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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】注入補助具
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/20 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
B65D25/20 S
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019050989
(22)【出願日】2019-03-19
(65)【公開番号】P2020152396
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2020-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】507089861
【氏名又は名称】田中 清一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(74)【代理人】
【識別番号】100166659
【弁理士】
【氏名又は名称】楠 和也
(72)【発明者】
【氏名】田中 清一郎
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06945434(US,B1)
【文献】特開2016-042872(JP,A)
【文献】特開2008-007135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が入ったボトル状の容器の下部側を収容する収容部と、
該収容部の姿勢切換をガイドするガイド部とを備え、
前記ガイド部は、載置面に対して面接触する支持面と、該支持面と連接する円弧状のガイド面とが形成され、
前記収容部は、該収容部の下端側に形成された前記支持面により前記容器を起立姿勢で保持する起立状態と、前記ガイド面を前記載置面に転接させることにより前記容器の注ぎ口から流体を注ぐ注入状態とに切換えられるように構成され
前記収容部は、前記容器の高さ方向を基準として、前記容器下部側の2割以上5割以下の範囲を収容する筒状に形成され、
前記ガイド面は、前記支持面の端部から前記収容部の上部側に亘って延設され、
前記収容部は、前記ガイド面の幅方向を貫通する孔部又は切欠部が形成され、前記収容部に収容された前記容器下部側の一部が視認できるように構成された
注入補助具。
【請求項2】
前記ガイド面を、前記載置面の左右両側に一対設け、
前記収容部を前記ガイド部の左右中央側に配置した
請求項1に記載の注入補助具。
【請求項3】
前記収容部と、前記ガイド部とを単一の部材で構成した
請求項1又は2に記載の注入補助具。
【請求項4】
前記ガイド部は、幅広の半円板状部材によって構成し、
前記収容部は、該半円板状部材の弦中央側を凹設することによって形成した
請求項3に記載の注入補助具。
【請求項5】
前記収容部と、前記ガイド部とを別部材を連結して構成した
請求項1又は2に記載の注入補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル状の容器から液体を注ぐ作業を補助できる注入補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
ボトル状の飲料用容器を収容する筒状の収容部と、該収容部をその上下方向中途部に設けた揺動軸を軸に揺動可能に支持する支持台とを備え、飲料用容器を前記収容部に収容した状態で支持するとともに、該収容部ごと飲料用容器を傾けることができる特許文献1に記載の液体容器の注入補助具が従来公知である。
【0003】
上記文献の注入補助具によれば、前記収容部内に収容された飲料用容器を持ち上げることなく、前記揺動軸を軸に飲料用容器を任意の傾斜角度で傾けることができるため、作業者に掛かる負担を軽減しつつ、飲料用容器内の飲料をスムーズに注ぐことができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭59-183837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記文献は、飲料の入った液体容器を傾けることで容器上端の注ぎ口から液体を注ぐ作業を補助できるものであるが、前記揺動軸が側面視で前記収容部の上端側に設けられているため、特に容器内が液体で満たされて重量がある場合には、作業者は該容器を傾けるために大きな力が必要となり、液体を注ぐ作業を十分に補助できない場合があるという課題があった。
