(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】三次元におけるアーク位置の推定
(51)【国際特許分類】
G01R 33/02 20060101AFI20220907BHJP
H05B 7/148 20060101ALI20220907BHJP
H05B 7/20 20060101ALI20220907BHJP
F27D 21/00 20060101ALI20220907BHJP
F27B 3/08 20060101ALI20220907BHJP
F27B 3/28 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
G01R33/02 K
H05B7/148 A
H05B7/20
F27D21/00 Z
F27B3/08
F27B3/28
(21)【出願番号】P 2019538086
(86)(22)【出願日】2017-09-25
(86)【国際出願番号】 US2017053326
(87)【国際公開番号】W WO2018058070
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2020-08-31
(32)【優先日】2016-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519103207
【氏名又は名称】ケーダブリュ アソシエイツ リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】KW Associates LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】シビュラ,マシュー エー.
(72)【発明者】
【氏名】キング,ポール イー.
(72)【発明者】
【氏名】ウッドサイド,シー.リゲル
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08111059(US,B1)
【文献】特開昭60-077939(JP,A)
【文献】特開平03-274382(JP,A)
【文献】特開2014-052144(JP,A)
【文献】特開2002-340320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 33/02
H05B 7/148
H05B 7/20
F27D 21/00
F27B 3/08
F27B 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気アークの位置を推定するための装置において、前記装置は、複数の磁場センサのセットと、前記磁場センサに動作可能に結合されるデータ取得システムと、前記データ取得システムに動作可能に結合されるコンピュータシステムとを備え、
(a)前記複数の磁場センサは、(i)電流を含む体積内部で直列に位置決めされ、アークギャップによって離間される第1及び第2の長手方向導体の少なくとも一部を通り、及び(ii)前記アークギャップに跨がり、前記第1及び第2の長手方向導体間の前記アークギャップ内部の2つの横方向寸法において移動できる1つ以上の一次電気アークとしての一次電流として、主に長手方向において、入力電流が流れ、前記入力電流の少なくとも一部が内部に流れる電流を含む体積の側面周囲の周りに配置され、
(b)前記セットの各センサは複数の別個のセンサ位置の対応する1つに位置決めされ、前記センサ位置は、前記電流を含む体積に沿った2つ以上の別個の長手方向位置の間及び前記電流を含む体積の前記側面周囲の周りの2つ以上の別個の円周位置の間に配置され、
(c)前記セットの各センサは、2つ以上の空間次元における磁界成分を測定するように配置され、1つ以上の対応する較正パラメータによって特徴付けられ、
(d)前記データ取得システムは、前記コンピュータシステムに、前記対応する測定された磁界成分を示す前記複数のセンサからの信号を伝達するように構築され、接続され、
(e)前記コンピュータシステムは、1つ以上の電子プロセッサ及びそれに結合される1つ以上のデジタルストレージ媒体を備え、前記アークギャップ内部の前記1つ以上の一次電気アークの推定横方向位置を計算するように構築され、接続され、プログラミングされ、その計算は、前記アークギャップの長手方向位置、アーク炉に沿った2つ以上の対応する異なる長手方向位置で測定される2つ以上の前記磁界成分、及び1つ以上の対応するセンサ位置又は較正パラメータに基づくことを特徴とする、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、前記セットの各センサは、3つの空間次元における磁界成分を測定するように配置されることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置において、前記計算は、前記入力電流又は前記一次電流の大きさにも少なくとも部分的に基づくことを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置において、各センサのための前記1つ以上の対応する較正パラメータは、シミュレートされるアークギャップの複数の別個の横方向位置及び複数の別個の長手方向位置における、単一のシミュレートされる一次電気アーク内を流れるシミュレートされる入力電流から生じる前記対応するセンサ位置における磁界成分の計算から導出され、その結果、前記複数のセンサのうちの1つ以上に対し、前記対応する1つ以上の較正パラメータは前記アークギャップの前記長手方向位置により変化することを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、1つ以上の計算は、前記一次電流を前記電流を含む体積に運ぶか又はリターン電流を前記電流を含む体積の外に運ぶ外部導体から生じる磁界成分のための補正を含むことを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項4に記載の装置において、1つ以上の計算は、各センサのための前記測定された磁界成分の向きに対する測定方向修正を含むことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項4に記載の装置において、1つ以上の計算は、前記電流を伝える体積が没入される外部磁界から生じる測定修正を含むことを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、前記複数のセンサ位置は2つ以上のリングのセンサ位置を含み、各リングは前記電流を含む体積に沿った略同じ長手方向位置及び前記電流を含む体積の前記側面周囲の周りの複数の別個の円周位置に配置される複数のセンサ位置を含むことを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項8に記載の装置において、前記複数のセンサ位置は3つ以上の前記リングのセンサ位置を含むことを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項8に記載の装置において、前記2つ以上のリングの対応するセンサ位置に位置決めされるそれらのセンサは、2つの略横方向寸法における磁界成分を測定するように配置されることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項8に記載の装置において、前記複数のセンサ位置は、前記2つ以上のリングのセンサ位置の前記対応する長手方向位置とは異なる前記電流を含む体積に沿った対応する長手方向位置に位置決めされる1つ以上のセンサ位置を含むことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項8に記載の装置において、前記1つ以上の一次電気アークの推定横方向位置は、そのリングのみの対応するセンサ位置におけるセンサからの測定される磁界成分を用いて各リングのために計算される推定アーク横方向位置の加重平均であり、各リングのための前記推定アーク横方向位置は、そのリングと前記アークギャップ
の推定長手方向位置との間の対応する長手方向距離に従って加重され、対応する加重因子は前記対応するリングと前記アークギャップの前記推定長手方向位置との間の増加する距離により減少することを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、前記電流を含む体積は、前記電流を含む体積の前記側面周囲を画成するチャンバ内部に封入され、前記複数のセンサ位置は前記チャンバの外側に位置することを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置において、前記複数のセンサのうちの2つ以上は略長手方向寸法における磁界成分を測定するように配置され、前記コンピュータシステムは、前記第1又は第2の長手方向導体と前記チャンバとの間の二次電気アークとして主に横方向に流れる二次電流を示す測定される磁界大きさ又は長手方向成分の1つ以上のセットを認識するように構築され、接続され、プログラミングされ、その認識は、前記入力電流の大きさ、前記アークギャップの推定長手方向位置、アーク炉に沿った2つ以上の対応する異なる長手方向位置で測定される2つ以上の前記磁界成分、及び1つ以上の対応するセンサ位置又は較正パラメータに基づくことを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置において、前記コンピュータシステムは、前記二次電流の推定大きさ又は前記二次電気アークの推定位置を計算するように構築され、接続され、プログラミングされ、その計算は、前記入力電流の前記大きさ、前記アークギャップの推定長手方向位置、アーク炉に沿った2つ以上の対応する異なる長手方向位置で測定される2つ以上の前記磁界成分、及び1つ以上の対応するセンサ位置又は較正パラメータに基づくことを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置において、二次電流が流れずに、前記入力電流は前記一次電流と略等しいことを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項14に記載の装置において、1つ以上の二次電気アークが存在する状態で、前記入力電流は前記一次及び二次電流の合計と略等しいことを