(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】発光ユニットおよび照明装置
(51)【国際特許分類】
F21V 29/503 20150101AFI20220907BHJP
F21V 19/00 20060101ALI20220907BHJP
F21V 29/74 20150101ALI20220907BHJP
F21S 8/02 20060101ALI20220907BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220907BHJP
F21Y 115/15 20160101ALN20220907BHJP
【FI】
F21V29/503 100
F21V19/00 510
F21V19/00 233
F21V29/74
F21S8/02 400
F21Y115:10 300
F21Y115:10 500
F21Y115:15
(21)【出願番号】P 2019008609
(22)【出願日】2019-01-22
【審査請求日】2021-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】近藤 和也
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-188401(JP,A)
【文献】特開2015-65074(JP,A)
【文献】特開2017-37856(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/00
F21V 19/00
F21S 8/02
F21Y 115/10
F21Y 115/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放熱体に接合されると
ともに、複数の留め具によって前記放熱体に引き寄せられて固定される発光ユニットであって、
発光素子を有する発光モジュールと;
一面に前記発光モジュールを取り付ける取付面を有するとともに他面に前記放熱体に接合されて熱伝導する熱伝導面を有する基部と、この基部の周囲
から突出するとともに先端側が前記熱伝導面と反対側に向けて突出する略L字形に設けられ、前記留め具が掛かる複数の掛り部と
、を備える筐体と;
を具備することを特徴とする発光ユニット
。
【請求項2】
放熱体と;
前記放熱体に前記筐体の前記熱伝導面が接合される請求項
1記載の発光ユニットと;
前記筐体の前記掛り部に掛かり、前記筐体を前記放熱体に引き寄せて固定する複数の留め具と;
を具備することを特徴とする照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発光モジュールを用いた発光ユニット、およびこの発光ユニットを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子を有する発光モジュールを用いる照明装置では、この発光モジュールが発生する熱を放熱体に熱伝導して放熱する構造が採られている。
【0003】
このような照明装置では、発光モジュールの交換を容易に可能とするために、発光モジュールを筐体に配置した発光ユニットとしてユニット化し、この発光ユニットを放熱体に対して着脱可能としたものがある。発光ユニットの着脱構造には、放熱体に対して発光ユニットを回動させて着脱する口金構造を用いたものがある。
【0004】
しかし、発光ユニットの着脱構造として口金構造を用いた場合、放熱体に対する発光ユニットの着脱性を確保するために、放熱体への発光ユニットの接触力を強くすることが難しく、熱伝導性が低下したり安定しない問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、放熱体に対して着脱可能でありながら、放熱体への高い熱伝導性を安定して確保できる発光ユニットおよび照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の発光ユニットは、放熱体に接合されるとともに、複数の留め具によって放熱体に引き寄せられて固定される。発光ユニットは、発光モジュールおよび筐体を備える。発光モジュールは、発光素子を有する。筐体は、一面に発光モジュールを取り付ける取付面を有するとともに他面に放熱体に接合されて熱伝導する熱伝導面を有する基部と、基部の周囲から突出するとともに先端側が前記熱伝導面と反対側に向けて突出する略L字形に設けられ、留め具が掛かる複数の掛り部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の発光ユニットによれば、放熱体に対して着脱可能でありながら、放熱体への高い熱伝導性を安定して確保することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態を示す発光ユニットの分解斜視図である。
