(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】ガスクロマトグラフ
(51)【国際特許分類】
G01N 30/06 20060101AFI20220907BHJP
G01N 30/02 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
G01N30/06 G
G01N30/02 Z
(21)【出願番号】P 2018111945
(22)【出願日】2018-06-12
【審査請求日】2021-04-30
(73)【特許権者】
【識別番号】302031454
【氏名又は名称】東海電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140796
【氏名又は名称】原口 貴志
(72)【発明者】
【氏名】吉永 孝行
(72)【発明者】
【氏名】都築 伴三
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-256714(JP,A)
【文献】特開2005-292142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0229723(US,A1)
【文献】実開昭50-157987(JP,U)
【文献】国際公開第2017/154067(WO,A1)
【文献】米国特許第04919893(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00 -30/96
B01J 20/281-20/292
G01N 1/00 - 1/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルが注入される注入口と、
前記注入口経由で注入された前記サンプルを通す管を着脱可能な管着脱部と、
前記管着脱部に装着された前記管に吸着している物質を脱着させる脱着ヒーターと、
前記サンプルの成分を分離するカラムと、
前記カラムによって分離された前記成分を検出するセンサーと
を備えるガスクロマトグラフであって、
前記ガスクロマトグラフにおける測定を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
捕集管が前記管として前記管着脱部に装着されている場合に前記脱着ヒーターによって前記捕集管から脱着させられた前記成分を検出する濃縮測定処理と、
前記捕集管ではない単管が前記管として前記管着脱部に装着されている場合に前記注入口経由で注入された前記サンプルの前記成分を検出する非濃縮測定処理と
のそれぞれに切り替え可能であ
り、
前記濃縮測定処理と、前記非濃縮測定処理とは、前記制御部によって制御される、前記ガスクロマトグラフの動作の内容が異なることを特徴とするガスクロマトグラフ。
【請求項2】
前記濃縮測定処理には、前記サンプルを収納する容器から前記注入口経由で注入されて前記管着脱部に装着されている前記捕集管に捕集された前記サンプルの前記成分を検出する容器濃縮測定処理が含まれ、
前記非濃縮測定処理には、前記管着脱部に前記単管が装着されている場合に前記容器から前記注入口経由で注入された前記サンプルの前記成分を検出する容器非濃縮測定処理が含まれ、
前記制御部は、前記容器濃縮測定処理および前記容器非濃縮測定処理のそれぞれに切り替え可能であ
り、
前記容器濃縮測定処理と、前記容器非濃縮測定処理とは、前記制御部によって制御される、前記ガスクロマトグラフの動作の内容が異なることを特徴とする請求項1に記載のガスクロマトグラフ。
【請求項3】
前記容器濃縮測定処理は、前記注入口経由で注入された前記サンプルを前記捕集管に吸着させる動作と、前記脱着ヒーターによって前記捕集管から前記成分を脱着させる動作とを含むことを特徴とする請求項2に記載のガスクロマトグラフ。
【請求項4】
前記濃縮測定処理には、前記ガスクロマトグラフの近傍の外気が前記サンプルとして直接前記注入口経由で注入された場合に前記管着脱部に装着されている前記捕集管に捕集された前記サンプルの前記成分を検出する外気濃縮測定処理が含まれ、
前記非濃縮測定処理には、前記管着脱部に前記単管が装着されている場合に前記外気が前記サンプルとして直接前記注入口経由で注入されたときに前記サンプルの前記成分を検出する外気非濃縮測定処理が含まれ、
前記制御部は、前記外気濃縮測定処理および前記外気非濃縮測定処理のそれぞれに切り替え可能であり、
前記外気濃縮測定処理と、前記外気非濃縮測定処理とは、前記制御部によって制御される、前記ガスクロマトグラフの動作の内容が異なることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のガスクロマトグラフ。
【請求項5】
前記外気濃縮測定処理は、前記注入口経由で注入された前記サンプルを前記捕集管に吸着させる動作と、前記脱着ヒーターによって前記捕集管から前記成分を脱着させる動作とを含むことを特徴とする請求項4に記載のガスクロマトグラフ。
【請求項6】
前記濃縮測定処理には、前記ガスクロマトグラフの外部で前記サンプルを捕集して前記管着脱部に装着された前記捕集管に捕集されている前記サンプルの前記成分を検出する外部捕集測定処理が含まれ、
前記制御部は、前記外部捕集測定処理に切り替え可能であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載のガスクロマトグラフ。
【請求項7】
前記外部捕集測定処理は、前記サンプルを前記捕集管に吸着させる動作を含まず、前記脱着ヒーターによって前記捕集管から前記成分を脱着させる動作を含むことを特徴とする請求項6に記載のガスクロマトグラフ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプルの成分を分析するガスクロマトグラフに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、サンプルの成分を分析するガスクロマトグラフが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のガスクロマトグラフにおいては、対象のサンプルに適した方法で測定することができない場合があるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、測定方法の適切性を向上することができるガスクロマトグラフを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のガスクロマトグラフは、サンプルが注入される注入口と、前記注入口経由で注入された前記サンプルを通す管を着脱可能な管着脱部と、前記管着脱部に装着された前記管に吸着している物質を脱着させる脱着ヒーターと、前記サンプルの成分を分離するカラムと、前記カラムによって分離された前記成分を検出するセンサーとを備えるガスクロマトグラフであって、前記ガスクロマトグラフにおける測定を制御する制御部を備え、前記制御部は、捕集管が前記管として前記管着脱部に装着されている場合に前記脱着ヒーターによって前記捕集管から脱着させられた前記成分を検出する濃縮測定処理と、前記捕集管ではない単管が前記管として前記管着脱部に装着されている場合に前記注入口経由で注入された前記サンプルの前記成分を検出する非濃縮測定処理とのそれぞれに切り替え可能であることを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明のガスクロマトグラフは、濃縮測定処理および非濃縮測定処理のうち、対象のサンプルの測定に適した方に切り替え可能であるので、測定方法の適切性を向上することができる。
【0008】
本発明のガスクロマトグラフにおいて、前記濃縮測定処理には、前記サンプルを収納する容器から前記注入口経由で注入されて前記管着脱部に装着されている前記捕集管に捕集された前記サンプルの前記成分を検出する容器濃縮測定処理が含まれ、前記非濃縮測定処理には、前記管着脱部に前記単管が装着されている場合に前記容器から前記注入口経由で注入された前記サンプルの前記成分を検出する容器非濃縮測定処理が含まれ、前記制御部は、前記容器濃縮測定処理および前記容器非濃縮測定処理のそれぞれに切り替え可能であっても良い。
【0009】
この構成により、本発明のガスクロマトグラフは、容器から注入口経由でサンプルが注入される容器濃縮測定処理および容器非濃縮測定処理のそれぞれに切り替え可能であるので、ガスクロマトグラフから離れた場所で採取したサンプルの成分を検出することができ、利便性を向上することができる。
