(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】食品機械
(51)【国際特許分類】
F25D 7/00 20060101AFI20220907BHJP
F04C 25/02 20060101ALI20220907BHJP
B01D 46/42 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
F25D7/00 A
F04C25/02 B
B01D46/42 A
(21)【出願番号】P 2018166600
(22)【出願日】2018-09-06
【審査請求日】2021-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110685
【氏名又は名称】小山 方宜
(72)【発明者】
【氏名】蔵野 雅夫
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-200468(JP,A)
【文献】特開2017-166767(JP,A)
【文献】特開2016-049496(JP,A)
【文献】特開平08-080340(JP,A)
【文献】実開平03-052303(JP,U)
【文献】特開2011-183325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 7/00
F25B 19/00
A23L 3/36
A23L 3/44
F04B 37/16
F04C 25/02
B01D 46/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品が収容される処理槽と、
この処理槽内からの排気路に、真空ポンプが設けられた減圧手段と、
前記処理槽内への給気路に、エアフィルタおよび給気弁が設けられた復圧手段と、
前記各手段を制御する制御手段とを備え
、
前記処理槽内からの排気路に、前記真空ポンプの他、熱交換器および弁を備え、
前記排気路の内、前記弁よりも前記処理槽側から前記処理槽内へ蒸気を供給する給蒸手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記処理槽内に槽内容積を減じる収容物がない状態で
、減圧操作として前記減圧手段により前記処理槽内を減圧する空気排除工程、前記給蒸手段により前記処理槽内を復圧する給蒸工程、前記処理槽内を殺菌温度以上で殺菌時間保持する殺菌工程、前記減圧手段により前記処理槽内を減圧する湯気取り工程
、復圧操作として前記復圧手段により前記処理槽内を復圧する復圧工程、を順次に含んで実行し、
前記制御手段は、前記空気排除工程の全部または一部における減圧時間に基づき、前記真空ポンプの能力低下を判定す
る
ことを特徴とする食品機械。
【請求項2】
前記制御手段は、前記空気排除工程の全部または一部における減圧時間に基づき、前記真空ポンプの能力低下を判定する
と共に、前記復圧工程の全部または一部における復圧時間に基づき、前記エアフィルタの目詰まりを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の食品機械。
【請求項3】
前記減圧操作では、前記処理槽内を第一設定圧力まで減圧し、
前記制御手段は、前記減圧操作中、前記処理槽内の圧力が、第一測定開始圧力から第一測定終了圧力に下がるまでの時間を測定し、その時間が基準減圧時間よりも長ければ、前記真空ポンプの能力が低下していると判定し、
前記第一測定開始圧力は、大気圧かそれ未満で設定され、
前記第一測定終了圧力は、前記第一測定開始圧力未満の圧力で、且つ、前記第一設定圧力かそれ以上で設定される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品機械。
【請求項4】
大気圧と前記第一設定圧力との間で、複数の圧力域が設定され、
前記制御手段は、前記圧力域ごとに、その圧力域を通過する時間を測定し、その時間が当該圧力域に対する基準減圧時間よりも長いか否かを判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の食品機械。
【請求項5】
前記基準減圧時間は、前記真空ポンプへの給水温度および/または真空ポンプの回転数に基づき変更される
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の食品機械。
【請求項6】
前記復圧操作の前、前記処理槽内を第二設定圧力まで減圧し、
前記制御手段は、前記復圧操作中、前記処理槽内の圧力が、第二測定開始圧力から第二測定終了圧力に上がるまでの時間を測定し、その時間が基準復圧時間よりも長ければ、前記エアフィルタに目詰まりがあると判定し、
前記第二測定開始圧力は、前記第二設定圧力かそれ以上で設定され、
前記第二測定終了圧力は、前記第二測定開始圧力を超える圧力で、且つ、大気圧かそれ未満で設定される
ことを特徴とする
