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特許7137221管路異常監視方法及び管路異常監視システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】管路異常監視方法及び管路異常監視システム
(51)【国際特許分類】
   E03F 5/02 20060101AFI20220907BHJP
   E03F 7/00 20060101ALI20220907BHJP
   E02D 29/12 20060101ALI20220907BHJP
   G01F 23/00 20220101ALI20220907BHJP
【FI】
E03F5/02
E03F7/00
E02D29/12 Z
G01F23/00 D
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019151207
(22)【出願日】2019-08-21
(65)【公開番号】P2021031901
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】592185666
【氏名又は名称】管清工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091410
【弁理士】
【氏名又は名称】澁谷 啓朗
(72)【発明者】
【氏名】深谷 渉
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-105820(JP,A)
【文献】特開平07-312786(JP,A)
【文献】特開2008-179992(JP,A)
【文献】特開2011-106113(JP,A)
【文献】特開2008-286654(JP,A)
【文献】特開2009-230491(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03F 5/02
E03F 7/00
E02D 29/12
G01F 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路に発生する異常水位又は異常振動を監視する管路異常監視方法であって、
管路に構成されたマンホール構造物内に、このマンホール構造物での異常に上昇した水位又はこのマンホール構造物の異常に激しい振動により管路の流水に放出されるようにICタグを取り付けておき、
管路の流水に放出されて管路の下流側に流れる前記ICタグの識別情報を、前記ICタグが取り付けられた前記マンホール構造物よりも下流側に設けたICリーダ装置で読み取り、
前記ICリーダ装置で読み取った前記ICタグの前記識別情報により異常水位又は異常振動が生じたマンホール構造物を特定する、ことを特徴とする管路異常監視方法。
【請求項2】
前記ICタグは、前記マンホール構造物に設けた保持部材の保持部に保持されることにより前記マンホール構造物に取り付けられていて、
前記ICタグは、流水の水位が前記保持部材の前記保持部に達したときに、流水に押されて又は浮かんで前記保持部の外側に移動することにより管路の流水に放出される、ことを特徴とする請求項1記載の管路異常監視方法。
【請求項3】
前記ICタグは、前記マンホール構造物に設けた保持部材の保持部に保持されることにより前記マンホール構造物に取り付けられていて、
前記ICタグは、異常振動が前記保持部材の前記保持部を揺れ動かしたときに、前記保持部の外側に移動又は落下することにより管路の流水に放出される、ことを特徴とする請求項1記載の管路異常監視方法。
【請求項4】
前記ICタグは、前記マンホール構造物に設けた保持部材の保持部に保持されることにより前記マンホール構造物に取り付けられていて、
前記ICタグは、
流水の水位が前記保持部材の前記保持部に達したときに、流水に押されて又は浮かんで前記保持部の外側に移動することにより管路の流水に放出されるとともに、
異常振動が前記保持部材の前記保持部を揺れ動かしたときに、前記保持部の外側に移動又は落下することにより管路の流水に放出される、ことを特徴とする請求項1記載の管路異常監視方法。
【請求項5】
管路に発生する異常水位又は異常振動を監視する管路異常監視システムであって、
管路に構成されているマンホール構造物に取り付けられたICタグ保持部材と、
前記マンホール構造物での異常に上昇した水位又は前記マンホール構造物の異常に激しい振動により管路の流水に放出されるように前記ICタグ保持部材に保持されたICタグと、
前記ICタグ保持部材が取り付けられている前記マンホール構造物よりも下流側に設けられ、管路の流水に放出されて管路の下流側に流れる前記ICタグの識別情報を読み取るICリーダ装置と、を備え、
前記ICリーダ装置で読み取った前記ICタグの前記識別情報により異常水位又は異常振動が生じたマンホール構造物を特定する、ことを特徴とする管路異常監視システム。