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項13に記載の装置において、更に、前記チャンバを備え、前記チャンバは電気アーク炉を備え、前記第1の長手方向導体は前記炉の電極を備え、前記第2の長手方向導体は前記炉内部で形成されるインゴットを備え、前記炉は、前記入力電流が溶融期間中に流れて、前記電極が溶解及び収縮し、前記インゴットが成長する原因となるにつれて、前記アークギャップが前記炉を通って長手方向に移動するように編成されることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置において、前記コンピュータシステムは、前記入力電流が前記溶融期間中に流れるにつれて溶融時間と共に変化する推定アークギャップ長手方向位置を計算するように構築され、接続され、プログラミングされることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項19に記載の装置において、前記入力電流が前記溶融期間中に流れるにつれて溶融時間に対して最大の測定磁界大きさを示す1つ以上の選択されるセンサの前記長手方向位置は、前記選択されたセンサがその最大の測定磁界大きさを示す場合の前記溶融時間における前記アークギャップの長手方向位置を推定するために用いられることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置において、前記選択されたセンサは、共通の長手方向位置において前記電流を伝える体積の前記側面周囲の周りのリング内に配置されることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項19に記載の装置において、前記入力電流が前記溶融期間中に流れるにつれて溶融時間に対して最小の測定磁界長手方向成分を示す1つ以上の選択されるセンサの前記長手方向位置は、前記選択されたセンサがその最小の測定磁界長手方向成分を示す場合の前記溶融時間における前記アークギャップの長手方向位置を推定するために用いられることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項22に記載の装置において、前記選択されたセンサは、共通の長手方向位置において前記電流を伝える体積の前記側面周囲の周りのリング内に配置されることを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項19に記載の装置において、(i)前記電極は、前記電極が溶解し、前記アークギャップが各溶接物を通過するにつれて1つ以上の磁界成分の認識できる変化を生じる既知の長手方向位置における1つ以上の溶接物を含み、(ii)前記コンピュータシステムは、前記センサのうちの1つ以上によって検出される前記変化を認識するように構築され、接続され、プログラミングされ、(iii)前記電極の対応する溶接物の長手方向位置は、変化が生じる場合の溶融時間における前記アークギャップの前記長手方向位置を推定するために用いられることを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項19に記載の装置において、前記コンピュータシステムは、溶接物位置によって、最小長手方向磁界成分検出によって、又は最大磁界大きさ検出によって推定されるアークギャップ位置間の補間としての時間の関数として、推定アークギャップ長手方向位置を計算するように構築され、接続され、プログラミングされることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項19に記載の装置において、前記アークギャップ長手方向位置は、前記第1の長手方向導体の大きさ、形状、密度、及び重量、並びに前記一次電流の流れの継続期間及び大きさに基づいて推定されることを特徴とする装置。
【請求項27】
請求項18乃至26の何れか1項に記載の装置を用いて、入力電流が前記アーク炉内を流れ、(i)前記アーク炉内部で直列に位置決めされ、アークギャップによって離間される第1及び第2の長手方向導体の少なくとも一部を通り、及び(ii)前記アークギャップに跨がり、前記第1及び第2の長手方向導体間の前記アークギャップ内部の2つの横方向寸法において移動できる1つ以上の一次電気アークとしての一次電流として、主に長手方向に、前記入力電流の少なくとも一部が流れる溶融期間中の電気アーク炉内部のアークギャップの長手方向位置の関数として1つ以上の一次電気アークの横方向位置を推定するための方法において、
(A)前記溶融期間中、複数の磁場センサのセットを用いて2つ以上の空間次元における磁界成分を測定し、各センサは前記アーク炉の側面周囲の周りに配置される複数のセンサ位置の対応する1つに位置決めされることにおいて、前記複数のセンサ位置は、前記アーク炉に沿った2つ以上の別個の長手方向位置の間及び前記アーク炉の前記側面周囲の周りの2つ以上の別個の円周位置の間に配置され、各センサは1つ以上の対応する較正パラメータによって特徴付けられることと、
(B)それらのために構築及び接続されるデータ取得システムを用いて、前記複数のセンサからコンピュータシステムへ、前記対応する測定された磁界成分を示す前記複数のセンサからの信号を伝達することと、
(C)それらのために構築され、接続され、プログラミングされる前記コンピュータシステムを用いて、前記溶融期間内の複数の溶融時間のそれぞれの1つに対して、前記アークギャップ内部の前記1つ以上の一次電気アークの対応する推定横方向位置を計算することであって、その計算は、前記対応する溶融時間における前記アークギャップの前記長手方向位置、前記対応する溶融時間において測定され、アーク炉に沿った2つ以上の対応する異なる長手方向位置で測定される2つ以上の前記磁界成分、及び1つ以上の対応するセンサ位置又は較正パラメータに基づくことと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本願は、2016年9月26日にMatthew A.Cibula、Paul E.King、及びC.Rigel Woodside名義で出願された米国仮特許出願第62/400,018号明細書の優先権を主張し、上記仮特許出願をあたかも本明細書中で完全に説明するように引用して本明細書中に組み込む。
【0002】
本発明の分野は電気アークに関する。特に、三次元における電気アークの位置を推定するための装置及び方法が開示される。
【発明の概要】
【0003】
発明の装置は、複数の磁場センサのセットと、磁場センサに動作可能に結合されるデータ取得システムと、データ取得システムに動作可能に結合されるコンピュータシステムとを備える。複数の磁場センサは、入力電流が流れ、一次電流が主に長手方向に流れる電流を含む体積の側面周囲の周りに配置される。一次電流は電流を含む体積内部で直列に位置決めされ、アークギャップによって離間される第1及び第2の長手方向電気導体を通って流れ、アークギャップに跨がり、第1及び第2の導体間のアークギャップ内部の2つの横方向寸法において移動できる1つ以上の一次電気アークとして流れる。セットの各センサは複数の別個のセンサ位置の対応する1つに位置決めされ、センサ位置は、電流を含む体積に沿った2つ以上の別個の長手方向位置の間及び電流を含む体積の側面周囲の周りの2つ以上の別個の円周位置の間に配置される。セットの各センサは2つ以上の空間次元における磁界成分を測定するように配置され、セットの各センサは1つ以上の対応する較正パラメータによって特徴付けられる。データ取得システムは、コンピュータシステムに、測定された磁界成分を示す複数のセンサからの信号を伝達するように構築され、接続される。コンピュータシステム(1つ以上の電子プロセッサ及びそれに結合される1つ以上のデジタルストレージ媒体を備える)は、アークギャップ内部の1つ以上の一次電気アークの推定横方向位置を計算するように構築され、接続され、プログラミングされる。計算は、アークギャップの推定長手方向位置及び1つ以上の対応するセンサ位置又は較正パラメータと共に測定される磁界成分のうちの2つ以上に少なくとも部分的に基づいている。電流を含む体積は電流を含む体積の側面周囲を画成する導電性チャンバ内部に封入されてもよく、複数のセンサ位置はチャンバの外側に位置してもよい。チャンバは電気アーク炉を備えることができ、第1の導体は炉の電極を備えることができ、第2の導体は炉内部で形成されるインゴットを備えることができ、炉は、入力電流が溶融期間中に流れて、電極が溶解及び収縮し、インゴットが成長する原因となるにつれて、アークギャップが炉を通って長手方向に移動するように編成されてもよい。
【0004】
溶融期間中の電気アーク炉内部のアークギャップの長手方向位置の関数として1つ以上の一次電気アークの横方向位置を推定するための発明の方法は、(A)上記溶融期間中、複数の磁場センサのセットを用いて2つ以上の空間次元における磁界成分を測定することと、(B)データ取得システムを用いて、複数のセンサからコンピュータシステムへ、対応する測定された磁界成分を示す複数のセンサからの信号を伝達することと、(C)コンピュータシステムを用いて、溶融期間内の複数の溶融時間のそれぞれの1つに対して、アークギャップ内部の1つ以上の一次電気アークの対応する推定横方向位置を計算することとを含む。計算は、1つ以上の対応するセンサ位置又は較正パラメータと共に、対応する溶融時間において測定される、対応する溶融時間におけるアークギャップの長手方向位置及び磁界成分の2つ以上に少なくとも部分的に基づく。
【0005】
電気アークの位置を特定することに関係する目的及び利点は、図面に示され、以下の記載される説明又は添付特許請求の範囲において開示される実施例を参照する時に明らかになる可能性があり、本開示又は添付特許請求の範囲の適用範囲内に入るべきである。
【0006】
この発明の概要は、発明を実施するための形態において以下で更に説明される簡略化した形で概念の選択を紹介するために提供される。この発明の概要は、主張する主題の主な特徴又は本質的な特徴を識別することを意図しておらず、主張する主題の適用範囲を特定する補助として用いられることも意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、データ取得システムによってコンピュータシステムに結合される磁気センサの発明の配置例の斜視略図である。
【
図2】
図2は、磁気センサの発明の配置例を有し、一次電流が一次電気アークとして流れるアーク炉の長手方向断面略図である。
