(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】容器及びキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/24 20060101AFI20220907BHJP
B65D 47/32 20060101ALI20220907BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
B65D47/24 200
B65D47/32 100
B65D83/00 G
(21)【出願番号】P 2018123971
(22)【出願日】2018-06-29
【審査請求日】2021-04-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】室屋 洋輔
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2011/099309(WO,A1)
【文献】特開昭55-071280(JP,A)
【文献】実開昭56-81042(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2007/45356(US,A1)
【文献】国際公開第2018/141350(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102018124067(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44-35/54
B65D 39/00-55/16
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器本体と、前記容器本体に装着されたキャップとを備える容器であって、
前記キャップは、吐出口部と、
基体部と、ピストン
部材とを備え、
且つ、前記キャップには、前記内容物が流れる第1及び第2流路が形成され、
第1流路は、前記ピストン部材と前記基体部との間に環状に形成され、
第2流路は、前記吐出口部と前記ピストン部材との間に形成され、
前記吐出口部には、吐出口が形成され、
前記基体部上には、前記ピストン部材が設けられ、且つ、前記基体部には、一対の流路が形成され、
前記一対の流路は、上下方向に延びており、且つ、第1流路に接続され、
前記ピストン部材は、ピストンと、環状の区画部とを有し、
前記ピストンは、前記容器本体の内圧の上昇に伴って前記吐出口部から後退したときに前記吐出
口を開放し、且つ、上昇した前記内圧の低下に伴って前記吐出口部へ前進して前記吐出
口を閉塞
し、且つ、前記ピストンは、前記一対の流路が向かい合う方向において、前記一対の流路の間に配置され、
前記区画部には、前記内容物が通る複数の貫通孔が形成され、且つ、前記区画部は、第1流路と第2流路とを区画するように設けられ、
前記複数の貫通孔は、前記ピストンを中心とする前記区画部の周方向に等間隔に配置されている、容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器であって、
前記ピストン部材は、板状部を更に有し、
前記
板状部は、前記ピストンが前記吐出口部を閉塞するように前記ピストンを前記吐出口部に付勢する、容器。
【請求項3】
請求項2に記載の容器であって、
前記基体部には、第1及び第2流路とは独立している内部空
間が形成され、
前記
板状部には、前記ピストンの基端が接続さ
れ、且つ、前記板状部は、
第2流路と前記内部空間とを区画するように設けられる、容器。
【請求項4】
請求項3に記載の容器であって、
前記板状部は、前記吐出口部側へ突出するようにドーム状に形成される、容器。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の容器であって、
前記区画部は、
前記板状部の周縁に接続され
ている、容器。
【請求項6】
請求項3~請求項5の何れか1つに記載の容器であって、
大気連通路を備え、
前記内部空間が前記大気連通路に連通することで、前記内部空間内の圧力が大気圧となっている、容器。
【請求項7】
請求項1~請求項6の何れか1つに記載の容器であって、
前記ピストンは、前記吐出口部内に収容されるように構成される、容器。
【請求項8】
吐出口部と、
