣接配置されている。
【0060】
ウエイト23の奥行き方向側の端部は、弾性支持体30のウエイト固定部31が固定される弾性体固定部232である。弾性体固定部232は、ウエイト23の弾性支持体30から延出する部分、ここでは、テーパが付けられた部分よりも、弾性支持体30のウエイト固定部31の厚さ分だけ薄く形成されており、ウエイト固定部31を介して弾性支持体30と連結されたときに表面(ここでは上面)が面一となるようになっている。
【0061】
ウエイト23は、弾性体固定部232に連続する自由端側の表裏面(振動方向であるZ方向で離間する面であり、ここでは上下面)にそれぞれ先端に向かって接近するように傾斜するテーパが付けられている。このテーパは、可動体20が振動した際に、筐体の上下面と略平行となるように設けられている。よって、上下面が平行なフラット面であるウエイトを用いて同じ揺動範囲内で可動体を振動させる場合と比較して、筐体内におけるウエイト23の振動領域を広くとることができる。加えて、上下面にテーパを有するウエイト23は、上下面が平行なフラット面であるウエイトと比較して、自由端側から奥行き方向に向かって上下面間の厚みを大きくすることで、可動体20の重量を大きくできる。これにより、振動出力を大きくすることができる。
【0062】
ウエイト23の奥行き方向側の端部は、上下面にも弾性体固定部232が形成されており、上下面で同形状に形成される。これにより弾性支持体30にウエイト23を固定する際に、ウエイト23の上下面の向きに関係無く、ウエイト固定部31と弾性体固定部232とを固定できる。ウエイト固定部31と弾性体固定部232とは、例えば熱硬化型接着剤等の接着材により接着して固定する。また、ウエイト固定部31と弾性体固定部232とを溶接により固定してもよい。なお、ウエイト固定部31と弾性体固定部232とは、例えば、銅系材料(銅又は銅合金)又はステンレス材料で形成されるリベットでかしめることで接合してもよい。
【0063】
ウエイト23は、電気亜鉛めっき鋼板(SECC、鋼板の比重は7.85)等の材料よりも比重の高い材料(例えば、比重が16~19程度)により形成されるのが好ましい。ウエイト23の材料には、例えば、タングステンを適用できる。これにより、設計等において可動体20の外形寸法が設定された場合でも、可動体20の質量を比較的容易に増加させることができ、所望の振動出力を実現することができる。
【0064】
ウエイト23の上下面のテーパ部分の先端部(ベースプレート13又はカバー15に衝突する部分)は、揺動した際にダンパー材45に衝突する。
【0065】
これにより、可動体20が振動してベースプレート13又はカバー15に接触する際の衝撃が緩和されるので、接触音や振動ノイズの発生を低減しつつ、ユーザーに振動を伝達することができる。また、振動する度に、可動体20は、ダンパー材45を介してベースプレート13及びカバー15に交互に接触(具体的には衝突)するので、振動出力が増幅される。これにより、実際の可動体20による振動出力よりも大きな振動出力を、ユーザーに体感させることができる。さらにベースプレート13はユーザーに装着される部材であるため、可動体20の振動は、ベースプレート13を介して直接的にユーザーに伝達されるので、ユーザーにさらに大きな振動出力を体感させることができる。
【0066】
FPC40は、弾性支持体30の板ばね部33に沿って延在し、板ばね部33の基端側からカバー15の外側に引き出される。
【0067】
FPC40は、コイル21に接続される接続基板部42と、板ばね部33に沿って配置され、接続基板部42に接続され、一端がカバー15の外側まで延びるFPC本体41とを有する。
【0068】
FPC本体41は、連結基板部43を介して接続基板部42に接続されており、連結基板部43は、FPC本体41の他端部から側方に延び、FPC本体41下部の板ばね部33を下面側から囲む形状を有する。
【0069】
すなわち、連結基板部43は、図8に示すように、板ばね部33の上下面を側方から囲むように配置されて、板ばね部33と係合する。これにより、連結基板部43が板ばね部33と係合する係合部として機能し、FPC本体41を板ばね部33からZ方向に離れにくくしている。また、連結基板部43において板ばね部33の下面側の部位には、接続基板部42が折曲自在に接続されている。
【0070】
これにより、FPC40は、FPC本体41をばね部33上に配置した状態で、ばね部33に連結基板部43を係合させ、接続基板部42をばね部33の下方で基板挿入部226に挿入して保持させることができる。FPC40は、可動体20の振動に追従して変形する。
