(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】流体圧シリンダ
(51)【国際特許分類】
F15B 15/14 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
F15B15/14 A
(21)【出願番号】P 2020546791
(86)(22)【出願日】2019-08-19
(86)【国際出願番号】 JP2019032236
(87)【国際公開番号】W WO2020054322
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2018171907
(32)【優先日】2018-09-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 芳行
(72)【発明者】
【氏名】高桑 洋二
(72)【発明者】
【氏名】門田 謙吾
(72)【発明者】
【氏名】名倉 誠一
(72)【発明者】
【氏名】染谷 和孝
(72)【発明者】
【氏名】風間 晶博
【審査官】北村 一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-024192(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F15B 15/00-15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延在する摺動孔(12a)が形成されたシリンダボディ(12)と、
前記摺動孔をヘッド側の作動シリンダ室(14a)と、エンド側の増力シリンダ室(16a)とに隔てる隔壁(26)と、
前記作動シリンダ室に配置され、前記作動シリンダ室をヘッド側の第1圧力室(38)とエンド側の第2圧力室(40)とに仕切る作動ピストン(20)と、
前記増力シリンダ室に配置され、前記増力シリンダ室をヘッド側の第3圧力室(42)とエンド側の第4圧力室(44)とに仕切る増力ピストン(22)と、
前記作動ピストン及び前記増力ピストンに接続されるとともに、前記隔壁を貫通してエンド側に伸び出たピストンロッド(18)と、を備え、
前記第1圧力室、前記第2圧力室、前記第3圧力室及び前記第4圧力室のうち、隣接する2つの圧力室に高圧流体が封入されるとともに、
前記作動ピストンが所定位置よりもヘッド側に位置する間は、前記2つの圧力室の間で高圧流体の導通を許容する一方で、前記作動ピストンが所定位置よりもエンド側に移動した際に、前記2つの圧力室の間での高圧流体の導通を阻止し、かつ、前記2つの圧力室の一方の圧力室の高圧流体を排気させる増力切換機構(33)を備えた、
流体圧シリンダ。
【請求項2】
請求項1記載の流体圧シリンダであって、前記第2圧力室と前記第3圧力室とに高圧流体が封入され、
前記増力切換機構は、
前記第2圧力室と前記第3圧力室とに連通した連通路(34)と、
前記第2圧力室に連通した排気路(36)と、
前記作動ピストンが所定位置よりもヘッド側に位置する間は、前記連通路を開くとともに、前記作動ピストンが所定位置よりもエンド側に移動した際に前記連通路を閉じる導通切換弁(35)と、
前記作動ピストンが所定位置よりもヘッド側に位置する間は、前記排気路を閉じるとともに、前記作動ピストンが所定位置よりもエンド側に移動した際に前記排気路を開いて前記第2圧力室の高圧流体の排気を行う排気切換弁(37)と、
を有する流体圧シリンダ。
【請求項3】
請求項2記載の流体圧シリンダであって、前記連通路、前記排気路、前記導通切換弁及び前記排気切換弁は前記隔壁に設けられている流体圧シリンダ。
【請求項4】
請求項1記載の流体圧シリンダであって、前記第3圧力室と前記第4圧力室とに高圧流体が封入され、
前記増力切換機構は、
前記第3圧力室と前記第4圧力室とに連通した連通路(35e)と、
前記第4圧力室に連通した排気路と、
前記作動ピストンが所定位置よりもヘッド側に位置する間は、前記連通路を開くとともに、前記作動ピストンが所定位置よりもエンド側に移動した際に前記連通路を閉じる導通切換弁と、
前記作動ピストンが所定位置よりもヘッド側に位置する間は、前記排気路を閉じるとともに、前記作動ピストンが所定位置よりもエンド側に移動した際に前記排気路を開いて前記第4圧力室の高圧流体の排気を行う排気切換弁と、
を有する流体圧シリンダ。
【請求項5】
請求項4記載の流体圧シリンダであって、前記増力ピストンに前記連通路及び前記導通切換弁が設けられている流体圧シリンダ。
【請求項6】
請求項5記載の流体圧シリンダであって、前記第4圧力室のエンド側の端部を封止するロッドカバー(48)を備え、前記ロッドカバーは、前記排気路と、前記排気切換弁を備える流体圧シリンダ。
【請求項7】
請求項2又は4記載の流体圧シリンダであって、前記シリンダボディは、前記排気路に連通する調整ポート(32)を有し、前記排気路は前記調整ポートを介して高圧流体を排気する流体圧シリンダ。
【請求項8】
請求項2又は4記載の流体圧シリンダであって、前記増力切換機構は、前記導通切換弁が前記連通路を閉じた後に、前記排気切換弁が前記排気路を開く流体圧シリンダ。
【請求項9】
請求項2~8のいずれか1項に記載の流体圧シリンダであって、前記導通切換弁は、一端が前記2つの圧力室のいずれか一方に向けて突出し他端が前記連通路に挿入された導通切換ピン(35a)を有し、前記導通切換ピンが前記作動ピストンの変位に伴って軸方向に押圧されることにより、前記連通路を閉塞する流体圧シリンダ。
【請求項10】
請求項2~8のいずれか1項に記載の流体圧シリンダであって、前記排気切換弁は、基端部が前記排気路に挿入されて前記排気路を封止するとともに、先端部がヘッド側に突出した検知ピン(37a)を有し、前記検知ピンが前記作動ピストン又は前記増力ピストンに押圧されてエンド側に変位することにより、前記排気路の封止が解除される流体圧シリンダ。
【請求項11】
請求項2又は3記載の流体圧シリンダであって、前記排気路には、排出される向きにのみ流体を通過させ、その逆向きの流体を阻止する第1チェック弁(52)が設けられている流体圧シリンダ。
【請求項12】
請求項2又は3記載の流体圧シリンダであって、前記第2圧力室に連通する補充流路(78)をさらに有し、前記補充流路には、前記第2圧力室に向かう流体を通過させる第2チェック弁(54)が設けられている流体圧シリンダ。
【請求項13】
請求項7記載の流体圧シリンダであって、さらに前記第4圧力室と前記調整ポートとに連通する補助流路(76)を有し、前記補助流路には、前記第4圧力室から前記調整ポートに向かう方向の流体のみを通過させ、その逆向きの流体を阻止する第3チェック弁(56)が設けられている流体圧シリンダ。
【請求項14】
請求項2記載の流体圧シリンダであって、前記第1圧力室、前記第2圧力室及び前記第4圧力室に接続される駆動装置(120)をさらに備え、
前記駆動装置は、切換弁(102)と、高圧流体供給源(104)と、排気口(106)と、第4チェック弁(86)とを有し、
前記切換弁の第1位置において、前記第1圧力室が前記高圧流体供給源に連通するとともに、前記第4圧力室及び前記増力切換機構が前記排気口に連通し、