基体部と、ピストン
部材とを備え
たキャップであって、
前記キャップには、内容物が流れる第1及び第2流路が形成され、
第1流路は、前記ピストン部材と前記基体部との間に環状に形成され、
第2流路は、前記吐出口部と前記ピストン部材との間に形成され、
前記吐出口部には、吐出口が形成され、
前記基体部上には、前記ピストン部材が設けられ、且つ、前記基体部には、一対の流路が形成され、
前記一対の流路は、上下方向に延びており、且つ、第1流路に接続され、
前記ピストン部材は、ピストンと、環状の区画部とを有し、
前記ピストンは、前記吐出口部に対して前進及び後退するように構成され、
前記ピストンは、前記吐出口部にあるときに前記吐出
口を閉塞し、前記吐出口部から後退したときに前記吐出
口を開放
し、且つ、前記ピストンは、前記一対の流路が向かい合う方向において、前記一対の流路の間に配置され、
前記区画部には、前記内容物が通る複数の貫通孔が形成され、且つ、前記区画部は、第1流路と第2流路とを区画するように設けられ、
前記複数の貫通孔は、前記ピストンを中心とする前記区画部の周方向に等間隔に配置されている、キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器及びキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内容物が収容される容器本体と、内容物の吐出口が形成された吐出口部(ノズル本体)とを備える容器が開示されている。特許文献1の容器の吐出口部内には、内容物が通る流通路が形成されている。また、特許文献1の容器では、使用者が容器本体を押圧することで容器本体の内圧が上昇し、内容物が吐出口部を介して容器外側面へ流出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の容器において、使用者が容器本体を押圧して内容物の一部を吐出口部の吐出口から流出させた後に、使用者が容器本体を押圧する力を緩めると、容器外の空気が吐出口部に流入する。ここで、特許文献1の吐出口部の流通路は細いため、その分、当該流通路は内容物の表面張力が高まりやすい環境である。このため、使用者が容器本体を押圧する力を緩め、容器外の空気が吐出口部に流入しても、吐出口部にある内容物の一部が、空気と一緒に容器本体に戻らない場合がある。また、使用者が使用を終えた容器を直立載置させても、内容物の表面張力によって、内容物が容器本体に流下しない場合がある。
【0005】
このように、特許文献1の容器は、吐出口部に内容物が残留してしまう、すなわち吐出口部において内容物の液残りが生じてしまう、場合がある。なお、吐出口部の流通路は吐出口に近くに設けられているので、外界の塵や細菌は、容器本体の内容物よりも、吐出口部の流通路の内容物に侵入しやすい。つまり、吐出口部において内容物の液残りが生じてしまうと、内容物の衛生が損なわれる可能性が高まる。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、液残りを抑制することができる容器及びキャップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、内容物を収容する容器本体と、前記容器本体に装着されたキャップとを備える容器であって、前記キャップは、吐出口部と、ピストンとを備え、前記ピストンは、前記容器本体の内圧の上昇に伴って前記吐出口部から後退したときに前記吐出口部を開放し、且つ、上昇した前記内圧の低下に伴って前記吐出口部へ前進して前記吐出口部を閉塞する、容器が提供される。
【0008】
本発明によれば、使用者が容器本体を押圧すると、容器本体の内圧が上昇してピストンが吐出口部から後退し、吐出口部が開放され、容器本体の内容物が吐出口部から容器外へ流出する。使用者が容器本体を押圧する力を緩めると、容器本体において上昇した内圧が低下してピストンが吐出口部へ前進する。ピストンが吐出口部へ前進する過程において、ピストンは吐出口部内に残留する内容物を押し出し、そして、ピストンは当該残留する内容物を容器外へ流出させる。このように、本発明によれば、使用者が容器本体を押圧する力を緩めると、ピストンが吐出口部へ前進してピストンが吐出口部に残留する内容物を押し出すので、吐出口部の液残りが抑制される。
【0009】
