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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】被覆切削工具
(51)【国際特許分類】
   B23B 27/14 20060101AFI20220907BHJP
   B23B 51/00 20060101ALI20220907BHJP
   B23C 5/16 20060101ALI20220907BHJP
   C23C 16/40 20060101ALI20220907BHJP
   C23C 16/36 20060101ALI20220907BHJP
   B23P 15/28 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
B23B27/14 A
B23B51/00 J
B23C5/16
C23C16/40
C23C16/36
B23P15/28 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018551539
(86)(22)【出願日】2017-10-23
(86)【国際出願番号】 JP2017038180
(87)【国際公開番号】W WO2018092518
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2019-05-14
(31)【優先権主張番号】P 2016223923
(32)【優先日】2016-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000221144
【氏名又は名称】株式会社タンガロイ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 博之
(72)【発明者】
【氏名】平野 雄亮
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-009358(JP,A)
【文献】特開2000-144427(JP,A)
【文献】特開2013-132717(JP,A)
【文献】特開2008-093769(JP,A)
【文献】特開2016-137564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/14
B23C 5/16
C23C 16/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材の表面に形成された被覆層とを備える被覆切削工具であって、
前記被覆層が、少なくとも1層のα型酸化アルミニウム層を含み、
前記被覆層の平均厚さが、3.0μm以上30.0μm以下であり、
前記α型酸化アルミニウム層において、下記式(1)で表される(0,0,12)面の組織係数TC(0,0,12)が、4.1以上8.4以下であり、下記式(2)で表される(1,0,16)面の組織係数TC(1,0,16)が、0.5以上3.0以下である、被覆切削工具。
【数1】
【数2】
(式(1)及び式(2)中、I(h,k,l)は、前記α型酸化アルミニウム層のX線回折における(h,k,l)面のピーク強度を示し、I0(h,k,l)は、α型酸化アルミニウムのJCPDSカード番号10-0173における(h,k,l)面の標準回折強度を示し、(h,k,l)は、(0,1,2)、(1,0,4)、(1,1,0)、(1,1,3)、(1,1,6)、(2,1,4)、(3,0,0)、(0,0,12)、及び(1,0,16)の9の結晶面を指す。)
【請求項2】
前記α型酸化アルミニウム層において、前記組織係数TC(0,0,12)が、5.0以上8.2以下である、請求項1に記載の被覆切削工具。
【請求項3】
前記α型酸化アルミニウム層において、前記組織係数TC(1,0,16)が、0.7以上2.5以下である、請求項1又は2に記載の被覆切削工具。
【請求項4】
前記α型酸化アルミニウム層の(1,1,6)面における残留応力値が、少なくとも一部において、-300MPa以上300MPa以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の被覆切削工具。
【請求項5】
前記α型酸化アルミニウム層の平均粒径が、0.1μm以上3.0μm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の被覆切削工具。
【請求項6】
前記α型酸化アルミニウム層の平均厚さが、1.0μm以上15.0μm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の被覆切削工具。
【請求項7】