【0006】
本発明は、液体の入ったボトル状の容器をより少ない力で安定して傾けることができるように補助することにより、よりスムーズに飲料用容器から液体を注ぐことができる注入補助具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、第1に、流体が入ったボトル状の容器の下部側を収容する収容部と、該収容部の姿勢切換をガイドするガイド部とを備え、前記ガイド部は、載置面に対して面接触する支持面と、該支持面と連接する円弧状のガイド面とが形成され、前記収容部は、該収容部の下端側に形成された前記支持面により前記容器を起立姿勢で保持する起立状態と、前記ガイド面を前記載置面に転接させることにより前記容器の注ぎ口から流体を注ぐ注入状態とに切換えられるように構成され、前記収容部は、前記容器の高さ方向を基準として、前記容器下部側の2割以上5割以下の範囲を収容する筒状に形成され、前記ガイド面は、前記支持面の端部から前記収容部の上部側に亘って延設され、前記収容部は、前記ガイド面の幅方向を貫通する孔部又は切欠部が形成され、前記収容部に収容された前記容器下部側の一部が視認できるように構成されたことを特徴としている。
【0008】
第2に、前記ガイド面を、前記載置面の左右両側に一対設け、前記収容部を前記ガイド部の左右中央側に配置したことを特徴としている。
【0009】
第3に、前記収容部と、前記ガイド部とを単一の部材で構成したことを特徴としている。
【0010】
第4に、前記ガイド部は、幅広の半円板状部材によって構成し、前記収容部は、該半円板状部材の弦中央側を凹設することによって形成したことを特徴としている。
【0011】
第5に、前記収容部と、前記ガイド部とを別部材を連結して構成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
前記収容部の下端側に形成した前記支持面と前記ガイド面とによれば、前記支持面によって前記容器を載置面上に安定的に支持できる一方で、前記容器上部の注ぎ口側を把持しつつ、前記載置面上に前記ガイド面を当接させながら前記容器を傾けることによって、作業者はより少ない力で前記容器の傾斜角度を調整できるため、よりスムーズに前記容器内の液体を注ぐことができる。
【0013】
また、前記収容部は、前記収容部の下部側を収容する筒状に形成され、前記ガイド部は、前記収容部の下端側から収容部の側面側に亘って形成されたものによれば、前記収容部内に収容された飲料用容器を傾けた場合における揺動軸が飲料用容器の下側に配置されるため、より少ない力で飲料用容器を傾けてスムーズに飲料を注ぐことができる。
【0014】
また、前記収容部に、孔部又は切欠きを形成したものによれば、前記収容部内に収容した状態であっても、収容部内の飲料用容器のラベルを視認し易くなる。
【0015】
また、前記収容部に、孔部又は切欠きを形成したものによれば、前記収容部に収容した状態で飲料用容器のラベルを視認することができる。
【0016】
また、前記ガイド面を、前記載置面の左右両側に一対設け、前記収容部を前記ガイド部の左右中央側に配置したものによれば、補助具全体のバランスが良好に保たれるため前記起立状態がより安定するとともに、飲料用容器が収容された補助具を左右一方側に傾斜させた状態から作業者が手を離した場合でも、補助具が起立姿勢に復帰するため安全性も向上する。
【0017】
また、前記収容部と、前記ガイド部とを単一の部材で構成したものによれば、部品点数が削減されてより低コストで形成することができる。
【0018】
また、前記ガイド部は、幅広の半円板状部材によって構成し、前記収容部は、該半円板状部材の弦中央側を凹設することによって形成したものによれば、収容部とガイド部とを加工する工程を削減できるため、製造コストをより低く抑えることができる。
【0019】
なお、前記収容部と、前記ガイド部とを別部材を連結して構成したものによれば、補助具全体を軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】飲料用容器をセットした状態を示した正面斜視図である。
図2】(A)及び(B)は、補助具の支持状態と、注入状態とを示したモデル図である。
図3】(A)及び(B)は、補助具の正面図及び平面図である。
