IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧 ▶ 株式会社ジェイテクトの特許一覧 ▶ 日野自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-走行支援装置 図1
  • 特許-走行支援装置 図2
  • 特許-走行支援装置 図3
  • 特許-走行支援装置 図4
  • 特許-走行支援装置 図5
  • 特許-走行支援装置 図6
  • 特許-走行支援装置 図7
  • 特許-走行支援装置 図8
  • 特許-走行支援装置 図9
  • 特許-走行支援装置 図10
  • 特許-走行支援装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】走行支援装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20220907BHJP
   B60W 30/165 20200101ALI20220907BHJP
【FI】
G08G1/16 A
B60W30/165
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018085862
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2019192043
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】米村 修一
(72)【発明者】
【氏名】武田 政義
(72)【発明者】
【氏名】奥山 宏和
(72)【発明者】
【氏名】安井 博文
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 直
(72)【発明者】
【氏名】小島 信彦
(72)【発明者】
【氏名】山川 知也
(72)【発明者】
【氏名】川原 禎宏
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-018623(JP,A)
【文献】特開平10-307997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60W 30/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車両が車群を構成して隊列走行する際の走行支援を行う走行支援装置(10)であって、
前記車群の車線変更指示があった場合に、前記車群の最後尾に位置する最後尾車両(44)の車線変更を実行させる第1制御部(S103,S201,S601)と、
前記最後尾車両の車線変更の実行後に、前記最後尾車両以外の前記車群を構成する車両(41~43)の車線変更を許可する第2制御部(S203~S207,S603~S607)と、
前記最後尾車両の車線変更を実行してから前記車群全体の車線変更が完了するまでの間、車線変更先の車線内で前記車群の走行方向に沿って前記車群に追従する待機走行を前記最後尾車両に実行させる待機走行制御部(S204,S212,S213,S406,S412,S712,S720)と、を備え、
前記待機走行制御部は、前記待機走行中の前記最後尾車両と、前記車群において前記最後尾車両に最も近い先行車両(43)との前記車群の走行方向の距離を、前記車群の車線変更指示前の前記最後尾車両と前記先行車両との前記走行方向の距離よりも短くする走行支援装置。
【請求項2】
前記車群の先頭と最後尾との間に位置する追従車両(42,43)の車線変更を、前記車群の先頭に位置する先頭車両(41)を車線変更するための操舵により実行させる操舵調整部(S208~S210,S608~S610)を備える請求項に記載の走行支援装置。
【請求項3】
前記第2制御部は、前記最後尾車両が車線変更状態に入ったことを条件として、前記操舵調整部に前記先頭車両を車線変更するための操舵を許可する請求項に記載の走行支援装置。
【請求項4】
複数の車両が車群を構成して隊列走行する際の走行支援を行う走行支援装置(10)であって、
前記車群の車線変更指示があった場合に、前記車群の最後尾に位置する最後尾車両(44)の車線変更を実行させる第1制御部(S103,S201,S601)と、
前記最後尾車両の車線変更の実行後に、前記最後尾車両以外の前記車群を構成する車両(41~43)の車線変更を許可する第2制御部(S203~S207,S603~S607)と、
前記車群の先頭と最後尾との間に位置する追従車両(42,43)の車線変更を、前記車群の先頭に位置する先頭車両(41)を車線変更するための操舵により実行させる操舵調整部(S208~S210,S608~S610)と、を備え、
前記第2制御部は、前記最後尾車両が車線変更状態に入ったことを条件として、前記操舵調整部に前記先頭車両を車線変更するための操舵を許可する走行支援装置。
【請求項5】
前記最後尾車両の車線変更を実行してから前記車群全体の車線変更が完了するまでの間、車線変更先の車線内で前記車群の走行方向に沿って前記車群に追従する待機走行を前記最後尾車両に実行させる待機走行制御部(S204,S212,S213,S406,S412,S712,S720)を備える請求項4に記載の走行支援装置。
【請求項6】
前記操舵調整部は、前記先頭車両を車線変更するための操舵と同時に、前記追従車両を操舵する請求項2~5のいずれかに記載の走行支援装置。
【請求項7】
複数の車両が車群を構成して隊列走行する際の走行支援を行う走行支援装置(10)であって、
前記車群の車線変更指示があった場合に、前記車群の最後尾に位置する最後尾車両(44)の車線変更を実行させる第1制御部(S103,S201,S601)と、
前記最後尾車両の車線変更の実行後に、前記最後尾車両以外の前記車群を構成する車両(41~43)の車線変更を許可する第2制御部(S203~S207,S603~S607)と、
前記車群の先頭と最後尾との間に位置する追従車両(42,43)の車線変更を、前記車群の先頭に位置する先頭車両(41)を車線変更するための操舵により実行させる操舵調整部(S208~S210,S608~S610)と、を備え、
前記操舵調整部は、前記先頭車両を車線変更するための操舵と同時に、前記追従車両を操舵する走行支援装置。
【請求項8】
前記最後尾車両の車線変更を実行してから前記車群全体の車線変更が完了するまでの間、車線変更先の車線内で前記車群の走行方向に沿って前記車群に追従する待機走行を前記最後尾車両に実行させる待機走行制御部(S204,S212,S213,S406,S412,S712,S720)を備える請求項7に記載の走行支援装置。
【請求項9】
前記車群を構成する各車両の車両情報と周辺情報とに基づいて、前記車群または前記車群を構成する各車両の車線変更の可否を判定する車線変更部(103)と、
前記車線変更部により前記車群を構成する各車両の車線変更が可能と判断されたことを条件として、前記車群を構成する各車両の車線変更を許可する隊列制御部(104)と、を備える請求項1~のいずれかに記載の走行支援装置。
【請求項10】
複数の車両が車群を構成して隊列走行する際の走行支援を行う走行支援装置(10)であって、
前記車群を構成する各車両の車両情報と周辺情報に基づいて、前記車群の車線変更先となる車線(61)の空き領域の大きさを認識する環境認識部(102)と、
前記空き領域の大きさが所定の大きさ以下であることを条件として、前記車群の最後尾に位置する最後尾車両(44)の車線変更を実行した後で前記最後尾車両以外の前記車群を構成する車両(41~43)の車線変更を実行する最後尾モードを選択し、
前記空き領域の大きさが所定の大きさを超えることを条件として、前記車群の先頭に位置する先頭車両(41)の車線変更に応じて前記車群を構成する車両(41~44)の車線変更を実行する先頭モードを選択する、隊列制御部(104)と、を備える走行支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隊列走行を実行可能な車両の走行を支援する走行支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
