(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】情報処理プログラム、情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
A63F 13/56 20140101AFI20220907BHJP
A63F 13/822 20140101ALI20220907BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20220907BHJP
【FI】
A63F13/56
A63F13/822
G06T19/00 A
(21)【出願番号】P 2016116046
(22)【出願日】2016-06-10
【審査請求日】2019-04-12
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000233778
【氏名又は名称】任天堂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【氏名又は名称】鈴木 守
(72)【発明者】
【氏名】北園 裕介
(72)【発明者】
【氏名】松崎 康彦
【合議体】
【審判長】藤本 義仁
【審判官】比嘉 翔一
【審判官】吉村 尚
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-215886(JP,A)
【文献】特開2013-232205(JP,A)
【文献】特開2004-141435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F13/00-13/98,A63F 9/24,G06T19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置を構成するプロセッサにて実行されることで、前記プロセッサに、メモリに記憶されたゲームデータ及びコントローラからの入力信号に応じた演算処理を行わせる情報処理プログラムであって、前記プロセッサを、
仮想空間内のプレイヤオブジェクトと、情報処理装置によって制御さ
れあるいは他のユーザによって操作される非プレイヤオブジェクトとの位置関係に基づいて、前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトの前方に設定された方位範囲に存在するという第1条件を満たすか否かを判定する第1判定手段、
前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトが、前記非プレイヤオブジェクトの周囲に設定された所定の領域の中にあるという第2条件を満たすか否かを判定する第2判定手段、
前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがある場合に、前記第1条件を満たす1つの非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、
前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがある場合において前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトが複数あるときは、前記第1条件に加えて前記プレイヤオブジェクトに最も近い1つの非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがない場合には、前記第1条件を満たさないが前記第2条件を満たす
1つの非プレイヤオブジェクトを前記処理対象として決定
し、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがない場合において前記第2条件を満たす非プレイヤオブジェクトが複数あるときは、前記第2条件に加えて前記プレイヤオブジェクトに最も近い1つの非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定する処理対象決定手段、及び、
前記処理対象として決定された非プレイヤオブジェクトに対して所定の情報処理を行って、前記所定の情報処理の結果を表示装置に表示するためのゲーム画像を生成する情報処理手段、
として機能させ、
前記所定の情報処理は、前記プレイヤオブジェクトと前記処理対象の非プレイヤオブジェク
トの発話内容を表示することで疑似会話を行うための情報処理である、情報処理プログラム。
【請求項2】
前記非プレイヤオブジェクトは複数あり、
前記所定の領域は、複数の前記非プレイヤオブジェクトの各々に個別に設定される、請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記情報
処理は、
さらに、発話内容を表示することで疑似会話を行う前に、非プレイヤキャラクタに発話を開始させるための機能が割り当てられた前記コントローラのボタンを指示する操作指示バルーンを表示し、前記ボタンが押下されたことに応じて前記疑似会話を開始する処理を含む、請求項
1に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記非プレイヤオブジェクトには、優先的に処理
されるか否かが設定されており、
前記処理対象決定手段は、前記優先的に処理
されると設定された非プレイヤオブジェクトが存在する場合には、
前記優先的に処理されると設定された非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定
し、前記優先的に処理されると設定されていない非プレイヤオブジェクトは処理対象として決定しない、請求項1ないし
3のいずれかに記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
情報処理装置を構成するプロセッサにて実行されることで、前記プロセッサに、メモリに記憶されたゲームデータ及びコントローラからの入力信号に応じた演算処理を行わせる情報処理プログラムであって、前記プロセッサを、
仮想空間内のプレイヤオブジェクトと、情報処理装置によって制御さ
れあるいは他のユーザによって操作される非プレイヤオブジェクトとの位置関係に基づいて、前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトの前方に設定された方位範囲に存在するという第1条件を満たすか否かを判定する第1判定手段、
前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトが、前記非プレイヤオブジェクトの周囲に設定された所定の領域の中にあるという第2条件を満たすか否かを判定する第2判定手段、
前記第1条件及び前記第2条件をともに満たす非プレイヤオブジェクトがある場合に、前記第1条件及び前記第2条件をともに満たす1つの非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、
前記第1条件及び前記第2条件をともに満たす非プレイヤオブジェクトがある場合において前記第1条件及び前記第2条件をともに満たす非プレイヤオブジェクトが複数あるときは、前記第1条件及び前記第2条件に加えて前記プレイヤオブジェクトに最も近い1つの非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、前記第1条件及び前記第2条件をともに満たす非プレイヤオブジェクトがない場合には、前記第2条件を満たす
1つの非プレイヤオブジェクトを前記処理対象として決定
し、前記第1条件及び前記第2条件をともに満たす非プレイヤオブジェクトがない場合において前記第2条件を満たす非プレイヤオブジェクトが複数あるときは、前記第2条件に加えて前記プレイヤオブジェクトに最も近い1つの非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定する処理対象決定手段、及び
前記処理対象として決定された非プレイヤオブジェクトに対して所定の情報処理を行って、前記所定の情報処理の結果を表示装置に表示するためのゲーム画像を生成する情報処理手段、
として機能させ、
前記所定の情報処理は、前記プレイヤオブジェクトと前記処理対象の非プレイヤオブジェク
トの発話内容を表示することで疑似会話を行うための情報処理である、情報処理プログラム。
【請求項6】
プロセッサを備えた情報処理装置であって、
前記プロセッサは、
仮想空間内のプレイヤオブジェクトと、情報処理装置によって制御さ
れあるいは他のユーザによって操作される非プレイヤオブジェクトとの位置関係に基づいて、前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトの前方に設定された方位範囲に存在するという第1条件を満たすか否かを判定する第1判定手段と、