【
図6】同上発光ユニットを用いた照明装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0011】
【0012】
発光ユニット10は、発光モジュール11、この発光モジュール11を収容する筐体12、この筐体12内に充填される冷却媒体13、およびこの冷却媒体13の充填後に筐体12を封止する封止部14などを備える。なお、発光ユニット10は、光照射方向を前面、この前面に対して反対側を背面として説明する。
【0013】
そして、発光モジュール11は、基板17、およびこの基板17の一面である前面に設けられた発光部18を有している。本実施形態の発光モジュール11は、COB(Chip on Board)モジュールによって構成されており、基板17、この基板17の前面に実装された複数の発光素子19、基板17の前面で複数の発光素子19の実装領域を取り囲むように設けられている囲み部20、およびこの囲み部20の内側に充填されて複数の発光素子19を封止する封止層21を有している。
【0014】
基板17は、例えば四角形の金属板が用いられ、その表面が絶縁層で覆われている。基板17の前面に配線パターンが形成され、この配線パターン上に複数の発光素子19が実装されている。
【0015】
発光素子19は、半導体発光素子であり、例えばLEDが用いられている。
【0016】
封止層21は、透光性および絶縁性を有する例えばシリコーン樹脂などによって構成されている。封止層21には、発光素子19の光によって励起して発光素子19の光の波長とは異なる波長の光を発生する蛍光体を含有してもよい。そして、封止層21の表面が発光部18として構成されている。
【0017】
発光モジュール11は、さらに基板17の配線パターンを通じて複数の発光素子19に電気的に接続された電線22を有している。電線22は、基板17の配線パターンに直接接続されていてもよいし、コネクタなどを介して接続されてもよい。電線22の先端には、電源側に接続されるコネクタが設けられている。
【0018】
なお、発光モジュール11は、COBモジュールに限らず、基板17に、複数の表面実装形LEDを実装したり、有機ELを設けたものなどでもよい。
【0019】
また、筐体12は、前後方向に薄形の中空円盤状に形成されている。筐体12は、基部24、この基部24の周辺に設けられる周壁部25、基部24の周囲に突出する複数の掛り部(引掛り部)26、基部24の前方に対向する前面部27、この前面部27に設けられる透光部28、および内部に設けられる密閉空間29を有している。なお、密閉空間29は、筐体12とこの筐体12への冷却媒体13の充填後に封止する封止部14などによって構成され、冷却媒体13が漏れ出ないように密閉された空間である。
【0020】
筐体12は、本体30、およびこの本体30の前面側に配置されるカバー体31を備えている。さらに、カバー体31は、本体30に嵌合されるカバー部32、およびこのカバー部32の中央の透光部28を備えている。したがって、筐体12は、本体30、カバー体31のカバー部32および透光部28を含む複数の部材によって構成されている。
【0021】
本体30は、例えば金属材料によって一体に形成されている。本体30は、基部24、周壁部25および複数の掛り部26を有している。
【0022】
本体30の基部24は、円板状に設けられ、一面である前面に発光モジュール11を取り付ける取付面33が設けられ、他面である背面に外部の放熱体に熱伝導するための熱伝導面34が設けられている。取付面33および熱伝導面34は、それぞれ円形で平面状に設けられている。取付面33の中央に、筐体12の中心軸と発光部18の光軸とが一致するように発光モジュール11が取り付けられている。取付面33と基板17との間には、熱伝導シートや熱伝導グリスなどを介在させることが好ましい。発光モジュール11は、基板17を基部24にねじ止めすることによって取付面33に密着し、熱的に接続されるように取り付けられている。
