IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノンプレシジョン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ステージ装置及び顕微鏡システム 図1
  • 特許-ステージ装置及び顕微鏡システム 図2
  • 特許-ステージ装置及び顕微鏡システム 図3
  • 特許-ステージ装置及び顕微鏡システム 図4
  • 特許-ステージ装置及び顕微鏡システム 図5
  • 特許-ステージ装置及び顕微鏡システム 図6
  • 特許-ステージ装置及び顕微鏡システム 図7
  • 特許-ステージ装置及び顕微鏡システム 図8
  • 特許-ステージ装置及び顕微鏡システム 図9
  • 特許-ステージ装置及び顕微鏡システム 図10
  • 特許-ステージ装置及び顕微鏡システム 図11A
  • 特許-ステージ装置及び顕微鏡システム 図11B
  • 特許-ステージ装置及び顕微鏡システム 図12
  • 特許-ステージ装置及び顕微鏡システム 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】ステージ装置及び顕微鏡システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/26 20060101AFI20220907BHJP
   G12B 5/00 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
G02B21/26
G12B5/00 T
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018120029
(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公開番号】P2020003527
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-06-03
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構「未来医療を実現する医療機器・システム研究開発事業 医療情報の高度利用による医療システムの研究開発」「がん診断・治療ナビゲーションシステムの研究開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000104630
【氏名又は名称】キヤノンプレシジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】森谷 章
(72)【発明者】
【氏名】小林 大毅
(72)【発明者】
【氏名】井垣 正彦
(72)【発明者】
【氏名】岡本 卓治
(72)【発明者】
【氏名】會津 誠世
(72)【発明者】
【氏名】三上 英子
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-108658(JP,A)
【文献】登録実用新案第3144575(JP,U)
【文献】特開2017-013210(JP,A)
【文献】特開2017-219775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00-21/00
G02B 21/06-21/36
G12B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置に取り付け可能な取付面を有するベースプレートと、第一の開口部を有し前記ベースプレートに対して相対的に移動可能な第一の可動プレートと、を有するステージ装置であって、
前記ベースプレートは、前記第一の可動プレートの第一方向における移動を案内する第一の案内部を有し、
前記第一の可動プレートは、前記第一の案内部との組合せにより直動案内機構を構成し、前記第一の可動プレートの第一方向における移動を案内する第二の案内部を有し、
前記第一の案内部と前記第二の案内部とが、前記取付面側に配置されており、前記ベースプレートが、前記第一方向、及び前記第一方向と交差する第二方向、及び前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向において、前記第一の可動プレートの前記第一の開口部内に配置されていることを特徴とするステージ装置。
【請求項2】
前記第一の可動プレートに対して相対的に移動可能な第二の可動プレートを更に有し、
前記第一の可動プレートは、前記第一方向に交差する前記第二の可動プレートの第二方向における移動を案内する第三の案内部を更に有し、
前記第二の可動プレートは、前記第三の案内部との組合せにより直動案内機構を構成し、前記第二の可動プレートの第二方向における移動を案内する第四の案内部を更に有することを特徴とする請求項1に記載のステージ装置。
【請求項3】
前記第二の可動プレートは第二の開口部を有し、
前記第一の可動プレートが、前記第一方向、及び前記第二方向、及び前記第三方向において、前記第二の可動プレートの前記第二の開口部内に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のステージ装置。
【請求項4】
前記第三の案内部と前記第四の案内部とは、前記取付面側に配置されていることを特徴とする請求項2または3に記載のステージ装置。
【請求項5】
外部装置に取り付け可能な取付面を有するベースプレートと、第一の開口部を有し前記ベースプレートに対して相対的に移動可能な第一の可動プレートと、第二の開口部を有し前記第一の可動プレートに対して相対的に移動可能な第二の可動プレートと、を有するステージ装置であって、
前記ベースプレートは、前記第一の可動プレートの第一方向における移動を案内する第一の案内部を有し、
前記第一の可動プレートは、
前記第一の案内部との組合せにより直動案内機構を構成し、前記第一の可動プレートの第一方向における移動を案内する第二の案内部と、
前記第一方向に交差する前記第二の可動プレートの第二方向における移動を案内する第三の案内部と、を有し、
前記第二の可動プレートは、前記第三の案内部との組合せにより直動案内機構を構成し、前記第二の可動プレートの第二方向における移動を案内する第四の案内部を有し、
前記第一の案内部と前記第二の案内部、並びに、前記第三の案内部と前記第四の案内部が、前記取付面側に配置されており、
前記ベースプレートが、前記第一方向、及び、前記第一方向と交差する第二方向、及び、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向において、前記第一の可動プレートの前記第一の開口部内に配置され、前記第一の可動プレートが、前記第一方向、及び前記第二方向、及び前記第三方向において、前記第二の可動プレートの前記第二の開口部内に配置されていることを特徴とするステージ装置。
【請求項6】
外部装置に取り付け可能な取付面を有するベースプレートと、第一の開口部を有し前記ベースプレートに対して相対的に移動可能な第一の可動プレートと、を有するステージ装置であって、
前記ベースプレートは、前記取付面と隣接し互いに対向する第一の側面にそれぞれ設けられ、前記第一の可動プレートの第一方向における移動を案内する第一の案内部を有し、
前記第一の可動プレートは、前記第一の側面に対向する第二の側面にそれぞれ設けられ、前記第一の案内部との組合せにより直動案内機構を構成し、前記第一の可動プレートの第一方向における移動を案内する第二の案内部を有し、
前記第一の側面と前記第二の側面には、それぞれに形成された溝内の転動体を介して第一方向における移動を案内する前記第一の案内部と前記第二の案内部とが形成されており、