前記切換弁の第2位置において、前記第1圧力室が前記第4チェック弁を介して前記第4圧力室に連通するとともに前記第1圧力室が前記排気口に連通し、かつ、前記第2圧力室が前記高圧流体供給源に連通する、
流体圧シリンダ。
【請求項15】
請求項4記載の流体圧シリンダであって、前記第1圧力室、前記第2圧力室及び前記第4圧力室に接続される駆動装置(120A)をさらに備え、
前記駆動装置は、切換弁と、高圧流体供給源と、排気口と、第4チェック弁とを有し、
前記切換弁の第1位置において、前記第1圧力室が前記高圧流体供給源に連通するとともに、前記第4圧力室及び前記第2圧力室が前記排気口に連通し、
前記切換弁の第2位置において、前記第1圧力室が前記第4チェック弁を介して前記第2圧力室に連通するとともに前記第1圧力室が前記排気口に連通し、かつ、前記第4圧力室が前記高圧流体供給源に連通する、
流体圧シリンダ。
【請求項16】
請求項14又は15記載の流体圧シリンダであって、前記第1圧力室と前記排気口との間に絞り弁(88)が設けられた流体圧シリンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧シリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
クランプ装置やロック装置などの作業機械において、通常、作業工程の前半にあまり大きな駆動力を必要とせず、作業工程の後半に大きな駆動力を必要とする場合がある。このため、これらの作業機械に使用される流体圧シリンダとして、増力機構によりピストンロッドの前進ストローク後半の推力を増大させるようにした増力機構付きの流体圧シリンダが提案されている。
【0003】
例えば、特開2018-17269号公報の流体圧シリンダでは、増力機構として、増力用ピストンを設け、ストロークの途中で、ピストンロッドに増力用ピストンをロックさせることで推力を増加させている。
【発明の概要】
【0004】
増力機構付きの流体圧シリンダにおいて、エネルギー消費量を減らすべく、さらなる作動流体の消費量の削減が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、構造を複雑化することなく、作動流体の消費量を削減できる増力機能付の流体圧シリンダを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の一観点は、軸方向に延在する摺動孔が形成されたシリンダボディと、前記摺動孔をヘッド側の作動シリンダ室と、エンド側の増力シリンダ室とに隔てる隔壁と、前記作動シリンダ室に配置され、前記作動シリンダ室をヘッド側の第1圧力室とエンド側の第2圧力室とに区画する作動ピストンと、前記増力シリンダ室に配置され、前記増力シリンダ室をヘッド側の第3圧力室とエンド側の第4圧力室とに区画する増力ピストンと、前記作動ピストン及び増力ピストンに接続されるとともに、前記隔壁を貫通してエンド側に伸び出たピストンロッドと、を備え、前記第1圧力室、第2圧力室、第3圧力室及び第4圧力室のうち、隣接する2つの圧力室に高圧流体が封入されるとともに、前記作動ピストンが所定位置よりもヘッド側に位置する間は、前記2つの圧力室の間で高圧流体の導通を許容する一方で、前記作動ピストンが所定位置よりもエンド側に移動した際に、前記2つの圧力室の間での高圧流体の導通を阻止し、かつ、前記2つの圧力室の一方の圧力室の高圧流体を排気させる増力切換機構を備えた、流体圧シリンダにある。
【0007】
本発明に係る流体圧シリンダによれば、第1~第4圧力室のうち、隣接する2つの圧力室に高圧流体が封入される。作動ピストンが所定位置よりもヘッド側に位置する場合には、隣接する2つの圧力室の間で高圧流体の導通を許容する。この場合には、隣接する2つの圧力室間で圧力差は生じず、推力は増加しない。一方、作動ピストンがストロークの終端付近に移動した場合には、隣接する2つの圧力室の間の導通を阻止し、一方の圧力室の高圧流体を排気させる。これにより、隣接する2つの圧力室間の圧力差に相応する推力が発生し、ストロークエンド付近でピストンロッドの推力を増加させることができる。高圧流体の排気はストロークのエンド側で行われるため、推力の増加に使用される流体量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る流体圧シリンダの断面図である。なお、図中の部分拡大図は、第3チェック弁56を拡大した断面図である。
【
図2】
図1の流体圧シリンダのエンド側の側面図である。
【
図3】
図3Aは、
図1の流体圧シリンダの隔壁付近の拡大断面図であり、
図3Bは
図3Aの隔壁付近に作動ピストンが接近した状態における拡大断面図である。
【
図4】
図4Aは、実施形態に係る流体圧シリンダの作動工程での接続状態を示す流体回路図であり、
図4Bは
図4Aの流体圧シリンダの復帰工程での接続状態を示す流体回路図である。
【
図5】
図1の流体圧シリンダの作動工程における断面図である。
【
図6】
図1の流体圧シリンダの増力工程における断面図である。
【
図7】
図1の流体圧シリンダの復帰工程における断面図(その1)である。
【
図8】
図1の流体圧シリンダの復帰工程における断面図(その2)である。
【
図9】
図9Aは、第2実施形態に係る流体圧シリンダの平面図であり、
図9Bは
図9Aの流体圧シリンダの側面図である。
【
図11】
図11Aは、
図9Aの流体圧シリンダの駆動装置の流体回路図であり、切換弁の第1位置での接続状態を示し、
図11Bは、
図11Aの駆動装置の切換弁の第2位置での接続状態を示す流体回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。なお、本明細書において、ストロークの終端に向かう方向を「エンド方向」又は「エンド側」と呼び、そのストロークの始端の方向を「ヘッド方向」又は「ヘッド側」と呼ぶものとする。また、本明細書においては「エア」とは気体状の作動流体を意味し、特に空気に限定されるものではない。
【0010】
(第1実施形態)
本実施形態に係る流体圧シリンダ10は、
図4A及び
図4Bに示すように、シリンダボディ12と、駆動装置120とを備える。
【0011】
流体圧シリンダ10は、
図1に示すように、軸方向に長く伸びたシリンダボディ12を備えている。
図2に示すように、シリンダボディ12は、角型のものとすることができ、例えば、アルミニウム合金などの金属材料によって形成されている。
【0012】
図1に示すように、シリンダボディ12の内部には、軸方向に延在する円形の摺動孔12a(シリンダ室)が形成されている。シリンダボディ12は、ヘッド側に設けられたヘッド側本体部14と、エンド側に設けられたエンド側本体部16と、ヘッド側本体部14及びエンド側本体部16との間に設けられた隔壁26と、を備える。ヘッド側本体部14と、隔壁26と、エンド側本体部16とは、
図2に示すように、連結ロッド又はボルト16bにより、軸方向に締結されている。
【0013】
図1に示すように、ヘッド側本体部14の内部には、円形の作動シリンダ室14aが形成され、エンド側本体部16の内部には、円形の増力シリンダ室16aが形成されている。作動シリンダ室14aと増力シリンダ室16aとは同一の内径に形成されており、シリンダボディ12の摺動孔12aを構成する。作動シリンダ室14aと増力シリンダ室16aとは、隔壁26により隔てられている。
【0014】