【請求項6】
前記ICタグ保持部材は、前記マンホール構造物に取り付けるための取り付け部と、この取り付け部に水平状に設けられたリング状の保持部と、を有し、
前記ICタグは球状体であり、前記リング状の保持部に載せられて保持されている、ことを特徴とする請求項5記載の管路異常監視システム。
【請求項7】
前記ICタグ保持部材は、前記マンホール構造物に取り付けるための取り付け部と、こ
の取り付け部に水平状に設けられたリング状の保持部と、を有し、
前記ICタグはコイン状に形成され、前記リング状の保持部に載せられて外周側が支えられることにより保持されている、ことを特徴とする請求項5記載の管路異常監視システム。
【請求項8】
前記ICタグ保持部材は、前記マンホール構造物に取り付けるための取り付け部と、この取り付け部に設けられた保持部と、を有し、
前記ICタグはプレート状又はラベル状に形成され、両端部が支えられるように保持部に載せられて保持されている、ことを特徴とする請求項5記載の管路異常監視システム。
【請求項9】
前記ICタグ保持部材の前記取り付け部は、マンホール構造物への取り付け高さを調節するための調節構造を有している、ことを特徴とする請求項6、7又は8記載の管路異常監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下水管路などの管路で発生する陥没や溢水などの異常を監視する管路異常監視方法及び管路異常監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
管路施設では、集中豪雨や管路の詰りによって溢水が生じたり、地震によって管路が崩壊し陥没が発生するおそれがある。溢水や陥没により被害を防ぐためには溢水や陥没の前兆又は原因の発生を監視し、そのような前兆又は原因が確認されしだい、溢水や陥没に対する対処を行うべきであるが、溢水や陥没の被害の発生後の住民等からの通報などにより対応している場合がほとんどであり、復旧費用が膨大となってしまう。
【0003】
ところで、溢水の前兆は管路の流水の水位上昇である。したがって、マンホール構造物内にICリーダを配置し、マンホール構造物に隣接する管路部分に底部から頂部わたって複数個のICタグを取り付けておき、それぞれのICタグとICリーダとの無線通信により流水量の計測を行うように構成すれば、溢水の前兆である管路の流水の水位上昇を確認することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-194659号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような管路水量計測装置で長い管路にわたって効果的な水量計測を実現するには、マンホール構造物ごとに又は所定範囲内のマンホール構造物群ごとに、ICリーダと複数個のICタグを配置することが必要であるためコスト高となってしまう。しかも管路部分へのICタグの配置作業が補修ライニング時にしか効率的に行えないおそれもある。
【0006】
そこで本発明は、膨大かつ広大な管路網を対象とした効果的な常時異常監視方法及び常時異常監視システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するための本発明の管路異常監視方法は、管路に発生する異常水位又は異常振動を監視する管路異常監視方法であって、管路に構成されたマンホール構造物内に、このマンホール構造物での異常に上昇した水位又はこのマンホール構造物の異常に激しい振動により管路の流水に放出されるようにICタグを取り付けておき、管路の流水に放出されて管路の下流側に流れる前記ICタグの識別情報を、前記ICタグが取り付けられた前記マンホール構造物よりも下流側に設けたICリーダ装置で読み取り、前記ICリーダ装置で読み取った前記ICタグの前記識別情報により異常水位又は異常振動が生じたマンホール構造物を特定するものである。ここでの管路異常監視方法は、管路に発生する異常水位を監視する管路異常監視方法と、管路に発生する異常振動を監視する管路異常監視方法と、管路に発生する異常水位及び異常振動を監視する管路異常監視方法と、を含んでいる。溢水又は陥没の前兆又は原因である異常に上昇した水位又は異常に激しい振動が発生するとマンホール構造物内に取り付けてあるICタグがマンホール構造物から流水に放出され又は落下する。ICタグは全体として比重が1より小さく、流水に浮くように構成されている。したがって、流水に放出され又は落下したICタグは浮かびながら流水の流れに乗って下流側に移動する。下流側では、ICリーダ装置がICリーダ装置の配置位置を通過するICタグの識別情報を読み取って、例えば管路管理事務所のパソコン又は管路管理者の携帯端末に当該識別情報を送信する。ICタグの識別情報とICタグが取り付けられていたマンホール構造物とは紐付け管理されている。ここでは、マンホール構造物ごとに又はマンホール構造物群ごとに、例えば一つのICタグが用いられる。ICリーダ装置は複数又は多数のマンホール構造物に対して、例えば一つ用いられる。ICリーダ装置はポンプや下水処理場に設けることもできる。異常水位は豪雨や下水管の下流側での詰まりなどにより発生し、異常振動は地震や建物の倒壊などによる衝撃によって発生する。