【0010】
本発明のガスクロマトグラフにおいて、前記濃縮測定処理には、前記ガスクロマトグラフの近傍の外気が前記サンプルとして直接前記注入口経由で注入された場合に前記管着脱部に装着されている前記捕集管に捕集された前記サンプルの前記成分を検出する外気濃縮測定処理が含まれ、前記非濃縮測定処理には、前記管着脱部に前記単管が装着されている場合に前記外気が前記サンプルとして直接前記注入口経由で注入されたときに前記サンプルの前記成分を検出する外気非濃縮測定処理が含まれ、前記制御部は、前記外気濃縮測定処理および前記外気非濃縮測定処理のそれぞれに切り替え可能であっても良い。
【0011】
この構成により、本発明のガスクロマトグラフは、ガスクロマトグラフの近傍の外気をサンプルとして注入口経由で直接注入される外気濃縮測定処理および外気非濃縮測定処理のそれぞれに切り替え可能であるので、利便性を向上することができる。
【0012】
本発明のガスクロマトグラフにおいて、前記濃縮測定処理には、前記ガスクロマトグラフの外部で前記サンプルを捕集して前記管着脱部に装着された前記捕集管に捕集されている前記サンプルの前記成分を検出する外部捕集測定処理が含まれ、前記制御部は、前記外部捕集測定処理に切り替え可能であっても良い。
【0013】
この構成により、本発明のガスクロマトグラフは、ガスクロマトグラフから離れた場所でサンプルが捕集管によって採取されるので、サンプルの運搬を効率化することができ、利便性を向上することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のガスクロマトグラフは、測定方法の適切性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係るガスクロマトグラフの外観斜視図である。
【
図2】サンプルバッグが取り付けられている状態での
図1に示すガスクロマトグラフの外観斜視図である。
【
図3】(a)コックが開いている場合の
図2に示すサンプルバッグの側面図である。(b)コックが開いている場合の
図3(a)に示すサンプルバッグの上面図である。
【
図4】(a)コックが閉じている場合の
図3に示すサンプルバッグの側面図である。(b)コックが閉じている場合の
図3に示すサンプルバッグの上面図である。
【
図5】管着脱部に単管が取り付けられている場合に近傍の外気を一時貯蔵部に貯蔵するときの
図1に示すガスクロマトグラフの構成図である。
【
図6】(a)管が取り外されている状態を示す
図5に示す管着脱部の正面断面図である。(b)単管が取り付けられている状態を示す
図5に示す管着脱部の正面断面図である。(c)捕集管が取り付けられている状態を示す
図5に示す管着脱部の正面断面図である。
【
図7】
図6に示す例とは異なる例での管着脱部の正面断面図である。
【
図8】管着脱部に単管が取り付けられている場合に一時貯蔵部に貯蔵されていた気体の成分をセンサーによって検出するときの
図1に示すガスクロマトグラフの構成図である。
【
図9】
図1に示すガスクロマトグラフのブロック図である。
【
図10】
図1に示すガスクロマトグラフの動作のフローチャートである。
【
図11】
図10に示す外気非濃縮測定処理のフローチャートである。
【
図12】サンプルガスの収集中の
図2に示すサンプルバッグおよびポンプの上面図である。
【
図13】
図10に示す容器非濃縮測定処理のフローチャートである。
【
図14】
図13に示す容器非濃縮測定処理における一時点でのガスクロマトグラフの構成図である。
【
図15】容器非濃縮測定処理における、
図14に示す時点とは異なる一時点でのガスクロマトグラフの構成図である。
【
図16】
図10に示す外気濃縮測定処理のフローチャートである。
【
図17】
図16に示す外気濃縮測定処理における一時点でのガスクロマトグラフの構成図である。
【
図18】外気濃縮測定処理における、
図17に示す時点とは異なる一時点でのガスクロマトグラフの構成図である。
【
図19】外気濃縮測定処理における、
図17および
図18に示す時点とは異なる一時点でのガスクロマトグラフの構成図である。
【
図20】外気濃縮測定処理における、
図17、
図18および
図19に示す時点とは異なる一時点でのガスクロマトグラフの構成図である。
【
図21】
図10に示す容器濃縮測定処理のフローチャートである。
【
図22】
図21に示す容器濃縮測定処理における一時点でのガスクロマトグラフの構成図である。
【
図23】容器濃縮測定処理における、
図22に示す時点とは異なる一時点でのガスクロマトグラフの構成図である。
【
図24】サンプルガスの収集中の
図6に示す捕集管およびポンプの上面図である。
【
図25】サンプルガスの収集後の
図24に示す捕集管の断面図である。
【
図26】
図10に示す外部捕集測定処理のフローチャートである。
【
図27】
図5に示す構成とは異なる構成でのガスクロマトグラフの構成図である。
【
図28】本発明の第2の実施の形態に係るガスクロマトグラフの構成図である。
【
図29】
図28に示すガスクロマトグラフの容器非濃縮測定処理のフローチャートである。
【
図30】
図28に示すガスクロマトグラフの容器濃縮測定処理のフローチャートである。
【
図31】本発明の第3の実施の形態に係るガスクロマトグラフの注入口の近傍の部分の概略の断面図である。
【
図32】
図31に示すガスクロマトグラフの容器非濃縮測定処理のフローチャートである。
【
図33】
図32に示す容器非濃縮測定処理における一時点でのガスクロマトグラフの注入口の近傍の部分の概略の断面図である。
【
図34】容器非濃縮測定処理における、
図33に示す時点とは異なる一時点でのガスクロマトグラフの注入口の近傍の部分の概略の断面図である。
【
図35】
図31に示すガスクロマトグラフの容器濃縮測定処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
まず、本実施の形態に係るガスクロマトグラフの構成について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態に係るガスクロマトグラフ10の外観斜視図である。
【0019】
図1に示すように、ガスクロマトグラフ10は、サンプルガスが注入される注入口11aが形成された筐体11を備えている。
【0020】
図2は、サンプルガスを収納する容器としてのサンプルバッグ41が取り付けられている状態でのガスクロマトグラフ10の外観斜視図である。
【0021】
図2に示すように、ガスクロマトグラフ10は、サンプルバッグ41の接続部41aが注入口11aに挿入されることによって、サンプルバッグ41が取り付けられる。
【0022】
図3(a)は、コック41bが開いている場合のサンプルバッグ41の側面図である。
図3(b)は、コック41bが開いている場合のサンプルバッグ41の上面図である。
図4(a)は、コック41bが閉じている場合のサンプルバッグ41の側面図である。
図4(b)は、コック41bが閉じている場合のサンプルバッグ41の上面図である。
【0023】
図3および
図4に示すように、サンプルバッグ41は、筐体11(
図2参照。)に接続されるための接続部41aと、サンプルガスを封印するためのコック41bとを備えている。サンプルバッグ41は、
図3に示すようにコック41bが開いている場合に、接続部41aを介した内部と、外部との間の気体の流通が可能になり、
図4に示すようにコック41bが閉じている場合に、接続部41aを介した内部と、外部との間の気体の流通が不可能になる。
【0024】
図5は、管着脱部20に単管42が取り付けられている場合に近傍の外気を一時貯蔵部16に貯蔵するときのガスクロマトグラフ10の構成図である。
【0025】
図5に示すように、ガスクロマトグラフ10は、注入口11aから注入されたサンプルガスを通す管を着脱可能な管着脱部20と、管着脱部20に装着された管に吸着している物質を脱着させるための脱着ヒーター12と、管着脱部20に装着された管にキャリアーガスを通すための第1の加圧ポンプ13と、第1の加圧ポンプ13側から注入口11aおよび管着脱部20側への気体の流通を妨げず、注入口11aおよび管着脱部20側から第1の加圧ポンプ13側への気体の流通を妨げる逆止弁14と、管着脱部20に装着された管から気体を吸引するための吸引ポンプ15と、気体を一時的に貯蔵するための一時貯蔵部16と、サンプルガスの成分を分離するためのカラム17と、キャリアーガスをカラムに通すための第2の加圧ポンプ18と、カラム17によって分離された、サンプルガスの成分を検出するセンサー19と、管着脱部20、吸引ポンプ15、一時貯蔵部16、カラム17、第2の加圧ポンプ18およびセンサー19の接続関係を切り替えるための八方弁30とを備えている。