【0023】
基部24には、密閉空間29と外部とを連通する、すなわち基部24の取付面33と熱伝導面34とを連通する2つ以上の孔部35が設けられている。本実施形態では、孔部35は3つで、1つの配線用孔部35aと、2つの充填用孔部35b,35cとを有している。これら孔部35は、基部24の外周寄り位置で同じまたは略同じ円周上に配置されている。配線用孔部35aには、筐体12の外部に引き出される電線22が挿通されている。配線用孔部35aの孔径は、充填用孔部35b,35cの孔径よりも大きい関係にある。
【0024】
熱伝導面34には、各孔部35に連通するとともに各孔部35よりも孔径が大きく封止部14を収容する凹部36が設けられている。凹部36は、孔部35と同心円状に設けられている。また、熱伝導面34には、孔部35と基部24の周囲に位置する筐体12の側面(周壁部25)とに連通する溝部37が設けられている。本実施形態では、溝部37は、配線用孔部35aの凹部36に設けられている。凹部36の深さと溝部37の深さとは同じで、凹部36と溝部37とが連続して設けられている。溝部37の深さおよび幅は、電線22の外径よりも大きく、電線22を収容した状態で挿通可能とする。
【0025】
本体30の周壁部25は、円環状に形成され、前端の内周部にカバー体31と嵌合する段差部38が設けられている。
【0026】
本体30の掛り部26は、例えば一対で、基部24(筐体12)の周囲の180°対称位置に設けられている。一対の掛り部26は、基部24の配線用孔部35aおよび溝部37が設けられた方向と交差する方向に配置されている。なお、掛り部26は、3つ以上設けられていてもよい。
【0027】
掛り部26は、熱伝導面34に連続して基部24の外周部から一体に突出する四角形の突片部39を有している。掛り部26には、前後方向に貫通する取付孔40が設けられている。そして、掛り部26には、放熱体への取付時に用いられる取付金具41が取り付けられる。取付金具41は、取付孔40に螺着されるねじ42で突片部39に取り付けられている。取付金具41は、先端側が前方に突出する略L字形に形成されている。なお、掛り部26は、突片部39の先端側を前方に突出させて略L字状に一体に設け、取付金具41およびねじ42を省略した構成としてもよい。したがって、掛り部26は、別体形および一体形の両方を含み、別体形の場合には突片部39および取付金具41などを含むものである。
【0028】
さらに、カバー体31のカバー部32は、例えば金属材料や樹脂材料などによって形成されている。カバー部32は、中央に円形の開口部43を有する円環状に形成されている。開口部43の内径は、発光モジュール11の発光部18の外径よりも大きい関係にある。カバー部32の周辺部には本体30の段差部38に嵌合する嵌合部44が形成されている。本体30とカバー部32との嵌合部分は、例えば接着剤によって密閉固定されている。なお、本体30とカバー部32との嵌合部分に互いに螺合するねじ構造を設け、本体30とカバー部32との螺合によって密閉固定するようにしてもよい。
【0029】
カバー体31の透光部28は、カバー部32の開口部43に例えば接着剤によって密閉固定されている。透光部28の外径は、発光モジュール11の発光部18の外径よりも大きい関係にある。透光部28は、例えばガラス、セラミックス、樹脂などの透光性を有する材料によって形成されている。透光部28は、上述した蛍光体を含有してもよい。さらに、透光部28は、配光を制御するレンズでもよい。
【0030】
また、冷却媒体13は、熱伝導性および透光性が良好で、揮発しにくく、発火点が高い流体によって構成されている。冷却媒体13は、例えば、熱媒油、シリコーンオイル、超純水、蒸留水、脱イオン水、フッ素系不活性液などが用いられる。フッ素系不活性液としては、パーフルオロカーボンなどが用いられる。
【0031】
また、封止部14は、密閉空間29に冷却媒体13が充填された筐体12の各孔部35を封止する。封止部14は、例えば接着剤が用いられる。なお、封止部14は、孔部35に嵌合される閉止部材を接着剤と併用してもよい。封止部14は、筐体12の熱伝導面34から突出することなく、孔部35と凹部36内、または凹部36内に配置されている。
【0032】
次に、発光ユニット10の製造について説明する。
【0033】
本体30の取付面33に発光モジュール11の基板17を配置し、例えばねじ止めなどによって固定する。この際、取付面33と基板17との間には、熱伝導シートや熱伝導グリスなどを介在させることが好ましい。基板17に接続される電線22を配線用孔部35aから本体30の外部に引き出す。