先行車両に追従走行する走行制御を行うことで複数の車両が隊列を成して走行する隊列走行が知られている。隊列走行中の車群における車線変更は、全長が長い車群を隊列維持した状態で移動させることから、単独で走行する車両における車線変更と比較して困難である。隊列走行中の車群を円滑に車線変更させるために、例えば、特許文献1では、車群の外部手段により変更先の車線に車群が移動可能なスペースを確認した場合に、車群の車線変更を実行するとともに、その車群の周囲の車両に対して車線変更を通知する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-307997号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車群全体を速やかに車線変更させるためには、車線変更の開始から終了までの間を通して、変更先の車線に車群全体が移動可能なスペースを確保する必要がある。特許文献1の技術では、変更先の車線に車群が移動可能なスペースを確認した後には、車線変更の通知を行って周囲の車両の協力を期待するのみであるため、車群が移動可能なスペースが車線変更の終了まで確保できず、車線変更が滞る場合がある。
【0005】
上記に鑑み、本発明は、隊列走行中の車群の車線変更を確実に実行できる走行支援装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の車両が車群を構成して隊列走行する際の走行支援を行う第1および第2の走行支援装置を提供する。第1の走行支援装置は、前記車群の車線変更指示があった場合に、前記車群の最後尾に位置する最後尾車両の車線変更を実行させる第1制御部と、前記最後尾車両の車線変更の実行後に、前記最後尾車両以外の前記車群を構成する車両の車線変更を許可する第2制御部と、を備える。
【0007】
上記第1の走行支援装置によれば、車群の車線変更指示を受けて、車線変更を実行するに際して、第1制御部によって、まず最後尾車両が車線変更を行い、第2制御部によって、最後尾車両の車線変更の実行後に、その他の車両の車線変更を行うことができる。車群全体の車線変更に先立って、最後尾車両を車線変更先の車線に移動させることによって、車線変更の開始から終了までの間を通して、変更先の車線に車群全体が移動可能なスペースを確保することができる。その結果、隊列走行中の車群の車線変更を確実に実行できる。
【0008】
本発明が提供する第2の走行支援装置は、前記車群を構成する各車両の車両情報と周辺情報に基づいて、前記車群の車線変更先となる車線の空き領域の大きさを認識する環境認識部と、前記空き領域の大きさが所定の大きさ以下であることを条件として、前記車群の最後尾に位置する最後尾車両の車線変更を実行した後で前記最後尾車両以外の前記車群を構成する車両の車線変更を実行する最後尾モードを選択し、前記空き領域の大きさが所定の大きさを超えることを条件として、前記車群の先頭に位置する先頭車両の車線変更に応じて前記車群を構成する車両の車線変更を実行する先頭モードを選択する隊列制御部と、を備える。
【0009】
上記第2の走行支援装置によれば、隊列制御部は、車群の車線変更先となる車線の空き領域の大きさが所定の大きさ以下であることを条件として、最後尾モードでの車線変更を選択する。空き領域の大きさが所定の大きさ以下であり、車線変更の開始から終了するまでの間を通して変更先の車線に車群全体が移動可能なスペースを確保できないことが懸念される場合には、最後尾モードで車線変更を行うことにより、確実に車線変更を実行できる。また、隊列制御部は、空き領域の大きさが所定の大きさを超えることを条件として、先頭モードでの車線変更を選択する。空き領域に余裕がある場合には、制御がより簡易な先頭モードで車線変更を行うことにより、車線変更を速やかに実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施形態に係る走行支援装置を含む車両側ユニットの概略図。
図2】走行支援ECUが実行する隊列走行支援制御のフローチャート。
図3】先頭車両における車線変更制御(最後尾モード)のフローチャート。
図4】先頭車両における車線変更制御(先頭モード)のフローチャート。
図5】最後尾車両における隊列走行支援制御のフローチャート。
図6】追従車両における隊列走行支援制御のフローチャート。
図7図7(a)~(e)は、隊列走行中の車群の車線変更(最後尾モード)の経過を説明する概念図。
図8】隊列走行中の車群の車線変更(最後尾モード)における同時車線変更を説明する概念図。
図9】隊列走行中の車群の車線変更(先頭モード)の経過を説明する概念図。
図10】先頭車両における車線変更制御(最後尾モード)のフローチャート。
図11】最後尾車両における隊列走行支援制御のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
図1に、実施形態に係る走行支援装置(走行支援ECU10)を備えた車両側ユニット1を示す。車両側ユニット1は、いわゆる協調型車間距離維持(CACC:Cooperative Adaptive Cruise Control)システムを実現するものである。車両側ユニット1が車両に搭載されることにより、隊列走行を行う車群における先行車両の加減速情報を共有し、より精密な車間距離制御を実現することができ、隊列走行を行う車群を構成する車両となることができる。なお、隊列走行とは、先行車両に追従走行する走行制御を行うことで複数の車両が隊列を成して走行することを指す。
【0012】
車両側ユニット1は、走行支援ECU10、通信機11、ADAS(Advanced Driver Assistance Systems)ロケータ20、HMI(Human Machine Interface)システム30、周辺監視センサ12、及び車両制御ECU13を含んでいる。走行支援ECU10、通信機11、ADASロケータ20、HMIシステム30、及び車両制御ECU13は、例えば車内LANに接続されており、通信によって互いに情報をやり取りすることができる。
【0013】
通信機11は、他車に搭載された車両側ユニット1の通信機11、路側に設置された路側機、若しくは自車両の外部のセンタとの間で、無線通信を行う。本明細書では、以下、他車に搭載された車両側ユニット1の通信機11との無線通信を車車間通信、路側機との無線通信を路車間通信、センタとの通信を広域通信と称する。
【0014】
車車間通信及び路車間通信は、例えば700MHz帯,760MHz帯,2.4GHz帯,5.9GHz帯等の電波を利用して行う構成とすることができる。車車間通信及び路車間通信の最大通信距離は、例えば数百m以上等の、肉眼で車群の構成台数が確認できる距離よりも長い距離であるものとする。また、広域通信は、携帯電話網,インターネット等の公衆通信網を介した通信を行うための通信モジュールを用いて行う構成とすることができる。例えばDCM(Data Communication Module)といったテレマティクス通信に用いられる車載通信モジュールによって、テレマティクス通信で用いる通信網を介してセンタと通信を行う構成とすることができる。
【0015】
通信機11は、自車両の情報を車車間通信によって送信したり、路車間通信によって送信したり、広域通信によって送信したりすることができる。また、通信機11は、他車から送信される他者の情報を、車車間通信によって受信したり、路側機を介した路車間通信によって受信したり、センタを介した広域通信によって受信したりすることができる。広域通信によってセンタを介して車両同士が車両の情報を送受信する場合には、車両位置を含んだ情報を送受信することで、センタにおいてこの車両位置をもとに、一定範囲内の車両同士で車両の情報が送受信されるように調整されていることが好ましい。
【0016】
