(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】異形長尺ワークの曲り矯正装置及び直線状長尺ワークの製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 3/10 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
B21D3/10 C
(21)【出願番号】P 2019113898
(22)【出願日】2019-06-19
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】500146990
【氏名又は名称】上越工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(74)【代理人】
【識別番号】100201237
【氏名又は名称】吉井 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】元井 憲雄
(72)【発明者】
【氏名】野上 将洋
(72)【発明者】
【氏名】田中 学
(72)【発明者】
【氏名】丸山 径
(72)【発明者】
【氏名】小黒 直人
(72)【発明者】
【氏名】野田 修平
(72)【発明者】
【氏名】細川 哲夫
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-247727(JP,A)
【文献】実開平01-143613(JP,U)
【文献】特開昭63-212015(JP,A)
【文献】特開昭60-027420(JP,A)
【文献】特開平08-276216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
曲がっている異形長尺ワークを適宜支承し、
前記異形長尺ワークの長さ方向と交叉する適正方向から押圧部で適正に押圧して直線状に矯正する異形長尺ワークの曲り矯正装置であって、前記押圧部で押圧される前記異形長尺ワークの被押圧部位に着脱自在に設けられる被嵌体を有し、この被嵌体の内周面は前記被押圧部位の外面形状と合致する形状であり、また、この被嵌体の外周面
は円弧面であって前記押圧部で押圧する被押圧面に設定されて
いることを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置。
【請求項2】
請求項1記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、前記異形長尺ワークを軸回転させる回転部を有することを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、前記異形長尺ワークの曲り度合を測定する測定部を有することを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置。
【請求項4】
請求項1~3いずれか1項に記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、前記押圧部の押圧面は縦断面逆V字状若しくは縦断面逆U字状で
あることを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、前記被嵌体の内周面と前記異形長尺ワークの外周面との間に所定のクリアランスが設けられていることを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置。
【請求項6】
請求項1~5いずれか1項に記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、前記被嵌体は複数の分割体で構成され、前記異形長尺ワークを挟持して該異形長尺ワークに被嵌されるように構成されていることを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置。
【請求項7】
請求項6記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、前記分割体夫々を保持する分割体保持部を有し、この分割体保持部夫々は前記分割体同士が接合状態となる位置から該分割体同士が分離状態となる位置まで移動自在に設けられていることを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置。
【請求項8】
請求項6,7いずれか1項に記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、前記分割体同士は接合構造を介して互いに着脱自在に接合されるように構成され、この接合構造は、一方の分割体に開閉可能に設けられた挟持部材により他方の分割体が挟持されて接合されるものであることを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置。
【請求項9】
請求項
7記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、
前記分割体同士は接合構造を介して互いに着脱自在に接合されるように構成され、この接合構造は、前記分割体保持部による保持状態が解除されることで接合状態となり、前記分割体保持部により保持状態となる