【0071】
なお、FPC40において、FPC本体41とばね部33との間に、例えば、弾性接着剤又は弾性接着テープ等の弾性部材を介在させて、振動時の衝撃を弾性部材が吸収するようにしてもよい。
【0072】
[弾性支持体30]
弾性支持体30は、可動体20を固定体10に対して可動自在に支持する板ばね部(弾性支持部)33とともに、ウエイト固定部31、及びホルダ取付部32を有する。ウエイト固定部31、ホルダ取付部32及び板ばね部33は、例えば、ステンレス鋼板の板金加工により一体的に形成される。なお、駆動時には、板ばね部33が変形し、ウエイト固定部31及びホルダ取付部32は、コイル21やウエイト23等と一体的に振動する。ウエイト固定部31及びホルダ取付部32は、上述したように可動体20の一部を構成する。なお、ウエイト固定部31、ホルダ取付部32及び板ばね部33は、それぞれ別部材で形成されてもよいし、隣接する2つが一体的に形成され、残りの一つが別部材で形成されてもよい。
【0073】
ウエイト固定部31及びホルダ取付部32は、板ばね部33とともに板状であり、板ばね部33の他端からホルダ取付部32、ウエイト固定部31の順に連続して設けられている。
【0074】
ウエイト固定部31は、ウエイト23が接続される部分である。ウエイト固定部31は、ウエイト23の上面側の弾性体固定部232に面接触して固定される。
【0075】
ホルダ取付部32は、コイル21を収容するコイルホルダー22を弾性支持体30に固定する。ホルダ取付部32は、板ばね部33の主面部331の他端に主面部331の延在方向に突出して連続して設けられており、可動体固定部を構成する。ホルダ取付部32は、マグネット11を挿通するために開口321(図3参照)が形成された枠状をなしている。ホルダ取付部32には奥行き方向で離間する端辺部に、幅方向で延在する挿入孔322が形成されている。挿入孔322に収容部固定部224が挿入される。これにより、ホルダ取付部32の下面にコイルホルダー22が位置決めされた状態で、コイルホルダー22は例えば接着により固定される。
【0076】
また、ホルダ取付部32には、ホルダ取付部32の剛性を強化するための補強部材28が設けられている。
【0077】
補強部材28は、ホルダ取付部32の開口321と同形の開口281を有する枠状であり、ホルダ取付部32の上面に固定されて、ホルダ取付部32の枠状の上面を補強する。補強部材28は、本実施の形態では、ホルダ取付部32の上面に溶接により固定されている。なお、補強部材28はホルダ取付部32に溶接により固定された構成としたが、これに限らず、接着、貼着等で固定されてもよく、一体に成形されてもよい。
【0078】
ホルダ取付部32は、開口321を有する枠状に形成されているので、その分の剛性が低く、剛性が低ければ、強振周波数が変動したり、振動アクチュエーター1駆動の信頼性が低下したりする恐れがある。本実施の形態のホルダ取付部32は、マグネット周囲の狭いスペースに枠状に配置される構成であっても、補強部材28により剛性が高められており、これにより、振動アクチュエーター1の駆動の安定性を高めることができる。
【0079】
板ばね部33は、板状であり、駆動時に変形する。板ばね部33は弾性支持部に相当する。板ばね部33は、可動体20の側方で固定体10に一端側が固定され、他端側が可動体20に固定され、可動体20を片持ち構造で振動方向に往復動可能に支持する。
【0080】
板ばね部33は、本実施の形態では、可動体20から側方、ここでは奥行き側に延びる板状の主面部331と、主面部331の一端側に設けられ、固定体10に、例えば溶接又は接着により固定される主面固定部333とを有する。
【0081】
板ばね部33は、主面部331の一端から主面固定部333が垂下されたL字状である。
【0082】
主面部331の他端側は、ホルダ取付部32に取り付けられたコイルホルダー22を介してコイル21と、ウエイト固定部31に取り付けられたウエイト23とに接続される。
【0083】
主面固定部333は、面状に形成され、溶接或いは接着により固定体10の側端壁部133に固定される。本実施の形態では、主面固定部333は、側端壁部133の外面に面接触した状態で固定される。主面固定部333は、例えば、側端壁部133に溶接或いは接着により固定される。
【0084】
このように主面固定部333は、側端壁部133の外面で固定されるので、可動体20が接合された弾性支持体30の一端、つまり主面固定部333を固定体10に固定する際に、振動アクチュエーター1の外側から溶接或いは接着により容易に固定できる。