【0008】
ICタグは、マンホール構造物に設けた保持部材の保持部で保持してマンール構造物に取り付けておくことができる。ICタグは、流水の水位が保持部材の保持部位置に達したときに、流水に押されて又は浮かんで保持部の外側に移動することにより管路の流水に放出される。あるいは、ICタグは、異常振動が保持部材の保持部を揺れ動かしたときに、保持部の外側に移動又は保持部から落下することにより管路の流水に放出される。ICタグは、流水の水位が保持部材の保持部位置に達したときに、流水に押されて又は浮かんで保持部の外側に移動することにより管路の流水に放出され、かつ、異常振動が保持部材の保持部を揺れ動かしたときに、保持部の外側に移動又は保持部から落下することにより管路の流水に放出されるようにしておくことができる。
【0009】
また、この目的を達成するための本発明の管路異常監視システムは、管路に発生する異常水位又は異常振動を監視する管路異常監視システムであって、管路に構成されているマンホール構造物に取り付けられたICタグ保持部材と、前記マンホール構造物での異常に上昇した水位又は前記マンホール構造物の異常に激しい振動により管路の流水に放出されるように前記ICタグ保持部材に保持されたICタグと、前記ICタグ保持部材が取り付けられている前記マンホール構造物よりも下流側に設けられ、管路の流水に放出されて管路の下流側に流れる前記ICタグの識別情報を読み取るICリーダ装置と、を備え、前記ICリーダ装置で読み取った前記ICタグの前記識別情報により異常水位又は異常振動が生じたマンホール構造物を特定するものである。ICタグ保持部材は、マンホール構造物に取り付けるための取り付け部と、この取り付け部に水平状に設けられたリング状の保持部と、を有するものとすることができ、ICタグは球状体であり、リング状の保持部に載せられて保持されているものとすることができる。あるいは、ICタグはコイン状に形成され、リング状の保持部に載せられて外周側が支えられることにより保持されているものとすることもできる。また、ICタグはプレート状又はラベル状に形成され、両端部が支えられるように保持部に載せられて保持されているものとすることができる。
【0010】
ICタグ保持部材の取り付け部は、マンホール構造物への取り付け高さを調節するための調節構造を有しているのが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、数少ないICタグ及びICリーダ装置を用いて大規模な管路の異常を常時監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る管路異常監視方法及び管路異常監視システムの全体的構成を説明する図である。
図2】ICタグ及びICリーダ装置の構成を示す図である。
図3】ICタグの具体的形状を示す図である。
図4】コイン型のICタグに適した保持部材を示す図である。
図5】ラベル型のICタグに適した保持部材を示す図である。
図6】球型のICタグに適した保持部材を示す図である。
図7】ICリーダ装置の具体的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0014】
まず、図1を参照して本発明に係る管路異常監視方法及び管路異常監視システムの全体的構成を説明する。図1は、水位の異常上昇を監視する方法及びシステム、異常振動の発生を監視する方法及びシステム、そして水位の異常上昇及び異常振動の発生の両方を監視する方法及びシステムを説明するための図である。
【0015】
下水管路1に設置された上流側のマンホール構造物3には保持部材5によりICタグ7が所定の高さに保持されている(図1a)。ここでは、ICタグ7として電源を内蔵しないパッシブ型のものが用いられている。図1aでは下水管路1の下水流9の水位は通常の状態に保たれているが、例えば、マンホール構造物3の下流側の下水管路1に堆積物11が発生し、マンホール構造物3での下水流9の水位がICタグ7の保持高さまで又はICタグ7の保持高さを越えて上昇すると、ICタグ7は下水流9に浮かんで保持部材5から離れ、下水流9に放出される(図1b)。下水流9に放出されたICタグ7は下水流9の流れに乗ってA位置、B位置、C位置と下流側に移動するが、下流側に設置されているマンホール構造物13を通過する際に(符号D参照)、このマンホール構造物13に設けられたICリーダ装置15と通信し、ICリーダ装置15はこのICタグ7の識別情報を取得する。ICリーダ装置15はICタグ7の識別情報を取得すると、管理者の携帯端末(例えばスマートホン)17及びパソコン(図示せず)に取得した識別番号及び/又は対応するマンホール構造物情報を送信する。ICタグ7の識別番号及び/又はマンホール構造物情報を受信した管理者はマンホール構造物3で異常が発生したことを確認できる。