と前記接合状態が解除されるように構成されていることを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置。
【請求項10】
曲がっている異形長尺ワークを適宜支承し、該異形長尺ワークの長さ方向と交叉する適正方向から押圧部で適正に押圧して直線状に矯正し直線状の異形長尺ワークとする直線状長尺ワークの製造方法であって、前記異形長尺ワークを所定位置に配設して支承し、前記異形長尺ワークの被押圧部位に下記の被嵌体を設け、前記異形長尺ワークを適宜軸回転させて前記被嵌体の外周面を前記押圧部で前記適正方向から適正に押圧することを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法。
記
前記異形長尺ワークに着脱自在に設けられ、内周面は前記異形長尺ワークの外面形状と合致する形状であり、また、外周面
は円弧面であって前記押圧部で押圧する被押圧面に設定された被嵌体。
【請求項11】
曲がっている異形長尺ワークを適宜支承し、該異形長尺ワークの長さ方向と交叉する適正方向から押圧部で適正に押圧して直線状に矯正し直線状の異形長尺ワークとする直線状長尺ワークの製造方法であって、前記異形長尺ワークを所定位置に配設して支承し、前記異形長尺ワークを適宜軸回転させた後、前記異形長尺ワークの被押圧部位に下記の被嵌体を設け、前記被嵌体の外周面を前記押圧部で前記適正方向から適正に押圧することを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法。
記
前記異形長尺ワークに着脱自在に設けられ、内周面は前記異形長尺ワークの外面形状と合致する形状であり、また、外周面
は円弧面であって前記押圧部で押圧する被押圧面に設定された被嵌体。
【請求項12】
請求項10,11いずれか1項に記載の直線状長尺ワークの製造方法において、前記押圧部の押圧面は縦断面逆V字状若しくは縦断面逆U字状で
あることを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法。
【請求項13】
請求項10~12いずれか1項に記載の直線状長尺ワークの製造方法において、前記被嵌体の内周面と前記異形長尺ワークの外周面との間に所定のクリアランスが設けられていることを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法。
【請求項14】
請求項10~13いずれか1項に記載の直線状長尺ワークの製造方法において、前記被嵌体は複数の分割体で構成され、前記異形長尺ワークを挟持して該異形長尺ワークに被嵌されるように構成されていることを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法。
【請求項15】
請求項14記載の直線状長尺ワークの製造方法において、前記分割体夫々を保持する分割体保持部を有し、この分割体保持部夫々は前記分割体同士が接合状態となる位置から該分割体同士が分離状態となる位置まで移動自在に設けられていることを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法。
【請求項16】
請求項14,15いずれか1項に記載の直線状長尺ワークの製造方法において、前記分割体同士は接合構造を介して互いに着脱自在に接合されるように構成され、この接合構造は、一方の分割体に開閉可能に設けられた挟持部材により他方の分割体が挟持されて接合されるものであることを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法。
【請求項17】
請求項
15記載の直線状長尺ワークの製造方法において、
前記分割体同士は接合構造を介して互いに着脱自在に接合されるように構成され、この接合構造は、前記分割体保持部による保持状態が解除されることで互いに接合状態となり、前記分割体保持部により保持状態となる
と接合状態が解除されるように構成されていることを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異形長尺ワークの曲り矯正装置及び直線状長尺ワークの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、曲がっている金属製の長尺ワークを直線状に矯正する装置として例えば特開2018-130731号に開示される長尺ワークの曲り矯正装置(以下、従来例)が提案されている。
【0003】
この従来例は、長尺ワークを架設状態に支持する左右のワーク支持部と、この長尺ワークの上方に設けられ長尺ワークの長さ方向と交叉する方向(鉛直方向)からこの長尺ワークを押圧する押圧部を有するものであり、長尺ワークを該長尺ワークの曲がり方向が上方を向くようにワーク支持部で架設状態で支持し、この状態で長尺ワークの被押圧部位を押圧部で押圧して曲り方向と逆方向へ長尺ワークを変形させることで曲がっている長尺ワークを直線状に矯正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来例は、
図25に図示したように長尺ワーク70における被押圧部位70aの断面形状が真円でなく異形断面であった場合、この被押圧部位70aを押圧部60で押圧しても、この押圧力は鉛直方向へ作用せず矯正の精度が低いという問題点がある。