前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトが、前記非プレイヤオブジェクトの周囲に設定された所定の領域の中にあるという第2条件を満たすか否かを判定する第2判定手段と、
前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがある場合に、前記第1条件を満たす1つの非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、
前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがある場合において前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトが複数あるときは、前記第1条件に加えて前記プレイヤオブジェクトに最も近い1つの非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがない場合には、前記第1条件を満たさないが前記第2条件を満たす
1つの非プレイヤオブジェクトを前記処理対象として決定
し、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがない場合において前記第2条件を満たす非プレイヤオブジェクトが複数あるときは、前記第2条件に加えて前記プレイヤオブジェクトに最も近い1つの非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定する処理対象決定手段と、
前記処理対象として決定された非プレイヤオブジェクトに対して所定の情報処理を行って、前記所定の情報処理の結果を表示装置に表示するためのゲーム画像を生成する情報処理手段と、
として機能し、
前記所定の情報処理は、前記プレイヤオブジェクトと前記処理対象の非プレイヤオブジェク
トの発話内容を表示することで疑似会話を行うための情報処理である、情報処理装置。
【請求項7】
プロセッサを備えた情報処理システムであって、
前記プロセッサは、
仮想空間内のプレイヤオブジェクトと、情報処理装置によって制御さ
れあるいは他のユーザによって操作される非プレイヤオブジェクトとの位置関係に基づいて、前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトの前方に設定された方位範囲に存在するという第1条件を満たすか否かを判定する第1判定手段と、
前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトが、前記非プレイヤオブジェクトの周囲に設定された所定の領域の中にあるという第2条件を満たすか否かを判定する第2判定手段と、
前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがある場合に、前記第1条件を満たす1つの非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、
前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがある場合において前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトが複数あるときは、前記第1条件に加えて前記プレイヤオブジェクトに最も近い1つの非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがない場合には、前記第1条件を満たさないが前記第2条件を満たす
1つの非プレイヤオブジェクトを前記処理対象として決定
し、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがない場合において前記第2条件を満たす非プレイヤオブジェクトが複数あるときは、前記第2条件に加えて前記プレイヤオブジェクトに最も近い1つの非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定する処理対象決定手段と、
前記処理対象として決定された非プレイヤオブジェクトに対して所定の情報処理を行って、前記所定の情報処理の結果を表示装置に表示するためのゲーム画像を生成する情報処理手段と、
として機能し、
前記所定の情報処理は、前記プレイヤオブジェクトと前記処理対象の非プレイヤオブジェク
トの発話内容を表示することで疑似会話を行うための情報処理である、情報処理システム。
【請求項8】
メモリに記憶されたゲームデータ及びコントローラからの入力信号に応じた演算処理を行うプロセッサを用いて実行される情報処理方法であって、
前記プロセッサが、仮想空間内のプレイヤオブジェクトと、情報処理装置によって制御さ
れあるいは他のユーザによって操作される非プレイヤオブジェクトとの位置関係に基づいて、前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトの前方に設定された方位範囲に存在するという第1条件を満たすか否かを判定し、
前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトが、前記非プレイヤオブジェクトの周囲に設定された所定の領域の中にあるという第2条件を満たすか否かを判定し、
前記プロセッサが、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがある場合に、前記第1条件を満たす1つの非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、
前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがある場合において前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトが複数あるときは、前記第1条件に加えて前記プレイヤオブジェクトに最も近い1つの非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがない場合には、前記第1条件を満たさないが前記第2条件を満たす1つの非プレイヤオブジェクトを前記処理対象として決定し、
前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがない場合において前記第2条件を満たす非プレイヤオブジェクトが複数あるときは、前記第2条件に加えて前記プレイヤオブジェクトに最も近い1つの非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、
前記プロセッサが、前記処理対象として決定された非プレイヤオブジェクトに対して所定の情報処理を行って、前記所定の情報処理の結果を表示装置に表示するためのゲーム画像を生成し、
前記所定の情報処理は、前記プレイヤオブジェクトと前記処理対象の非プレイヤオブジェク
トの発話内容を表示することで疑似会話を行うための情報処理である、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザがオブジェクトを操作する情報処理プログラム、情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、仮想空間内のオブジェクトを操作してゲーム等を実行する情報処理システムが知られている。オブジェクトには、プレイヤであるユーザが操作するオブジェクト(以下、「プレイヤオブジェクト」という。)と、プレイヤオブジェクト以外のオブジェクト(「非プレイヤオブジェクト」という。)とがある。この情報処理システムによって提供される仮想空間内には、例えば、オブジェクトとして人物や動物を模した姿をしたキャラクタが登場する。プレイヤオブジェクトとしてのキャラクタを、以下「プレイヤキャラクタ」又は「PC」といい、非プレイヤオブジェクトとしてのキャラクタを、以下「非プレイヤキャラクタ」。
【0003】
ロールプレイングゲーム等のゲームでは、非プレイヤキャラクタは、情報処理システムによって制御され、あるいは他のユーザによって操作される。PCは、ユーザの操作に従って仮想空間内を移動できる。また、PCと非プレイヤキャラクタとが近づくと、非プレイヤキャラクタとの疑似会話を行うことができる仕組みが用意されることがある(例えば、特許文献1)。
【0004】
特許文献1には、PCを中心とする円領域を会話領域として、会話領域内に存在する
非プレイヤキャラクタを会話相手としてPCが疑似会話をし、同領域内に複数の