【
図3】
図3は、磁気センサの発明の配置例を有し、一次電流が一次電気アークとして流れ、二次電流が二次電気アークとして流れるアーク炉の長手方向断面略図である。
【
図4】
図4は、シミュレートされる非同軸アーク炉内部のシミュレートされる電気アークから生じる計算される磁界成分の長手方向位置への依存の幾つかのグラフを含む。
【
図5】
図5A及び5Bは、長手方向一次アーク(
図5A)及び横方向二次アーク(
図5B)を有するアーク炉内の磁界大きさの等高線略図である。
【
図6】
図6A及び6Bは、長手方向一次アーク(
図6A)及び横方向二次アーク(
図6B)を有するアーク炉内の磁界長手方向成分の等高線略図である。
【
図7】
図7Aは、インゴットの長さに沿った推定横方向アーク位置の測定分布の一実施例を示し、
図7Bは、それぞれ1秒、10秒、及び100秒にわたって平均化されたインゴットを横断する横方向アーク位置の測定分布の実施例を示す。
【
図8】
図8A、8B、及び8Bは、3つの異なるセンサリングのためのアークギャップ長手方向位置の関数としての測定及び計算された磁界成分の略図である。
【
図9】
図9A及び9Bは、2つの異なるアーク炉における3つの異なるセニョールリングのためのアークギャップ長手方向位置の関数としての測定された磁界長手方向成分の略図である。
【0008】
図示する実施形態は概略的にのみ示し、全ての特徴は完全な詳細又は適切な比率で示されていない可能性があり、ある特定の特徴又は構造は、明確にするため、他に対して誇張されている可能性があり、図面は正しい縮尺と見なすべきではない。示す実施形態はほんの一例であり、それらは本開示又は添付特許請求の範囲の適用範囲を制限するものとして解釈すべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書中に開示する主題は、2012年2月7日にKingらへ付与された米国特許第8,111,059号明細書、発明の名称「電流ロケータ」(以下’059号特許と称する)において開示されているものに関していてもよく、上記特許をあたかも本明細書中で完全に説明するように引用して組み込む。
【0010】
電気アークの位置を推定するための発明装置の実施例は、複数の磁場センサ200のセットと、磁場センサ200に動作可能に結合されるデータ取得システム298と、データ取得システムに動作可能に結合されるコンピュータシステム299とを(例えば、
図1のように)備える。本明細書中に開示する幾つかの例において、磁場センサは、単一の参照番号200を用いて、集合的又は一般的に説明内で称され、集合的又は一般的に図面内に示される。本明細書中の他の例において、磁場センサは、参照番号200a、200b、200c、等を用いて、個々に又は部分セットとして説明内で称され、個々に又は部分セットとして図面内に示される。
図1~3は、電流を含む体積10の側面周囲の周りの複数の磁場センサ200の配置例を略図で示している。幾つかの実施例(例えば、
図2及び3のような)において、電流を含む体積10は、電気アーク炉100等のチャンバの内部体積であり、電流を含む体積10の側面周囲を画成するその壁部によって境界される。「側面周囲の周り」とは、電流を含む体積の側面境界のまさにその上のセンサ位置、又はその側面境界の内側若しくは外側のセンサ位置を意味することができるが、ただし、センサ位置が電流を含む体積10に対して複数の別の円周位置に及ぶことを条件とする。多くの実施例(例えば、
図2及び3のような)において、アーク炉100の壁部は、内側の導電性るつぼ101(多くの場合、銅製)と、外壁102と、それらの間の冷却水ジャケット103とを含み、かかる実施例において、センサ200は通常、外壁102の外面上に位置決めされる。かかる実施例は本開示の焦点であるが、本明細書中に開示する装置及び方法は、また、他の種類又は配置の電流を伝える体積10内部の電気アークの位置を特定するために採用されてもよい一方で、それにもかかわらず、本開示又は添付特許請求の範囲の適用範囲内に留まっている。
【0011】
入力電流20は電流を伝える体積10内を流れ、その入力電流の一部は一次電流22として電流を伝える体積10内部を流れる。幾つかの例において、入力電流20と一次電流22は等しく、すなわち、入力電流20の全ては一次電流22として(例えば、
図2のように)電流を伝える体積10内部を流れる。他の例において、一次電流22は入力電流20よりも小さい(例えば、
図3のように。以下で更に検討する)。本明細書中で用いるような用語「長手方向」及び「横方向」は、一次電流22の流れの所望の方向に対して定義されている。横方向における電流を含む体積10の境界は側面境界すなわち側面周囲と称される。例えば、電流を含む体積10が電気アーク炉100内部に含まれる場合において、炉100の長軸は長手方向又は寸法(例えば、
図2及び3における垂直)を画成し、その炉軸に対して垂直な方向は横方向又は寸法(例えば、
図2及び3における水平)であり、アーク炉100の側壁はアーク炉100内部の電流を含む体積10の側面周囲を画成する。長手方向又は寸法は、幾つかの例において、z方向若しくはz寸法又は垂直方向若しくは寸法と称されてもよく、かかる例において、横方向又は寸法は、x及びy方向若しくはx及びy寸法又は水平方向若しくは寸法と称されてもよい。それらの追加指定又は記述子は任意であり、説明の都合のためだけに行われ、本開示又は添付特許請求の範囲の適用範囲を制限するものとして解釈すべきではない。
【0012】
第1及び第2の長手方向電気導体110及び120は、それぞれ、電流を含む体積10内部で直列に位置決めされており、アークギャップ115によって離間されている。電流を含む体積10がアーク炉100の内部である実施例において、第1の長手方向電気導体110は炉100の電極110を備えることができ、第2の長手方向電気導体120は炉100内部に形成されるインゴット120を備えることができる。炉100の操作中、インゴット120は、通常、溶融金属のプール(すなわち、いわゆる溶融プール122)をその上面において含む(炉100は、その長軸が略垂直に向けられ、電極110がインゴット120の上に位置決めされるその標準的な向きで操作される)。一次電流22は、第1の導体110を通って流れ、導体110/120の間をアークギャップ115に跨がる1つ以上の一次電気アーク30として流れ、そして、第2の導体120を通って流れる。アーク炉例において、一次電流22は、電極110を通って流れ、電極110とインゴット120との間をアークギャップ115に跨がる1つ以上の一次アーク30として流れ、そして、インゴット120の少なくとも一部を通って流れる。アーク炉例において、一次電流22は、インゴット120からるつぼ101の側壁に流れ、リターン電流24としてるつぼ壁部の少なくとも一部を通って流れる。一次電流22は、リターン電流24として(図のように)流れる前に、インゴット120の頂部付近からるつぼ101の側壁へと主に流れると一般に想定され、また、一次電流22の少なくとも一部は、リターン電流24として流れる前に、インゴット120に沿って又はインゴット120の底部において他の場所へるつぼ壁部内を流れることも可能である。本開示及び添付特許請求の範囲の適用範囲は、これら代替例のそれぞれ並びにこれら代替例の1つ以上の組み合わせを包含するべきである。
【0013】
電気アーク炉は、多くの場合、電極110が高価な金属又は合金でできている真空アーク再溶解の目的のために操作され、材料の品質を向上することが望まれている(例えば、マクロ的若しくはミクロ的構造又は組成の向上した均一性によって、不純物の低減によって、等)。真空条件下(例えば、約1mmHg未満又は約0.1mmHg未満)で、大きな電流(例えば、数キロアンペア)が電極110を通って駆動されて、るつぼ101の底部における少量のシード材料に対してアーク30に当たる。一次電気アーク30として流れる一次電流22は、電極110がアークギャップ115において溶解する原因となり、溶融プール122を形成する。溶融材料の凝固はインゴット120を形成し、成長させる。再溶解プロセスが進むにつれ、インゴット120は成長し、電極110は収縮し、アークギャップ115はアーク炉100を介して上方に移動する。るつぼ101周囲の水ジャケット103は凝固速度及び条件を制御してインゴット材料の所望の特性を生じるために採用されている。電極110は電極110からるつぼ101の壁部への電流の流れを避けるようるつぼ101(従って、形成されるインゴット120)に次いで小さい直径を有する。このため、電極110は、電極110が溶解し、インゴット120が成長するにつれて、アークギャップ115の正しい高さ(すなわち、電極110とインゴット120との間の距離)を維持するために、炉の操作中に正しい速度で下方に移動されなければならない。アーク炉100は任意の適切な又は所望の長さであってもよく、多くの実施例は長さ100インチ超若しくは長さ200インチ超であるか、又は更に長い。
【0014】
電極110の直径は、一般に、一次電気アーク30の横方向範囲よりも大きく(通常、かなり大きく)、それによって、一次アーク30が2つの横方向寸法において電極110とインゴット120との間のアークギャップ115内部を移動することを可能にしている。電極110の典型的な横方向寸法(例えば、円筒形電極110の直径)は約12インチから約36インチ以上の範囲にあり、るつぼ横方向寸法は、一般に、電極寸法よりも大きい約2~4インチである。一方で、一次アーク30は、一般に、幅数ミリメートル以下であり、一次アーク30がアークギャップ115の横方向寸法にわたって比較的自由に移動することを可能にしている。一次アーク30のその横方向移動はインゴット120を形成する材料の品質に影響を及ぼす可能性がある。インゴット120に沿った長手方向位置の関数として(すなわち、アークギャップ115の炉100内部での長手方向位置の関数として)、一次電気アーク30の横方向位置の推定を提供することが望ましい。一次アークの位置のかかる推定は様々な形態をとることができ、様々な目的のために用いられてもよい。幾つかの実施例において、一次アーク30の推定位置の詳細な軌道が生成され、格納されてもよく、他の実施例において、一次アーク30が特定の横方向位置にあったという相対的な確率密度を反映する分布関数が生成されてもよく、その密度は任意の適切な又は望ましい時間スケールにわたって、例えば、1秒、10秒、100秒、又は他の適切な間隔にわたって平均されてもよい。推定されるアーク横方向位置は、炉が操作されるにつれてリアルタイムに生成されてもよいか又はいわゆるオフライン処理で後に生成されてもよい。
