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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】給水用吊下げ配管
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/00 20060101AFI20220907BHJP
   F16L 1/00 20060101ALI20220907BHJP
   F16L 3/00 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
E03C1/00
F16L1/00 T
F16L3/00 H
F16L3/00 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018196388
(22)【出願日】2018-10-18
(65)【公開番号】P2020063610
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】595086328
【氏名又は名称】株式会社光明製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100129540
【弁理士】
【氏名又は名称】谷田 龍一
(74)【代理人】
【識別番号】100082474
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 丈夫
(72)【発明者】
【氏名】金村 哲志
(72)【発明者】
【氏名】階元 鳴彰
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-062944(JP,A)
【文献】特開2012-122209(JP,A)
【文献】特開2000-320733(JP,A)
【文献】特開昭61-206886(JP,A)
【文献】実開昭56-125576(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00
F16L 1/00
F16L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数階建ての建物(B)内に敷設されている給水配管路の更新工事や補修工事を行う際に、建物(B)の外側に設けた仮設配管路(L)の縦配管路(L2)と建物(B)内の各住戸のメーターボックス(S)内又はパイプスペース内に設置されて水道メーター(M)を装着したメーターユニット(U)とを接続する給水用吊下げ配管(1)であって、建物(B)の外廊下の天井面(B2)の下方位置に水平姿勢で配置され、基端部が縦配管路(L2)に接続されると共に、先端部が外廊下の壁面(B3)近傍位置まで延びる横向き配管(20)と、横向き配管(20)の先端部に接続され、係止部(21a)を備えた管継手(21)と、外廊下の壁面(B3)に沿って縦向き姿勢で配置され、上端部が管継手(21)に接続されると共に、下端部がメーターユニット(U)に接続される縦向き配管(22)と、縦配管路(L2)と管継手(21)との間に張設され、一端部が管継手(21)の係止部(21a)に係止されると共に、他端部が縦配管路(L2)の横向き配管(20)との接続部よりも上方位置部分に連結される索条(23)と、を備えており、前記縦配管路(L2)と管継手(21)との間に張設された索条(23)により横向き配管(20)及び縦向き配管(22)を保持する構成としたことを特徴とする給水用吊下げ配管。
【請求項2】
前記管継手(21)は、90°のエルボ継手から成り、当該エルボ継手に一体的に形成されて索条(23)の一端部が挿通係止される係止穴(21b)を形成した板状の係止部(21a)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の給水用吊下げ配管。
【請求項3】
前記縦向き配管(22)は、上端部が管継手(21)に接続される縦向き直管(22a)と、上端部が縦向き直管(22a)の下端部に接続され、下端部がメーターユニット(U)に接続される可撓性の給水ホース(22c)と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の給水用吊下げ配管。
【請求項4】
前記縦向き配管(22)の縦向き直管(22a)と給水ホース(22c)との間又は縦向き直管(22a)の上端部若しくは給水ホース(22c)の下端部にスライド継手(31)を設けたことを特徴とする請求項3に記載の給水用吊下げ配管。
【請求項5】
前記索条(23)を、ロープ、紐、ワイヤー、ベルト又はチェーンの何れかとしたことを特徴する請求項1に記載の給水用吊下げ配管。