作動シリンダ室14aには、作動ピストン20が配設され、増力シリンダ室16aには増力ピストン22が配設されている。作動ピストン20及び増力ピストン22は、隔壁26及びシリンダボディ12をエンド側に貫通して伸びたピストンロッド18に連結されている。
【0015】
ヘッド側本体部14には、ヘッド側ポート28と、ヘッドカバー46と、作動ピストン20とが設けられている。ヘッドカバー46は作動シリンダ室14aのヘッド側の端部に装着されており、このヘッドカバー46により作動シリンダ室14aのヘッド側が封じられている。
【0016】
ヘッドカバー46の近傍には、ヘッド側ポート28が形成されている。ヘッド側ポート28は、ヘッド側本体部14を貫通して形成されている。ヘッド側ポート28は、作動シリンダ室14aのヘッド側端部の近傍に設けられ開口28aを介して作動シリンダ室14a(第1圧力室38)に連通している。
【0017】
作動ピストン20は、作動シリンダ室14a内を軸方向に摺動可能に収容されている。作動ピストン20の外周面には、環状のパッキン装着溝21aが形成されており、そのパッキン装着溝21aにはパッキン21が装着されている。パッキン21は、作動シリンダ室14aの内周面に弾性変形しながら密着することで、作動シリンダ室14aを第1圧力室38と第2圧力室40とに気密に区画する。第1圧力室38は、作動ピストン20とヘッドカバー46との間に形成される空室であり作動ピストン20よりもヘッド側に形成される。また、第2圧力室40は作動ピストン20と隔壁26との間に形成される空室であり、作動ピストン20よりもエンド側に形成される。第1圧力室38は、開口28aを介してヘッド側ポート28と連通している。
【0018】
作動ピストン20は、ピストンロッド18のヘッド側連結部18aにおいてピストンロッド18と連結されており、ピストンロッド18と一体的に変位するように構成されている。
【0019】
一方、エンド側本体部16には、増力ピストン22と、ロッドカバー48と、エンド側ポート30と、補助流路76とが設けられている。
【0020】
増力ピストン22は、エンド側本体部16の増力シリンダ室16a内に、軸方向に摺動可能に配設されている。増力ピストン22の外周面には、環状のパッキン装着溝23aと、環状のマグネット装着溝24aと、が設けられている。パッキン装着溝23aには、ゴムなどの弾性材料よりなる円環状のパッキン23が装着されている。また、マグネット装着溝24aには、円形リング状のマグネット24が装着される。また、マグネット24の外周部には、不図示のウエアリングが装着される。
【0021】
増力ピストン22は、パッキン23を介して増力シリンダ室16aを第3圧力室42と第4圧力室44とに気密に区画する。第3圧力室42は、増力ピストン22のヘッド側の空室であり、増力ピストン22と隔壁26との間に形成される。また、第4圧力室44は、増力ピストン22のエンド側の空室であり、増力ピストン22とロッドカバー48との間に形成される。第4圧力室44は、エンド側ポート30と連通している。
【0022】
また、増力ピストン22のヘッド側の端面には円環状のダンパ装着溝25aが形成されており、そのダンパ装着溝25aにダンパ25が装着されている。ダンパ25は、ゴムなどの弾性材料よりなり、増力ピストン22と隔壁26との衝突を防ぐように構成されている。増力ピストン22は、ピストンロッド18の中央部に設けられたピストン装着部18bに連結され、ピストンロッド18と軸方向に一体的に変位するように構成されている。
【0023】
ロッドカバー48は、増力シリンダ室16aのエンド側に装着されている。ロッドカバー48は、円板状に形成されており、その外周部には、環状のパッキン装着溝48dが形成されている。パッキン装着溝48dには、円形リング状のパッキン48cが装着されている。パッキン48cは、パッキン装着溝48dを気密に封止する。
【0024】
ロッドカバー48の径方向の中心付近には、ピストンロッド18を挿通するための挿通孔48aが軸方向に延びて形成されている。挿通孔48aには、ピストンロッド18に沿ったエアの漏えいを防止するロッドパッキン48bが設けられている。また、ロッドカバー48のヘッド側の端面には、円環状のダンパ装着溝47aが形成されており、そのダンパ装着溝47aにダンパ47が装着されている。ダンパ47は、円形リング状に形成された弾性部材よりなり、増力シリンダ室16a側に突出することで、増力ピストン22とロッドカバー48との衝突を防止する。
【0025】
また、ロッドカバー48のエンド側には、ロッドカバー48を固定する抜け止めクリップ49が取り付けられている。抜け止めクリップ49は、エンド側本体部16の内周面に沿って形成された係合溝49aに係合された板部材である。抜け止めクリップ49は、周方向の一部が切り欠かれた円環状の板部材であり、弾性復元力により係合溝49aに係合し、ロッドカバー48のエンド側の端面と当接してロッドカバー48の脱落を阻止する。
【0026】
エンド側ポート30は、エンド側本体部16のエンド側の端部付近に形成されている。エンド側ポート30は、エンド側本体部16の外周から増力シリンダ室16aに向けて貫通して形成されており、増力シリンダ室16aのエンド側の端部において、第4圧力室44と連通している。
【0027】
補助流路76は、エンド側本体部16の内部に形成された流路であり、軸方向に延在している。補助流路76は、その一端がエンド側ポート30に連通し、他端が後述する隔壁26の調整ポート32に連通している。
【0028】
第3チェック弁56は、補助流路76の途中に設けられている。第3チェック弁56は、補助流路76よりも大きな径の空洞部56aと、その空洞部56aに挿入された弁体56bとを有している。有底円筒状のカップ状に形成された部材であり、エアの流れを阻止する方向の下流側に底56cが配置される。弁体56bの底56cには、空洞部56aの端面と当接して、空洞部56aに連通する補助流路76を閉塞する環状突起部56dが形成されている。
【0029】
また、弁体56bの側部には、エアを通すための切欠部56eが形成されている。底56c側から流れるエアに対しては、弁体56bの環状突起部56dが空洞部56aの端面から離間し、切欠部56eを介してエアを通過させるように構成されている。また、その逆向きのエアに対しては、弁体56bの底56cの部分がそのエアの圧力を受け、環状突起部56dが空洞部56aの端面に当接して、補助流路76を閉塞して、エアの流れを阻止するように構成されている。
【0030】
なお、第3チェック弁56の作動をスムースにするべく、弁体56bの環状突起部56dを空洞部56aの端面に当接する方向に付勢するバネ等の付勢部材56fを空洞部56a内に設けてもよい。また、後述する、第1チェック弁52及び第2チェック弁54も第3チェック弁56と同様の構造となっている。
【0031】
隔壁26は、
図3Aに示すように、板状の本体60を備えている。本体60には、ヘッド側に突出して作動シリンダ室14aに挿入される第1接続部63と、エンド側に突出して増力シリンダ室16aに挿入される第2接続部64とが形成されている。第1接続部63は、作動シリンダ室14aの内径と略同じ外径の円柱状に形成されおており、その外周部にはパッキン63aが装着されている。また、第2接続部64は、増力シリンダ室16aの内径と略同じ外径の円柱状に形成されており、その外周部にはパッキン64aが装着されている。パッキン63aは、作動シリンダ室14aと第1接続部63との隙間を封止し、パッキン64aは増力シリンダ室16aと第2接続部64との隙間を封止する。