以下、本発明の種々の実施形態を例示する。以下に示す実施形態は互いに組み合わせ可能である。
好ましくは、付勢部を備え、前記付勢部は、前記ピストンが前記吐出口部を閉塞するように前記ピストンを前記吐出口部に付勢する。
好ましくは、基体部を備え、前記基体部内には、前記内容物が流れる流路と、前記流路とは独立している内部空間とが形成され、前記付勢部は、前記ピストンの基端が接続される板状部を有し、前記板状部は、前記流路と前記内部空間とを区画するように設けられる。
好ましくは、前記板状部は、前記吐出口部側へ突出するようにドーム状に形成される。
好ましくは、前記付勢部は、前記板状部の周縁に接続される区画部を有し、前記流路は、第1流路と、第2流路とを有し、第1流路は、第2流路よりも前記容器本体側に設けられ、前記区画部には前記内容物が通る貫通孔が形成され、且つ、前記区画部は第1流路と第2流路とを区画するように設けられる。
好ましくは、大気連通路を備え、前記内部空間が前記大気連通路に連通することで、前記内部空間内の圧力が大気圧となっている。
好ましくは、前記ピストンは、前記吐出口部内に収容されるように構成される。
好ましくは、吐出口部と、ピストンとを備え、前記ピストンは、前記吐出口部に対して前進及び後退するように構成され、前記ピストンは、前記吐出口部にあるときに前記吐出口部を閉塞し、前記吐出口部から後退したときに前記吐出口部を開放する、キャップが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図2Aはキャップ2の正面図であり、
図2Bはキャップ2の左側面図であり、
図2Cはキャップ2の上面図であり、
図2Dはキャップ2の底面図である。
【
図3】キャップ2を斜め上方から見たときにおける、キャップ2の分解図である。
【
図4】キャップ2を斜め下方から見たときにおける、キャップ2の分解図である。
【
図6】
図6Aはピストン部材30の斜め上方斜視図であり、
図6Bはピストン部材30の上面図であり、
図6Cはピストン部材30の斜め下方斜視図であり、
図6Dは
図6Bに示すB-B断面図である。
【
図7】
図7Aは基体部10及び内筒状部50の斜め下方斜視図であり、
図7Bは基体部10及び内筒状部50の斜め上方斜視図であり、
図7Cは基体部10及び内筒状部50の正面図であり、
図7Dは
図7Cに示すC-C面で基体部10を切断し、基体部10を分離した状態を示す斜め下方断面図である。
【
図8】キャップ2を斜め上方からみたときにおける、キャップ2の垂直断面図である。
【
図9】キャップ2を斜め下方からみたときにおける、キャップ2の垂直断面図である。
【
図10】キャップ2から吐出口部20及び環状部40を取り外した状態における、キャップ2の90度断面図である。
【
図11】
図11Aはピストン部材30が吐出口部20に対して前進している状態を示す断面図であり、
図11Bはピストン部材30が吐出口部20から後退した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。以下の説明中での上(上側)及び下(下側)は、において、
図1に示すように容器本体3を立設させた状態での上(上側)及び下(下側)を意味する。
【0012】
1.全体構成
図1Aに示すように、容器1は、キャップ2と容器本体3とを備える。容器本体3は、内容物を収容する収容部3Aと、収容部3Aから内容物を吐出する口部3Bを備える。キャップ2は、口部3Bに装着される。
図1Bに示すように、容器本体3は、収容部3A及び口部3Bにおいて、外殻4と内袋5を備える。容器本体3は樹脂で構成されており、容器本体3は、使用者が押圧したときに収縮し、その後、収縮した状態から復元するように構成される。内容物の減少に伴って内袋5が外殻4から剥離することによって、内袋5が収縮し、内袋5が外殻4から離間する。外殻4は、復元性が高くなるように、内袋5よりも肉厚に形成される。
【0013】
外殻4には、収容部3Aに設けられた凹部3aにおいて、外殻4と内袋5の間の中間空間と、容器本体3の外部空間とを連通する外気導入孔3cが形成されている。外気導入孔3cには、外殻4と内袋5の間の空間への空気の出入りを調整するための弁部材等を装着することができる。外気導入孔3cを設ける代わりに、外殻4と内袋5の間に隙間を設けて外気を導入するようにしてもよい。口部3Bには、係合部3bが形成されている。係合部3bは、キャップ2の突出部64(
