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特許7137164光感受性物品を包装するための包装材料及び前記包装材料を生成するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】光感受性物品を包装するための包装材料及び前記包装材料を生成するための方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20220907BHJP
   B65D 81/24 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
B65D65/40 A
B65D81/24 D
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018506964
(86)(22)【出願日】2016-08-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-08-16
(86)【国際出願番号】 EP2016068689
(87)【国際公開番号】W WO2017025442
(87)【国際公開日】2017-02-16
【審査請求日】2019-07-22
【審判番号】
【審判請求日】2021-06-15
(31)【優先権主張番号】15180810.2
(32)【優先日】2015-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【弁理士】
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・ペッテション
(72)【発明者】
【氏名】ヨアキム・バログ
【合議体】
【審判長】久保 克彦
【審判官】石田 智樹
【審判官】藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】特許第4424645(JP,B2)
【文献】特表2009-544495(JP,A)
【文献】特開2010-36538(JP,A)
【文献】特開2004-66769(JP,A)
【文献】特開2012-30843(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D65/40
B65D81/30
B65D 5/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光感受性物品を包装するための包装材料(1)であって、
バルクラミネート(6)と、
前記バルクラミネート(6)の第1の側に設けられた外部ラミネート層(7)と、
前記バルクラミネート(6)の前記第1の側の反対側である第2の側に設けられた、少なくとも一つの内部ラミネート層(11、12)と、
を含み、
前記バルクラミネート(6)は、カートン層(8)、結合層(9)及び気体バリア層(10)をさらに含み、
前記カートン層(8)を貫通し、前記結合層(9)、前記気体バリア層(10)、前記外部ラミネート層(7)及び前記内部ラミネート層(11,12)によって覆われる、少なくとも1つの穴(4)と、
本質的に光不透過性であり、前記穴(4)を少なくとも部分的に覆うように前記結合層(9)又は前記外部ラミネート層(7)上に設けられた、インクの層(5)を含む光バリアと、を含む、
包装材料。
【請求項2】
前記インクの層(5)が、カーボンブラックを含む、請求項1に記載の包装材料(1)。
【請求項3】
前記インクの層(5)が二酸化チタンを含む、請求項1または2に記載の包装材料(1)。
【請求項4】
前記インクの層(5)が、カーボンブラック及び二酸化チタンを含む、請求項1から3いずれか一項に記載の包装材料(1)。
【請求項5】
カーボンブラックと二酸化チタンとの比(質量:質量)が、1:3から1:2000の間である、請求項4に記載の包装材料(1)。
【請求項6】
前記インクの層(5)が、少なくとも0.2μmの厚さ、又は少なくとも1μmの厚さである、請求項1から5のいずれか一項に記載の包装材料(1)。
【請求項7】
インクの少なくとも2つの層(5‘、5“)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の包装材料(1)。
【請求項8】
包装材料が非箔材料、即ち金属箔を含有しない材料である、請求項1から7のいずれか一項に記載の包装材料(1)。
【請求項9】
包装材料(1)に光バリアを提供するための方法であって、前記包装材料(1)が、バルクラミネート(6)と、前記バルクラミネート(6)の第1の側に設けられた外部ラミネート層(7)と、前記バルクラミネート(6)の前記第1の側の反対側である第2の側に設けられた、少なくとも一つの内部ラミネート層(11、12)と、を含み、前記バルクラミネート(6)は、カートン層(8)、結合層(9)及び気体バリア層(10)をさらに含み、前記カートン層(8)を貫通し、前記結合層(9)、前記気体バリア層(10)、前記外部ラミネート層(7)及び前記内部ラミネート層(11,12)によって覆われる、少なくとも1つの穴(4)と、を含み、
本質的に光不透過性であるインクの層(5)を、前記結合層(9)又は前記外部ラミネート層(7)上に付着させて、前記穴(4)を少なくとも部分的に覆う工程を含む、
方法。
【請求項10】