また、側端壁部133と、側端壁部133の外面で重なる主面固定部333とに溶接用の貫通孔を設け、主面固定部333の外面に配置した部材で挟むようにこれらを貫通溶接により固定してもよい。側端壁部133の内側は、板ばね部33の下方に位置する空間が形成されており、溶接の際の影響はない。また、主面固定部333の側端壁部133に対する溶接領域を調整することで、主面部331の弾性率を調整できる。
【0085】
[振動アクチュエーター1の磁気回路]
図9は、振動アクチュエーター1の磁気回路を示す図である。図10A図10Cは、可動体20の動作を示す縦断面図である。図10A図10Cは、それぞれ、非通電時における可動体20の状態(基準状態)、コイル21に上方から見て時計回りに通電したときの可動体20の状態、コイル21に上方から見て反時計回りに通電したときの可動体20の状態を示す。
【0086】
振動アクチュエーター1において、可動体20は、固定体10のベースプレート13とカバー15との間に、弾性支持体30の板ばね部33により一端側を支持された状態で配置されている。加えて、マグネット11は、可動体20のコイル21の径方向内側に配置され、かつ、第1マグネット111及び第2マグネット112は、互いに同極性の磁極面(図9図10A図10CではN極同士)を対向させて接合されている。
【0087】
可動体20は、FPC40を介して電源供給部(図示略)からコイル21が通電されることにより、Z方向、つまり、ベースプレート13及びカバー15に対して接離する方向に往復動する。具体的には、可動体20の他端部が揺動する。これにより、振動アクチュエーター1の振動出力が、振動アクチュエーター1を備える携帯機器のユーザーに伝達される。
【0088】
振動アクチュエーター1では、図9に示す磁気回路が形成される。また、振動アクチュエーター1において、コイル21は、第1マグネット111及び第2マグネット112からの磁束に直交するように配置されている。したがって、図10Bに示すように通電が行われると、マグネット11の磁界とコイル21に流れる電流との相互作用により、フレミング左手の法則に従ってコイル21にローレンツ力Fが生じる。ローレンツ力Fの方向は、磁界の方向とコイル21に流れる電流の方向に直交する方向(図10BではZ方向プラス側)である。このローレンツ力Fが推力となり、可動体20が揺動する。具体的には、可動体20は、一端部側が弾性支持体30(板ばね部33)により支持されているので、可動体20の他端部、つまり、ウエイト23側がZ方向プラス側に揺動することになる。そして、可動体20におけるウエイト23の先端部が、ダンパー材45を介してカバー15に接触(具体的には、衝突)する。
【0089】
また、コイル21の通電方向が逆方向に切り替わり、図10Cに示すように通電が行われると、逆向き(Z方向マイナス側)のローレンツ力-Fが生じる。このローレンツ力-Fが推力となり、可動体が揺動する。具体的には、可動体20の他端部、つまり、ウエイト23側がZ方向マイナス側に揺動し、ウエイト23の先端部がダンパー材45に衝突しダンパー材45を介してベースプレート13自体に接触(具体的には、衝突)する。
【0090】
振動アクチュエーター1では、板ばね部33の一端が可動体20に固定され、他端が固定体10に固定されることにより、可動体20が可動自在に支持している。
具体的には、板ばね部33の一端側の固定箇所を可動体20の側方の固定体10の側面(側端壁部133)とすることにより、固定体10の筐体の底面を構成するベースプレート13のプレート本体131を加工することにより、例えば、溶接痕等を残すことによりプレート本体131の平面度を悪化させることが無くなる。また、振動アクチュエーター1において筐体の底面からの溶接が不要になるため、板ばね部33を固定体10に取り付ける際に、振動アクチュエーター1の筐体をひっくり返して底面を露出させることなく、振動アクチュエーター1の側方で、可動体20に接合された板ばね部33と固定体10とを溶接等で接合でき、製造性が良くなる。
【0091】
また、本実施の形態では、板ばね部33、ひいては弾性支持体30が金属板材をL字状となるように屈曲して形成されることで弾性を確保した形状であるので、弾性を確保するためのばね加工を複雑に折曲する等の加工を行う必要がない。これにより、板ばね部33を含む弾性支持体30の部品精度が高まり、性能を安定させることができる。