【0026】
管着脱部20、脱着ヒーター12、第1の加圧ポンプ13、逆止弁14、吸引ポンプ15、一時貯蔵部16、カラム17、第2の加圧ポンプ18、センサー19および八方弁30は、筐体11(
図1参照。)に収納されている。
【0027】
一時貯蔵部16は、流路の長さを確保するために螺旋状に形成されている部分16aを備える配管である。
【0028】
第1の加圧ポンプ13および第2の加圧ポンプ18は、キャリアーガスを送るためのポンプである。キャリアーガスは、例えば、窒素ガスでも良いし、ヘリウムガスでも良いし、VOC(Volatile Organic Compounds)ガスを除去したクリーンな室内空気でも良い。
【0029】
図6(a)は、管が取り外されている状態を示す管着脱部20の正面断面図である。
図6(b)は、単管42が取り付けられている状態を示す管着脱部20の正面断面図である。
図6(c)は、捕集管43が取り付けられている状態を示す管着脱部20の正面断面図である。
【0030】
図6に示すように、管着脱部20は、筐体11(
図1参照。)に対して位置が固定されていて穴21aが形成されている固定板21と、穴21aに挿入されていて不活性で他の物質を吸着しない不活性非吸着チューブ22と、不活性非吸着チューブ22に固定されていて気体の漏れを防ぐパッキン23と、不活性非吸着チューブ22を中央に通して固定板21およびパッキン23の間に配置されているコイルバネ24と、筐体11に対して位置が固定されていて穴25aが形成されている固定板25と、穴25aに挿入されていて不活性で他の物質を吸着しない不活性非吸着チューブ26と、不活性非吸着チューブ26に固定されていて気体の漏れを防ぐパッキン27と、不活性非吸着チューブ26を中央に通して固定板25およびパッキン27の間に配置されているコイルバネ28とを備えている。
【0031】
不活性非吸着チューブ22は、注入口11a(
図5参照。)および逆止弁14(
図5参照。)と、八方弁30(
図5参照。)との一方に連通している。不活性非吸着チューブ26は、注入口11aおよび逆止弁14と、八方弁30との他方に連通している。
【0032】
単管42は、不活性で他の物質を吸着しない管である。捕集管43は、サンプルガスの特定の成分を吸着する吸着材43aを内蔵していて、吸着材43aによる成分の吸着によって捕集を実行する管である。
【0033】
図7は、
図6に示す例とは異なる例での管着脱部20の正面断面図である。
【0034】
図7に示すように、管着脱部20は、パッキン23が固定板21に対して固定されていても良い。
【0035】
図8は、管着脱部20に単管42が取り付けられている場合に一時貯蔵部16に貯蔵されていた気体の成分をセンサー19によって検出するときのガスクロマトグラフ10の構成図である。
【0036】
八方弁30は、管着脱部20に接続される接続口31aと、吸引ポンプ15に接続される接続口31bと、一時貯蔵部16の一端に接続される接続口31cと、カラム17の一端に接続される接続口31dと、センサー19に接続される接続口31eと、カラム17の他端に接続される接続口31fと、第2の加圧ポンプ18に接続される接続口31gと、一時貯蔵部16の他端に接続される接続口31hとが形成されている弁箱31を備えている。
【0037】
八方弁30は、流路32a~32dが形成された弁体を弁箱31に対して回転可能に備えている。
【0038】
八方弁30は、流路32aによって接続口31aおよび接続口31hが接続され、流路32bによって接続口31bおよび接続口31cが接続され、流路32cによって接続口31dおよび接続口31eが接続され、流路32dによって接続口31fおよび接続口31gが接続される第1の状態(
図5参照。)と、流路32aによって接続口31aおよび接続口31bが接続され、流路32bによって接続口31cおよび接続口31dが接続され、流路32cによって接続口31eおよび接続口31fが接続され、流路32dによって接続口31gおよび接続口31hが接続される第2の状態(
図8参照。)とを切り替え可能である。
【0039】
図9は、ガスクロマトグラフ10のブロック図である。
【0040】
図9に示すように、ガスクロマトグラフ10は、脱着ヒーター12、第1の加圧ポンプ13、吸引ポンプ15、第2の加圧ポンプ18およびセンサー19と、八方弁30の状態を切り替える弁駆動部91と、種々の操作が入力されるボタンなどの入力デバイスである操作部92と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部93と、種々の情報を音または音声によって出力する音出力デバイスであるスピーカー94と、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワーク経由で、または、ネットワークを介さずに有線または無線によって直接に、外部の装置と通信を行う通信デバイスである通信部95と、各種の情報を記憶する半導体メモリー、HDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶デバイスである記憶部96と、ガスクロマトグラフ10全体を制御する制御部97とを備えている。
【0041】
制御部97は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているROM(Read Only Memory)と、CPUの作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)とを備えている。CPUは、ROMまたは記憶部96に記憶されているプログラムを実行する。
【0042】
次に、ガスクロマトグラフ10の動作について説明する。
【0043】
図10は、ガスクロマトグラフ10の動作のフローチャートである。
【0044】
図10に示すように、制御部97は、測定方式の選択画面を表示部93に表示する(S101)。ここで、測定方式には、サンプルガスとしてのガスクロマトグラフ10の近傍の外気を濃縮せずに測定する外気非濃縮測定と、サンプルバッグ41の内部のサンプルガスを濃縮せずに測定する容器非濃縮測定と、サンプルガスとしてのガスクロマトグラフ10の近傍の外気を濃縮して測定する外気濃縮測定と、サンプルバッグ41の内部のサンプルガスを濃縮して測定する容器濃縮測定と、ガスクロマトグラフ10の外部で捕集管43に捕集されたサンプルガスを測定する外部捕集測定とが存在する。
【0045】
制御部97は、S101の処理の後、操作部92を介して測定方式が選択されたと判断するまで、操作部92を介して測定方式が選択されたか否かを判断する(S102)。
【0046】
制御部97は、測定方式が選択されたとS102において判断すると、選択された測定方式を判断する(S103)。
【0047】
制御部97は、外気非濃縮測定が選択されたとS103において判断すると、外気非濃縮測定処理を実行する(S104)。
【0048】
制御部97は、容器非濃縮測定が選択されたとS103において判断すると、容器非濃縮測定処理を実行する(S105)。
【0049】
制御部97は、外気濃縮測定が選択されたとS103において判断すると、外気濃縮測定処理を実行する(S106)。
【0050】
制御部97は、容器濃縮測定が選択されたとS103において判断すると、容器濃縮測定処理を実行する(S107)。
【0051】
制御部97は、外部捕集測定が選択されたとS103において判断すると、外部捕集測定処理を実行する(S108)。
【0052】
制御部97は、S104~S108の処理の後、
図10に示す動作を終了する。
【0053】
図11は、外気非濃縮測定処理のフローチャートである。
【0054】
図11に示すように、制御部97は、測定の開始が操作部92を介して指示されたと判断するまで、測定の開始が操作部92を介して指示されたか否かを判断する(S121)。したがって、作業者は、外気非濃縮測定の準備が終了した後、操作部92を介して測定の開始を指示することができる。ここで、外気非濃縮測定の準備とは、注入口11aに何もセットせず、管着脱部20に単管42を取り付けることである。
【0055】
制御部97は、測定の開始が指示されたとS121において判断すると、
図5に示すように、脱着ヒーター12および第1の加圧ポンプ13をOFFの状態にし、吸引ポンプ15および第2の加圧ポンプ18をONの状態にし、弁駆動部91によって八方弁30を第1の状態にする(S122)。