b)前記インクの層(5‘)上にインクの第2の層(5“)を付着させる工程を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記インクの層(5‘、5“)の少なくとも1つが、カーボンブラック及び/又は二酸化チタンを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記インクの層(5‘、5“)の少なくとも1つが、少なくとも0.2μm、又は少なくとも1μmの厚さで付着される、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記インクの層(5‘、5“)の少なくとも1つが、包装材料をパッケージに加工する前又は後に付着される、請求項9から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記インクの層(5‘、5“)の少なくとも1つが、パッケージが充填される前又は後に付着される、請求項9から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
光感受性物品を包装するための、請求項1から8のいずれか一項に記載の包装材料を含むパッケージ(13)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光バリアを備えた穴を有する包装材料と、前記包装材料を生成するための方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
食品及び飲料の劣化は、光及び/又は酸素への曝露によって促進されることが周知である。そのような劣化は、風味の変化、変色、並びに栄養素の劣化に繋がる可能性がある。更に、酸素は光によって活性化される可能性があり、それが食品又は飲料のより速い劣化をもたらす可能性がある。光は、食品製品で満たされたパッケージの内側に存在する酸素との反応を加速させ、それが味及び栄養成分を劣化する。
【0003】
したがって食品又は飲料用の包装材料は、パッケージの内容物の品質を劣化させることなく長い保存寿命を確実にするために、例えば光及び酸素から内容物を保護する必要がある。
【0004】
従来のパッケージは、光及び酸素バリアとして金属箔、通常はアルミ箔を含む。パッケージに穴、例えばストローの穴がある場合、アルミ箔がその穴を覆う。アルミニウムはどちらかと言えば高価な包装材料である。したがってアルミ箔を含まない包装材料(非箔包装材料)が開発されてきた。そのような包装材料は、ほとんどの場合、紙又はカートンをベースにした材料及びいくつかの異なるポリマー層等の、異なる材料のいくつかの層を含み、各層が包装材料の性質に寄与している。そのような包装材料では、紙又はカートンをベースにした材料が、材料の光バリア特性に寄与する。
【0005】
穴は、種々の適用で、例えば、すぐに飲める状態の飲料用のパッケージで使用され、その場合、穴は、例えばストローを挿入するための穴であってもよい。そのようなパッケージでは、穴は、包装材料の層の1つ又は複数に設けられ、包装材料の残りの層の少なくとも1つは穴を覆う。穴を覆う層を、ストローは容易に貫通することができ、飲料は、そのストローを通して飲むことができる。しかし、アルミ箔なしの包装材料で作製されたパッケージでは、カートン層がしばしば穴の上で拡がっていないので、穴の部位にあるパッケージの光バリアが損なわれる。
【0006】
金属箔を有する包装材料で作製されたパッケージでも、穴の部位にあるパッケージの光バリアは、カートン層と金属層との両方が穴の領域から除去された場合に損なわれる可能性がある。また、包装材料にはカートン層がなく、それでも金属層を有することも可能であるが、この金属層は穴の領域から除去される。したがってそのような穴は、穴の領域にあるラミネート材料の残りの層が光を遮断しない場合、パッケージ内の充填生成物に光の照射を到達させることができる。
【0007】
例えば、コーヒー又は紅茶のカップに添加することができるクリーム又はミルクの一人分の使用が意図される小さいパッケージでは、穴は、通常はアルミニウムで作製されたタブ等のカバーによって覆われ、このカバーはパッケージを開けるために除去される。そのようなパッケージの内容物を完全に保護するために、タブは光バリアを包含する必要があるが、それはそのようなパッケージが通常は長い保存寿命を有し、しばしば明るい場所で保存されるからである。
【0008】
他のパッケージ、例えば持ち運びし易いパッケージと、より大量向けのパッケージ、例えばミルク又はフルーツジュースの0.1~4.5L、典型的には0.25~1.5Lのパッケージでは、穴が、ねじ蓋等の蓋又はキャップによって覆われる。しかしアルミ箔のない包装材料で作製されたパッケージでは、カートン層がしばしば穴の上で拡がっていないので、且つ蓋又はキャップの光バリア特性がカートン材料そのものの光バリア特性ほど良好ではないので、穴の部位でのパッケージの光バリアが損なわれる。
【0009】
食品パッケージ用の包装材料は、しばしば複雑な材料であり、一般に食品の包装は、健康上の理由で複雑である。したがって穴に光バリアを適用する場合、即ち、パッケージ内の食品又は飲料の有効期限が損なわれないように食品パッケージの品質が完全なままであることを、確実にすることが重要である。更に、光バリアそのものは食品製品の品質に影響を及ぼさないことを、確実にすることが重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】US6,974,612
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
食品パッケージはほとんど大量生産されるので、アルミ箔を含まずに穴の光バリアを有する包装材料を実現するのに問題が生ずる。好ましくは、得られた包装材料は、大量生産で使用するのに十分安価であり、従来の設備を使用してパッケージに変換することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の目的は、従来技術の課題を解決するために現行技術を改善し、光感受性物品を包装するための包装材料を提供することである。本発明の第1の態様によれば、上記及び本発明の他の目的は、請求項1により定義される包装材料によって、完全に又は少なくとも部分的に達成される。この請求項によれば、上記目的は、光感受性物品を包装するための包装材料によって達成され、前記包装材料は、第1の層及び第2の層と、前記第1の層を貫通し前記第2の層によって覆われる少なくとも1つの穴と、光バリアとを含み、前記光バリアは、本質的に光不透過性であり、前記第2の層上に設けられて前記穴を少なくとも部分的に覆う、インクの層を含む。