【0032】
隔壁26の径方向の中心付近には、ピストンロッド18を挿通するための貫通部61が軸方向に延びて形成されている。貫通部61には、ピストンロッド18に沿ったエアの漏えいを防止するパッキン62が設けられている。
【0033】
また、隔壁26は、増力切換機構33を構成する、連通路34と、連通路34に設けられた導通切換弁35と、排気路36と、排気路36に設けられた排気切換弁37と、を有する。
【0034】
連通路34は、第2圧力室40と第3圧力室42との間でエアを流通させる流路であり、隔壁26を軸方向に貫通する貫通孔65と、その貫通孔65に挿入された導通切換ピン35aの内部流路35eと、ストッパ66の孔部66bとで構成される。
【0035】
貫通孔65は、隔壁26を軸方向に貫通して形成されており、ヘッド側に形成された大径部65aと、軸方向の中央に形成された小径部65bと、エンド側に形成されたストッパ挿入孔65cとを有している。大径部65a及びストッパ挿入孔65cは、小径部65bよりも大きな内径に形成されている。大径部65a及び小径部65bには、導通切換ピン35aが挿入される。ストッパ挿入孔65cには、ストッパ66が挿入される。ストッパ66は、導通切換弁35の導通切換ピン35aのエンド側に連結されており、導通切換ピン35aと一体的に変位する。また、ストッパ66が、ストッパ挿入孔65c内で停止することで、導通切換ピン35aのヘッド側への移動が規制される。
【0036】
導通切換弁35は、導通切換ピン35aを備えて構成される。導通切換ピン35aは、ヘッド側に形成された閉塞部35cと、エンド側に向けて軸方向に延在するロッド部35dとを有する。ロッド部35dは、貫通孔65の小径部65bの内径と略同じ径に形成されており、小径部65bに軸方向に摺動可能に挿入されている。閉塞部35cは、貫通孔65の大径部65aの内径と略同じ径に形成され、大径部65aに挿入可能に構成されている。閉塞部35cの外周部には、リング状のパッキン35bが装着されている。パッキン35bは、閉塞部35cが大径部65a内に押し込まれた際に、大径部65aに密着して連通路34を封止するように構成されている。
【0037】
また、導通切換ピン35aの閉塞部35cのエンド側には、付勢部材35fが装着されている。付勢部材35fは、例えばバネ等よりなり、大径部65aと導通切換ピン35aとの隙間に挿入されている。付勢部材35fは、導通切換ピン35aをヘッド側に付勢し、閉塞部35cを貫通孔65から離間させて第2圧力室40側に突出させる。すなわち、導通切換弁35は、導通切換ピン35aが作動ピストン20によって、ヘッド側に押圧されない状態において、連通路34の導通を妨げないように構成されている。
【0038】
一方、排気路36は、隔壁26の第1接続部63側の端面に開口し、軸方向に延びた検知ピン収容孔67と、検知ピン収容孔67と調整ポート32とに連通した接続流路71とを有している。このうち、検知ピン収容孔67は、ヘッド側に形成された大径部67aと、大径部67aのエンド側に形成された小径部67bとストッパ挿入孔67cとを有している。ストッパ挿入孔67cには、ストッパ68が挿入される。ストッパ68は、検知ピン37aと連結されており、検知ピン37aと一体的に変位する。ストッパ68は、小径部67bのエンド側の端部で停止することで、検知ピン37aのヘッド側への移動範囲を規制する。
【0039】
接続流路71は、小径部67bの側部に形成された開口部71aにおいて検知ピン収容孔67と連通している。小径部67bは、開口部71aの周囲の所定範囲が拡径されており、排気切換弁37との間に間隙を形成している。
【0040】
接続流路71には、開口部71aから調整ポート32への方向にのみエアを通過させる第1チェック弁52が設けられている。第1チェック弁52は、第2圧力室40からのエアの排気を許容する向きに配置されている。
【0041】
排気切換弁37は、検知ピン37aを備える。検知ピン37aは、軸方向に円柱状に延びたピン本体部37bとピン本体部37bのヘッド側端部において径方向外方に伸び出たフランジ部37cとを備える。フランジ部37cは、大径部67aの内径よりも僅かに小さい径に形成されており、大径部67a内に挿入可能に構成されている。大径部67aには、バネ等よりなる付勢部材37fが装着されている。付勢部材37fは、フランジ部37cと当接し、検知ピン37aをヘッド側に付勢することで、フランジ部37cを第2圧力室40側に突出させるように構成されている。
【0042】
ピン本体部37bは、小径部67bの内径よりも僅かに小さな直径に形成されており、小径部67bに沿って軸方向に摺動可能に構成されている。ピン本体部37bの外周部にはパッキン37dとパッキン37eが軸方向に間隔を開けて配置されている。パッキン37d及びパッキン37eは、検知ピン37aが作動ピストン20に押圧されない状態において、小径部67bと密着して、検知ピン収容孔67と、接続流路71の連通を阻止する位置に配設されている。すなわち、排気切換弁37は、作動ピストン20に押圧されない状態において、排気路36の連通を阻止している。
【0043】
調整ポート32の近傍のヘッド側本体部14には、補充流路78と、第2チェック弁54が設けられている。補充流路78は、調整ポート32と第2圧力室40とに連通している。補充流路78には、第2チェック弁54が設けられている。第2チェック弁54の一端は、補充流路78を介して調整ポート32に連通する。また、第2チェック弁54の他端は、補充流路78を介して第2圧力室40に連通する。第2チェック弁54は、調整ポート32から第2圧力室40へ向かう方向にのみエアの通過を許容し、その反対方向のエアの通過を阻止する。すなわち、第2チェック弁54は、第2圧力室40に補充されるエアの流通を許容し、その逆向きのエアを阻止するように構成されている。
【0044】
本実施形態の流体圧シリンダ10は以上のように構成され、
図4Aに示すように、駆動装置120によって駆動される。
【0045】
駆動装置120は、第4チェック弁86と、絞り弁88と、切換弁102と、高圧エア供給源(高圧流体供給源)104と、排気口106と、を備えている。この駆動装置120は、作動工程において、作動シリンダ室14aの第1圧力室38に高圧エアを供給するように構成されている。また駆動装置120は、
図4Bに示すように、復帰工程では、第1圧力室38に蓄積されたエアの一部を、第4圧力室44に向けて供給するとともに、第2圧力室40に高圧エアを供給するように構成されている。
【0046】
切換弁102は、例えば5ポート2位置型のバルブであり、第1ポート102a~第5ポート102eを有し、第1位置(
図4A参照)と、第2位置(
図4B参照)とを切り換え可能となっている。
図4A及び
図4Bに示すように、第1ポート102aは、配管によりヘッド側ポート28に接続される。第2ポート102bは、配管により調整ポート32に接続される。第3ポート102cは、配管により排気口106に接続されている。第4ポート102dは、配管により高圧エア供給源104に接続されている。第5ポート102eは、配管により、絞り弁88を介して排気口106に接続されるとともに、第4チェック弁86を介してエンド側ポート30に接続されている。