【0006】
本発明は、前述した問題点を解消する、従来にない画期的な異形長尺ワークの曲り矯正装置及び直線状長尺ワークの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
曲がっている異形長尺ワーク70を適宜支承し、前記異形長尺ワーク70の長さ方向と交叉する適正方向から押圧部1で適正に押圧して直線状に矯正する異形長尺ワークの曲り矯正装置であって、前記押圧部1で押圧される前記異形長尺ワーク70の被押圧部位70aに着脱自在に設けられる被嵌体2を有し、この被嵌体2の内周面は前記被押圧部位70aの外面形状と合致する形状であり、また、この被嵌体2の外周面は円弧面であって前記押圧部1で押圧する被押圧面2aに設定されていることを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置に係るものである。
【0009】
また、請求項1記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、前記異形長尺ワーク70を軸回転させる回転部6を有することを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置に係るものである。
【0010】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、前記異形長尺ワーク70の曲り度合を測定する測定部7を有することを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置に係るものである。
【0011】
また、請求項1~3いずれか1項に記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、前記押圧部1の押圧面1aは縦断面逆V字状若しくは縦断面逆U字状であることを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置に係るものである。
【0012】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、前記被嵌体2の内周面と前記異形長尺ワーク70の外周面との間に所定のクリアランスが設けられていることを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置に係るものである。
【0013】
また、請求項1~5いずれか1項に記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、前記被嵌体2は複数の分割体2A,2Bで構成され、前記異形長尺ワーク70を挟持して該異形長尺ワーク70に被嵌されるように構成されていることを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置に係るものである。
【0014】
また、請求項6記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、前記分割体2A,2B夫々を保持する分割体保持部3,4を有し、この分割体保持部3,4夫々は前記分割体2A,2B同士が接合状態となる位置から該分割体2A,2B同士が分離状態となる位置まで移動自在に設けられていることを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置に係るものである。
【0015】
また、請求項6,7いずれか1項に記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、前記分割体2A,2B同士は接合構造を介して互いに着脱自在に接合されるように構成され、この接合構造は、一方の分割体2Aに開閉可能に設けられた挟持部材13により他方の分割体2Bが挟持されて接合されるものであることを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置に係るものである。
【0016】
また、請求項7記載の異形長尺ワークの曲り矯正装置において、前記分割体2A,2B同士は接合構造を介して互いに着脱自在に接合されるように構成され、この接合構造は、前記分割体保持部3,4による保持状態が解除されることで接合状態となり、前記分割体保持部3,4により保持状態となると前記接合状態が解除されるように構成されていることを特徴とする異形長尺ワークの曲り矯正装置に係るものである。
【0017】
また、曲がっている異形長尺ワーク70を適宜支承し、該異形長尺ワーク70の長さ方向と交叉する適正方向から押圧部1で適正に押圧して直線状に矯正し直線状の異形長尺ワークとする直線状長尺ワークの製造方法であって、前記異形長尺ワーク70を所定位置に配設して支承し、前記異形長尺ワーク70の被押圧部位70aに下記の被嵌体2を設け、前記異形長尺ワーク70を適宜軸回転させて前記被嵌体2の外周面を前記押圧部1で前記適正方向から適正に押圧することを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法に係るものである。
記