非プレイヤキャラクタが存在する場合には、PCとの距離が最も近い
非プレイヤキャラクタを会話相手とする技術が紹介されている(特許文献1の
図1、段落0047参照)。
【0005】
また、特許文献1には、PCを中心としてPCの進行方向又は視線方向に向かって展開された扇形の領域を会話領域とする変形例が記載されている(特許文献1の
図11、段落0105~0106参照)。このように、会話領域をPCの進行方向又は視線方向に向かって展開された扇形とすることで、PCはその前方にいる
非プレイヤキャラクタとのみ会話をすることとなり、PCがその背後にいる
非プレイヤキャラクタに背を向けたままその
非プレイヤキャラクタと会話をするという不自然さを解消できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来のゲーム装置によれば、非プレイヤキャラクタがPCの背後に存在するがPCの前方には存在しない場合にも、PCはそのような背後にいる非プレイヤキャラクタと会話をしないことになる。しかしながら、ゲームの種類によっては、上記のような不自然さを極力解消しながら、非プレイヤキャラクタと会話をする機会を増やしたいという要望もある。
【0008】
本発明は、PCを基準として設定された方位範囲内にいない非プレイヤキャラクタに対して情報処理を行うことによる不自然さを解消しつつ、非プレイヤキャラクタに対して情報処理をする機会を増やす情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、仮想空間、並びに前記仮想空間内のプレイヤオブジェクト及び情報処理装置によって制御され、あるいは他のユーザによって操作される非プレイヤオブジェクトの位置のデータをゲームデータとして記憶するメモリとともに前記情報処理装置を構成するプロセッサにて実行されることで、前記プロセッサを、前記メモリから前記仮想空間、並びに前記プレイヤオブジェクト及び前記非プレイヤオブジェクトの位置を読み出して、前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に存在するという第1条件を満たすか否かを判定する第1判定手段、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがある場合に、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがない場合には、前記第1条件を満たさない非プレイヤオブジェクトを前記処理対象として決定する処理対象決定手段、及び、前記処理対象として決定された非プレイヤオブジェクトに対して所定の情報処理を行って、前記所定の情報処理の結果を表示装置に表示するためのゲーム画像を生成する情報処理手段、として機能させ、前記所定の情報処理は、前記プレイヤオブジェクトと前記処理対象の非プレイヤオブジェクトとの疑似会話を行うための情報処理である、情報処理プログラムである。
【0010】
この構成によれば、プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に非プレイヤオブジェクトが存在する場合には、そのような非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定することで、その方位範囲にいない非プレイヤオブジェクトに対して疑似会話のための情報処理を行うことによる不自然さを解消しつつ、プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に非プレイヤオブジェクトが存在しない場合には、プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に存在しない非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定することを許容することで、非プレイヤオブジェクトに対して疑似会話のための情報処理をする機会を増やすことができる。
【0011】
前記情報処理プログラムは、前記情報処理のコンピュータを、さらに、前記仮想空間内の非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトと所定の位置関係にあるという第2条件を満たすか否かを判定する第2判定手段として機能させてよく、前記処理対象決定手段は、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがない場合には、前記第1条件を満たさないが前記第2条件を満たす非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定してよい。
【0012】
この構成により、処理対象決定手段は、第1条件及び第2条件をともに満たす非プレイヤオブジェクトがある場合に、そのような第1条件及び第2条件を満たす非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがない場合には、第1条件を満たさないが第2条件を満たす非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定することとなり、単にプレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準に設定された方位範囲にあるか否かだけでなく、プレイヤオブジェクトとの位置関係にも基づいて処理対象を決定できる。
【0013】
前記所定の位置関係は、前記プレイヤオブジェクトが、前記非プレイヤオブジェクトの周囲に設定された所定の領域の中にあるという関係であってよい。この構成により、位置関係は非プレイヤオブジェクトの周りに設定されるので、プレイヤオブジェクトが非プレイヤオブジェクトに近づくことで、その非プレイヤオブジェクトに対して情報処理を行うことができる。
【0014】
前記非プレイヤオブジェクトは複数あり、前記所定の領域は、複数の前記非プレイヤオブジェクトの各々に個別に設定されてよい。上記のように、位置関係はプレイヤオブジェクトに設定されているのではなく、非プレイヤオブジェクトに設定されているので、第1条件としての位置関係を複数の非プレイヤオブジェクトについて一律に設定する必要がなく、個別に設定することができる。
【0015】
前記処理対象決定手段は、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトが複数ある場合には、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトのうちの、前記プレイヤオブジェクトとの距離が最も近い非プレイヤオブジェクトを前記処理対象として決定してよい。この構成により、プレイヤオブジェクトから最も距離が近い1つの非プレイヤオブジェクトに対して情報処理を行うことができる。
【0016】
前記処理対象決定手段は、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがなく、前記第1条件を満たさない非プレイヤオブジェクトが複数ある場合には、前記第1条件を満たさない非プレイヤオブジェクトのうちの、前記プレイヤオブジェクトとの距離が最も近い非プレイヤオブジェクトを前記処理対象として決定してよい。この構成により、第1条件を満たさない非プレイヤオブジェクトについて、プレイヤオブジェクトから最も距離が近い1つの非プレイヤオブジェクトに対して情報処理を行うことができる。
【0017】
前記所定の情報処理は、前記処理対象の非プレイヤオブジェクトに付加して表示される、前記疑似会話に関する情報を出力する処理であってよい。また、前記情報は、前記疑似会話が可能であることを示す情報であってよい。
【0018】
前記非プレイヤオブジェクトには、優先的に処理対象となるか否かが設定されていてよく、前記処理対象決定手段は、前記優先的に処理対象となる非プレイヤオブジェクトが存在する場合には、前記第1条件を満たすか否かにかかわらず、当該非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定してよい。この構成により、優先的に処理対象とする非プレイヤオブジェクトを設定できる。
【0019】