前記ベースプレートが、前記第一方向、及び、前記第一方向と交差する第二方向、及び、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向において、前記第一の開口部内に配置されていることを特徴とするステージ装置。
【請求項7】
前記第一の可動プレートに対して相対的に移動可能な第二の可動プレートを更に有し、
前記第一の可動プレートは、前記第一方向に交差する前記第二の可動プレートの第二方向における移動を案内する第三の案内部を更に有し、
前記第二の可動プレートは、前記第三の案内部との組合せにより直動案内機構を構成し、前記第二の可動プレートの第二方向における移動を案内する第四の案内部を更に有することを特徴とする請求項6に記載のステージ装置。
【請求項8】
前記第二の可動プレートは第二の開口部を有し、
前記第一の可動プレートが、前記第一方向、及び前記第二方向、及び前記第三方向において、前記第二の可動プレートの前記第二の開口部内に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のステージ装置。
【請求項9】
前記第三の案内部は、前記第一の可動プレートの前記第二の側面を有する部材に対して交差する部材の外周側に位置する第三の側面にそれぞれ配置されており、
前記第四の案内部は、前記第三の案内部に対向するように配置されていることを特徴とする請求項7または8に記載のステージ装置。
【請求項10】
前記ベースプレートと前記第一の可動プレートとの間には、前記第一の可動プレートを前記第一方向に駆動するための第一駆動手段が配置されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のステージ装置。
【請求項11】
前記第一の可動プレートと前記第二の可動プレートとの間には、前記第二の可動プレートを前記第二方向に駆動するための第二駆動手段が配置されていることを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載のステージ装置。
【請求項12】
前記第一の可動プレートと前記第二の可動プレートとの間には、前記第二の可動プレートを前記第二方向に駆動するための第二駆動手段を更に有することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載のステージ装置。
【請求項13】
前記第二の可動プレートに配置され、前記第一方向及び前記第二方向に周期的に形成されたパターンを有するスケールを更に有し、
前記第二の可動プレートは、更に、前記ベースプレートに対して相対的に移動可能であり、
前記ベースプレートは、
前記ベースプレートに対する前記第二の可動プレートの前記第一方向に対する位置を前記パターンの検知に基づいて検出する第一検出手段と、
前記ベースプレートに対する前記第二の可動プレートの前記第二方向に対する位置を前記パターンの検知に基づいて検出する第二検出手段と、
を有することを特徴とする請求項2または7に記載のステージ装置。
【請求項14】
光学系と、取付面を介してステージ装置を保持する保持部と、を備えた顕微鏡システムであって、
前記光学系と、前記保持部との間に前記ステージ装置が保持され、
前記ステージ装置は、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のステージ装置であることを特徴とする顕微鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステージ装置及び顕微鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プレートと、プレートを一定方向に移動させるための駆動ユニットとを有するステージ装置は、顕微鏡、検査装置、計測装置など各種装置に載置されている。特許文献1には、固定ベースプレート11の上に中テーブル12を組み付け、更に中テーブル12の上に設置テーブル13を組み付けた構造を有するステージ装置が開示されている。
【0003】
特許文献2には、固定枠1の枠内のX軸用直動案内装置4を介して配置された移動枠2と、移動枠2の枠内のY軸用直動案内装置7を介して配置されたステージ3とを備え、移動枠2を移動させる駆動装置5を固定枠1の上に配置し、ステージ3を移動させるための駆動装置8を移動枠2の上に配置したステージ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-247245号公報
【文献】特開2017-13210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1により開示されるステージ装置では、一方の軸方向のテーブルの上部に他方の軸方向のテーブルを積層した構造であるため、ステージ装置を固定する固定ベースプレートから設置テーブル13まで、各軸方向のテーブル及び移動機構の高さが必要とされる。また、特許文献2により開示されるステージ装置では、ステージを移動させるための駆動装置をステージ上に配置して構成されるため、ボールネジや軸受ブロックなどを有する駆動装置をステージ上に配置するため、プレート及び駆動装置の高さが必要とされる。
【0006】
本発明は、高さを極力押えた構成のステージ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によるステージ装置は以下の構成を備える。すなわち、ステージ装置は、外部装置に取り付け可能な取付面を有するベースプレートと、第一の開口部を有し前記ベースプレートに対して相対的に移動可能な第一の可動プレートと、を有するステージ装置であって、
前記ベースプレートは、
前記第一の可動プレートの第一方向における移動を案内する第一の案内部を有し、
前記第一の可動プレートは、
前記第一の案内部との組合せにより直動案内機構を構成し、前記第一の可動プレートの第一方向における移動を案内する第二の案内部を有し、
前記第一の案内部と前記第二の案内部とが、前記取付面側に配置されており、前記ベースプレートが、前記第一方向、及び前記第一方向と交差する第二方向、及び前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向において、前記第一の可動プレートの前記第一の開口部内に配置されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の他の態様によるステージ装置は以下の構成を備える。すなわち、外部装置に取り付け可能な取付面を有するベースプレートと、第一の開口部を有し前記ベースプレートに対して相対的に移動可能な第一の可動プレートと、第二の開口部を有し前記第一の可動プレートに対して相対的に移動可能な第二の可動プレートと、を有するステージ装置であって、
前記ベースプレートは、
前記第一の可動プレートの第一方向における移動を案内する第一の案内部を有し、
前記第一の可動プレートは、
前記第一の案内との組合せにより直動案内機構を構成し、前記第一の可動プレートの第一方向における移動を案内する第二の案内部と、
前記第一方向に交差する前記第二の可動プレートの第二方向における移動を案内する第三の案内部と、を有し、
前記第二の可動プレートは、
前記第三の案内部との組合せにより直動案内機構を構成し、前記第二の可動プレートの第二方向における移動を案内する第四の案内部を有し、
前記第一の案内部と前記第二の案内部、並びに、前記第三の案内部と前記第四の案内部が、前記取付面側に配置されており、