【0034】
本体30とカバー体31とを接着剤を介して嵌合し、本体30とカバー体31とを密閉固定する。
【0035】
図3に示すように、筐体12の熱伝導面34を上方に向け、例えば1つの充填用孔部35bから密閉空間29に冷却媒体13を注入する。密閉空間29に冷却媒体13を注入することにより、密閉空間29内の空気が充填用孔部35bや配線用孔部35aから外部に抜ける。冷却媒体13は、密閉空間29の空気と完全に置換され、各孔部35に満たされるまで充填する。
【0036】
密閉空間29への冷却媒体13の注入量が多かった場合には、余分な冷却媒体13が各孔部35から凹部36に溢れるが、配線用孔部35aからは余分な冷却媒体13が凹部36および溝部37を通じて外部に排出されるため、各孔部35が満たされる一定量の冷却媒体13のみが充填される。
【0037】
各凹部36内において各孔部35を封止部14で封止する。配線用孔部35aを封止する際には、電線22を溝部37内に沿って配置した状態で封止する。これで、発光ユニット10の製造が完了する。
【0038】
なお、筐体12の孔部35が3つの場合、配線用孔部35aは電線22の配線専用としてもよい。また、孔部35は、2つでもよく、この場合、配線用孔部35aを電線22の配線用と冷却媒体13の充填用または空気抜き用とに兼用する。このように、配線用孔部35aを電線22の配線用と冷却媒体13の充填用または空気抜き用とに兼用することにより、密閉性の低下の懸念が生じる孔部35の数を削減できる。
【0039】
次に、
図6に発光ユニット10を用いた照明装置50の例を示す。
【0040】
照明装置50は、例えば天井面などの被設置面に埋め込み設置される埋込形照明装置である。照明装置50は、放熱体51、この放熱体51に設けられた複数の留め具52、放熱体51の下部に固定された化粧枠53、化粧枠53内に配置された反射体54、および放熱体51の上部に配置された電源部55を備えている。
【0041】
そして、放熱体51は、金属材料によって一体に形成されている。放熱体51は、化粧枠53と組み合わされる本体部57、この本体部57の下面中央から下方に突出する取付台部58、および取付台部58の上側に設けられる放熱フィン59を有している。
【0042】
取付台部58は、略円柱状に設けられている。取付台部58の下面には、発光ユニット10の熱伝導面34が接合される接合面60が形成されている。接合面60は、平面状で、発光ユニット10の熱伝導面34よりも大きい形状に形成されている。接合面60と発光ユニット10の熱伝導面34との間には、熱伝導シートや熱伝導グリスを介在させることが好ましい。
【0043】
取付台部58の周囲には、本体部57の外周部および化粧枠53との間に、留め具52を操作可能とする操作空間61が設けられている。
【0044】
また、留め具52は、放熱体51の取付台部58の側面に配置され、放熱体51の取付台部58に配置される発光ユニット10の掛り部26に掛かり、発光ユニット10を放熱体51に引き寄せて固定する。留め具52は、発光ユニット10の一対の掛り部26の位置に対応して一対備え、取付台部58の周囲の180°対称位置に配置されている。
【0045】
留め具52は、トグルクランプ、パッチン錠、スナップ錠、あるいはトグルラッチなどと呼ばれるもので、工具が必要なく、ワンタッチ操作で発光ユニット10を着脱可能および放熱体51に引き寄せて固定可能なものである。
【0046】
留め具52は、放熱体51の取付台部58の側面に固定される固定部63、この固定部63に対して支点軸64で回動可能に連結された操作レバー部65、および支点軸64よりも操作レバー部65の先端側に連結軸66によって回動可能に連結された連結部67を有している。連結部67は、略U字形に形成されており、操作レバー部65を固定解除方向b(
図6の左側の操作レバー部65は反時計回り方向、
図6の右側の操作レバー部65は時計回り方向)に回動させた状態で、放熱体51の取付台部58に配置される発光ユニット10の掛り部26(取付金具41)に対して掛けたり、外すことが可能となっている。
【0047】
また、化粧枠53は、円筒状で、下部に被設置面の下面に接合されるフランジ部69を有している。化粧枠53の周面には、設置用の複数の取付ばね70が取り付けられている。
【0048】
