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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】映像表示装置、及び映像表示システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 27/02 20060101AFI20220907BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20220907BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
G02B27/02 Z
G02B26/10 Z
H04N5/74 H
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018136391
(22)【出願日】2018-07-20
(65)【公開番号】P2020013041
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2020-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 竜志
(72)【発明者】
【氏名】村田 誠治
(72)【発明者】
【氏名】中村 俊輝
(72)【発明者】
【氏名】大内 敏
【審査官】井亀 諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-164988(JP,A)
【文献】国際公開第2018/102445(WO,A1)
【文献】米国特許第07613373(US,B1)
【文献】特表2010-533316(JP,A)
【文献】特開2016-085426(JP,A)
【文献】特表2018-510379(JP,A)
【文献】特表2003-536102(JP,A)
【文献】特表2006-501499(JP,A)
【文献】特開2018-132603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01-27/02
G02B 26/10
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を走査して所定の画角の映像光を生成する映像投影部と、
光入力部から入射した前記映像光を内部で伝搬させて光出力部から出力する導光板と、
前記映像投影部からの前記映像光の光線を複製して前記導光板の前記光入力部に出力する映像光複製部と、
を備え、
前記映像光複製部は、
前記映像投影部からの前記映像光が入射する入力面と、
入射した前記映像光を反射するか、または、前記映像光の一部を反射して残りを透過する互いに平行な複数の映像光分岐面と、を有する映像光複製プリズムから成り、
入射した前記映像光と略同一の画角を有する複数の映像光を複製して前記導光板に出力し、
前記複数の映像光分岐面の配置間隔DistPが、前記映像投影部からの映像光の開口サイズφPJと略等し
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示装置であって、
前記複数の映像光分岐面の反射率は、前記入力面に最も近い前記映像光分岐面を除いて、前記入力面に近いほど低い
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の映像表示装置であって、
前記映像光複製部は、前記複数の映像光分岐面の配置間隔DistPが、前記導光板から出力される複数の映像光どうしの間隔Dwgの1/N、または1/Nの整数倍と略等しい
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項4】
光を走査して所定の画角の映像光を生成する映像投影部と、
光入力部から入射した前記映像光を内部で伝搬させて光出力部から出力する導光板と、
前記映像投影部からの前記映像光の光線を複製して前記導光板の前記光入力部に出力する映像光複製部と、
を備え、
前記映像光複製部は、
前記映像投影部から入射した前記映像光を回折する回折領域を備える入力面と、
前記入力面の前記回折領域で回折された前記映像光を回折する複数の回折領域を備える出力面と、を有する映像光複製回折素子から成り、
前記入力面の前記回折領域と前記出力面の前記回折領域との回折構造の方向及び周期が略同一であり、
入射した前記映像光と略同一の画角を有する複数の映像光を複製して前記導光板に出力し、
前記導光板に出力する前記複数の映像光どうしの間隔が、前記映像投影部からの映像光の開口サイズφPJと略等し
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項5】
請求項1~のいずれか一項に記載の映像表示装置であって、
前記映像投影部は、ファイバ走査型プロジェクタから成る
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の映像表示装置であって、
前記映像投影部は、ミラー走査型プロジェクタから成る
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項7】
請求項1~のいずれか一項に記載の映像表示装置であって、
前記導光板は、複数の回折領域を有し、
前記光入力部及び前記光出力部は、それぞれ前記複数の回折領域のうちの1つである
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項8】
請求項1~いずれか一項に記載の映像表示装置において、
前記導光板は、
前記光入力部に相当する入射面と、
略平行に配置された複数の部分反射面と、を有し、
前記複数の部分反射面は、それぞれ前記入射面から入射した映像光の少なくとも一部を反射するとともに残りを透過する
ことを特徴とする映像表示装置。
【請求項9】
映像信号を生成する映像信号処理装置と、
前記映像信号に基づく映像を表示する映像表示装置と、
を備え、
前記映像表示装置は、
前記映像信号に基づく光を走査して所定の画角の映像光を生成する映像投影部と、
光入力部から入射した前記映像光を内部で伝搬させて光出力部から出力する導光板と、
前記映像投影部からの前記映像光の光線を複製して前記導光板の前記光入力部に出力する映像光複製部と、を備え、
前記映像光複製部は、
前記映像投影部からの前記映像光が入射する入力面と、
入射した前記映像光を反射するか、または、前記映像光の一部を反射して残りを透過する互いに平行な複数の映像光分岐面と、を有する映像光複製プリズムから成り、
入射した前記映像光と略同一の画角を有する複数の映像光を複製して前記導光板に出力し、
前記複数の映像光分岐面の配置間隔DistPが、前記映像投影部からの映像光の開口サイズφPJと略等し
ことを特徴とする映像表示システム。
【請求項10】
映像信号を生成する映像信号処理装置と、
前記映像信号に基づく映像を表示する映像表示装置と、
を備え、
前記映像表示装置は、
光を走査して所定の画角の映像光を生成する映像投影部と、
光入力部から入射した前記映像光を内部で伝搬させて光出力部から出力する導光板と、
前記映像投影部からの前記映像光の光線を複製して前記導光板の前記光入力部に出力する映像光複製部と、を備え、
前記映像光複製部は、
前記映像投影部から入射した前記映像光を回折する回折領域を備える入力面と、
前記入力面の前記回折領域で回折された前記映像光を回折する複数の回折領域を備える出力面と、を有する映像光複製回折素子から成り、
前記入力面の前記回折領域と前記出力面の前記回折領域との回折構造の方向及び周期が略同一であり、
入射した前記映像光と略同一の画角を有する複数の映像光を複製して前記導光板に出力し、
前記導光板に出力する前記複数の映像光どうしの間隔が、前記映像投影部からの映像光の開口サイズφPJと略等し
ことを特徴とする映像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置、及び映像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘッドマウントディスプレイに代表される導光板を用いた方式の映像表示装置が知られている。