前記被覆層が、前記基材と前記α型酸化アルミニウム層との間に、Tiと、C、N、O及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素とのTi化合物からなるTi化合物層を備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の被覆切削工具。
【請求項8】
前記Ti化合物層が、少なくとも1層のTiCN層を含み、前記TiCN層の平均厚さが、2.0μm以上20.0μm以下である、請求項7に記載の被覆切削工具。
【請求項9】
前記基材が、超硬合金、サーメット、セラミックスおよび立方晶窒化硼素焼結体のいずれかである請求項1~のいずれか1項に記載の被覆切削工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超硬合金からなる基材の表面に化学蒸着法により3~20μmの総膜厚で被覆層を蒸着形成してなる被覆切削工具が、鋼や鋳鉄などの切削加工に用いられていることは、よく知られている。被覆層としては、例えば、Tiの炭化物、窒化物、炭窒化物、炭酸化物及び炭窒酸化物並びに酸化アルミニウムからなる群より選ばれる1種の単層又は2種以上の複層からなる被覆層である。
【0003】
特許文献1では、基材表面に硬質被覆層を含み、硬質被覆層の少なくとも1つ以上がα-Al層であり、α-Al層の集合組織係数TC(0012)が5以上であり、α-Al層の残留応力を0MPa以上300MPa以下とし、基材の残留応力を-2000MPa以上-400MPa以下とする切削インサートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2014-530112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年の切削加工では、高速化、高送り化及び深切り込み化がより顕著となり、加工中に刃先にかかる負荷により、工具表面から発生したクラックが基材へと進展したり、刃先温度の急激な増減により基材から発生したクラックが被覆層中に進展したりすることがある。そして、これらに起因した工具の欠損が多々見られるようになっている。
【0006】
このような背景により、上記の特許文献1に開示された工具では、耐摩耗性に優れるものの、被覆切削工具に大きな負荷が作用する切削加工条件下において、耐欠損性が不十分であり、さらなる寿命向上が求められる。
【0007】
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、優れた耐摩耗性及び耐欠損性を有し、工具寿命の長い被覆切削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上述の観点から、被覆切削工具の工具寿命の延長について研究を重ねたところ、α型酸化アルミニウム層の結晶方位を適正化することを含む以下の構成にすると、耐欠損性を向上させることができ、その結果、工具寿命を延長することができるという知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]
基材と、該基材の表面に形成された被覆層とを備える被覆切削工具であって、
前記被覆層が、少なくとも1層のα型酸化アルミニウム層を含み、
前記被覆層の平均厚さが、3.0μm以上30.0μm以下であり、
前記α型酸化アルミニウム層において、下記式(1)で表される(0,0,12)面の組織係数TC(0,0,12)が、4.1以上8.4以下であり、下記式(2)で表される(1,0,16)面の組織係数TC(1,0,16)が、0.5以上3.0以下である、被覆切削工具。
【数1】
【数2】
(式(1)及び式(2)中、I(h,k,l)は、前記α型酸化アルミニウム層のX線回折における(h,k,l)面のピーク強度を示し、I0(h,k,l)は、α型酸化アルミニウムのJCPDSカード番号10-0173における(h,k,l)面の標準回折強度を示し、(h,k,l)は、(0,1,2)、(1,0,4)、(1,1,0)、(1,1,3)、(1,1,6)、(2,1,4)、(3,0,0)、(0,0,12)、及び(1,0,16)の9の結晶面を指す。)
[2]
前記α型酸化アルミニウム層において、前記組織係数TC(0,0,12)が、5.0以上8.2以下である、[1]の被覆切削工具。
[3]
前記α型酸化アルミニウム層において、前記組織係数TC(1,0,16)が、0.7以上2.5以下である、[1]又は[2]の被覆切削工具。
[4]
前記α型酸化アルミニウム層の(1,1,6)面における残留応力値が、少なくとも一部において、-300MPa以上300MPa以下である、[1]~[3]の被覆切削工具。
[5]
前記α型酸化アルミニウム層の平均粒径が、0.1μm以上3.0μm以下である、[1]~[4]のいずれかの被覆切削工具。
[6]