【0047】
図4Aに示すように、切換弁102が第1位置にあるときは、第1ポート102aと第4ポート102dとがつながり、かつ、第2ポート102bと第3ポート102cとがつながる。
【0048】
また、
図4Bに示すように、切換弁102が第2位置にあるときは、第1ポート102aと第5ポート102eとがつながり、かつ第2ポート102bと第4ポート102dとがつながる。切換弁102は、高圧エア供給源104からのパイロット圧又は電磁弁により、第1位置と第2位置とに切り替わる。
【0049】
第4チェック弁86は、切換弁102が第2位置にあるときは、ヘッド側ポート28からエンド側ポート30に向かうエアの流れを許容し、エンド側ポート30からヘッド側ポート28に向かうエアの流れを阻止する。
【0050】
絞り弁88は、排気口106から排気される第1圧力室38のエアの量を制限するために設けられており、排気流量を調整することができるよう、通路面積を変更可能な可変絞り弁として構成されている。
【0051】
なお、第4チェック弁86と、第4圧力室44とをつなぐ配管の途中に、エアタンクを設けて、復帰工程においてヘッド側ポート28からエンド側ポート30に供給されるエアを蓄積するようにしてもよい。エアタンクを設けることにより、復帰動作時に第4圧力室44を満たすのに十分な量のエアを蓄積することができ、復帰動作を安定化させることができる。この場合、エアタンクの容量は、例えば、第1圧力室38の最大容量の約半分に設定してもよい。配管の容量が十分に確保できる場合には、エアタンクは不要である。
【0052】
流体圧シリンダ10及び駆動装置120は、以上のように構成されるものであり、以下その作用及び動作について説明する。
【0053】
(起動工程)
起動工程は、流体圧シリンダ10の使用開始に先立って、第2圧力室40及び第3圧力室42に高圧エアを充填する。なお、高圧エアとは、大気圧よりも高い圧力のエアのである。ここでは、流体圧シリンダ10を、
図1に示すようにストロークの始端位置に設定する。また駆動装置120の切換弁102を第2位置(
図4B参照)とする。これにより、高圧エア供給源104が、調整ポート32に接続される。
図4Bに示すように、高圧エア供給源104の高圧エアは、第2チェック弁54を介して第2圧力室40に導入される。また、第2圧力室40に導入された高圧エアは、連通路34を介して、第3圧力室42にも導入される。これにより、第2圧力室40及び第3圧力室42に高圧エアが充填された状態となる。起動工程は、流体圧シリンダ10の最初のストロークの前に1度だけ行えばよい。
【0054】
(作動工程)
図4Aに示すように、流体圧シリンダ10の作動工程は、駆動装置120の切換弁102を第1位置として行う。高圧エア供給源104からの高圧エアは、切換弁102の第1ポート102aを介してヘッド側ポート28に供給される。第4チェック弁86は、第5ポート102e側に接続されており、第4チェック弁86側には高圧エアは流れない。第4圧力室44は、第3チェック弁56、調整ポート32、第2ポート102bを介して排気口106に接続されている。
【0055】
図5に示すように、作動工程において、高圧エア供給源104からの高圧エアは、矢印Bに示すように、第1圧力室38に流れ込む。第2圧力室40の高圧エアにより作動ピストンに作用する力と、第3圧力室42に充填された高圧エアにより増力ピストン22に作用する力は同じ大きさで逆向きにバランスするため、推力には寄与しない。従って、ピストンロッド18には、作動ピストン20に隣接する第1圧力室38と増力ピストン22に隣接する第4圧力室44との圧力差に相応する推力が発生し、ピストンロッド18がエンド側に向けてストロークする。
【0056】
作動ピストン20のストロークに伴い、流体圧シリンダ10には、第1圧力室38の容積に等しい量の高圧エアが、高圧エア供給源104(
図4A参照)から供給される。作動ピストン20及び増力ピストン22のストロークにともなって、第2圧力室40内の高圧エアが連通路34を通じて第3圧力室42に移動する。作動工程の間、第2圧力室40及び第3圧力室42に蓄えられた高圧エアの圧力は一定に保たれる。また、第4圧力室44のエアは、増力ピストン22のストロークに伴って第4圧力室44から排気される。この場合、第4圧力室44のエアは、第3チェック弁56及び補助流路76を経て調整ポート32を通り、
図4Aに示すように、切換弁102の第2ポート102bを通じて、排気口106から排気される。
【0057】
(増力工程)
図6に示すように、作動ピストン20のストロークに伴って、導通切換弁35の導通切換ピン35a(
図3B参照)がエンド側に押圧されるとともに、排気切換弁37の検知ピン37a(
図3B参照)もエンド側に押圧される。
【0058】
その結果、
図3Bに示すように、導通切換ピン35aの閉塞部35cが貫通孔65の大径部65aに挿入される。そして、閉塞部35cのパッキン35bが大径部65aと閉塞部35cの隙間を封止することにより、連通路34を閉塞する。すなわち、導通切換弁35により、連通路34を通じた第2圧力室40と第3圧力室42との間のエアの流通が阻止される。
【0059】
また、排気切換弁37の検知ピン37aが、エンド側に変位することにより、検知ピン37aと検知ピン収容孔67との隙間を封止していたパッキン37dが凹状に窪んだ開口部71aに移動する。これにより、排気路36が開通し、調整ポート32と、第2圧力室40とが排気路36を通じて連通する。第2圧力室40に蓄えられた高圧エアは、第1チェック弁52、調整ポート32を介して排気口106から排気される。その結果、第2圧力室40の内圧が下がり、作動ピストン20には第2圧力室40と第1圧力室38との内圧の差に応じた推力が発生する。
【0060】
また、増力ピストン22では、第3圧力室42に蓄えられた高圧エアの圧力と、第4圧力室44の圧力差に応じた推力が発生する。これにより、流体圧シリンダ10は、ストロークエンド付近において、推力を増大させることができる。流体圧シリンダ10における、推力の増大は、導通切換弁35及び排気切換弁37が作動する範囲での第2圧力室40の高圧エアの排気によって生み出される。
【0061】
(復帰工程)
図4Bに示すように、流体圧シリンダ10の復帰工程は、駆動装置120の切換弁102を第2位置として行う。高圧エア供給源104からの高圧エアは、切換弁102の第2ポート102bを介して調整ポート32に供給される。切換弁102の第1ポート102aは第5ポート102eにつながり、ヘッド側ポート28が第4チェック弁86を介してエンド側ポート30につながる。またヘッド側ポート28は、絞り弁88を介して排気口106につながる。その結果、第1圧力室38に蓄えられたエアの一部は、第4チェック弁86側を介して、第4圧力室44に供給される。また、第1圧力室38に蓄えられたエアの残りの一部は、排気口106から排気される。
【0062】