【0015】
複数の磁気センサ200のセットは電流を含む体積10の周囲の磁界成分を測定し、それらの測定値は一次アーク30の推定位置を計算するために用いられる。各磁気センサ200は複数の別個のセンサ位置のうちの対応する1つに位置決めされる。センサ位置は、電流を含む体積に沿った2つ以上の別個の長手方向位置の間及び電流を含む体積10の側面周囲の周りの2つ以上の別個の円周位置(例えば、
図1~3のような)の間に配置される。これは、全ての磁気センサが電流を含む体積10に沿った単一の長手方向位置に配置されている’059号特許に開示されている磁気センサの配置とは対照的である。各磁気センサ200は2つ以上の空間次元において磁界成分を測定するように配置されており、多くの実施例において、磁気センサは全ての3つの空間次元における磁界成分を測定する。各磁気センサ200は1つ以上の対応する較正パラメータを特徴としている(以下で更に検討する)。磁気センサ200は任意の適切な種類、例えば、ホール効果センサ又は磁気抵抗センサであってもよい。ディスクリートデバイスが所定のセンサ位置における各空間成分を測定するために用いられてもよいか、又は、複数のデバイスが2つ又は3つの磁界成分を測定する単一のモノリシックセンサに一体化されてもよい。幾つかの実施例において、単一の一体化された3Dホール効果センサが全ての3つの空間次元における磁界成分を測定するよう各センサ位置に位置する。かかるセンサの出力は、一般に、測定される磁界成分に比例する電圧である。特定の一実施例において、センサ200は約0.01ガウスの分解能で最大約100ガウスまで測定することができる。
【0016】
データ取得システム298は任意の適切な種類又は配置であってもよく、一般に、1つ以上のアナログデジタル変換器(A/D)を含む。コンピュータシステム299は、1つ以上の電子プロセッサと、1つ以上のプロセッサに結合される1つ以上のデジタルストレージ媒体とを備える。データ取得システム298は、コンピュータシステム299に、測定された磁界成分を示す複数のセンサ200からの信号を伝達するように構築され、接続される。幾つかの実施例において、データ取得システムはセンサ200をコンピュータシステム299に結合する1つ以上のコンポーネント又はモジュールの別々のセットであってもよい。幾つかの実施例において、データ取得システム298はセンサ200間で分散され、それらと一体化されてもよい(例えば、各センサ位置における単一チップ上又は単一デバイス内の1つ以上のホールセンサ及び1つ以上のA/Dの一体化による)。幾つかの実施例において、データ取得システムはコンピュータシステム299と一体化されてもよい(例えば、1つ以上のプロセッサ及び1つ以上のストレージ媒体と共にコンピュータシステムへの1つ以上のA/Dの一体化による)。それらの配置の全て及びそれらの組み合わせは本開示又は添付特許請求の範囲の適用範囲内に入る。
【0017】
コンピュータシステム299は、アークギャップ115内の1つ以上の一次電気アーク30の推定横方向位置を計算するように構築され、接続され、プログラミングされる。その計算は任意の適切な計算アルゴリズム、モデリング、又は技術を用いる任意の適切な方法で実行されてもよい。推定一次アーク位置の計算は、(i)アークギャップの長手方向位置及び(ii)対応するセンサ位置(単数又は複数)又は較正パラメータ(単数又は複数)と共に測定される磁界成分のうちの2つ以上に少なくとも部分的に基づいている。幾つかの実施例において、計算はまた、入力電流又は一次電流の大きさにも少なくとも部分的に基づいている。幾つかの実施例において、アークギャップ115の長手方向位置は既知の入力パラメータであり、幾つかの実施例において、アークギャップ115の長手方向位置は、1つ以上の操作パラメータ、例えば、電極の重さ、アーク炉の操作の経過時間(すなわち、溶融時間)、電極溶接物から生じる電流又は磁界変動、等に少なくとも部分的に基づいて推定され、幾つかの実施例において、アークギャップ115の長手方向位置は、センサ200によって測定される磁界成分に少なくとも部分的に基づいて推定される。幾つかの実施例において、磁場センサ200のうちの幾つか又は全てによって測定された複数の磁界成分の測定値は、アークギャップ115の位置(既知の、測定された、又は推定される)及び較正パラメータ(単数又は複数)又は各対応センサのためのセンサ位置も含む一組の数式内に含まれ、一組の数式は、また、本明細書中に述べる他の既知の、測定された、又は推定される操作若しくは構造パラメータ(例えば、電流の大きさ、炉寸法、等)も含むことができる。幾つかではあるが全てではないセンサ200からの測定された磁界の値が所定の計算に採用される実施例において、所定の推定位置を計算するために採用されるセンサ200の対応する部分セットは、例えば、アークギャップ115の対応する推定長手方向位置に従って変更することができる。幾つかの実施例において、センサ位置、操作パラメータ(例えば、入力電流)、又は構造パラメータ(例えば、炉直径又は高さ、電極直径)は一組の数式内に明示することができ、幾つかの実施例において、1つ以上のかかる量は明示されないが、較正パラメータに対するそれらの影響を介して暗示されている(例えば、所定のセンサは炉の大きさ及び形状に応じて又は所定の炉におけるその位置に応じて変化する較正パラメータを有することができる)。本開示の目的のために、計算は所定の量に、その量が明示的又は暗示的に計算に影響を及ぼすかどうかに関わらず、「少なくとも部分的に基づいている」。幾つかの実施例において、一組の数式は一次方程式だけを含み、他の実施例において、一組の数式は1つ以上の非線形方程式を含むことができる。かかる計算を実行することができる方法を示している特定の一実施例は’059号特許に開示されている(単一の長手方向位置のみにおけるセンサのリングのためではあるが)。
【0018】
幾つかの実施例において、センサ200のそれぞれのための1つ以上の対応する較正パラメータは、シミュレートされた電流を含む体積内部のシミュレートされた電流から生じる位置依存磁場の計算から導出される。幾つかの実施例において、複数のシミュレーションが実行され、シミュレーションの各実行において、単一のシミュレートされた一次電気アークは、シミュレートされた電流を含む体積内部の対応する長手方向位置においてシミュレートされたアークギャップ内部の対応する横方向位置に配置され、シミュレートされた一次電流はシミュレートされた第1及び第2の導体並びにシミュレートされた一次アークを通って流れる。幾つかの実施例において、シミュレートされたリターン電流は電流を含む体積の側面周囲に沿った反対方向に流れる(例えば、るつぼ101の外側壁に沿って流れるリターン電流をシミュレートするように)。シミュレーションの各実行のために、結果として生じる磁界成分は、マクスウェル方程式又は任意の適切な部分セット又はその近似(例えば、アンペアの法則若しくはビオサバールの法則)を用いて及び任意の適切な計算技法(例えば、有限要素法)を用いて、シミュレートされた電流を含む体積の側面周囲に少なくとも沿った(及びその内側内も同様に)位置の関数として計算される。シミュレーションの複数の実行は、対応する異なる横方向位置に位置するシミュレートされた一次アークにより、及び、対応する異なる長手方向位置に位置するシミュレートされたアークギャップにより行われる。特定の一実施例において、磁界成分は、アークギャップの30箇所の異なる長手方向位置における27箇所の異なる一次アーク位置のため、合計810回のシミュレーションのために計算される。入力電流20が垂直導体を通って電極110の上部に流れるいわゆる同軸炉体の実施例において、ある特定の簡略化近似は、炉100の想定される対称性に基づいてシミュレーション内で行われてもよい。例えば、
図2及び3のような、入力電流20が横方向導体104を介して電極110に流れるいわゆる非同軸の実施例において、完全な3D計算が、一般に、シミュレーションにおいて行われなければならない。
【0019】
計算した磁界値を得た上で、複数のセンサ位置が電流を含む体積の側面周囲の周りに配置されて選択される。複数のセンサ位置は、2つ以上の別個の長手方向位置の間及び電流を含む体積の側面周囲の周りの2つ以上の別個の円周位置の間に配置される。幾つかの実施例において、センサ位置は、各リングが単一の長手方向位置ではあるが対応する別個の円周位置における複数のセンサ位置を含んで、対応する別個の長手方向位置に位置する2つ以上のリング内に配置される。
図1~3の実施例において、センサ200a、200b、及び200cの3つのリングが採用されている。
図1において、3つのリングのそれぞれは4つのセンサ200a、200b、又は200cを含み、
図2及び3の断面において、各リングの2つのセンサ200a、200b、又は200cだけが視覚化されている。「リング」は必ずしも実際の機械的リング構造に対応していないが、リングを構成する複数のセンサ位置の寸法形状配置(すなわち、単一の長手方向位置ではあるが複数の別個の円周位置における)だけに対応していることに留意されたい。「単一の長手方向位置における」とは、略同じ長手方向位置にあるセンサ200の部分セットを意味することができるか、又は、幾つかの例において、それらそれぞれの測定された磁界成分が長手方向位置によって左右されるある特定の計算(以下で更に検討する)において用いられることを可能にするよう、長手方向位置の十分狭い範囲に入るセンサ200の部分セットを意味することができることに留意されたい。複数のリングに加えて、追加センサ位置がいずれかのリングとも異なる長手方向位置に位置していてもよく、例えば、5つのセンサ200d~200hの長手方向ラインが
図1~3の実施例における3つのリング200a~200cに加えて採用される。他の数又は配置の非リング状センサが採用されてもよい。より一般的には、センサ200はいずれかのリング又は長手方向ライン状に配置される必要はないが、センサ200が複数の別個の長手方向位置及び複数の別個の円周位置に位置し、それらの位置が正確に知られていることを条件とする。適切な配置の他の実施例は、例えば、1つ以上の螺旋、又はセンサのランダムな分散を含むことができる。
【0020】