【請求項6】
前記横向き配管(20)と管継手(21)と縦向き配管(22)の上端部分とを予め接続固定してユニット化したことを特徴とする請求項1に記載の給水用吊下げ配管。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マンション等の集合住宅、学校、病院、ビル等の数階建ての建物内に敷設されている給水配管路(上水道管路)の更新工事や補修工事を行う際に、建物の外側に設けた仮設配管路の縦配管路と建物内の各住戸のメーターボックス内又はパイプスペース内に設置されて水道メーターを装着したメーターユニットとを接続する給水用吊下げ配管に係り、特に、建物の外廊下の天井面及び外廊下の壁面に沿って配設される給水用吊下げ配管に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、マンション等の集合住宅、学校、病院、ビル等の数階建ての建物内に敷設されている給水配管路は、これを長年使用していると、亜鉛メッキ鋼管等の給水管内に発生した錆等が原因となって赤水の流出、管内のぬめり、バクテリアの発生、流量及び水圧の低下、スケールの発生、スケールの流出等が生じ、水質の悪化や衛生面の問題が生じるうえ、パッキンの劣化による漏水事故等の様々な悪影響が生じて来る。
【0003】
そのため、集合住宅等の数階建ての建物においては、上述した問題が発生すると、給水配管路の更新工事や補修工事を行っている。このとき、建物内に敷設されている給水配管路の更新工事や補修工事においては、居住民の生活があるため、長期間、長時間の断水による管路更新や補修は許されない。
【0004】
このように、従来の給水配管路の更新工事や補修工事においては、長期間、長時間の断水による管路更新や補修が許されないため、所謂仮設配管路を設ける工法が採用されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0005】
前記仮設配管路には、鋼管等の金属管に代えて軽量で取扱性に優れたビニル管やポリエチレン管等が広く使用されている。特に、ビニル管を用いて仮設配管路を敷設する場合には、ビニル管同士の接続に接着剤を使用し、永久的な結合を行っている。
【0006】
しかし、ビニル管を用いた場合、ビニル管同士の接合に時間が掛かるだけでなく、接合完了から水道水の供給開始までに相当の時間を要するという問題があった。
【0007】
また、仮設配管路の撤去には、永久的な結合を行っているために配管を切断しなければならず、時間と労費を費やすうえ、配管の再利用が出来ないために撤去後に仮設配管路の形成部材を全てスクラップ処分する必要があり、省資源や環境保全を図る上で多くの問題を抱えている。
【0008】
一方、本件出願人は、上述した問題を解決する仮設配管路を開発し、特開2012-122209号公報(特許文献3)として公開している。
【0009】
即ち、前記各仮設配管路は、図示していないが、ポリエチレン樹脂材により形成した直管、エルボ、チーズ、異径管、伸縮管等の管本体を適宜に突合せ融着すると共に、端部に位置する管本体の開口端部にポリエチレン樹脂製の筒状接続部を突合せ融着して仮設配管ユニットを形成し、当該仮設配管ユニットの筒状接続部同士を対向せしめて筒状接続部の先端部外周面に形成した環状の鍔部に環状のパッキンを被せ、前記環状の鍔部及び環状のパッキンを二つ割り状のハウジング形の管継手で抱き込んで締め付け固定し、仮設配管ユニット同士を環状のパッキン及びハウジング形の管継手で気密状に接続することにより形成されている。
【0010】
このように、前記仮設配管路は、仮設配管ユニット同士を環状のパッキン及びハウジング形の管継手で気密状に接続することにより形成されるため、仮設配管路を簡単に形成することができて工期の短縮を図れると共に、管継手及び環状のパッキンを外すだけで仮設配管ユニットを簡単に分離することができ、また、仮設配管路の分解時に仮設配管ユニット、管継手が損傷することが殆どなく、再利用できると言う利点がある。
【0011】
ところで、上述した仮設配管路を用いた給水配管路の更新工事や補修工事においては、集合住宅等の建物に仮設配管路の設置スペースが無い場合、仮設配管路を形成する縦配管路を更新工事や補修工事の期間中だけ建物の外側に設置している。
【0012】
即ち、仮設配管路の縦配管路は、例えば、集合住宅等の建物の外廊下や外階段等に設けた手摺壁や手摺の外側位置に所定の間隔を空けて並列状に複数配設されており、前記各縦配管路と建物内の各住戸のメーターボックス内又はパイプスペース内に設置されている水道メーターを装着したメーターユニットとは、給水ホース等から成る給水用配管で接続されている。尚、縦配管路は、建物の外側に施工する際に、仮設配管ユニット等の落下を防止するため、配管ユニットの一部が建物の各階で外側廊下や外側階段に設けた手摺壁や手摺に固定されている。