図3及び
図4参照)に係合されるリング状の突起である。実施形態に係る容器本体3には打栓式のキャップ2が装着されている。なお、キャップ2は、ネジ式で容器本体3に装着される形態であってもよい。
【0014】
2.キャップ2の詳細構成
図3及び
図4に示すように、キャップ2は、基体部10と、吐出口部20と、ピストン部材30と、環状部40と、内筒状部50と、外筒状部60とを備える。また、
図8~
図10に示すように、キャップ2の内側には、内部空間Spと、流路Sp1と、流路Stと、流路Sp2とが形成されている。流路Sp1は環状に形成され、流路Stは上下方向に延びるように形成されている。流路Sp2と内部空間Spとは、ピストン部材30によって上下に区画されている。流路Sp1は流路Sp2よりも容器本体3側に設けられている。また、流路Stは流路Sp1よりも容器本体3側に設けられている。流路Sp1が第1流路に対応し、流路Sp2が第2流路に対応する。また、大気連通路15と内部空間Spとは連通しており、内部空間Spの圧力は大気圧となっている。
【0015】
<基体部10>
図7A~
図7Dに示すように、基体部10は、第1壁部11と、第2壁部12と、第1底部13と、第2底部14と、大気連通路15と、柱状部16とを備える。基体部10には、内部空間Sp、流路Sp1及び流路Stが形成されている。内部空間Spは流路Sp1よりも内側に配置されている。基体部10は、内部空間Spと流路Sp1とが連通しないように構成され、且つ、内部空間Spと流路Sp2とが連通しないように構成されている。
【0016】
図7Bに示すように、第1壁部11は第1底部13に立設する筒状の壁体である。第1壁部11は内部空間Spと流路Sp1とを区画している。第1壁部11と第2壁部12との間には流路Sp1が形成されている。
図7B~
図7D及び
図8に示すように、第1壁部11には、内部空間Spと大気連通路15とが連通する位置に形成される切欠部11Aを有する。第2壁部12は第1底部13に立設する筒状の壁体であり、また、第2壁部12は第1壁部11の外側に配置されている。第2壁部12は流路Sp1と容器1外とを区画している。
【0017】
図7Dに示すように、第1底部13は弧状の板体であり、第2底部14は略円形状の板体である。第1底部13と第2底部14との間には大気連通路15が形成されている。
図7C及び
図7Dに示すように、第2底部14は切欠部14Aを有し、切欠部14Aには柱状部16が立設している。柱状部16は第2底部14の上面から第1底部13の下面にかけて延びるように形成され、柱状部16内には流路Stが形成されている。
【0018】
ここで、仮に内部空間Spが密閉空間である場合には、外気温度の影響で内部空間Spの圧力が変動しやすくなり、ピストン31が適正に動作しなくなる可能性が高まる。しかし、実施形態において、大気連通路15は内部空間Spに連通しているので、内部空間Spの圧力が大気圧に保たれる。このため、内部空間Spの圧力が外気温度によって変動しにくくなり、ピストン31が適正に動作しなくなることが回避される。
【0019】
<吐出口部20>
図5A~
図5Dに示すように、吐出口部20は、ノズル21と、筒状部22と、凸部23とを備える。ノズル21は基端側から先端側に向かって先細る筒状部材であり、ノズル21の内側にはピストン部材30が設けられる。ノズル21には吐出口21Aが形成され、吐出口21Aは容器1に収容される内容物を容器1外に流出させる。筒状部22は、円筒状に形成されており、ノズル21の基端側に接続されている。筒状部22の内側には、基体部10、ピストン部材30及び環状部40が設けられている。
図8及び
図9に示すように、筒状部22には基体部10が嵌め込まれている。凸部23はピストン部材30が基体部10から離間することを防止する機能を有する。当該機能は、後述の環状部40の説明で行う。凸部23は弧状に形成されており、複数の凸部23がピストン31を中心とする周方向に配置されている。複数の凸部23は等間隔に配置されている。隣接する一対の凸部23の間には隙間が形成されており、ピストン部材30の貫通孔32bを通過した内容物はこの隙間を通って流路Sp2に流入する。
【0020】
<ピストン部材30>
図6A~