前記ベースプレートが、前記第一方向、及び、前記第一方向と交差する第二方向、及び、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向において、前記第一の可動プレートの前記第一の開口部内に配置され、前記第一の可動プレートが、前記第一方向、及び前記第二方向、及び前記第三方向において、前記第二の可動プレートの前記第二の開口部内に配置されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の他の態様によるステージ装置は以下の構成を備える。すなわち、外部装置に取り付け可能な取付面を有するベースプレートと、第一の開口部を有し前記ベースプレートに対して相対的に移動可能な第一の可動プレートと、を有するステージ装置であって、
前記ベースプレートは、
前記取付面と隣接し互いに対向する第一の側面にそれぞれ設けられ、前記第一の可動プレートの第一方向における移動を案内する第一の案内部を有し、
前記第一の可動プレートは、
前記第一の側面に対向する第二の側面にそれぞれ設けられ、前記第一の案内部との組合せにより直動案内機構を構成し、前記第一の可動プレートの第一方向における移動を案内する第二の案内部を有し、
前記第一の側面と前記第二の側面には、それぞれに形成された溝内の転動体を介して第一方向における移動を案内する前記第一の案内部と前記第二の案内部とが形成されており、
前記ベースプレートが、前記第一方向、及び、前記第一方向と交差する第二方向、及び、前記第一方向及び前記第二方向と交差する第三方向において、前記第一の開口部内に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高さを極力押えた構成のステージ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態におけるステージ装置の分解斜視図。
図2】第2実施形態におけるステージ装置の分解斜視図。
図3】第3実施形態におけるステージ装置の分解斜視図。
図4】第3実施形態におけるステージ装置の分解斜視図。
図5】第4実施形態におけるステージ装置の分解斜視図。
図6】第4実施形態におけるステージ装置の分解斜視図。
図7】第5実施形態におけるステージ装置の分解斜視図。
図8】第5実施形態におけるステージ装置の分解斜視図。
図9】第6実施形態におけるステージ装置の分解斜視図。
図10】第7実施形態におけるステージ装置の分解斜視図。
図11A】第7実施形態におけるステージ装置の分解斜視図。
図11B】第7実施形態におけるステージ装置の分解斜視図。
図12】第8実施形態のステージ装置を装置に設置した状態を示す図。
図13】従来のクロスローラガイドを有するステージを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用できるステージ装置及び顕微鏡システムの実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
(第1実施形態)
第1実施形態で説明するステージ装置は、外部装置に取り付け可能な取付面を有するベースプレートと、第一の開口部を有しベースプレートに対して相対的に移動可能な第一の可動プレートと、を有するステージ装置であり、直動案内機構が、取付面側に配置され、ベースプレートが、第一の可動プレートの第一の開口部内に配置されている構成について説明する。
【0014】
図1は第1実施形態におけるステージ装置の分解斜視図であり、図1(a)はステージ装置210の直動案内機構を示す分解斜視図である。また、図1(b)はステージ装置210を下方から見た斜視図である。図1(c)は図1(b)のA-Aに沿って切断したステージ装置210の断面図である。
【0015】
ステージ装置210は、ベースプレートユニット208と、可動プレートユニット209とを有する。
【0016】
ベースプレートユニット208は、ステージ装置210を、顕微鏡、検査装置、計測装置など各種装置(外部装置)に取り付け可能な取付面211aを有するベースプレート211を含み、ベースプレート211には第一の直動案内部(固定レール216、217)が配置されている。
【0017】
また、可動プレートユニット209は、開口部222(第一の開口部)を有する第一の可動プレート223を含み、第一の可動プレート223には第二の直動案内部(固定レール224と調整レール225)が配置されている。
【0018】
ここで、第一の直動案内部(固定レール216、217)は、第一の可動プレート223の第一方向における移動を案内し、第二の直動案内部(固定レール224と調整レール225)は、第一の直動案内部との組合せにより直動案内機構LM11、LM12を構成し、第一の可動プレート223の第一方向における移動を案内する。
【0019】
取付面211aには顕微鏡、検査装置、計測装置など各種装置(外部装置)などにステージ装置210を取り付けるための取付部212、213、214、215が形成されている。ステージ装置210の取り付け精度を確保するため、各取付部212、213、214、215における平面度及び平行度は、より高い精度で形成されている。
【0020】
また、取付面211aには、第一の直動案内部である固定レール216、217を取り付けるための直動案内設置部218、219が形成されており、直動案内設置部218、219に、固定レール216、217が配置されている。直動案内設置部218、219は、相互の平面度と平行度が確保されていないと、第一の直動案内部を構成する固定レール216、217が曲がって取り付けられ、位置決め性能に影響するため、マイクロメートルレベルの高い精度で形成されている。取付部212、213、214、215と直動案内設置部218、219は略同一平面であり、同時または関連して平面加工が可能である。
【0021】
固定レール216、217は、高精度に加工された治具(不図示)を用いてマイクロメートルレベルの平行度を出した状態で、固定部材である固定ねじ(不図示)を用いて、ベースプレート211に形成された丸穴220と長丸穴221で治具との位置出しをして、ベースプレート211に固定される。
【0022】
ベースプレート211に配置される第一の直動案内部(固定レール216、217)では、高精度な位置決めが可能な固定レール216、217を用いた配置構成であるため、取付部212、213、214、215やベースプレート211に対する第一の直動案内部の位置と平行度の取り付け精度を確保することができる。
【0023】
第一の可動プレート223に配置される第二の直動案内部(固定レール224、調整レール225)では、ベースプレート211に対する相対的な位置を調整がしやすいように、固定レール224と調整レール225とを併用した構成になっている。調整レールは、位置の調整が可能なレールであり、例えば、一方の固定レール224で配置位置が固定されると、他方側の調整レール225で取付位置の誤差を吸収するような微調整を行うことができる。
【0024】
第一の可動プレート223の取付面側に配置されている第二の直動案内部(固定レール224、調整レール225)は、上述した第一の直動案内部(固定レール216、217)と協働し、第一の可動プレート223の第一の方向の移動を案内する。すなわち、第一の直動案内部と第二の直動案内部とが、ベースプレート211の取付面211a側に配置されており、第二の直動案内部は、第一の直動案内部との組合せにより直動案内機構LM11、LM12を構成し、第一の可動プレート223の第一方向における移動を案内する。
【0025】
第一の可動プレート223には、第二の直動案内部である固定レール224、調整レール225を取り付けるための直動案内設置部226、227が形成されており、直動案内設置部226、227に、固定レール224、調整レール225が配置されている。直動案内設置部226、227は、相互の平面度と平行度が確保されていないと、第二の直動案内部を構成する固定レール224、調整レール225が曲がって取り付けられ、位置決め性能に影響するため、マイクロメートルレベルの高い精度で形成されている。