【0013】
前記給水用配管は、基本的には住民の通行の邪魔にならないように、また、子供等にイタズラされないように、縦配管路からメーターボックス内又はパイプスペース内まで建物の外廊下の天井面及び外廊下の壁面に沿って吊下げ状態で配設されている。
【0014】
このとき、給水用配管には、縦配管路とメーターボックス又はパイプスペースとの距離や位置に関係なく、比較的自由に配管することができる可撓性の給水ホースが使用されている。
【0015】
給水用配管に可撓性の給水ホースを使用すると、前記給水ホースは、剛性がないため、外廊下の天井面に沿って配設する場合には、図10(A)~(C)に示すように、様々な構造の配管用固定金具100を用いて外廊下の天井面や壁面に固定するようにしている(例えば、特許文献4~6参照)。
【0016】
しかしながら、図10(A)~(C)に示す従来の配管用固定金具100は、何れも配管用固定金具100自体を建物の天井面や壁面にアンカーボルトやネジ等を用いて固定するタイプであるため、給水配管路の更新工事や補修工事が終了して縦配管路や給水用配管、配管用固定金具100を取り除いた際に、建物の天井面や壁面に穴が開いてしまうので、補修工事が必要になり、作業者への負担が増加すると共に、施工時間が長くなると言う問題がある。しかも、電動ドライバー等の電動工具を使用してアンカーボルトやネジ等を外廊下の天井面や壁面に打ち込まなければならないため、作業者の姿勢が不安定になって安全性に劣ることになる。
【0017】
また、集合住宅等の建物では、施工後の現状復旧が必要であり、施主側の要求によって外廊下の天井面や壁面にアンカーボルトやネジ等を打ち込めないことがある。
【0018】
この場合には、可撓性の給水ホースに替えて剛性を有するビニル管を使用し、ビニル管を外廊下の天井や壁面に沿って配管するようにしている。
【0019】
しかし、給水用配管にビニル管を使用すると、接続に接着剤を使用するため、接合に時間が掛かるだけでなく、接合完了から水道水の供給開始までに相当の時間を要するうえ、給水用配管の撤去時には、配管を切断しなければならず、時間と労費を費やすと言う問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【文献】特開平10-306472号公報
【文献】特開平11-107335号公報
【文献】特開2012-122209号公報
【文献】特開平11-241789号公報
【文献】特開2001-108149号公報
【文献】特開2015-034608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、アンカーボルトやネジ等を建物の外廊下の天井面や壁面に打ち込む必要がなくなると共に、配管の接続に接着剤を使用することがなく、作業負担が少なくなって施工時間の短縮及び安全性の向上を図れると共に、建物への修復作業や復旧作業も無くなって工期の短縮を図れるようにした給水用吊下げ配管を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の給水用吊下げ配管は、数階建ての建物内に敷設されている給水配管路の更新工事や補修工事を行う際に、建物の外側に設けた仮設配管路の縦配管路と建物内の各住戸のメーターボックス内又はパイプスペース内に設置されて水道メーターを装着したメーターユニットとを接続する給水用吊下げ配管であって、建物の外廊下の天井面の下方位置に水平姿勢で配置され、基端部が縦配管路に接続されると共に、先端部が外廊下の壁面近傍位置まで延びる横向き配管と、横向き配管の先端部に接続され、係止部を備えた管継手と、外廊下の壁面に沿って縦向き姿勢で配置され、上端部が管継手に接続されると共に、下端部がメーターユニットに接続される縦向き配管と、縦配管路と管継手との間に張設され、一端部が管継手の係止部に係止されると共に、他端部が縦配管路の横向き配管との接続部よりも上方位置部分に連結される索条と、を備えており、前記縦配管路と管継手との間に張設された索条により横向き配管及び縦向き配管を保持する構成としたことに特徴がある。
【0023】
本発明の請求項2に記載の給水用吊下げ配管は、請求項1に記載の給水用吊下げ配管において、前記管継手は、90°のエルボ継手から成り、当該エルボ継手に一体的に形成されて索条の一端部が挿通係止される係止穴を形成した板状の係止部を備えていることに特徴がある。
【0024】
