(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】折畳式コンテナ
(51)【国際特許分類】
B65D 6/18 20060101AFI20220907BHJP
B65D 6/36 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
B65D6/18 Z
B65D6/36
(21)【出願番号】P 2018127423
(22)【出願日】2018-07-04
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】594126746
【氏名又は名称】西田製凾株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 昌彦
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-224377(JP,A)
【文献】特公平02-010017(JP,B2)
【文献】特開2004-299700(JP,A)
【文献】特開昭61-127436(JP,A)
【文献】登録実用新案第3008772(JP,U)
【文献】特開2013-147285(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 6/18
B65D 6/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面板(11)を有する底盤(1)と、底敷板(21)を挟んで前面板(22)及び後面板(23)が連なる基本部材(2)と、側面板(31)を有する一対の側壁部材(3)と、四角形枠をなす上部フレーム(5)とから構成される折畳式コンテナであって、
基本部材(2)には、前面板(22)及び後面板(23)に下端から上端へかけて下山折線(25a)、下谷折線(25b)、中山折線(25c)、上谷折線(25d)及び上山折線(25e)が入れられ、側壁部材(3)には、上部に上山折線(34)が入れられ、
底面板(11)の上面に底敷板(21)が重ね合わされて固着され、基本部材(2)が前面板(22)及び後面板(23)の上方部分で上部フレーム(5)に取り付けられ、一対の側壁部材(3)が側面板(31)の上方部分で上部フレーム(5)に取り付けられ、
前記側壁部材(3)の側面板(31)の両側には、L字型断面の補強部材(36)の取付片(36a)が取り付けられ、補強部材(36)の迫出片(36b)が取付片(36a)から直角に迫り出し、
組立状態では、前面板(22)及び後面板(23)が折れ曲がることなく直立し、一対の側面板(31)が上部フレーム(5)から垂下して、前面板(22)及び後面板(23)の内面間に挟まれ、
一対の側面板(31)の補強部材(36)の迫出片(36b)が、前面板(22)及び後面板(23)の内面に下谷折線(25b)の下方から上谷折線(25d)の上方へかけて沿い、
折畳状態では、一対の側面板(31)が上山折線(34)を軸として内側へ折り曲げられることにより跳ね上げられ、前面板(22)及び後面板(23)が下山折線(25a)、下谷折線(25b)、中山折線(25c)、上谷折線(25d)及び上山折線(25e)を軸として屏風状に内側へ折り曲げられることを特徴とする折畳式コンテナ。
【請求項2】
底面板(11)を有する底盤(1)と、底敷板(21)を挟んで前面板(22)及び後面板(23)が連なる基本部材(2)と、側面板(31)を有する一対の側壁部材(3)と、四角形枠をなす上部フレーム(5)とから構成される折畳式コンテナであって、
基本部材(2)には、前面板(22)及び後面板(23)に下端から上端へかけて下山折線(25a)、下谷折線(25b)、中山折線(25c)、上谷折線(25d)及び上山折線(25e)が入れられ、側壁部材(3)には、上部に上山折線(34)が入れられ、
底面板(11)の上面に底敷板(21)が重ね合わされて固着され、基本部材(2)が前面板(22)及び後面板(23)の上方部分で上部フレーム(5)に取り付けられ、一対の側壁部材(3)が側面板(31)の上方部分で上部フレーム(5)に取り付けられ、