【0003】
上述した導光板を用いた方式(以下、導光板方式と称する)の映像表示装置に関連し、例えば、特許文献1には、ファイバの先端から指向性のあるレーザ光を出射し、ファイバの先端を走査することによって映像を生成するファイバ走査型映像生成装置に関する技術が開示されている。該ファイバ走査型映像生成装置によれば、映像を投影するための投射レンズが不要となるので、装置規模を小型化することができる。
【0004】
また、特許文献2には、映像表示装置に表示する映像光の光束径である瞳サイズを拡大し、映像光をユーザの目の瞳孔まで伝達する導光板に関する技術が開示されている。該導光板によれば、瞳サイズが拡大されたことにより、アイボックス(ユーザが映像を視認できるエリア)を拡大することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2017/163386号
【文献】国際公開第2016/020643号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の導光板と、特許文献1に記載のファイバ走査型映像生成装置とを組み合わせれば、導光板方式の映像表示装置を小型化できる。しかしながら、このような構成の場合、ファイバ走査型映像生成装置から導光板に供給される映像光の射出瞳の直径は、指向性のあるレーザ光の直径と略等しく、導光板から出力される複数の映像光の間隔と比べて非常に小さい。このため、導光板から出力される複数の映像光どうしが重なりを持たず、ユーザの目の瞳孔に映像光が入射しないことが発生し、映像の少なくとも一部分をユーザが視認できなってしまうことが起こり得る。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザが映像の全体を視認可能な導光板方式の映像表示装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願は、上記課題の少なくとも一部を解決する手段を複数含んでいるが、その例を挙げるならば、以下のとおりである。上記課題を解決すべく、本発明の一態様に係る映像表示装置は、光を走査して所定の画角の映像光を生成する映像投影部と、光入力部から入射した前記映像光を内部で伝搬させて光出力部から出力する導光板と、前記映像光の光線を複製する映像光複製部と、を備え、前記映像光複製部は、入射した前記映像光と略同一の画角を有する2本以上の映像光を複製することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ユーザが映像の全体を視認可能な導光板方式の映像表示装置を実現することが可能となる。
【0010】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態に係る映像表示システムの構成例を示すブロック図である。
図2】映像表示装置の第1の構成例を示すブロック図である。
図3】映像投影部に採用し得る映像生成装置の例を示す図である。
図4】導光板における映像光の伝搬を説明するための図である。
図5】導光板による映像光の回折方向の例を示す図である。
図6】映像表示装置の第1の構成例における映像光複製部の第1の構成例を示す断面図である。
図7】映像表示装置の第1の構成例における映像光複製部の第2の構成例を示す断面図である。
図8】映像表示装置の第1の構成例における映像光複製部の第3の構成例を示す断面図である。
図9】映像表示装置の第2の構成例を示すブロック図である。
図10】映像表示装置の第2の構成例における映像光複製部を含む導光板の第1の構成例を示す断面図である。
図11】映像表示装置の第2の構成例における映像光複製部を含む導光板の第2の構成例を示す断面図である。
図12】映像表示装置の第2の構成例における映像光複製部を含む導光板の第3の構成例を示す断面図である。
図13】映像表示装置の第2の構成例における映像光複製部を含む導光板の第4の構成例を示す断面図である。
図14】映像表示装置の第3の構成例を示すブロック図である。
図15】映像表示装置の第3の構成例における映像光複製部が貼り合された導光板の構成例を示す断面図である。
図16】映像表示装置の第1の構成例の第1の変形例を示す断面図である。
図17】映像表示装置の第1の構成例の第2の変形例を示す断面図である。
図18】映像表示装置の第2の構成例の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る複数の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、「Aからなる」、「Aよりなる」、「Aを有する」、「Aを含む」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0013】
<本発明の一実施の形態に係る映像表示システムの構成例>
図1は、本発明の一実施の形態に係る映像表示システムの構成例を示している。
【0014】
該映像表示システム10は、映像表示装置11、制御装置12、映像信号処理装置13、電力供給装置14、記憶装置15、センシング装置16、通信装置18、及び音声処理装置20を有する。
【0015】
映像表示装置11は、例えばヘッドマウントディスプレイに代表される導光板を用いた導光板方式の表示デバイスである。映像表示装置11は、映像信号処理装置13によって生成され、制御装置12を介して供給される映像信号を入力とし、該映像信号に基づく映像をユーザに表示する。映像表示装置11の詳細については後述する。
【0016】
制御装置12は、映像表示システム10の全体を統括的に制御する。制御装置12は、例えばCPU(Central Processing Unit)やコンピュータ等が所定のプログラムを実行することによってその機能を実現することができる。
【0017】
映像信号処理装置13は、映像表示装置11に供給するための映像信号を生成する。電力供給装置14は、映像表示システム10を構成する各装置に対して電力を供給する。
【0018】
記憶装置15は、制御装置12が実行するプログラム、映像表示システム10を構成する各装置の処理に必要な情報、各装置によって生成された情報等を記憶する。記憶装置15は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(solid state drive)CD-R(Compact Disc- Recordable)、DVD-RAM(Digital Versatile Disk-Random Access Memory)等の書き込み及び読み出し可能な記憶メディアまたは記憶メディア駆動装置等から成る。
【0019】
センシング装置16は、センサ入出力部17を介して接続される各センサを用いて周囲の状況を検知する。該センサとしては、例えば、ユーザの体勢、向き、及び動きを検出する傾斜センサ、加速度センサ、ユーザの身体状況を検出する視線センサ、温度センサ、ユーザの位置情報を検出するGPS(Global Positioning System)受信装置、感圧センサ、静電容量センサ、バーコードリーダ等を挙げることができる。
【0020】
通信装置18は、通信入出力部19を介し、例えばBluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、UHF(Ultra-High Frequency)波、VHF(Very High Frequency)波等を用いた無線通信または有線通信を用いて所定の通信ネットワーク(携帯電話通信網、インターネット等)に接続して通信を行う。
【0021】
音声処理装置20は、音声入出力部21を介してマイクやイヤホン等と接続し、音声信号の入出力を行う。
【0022】
<映像表示装置11の第1の構成例>
次に、図2は、映像表示装置11の第1の構成例としての映像表示装置101を示している。
【0023】
映像表示装置101は、映像投影部200、映像光複製部210、及び導光板220から成る。
【0024】
映像投影部200は、映像信号処理装置13によって生成され、制御装置12を介して供給される映像信号を入力とし、該映像信号に基づき、映像表示装置11が表示する映像となる映像光を生成して後段に投影する。同図の場合、映像投影部200が投影した映像光は、映像光複製部210に入射される。