図7に示すように、復帰工程では、流体圧シリンダ10の調整ポート32には、矢印Bに示すように、高圧エア供給源104からの高圧エアが供給される。調整ポート32に供給された高圧エアは、補充流路78及び第2チェック弁54を経て、第2圧力室40に流入する。第2圧力室40に供給される高圧エアの容量は、増力工程において第2圧力室40から排気された高圧エアの量に等しい。すなわち、増力工程に要する高圧エアが復帰工程で補充されたことになる。その際に供給される高圧エアの量は、作動ピストン20のストロークに要する高圧エアの量に比べて僅かであり、少ない高圧エアの追加のみでよい。
【0063】
復帰工程では、第2圧力室40の内圧が第3圧力室42の内圧と等しくなるため、第2圧力室40が作動ピストン20に及ぼす力と、第3圧力室42が増力ピストン22に及ぼす力とがバランスして打ち消し合う。
【0064】
一方、第4圧力室44には、矢印Aに示すように、第1圧力室38から排気された高圧エアの一部が流入する。第1圧力室38のエアの排気が進むにつれて、第4圧力室44と第1圧力室38との圧力差が増大し、作動ピストン20、増力ピストン22及びピストンロッド18が、ヘッド側に移動を開始する。それに伴って、導通切換弁35が元の位置に復帰し、連通路34を通じて第2圧力室40と第3圧力室42とが連通する。また、排気切換弁37は、排気路36を封止して調整ポート32と第2圧力室40との連通を阻止する。
【0065】
その後、
図8に示すように、第4圧力室44にエアが流入しつつ、第1圧力室38の排気が進み、作動ピストン20及び増力ピストン22がストロークの始端位置に復帰して、復帰工程が完了する。
【0066】
本実施形態に係る流体圧シリンダ10は、以下の効果を奏する。
【0067】
流体圧シリンダ10は、流体圧シリンダ10において、増力切換機構33として、第2圧力室40と第3圧力室42とに連通した連通路34と、第2圧力室40に連通した排気路36と、作動ピストン20が所定位置よりもヘッド側に位置する間は、連通路34を開くとともに、作動ピストン20が所定位置よりもエンド側に移動した際に連通路34を閉じる導通切換弁35と、作動ピストン20が所定位置よりもヘッド側に位置する間は、排気路36を閉じるとともに、作動ピストン20が所定位置よりもエンド側に移動した際に排気路36を開いて第2圧力室40の高圧流体の排気を行う排気切換弁37と、を有する。これにより、ストロークエンド付近において、第2圧力室40と第3圧力室42とが分離され、第3圧力室42の高圧エアを維持しつつも、第2圧力室40の高圧エアを排気できる。これにより、作動ピストン20の推力に加えて、増力ピストン22の推力が加算され、ストローク後半で推力を増加させることができる。
【0068】
流体圧シリンダ10において、隔壁26は、調整ポート32を有し、排気路36は調整ポート32を介して第2圧力室40の高圧流体を排気するようにしてもよい。
【0069】
流体圧シリンダ10において、増力切換機構33は、導通切換弁35が連通路34を閉じた後に、排気切換弁37が排気路36を開くようにしてもよい。これにより、第2圧力室40を介した第3圧力室42の高圧エアの流出を防ぐことができ、高圧エアの使用量を抑制できる。
【0070】
流体圧シリンダ10において、導通切換弁35は、一端が第2圧力室40側に突出し他端が連通路34に挿入された導通切換ピン35aを有し、導通切換ピン35aが作動ピストン20に押圧されてエンド側に変位することにより、連通路34を閉塞するようにしてもよい。これにより、作動ピストン20のストローク動作を利用して導通切換弁35を作動させることができ、装置構成を簡略化できる。
【0071】
流体圧シリンダ10において、排気切換弁37は、排気路36を封止するとともに、一端が第2圧力室40に突出した検知ピン37aを有し、検知ピン37aが作動ピストン20に押圧されてエンド側に変位することにより、排気路36の封止が解除されるように構成してもよい。これにより、作動ピストン20のストローク動作を利用して、排気路36を介した第2圧力室40の排気を行うことができ、装置構成が簡素化される。
【0072】
流体圧シリンダ10において、排気路36には、第2圧力室40から調整ポート32に向かう方向にのみエアを通過させ、その逆向きのエアを阻止する第1チェック弁52が設けられていてもよい。これにより、復帰工程において、排気切換弁37の誤動作を防止できる。
【0073】
流体圧シリンダ10において、調整ポート32と第2圧力室40とに連通する補充流路78をさらに有し、補充流路78には、調整ポート32から第2圧力室40に向かう方向にのみエアを通過させ、その逆向きのエアを阻止する第2チェック弁54が設けられていてもよい。第2チェック弁54を設けることにより、復帰工程において、第2圧力室40への過剰な高圧エアの流入を抑制できる。
【0074】
上記の流体圧シリンダ10において、さらに第4圧力室44と調整ポート32とに連通する補助流路76を有してもよい。これにより、作動工程及び増力工程において、調整ポート32を通じて第4圧力室44のエアの排気を行うことができる。
【0075】
上記の流体圧シリンダ10において、補助流路76には、第4圧力室44から調整ポート32に向かう方向のエアのみを通過させ、その逆向きのエアを阻止する第3チェック弁56が設けられていてもよい。これにより、復帰工程において、調整ポート32に高圧エアを供給した際に、第4圧力室44に高圧エアが流れ込むのを防いで、高圧エアの消費量を抑制できる。
【0076】
流体圧シリンダ10において、流体圧シリンダ10の第1圧力室38、第2圧力室40及び第4圧力室44に接続される駆動装置120をさらに備え、駆動装置120は、切換弁102と、高圧エア供給源104と、排気口106と、第4チェック弁86とを有し、切換弁102の第1位置において、第1圧力室38が高圧エア供給源104に連通するとともに、第4圧力室44及び調整ポート32(増力切換機構33)が排気口106に連通し、切換弁102の第2位置において、第1圧力室38が第4チェック弁86を介して第4圧力室44に連通するとともに第1圧力室38が排気口106に連通し、かつ、第2圧力室40が調整ポート32を介して高圧エア供給源104に連通するように構成してもよい。これにより、復帰工程において、第4圧力室44に第1圧力室38に蓄積されたエアを供給することができるので、高圧エアの消費量を抑制できる。
【0077】
上記の流体圧シリンダ10において、第1圧力室38と排気口106との間に絞り弁88を設けてもよい。これにより、第4圧力室44に供給するエアの量を適切に調節できる。
【0078】
(第2実施形態)
本実施形態の流体圧シリンダ10Aは、
図9Aに示すように、ヘッド側本体部14Aとエンド側本体部16Aとを有する。本実施形態では、エンド側本体部16Aに高圧流体を封入している。また、ストロークエンドでの推力をさらに増加させるべく、エンド側本体部16Aのサイズ(幅及び高さ)をヘッド側本体部14Aのサイズよりも大きくしている。
【0079】
図9Bに示すように、ヘッド側本体部14A及びエンド側本体部16Aは、断面が角型に形成されている。ヘッド側本体部14A及びエンド側本体部16Aは、連結ロッド又はボルトにより軸方向に連結されている。
【0080】
図10に示すように、流体圧シリンダ10Aのシリンダボディ12Aは、ヘッド側本体部14Aとエンド側本体部16Aとを備え、両者が隔壁部126を介して軸方向に連結されている。ヘッド側本体部14Aには、ヘッド側ポート28Aとエンド側ポート30Aが設けられている。エンド側本体部16Aには、エンド側の端部付近に調整ポート32Aが設けられている。