請求項2に記載の食品機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプを有する減圧手段と、エアフィルタを有する復圧手段とを備えた各種食品機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
減圧手段と復圧手段とを備えた食品機械として、たとえば真空冷却装置が知られている。真空冷却装置は、減圧手段により処理槽内を減圧することで、処理槽内の食品からの水分蒸発を促し、その気化潜熱で食品の冷却を図る装置である。冷却後には、復圧手段により、処理槽内が大気圧まで復圧される。減圧手段は、処理槽内からの排気路に真空ポンプを備え、復圧手段は、処理槽内への給気路にエアフィルタを備える。下記特許文献1に開示されるように、処理槽内および減圧系統の殺菌が可能な食品機械も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
減圧手段の真空ポンプは、ゴミ詰り等の偶発的な不具合および経年劣化により能力が低下するが、従来、この能力低下を客観的に自動で判定することはできなかった。日常の冷却運転時に、真空ポンプの能力低下を知ることができれば好適であるが、食品の量や温度、槽内に占める割合などで減圧時間が変わるため、真空ポンプの能力低下を簡易に知ることはできなかった。
【0005】
一方、復圧手段のエアフィルタは、使用に伴い目詰まりが生じ、復圧時間の増大や衛生面の観点から定期的な交換が望まれるが、装置の設置環境によって目詰まりの進行具合が異なる。エアフィルタの交換時期を簡易に知ることができれば好適であるが、従来、エアフィルタの目詰まりを客観的に自動で判定することはできなかった。前述した真空ポンプの場合と同様、槽内に占める食品の割合(逆にいえば槽内に残る空き容積)で復圧時間が変わるため、エアフィルタの目詰まりを簡易に知ることはできなかった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、真空ポンプの能力低下、および/または、エアフィルタの目詰まりについて、客観的に自動で簡易に知ることができる食品機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、食品が収容される処理槽と、この処理槽内からの排気路に、真空ポンプが設けられた減圧手段と、前記処理槽内への給気路に、エアフィルタおよび給気弁が設けられた復圧手段と、前記各手段を制御する制御手段とを備え、前記処理槽内からの排気路に、前記真空ポンプの他、熱交換器および弁を備え、前記排気路の内、前記弁よりも前記処理槽側から前記処理槽内へ蒸気を供給する給蒸手段をさらに備え、前記制御手段は、前記処理槽内に槽内容積を減じる収容物がない状態で、減圧操作として前記減圧手段により前記処理槽内を減圧する空気排除工程、前記給蒸手段により前記処理槽内を復圧する給蒸工程、前記処理槽内を殺菌温度以上で殺菌時間保持する殺菌工程、前記減圧手段により前記処理槽内を減圧する湯気取り工程、復圧操作として前記復圧手段により前記処理槽内を復圧する復圧工程、を順次に含んで実行し、前記制御手段は、前記空気排除工程の全部または一部における減圧時間に基づき、前記真空ポンプの能力低下を判定することを特徴とする食品機械である。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、空気排除工程、給蒸工程、殺菌工程、湯気取り工程および復圧工程を順次に実行して、処理槽内および減圧系統(処理槽から弁までの区間)の殺菌が可能である。また、その殺菌運転において、空気排除工程での減圧時間に基づき真空ポンプの能力低下を判定することができる。殺菌運転は、処理槽内に槽内容積を減じる収容物がない状態でなされるので、前記判定は、食品の量や温度、槽内に占める割合などに左右されない。このようにして、真空ポンプの能力低下について、客観的に自動で簡易に知ることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記制御手段は、前記空気排除工程の全部または一部における減圧時間に基づき、前記真空ポンプの能力低下を判定すると共に、前記復圧工程の全部または一部における復圧時間に基づき、前記エアフィルタの目詰まりを判定することを特徴とする請求項1に記載の食品機械である。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、空気排除工程、給蒸工程、殺菌工程、湯気取り工程および復圧工程を順次に実行して、処理槽内および減圧系統(処理槽から弁までの区間)の殺菌が可能である。また、その殺菌運転において、空気排除工程での減圧時間に基づき真空ポンプの能力低下を判定すると共に、復圧工程での復圧時間に基づきエアフィルタの目詰まりを判定することができる。殺菌運転は、処理槽内に槽内容積を減じる収容物がない状態でなされるので、前記判定は、食品の量や温度、槽内に占める割合などに左右されない。