図6Dに示すように、ピストン部材30は、ピストン31と、付勢部32とを備える。ピストン31は長尺状の棒状部材である。ピストン31の先端は半球状に形成され、ピストン31の基端は付勢部32に接続されている。
図8に示すように、使用者が容器本体3を押圧していない状態において、ピストン31は吐出口21Aを塞いでいる。ここで、ピストン31が吐出口21Aを塞いでいる状態において、ピストン31の先端はノズル21の吐出口21Aよりも上側に突き出していない。つまり、ピストン31は吐出口部20内に収容されており、ピストン31が外界の細菌等に晒されにくくなっている。
【0021】
付勢部32は板状部32Aと区画部32Bとを備える。付勢部32は、例えば、シリコーンゴム等のエラストマーによって構成される。付勢部32は流路Sp2と内部空間Spとを区画するように設けられている。つまり、付勢部32は、流路Sp2側から圧力を受けるとともに、内部空間Sp側から圧力を受ける。
【0022】
板状部32Aは、容器1内の内圧の変化によって弾性変形するように構成される。
図11A及び
図11Bに示すように、板状部32Aが弾性変形することで、ピストン31が上下に移動する、すなわちピストン31が吐出口部20に対して前進及び後退する。板状部32Aは、吐出口部20側(ノズル21側)へ突出するようにドーム状に形成された板状体である。板状部32Aはドーム状に形成されているので、流路Sp2の内圧が上昇すると、板状部32Aの形状が反転する。その結果、流路Sp2の内圧が上昇したときに、ピストン31が迅速に後退し、吐出口21Aがすみやかに開放される。このため、内容物を吐出口21Aから容器1外へ安定的に流出させることができる。板状部32Aの中央部にはピストン31の基端が接続されている。板状部32Aは上面視形状が円形である。板状部32Aの周縁には区画部32Bが接続されている。
【0023】
区画部32Bは円環状の板状体であり、区画部32Bには複数の貫通孔32bが形成されている。複数の貫通孔32bはピストン31を中心とする周方向に配置されている。また、複数の貫通孔32bは等間隔に配置されている。
図9及び
図10に示す破線矢印のように、容器本体3の内圧が上昇すると、容器本体3の内容物が貫通孔32bを通過する。ここで、区画部32Bは、流路Sp1と流路Sp2とを区画するように設けられている。これにより、使用者が例えば誤って容器本体3を強く押圧したとしても、流路Sp2の内圧が急激に上昇することが抑制される。その結果、内容物が吐出口部20から容器1外へ噴き出すことが抑制される。なお、上述した凸部23も同様の効果を有する。
【0024】
<環状部40>
図8に示すように、環状部40は区画部32Bと吐出口部20の内面との間に配置されている。環状部40は凸部23と同様にピストン部材30が基体部10から離間することを防止する機能を有する。つまり、使用者が容器本体3を押圧し、区画部32Bの下面が内容物に押されたとしても、区画部32Bが環状部40及び凸部23に突き当たるので、ピストン部材30が基体部10から離間することが抑制される。その結果、流路Sp1と内部空間Spとが連通してしまうことが防止される。環状部40は区画部32Bの貫通孔32bよりも外側に配置されている。キャップ2が環状部40を備えることで、貫通孔32bを通過した内容物がピストン31を中心として放射状に広がることが抑制され、貫通孔32bを通過した内容物がすみやかに内側(ピストン31側)に向かう。
【0025】
<内筒状部50>
図7A~
図7Cに示すように、内筒状部50は、本体部51と、フランジ部52とを有する。本体部51は円筒状に形成され、本体部51の端部にはフランジ部52が接続されている。フランジ部52は、内筒状部50の径方向に突出する環状体である。フランジ部52の外周面は外筒状部60の内面に沿うように設けられ、フランジ部52の内周面は第2底部14の外周面に沿うように設けられている。
【0026】
<外筒状部60>
図2A~
図4に示すように、外筒状部60は、本体部61と、雄ねじ部62と、突出部64とを有する。本体部61は円筒状に形成され、本体部61は内筒状部50を収容している。本体部61の外周面には雄ねじ部62が螺旋状に形成されている。雄ねじ部62は、キャップ2を収容する図示省略のカバーに螺合するように構成される。本体部61と本体部51との間には隙間63が形成されている。隙間63には口部3Bが挿入される。突出部64は、内筒状部50側に突出するように形成された環状の突出部である。突出部64は口部3Bの係合部3bに係合する。