【0025】
図3は、映像投影部200に採用し得る映像生成装置の例を示している。同図(A)は、映像投影部200に採用し得るファイバ走査型プロジェクタ201を示している。同図(B)は、映像投影部200に採用し得るミラー走査型プロジェクタ202を示している。
【0026】
同図(A)に示すファイバ走査型プロジェクタ201は、光源部900、ファイバ901、ファイバ走査素子902、及びコリメートレンズ903を備える。
【0027】
光源部900は、例えばレーザ光を発光する。光源部900にて発光されたレーザ光は、ファイバ901の内部を伝搬して、ファイバ901の端面904から出射する。ファイバ901からの出射光は、コリメートレンズ903を通過することにより高い指向性を有する光となる。
【0028】
ファイバ901に取り付けられたファイバ走査素子902は、ファイバ901の端面904を振動させ、ファイバ901からの出射光を走査する。光源部900が出力するレーザ光の強度と、ファイバ走査素子902による端面904の振動とを、映像信号に同期させることにより、該ファイバ走査型プロジェクタ201は、映像を投影することができる。
【0029】
同図(B)に示すミラー走査型プロジェクタ202は、光源部900及び走査素子911を備えている。
【0030】
走査素子911は、走査ミラー(不図示)を有する。光源部900が出力したレーザ光には指向性があり、該レーザ光は走査素子911の走査ミラーに入射して反射する。このとき、走査素子911が走査ミラーを振動させることによって反射した反射光を走査することができる。光源部900が出力するレーザ光の強度と、走査素子911の振動とを、映像信号に同期させることにより、ミラー走査型プロジェクタ202は、映像を投影することができる。
【0031】
図2に戻る。映像光複製部210は、入射された映像光の画角を略保存しながら、映像光の光線を2本以上に複製し、複製した2本以上の映像光を導光板220に出力する。なお、映像光複製部210の詳細は後述する。
【0032】
導光板220は、映像光複製部210からの映像光が入射する光入力部221と、ユーザの目に対して映像光を出射する光出力部222を有する。
【0033】
次に、図4は、導光板220における映像光の伝搬を説明するための図である。
【0034】
映像光複製部210からの映像光kは、光入力部221(図における上面)から導光板220の内部に入射し、導光板220のxz面に平行な対向する内側反射面223及び224における全反射により、導光板220の内部を伝搬する。
【0035】
導光板220は、映像表示装置101にて表示する映像光の光束径である瞳サイズを拡大する機能を備えており、光入力部221から導光板220に入射した映像光kを複数に複製して、光出力部222(図における下面)から出力する。これにより、光入力部221から導光板220に入射した映像光kの光束径である瞳サイズφ1よりも大きい瞳サイズφ2の映像光(同図の場合、複製された3本の映像光k)を光出力部222から出力することが可能となる。
【0036】
次に、図5は、導光板220の例を示す図である。なお、同図においては、映像投影部200と導光板220の間に設けられる映像光複製部210の図示は省略している。
【0037】
同図(A)に示す導光板220の一例である導光板801は、3つの回折領域802,803,804を備える。
【0038】
回折領域802は、y軸に略平行な光をz軸に略平行な方向に回折する構造を有する。回折領域803は、xz面内でz軸に略平行な光をx軸に略平行な方向に回折する構造を有する。回折領域804は、x軸に略平行な光をy軸に略平行な方向に回折する構造を有する。回折領域802と回折領域804の回折構造のピッチは互いに略等しく、回折領域803の回折構造のピッチは、回折領域802の回折構造のピッチの1/√2倍に略等しい。
【0039】
導光板801においては、映像投影部200からの映像光が光入力部221に対応する回折領域802に入射する。回折領域802に入射した映像光は回折して、導光板801の内部に取り込まれ、導光板801の内部を全反射導光し、回折領域803に到達する。回折領域803に到達した映像光の一部は回折領域803で回折し、回折しなかった映像光は導光板801の内部で全反射して、再び回折領域803に到達する。そして、回折領域803に到達するごとに映像光は複数に複製され、複製された映像光は導光板801の内部を全反射導光し、光出力部222に対応する回折領域804に到達する。
【0040】
回折領域804に到達した映像光の一部は回折領域804で回折し、回折しなかった映像光は導光板801の内部で全反射して、再び回折領域804に到達する。そして、回折領域804に到達するごとに映像光は複数に複製されて導光板801から出射する。
【0041】
したがって、導光板801によれば、映像光の光束径である瞳サイズを2次元方向に拡大することができる。なお、導光板801は、3つの回折領域802~804を備えるが、例えば、導光板に2つの回折領域を設け、2つの回折領域の回折構造の方向と周期(ピッチ)を略同一としてもよい。これにより、導光板の構造を平易にすることができ、導光板のコストを低減できる。
【0042】
次に、同図(B)に示す導光板220の一例である導光板811は、2つの回折領域812,813を備える。
【0043】
回折領域812は、y軸に略平行な光をxz平面内でx軸に略平行な方向に回折する構造を有する。回折領域813は、xz面において、x軸に略平行な光をx軸から反時計回りに略60度と、略-60度の2方向に回折する構造を有する。回折領域812の回折構造のピッチと、回折領域813の2つの方向の回折構造のピッチは、互いに全て略等しい。
【0044】
導光板811においては、映像投影部200からの映像光が光入力部221に対応する回折領域812に入射する。回折領域812に入射した映像光は回折して、導光板811の内部に取り込まれ、導光板811の内部を全反射導光し、光出力部222に対応する回折領域813に到達する。回折領域813は映像光を2方向に回折する構造を有するが、導光板811の内部で全反射導光する過程で、回折領域813が有する2方向の回折構造のそれぞれで1回ずつ回折すると、映像光は導光板811から出射する。
【0045】
したがって、導光板811によっても、映像光の光束径である瞳サイズを2次元方向に拡大することができる。
【0046】
次に、同図(C)に示す導光板220の一例である導光板821は、入射面822、及び複数の部分反射面823を備える。
【0047】
複数の部分反射面823は、互いに平行で、入射した光の少なくとも一部を反射し、残りを透過する複数枚のビームスプリッタ面である。
【0048】
導光板821においては、映像投影部200からの映像光が光入力部221に対応する入射面822に入射する。入射面822に入射した映像光は、導光板821の内部で全反射導光し、複数の部分反射面823に到達する。複数の部分反射面823を構成するそれぞれのビームスプリッタ面が映像光を反射することにより、光出力部222に対応する光出力面824から映像光が出射する。
【0049】
したがって、導光板821によれば、映像光の光束径である瞳サイズを1次元方向に拡大することが可能となる。
【0050】
上述したように、導光板801,811,821から出射された映像光の一部は、ユーザの目120に入射する。ユーザは、目120に入射した光を知覚することで、映像表示装置101が表示する映像を視認することができる。
【0051】
なお、導光板220が有する瞳サイズを拡大する機能により、導光板220の光出力部222から出力される映像光の瞳サイズφ2(図4)は、導光板220に入射する映像光の瞳サイズφ1(図4)よりも大きくなっているため、導光板220を経ずに導光板220に入射する映像光をユーザが直接見る場合と比べて、導光板220を出射した映像光を見る場合の方が、ユーザの目120が移動した際にユーザが映像を視認できるエリア(アイボックス)を広くすることが可能となる。
【0052】
しかしながら、図3に示されたファイバ走査型プロジェクタ201やミラー走査型プロジェクタ202のような指向性のある光(レーザ光)を走査して映像を生成する映像生成装置を映像投影部200に採用した場合、映像光の射出瞳直径が指向性のある光の直径とほぼ等しく、0.1~2.0mm程度である。