前記異形長尺ワーク70に着脱自在に設けられ、内周面は前記異形長尺ワーク70の外面形状と合致する形状であり、また、外周面は円弧面であって前記押圧部1で押圧する被押圧面2aに設定された被嵌体。
【0018】
また、曲がっている異形長尺ワーク70を適宜支承し、該異形長尺ワーク70の長さ方向と交叉する適正方向から押圧部1で適正に押圧して直線状に矯正し直線状の異形長尺ワークとする直線状長尺ワークの製造方法であって、前記異形長尺ワーク70を所定位置に配設して支承し、前記異形長尺ワーク70を適宜軸回転させた後、前記異形長尺ワーク70の被押圧部位70aに下記の被嵌体2を設け、前記被嵌体2の外周面を前記押圧部1で前記適正方向から適正に押圧することを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法に係るものである。
記
前記異形長尺ワーク70に着脱自在に設けられ、内周面は前記異形長尺ワーク70の外面形状と合致する形状であり、また、外周面は円弧面であって前記押圧部1で押圧する被押圧面2aに設定された被嵌体。
【0019】
また、請求項10,11いずれか1項に記載の直線状長尺ワークの製造方法において、前記押圧部1の押圧面1aは縦断面逆V字状若しくは縦断面逆U字状であることを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法に係るものである。
【0020】
また、請求項10~12いずれか1項に記載の直線状長尺ワークの製造方法において、前記被嵌体2の内周面と前記異形長尺ワーク70の外周面との間に所定のクリアランスが設けられていることを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法に係るものである。
【0021】
また、請求項10~13いずれか1項に記載の直線状長尺ワークの製造方法において、前記被嵌体2は複数の分割体2A,2Bで構成され、前記異形長尺ワーク70を挟持して該異形長尺ワーク70に被嵌されるように構成されていることを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法に係るものである。
【0022】
また、請求項14記載の直線状長尺ワークの製造方法において、前記分割体2A,2B夫々を保持する分割体保持部3,4を有し、この分割体保持部3,4夫々は前記分割体2A,2B同士が接合状態となる位置から該分割体2A,2B同士が分離状態となる位置まで移動自在に設けられていることを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法に係るものである。
【0023】
また、請求項14,15いずれか1項に記載の直線状長尺ワークの製造方法において、前記分割体2A,2B同士は接合構造を介して互いに着脱自在に接合されるように構成され、この接合構造は、一方の分割体2Aに開閉可能に設けられた挟持部材13により他方の分割体2Bが挟持されて接合されるものであることを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法に係るものである。
【0024】
また、請求項15記載の直線状長尺ワークの製造方法において、前記分割体2A,2B同士は接合構造を介して互いに着脱自在に接合されるように構成され、この接合構造は、前記分割体保持部3,4による保持状態が解除されることで互いに接合状態となり、前記分割体保持部3,4により保持状態となると接合状態が解除されるように構成されていることを特徴とする直線状長尺ワークの製造方法に係るものである。
【発明の効果】
【0025】
本発明は上述のように構成したから、異形長尺ワークであっても高精度な矯正が行われるなど、従来にない画期的な異形長尺ワークの曲り矯正装置及び直線状長尺ワークの製造方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図16】本実施例を用いた異形長尺ワーク70の曲り矯正の概略説明図である。
【
図23】別実施例を用いた異形長尺ワーク70の曲り矯正の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0028】
異形長尺ワーク70の被押圧部位70aに被嵌体2を設け、この被嵌体2の被押圧面2a(外周面)を、異形長尺ワーク70の長さ方向と交叉する適正方向から押圧部1で適正に押圧すると、曲がっている異形長尺ワーク70が矯正される。この際、異形長尺ワーク70の曲り度合に応じて該異形長尺ワーク70を適宜回転させ、また、押圧部1による押圧力を適宜制御する。
【0029】
この被嵌体2の内周面は被押圧部位70aの外面形状と合致する形状であり、押圧部1による押圧力は、前述した従来例のように不適正な方向へ作用せず、所望の方向へ作用する為、異形長尺ワーク70は良好に直線状に矯正される。即ち、被嵌体2を介して異形長尺ワーク70を押圧するから被押圧部位70aの形状に左右されず、異形長尺ワーク70を高精度に矯正することができる。
【実施例】
【0030】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0031】