このようにして、真空ポンプの能力低下、および、エアフィルタの目詰まりについて、客観的に自動で簡易に知ることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記減圧操作では、前記処理槽内を第一設定圧力まで減圧し、前記制御手段は、前記減圧操作中、前記処理槽内の圧力が、第一測定開始圧力から第一測定終了圧力に下がるまでの時間を測定し、その時間が基準減圧時間よりも長ければ、前記真空ポンプの能力が低下していると判定し、前記第一測定開始圧力は、大気圧かそれ未満で設定され、前記第一測定終了圧力は、前記第一測定開始圧力未満の圧力で、且つ、前記第一設定圧力かそれ以上で設定されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の食品機械である。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、第一測定開始圧力から第一測定終了圧力までの減圧時間が基準減圧時間よりも長いか否かに基づき、真空ポンプの能力が低下しているか否かを容易に判定することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、大気圧と前記第一設定圧力との間で、複数の圧力域が設定され、前記制御手段は、前記圧力域ごとに、その圧力域を通過する時間を測定し、その時間が当該圧力域に対する基準減圧時間よりも長いか否かを判定することを特徴とする請求項3に記載の食品機械である。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、真空ポンプの能力低下を、複数の圧力域に分けて確認することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、前記基準減圧時間は、前記真空ポンプへの給水温度および/または真空ポンプの回転数に基づき変更されることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の食品機械である。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、真空ポンプへの給水温度および/または真空ポンプの回転数を考慮して、より正確に、真空ポンプの能力判定を行うことができる。
【0017】
さらに、請求項6に記載の発明は、前記復圧操作の前、前記処理槽内を第二設定圧力まで減圧し、前記制御手段は、前記復圧操作中、前記処理槽内の圧力が、第二測定開始圧力から第二測定終了圧力に上がるまでの時間を測定し、その時間が基準復圧時間よりも長ければ、前記エアフィルタに目詰まりがあると判定し、前記第二測定開始圧力は、前記第二設定圧力かそれ以上で設定され、前記第二測定終了圧力は、前記第二測定開始圧力を超える圧力で、且つ、大気圧かそれ未満で設定されることを特徴とする請求項2に記載の食品機械である。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、第二測定開始圧力から第二測定終了圧力までの復圧時間が基準復圧時間よりも長いか否かに基づき、エアフィルタに目詰まりがあるか否かを容易に判定することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の食品機械によれば、真空ポンプの能力低下、および/または、エアフィルタの目詰まりについて、客観的に自動で簡易に知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施例の食品機械を示す概略構成図である。
【
図2】
図1の食品機械の殺菌運転を示すフローチャートである。
【
図3】
図2の空気排除工程を示すフローチャートである。
【
図4】
図2の復圧工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例の食品機械1を示す概略構成図である。
【0022】
本実施例の食品機械1は、真空冷却装置であり、食品が収容される処理槽2と、この処理槽2内の気体を外部へ吸引排出して処理槽2内を減圧する減圧手段3と、減圧された処理槽2内へ外気を導入して処理槽2内を復圧する復圧手段4と、減圧手段3の排気路9を介して処理槽2内へ蒸気を供給する給蒸手段5と、前記各手段3~5を制御する制御手段(図示省略)とを備える。
【0023】
処理槽2は、内部空間の減圧に耐える中空容器であり、ドアで開閉可能とされる。処理槽2は、典型的には略矩形の箱状に形成され、正面の開口部がドアで開閉可能とされる。ドアを開けることで、処理槽2に食品を出し入れすることができ、ドアを閉じることで、処理槽2の開口部を気密に閉じることができる。ドアは、処理槽2の正面および背面の双方に設けられてもよい。
【0024】
処理槽2には、処理槽2内の圧力を検出する圧力センサ6と、処理槽2内の温度を検出する温度センサ7と、処理槽2内に収容される食品の温度を検出する品温センサ8とが設けられる。
【0025】
減圧手段3は、処理槽2内の気体(空気や蒸気)を外部へ吸引排出して、処理槽2内を減圧する手段である。本実施例では、減圧手段3は、処理槽2内からの排気路9に、蒸気エゼクタ10、蒸気凝縮用の熱交換器11、逆止弁12、および水封式の真空ポンプ13を順に備える。
【0026】