ADASロケータ20は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機21、慣性センサ22、地図データを格納した地図データベース(以下、DB)23を備えている。GNSS受信機21は、複数の人工衛星からの測位信号を受信する。慣性センサ22は、例えば3軸ジャイロセンサ及び3軸加速度センサを備える。地図DB23は、不揮発性メモリであって、リンクデータ、ノードデータ、道路形状等の地図データを格納している。
【0017】
ADASロケータ20は、GNSS受信機21で受信する測位信号と、慣性センサ22の計測結果とを組み合わせることにより、ADASロケータ20を搭載した自車両の車両位置を逐次測位する。車両位置は、例えば緯度経度の座標で表されていてもよい。なお、車両位置の測位には、自車両に搭載された車輪速センサから逐次出力されるパルス信号から求めた走行距離等を用いるように構成されていてもよい。そして、測位した車両位置を車内LANへ出力する。また、ADASロケータ20は、地図DB23から地図データを読み出し、車内LANへ出力することも行う。なお、地図データは、通信機11を介して自車両の外部から取得するように構成されていてもよい。
【0018】
HMIシステム30は、図1に示すように、HCU(Human Machine Interface Control Unit)31、操作デバイス32、表示装置33、及び音声出力装置34を備えている。HMIシステム30は、自車両のドライバからの入力操作を受け付けたり、自車両のドライバに向けて情報提示を行ったりすることができる。
【0019】
操作デバイス32は、自車両のドライバが操作するスイッチ群である。操作デバイス32は、各種の設定を行うために用いられる。例えば、操作デバイス32としては、自車両のステアリングのスポーク部に設けられたステアリングスイッチ、表示装置33と一体となったタッチスイッチ等を挙げることができる。
【0020】
表示装置33は、テキスト及び/又は画像の表示によって情報提示を行う。表示装置33としては、例えばコンビネーションメータ、CID(Center Information Display)、HUD(Head-Up Display)等を挙げることができる。音声出力装置34は、音声の出力によって情報提示を行う。音声出力装置34としては、例えば、オーディオスピーカ等を挙げることができる。
【0021】
HCU31は、CPU、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、I/O、これらを接続するバスを備え、不揮発性メモリに記憶された制御プログラムを実行することで各種の処理を実行する。HCU31は、走行支援ECU10からの指示に従って、表示装置33及び/又は音声出力装置34に情報提示を行わせることができる。
【0022】
周辺監視センサ12は、歩行者、人間以外の動物、自転車、オートバイ、及び他車等の移動物体、さらに路上の落下物、ガードレール、縁石、及び樹木等の静止物体といった自車両周辺の障害物を検出する。他にも、自車両周辺の走行区画線、停止線等の路面標示を検出する。周辺監視センサ12は、例えば、自車両周囲の所定範囲を撮像する周辺監視カメラ、自車両周囲の所定範囲に探査波を送信するミリ波レーダ、ソナー、LIDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)等のセンサである。周辺監視カメラは、逐次撮像する撮像画像をセンシング情報として走行支援ECU10へ逐次出力する。ソナー、ミリ波レーダ、LIDAR等の探査波を送信するセンサは、障害物によって反射された反射波を受信した場合に得られる受信信号に基づく走査結果をセンシング情報として走行支援ECU10へ逐次出力する。
【0023】
車両制御ECU13は、自車両の加減速制御及び操舵制御のうちの少なくとも加減速制御を行う電子制御装置である。車両制御ECU13としては、加減速制御を行うパワーユニット制御ECU及びブレーキECU,操舵制御を行う操舵ECU等がある。車両制御ECU13は、自車両に搭載されたアクセルポジションセンサ、ブレーキ踏力センサ、舵角センサ、車輪速センサ等の各センサから出力される検出信号を取得し、電子制御スロットル、ブレーキアクチュエータ、EPS(Electric Power Steering)モータ等の各走行制御デバイスへ制御信号を出力する。また、車両制御ECU13は、上述の各センサの検出信号を車内LANへ出力可能である。
【0024】
走行支援ECU10は、CPU、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、I/O、これらを接続するバスを備え、不揮発性メモリに記憶された制御プログラムを実行することで自車両の走行支援に関する各種の処理を実行する。なお、走行支援ECU10が実行する機能の一部または全部を、一つあるいは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。
【0025】
走行支援ECU10は、車両が車群を構成して隊列走行する際の走行支援を行う走行支援装置である。走行支援ECU10は、情報取得部101と、環境認識部102と、自動運転部103と、隊列制御部104とを備える。
【0026】
情報取得部101は、他車から送信された車両情報を、通信機11を介して取得する。他車から送信される車両情報には、その他車を識別するための識別情報(例えば、車両ID)、その他車の車両位置、その他車の車速といった車両挙動に関する情報等がある。
【0027】
環境認識部102は、ADASロケータ20から取得した自車両の車両位置及び地図データ、周辺監視センサ12から取得したセンシング情報、情報取得部101で取得した他車の車両情報等から、自車両の走行環境を認識する。例えば、環境認識部102は、周辺監視センサ12のセンシング範囲内については、周辺監視センサ12から取得したセンシング情報から、自車両の周囲の物体の形状及び移動状態を認識し、実際の走行環境を再現した仮想空間を生成する。加えて環境認識部102は、周辺監視センサ12のセンシング範囲外については、地図データ及び情報取得部101で取得した各情報を用いて、走行環境の認識を行う。各車両において環境認識部102が認識した走行環境に係る情報は、周辺情報として、車両IDと共に通信機11を介して送受信される。
【0028】
自動運転部103は、自車両で作成した走行計画に従って、もしくは、通信機11によって受信した指示または走行計画に従って、自車両の加速、制動、または操舵を車両制御ECU13に自動で行わせることで、自動運転を行うことができる。
【0029】
自車両で走行計画を作成する場合には、例えば、中長期の走行計画として、ADASロケータ20から取得した自車両の車両位置及び地図データを用いて、自車両を目的地へ向かわせるための推奨経路が作成される。また、環境認識部102により得られた自車両周囲の仮想空間を用いて、短期の走行計画が作成される。具体的には、例えば、車線変更のための操舵、速度調整のための加減速、及び障害物回避のための操舵及び制動等を実行するための走行計画が作成される。
【0030】
自動運転部103は、通信機11によって受信した指示または走行計画に従って自動運転を行うように構成されていてもよい。例えば、隊列走行を行う場合等に、隊列の先頭車両から送信された先頭車両の加速度や操舵角等の情報を取得し、先頭車両と同様の加速度や操舵角となるように自動で自車両の制御を行わせるように構成されていてもよい。または、先行車両(直前の車両)に対して、所定の車幅間隔を維持して追従するように自動で自車両の加減速制御を行わせるように構成されていてもよい。
【0031】