前記α型酸化アルミニウム層の平均厚さが、1.0μm以上15.0μm以下である、[1]~[5]のいずれかの被覆切削工具。
[7]
前記被覆層が、前記基材と前記α型酸化アルミニウム層との間に、Tiと、C、N、O及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素とのTi化合物からなるTi化合物層を備える、[1]~[6]のいずれかの被覆切削工具。
[8]
前記Ti化合物層が、少なくとも1層のTiCN層を含み、前記TiCN層の平均厚さが、2.0μm以上20.0μm以下である、[7]の被覆切削工具
[9
前記基材が、超硬合金、サーメット、セラミックスおよび立方晶窒化硼素焼結体のいずれかである[1]~[]のいずれかの被覆切削工具。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、耐摩耗性及び耐欠損性を向上でき、その結果、工具寿命の長い被覆切削工具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は下記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0012】
本実施形態の被覆切削工具は、基材と、基材の表面に形成された被覆層とを備える被覆切削工具であって、被覆層が、少なくとも1層のα型酸化アルミニウム層を含み、α型酸化アルミニウム層において、下記式(1)で表される(0,0,12)面の組織係数TC(0,0,12)が、4.0以上8.4以下であり、下記式(2)で表される(1,0,16)面の組織係数TC(1,0,16)が、0.4以上3.0以下である。
【0013】
【数3】
【0014】
【数4】
【0015】
ここで、式(1)及び式(2)において、I(h,k,l)は、α型酸化アルミニウム層の(h,k,l)面のピーク強度を示し、I(h,k,l)は、α型酸化アルミニウムのJCPDSカード番号10-0173における(h,k,l)面の標準回折強度を示し、(h,k,l)は、(0,1,2)、(1,0,4)、(1,1,0)、(1,1,3)、(1,1,6)、(2,1,4)、(3,0,0)、(0,0,12)、及び(1,0,16)の9の結晶面を指す。
【0016】
本実施形態の被覆切削工具は、上記の構成を備えることにより、耐摩耗性及び耐欠損性を向上でき、その結果、工具寿命を延長できる。本実施形態の被覆切削工具の耐摩耗性及び耐欠損性が向上する要因は、以下のように考えられる。但し、要因は以下のものに限定されない。すなわち、まず、本実施形態のα型酸化アルミニウム層において、上記式(1)で表される(0,0,12)面の組織係数TC(0,0,12)が4.0以上8.4以下であることにより、(0,0,12)面のピーク強度I(0,0,12)の比率が高いことを示し、(0,0,12)面により優先的に配向していることを示す。これに起因して、クレータ摩耗を抑制でき、その結果、耐摩耗性が向上する。一方、本実施形態のα型酸化アルミニウム層において、上記式(2)で表される(1,0,16)面の組織係数TC(1,0、16)が0.5以上3.0以下であることにより、(1,0,16)面のピーク強度I(1,0,16)の比率が高いことを示し、亀裂の発生を抑制でき、特に、高温となる切削加工条件下においても亀裂の発生を抑制できる結果、耐欠損性が向上する。以上より、本実施形態の被覆切削工具は、上記の構成を備えることにより、耐摩耗性及び耐欠損性を向上することができる。
【0017】
本実施形態の被覆切削工具は、基材とその基材上に設けられた被覆層とを有する。被覆切削工具の種類として、具体的には、フライス加工用又は旋削加工用刃先交換型切削インサート、ドリル及びエンドミルを挙げることができる。
【0018】
本実施形態における基材は、被覆切削工具の基材として用いられ得るものであれば、特に限定されない。基材としては、例えば、超硬合金、サーメット、セラミックス、立方晶窒化硼素焼結体、ダイヤモンド焼結体、高速度鋼を挙げることができる。それらの中でも、基材が、超硬合金、サーメット、セラミックス及び立方晶窒化硼素焼結体のいずれかであると、耐摩耗性及び耐欠損性に更に優れるので、好ましく、基材が、超硬合金であると、さらに好ましい。
【0019】
なお、基材は、その表面が改質されたものであってもよい。例えば、基材が超硬合金からなるものである場合、その表面に脱β層が形成されてもよい。また、基材がサーメットからなるものである場合、その表面に硬化層が形成されてもよい。これらのように基材の表面が改質されていても、本発明の作用効果は奏される。
【0020】