図4】(A)及び(B)は、別実施例の補助具の正面図及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施例について説明する。図1は、飲料用容器をセットした状態を示した正面斜視図であり、図2(A)及び(B)は、補助具の支持状態と、注入状態とを示したモデル図であり、図3(A)及び(B)は、補助具の正面図及び平面図である。本発明の注入補助具1(以下、単に補助具)は、液体が入った容器5が収容される収容部2と、該収容部2の下端側に形成されたガイド部3とを備え、前記収容部2内に収容された前記容器を略直立させた起立姿勢で保持する起立状態と、前記容器内を傾斜させて液体を注ぐ姿勢に案内する注入状態とに切換え可能に構成されている。
【0022】
前記容器5は、上端側に注ぎ口5aが形成されたボトル状の容器であって、該注ぎ口5aから容器内の流体状のものを外部に注ぐ(注入)できるものである。具体的には、特に、飲料が入ったボトル状の容器(以下、飲料用容器)であって、飲料が収容されたペットボトルの他、日本酒や焼酎、ワイン等の酒類が保存される瓶(一升瓶や、ワインボトル等)状の容器であるが、流体状ものであれば、調味料や油等の液体の他、粉状や粒状のものであっても良い。
【0023】
前記収容部2は、幅広の板状部材の上面左右中央側を凹設することによって形成されており、前記飲料用容器の少なくとも下部側が収容される筒状の凹部である。このとき、該収容部2(凹部)によって、前記飲料用容器5の下側から2~5割程度(好ましくは3割程度)の高さまで収容されるように形成されている。また、該収容部2の上端側には、幅方向に(図示する例では円弧状に)切欠いた切欠部6が形成されている。
【0024】
該切欠部6は、本体である板状部材の幅(厚さ)方向を貫通するように形成されている。該構成によれば、前記収容部2に飲料用容器5を収容した状態であっても、前記切欠部6を介して飲料用容器5の外周面側に貼付されたラベル(図示しない)を視認することができる。このため、飲料用容器5が収容部2に収容された状態であっても、何れの飲料用容器が補助具1にセットされているか確認し易くなるため、利便性がより高くなる(図1等参照)。
【0025】
また、該切欠部6によって、補助具1の上部側の一部が切欠かくことにより、補助具1全体の重心位置がより下がり、飲料用容器5を収容した補助具1がより安定する。
【0026】
前記ガイド部3は、幅広の板状部材の下端側から左右両側面側に亘って形成された円弧状の面であって、載置面10に対して略水平な面である支持面7と、該支持面7の左右両端側から上方左右外側に向かって形成された円弧状のガイド面8,8とから構成されている。
【0027】
上記支持面7は、前記載置面10に対して水平な面であって、上下方向の前記収容部2の真下側に形成されている。また、該支持面7と、前記収容部2内の底面2aとは略平行となるように形成されている(図3(A)等参照)。
【0028】
該構成によれば、前記補助具1は、前記収容部2に飲料用容器5を収容した状態で、前記支持面7を載置面10上に接地させることにより、飲料用容器5(収容部2)を略直立させた起立姿勢(起立状態)で安定的に保持することができる(図1及び図2(A)等参照)。該起立姿勢は、前記飲料用容器5内の飲料が零れない程度であれば傾いていても良い。
【0029】
上記ガイド面8,8は、前記支持面7の左右両端側から板状部材(前記収容部2)の上面左右両端側に向かって円弧状に形成された面であって、前記支持面7の左右両端から連接して左右一対設けられている。これにより、前記ガイド部3と、前記収容部2が形成される面とによって、補助具1全体が幅広の半円板状に形成されている。
【0030】
該構成によれば、前記補助具1は、前記収納部2により縦長の前記飲料用容器5の下部側を収容するとともに、前記ガイド部3が前記収容部2(飲料用容器5下部側)の左右外方向に延設されることにより、前記飲料用容器5がセットされた補助具1全体の重心がより下側になる。このため、前記補助具1にセットされた飲料用容器5の起立姿勢がより安定する。
【0031】
また、前記補助具1は、起立姿勢の飲料用容器の注ぎ口5a(上部)側を把持して前記飲料用容器5を傾けると、円弧状の前記ガイド面8が載置面10上に線(側面視で点)接触しながら転がることによって補助具1全体をスムーズに傾けられる注入状態に切換えることができる。
【0032】
これにより、作業者は飲料用容器5を持ち上げることなく注ぐことができるため、特に飲料用容器5を開封した直後等、飲料が容器内に大量に残った重い状態であっても、注ぎ口5aから飲料をスムーズに注ぐことができる(図2(B)等参照)。
【0033】