【0081】
また、隔壁部126の外周付近には、増力シリンダ室116aに封入された高圧エアを排出するための貯蓄エア排気ポート162が形成されている。貯蓄エア排気ポート162は、調整弁160を介して第3圧力室42に連通している。貯蓄エア排気ポート162は、流体圧シリンダ10Aのメンテナンス等の際に増力シリンダ室116a内に貯蓄された高圧エアを排出したり、起動する際に、増力シリンダ室116aに高圧エアを導入したりするために用いられる。
【0082】
隔壁部126の中央部には、ピストンロッド18Aを摺動自在に挿通させる挿通孔126cが形成されている。挿通孔126cには、軸方向への流体の漏えいを防ぐためのパッキン118が設けられている。隔壁部126には、ヘッド側に延び出て作動シリンダ室14a内に挿入されるヘッド側接続部126aが設けられている。また、隔壁部126のエンド側には、増力シリンダ室116aに挿入されるエンド側接続部126bが設けられている。エンド側接続部126bには、増力ピストン22Aとの衝突を避けための円環状の緩衝部材124が装着されている。
【0083】
エンド側本体部16Aは本体部116を有する。その本体部116の内方には、円形の空洞部よりなる増力シリンダ室116aが形成されている。増力シリンダ室116aは軸方向に延在している。その増力シリンダ室116aの内部には、増力ピストン22Aが軸方向に摺動自在に配設されている。増力ピストン22Aは、ピストンロッド18Aに連結されている。増力ピストン22Aの外周部には、マグネット24及びパッキン23が装着されている。増力ピストン22Aは、増力シリンダ室116aをヘッド側の第3圧力室42と、エンド側の第4圧力室44とに仕切る。
【0084】
また、増力ピストン22Aには、軸方向に隣接する第3圧力室42と、第4圧力室44との間での高圧流体の導通状態を切り替える導通切換弁35Aが設けられている。導通切換弁35Aは、増力ピストン22Aを軸方向に貫通する貫通孔122と、貫通孔122に挿入された導通切換ピン35aとを備えている。
【0085】
貫通孔122は、エンド側拡径部122aと、縮径部122bとヘッド側拡径部122cとを有している。導通切換弁35Aの導通切換ピン35aは、
図3Aを参照しつつ説明した導通切換ピン35aと同様である。縮径部122bには、導通切換ピン35aのロッド部35dが挿入される。また、エンド側拡径部122a側には、導通切換ピン35aの閉塞部35cが配置される。導通切換ピン35aは、付勢部材35fの付勢力により、エンド側に突出する。
【0086】
そして、貫通孔122及び導通切換ピン35aの内部流路35eを介して、第3圧力室42と第4圧力室44との間の高圧エアの導通を可能とするように構成されている。すなわち、本実施形態では、貫通孔122及び内部流路35eにより連通路が構成されている。また、導通切換ピン35aは、増力ピストン22Aがエンド側へ移動すると、ロッドカバー48Aに押圧されて、閉塞部35c及びその外周部のパッキン35bが貫通孔122に挿入され、貫通孔122を塞いで、第3圧力室42と第4圧力室44との導通を阻止する。
【0087】
ロッドカバー48Aは、エンド側本体部16Aのエンド側の端部付近に設けられており、増力シリンダ室116aのエンド側の端を封じている。ロッドカバー48Aには、第4圧力室44の高圧エアの排気を切り替える排気切換弁37Aが設けられている。排気切換弁37Aは、ロッドカバー48Aを軸方向に貫通する貫通孔139と、貫通孔139に挿入された検知ピン137とを備える。
【0088】
貫通孔139は、エンド側の端部が蓋部材150により封じられており、その蓋部材150のヘッド側に検知ピン137が配設されている。検知ピン137は、蓋部材150と検知ピン137との間に配置されたバネ等の付勢部材140により、ヘッド側に付勢されている。そのため、検知ピン137のヘッド側の先端部は、第4圧力室44内に突出している。
【0089】
検知ピン137の基端部138の外周部には、環状のパッキン141及びパッキン142が軸方向に離間して装着されている。パッキン141及びパッキン142は、貫通孔139と検知ピン137との間の隙間を封止する。パッキン141及びパッキン142の間には、流路143が設けられている。流路143は、内側が貫通孔139に連通し、外側が通気溝144に連通している。通気溝144は、ロッドカバー48Aの外周部の周方向の全域に亘って形成された環状の溝であり、調整ポート32Aと連通している。通気溝144のヘッド側にはパッキン146が設けられ、エンド側はパッキン148が設けられている。これらのパッキン146、148により、通気溝144が気密に保たれる。調整ポート32Aは、通気溝144、流路143及び貫通孔139を介して第4圧力室44と連通可能となっている。すなわち、本実施形態では、貫通孔139、流路143、及び通気溝144が排気路を構成する。
【0090】
検知ピン137が、ヘッド側に移動した状態では、貫通孔139がパッキン141、142によって塞がれており、第4圧力室44の高圧流体は排気されることはない。一方、増力ピストン22Aがエンド側に移動すると、検知ピン137がエンド側に押圧されて、パッキン141、142が流路143よりもエンド側に移動するように構成されている。パッキン141、142が流路143よりもエンド側に移動すると、第4圧力室44と調整ポート32Aとが連通する。
【0091】
以上のように構成された本実施形態の流体圧シリンダ10Aは、
図11A及び
図11Bに示す駆動装置120Aにより駆動される。
【0092】
図11Aに示すように、駆動装置120Aは、第4チェック弁86と、絞り弁88と、切換弁102と、高圧エア供給源104と、排気口106と、第5チェック弁108とを備えている。この駆動装置120Aは、作動工程において、作動シリンダ室14aの第1圧力室38に高圧エアを供給するように構成されている。また駆動装置120Aは、
図11Bに示すように、復帰工程では、第1圧力室38に蓄積されたエアの一部を、第2圧力室40に向けて供給するとともに、第4圧力室44に高圧エアを供給するように構成されている。
【0093】
切換弁102は、例えば5ポート2位置型のバルブであり、第1ポート102a~第5ポート102eを有し、第1位置(
図11A参照)と、第2位置(
図11B参照)とを切り換え可能となっている。
図11A及び
図11Bに示すように、第1ポート102aは、配管によりヘッド側ポート28Aに接続される。第2ポート102bは、配管により調整ポート32A及び第5チェック弁108の下流側に接続される。第3ポート102cは、配管により排気口106に接続されている。第4ポート102dは、配管により高圧エア供給源104に接続されている。第5ポート102eは、配管により、絞り弁88を介して排気口106に接続されるとともに、第4チェック弁86を介してエンド側ポート30A及び第5チェック弁108の上流側に接続されている。
【0094】
図11Aに示すように、切換弁102が第1位置にあるときは、第1ポート102aと第4ポート102dとがつながり、かつ、第2ポート102bと第3ポート102cとがつながる。
【0095】