本実施形態における被覆層は、その平均厚さが、3.0μm以上30.0μm以下であることが好ましい。平均厚さが3.0μm以上であると、耐摩耗性が更に向上する傾向にあり、30.0μm以下であると、被覆層の基材との密着性及び耐欠損性が一層高まる傾向にある。同様の観点から、被覆層の平均厚さは、3.0μm以上20.0μm以下であるとより好ましく、5.0μm以上20.0μm以下であるとさらに好ましい。なお、本実施形態の被覆切削工具における各層の平均厚さは、3箇所以上の断面から、各層の厚さ及び被覆層全体の厚さを測定して、その平均値を計算することで求めることができる。
【0021】
本実施形態における被覆層は、少なくとも1層のα型酸化アルミニウム層を含む。α型酸化アルミニウム層は、上記式(1)で表される(0,0,12)面の組織係数TC(0,0,12)が、4.0以上8.4以下である。組織係数TC(0,0,12)が高くなると、(0,0,12)面のピーク強度I(0,0,12)の比率が高くなり、その結果、クレータ摩耗を抑制することにより、耐摩耗性が向上する。同様の観点から、α型酸化アルミニウム層における組織係数TC(0,0,12)は、5.0以上8.2以下であることが好ましく、5.5以上8.1以下であることがより好ましい。
【0022】
α型酸化アルミニウム層は、上記式(2)で表される(1,0,16)面の組織係数TC(1,0,16)が、0.5以上3.0以下であると、耐欠損性に優れる。同様の観点から、α型酸化アルミニウム層における組織係数TC(1,0,16)は、0.5以上2.5以下であることが好ましく、0.7以上2.5以下であることがより好ましい。
【0023】
α型酸化アルミニウム層の各結晶面のピーク強度は、市販のX線回折装置を用いることにより、測定することができる。例えば、株式会社リガク製 X線回折装置RINT TTRIIIを用いて、Cu-Kα線を用いた2θ/θ集中法光学系のX線回折測定を、出力:50kV、250mA、入射側ソーラースリット:5°、発散縦スリット:2/3°、発散縦制限スリット:5mm、散乱スリット:2/3°、受光側ソーラースリット:5°、受光スリット:0.3mm、BENTモノクロメータ、受光モノクロスリット:0.8mm、サンプリング幅:0.01°、スキャンスピード:4°/min、2θ測定範囲:20~155°という条件で行うと、各面指数のピーク強度を測定することができる。X線回折図形から各面指数のピーク強度を求めるときに、X線回折装置付属の解析ソフトウェアを用いてもよい。解析ソフトウェアでは、三次式近似を用いてバックグラウンド処理及びKα2ピーク除去を行い、Pearson-VII関数を用いてプロファイルフィッティングを行い、各ピーク強度を求めることができる。なお、α型酸化アルミニウム層よりも基材側に各種被覆層が形成されている場合には、各種被覆層の影響を受けないように、薄膜X線回折装法により、各ピーク強度を測定することができる。また、α型酸化アルミニウム層よりも外側に各種被覆層が形成されている場合には、バフ研磨により、各種被覆層を除去し、その後、X線回折測定を行うとよい。
【0024】
本実施形態のα型酸化アルミニウム層の平均厚さは、1.0μm以上15.0μm以下であることが好ましい。α型酸化アルミニウム層の平均厚さが、1.0μm以上であると、被覆切削工具のすくい面における耐クレータ摩耗性が更に向上する傾向にある。一方、α型酸化アルミニウム層の平均厚さが15.0μm以下であると剥離がより抑制され、耐欠損性が一層向上する傾向にある。同様の観点から、α型酸化アルミニウム層の平均厚さは、3.0μm以上12.0μm以下であることがより好ましい。
【0025】
本実施形態において、α型酸化アルミニウム層の(1,1,6)面における残留応力値は、少なくとも一部において、-300MPa以上300MPa以下であることが好ましい。上記残留応力値が、-300MPa以上であるとα型酸化アルミニウム層が有する粒子の脱落を起点とする摩耗の進行を一層抑制することができるため、被覆切削工具の耐摩耗性が向上する傾向にある。また、上記残留応力値が300MPa以下であるとα型酸化アルミニウム層における亀裂の発生を一層抑制することができるため、被覆切削工具の耐欠損性がより向上する傾向にある。同様の観点から、α型酸化アルミニウム層の(1,1,6)面における残留応力値は、-300MPa以上100MPa以下であることがより好ましい。
【0026】
ここで、「少なくとも一部において」とは、α型酸化アルミニウム層全体において、α型酸化アルミニウム層の(1,1,6)面における上記残留応力値の範囲を満たす必要はなく、すくい面などの特定の領域におけるα型酸化アルミニウム層の(1,1,6)面において、上記残留応力値の範囲を満たせばよいことを示す。
【0027】
α型酸化アルミニウム層の残留応力値は、X線応力測定装置を用いたsinψ法により測定することができる。例えば、被覆層中の任意の3点における残留応力をsinψ法により測定し、これら3点の残留応力の平均値を求める。測定箇所となる被覆層中の任意の3点は、例えば、互いに0.1mm以上離れるように選択される。