【0053】
0.1~2.0mm程度の映像光の射出瞳直径は、導光板220から出力される複数の映像光の間隔2mm~8mm程度と比べて小さいため、導光板220から出力される複数の映像光どうしが重なりを持たず、ユーザの目が複数の映像光の隙間に位置した際に、ユーザの目の瞳孔に映像光が入射しないか、ほとんど入射しない場合がある。この場合、ユーザは映像の少なくとも一部分を視認することができないか、映像の一部分が顕著に暗く見えてしまう事態が起こり得る。
【0054】
このような事態の発生を抑止するために、映像表示装置101では、映像投影部200と導光板220の間に、映像光複製部210が設けられている。以下、映像光複製部210について詳述する。
【0055】
<映像光複製部210の第1の構成例>
次に、図6は、映像表示装置101における映像光複製部210の第1の構成例を示す断面図である。
【0056】
映像光複製部210の第1の構成例は、映像光複製プリズム301から成る。映像光複製プリズム301は、透明な硝材または樹脂によって形成されており、入力面302、出力面303、及び、少なくとも2つ以上の略平面で互いに略平行な映像光分岐面304を備える。同図の場合、映像光複製プリズム301は、2つの映像光分岐面304A,304Bを備える。
【0057】
映像光複製プリズム301においては、映像投影部200からの映像光が入力面302から入射し、映像光分岐面304Aに到達する。映像光分岐面304Aは、入射した光の少なくとも一部を反射し、残りを透過する。よって、映像光分岐面304Aに到達して透過した映像光は、出力面303から出射する。また、映像光分岐面304Aに到達して反射した映像光は、映像光分岐面304Bに到達する。映像光分岐面304Bは、少なくとも一部の光を反射する。よって、映像光分岐面304Bに到達して反射した光は、出力面303から出射する。
【0058】
映像光分岐面304A,304Bは、何れも略平面で、互いに略平行なので、映像光複製プリズム301は、映像光複製プリズム301に入射した映像光と略同一の画角を持つ映像光を2本に複製して出力することが可能となる。
【0059】
映像光複製プリズム301が出力した2本の映像光は、何れも導光板220の光入力部221に入射する。光入力部221に入射した2本の映像光は、それぞれ導光板220が有する瞳サイズを拡大する機能により複製されて光出力部222から出力する。
【0060】
映像光複製プリズム301が出力した2つの映像光は、導光板220の光入力部221の異なる場所に入射するため、光出力部222の異なる場所から出力される。そのため、導光板220から出力される映像光どうしの隙間が少なくなる。これにより、ユーザの目の瞳孔に映像光が入射するようになり、ユーザは映像の全体を視認することが可能となる。
【0061】
なお、映像光分岐面304B(複数の映像光分岐面304のうち、映像光が最後に到達する映像光分岐面304)は、全ての映像光を反射することが望ましい。これにより、光利用効率を高めることが可能となる。
【0062】
また、映像光分岐面304Aのエネルギ反射率(以下、反射率と略称する)をRA、映像光分岐面304Bの反射率をRBとした場合、(1-RA)とRA×RBが略等しくなるように、映像光分岐面304A,304Bを形成することが望ましい。
【0063】
特に、映像光分岐面304Bが映像光を全反射するようにした場合、すなわち、RB=1とした場合、RA=0.5とすることが望ましい。これにより、映像光複製プリズム301から出射する2つの映像光の強度が互いに略等しくなり、ユーザが視認する映像をより均一にすることができる。
【0064】
なお、同図の場合、映像光複製プリズム301は、2つの映像光分岐面304を備えるとして説明したが、2つ以上の映像光分岐面304を備えていてもよい。映像光複製プリズム301が2つ以上の映像光分岐面304を備える場合においても、全ての映像光分岐面304を略平面で互いに略平行となるように形成する。
【0065】
例えば、映像光分岐面304の数をN枚とし、N枚の映像光分岐面304のうち、入力面302に近いものから順に第1、第2、…、第Nの映像光分岐面304とした場合、入力面302から入射した映像光は、第1の映像光分岐面304に入射する。第1の映像光分岐面304に入射した光の少なくとも一部は第1の映像光分岐面304を透過して出力面303から出射し、第1の映像光分岐面304に入射した光の少なくとも一部は第1の映像光分岐面304で反射して第2の映像光分岐面304に入射する。2以上(N-1)以下の整数kに対して、第kの映像光分岐面304に入射した光の少なくとも一部は第kの映像光分岐面304で反射して出力面303から出射し、第kの映像光分岐面304に入射した光の少なくとも一部は第kの映像光分岐面304を透過して第(k+1)の映像光分岐面304に入射する。第Nの映像光分岐面304に入射した光の少なくとも一部は、第Nの映像光分岐面304で反射して出力面303から出射する。これにより、映像光複製プリズム301は、映像光複製プリズム301に入射した映像光と略同一の画角を持つ映像光をN本に複製して出力することが可能となる。
【0066】
また、第1~第Nの映像光分岐面304のうち、第1の映像光分岐面304の反射率が最も高く、第2~第Nの映像光分岐面304の反射率は、入力面に近いほど低くなるように構成するとよい。好適には、第1の映像光分岐面304の反射率は(N-1)/Nであり、2以上N以下の整数kに対して、第kの映像光分岐面304の反射率は1/(N-k+1)とするとよい。これにより、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0067】
さらに、映像光複製プリズム301は、入力面302から映像光複製プリズム301に入射した映像光が、映像光分岐面304に入射する前に、映像光複製プリズム301の出力面303以外の端面に入射しないように構成することが望ましい。これにより、迷光が発生することを防ぐことができる。
【0068】
またさらに、映像光複製プリズム301は、第1の映像光分岐面304で反射した光が、第1の映像光分岐面304以外の第2~Nの映像光分岐面304で反射する前に、映像光複製プリズム301の端面に入射しないように構成することが望ましい。これにより、迷光が発生することを防ぐことができる。
【0069】
別の映像光複製プリズム301として、映像光複製プリズム301に入射して第1の映像光分岐面304で反射した光が出力面303から出射するように構成した映像光複製プリズム301を利用してもよい。例えば、入力面302から入射した映像光は、第1の映像光分岐面304に入射する。1以上(N-1)以下の整数kに対して、第kの映像光分岐面304に入射した光の少なくとも一部は第kの映像光分岐面304で反射して出力面303から出射し、第kの映像光分岐面304に入射した光の少なくとも一部は第kの映像光分岐面304を透過して第(k+1)の映像光分岐面304に入射する。第Nの映像光分岐面304に入射した光の少なくとも一部は、第Nの映像光分岐面304で反射して出力面303から出射する。これにより、配置の自由度を高めることが可能である。また、第1~第Nの映像光分岐面304の反射率は、入力面に近いほど低くなるように構成するとよい。好適には、1以上N以下の整数kに対して、第kの映像光分岐面304の反射率は1/(N-k+1)とするとよい。これにより、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0070】
さらに、映像光複製プリズム301は、映像投影部200の映像光を出射する開口サイズをφPJ(不図示)、映像光複製プリズム301のN枚の映像光分岐面304の配置間隔をDistPとした場合、DistPはφPJと略等しいか、またはφPJよりも小さくなるように構成するとよい。これにより、映像光複製プリズム301が出力する2本以上の映像光は互いに重なりを持つようになり、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0071】