本発明の請求項3に記載の給水用吊下げ配管は、請求項1に記載の給水用吊下げ配管において、前記縦向き配管は、上端部が管継手に接続される縦向き直管と、上端部が縦向き直管の下端部に接続され、下端部がメーターユニットに接続される可撓性の給水ホースと、を備えていることに特徴がある。
【0025】
本発明の請求項4に記載の給水用吊下げ配管は、請求項3に記載の給水用吊下げ配管において、前記縦向き配管の縦向き直管と給水ホースとの間又は縦向き直管の上端部若しくは給水ホースの下端部にスライド継手を設けたことに特徴がある。
【0026】
本発明の請求項5に記載の給水用吊下げ配管は、請求項1に記載の給水用吊下げ配管において、前記索条を、ロープ、紐、ワイヤー、ベルト又はチェーンの何れかとしたことに特徴がある。
【0027】
本発明の請求項6に記載の給水用吊下げ配管は、請求項1に記載の給水用吊下げ配管において、前記横向き配管と管継手と縦向き配管の上端部分とを予め接続固定してユニット化したことに特徴がある。
【発明の効果】
【0028】
本発明の給水用吊下げ配管は、建物の外廊下の天井付近に横向き姿勢で配置され、基端部が縦配管路に接続される横向き配管と、横向き配管の先端部に接続された管継手と、外廊下の壁面に沿って縦向き姿勢で配置され、上端部が管継手に接続されると共に、下端部が水道メーターに装着したメーターユニットに接続される縦向き配管と、縦配管路と管継手との間に張設された索条と、を備え、前記索条により横向き配管及び縦向き配管を保持する構成としているため、電動工具を使用してアンカーボルトやネジ等を建物の外廊下の天井面や壁面に打ち込むと言う作業が不要になると共に、配管の接続に接着剤を使用することがない。
その結果、本発明の給水用吊下げ配管を用いれば、作業負担が軽くなって施工時間の短縮及び安全性の向上を図れると共に、建物への修復作業や復旧作業も無くなって工期の短縮を図れることになる。
【0029】
また、本発明の給水用吊下げ配管は、横向き配管と管継手と縦向き配管の上端部分とを予め接続固定してユニット化しているため、施工時間をより短縮することができる。
【0030】
更に、本発明の給水用吊下げ配管は、縦向き配管がスライド継手を備えているため、給水用吊下げ配管を設置したときに、横向き配管の高さ位置が多少変わっても、スライド継手を長さ調整することにより縦向き配管の下端部をメーターユニットに確実に接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の実施形態に係る給水用吊下げ配管を用いて仮設配管路をマンション等の集合住宅の建物に設けた一例を示す配管割図である。
図2】仮設配管路の縦配管路を固定金具により建物の手摺壁に固定し、縦配管路とメーターユニットとを給水用吊下げ配管で接続した状態を示す建物の要部の概略縦断面図である。
図3】仮設配管ユニットの正面図である。
図4】仮設配管ユニットの一部省略拡大縦断正面図である。
図5図4のA-A線断面図である。
図6】給水用吊下げ配管の一部省略拡大正面図である。
図7】同じく給水用吊下げ配管の要部の一部切欠き正面図である。
図8】同じく給水用吊下げ配管の要部の一部切欠き正面図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る給水用吊下げ配管を用いて縦配管路とメーターユニットを接続した状態を示す建物の要部の概略縦断面図である。
図10】従来の配管用固定金具の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る給水用吊下げ配管1を用いて仮設配管路Lをマンション等の集合住宅に設置した一例を示す配管割図であり、前記仮設配管路Lは、集合住宅等の数階建ての建物B内に敷設されている既設の給水配管路(上水道管路)の更新工事や補修工事を行う際に、建物Bの外側に設置して長時間断水することなく給水配管路の更新工事や補修工事を行えるようにしたものであり、給水用のタンクやポンプ(何れも図示省略)に接続されている既設の水道管(図示省略)に接続されて建物Bの屋上に配設された仮設の屋上配管路L1と、仮設の屋上配管路L1に接続されて建物Bの屋上から最下部のフロア(F1)まで並列状に配設された複数の仮設の縦配管路L2と、を備えている。
【0033】
前記仮設の屋上配管路L1は、直管2、チーズ3(同径チーズ又は異径チーズ)、ハウジング形の管継手4、ボールバルブ等の止水栓(図示省略)、エルボ(図示省略)、フレキシブル継手(図示省略)等を備えており、前記各部材2,3をハウジング形の管継手4で順次接続することにより形成されている。この仮設の屋上配管路L1は、最も上流側に位置する部材がVS継手(図示省略)等を介して給水用のタンク又はポンプ(何れも図示省略)に接続されている既設の水道管(図示省略)に接続されており、既設の水道管から水道水が流入するようになっている。