前記側壁部材(3)の側面板(31)の両側には、高さ方向の中央部に可撓性の保持片(60)が張り出すように取り付けられ、保持片(60)の張出部分の内面と前面板(22)及び後面板(23)の外面の中山折線(25c)を挟んだ部分とに面ファスナ(61a)が設けられ、
組立状態では、前面板(22)及び後面板(23)が折れ曲がることなく直立し、一対の側面板(31)が上部フレーム(5)から垂下して、前面板(22)及び後面板(23)の内面間に挟まれ、
側面板(31)の両側から保持片(60)の張出部分が折り曲げられ、前面板(22)及び後面板(23)の外面の中山折線(25c)を挟んだ部分に面ファスナ(61a)で固定され、
折畳状態では、一対の側面板(31)が上山折線(34)を軸として内側へ折り曲げられることにより跳ね上げられ、前面板(22)及び後面板(23)が下山折線(25a)、下谷折線(25b)、中山折線(25c)、上谷折線(25d)及び上山折線(25e)を軸として屏風状に内側へ折り曲げられることを特徴とする折畳式コンテナ。
【請求項3】
底面板(11)を有する底盤(1)と、底敷板(21)を挟んで前面板(22)及び後面板(23)が連なる基本部材(2)と、側面板(31)を有する一対の側壁部材(3)と、四角形枠をなす上部フレーム(5)とから構成される折畳式コンテナであって、
基本部材(2)には、前面板(22)及び後面板(23)に下端から上端へかけて下山折線(25a)、下谷折線(25b)、中山折線(25c)、上谷折線(25d)及び上山折線(25e)が入れられ、側壁部材(3)には、上部に上山折線(34)が入れられ、
底面板(11)の上面に底敷板(21)が重ね合わされて固着され、基本部材(2)が前面板(22)及び後面板(23)の上方部分で上部フレーム(5)に取り付けられ、一対の側壁部材(3)が側面板(31)の上方部分で上部フレーム(5)に取り付けられ、
前記側壁部材(3)の側面板(31)の両側には、L字型断面の補強部材(36)の取付片(36a)が取り付けられ、補強部材(36)の迫出片(36b)が取付片(36a)から直角に迫り出すと共に、高さ方向の中央部に可撓性の保持片(60)が張り出すように取り付けられ、保持片(60)の張出部分の内面と前面板(22)及び後面板(23)の外面の中山折線(25c)を挟んだ部分とに面ファスナ(61a)が設けられ、
組立状態では、前面板(22)及び後面板(23)が折れ曲がることなく直立し、一対の側面板(31)が上部フレーム(5)から垂下して、前面板(22)及び後面板(23)の内面間に挟まれ、
一対の側面板(31)の補強部材(36)の迫出片(36b)が、前面板(22)及び後面板(23)の内面に下谷折線(25b)の下方から上谷折線(25d)の上方へかけて沿い、側面板(31)の両側から保持片(60)の張出部分が折り曲げられ、前面板(22)及び後面板(23)の外面の中山折線(25c)を挟んだ部分に面ファスナ(61a)で固定され、
折畳状態では、一対の側面板(31)が上山折線(34)を軸として内側へ折り曲げられることにより跳ね上げられ、前面板(22)及び後面板(23)が下山折線(25a)、下谷折線(25b)、中山折線(25c)、上谷折線(25d)及び上山折線(25e)を軸として屏風状に内側へ折り曲げられることを特徴とする折畳式コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、宅配物の受け取りや種々の物品の収納に使用され、不用時には嵩張らないように折り畳むことができる折畳式コンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
宅配物の受け取りに使用する折畳式コンテナとして、下記特許文献1には、
図11に示すようなものが記載されている。この折畳式コンテナは、底盤71、前面板72、後面板73、一対の側面板74及び蓋75から構成されている。
【0003】
そして、底盤71と後面板73、前面板72と一対の側面板74、後面板73と一対の側面板74及び後面板73と蓋75がそれぞれ回動自在に連結され、側面板74が幅方向の中央部で屈伸自在とされることにより、不用時には折り畳めるようになっている。