【0013】
光バリアは、光の伝達を妨げる光バリア特性を有する。
【0014】
光バリアは、光が通過するのを少なくとも部分的に遮ってもよく、それによって入射光の一部の伝達を低減させる。
【0015】
光は、人の眼に見えても見えなくてもよい。
【0016】
インクの少なくとも1つの層は、光バリアを回復させるために穴全体を覆ってもよい。
【0017】
インクの少なくとも1つの層は、穴そのものよりも大きい表面を覆ってもよい。
【0018】
上記包装材料から作製され、ストローを通して飲むことが意図される飲料を含有するパッケージでは、インクの少なくとも1つの層を包装材料の第2の層と共に、ストローで容易に貫通することができる。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、包装材料は、内部パッケージ環境に面する内側と、外部パッケージ環境に面する外側とを含んでいてもよく、前記インクの層は、前記外側に設けられていてもよい。
【0020】
本発明の実施形態によれば、インクの少なくとも1つの層はカーボンブラックを含んでいてもよい。カーボンブラックは、表面積対体積比が高く、表面に付着したときにその表面を本質的に光不透過性にする、準結晶質炭素の形である。このことは、カーボンブラックを含む光バリアが穴の光バリアを本質的に回復させることになるので、特に有利である。植物由来のカーボンブラックは、欧州において食品着色料として承認されており、添加剤E153として公知である。
【0021】
別の実施形態によれば、インクの少なくとも1つの層は、二酸化チタンを含んでいてもよい。二酸化チタン(TiO2)は、酸化チタン(IV)又はチタニアとしても公知である。二酸化チタンは、表面に付着したときに、その表面を本質的に光不透過性にする。このことは、二酸化チタンを含む光バリアが穴の光バリアを本質的に回復させることになるので、特に有利である。酸化チタンは、塗料から日焼け止め、更には食品着色料(E171)に至るまで、広範な適用で使用される。
【0022】
更に別の実施形態によれば、インクの少なくとも1つの層は、カーボンブラック及び二酸化チタンを含んでいてもよい。カーボンブラックと二酸化チタンとの割合は、光を伝達しない最適な光バリアを実現するために、変化させてもよい。加えて、そのような混合物は、混合物の色がアルミ箔に似るように選択されてもよい。
【0023】
光バリアは、カーボンブラックの二酸化チタンに対する種々の比(質量:質量)を選択することにより、光の伝達に関して所望の性質を有するように調整することができる。このことは、光バリアに対する要求が、とりわけ包装される生成物、生成物の保存寿命、及び保存条件に応じて種々の包装材料ごとに異なるので、有利である。
【0024】
カーボンブラックの二酸化チタンに対する比(質量:質量)は、1:3から1:2000の間であってもよい。より大量のカーボンブラックは、より少ない量のカーボンブラックを含む光バリアよりも、少ない光を伝達する光バリアを与える。
【0025】
カーボンブラックの二酸化チタンに対する比(質量:質量)は、1:10から1:200の間、好ましくは1:15から1:50であってもよい。
【0026】
カーボンブラックの二酸化チタンに対する比(質量:質量)は、1:10から1:15の間であってもよい。この比は、光感受性の高い生成物に使用される包装材料で使用されてもよい。
【0027】
カーボンブラックの二酸化チタンに対する比(質量:質量)は、1:50から1:200の間であってもよい。この比は、ソフトドリンク、又はより短い保存寿命の生成物若しくは光への曝露がより少ない流通網にある生成物等、光感受性がより低い生成物に使用される包装材料で使用されてもよい。
【0028】
更に混合物は、結合剤、充填剤、界面活性剤、乳化剤、接着性向上添加剤、表面改質添加剤、及び混合物の耐摩耗性を改善する添加剤等、他の添加剤を含んでいてもよい。
【0029】
インクの少なくとも1つの層は、光バリアが、カーボンブラック及び二酸化チタンにより実現される黒、白、又は灰色とは異なる色を有するように、色付けされてもよい。
【0030】
別の実施形態によれば、インクの少なくとも1つの層は、少なくとも0.2μmの厚さであってもよい。好ましくは、インクの少なくとも1つの層は、少なくとも1μmの厚さであってもよい。インクの少なくとも1つの層は、0.2~12μmの間の厚さであってもよい。好ましくは、インクの少なくとも1つの層は、1~3μmの間の厚さである。
【0031】
インクの少なくとも1つの層は、包装材料の第1の層と同じ又はより小さい厚みを有していてもよく、したがって、得られるパッケージの表面から突出しない。
【0032】
別の実施形態によれば、包装材料は、インクの少なくとも2つの層を含んでいてもよい。
【0033】
インクの第2の層は、保護層であってもよい。保護層は、インクの第1の層が例えば擦り取られるのを防ぐために、付着されてもよい。保護層は、ポリエチレンであってもよい。
【0034】
第2の層は、光バリアが、カーボンブラック及び二酸化チタンにより実現される黒、白、又は灰色とは異なる色を有するように、色付けされてもよい。
【0035】
本発明の第2の態様によれば、包装材料に光バリアを設けるための方法も提供され、前記包装材料は、第1の層及び第2の層と、前記第1の層を貫通し、前記第2の層によって覆われる少なくとも1つの穴とを含み、この方法は、インクの層を前記第2の層に付着させて、前記穴を少なくとも部分的に覆う工程を含み、前記インクの層は、本質的に光不透過性である。
【0036】