【0028】
α型酸化アルミニウム層の(1,1,6)面における残留応力値を測定するためには、測定対象となるα型酸化アルミニウム層の(1,1,6)面を選択する。具体的には、α型酸化アルミニウム層が形成された試料を、X線回折装置によって分析する。そして、試料面法線と格子面法線のなす角度ψを変えた時の(1,1,6)面の回折角の変化を調べる。
【0029】
本実施形態の被覆切削工具において、α型酸化アルミニウム層の平均粒径が0.1μm以上であると、耐欠損性が更に向上する傾向がみられる。一方、α型酸化アルミニウム層の平均粒径が3.0μm以下であると、逃げ面における耐摩耗性が更に向上する傾向がみられる。そのため、α型酸化アルミニウム層の平均粒径は、0.1μm以上3.0μm以下であることが好ましい。その中でも、上記と同様の観点から、α型酸化アルミニウム層の平均粒径は0.3μm以上1.5μm以下であるとより好ましい。
【0030】
α型酸化アルミニウム層の平均粒径は、α型酸化アルミニウム層の断面組織を市販の電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)又は、透過型電子顕微鏡(TEM)に付属した電子後方散乱回折像装置(EBSD)を用いて観察して求めることができる。以下に具体例を示す。被覆切削工具における基材の表面と平行又は略平行する方向の断面を鏡面研磨し、得られた鏡面研磨面を断面組織とする。α型酸化アルミニウム層を鏡面研磨する方法としては、ダイヤモンドペースト又はコロイダルシリカを用いて研磨する方法及びイオンミリングを挙げることができる。α型酸化アルミニウム層の断面組織をFE-SEMにセットし、試料に、70度の入射角度で15kVの加速電圧および0.5nA照射電流の条件にて電子線を照射する。測定範囲が30μm×50μmの範囲を0.1μmのステップサイズというEBSDの設定で測定する。粒子は、方位差5°以上の組織境界で囲まれる領域とする。粒子の面積と等しい面積の円の直径をその粒子の粒径とする。α型酸化アルミニウム層の断面組織から粒径を求めるときに画像解析ソフトを用いてもよい。30μm×50μmの範囲におけるα型酸化アルミニウム層の粒径を測定し、求めた全ての粒子の粒径の平均値(相加平均値)を平均粒径とする。
【0031】
本実施形態の被覆層において、基材とα型酸化アルミニウム層との間に、Tiと、C、N、O及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素とのTi化合物からなるTi化合物層を備えると、耐摩耗性及び密着性が一層向上するため好ましい。Ti化合物層は、同様の観点から、Tiと、C、N、及びOからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の元素とのTi化合物からなることが好ましい。
【0032】
本実施形態のTi化合物層は、少なくとも1層のTiCN層を含むと、耐摩耗性が一層向上するため、好ましい。
【0033】
TiCN層の平均厚さは、2.0μm以上20.0μm以下であることが好ましい。TiCN層の平均厚さが、2.0μm以上であると耐摩耗性が一層向上する傾向にあり、20.0μm以下であると剥離が更に抑制され、耐欠損性がより向上する傾向にある。同様の観点から、TiCN層の平均厚さは、5.0μm以上15.0μm以下であることがより好ましい。
【0034】
TiCN層は、TiCNからなる層であるが、上述の構成を備え、TiCN層による作用効果を奏する限りにおいて、TiCN以外の成分を微量含んでもよい。
【0035】
本実施形態のTi化合物層は、基材とTiCN層との間に、TiNからなる最下層を備えると、密着性が向上するため好ましい。最下層の平均厚さは、0.1μm以上0.5μm以下であることが好ましい。最下層の平均厚さが、0.1μm以上であると、最下層がより均一な組織になり、密着性が更に向上する傾向にある。一方、最下層の平均厚さが0.5μm以下であると、最下層が剥離の起点となるのをより抑制するので、耐欠損性が更に高まる傾向にある。
【0036】
本実施形態の被覆層において、基材とは反対側に、TiNからなる最外層を備えると、被覆切削工具の使用状態を確認することができ、視認性に優れるため好ましい。最外層の平均厚さは、0.2μm以上1.0μm以下であることが好ましい。最外層の平均厚さが、0.2μm以上であるとα型酸化アルミニウム層の粒子が脱落するのを一層抑制する効果があり、1.0μm以下であると耐欠損性が一層向上するため、好ましい。
【0037】
最外層及び最下層は、TiNからなる層であるが、上述の構成を備え、最外層及び最下層としての上記作用効果を奏する限りにおいて、TiN以外の成分を微量含んでもよい。
【0038】