【0026】
固定レール224は、高精度に加工された治具(不図示)にてマイクロメートルレベルの真直度を出した状態で、固定部材である固定ねじ(不図示)を用いて、第一の可動プレート223に形成された、丸穴228と長丸穴229で治具との位置出しをして、第一の可動プレート223に固定される。また、調整レール225は、固定ねじ(不図示)を用いて、第一の可動プレート223に仮固定しておく。
【0027】
図1(b)はベースプレート211の取付面211aから見た位置決めステージ装置210の斜視図である。第一の直動案内部(固定レール216、217)と、第二の直動案内部(固定レール224、調整レール225)とが、取付面211a側に配置されており、ベースプレート211が、第一の可動プレート223の開口部222(第一の開口部)内に配置されている。
【0028】
ベースプレートユニット208と可動プレートユニット209とを組立てる際には、固定レール216と固定レール224との間、固定レール217と調整レール225との間に、不図示の転動体(例えば、ボール、ローラ、円柱形状のコロなど)を挿入する。調整レール225は仮固定の状態で転動体の挿入を妨げない。また転動体の挿入は、転動体に予圧が掛からない状態で、転動体を各レールの所定位置まで挿入する。転動体を各レールの所定位置まで挿入したら、治具(不図示)にて転動体に予圧を与えるように、固定ねじを締めしていく。作業方法としては、転動体が存在する位置に所定の予圧を与えて、固定ねじ(不図示)で第一の可動プレート223に固定する。可動プレートユニット209を移動させて転動体の位置を変え、転動体が存在する位置の固定ねじ(不図示)を所定のねじ締めトルクで固定していきながら、直動案内全部の固定を行う。
【0029】
第一の直動案内部(固定レール216、217)と、第二の直動案内部(固定レール224、調整レール225)との間、すなわち、固定レール216と固定レール224との間、固定レール217と調整レール225との間に転動体を挿入した状態で固定することにより、第一の可動プレート223は、ベースプレート211に対して、第一方向に移動可能となる。ベースプレート211に対する第一の可動プレート223の移動方向を図1(b)の矢印で示す。開口部222(第一の開口部)の移動方向の開口寸法aと、ベースプレート211の寸法bとの差分が、ステージ装置210の移動可能距離となる。
【0030】
ベースプレート211が、第一の可動プレート223の開口部222(第一の開口部)内に配置されている入れ子状構造とすることにより、ベースプレート211の底面(外部装置に取り付け可能な取付面211a)から第一の可動プレート223の上面までの高さを極力押えた位置決めステージ装置210を提供することができる。
【0031】
(第2実施形態)
第2実施形態で説明するステージ装置は、外部装置に取り付け可能な取付面を有するベースプレートと、第一の開口部を有しベースプレートに対して相対的に移動可能な第一の可動プレートと、を有するステージ装置であり、直動案内機構が、ベースプレートと第一の可動プレートとの間の側面部に形成され、ベースプレートが、第一の可動プレートの第一の開口部内に配置されている構成について説明する。
【0032】
図2は第2実施形態におけるステージ装置の分解斜視図であり、図2(a)はステージ装置140の直動案内機構を示す分解斜視図である。また、図2(b)ステージ装置140を下方から見た斜視図である。図2(c)は図2(b)のB-Bに沿って切断した断面図である。
【0033】
ステージ装置140は、ベースプレート141と、第一の可動プレート142とを有する。
【0034】
ベースプレート141は、外部装置に取り付け可能な取付面141aを有し、取付面141aと隣接し互いに対向する第一の側面143、144にそれぞれ設けられ、第一の可動プレート142の第一方向における移動を案内する第一の直動案内部(固定レール145、146)を有する。
【0035】
また、第一の可動プレート142は、第一の側面143、144に対向する第二の側面154、155にそれぞれ設けられ、第一の直動案内部(固定レール145、146)との組合せにより直動案内機構LM21、LM22を構成し、第一の可動プレート142の第一方向における移動を案内する第二の直動案内部(固定レール156、調整レール157)を有する。
【0036】
ベースプレート141の第一の側面143、144と、第一の側面143、144に対向する、第一の可動プレート142の第二の側面154、155には、それぞれ溝が形成され、形成された溝内の転動体を介して第一の可動プレート142の第一方向における移動を案内する第一の直動案内部(固定レール145、146)と第二の直動案内部(固定レール156、調整レール157)とが形成される。
【0037】
図2(b)はベースプレート141の取付面141aから見たステージ装置140の斜視図である。ベースプレート141が、第一の可動プレート12の開口部166内(第一の開口部内)に配置されている。
【0038】
ベースプレート141の取付面141aには、顕微鏡、検査装置、計測装置など各種装置(外部装置)などにステージ装置140を取り付けるための装置取付部162、163、164、165が形成されている。また、ベースプレート141の側面(第一の側面)143、144の2面には高精度なV字状の断面形状を有する溝(V溝)が形成され、第一の側面に形成された溝が第一の直動案内部の固定レール145、146として機能する。
【0039】
第一の可動プレート142は、複数のプレート147、148、149、150を有しており、複数のプレートを複数のねじ151により締結することにより構成される。必要に応じてプレート間における隙間調整のため調整部材であるシム152、153を用いることが可能である。
【0040】
第一の可動プレート142の組み立て方法は、まず、プレート147に対して、プレート149、150を固定しておく。ベースプレート141の第一の側面143に設けられた固定レール145と、プレート147の第二の側面154に設けられた固定レール156との間、ベースプレート141の第一の側面144に設けられた固定レール146とプレート148の第二の側面155に設けられた調整レール157との間に転動体(例えば、ボール、ローラ、円柱状のコロなど)を所定の位置に挿入した状態で、プレート148を複数のねじ151で仮固定する。
【0041】
プレート149の長さcとプレート150の長さdで、ローラに適宜予圧を与えるが、必要に応じてシム152、153を挟み、複数のねじ151を所定のねじ締めトルクで本締めして固定する。プレート147、148は第二の側面154、155にマイクロメートルレベルの高い精度で溝加工をするのに適した形状をしている。またプレート149、150と当接する側面(第二の側面を含まない部分)158、159、160、161においてもマイクロメートルレベルの高い精度で平面加工をするのに適した形状をしている。
【0042】
ここで、第一の可動プレート142を構成するプレート147、148の側面(第二の側面)154、155の2面には高精度なV字状の断面形状を有する溝(V溝)が形成され、第二の側面に形成された溝が第二の直動案内部の固定レール156、調整レール157として機能する。
【0043】
プレート147の側面158、159と、プレート148の側面160、161には溝でなく、高精度な平面が形成されている。プレート149、150の長さc、dも高精度な寸法で形成され、直動案内機構LM21、LM22の転動体(不図示)をレールの所定位置にて挟んだ状態で、ねじ151で固定することにより、直動案内機構LM21、LM22の転動体に対して所望の予圧を作用させることができる。
【0044】