また、別の観点から、映像光複製プリズム301は、導光板220の瞳サイズを拡大する機能により導光板220から出力される複数の映像光の間隔をDwg(不図示)とした場合、DistPはDwgの1/Nと略等しいか、Dwgの1/Nの整数倍と略等しくなるように構成するとよい。これにより、導光板220から出力される映像光どうしの隙間をより少なくすることができ、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0072】
<映像光複製部210の第2の構成例>
次に、図7は、映像表示装置101における映像光複製部210の第2の構成例を示す断面図である。
【0073】
映像光複製部210の第2の構成例は、映像光複製回折素子311から成る。映像光複製回折素子311は、透明な硝材または樹脂によって形成されており、入力面312、および出力面313を備える。入力面312は、少なくとも一部の光を回折する回折領域314を備える。出力面313は、少なくとも一部の光を回折する複数の回折領域315を備える。同図の場合、出力面313は、2つの回折領域315A、315Bを備える。
【0074】
回折領域314と回折領域315の回折構造の方向と周期(ピッチ)は、略同一とする。同図の場合、回折領域314,315の回折構造の溝の方向はz軸方向であり、ピッチの方向はx軸方向である。
【0075】
映像光複製回折素子311においては、映像投影部200からの映像光が入力面312の回折領域314に入射する。回折領域314は、0次光と、1次光と、-1次光と、を発生させる。回折領域314から出射した0次光と、1次光と、-1次光は、それぞれ映像光複製回折素子311の内部を伝搬する。回折領域314からの0次光は、出力面313のうち、回折領域315が設けられていない領域から導光板220に出力される。回折領域314からの-1次光は、回折領域315Aに到達し、1次回折して導光板220に出力される。回折領域314からの1次光は、回折領域315Bに到達し、-1次回折して導光板220に出力される。
【0076】
上述したように、回折領域314と回折領域315の回折構造の方向と周期(ピッチ)は、略同一となるように構成されている。これにより、映像光複製回折素子311は、映像光複製回折素子311に入射した映像光と略同一の画角を持つ映像光を3本に複製して出力することが可能となる。
【0077】
なお、回折領域314による0次回折、1次回折、及び-1次回折の3つの回折次数以外の回折効率は、略0であることが望ましい。また、回折領域315Aの1次の回折効率と、回折領域315Bの-1次の回折効率とは、何れも略1であることが望ましい。これにより、光利用効率を高めることができる。
【0078】
さらに、回折領域314の0次回折、1次回折、及び-1次回折それぞれの回折効率は、互いに略等しいことが望ましい。これにより、映像光複製回折素子311から出力される3本の映像光の強度を略等しくすることができ、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0079】
またさらに、回折領域315Aの中心点と回折領域315Bの中心点との間を1:1に内分する点と、回折領域314の中心点から出力面313に下した垂線と出力面313との交点は、略同一の位置であることが望ましい。これにより、映像光複製回折素子311の構造を平易にすることができ、映像光複製回折素子311のコストを低減することが可能となる。
【0080】
また別の観点では、回折領域315Aに入射する映像光の中心点と回折領域315Bに入射する映像光の中心点との間を1:1に内分する点と、回折領域314に入射する映像光の中心点から出力面313に下した垂線と出力面313との交点は、略同一の位置であることが望ましい。これにより、映像光複製回折素子311の構造を平易にすることができ、映像光複製回折素子311のコストを低減することが可能となる。
【0081】
映像光複製回折素子311は、映像投影部200の映像光を出射する開口サイズをφPJ、回折領域315Aの中心点と回折領域315Bの中心点の間の距離をDistG1(どちらも不図示)とした場合、DistG1はφPJの略2倍であるか、略2倍より小さいことが望ましい。これにより、映像光複製回折素子311が出力する3つの映像光は互いに重なりを持つようになり、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0082】
また、別の観点では、回折領域315Aに入射する映像光の中心点と回折領域315Bに入射する映像光の中心点の間の距離をDistG2(不図示)とした場合、DistG2はφPJの略2倍か略2倍より小さいことが望ましい。これにより、映像光複製回折素子311が出力する3つの映像光は互いに重なりを持つようになり、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0083】
なお、上述した説明では、回折領域314は、0次回折と、1次回折と、-1次回折との3つの次数の回折光を出力するとして説明したが、例えば、1次回折と-1次回折などの2つの次数の回折光を出力するとしてもよい。これにより、映像光複製回折素子311の構造を平易にすることができ、映像光複製回折素子311のコストを低減することができる。
【0084】
または、回折領域314は、0次回折と1次回折と-1次回折と2次回折と-2次回折などN個(Nは2以上の整数)の次数の回折光を出力するとしてもよい。kを整数として、回折領域314でk次回折した光は、出力面313が備える回折領域315で-k次回折して、映像光複製回折素子311から出力される。これにより、映像光複製回折素子311は、映像光複製回折素子311に入射した映像光と略同一の画角を持つ映像光をN本に複製して出力することができ、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0085】
また、出力面313のうち、回折領域314でk次回折した光が到達する領域は、-k次回折の回折効率が高い回折領域を備えるように映像光複製回折素子311を構成するとよい。さらに、出力面313のうち、回折領域314で0次回折した(回折しなかった)光が到達する領域は、回折領域を備えていないことが望ましい。これにより、光利用効率を高くすることが可能となる。
【0086】
さらに、回折領域314で回折して出力面313に到達する隣接した映像光どうしの間の距離DistG3(不図示)は、映像投影部200の映像光を出射する開口サイズφPJと略等しいか、φPJより小さいことが望ましい。これにより、映像光複製回折素子311が出力する2つ以上の映像光は互いに重なりを持つようになり、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0087】
また、別の観点では、導光板220の瞳サイズを拡大する機能により導光板220から出力される複数の映像光の間隔をDwgとした場合、DistG3はDwgの1/Nと略等しいか、Dwgの1/Nの整数倍と略等しくなるように映像光複製回折素子311を構成するとよい。これにより、導光板から出力される映像光どうしの隙間をより少なくすることができ、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0088】
<映像光複製部210の第3の構成例>
次に、図8は、映像表示装置101における映像光複製部210の第3の構成例を示す断面図である。
【0089】
映像光複製部210の第3の構成例は、映像光複製ビームスプリッタ321から成る。映像光複製ビームスプリッタ321は、透明な硝材または樹脂によって形成されており、入力面322、及び出力面323を有する。映像光複製ビームスプリッタ321は、出力面323と光入力部221とがなす角が0度より大きく、入力面322と出力面323とが互いに平行となるように形成されている。
【0090】
映像光複製ビームスプリッタ321においては、映像投影部200からの映像光が入力面322から入射し、入射した映像光の少なくとも一部は映像光複製ビームスプリッタ321の内部を伝搬する。映像光複製ビームスプリッタ321の内部を伝搬した映像光は、出力面323に到達する。出力面323は少なくとも一部の光を透過し、少なくとも一部の光を反射する。出力面323を透過した光は映像光複製ビームスプリッタ321から出射する。出力面323で反射した光は、映像光複製ビームスプリッタ321の内部を伝搬して入力面322に到達し、入力面322で反射し、再び出力面323に到達する。入力面322から入射した光が出力面323に到達するごとに、映像光が出力面323から出射する。