本実施形態のTi化合物層は、TiCN層とα型酸化アルミニウム層との間に、TiCNO又はTiCOからなる中間層を備えると、密着性が一層向上するため好ましい。中間層の平均厚さは、0.2μm以上1.5μm以下であることが好ましい。平均厚さが、0.2μm以上であると密着性が一層向上する傾向にあり、1.5μm以下であるとα型酸化アルミニウム層における組織係数TC(0,0,12)が一層大きくなる傾向にあるため、好ましい。
【0039】
中間層は、TiCNO又はTiCOからなる層であるが、上述の構成を備え、中間層による作用効果を奏する限りにおいて、上記化合物以外の成分を微量含んでもよい。
【0040】
本実施形態の被覆切削工具における被覆層を構成する各層の形成方法として、例えば、以下の方法を挙げることができる。ただし、各層の形成方法はこれに限定されない。
【0041】
例えば、TiN層は、原料ガス組成をTiCl:5.0~10.0mol%、N:20~60mol%、H:残部とし、温度:850~920℃、圧力:100~400hPaとする化学蒸着法で形成することができる。
【0042】
TiC層は、原料ガス組成をTiCl:1.5~3.5mol%、CH:3~7mol%、H:残部とし、温度:950~1050℃、圧力:65~85hPaとする化学蒸着法で形成することができる。
【0043】
TiCN層は、原料ガス組成をTiCl:8.0~18.0mol%、CHCN:1.0~3.0mol%、H:残部とし、温度:840~890℃、圧力:60~80hPaとする化学蒸着法で形成することができる。
【0044】
TiCNO層は、原料ガス組成をTiCl:3.0~5.0mol%、CO:0.4~1.0mol%、N:30~40mol%、H:残部とし、温度:975~1025℃、圧力:90~110hPaとする化学蒸着法で形成することができる。
【0045】
TiCO層は、原料ガス組成をTiCl:0.5~1.5mol%、CO:2.0~4.0mol%、H:残部とし、温度:975~1025℃、圧力:60~100hPaとする化学蒸着法で形成することができる。
【0046】
本実施形態において、α型酸化アルミニウム層の方位関係を制御した被覆切削工具は、例えば、以下の方法によって得ることができる。
【0047】
まず、被覆切削工具の基材の表面に最下層(TiN層)、TiCN層又は中間層を形成する。次いで、TiN層、TiCN層又は中間層の表面を酸化する。その後、2種類の酸化アルミニウムの核を形成し、それらの核が形成された状態で、α型酸化アルミニウム層を形成する。さらに、必要に応じて最外層を形成してもよい。
【0048】
第1の酸化アルミニウムの核は、低温でCOガスをわずかに流して形成する。これにより、第1の酸化アルミニウムの核が、非常に遅い速度で形成される。また、第1の酸化アルミニウムの核が微細になる。第1の酸化アルミニウムの核を形成する時間は、2分以上5分以下であることが好ましい。これにより、α型酸化アルミニウム層は、(0,0,12)面に配向しやすくなる。
【0049】
次いで、第2の酸化アルミニウムの核を形成する。第2の酸化アルミニウムの核は、高温でCガスをわずかに流して形成する。また、第2の酸化アルミニウムの核を第1の酸化アルミニウムの核の間又は表面に形成することができる。第2の酸化アルミニウムの核を形成する時間は、2分以上5分以下であることが好ましい。酸化処理の工程との組合せにより、α型酸化アルミニウム層は、(1,0,16)面に配向しやすくなる。
【0050】
TC(0,0,12)及びTC(1,0,16)を満たすα型酸化アルミニウム層を得るには、2種類の酸化アルミニウムの核を形成した後に、COガスを流さない条件でα型酸化アルミニウム層を形成するとよい。このとき、第1の酸化アルミニウムの核を形成する温度よりも成膜温度を高くすることが好ましい。
【0051】
具体的には、TiN層、TiCN層又は中間層の表面の酸化は、原料ガス組成をCO:0.1~1.0mol%、CH:0.05~0.2mol%、H:残部とし、温度:970~1020℃、圧力:50~70hPaとする条件で施す。このとき、5~10分の酸化を施すことが好ましい。
【0052】
その後、第1の酸化アルミニウムの核は、原料ガス組成をAlCl:1.0~4.0mol%、CO:1.0~3.0mol%、CO:0.05~2.0mol%、HCl:2.0~3.0mol%、H:残部とし、温度:880~930℃、圧力:60~80hPaとする化学蒸着法で形成する。
【0053】
次いで、第2の酸化アルミニウムの核は、原料ガス組成をAlCl:2.0~5.0mol%、CO:2.5~4.0mol%、HCl:2.0~3.0mol%、C:0.05~0.2mol%、H:残部とし、温度:970~1030℃、圧力:60~80hPaとする化学蒸着法で形成する。
【0054】