また、該補助具1は、前記飲料用容器5を傾けた際に前記載置面10上に転接するガイド面8上の接地箇所と、作業者が把持する飲料用容器5上部の注ぎ口5a側近傍との間にアーム距離を確保することができるとともに、飲料用容器5が収容された補助具1全体の重心位置が前記ガイド面8の接地位置側に近くなるため、作業者は、飲料用容器5の注ぎ口5aの上下揺動操作(傾斜角度の調整)をより小さい力で行うことができる。
【0034】
なお、前記補助具1は、飲料用容器5がセットされた際に重心位置を下げるとともに、前記ガイド面8,8を支持面7の左右両側に延設したことにより、前記注入状態によって前記飲料用容器5を傾けて飲料を注いでいる状態から作業者が飲料用容器5から手を離した場合であっても、前記補助具1が倒れることなく前記起立姿勢に復帰するように構成されている。
【0035】
ちなみに、上述の補助具1は、図示する例では、木材を幅広の半円状に伐り出した(或いは半円状に加工した)板状部材を本体として用いている。これにより、該補助具1は、上記板状部材に前記収容部2と前記ガイド部3を加工することによって単一の部材によって形成されているため、より低コストで形成することができる。また、該補助具1は、見た目も統一感のあるデザインとなる。
【0036】
次に、図4に基づき、補助具の別実施例について、上述の例と異なる点について説明する。図4(A)及び(B)は、別実施例の補助具の正面図及び平面図である。図4に示されるように、別実施例の補助具1は、前記飲料用容器5の下部側が収容されるように上方が開放された筒状部材によって形成された収容部12と、該収容部12の下端側に形成された円弧状の板状部材であるガイド部13とを備え、該補助部1は、複数(図示する例では2つ)の部材から構成されている。
【0037】
前記収納部12は、前記飲料用ボトル5の下部側が収容(嵌合)される筒状に形成されるとともに、その下端側が湾曲形成された前記ガイド部13の上面の形状に沿って、緩やかな円弧状に加工されている。
【0038】
また、該収容部12の周面側には、前記飲料用容器5の外周面側に貼付されたラベルを視認するための孔部11が穿設されている(図4(A)参照)。図示する例では、該孔部11は、上下に二つ並べて形成されるとともに、補助具の正面と背面にそれぞれ形成されている。なお、該孔部11に代えて、上述の例と同様に、筒状の収納部2の上端側を下方に向かって切欠いた切欠部6としても良い。これにより、補助具1全体の重心位置を下げることもできる。
【0039】
前記ガイド部13は、円弧状(U字状)に湾曲形成された1枚の板状部材であって、その左右方向中央側に形成されて載置面10上に面接触する支持面7と、該支持面7の左右両端側から上方に向かって湾曲形成された左右一対のガイド面8,8とが形成されている。
【0040】
該構成によれば、筒状部材である前記収容部12と、円弧状の板状部材である前記ガイド部13とを連結して前記補助具1を形成することにより、前記収容部12と前記ガイド部13とを、例えばプラスチックやアクリル等の樹脂製の部材の他、金属板を加工することによって形成することができるため、加工の手間が軽減されて製造コストを低く抑えることができるとともに、補助具1全体を軽量化することができる。このとき、該補助具1を透明のアクリル部材等を用いることで、収容部2内の飲料用容器5を容易に視認可能に構成しても良い。
【0041】
ちなみに、上述の補助具1は、約1.8L収容される一升瓶に用いる場合には、収容部2の内周面側の直径が一升瓶の直径に対して1~5mm程度大きく(具体的には直径10.6~11cm程度)なるように形成されており、収容部2内に一升瓶をスムーズに出し入れすることができる。
【0042】
また、前記補助具1は、前記収容部2の高さを底部2aから10~15cm(特に12~14cm、具体的には13cm程度が望ましい)に形成するとともに、前記ガイド部13の上端側を収容部12の上端と同程度に形成することにより、全高が39.5cm程度の一升瓶の下側3割程度が前記収容部2に収容されるように構成されている。さらに、前記収容部2の周面に上下2カ所配置した前記孔部11の直径を5cm程度に形成されている。
【0043】
これにより、前記補助部1は、一升瓶がセットされた状態の重心を下げて円弧状のガイド部13近傍とすることができるため、上述の例と同様に、一升瓶を傾けた前記注入状態から作業者が一升瓶から手を離した場合であっても、一升瓶を収容した前記補助具1が自動的に起立姿勢に復帰するように構成されている。
【符号の説明】
【0044】
2 収容部
3 ガイド部
5 飲料用容器(容器)
6 切欠部
7 支持面
8 ガイド面
11 孔部
図1
図2
図3
図4