【0016】
また、図1cに示すように、地震によりマンホール構造物3が激しく振動して保持されていたICタグ7が保持部材5から放出されて下水流9に落下し、下水流9の流れに乗ってA位置、B位置、C位置と下流側に移動する場合にも、マンホール構造物13を通過する際に(符号D参照)、ICリーダ装置15と通信し、ICリーダ装置15はこのICタグ7の識別情報を取得して、管理者の携帯端末(例えばスマートホン)17及びパソコンに取得した識別番号及び/又はマンホール構造物情報を送信する。そしてICタグ7の識別情報及び/又はマンホール構造物情報を受信した管理者はマンホール構造物3で異常が発生したことを確認できる。
【0017】
図2はICタグ7及びICリーダ装置15の構成を示す図である。
【0018】
ICタグ7は、アンテナ19と、自身の識別情報を記憶したメモリを有するICチップ21と、アンテナ19及びICチップ21のカバー23と、から構成され、ICリーダ装置15からの電波をアンテナ19で受けて起動し、ICチップ21に記憶している識別情報をアンテナ19から発信する。ICリーダ装置15は、監視ゲート(アンテナ)25と、監視ゲート25を通じて取得したICタグ7の識別情報を読み込むためのリーダ(リーダライタ)27と、リーダ27で読み込んだ識別情報に関する情報を管理者の携帯端末17及びパソコンに送信するための通信装置29と、を備えている。リーダ27は受信したICタグ7の識別情報を管理者の携帯端末17及びパソコンに送信することができる。あるいは、リーダ27はICタグ7の識別情報と対応するマンホール構造物情報(例えば当該ICタグが設けられたマンホール構造物番号及び住所)を記憶していて、対応するマンホール構造物情報を受信したICタグ7の識別情報とともに、又は対応するマンホール構造物情報のみを通信装置29を介して管理者の携帯端末17及びパソコンに送信する。リーダ27が受信したICタグ7の識別情報のみを管理者の携帯端末17及びパソコンに送信する場合には、管理者の携帯端末17及びパソコンはICタグの識別情報とマンホール構造物番号及び住所との対応関係を有しているのが好ましい。
【0019】
図3はICタグ7の具体的形状を示す図である。
【0020】
ICタグ7はアンテナ19及びICチップ21を円形のプラスチックパッケージ31でカバーしたコイン型のものとすることができる(図3a)。ポンプ場のポンプの閉塞を防止するため、直径を30mm以下としておくことが好ましい。コイン型のICタグ7は、例えば水位の異常上昇を検出するために用いられる。ICタグ7はまた、アンテナ19及びICチップ21を耐水性のあるPETフィルム等33でカバーした長方形状の薄肉体であるラベル型のものとすることができる(図3b)。ポンプ場のポンプの閉塞を防止するため、長辺方向の長さを75mm以下としておくことが好ましい。ラベル型のICタグ7は、例えば水位の異常上昇を検出するために用いられる。ICタグ7はさらに、耐水性のあるプラスチック等のケース35内にアンテナ19及びICチップ21を組み込んだ球型のものとすることができる(図3c)。ポンプ場のポンプの閉塞を防止するため、直径を30mm以下としておくことが好ましい。球型のICタグ7は、例えば水位の異常上昇及びマンホール構造物の異常振動を検出するために用いられる。
【0021】
図4乃至図6はそれぞれのICタグ7に適した保持部材5を示す図である。
【0022】
図4に示す保持部材5はコイン型のICタグ7に適したものであり、マンホール構造物3に取り付けるため取り付け部37と、コイン型のICタグ7を載せて保持できるようにこの取り付け部37の下端部に設けられた保持部39と、を例えば一体的に備えていて、取り付け部37にはビス通し孔41(調節構造)が縦に長く形成されている。取り付け部37はマンホール構造物3の内面に適合するように水平方向に若干湾曲している。保持部材5の保持部39は中心孔43を有するリング状部として形成され、中心孔43の上側は大径の支持部分45として形成され、中心孔43の下側は小径の下水上昇部分47として形成されている(図4a)。このような保持部材5は、マンホール構造物3の内面の下水管接続端部49の上方に、取り付け部37のビス通し孔41に通したビス51をねじ込むことによりマンホール構造物3に取り付けることができる。保持部材5は、保持部39が水平状態となるようにマンホール構造物3に取り付けられる。また、保持部材5は、保持部39が下水管接続端部49の高さ方向中央又は上側に位置するようにマンホール構造物3に取り付けられる。ビス51のねじ込みを緩め、ビス51に沿ってビス通し孔41を移動させ、再びビス51をねじ込むことにより、保持部39の高さ位置を調整することができる(図4bの矢印参照)。コイン型のICタグ7は、中心孔43の上側の支持部分45に嵌められて保持されているが、下水流9の水位が上がり、下水流9が中心孔43の下水上昇部分47内を上昇してコイン型のICタグ7の裏面に到達すると、上昇する下水流9に浮かんで保持部39から離れ、下水流9に放出される。