自動運転を実行するために自動運転部103に備えられる機能としては、例えば、駆動力及び制動力を調整することで、先行車両との目標車間距離を維持するように自車両の走行速度を制御するACC(Adaptive Cruise Control)機能、走行区画線への接近を阻む方向への操舵力を発生させることで、走行中の車線を維持して車両を走行させるLKA(Lane Keeping Assist)機能、隣接車線へと車両を自動で移動させるLCA(LaneChange Assist)機能を例示することができる。さらに、前方のセンシング情報をもとに制動力を発生させることで、自車両を強制的に減速させるAEB(Autonomous Emergency Braking)機能等を備えていてもよい。上記の各機能は、ACC部、LKA部、LCA部(車線変更部)、AEB部として、自動運転部103が備えるものであってもよい。
【0032】
また、上記の各機能は、自車両のみについて適用されるものであってもよいし、車群を構成する他の車両についても適用されるものであってもよい。例えば、LCA部(車線変更部)としての機能は、自車両の車線変更の可否のみを判断可能に構成されていてもよいし、車群を構成する他の車両についても車線変更の可否を判断可能に構成されていてもよい。
【0033】
先頭車両の走行支援ECU10においては、LCA部は、先頭車両を車線変更するための操舵と同時に、追従車両や最後尾車両を操舵可能に構成されていてもよい。例えば、先頭車両のLCA部は、車群の車線変更に際して、他車両の走行支援ECU10に対して同相での操舵を指示する信号を作成するように構成されていてもよい。また、先頭車両のLCA部は、車群の車線変更に際して、先頭車両のみを操舵してもよい。隊列走行時には、他車両は、先頭車両に対して一定の車間距離を維持して追従するように制御されているため、先頭車両のみを操舵して車線変更を行った場合には、他車両は先頭車両に追従して、順次車線変更を行うことができる。
【0034】
また、自動運転部103は、上記の自動運転機能の実施と不実施とを切換可能に構成されていてもよい。例えば自動運転部103は、自動運転の機能別に実施と不実施とを切換可能であってもよいし、複数若しくは全部の自動運転の機能についてまとめて実施と不実施とを切換可能であってもよい。自動運転機能の実施と不実施との切換は、例えば、操作デバイス32へのドライバによる入力操作により行われてもよいし、隊列制御部104からの指示より行われてもよい。または、環境認識部102で認識される周辺環境、周辺監視センサ12でのセンシングの不具合、通信機11の通信エラー等に応じて、自動運転部103で自律的に行われる構成としてもよい。
【0035】
隊列制御部104は、自車両が隊列走行中である場合に、隊列走行を実行するための処理を行う。また、隊列制御部104は、隊列走行中の車群における自車両の位置(並び順)に基づいて、自車両が先頭車両(先頭に位置する車両)、追従車両(先頭車両と最後尾車両との間に位置する車両)、最後尾車両(最後尾に位置する車両)のいずれであるかを判断する。この判断に基づいて、隊列制御部104は、自動運転部103等への指示内容を変更する。
【0036】
車群における自車両の位置は、例えば、環境認識部102によって認識された周辺情報に基づいて判断することができる。隊列制御部104は、環境認識部102において自車両の前方(走行方向)に車両が認識されていない場合に、自車両が隊列走行の先頭に位置する先頭車両であると判断すればよい。また、隊列制御部104は、自車両の後方(走行方向と逆方向)に車両が認識されていない場合に、自車両が隊列走行の最後尾に位置する最後尾車両であると判断すればよい。隊列制御部104は、が先頭車両でも最後尾車両でもない場合に、自車両が追従車両であると判断すればよい。もしくは、車群における位置と車両IDとが対応している等により、環境認識部102に拠らずに車両の位置を特定できるようにしてもよい。
【0037】
隊列制御部104は、自車両が先頭車両である場合には、自動運転部103に、走行計画を作成し、その走行計画に従って走行するように指示する。走行計画は、自車両の車両情報および周辺情報と、他車両から送信された車両情報および周辺情報との双方に基づいて作成される。
【0038】
さらには、隊列制御部104は、車群全体を操作するための車群情報を通信機11から他車両に送信してもよい。車群情報としては、具体的には、先頭車両の走行計画や挙動情報(例えば、加速度や操舵角など)、他車両への指示を挙げることができる。
【0039】
隊列制御部104は、自車両が先頭車両である場合には、車群の車線変更指示があった場合に、自動運転部103に対して、車線変更に係る走行計画の作成を指示することができる。また、隊列制御部104は、作成された車線変更に係る走行計画を、車群情報として通信機から他車両に送信することができる。車線変更指示は、先頭車両の運転者による指示であってもよく、車群を各車両の自動運転部103からの指示であってもよく、車群の外部から路車間通信によって受信した指示であってもよい。
【0040】
隊列制御部104は、車群を構成する各車両の車線変更が可能と判断されたことを条件として、車群を構成する各車両の車線変更を許可するように構成されていてもよい。各車両の車線変更の可否は、自動運転部103におけるLCA機能によって判断することができる。例えば、各車両に搭載された走行支援ECU10において、自車両の車線変更の可否が判断され、先頭車両の走行支援ECU10に判断結果が送信されるようにしてもよいし、先頭車両の走行支援ECU10において、自動運転部103が車群全体の車線変更の可否を判断するようにしてもよい。
【0041】
隊列制御部104は、車群の車線変更先となる車線の空き領域の大きさに基づいて、車線変更を最後尾モードで実行するか、先頭モードで実行するかを選択するように構成されていてもよい。なお、最後尾モードとは、最後尾車両の車線変更を実行した後で、先頭車両および追従車両の車線変更を実行するモードである。ここで、「最後尾車両の車線変更を実行した後」とは、最後尾車両が車線変更状態に入った後であればよい。例えば、最後尾車両が車線変更を完了した後であってもよいし、最後尾車両について車線変更の開始が決定した後であってもよいし、最後尾車両が実際に車線変更を開始した後であってもよい。また、先頭モードとは、最後尾車両も追従車両と同様に、先頭車両の車線変更に応じて車線変更を実行するモードである。
【0042】
例えば、隊列制御部104は、空き領域の大きさが所定の大きさ以下である場合に、最後尾モードを選択し、空き領域の大きさが所定の大きさを超える場合に、先頭モードを選択するように構成されていてもよい。なお、空き領域の大きさは、各車両の車両情報と周辺情報とに基づいて、環境認識部102が認識したものであってもよい。空き領域は、例えば、車群の車線変更先において、外部車両(車群を構成しない他の車両)が存在しない領域とすることができる。
【0043】
最後尾モードでは、隊列制御部104は、最後尾車両の車線変更を実行してから車群全体の車線変更が完了するまでの間、最後尾車両に待機走行を実行することを指示する。待機走行とは、最後尾車両が、単独で車線変更を行った後に、その車線内で、車群の走行方向に沿って車群に追従して走行することを意味する。隊列走行においては、最後尾車両は、変更先の車線内で走行できるように、車群に対して横方向(走行方向の法線方向)の距離を維持したまま、走行方向においては、車群に追従できる所定の車間距離を維持して走行する。
【0044】
最後尾モードでは、隊列制御部104は、最後尾車両の待機走行中には、最後尾車両と、車群において最後尾車両に最も近い追従車両(先行車両)との車群の走行方向の距離(最後尾距離と称する)を、通常の隊列走行時における最後尾距離から変更するように指示してもよい。最後尾車両の待機走行中の最後尾距離を、通常の隊列走行時の最後尾距離よりも短くすることによって、外部車両(車群を構成しない車両)が、先行車両と最後尾車両との間を通過して最後尾車両の前方に侵入することを抑制できる。
【0045】
隊列制御部104は、自車両が追従車両または最後尾車両である場合には、先頭車両に対して、自車両の車両情報および周辺情報を送信する。どの車両から送信された情報なのかを識別できるように、情報の送信に際しては、例えば、送信元を示す自車両の車両IDに加えて、送信先を示す先頭車両の車両IDも付与するようにしてもよい。