【0034】
一方、前記複数の仮設の縦配管路L2は、仮設配管ユニット5、直管2、エルボ6、止水栓7(ボールバルブ)、ハウジング形の管継手4、エンドキャップ8等をそれぞれ備えており、前記各部材2,5,6,7,8をハウジング形の管継手4で直列状に接続することにより形成されている。これらの各縦配管路L2は、何れも建物Bに設けた外廊下の外側位置に並列状に配設されており、固定金具9により外廊下の手摺壁B1に固定されている(図2参照)。尚、固定金具9は、手摺壁B1の上端部に着脱自在に固定されており、手摺壁B1の外側面に沿って配設された縦配管路L2の一部分を保持固定している。
【0035】
前記仮設の縦配管路L2に用いる仮設配管ユニット5は、図3及び図4に示す如く、合成樹脂製の直線状の管本体10と、管本体10の一端部に突合せ融着Wにより接続された合成樹脂製のチーズ11と、チーズ11の管本体10に接続された反対側の端部に突合せ融着Wにより接続された合成樹脂製の筒状の受け口12と、管本体10の他端部に突合せ融着Wにより接続され、他の仮設配管ユニット5の受け口12に気密状態で着脱自在に挿着される合成樹脂製の筒状の挿し口13と、チーズ11のT型の突出部11aに突合せ融着Wにより接続された合成樹脂製の筒状の分岐口14と、分岐口14の先端部に設けた継手15と、受け口部12に設けられ、作業者が身に着けている安全帯(図示省略)に着脱自在に連結される落下防止手段16と、を備えており、前記受け口12に他の仮設配管ユニット5の挿し口13を、また、前記挿し口13に更に他の仮設配管ユニット5の受け口12をそれぞれ気密状態で着脱自在に挿着し、各仮設配管ユニット5の端部同士をハウジング形の管継手4で接続することにより直列状に接続されるようになっている。
【0036】
前記仮設配管ユニット5の継手15は、図4に示す如く、分岐口14にシール材15aを介して気密状態で挿着された短管15bと、分岐口14の端面に固定され、短管15bを抜け止めする止めナット15cと、短管15bに回転自在且つ軸線方向へ移動自在に外嵌されたユニオンナット15dと、を備えており、従来公知のユニオン継手と同様構造に構成されている。
【0037】
また、仮設配管ユニット5の落下防止手段16は、仮設配管ユニット5同士を接続する際に、作業者が身に着けている安全帯(図示省略)に設けたフック部材(図示省略)に連結されて仮設配管ユニット5が落下するのを防止するのに用いられるものであり、図5及び図6に示す如く、受け口12の小径部分の外周面に着脱自在に外嵌され、帯状金属板により形成した二つの半円状のバンド部17aの端部同士をヒンジ17bで連結することにより開閉自在とした円形の配管支持金具17と、配管支持金具17の二つのバンド部17aの自由端に連設された対向する一対の締め付け片17c同士を締め付け固定して配管支持金具17を受け口12の外周面に締め付け固定する緊締具18(ボルト及びナット)と、一対の締め付け片17cに形成した貫通穴17dに挿通係止された金属製のリング部材19と、を備えている。
【0038】
前記落下防止手段16は、仮設配管ユニット5の落下防止だけでなく、後述する給水用吊下げ配管1を配管する場合にも使用されており、仮設配管ユニット5の分岐口14よりも高い位置に設けられている。
【0039】
尚、仮設配管ユニット5の受け口12及び挿し口13には、他の仮設配管ユニット5の他に、単体部材である直管2、チーズ3、エルボ6、止水栓7、エンドキャップ8、フレキシブル継手(図示省略)等がハウジング形の管継手4を介して着脱自在に接続される構成となっている。前記単体部材の各端部には、仮設配管ユニット5と同様に筒状の受け口12や筒状の挿し口13がそれぞれ設けられている。
【0040】
また、仮設配管ユニット5は、その長さ(高さ)が建物Bの階高に合わせた長さに設定されており、各仮設配管ユニット5を縦向きに接続して建物Bの外廊下の外側位置に配設したときに、仮設配管ユニット5が建物Bの各階に一つずつ確実に配置され、仮設配管ユニット5の分岐口14及び継手15の位置が必ず各階の天井面B2よりも少し低い位置に位置するようにしている。
【0041】
上記の実施形態においては、仮設の縦配管路L2の一部に図3及び図4に示すような仮設配管ユニット5を使用したが、他の実施形態においては、仮設配管ユニット5を省略し、複数の直管2やチーズ3等をハウジング形の管継手4により直列状に接続して仮設の縦配管路L2を形成するようにしても良い。
【0042】
また、上記の実施形態においては、チーズ3の端部に受け口12を設け、管本体10の他端部に挿し口13を設けたが、他の実施形態においては、チーズ3の端部に挿し口13を設け、管本体10の他端部に受け口12を設けるようにしても良い。