蒸気エゼクタ10は、吸引口10aが処理槽2に接続されて設けられ、入口10bから出口10cへ向けて、エゼクタ給蒸路14からの蒸気がノズルで噴出可能とされる。入口10bから出口10cへ向けて蒸気を噴出させることで、処理槽2内の気体も吸引口10aを介して出口10cへ吸引排出される。エゼクタ給蒸路14に設けたエゼクタ給蒸弁15の開閉を操作することで、蒸気エゼクタ10の作動の有無を切り替えることができる。
【0027】
熱交換器11は、排気路9内の流体と冷却水とを混ぜることなく熱交換する間接熱交換器である。熱交換器11により、排気路9内の蒸気を、冷却水により冷却し凝縮させることができる。
【0028】
真空ポンプ13は、水封式であり、周知のとおり、封水と呼ばれる水が供給されつつ運転される。真空ポンプ13には、封水給水弁16を介して水が供給可能とされる。封水給水弁16は、真空ポンプ13の発停と連動して開閉される。
【0029】
熱交換器11および真空ポンプ13への給水系統について説明すると、本実施例では、熱交換器11および真空ポンプ13には、常温水と冷水とを切り替えて供給可能とされる。冷水とは、チラー(図示省略)により所定温度に冷却を図られた水であり、常温水とは、そのような冷却を図られない水である。
【0030】
図示例の場合、常温水と冷水の切り替えは、常温水給水路17に設けられた常温水給水弁18と、冷水給水路19に設けられた冷水給水弁20で行われる。常温水給水弁18より下流の常温水給水路17と、冷水給水弁20より下流の冷水給水路19とは、合流して共通給水路21とされている。そして、この共通給水路21は、熱交換器11への熱交給水路22と、真空ポンプ13への封水給水路23とに分岐されている。封水給水路23には、封水給水弁16が設けられている。
【0031】
熱交換器11は、熱交給水路22を介して水が供給され、熱交排水路24を介して水が排出される。熱交排水路24は、冷水戻し路25と排水出口路26とに分岐され、冷水戻し路25には冷水戻し弁27が設けられ、排水出口路26には排水出口弁28が設けられている。冷水戻し弁27と排水出口弁28とは択一的にいずれか一方が開けられるか、双方が閉じられた状態に制御される。
【0032】
復圧手段4は、減圧された処理槽2内へ外気を導入して、処理槽2内を復圧する手段である。本実施例では、復圧手段4は、処理槽2内への給気路29に、エアフィルタ30および給気弁31を順に備える。処理槽2内が減圧された状態で、給気弁31を開けると、外気がエアフィルタ30を介して処理槽2内へ導入され、処理槽2内を復圧することができる。給気弁31は、好ましくは開度調整可能な弁から構成される。
【0033】
給蒸手段5は、前述した排気路9を介して、処理槽2内へ蒸気を供給する手段である。本実施例では、給蒸手段5は、熱交換器11と逆止弁12との間から、排気路9内へ蒸気(飽和蒸気)を供給する。つまり、熱交換器11と逆止弁12との間の排気路9には、殺菌用給蒸路32が接続されており、この殺菌用給蒸路32から排気路9内へ蒸気を供給可能とされる。この蒸気供給の有無は、殺菌用給蒸路32に設けられた殺菌用給蒸弁33により切り替えられる。なお、図示例では、殺菌用給蒸弁33よりも上流側の殺菌用給蒸路32と、エゼクタ給蒸弁15よりも上流側のエゼクタ給蒸路14とは、共通給蒸路34とされている。
【0034】
制御手段は、前記各センサ6~8の検出信号や経過時間などに基づき、前記各手段3~5などを制御する制御器である。具体的には、真空ポンプ13、エゼクタ給蒸弁15、殺菌用給蒸弁33、封水給水弁16、常温水給水弁18、冷水給水弁20、冷水戻し弁27、排水出口弁28、給気弁31の他、圧力センサ6、温度センサ7および品温センサ8などは、制御器に接続される。そして、制御器は、以下に述べるように、所定の手順(プログラム)に従い、処理槽2内の食品の冷却運転の他、処理槽2内および減圧系統(処理槽2から逆止弁12までの区間)の殺菌運転を実行可能とされる。
【0035】
また、制御手段は、真空ポンプ13の能力低下および/またはエアフィルタ30の目詰まりを判定する判定手段としても機能する。すなわち、食品機械1は、処理槽2内に槽内容積を減じる収容物がない状態で、減圧手段3により処理槽2内を減圧する減圧操作と、復圧手段4により処理槽2内を復圧する復圧操作とを実行可能とされるが、制御手段は、減圧操作中の全部または一部における減圧時間(より具体的には減圧開始圧力から減圧終了圧力までの全圧力域または一部圧力域を通過する減圧時間)に基づき、真空ポンプ13の能力低下を判定するか、および/または、復圧操作中の全部または一部における復圧時間(より具体的には復圧開始圧力から復圧終了圧力までの全圧力域または一部圧力域を通過する復圧時間)に基づき、エアフィルタ30の目詰まりを判定する。この判定処理は、本実施例では、殺菌運転において実行可能とされる。
【0036】
冷却運転は、処理槽2内に食品を収容した状態で実行される。冷却運転では、減圧手段3により処理槽2内を減圧して、処理槽2内の食品を所望温度まで冷却後、減圧手段3を停止して、復圧手段4により処理槽2内を大気圧まで復圧する。冷却運転では、減圧手段3により処理槽2内を減圧中、所望により給気弁31の開度を調整して、処理槽2内の減圧速度を調整してもよい。また、冷却運転では、復圧手段4により処理槽2内を復圧中、所望により給気弁31の開度を調整して、処理槽2内の復圧速度を調整してもよい。