インクの層は、インクジェットにより付着させてもよい。
【0037】
インクの層は、噴霧コーティングによって付着させてもよい。
【0038】
インクの層は、噴霧技法によって付着させてもよい。
【0039】
インクの層は、印刷技法によって付着させてもよい。
【0040】
インクの層は、フレキソ印刷技法によって付着させてもよい。
【0041】
インクの層は、選択的堆積技法によって付着させてもよい。
【0042】
インクは、インクスプレーであってもよい。
【0043】
インクは、液体インクであってもよい。
【0044】
インクは、色付けされたホットメルトであってもよい。
【0045】
インクは、色付けされたペーストであってもよい。
【0046】
インクの第1の層は、パッケージがその内容物で満たされているときに、即ち充填機で又は充填プロセスの下流で、包装材料に付着させてもよい。パッケージに日付及びバッチ番号を印刷するために、インクジェットプリンターと連動させることが有利であり得、そのようなプリンターは、場合によっては今日の充填プロセスと関連させて使用する。
【0047】
インクの第1の層は、別の実施形態によれば、包装材料そのものの生成中に包装材料に付着させてもよい。例えば、インクの第1の層は、包装材料の積層中に付着させてもよい。このように、インクの第1の層は、包装材料の最外層として一般に使用されるポリマー層が付着される前に、付着させてもよい。このように、インクの第1の層は、熱可塑性ポリマー層等のポリマー層によって保護することができる。包装材料製造プロセス内で又はその下流でインク層を付着させる更なる利点は、光バリア品質の良好な制御を、製造現場で確実にできることである。
【0048】
或いは、インクの第1の層は、包装材料を製造するためのプロセスの、スリッティング、ドクタリング、又は仕上げ工程の最中に、付着させてもよい。この実施形態の利点は、積層操作の下流で従来の設備を使用することにより実施するのが容易なことである。包装材料製造プロセス内又はその下流でインク層を付着させる利点は、光バリア品質の良好な制御を確実にすることができることである。
【0049】
一実施形態によれば、方法は更に、インクの第2の層を前記インクの層に付着させる工程を含んでいてもよい。インクの第2の層を付着させることにより、光バリアの光透過性を調節することができる。
【0050】
インクの第2の層は、パッケージがその内容物で満たされるとき、即ち充填機内で、包装材料に付着させてもよい。このことは、パッケージに日付及びバッチ番号を印刷するためのインクジェットが、今日使用される充填機内に存在するので、有利である。
【0051】
インクの第2の層は、包装材料そのものの生成中に、包装材料に付着させてもよい。例えば、インクの第2の層は、包装材料の積層中に付着させてもよい。
【0052】
或いは、インクの第2の層は、包装材料のスリッティング、ドクタリング、又は仕上げ中に、積層ステーションの下流で付着させてもよい。
【0053】
別の実施形態によれば、前記インクの層の少なくとも1つは、カーボンブラック及び/又は二酸化チタンを含んでいてもよい。
【0054】
前記インクの層の少なくとも1つは、カーボンブラックを含んでいてもよい。
【0055】
前記インクの層の少なくとも1つは、二酸化チタンを含んでいてもよい。
【0056】
前記インクの層の少なくとも1つは、カーボンブラック及び二酸化チタンを含んでいてもよい。
【0057】
カーボンブラックの二酸化チタンに対する比(質量:質量)は、1:15から1:50の間であってもよい。
【0058】
インクの少なくとも1つの層を、色付けてもよい。
【0059】
更に別の実施形態によれば、前記インクの層の少なくとも1つは、少なくとも0.2μm、好ましくは少なくとも1μmの厚さで付着させてもよい。前記インクの層の少なくとも1つの厚さは、0.2から12μmの間の厚さであってもよく、好ましくは1から3μmの間の厚さである。
【0060】
別の実施形態によれば、前記インクの層の少なくとも1つは、包装材料をパッケージに加工する前又は後に付着させてもよい。
【0061】
別の実施形態によれば、前記インクの層の少なくとも1つは、パッケージが充填される前又は後に付着させてもよい。パッケージが充填される前に前記インクの層を付着させる1つの利点は、インクの層を後で覆うことができ、したがって、包装材料の最外層として一般に使用されるポリオレフィン層等のポリマー層によって保護されることである。パッケージが充填された後に前記インクの層を付着させる1つの利点は、インクの層が包装材料の内面に接触しないことであり、これは、包装材料がロールに巻き取られて1つのパッケージの材料の外側が別のパッケージの材料の内側に面する前の、包装材料の生成中に、インクの層を付着させた場合にもそうであり得る。
【0062】
インクの第1及び第2の層は、包装材料又はパッケージの生成の異なる段階で包装材料に付着させてもよい。例えば、第1の層は包装材料の積層中に付着させてもよく、第2の層は、第2の工程がいくつかの生成物に使用されるだけである場合には、積層後に包装材料に付着させてもよい。このように、第2の層は、光バリア特性と差別化の目的との両方のために、着色されてもよい。このため光バリアは、異なるパッケージごとに異なる強度を有することが可能になり、バリア特性の必要性を特定の生成物/使用に合わせて調整することが可能になる。異なる色を有することも可能になる。これにより、光バリアの色によって、種々の生成物を互いに区別することも助ける。包装材料製造プロセス内又は下流でインク層を付着させる利点は、光バリア品質の良好な制御を確実にすることができることである。第2のインク付着工程は、代替として、充填プロセスで(パッケージが充填された後に)行うことができるが、完全な品質管理が充填現場で確実になされる必要があることを意味する。
【0063】