本実施例は、曲がっている異形長尺ワーク70を適宜支承し、該異形長尺ワーク70の長さ方向と交叉する適正方向から押圧部1で適正に押圧して直線状に矯正する異形長尺ワークの曲り矯正装置であって、前記押圧部1で押圧される前記異形長尺ワーク70の被押圧部位70aに着脱自在に設けられる被嵌体2を有し、この被嵌体2の内周面は前記被押圧部位70aの外面形状と合致する形状であり、また、この被嵌体2の外周面の所定箇所は前記押圧部1で押圧する被押圧面2aに設定されている。
【0032】
本実施例では、異形長尺ワーク70として、
図24に図示したように周面に種々の凸状部を有する燃料供給パイプ(切削加工前の鍛造加工済みのワーク)であり、中央部位が被押圧部位70aとなったものである。尚、本実施例は、異形長尺ワーク70でない例えば丸棒ワークの曲がり矯正も勿論可能である。
【0033】
以下、本実施例に係る構成各部について詳細な説明をする。
【0034】
押圧部1は、
図1,3に図示したように装置本体(図示省略)の上方所定位置にして後述する異形長尺ワーク70を支承する支承部5の上方対向位置に設けられており、後述する被嵌体2の円弧面である外周面(被押圧面2a)に当接する押圧面1aは縦断面逆V字状(若しくは縦断面逆U字状)であり、左右対称のテーパー面を有する形状に設けられている。この押圧面1aを縦断面逆V字状(若しくは縦断面逆U字状)にするのは、異形長尺ワーク70を押圧した際、異形長尺ワーク70が該異形長尺ワーク70の長さ方向と直交する方向に移動するのを阻止するためである。
【0035】
また、押圧部1は、支承部5で支承された異形長尺ワーク70の長さ方向と交叉する方向(直交方向)に配され、更に、この押圧部1は図示省略のシリンダーの昇降作動により昇降自在に設けられている。
【0036】
また、押圧部1(押圧面1a)の軸心(左右の当接面1a’がなす角の二等分線)が後述する支承部5で支承された異形長尺ワーク70(被嵌体2)の軸心と一致する位置関係に設けられている。
【0037】
従って、押圧部1は被嵌体2の被押圧面2aに対して押圧面1a(左右の当接面1a’)が安定的に当接した状態で押圧し得ることになる。
【0038】
支承部5は、
図1に図示したように装置本体の上部左右位置に支柱部材5A,5Bを立設して構成されており、この支柱部材5A,5B夫々の上端部に設けられた凹部5a,5bに異形長尺ワーク70の両端部夫々を係止状態で載置して、該異形長尺ワーク70を水平状に架設状態で支承するように構成されている。
【0039】
尚、支承部1の数は適宜設計変更し得るものである。
【0040】
また、支承部5の側方位置には異形長尺ワーク70を回転させる回転部6が設けられている。
【0041】
この回転部6は、
図1に図示したように適宜な駆動源により回転する回転体6aの先端部にチャック部6bを設けて構成されており、このチャック部6bは、支承部5で支承された異形長尺ワーク70の一端部を挟持するように設けられている。
【0042】
従って、回転部6は、チャック部6bで異形長尺ワーク70を挟持した状態で回転体6aを回転させることで当該異形長尺ワーク70を軸回転させることができる。
【0043】
尚、この回転部6の回転量は、制御部(図示省略)により制御される。
【0044】
また、支承部5の支柱部材5A,5B同士間には異形長尺ワーク70の曲り度合を測定する測定部7が設けられている。
【0045】
この測定部7は、
図1,3に図示したように装置本体に設けられた昇降体8の上部位置に片側3本ずつ(合計6本)のダイヤルゲージ機能を備えた伸縮式の計測棒状部材7aを設けて構成されている。
【0046】
この片側に3本設けられる計測棒状部材7a同士の間隔は約100~120cmである。
【0047】
この各計測棒状部材7aは、支承部5で支承された異形長尺ワーク70に下方位置から先端が当接するまで伸長して該異形長尺ワーク70までの距離を計測するもので、曲りのない異形長尺ワーク70(マスターバー)との差を計測し、この距離の違いにより測定対象となる異形長尺ワーク70の曲り度合いを測定するものである。
【0048】
尚、各計測棒状部材7aの下図は適宜変更し得るものである。
【0049】
また、昇降体8には被嵌体支承部9が設けられている。
【0050】
この被嵌体支承部9は、
図1,3に図示したように昇降体8の上部中央位置にして押圧部1の下方対向位置に昇降自在に設けられており、異形長尺ワーク70の矯正作業終了後に被嵌体2の下部に当接し、該被嵌体2を分割体保持部3,4で確実に捕捉し得る位置まで持ち上げるように構成されている。
【0051】
また、昇降体8には支承部5で支承された異形長尺ワーク70の軸回転を阻止する位置決め部10が設けられている。
【0052】
この位置決め部10は、
図8に図示したように昇降体8の上部一側位置にして支承部5の支柱部材5Bの近傍位置に昇降自在に設けられており、支承部5で支承された異形長尺ワーク70に当接して該異形長尺ワーク70が自重により軸回転しようとすることを阻止するように構成されている。
【0053】
また、位置決め部10は、異形長尺ワーク70に対する被嵌体2の装着完了後に降下することで異形長尺ワーク70の回転阻止状態が解除される。
【0054】
また、昇降体8には、後述する被嵌体2を構成する各分割体2A,2B夫々を保持する分割体保持部3,4が設けられている。
【0055】
具体的には、各分割体保持部3,4は、
図3,4に図示したように後述する移動部11,12の先端部に開閉移動する挟持体3a,4aを設けて構成されている。