【0043】
そして、建物Bの外廊下に設けた手摺壁B1の外側位置に配設された仮設配管路Lの縦配管路L2は、建物Bの各住戸のメーターボックスS内(又はパイプスペース内)に収納した水道メーターMを装着したメーターユニットUにそれぞれ給水用吊下げ配管1により接続されており、縦配管路L2内を流れる水道水を給水用吊下げ配管1により各住戸へ供給するようになっている(図2参照)。
【0044】
図2及び図6図8は本発明の実施形態に係る給水用吊下げ配管1を示し、当該給水用吊下げ配管1は、建物Bの外廊下に設けた手摺壁B1の外側位置に配設された仮設配管路Lの縦配管路L2と建物B内の各住戸のメーターボックスS内に設置されたメーターユニットUとを接続するものである。
【0045】
即ち、前記給水用吊下げ配管1は、図2及び図6に示す如く、建物Bの外廊下の天井面B2の下方位置に水平姿勢で配置され、基端部が縦配管路L2に接続されると共に、先端部が外廊下の壁面B3近傍位置まで延びる剛性を有する横向き配管20と、横向き配管20の先端部に接続され、係止部21aを備えた管継手21と、外廊下の壁面B3に沿って縦向き姿勢で配置され、上端部が管継手21に接続されると共に、下端部が水道メーターMを装着したメーターユニットUに接続される縦向き配管22と、縦配管路L2と管継手21との間に張設され、一端部が管継手21の係止部21aに係止されると共に、他端部が縦配管路L2の横向き配管20との接続部よりも上方位置部分に連結される索条23と、を備えており、前記縦配管路L2と管継手21との間に張設された索条23により横向き配管20及び縦向き配管22を保持する構成となっている。
【0046】
具体的には、前記横向き配管20は、ポリエチレン樹脂材により形成された横向き直管20aと、横向き直管20aの基端部に接着接合され、先端部外周面に仮設配管ユニット5の継手15のユニオンナット15dが着脱自在に螺着される雄ネジを形成した金属製又は合成樹脂製の鍔付きの筒状のオネジアダプター20bと、を備えており、建物Bの外廊下の幅とほぼ同じ長さに形成されている。
【0047】
前記管継手21は、ポリエチレン樹脂材により形成された90°のエルボ継手から成り、当該エルボ継手の外周面には、索条23の一端部が挿通係止される係止穴21bを形成した板状の係止部21aが一体的に形成されている。この管継手21の一方の端部は、横向き配管20の先端部(横向き直管20aの先端部)に接着接合されている。
【0048】
前記縦向き配管22は、ポリエチレン樹脂材により形成され、上端部が管継手21の他方の端部に接着接合された縦向き直管22aと、縦向き直管22aの下端部に接着接合され、下端部外周面に雄ネジを形成した金属製又は合成樹脂製の鍔付きの筒状のオネジアダプター22bと、上端部が縦向き直管22aの下端部に設けたオネジアダプター22bに接続され、下端部がメーターユニットUに接続される可撓性の給水ホース22cと、を備えている。
【0049】
また、給水ホース22cは、屈曲自在な金属製又は合成樹脂製のフレキシブル管22cと、フレキシブル管22cの上端部に設けられ、縦向き直管22aの下端部に設けたオネジアダプター22bに着脱自在に螺着される上部ユニオンナット22cと、フレキシブル管22cの下端部に設けられ、メーターユニットUの止水栓31に着脱自在に螺着される下部ユニオンナット22cと、を備えている。
【0050】
尚、前記メーターユニットUは、各住戸内の水道管に接続される水道メーターMを装着するためのものであり、ベース24、二次側のメーター保持部材25、一次側のメーター保持部材26、スライド継手27、一次側エルボ28、減圧弁29及び止水栓30等を備えている。
【0051】
そして、前記横向き配管20と管継手21と縦向き配管22においては、横向き配管20の横向き直管20aと管継手21とが接着接合され、また、管継手21と縦向き配管22の縦向き直管22aとが接着接合されており、ユニット化された状態となっている。
【0052】
前記索条23は、縦配管路L2と管継手21との間に緊張状態で張設されており、横向き配管20及び縦向き配管22を保持するものである。
【0053】
即ち、索条23は、一端部が管継手21の係止部21aに挿通係止され、他端部が縦配管路L2の横向き配管20との接続部よりも上方位置部分に連結されており、縦配管路L2と管継手21との間に緊張した状態で張設されている。この実施形態においては、索条23には、合成繊維製のロープが使用されている。このロープ製の索条21の一端部は、管継手21の係止部21aに形成した貫通穴21bに挿通係止されて抜け止めされ、索条21の他端部は、落下防止手段16のリング部材19に挿通されて結び付けられている。