カバータブ又はカバーパッチを、前記インクの層の少なくとも1つに付着させてもよい。タブを除去するとき、インクの層及び下にある包装材料の層が穴から除去され、パッケージの内容物を取り出すことができる。
【0064】
タブは、本質的に光不透過性であるインクの少なくとも1つの層を含む光バリアによって、覆われていてもよい。インクの少なくとも1つの層は、カーボンブラック及び/又は二酸化チタンを含んでいてもよい。
【0065】
本発明の第3の態様によれば、光感受性物品を包装するためのパッケージが提供され、前記パッケージは、本発明による包装材料を含む。
【0066】
利点は、例えばミルク等の光感受性物品を、そのようなパッケージに包装できることである。ミルクは光感受性であり、例えば強力な日光に供されるミルクは異なる風味を得る可能性がある。したがって本発明によるパッケージは、内容物を光から、並びに生ずる風味の劣化及び変化から保護する。
【0067】
更に、本発明による光バリアを設けたパッケージは、パッケージの内容物を光活性化酸素からも保護する。このことは、活性化酸素に対して感受性のある物品を包装するのに有利であり得る。そのような物品の例は、ミルク、及び抗酸化剤を含む生成物、例えばフルーツ、ベリー、及び野菜由来の飲料である。
【0068】
穴は、ストロー用の穴であってもよい。
【0069】
本発明の第4の態様によれば、包装材料の穴を覆う光バリアが提供され、前記包装材料は少なくとも第1の層及び第2の層を含み、前記穴は前記第1の層を貫通し、前記包装材料は、内部パッケージ環境に面する内側と外部パッケージ環境に面する外側とを有し、前記穴は包装材料の少なくとも前記第2の層によって覆われ、前記光バリアは、包装材料の前記第2の層の少なくとも一部の上にインクの少なくとも1つの層を含み、前記インクの1つの層は前記穴を少なくとも部分的に覆い、前記インクの1つの層は本質的に光不透過性である。
【0070】
本発明の第5の態様によれば、包装材料の穴を覆うために光バリアとしてカーボンブラック及び/又は二酸化チタンを含むインクの使用が提供され、前記包装材料は少なくとも第1の層及び第2の層を含み、前記穴は前記第1の層を貫通し、前記包装材料は、内部パッケージ環境に面する内側と外部パッケージ環境に面する外側とを有し、前記穴は包装材料の少なくとも前記第2の層によって覆われ、前記インクは、包装材料の前記第2の層の少なくとも一部の上に付着され、前記インクは前記穴を少なくとも部分的に覆う。
【0071】
したがって、全ての光バリア材料が除去された領域内で、包装材料が穴を有する場合、包装材料及びそれから得られる任意のパッケージは、改善された光バリア特性を全体として得ることによって本発明から利益を得ることができる。
【0072】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な開示から、添付される特許請求の範囲から、並びに図面から明らかにされよう。本発明は、全ての可能性ある特徴の組合せに関することに留意されたい。
【0073】
一般に、特許請求の範囲で使用される全ての用語は、他に本明細書で明らかに定義されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従い解釈されるものとする。「a/an/the[層、工程等]」と言った場合は全て、他に明示しない限り、前記層、工程等の少なくとも1つの場合を指すことが公然と解釈されるものとする。本明細書に開示される任意の方法の工程は、明示されない限り、開示された正確な順序で行うに必要はない。
【0074】
本明細書で使用される「含む(comprising)」という用語及びその用語の変形は、他の添加剤、成分、整数、又は工程を除外するものではない。
【0075】
本明細書で使用される「本質的に不透過性である」は、入射光の少なくとも90%が材料を通して伝達されないことを意味するものとする。
【0076】
本明細書で使用される「光バリア特性」という用語は、1つ又は複数の波長の入射光の一部の伝達を著しく低減させる材料の任意の物理的特性に該当する。この物理的特性の例は、吸収、反射、及び散乱、並びに2つ以上の組合せとすることができるが、これらに限定するものではない。
【0077】
全ての材料は、波長依存性伝達又は吸収係数を有する。
【0078】
本明細書で使用する「光バリア」は、光バリア特性を有する材料として記述することができる。「光バリア」は、非常に高い不透明度を有する材料として記述することもできる。光バリアは、光が通過するのを少なくとも部分的に遮り、それによって入射光の一部の伝達を低減させる。
【0079】
以下、本発明について、添付図面と一緒に更に詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】包装材料内に穴を有し、この穴が、インクの第1の層を含む光バリアによって覆われている、本発明の第1の実施形態の断面図の概略図を示す。
図2】包装材料内に穴を有し、この穴が、インクの第1及び第2の層を含む光バリアによって覆われている、本発明の第2の実施形態の断面図の概略図を示す。
図3】包装材料内に穴を有し、この穴が、インクの層を含む光バリアによって覆われている、本発明の第3の実施形態の断面図を示す。
図4】穴が見える、本発明によるパッケージの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本発明は、光感受性物品を包装するための包装材料1に関する。包装材料1は、光バリアによって覆われた少なくとも1つの穴4を有する。
【0082】
3つの異なる実施形態を、図に示す。それらの全てにおいて、インクの少なくとも1つの層5を含む光バリアが、包装材料1の穴4上に付着されている。
【0083】
図1は、本発明の第1の実施形態の断面図の、概略図を示す。包装材料1は、少なくとも2つの層2、3を含む。包装材料は、追加の層を含んでいてもよい。穴4は、少なくとも第1の層2を貫通する。第2の層3は、穴を覆う。光バリアはインクの1つの層5を含み、第2の層3に付着され、穴4を覆う。