そして、α型酸化アルミニウム層は、原料ガス組成をAlCl:2.0~5.0mol%、CO:2.5~4.0mol%、HCl:2.0~3.0mol%、HS:0.15~0.25mol%、H:残部とし、温度:970~1030℃、圧力:60~80hPaとする化学蒸着法で形成する。
【0055】
上記のように、TiN層、TiCN層又は中間層の表面を酸化し、その後、2種類の酸化アルミニウムの核を形成する。その後、通常の条件でα型酸化アルミニウム層を形成するとTC(0,0,12)が4.0以上であり、TC(1,0,16)が0.5以上となるα型酸化アルミニウム層を得ることができる。このとき、2種類の酸化アルミニウムの核の存在比率を調整することにより、α型酸化アルミニウム層の方位関係を制御することができる。
【0056】
被覆層を形成した後、乾式ブラスト、湿式ブラスト又はショットピーニングを施すと、α型酸化アルミニウム層の(1,1,6)面における残留応力値を制御することができる。例えば乾式ショットブラストの条件は、被覆層の表面に対して投射角度が30~70°になるように、投射材を50~80m/secの投射速度、0.5~3分の投射時間で投射するとよい。乾式ショットブラストのメディアは、平均粒径100~150μmのAlやZrOなどの材質であると好ましい。
【0057】
本実施形態の被覆切削工具の被覆層における各層の厚さは、被覆切削工具の断面組織から、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、FE-SEMなどを用いて測定することができる。なお、本実施形態の被覆切削工具における各層の平均厚さは、刃先から被覆切削工具のすくい面の中心部に向かって50μmの位置の近傍において、各層の厚さを3箇所以上測定し、その平均値として求めるとよい。また、各層の組成は、本実施形態の被覆切削工具の断面組織から、エネルギー分散型X線分光器(EDS)や波長分散型X線分光器(WDS)などを用いて測定することができる。
【実施例
【0058】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
基材として、JIS規格CNMA120412形状を有し、93.0WC-6.6Co-0.4Cr(以上質量%)の組成を有する超硬合金製の切削インサートを用意した。この基材の切れ刃稜線部にSiCブラシにより丸ホーニングを施した後、基材の表面を洗浄した。
【0060】
基材の表面を洗浄した後、被覆層を化学蒸着法により形成した。発明品1~11については、まず、基材を外熱式化学蒸着装置に装入し、表1に示す最下層を表1に示す平均厚さになるよう、基材の表面に形成した。このとき、表2に示す原料ガス組成、温度及び圧力の条件で最下層を形成した。次いで、表3に示す原料ガス組成、温度及び圧力の条件の下、表1に示すTiCN層を表1に示す平均厚さになるよう、最下層の表面に形成した。次に、表2に示す原料ガス組成、温度および圧力の条件の下、表1に示す中間層を表1に示す平均厚さになるよう、TiCN層の表面に形成した。その後、表3に示す原料ガス組成、温度及び圧力の条件の下、表3に示す時間にて酸化処理を施した。次いで、表4に示す原料ガス組成、温度及び圧力の条件の下、酸化処理を施した中間層の表面に第1の酸化アルミニウムの核を形成した。第1の酸化アルミニウムの核を形成した時間は4分とした。さらに、表4に示す原料ガス組成、温度及び圧力の条件の下、第2の酸化アルミニウムの核を第1の酸化アルミニウムの核の間又は表面に形成した。第2の酸化アルミニウムの核を形成した時間は4分とした。その後、表5に示す原料ガス組成、温度及び圧力の条件の下、2種類の酸化アルミニウムの核の表面に表1に示すα型酸化アルミニウム層(以下、α型Al層とする)を、表1に示す平均厚さになるよう形成した。最後に、表2に示す原料ガス組成、温度及び圧力の条件の下、表1に示す最外層を表1に示す平均厚さになるよう、α型Al層の表面に形成した。こうして、発明品1~11の被覆切削工具を得た。
【0061】
一方、比較品1~10については、まず、基材を外熱式化学蒸着装置に装入し、表2に示す原料ガス組成、温度及び圧力の条件の下、表1に示す最下層を表1に示す平均厚さになるよう、基材の表面に形成した。次いで、表2に示す原料ガス組成、温度及び圧力の条件の下、表1に示すTiCN層を表1に示す平均厚さになるよう、最下層の表面に形成した。次に、表2に示す原料ガス組成、温度及び圧力の条件の下、表1に示す中間層を表1に示す平均厚さになるよう、TiCN層の表面に形成した。その後、表3に示す原料ガス組成、温度及び圧力の条件の下、表3に示す時間にて酸化処理を施した。次いで、表6に示す原料ガス組成、温度及び圧力の条件の下、酸化処理を施した中間層の表面に1種類又は2種類の酸化アルミニウムの核を形成した。ここで、表6における「工程なし」とは、2種類目の酸化アルミニウムの核を形成するための工程がないことを示す。さらに、表7に示す原料ガス組成、温度及び圧力の条件の下、中間層及び酸化アルミニウムの核の表面に表1に示すα型Al層を、表1に示す平均厚さになるよう形成した。最後に、表2に示す原料ガス組成、温度及び圧力の条件の下、表1に示す最外層を表1に示す平均厚さになるよう、α型Al層の表面に形成した。こうして、比較品1~10の被覆切削工具を得た。