また、筐体内において板ばね部33の占有スペースを極力抑えて、可動体20、垂直発生部としてのコイル21及びマグネット11を大きくすることができ、振動アクチュエーター1自体を小さくしつつ、高出力化を図ることができる。
【0092】
また、振動アクチュエーター1では、コイル21及びマグネット11が、可動体20の基端側(板ばね部33が接合される側)に配置され、ウエイト23が、可動体20の先端側に配置されている。つまり、可動体20の駆動トルクを発生させる磁気回路が揺動支点側に配置され、揺動する際に最も変位範囲が大きい可動体20の先端側にウエイト23が配置されている。これにより、コイル21及びマグネット11を可動体20の先端側に配置した構成に比較して、先端側のウエイト23の占める割合を増大して、可動体20に付与する回転モーメント(回転系における質量)を増大することができるので、振動の高出力化を図ることができる。したがって、振動アクチュエーター1の低背化のためにZ方向の高さが制限され、可動体20の可動域(振動量)が制限を受ける場合にも対応することができる。
【0093】
また、ウエイト23が自由端側に向かってZ方向の厚みが薄くなるやじり形状に形成されているので、上下面が平行な直方形状のウエイトを用いた場合と比較して、揺動の際の可動域が広くなり、より大きな振動出力を確保できる。
【0094】
さらに、可動体が固定体と摺動しながら振動する振動アクチュエーターに比較して、可動体20が固定体10の一部に摺動することなく振動するので、振動の際に固定体10との摩擦抵抗による推力の減衰は発生せず、好適な振動を得ることができる。
このように、支持構造が単純であるため設計がシンプルになるとともに、省スペース化を図ることができ、振動アクチュエーター1の小型化を図ることができる。
【0095】
ここで、振動アクチュエーター1は、FPC40を介して電源供給部(図示略)からコイル21へ入力される交流波によって駆動される。つまり、コイル21の通電方向は周期的に切り替わり、可動体20にはZ方向プラス側の推力FとZ方向マイナス側の推力-Fが交互に作用する。これにより、可動体20の他端側は、YZ面内で円弧状に振動する。
【0096】
以下に、振動アクチュエーター1の駆動原理について簡単に説明する。本実施の形態の振動アクチュエーター1では、可動体20の慣性モーメントをJ[kg・m]、板ばね部33のねじり方向のバネ定数をKspとした場合、可動体20は、固定体10に対して、下式(1)によって算出される共振周波数f[Hz]で振動する。
【0097】
【数1】
【0098】
可動体20は、バネ-マス系の振動モデルにおけるマス部を構成するので、コイル21に可動体20の共振周波数fに等しい周波数の交流波が入力されると、可動体20は共振状態となる。すなわち、電源供給部からコイル21に対して、可動体20の共振周波数fと略等しい周波数の交流波を入力することにより、可動体20を効率良く振動させることができる。
【0099】
振動アクチュエーター1の駆動原理を示す運動方程式及び回路方程式を以下に示す。振動アクチュエーター1は、下式(2)で示す運動方程式及び下式(3)で示す回路方程式に基づいて駆動する。
【0100】
【数2】
【0101】
【数3】
【0102】
すなわち、振動アクチュエーター1における可動体20の慣性モーメントJ[kg・m]、回転角度θ(t)[rad]、トルク定数K[N・m/A]、電流i(t)[A]、バネ定数Ksp[N・m/rad]、減衰係数D[N・m/(rad/s)]等は、式(2)を満たす範囲内で適宜変更できる。また、電圧e(t)[V]、抵抗R[Ω]、インダクタンスL[H]、逆起電力定数K[V/(rad/s)]は、式(3)を満たす範囲内で適宜変更できる。
【0103】
このように、振動アクチュエーター1では、可動体20の慣性モーメントJと板ばね部33のバネ定数Kspにより決まる共振周波数fに対応する交流波によりコイル21への通電を行った場合に、効率的に大きな振動出力を得ることができる。
【0104】
<実施の形態2>
図11は、本発明の実施の形態2に係る振動アクチュエーターを示す外観斜視図であり、図12は、同振動アクチュエーター のカバーを外した状態を示す斜視図である。また、図13は、同振動アクチュエーターの分解斜視図であり、図14は、同振動アクチュエーターの要部構成を示す縦断面図であり、図15は、ベースプレートを外した振動アクチュエーターを下方から見た図である。
【0105】