【0084】
図2は、本発明の第2の実施形態の断面図の、概略図を示す。包装材料1は、少なくとも2つの層2、3を含む。包装材料は、追加の層を含んでいてもよい。穴4は、少なくとも第1の層2を貫通する。第2の層3が穴を覆う。光バリアは、インクの2つの層5'、5"を含み、第2の層3に付着され、穴4を覆う。
【0085】
一実施形態では、ポリマーの更なる層が穴の上部に、即ち第1の層2の上部に、且つ第2の層3の上部の穴領域内に付着され、光バリアはこの更なる層の上部に印刷される。
【0086】
インクは、カーボンブラック及び/又は二酸化チタンを含む。最も堅固な厚さ、典型的には0.2から12μmの間、好ましくは1から3μmの間で付着させた場合、これらの物質は共に、光を本質的に伝達しない、即ち高い不透明度を有する光バリアを提供する。
【0087】
図3は、本発明の第3の実施形態の断面図を示す。手短に言えば、包装材料1は、この実施形態では3つの主な層、即ち層8、9、及び10を有するバルクラミネート6を含む。外部接着層(図示せず)が、カートンをベースにした層8を、装飾層とも呼ばれる外部ラミネート層7に接続する。ある特定の実施形態では、2つ以上の外部ラミネート層7が包装材料1上に存在する。様々な印刷を、カートンをベースにした層8の外面に配置構成して、装飾層7によって保護してもよい。カートン層8は、包装材料1の光バリア特性に寄与する。カートン層8の内側には、結合層9が配置構成される。結合層9は、カートン層8を、カートン層の内側にある更なる層に結合する中間層である。異なる層7、8、及び9で使用される材料の例は、以下に記述する。
【0088】
一実施形態では、外部ヒートシール性ポリマー層7が、印刷インク-光バリア5の下にあり、即ち光バリアインクは、例えば充填機で又はスリッターで、完成した包装ラミネート上に印刷される。
【0089】
穴は、包装材料の両側でポリマー層により覆われてもよい。
【0090】
薄い接着層(図示せず)は、結合層9を、バリア特性を有する更なる層10と接続してもよい。そのような接着層は、結合層9からのバリア層10の離層を防止する。層10は、光バリア特性を有する層、及び/又は気密特性を有する層であってもよく、即ち、光及び/又は気体、特に酸素がバルクラミネート6を通して拡散するのを防止する。
【0091】
一実施形態では、層10は、色付けされたポリマー層を含む。ポリマーは、例えばPE、LDPE、若しくはこれらの変形、HDPE、PP、PET、EVOH、又はポリアミドであってもよい。注目すべき気体バリア特性は、エチレンビニルアルコールコポリマー、EVOH、又はポリアミド等の気体バリア特性を提供するポリマーを選択することによって得られる。
【0092】
バリア特性を提供するために、層10は代替として、金属化コーティング(主に光バリア特性を提供するため)、又は異なる気相蒸着コーティング、例えばPECVDにより被覆された有機酸化物、プラズマ促進化学気相蒸着コーティング、若しくは同様のもの等、バリア特性を提供する材料で被覆されたポリマーフィルムであってもよい。更なる適切な気体バリアコーティングは、分散被覆ポリマー組成物、例えばポリビニルアルコール(PVOH)又は多糖組成物であって、任意選択で更に無機充填剤化合物を含有する組成物であり得る。
【0093】
或いは、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はエチレン若しくはプロピレンのコポリマー、例えばエチレン-プロピレン、エチレン-ブテン、エチレン-ヘキセン、エチレン-アルキル(メタ-アクリレート又はエチレン-酢酸ビニルコポリマー)、又はPET(ポリエチレンテレフタレート)等を使用することができる。色付けは、上述と同じカーボンブラック及びTiO2であってもよい。色付けは、他の顔料であってもよい。層10は、包装材料の色付けされたポリマー層であってもよく、この場合、板紙によって得られた光バリアは、所定のレベルに光の伝達を低減させるのに十分ではない。
【0094】
一実施形態では、代わりに又は同様に、層9は、色付けされたポリマー層を含む。色付けは、上述と同じカーボンブラック及びTiO2であってもよい。色付けは、他の顔料であってもよい。層9は、包装材料の色付けされたポリマー層であってもよく、この場合、板紙によって得られた光バリアは、所定レベルに光の伝達を低減させるのに十分ではない。
【0095】
1つ又は複数のプラスチックラミネート層は、第1の側とは反対側の、バルクラミネート6の第2の側に配置構成されて、包装材料1の内側を形成し、内部プラスチックラミネート層又は封止層11、12と呼ばれる。一実施形態では、少なくとも1つのプラスチックラミネート層は、気体及び/又は液体バリアを形成する。
【0096】
一実施形態では、更に2つのヒートシール性ラミネート層11及び12がそれぞれ、非箔気体バリア層10の内側に配置構成される。このように、これらの層は一緒になって、液密及び気密特性を提供する。層12は液体に、特に液体食品に接触するので、そのような層は食品用に承認され、食品安全規則の要件を満たすべきである。層12の自由表面は、包装材料1の内面に相当する。
【0097】
図3に示されるように、穴4が包装材料1に設けられている。穴4は、少なくともカートン層8を貫通する。他の層9、10、11、及び12は、穴(4)を覆う。しかしカートン層は穴の上に拡がらないので、穴4の部位での包装材料1の光バリアが損なわれる。包装材料1で作製され、ストローを通して飲まれることになる飲料を含有するパッケージの場合、ストローはこれらの層を容易に貫通することができる。穴4には、包装材料1の結合層9の少なくとも一部の上に、インクの少なくとも1つの層5を含む光バリアが設けられる。好ましくは、インクの層5は、光バリアを回復させるために穴4全体を覆う。インクの層5は、本質的に光不透過性である。この特定の実施形態では、装飾層7が、付着させた光バリアを覆う。