【0046】
また、追従車両および最後尾車両においては、隊列制御部104は、情報取得部101で取得した先頭車両の挙動情報および走行計画に基づいて、隊列走行を実行することを自動運転部103に指示する。自動運転部103は、先頭車両と加減速度が同じになるように自動で加減速制御を行わせるための走行計画を作成し、隊列走行を行わせる。
【0047】
車群の車線変更時に、各車両に搭載された走行支援ECU10において自車両の車線変更の可否等についての判断が実行される場合には、隊列制御部104は、追従車両および最後尾車両における判断結果を先頭車両に送信させる。各車両における判断結果は、先頭車両の走行支援ECU10に集約され、車群全体について、車線変更の可否等の判断が成されてもよい。
【0048】
図2~6に、先頭車両にのみ運転者が乗車して隊列走行を行う場合において、各車両の走行支援ECU10が実行する隊列走行支援制御のフローチャートを示す。
【0049】
各車両の走行支援ECU10において、図2に示すメインフローの処理が実行される。なお、ステップS103に示す処理は第1制御部としての処理に対応する。
【0050】
まず、ステップS101では、隊列走行中であるか否かを判定する。隊列走行中である場合には、ステップS102に進む。隊列走行中でない場合には、処理を終了する。
【0051】
ステップS102では、自車両が、隊列走行中の車群の先頭に位置する先頭車両か否かを判定する。先頭車両である場合には、ステップS103~S115に示す先頭車両用の走行支援制御が実行される。先頭車両でない場合には、ステップS121に進み、最後尾車両であるか否かを判定する。最後尾車両である場合には、ステップS122に示す最後尾車両用の走行支援制御が実行される。最後尾車両でない場合には、ステップS123に示す追従車両用の走行支援制御が実行される。最後尾車両と追従車両の走行支援ECU10で実行される制御については後述する。
【0052】
先頭車両の走行支援ECU10は、まず、ステップS103において、車線変更準備の指示が行われたか否かを判定する。この指示は、先頭車両の運転者によって行われてもよいし、走行支援ECU10によって行われてもよい。例えば、追い越しや進路変更、障害物回避等を目的として、車線変更準備の指示が行われる。運転者によって指示が行われる場合には、例えば、HMIシステム30に対して車両変更準備の指示が入力される。この入力に際して、車線変更の理由を併せて選択し、入力してもよい。
【0053】
ステップS103において車線変更準備の指示が行われた場合には、ステップS104に進み、先頭車両におけるハンドルのステア操作が制限される。具体的には、例えば、ハンドル荷重を重くし、車線変更するためにハンドルをステア操作することが抑制される。さらには、ステア操作された場合に表示装置33や音声出力装置34から警告が提示されるようにしてもよい。
【0054】
次に、ステップS105では、全車両の車両情報と周辺情報を取得する。さらに、ステップS106では、取得した全車両の車両情報と周辺情報とに基づいて、車線変更先に車群が移動可能なスペース(車線変更スペースと称する)が存在するか否かを判定する。車線変更スペースが存在しない場合には、ステップS110に進み、車線変更準備から所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合には、ステップS105に戻る。所定時間が経過した場合には、後述のステップS111~S115に示す車線変更中止に係る処理を実行する。車線変更スペースが存在する場合には、ステップS107に進む。
【0055】
ステップS107では、車線変更先の空き領域の大きさが所定の大きさ以下であるか否かを判定する。具体的には、車線変更後の車群の後端(すなわち、最後尾車両の後端)から、その後ろを走行する後続車両の前端までの距離Xが所定の閾値以下であるか否かを判定する。この閾値は、車線変更する車群の速度や、その周囲を走行する車両(特に、後続車両)の速度や加速度に応じて算出したものであってもよい。
【0056】
ステップS107において、後方スペースの大きさが閾値以下である場合には、ステップS108に進み、最後尾モードの車線変更制御を実行する。最後尾モードとは、最後尾車両の車線変更を実行した後で、先頭車両および追従車両の車線変更を実行するモードである。他方、ステップS107において、後方スペースの大きさが閾値を超える場合には、ステップS109に進み、先頭モードの車線変更制御を実行する。先頭モードとは、最後尾車両も追従車両と同様に、先頭車両の車線変更に応じて車線変更を実行するモードである。
【0057】
ステップS111~S115に示す車線変更中止に係る処理では、ステップS111において車線変更の中止を決定した後、ステップS112に進み、ステップS104で設定したステア制限を解除する。
【0058】
次に、ステップS113に進み、車線変更の理由が緊急であるか否かを判定する。例えば、障害物回避等の緊急回避を目的として車線変更準備の指示を行った場合には、ステップS114に進み、全車両の緊急停止操作が行われた後、処理を終了する。また、例えば、追い越し等の必須ではない車線変更である場合には、ステップS115に進み、通常の隊列走行の継続が決定された後、処理を終了する。
【0059】
図3に、先頭車両の走行支援ECU10で実行される最後尾モードの車線変更制御のフローチャートを示す。なお、ステップS201に示す処理は第1制御部としての処理に対応する。ステップS203~S207に示す処理は第2制御部としての処理に対応する。ステップS204,S212,S213に示す処理は待機走行制御部としての処理に対応する。ステップS208~S210に示す処理は操舵調整部としての処理に対応する。
【0060】
まず、ステップS201では、最後尾車両に対して、車線変更の指示を行うとともに、最後尾車両の追従解除指示を行う。これにより、最後尾車両は、車群から離脱して、車線変更を実行する。
【0061】
次に、ステップS202において、最後尾車両の車両情報、周辺情報を取得し、ステップS203に進む。ステップS203では、ステップS202で取得した最後尾車両の車両情報、周辺情報に基づいて、最後尾車両の車線変更が完了したか否かを判定する。車線変更が完了していない場合には、ステップS202に戻り、最後尾車両の車両情報、周辺情報を再取得する。車線変更が完了した場合には、ステップS204に進み、先頭車両は、最後尾車両に待機走行を指示する。この指示によって、最後尾車両は、変更先の車線において、車線変更スペースの最後尾となる位置で待機しながら走行を継続する。
【0062】
次に、ステップS205に進み、先頭車両と追従車両の車線変更スペースが存在するか否かを判定する。車線変更スペースが存在しない場合には、ステップS221に進み、車線変更準備から所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合には、ステップS205に戻る。所定時間が経過した場合には、後述のステップS222~S227に示す車線変更中止に係る処理を実行する。車線変更スペースが存在する場合には、ステップS206に進む。
【0063】
ステップS206では、ステップS104で設定したステア制限を解除し、ステップS207に進む。ステップS207では、HMIシステム30の表示装置33や音声出力装置34等により、先頭車両の運転者に対して、車線変更準備が完了して車線変更操作が可能になったことを通知する。
【0064】
次に、ステップS208に進み、先頭車両の運転者によって、車線変更のための操舵操作が実行されたか否かを判定する。具体的には、先頭車両の運転者が、変更先の車線に対して車線変更するようにハンドル操作を行ったか否かを判定する。
【0065】