【0056】
ガスクロマトグラフ10が
図5に示す状態である場合、ガスクロマトグラフ10の近傍の外気は、注入口11aから注入され、管着脱部20に装着された単管42、八方弁30の流路32a、一時貯蔵部16および八方弁30の流路32bを順に通って、吸引ポンプ15によってガスクロマトグラフ10の外部に排出される。
【0057】
ガスクロマトグラフ10が
図5に示す状態である場合、キャリアーガスは、第2の加圧ポンプ18によって吐出されて、八方弁30の流路32d、カラム17、八方弁30の流路32cおよびセンサー19を順に通って、ガスクロマトグラフ10の外部に排出される。このように、センサー19にキャリアーガスのみを送る理由は、センサー19における無検出状態を安定化させるためである。
【0058】
制御部97は、S122の処理の後、S122の処理を実行してから特定の時間が経過したと判断するまで、S122の処理を実行してから特定の時間が経過したか否かを判断する(S123)。ここで、特定の時間は、一定量のサンプルガスが一時貯蔵部16に入るまでの時間であり、一時貯蔵部16の容積と、吸引ポンプ15による吸引による流量とに基づいて決定される一定の時間である。
【0059】
制御部97は、S122の処理を実行してから特定の時間が経過したとS123において判断すると、
図8に示すように、脱着ヒーター12をOFFの状態にし、第1の加圧ポンプ13、吸引ポンプ15および第2の加圧ポンプ18をONの状態にし、弁駆動部91によって八方弁30を第2の状態にする(S124)。
【0060】
ガスクロマトグラフ10が
図8に示す状態である場合、キャリアーガスは、第1の加圧ポンプ13によって吐出されて、注入口11aからガスクロマトグラフ10の外部に排出されるとともに、管着脱部20に装着された単管42および八方弁30の流路32aを順に通って、吸引ポンプ15によってガスクロマトグラフ10の外部に排出される。したがって、流路は、キャリアーガスによってクリーニングされる。例えば、注入口11aは、キャリアーガスによってクリーニングされる。
【0061】
ガスクロマトグラフ10が
図8に示す状態である場合、キャリアーガスは、第2の加圧ポンプ18によって吐出されて、八方弁30の流路32d、一時貯蔵部16、八方弁30の流路32b、カラム17、八方弁30の流路32cおよびセンサー19を順に通って、ガスクロマトグラフ10の外部に排出される。したがって、一時貯蔵部16に貯蔵されていたサンプルガスは、キャリアーガスとともにセンサー19に送られて、センサー19によって検出される。
【0062】
制御部97は、S124の処理の後、S124の処理を実行してから特定の時間が経過したと判断するまで、S124の処理を実行してから特定の時間が経過したか否かを判断する(S125)。
【0063】
制御部97は、S124の処理を実行してから特定の時間が経過したとS125において判断すると、センサー19による検出結果をガスクロマトグラフ10の外部のコンピューターに送信して(S126)、
図11に示す外気非濃縮測定処理を終了する。したがって、外部のコンピューターは、サンプルガスの分析結果を表示することができる。
【0064】
ここで、サンプルバッグ41の内部にサンプルガスを収集する作業について説明する。
【0065】
図12は、サンプルガスの収集中のサンプルバッグ41およびポンプ44の上面図である。
【0066】
図12に示すように、ポンプ44は、ポンプ44の近傍の外気をポンプ44の内部に取り込むための吸気口44aと、ポンプ44の内部に取り込まれた気体をポンプ44の外部に排出するための排気口44bとを備えている。作業者は、ポンプ44の排気口44bにサンプルバッグ41の接続部41aを接続して、サンプルバッグ41のコック41bを開いた状態で、ポンプ44を駆動することによって、ポンプ44の近傍の外気をサンプルバッグ41の内部にサンプルガスとして収集することができる。そして、作業者は、サンプルバッグ41のコック41bを閉じることによって、サンプルバッグ41の内部のサンプルガスがサンプルバッグ41の外部に漏れ出すことを防止することができる。
【0067】
図13は、容器非濃縮測定処理のフローチャートである。
【0068】
図13に示すように、制御部97は、測定の開始が操作部92を介して指示されたと判断するまで、測定の開始が指示されたか否かを判断する(S141)。したがって、作業者は、容器非濃縮測定の準備が終了した後、操作部92を介して測定の開始を指示することができる。ここで、容器非濃縮測定の準備とは、本実施の形態において、管着脱部20に単管42を取り付けた後、注入口11aにサンプルバッグ41の接続部41aを挿入してコック41bを開くことである。
【0069】
制御部97は、測定の開始が指示されたとS141において判断すると、
図14に示すように、脱着ヒーター12および第1の加圧ポンプ13をOFFの状態にし、吸引ポンプ15および第2の加圧ポンプ18をONの状態にし、弁駆動部91によって八方弁30を第1の状態にする(S142)。
【0070】
ガスクロマトグラフ10が
図14に示す状態である場合、サンプルバッグ41の内部のサンプルガスは、注入口11aから注入され、管着脱部20に装着された単管42、八方弁30の流路32a、一時貯蔵部16および八方弁30の流路32bを順に通って、吸引ポンプ15によってガスクロマトグラフ10の外部に排出される。
【0071】
ガスクロマトグラフ10が
図14に示す状態である場合、キャリアーガスは、第2の加圧ポンプ18によって吐出されて、八方弁30の流路32d、カラム17、八方弁30の流路32cおよびセンサー19を順に通って、ガスクロマトグラフ10の外部に排出される。このように、センサー19にキャリアーガスのみを送る理由は、センサー19における無検出状態を安定化させるためである。
【0072】
制御部97は、S142の処理の後、S142の処理を実行してから特定の時間が経過したと判断するまで、S142の処理を実行してから特定の時間が経過したか否かを判断する(S143)。ここで、特定の時間は、一定量のサンプルガスが一時貯蔵部16に入るまでの時間であり、一時貯蔵部16の容積と、吸引ポンプ15による吸引による流量とに基づいて決定される一定の時間である。
【0073】
制御部97は、S142の処理を実行してから特定の時間が経過したとS143において判断すると、
図15に示すように、脱着ヒーター12、第1の加圧ポンプ13および吸引ポンプ15をOFFの状態にし、第2の加圧ポンプ18をONの状態にし、弁駆動部91によって八方弁30を第1の状態にする(S144)。
【0074】
ガスクロマトグラフ10が
図15に示す状態である場合、キャリアーガスは、第2の加圧ポンプ18によって吐出されて、八方弁30の流路32d、一時貯蔵部16、八方弁30の流路32b、カラム17、八方弁30の流路32cおよびセンサー19を順に通って、ガスクロマトグラフ10の外部に排出される。このように、センサー19にキャリアーガスのみを送る理由は、センサー19における無検出状態を安定化させるためである。
【0075】
制御部97は、S144の処理の後、測定の処理の続行が操作部92を介して指示されたと判断するまで、測定の処理の続行が指示されたか否かを判断する(S145)。したがって、作業者は、測定の処理の続行の準備が終了した後、操作部92を介して測定の処理の続行を指示することができる。ここで、測定の処理の続行の準備とは、サンプルバッグ41のコック41bを閉じてサンプルバッグ41の接続部41aを注入口11aから抜き出すことである。
【0076】
制御部97は、測定の処理の続行が操作部92を介して指示されたとS145において判断すると、S124~S126(
図11参照。)の処理と同様に、S146~S148の処理を実行して、
図13に示す容器非濃縮測定処理を終了する。
【0077】
図16は、外気濃縮測定処理のフローチャートである。
【0078】
図16に示すように、制御部97は、測定の開始が操作部92を介して指示されたと判断するまで、測定の開始が操作部92を介して指示されたか否かを判断する(S161)。したがって、作業者は、外気濃縮測定の準備が終了した後、操作部92を介して測定の開始を指示することができる。ここで、外気濃縮測定の準備とは、注入口11aに何もセットせず、管着脱部20に捕集管43を取り付けることである。
【0079】
制御部97は、測定の開始が指示されたとS161において判断すると、