【0004】
上記のような折畳式コンテナを使用する際には、組立状態として、その内部に宅配物を収納した後、蓋75を閉じ、前面板72の上部の錠挿通穴72aと蓋75の前部の錠挿通穴75aとに錠91のシャックル91aを挿通して、宅配物の盗難を防止する。
【0005】
また、
図12に示すような折畳式コンテナも知られている。この折畳式コンテナは、底盤81、基本部材82、一対の側壁部材83及び上部フレーム84とから構成され、基本部材82の底敷板85から連なる前面板86及び後面板87には、下端から上端へかけて下山折線88a、中谷折線88b及び上山折線88cが入れられている。
【0006】
この折畳式コンテナの組立状態では、前面板86及び後面板87が折れ曲がることなく直立し、一対の側壁部材83の側面板89が上部フレーム84から垂下して、側面板89の両側が前面板86及び後面板87の内面に沿うようになっている。なお、段積み時に最上段となるものを除いて、蓋を設ける必要がないことから、天面は開放されている。
【0007】
また、折畳状態では、一対の側面板89が内側へ跳ね上げられ、前面板86及び後面板87が下山折線88a、中谷折線88b及び上山折線88cを軸として内側へ重なり合うように折り曲げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、
図11に示す折畳式コンテナでは、高さ寸法を大きく設定すると、折畳状態での寸法がそれだけ大きくなってしまうという問題がある。
【0010】
また、
図12に示す折畳式コンテナでは、折り畳んだ際、前面板86と後面板87が組立状態での高さ寸法Hの半分となって中谷折線88bの部分で突き合わされるため、高さ寸法Hを前面板86と後面板87の間隔である幅寸法Wよりも大きく設定することができないという問題がある。
【0011】
そこで、この発明は、高さ方向の寸法が大きくても、コンパクトに折り畳むことができる折畳式コンテナを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記のような課題を解決するため、この発明に係る折畳式コンテナは、底面板を有する底盤と、底敷板を挟んで前面板及び後面板が連なる基本部材と、側面板を有する一対の側壁部材と、四角形枠をなす上部フレームとから構成され、
基本部材には、前面板及び後面板に下端から上端へかけて下山折線、下谷折線、中山折線、上谷折線及び上山折線が入れられ、側壁部材には、上部に上山折線が入れられ、
底面板の上面に底敷板が重ね合わされて固着され、基本部材が前面板及び後面板の上方部分で上部フレームに取り付けられ、一対の側壁部材が側面板の上方部分で上部フレームに取り付けられ、
組立状態では、前面板及び後面板が折れ曲がることなく直立し、一対の側面板が上部フレームから垂下して、前面板及び後面板の内面間に挟まれ、
折畳状態では、一対の側面板が上山折線を軸として内側へ折り曲げられることにより跳ね上げられ、前面板及び後面板が下山折線、下谷折線、中山折線、上谷折線及び上山折線を軸として屏風状に内側へ折り曲げられるものとしたのである。
【0013】
また、耐圧強度を高めるため、前記側壁部材の側面板の両側には、L字型断面の補強部材の取付片が取り付けられ、補強部材の迫出片が取付片から直角に迫り出し、
組立状態では、一対の側面板の補強部材の迫出片が、前面板及び後面板の内面に下谷折線の下方から上谷折線の上方へかけて沿うものとしたのである。
【0014】
また、保形性向上のため、前記側壁部材の側面板の両側には、高さ方向の中央部に可撓性の保持片が張り出すように取り付けられ、保持片の張出部分の内面と前面板及び後面板の外面の中山折線を挟んだ部分とに面ファスナが設けられ、
組立状態では、側面板の両側から保持片の張出部分が折り曲げられ、前面板及び後面板の外面の中山折線を挟んだ部分に面ファスナで固定されるものとしたのである。
【0015】