【0091】
上述したように、入力面322と出力面323とは互いに平行となるように形成されているので、映像光複製ビームスプリッタ321は、映像光複製ビームスプリッタ321に入射する映像光と略同一の画角を持つ複数の映像光を少なくとも2本以上に複製して出力することが可能となる。
【0092】
入力面322のうち、映像投影部200からの映像光が入射するエリアの透過率は、略1であることが望ましい。これにより光利用効率を高くすることができる。
【0093】
また、入力面322のうち、出力面323で反射した映像光が入射する領域の反射率は、略1であることが望ましい。これにより、光利用効率を高くすることができる。
【0094】
入力面322から入射した映像光が到達する出力面内の領域を第1到達領域、kを1以上の整数として、第k到達領域で反射して、入力面322で反射した映像光が、再び出力面323に到達する出力面内の領域を第(k+1)到達領域と定義する。また、Nを2以上の整数として、出力面323は第1到達領域から第N到達領域まで備え、映像光複製ビームスプリッタ321はN本の映像光を出力するものとする。この場合、第k到達領域の反射率は、第(k+1)到達領域の反射率より大きいことが望ましい。好適には、第k到達領域の反射率は(N-k)/(N-k+1)とする。これにより、映像光複製ビームスプリッタ321が出力する映像光の強度が互いに略等しくなるため、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0095】
別の観点では、映像光複製ビームスプリッタ321は、入力面322と出力面323のうちの少なくとも一方の全面が略均一の反射率となるように構成することが望ましい。これにより映像光複製ビームスプリッタ321のコストを抑えることが可能となる。
【0096】
以上に説明した映像光複製部210を備える映像表示装置101によれば、映像投影部200に、図3に示されたファイバ走査型プロジェクタ201やミラー走査型プロジェクタ202のような射出瞳が小さい映像生成装置が採用されていても、ユーザの目の瞳孔に映像光が入射するようになるため、ユーザは映像の全体を視認可能となる。換言すれば、映像投影部200に、図3に示されたファイバ走査型プロジェクタ201やミラー走査型プロジェクタ202のような射出瞳が小さい映像生成装置を採用して、ユーザが映像の全体を視認可能であって、映像表示装置11を小型化することが可能となる。
【0097】
<映像表示装置の第2の構成例>
次に、図9は、映像表示装置11の第2の構成例としての映像表示装置102を示している。なお、該映像表示装置102の構成要素のうち、映像表示装置101(図2)の構成要素と共通するものについては、同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0098】
映像表示装置102は、映像投影部200、及び導光板400から成る。導光板400は、光入力部221、映像光複製部230、及び光出力部222を有する。
【0099】
映像表示装置102においては、映像投影部200からの映像光が、光入力部221から導光板400の内部に入射し、導光板400の内部を伝搬して映像光複製部230に入射する。映像光複製部230は、入射した映像光の画角を略保存しながら、映像光の光線を少なくとも2本以上に複製して出力する。映像光複製部230にて複製された映像光は、導光板400の内部を伝搬して光出力部222から導光板400の外部に出射する。
【0100】
<映像光複製部230を含む導光板400の構成例>
次に、映像光複製部230を含む導光板400の複数の構成例について、図10図13を参照して説明する。
【0101】
図10は、導光板400の第1の構成例を示す断面図である。導光板400の第1の構成例である導光板410は、光入力部221、光出力部222、及び透明平板401A,401B,402なら成る。
【0102】
透明平板401A,401Bは、映像光複製部230に相当する。透明平板401A,401B,402は、それぞれ透明な硝材または樹脂により形成されている。透明平板401Aと透明平板401Bは、xz面に平行な貼り合せ面403で透明な接着剤、またはオプティカルコンタクトにより貼り合わされている。同様に、貼り合わされた透明平板401A,401Bと、透明平板402とは、yz面に平行な貼り合せ面404にて透明な接着剤、またはオプティカルコンタクトにより貼り合わされている。
【0103】
さらに、透明平板401Aの厚さをt1、透明平板401Bの厚さをt2、透明平板402の厚さをttとした場合、透明平板402の厚さttは、透明平板401A,401Bの厚さの加算値t1+t2に略等しい関係を有する。
【0104】
導光板410においては、映像投影部200からの映像光が、光入力部221から導光板410の内部に入射する。導光板410の内部に入射した光は、透明平板401Aの内部を伝搬し、貼り合せ面403に到達する。貼り合せ面403では、その少なくとも一部の領域が、少なくとも一部の映像光を反射し、少なくとも一部の映像光を透過する。これにより、貼り合せ面403に到達した映像光は、貼り合せ面403で反射するか、または透過するかによって2本に複製される。
【0105】
貼り合せ面403にて反射した映像光は、透明平板401Aの全反射面405Aで全反射し、再び貼り合せ面403に到達する。一方、貼り合せ面403を透過した映像光は、透明平板401Bの全反射面405Bで全反射し、再び貼り合せ面403に到達する。貼り合せ面403に映像光が到達するごとに、貼り合せ面403で反射するかまたは透過するかにより2本に複製される。これにより、映像光複製部230に入射した映像光は複数に複製され、貼り合せ面404に到達する。貼り合せ面404に到達した複数の映像光は、映像光複製部230から透明平板402に入射し、光出力部222に到達する。
【0106】
なお、映像光複製部230からの複数の映像光は、それぞれ導光板410が有する瞳サイズを拡大する機能によりさらに複製されて光出力部222の互いに異なる場所から出力される。よって、導光板410から出射される映像光どうしの隙間が少なくなる。これにより、ユーザの目の瞳孔に映像光が入射するようになり、ユーザは映像の全体を視認可能となる。
【0107】
なお、透明平板401Aの厚さt1と透明平板401Bの厚さt2とを略等しく形成した場合、透明平板401A及び透明平板401Bが薄くなることを防ぐことができ、導光板410の強度を高くすることが可能となる。また、この場合、映像光複製部230では映像光を2本に複製することができる。
【0108】
また、透明平板401A,401Bの貼り合せ面403の反射率は、略0.5であることが望ましい。これにより、映像光複製部230が出力する複数の光線の強度を互いに略等しくすることができ、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0109】
また、別の観点では、透明平板401Aの厚さt1と透明平板401Bの厚さt2との関係を、0.2≦t2/t1<5とした場合、導光板410の強度を低下させることなく、映像光複製部230が出力する映像光の数を増やすことが可能となる。
【0110】
例えば、t2/t1=0.5またはt2/t1=2とした場合、映像光複製部230は、映像光を3本に複製することができる。これにより、導光板410から出射される映像光どうしの隙間をより少なくすることができ、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0111】
次に、図11は、導光板400の第2の構成例を示す断面図である。導光板400の第2の構成例である導光板420は、導光板410(図10)に対し、光入力部221の直下に透明平板406を追加したものである。
【0112】