【0098】
穴4は、ミリング、穿孔、焼成、切断、打抜き、又は包装材料に穴を設けるのに適用可能な他の技法によって、設けることができる。
【0099】
包装材料は、好ましくは:
- 光バリア特性を有するバルクラミネート6;
- 包装材料1の外側を形成する、バルクラミネート6の第1の側に配置構成された、少なくとも1つの外部プラスチックラミネート層(装飾層とも呼ばれる)7;
- 包装材料1の内側を形成する、第1の側とは反対側のバルクラミネート6の第2の側に配置構成された、少なくとも1つの内部プラスチックラミネート層11、12
を含む多層材料である。
【0100】
好ましくは、インクの層5を含む光バリアは、包装材料1の外側に付着され、したがって少なくともカートン層8の代わりになる。
【0101】
包装材料1は、生成物を含有するパッケージ13に形成されてもよい。
【0102】
バルクラミネート6は、光バリア特性、又は言い換えれば高い不透明度を有する。光バリア特性という用語は、1つ又は複数の波長の入射光の一部の伝達を著しく低減させるための、バルクラミネート6の任意の物理的特性に相当し得る。全ての材料は、波長依存性伝達又は吸収係数を有する。その結果、バルクラミネート6は、1つ又は複数の定められた波長に関する吸収係数が非常に高い、材料を含んでいてもよい。
【0103】
そのような光吸収特性は、以下に記述される適切な材料を選択することによって、実現することができる。光の伝達速度は材料の厚さの関数でもあるので、より大きな厚さによって伝達を低減させ、吸収を増大させることができる。更に、材料は、光の散乱及び反射に影響を及ぼし得る。
【0104】
例えば、バルクラミネート6は、カートン層8、即ちある特定の厚さの紙又はカートンをベースにした材料を含んでいてもよい。そのような材料は、光が通過するのを少なくとも部分的に遮ってもよく、それによって、入射光の一部の伝達を低減させる。本発明により使用される、紙又はカートン用板紙とも呼ばれる紙又はベース材料は、種々のタイプのパッケージの要件に応じて60~480g/m2の間の坪量を含む。板紙の坪量は、ISO 536に従い評価される。坪量は、単位面積当たりの質量を表し、g/m2を単位として測定される。紙又は板紙は通常、50~660μmの間、特に90~110μm又は200~500μmの間、例えば250~350μmの厚さを有し、包装容器のタイプに適した所望の剛性を得るために、適切に選択される。紙又はカートン用板紙は、通常、400kg/m3よりも高い、例えば500kg/m3よりも高い、例えば600kg/m3よりも高い密度を有する。
【0105】
しかし、包装材料1のバルクラミネート6は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、又はエチレン若しくはプロピレンのコポリマー、例えばエチレン-プロピレン、エチレン-ブテン、エチレン-ヘキセン、エチレン-アルキル(メタ-アクリレート又はエチレン-酢酸ビニルコポリマー)、又はPET(ポリエチレンテレフタレート)バルク層等で作製された、ポリオレフィンバルク層も含んでいてもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では、バルクラミネート6は、紙又は板紙の層のみである。
【0107】
接着層を、上述の異なる層の間に介在させてもよい。
【0108】
様々なプラスチックラミネート層、並びにラミネート層をバルク層8に接続する接着層には、様々な材料を使用することができる。本発明の実施例及び実施形態を概説する目的で、以下の用語を使用する。
【0109】
「ポリオレフィン」又は「ポリアルケン」は、モノマーとして式CnH2nの単純なオレフィンから生成されるポリマーである。
【0110】
「ポリエチレン」は、モノマーエチレンを重合することによって生成されるポリオレフィンである。
【0111】
「コポリマー」又は「ヘテロポリマー」は、2つ以上のモノマー種のポリマーである。
【0112】
「高密度ポリエチレン」又は「HDPE」は、0.941g/cm3超の密度を有するエチレンポリマーである。
【0113】
「低密度ポリエチレン」又は「LDPE」は、0.910から0.935g/cm3の密度を有するポリエチレンホモポリマーである。
【0114】
LDPEは、主要なポリマー骨格から延びる比較的大きい数の長鎖分枝により、分枝状の又は不均質に分枝したポリエチレンとしても公知である。LDPEは、1930年代以来商業的に製造されており、当技術分野で周知である。
【0115】
「直鎖状低密度ポリエチレン」(LLDPE)は、0.89g/cm3からの密度を有するポリエチレンコポリマーを指す。LLDPEは直鎖状であり、長鎖分枝を実質的に含有せず、一般に従来のLDPEよりも狭い分子量分布を有する。伝統的な「直鎖状低密度ポリエチレン」は、従来のZiegler-Natta触媒、バナジウム触媒で生成することができる。またLLDPEは、長い間、商業的に製造されており(1950年代以来、溶液反応機用に、及び1980年代以来、気相反応機用に)、やはり当技術分野で周知である。
【0116】
「mLLDPE」は、気相反応機内でメタロセン触媒によって、且つ/又はスラリー反応機内でメタロセン触媒で、且つ/又は溶液反応機内でハフトセン触媒のいずれかで生成された、直鎖状低密度ポリエチレンである。mLLDPEは、包装技術の分野で周知である。
【0117】