【0056】
この各挟持体3a,4aの内面部には複数の軸状部3b,4bが設けられており、各挟持体3a,4aを閉じ移動させた際、一の軸状部3b,4bは、後述する分割体2A,2Bの保持孔2bに貫挿して保持する機能を発揮するとともに、他の軸状部3b,4bは、分割体2A,2Bの側面に当接して保持する機能を発揮し、各分割体保持部3,4により各分割体2A,2Bは保持される。
【0057】
また、各分割体保持部3,4は、各分割体2A,2Bを保持した状態から各挟持体3a,4aを開き移動させた際、一の軸状部3b,4bは、分割体2A,2Bの保持孔2bから抜けて保持する機能が解除されるとともに、他の軸状部3b,4bは、分割体2A,2Bの側面から離れて保持する機能が解除され、各分割体保持部3,4による各分割体2A,2Bへの保持が解除される。
【0058】
また、一方の分割体保持部3の挟持体3aには、閉じ移動させた際、分割体2Aのスライド軸部15を押し込む押し込み部3cが設けられている。
【0059】
後述するように、この分割体2Aのスライド軸部15は、押し込み操作することで分割体2A,2B同士の接合を解除することに機能するものであり、よって、各分割体保持部3,4が各分割体2A,2Bを保持することで、分割体2A,2B同士の接合は解除される。
【0060】
また、各分割体保持部3,4は、
図3に図示したように分割体2A,2B同士が接合状態となる位置から該分割体2A,2B同士が分離状態となる位置まで移動自在に設けられている。
【0061】
具体的には、昇降体8の上部所定位置には、移動部11,12が互いに前後方向に移動するように設けられており、この移動部11,12に分割体保持部3,4が設けられている。
【0062】
従って、各分割体保持部3,4は、互いに接離移動して各挟持体3a,4aを開閉移動させることで、分割体2A,2B同士を接合状態としたり、分離状態としたりすることができる。
【0063】
被嵌体2は、複数の分割体2A,2Bで構成され、異形長尺ワーク70を挟持して該異形長尺ワーク70に被嵌されるように構成されている。
【0064】
具体的には、この被嵌体2を構成する各分割体2A,2Bは、
図2,3に図示したように適宜な金属製の部材で形成された半円形状体であり、この分割体2A,2A同士の内周面同士を重合させて被嵌体2を構成した際、外形が真円の円盤形状体となる。
【0065】
また、分割体2A,2B夫々の互いに重合する内周面には、異形長尺ワーク70に被嵌するワーク被嵌部を形成する凹部2’が設けられており、この被嵌体2(ワーク被嵌部)の内周面(凹部2’の内面)は異形長尺ワーク70(被押圧部位70a)の外面形状(断面形状)と合致する形状である。
【0066】
また、被嵌体2(ワーク被嵌部)の内周面(凹部’の内面)と異形長尺ワーク70の外周面との間に所定のクリアランスが設けられている。
【0067】
このクリアランスは、被嵌体2(ワーク被嵌部)内でのある程度までの異形長尺ワーク70の変形を許容するための隙間であり、その他、後述する分割体保持部3,4を利用しての被嵌体2に対する異形長尺ワーク70の着脱が支障なく行われるようにするための隙間としても機能する。
【0068】
また、分割体2A,2B夫々の外周面(全周面)は押圧部1で押圧する被押圧面2aに設定されており、この被押圧面2aは円弧面に設けられている。この被押圧面2aを円弧面にするのは、前述した押圧部1の押圧面1aにより安定的に押圧させる為である。
【0069】
また、分割体2A,2B夫々の左右側面には、各分割体保持部3,4の軸状部3b,4bが貫挿する保持孔2bが貫通状態に設けられ、更に、一方の分割体2Bの左右側面には、後述する挟持部材13の凸部13aが貫挿する連結孔2cが貫通状態に設けられている。
【0070】
また、分割体2A,2B同士は接合構造を介して互いに着脱自在に接合されるように構成されている。
【0071】
具体的には、分割体2A,2B同士は該分割体2A,2B夫々の左右側面に重合状態で配される挟持部材13(板材)を介して接合される。
【0072】
この各挟持部材13は、
図5,6に図示したように適宜な金属製の部材で形成されたC字状体であり、その内面後方位置には、一方の分割体2Aに設けられたガイド孔14にスライドするスライド軸部15が設けられて、このスライド軸部15がスライドすることで各挟持部材13は内外方向に移動自在に設けられており、更に、分割体2Aを貫通するスライド軸部15の先端部には付勢部材16(コイルバネ)が設けられ、この付勢部材16に付勢されて各挟持部材13は分割体2Aの左右側面に圧接するように設けられている。
【0073】
従って、各挟持部材13は、分割体保持部3の挟持体3aに設けられた押し込み部3cによりスライド軸部15の先端部が付勢部材16の付勢に抗して押し込み操作されることで分割体2Aの左右側面から離反方向に移動し(
図5参照)、この押し込み力を解除することで分割体2Aの左右側面に圧接するまで接近方向に移動する(
図6参照)。
【0074】
また、各挟持部材13の内面前方位置には、凸部13aが設けられており、この凸部13aは、他方の分割体2Bに貫通状態に設けられた孔2cに貫挿する。
【0075】