本発明の別の態様は、仮想空間、並びに前記仮想空間内のプレイヤオブジェクト及び情報処理装置によって制御され、あるいは他のユーザによって操作される非プレイヤオブジェクトの位置のデータをゲームデータとして記憶するメモリとともに前記情報処理装置を構成するプロセッサにて実行されることで、前記プロセッサを、前記メモリから前記仮想空間、並びに前記プレイヤオブジェクト及び前記非プレイヤオブジェクトの位置を読み出して、前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に存在するという第1条件を満たすか否かを判定する第1判定手段、前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトと所定の位置関係にあるという第2条件を満たすか否かを判定する第2判定手段、前記第1条件及び前記第2条件をともに満たす非プレイヤオブジェクトがある場合に、前記第1条件及び前記第2条件をともに満たす非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、前記第1条件及び前記第2条件をともに満たす非プレイヤオブジェクトがない場合には、前記第2条件を満たす非プレイヤオブジェクトを前記処理対象として決定する処理対象決定手段、及び前記処理対象として決定された非プレイヤオブジェクトに対して所定の情報処理を行って、前記所定の情報処理の結果を表示装置に表示するためのゲーム画像を生成する情報処理手段、として機能させ、前記所定の情報処理は、前記プレイヤオブジェクトと前記処理対象の非プレイヤオブジェクトとの疑似会話を行うための情報処理である、情報処理プログラムである。
【0020】
この構成によれば、第2条件を満たすことを前提として、第1条件も満たす非プレイヤオブジェクトを優先して処理対象とすることができるとともに、第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがない場合には、第1条件を満たさない非プレイヤオブジェクトを処理対象とすることができる。
【0021】
本発明のさらに別の態様は、情報処理装置であって、仮想空間、並びに前記仮想空間内のプレイヤオブジェクト及び前記情報処理装置によって制御され、あるいは他のユーザによって操作される非プレイヤオブジェクトの位置のデータをゲームデータとして記憶するメモリと、プロセッサとを備え、前記プロセッサは、前記メモリから前記仮想空間、並びに前記プレイヤオブジェクト及び前記非プレイヤオブジェクトの位置を読み出して、前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に存在するという第1条件を満たすか否かを判定する第1判定手段と、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがある場合に、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがない場合には、前記第1条件を満たさない非プレイヤオブジェクトを前記処理対象として決定する処理対象決定手段と、前記処理対象として決定された非プレイヤオブジェクトに対して所定の情報処理を行って、前記所定の情報処理の結果を表示装置に表示するためのゲーム画像を生成する情報処理手段と、を備え、前記所定の情報処理は、前記プレイヤオブジェクトと前記処理対象の非プレイヤオブジェクトとの疑似会話を行うための情報処理である、情報処理装置である。
【0022】
この構成によっても、プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に非プレイヤオブジェクトが存在する場合には、そのような非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定することで、その方位範囲にいない非プレイヤオブジェクトに対して疑似会話のための情報処理を行うことによる不自然さを解消しつつ、プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に非プレイヤオブジェクトが存在しない場合には、プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に存在しない非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定することを許容することで、非プレイヤオブジェクトに対して疑似会話のための情報処理をする機会を増やすことができる。
【0023】
本発明のさらに別の態様は、情報処理システムであって、仮想空間、並びに前記仮想空間内のプレイヤオブジェクト及び前記情報処理システムによって制御され、あるいは他のユーザによって操作される非プレイヤオブジェクトの位置のデータをゲームデータとして記憶するメモリと、プロセッサとを備え、前記プロセッサは、前記メモリから前記仮想空間、並びに前記プレイヤオブジェクト及び前記非プレイヤオブジェクトの位置を読み出して、前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に存在するという第1条件を満たすか否かを判定する第1判定手段と、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがある場合に、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがない場合には、前記第1条件を満たさない非プレイヤオブジェクトを前記処理対象として決定する処理対象決定手段と、前記処理対象として決定された非プレイヤオブジェクトに対して所定の情報処理を行って、前記所定の情報処理の結果を表示装置に表示するためのゲーム画像を生成する情報処理手段と、を備え、前記所定の情報処理は、前記プレイヤオブジェクトと前記処理対象の非プレイヤオブジェクトとの疑似会話を行うための情報処理である、情報処理システムである。
【0024】
この構成によっても、プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に非プレイヤオブジェクトが存在する場合には、そのような非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定することで、その方位範囲にいない非プレイヤオブジェクトに対して疑似会話のための情報処理を行うことによる不自然さを解消しつつ、プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に非プレイヤオブジェクトが存在しない場合には、プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に存在しない非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定することを許容することで、非プレイヤオブジェクトに対して疑似会話のための情報処理をする機会を増やすことができる。
【0025】
本発明のさらに別の態様は、仮想空間、並びに前記仮想空間内のプレイヤオブジェクト及び前記情報処理システムによって制御され、あるいは他のユーザによって操作される非プレイヤオブジェクトの位置のデータをゲームデータとして記憶するメモリとプロセッサとを用いて実行される情報処理方法であって、前記プロセッサが、前記メモリから前記仮想空間、並びに前記プレイヤオブジェクト及び前記非プレイヤオブジェクトの位置を読み出して、前記非プレイヤオブジェクトについて、前記プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に存在するという第1条件を満たすか否かを判定し、前記プロセッサが、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがある場合に、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定し、前記第1条件を満たす非プレイヤオブジェクトがない場合には、前記第1条件を満たさない非プレイヤオブジェクトを前記処理対象として決定し、前記プロセッサが、前記処理対象として決定された非プレイヤオブジェクトに対して所定の情報処理を行って、前記所定の情報処理の結果を表示装置に表示するためのゲーム画像を生成し、前記所定の情報処理は、前記プレイヤオブジェクトと前記処理対象の非プレイヤオブジェクトとの疑似会話を行うための情報処理である、情報処理方法である。
【0026】