【0062】
試料の各層の厚さを下記のようにして求めた。すなわち、FE-SEMを用いて、被覆切削工具の刃先からすくい面の中心部に向かって50μmの位置の近傍における断面での3箇所の厚さを測定し、その平均値を平均厚さとして求めた。得られた試料の各層の組成は、被覆切削工具の刃先からすくい面の中心部に向かって50μmまでの位置の近傍の断面において、EDSを用いて測定した。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】
発明品1~11、比較品1~10については、基材の表面に被覆層を形成した後、表8に示す投射材を用いて、表8に示す投射条件の下、乾式ショットブラストを施した。
【0071】
【表8】
【0072】
得られた試料について、Cu-Kα線を用いた2θ/θ集中法光学系のX線回折測定を、出力:50kV、250mA、入射側ソーラースリット:5°、発散縦スリット:2/3°、発散縦制限スリット:5mm、散乱スリット:2/3°、受光側ソーラースリット:5°、受光スリット:0.3mm、BENTモノクロメータ、受光モノクロスリット:0.8mm、サンプリング幅:0.01°、スキャンスピード:4°/min、2θ測定範囲:20°~155°とする条件で行った。装置は、株式会社リガク製 X線回折装置RINT TTRIIIを用いた。X線回折図形からα型Al層及びTiCN層の各面指数のピーク強度を求めた。得られた各面指数のピーク強度から、α型Al層の組織係数TC(0,0,12)及びTC(1,0,16)を求めた。それらの結果を、表9に示す。
【0073】
【表9】
【0074】
得られた試料のα型Al層の平均粒径は、EBSDにより測定した。その測定結果を表10に示す。
【0075】
【表10】
【0076】
得られた試料を用いて、切削試験1及び切削試験2を行った。切削試験1は耐摩耗性を評価する試験であり、切削試験2は耐欠損性を評価する試験である。各切削試験の結果を表11に示す。
【0077】
[切削試験1]
被削材:S50Cの丸棒、
切削速度:290m/min、
送り:0.30mm/rev、
切り込み:2.2mm、
クーラント:有り、
評価項目:試料が欠損又は最大逃げ面摩耗幅が0.2mmに至ったときを工具寿命とし、工具寿命までの加工時間を測定した。
【0078】
[切削試験2]
被削材:S50Cの長さ方向に等間隔で2本の溝入り丸棒、
切削速度:250m/min、
送り:0.35mm/rev、
切り込み:1.7mm、
クーラント:有り、
評価項目:試料が欠損に至ったときを工具寿命とし、工具寿命までの衝撃回数を測定した。衝撃回数は、試料と被削材とが接触した回数とし、接触回数が最大で20000回に到達した時点で試験を終了した。なお、各試料について、5個のインサートを用意し、それぞれ衝撃回数を測定し、それらの衝撃回数の値から平均値を求め、工具寿命とした。
【0079】
なお、耐摩耗性試験の工具寿命に至るまでの加工時間について、30分以上をA、20分以上30分未満をB、20分未満をCとして評価した。また、耐欠損性試験の工具寿命に至るまでの衝撃回数について、15000回以上をA、12000回以上15000回未満をB、12000回未満をCとして評価した。この評価では、「A」が最も優れており、次に「B」が優れており、「C」が最も劣っていることを意味し、A又はBの評価を有するほど切削性能が優れる。得られた総合評価の結果を表11に示す。
【0080】
【表11】
【0081】
表11の結果より、発明品の耐摩耗性試験及び耐欠損性の評価は、どちらもB以上の評価であった。一方、比較品の評価は、耐摩耗性試験又は耐欠損性試験のいずれかが、Cであった。特に、発明品の耐欠損性試験の評価はA又はB以上の評価であり、比較品の評価はB又はCであった。よって、発明品の耐欠損性は、比較品と比べ、同等以上であることが分かる。
【0082】
以上の結果より、発明品は、耐摩耗性と耐欠損性に優れるため、工具寿命が長いことが分かる。
【0083】
本出願は、2016年11月17日出願の日本特許出願(特願2016-223923)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の被覆切削工具は、耐摩耗性を低下させることなく、優れた耐欠損性を向上させることにより、従来よりも工具寿命を延長できるので、産業上の利用可能性が高い。