シミュレーションは(どのような方法でそれらが行われようとも)、シミュレーションにおいて用いられる横方向アーク位置及び長手方向アークギャップ位置の多くの組み合わせのうちの任意の1つに位置する一次電気アークのための所定のセンサ位置において測定されると予想される磁界成分を生じる。それらの計算された磁界成分から、1つ以上の較正パラメータが各センサ200のために特定されてもよく、多くの実施例において、所定の磁気センサ200の1つ以上の較正パラメータはアークギャップの長手方向位置に関して変化する。それぞれ又は複数のセンサ200を特徴付けるために必要とされる較正パラメータの数及び種類は、シミュレーションにおいて又はそれらのパラメータを用いて後続の計算を実行するために用いられる数学的モデルの本質によって決まる。本開示又は添付特許請求の範囲の適用範囲において、無数の測定及び計算スキームが、磁気センサ200のための適切な較正パラメータを生成するために及び測定された磁界成分と共にそれらのパラメータを用いて電気アークの位置を推定するために考案され、実施されてもよい。幾つかの実施例を以下で説明する。
【0021】
幾つかの実施例において、一組の一次方程式はシミュレーションデータから構築されてもよく、それぞれシミュレートされた電流(既知の横方向位置及び既知のアークギャップ長手方向位置における)は計算された磁界成分の部分セットの一次結合として表され、それぞれは対応するまだ特定されていない較正パラメータを乗じる。幾つかの実施例において、全てのセンサ位置において計算された全ての磁界成分はそれぞれの式内に含まれてもよく、幾つかの実施例において、それぞれの式はそれらの計算された磁界成分の全てより少ない対応する部分セットのみを含むことができ、含まれる磁界成分は任意の適切な基礎、例えば、シミュレートされたアークギャップ長手方向位置への対応するセンサ位置の近傍に関してそれぞれの式のために選択されてもよい。幾つかの実施例において、一組の数式は較正パラメータを特定するために解かれてもよい。
【0022】
実際のアーク炉100内部の未知の位置における実際の一次電気アーク30の位置を推定するために、それらの同じ式が、ここで特定された較正パラメータ及び実際のセンサ200によって測定された一組の磁界成分と共に、シミュレートされたアーク位置間の電流の大きさの分布を計算するために用いられてもよい。その未加工の分布は一次アーク位置の推定として、例えば、確率密度分布として用いられてもよい。代替として、その未加工電流分布の重心は、一次電気アーク30の推定位置として計算され、用いられてもよい。幾つかの例において、全てのセンサ200の磁界成分及び較正パラメータは、共に用いられ、一次アーク横方向位置、また、ことによるとアークギャップ長手方向位置を推定するために用いられてもよい(それが未知であるか又は他の手段によって推定される場合)。他の例において、センサの部分セットのみが、所定の計算のために共に採用される(例えば、アークギャップの所定の推定長手方向位置のため、アークギャップのある特定の長手方向距離内のセンサのみが採用されてもよい)。
【0023】
較正パラメータは、センサ200によって測定される磁界成分に影響を及ぼす可能性のある他の磁界に対して補償するように計算されてもよい。例えば、アーク炉100は、一般に、入力電流20を電極110へ運ぶか又は炉壁部からリターン電流24を運ぶ外部電流経路(例えば、それぞれ入力及びリターン電流20及び24を運ぶ
図2及び3に示す横方向導体104及び106)を含む。それらの構成要素によって運ばれる電流はセンサ200によって検出され、測定される磁界を生成し、それらの追加で測定される磁界は非同軸炉体内の一次アーク30の横方向位置の推定に誤りを引き起こす可能性がある。
図4は、非同軸炉編成において生じる可能性のある、長手方向位置の関数としての磁界成分の変化の一例を示している。その誤りの原因を取り除くため、上で説明したシミュレーションは適切に配置されたシミュレートされる外部電流経路及びそれらから生じる磁界を含むことができ、その結果、シミュレーションデータから生成される較正パラメータが自動的にそれらの追加磁界の主な原因となる。同様に、シミュレーションは地球磁場を含むことができ、その結果、それがまた、シミュレーションデータから計算される較正パラメータにおいて主な原因となってもよい。地球磁場は地球の表面上の位置によって変化し、シミュレーションはアーク炉の意図する場所に対する磁界値を用いて実行され、シミュレーションデータから計算される結果としての較正パラメータはその炉体位置に対して特有であることに留意されたい。他のソースから(例えば、1つ以上の隣接するアーク炉から)生じる外部磁場は同様にシミュレーションに組み込まれてもよく、それによって結果としての較正パラメータにおいて主な原因となってもよい。隣接アーク炉が磁気センサを同様に備えている場合、それらのセンサによって測定される磁界成分は一次アーク横方向位置の計算される推定内に含まれてもよい。隣接アーク炉が十分遠く離れている場合、その電流は単純な線電流及び計算内に含まれる結果としての磁界成分、例えば、略均一なオフセットとして近似されてもよい。
【0024】
シミュレーションデータに基づくセンサ較正パラメータの計算は、一般に、センサ200が完全に整列される(例えば、3Dセンサの3つの直交する測定軸がアーク炉の長手方向及び横方向に沿って完全に整列される)と仮定している。しかし、これはアーク炉100の周囲に位置決めされるセンサ200の実際のシステムの場合ではなく、多くの場合、シミュレーションにおいて用いられるその理想的な向きからの各センサ200の向きの幾つかの小さなずれが存在する。それらのずれは複数のセンサにとって同じである可能性がある(例えば、複数のセンサ200を保持するフレーム構造又はブラケットがアーク炉100に対して正しく整列されていない)か又は、センサ間で多くの場合ある程度不規則に変化する(例えば、アーク炉100に対する個々のセンサ200の不規則なずれの)可能性があり、それらの両方の種類のずれは同時に発生する可能性がある。幾つかの実施例において、方向修正が較正パラメータの計算に組み込まれてもよい。幾つかの例において、それらの方向修正は実際の試験電流(シミュレートされていない)から生じ、センサによって測定される磁界成分に基づいてもよい。一配置において、直線状導電ロッドがセンサ200の配置内に置かれ(例えば、センサ200がアーク炉100へのセンサの後続の取り付けのために用いられる治具、ブラケット、フレーム構造、又は他のハードウェア上に取り付けられるか、又はセンサがアーク炉100上に取り付けられ、導電ロッドがアーク炉100内に位置決めされて)、試験電流はロッドを通って流れる。取り付けられたセンサ200によって測定された磁界成分は、センサ200間のロッドを通って流れる試験電流のシミュレーションにおいて計算される磁界成分と比較され、その比較はセンサ200の較正パラメータを補正するために用いられる。
【0025】
上で指摘したように、幾つかの実施例において、複数のセンサ位置は2つ以上のリングのセンサ位置を含み、ここで各リングは電流を含む体積に沿った略同じ長手方向位置及び電流を含む体積の側面周囲の周りの複数の別個の円周位置に配置される複数のセンサ位置を含んでいる。それらの実施例の幾つかにおいて、複数のセンサ位置は3つ以上のリングのセンサ位置(例えば、
図1~3に示すセンサリング200a、200b、及び200c)を含む。リングのセンサ位置を含む幾つかの実施例において、リング内の位置にあるセンサ200は、少なくとも両方の略横方向寸法における磁界成分を測定するように配置されてもよい。かかる配置は、一次アーク横方向位置を推定するための幾つかの実施例において、特に、アークギャップ115がリングのうちの1つの長手方向位置の比較的近くにある場合、例えば、典型的な大きさの炉体内、非同軸炉内のセンサリング200a/200b/200cの約2フィート内、又は同軸炉内のセンサリングの約8フィート内(それぞれの場合において、アークギャップ115の推定長手方向位置に従う較正パラメータの適切な長手方向変化を有して)、有利に採用されてもよい。2つ以上のリングのセンサ位置を含む幾つかの実施例において、一次アークの横方向位置の2つ以上の対応する仮推定値が計算されてもよく、それらの仮推定値のそれぞれはリングの1つのみのセンサ200(又はそのリングの限られた長手方向距離内にある追加のセンサ200を含む可能性のある)によって測定される磁界成分を用いて計算される。一次アーク30の推定位置は、次いで、2つ以上の仮推定値の加重平均として計算されてもよい。各仮推定値はアークギャップ長手方向位置からのその長手方向距離に従って加重されてもよく、所定のリングの加重因子はそのリングとアークギャップ位置との間の長手方向距離が増加するに従って減少する。長手方向距離による加重因子の線形変化が採用されてもよいか、又は加重因子の他の適切な若しくは所望の長手方向変化が採用されてもよい。
【0026】
図1~3の配置例を用いる特定の一方法例において、アーク30の第1の仮推定横方向位置はセンサリング200aだけによって測定される磁界値を用いて計算されてもよく、第2の仮推定位置はセンサリング200bだけを用いて計算され、第3の仮推定位置はセンサリング200cだけを用いて計算されてもよい。リング200aより下のアークギャップ位置のために、第1の仮推定位置(センサリング200aに基づいて計算される)のみが推定アーク位置として採用され、リング200cより上のアークギャップ位置のために、第3の仮推定位置(センサリング200cに基づいて計算される)のみが推定アーク位置として採用される。リング200a及び200b間のアークギャップ位置のために、第1及び第2の仮推定アーク位置の適切な加重平均(それぞれ、センサリング200a及び200bを用いて計算される)が推定アーク位置を計算するために採用され、リング200b及び200c間のアークギャップ位置のために、第2及び第3の仮横方向アーク位置の適切な加重平均(それぞれ、センサリング200b及び200cを用いて計算される)が推定アーク位置を計算するために採用される。
【0027】
電気アーク炉において、入力電流20全体にとって、一次電流22として(例えば、
図2のように)、導体110及び120を通って及びアークギャップ115を横断する一次アーク30として流れることが望ましく、かかる例において、入力電流20及び一次電流22は略等しい。しかし、他の幾つかの例において、一般に、電極110とるつぼ101の側壁との間で二次電流26を運ぶ1つ以上の二次アーク32が、一般に一時的にのみ、出現してもよい(例えば、