さらに、防犯性を高めるため、前記上部フレームに周縁形状が対応した天面板を有する蓋を備え、蓋には、天面板の前端に前フラップが前折線を介して折曲自在に連設され、
蓋は、天面板の後方部分で上部フレームに揺動自在に取り付けられ、
組立状態では、蓋が閉じられて、前フラップが前折線を軸として下方へ折り曲げられ、前フラップの錠受挿通穴から錠受具の錠掛部が突出すると共に、錠受具の座部が前フラップにより覆い隠されるものとしたのである。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る折畳式コンテナでは、前面板及び後面板を下山折線、下谷折線、中山折線、上谷折線及び上山折線を軸として屏風状に内側へ折り曲げることにより、折畳状態とするので、組立状態での高さ寸法を、前面板と後面板の間隔である幅寸法よりも大きく設定して、嵩張る物品を収納することができる。
【0017】
そして、このように高さ寸法を大きく設定しても、平置き状態での占有面積が大きくなることがなく、コンパクトに折り畳むことができ、不用時には、嵩張らない状態で保管しておくことができる。
【0018】
また、側面板の両側に取り付けたL字型断面の補強部材の迫出片が、前面板及び後面板の内面に下谷折線の下方から上谷折線の上方へかけて沿うようにすると、組立状態で前面板及び後面板の折れ曲がりが抑制されて、耐圧強度が確保される。
【0019】
さらに、側面板の両側に張り出すように保持片を取り付け、組立状態で保持片の張出部分を折り曲げて、前面板及び後面板の外面の中山折線を挟んだ部分に固定すると、前面板及び後面板の膨張を防止することができる。
【0020】
そのほか、必要に応じて、上部フレームに天面板を有する蓋を取り付け、組立状態で蓋を閉じ、蓋の前フラップにより錠受具の座部を覆うようにすると、施錠した状態では、錠受具の座部を取り外すことができず、防犯性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】この発明の実施形態に係る折畳式コンテナの組立施錠状態を示す斜視図
【
図11】特許文献1に記載された折畳式コンテナの(11A)組立施錠状態を示す斜視図、(11B)同上の組立/折畳過程を示す斜視図
【
図12】従来の折畳式コンテナの(12A)組立状態を示す斜視図、(12B)同上の組立/折畳過程を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0023】
この折畳式コンテナは、
図1に示すように、組立施錠状態で直方体となり、底面を形成する底盤1、底部で繋がり前面及び後面を形成する基本部材2、両側面を形成する一対の側壁部材3、天面を形成する蓋4及び四角形枠の上部フレーム5から構成される。なお、蓋4は、段積み時に最上段より下方となる段に使用する場合、省略すればよい。
【0024】
底盤1、基本部材2、側壁部材3及び蓋4は、プラスチック製シートから成り、具体的には、ポリプロピレン等を材質として多数のリブを有する中空構造のプラスチック段ボールから成るものとする。
【0025】
また、高い防犯性を要求される場合には、鋭利な刃物での切込に耐えられるように、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネート等のいずれかを材質とする無垢のシートから成るものとしてもよい。そのほか、アルミニウム等の金属板製としてもよい。
【0026】
底盤1、基本部材2、側壁部材3及び蓋4のプラスチック製シートの厚さは、折畳式コンテナの大きさや必要な強度に応じて、1mm~10mmとする。
【0027】
上部フレーム5は、衝撃に対する強度に優れ、靭性の大きいポリエチレン等から成り、前枠部51、後枠部52及び一対の側枠部53から構成され、上部フレーム5の四隅のコーナー部には、上方へ突出する荷崩防止片54が設けられている。
【0028】
そして、展開状態で
図7に示すように、底盤1は、底面板11の周囲の各端辺にストッパ片12が連設された構成となっており、製造時には、底面板11からストッパ片12が上方へ折り曲げられる。この折り曲げは、ヒートバーで押圧して加熱に伴い軟化した状態で折り曲げ、徐冷に伴い塑性変形させる熱曲げとされている。