この構成によっても、プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に非プレイヤオブジェクトが存在する場合には、そのような非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定することで、その方位範囲にいない非プレイヤオブジェクトに対して疑似会話のための情報処理を行うことによる不自然さを解消しつつ、プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に非プレイヤオブジェクトが存在しない場合には、プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に存在しない非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定することを許容することで、非プレイヤオブジェクトに対して疑似会話のための情報処理をする機会を増やすことができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に非プレイヤオブジェクトが存在する場合には、そのような非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定することで、その方位範囲にいない非プレイヤオブジェクトに対して疑似会話のための情報処理を行うことによる不自然さを解消しつつ、プレイヤオブジェクトの進行方向又は視線方向を基準として設定された方位範囲に非プレイヤオブジェクトが存在しない場合には、プレイヤオブジェクトを基準として設定された方位範囲に存在しない非プレイヤオブジェクトを処理対象として決定することを許容することで、非プレイヤオブジェクトに対して疑似会話のための情報処理をする機会を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の実施の形態のゲームシステムの外観図
【
図2】本発明の実施の形態のゲームシステムの構成を示すブロック図
【
図3】本発明の実施の形態の簡易会話を行うための簡易会話エリアの例を示す図
【
図4】本発明の実施の形態の簡易会話が行われている状態のゲーム画面の例を示す図
【
図5】本発明の実施の形態の通常会話を行うための感情エリアと通常会話エリアの例を示す図
【
図6】本発明の実施の形態の感情バルーンが表示されている状態のゲーム画面の例を示す図
【
図7】本発明の実施の形態の操作指示バルーンが表示されている状態のゲーム画面の例を示す図
【
図8】本発明の実施の形態の通常会話を行っている状態のゲーム画面の例を示す図
【
図9】本発明の実施の形態のPCが発話する状態のゲーム画面の例を示す図
【
図10】本発明の実施の形態のゲーム装置の機能的な構成を示すブロック図
【
図11】本発明の実施の形態のバルーン表示エリア及びバルーン表示方位範囲と表示するバルーンとの関係の例を示す図
【
図12】本発明の実施の形態のバルーン表示エリア及びバルーン表示方位範囲と表示するバルーンとの関係の例を示す図
【
図13】本発明の実施の形態のゲーム処理方法のフロー図
【
図14】本発明の実施の形態の変形例における第1条件判定領域を示す図
【
図15】本発明の実施の形態の変形例における第1条件判定領域を示す図
【
図16】本発明の実施の形態の変形例における第1条件判定領域を示す図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する場合の一例を示すものであって、本発明を以下に説明する具体的構成に限定するものではない。本発明の実施にあたっては、実施の形態に応じた具体的構成が適宜採用されてよい。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態の情報処理システムの外観構成を示す図である。本実施の形態では、情報処理システムは、情報処理としてゲーム処理を実行するゲームシステム100として構成されている。ゲームシステム100は、コントローラ10と、情報処理装置としてのゲーム装置(本体)20と、表示装置30とを備えている。コントローラ10とゲーム装置20との間は、無線通信によりデータの送受信を行う。また、ゲーム装置20は表示装置30にケーブルで接続されており、表示装置30に対してゲーム画面のデータを送る。
【0031】
コントローラ10は、
図1に示すように、ユーザが手に取って操作をするためのものである。コントローラ10は、パッド状(板状)の形状を有し、コントローラ画面11を中心に備え、その周りにボタン、スティック等の操作部材12を備えている。各操作部材12は、ユーザがコントローラ画面11を自分に向けて両手で持ったときに両手の指で操作できる位置に配置される。
【0032】
コントローラ画面11は、タッチパネルにもなっており、ユーザは、コントローラ画面11に対するタッチ操作によっても各種の入力を行うことができる。また、コントローラ10は、カメラ13も備えている。
【0033】
ゲーム装置20は、概略直方体の形状を有しており、記録媒体用スロット21、各種ボタン22、各種端子(不図示)が設けられている。表示装置30としては、ゲーム装置20と接続するための端子を持つテレビモニタを利用することができる。
【0034】
図2は、本発明の実施の形態のゲームシステム100の構成を示すブロック図である。
図2では、本実施の形態の説明に必要な構成要素のみを図示し、その他の構成については図示を省略している。コントローラ10は、操作部材12を備えている。操作部材12の操作であるボタンの押下やスティックの傾倒が検出され、検出したユーザの入力は入力信号としてゲーム装置20に無線送信される。
【0035】
ゲーム装置20は、読取部23と、記憶部24と、メインメモリ25と、画像メモリ26と、ゲーム演算部27と、画像生成部28とを備えている。読取部23は、記録媒体用スロット21に挿入された記録媒体(例えば、ディスク、カートリッジ等)からそこに記録されているデータを読み取る。本実施の形態では、記録媒体にゲームプログラムやゲームデータが記録されており、読取部23はこれを読み取る。ゲームデータには、ゲームで用いられる3次元仮想空間及びその中に存在するオブジェクト(プレイヤオブジェクト及び非プレイヤオブジェクトを含む)を描写するためのグラフィック情報が含まれる。
【0036】
読取部23は、記録媒体から読み取ったゲームプログラムやゲームデータを記憶部24に記憶し、又は、メインメモリ25及び画像メモリ26に展開する。記憶部24は、読取部23が読み取ったゲームプログラムやゲームデータを記憶する。なお、ゲーム装置20は、インターネットに接続して通信を行うネットワーク通信機能を備えていてよく、ゲームプログラムやゲームデータは、ネットワークを介してサーバからダウンロードしてよく、この場合には、そのようにしてダウンロードしたゲームプログラムやゲームデータが記憶部24に記憶される。
【0037】
ゲーム演算部27は、ゲームプログラムやゲームデータに基づいてゲーム処理を行うが、この場合には、ゲームプログラムやゲームデータは、読取部23にて記録媒体から読み出されてメインメモリ25及び画像メモリ26に、又は、記憶部24から読み出されてメインメモリ25及び画像メモリ26に展開される。
【0038】
ゲーム演算部27は、ゲームプログラムに従って行うゲーム処理のためにメインメモリ25を用いる。また、画像生成部28は、ゲームプログラムに従って表示装置30に表示するための画像(映像)を生成するが、この画像生成処理のために画像メモリを用いる。なお、メインメモリ25と画像メモリ26は同一のメモリであってもよい。
【0039】
ゲーム演算部27は、ゲームプログラムに従って、ゲームデータ及びコントローラ10からの入力信号に応じて演算処理を行うプロセッサである。ゲーム演算部27におけるゲーム処理の結果は、画像生成部28に渡される。画像生成部28は、ゲーム処理の結果に従って、グラフィック情報を含むゲームデータを用いて表示装置30に表示するゲーム画像を生成するプロセッサである。画像生成部28にて生成されたゲーム画像は、表示装置30に出力される。なお、ゲーム演算部27と画像生成部28は、同一のプロセッサで構成されてよく、それぞれ別のプロセッサで構成されてもよい。
【0040】
本実施の形態のゲーム装置20は、本実施の形態のゲームプログラムを実行することで、3次元仮想空間内のプレイヤオブジェクトを操作するゲームが展開される。このゲームでは、仮想空間に複数の非プレイヤオブジェクトが存在している。
【0041】
プレイヤオブジェクトは、プレイヤであるユーザがコントローラ10に対して入力をすることで操作できるオブジェクトを含むがこれに限られない。本実施の形態のゲームでは、プレイヤオブジェクトは、生命体であるという設定がされ、キャラクタとして表現されており、よってプレイヤキャラクタということもできる。
【0042】
また、非プレイヤオブジェクトは、ゲームプログラム又は他のプレイヤによる操作に従って、ゲームの展開又はプレイヤオブジェクトの挙動に応じてアクションをするオブジェクトを含むがこれに限られない。本実施の形態のゲームでは、非プレイヤオブジェクトも生命体であるという設定がされ、キャラクタとして表現されており、よって非プレイヤキャラクタということもできる。以下では、プレイヤオブジェクトをプレイヤキャラクタ(PC)といい、非プレイヤオブジェクトを非プレイヤキャラクタという。本実施の形態のPC及び非プレイヤキャラクタは、正面、背面等の向きを観念できるキャラクタであり、例えば、視線方向が正面方向ないし前方と定義される。