本実施の形態2のアクチュエーター1Aは、実施の形態1のアクチュエーター1において弾性支持体の一端を側端壁部133に代えて、筐体の幅方向で離間する側壁部(ここではカバー15の側壁部)の奥行き側端部152、153としたものである。アクチュエーター1Aの基本的構成は、アクチュエーター1と同様であり、よって以下では、アクチュエーター1と異なる構成について説明し、アクチュエーター1における構成要素と同様の作用効果を有するものについては、同名称及び同符号を付して説明は省略する。
【0106】
振動アクチュエーター1Aは、振動アクチュエーター1と同様に、スマートフォン等の携帯機器(図16A図16B参照)に振動発生源として実装され、携帯機器の振動機能を実現する。
【0107】
図11図15に示す振動アクチュエーター1Aは、固定体10A、可動体20A及び弾性支持体30Aを備える。固定体10Aは、一端側を支点として他端側が往復動するように、弾性支持体30Aを介して可動体20Aと連結され、可動体20Aを支持する。振動アクチュエーター1Aは、振動アクチュエーター1と同様の磁気回路構成によりコイル21に電流が供給されると、可動体20Aは、振動アクチュエーター1と同様のZ方向の振動領域で振動する。
【0108】
[固定体10A]
固定体10Aは、実施の形態1の固定体10において、ベースプレート13に代えてベースプレート13Aを有する。固定体10Aは、弾性支持体30Aを介して可動体20Aを支持するものであり、マグネット11、ベースプレート13A及びカバー15を有する。
【0109】
ベースプレート13Aは、カバー15とともに筐体を形成する。ベースプレート13Aは、振動アクチュエーター1の底面を形成する矩形状のプレート本体131Aと、プレート本体131Aの可動体20の側方、ここでは、奥行き方向側の端辺から上がる立ち上がる側端壁部133Aと、を有する。
【0110】
側端壁部133Aは、振動アクチュエーター10Aの筐体において奥行き側の端面を覆う。ベースプレート13Aにおいてプレート本体131Aには、プレート本体131と同様にマグネット11と、ダンパー材45とが固定される。
【0111】
カバー15は、ベースプレート13Aを覆うように設けられ、振動アクチュエーター1Aにおける筐体の天面部、幅方向で離間する両側面部、及び、先端側の側面部である先端側面部を形成する。
カバー15の天面部の先端側には、プレート本体131Aのダンパー材45と対向する位置にダンパー材45が設けられている。
【0112】
カバー15の両側壁部の奥行き側端部152、153の内面には、弾性支持体30Aの一端が固定されている。なお、ベースプレート13A及びカバー15は、実施の形態1と同様に、導電性を有する材料により形成されるのが好ましい。
【0113】
[可動体20A]
可動体20Aは、可動体20と同様の機能を有する。可動体20Aは、筐体内部において、ベースプレート13Aとカバー15の天面部との間の中間の位置に、それぞれと略平行に片持ち支持された状態で配置される。可動体20Aは、弾性支持体30Aにより固定体10Aに対して、自由端部が、振動伝達面(例えば、ベースプレート13Aのプレート本体131Aとカバー15の天面部)に対して直交する方向、ここではZ方向である上下方向に振動する。
【0114】
本実施の形態2の可動体20Aは、コイル21、コイルホルダー22A、及びウエイト23Aを有し、それぞれ可動体20における同名称の構成要素と同様の機能を有する。また、本実施の形態では、弾性支持体30Aのウエイト固定部31A及びホルダ取付部32Aも可動体20の一部を構成し可動体20として揺動する。可動体20Aは、非通電状態において、ベースプレート13A及びカバー15の天面部に対向した状態となっている。コイル21に通電が行われると、可動体20Aは、実施の形態1と同様に、ベースプレート13A及びカバー15の天面部に対して接離するように高さ方向(Z方向)に往復動する。
【0115】
本実施の形態のコイルホルダー22Aは、コイル21を、弾性支持体30Aのホルダ取付部32Aとで囲むように収容して保持する。コイルホルダー22Aは、弾性支持体30Aに接続して、コイル21を弾性支持体30Aに取り付けた状態とする。コイルホルダー22Aは、コイル21を収容するコイル収容部222Aと、コイル収容部222Aの上面に設けられた収容部固定部224Aと、絡げ部226Aとを有する(図13図14参照)。
【0116】
本実施の形態では、コイルホルダー22Aは、コイルホルダー22と同様の樹脂材料により形成され、同様の機能を有する。
【0117】