図17に示すように、脱着ヒーター12および第1の加圧ポンプ13をOFFの状態にし、吸引ポンプ15および第2の加圧ポンプ18をONの状態にし、弁駆動部91によって八方弁30を第2の状態にする(S162)。
【0080】
ガスクロマトグラフ10が
図17に示す状態である場合、ガスクロマトグラフ10の近傍の外気は、注入口11aから注入され、管着脱部20に装着された捕集管43および八方弁30の流路32aを順に通って、吸引ポンプ15によってガスクロマトグラフ10の外部に排出される。したがって、ガスクロマトグラフ10の近傍の外気は、捕集管43の吸着材43aにサンプルガスとして濃縮されて吸着される。
【0081】
ガスクロマトグラフ10が
図17に示す状態である場合、キャリアーガスは、第2の加圧ポンプ18によって吐出されて、八方弁30の流路32d、一時貯蔵部16、八方弁30の流路32b、カラム17、八方弁30の流路32cおよびセンサー19を順に通って、ガスクロマトグラフ10の外部に排出される。このように、センサー19にキャリアーガスのみを送る理由は、センサー19における無検出状態を安定化させるためである。
【0082】
制御部97は、S162の処理の後、S162の処理を実行してから特定の時間が経過したと判断するまで、S162の処理を実行してから特定の時間が経過したか否かを判断する(S163)。ここで、S163における「特定の時間」は、作業者が希望する、捕集管43による濃縮の程度に応じて、操作部92を介して事前に設定可能である。
【0083】
制御部97は、S162の処理を実行してから特定の時間が経過したとS163において判断すると、
図18に示すように、第1の加圧ポンプ13および吸引ポンプ15をOFFの状態にし、脱着ヒーター12および第2の加圧ポンプ18をONの状態にし、弁駆動部91によって八方弁30を第2の状態にする(S164)。
【0084】
ガスクロマトグラフ10が
図18に示す状態である場合、捕集管43によって吸着されていたサンプルガスは、捕集管43が脱着ヒーター12によって加熱されることによって吸着材43aから脱着されて、吸着材43aの近傍に高濃度の状態で発生する。
【0085】
ガスクロマトグラフ10が
図18に示す状態である場合、キャリアーガスは、第2の加圧ポンプ18によって吐出されて、八方弁30の流路32d、一時貯蔵部16、八方弁30の流路32b、カラム17、八方弁30の流路32cおよびセンサー19を順に通って、ガスクロマトグラフ10の外部に排出される。このように、センサー19にキャリアーガスのみを送る理由は、センサー19における無検出状態を安定化させるためである。
【0086】
制御部97は、S164の処理の後、S164の処理を実行してから特定の時間が経過したと判断するまで、S164の処理を実行してから特定の時間が経過したか否かを判断する(S165)。ここで、S165における「特定の時間」は、捕集管43の吸着材43aに適した加熱脱着時間に基づいて、操作部92を介して事前に設定可能である。
【0087】
制御部97は、S164の処理を実行してから特定の時間が経過したとS165において判断すると、
図19に示すように、脱着ヒーター12、第1の加圧ポンプ13、吸引ポンプ15および第2の加圧ポンプ18をONの状態にし、弁駆動部91によって八方弁30を第1の状態にする(S166)。
【0088】
ガスクロマトグラフ10が
図19に示す状態である場合、キャリアーガスは、第1の加圧ポンプ13によって吐出されて、注入口11aからガスクロマトグラフ10の外部に排出されるとともに、管着脱部20に装着された捕集管43、八方弁30の流路32a、一時貯蔵部16および八方弁30の流路32bを順に通って、吸引ポンプ15によってガスクロマトグラフ10の外部に排出される。したがって、捕集管43の吸着材43aの近傍で高濃度に濃縮されていたサンプルガスは、キャリアーガスとともに一時貯蔵部16に送られて、一時貯蔵部16に貯蔵される。また、注入口11aは、キャリアーガスによってクリーニングされる。
【0089】
ガスクロマトグラフ10が
図19に示す状態である場合、キャリアーガスは、第2の加圧ポンプ18によって吐出されて、八方弁30の流路32d、カラム17、八方弁30の流路32cおよびセンサー19を順に通って、ガスクロマトグラフ10の外部に排出される。このように、センサー19にキャリアーガスのみを送る理由は、センサー19における無検出状態を安定化させるためである。
【0090】
制御部97は、S166の処理の後、S166の処理を実行してから特定の時間が経過したと判断するまで、S166の処理を実行してから特定の時間が経過したか否かを判断する(S167)。ここで、特定の時間は、一定量のサンプルガスが一時貯蔵部16に入るまでの時間であり、一時貯蔵部16の容積と、吸引ポンプ15による吸引による流量とに基づいて決定される一定の時間である。
【0091】
制御部97は、S166の処理を実行してから特定の時間が経過したとS167において判断すると、
図20に示すように、脱着ヒーター12、第1の加圧ポンプ13、吸引ポンプ15および第2の加圧ポンプ18をONの状態にし、弁駆動部91によって八方弁30を第2の状態にする(S168)。
【0092】
ガスクロマトグラフ10が
図20に示す状態である場合、キャリアーガスは、第1の加圧ポンプ13によって吐出されて、注入口11aからガスクロマトグラフ10の外部に排出されるとともに、管着脱部20に装着された捕集管43および八方弁30の流路32aを順に通って、吸引ポンプ15によってガスクロマトグラフ10の外部に排出される。したがって、流路は、キャリアーガスによってクリーニングされる。例えば、注入口11aや捕集管43は、キャリアーガスによってクリーニングされる。
【0093】
ガスクロマトグラフ10が
図20に示す状態である場合、キャリアーガスは、第2の加圧ポンプ18によって吐出されて、八方弁30の流路32d、一時貯蔵部16、八方弁30の流路32b、カラム17、八方弁30の流路32cおよびセンサー19を順に通って、ガスクロマトグラフ10の外部に排出される。したがって、一時貯蔵部16に貯蔵されていたサンプルガスは、キャリアーガスとともにセンサー19に送られて、センサー19によって検出される。
【0094】
制御部97は、S168の処理の後、S168の処理を実行してから特定の時間が経過したと判断するまで、S168の処理を実行してから特定の時間が経過したか否かを判断する(S169)。
【0095】
制御部97は、S168の処理を実行してから特定の時間が経過したとS169において判断すると、センサー19による検出結果をガスクロマトグラフ10の外部のコンピューターに送信して(S170)、
図16に示す外気濃縮測定処理を終了する。したがって、外部のコンピューターは、サンプルガスの分析結果を表示することができる。
【0096】
図21は、容器濃縮測定処理のフローチャートである。
【0097】
図21に示すように、制御部97は、測定の開始が操作部92を介して指示されたと判断するまで、測定の開始が操作部92を介して指示されたか否かを判断する(S181)。したがって、作業者は、容器濃縮測定の準備が終了した後、操作部92を介して測定の開始を指示することができる。ここで、容器濃縮測定の準備とは、本実施の形態において、管着脱部20に捕集管43を取り付けた後、注入口11aにサンプルバッグ41の接続部41aを挿入してコック41bを開くことである。
【0098】
制御部97は、測定の開始が指示されたとS181において判断すると、
図22に示すように、脱着ヒーター12および第1の加圧ポンプ13をOFFの状態にし、吸引ポンプ15および第2の加圧ポンプ18をONの状態にし、弁駆動部91によって八方弁30を第2の状態にする(S182)。
【0099】
ガスクロマトグラフ10が
図22に示す状態である場合、サンプルバッグ41の内部のサンプルガスは、注入口11aから注入され、管着脱部20に装着された捕集管43および八方弁30の流路32aを順に通って、吸引ポンプ15によってガスクロマトグラフ10の外部に排出される。したがって、サンプルバッグ41の内部のサンプルガスは、捕集管43の吸着材43aに濃縮されて吸着される。
【0100】
ガスクロマトグラフ10が
図22に示す状態である場合、キャリアーガスは、第2の加圧ポンプ18によって吐出されて、八方弁30の流路32d、一時貯蔵部16、八方弁30の流路32b、カラム17、八方弁30の流路32cおよびセンサー19を順に通って、ガスクロマトグラフ10の外部に排出される。このように、センサー19にキャリアーガスのみを送る理由は、センサー19における無検出状態を安定化させるためである。