【0027】
3.キャップ2の動作
次に、実施形態に係る容器1の動作を説明する。
【0028】
容器本体3が押圧されていない状態では、付勢部32がピストン31をノズル21に押し付ける力(付勢力と称する)が、流路Sp2の内圧によって付勢部32が押される力(後退力と称する)よりも大きい。このため、
図11Aに示すように、容器本体3が押圧されていない状態では、ピストン31はノズル21の吐出口21Aを閉塞している。なお、付勢力は、内部空間Spにおける大気圧によって付勢部32が押される力や、板状部32Aの弾性力を含む。使用者が容器本体3を押圧していない状態において使用者が容器1を傾けると、容器本体3内の内容物が、流路St、流路Sp1及び貫通孔32bの順番で通過し、流路Sp2に流入する。
【0029】
使用者が容器本体3を押圧すると、流路Sp2の内圧が上昇する。これにより、
図11Bに示すように、付勢部32に作用する後退力が付勢部32に作用する付勢力よりも大きくなり、板状部32Aが弾性変形して板状部32Aの形状が反転する。
図11B及び
図12に示すように、板状部32Aの形状の反転に伴ってピストン31は吐出口部20から後退し、ノズル21の吐出口21Aが開放され、流路Sp2と容器1外とが連通する。流路Sp2と容器1外とが連通すると、流路Sp2の内容物が容器1外へ流出する。
【0030】
使用者が容器本体3を押圧することをやめると、付勢部32に作用する付勢力が付勢部32に作用する後退力よりも大きくなり、板状部32Aの形状がもとに戻る。板状部32Aの形状がもとに戻るに伴ってピストン31は吐出口部20へ前進し、ノズル21の吐出口21Aが閉塞される。
【0031】
4.実施形態の効果
使用者が容器本体3を押圧すると、容器本体3の内圧が上昇してピストン31が吐出口部20から後退し、吐出口部20が開放され、容器本体3の内容物が吐出口部20から容器1外へ流出する。使用者が容器本体3を押圧する力を緩めると、容器本体3において上昇した内圧が低下してピストン31が吐出口部20へ前進する。ピストン31が吐出口部20へ前進する過程において、ピストン31はノズル21内に残留する内容物を押し出し、そして、ピストン31は当該残留する内容物を容器1外へ流出させる。このように、実施形態に係る容器1は、使用者が容器本体3を押圧する力を緩めると、ピストン31が吐出口部20へ前進してピストン31がノズル21に残留する内容物を押し出すので、吐出口部20の液残りが抑制される。
【0032】
また、使用者が容器本体3を押圧することをやめると、ピストン31は吐出口部20へ前進し、ノズル21の吐出口21Aが閉塞される。これにより、吐出口21Aから容器1外へ流出した内容物がノズル21内に戻ってしまうことが抑制される。つまり、キャップ2は、流出した内容物とともに塵や細菌が容器1内に侵入することをより確実に抑制することができる。
【0033】
容器1の内容物の量が少なくなってくると、内袋5内が負圧になる場合がある。ここで、ピストン31がノズル21に付勢された状態で吐出口21Aがピストン31によって閉塞されるので、内袋5内が負圧になったとしても、空気がキャップ2内に侵入しにくくなっている。また、キャップ2は空気が侵入しにくくなっているので、キャップ2は空気とともに塵や細菌が容器1内に侵入することをより確実に抑制することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 :容器
2 :キャップ
3 :容器本体
3A :収容部
3B :口部
3a :凹部
3b :係合部
3c :外気導入孔
4 :外殻
5 :内袋
10 :基体部
11 :第1壁部
11A :切欠部
12 :第2壁部
13 :第1底部
14 :第2底部
14A :切欠部
15 :大気連通路
16 :柱状部
20 :吐出口部
21 :ノズル
21A :吐出口
22 :筒状部
23 :凸部
30 :ピストン部材
31 :ピストン
32 :付勢部
32A :板状部
32B :区画部
32b :貫通孔
40 :環状部
50 :内筒状部
51 :本体部
52 :フランジ部
60 :外筒状部
61 :本体部
62 :雄ねじ部
63 :隙間
64 :突出部
Sp :内部空間
Sp1 :流路
Sp2 :流路
St :流路