従って、分割体2A,2B同士を重合させた状態で挟持部材13を接近方向に移動させると、各挟持部材13は分割体2A,2B夫々の左右側面に圧接することになり、この際、各挟持部材13に設けられた凸部13aが分割体2Bの側面に設けられた孔2cに貫挿することで、分割体2A,2B同士は接合する。この接合構造は、分割体保持部3,4による保持状態が解除されることで互いに接合状態となり、これとは反対に、分割体保持部3,4による保持状態となることで接合状態が解除される。
【0076】
尚、本実施例では、異形長尺ワーク70の被押圧部位70aに被嵌体2を装着した後に回転部6により該異形長尺ワーク70を軸回転させる構成としたが、回転部6により異形長尺ワーク70を軸回転させた後に該異形長尺ワーク70の被押圧部70aに被嵌体2を装着する構成としても良い。
【0077】
以上の構成から成る本実施例に係る異形長尺ワーク70の曲り矯正装置の使用手順は次の通りである。
【0078】
例えば切削加工前で鍛造加工済みの燃料供給パイプは熱処理により直線状でないものがおよそ95%できる。
【0079】
この直線状でないものの中で一方向に曲がっているものはおよそ80%程度、二方向以上に曲がっているものはおよそ20%程度である。
【0080】
二方向以上に曲がっているもので矯正できないものは人手により処理するが、一方向に曲がっているものを、本実施例により矯正する。尚、一方向に曲がっているものでも本実施例で矯正できないものは人手により処理する。
【0081】
即ち、一方向に曲がっているものは、曲り度合(曲り方向及び曲り量)が夫々異なるが、予め設定しておいたクリアランスにより、ある程度までの曲り度合に対応できるように被嵌体2の内面形状は設定されている(つまり、設定された内面形状に合致しない曲り度合のワークは自ずから矯正不能となる。)。
【0082】
従って、被嵌体2の内面形状は、対象ワークの形状を考慮して数種類作成する場合もある。
【0083】
まず、予め曲りのないワーク70(異形長尺ワーク70である燃料供給パイプ)の情報を制御部に設定する。
【0084】
具体的には、曲りのないワーク70(マスターバー)を支承部5で支承する。
【0085】
続いて、このマスターバーに対し、測定部7における片側3本(合計6本)の各計測棒状部材7aを下方から斜め上方へ突出させて当接させ、この各計測棒状部材7aが突出して停止した位置をゼロ値として制御部に設定して事前処理が完了する。
【0086】
以降は各ワーク70に対して各計測棒状部材7aを当接させた際のゼロ値からの+-の数値により、曲がっていないか、若しくは、曲り度合、即ち、どの方向にどれくらい曲がっているかが測定、演算、回転し、その後矯正が行われる。
【0087】
例えば、矯正するワーク70に被嵌体2を設け、このワーク70を角度A(適正角度)だけ軸回転させ、被嵌体2の上方から押圧部1を適正な矯正量B(押圧部1の降下量)で押圧してワーク70を直線状に矯正する。この角度Aと矯正量B(押圧部1の降下量)は計算によっても算出可能であるが、ワーク70は異形であり、その計算は複雑となる為、何本かのワーク70により前記角度A及び矯正量B(押圧部1の降下量)をデータとして保管しておくと、測定した曲り度合に応じた角度Aと矯正量B(押圧部1の降下量)を得ることができる。
【0088】
以下、曲がっている異形長尺ワーク70を直線状にする方法(矯正方法)について図面に基づき説明する。
【0089】
先ず、支承部5に異形長尺ワーク70が支承されると、昇降体8が上昇して測定部7が所定高さ位置まで移動し、この状態で各計測棒状部材7aが突出して異形長尺ワーク70に当接して該異形長尺ワーク70の曲り度合が測定される(
図9参照)。この際、支承部5で支承された異形長尺ワーク70は、位置決め部10により軸回転が阻止され定位置に位置決めされており、この位置決め部10は、回転部6のチャック部6bで異形長尺ワーク70を挟持した後に降下する。また、測定部7による測定が終わると昇降体8は降下する。
【0090】
続いて、矯正が必要であるとの測定結果が出た異形長尺ワーク70の被押圧部位70aには被嵌体2が装着される。
【0091】
具体的には、分割体保持部3,4が接近移動して異形長尺ワーク70を間に介した状態(凹部2’で被嵌した状態)で分割体2A,2B同士を重合し(
図10,11参照)、この状態で分割体保持部3,4の挟持体3a,4aを開き移動させると、分割体2A,2Bの保持孔2bから軸状部3b,4bが抜けると共に、付勢部材16に付勢されて各挟持部材13は分割体2A,2Bの左右側面に圧接して挟持部材13の凸部13aが分割体2Bの連結孔2cに貫挿し、分割体2A,2B同士は接合状態となる(
図12参照)。その後、分割体保持部3,4は離反移動する(
図13参照)。
【0092】
この異形長尺ワーク70に対する被嵌体2の装着の際、予め異形長尺ワーク70は回転部6のチャック部6bで挟持されている。
【0093】
続いて、回転部6の回転体6aが所定角度回転することで当該異形長尺ワーク70及び被嵌体2が軸回転する(
図14参照)。押圧部1による適正方向からの押圧が可能となる。
【0094】
続いて、押圧部1を鉛直方向に降下させて被嵌体2を適正な押圧力で押圧して異形長尺ワーク70は下方へ変形して矯正される(
図15,16参照)。
【0095】
この際、被嵌体2の被押圧面2aに押圧部1における左右の当接面1aが当接して確実に鉛直方向へ変形される。
【0096】