【0037】
殺菌運転は、処理槽2内に食品を収容しない状態で実行される。本実施例の食品機械1では、殺菌運転において、真空ポンプ13の能力低下を判定するか、および/または、エアフィルタ30の目詰まりを判定する判定処理がなされるが、この判定処理を正確に行うためにも、殺菌運転は、処理槽2内に槽内容積を減じる収容物がない状態、より具体的には処理槽2内に少なくとも食品を収容しない状態でなされる。好ましくは、食品の他、食品容器やこれを載せるワゴンなどの器具が、処理槽2内に収容されない状態(つまり典型的には処理槽2内が空の状態)でなされる。また、冷却運転時に、処理槽2内からの排気口に吸気ストレーナを設けたり、処理槽2内に露避け板を設けたりしている場合でも、殺菌運転時には、これら吸気ストレーナや露避け板を取り外しておくのがよい。但し、場合により、センサ類などの小物は、処理槽2内容積に対して微々たるものであるため、処理槽2内に配置されていても構わない。
【0038】
図2は、本実施例の食品機械1の殺菌運転を示すフローチャートである。また、
図3は、殺菌運転における空気排除工程S1を示すフローチャートであり、
図4は、殺菌運転における復圧工程S6を示すフローチャートである。
【0039】
図2に示すように、殺菌運転では、空気排除工程S1、給蒸工程S2、殺菌工程S3、熱交冷却工程S4、湯気取り工程S5および復圧工程S6を順次に含んで実行する。以下、各工程について説明する。
【0040】
≪空気排除工程S1≫
空気排除工程S1では、減圧手段3により処理槽2内を減圧して、処理槽2内から空気を排除する。具体的には、
図3に示すように、真空ポンプ13を作動させて、処理槽2内を減圧する(S11)。この際、給気弁31、エゼクタ給蒸弁15および殺菌用給蒸弁33は閉じられた状態にある。また、空気排除工程S1の開始時には、冷水給水弁20が閉じられた状態で、常温水給水弁18および封水給水弁16が開けられて、真空ポンプ13には常温水が供給される。さらに、冷水戻し弁27および排水出口弁28は閉じられた状態にあり、熱交換器11には通水されない。
【0041】
このようにして、真空ポンプ13に常温水を供給しつつ、処理槽2内を真空ポンプ13で減圧していくが、圧力センサ6の検出圧力が冷水切替圧力(たとえば200hPa)以下になると、真空ポンプ13への給水を常温水から冷水に切り替える(S12,S13)。具体的には、常温水給水弁18を閉じる一方、冷水給水弁20を開ければよい。
【0042】
その後、圧力センサ6の検出圧力が第一設定圧力(たとえば30hPa)以下になると、冷水給水弁20および封水給水弁16を閉じると共に真空ポンプ13を停止して、空気排除工程を終了する(S14,S15)。但し、真空ポンプ13の停止後(上記一連の初期減圧操作S11-S15の後)、所望により、圧力センサ6の検出圧力が所定復圧圧力(たとえば900hPa)になるまで、給蒸手段5により処理槽2内に蒸気を供給して復圧した後、その給蒸を停止した状態で、圧力センサ6の検出圧力が所定減圧圧力(たとえば30hPa)になるまで、減圧手段3により処理槽2内を減圧するなどしてもよい(S18)。いずれにしても、最終的には、真空ポンプ13を停止すると共に、真空ポンプ13への給水を停止して、空気排除工程を終了する。
【0043】
なお、処理槽2内に給蒸後の減圧時(前述した所定復圧圧力から所定減圧圧力までの減圧時)には、熱交換器11に、所定のタイミングで常温水または冷水を通してもよい。熱交換器11に常温水を通す場合、排水出口弁28を開けておくことで、熱交換器11で使用後の水は、排水出口路26へ排出される。一方、熱交換器11に冷水を通す場合、冷水戻し弁27を開けておくことで、熱交換器11で使用後の水は、冷水戻し路25を介して冷水タンク(冷水供給源)へ戻される。
【0044】
空気排除工程S1において、空気排除工程S1の全部または一部における減圧時間に基づき、真空ポンプ13の能力低下を判定することができる。本実施例では、前述したとおり、空気排除工程S1(初期減圧操作S11-S15)では、処理槽2内を大気圧から第一設定圧力まで減圧するが、その減圧時間に基づき、真空ポンプ13の能力低下を判定する。
【0045】
具体的には、
図3に示すように、制御器は、真空ポンプ13を作動させて処理槽2内の減圧を開始する際、減圧時間の測定を開始し(S11)、処理槽2内が第一設定圧力に到達した際、減圧時間の測定を終了する(S14,S15)。つまり、処理槽2内を大気圧から第一設定圧力まで減圧する際、減圧の開始から終了までの減圧時間を測定する。この間、熱交換器11には通水しないので、熱交換器11による影響のない減圧時間を測定することができる。そして、このようにして測定された減圧時間(測定時間)が基準減圧時間を超えていれば、真空ポンプ13の能力が低下していると判定し、基準減圧時間以下であれば、真空ポンプ13の能力は低下していないと判定する(S16)。判定結果(特に真空ポンプ13の能力が低下している旨の判定結果)は、所定の出力機器に出力してお知らせする(S17)。たとえば、タッチパネルに表示したり、ランプを点灯させたり、あるいはブザーを鳴らしたりする。