【0029】
また、展開状態で
図8に示すように、基本部材2は、底敷板21を挟んで前面板22及び後面板23が連なり、前面板22及び後面板23の底敷板21とは反対側の端辺に、それぞれ接合片24が連設された構成となっている。
【0030】
前面板22及び後面板23には、それぞれ底敷板21との境界から接合片24との境界へかけて、下山折線25a、下谷折線25b、中山折線25c、上谷折線25d及び上山折線25eが均等な間隔で平行に入れられている。
【0031】
下山折線25a、中山折線25c及び上山折線25eは、プラスチック段ボールを表面側から裏面側へ切り込んだ切込罫線とされ、下谷折線25b及び上谷折線25dは、プラスチック段ボールを裏面側から溶融させてV字状の溝を形成した熱罫線とされている。
【0032】
なお、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネート等の無垢のシートを材料とする場合には、下山折線25a、中山折線25c及び上山折線25eは切込罫線ではなく、表面側から溶融させてV字状の溝を形成した熱罫線とすればよい。
【0033】
底敷板21の両側端には、係合切欠26が形成され、係合切欠26の奥側の端縁中央部には、指入凹所26aが設けられている。
【0034】
なお、係合切欠26は、側壁部材3の係合片33が係合して防犯性を高めるものであるが、防犯性を考慮する必要がない場合には、係合切欠26を省略して、係合片33が底敷板21に当接するようにすればよく、係合片33も省略して、側壁部材3の側面板31の下端が底敷板21に当接するようにしてもよい。
【0035】
このような基本部材2に付帯して、上部フレーム5との接合部を補強するため、接合片24とほぼ同一幅で高さが大きい形状の一対の補強板27が使用される。補強板27もまた、基本部材2と同様の材料から成るものとされている。
【0036】
また、展開状態で
図9に示すように、側壁部材3は、側面板31の上端辺に接合片32が、下端辺に係合片33がそれぞれ連設された構成となっており、側面板31に把手穴31aが形成されている。
【0037】
側面板31と接合片32の境界及び側面板31と係合片33の境界には、それぞれ上山折線34及び下山折線35が入れられ、上山折線34及び下山折線35は、プラスチック段ボールを表面側から裏面側へ切り込んだ切込罫線とされている。
【0038】
なお、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネート等の無垢のシートを材料とする場合には、上山折線34及び下山折線35は切込罫線ではなく、表面側から溶融させてV字状の溝を形成した熱罫線とすればよい。
【0039】
また、展開状態で
図10に示すように、蓋4は、天面板41の後端辺に接合片42が、前端辺に前フラップ43がそれぞれ連設され、天面板41の一対の側端辺にガード片44が連設された構成となっており、前フラップ43の中央部には、スロット状の錠受挿通穴43aが穿設されている。
【0040】
一対のガード片44は、天面板41から熱曲げにより下方へ折り曲げられ、天面板41と接合片42の境界及び天面板41と前フラップ43の境界には、それぞれ後折線45及び前折線46が入れられている。後折線45及び前折線46は、プラスチック段ボールを表面側から裏面側へ切り込んだ切込罫線とされている。
【0041】
なお、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリカーボネート等の無垢のシートを材料とする場合には、後折線45及び前折線46は切込罫線ではなく、表面側から溶融させてV字状の溝を形成した熱罫線とすればよい。
【0042】
上記のような部材を用いて折畳式コンテナを製造する際には、底面板11の上面に底敷板21を重ね合わせて、底盤1に基本部材2を溶着又は接着剤により固着する。
【0043】