コイル収容部222Aは、本実施の形態では、底面222Aaにマグネット11を通す開口を有する矩形枠状の底面と、底面222Aaにおいて奥行き方向(Y方向)で離間する端辺部から上方に立ち上がる端面部(基端面部222Ab、先端面部222Ac)とを有する。固定端側の面部である基端面部222Ab及び自由端側の面部である先端面部222Acのそれぞれ幅方向(X方向)で離間する辺部には、実施の形態1と同様に互いに対向する方向に突出するリブが設けられている。底面222Aa、基端面部222Ab及び先端面部222Acの内側にコイル21が配置されて固定される。このため、コイル21の取付位置を安定させてコイル収容部222と同様の効果を得ることが出来る。また、コイル収容部222Aは、コイル21とマグネット11との間に介在物がなく、コイル21を収容できる。
【0118】
収容部固定部224Aは、基端面部222Ab及び先端面部222Acの上面に突設されている。収容部固定部224Aは、基端面部222Ab及び先端面部222Acの上面において、幅方向に延在して設けられ、当該上面に取り付けられる弾性支持体30の枠状のホルダ取付部32Aの挿入孔322Aに挿入されて位置決めされる。
【0119】
絡げ部226Aは、コイル21とFPC40Aを電気的に接続するための接続部分であり、コイル収容部222A(具体的には基端面部222Ab)から外側に突出するように形成されている。絡げ部226Aは、コイル21の両端部及びFPC40Aの配線に、例えば、半田付けにより接続される。コイルホルダー22が絡げ部226Aを有することにより、コイル21の外側で、FPC40Aに半田付けする位置を同じ位置にすることができ、作業性が高く、安定した製造が可能となる。また、コイル21の端部が絡げ部226Aに固定されるため、コイル21のほつれを抑制することができる。絡げ部226Aは、本実施の形態では、FPC40Aの先端部の真下に位置しているので、絡げたコイル21の両端部を真上に延在させるだけでFPC40Aの配線に接続できる。このFPC40Aを介してコイル21に通電が行われる。
【0120】
コイルホルダー22Aの先端面部222Acには、ウエイト23Aのウエイト嵌合部238が嵌合するウエイト被嵌合部228が形成されている。ウエイト被嵌合部228は、本実施の形態では、下方に開口する切欠形状であり、このウエイト被嵌合部228にウエイト嵌合部238を嵌合することで、コイルホルダー22Aに隣接してウエイト23Aを位置決めする。コイルホルダー22Aとウエイト23Aとは、ウエイト嵌合部238、ウエイト被嵌合部228とを接着あるいは溶接して固定される。
【0121】
ウエイト23Aは、ウエイト23と比較して、基端側端面にウエイト嵌合部238が形成されている点のみ異なり、その他の構成は同様である。ウエイト23Aでは、奥行き方向側の端部に弾性体固定部232Aが設けられ、弾性体固定部232Aに連続する自由端側の表裏面にテーパが付けられ、矢じり形状を呈している。
【0122】
弾性固定部232Aには、弾性支持体30Aのウエイト固定部31Aが固定される。
【0123】
ウエイト嵌合部238は、平坦な基端側端面から奥行き方向に突出して形成され、且つ、ウエイト被嵌合部228の形状に対応する。
【0124】
FPC40Aは、弾性支持体30Aの板ばね部33Aに沿って延在し、板ばね部33Aの基端側からカバー15の外側に引き出される。
【0125】
[弾性支持体30A]
弾性支持体30Aは、弾性支持体30の構成と比較して異なる点は、固定体10A側に取り付けられる一端が、カバー15の両側壁部の奥行き側端部152、153である点である。
【0126】
具体的には、弾性支持体30Aは、可動体20Aを固定体10Aに対して可動自在に支持する板ばね部(弾性支持部)33Aとともに、ウエイト固定部31A、及びホルダ取付部32Aを有する。ウエイト固定部31A、ホルダ取付部32A及び板ばね部33Aは、例えば、ステンレス鋼板の板金加工により一体的に形成され、先端側から奥行き方向に順に位置している。なお、駆動時には、板ばね部33Aが変形し、ウエイト固定部31A及びホルダ取付部32Aは、コイル21やウエイト23A等と一体的に振動する。ウエイト固定部31A及びホルダ取付部32Aは、上述したように可動体20Aの一部を構成する。また、ウエイト固定部31A、ホルダ取付部32A及び板ばね部33Aは、何れか一つが別部材で形成されてもよいし、隣接する2つが一体的に形成され、残りの一つが別部材で形成されてもよい。
【0127】
ウエイト固定部31Aは、ウエイト23Aの上面側の弾性体固定部232Aに面接触して固定され、弾性支持体30Aにウエイト23Aが接続される。ホルダ取付部32Aは、マグネット11を挿通するために開口321A(図13参照)を有する枠状を呈しており、コイル21を収容するコイルホルダー22Aを弾性支持体30Aに固定する。ホルダ取付部32Aの挿入孔322Aに収容部固定部224Aが挿入されることで、ホルダ取付部32Aの下面にコイルホルダー22Aが位置決めされた状態で、例えば接着によりコイルホルダー22Aは固定される。