【0043】
また、本実施の形態のゲームでは、PCは、プレイヤの操作に従って仮想空間内を移動することができ、仮想空間内でPCを所定の非プレイヤキャラクタに近づけることで、PCと当該所定の非プレイヤキャラクタとの疑似会話を行うことができる。疑似会話には簡易会話と通常会話の2種類の方式がある。非プレイヤキャラクタがPCと簡易会話を行うか、通常会話を行うかは、非プレイヤキャラクタごとにあらかじめ決められている。これに代えて、又はこれに加えて、ゲームの展開に応じて、あるいは、ユーザの操作に基づいて、非プレイヤキャラクタがPCと簡易会話を行うか、通常会話を行うかが決定されてもよい。
【0044】
図3は、簡易会話を行うための簡易会話エリアの例を示す図であり、
図4は、簡易会話が行われている状態のゲーム画面の例を示す図である。
図3に示すように、
非プレイヤキャラクタの周囲には簡易会話エリアが設定されている。具体的には、簡易会話エリアは、
非プレイヤキャラクタを中心とする所定半径の円内の領域として設定されている。簡易会話では、PCが
非プレイヤキャラクタに近づいて、その
非プレイヤキャラクタの簡易会話エリア内に入ると、その
非プレイヤキャラクタのグラフィックの近くに、その
非プレイヤキャラクタのグラフィックに付加する形式で発話バルーンが表示される。発話バルーン内には、
非プレイヤキャラクタの発話内容が文字で示される。
【0045】
図5は、通常会話を行うための感情エリアと通常会話エリアの例を示す図であり、
図6は、感情バルーンが表示されている状態のゲーム画面の例を示す図であり、
図7は、操作指示バルーンが表示されている状態のゲーム画面の例を示す図である。
図5に示すように、
非プレイヤキャラクタの周囲には、通常会話エリアが設定されており、通常会話エリアの外側に感情エリアが設定されている。すなわち、
非プレイヤキャラクタの周囲には大きさの異なる複数のエリアが設定されている。具体的には、通常会話エリアは、
非プレイヤキャラクタを中心とする所定半径の円内の領域として設定されており、感情エリアは、
非プレイヤキャラクタを中心として通常会話エリアの半径より大きい半径の円内であって通常会話エリアを除いた穴あき状の領域として設定されている。
【0046】
PCが
非プレイヤキャラクタにある程度近づいて感情エリア内に入ると、
図6に例示するように、その
非プレイヤキャラクタのグラフィックの近くに、その
非プレイヤキャラクタのグラフィックに付加する形式で、感情バルーンが表示される。感情バルーン内には、
非プレイヤキャラクタの感情を示すマークが示される。PCが
非プレイヤキャラクタにさらに近づいて通常会話エリア内に入ると、
図7に例示するように、その
非プレイヤキャラクタのグラフィックの近くに、その
非プレイヤキャラクタのグラフィックに付加する形式で、操作指示バルーンが表示される。操作指示バルーン内には、通常会話を開始するためにユーザがすべき操作を指示するマーク(
図7の例では、Aボタンを押すべきことを指示する「A」)が示される。
【0047】
図8は、通常会話を行っている状態のゲーム画面の例を示す図である。ユーザが
図7に例示するゲーム画面の操作指示バルーンが示す操作の指示に従ってコントローラ10を操作すると、
図8に示すように通常会話が開始する。通常会話では、
図8に例示するように、
非プレイヤキャラクタの発話内容はゲーム画面の下段に文字で示される。この発話内容は、ゲーム画面の上段に示されてもよい。
【0048】
図9は、PCが発話する状態のゲーム画面の例を示す図である。簡易会話及び通常会話では、
非プレイヤキャラクタの発話内容によっては、PCの発話を行うことができる。
図9に示すように、ユーザは、発話内容を選択肢から選択することによって、PCの発話内容を指示することができる。変形例としては、ユーザがテキスト入力又は音声入力をすることによってPCの発話内容を指示するようにしてもよく、あるいは、PCがあらかじめ設定された発話内容を発話するようにしてもよい。
【0049】
以下、上記のようにPCが
非プレイヤキャラクタに近づいて疑似会話を行うためのゲーム装置20の構成を説明する。なお、ゲーム装置20では、発話バルーン(
図4参照)、感情バルーン(
図6参照)、操作指示バルーン(
図7参照)を表示する処理及びその処理を行うための構成がそれぞれ用意されているが、これらの各処理は、バルーンの種類(発話バルーン、感情バルーン、操作指示バルーン)と各バルーンを表示するために設定されたエリア(簡易会話エリア、感情エリア、通常会話エリア)が異なるのみであるので、以下では、発話バルーン、感情バルーン、操作指示バルーンを総称して「バルーン」といい、簡易会話エリア、感情エリア、通常会話エリアを総称して「バルーン表示エリア」といい、ゲーム装置20においてバルーンを表示する処理について説明する。
【0050】
図10は、ゲーム装置20の機能的な構成を示すブロック図である。ゲーム装置20は、少なくとも、第1判定部201、第2判定部202、処理対象決定部203、及び情報処理部204を備える。これらの各構成要素は、ゲーム装置20のゲーム演算部27が本実施の形態のゲームプログラムを実行することでゲーム装置20において実現される機能である。なお、これらの構成は、すべて1つのゲーム装置20に設けられる必要は必ずしもなく、複数の装置に分散されていてもよく、それらによってゲームシステムが構成されてもよい。
【0051】
第1判定部201は、仮想空間内の各非プレイヤキャラクタについて、PCを基準として設定された方位範囲の中に存在するという第1条件を満たすか否かを判定する。具体的には、PCには正面方向(視線方向)を中心として左右90度に広がる180度の方位範囲がバルーン表示方位範囲として設定されている。このバルーン表示方位範囲は、PCが仮想空間において向き、すなわち視線方向を変えるとそれに応じて変更されるものである。この第1条件を設定するということは、すなわち、PCが向いている側の非プレイヤキャラクタにしかバルーン表示をしないということである。
【0052】
第2判定部202は、仮想空間内の非プレイヤキャラクタについて、PCと所定の位置関係にあるという第2条件を満たすか否かを判定する。具体的には、第2判定部202は、各非プレイヤキャラクタについて、それらのバルーン表示エリアにPCが存在しているか否かを判定する。換言すれば、第2判定部202は、PCがいずれの非プレイヤキャラクタのバルーン表示エリアに属しているかを判定する。
【0053】
処理対象決定部203は、第2判定部202の判定に基づいて、第2の条件を満たす非プレイヤキャラクタの中から処理対象を選択して決定する。処理対象決定部203は、第2の条件を満たす非プレイヤキャラクタが複数ある場合には、第1判定部201の判定に基づいて、第1条件を満たす非プレイヤキャラクタがあるときは、第2の条件を満たす非プレイヤキャラクタのうちのさらに第1条件を満たす非プレイヤキャラクタの中から処理対象を選択して決定する。また、処理対象決定部203は、第2の条件を満たす非プレイヤキャラクタが複数ある場合において、その中に第1条件を満たす非プレイヤキャラクタがない場合には、第2の条件を満たすが第1条件を満たさない非プレイヤキャラクタの中から処理対象を選択して決定する。
【0054】
すなわち、処理対象決定部203は、第2の条件を満たす非プレイヤキャラクタについて、第1条件を満たす非プレイヤキャラクタがある場合には、その第1条件を満たす非プレイヤキャラクタの中から処理対象を選択して決定し、第1条件を満たす非プレイヤキャラクタがない場合には、第1条件を満たさない非プレイヤキャラクタの中から処理対象を選択して決定する。さらに換言すれば、処理対象決定部203は、第1条件及び第2条件をともに満たす非プレイヤキャラクタがあれば、そのような非プレイヤキャラクタの中から処理対象を選択して決定し、第1条件及び第2条件をともに満たす非プレイヤキャラクタがなく、第2条件のみを満たす非プレイヤキャラクタがあれば、そのような非プレイヤキャラクタの中から処理対象を選択して決定し、第2条件を満たす非プレイヤキャラクタがなければ、処理対象の選択はしない。
【0055】
処理対象決定部203は、第1条件及び第2条件をともに満たす非プレイヤキャラクタが複数ある場合には、そのような非プレイヤキャラクタのうちのPCとの距離が最も近い非プレイヤキャラクタを処理対象として選択して決定する。また、処理対象決定部203は、第1条件及び第2条件をともに満たす非プレイヤキャラクタがなく、第2条件のみを満たす非プレイヤキャラクタが複数ある場合にも、そのような非プレイヤキャラクタのうちのPCとの距離が最も近い非プレイヤキャラクタを処理対象として選択して決定する。