また、前面板22及び後面板23に連なる接合片24を、それぞれ前枠部51及び後枠部52に補強板27を挟んで接合することにより、基本部材2を上部フレーム5に取り付け、一対の側面板31に連なる接合片32をそれぞれ一対の側枠部53に接合することにより、側壁部材3を上部フレーム5に取り付ける。そして、天面板41に連なる接合片42を後枠部52に接合することにより、蓋4を上部フレーム5に取り付ける。
【0044】
これらの接合は、金属製リベットや樹脂製リベットによるほか、両面テープやホットメルト接着剤による接着、高温体の押し当てによる熱溶着、超音波振動を与えて摩擦熱により昇温させる超音波溶着等により行えばよい。
【0045】
なお、上記工程に先立って、
図1に示すように、側面板31の両側部には、下端部から上端部に及ぶように、L字型断面のアングル材である補強部材36の取付片36aを取り付け、補強部材36の迫出片36bを取付片36aから内側へ直角に迫り出させる。そして、側面板31の把手穴31aには、把手ハンドル37を装着する。
【0046】
また、側面板31の両側の補強部材36の取付片36aには、高さ方向の中央部にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の薄い板材から成る保持片60を、留折線60aを介して張り出すように取り付ける。
【0047】
保持片60の張出部分の内面と前面板22及び後面板23の外面の中山折線25cを挟んだ部分には、面ファスナ61aを取り付ける。保持片60の補強部材36への取付部分の外面と補強部材36からの張出部分の外面にも、面ファスナ61bを取り付ける。
【0048】
留折線60aは、保持片60の表裏から押圧した2本の平行な押罫線とし、一方の留折線60aは、補強部材36の取付片36aと迫出片36bの稜線に一致させ、他方の留折線60aは、一方の留折線60aの外側に、前面板22又は後面板23の厚さと面ファスナ61aの厚さを加えた間隔をあけて刻設する。
【0049】
また、前枠部51には、金属製の錠受具55を取り付ける。錠受具55は、座部55aとU字状の錠掛部55bとから成るものであり、座部55aをねじ止め等により前枠部51に固定する。さらに、補強板27の表面と前フラップ43の裏面には、錠受挿通穴43aの両側方に位置するように面ファスナ62を取り付ける。
【0050】
このように製造した折畳式コンテナを使用時に組み立てるには、
図1、
図5及び
図6に示すように、底敷板21から前面板22及び後面板23を下山折線25aを軸として直立させ、一対の側枠部53からそれぞれ側面板31を垂下させておく。
【0051】
また、側面板31から下山折線35を軸として係合片33を内側へ折り曲げ、係合片33と底敷板21の係合切欠26とを係合させる。
【0052】
この状態において、前面板22及び後面板23の内側への屈曲は、側面板31の両側の補強部材36の迫出片36bが、前面板22及び後面板23の内面に下谷折線25bの下方から上谷折線25dの上方へかけて沿うことにより阻止され、前面板22及び後面板23の外側への揺動は、底盤1のストッパ片12により阻止される。
【0053】
また、側面板31の内側への揺動は、係合片33と係合切欠26との係合により阻止され、側面板31の外側への揺動は、底盤1のストッパ片12により阻止される。
【0054】
ここで、側面板31の両側から保持片60の張出部分を他方の留折線60aを軸として折り曲げ、前面板22及び後面板23の外面の中山折線25cを挟んだ部分に面ファスナ61aにより固定すると、前面板22及び後面板23の中山折線25cを軸とする外側への膨張が防止され、耐圧強度も向上する。
【0055】
そして、宅配物等を収納した後、天面板41を接合片42との境界の後折線45を軸として前方へ折り曲げることにより蓋4を閉じ、前フラップ43を天面板41から前折線46を軸として下方へ折り曲げ、前フラップ43を補強板27に面ファスナ62で固定し、錠受挿通穴43aから錠受具55の錠掛部55bを突出させる。
【0056】
その後、錠受具55の錠掛部55bに南京錠等の錠91のシャックル91aを挿通して施錠し、宅配物や展示物の盗難を防止する。
【0057】