図3に示すように。かかる二次アーク32は、往々にして、側面アークと称される)。かかる例において、入力電流20は一次及び二次電流22及び26の合計に略等しい。側面アーキングは、一般に、アーク炉内で望ましくないものと見なされる。第1に、それは入力電流20の一部を二次電流26として一次アーク30から離して分流させ、再溶解プロセスを駆動させるために電極110の端部に運ばれる電力量を低減する。第2に、側面アーク32は、結果として、後続の再溶解を妨げる可能性のある電極110の下端部又は側面の変形を生じる可能性がある。第3に、側面アーク32を介する炉壁部への二次電流26の大きな流れは、結果として、るつぼ材料(多くの場合、銅)を不純物としてインゴット120に添加する可能性があるか又はことによるとるつぼ壁部の不具合に至ることさえあるるつぼ壁部上の「ホットスポット」を作成することによって安全上の問題を生じる可能性があるるつぼ壁部の比較的小さい面積の局部加熱を生じる。生じた場合に二次アーキングを検出し、ことによると測定又はその場所を特定する方法を提供することが望ましい。
【0028】
その目的を達成するため、幾つかの実施例において、複数のセンサ200のうちの2つ以上が、2つの横方向磁界成分に加えて、略長手方向寸法における磁界成分(往々にして「z磁界」成分と称される)を測定するように配置される。コンピュータシステム299は、第1又は第2の電極とチャンバとの間の二次電気アーク32として主に横方向に流れる二次電流26を示す測定磁界成分の1つ以上のセットを認識するようにするように構築され、接続され、プログラミングされる。計算は、アークギャップ115の長手方向位置及び対応するセンサ位置(単数又は複数)又は較正パラメータ(単数又は複数)と共に測定される磁界成分のうちの2つ以上に少なくとも部分的に基づいている。
【0029】
多くの例において、一次アーク30は、側面アーク32から生じる大きさの類似の空間分布又は長手方向成分(例えば、それぞれ
図5B及び6Bのような)とは質的に異なる磁界大きさの空間分布又は磁界長手方向成分(例えば、それぞれ
図5A及び6Aのような)を生じる。幾つかの実施例において、二次アーク32の無い状態で、磁界の大きさ又は長手方向成分はアークギャップ115を中心として長手方向において略対称である。言い換えれば、二次アーク32の無い状態で、アークギャップ115より上のある特定の距離における磁界の大きさ又は長手方向成分は、アークギャップ115より下のその同じ距離及び同じ円周位置における大きさ又は長手方向成分と略等しい。しかし、かかる実施例において、二次アーク32が存在する場合、その長手方向対称は変形し、それら2つの測定された大きさ又は長手方向磁界成分は異なる可能性がある。大きさ又は長手方向磁界成分の(アークギャップ115を中心とする)その長手方向非対称は、例えば、電極110とるつぼ101の側壁との間の二次アーク32の存在の認識可能なシグネチャである。二次アーク32が存在することを推定するための基準としてその対称のために、適切な閾値が選択されてもよい。かかる閾値は、絶対値であってもよいか、又は、例えば、アーク炉100の操作中に先に測定された磁界値によって確立される基線に関して適切に正規化又は相殺されてもよい。1つ以上の他の測定された磁界成分(例えば、横方向磁界成分)の長手方向変動が、適切であるか又は望まれるならば、採用されてもよい。
【0030】
他の実施例において、磁界の大きさ又は1つ以上の成分の(所定の長手方向位置における)方位変動が、側面アーク32の存在の認識を可能にするよう分析されてもよい。幾つかの実施例において、一次アーク30から生じる磁界大きさ又はその特定の成分の方位変動は、一般に、電流を含む体積10の周囲の周りで単一の最大値及び単一の最小値を有する略正弦波の変動を含む。側面アーク32から生じる磁界大きさ又は成分の方位変動は、一般に、その比較的単純な準正弦波変動とは異なる。単純な変動からの観察されるずれは側面アーク32の存在の指標であってもよい。
【0031】
側面アーク32が存在するという決定に基づいて、様々な行動、例えば、特定のインゴット120に関連するドキュメンテーションにおける二次アーク32の発生を単に指摘すること、二次アークを抑制するように入力電流20を変更すること、安全対策として再溶解プロセスを完全に停止するよう入力電流20を遮断すること、又は他の適切な、望ましい、若しくは必要な行動がとられてもよい。
【0032】
幾つかの実施例において、コンピュータシステム299は、二次電流の推定大きさ又は二次電気アークの推定位置を計算するように更に構築され、接続され、プログラミングされてもよい。一次電気アーク30のために上で説明したそれらと同様のシミュレーションが、二次アーク位置又は二次電流大きさのかかる推定のための必要な較正パラメータを提供するために一般に必要とされる。かかる計算は、対応するセンサ位置(単数又は複数)又は較正パラメータ(単数又は複数)と共に、入力電流の大きさ、アークギャップの長手方向位置、及び測定される磁界大きさ又は成分のうちの2つ以上に少なくとも部分的に基づいていてもよく、幾つかの実施例において、上で説明した実施例のいずれかと類似した方法で実行されてもよい。
【0033】
既に指摘したように、再溶解プロセスが進むにつれ、インゴット120は成長し、電極110は収縮し、アークギャップ115はアーク炉100を介して上方に移動する。るつぼ101周囲の水ジャケット103は凝固速度及び条件を制御してインゴット材料の所望の特性を生じるために採用されている。電極110は電極110からるつぼ101の壁部への電流の流れを避けるようるつぼ101(従って、形成されるインゴット120)よりも小さい直径を有し、その結果、電極110は、電極110が溶解し、インゴット120が成長するにつれて、アークギャップ115の正しい高さ(すなわち、電極110とインゴット120との間の距離)を維持するために、炉の操作中に正しい速度で下方に移動されなければならない。アーク炉の幾つかの典型的な実施例において、るつぼ101の内径は、形成されるインゴット120の略直径でもある約6インチから約40インチである。インゴットが固化するにつれて、それは収縮し、炉側壁から離れて、小さなギャップ(例えば、約0.05インチから0.3インチ)を残す。再溶解プロセスが進むにつれて、インゴット120の上部における比較的短い部分(例えば、約2インチから12インチ以上)においては、炉側壁と当接したままであり、リターン電流24のための経路を提供する。幾つかの実施例において、リターン電流24の一部はインゴット120の底部を通ってるつぼ101の壁部へ流れることができる。
【0034】
アークギャップ115の長手方向位置(同じように、インゴット120の高さ)は、再溶解プロセスが進むにつれて単調に変化し(アーク炉実施例において)、そのため、溶融時間の単調関数である(すなわち、入力電流20の流れの開始により始まる経過時間。入力電流の流れの開始により始まり、入力電流の流れの終了により終わる溶融時間の全範囲は、本明細書中で溶融期間と称する)。推定横方向アーク位置(また、溶融時間の関数)が対応する長手方向アークギャップ位置と相関性があり、次いで、その長手方向寸法に沿ったインゴット120の材料特性の任意の観察された変動と相関性があることができるように、溶融時間の関数としてアークギャップ長手方向位置の十分に正確な推定を有することが重要である。幾つかの実施例において、アークギャップ長手方向位置は一次アーク30の推定横方向位置の計算のための入力でもある。コンピュータシステム299は、入力電流20が流れるにつれて、溶融時間と共に変化する推定アークギャップ長手方向位置を計算するように任意の適切な方法で構築され、接続され、プログラミングされる。幾つかの実施例において、アークギャップ長手方向位置は、溶融速度(質量/時間)、炉内径、及び材料密度によって決定される傾斜を有する溶融時間の線形関数であると仮定され、それに基づいて計算されるか又は(例えば、電極110の重量の減少速度が溶融時間の関数として利用できる場合、電極110の変化する重量を監視するためのロードセル又は他のデバイスを備えるアーク炉における等のように)直接測定されてもよい。推定アークギャップ長手方向位置は特定の溶融時間及び傾斜に基づいて計算され、その値はその特定の溶融時間において計算されたアークの対応する推定横方向位置と相関性がある。幾つかの実施例において、上で説明したように、アークギャップ推定長手方向位置がアーク推定横方向位置の計算に用いられ、他の実施例において、アーク横方向位置は、計算にアークギャップ位置を用いることなく推定されてもよい。用語「相関性がある」とは、所定の溶融時間におけるアークギャップ長手方向位置(又は同じように、インゴット120の長さに沿った位置)がその所定の溶融時間において推定されるアーク横方向位置と関連することを(アークギャップ長手方向位置がアーク横方向位置の計算に用いられたか否かのいずれにしても)意味する。インゴット120の全長にわたる(同じように、全溶融時間にわたる)アーク30の(ことによると、適切な時間間隔にわたって平均化された)推定横方向位置を含むデータセット又はその一部は、生成され、格納され、品質若しくはプロセス制御、又はインゴット120の特性化若しくはそのためのドキュメンテーションのために採用されてもよい。
図7Aの実施例において、横方向アーク位置の分布(2つのパネル内の2つの直交する横方向寸法における)がインゴットの長さに沿ってプロットされており、アーク位置の大幅な横方向のずれがインゴットの長さに沿った略中間で見て取ることができる。
図7Bの実施例において、横方向アーク位置の分布は、1秒(左側パネル)、10秒(中央パネル)、及び100秒(右側パネル)にわたって平均化された2つの横方向寸法に沿ってプロットされている。
【0035】
幾つかの実施例において、幾つかの又は全てのセンサ200によって測定された磁界成分が、再溶解プロセス中のアークギャップ30の長手方向位置を推定するために採用されてもよい。例えば、幾つかの実施例において(例えば、
図8A、8B、及び8Cのように)、同じ長手方向位置における又はその近傍のセンサ200の部分セット(例えば、1つのリングのセンサ)によって測定される平均磁界大きさは、アークギャップ115がセンサ200のその部分セットの長手方向位置を通過する際に溶融時間に対する最大値を通ることが観察されている。センサ200a/200b/200cの3つのリングのそれぞれの長手方向位置201a/201b/201cを、
図8A、8B、及び8Cの実施例において、それぞれのセンサ200a(