【0023】
図5に示す保持部材5はラベル型のICタグ7に適したものであり、マンホール構造物3に取り付けるため取り付け部53と、ラベル型のICタグ7を載せて保持できるようにこの取り付け部53の下端部に設けられた保持部55と、から例えば一体的に構成されていて、取り付け部53にはビス通し孔57(調節構造)が縦に長く形成されている。取り付け部53はマンホール構造物3の内面に適合するように水平方向に若干湾曲している。保持部材5の保持部55は底面部59の両側に側壁部61、61を有する断面コ字状の載置部として形成されていて、両側壁部61、61にはラベル型のICタグ7の両端部が嵌められて支えられる凹部63、63が形成されている。このような保持部材5は、マンホール構造物3の内面の下水管接続端部49の上方に、取り付け部53のビス通し孔57に通したビス51をねじ込むことによりマンホール構造物3に取り付けることができる。保持部材5は、保持部55が水平状態となるようにマンホール構造物3に取り付けられる。また、保持部材5は、保持部55が下水管接続端部49の高さ方向中央又は上側に位置するようにマンホール構造物3に取り付けられる。ビス51のねじ込みを緩め、ビス51に沿ってビス通し孔57を移動させ、再びビス51をねじ込むことにより、保持部55の高さ位置を調整することができる(図5bの矢印参照)。ラベル型のICタグ7は、保持部55の側壁部61、61に形成された凹部63、63に両端部が嵌め込まれ、底面部69との間に隙間が空く状態で支持されているが、下水流9の水位が上がり、下水流9が保持部55の底面部69を越えて上昇し、ラベル型のICタグ7の裏面に到達すると、上昇する下水流9に浮かんで保持部55から離れ、下水流9に放出される。
【0024】
図6に示す保持部材5は球型のICタグ7に適したものであり、マンホール構造物3に取り付けるため取り付け部65と、球型のICタグ7を載せて保持できるようにこの取り付け部65の下端部に設けられた保持部67と、を例えば一体的に備えていて、取り付け部65にはビス通し孔69(調節構造)が縦に長く形成されている。取り付け部65はマンホール構造物3の内面に適合するように水平方向に若干湾曲している。保持部材5の保持部67は中心孔71を有するリング状部として形成され、中心孔71の上側周縁73は球型のICタグ7の半分よりも下側の周囲を支えるように形成されている。このような保持部材5は、マンホール構造物3の内面の下水管接続端部49の上方に、取り付け部65のビス通し孔69にビス51を通してねじ込むことによりマンホール構造物3に取り付けることができる。保持部材5は、保持部67が水平状態となるようにマンホール構造物3に取り付けられる。また、保持部材5は、保持部67が下水管接続端部49の高さ方向中央又は上側に位置するようにマンホール構造物3に取り付けられる。ビス51のねじ込みを緩め、ビス51に沿ってビス通し孔69を移動させ、再びビス51をねじ込むことにより、保持部67の高さ位置を調整することができる(図6b及び図6dの矢印参照)。球型のICタグ7は、中心孔71に嵌められて半分よりも下側が中心孔71の上側周縁73で保持されているが、下水流9の水位が上がり、下水流9が中心孔71内を上昇して球型のICタグ7の下側面に到達すると、上昇する下水流9に浮かんで保持部67から離れ、下水流9に放出される(図6c)。また、地震により保持部67が激しく振動すると、球型のICタグ7は保持部67から脱落し、下水流9に放出される(図6d)。
【0025】
図7はICリーダ装置15の具体的構成を示す図である。
【0026】
ICリーダ装置15の監視ゲート25は、マンホール構造物13の下水管接続端部75と同一又はほぼ同一の曲率半径を有する円弧状体として形成され、下水管接続端部75の上側の外周に沿ってマンホール構造物13の内面に取り付けられている(図7a)。監視ゲート25の中心角度は、通過するICタグ7との通信を確実に行うために90度を超えていることが好ましい。リーダ27は監視ゲート25とケーブル77で接続されているが、監視ゲート25と一体的に構成することもできる。通信装置29は例えばWi-Fiにより通信する。なお、ICリーダ装置15の監視ゲート25は種々の形状のものが利用でき、例えば正方形の平板状のものを用いることもできる。
【符号の説明】
【0027】
1 下水管路
3 マンホール構造物
5 保持部材
7 ICタグ
15 ICリーダ装置
17 管理者の携帯端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7