【0046】
ところで、真空ポンプ13の能力判定のための時間測定について、ここでは、時間測定の開始時の圧力(第一測定開始圧力)は大気圧とされ、時間測定の終了時の圧力(第一測定終了圧力)は第一設定圧力とされたが、必ずしも、大気圧から第一設定圧力までの減圧時間で判定する必要はない。つまり、第一測定開始圧力は、大気圧かそれ未満で設定され、第一測定終了圧力は、第一測定開始圧力未満の圧力で、且つ、第一設定圧力かそれ以上で設定されるならば、適宜変更可能である。いずれにしても、処理槽2内の圧力が、第一測定開始圧力から第一測定終了圧力に下がるまでの時間を測定し、その時間が基準減圧時間よりも長ければ、真空ポンプ13の能力が低下していると判定して、その結果を出力してお知らせする。
【0047】
なお、大気圧と冷水切替圧力との間で、第一測定開始圧力および第一測定終了圧力を設定すれば、封水は常温水のままであるから、封水温度の影響が少ない判定が可能となる。同様に、冷水切替圧力と第一設定圧力との間で、第一測定開始圧力および第一測定終了圧力を設定すれば、封水は冷水のままであるから、封水温度の影響が少ない判定が可能となる。
【0048】
≪給蒸工程S2≫
給蒸工程S2では、給蒸手段5により、排気路9を介して処理槽2内へ蒸気を供給して、処理槽2内を所定の移行温度(または移行温度相当の飽和圧力(移行圧力))まで復圧する。具体的には、殺菌用給蒸弁33を開けて、逆止弁12の一次側から排気路9を逆流させて、処理槽2内へ蒸気を供給する。温度センサ7の検出温度が移行温度(たとえば84℃)以上になると、次工程へ移行する。なお、蒸気による復圧後でも、処理槽2内は大気圧未満であるように、移行温度が設定される。
【0049】
≪殺菌工程S3≫
殺菌工程S3では、給蒸手段5を制御して、処理槽2内を設定温度範囲(たとえば84~86℃)に維持する。具体的には、設定温度範囲の上限温度(たとえば86℃)を上回ると、殺菌用給蒸弁33を閉じる一方、下限温度(たとえば84℃)を下回ると、殺菌用給蒸弁33を開けて、処理槽2内を設定温度範囲に維持する。この間、温度センサ7の検出温度が殺菌温度(たとえば80℃)以上である時間をタイマで測定する。そして、温度センサ7の検出温度が殺菌温度以上である時間が殺菌時間(たとえば10分)に達したら、殺菌用給蒸弁33を閉じて、殺菌工程S3を終了する。殺菌工程S3において、処理槽2内と、処理槽2から逆止弁12までの領域を、蒸気で殺菌することができる。
【0050】
≪熱交冷却工程S4≫
熱交冷却工程S4は、給蒸工程S2および殺菌工程S3により昇温された熱交換器11の冷却を図る。具体的には、真空ポンプ13を停止したまま、常温水給水弁18および排水出口弁28を開けて、熱交換器11に常温水を通水する。熱交換器11に通水することで、熱交換器11の冷却が図られる。そして、熱交冷却時間だけ熱交換器11に通水したら、排水出口弁28を閉じて、熱交冷却工程S4を終了する。
【0051】
≪湯気取り工程S5≫
湯気取り工程S5は、処理槽2内に残る蒸気を外部へ排出する。具体的には、空気排除工程S1と同様に、常温水給水弁18および封水給水弁16を開けた状態で、真空ポンプ13を作動させて、処理槽2内を減圧する。この際、冷水戻し弁27および排水出口弁28は閉じられており、熱交換器11には通水されない。但し、場合により、排水出口弁28を開けて、熱交換器11に常温水を通水してもよい。
【0052】
その後、圧力センサ6の検出圧力が冷水切替圧力以下になると、真空ポンプ13への給水を常温水から冷水に切り替える。具体的には、常温水給水弁18を閉じる一方、冷水給水弁20を開ければよい。この際、湯気取り工程S5では、冷水戻し弁27を開けて、熱交換器11には冷水を通し、熱交換器11で使用後の冷水は冷水タンクへ戻される。
【0053】
このようにして、処理槽2内を減圧していき、圧力センサ6の検出圧力が第二設定圧力(たとえば45hPa)以下になれば、真空ポンプ13を停止すると共に、封水給水弁16、冷水給水弁20および冷水戻し弁27を閉じて、次工程へ移行する。
【0054】
≪復圧工程S6≫
復圧工程S6では、復圧手段4により、処理槽2内を大気圧まで復圧する。具体的には、
図4に示すように、給気弁31を開けて(S61)、処理槽2内を大気圧まで復圧する(S66)。復圧工程S6での給気弁31の開度は、常に全開とされるなど、予め定められた開度とされる。
【0055】
復圧工程S6において、復圧工程S6の全部または一部における復圧時間に基づき、エアフィルタ30の目詰まりを判定することができる。本実施例では、前述したとおり、直前の工程(湯気取り工程S5)で、処理槽2内を第二設定圧力まで減圧しているが、その第二設定圧力から大気圧までの復圧中の所定圧力域を通過する復圧時間に基づき、エアフィルタ30の目詰まりを判定する。
【0056】
具体的には、