図8A)、200b(
図8B)、及び200c(
図8C)の計算された(202a/202b/202c)及び測定された(203a/203b/203c)磁界値と共に示す。幾つかの実施例において(例えば、
図9A及び9Bのように)、センサ200のかかる部分セットによって測定される磁界の平均長手方向成分は、アークギャップ115がそのセンサ部分セットの長手方向位置を通過する際に溶融時間に対する最小値を通ることが観察されている。センサ200のそれぞれのかかる長手方向部分セットは、従って、再溶解プロセス中にアークギャップ長手方向位置を推定するための較正点としての機能を果たすことができる。再溶解プロセスが進行するにつれて、コンピュータシステム299は、特定の長手方向センサ部分セットのための平均磁界大きさが最大値を通る(所定値に達することによって又は溶融時間に対する相対的な最大値に達し、次いで、減少し始めることによって)場合、又は、平均長手方向磁界成分最小値を通る場合を認識する。その長手方向部分セットを特徴付ける長手方向位置は、その最大値が発生する場合に溶融時間におけるアークギャップ115の長手方向位置を推定するために用いられる。幾つかの実施例において、長手方向部分セット位置は推定されるアークギャップ位置であり、他の実施例において、長手方向センサ部分セット位置は、適切な所定の長手方向オフセットによって、例えば、較正手順又はシミュレーション中に、最大又は最小の測定された磁界大きさ又は成分が、センサ部分セット位置ではなく、前後に幾つかの一定した長手方向オフセットにおいて発生する(例えば、
図9A及び9Bの実施例において、最小の測定された磁界成分は、アークギャップ115がセンサリング200a/200b/200cの長手方向位置に達する少し前に発生する)ことが観察された場合、補正される。アークギャップ長手方向位置はセンサ200の1つ以上のかかる長手方向部分セットのために推定されてもよく、推定された位置及び対応する溶融時間は、溶融時間とのアークギャップ長手方向位置の依存における固定較正点としての機能を果たすことができる。中間アークギャップ位置は、かかる固定較正点の間で又は固定較正点と再溶解プロセスの開始又は終了点との間で補間されてもよい。
【0036】
他の実施例において、電極100は、アークギャップ位置対溶融時間曲線において1つ以上の固定較正点を提供することができる。幾つかの例において、凝集電極100が、再溶解される材料の複数片を共に組み立て、溶接することによって製造され、電極110において結果として生じる溶接物は電極110に沿った既知の位置にある。再溶解プロセス中に、アークギャップ115がかかる溶接物に到達し、通過する時、電流、電圧、又は1つ以上の測定磁界成分における認識できる変動が、多くの場合、観察されることが観察されている。そうであれば、かかる変動が認識される溶融時間は、アークギャップが既知の溶接物位置を通過する溶融時間に対応し、それによって、固定較正点を確立する。上で説明したものと類似した方法において、1つ以上のかかる固定較正点が、アークギャップ長手方向位置対溶融時間曲線全体を補間するために採用されてもよい。
【0037】
本明細書中に開示するシステム及び方法の一部は、ソフトウェアを介してプログラミングされる汎用若しくは特殊用途コンピュータ若しくはサーバ又は他のプログラム可能なハードウェアデバイスとして若しくはそれらにより、又は、配線を介して「プログラミングされる」ハードウェア若しくは機器、又は2つの組み合わせとして実施されてもよい。「コンピュータ」又は「サーバ」は、単一の機械を備えることができるか又は(単一の場所又は複数の遠隔地に位置する)複数の相互作用する機械を備えることができる。コンピュータプログラム又は他のソフトウェアコードは、用いられる場合、RAM、ROM、CD-ROM、CD-R、CD-R/W、DVD-ROM、DVD±R、DVD±R/W、ハードドライブ、サムドライブ、フラッシュメモリ、光学媒体、磁気媒体、半導体媒体、又は任意の将来のコンピュータ読取可能ストレージ媒体を共に操作するマイクロコード、機械コード、ネットワークベース若しくはwebベース又は分散型ソフトウェアモジュールでプログラミングすることを含むことによって等、有形、非一時的、一時的、又は恒久的なストレージ若しくは交換可能な媒体で実装されてもよい。任意の測定又は計算量の電子印、任意の較正又はモデリングパラメータ、任意のプログラミングコード又は命令、等は、本明細書中に述べる有形、非一時的コンピュータ読取可能媒体のいずれかから読み取られ、受信され、それらに書き込まれ、又は格納されてもよい。
【実施例】
【0038】
前述に加え、以下の実施例は本開示又は添付特許請求の範囲の適用範囲内に入る。
【0039】
実施例1
電気アークの位置を推定するための装置であって、装置は、複数の磁場センサのセットと、磁場センサに動作可能に結合されるデータ取得システムと、データ取得システムに動作可能に結合されるコンピュータシステムとを備え、(a)複数の磁場センサは、(i)電流を含む体積内部で直列に位置決めされ、アークギャップによって離間される第1及び第2の長手方向電気導体の少なくとも一部を通り、及び(ii)アークギャップに跨がり、第1及び第2の導体間のアークギャップ内部の2つの横方向寸法において移動できる1つ以上の一次電気アークとしての一次電流として、主に長手方向において、入力電流が流れ、入力電流の少なくとも一部が内部に流れる電流を含む体積の側面周囲の周りに配置され、(b)セットの各センサは複数の別個のセンサ位置の対応する1つに位置決めされ、センサ位置は、電流を含む体積に沿った2つ以上の別個の長手方向位置の間及び電流を含む体積の側面周囲の周りの2つ以上の別個の円周位置の間に配置され、(c)セットの各センサは、2つ以上の空間次元における磁界成分を測定するように配置され、1つ以上の対応する較正パラメータによって特徴付けられ、(d)データ取得システムは、コンピュータシステムに、対応する測定された磁界成分を示す複数のセンサからの信号を伝達するように構築され、接続され、(e)コンピュータシステムは、1つ以上の電子プロセッサ及びそれに結合される1つ以上のデジタルストレージ媒体を備え、アークギャップ内部の1つ以上の一次電気アークの推定横方向位置を計算するように構築され、接続され、プログラミングされ、その計算は、1つ以上の対応するセンサ位置又は較正パラメータと共に、アークギャップの長手方向位置及び測定された磁界成分のうちの2つ以上に少なくとも部分的に基づくことを特徴とする。
【0040】
実施例2
実施例1に記載の装置において、セットの各センサは、3つの空間次元における磁界成分を測定するように配置される。
【0041】
実施例3
実施例1又は2に記載の装置において、計算は、入力電流又は一次電流の大きさにも少なくとも部分的に基づく。
【0042】
実施例4
実施例1~3の何れか1つに記載の装置において、各センサのための1つ以上の対応する較正パラメータは、シミュレートされるアークギャップの複数の別個の横方向位置及び複数の別個の長手方向位置における、単一のシミュレートされる一次電気アーク内を流れるシミュレートされる入力電流から生じる対応するセンサ位置における磁界成分の計算から導出され、その結果、複数のセンサのうちの1つ以上に対し、対応する1つ以上の較正パラメータはアークギャップの長手方向位置により変化する。
【0043】
実施例5
実施例1~4の何れか1つに記載の装置において、1つ以上の計算は、一次電流を電流を含む体積に運ぶか又はリターン電流を電流を含む体積の外に運ぶ外部導体から生じる磁界成分のための補正を含む。
【0044】
実施例6
実施例1~5の何れか1つに記載の装置において、1つ以上の計算は、各センサのための測定された磁界成分の向きに対する測定方向修正を含む。
【0045】
実施例7
実施例1~6の何れか1つに記載の装置において、1つ以上の計算は、電流を伝える体積が没入される外部磁界から生じる測定修正を含む。
【0046】
実施例8
実施例1~7の何れか1つに記載の装置において、複数のセンサ位置は2つ以上のリングのセンサ位置を含み、各リングは電流を含む体積に沿った略同じ長手方向位置及び電流を含む体積の側面周囲の周りの複数の別個の円周位置に配置される複数のセンサ位置を含む。
【0047】
実施例9
実施例8に記載の装置において、複数のセンサ位置は3つ以上のリングのセンサ位置を含む。
【0048】
実施例10
実施例8又は9に記載の装置において、2つ以上のリングの対応するセンサ位置に位置決めされるそれらのセンサは、2つの略横方向寸法における磁界成分を測定するように配置される。
【0049】
実施例11
実施例8~10の何れか1つに記載の装置において、複数のセンサ位置は、2つ以上のリングのセンサ位置の対応する長手方向位置とは異なる電流を含む体積に沿った対応する長手方向位置に位置決めされる1つ以上のセンサ位置を含む。
【0050】
実施例12
実施例8~11の何れか1つに記載の装置において、1つ以上の一次電気アークの推定横方向位置は、そのリングのみの対応するセンサ位置におけるセンサからの測定される磁界成分を用いて各リングのために計算される推定アーク横方向位置の加重平均であり、各リングのための推定アーク横方向位置は、そのリングとアークギャップの推定長手方向位置との間の対応する長手方向距離に従って加重され、対応する加重因子は対応するリングと推定アークギャップ位置との間の増加する距離により減少する。
【0051】
実施例13
実施例1~12の何れか1つに記載の装置において、電流を含む体積は、電流を含む体積の側面周囲を画成するチャンバ内部に封入され、複数のセンサ位置はチャンバの外側に位置する。
【0052】
実施例14
実施例13に記載の装置において、複数のセンサのうちの2つ以上は略長手方向寸法における磁界成分を測定するように配置され、コンピュータシステムは、第1又は第2の導体とチャンバとの間の二次電気アークとして主に横方向に流れる二次電流を示す測定される磁界大きさ又は長手方向成分の1つ以上のセットを認識するように構築され、接続され、プログラミングされ、その認識は1つ以上の対応するセンサ位置又は較正パラメータと共に入力電流の大きさ、アークギャップの推定長手方向位置、及び測定される長手方向磁界成分の2つ以上に少なくとも部分的に基づく。
【0053】
実施例15