次に、ステップS209では、先頭車両の車線変更と、追従車両の車線変更とを同時に実行するか否かを判定する。同時に車線変更を行う場合には、ステップS210に進み、追従車両に車線変更の実行指示を行う。具体的には、先頭車両の操舵角や加速度等を追従車両に送信し、先行車両と同様の加速度や操舵角となるように自動で追従車両の制御を行わせるように指示し、その後、ステップS211に進む。同時に車線変更を行わない場合には、ステップS209からステップS211に進む。この場合、追従車両は先行車両に追従して、先頭車両から順次車線変更を実行する。
【0066】
次に、ステップS211では、全車両の車両情報と周辺情報を取得し、ステップS212に進む。ステップS212では、ステップS211で取得した全車両の車両情報と周辺情報に基づいて、全車両の車線変更が完了したか否かを判定する。車両変更が完了していない場合には、ステップS211に戻る。車両変更が完了している場合には、ステップS213に進む。
【0067】
ステップS213では、最後尾車両に対して、追従走行の実行を指示する。これにより、最後尾車両は待機走行を解除し、先行車両に追従する走行を再開する。ステップS213により、最後尾モードの車線変更制御を終了し、図2に示すように、メインフローの処理も終了する。
【0068】
ステップS222~S227に示す車線変更中止に係る処理では、ステップS222において車線変更の中止を決定した後、ステップS223に進み、最後尾車両に対して、元の車線に戻り、追従走行を実行することを指示する。この指示により、最後尾車両は、先行車両と追従車両が走行する車線に車線変更して、車群の最後尾において追従走行を行う。その後、ステップS224に進む。ステップS224~S227の処理は、図2に示すステップS112~S115と同様であるため、説明を省略する。ステップS226またはS227により、最後尾モードの車線変更制御を終了し、図2に示すように、メインフローの処理も終了する。
【0069】
図4に、先頭車両の走行支援ECU10で実行される先頭モードの車線変更制御のフローチャートを示す。ステップS301~ステップS303の処理は、図3に示すステップS206~S208と同様であるため、説明を省略する。
【0070】
ステップS303の後、ステップS304に進む。ステップS304では、先頭車両の車線変更と、他車両(すなわち、追従車両および最後尾車両)の車線変更とを同時に実行するか否かを判定する。同時に車線変更を行う場合には、ステップS305に進み、他車両に車線変更の実行指示を行う。具体的には、先頭車両の操舵角や加速度等を追従車両および最後尾車両に送信し、先行車両と同様の加速度や操舵角となるように、自動で追従車両および最後尾車両の制御を行わせるように指示し、その後、ステップS306に進む。同時に車線変更を行わない場合には、ステップS304からステップS306に進む。この場合、追従車両および最後尾車両は先行車両に追従して車線変更を順次行い、結果として、車群全体の車線変更が行われる。
【0071】
次に、ステップS306では、全車両の車両情報と周辺情報を取得し、ステップS307に進む。ステップS307では、ステップS306で取得した全車両の車両情報と周辺情報に基づいて、全車両の車線変更が完了したか否かを判定する。車両変更が完了していない場合には、ステップS306に戻る。車両変更が完了している場合には、先頭モードの車線変更制御を終了し、図2に示すように、メインフローの処理も終了する。
【0072】
図5に、最後尾車両の走行支援ECU10で実行される最後尾車両制御(図2のステップS122の制御)のフローチャートを示す。なお、ステップS406,S412に示す処理は待機走行制御部としての処理に対応する。
【0073】
まず、ステップS401において、最後尾車両は、先行車両への追従走行を実行するように制御される。
【0074】
次に、ステップS402において、先頭車両から、車線変更指示を受信したか否かを判定する。車線変更の指示が無い場合には、処理を終了し、追従走行を継続する。車線変更の指示があった場合には、ステップS403に進む。
【0075】
ステップS403では、先頭車両から、追従走行の解除指示を受信したか否かを判定する。追従走行の解除指示が無い場合には、ステップS421に進み、最後尾車両は、同時車線変更を実行する。すなわち、先頭車両からの指示によって先頭車両と同時に最後尾車両を操舵するように制御される。追従走行の解除指示があった場合には、ステップS404に進み、最後尾車両の追従走行を解除して、単独での車線変更を実行する。
【0076】
最後尾車両に対する車線変更の指示は、図3のステップS201およびS210と、図4のステップS305とにおいて、先頭車両から発信される。また、追従解除の指示は、図3のステップS201において、先頭車両から発信される。車線変更指示を受信し、追従解除指示を受信しなかった場合には、ステップS210またはS305における指示であるため、同時車線変更が実行される。車線変更指示を受信し、かつ、追従解除指示を受信した場合には、ステップS201における指示であるため、ステップS404に進み、先頭車両および追従車両に先立って、最後尾車両の車線変更が実行される。
【0077】
ステップS404からステップS405に進み、最後尾車両は、先頭車両に対して、最後尾車両における車両情報および周辺情報を送信する。図3のステップS202、S2033に示すように、先頭車両は、送信された最後尾車両における車両情報および周辺情報に基づいて、最後尾車両の車線変更が完了したか否かを判定し、ステップS204に示すように、最後尾車両に対して待機走行の指示を発信する。
【0078】
次に、ステップS406において、先頭車両から、待機走行の指示を受信したか否かを判定する。待機走行の指示が無い場合には、ステップS405に戻る。待機走行の指示があった場合には、ステップS412に進み、待機走行を実行する。すなわち、最後尾車両は、変更先の車線において、車線変更スペースの最後尾となる位置で待機しながら走行を継続する。
【0079】
次に、ステップS413において、先頭車両から、車線戻り指示を受けたか否かを判定する。図3に示すステップS223において、先頭車両は、最後尾車両に対して、元の車線に戻り、追従走行を実行することを指示する。車線戻り指示があった場合には、ステップS415に進み、先頭車両と追従車両が走行する車線に車線変更するように最後尾車両を制御した後、ステップS420に進む。ステップS420に示す処理によって、最後尾車両は、先行車両への追従走行を再開する。ステップS413において、車線戻り指示が無い場合には、ステップS414に進む。
【0080】
ステップS414では、先頭車両から、先行車両への追従指示を受けたか否かを判定する。ステップS414における追従指示は、図3のステップS213において先頭車両から送信される指示である。追従指示が無かった場合には、ステップS412に戻る。追従指示があった場合には、ステップS420に進み、最後尾車両は、先行車両への追従走行を再開するように制御される。ステップS420により、図5に示す最後尾車両制御の処理を終了し、図2に示すように、メインフローの処理も終了する。
【0081】
図6に、追従車両の走行支援ECU10で実行される追従車両制御(図2のステップS123の制御)のフローチャートを示す。まず、ステップS501において、追従車両は、先行車両への追従走行を実行するように制御される。次に、ステップS502において、先頭車両から、車線変更指示を受信したか否かを判定する。車線変更の指示が無い場合には、処理を終了し、追従走行が継続される。車線変更の指示があった場合には、ステップS503に進む。
【0082】
ステップS503では、追従車両は、同時車線変更を実行するように制御される。すなわち、先頭車両からの指示によって先頭車両と同時に追従車両を操舵するように制御される。ステップS503により、図6に示す追従車両制御の処理を終了し、図2に示すように、メインフローの処理も終了する。
【0083】