図4に示すように、制御器は、給気弁31の開放後、圧力センサ6の検出圧力を監視し、処理槽2内が第二測定開始圧力(たとえば50hPa)以上になると、復圧時間の測定を開始し(S62,S63)、処理槽2内が第二測定終了圧力に到達した際、復圧時間の測定を終了する(S64,S65)。つまり、処理槽2内を所定圧力(第二設定圧力)から大気圧まで復圧する過程で、第二測定開始圧力から第二測定終了圧力までの復圧時間を測定する。そして、このようにして測定された復圧時間(測定時間)が基準復圧時間を超えていれば、エアフィルタ30の目詰まりが発生していると判定し、基準復圧時間以下であれば、エアフィルタ30の目詰まりは発生していないと判定する(S67)。判定結果(特にエアフィルタ30の目詰まりが発生している旨の判定結果)は、所定の出力機器に出力してお知らせする(S68)。たとえば、タッチパネルに表示したり、ランプを点灯させたり、あるいはブザーを鳴らしたりする。
【0057】
ところで、エアフィルタ30の目詰まり判定のための時間測定について、ここでは、時間測定の開始時の圧力(第二測定開始圧力)は第二設定圧力よりも高い圧力とされ、時間測定の終了時の圧力(第二測定終了圧力)は大気圧よりも低い圧力とされたが、第二測定開始圧力を第二設定圧力としたり、第二測定終了圧力を大気圧としたりしてもよい。つまり、第二測定開始圧力は、第二設定圧力かそれ以上で設定され、第二測定終了圧力は、第二測定開始圧力を超える圧力で、且つ、大気圧かそれ未満で設定されるならば、適宜変更可能である。いずれにしても、処理槽2内の圧力が、第二測定開始圧力から第二測定終了圧力に上がるまでの時間を測定し、その時間が基準復圧時間よりも長ければ、エアフィルタ30に目詰まりがあると判定して、その結果を出力してお知らせする。
【0058】
なお、第二測定開始圧力を第二設定圧力よりも高い圧力とし、第二測定終了圧力を大気圧よりも低い圧力としておけば、復圧開始時の槽内圧力のバラツキや、大気圧の変化や、装置設置環境(標高)の影響も抑えた判定を実施することができる。
【0059】
本実施例の食品機械1によれば、殺菌運転において、空気排除工程S1での減圧時間に基づき真空ポンプ13の能力低下を判定したり、復圧工程S6での復圧時間に基づきエアフィルタ30の目詰まりを判定したりすることができる。殺菌運転は、処理槽2内に槽内容積を減じる収容物がない状態でなされるので、前記判定は、食品の量や温度、槽内に占める割合などに左右されない。また、定期点検のタイミングではなく、毎日なされる(たとえば一日の終わりや所定のバッチ処理の後になされる)殺菌運転時に、真空ポンプ13の能力低下やエアフィルタ30の目詰まりを、容易に確認することができる。
【0060】
食品機械1の制御手段を管理センター(一または複数の食品機械1を遠隔監視する施設)のコンピュータと通信回線で接続可能としておき、管理センターの側で食品機械1の前記判定結果を監視可能としてもよい。その場合、管理センターでは、真空ポンプ13の能力低下を確認したり、エアフィルタ30の目詰まりを確認したりすると、サービスマンを派遣したり、ユーザにメンテナンスを要請したりすることができる。
【0061】
次に、前記実施例における真空ポンプ13の能力判定と、エアフィルタ30の目詰まり判定の変形例について説明する。
【0062】
前記実施例では、第一測定開始圧力から第一測定終了圧力までの減圧時間が所定の基準減圧時間よりも長いか否かで、真空ポンプ13の能力低下を判定したが、その際、真空ポンプ13への封水温度や真空ポンプ13の回転数に基づき、基準減圧時間を変更しても良い。例えば、封水温度や回転数(周波数)による真空ポンプ13の排気能力曲線から、基準減圧時間を算出し、能力判定を行うことができる。その場合、真空ポンプ13への封水温度は、封水給水路23または真空ポンプ13に、封水温度センサを設置しておけばよい。また、真空ポンプ13の回転数は、真空ポンプ13を駆動するインバータの周波数から算出できる。真空ポンプ13への給水温度や真空ポンプ13の回転数を考慮することで、より正確に真空ポンプ13の能力判定を行うことができる。
【0063】
また、前記実施例では、大気圧から第一設定圧力までの減圧時間(またはその間で設定される圧力域を通過する減圧時間)で、真空ポンプ13の能力低下を判定したが、大気圧と第一設定圧力との間で、複数の圧力域を設定してもよい。その場合、圧力域ごとに、その圧力域を通過する時間を測定し、その時間が当該圧力域に対する基準減圧時間よりも長いか否かを判定すればよい。
【0064】
たとえば、大気圧から500hPaまでの第一減圧時間(測定時間)と第一基準減圧時間とを比較し、500hPaから100hPaまでの第二減圧時間(測定時間)と第二基準減圧時間とを比較し、100hPaから30hPaまでの第三減圧時間(測定時間)と第三基準減圧時間とを比較し、どの領域で減圧速度が遅くなっているのかなどを判定させてもよい。つまり、真空ポンプ13の特性として、大気圧から所定圧力までの減圧時、どのように圧力が下がっていくかは決まっているので、それとの比較で、どの圧力域で能力低下が生じているのかなどを確認することができる。