また、反射体54は、上下方向に開口し、内面に下方へ向けて拡開する反射面が形成されている。反射体54は、図示しないばねや化粧枠53への螺合により、化粧枠53の内側に対して着脱可能に取り付けられる。反射体54の上部側開口に発光ユニット10の透光部28が対向配置されている。
【0049】
また、電源部55は、交流電源などの外部電源を発光素子19を発光させる直流電源などの発光電源に変換して発光ユニット10に供給する。電源部55は、発光ユニット10から引き出された電線22と着脱可能とするコネクタ接続によって電気的に接続される。
【0050】
そして、発光ユニット10を照明装置50に装着する場合には、反射体54を化粧枠53から外し、発光ユニット10の熱伝導面34を上方に向けた状態で発光ユニット10を化粧枠53の内側に挿入し、発光ユニット10の熱伝導面34を放熱体51の接合面60に接合する。この際、発光ユニット10の熱伝導面34と放熱体51の接合面60との間には、熱伝導シートや熱伝導グリスなどを介在させることが好ましい。
【0051】
発光ユニット10の取付前の留め具52は、
図6に2点鎖線に示すように、操作レバー部65が固定解除方向bである下方に回動されている。操作レバー部65の連結部67を、発光ユニット10の掛り部26である取付金具41に引っ掛け、操作レバー部65を固定方向aである上方に向けて回動させることにより、操作レバー部65により連結部67を介して取付金具41を上方へ引き上げ、つまり発光ユニット10の筐体12を放熱体51に引き寄せる。
【0052】
操作レバー部65に連結されている連結部67の連結軸66が支点軸64と取付金具41に引っ掛かっている連結部67の先端部とを結ぶ中立線よりも固定方向aに回動することにより、操作レバー部65が固定方向aに回動するように付勢力が作用し、留め具52の固定状態が保持される。すなわち、発光ユニット10は、工具を用いず、ワンタッチで固定することができる。なお、一対の留め具52の両方を略一緒に操作してもよいし、1つずつを順番に操作してもよい。
【0053】
発光ユニット10から引き出されている電線22を電源部55から配線とコネクタなどによって電気的に接続する。なお、発光ユニット10を留め具52によって放熱体51に固定する前に、発光ユニット10から引き出されている電線22を電源部55から配線とコネクタなどによって電気的に接続してもよい。
【0054】
反射体54を化粧枠53の内側に装着することにより、発光ユニット10の取り付けが完了する。
【0055】
そして、発光ユニット10を放熱体51に取り付けた状態では、留め具52によって発光ユニット10の筐体12を放熱体51に引き寄せて固定しているため、発光ユニット10の熱伝導面34と放熱体51の接合面60とが強固に接合され、発光ユニット10の筐体12と放熱体51との高い熱伝導性が確保される。
【0056】
また、発光ユニット10を照明装置50から外す場合には、反射体54を化粧枠53から外し、作業者の手の指を化粧枠53の内側から操作空間61に差し込んで留め具52の操作レバー部65を固定解除方向bである下方へ向けて回動させる。操作レバー部65の回動により、
図6に2点鎖線に示すように、連結部67が発光ユニット10の掛り部26である取付金具41から外れ、発光ユニット10を放熱体51から外すことができる。すなわち、発光ユニット10は、工具を用いず、ワンタッチで固定解除することができる。
【0057】
また、照明装置50の点灯時には、電源部55から発光電源を発光ユニット10の発光モジュール11に供給することにより、発光モジュール11の発光素子19が発光し、発光モジュール11の封止層21の表面である発光部18から光が出射する。発光部18から出射した光は、冷却媒体13および透光部28を透過し、反射体54内を通じて下方の照明空間に照射される。
【0058】
発光素子19の光により封止層21または透光部28に含有される蛍光体が励起され、発光素子19の光の波長とは異なる波長の光を発生する。発光素子19の光と蛍光体の光とが混合し、所定の色温度の光が透光部28から出射される。
【0059】
そして、点灯時に発光素子19が発生する熱は、基板17から筐体12の基部24を通じて放熱体51の取付台部58に熱伝導され、放熱体51の放熱フィン59などから空気中に放熱される。さらに、発光素子19が発生する熱は、基板17、囲み部20および封止層21を通じて冷却媒体13に熱伝導され、冷却媒体13を介して筐体12全体に熱伝導されて筐体12の表面からも放熱される。