【0101】
制御部97は、S182の処理の後、S182の処理を実行してから特定の時間が経過したと判断するまで、S182の処理を実行してから特定の時間が経過したか否かを判断する(S183)。ここで、S183における「特定の時間」は、作業者が希望する、捕集管43による濃縮の程度に応じて、操作部92を介して事前に設定可能である。
【0102】
制御部97は、S182の処理を実行してから特定の時間が経過したとS183において判断すると、
図23に示すように、脱着ヒーター12、第1の加圧ポンプ13および吸引ポンプ15をOFFの状態にし、第2の加圧ポンプ18をONの状態にし、弁駆動部91によって八方弁30を第2の状態にする(S184)。
【0103】
ガスクロマトグラフ10が
図23に示す状態である場合、キャリアーガスは、第2の加圧ポンプ18によって吐出されて、八方弁30の流路32d、一時貯蔵部16、八方弁30の流路32b、カラム17、八方弁30の流路32cおよびセンサー19を順に通って、ガスクロマトグラフ10の外部に排出される。このように、センサー19にキャリアーガスのみを送る理由は、センサー19における無検出状態を安定化させるためである。
【0104】
制御部97は、S184の処理の後、測定の処理の続行が操作部92を介して指示されたと判断するまで、測定の処理の続行が指示されたか否かを判断する(S185)。したがって、作業者は、測定の処理の続行の準備が終了した後、操作部92を介して測定の処理の続行を指示することができる。ここで、測定の処理の続行の準備とは、サンプルバッグ41のコック41bを閉じてサンプルバッグ41の接続部41aを注入口11aから抜き出すことである。
【0105】
制御部97は、測定の処理の続行が操作部92を介して指示されたとS185において判断すると、S164~S170(
図16参照。)の処理と同様に、S186~S192の処理を実行して、
図21に示す容器濃縮測定処理を終了する。
【0106】
ここで、捕集管43の内部にサンプルガスを収集する作業について説明する。
【0107】
図24は、サンプルガスの収集中の捕集管43およびポンプ44の上面図である。
【0108】
図24に示すように、作業者は、ポンプ44の吸気口44aに捕集管43を接続して、ポンプ44を駆動することによって、ポンプ44の近傍の外気を捕集管43の内部にサンプルガスとして収集することができる。すなわち、ポンプ44の近傍の外気は、捕集管43の吸着材43aにサンプルガスとして濃縮されて吸着される。なお、
図24において、捕集管43は、断面が示されている。
【0109】
図25は、サンプルガスの収集後の捕集管43の断面図である。
【0110】
作業者は、ポンプ44による捕集管43へのサンプルガスの収集が終了すると、
図25に示すように、捕集管43の両端にキャップ43bを取り付けることによって、捕集管43の内部のサンプルガスが捕集管43の外部に漏れ出すことを防止することができる。
【0111】
図26は、外部捕集測定処理のフローチャートである。
【0112】
図26に示すように、制御部97は、測定の開始が操作部92を介して指示されたと判断するまで、測定の開始が操作部92を介して指示されたか否かを判断する(S201)。したがって、作業者は、外部捕集測定の準備が終了した後、操作部92を介して測定の開始を指示することができる。ここで、外部捕集測定の準備とは、注入口11aに何もセットせず、
図25に示す捕集管43のキャップ43bを外して、この捕集管43を管着脱部20に取り付けることである。
【0113】
制御部97は、測定の開始が指示されたとS201において判断すると、S164~S170(
図16参照。)の処理と同様なS202~S208の処理を実行して、
図26に示す外部捕集測定処理を終了する。
【0114】
以上に説明したように、ガスクロマトグラフ10は、濃縮測定処理および非濃縮測定処理のうち、対象のサンプルの測定に適した方に切り替え可能であるので、測定方法の適切性を向上することができる。
【0115】
ガスクロマトグラフ10は、外気濃縮測定、容器濃縮測定および外部捕集測定などの濃縮測定処理において、一旦、捕集管43によってサンプルガスを濃縮するので、非常に低濃度のサンプルガスであっても成分を検出することができる。
【0116】
ガスクロマトグラフ10は、捕集管43による吸着され易さにサンプルガスの成分によって差があるので、濃縮測定処理において、サンプルガスの成分のうち、捕集管43による吸着され易い特定の成分に対する測定を適切に実行することができる。
【0117】
ガスクロマトグラフ10は、外気非濃縮測定および容器非濃縮測定などの非濃縮測定処理において、単管42によって特定の成分が吸着されることがないので、サンプルガスの全成分に対する測定を適切に実行することができる。
【0118】
ガスクロマトグラフ10は、サンプルバッグ41から注入口11a経由でサンプルガスが注入される容器濃縮測定処理および容器非濃縮測定処理のそれぞれに切り替え可能であるので、ガスクロマトグラフ10から離れた場所で採取したサンプルガスの成分を検出することができ、利便性を向上することができる。
【0119】
ガスクロマトグラフ10は、ガスクロマトグラフ10の近傍の外気をサンプルガスとして注入口11a経由で直接注入される外気濃縮測定処理および外気非濃縮測定処理のそれぞれに切り替え可能であるので、利便性を向上することができる。
【0120】
ガスクロマトグラフ10は、ガスクロマトグラフ10から離れた場所でサンプルガスが捕集管43によって採取されるので、サンプルガスの運搬を効率化することができ、利便性を向上することができる。
【0121】
図27は、
図5に示す構成とは異なる構成でのガスクロマトグラフ10の構成図である。
【0122】
逆止弁は、一般的に、電磁弁より内部構造が単純であるので、ガスクロマトグラフ10に使用された場合に内部にサンプルガスが残留し難い。
図5に示すガスクロマトグラフ10は、逆止弁14を備えているので、
図27に示すように電磁弁61および電磁弁62を備えている構成と比較して、流路にサンプルガスが残留し難く、高精度の測定結果を得ることができる。
【0123】
なお、ガスクロマトグラフ10は、逆止弁14に代えて、
図27に示すように、第1の加圧ポンプ13および管着脱部20の間の流路上に配置された電磁弁61と、注入口11aおよび管着脱部20の間の流路上に配置された電磁弁62とを備えても良い。制御部97は、第1の加圧ポンプ13がONの状態である場合に電磁弁61を開き、第1の加圧ポンプ13がOFFの状態である場合に電磁弁61を閉じる。また、制御部97は、第1の加圧ポンプ13がOFFの状態であって、吸引ポンプ15がONの状態である場合に電磁弁62を開く。制御部97は、第1の加圧ポンプ13および吸引ポンプ15がOFFの状態である場合や、第1の加圧ポンプ13がONの状態であって、吸引ポンプ15がONの状態である場合に、電磁弁62を開いても良いし、閉じても良い。ガスクロマトグラフ10は、第1の加圧ポンプ13がONの状態であって、吸引ポンプ15がONの状態である場合に、電磁弁62が閉じるとき、電磁弁62が開く構成と比較して、第1の加圧ポンプ13の流量が小さくても良い。
【0124】
なお、ガスクロマトグラフ10は、
図27において電磁弁62を備えているが、電磁弁62を備えなくても良い。
【0125】
(第2の実施の形態)
まず、本実施の形態に係るガスクロマトグラフの構成について説明する。
【0126】
なお、本実施の形態に係るガスクロマトグラフの構成のうち、第1の実施の形態に係るガスクロマトグラフ10(
図5参照。)の構成と同様の構成については、ガスクロマトグラフ10の構成と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0127】
図28は、本実施の形態に係るガスクロマトグラフ310の構成図である。
【0128】
図28に示すように、ガスクロマトグラフ310の構成は、筐体11へのサンプルバッグ41の取り付けの有無を検出する取付有無センサー311をガスクロマトグラフ10が備えた構成と同様である。
【0129】
取付有無センサー311は、注入口11aに設けられており、サンプルバッグ41の接続部41aが注入口11a内に存在するか否かを検出するものである。取付有無センサー311における検出方法としては、接触式または非接触式の、公知の任意の検出方法が採用されることが可能である。例えば、取付有無センサー311は、フォトセンサーである。
【0130】
次に、ガスクロマトグラフ310の動作について説明する。