1つ又は複数の外部ラミネート層7は、熱可塑性ポリマーで作製され、周囲と接触する最外ヒートシール性ポリオレフィン層等のポリオレフィン層、例えばLDPE又はポリプロピレンを含むことができる。ある実施形態では、外部ラミネート層は、追加の保護及び安定性を包装容器に提供してもよい。適切なポリオレフィンは、LDPE、LLDPE、VLDPE、ULDPE、又はmLLDPE、及びこれらの2種以上のブレンドからなる群から選択される、低密度タイプのポリエチレンである。任意選択で、他のポリオレフィン、例えば高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、又はプロピレンコポリマー若しくはターポリマーが、1つ又は複数の外部ラミネート層として有用である。外層は、押出しコーティング又は他の類似の技法によって付着されてもよい。任意選択で、1つ又は複数の外部プラスチックラミネート層は、バルク層に積層される、予め作製されたフィルムであってもよい。
【0118】
外層の1つとして使用されることになるポリエチレンの適切な例は、例えば4~15、例えば6~9のメルトフローインデックス(ASTM D1238に従い、190℃/2.16kgで決定された)と、915~922kg/m3、例えば918~920kg/m3の密度(ISO 1183、方法Dに従い決定された)とを有するLDPEを有する、押出しグレードのLDPEであってもよい。包装材料構造の外層の1つ又は複数の厚さは、5μm~50μmの間、例えば7μm~30μm、例えば7μm~20μm、例えば8μm~15μmであってもよい。
【0119】
包装材料1の1つ又は複数の内部ヒートシール性層11、12は、容器の内側に向かって方向付けられる、即ち直接食品に接触する層として付着される、ヒートシール性ポリオレフィンポリマーのヒートシール性層を含有していてもよい。より詳細には、内部ラミネート層のヒートシール性層は、LDPE、LLDPE、VLDPE、ULDPE、又はmLLDPE、及びこれらの2種以上のブレンドからなる群から選択される、低密度タイプのポリエチレンポリマーを適切に含んでいてもよい。内部プラスチックラミネート層として、及び最内層としても使用されることになる適切な例には、LDPEとmLLDPEとのブレンド(例えば、50/50、40/60、60/40、30/70、70/30、20/80、80/20質量%のブレンド比)を含んでいてもよく、例えば押出しグレードのLDPEは、2~12、例えば2~7、例えば2~5.5のメルトフローインデックス(ASTM D1238に従い、190℃/2.16kgで決定された)と、914~922kg/m3、例えば915~920kg/m3の密度(ISO 1183、方法Dに従い決定された)とを有する。本明細書に記述される態様及び実施形態で使用するのに適切なmLLDPEの例は、0.922kg/cm3未満の密度と、190℃及び2.16kg(ASTM 1278)で15~25のメルトフローインデックス(MFI)とを有する。追加の詳細は周知であり且つ当業者の能力の範囲内であり、更なる理解は、例えばUS6,974,612で得ることができる。包装材料の最内層の厚さは、5μm~50μmの間、例えば10μm~30μm、例えば15μm~30μm、例えば17μm~25μmである。
【実施例
【0120】
本発明による包装材料の穴を通した光伝達を、カートン層を通してバリアのない穴に至る光伝達と比較した。本発明による包装材料の光バリアは、1:15(カーボンブラック/二酸化チタン50%及び結合剤及び添加剤50%、乾燥質量対質量で)の2μmの層を含んでいた。光伝達を、分光光度計により500nmの波長で測定した。結果は、本発明による包装材料の試験した光バリアが、穴そのものよりも光を伝達し難く、穴の場合の>80%に比べて7%の伝達率であることを明らかに実証した。この7%の伝達率は、ポーションパッケージ100mL~250mL用の漂白済みボードパッケージの場合に類似している。このように本発明によるパッケージでは、穴が、パッケージそのものに類似した光バリアを提供する。
【0121】
本発明による包装材料の穴を通した光伝達を、カートン層を通してバリアのない穴に至る光伝達と比較した。本発明による包装材料の光バリアは、1:15(カーボンブラック/二酸化チタン50%及び結合剤及び添加剤50%、乾燥質量対質量で)の7μmの層を含んでいた。光伝達を、分光光度計により500nmの波長で測定した。結果は、本発明による包装材料の試験した光バリアが、穴そのものよりも光を伝達し難く、穴の場合の>80%に比べて<1%の伝達率であることを明らかに実証した。この<1%の伝達率は、ポーションパッケージ100mL~250mL用のボードパッケージの範囲であるが僅かに高い。このように本発明によるパッケージでは、穴が、パッケージそのものに類似した範囲の光バリア特性を提供する。これは、より感受性の高い物品用のパッケージのためのものである。
【0122】
本発明による包装材料の穴を通した光伝達を、カートン層を通してバリアのない穴に至る光伝達と比較した。本発明による包装材料の光バリアは、1:15(カーボンブラック/二酸化チタン50%及び結合剤及び添加剤50%、乾燥質量対質量で)の12μmの層を含んでいた。光伝達を、分光光度計により500nmの波長で測定した。結果は、本発明による包装材料の試験した光バリアが、穴そのものよりも光を伝達し難く、穴の場合の>80%に比べて<0.1%の伝達率であることを明らかに実証した。この<0.1%の伝達率は、光感受性の生成物をパックするのに必要な範囲にある。このように、本発明によるパッケージでは、穴は、パッケージそのものに類似した範囲の光バリア特性を提供する。これは、最も感受性の高い物品用のパッケージのためのものである。
【符号の説明】
【0123】
1 包装材料
2 包装材料の第1の層
3 包装材料の第2の層
4 穴
5 インクの層
5' インクの第1の層
5" インクの第2の層
6 バルクラミネート(「バルク層ラミネート」)
7 外部ラミネート層
8 カートン層及び光バリア層(「バルク層」)
9 結合層
10 気体バリア層
11 封止層
12 内部プラスチックラミネート層
13 パッケージ
図1
図2
図3
図4