尚、本実施形態ではV溝を形成しているが、溝の断面形状は、例えば、U字など様々な形態の溝であってもよい。また、転動体にはボール、ローラ、円柱形状のコロなどを用いることが可能である。例えば、円柱形状のコロを使用する場合、ボールに比較して剛性に優れ、予圧に強い直動案内機構LM21、LM22を構成することができる。
【0045】
第一の直動案内部(固定レール145、146)と、第二の直動案内部(固定レール156、調整レール157)との間、すなわち、固定レール145と固定レール156との間、固定レール146と調整レール157との間に転動体を挿入した状態で固定することにより、第一の可動プレート142は、ベースプレート141に対して、第一方向に移動可能となる。ベースプレート141に対する第一の可動プレート142の移動方向を図2(b)の矢印で示す。第一の可動プレート142の開口部166内にベースプレート141が入る、入れ子構造で、開口部166(第一の開口部)の移動方向の開口寸法eとベースプレート141の寸法fとの差分が、ステージ装置140の移動可能距離となる。
【0046】
ベースプレート141が、第一の可動プレート142の開口部166(第一の開口部)内に配置されている入れ子状構造とすることにより、ベースプレート141の底面(外部装置に取り付け可能な取付面211a)から第一の可動プレート142の上面までの高さを極力押えたステージ装置140を提供することができる。
【0047】
(第3実施形態)
第3実施形態で説明するステージ装置は、外部装置に取り付け可能な取付面を有するベースプレートと、第一の開口部を有しベースプレートに対して相対的に移動可能な第一の可動プレートと、第二の開口部を有し第一の可動プレートに対して相対的に移動可能な第二の可動プレートと、を有するステージ装置である。ベースプレートと第一の可動プレートとの間の直動案内機構、および、第一の可動プレートと第二の可動プレートとの間の直動案内機構が、取付面側に配置され、ベースプレートが、第一の可動プレートの第一の開口部内に配置され、第一の可動プレートが、第二の可動プレートの第二の開口部内に配置されている構成について説明する。
【0048】
図3は第3実施形態におけるステージ装置26の分解斜視図である。ステージ装置26は、ベースプレートユニット27、中間プレートユニット(第一の可動プレートユニット)28、上面プレートユニット(第二の可動プレートユニット)29を有する。
【0049】
ベースプレートユニット27は、ベースプレート1を含み、ベースプレート1には、第一の直動案内部(Y軸固定レール6、7)が配置されている。第一の直動案内部(Y軸固定レール6、7)は第一の可動プレート11の第一方向(Y方向)における移動を案内する。
【0050】
中間プレートユニット28は、第一の開口部10を有する第一の可動プレート11を含み、第一の可動プレート11には、第二の直動案内部(Y軸固定レール12、Y軸調整レール13)と、第三の直動案内部(X軸固定レール14、15)が配置されている。ここで、第二の直動案内部(Y軸固定レール12、Y軸調整レール13)は、第一の直動案内部との組合せにより直動案内機構LM31、LM32を構成し、第一の可動プレート11の第一方向における移動を案内する。また、第三の直動案内部(X軸固定レール14、15)は、第一方向に交差する第二の可動プレート20の第二方向における移動を案内する。
【0051】
上面プレートユニット29は、第二の開口部30を有する第二の可動プレート20を含み、第二の可動プレート20には、第四の直動案内部(X軸固定レール21、X軸調整レール22)が配置されている。ここで、第四の直動案内部(X軸固定レール21、X軸調整レール22)は、第三の案内部との組合せにより直動案内機構LM33、LM34を構成し、第二の可動プレート20の第二方向における移動を案内する。
【0052】
図3に示すように、ベースプレート1は、ステージ装置26を、顕微鏡、検査装置、計測装置など各種装置(外部装置)に取り付け可能な取付面1aを有し、取付面1aには外部装置などにステージ装置26を取り付けるための取付部2、3、4、5が形成されている。取付部2、3、4、5は、相互の平面度と平行度が確保されていないと装置への取り付けに支障が出るので、より高い精度で形成されている。
【0053】
取付面1aには第一の直動案内部であるY軸固定レール6、7を取り付けるための直動案内設置部8、9が形成されている。直動案内設置部8、9は、相互の平面度と平行度が確保されていないと、第一の直動案内部を構成するY軸固定レール6、7が曲がって取り付けられ、位置決め性能に影響するため、マイクロメートルレベルの高い精度で形成されている。取付部2、3、4、5と直動案内設置部8、9は略同一平面であり、同時または関連して平面加工が可能である。
【0054】
また、第一の可動プレート11には、第二の直動案内部(Y軸固定レール12とY軸調整レール13)、および第三の直動案内部(X軸固定レール14、15)を取り付けるための直動案内設置部16、17、18、19が取付面側に形成されている。互いに組になる直動案内設置部16、17の2つの設置部、および直動案内設置部18、19の2つの設置部は、相互の平面度と平行度が確保されていないと、第二の直動案内部(Y軸固定レール12、Y軸調整レール13)、および第三の直動案内部(X軸固定レール14、15)が曲がって取り付けられ、位置決め性能に影響するため、マイクロメートルレベルの高い精度で形成されている。直動案内設置部16、17、18、19は同時または関連して平面加工が可能なように略同一平面に形成されている。
【0055】
ステージ装置26が取り付けられる装置が顕微鏡の場合、第一の方向を、図3に示すY軸方向に設定すると、Y軸方向から延設される顕微鏡の保持部(例えば図12(c)の440)との干渉を回避しつつ、ステージ装置26の高さを極力押さえることが可能になる。顕微鏡の保持部を跨ぐ構成で第一の直動案内部(Y軸固定レール6、7)を配置することが可能になり、その分、ステージ装置26の高さを薄くできる構造上の利点がある。
【0056】
第二の可動プレート(上面テーブルプレート)20には、第四の直動案内部(X軸固定レール21、X軸調整レール22)を取り付けるための直動案内設置部23、24が取付面側に形成されている。直動案内設置部23、24は同時または関連して平面加工が可能なように略同一平面に形成されている。
【0057】
ベースプレート1と第一の可動プレート11との間の直動案内機構LM31、LM32および、第一の可動プレート11と第二の可動プレート20との間の直動案内機構LM33、LM34が、取付面側に配置される。すなわち、第一の直動案内部(Y軸固定レール6、7)と第二の直動案内部(Y軸固定レール12、Y軸調整レール13)、並びに、第三の直動案内部(X軸固定レール14、15)と第四の直動案内部(X軸固定レール21、X軸調整レール22)が、ベースプレート1の取付面1a側に配置されている。
【0058】
ここで、図3に示すように、ベースプレート1が、第一の可動プレート11の第一の開口部10内に配置され、第一の可動プレート11が、第二の可動プレート20の第二の開口部30内に配置されている。
【0059】
第一の直動案内部(Y軸固定レール6、7)と、第二の直動案内部(Y軸固定レール12、Y軸調整レール13)との間、すなわち、Y軸固定レール6とY軸固定レール12との間、Y軸固定レール7とY軸調整レール13との間に転動体を挿入した状態で固定することにより、第一の可動プレート11は、ベースプレート1に対して、第一方向に移動可能となる。
【0060】