また、
図11Bに示すように、切換弁102が第2位置にあるときは、第1ポート102aと第5ポート102eとがつながり、かつ第2ポート102bと第4ポート102dとがつながる。切換弁102は、高圧エア供給源104からのパイロット圧又は電磁弁により、第1位置と第2位置とに切り替わる。
【0096】
第4チェック弁86は、切換弁102が第2位置にあるときは、ヘッド側ポート28Aからエンド側ポート30Aに向かうエアの流れを許容し、エンド側ポート30Aからヘッド側ポート28Aに向かうエアの流れを阻止する。また、第5チェック弁108は、切換弁102が第2位置にあるときは、第2ポート102bからエンド側ポート30Aに向かう高圧エアの流れを阻止する。
【0097】
本実施形態に係る流体圧シリンダ10A及びその駆動装置120Aは以上のように構成され、以下その作用について、動作とともに説明する。
【0098】
(作動工程)
図11Aに示すように、流体圧シリンダ10Aの作動工程は、駆動装置120Aの切換弁102を第1位置として行う。高圧エア供給源104からの高圧エアは、切換弁102の第1ポート102aを介してヘッド側ポート28に供給される。第4チェック弁86は、第5ポート102e側に接続されており、第4チェック弁86側には高圧エアは流れない。第2圧力室40は、エンド側ポート30A及び第5チェック弁108を介して排気口106に接続される。また、調整ポート32Aは、排気口106に接続される。
【0099】
図10に示すように、作動工程において、高圧エア供給源104からの高圧エアは、ヘッド側ポート28Aから第1圧力室38に流れ込む。これにより、作動ピストン20にエンド側に向かう推力が発生する。その結果、ピストンロッド18Aがエンド側に向けてストロークする。なお、第3圧力室42及び第4圧力室44に封入された高圧エアは、導通切換弁35Aを通じて導通するため、増力ピストン22Aには、推力は発生しない。
【0100】
作動ピストン20のストロークに伴い、流体圧シリンダ10Aには、第1圧力室38の容積分の高圧エアが、高圧エア供給源104(
図11A参照)から供給される。作動工程の間、第2圧力室40及び第3圧力室42に蓄えられた高圧エアの圧力は一定に保たれる。また、第2圧力室40のエアは、作動ピストン20のストロークに伴って第2圧力室40から排気される。この場合、第2圧力室40のエアは、
図11Aに示すように、エンド側ポート30A及び第5チェック弁108を通って排気口106から排気される。
【0101】
(増力工程)
図12に示すように、増力ピストン22Aのストロークに伴って、導通切換弁35Aの導通切換ピン35aがヘッド側に押圧されるとともに、排気切換弁37Aの検知ピン37aがエンド側に押圧される。
【0102】
その結果、導通切換ピン35aの閉塞部35cが貫通孔122に挿入されて貫通孔122を閉塞する。これにより、第3圧力室42と第4圧力室44との間の高圧エアの導通が阻止される。
【0103】
また、排気切換弁37Aの検知ピン37aが、エンド側に変位することにより、検知ピン37aと貫通孔139との隙間を封止していたパッキン141、142が流路143から外れて、調整ポート32Aと第4圧力室44とが連通する。その結果、第4圧力室44に蓄えられた高圧エアは、排気口106から排気される。すなわち、第3圧力室42に高圧エアが貯留された状態に保たれる一方で、第4圧力室44の内圧が下がる。これにより、増力ピストン22Aには第4圧力室44と第3圧力室42との内圧の差に応じた推力が発生する。この推力が、作動ピストン20の推力に加わるため、ストロークエンド付近において、流体圧シリンダ10Aの推力が増大する。このように、流体圧シリンダ10Aの推力の増大は、導通切換弁35A及び排気切換弁37Aが作動する範囲での第4圧力室44の高圧エアが排気されることによって生み出される。
【0104】
(復帰工程)
図11Bに示すように、流体圧シリンダ10Aの復帰工程は、駆動装置120Aの切換弁102を第2位置として行う。高圧エア供給源104からの高圧エアは、切換弁102の第2ポート102bを介して調整ポート32Aに供給される。切換弁102の第1ポート102aは第5ポート102eにつながり、ヘッド側ポート28Aが第4チェック弁86を介してエンド側ポート30Aにつながる。またヘッド側ポート28Aは、絞り弁88を介して排気口106につながる。その結果、第1圧力室38に蓄えられたエアの一部は、第4チェック弁86側を介して、第4圧力室44に供給される。また、第1圧力室38に蓄えられたエアの残りの一部は、排気口106から排気される。
【0105】
復帰工程では、流体圧シリンダ10Aの調整ポート32Aに高圧エア供給源104からの高圧エアが供給される。調整ポート32Aに供給された高圧エアは、第4圧力室44に流入する。これにより、増力工程において排気された高圧エアの補充が行われる。その際に補充される高圧エアの量は、作動ピストンのストロークに要する高圧エアの量に比べて僅かであり、少ない高圧エアの追加のみでよい。
【0106】
一方、第2圧力室40には、第1圧力室38から排気された高圧エアの一部が流入する。第1圧力室38のエアの排気が進むにつれて、第4圧力室44と第1圧力室38との圧力差が増大し、作動ピストン20がヘッド側に移動する。そして、作動ピストン20及び増力ピストン22Aがストロークの始端位置に復帰して、復帰工程が完了する。このように、作動ピストン20の復帰に要するエアは第1圧力室38から供給されるため、第2圧力室40に高圧エアを供給する必要がない。
【0107】
本実施形態に係る流体圧シリンダ10Aは、以下の効果を奏する。
【0108】
本実施形態の流体圧シリンダ10Aは、第3圧力室42と第4圧力室44とに高圧流体が封入され、増力切換機構33Aは、増力ピストン22Aに設けられた導通切換弁35Aと、ロッドカバー48Aに設けられた排気切換弁37Aとを備えている。この流体圧シリンダ10Aによれば、複雑なロック機構を設けることなく、ストロークエンドで推力を増大させることができる。また、ピストンとピストンロッドを連結させる機械的なロック機構が不要であるため、軸方向の衝撃に対して不適合を起こしにくくなり、信頼性に優れる。
【0109】
また、本実施形態の流体圧シリンダ10Aは、増力ピストン22Aの径を作動ピストン20の径よりも大きくすることができる。そのため、増力ピストン22Aの径を大きくすることでストロークエンドの推力を維持しつつ、作動ピストン20の径を小型化でき、高圧エアの消費量をさらに削減できる。
【0110】
上記において、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
【0111】
すなわち、上記の実施形態では、流体圧シリンダ10、10Aの駆動装置120、120Aを、流体圧シリンダ10、10Aの外部に配置する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。駆動装置120、120Aを構成する部材の一部又は全部を、シリンダボディ12内に内蔵させてもよい。
【0112】
また、流体圧シリンダ10の第1圧力室38及び第2圧力室40に高圧流体を封入し、増力ピストン22で作動ストロークを行い、増力工程において作動ピストン20から追加の推力を発生させるように構成してもよい。