実施例14に記載の装置において、コンピュータシステムは、二次電流の推定大きさ又は二次電気アークの推定位置を計算するように構築され、接続され、プログラミングされ、その計算は1つ以上の対応するセンサ位置又は較正パラメータと共に入力電流の大きさ、アークギャップの推定長手方向位置、及び測定される長手方向磁界成分の2つ以上に少なくとも部分的に基づく。
【0054】
実施例16
実施例14又は15の何れか1つに記載の装置において、二次電流が流れずに、入力電流は一次電流と略等しい。
【0055】
実施例17
実施例14又は15の何れか1つに記載の装置において、1つ以上の二次電気アークが存在する状態で、入力電流は一次及び二次電流の合計と略等しい。
【0056】
実施例18
実施例13~17の何れか1つに記載の装置において、更に、チャンバを備え、チャンバは電気アーク炉を備え、第1の導体は炉の電極を備え、第2の導体は炉内部で形成されるインゴットを備え、炉は、入力電流が溶融期間中に流れて、電極が溶解及び収縮し、インゴットが成長する原因となるにつれて、アークギャップが炉を通って長手方向に移動するように編成される。
【0057】
実施例19
実施例18に記載の装置において、コンピュータシステムは、入力電流が溶融期間中に流れるにつれて溶融時間と共に変化する推定アークギャップ長手方向位置を計算するように構築され、接続され、プログラミングされる。
【0058】
実施例20
実施例19に記載の装置において、入力電流が溶融期間中に流れるにつれて溶融時間に対して最大の測定磁界大きさを示す1つ以上の選択されるセンサの長手方向位置は、選択されたセンサがその最大の測定磁界大きさを示す場合の溶融時間におけるアークギャップの長手方向位置を推定するために用いられる。
【0059】
実施例21
実施例19又は20の何れか1つに記載の装置において、入力電流が溶融期間中に流れるにつれて溶融時間に対して最小の測定磁界長手方向成分を示す1つ以上の選択されるセンサの長手方向位置は、選択されたセンサがその最小の測定磁界長手方向成分を示す場合の溶融時間におけるアークギャップの長手方向位置を推定するために用いられる。
【0060】
実施例22
実施例20又は21の何れか1つに記載の装置において、選択されたセンサは、共通の長手方向位置において電流を伝える体積の周囲の周りのリング内に配置される。
【0061】
実施例23
実施例19~22の何れか1つに記載の装置において、(i)電極は、電極が溶解し、アークギャップが各溶接物を通過するにつれて1つ以上の磁界成分の認識できる変化を生じる既知の長手方向位置における1つ以上の溶接物を含み、(ii)コンピュータシステムは、センサのうちの1つ以上によって検出される変化を認識するように構築され、接続され、プログラミングされ、(iii)電極の対応する溶接物の長手方向位置は、変化が生じる場合の溶融時間におけるアークギャップの長手方向位置を推定するために用いられる。
【0062】
実施例24
実施例19~23の何れか1つに記載の装置において、コンピュータシステムは、溶接物位置によって、最小長手方向磁界成分検出によって、又は最大磁界大きさ検出によって推定されるアークギャップ位置間の補間としての時間の関数として、推定アークギャップ長手方向位置を計算するように構築され、接続され、プログラミングされる。
【0063】
実施例25
実施例19~24の何れか1つに記載の装置において、アークギャップ長手方向位置は、第1の長手方向電気導体の大きさ、形状、密度、及び重量、並びに一次電流の流れの継続期間及び大きさに少なくとも部分的に基づいて推定される。
【0064】
実施例26
実施例1~25の何れか1つに記載の装置を用いて、入力電流がアーク炉内を流れ、(i)アーク炉内部で直列に位置決めされ、アークギャップによって離間される第1及び第2の長手方向電気導体の少なくとも一部を通り、及び(ii)アークギャップに跨がり、第1及び第2の導体間のアークギャップ内部の2つの横方向寸法において移動できる1つ以上の一次電気アークとしての一次電流として、主に長手方向に、入力電流の少なくとも一部が流れる溶融期間中の電気アーク炉内部のアークギャップの長手方向位置の関数として1つ以上の一次電気アークの横方向位置を推定するための方法であって、(A)溶融期間中、複数の磁場センサのセットを用いて2つ以上の空間次元における磁界成分を測定し、各センサはアーク炉の側面周囲の周りに配置される複数のセンサ位置の対応する1つに位置決めされることにおいて、複数のセンサ位置は、アーク炉に沿った2つ以上の別個の長手方向位置の間及びアーク炉の側面周囲の周りの2つ以上の別個の円周位置の間に配置され、各センサは1つ以上の対応する較正パラメータによって特徴付けられることと、(B)それらのために構築及び接続されるデータ取得システムを用いて、複数のセンサからコンピュータシステムへ、対応する測定された磁界成分を示す複数のセンサからの信号を伝達することと、それらのために構築され、接続され、プログラミングされるコンピュータシステムを用いて、溶融期間内の複数の溶融時間のそれぞれの1つに対して、アークギャップ内部の1つ以上の一次電気アークの対応する推定横方向位置を計算することであって、その計算は、1つ以上の対応するセンサ位置又は較正パラメータと共に、対応する溶融時間において測定される、対応する溶融時間におけるアークギャップの長手方向位置及び磁界成分の2つ以上に少なくとも部分的に基づくことと、を含む。
【0065】
開示する実施例及び方法の同等物は本開示又は添付特許請求の範囲の適用範囲内に入るべきであることを意図している。開示する実施例及び方法並びにその同等物は、修正されてもよい一方で、本開示又は添付特許請求の範囲の適用範囲内に残ることを意図している。
【0066】
前述の詳細な説明において、様々な特徴は、開示を合理化する目的のために幾つかの実施例において共にグループ化されてもよい。開示のこの方法は、任意の請求する実施形態が対応する特許請求の範囲に明白に記載される特徴よりも多くの特徴を必要とする意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、添付特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、単一で開示される実施例の全ての特徴よりも少ない中に存在してもよい。従って、添付特許請求の範囲はここで、詳細な説明に組み込まれ、各特許請求の範囲は別々に開示される実施形態として自立している。しかし、本開示は、また、本明細書中に明白に開示されない可能性のあるそれらのセットを含んで、本開示又は添付特許請求の範囲内に現れる1つ以上の開示又は主張する特徴のうちの任意の適切なセット(すなわち、互換性がないか相互排他的のどちらでもない一組の特徴)を有する任意の実施形態を暗黙的に開示していると解釈すべきである。加えて、開示する目的のため、添付の従属クレームのそれぞれは、複数の従属形態で書かれており、それが相反しない全ての先行クレームに従属するものとして解釈すべきである。更に、添付特許請求の範囲の適用範囲は、必ずしも本明細書中に開示する主題の全体を包含しないことに留意すべきである。
【0067】
本開示及び添付特許請求の範囲の目的のため、接続詞「又は」は、(i)例えば、「どちらか一方の」、「~のうちの1つのみ」、又は類似する言葉の使用によって、それが明記されないか、又は(ii)列記した代替例のうちの2つ以上が特定の文脈内で相互排他的でない限り、包括的に解釈すべきであり(例えば、「犬又は猫」は「犬、又は猫、又は両方」として解釈され、例えば、「犬、猫、又は鼠」は「犬、又は猫、又は鼠、又は何れか2つ、又は3つ全て」として解釈される)、その場合、「又は」は非相互排他的代替例を含むそれらの組み合わせのみを包含する。本開示又は添付特許請求の範囲の目的のため、用語「備える」、「含む」、「有する」、及びその変形体は、それらがどこに現れても、明記されない限り、あたかも語句「少なくとも」がその各例の後に添えられているような同じ意味を持つオープンエンドの用語として解釈すべきである。本開示又は添付特許請求の範囲の目的のため、数量に関して「およそ等しい」、「略等しい」、「約」、「略~を超える」、「略~未満」、等のような用語が採用される場合、異なる解釈が明確に説明されない限り、測定精度及び有効数字に関する標準規則が適用されるべきである。「略回避される」、「略無い」、「略除去される」、「零に略等しい」、「無視できる」等のような語句によって説明される零量に対して、それぞれのかかる語句は、意図する操作又は開示若しくは主張する装置若しくは方法の使用の文脈における実用性のために、装置又は方法の全体の挙動又は性能が、発生したものが実際には、完全に削除された、正確に零と等しい、又はそうでなければ、正確に零にされた零量と異なっていないような範囲に、問題の量が低減又は低下された場合を示すべきである。
【0068】
添付特許請求の範囲において、請求項の構成要素、ステップ、限定、又は他の部分の任意の表示(例えば、第1、第2等、(a)、(b)、(c)等、又は(i)、(ii)、(iii)等)は、明確にするためだけであり、そのように表示された請求項部分の任意の種類の順序又は優先を意味するものとして解釈すべきではない。任意のかかる順序又は優先が意図される場合、それは請求項において明確に説明されるか、又は、幾つかの例において、請求項の特定の内容に基づいて暗黙又は固有のものである。添付特許請求の範囲において、米国特許法第112条(f)項の規定が装置クレームにおいて呼び出されるよう望まれる場合、用語「手段」がその装置クレームに示される。それらの規定が方法クレームにおいて呼び出されるよう望まれる場合、用語「~のためのステップ」がその方法クレームに示される。逆に、用語「手段」又は「~のためのステップ」が請求項内に示されていない場合、米国特許法第112条(f)項の規定はその請求項のために呼び出されることを意図していない。
【0069】
任意の1つ以上の開示が参照によって本明細書中に組み込まれ、かかる組み込まれる開示が本開示と部分的又は全体として矛盾するか又は本開示の適用範囲とは異なる場合、矛盾、広範な開示、又は用語の広範な定義の範囲まで、本開示は制御する。かかる組み込まれる開示が互いに部分的又は全体として矛盾する場合、矛盾の範囲まで、後日の開示は制御する。
【0070】
要約書は、特許文献内の特定の主題のためのそれらの調査に対する補助として、必要に応じて提供される。しかし、要約書は、それに引用される任意の構成要素、特徴、又は制限が任意の特定の請求項によって必然的に包含されることを暗に示すことを意図していない。各請求項によって包含される主題の適用範囲は、その請求項のみの引用によって特定されるべきである。