同様に、第三の直動案内部(X軸固定レール14、15)と、第四の直動案内部(X軸固定レール21、X軸調整レール22)との間、すなわち、X軸固定レール14とX軸固定レール21との間、X軸固定レール15とX軸調整レール22との間に転動体を挿入した状態で固定することにより、第二の可動プレート20は、第一の可動プレート11に対して、第二方向に移動可能となる。
【0061】
第二の直動案内部(Y軸固定レール12、Y軸調整レール13)と、第一の直動案内部(Y軸固定レール6、7)との組合せにより構成される直動案内機構LM31、LM32、また、第四の直動案内部(X軸固定レール21、X軸調整レール22)と、第三の直動案内部(X軸固定レール14、15)との組合せにより構成される直動案内機構LM33、LM34としては、例えば、非循環のボールを用いたクロスローラガイドやボールガイド、ボールが循環するセパレート形直動ガイドがステージ薄型化のために適用可能である。
【0062】
図3に示すように、第一の開口部10のY方向の開口寸法とベースプレート1のY方向寸法の差分が、第一方向(Y方向)の移動可能距離となり、開口部30のX方向の開口寸法と第一の可動プレート11のY方向寸法の差分が、第二方向(X方向)の移動可能距離となる。前述した直動案内機構の構成、各部材の加工や、平面度、平行度の精度については各実施形態についても同様のことが言える。
【0063】
次に、ステージ装置26の組立て方法について説明する。まず、ベースプレートユニット27の第一の直動案内部であるY軸固定レール6、7は、ベースプレート1に固定されている。Y軸固定レール6、7は治具にてマイクロメートルレベルの平行度を出した状態で固定部材である固定ねじ(不図示)でベースプレート1に固定される。
【0064】
中間プレートユニット28の第三の直動案内部(X軸固定レール14、15)は、相互に治具(不図示)にてマイクロメートルレベルの平行度を出した状態で、固定ねじ(不図示)にて第一の可動プレート11に固定される。
【0065】
次に、第二の直動案内部の一方のY軸固定レール12は、第三の直動案内部(X軸固定レール14、15)のどちらか一方のレールを基準とし、治具(不図示)にてマイクロメートルレベルの直角度を出した状態で、固定ねじ(不図示)にて第一の可動プレート11に固定される。
【0066】
第二の直動案内部のもう一方のY軸調整レール13は、まず、仮固定の状態で第一の可動プレート11に固定しておく。
【0067】
ベースプレート1のY軸固定レール6と第一の可動プレート11のY軸固定レール12との間、ベースプレート1のY軸固定レール7と第一の可動プレート11のY軸調整レール13との間に、不図示の転動体を挿入した後、治具にて転動体に予圧を与えた状態で、Y軸調整レール13を固定ねじ(不図示)で固定する。
【0068】
上面プレートユニット29の第四の直動案内部の一方のX軸固定レール21はマイクロメートルレベルの真直度で、第二の可動プレート20に固定される。
【0069】
第四の直動案内部のもう一方のX軸調整レール22は、まず、仮固定の状態で第二の可動プレート20に固定しておく。
【0070】
そして、第一の可動プレート11のX軸固定レール14と第二の可動プレート20のX軸固定レール21との間、第一の可動プレート11のX軸固定レール15と第二の可動プレート20のX軸調整レール22との間に、不図示の転動体を挿入した後、治具にて転動体に予圧を与えた状態でX軸調整レール22を固定ねじ(不図示)で固定する。
【0071】
図3のステージ装置26は、マイクロメートルレベルの平行度で配置する2本のY軸固定レール7、X軸固定レール15の外側に、Y軸調整レール13、X軸調整レール22が配置されるので、ステージ装置26の外部から、Y軸調整レール13、X軸調整レール22に対する予圧調整をすることが可能になる。
【0072】
ステージ装置26の直動案内設置部8、9、16、17、18、19、23、24には、プレートに直動案内部を当接させて位置決めする部分が無く、平面加工に適するプレート形状にしている。直動案内部を当接させて位置決めする部分が無い代わりに、治具にて直動案内部を組み立てることが可能である。
【0073】
従来の調整レールの設置には図13(b)に示す調整ねじ穴76を有する背板77をステージ64に形成する必要があった。本実施形態では、図3に示す第一の可動プレート11および第二の可動プレート20には背板が無い。調整ねじ穴を有する背板が無い構造により、第一の可動プレート11および第二の可動プレート20の形状が簡素になり加工の簡便化と軽量化、ステージ装置26の小型化を図ることが可能になる。また、図13(a)に示す複数の調整ねじ68を不要とすることで、部品コストの削減を図ることが可能になる。
【0074】
図4は第3実施形態におけるステージ装置26の斜視図であり、図3で説明したベースプレートユニット27(ベースプレート1)、中間プレートユニット28(第一の可動プレート11)、上面プレートユニット29(第二の可動プレート20)を組み立て、駆動部であるモータを配置した構成を示している。
【0075】
ベースプレート1に対し、第一の可動プレート11は第一の方向(Y方向)に相対的に移動可能であり、第二の可動プレート20は、第一の可動プレート11に対し第二の方向(X方向)に移動可能である。また、ベースプレート1を基準とした場合、第二の可動プレートは、ベースプレート1に対して相対的に移動可能である。
【0076】
図4(b)は図4(a)のC-Cに沿って切断した断面図である。ベースプレート1と第一の可動プレート11との間には、第一の可動プレート11を第一の方向(Y方向)に駆動するための第一駆動部(第一駆動モータ201、202)が配置されている。第一駆動モータ201、202として、例えば、リニア型超音波モータを使用することが可能である。ベースプレート1の側面に圧電素子(固定子)を配置し、圧電素子(固定子)に対向するように第一の可動プレート11の側面に摩擦材(可動子)を配置し、圧電素子(固定子)と摩擦材(可動子)との間で生成される第一方向の駆動力に基づいて、第一の可動プレート11を第一方向に駆動することができる。図4(b)では、第一駆動モータ201、202として、2つのリニア型超音波モータを用いた双発型の構成を例示したが、この例に限らず、どちらか一方の単発型でもよい。尚、固定子と可動子の配置の配置位置を入れ替えて、第一の可動プレート11に対してベースプレート1を第一方向に駆動することも可能である。
【0077】
図4(c)は図4(a)のD-Dに沿って切断した断面図である。第一の可動プレート11と第二の可動プレート20との間には、第二の可動プレート20を第二の方向(X方向)に駆動するための第二駆動部(第二駆動モータ203、204)が配置されている。第二駆動モータ203、204は、第一駆動モータ201、202と同様に、リニア型超音波モータを使用することが可能である。
【0078】
第一の可動プレート11の側面に圧電素子(固定子)を配置し、圧電素子(固定子)に対向するように第二の可動プレート20の側面に摩擦材(可動子)を配置し、圧電素子(固定子)と摩擦材(可動子)との間で生成される第二方向の駆動力に基づいて、第二の可動プレート20を第二方向にすることができる。図4(c)では、第二駆動モータ203、204として、2つのリニア型超音波モータを用いた双発型の構成を例示したが、この例に限らず、どちらか一方の単発型でもよい。また、固定子と可動子の配置位置を入れ替えて、第二の可動プレート20に対して第一の可動プレート11を第二方向に駆動することも可能である。
【0079】
本実施形態で説明した第一駆動部(第一駆動モータ201、202)、第二駆動部(第二駆動モータ203、204)の構成例は、先に説明した第1および第2実施形態、後に説明する各実施形態に適用することが可能である。
【0080】