【0060】
さらに、発光素子19からの光で励起する蛍光体も発熱する。蛍光体が発生する熱は、蛍光体を含有する封止層21または透光部28から冷却媒体13に熱伝導され、冷却媒体13を介して筐体12全体に熱伝導されて筐体12の表面からも放熱される。
【0061】
そして、筐体12が熱伝導率の異なる複数の部材で構成されている場合、冷却媒体13に対流が生じやすく、放熱効率を向上させることが可能となる。この場合、筐体12は、本体30、カバー部32および透光部28が構成されているが、本体30およびカバー部32と透光部28との熱伝導率が異なる場合、本体30とカバー部32および透光部28との熱伝導率が異なる場合、本体30とカバー部32と透光部28との熱伝導率がそれぞれ異なる場合のいずれでよい。
【0062】
以上のように構成された本実施形態の発光ユニット10では、筐体12に密閉空間29と外部とを連通する2つ以上の孔部35が設けていることにより、1つの孔部35を通じて冷却媒体13を注入し、他の孔部35を通じて密閉空間29内の空気を外部に抜くことができるため、冷却媒体13を容易に筐体12の密閉空間29に充填することができ、製造性を向上できる。
【0063】
また、孔部35は、筐体12の基部24の取付面33と熱伝導面34とを連通して設けられるため、筐体12の前面側には影響せず、意匠性を保つことができる。また、孔部35を裏面側に設けることで、封止部14が発光モジュール11から放出された光の影響を受けにくくなるため、封止部14の光による劣化を抑制することができる。
【0064】
また、熱伝導面34には、各孔部35に連通するとともに各孔部35よりも孔径が大きく封止部14を収容する凹部36が設けられているため、凹部36内で封止部14により孔部35を封止することができ、熱伝導面34よりも封止部14が突出するのを防止でき、熱伝導面34と放熱体51との密着性を確保できる。
【0065】
また、熱伝導面34には、孔部35と基部24の周囲に位置する筐体12の側面(周壁部25)とに連通する溝部37が設けられているため、密閉空間29への冷却媒体13の注入量が多かった場合、余分な冷却媒体13が孔部35から溝部37を通じて排出されるため、各孔部35が満たされる一定量の冷却媒体13のみを充填することができる。
【0066】
しかも、熱伝導面34には、孔部35と基部24の周囲に位置する筐体12の側面(周壁部25)とに連通する溝部37が設けられているため、孔部35から外部に引き出される発光モジュール11の電線22を溝部37に配置することができ、熱伝導面34よりも電線22が突出するのを防止でき、熱伝導面34と放熱体51との密着性を確保できる。
【0067】
また、筐体12が熱伝導率の異なる複数の部材で構成されている場合、冷却媒体13に対流が生じやすく、放熱効率を向上させることができる。
【0068】
また、筐体12は、発光モジュール11を取り付ける取付面33および放熱体51への熱伝導面34を有する基部24の周囲に複数の掛り部26を備えるため、掛り部26に引っ掛けて筐体12を放熱体51に引き寄せて固定する留め具52を利用することが可能となり、放熱体51に対して着脱可能でありながら、放熱体51への高い熱伝導性を安定して確保することができる。
【0069】
掛り部26は、基部24の周囲から突出するとともに先端側が熱伝導面34と反対側に向けて突出する略L字形に設けられているため、留め具52が外れることなく、確実に固定状態を維持できる。
【0070】
また、照明装置50は、発光ユニット10の筐体12の掛り部26に掛かり、筐体12を放熱体51に引き寄せて固定する複数の留め具52を備えるため、発光ユニット10をワンタッチで着脱することができるとともに、筐体12を放熱体51に引き寄せて固定することができ、放熱体51に対して着脱可能でありながら、放熱体51への高い熱伝導性を安定して確保することができる。
【0071】
なお、発光ユニット10を用いる照明装置50は、埋込形照明装置に限らず、天井直付形、壁面取付形、吊下形などの各種の照明装置にも適用することができる。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0073】
10 発光ユニット
11 発光モジュール
12 筐体
19 発光素子
24 基部
26 掛り部
33 取付面
34 熱伝導面
50 照明装置
51 放熱体
52 留め具