【0065】
本発明の食品機械1は、前記実施例の構成(制御を含む)に限らず適宜変更可能である。特に、(a)食品が収容される処理槽2と、(b)この処理槽2内からの排気路9に、真空ポンプ13が設けられた減圧手段3と、(c)処理槽2内への給気路29に、エアフィルタ30および給気弁31が設けられた復圧手段4と、(d)前記各手段3,4を制御する制御手段とを備え、(e)制御手段は、処理槽2内に槽内容積を減じる収容物がない状態で、減圧手段3により処理槽2内を減圧する減圧操作と、復圧手段4により処理槽2内を復圧する復圧操作とを実行可能とされ、減圧操作中の全部または一部における減圧時間に基づき、真空ポンプ13の能力低下を判定するか、および/または、復圧操作中の全部または一部における復圧時間に基づき、エアフィルタ30の目詰まりを判定するのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。
【0066】
たとえば、前記実施例では、殺菌運転における空気排除工程S1の初期減圧操作(S11-S15)で、真空ポンプ13の能力低下を判定すると共に、最終的な復圧工程S6で、エアフィルタ30の目詰まりを判定したが、真空ポンプ13の能力判定とエアフィルタ30の目詰まり判定との内、片方のみを実行可能としてもよい。
【0067】
また、殺菌運転時の判定に限らず、専用のテスト運転で判定可能としてもよい。その場合、テスト運転では、殺菌運転における空気排除工程S1と同様に、大気圧から所定圧力までの減圧工程後、殺菌運転における復圧工程S6と同様に、所定圧力から大気圧まで復圧工程を実行可能とし、減圧工程において真空ポンプ13の能力を判定するか、および/または、復圧工程S6においてエアフィルタ30の目詰まりを判定すればよい。専用のテスト運転の場合、殺菌運転における給蒸工程S2、殺菌工程S3、熱交冷却工程S4および湯気取り工程S5は省略可能である。専用のテスト運転も、処理槽2内に槽内容積を減じる収容物がない状態でなされるのは言うまでもない。
【0068】
また、前記実施例において、逆止弁12に代えて、遮断弁(電磁弁、電動弁の他、手動弁でもよい)を用いてもよい。いずれの場合も、前記逆止弁12の開閉と同様に、遮断弁を開閉(真空ポンプ13の発停と遮断弁の開閉を連動)させればよい。そして、この遮断弁の一次側(処理槽2側)において、排気路9に殺菌用給蒸路32を接続するのが好ましい。
【0069】
また、前記実施例において、減圧手段3は、真空ポンプ13を備えるのであれば、その他の構成は適宜に変更可能である。たとえば、前記実施例において、蒸気エゼクタ10の設置は省略可能である。また、前記実施例において、弁(逆止弁12または遮断弁)の位置は、熱交換器11と真空ポンプ13との間に限らず、たとえば処理槽2と熱交換器11との間としてもよい。いずれの場合も、弁よりも処理槽2側において、排気路9(あるいは処理槽2)に殺菌用給蒸路32を接続すればよい。なお、処理槽2と熱交換器11との間に弁(逆止弁12または遮断弁)を設け、処理槽2内と処理槽2から弁(逆止弁12または遮断弁)までの領域を蒸気で殺菌する場合、熱交冷却工程S4を省略してもよいし、湯気取り工程S5と同時にまたは湯気取り工程S5中に熱交冷却工程S4を開始し、熱交換器11の冷却を行ってもよい。
【0070】
また、前記実施例では、真空ポンプ13の能力低下の有無を判定したが、場合により、能力低下の度合いを判定してもよい。つまり、測定された減圧時間が、理想減圧時間と比較して、どの程度遅くなっているのかを判定して、結果を出力するようにしてもよい。
【0071】
同様に、前記実施例では、エアフィルタ30の目詰まりの有無を判定したが、場合により、目詰まりの度合いを判定してもよい。つまり、測定された復圧時間が、理想復圧時間と比較して、どの程度遅くなっているのかを判定して、結果を出力するようにしてもよい。
【0072】
さらに、前記実施例では、真空冷却装置に適用した例について説明したが、真空ポンプ13を有する減圧手段3と、エアフィルタ30を有する復圧手段4とを備えるのであれば、真空冷却装置以外の各種食品機械1にも同様に適用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 食品機械
2 処理槽
3 減圧手段
4 復圧手段
5 給蒸手段
6 圧力センサ
7 温度センサ
8 品温センサ
9 排気路
10 蒸気エゼクタ(10a:吸引口、10b:入口、10c:出口)
11 熱交換器
12 逆止弁
13 真空ポンプ
14 エゼクタ給蒸路
15 エゼクタ給蒸弁
16 封水給水弁
17 常温水給水路
18 常温水給水弁
19 冷水給水路
20 冷水給水弁
21 共通給水路
22 熱交給水路
23 封水給水路
24 熱交排水路
25 冷水戻し路
26 排水出口路
27 冷水戻し弁
28 排水出口弁
29 給気路
30 エアフィルタ
31 給気弁
32 殺菌用給蒸路
33 殺菌用給蒸弁
34 共通給蒸路
S1 空気排除工程
S2 給蒸工程
S3 殺菌工程
S4 熱交冷却工程
S5 湯気取り工程
S6 復圧工程