また、第一駆動部(第一駆動モータ201、202)、第二駆動部(第二駆動モータ203、204)の構成として、手動機構を用いたもの、電動機構を用いたもの、手動機構と電動機構を組み合わせることも可能である。手動機構としては、例えば、ワイヤとプーリを用いたものやラックとピニオンを用いたものが挙げられる。電動機構としては、例えば、リニア型超音波モータやコアレスコイルとマグネットによるリニアモータを適用することが可能である。また、回転型モータのうち、コギングの少ないコアレスモータや超音波モータでワイヤ駆動する機構を高精度位置決めとステージの薄型化のために適用することが可能である。手動機構と電動機構を組み合わせたものとしては、上記の手動機構と電動機構を組み合わせ、手動自動モードと自動モードの切換え部(制御部)を有したものである。
【0081】
従来のステージ装置は、取付面から上面テーブルプレートまでの間に、固定ベースプレート、中間プレート、上面テーブルプレート、X軸レール、Y軸レールが配置された積層構造であり、ステージ装置の高さは、これら各部の全ての厚さの和となる。
【0082】
本実施形態では、図4に示すように、ベースプレート1が、第一の可動プレート11の第一の開口部10内に配置されている入れ子状構造とし、第一の可動プレート11が、第二の可動プレート20の開口部30(第二の開口部)内に配置されている入れ子状構造とすることにより、ベースプレート1の底面(外部装置に取り付け可能な取付面1a)から第一の可動プレート11及び第二の可動プレート20の上面までの高さを極力押えたステージ装置26を提供することができる。
【0083】
尚、ステージ装置を構成する各プレートに関して、ベースプレート1、第一の可動プレート11、第二の可動プレート20の材料は、熱膨張の関係から同一材料にするのが好ましい。ステージ装置の薄型化を図るため、ステージ装置の高さ方向の寸法を極力低減する必要がある。また、移動ストロークを確保するため、開口部が大きい部材形状にする必要も生じ得る。ステージ装置を構成する各プレートは撓みやすい部材形状となるが、各プレートの撓みを低減するため、各部材のヤング率(弾性係数)は、より高い材料を使用することが好ましい。
【0084】
ベースプレート1に開口部126を設けたステージ装置26を顕微鏡に用いた場合、取付面側から照明光学系の光路を形成することができる。また薄型のステージ装置であるため、第二の可動プレート20に観察用スライド積載台、クレンメルや各種調整機構を付加しても、対物レンズとの距離を十分確保することが可能である。
【0085】
(第4実施形態)
第4実施形態では、ステージ装置が、位置検出用のスケールと、プレートの位置を検出する検出部とを有する構成について説明する。
【0086】
図5は第4実施形態におけるステージ装置の分解斜視図であり、図6(a)は図5と異なる視点から見たステージ装置の分解斜視図である。また、図6(b)は、図6(a)のステージ装置を組み立てた状態で、E-Eに沿って切断したときの断面図であり、図6(c)は図6(a)のステージ装置を組み立てた状態で、F-Fに沿って切断したときの断面図である。
【0087】
本実施形態のステージ装置130において、第二の可動プレート50には、第一の方向(Y方向)及び第二の方向(X方向)に周期的に形成されたパターンを有するスケール55が配置されている。
【0088】
また、ステージ装置130において、ベースプレート31には、ベースプレート31に対する第二の可動プレート50の第一方向(Y方向)に対する位置をスケール55のパターンの検知に基づいて検出する第一検出部57が配置されている。また、ベースプレート31には、ベースプレート31に対する第二の可動プレート50の第二方向(X方向)に対する位置をスケール55のパターンの検知に基づいて検出する第二検出部56が配置されている。
【0089】
上面プレートユニット133は第二の可動プレート50を含み、第二の可動プレート50には、スケール55と、第四の直動案内部(X軸固定レール51、X軸調整レール52)とが配置されている。スケール55と第四の直動案内部との配置面は、ベースプレート31の取付面31a側に対応するもので、第二の可動プレート50の上面59に対する裏面側に対応するものである。
【0090】
第二の可動プレート50の取付面側には、第四の直動案内部(X軸固定レール51、X軸調整レール52)を取り付けるための直動案内設置部53、54は、同時または関連して平面加工が可能なように略同一平面に形成されている。
【0091】
X軸固定レール51はマイクロメートルレベルの真直度で、第二の可動プレート50に固定されている。X軸調整レール52は、まず仮固定の状態で第二の可動プレート50に固定しておく。そして、第一の可動プレート41のX軸固定レール46と第二の可動プレート50のX軸固定レール51との間、第一の可動プレート41のX軸固定レール47と第二の可動プレート50のX軸調整レール52との間に、不図示の転動体を挿入した後、治具にて転動体に予圧を与えた状態でX軸調整レール52を固定ねじで固定する。ここで、固定ネジは、例えば、後述する第5実施形態の背板263を固定する固定ねじ264と同様のねじを使用することが可能である。
【0092】
本実施形態のステージ装置130においても、ステージ装置26の外部から、X軸調整レール52に対する予圧調整をすることが可能になる。
【0093】
ステージ装置130の直動案内設置部38、39、44、45、48、49、53、54には、プレートに直動案内部を当接させて位置決めする部分が無く、平面加工に適するプレート形状にしている。直動案内部を当接させて位置決めする部分が無い代わりに、治具にて直動案内機構を組み立てる。図5に示すように、第二の可動プレート50には裏面反射型のXYスケールであるスケール55が配置されている。ベースプレート31に配置されている第一検出部57は、ベースプレート31に対する第二の可動プレート50の第一方向(Y方向)に対する位置をスケール55のパターンの検知に基づいて検出する。また、ベースプレート31に配置されている第二検出部56は、ベースプレート31に対する第二の可動プレート50の第二方向(X方向)に対する位置をスケール55のパターンの検知に基づいて検出する。
【0094】
スケール55を裏面反射のXYスケールにすることで、スケール55と、第一検出部57(Y軸)及び第二検出部56(X軸)との間のギャップを詰めることが可能になる。これにより、ベースプレート31の取付面31aから、第二の可動プレート50の上面59までの高さを薄くすることが可能となる。第一検出部57(Y軸)及び第二検出部56(X軸)への配線のためのフレキシブル基板58が設置されている。このフレキシブル基板58に代わりリード線などによる配線を用いることも可能である。
【0095】
図5及び図6に示すステージ装置130では、ベースプレート31が、第一の可動プレート41の開口部40内に配置された構造(入れ子構造)であるが、第一の可動プレート41と第二の可動プレート50とは入れ子構造になっていない。このため、第3実施形態のステージ装置26の構成に比べてステージ装置の高さが高くなるが、開口部40や第一の可動プレート41のX方向寸法に関係なくX方向の移動可能距離を大きく取れるのが構造上の特徴である。
【0096】
顕微鏡用のステージ装置に要求される移動可能距離は、スライドガラスの形状により、Y方向(第一の方向)の移動可能距離が短く、X方向(第二の方向)の移動可能距離が長い。そのため移動可能距離が小さいY軸(第一の)方向は入れ子構造にして薄型化を図り、X軸(第二の)方向は移動可能距離が大きく取れるように、入れ子構造としないステージ装置130の構造を顕微鏡システムに適用することが可能である。
【0097】
また、顕微鏡システムにステージ装置130を適用する場合、ステージ装置130の第二の可動プレート50のX軸固定レール51を顕微鏡鏡基側にして、X軸調整レール52を操作側手前に配置することにより、顕微鏡への取り付けと、直動案内部の予圧調整を作業上容易に行うことが可能になる。