【0054】
尚、索条23には、合成繊維製のロープに替えて天然繊維製又はゴム製のロープ、合成繊維製又は天然繊維製の紐やベルト、金属製のワイヤー、金属製又は合成樹脂製のチェーンを使用するようにしても良い。
【0055】
上記の実施形態においては、横向き直管20a、管継手21及び縦向き直管22aをそれぞれポリエチレン樹脂材により形成したが、他の実施形態においては、横向き直管20a、管継手21及び縦向き直管22aをそれぞれ他の合成樹脂材(例えば、ビニル樹脂材)や金属材により形成するようにしても良い。
【0056】
また、上記の実施形態においては、縦向き配管22を縦向き直管22aとオネジアダプター22bと給水ホース22cとで構成したが、他の実施形態においては、縦向き配管22を給水ホース22cのみで構成しても良い。
【0057】
更に、上記の実施形態においては、落下防止手段16がリング部材19を備えているが、他の実施形態においては、リング材19を省略し、配管支持金具17の貫通穴17cに安全帯(図示省略)に設けたフック部材(図示省略)を連結したり、或いは、索条23の他端部を配管支持金具17の貫通穴17cに挿通係止するようにしても良い。
【0058】
更に、上記の実施形態においては、索条23の他端部を落下防止手段19のリング部材19に連結するようにしたが、他の実施形態においては、索条23の他端部を仮設配管ユニット5に直接結び付けるようにしても良い。この場合、索条23の他端部は、仮設配管ユニット5の当該仮設配管ユニット5と横向き配管20との接続部よりも上方位置部分に結び付ける。
【0059】
而して、上述した給水用吊下げ配管1においては、建物Bの外側に縦配管路L2を配設した後、縦配管路L2を形成する仮設配管ユニット5の継手15とメーターボックスS内のメーターユニットUの止水栓31とを給水用吊下げ配管1で接続することにより縦配管路L2内を流れる水道水を給水用吊下げ配管1を通して各住戸へ供給することができる。このとき、給水用吊下げ配管1を形成する横向き配管20及び縦向き配管22は、仮設配管ユニット5と管継手21との間に緊張状態で張設した索条23により保持されている。
【0060】
前記給水用吊下げ配管1は、索条23により横向き配管20及び縦向き配管22を保持する構成としているため、電動工具を使用してアンカーボルトやネジ等を建物Bの外廊下の天井面B2や壁面B3に打ち込むと言う作業が不要になると共に、配管の接続に接着剤を使用することがない。
その結果、前記給水用吊下げ配管1を用いれば、作業負担が軽くなって施工時間の短縮及び安全性の向上を図れると共に、建物への修復作業や復旧作業も無くなって工期の短縮を図れることになる。
【0061】
また、給水用吊下げ配管1は、横向き配管20と管継手21と縦向き配管22の縦向き直管22aとを予め接続固定してユニット化しているため、施工時間をより短縮することができる。
【0062】
図9は本発明の他の実施形態に係る給水用吊下げ配管1を示し、当該給水用吊下げ配管1は、縦向き配管22の縦向き直管22aと給水ホース22cとの間に従来公知のスライド継手31を設けたものである。
【0063】
尚、図9に示す給水用吊下げ配管1おいては、スライド継手31を設けたこと以外は、図2に示す給水用吊下げ配管1と同様構造に構成されているため、図2に示す給水用吊下げ配管1と同じ部材・部位には同一の参照番号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0064】
図9に示す給水用吊下げ配管1は、縦向き配管22がスライド継手31を備えているため、給水用吊下げ配管1を設置したときに、横向き配管20の高さ位置が多少変わっても、スライド継手31を長さ調整することにより縦向き配管20の下端部を水道メーターMを装着したメーターユニットUに確実に接続することができる。
【0065】
上記の実施形態においては、縦向き配管22の縦向き直管22aと給水ホース22cとの間にスライド継手31を設けたが、他の実施形態においては、縦向き直管22aの上端部又は給水ホースの22cの下端部にスライド継手31を設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0066】
1は給水用吊下げ配管
20は横向き配管
21は管継手
21aは管継手の係止部
22は縦向き配管
22aは縦向き直管
22cは給水ホース
23は索条
Bは建物
B2は外廊下の天井面
B3は外廊下の壁面
Lは仮設配管路
L2は縦配管路
Mは水道メーター
Uはメーターユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10