【0056】
情報処理部204は、処理対象決定部203にて決定された処理対象である非プレイヤキャラクタに対して情報処理を行う。非プレイヤキャラクタに対して行う情報処理は、上述のように、当該非プレイヤキャラクタの近くにバルーンを表示するための処理であり、具体的には、モニタ30にそのような表示をするための情報を出力する処理である。
【0057】
図11は、バルーン表示エリア及びバルーン表示方位範囲と表示するバルーンとの関係の例を示す図である。
図11の例では、PC31の周りに5つの
非プレイヤキャラクタ51~55が存在している。上述のように、PC31には視線方向Sが正面方向として定義されている。この視線方向Sは、PC31が向きを変えるとそれに従って変更される。PC31には視線方向から左右両側に90度(合計180度)のバルーン表示方位範囲Rが設定されている。
非プレイヤキャラクタ51~55にはそれぞれバルーン表示エリアA51~A55が設定されている。
【0058】
図11の例では、PC31は、
非プレイヤキャラクタ51の周囲に設定されたバルーン表示エリアA51、
非プレイヤキャラクタ52の周囲に設定されたバルーン表示エリアA52、及び
非プレイヤキャラクタ54の周囲に設定されたバルーン表示エリアA54の中にいる。また、PC31に設定されたバルーン表示方位範囲Rの中には、
非プレイヤキャラクタ51、
非プレイヤキャラクタ52、及び
非プレイヤキャラクタ53がいる。
【0059】
この場合に、第1判定部201は、非プレイヤキャラクタ51、非プレイヤキャラクタ52、及び非プレイヤキャラクタ53について、第1条件を満たすと判定し、第2判定部202は、非プレイヤキャラクタ51、非プレイヤキャラクタ52、及び非プレイヤキャラクタ54が第2条件を満たすと判定する。そして、処理対象決定部203は、第2条件を満たす非プレイヤキャラクタ51、非プレイヤキャラクタ52、非プレイヤキャラクタ54のうちの第1条件をも満たす非プレイヤキャラクタ51及び非プレイヤキャラクタ52の中から処理対象を選択する。
【0060】
このように、
図11の例では、第1条件及び第2条件をともに満たす
非プレイヤキャラクタが複数あるので、処理対象決定部203は、第1条件及び第2条件をともに満たす
非プレイヤキャラクタ51及び
非プレイヤキャラクタ52の中から、PC31との距離が最も近い方を処理対象として選択して決定する。
図11の例では、PC31と
非プレイヤキャラクタ51との間の距離はr1であり、PC31と
非プレイヤキャラクタ52との距離はr2であり、r1<r2であって
非プレイヤキャラクタ51の方が近いので、処理対象決定部203は
非プレイヤキャラクタ51を処理対象として選択して決定する。
【0061】
情報処理部204は、
図11に示すように、処理対象決定部203にて決定された処理対象である
非プレイヤキャラクタ51に対して、そのグラフィックに付加する形式でバルーンBを表示する。
【0062】
図12は、バルーン表示エリア及びバルーン表示方位範囲と表示するバルーンとの関係の他の例を示す図である。
図12の例では、PC31の周りに4つの
非プレイヤキャラクタ61~64が存在している。
非プレイヤキャラクタ61~64にはそれぞれバルーン表示エリアA61~A64が設定されている。
【0063】
図12の例では、PC31は、
非プレイヤキャラクタ62の周りに設定されたバルーン表示エリアA62及び
非プレイヤキャラクタ63の周りに設定されたバルーン表示エリアA63の中にいる。また、PC31に設定されたバルーン表示方位範囲Rの中には、
非プレイヤキャラクタ61がいる。この場合に、第1判定部201は、
非プレイヤキャラクタ61について第1条件を満たすと判定し、第2判定部202は、
非プレイヤキャラクタ62及び
非プレイヤキャラクタ63が第2条件を満たすと判定する。すなわち、
図12の例では、第2条件を満たす
非プレイヤキャラクタ62及び
非プレイヤキャラクタ63の中に、第1条件を満たす
非プレイヤキャラクタがなく、換言すれば、第1条件及び第2条件をともに満たす
非プレイヤキャラクタはない。
【0064】
この場合には、処理対象決定部203は、第2条件を満たす(が第1条件は満たさない)
非プレイヤキャラクタ62及び
非プレイヤキャラクタ63の中から処理対象を選択して決定する。処理対象決定部203は、第2条件を満たす
非プレイヤキャラクタが2つあるので、PC31からの距離がより近い方を処理対象として選択して決定する。
図12の例では、PC31から
非プレイヤキャラクタ62までの距離がr3、PC31から
非プレイヤキャラクタ63までの距離がr4であり、r3>r4であるので、処理対象決定部203は、より近い
非プレイヤキャラクタ63を処理対象として選択して決定する。
【0065】
次に、優先設定について説明する。上記のように、本実施の形態の処理対象決定部203は、第1条件、第2条件、及びPCとの距離に基づいて処理対象を選択するが、非プレイヤキャラクタには優先的に処理対象となるか否かが設定されており、優先設定がされている非プレイヤキャラクタについては、処理対象決定部203は、上記の第1条件、第2条件、距離の一部又は全部にかかわらず、優先設定された非プレイヤキャラクタを優先して処理対象として決定する。
【0066】
処理対象決定部203は、例えば、第2条件は必須の条件とした上で、第1条件及び距離にかかわらず、優先設定された非プレイヤキャラクタを優先的に処理対象として選択してよい。この場合には、優先設定された非プレイヤキャラクタは、第2条件を満たした場合に、第1条件及び距離に拘わらず、他の非プレイヤキャラクタよりも優先して処理対象として選択される。すなわち、非プレイヤキャラクタからみて所定の範囲内にPCが存在していれば、PCの視線方向の側に当該非プレイヤキャラクタが存在していなくても、処理対象となる。
【0067】
図13は、本実施の形態のゲーム装置20によって実行される情報処理方法(ゲーム処理方法)のフロー図である。なお、
図13のフロー図は、一例であり、処理順序の入れ替えや一部ステップの省略等の変形が可能である。
図13のゲーム処理方法では、まず、第2判定部202が、各
非プレイヤキャラクタについて、バルーン表示エリアにPCが存在するか否か、すなわち第2条件を満たすか否かを判定する(ステップS131)。バルーン表示エリア内にPCを含む
非プレイヤキャラクタが存在しない場合には(ステップS131にてNO)、処理を終了する。すなわち、どの
非プレイヤキャラクタも処理対象とならず、その結果、どの
非プレイヤキャラクタにもバルーンが表示されない。
【0068】
バルーン表示エリア内にPCを含む非プレイヤキャラクタが存在する場合(ステップS131にてYES)、すなわちPCがいずれかの非プレイヤキャラクタのバルーン表示エリア内にいる場合は、処理対象決定部203は、そのような非プレイヤキャラクタを特定する。次に、処理対象決定部203は、そのようにして特定された非プレイヤキャラクタが複数あるか否かを判断し(ステップS132)、1つのみである場合は(ステップS132にてNO)、その非プレイヤキャラクタを処理対象として決定して、情報処理部204は、上部にバルーンを表示する(ステップS133)。
【0069】
バルーン表示エリア内にPCを含む非プレイヤキャラクタが複数ある場合には(ステップS132にてYES)、処理対象決定部203は、それらの複数の非プレイヤキャラクタのうち、優先設定されているものがあるか否かを判断する(ステップS134)。このように、本実施の形態では、第2条件を満たす非プレイヤキャラクタについて、優先処理を行い、優先設定されていても第2条件を満たさない非プレイヤキャラクタは処理対象として選択しない。処理対象決定部203は、優先設定されている非プレイヤキャラクタがあるときは、その優先設定されている非プレイヤキャラクタを処理対象として決定し、情報処理部204は、その非プレイヤキャラクタの上部にバルーンを表示する(ステップS135)。
【0070】
優先設定されている非プレイヤキャラクタがない場合は(ステップS134にてNO)、処理対象決定部203は、バルーン表示エリア内にPCを含む複数の非プレイヤキャラクタのうち、PCのバルーン表示方位範囲に含まれる非プレイヤキャラクタが存在するか否か、すなわち第1条件を満たすか否かを判定する(ステップS136)。そのような非プレイヤキャラクタが存在する場合は(ステップS136にてYES)、処理対象決定部203は、それらを特定して、そのような非プレイヤキャラクタが複数あるか否かを判断する(ステップS137)。