透明平板406は、透明な硝材または樹脂により形成されている。貼り合わされた透明平板401A,401Bと、透明平板406とは、yz面に平行な貼り合せ面407にて透明な接着剤、またはオプティカルコンタクトにより貼り合わされている。
【0113】
導光板420においては、映像投影部200からの映像光が、光入力部221から導光板420の内部に入射する。導光板410の内部に入射した光は、透明平板406の内部を伝搬し、貼り合せ面407から映像光複製部230に入射する。映像光複製部230に入射した後の映像光の伝搬については、導光板410と同様なので、その説明は省略する。
【0114】
映像光複製部230にて複製された映像光は、それぞれ導光板420が有する瞳サイズを拡大する機能によりさらに複製されて光出力部222の互いに異なる場所から出力される。よって、導光板420から出射される映像光どうしの隙間が少なくなる。これにより、ユーザの目の瞳孔に映像光が入射するようになり、ユーザは映像の全体を視認可能となる。
【0115】
次に、図12は、導光板400の第3の構成例を示す断面図である。導光板400の第3の構成例である導光板430は、光入力部221、光出力部222、透明平板441、及び透明平板442から成る。
【0116】
映像光複製部230は、透明平板441と、透明平板442の一部とによって実現される。
【0117】
透明平板441と透明平板442とは、xz面に平行な貼り合せ面443において、透明な接着剤、またはオプティカルコンタクトにより貼り合わされている。貼り合せ面443の少なくとも一部の領域は、少なくとも一部の映像光を反射し、少なくとも一部の映像光を透過する。
【0118】
導光板430においては、映像投影部200からの映像光が、光入力部221から導光板440の内部に入射し、貼り合せ面443に到達する。貼り合せ面443では、映像光が反射するか、または透過するかによって2本に複製される。これにより、映像光複製部230に入射した映像光は複数に複製される。映像光複製部230から出力された複数の映像光は、それぞれ導光板430が有する瞳サイズを拡大する機能により複製されて光出力部222の互いに異なる場所から出力される。よって、導光板430から出力される映像光どうしの隙間が少なくなる。これにより、ユーザの目の瞳孔に映像光が入射するようになり、ユーザは映像の全体を視認可能となる。
【0119】
上述した導光板410,420,430では、映像光複製部230を2枚の透明平板によって形成していたが、2枚以上の透明平板によって映像光複製部230を形成するようにしてもよい。
【0120】
次に、図13は、導光板400の第4の構成例を示す断面図である。導光板400の第4の構成例である導光板440は、光入力部221、光出力部222、透明平板402、及び3枚の透明平板421A~421Cから成る。
【0121】
映像光複製部230は、3枚の透明平板421A~421Cによって実現される。映像光複製部230を成す透明平板421Aと421Bとは、xz面に平行な貼り合せ面423Aで、透明平板421Bと透明平板421Cとは、xz面に平行な貼り合せ面423Bで、透明な接着剤、またはオプティカルコンタクトにより貼り合わされている。貼り合わされた透明平板421A~421Cと透明平板402とは、yz面に平行な貼り合せ面424で透明な接着剤、またはオプティカルコンタクトにより貼り合わされている。
【0122】
透明平板421Aの厚さをt1、透明平板421Bの厚さをt2、透明平板421Cの厚さをt3、透明平板402の厚さをttとした場合、透明平板402の厚さttは、透明平板421A,421B,421Cの厚さの加算値t1+t2+t3と略等しい。
【0123】
貼り合せ面423A,423Bは、それぞれ少なくとも一部の領域が、少なくとも一部の映像光を反射し、少なくとも一部の映像光を透過する。
【0124】
なお、映像光複製部230を成す透明平板の枚数をより増やせば、映像光複製部230が複製する映像光の本数を増やすことができる。これにより、導光板440から出力される映像光どうしの隙間をより少なくすることができ、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0125】
以上に説明した導光板410~440のいずれかを備える映像表示装置102によれば、上述した映像表示装置101が得られる作用・効果に加えて、映像投影部200と導光板400との間に配置する光学部品が不要となるので、映像表示装置11をより小型化することができる。
【0126】
<映像表示装置の第3の構成例>
次に、図14は、映像表示装置11の第3の構成例である映像表示装置103を示している。映像表示装置103の構成要素のうち、映像表示装置101(図2)の構成要素と共通するものについては、同一の符号を付してその説明を適宜省略する。
【0127】
映像表示装置103は、映像投影部200、映像光複製部250、及び導光板700から成る。映像光複製部250は、導光板700に対して透明な接着剤、またはオプティカルコンタクトにより貼り合わされている。
【0128】
導光板700は、光入力部221、全反射導光部240、及び光出力部222を有する。
【0129】
映像表示装置103においては、映像投影部200からの映像光が光入力部221から導光板700の内部に入射し、全反射導光部240にて全反射導光する。そして、全反射導光する過程で、映像光は映像光複製部250に伝搬する。映像光複製部250は、伝搬してきた映像光の画角を略保存しながら、少なくとも2本以上に複製して出力する。映像光複製部250から出力された映像光は、再び全反射導光部240に入射して全反射導光する。全反射導光部240を出射した映像光は、光出力部222から導光板700の外部に出射する。
【0130】
図15は、映像光複製部250が貼り合わされた導光板700の構成例を示す断面図である。
【0131】
映像光複製部250は、透明な硝材または樹脂で形成された透明平板431Aから成る。全反射導光部240は、透明な硝材または樹脂で形成された透明平板432から成る。
【0132】
透明平板431Aと透明平板432とは、xz面に平行な貼り合せ面433にて透明な接着剤またはオプティカルコンタクトにより貼り合わされている。
【0133】
導光板700においては、映像投影部200からの映像光が光入力部221から導光板700の内部に入射し、透明平板432(全反射導光部240)の内部を全反射導光する。透明平板432の内部で全反射導光する過程で、映像光は貼り合せ面433に到達する。貼り合せ面433の少なくとも一部の領域は、少なくとも一部の映像光を透過し、少なくとも一部の光を反射する。貼り合せ面433を透過した映像光は、透明平板431の内部で全反射導光して、再び貼り合せ面433に到達する。一方、貼り合せ面433で反射した映像光は、透明平板432の内部で全反射導光して、再び貼り合せ面433に到達する。よって、映像光は、貼り合せ面433に到達するごとに複製されることになり、これにより、映像光複製部250は複数の映像光を出力することができる。
【0134】
映像光複製部250が出力した複数の映像光は、それぞれ導光板700が有する瞳サイズを拡大する機能により複製されて光出力部222の互いに異なる場所から出力される。このため、導光板700から出力される映像光どうしの隙間が少なくなる。これにより、ユーザの目の瞳孔に映像光が入射するようになり、ユーザは映像の全体を視認可能となる。
【0135】
なお、透明平板431Aの厚さt1と、透明平板432の厚さt2とは、t1<t2の関係が成立するように形成する。これにより、透明平板431Aの内部における全反射の一往復の距離が短くなり、映像光複製部250による映像光の複製数を増やすことができ、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0136】
以上に説明した導光板700を備える映像表示装置103によれば、上述した映像表示装置101が得られる作用・効果に加えて、映像投影部200と導光板700との間に配置する光学部品が不要となるので、映像表示装置11をより小型化することができる。
【0137】
<映像表示装置101の第1の変形例>