図7~9に、走行支援ECUによって制御される車群の車線変更の経過を説明するための概念図を示す。図7(a)に示すように、車線61を走行する先頭車両41、追従車両42,43、最後尾車両44が、この順序で走行方向に沿って隊列走行している車群40が、車線62に車線変更する場合を例示して、以下、説明する。なお、先頭車両41には運転者が乗車しており、追従車両42,43および最後尾車両44には、運転者が乗車していない。追従車両42,43および最後尾車両44は、自動運転により、先頭車両41に追従して走行している。
【0084】
図7(a)に示すように、先頭車両41は、変更先の車線61において、車線変更スペース50(車群40が移動可能なスペース)が存在するか否かを判定し、車線変更スペース50が存在する場合に、車線変更の実行を決定する。なお、破線で示す変更後車両51~54は、それぞれ、予測された車線変更後の先頭車両41、追従車両42,43、最後尾車両44の位置を示している。車線変更スペース50の前方には、外部車両45が走行しており、後方には、外部車両46が走行している。
【0085】
先頭車両41は、車線61の空き領域の大きさを認識する。空き領域は、車線61における外部車両45の後端から外部車両46の前端までの領域である。先頭車両41は、後方側の空き領域の大きさが所定値以下であるか否かを判定する。車線61における車群の後端(すなわち、車線変更後の変更後車両54の後端)から、その後ろを走行する外部車両46の前端までの距離Xが所定の閾値以下であるか否かを判定する。
【0086】
距離Xが閾値以下である場合には、先頭車両41は、最後尾モードでの車線変更を実行する。まず、図7(b)に示すように、最後尾車両44に対して車線変更を指示し、車線62から車線61に車線変更させる。なお、車線61における最後尾車両44の前端は、追従車両43の後端に対して、同位置または前方に位置していることが好ましい。他の走行車両(外部車両)が、追従車両43の後方から最後尾車両44の前方に割り込んで、車線変更スペース50に侵入することを防ぐことができる。車線変更に際して、最後尾車両44は、追従車両43への追従走行を解除して、車線61において、単独で待機走行を行う。待機走行中において、最後尾車両44は、図7(b)に示す追従車両43との相対的な位置関係を維持して走行する。
【0087】
次に、図7(c)に示すように、先頭車両41は、車線変更スペース55が存在するか否かを判定する。車線変更スペース55は、最後尾車両44の前方のスペースであり、先頭車両41および追従車両42,43が移動可能なスペースである。最後尾車両44が車線61を走行することによって、後続の外部車両46が車線変更スペース55に侵入することを抑制できる。また、最後尾車両44が追従車両43との相対的な位置関係を維持して走行することによって、車線変更スペース55を確保することができる。
【0088】
車線変更スペース55が存在する場合には、先頭車両41のステア操作が可能となり、図7(d)に示すように、先頭車両41の運転者がステア操作を行って、車線62から車線61へと車線変更を行う。追従車両42は、先頭車両41に追従して車線62に車線変更する。追従車両43は、追従車両42に追従して車線62に車線変更する。
【0089】
図7(e)に示すように、先頭車両41および追従車両42,43の車両変更が完了した後に、最後尾車両44は、待機走行を解除して、先行車両である追従車両43への追従走行を再開する。
【0090】
なお、図7(c)の後で、図8に示すように、先頭車両41と、追従車両42,43の車線変更のタイミングを一致させる同時車線変更を実行してもよい。例えば、先頭車両41と、追従車両42,43との車線変更における操舵を同相で行う等により、同時車線変更を実現することができる。
【0091】
図7(a)において、距離Xが閾値を超える場合には、先頭車両41は、先頭モードでの車線変更を実行する。先頭モードにおいては、図9(a)(b)に示すように、先頭車両41のステア操作により、車群40全体を車線変更させてもよい。すなわち、図9(a)に示すように、車線変更スペース50が確保されたら、先頭車両41の運転者がステア操作を行って、車線62から車線61へと車線変更を行う。追従車両42は、先頭車両41に追従して車線62に車線変更する。追従車両43は、追従車両42に追従して車線62に車線変更する。最後尾車両44は、追従車両43に追従して車線62に車線変更する。これにより、図9(b)に示すように、車群40の車線変更が完了する。なお、図8と同様に、先頭車両41と、追従車両42,43および最後尾車両44の車線変更のタイミングを一致させる同時車線変更を実行してもよい。
【0092】
上記の第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0093】
走行支援ECU10によれば、車線変更先の空き領域に応じて、最後尾モードで車線変更を行うことができる。すなわち、最後尾車両44の車線変更を実行させた後で、先頭車両41および追従車両42,43の車線変更が許可され、実行されるようにすることができる。車群全体の車線変更に先立って、最後尾車両44を車線変更先の車線61に移動させることによって、車線変更の開始から終了までの間を通して、変更先の車線61に車群全体が移動可能なスペース(車線変更スペース50,55)を確保することができる。
【0094】
最後尾車両44は、車線変更を実行してから車群全体の車線変更が完了するまでの間、車線変更先の車線61内で、車群の走行方向に沿って車群に追従する待機走行を実行するように制御される。最後尾車両44に待機走行をさせることによって、変更先の車線61内で車線変更スペース55を確保することができる。
【0095】
図7(c)における待機走行中の最後尾車両44と、追従車両43との車群の走行方向の距離(最後尾距離)は、図7(a)における車群の車線変更指示前の最後尾距離よりも短くなるように制御される。車線61内を待機走行中の最後尾車両44が、車線62を走行中の追従車両43に対して、走行方向に沿ってより近づくことによって、外部車両が追従車両43の後方から最後尾車両44の前方に侵入することを抑制できる。
【0096】
追従車両42,43の車線変更は、先頭車両41を車線変更するための操舵により実行されてもよい。先頭車両41および追従車両42,43の隊列を維持して車線変更を実行できる。
【0097】
また、先頭車両41を車線変更するための操舵は、最後尾車両44の車線変更が完了したことを条件として実行が許可されるため、先頭車両41および追従車両42,43の車線変更をより安全に実行できる。さらには、最後尾車両44の車線変更が完了した後に、先頭車両41および追従車両42,43の車線変更スペース55を再度確認するため、万が一、車線変更スペース55に外部車両が侵入した場合等に、車線変更を行ってしまうことを回避できる。
【0098】
また、先頭車両41を車線変更するための操舵と同時に、車線変更を行う他の車両も(追従車両42,43等)を操舵するようにしてもよい。車線変更を行う全車両が同時に操舵されるために、車線変更を速く完了させることができる。車線変更の目的が緊急性の高いもの(緊急車両通過のための回避)である場合や、渋滞時等に、全車両の同時操舵による車線変更を実行することが好ましい。
【0099】
走行支援ECU10は、情報取得部101において車群を構成する各車両の車両情報と周辺情報とを取得し、取得した車両情報と周辺情報とに基づいて車群の車線変更が可能であると判断されることを条件として、車群の車線変更を許可する。各車両の周辺監視センサ12の検知値等に基づいて、車線変更を安全に実行できると判断された場合に、車線変更のための操舵を許可するため、車線変更の際に運転者が誤判断等により誤って操舵操作することを制限でき、より安全な走行を実現することができる。
【0100】