このような組立施錠状態では、側面板31が外側から押されても内側へ揺動せず、側面を開口させることができない。また、ガード片44により天面板41と側枠部53の隙間が覆われる。そして、錠受具55の座部55aが前フラップ43により覆い隠されているので、錠受具55を取り外すことができず、蓋4を開くことができない。
【0058】
一方、この折畳式コンテナを不使用時に折り畳んでおく際には、
図2に示すように、保持片60を、一方の留折線60aを軸として折り返した状態で、面ファスナ61bにより固定して、前面板22及び後面板23の内面に引っ掛からないようにしておく。
【0059】
そして、蓋4を開けた状態で、指入凹所26aに指を入れて係合片33の端縁に指を掛け、係合片33の先端部を引き上げつつ、側面板31を表面側から内側へ押して、係合片33を係合切欠26から離脱させ、一対の側面板31を接合片32との境界の上山折線34を軸として内側へ折り曲げることにより順次跳ね上げる。
【0060】
次に、
図3に示すように、前面板22及び後面板23を、下山折線25a、下谷折線25b、中山折線25c、上谷折線25d及び上山折線25eを軸として屏風状に内側へ折り曲げる。このとき、外面側では、下山折線25a、中山折線25c及び上山折線25eが凸状に折れ曲がり、下谷折線25b及び上谷折線25dが凹状に折れ曲がる。
【0061】
そして、
図4に示すように、底敷板21に前面板22及び後面板23を折り重ね、前面板22及び後面板23に一対の側面板31を重ねて、これらを底盤1と蓋4の間に挟み込むと、底盤1と蓋4の平面の大きさの範囲内で偏平化された折畳状態となり、屋内での保管時に嵩張ることがない。
【0062】
このとき、前フラップ43の錠受挿通穴43aから錠受具55の錠掛部55bを突出させ、錠掛部55bに錠91のシャックル91aを掛けておくと、錠91の紛失を防止することができる。
【0063】
上記のような折畳式コンテナでは、前面板22及び後面板23を下山折線25a、下谷折線25b、中山折線25c、上谷折線25d及び上山折線25eを軸として屏風状に内側へ折り曲げることにより、折畳状態とするので、
図1に示すように、組立状態での高さ寸法Hを、前面板22と後面板23の間隔である幅寸法Wよりも大きく設定して、嵩張る物品を収納することができる。
【0064】
そして、このように高さ寸法Hを大きく設定しても、平置き状態での占有面積が大きくなることがなく、コンパクトに折り畳むことができる。
【0065】
また、底盤1、基本部材2及び側壁部材3をプラスチック段ボールから成るものとした場合、高さ寸法Hが大きくても軽量化することができる。
【0066】
さらに、前面板22及び後面板23を、切込罫線である下山折線25a、中山折線25c及び上山折線25eと、熱罫線である下谷折線25b及び上谷折線25dの組み合わせにより折り曲げることとしたので、ヒンジ部材等を別途用いる必要もなく、構造を簡素化して、製造コストを低減することができる。
【0067】
なお、底盤1、基本部材2、側壁部材3及び蓋4をアルミニウム等の金属板製とした場合には、可動部分にヒンジ部材が必要となるが、金属板として、強度を考慮しつつ、極力軽い板材を使用することにより、重量を抑制するとよい。
【符号の説明】
【0068】
1 底盤
2 基本部材
3 側壁部材
4 蓋
5 上部フレーム
11 底面板
12 ストッパ片
21 底敷板
22 前面板
23 後面板
24 接合片
25a 下山折線
25b 下谷折線
25c 中山折線
25d 上谷折線
25e 上山折線
26 係合切欠
26a 指入凹所
27 補強板
31 側面板
31a 把手穴
32 接合片
33 係合片
34 上山折線
35 下山折線
36 補強部材
36a 取付片
36b 迫出片
37 把手ハンドル
41 天面板
42 接合片
43 前フラップ
43a 錠受挿通穴
44 ガード片
45 後折線
46 前折線
51 前枠部
52 後枠部
53 側枠部
54 荷崩防止片
55 錠受具
55a 座部
55b 錠掛部
60 保持片
60a 留折線
61a,61b 面ファスナ
62 面ファスナ
91 錠
91a シャックル
H 高さ寸法
W 幅寸法