【0128】
板ばね部33Aは、板状であり、駆動時に変形する。板ばね部33Aは弾性支持部に相当する。板ばね部33Aは、可動体20Aの側方、ここでは幅方向の両側方で、固定体10Aのカバー15の奥行き側端部152、153に一端側が固定され、他端側が可動体20Aに固定され、可動体20Aを片持ち構造で振動方向に往復動可能に支持する。
【0129】
板ばね部33Aは、本実施の形態では、可動体20Aから側方、ここでは奥行き側に延びる板状の主面部331Aの一端側に設けられた主面固定部333Aで奥行き側端部152、153に、例えば溶接又は接着により固定されている。
【0130】
主面固定部333Aは、主面部331Aに平面状に連続し、且つ、幅方向に延在する固定部上面部3332と、固定部上面部3332の幅方向の端部から垂下する固定脚部3334とを有し、奥行き方向(Y方向)からみて下方に開口するU字状を呈している。
【0131】
固定部上面部3332から主面部331Aが延出する部位には、切り込み部が設けられている。固定部上面部3332に、切り込み部を設けることで、固定部上面部3332に、主面部331Aの延在方向、ここではY方向の長さを長くでき、これにより、主面部331Aは更に弾性変形し易くできる。
【0132】
主面固定部333Aは、固定脚部3334で、カバー15の奥行き側端部152、153の内面に溶接或いは接着により固定される。
【0133】
これにより、弾性支持体30Aの一端が固定体10Aに固定されて、可動体20Aの可動領域を阻害することなく、片持ち構造により可動体20Aを揺動自在に支持できるので、実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。
【0134】
<実施の形態3>
図16A図16Bは、振動アクチュエーター1の実装形態の一例である実施の形態3を示す図である。図16Aは、振動アクチュエーター1をウェアラブル端末Wに実装した例を示し、図16Bは、振動アクチュエーター1を携帯端末Mに実装した例を示す。
【0135】
ウェアラブル端末Wは、ユーザーが身につけて使用するものである。ウェアラブル端末Wは、ここではリング形状を有し、ユーザーの指に装着される。ウェアラブル端末Wは、無線通信により情報通信端末(例えば、携帯電話)に接続される。ウェアラブル端末Wは、振動により、情報通信端末における電話やメールの着信をユーザーに通知する。なお、ウェアラブル端末Wは、着信通知以外の機能(例えば、情報通信端末に対する入力操作)を備えていてもよい。
【0136】
携帯端末Mは、例えば、携帯電話やスマートフォン等の携帯通信端末である。携帯端末Mは、振動により、外部の通信装置からの着信をユーザーに通知するとともに、携帯端末Mの各機能(例えば、操作感や臨場感を与える機能)を実現する。
【0137】
図16A図16Bに示すように、ウェアラブル端末W及び携帯端末Mは、それぞれ、通信部601、処理部602、駆動制御部603、及び駆動部604を有する。駆動部604に、振動アクチュエーター1が適用される。
【0138】
ウェアラブル端末W及び携帯端末Mにおいて、振動アクチュエーター1は、端末の振動伝達面としての主面と振動アクチュエーター1のXY面が平行となるように実装される。具体的には、ウェアラブル端末Wの場合は、リング状の筐体の内周面605が主面(振動伝達面)であり、内周面605とXY面が略平行(平行も含む)となるように、振動アクチュエーター1が実装される。また、携帯端末Mの場合は、ユーザーに接触する主面としての表示画面(タッチパネル面)とXY面が平行となるように、振動アクチュエーター1が実装される。これにより、振動伝達面となるウェアラブル端末Wの内周面605及び携帯端末Mの主面に対して垂直な方向の振動が、ユーザーに伝達される。
【0139】
通信部601は、外部の通信装置と無線通信により接続され、通信装置からの信号を受信して処理部602に出力する。ウェアラブル端末Wの場合、外部の通信装置は、例えば、携帯電話、スマートフォン、携帯型ゲーム端末等の情報通信端末であり、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信規格に従って通信が行われる。携帯端末Wの場合、外部の通信装置は、例えば基地局であり、移動体通信規格に従って通信が行われる。