次に、映像表示装置11の第1の構成例である映像表示装置101の第1の変形例について説明する。上述した映像表示装置101は、図6図8に示されたように、映像投影部200からの映像光を映像光複製部210にて複製して1枚の導光板220に入射するようにしたが、映像光複製部210にて複製した複数の映像光を複数の導光板220に入射するように変形してもよい。
【0138】
図16は、映像表示装置101の第1の変形例を示している。該第1の変形例は、y軸方向に重ねて配置した3枚の導光板220A,220B,220Cを備える。
【0139】
導光板220Aの光入力部221Aは、映像光複製部210から入射した映像光の少なくとも一部を導光板220Aに取り込み、少なくとも一部を透過させる。導光板220Bの光入力部221Bは、光入力部221Aを透過した映像光の少なくとも一部を導光板220Bに取り込み、少なくとも一部を透過させる。導光板220Cの光入力部221Cは、光入力部221Bを透過した映像光の少なくとも一部を導光板220Cに取り込む。
【0140】
なお、導光板220A~220Cには、それぞれ異なる波長の光を伝搬する特性を持たせるようにする。例えば、導光板220Aには青色帯域の光を伝搬する特性を持たせ、導光板220Bには緑色帯域の光を伝搬する特性を持たせ、導光板220Cには赤色帯域の光を伝搬する特性を持たせる。
【0141】
これにより、映像光が有する色に応じて導光板220A~220Cのいずれかにて映像光を伝搬することが可能となる。さらに、導光板220A~220Cそれぞれで伝搬する映像光の波長を狭帯域にすることができるので、各導光板220の構成を伝搬する光の波長に最適化することにより、光利用効率等の光学特性を高めることが可能となる。
【0142】
<映像表示装置101の第2の変形例>
次に、映像表示装置11の第1の構成例である映像表示装置101の第2の変形例について説明する。上述した映像表示装置101は、図6図8に示されたように、映像投影部200からの映像光を、映像光複製部210にて1次元方向(x軸方向)に複製して導光板220に入射するようにしたが、映像光複製部210にて2次元方向(x軸方向及びy軸方向)に映像光を複製して導光板220に入射するように変形してもよい。
【0143】
図17は、映像表示装置101の第2の変形例を示しており、同図(A)は、該第2の変形例のxy面の断面図であり、同図(B)は、該第2の変形例のyz面の断面図である。
【0144】
該第2の変形例における映像光複製部210は、映像光複製プリズム301A,301Bから成る。映像光複製プリズム301Aは、映像投影部200からの映像光をx軸方向に複製して映像光複製プリズム301Bに出力する。映像光複製プリズム301Bは、映像光複製プリズム301Aからの映像光をz軸方向に複製して光入力部221から導光板220に入射する。
【0145】
したがって、該第2の変形例においては、映像投影部200からの映像光を映像光複製部210にて2次元方向に複製してから導光板220に入射することができる。これにより、導光板220から出射される映像光どうしの隙間をより少なくすることができ、ユーザが視認する映像をより均一にすることが可能となる。
【0146】
なお、図17に示された第2の変形例では、映像光複製部210を2つの映像光複製プリズム301A,301Bから構成したが、該第2の変形例における映像光複製部210を2つの映像光複製回折素子311(図7)や、2つの映像光複製ビームスプリッタ321(図8)から構成してもよい。
【0147】
<映像表示装置102の変形例>
次に、映像表示装置11の第2の構成例である映像表示装置102の変形例について説明する。上述した映像表示装置102は、図10図13に示されたように、映像投影部200からの映像光を、1枚の導光板400に入射するようにしたが、映像投影部200からの映像光を複数の導光板400に入射するようにしてもよい。
【0148】
図18は、映像表示装置102の変形例を示している。該変形例では、y軸方向に重ねて配置した3枚の導光板400A,400B,400Cを備える。
【0149】
導光板400Aの光入力部221Aは、映像投影部200からの映像光の少なくとも一部を導光板400Aに取り込み、少なくとも一部を透過させる。導光板400Bの光入力部221Bは、光入力部221Aを透過した映像光の少なくとも一部を導光板400Bに取り込み、少なくとも一部を透過させる。導光板400Cの光入力部221Cは、光入力部221Bを透過した映像光の少なくとも一部を導光板400Cに取り込む。
【0150】
なお、導光板400A~400Cには、それぞれ異なる波長の光を伝搬する特性を持たせるようにする。例えば、導光板400Aには青色帯域の光を伝搬する特性を持たせ、導光板400Bには緑色帯域の光を伝搬する特性を持たせ、導光板400Cには赤色帯域の光を伝搬する特性を持たせる。
【0151】
これにより、映像光が有する色に応じて導光板400A~400Cのいずれかにて映像光を伝搬することが可能となる。さらに、導光板400A~400Cそれぞれで伝搬する映像光の波長を狭帯域にすることができるので、各導光板400の構成を伝搬する光の波長に最適化することにより、光利用効率等の光学特性を高めることが可能となる。
【0152】
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【0153】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した各実施形態は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、本発明が、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に、他の実施形態の構成を加えることも可能となる。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能となる。
【符号の説明】
【0154】
10・・・映像表示システム、11・・・映像表示装置、12・・・制御装置、13・・・映像信号処理装置、14・・・電力供給装置、15・・・記憶装置、16・・・センシング装置、17・・・センサ入出力部、18・・・通信装置、19・・・通信入出力部、20・・・音声処理装置、21・・・音声入出力部、101~104・・・映像表示装置、120・・・目、200・・・映像投影部、201・・・ファイバ走査型プロジェクタ、202・・・ミラー走査型プロジェクタ、210・・・映像光複製部、220・・・導光板、220・・・導光板、221・・・光入力部、222・・・光出力部、223・・・内側反射面、224・・・内側反射面、230・・・映像光複製部、240・・・全反射導光部、250・・・映像光複製部、301・・・映像光複製プリズム、302・・・入力面、303・・・出力面、304・・・映像光分岐面、311・・・映像光複製回折素子、312・・・入力面、313・・・出力面、314・・・回折領域、315・・・回折領域、315A・・・回折領域、315B・・・回折領域、321・・・映像光複製ビームスプリッタ、322・・・入力面、323・・・出力面、400・・・導光板、401・・・透明平板、402・・・透明平板、403・・・貼り合せ面、404・・・貼り合せ面、405・・・全反射面、406・・・透明平板、407・・・貼り合せ面、410・・・導光板、420・・・導光板、421・・・映像光複製部、421・・・透明平板、423・・・貼り合せ面、424・・・貼り合せ面、430・・・導光板、431・・・透明平板、431・・・映像光複製部、432・・・透明平板、433・・・貼り合せ面、440・・・導光板、441・・・透明平板、442・・・透明平板、443・・・貼り合せ面、700・・・導光板、801・・・導光板、802・・・回折領域、803・・・回折領域、804・・・回折領域、811・・・導光板、812・・・回折領域、813・・・回折領域、821・・・導光板、822・・・入射面、823・・・部分反射面、824・・・光出力面、900・・・光源部、901・・・ファイバ、902・・・ファイバ走査素子、903・・・コリメートレンズ、904・・・端面、911・・・走査素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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