【0131】
なお、ガスクロマトグラフ310の動作のうち、以下に説明する動作以外の動作については、第1の実施の形態に係るガスクロマトグラフ10の動作と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0132】
図29は、ガスクロマトグラフ310の容器非濃縮測定処理のフローチャートである。
【0133】
図29に示すように、制御部97は、S141(
図13参照。)の処理と同様なS441の処理を実行する。
【0134】
制御部97は、測定の開始が指示されたとS441において判断すると、筐体11にサンプルバッグ41が取り付けられていることが取付有無センサー311によって検出されているか否かを判断する(S442)。
【0135】
制御部97は、筐体11にサンプルバッグ41が取り付けられていることが取付有無センサー311によって検出されていないとS442において判断すると、筐体11へのサンプルバッグ41の取り付けを作業者に指示する内容の通知など、特定の通知を実行する(S443)。ここで、通知の方法としては、例えば、表示部93による表示と、スピーカー94による音および音声の少なくとも1つの出力との少なくとも1つが採用される。
【0136】
制御部97は、S443の処理の後、再びS441の処理を実行する。したがって、作業者は、再び容器非濃縮測定の準備が終了した後、操作部92を介して測定の開始を指示することができる。
【0137】
制御部97は、筐体11にサンプルバッグ41が取り付けられていることが取付有無センサー311によって検出されているとS442において判断すると、S142~S145(
図13参照。)の処理と同様のS444~S447の処理を実行する。
【0138】
制御部97は、測定の処理の続行が操作部92を介して指示されたとS447において判断すると、筐体11にサンプルバッグ41が取り付けられていないことが取付有無センサー311によって検出されているか否かを判断する(S448)。
【0139】
制御部97は、筐体11にサンプルバッグ41が取り付けられていないことが取付有無センサー311によって検出されていないとS448において判断すると、筐体11からのサンプルバッグ41の取り外しを作業者に指示する内容の通知など、特定の通知を実行する(S449)。ここで、通知の方法としては、例えば、表示部93による表示と、スピーカー94による音および音声の少なくとも1つの出力との少なくとも1つが採用される。
【0140】
制御部97は、S449の処理の後、再びS447の処理を実行する。したがって、作業者は、再び測定の処理の続行の準備が終了した後、操作部92を介して測定の処理の続行を指示することができる。
【0141】
制御部97は、筐体11にサンプルバッグ41が取り付けられていないことが取付有無センサー311によって検出されているとS448において判断すると、S146~S148(
図13参照。)の処理と同様のS450~S452の処理を実行して、
図29に示す容器非濃縮測定処理を終了する。
【0142】
図30は、ガスクロマトグラフ310の容器濃縮測定処理のフローチャートである。
【0143】
図30に示すように、制御部97は、S181(
図21参照。)の処理と同様なS481の処理を実行する。
【0144】
制御部97は、測定の開始が指示されたとS481において判断すると、S442~S443(
図29参照。)の処理と同様のS482~S483の処理を実行する。
【0145】
制御部97は、S483の処理の後、再びS481の処理を実行する。したがって、作業者は、再び容器濃縮測定の準備が終了した後、操作部92を介して測定の開始を指示することができる。
【0146】
制御部97は、筐体11にサンプルバッグ41が取り付けられていることが取付有無センサー311によって検出されているとS482において判断すると、S182~S185(
図21参照。)の処理と同様のS484~S487の処理を実行する。
【0147】
制御部97は、測定の処理の続行が操作部92を介して指示されたとS487において判断すると、S448~S449(
図29参照。)の処理と同様のS488~S489の処理を実行する
【0148】
制御部97は、S489の処理の後、再びS487の処理を実行する。したがって、作業者は、再び測定の処理の続行の準備が終了した後、操作部92を介して測定の処理の続行を指示することができる。
【0149】
制御部97は、筐体11にサンプルバッグ41が取り付けられていないことが取付有無センサー311によって検出されているとS488において判断すると、S186~S192(
図23参照。)の処理と同様のS490~S496の処理を実行して、
図30に示す容器濃縮測定処理を終了する。
【0150】
以上に説明したように、ガスクロマトグラフ310は、サンプルバッグ41が取り付けられているべきである場合(S441でYESまたはS481でYES)に、サンプルバッグ41が取り付けられていないとき(S442でNOまたはS482でNO)、特定の通知を実行する(S443またはS483)ので、サンプルバッグ41からサンプルガスが注入される測定方法、すなわち、容器非濃縮測定または容器濃縮測定において、サンプルバッグ41が取り付けられていない状態でサンプルガスの注入が実行されるという不具合など、人的ミスに起因する不具合の発生の可能性を抑えることができる。
【0151】
ガスクロマトグラフ310は、サンプルバッグ41が取り外されているべきである場合(S447でYESまたはS487でYES)に、サンプルバッグ41が取り付けられているとき(S448でNOまたはS488でNO)、特定の通知を実行する(S449またはS489)ので、容器非濃縮測定または容器濃縮測定において、流路のクリーニング時にサンプルバッグ41が取り付けられていることによってサンプルバッグ41内のサンプルガスがクリーニング用のキャリアーガスによって希釈されるという不具合や、サンプルバッグ41が取り付けられていることによって流路のクリーニングが正常に実行されないという不具合など、人的ミスに起因する不具合の発生の可能性を抑えることができる。
【0152】
ガスクロマトグラフ310は、本実施の形態において、サンプルバッグ41が取り付けられている場合(S448でNOまたはS488でNO)に特定の通知を実行し(S449またはS489)、サンプルバッグ41が取り付けられていない場合(S448でYESまたはS488でYES)のみに測定の処理を続行する(S450またはS490)。しかしながら、ガスクロマトグラフ310は、サンプルバッグ41が取り付けられている場合(S448でNOまたはS488でNO)であっても、特定の通知を実行した(S449またはS489)後に直ちに測定の処理を続行(S450またはS490)しても良い。なお、ガスクロマトグラフ310は、特定の通知を実行した(S449またはS489)後に直ちに測定の処理を続行する(S450またはS490)場合、筐体11にサンプルバッグ41が取り付けられていないことが取付有無センサー311によって検出されるか、容器非濃縮測定処理または容器濃縮測定処理が終了するまで、特定の通知を実行し続けても良い。また、ガスクロマトグラフ310は、特定の通知を実行した(S449またはS489)後に直ちに測定の処理を続行する(S450またはS490)場合、筐体11にサンプルバッグ41が取り付けられていないことが取付有無センサー311によって検出されない限り、S450またはS494において第1の加圧ポンプ13および吸引ポンプ15をOFFの状態にしても良い。
【0153】
(第3の実施の形態)
まず、本実施の形態に係るガスクロマトグラフの構成について説明する。
【0154】
なお、本実施の形態に係るガスクロマトグラフの構成のうち、第1の実施の形態に係るガスクロマトグラフ10(
図5参照。)の構成と同様の構成については、ガスクロマトグラフ10の構成と同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0155】
図31は、本実施の形態に係るガスクロマトグラフ510の注入口11aの近傍の部分の概略の断面図である。
【0156】
図31に示すように、ガスクロマトグラフ510は、サンプルバッグ41(
図3参照。)を駆動する容器駆動装置520を注入口11aの近傍に備えている。
【0157】
容器駆動装置520は、サンプルバッグ41のコック41b(
図3参照。)を開閉させるコック開閉装置521と、注入口11aに対してコック開閉装置521を移動させることによってサンプルバッグ41の接続部41a(