【0140】
処理部602は、入力された信号を、変換回路部(図示省略)により駆動部604(振動アクチュエーター1)を駆動するための駆動信号に変換して駆動制御部603に出力する。なお、携帯端末Mにおいては、処理部602は、通信部601から入力される信号の他、各種機能部(図示略、例えばタッチパネル等の操作部)から入力される信号に基づいて、駆動信号を生成する。
【0141】
駆動制御部603は、駆動部604(振動アクチュエーター1のFPC40)に接続されており、駆動部604を駆動するための回路が実装されている。駆動制御部603は、駆動部604に対して駆動信号を供給する。
【0142】
駆動部604は、駆動制御部603からの駆動信号に従って駆動する。具体的には、駆動部604に適用される振動アクチュエーター1において、可動体20は、ウェアラブル端末W及び携帯端末Mの主面に直交する方向に振動する。可動体20は、振動する度に、ベースプレート13又はカバー15に接触するので、可動体20の振動に伴うベースプレート13又はカバー15への衝撃が、ダイレクトにユーザーに振動として伝達される。ウェアラブル端末W又は携帯端末Mに接触するユーザーの体表面には、体表面に垂直な方向の振動が伝達されるので、ユーザーに対して十分な体感振動を与えることができる。
【0143】
このように、本実施の形態に係る振動アクチュエーター1は、コイル21を有する可動体20、マグネット11を有する固定体10、及び固定体10に対して可動体20を可動自在に支持する板ばね部33(弾性支持部)を有し、コイル21とマグネット11の協働により、可動体20が固定体10に対して振動方向に往復動する。マグネット11は、コイル21に対して径方向内側に離間して配置される。板ばね部33は、固定体10に一端が固定されるとともに、可動体20に他端が固定され、可動体20を片持ちで支持する構造を有する。コイル21は、樹脂製のコイルホルダー22に固定された状態で、可動体20に組み込まれている。
【0144】
振動アクチュエーター1によれば、サイズを大型化することなく、ユーザーに十分な体感振動を与えることができる。加えて、固定部材にコイルホルダー22が樹脂材料により形成されることにより、金属製の他の部材(例えば、弾性支持体30)との電気的絶縁を確保することができるので、信頼性が向上する。また、コイル21をコイルホルダー22に固定した状態で弾性支持体30に取り付けるので、コイル21の変形やほつれが抑制され、作業性及び取付性が向上する。
【0145】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0146】
また例えば、本発明に係る振動アクチュエーターは、実施の形態で示したウェアラブル端末W及び携帯端末M以外の携帯機器(例えば、タブレットPCなどの携帯情報端末、携帯型ゲーム端末、据置型ゲーム機のコントローラー(ゲームパッド))に適用する場合に好適である。
【0147】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0148】
1、1A アクチュエーター
10、10A 固定体
11 マグネット
111 第1マグネット
112 第2マグネット
13、13A ベースプレート
15 カバー
20、20A 可動体
21 コイル
22、22A コイルホルダー
226 基板挿入部
23、23A ウエイト
28 補強部材
30、30A 弾性支持体
31、31A ウエイト固定部
32、32A ホルダ取付部(可動体固定部)
33、33A 板ばね部(弾性支持部)
40、40A FPC(フレキシブル基板)
41 FPC本体
42 接続基板部
43 連結基板部
45 ダンパー材
111a、112a 凹部
131、131A プレート本体
133、133A 側端壁部
152、153 奥行き側端部
222、222A コイル収容部
222a、281、321、321A 開口
222b、222Ab 基端面部
222c、222Ac 先端面部
222Aa 底面
223 溝部
224、224A 収容部固定部
226 基板挿入部
226A 絡げ部
228 ウエイト被嵌合部
232、232A 弾性体固定部
238 ウエイト嵌合部
322、322A 挿入孔
331、331A 主面部
333、333A 主面固定部
3332 固定部上面部
3334 固定脚部
601 通信部
602 処理部
603 制御部
604 駆動部
605 接触面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16