続いて、回転部6の回転により異形長尺ワーク70を初期位置(被嵌体2の装着時の位置)まで戻す(
図17参照)。
【0097】
続いて、被嵌体支承部9が上昇して被嵌体2の下部に当接し、該被嵌体2を分割体保持部3,4で保持し得る位置まで持ち上げる(
図18参照)。
【0098】
続いて、異形長尺ワーク70の被押圧部位70aから被嵌体2が取り外される。
【0099】
具体的には、分割体保持部3,4が接近移動し(
図19参照)、この状態で分割体保持部3,4の挟持体3a,4aを閉じ移動させると、分割体2A,2Bの保持孔2bへ軸状部3b,4bが貫挿すると共に、付勢部材16の付勢に抗してスライド軸部15が押圧されると各挟持部材13は分割体2A,2Bの左右側面から離れて挟持部材13の凸部13aが分割体2Bの連結孔2cから抜けると、分割体2A,2B同士は分離状態となる(
図20参照)。その後、分割体保持部3,4は離反移動する(
図21,22参照)。
【0100】
続いて、測定部7により異形長尺ワーク70が直線状に矯正されたか否かを測定する。尚、本装置による矯正を規定回数行って直線状にならないものは不良品とする。
【0101】
尚、本実施例は、矯正処理する異形長尺ワーク70として一方向に曲がっている異形長尺ワーク70を対象とし、押圧部1及び被嵌体2の数や位置を前述したように設けているが、この押圧部1及び被嵌体2の数や位置は適宜設計変更し得るものである。
【0102】
具体的には、矯正処理する異形長尺ワーク70として二方向以上に曲がっている異形長尺ワーク70を対象とする場合、例えば、
図23に図示したように異形長尺ワーク70の任意の複数箇所に被嵌体2を設け、この各被嵌体2に対して押圧部1を最適な位置に最適な方向から押圧する(各押圧部1を同時に作動させて押圧する)ように設けて、異形長尺ワーク70を直線状に矯正できる構成としても良い。
【0103】
また、押圧部1を複数設けた場合、前述したように各押圧部1を同時に作動させて被嵌体2を押圧する構成としても、各押圧部1を異なる任意のタイミングで作動させて被嵌体2を押圧する構成としても良い。
【0104】
また、複数の押圧部1を上下位置や左右位置などの対応位置に配し、即ち、例えば、一の押圧部1を支承部5で支承された異形長尺ワーク70の上方位置に配し、他の押圧部1を支承部5で支承された異形長尺ワーク70の下方位置に配した場合、上方位置の押圧部1を作動させて被嵌体2を押圧する際、下方位置の押圧部1を被嵌体2に当接させることで、異形長尺ワーク70を支承する支承部として機能させる構成としても良く、その反対に、下方位置の押圧部1を作動させて被嵌体2を押圧する際、上方位置の押圧部1を被嵌体2に当接させることで、異形長尺ワーク70を支承する支承部として機能させる構成としても良く、更に、この押圧する側と支承する側とが交互に切り替え可能となる構成としても良い。
【0105】
本実施例は上述のように構成したから、被嵌体2を介して異形長尺ワーク70を押圧するから被押圧部位70aの形状に左右されず、異形長尺ワーク70を高精度に矯正することができる。
【0106】
また、本実施例は、押圧部1の押圧面1aは縦断面逆V字状(縦断面逆U字状)であり、また、被押圧面2aは円弧面であるから、押圧部1における安定的な鉛直方向への押圧が行われることになる。
【0107】
また、本実施例は、被嵌体2の内周面と異形長尺ワーク70の外周面との間に所定のクリアランスが設けられているから、被嵌体2(ワーク被嵌部)内でのある程度までの異形長尺ワーク70の変形が許容され、その他、分割体保持部3,4を利用しての被嵌体2における異形長尺ワーク70への着脱が支障なく行われることになる。
【0108】
また、本実施例は、被嵌体2は複数の分割体2A,2Bで構成され、異形長尺ワーク70を挟持して被嵌されるように構成されているから、異形長尺ワーク70に対する被嵌体2の着脱が良好に行われることになる。
【0109】
また、本実施例は、分割体2A,2B夫々を保持する分割体保持部3,4を有し、この分割体保持部3,4夫々は分割体2A,2B同士が接合状態となる位置から該分割体2A,2B同士が分離状態となる位置まで移動自在に設けられているから、より一層異形長尺ワーク70に対する被嵌体2の着脱が良好に行われることになる。
【0110】
また、本実施例は、分割体2A,2B同士は接合構造を介して互いに着脱自在に接合されるように構成され、この接合構造は、一方の分割体2Aに開閉可能に設けられた挟持部材13により他方の分割体2Bが挟持されて接合されるものであるから、簡易な構造で前述した作用効果が確実に奏されることになる。
【0111】
また、本実施例は、分割体2A,2B同士の接合構造は、分割体保持部3,4による保持状態が解除されることで互いに接合状態となり、分割体保持部3,4により保持状態となることで接合状態が解除されるように構成されているから、より一層異形長尺ワーク70に対する被嵌体2の着脱が良好に行われることになる。
【0112】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0113】
1 押圧部
1a 押圧面
2 被嵌体
2a 被押圧面
2A 分割体
2B 分割体
3 分割体保持部
4 分割体保持部
6 回転部
7 測定部
13 挟持部材
70 異形長尺ワーク
70a 被押圧部位