【0071】
そのような非プレイヤキャラクタが1つのみである場合は(ステップS137にてNO)、処理対象決定部203は、その非プレイヤキャラクタを処理対象として決定して、情報処理部204は、その非プレイヤキャラクタの上部にバルーンを表示する(ステップS138)。PCのバルーン表示方位範囲に含まれる非プレイヤキャラクタが複数ある場合には(ステップS137にてYES)、処理対象決定部203は、特定されている非プレイヤキャラクタのうちでPCとの距離が最も近い非プレイヤキャラクタを処理対象として決定して、情報処理部204は、その非プレイヤキャラクタの上部にバルーンを表示する(ステップS139)。
【0072】
一方、バルーン表示エリア内にPCを含む非プレイヤキャラクタが存在するが、PCのバルーン表示方位範囲に含まれる非プレイヤキャラクタが存在しない場合には(ステップS136にてNO)、特定されている非プレイヤキャラクタ、すなわち、バルーン表示エリア内にPCを含む非プレイヤキャラクタのうちでPCとの距離が最も近い非プレイヤキャラクタを処理対象として決定して、情報処理部204は、その非プレイヤキャラクタの上部にバルーンを表示する(ステップS139)。
【0073】
以上のように、本実施の形態のゲーム処理方法では、PCのバルーン表示方位範囲に含まれる非プレイヤキャラクタが存在しない場合であっても(ステップS136でNO)、バルーン表示エリア内にPCを含む非プレイヤキャラクタについて(ステップS131)、最もPCに近いものを処理対象としてバルーン表示を行う(ステップS139)。また、PCがバルーン表示エリアに含まれる非プレイヤキャラクタが1つしか存在しない場合には(ステップS131にてYES、かつステップS132にてNO)、その非プレイヤキャラクタがPCのバルーン表示方位範囲内にあるかないかにかかわらず、その非プレイヤキャラクタの上部にバルーンを表示するので(ステップS133)、PCのバルーン表示方位範囲に含まれる非プレイヤキャラクタが存在しない場合であっても、バルーン表示エリア内にPCを含む非プレイヤキャラクタの上部にバルーンが表示される。
【0074】
PCの視線方向の側には1つも非プレイヤキャラクタが存在していない場合に、PCの視線方向とは異なる側に、PCがバルーン表示エリアに含まれる(つまり、所定の距離以内にある)非プレイヤキャラクタが1つ存在すれば、当該非プレイヤキャラクタの上部にバルーンが表示され、複数存在すればPCと最も近い非プレイヤキャラクタの上部にバルーンが表示されることになり、PCの視線方向の側に非プレイヤキャラクタが無い場合には、PCの視線方向と異なる側であっても、非プレイヤキャラクタが存在すれば、当該非プレイヤキャラクタの上部にバルーンが表示されることになる。しかし、PCの視線方向の側に非プレイヤキャラクタが存在していれば、そのような非プレイヤキャラクタの上部により優先してバルーンを表示させるため、PCが向いている側にある非プレイヤキャラクタの上部にバルーンを表示させるという自然な動作を原則として維持しつつも、そのような非プレイヤキャラクタが無い場合はPCの向いていない側の非プレイヤキャラクタにバルーンを表示させることがあり、非プレイヤキャラクタにバルーンを表示させる機会すなわちユーザが非プレイヤキャラクタと接触する機会が増える。
【0075】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は上記の実施の形態に限られず、種々の変形が可能である。例えば、上記の実施の形態では、非プレイヤキャラクタが第2条件を満たすことを前提として、さらに第1条件を満たすものについて、第1条件を満たさないものより優先して処理対象として選択するようにしたが、処理対象として選択する条件として第2条件を課さないようにしてもよい。この場合に、処理対象決定部203は、第1条件を満たす非プレイヤキャラクタのうちのPCに最も近いものを処理対象として選択して決定してよい。この場合、PCの視線方向の側に存在する非プレイヤキャラクタが優先して処理対象として選択されるが、その側には非プレイヤキャラクタが存在しない場合は、PCの視線方向ではない側の非プレイヤキャラクタが処理対象として選択される。また、第2条件を、非プレイヤキャラクタがゲーム画面内に表れていること、ないしは所定の大きさ以上の大きさで表れていること、という条件に代えてもよい。
【0076】
さらに、上記の実施の形態では、同様に条件を満たす非プレイヤキャラクタが複数あるときは、PCからの距離が最も近い非プレイヤキャラクタを処理対象として選択して決定したが、同様に条件を満たす非プレイヤキャラクタが複数あるときに、それらの条件を満たす複数の非プレイヤキャラクタをいずれも処理対象として決定してよい。すなわち、上記の実施の形態では、処理対象決定部203は、1つの非プレイヤキャラクタのみを処理対象として決定したが、複数の非プレイヤキャラクタを処理対象として選択して決定してよい。さらに、1つの非プレイヤキャラクタを処理対象として決定する場合も、PCからの距離に限られず、非プレイヤキャラクタの大きさや非プレイヤキャラクタに付された属性で決定してもよい。例えば動物や人間といった属性が設定されており、人間と動物の2つの非プレイヤキャラクタが条件を満たした場合は人間の非プレイヤキャラクタを処理対象にする、等が可能である。
【0077】
また、上記の実施の形態のバルーン表示方位範囲RがPCの視線方向を中心とする180度の範囲であったが、バルーン表示方位範囲の中心は視線方向に限らず、例えば、PCの進行方向をバルーン表示方位範囲の中心としてもよく、バルーン表示方位範囲をPCの背面側に設定してもよい。また、バルーン表示方位範囲の大きさは180度に限らず、それより大きくても小さくてもよい。さらに、PCの視線方向や進行方向が中心である必要はなく、例えば、視線方向の右側90度、左側60度といったように異ならせてもよい。
【0078】
また、第1条件として設定される範囲は、閉じた領域(第1条件判定領域)であってもよく、第1条件判定領域RAは、例えば、
図14に示すような、PCの前方により多くの面積を有する楕円形、
図15に示すような、PCの前方により多くの面積を有する長方形、又はその他の形状で表されてよい。あるいは、第1条件判定領域RAは、
図16に示すように、第1条件として設定される範囲をPCの座標を中心とする扇形としてもよい。これらの場合は、PCの視線方向や進行方向にはあるが楕円形、長方形、扇形等の第1条件判定領域RAを超えるほど離れている
非プレイヤキャラクタは第1条件を満たすことにはならない。なお、
図14乃至
図16で表される三角形は、その方向がPCの視線方向であることを示している。
【0079】
また、上記の実施の形態では、決定された処理対象に対して行う情報処理が、その処理対象である非プレイヤキャラクタのグラフィックにバルーンを付加的に表示するという処理であったが、決定された処理対象に対する情報処理は、これに限られず、例えば、非プレイヤキャラクタがPCに対して攻撃をする、非プレイヤキャラクタが所定の方向(PCに向かってくる方向、PCから遠ざかる方向等)に移動する等の処理であってもよい。
【0080】
また、上記の実施の形態では、情報処理システムがゲームシステムとして応用される例を挙げて説明したが、本発明は、ゲーム以外の他の情報処理を行う情報処理システムにも適用可能である。例えば、仮想空間内にユーザと他のユーザを表すアバターが配置されるようなチャットシステム等にも適用可能である。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態のゲームシステム100ないしゲーム装置20によれば、PCを基準として設定された方位範囲内に非プレイヤキャラクタが存在する場合には、そのような非プレイヤキャラクタの中から処理対象を選択することで、方位範囲内にいない非プレイヤキャラクタに対して情報処理を行うことによる不自然さを解消しつつ、PCを基準として設定された方位範囲内に非プレイヤキャラクタが存在しない場合には、PCを基準として設定された方位範囲内に存在しない非プレイヤキャラクタの中から処理対象を選択して決定することを許容することで、非プレイヤキャラクタに対して情報処理をする機会を増やすことができる。
【符号の説明】
【0082】
10 コントローラ
11 コントローラ画面
12 操作部材
13 カメラ
20 ゲーム装置(本体)
21 記録媒体用スロット
22 各種ボタン
23 読取部
24 記憶部
25 メインメモリ
26 画像メモリ
27 ゲーム演算部
28 画像生成部
30 表示装置
100 ゲームシステム
201 第1判定部
202 第2判定部
203 処理対象決定部
204 情報処理部