走行支援ECU10によれば、環境認識部102によって、情報取得部101が取得した車両情報と周辺情報とに基づいて、車群の車線変更先となる車線61の空き領域の大きさを認識できる。そして、隊列制御部104によって、空き領域の大きさが所定の大きさ以下であることを条件として、最後尾モードで車線変更を行うことが選択される。空き領域に余裕がなく、車線変更の開始から終了するまでの間を通しては、変更先の車線61に車線変更スペースを確保できないことが懸念される場合には、車線変更スペースの確保をより確実に行い得る最後尾モードでの車線変更制御を実行する。他方、空き領域に余裕がある場合には、制御がより簡易で車線変更を速やかに完了できる先頭モードで車線変更を行うことが選択される。空き領域に応じて車線変更のモード選択を行うことにより、様々な状況に応じて安全性と迅速性を確保して車群の車線変更を行うことができる。
【0101】
追従車両42,43と最後尾車両44とは、先頭車両41に搭載された走行支援ECU10からの指示等により、車線変更を実行する。このため、追従車両42,43および最後尾車両44に搭載された走行支援ECU10において、車線変更の可否や、車線変更が完了したか否かの判断を行う必要がない。すなわち、追従車両42,43および最後尾車両44には、車線変更の可否や、車線変更が完了したか否かの判断を行う機能を有さないECUを用いてもよい。
【0102】
(第2実施形態)
上記の第1実施形態では、追従車両と最後尾車両は先頭車両に従って車線変更を実行していたが、これに限定されない。例えば、図10図11に示すように、最後尾モードでの車線変更制御において、最後尾車両に搭載された走行支援ECU10が、最後尾車両の車線変更制御を行ってもよく、最後尾車両の車線変更は、最後尾車両の運転者の操舵操作によって行われてもよい。
【0103】
図10に、先頭車両の走行支援ECU10が実行する最後尾モードの車線変更制御のフローチャートを示す。なお、ステップS601に示す処理は第1制御部としての処理に対応する。ステップS603~S607に示す処理は第2制御部としての処理に対応する。ステップS608~S610に示す処理は操舵調整部としての処理に対応する。
【0104】
まず、ステップS601では、先頭車両は、最後尾車両に対して、車線変更の指示を行うとともに、最後尾車両の追従解除指示を行った後、ステップS603に進む。最後尾車両からの車線変更完了の通知があったか否かを判断する。
【0105】
ステップS603では、最後尾車両の車線変更完了の通知があったか否かを判断し、最後尾車両から、車線変更完了通知を受信した場合には、ステップS605に進む。ステップS605~ステップS613、ステップS621~ステップS627に示す処理は、図3に示すステップS205~ステップS213、ステップS221~ステップS227に示す処理とそれぞれ同様であるため、200番台の番号を600番台に読み替えることによって重複説明を省略する。
【0106】
図11に、最後尾車両の走行支援ECU10が実行する制御のフローチャートを示す。なお、ステップS712,S720に示す処理は待機走行制御部としての処理に対応する。
【0107】
まず、ステップS700において、最後尾車両は、先行車両への追従走行を実行するように制御される。
【0108】
ステップS701において、先頭車両から、車線変更指示を受信したか否かを判定する。車線変更の指示が無い場合には、処理を終了し、追従走行を継続する。車線変更の指示があった場合には、ステップS702に進む。
【0109】
ステップS702では、先頭車両から、追従走行の解除指示を受信したか否かを判定する。追従走行の解除指示が無い場合には、ステップS721に進む。追従走行の解除指示があった場合には、ステップS703に進む。
【0110】
ステップS703では、最後尾車両のステア操作が制限される。具体的には、例えば、ハンドル荷重を重くし、車線変更するためにハンドル操作を行うことが抑制される。さらには、ステア操作された場合に表示装置33や音声出力装置34から警告が提示されるようにしてもよい。
【0111】
次に、ステップS704に進み、最後尾車両の車両情報と周辺情報を取得し、ステップS705に進む。ステップS705では、最後尾車両の走行支援ECU10は、最後尾車両の車線変更スペースが存在するか否かを判定する。なお、ステップS705では、最後尾車両の走行支援ECUによる判断と、最後尾車両の運転者の判断との双方において、車線変更スペースが存在すると判断されたことを条件としてもよい。
【0112】
車線変更スペースが存在しない場合には、ステップS717に進み、車線変更準備から所定時間が経過したか否かを判定する。所定時間が経過していない場合には、ステップS704に戻る。所定時間が経過した場合には、ステップS718に進み、先頭車両に対して、最後尾車両の車線変更ができない旨の通知を送信した後、ステップS719に進む。ステップS719では、ステップS703で行った最後尾車両のステア操作制限を解除した後、処理を終了する。
【0113】
ステップS705において、車線変更スペースが存在する場合には、ステップS706に進む。ステップS706では、ステップS703で設定したステア制限を解除し、ステップS707に進む。ステップS707では、HMIシステム30の表示装置33や音声出力装置34等により、最後尾車両の運転者に対して、車線変更準備が完了して車線変更操作が可能になったことを通知する。
【0114】
次に、ステップS708に進み、最後尾車両の運転者によって、車線変更のための操舵操作が実行されたか否かを判定する。具体的には、最後尾車両の運転者が、変更先の車線に対して車線変更するようにハンドル操作を行ったか否かを判定する。
【0115】
次に、ステップS709では、最後尾車両の車両情報と周辺情報を取得し、ステップS710に進む。ステップS710では、ステップS709で取得した最後尾車両の車両情報と周辺情報に基づいて、最後尾車両の車線変更が完了したか否かを判定する。車両変更が完了していない場合には、ステップS709に戻る。車両変更が完了している場合には、ステップS711に進む。なお、ステップS710では、最後尾車両の走行支援ECUによる判断と、最後尾車両の運転者の判断との双方において、車線変更が完了したと判断されたことを条件としてもよい。
【0116】
ステップS711において、最後尾車両は、先頭車両に対して、最後尾車両の車線変更完了通知を送信し、ステップS712に進む。ステップS712~S715、ステップS720,ステップS721に示す処理は、図5のステップS412~S415、ステップS420,ステップS421に示す処理とそれぞれ同様であるため、400番台の番号を700番台に読み替えることによって重複説明を省略する。
【0117】
上記の第2実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0118】
最後尾モードにおける最後尾車両の車線変更においては、最後尾車両に搭載された走行支援ECU10が、取得した車両情報と周辺情報とに基づいて、最後尾車両の車線変更の可否を判断する。車群を構成する車両の台数が多い等により、先頭車両と最後尾車両とが離れている場合に、最後尾車両に搭載された走行支援ECU10が、最後尾車両の車線変更の可否を判断できるため、より安全かつ確実に車線変更を実行することができる。また、最後尾車両に運転者が乗車しているため、運転者による最後尾車両の操作や、車線変更時の判断を重ねて行うことができ、より安全かつ確実に車線変更を実行することができる。
【0119】
・なお、追従車両においても、車線変更の可否判断や、車線変更の完了判断を、追従車両に搭載された走行支援ECUが実行するように構成してもよい。また、車群を構成する各車両は、運転者による操作を行うことなく自動で走行可能に構成されていてもよい。例えば、車線変更の際の操舵は、運転者ではなく、走行支援ECUや車両制御ECUによって制御されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0120】
10…走行支援ECU、41…先頭車両、42,43…追従車両、44…最後尾車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11