図3参照。)を注入口11aに対して抜き差しする容器着脱装置522と、コック開閉装置521および容器着脱装置522の一部を覆うカバー523とを備えている。
【0158】
コック開閉装置521は、コック41bが取り付けられるコック取付部521aと、軸520aを中心にコック取付部521aを回転させる図示してないモーターを備えた本体521bとを備えている。
【0159】
容器着脱装置522は、軸520aに直交する矢印520bで示す方向に延在していてコック開閉装置521が取り付けられる棒状部材522aと、矢印520bで示す方向における棒状部材522aの突出量を変更する図示していないモーターを備えた本体522bとを備えている。
【0160】
次に、ガスクロマトグラフ510の動作について説明する。
【0161】
なお、ガスクロマトグラフ510の動作のうち、以下に説明する動作以外の動作については、第1の実施の形態に係るガスクロマトグラフ10の動作と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0162】
図32は、ガスクロマトグラフ510の容器非濃縮測定処理のフローチャートである。
【0163】
図32に示すように、制御部97は、測定の開始が操作部92を介して指示されたと判断するまで、測定の開始が指示されたか否かを判断する(S641)。したがって、作業者は、容器非濃縮測定の準備が終了した後、操作部92を介して測定の開始を指示することができる。ここで、容器非濃縮測定の準備とは、本実施の形態において、管着脱部20に単管42を取り付けた後、
図33に示すように、コック41bが閉じた状態のサンプルバッグ41のコック41bをコック取付部521aに取り付けることである。
【0164】
制御部97は、測定の開始が指示されたとS641において判断すると、棒状部材522aに取り付けられているコック開閉装置521のコック取付部521aにコック41bが取り付けられているサンプルバッグ41の接続部41aが注入口11aに挿入される突出量(以下「挿入時突出量」という。)に、矢印520bで示す方向における棒状部材522aの突出量を容器着脱装置522によって変更する(S642)。棒状部材522aの突出量が挿入時突出量に変更されると、サンプルバッグ41の接続部41aは、
図34に示すように、注入口11aに挿入される。
【0165】
次いで、制御部97は、コック取付部521aに取り付けられているコック41bが開く角度(以下「コック開角度」という。)に、軸520aを中心にしたコック取付部521aの角度をコック開閉装置521によって変更する(S643)。コック取付部521aの角度がコック開角度に変更されると、コック41bは、開かれる。
【0166】
次いで、制御部97は、S142~S144(
図13参照。)の処理と同様のS644~S646の処理を実行する。
【0167】
制御部97は、S646の処理の後、コック取付部521aに取り付けられているコック41bが閉じる角度(以下「コック閉角度」という。)に、軸520aを中心にしたコック取付部521aの角度をコック開閉装置521によって変更する(S647)。コック取付部521aの角度がコック閉角度に変更されると、コック41bは、閉じられる。
【0168】
次いで、制御部97は、棒状部材522aに取り付けられているコック開閉装置521のコック取付部521aにコック41bが取り付けられているサンプルバッグ41の接続部41aが注入口11aから抜き出される突出量(以下「抜出時突出量」という。)に、矢印520bで示す方向における棒状部材522aの突出量を容器着脱装置522によって変更する(S648)。棒状部材522aの突出量が抜出時突出量に変更されると、サンプルバッグ41の接続部41aは、
図33に示すように、注入口11aから抜き出される。
【0169】
次いで、制御部97は、S146~S148(
図13参照。)の処理と同様のS649~S651の処理を実行して、
図32に示す容器非濃縮測定処理を終了する。
【0170】
図35は、ガスクロマトグラフ510の容器濃縮測定処理のフローチャートである。
【0171】
図35に示すように、制御部97は、測定の開始が操作部92を介して指示されたと判断するまで、測定の開始が操作部92を介して指示されたか否かを判断する(S681)。したがって、作業者は、容器濃縮測定の準備が終了した後、操作部92を介して測定の開始を指示することができる。ここで、容器濃縮測定の準備とは、本実施の形態において、管着脱部20に捕集管43を取り付けた後、
図33に示すように、コック41bが閉じた状態のサンプルバッグ41のコック41bをコック取付部521aに取り付けることである。
【0172】
制御部97は、測定の開始が指示されたとS681において判断すると、S642~S643(
図32参照。)の処理と同様のS682~S683の処理を実行する。
【0173】
次いで、制御部97は、S182~S184(
図23参照。)の処理と同様のS684~S686の処理を実行する。
【0174】
制御部97は、S686の処理の後、S647~S648(
図32参照。)の処理と同様のS687~S688の処理を実行する
【0175】
次いで、制御部97は、S186~S192(
図23参照。)の処理と同様のS689~S695の処理を実行して、
図35に示す容器濃縮測定処理を終了する。
【0176】
以上に説明したように、ガスクロマトグラフ510は、サンプルバッグ41のコック41bが開いているべきである場合(S641でYESまたはS681でYES)に、コック41bを自動で開ける(S643またはS683)ので、サンプルバッグ41からサンプルガスが注入される測定方法、すなわち、容器非濃縮測定または容器濃縮測定において、コック41bが閉じられている状態でサンプルガスの注入が実行されるという不具合など、人的ミスに起因する不具合の発生の可能性を抑えることができるとともに、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0177】
ガスクロマトグラフ510は、コック41bが閉じているべきである場合に、コック41bを自動で閉じる(S647またはS687)ので、容器非濃縮測定または容器濃縮測定において、流路のクリーニング時にサンプルバッグ41が取り付けられていることによってサンプルバッグ41内のサンプルガスがクリーニング用のキャリアーガスによって希釈されるという不具合など、人的ミスに起因する不具合の発生の可能性を抑えることができるとともに、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0178】
ガスクロマトグラフ510は、サンプルバッグ41が取り付けられているべきである場合(S641でYESまたはS681でYES)に、サンプルバッグ41を自動で取り付ける(S642またはS682)ので、容器非濃縮測定または容器濃縮測定において、サンプルバッグ41が取り付けられていない状態でサンプルガスの注入が実行されるという不具合など、人的ミスに起因する不具合の発生の可能性を抑えることができるとともに、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0179】
ガスクロマトグラフ510は、サンプルバッグ41が取り外されているべきである場合に、サンプルバッグ41を自動で取り外す(S648またはS688)ので、容器非濃縮測定または容器濃縮測定において、サンプルバッグ41が取り付けられていることによって流路のクリーニングが正常に実行されないという不具合など、人的ミスに起因する不具合の発生の可能性を抑えることができるとともに、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0180】
なお、ガスクロマトグラフ510は、第2の実施の形態における取付有無センサー311(
図28参照。)と同様の取付有無センサーを備えることによって、第2の実施の形態に係るガスクロマトグラフ310と同様に、サンプルバッグ41が取り付けられているべきである場合にサンプルバッグ41が取り付けられていないときや、サンプルバッグ41が取り外されているべきである場合にサンプルバッグ41が取り付けられているときに、特定の通知を実行しても良い。
【符号の説明】
【0181】
10 ガスクロマトグラフ
11a 注入口
12 脱着ヒーター
17 カラム
19 センサー
20 管着脱部
41 サンプルバッグ(容器)
42 単管
43 捕集管
97 制御部
310 ガスクロマトグラフ
510 ガスクロマトグラフ