【0098】
ステージ装置130では、第一の可動プレート41の開口部40の大きさは、ベースプレート31が全部入る大きさでなくても、第一検出部57(Y軸)及び第二検出部56(X軸)とスケール55との間に必要な大きさの開口部を設けて、ベースプレートユニット131と対面する部分を薄くして逃げ、薄型化を図るステージ構造でもよい。図6に示すように、ステージ装置130の第二の可動プレート50には第一の可動プレート41が入る開口部は形成されていないが、第一の可動プレート41と対向する第二の可動プレート50の面を薄くして逃げ、薄型化を図るステージ構造でもよい。
【0099】
図5及び図6に示すステージ装置130の構成例では、第二の可動プレート50は開口部を有さず、スケール55を有している例を説明しているが、この例に限定されない。例えば、図3で示した第二の可動プレート20の開口部30(第二の開口部)の近傍に、第一の方向(Y方向)及び第二の方向(X方向)に周期的に形成されたパターンを有するスケールを配置し、このスケールのパターンをベースプレート1に配置された、第一の方向(Y方向)の検出部及び第二の方向(X方向)の検出部で検出するようにしてもよい。この場合は、開口部の配置位置や配置形状に対応して、第一検出部57(Y軸)及び第二検出部56(X軸)の配置やフレキシブル基板58の配置を行えばよい。本実施形態で説明したスケール55や第一検出部57(Y軸)及び第二検出部56(X軸)の構成は、他の実施形態においても適用することは可能である。
【0100】
(第5実施形態)
第5実施形態では、第4実施形態で説明したステージ装置における直動案内機構の組立て手順とは異なるステージ装置の構成について説明する。図7及び図8は、第5実施形態におけるステージ装置の構成を説明する斜視図である。
【0101】
図7(a)は第5実施形態におけるステージ装置230の分解斜視図である。ステージ装置230はベースプレートユニット238、中間プレートユニット249、上面プレートユニット259を有する。基本的なステージ装置の構成は第4実施形態で説明した構成と同様であるが、直動案内機構の組立て用として着脱可能な背板263が配置可能である点で相違する。
【0102】
図7(b)~(d)は、第5実施形態におけるステージ装置230の直動案内機構の組立て手順を説明する図である。図7(c)および図7(d)において背板263、固定ねじ264、調整ねじ265について説明する。
【0103】
図7(b)は第5実施形態におけるステージ装置230のベースプレートユニット238の斜視図である。ベースプレート231の取付面231aには、顕微鏡、検査装置、計測装置など各種装置(外部装置)などにステージ装置140を取り付けるための取付部232、233、234、235が形成されている。ステージ装置210の取り付け精度を確保するため、各取付部232、233、234、235における平面度及び平行度は、より高い精度で形成されている。
【0104】
ベースプレート231の取付面231aには、第一の直動案内部(Y軸固定レール236、237)が配置されており、第一の直動案内部(Y軸固定レール236、237)は、相互にマイクロメートルレベルの平行度で、ベースプレート231に固定されている。第一の直動案内部(Y軸固定レール236、237)は、治具(不図示)にて平行を出した状態で、固定部材である固定ねじ(不図示)でベースプレート231に固定される。
【0105】
図7(c)は第5実施形態におけるステージ装置230の中間プレートユニット249の斜視図である。説明のため背板263、固定ねじ264、調整ねじ265を図示している。
【0106】
第一の可動プレート241の取付面側に、第三の直動案内部(X軸固定レール246、247)が配置されており、第三の直動案内部(X軸固定レール246、247)は、相互はマイクロメートルレベルの平行度で、第一の可動プレート241に固定されている。第三の直動案内部(X軸固定レール246、247)は、治具(不図示)にて平行を出した状態で、固定部材である固定ねじ(不図示)で第一の可動プレート241に固定される。
【0107】
次に、第三の直動案内部(X軸固定レール246、247)のどちらか一方のレールを基準として、治具(不図示)にてマイクロメートルレベルの直角度で、Y軸固定レール242(第二の直動案内部)を固定ねじ(不図示)で第一の可動プレート241に固定する。Y軸調整レール243(第二の直動案内部)は、最初に固定ねじ(不図示)で仮固定の状態で第一の可動プレート241に固定しておく。図7(c)では固定ねじは不図示であるが、背板263を固定する固定ねじ264と同様のねじである。
【0108】
第一の可動プレート241に配置されているY軸調整レール243(第二の直動案内部)の直動案内設置部245には背板263を固定する固定ねじ264のためのねじ穴248が形成されている。背板263は、Y軸調整レール243(第二の直動案内部)に隣り合うように固定ねじで配置される。尚、背板263の固定には、ねじ穴248でなく、ボルト穴を用いても良い。第一の可動プレート241に高い平面度で形成された直動案内設置部245に背板263を設置することで、背板263の曲がりや歪みを最小限に押えることが可能な構造となる。
【0109】
背板263にはボルト穴261と調整ねじ穴262が形成されている。尚、ボルト穴261でなく、ねじ穴で第一の可動プレート241に固定する方法でもよい。複数ある調整ねじ穴262にはそれぞれ調整ねじ265が取り付けられ、図8(a)で説明する直動案内のレールや転動体に適宜予圧を与えてガタ取りを行う。
【0110】
図7(d)は第5実施形態におけるステージ装置230の上面プレートユニット259の斜視図である。説明のため背板263、固定ねじ264、調整ねじ265を図示している。上面プレートユニット259の第二の可動プレート250には、X軸固定レール251(第四の直動案内部)がマイクロメートルレベルの真直度で、第二の可動プレート250に固定ねじ(不図示)で固定されている。X軸調整レール252(第四の直動案内部)は、最初に仮固定の状態で第二の可動プレート250に固定しておく。背板263は、X軸調整レール252(第四の直動案内部)に隣り合うように配置される。図7(d)では固定ねじは不図示であるが、背板263を固定する固定ねじ264と同様のねじである。
【0111】
第二の可動プレート250に配置されているX軸調整レール252(第四の直動案内部)の直動案内設置部254には背板263を固定する固定ねじ264のためのねじ穴255が形成されている。背板263は、X軸調整レール252(第四の直動案内部)に隣り合うように固定ねじで配置される。尚、背板263の固定には、ねじ穴255でなく、ボルト穴を用いても良い。第二の可動プレート250に高い平面度で形成された直動案内設置部254に背板263を設置することで、背板263の曲がりや歪みを最小限に押えることが可能な構造となる。
【0112】
図8(a)は第5実施形態におけるステージ装置230に脱着可能な背板263を取り付けた状態の斜視図である。第一の可動プレート241には、Y軸調整レール243(第二の直動案内部)に隣り合うように背板263が配置されており、第二の可動プレート250には、X軸調整レール252(第四の直動案内部)に隣り合うように背板263が配置されている。
【0113】
各直動案内部のレールに転動体を挿入する際、背板263を取り付けた状態で行う。背板263に設けられている調整ねじ穴262には、調整ねじ265が装着されている。
【0114】
まず、最初に、ベースプレート231と第一の可動プレート241との間で構成される直動案内機構LM81、LM82の組立てについて説明する。ベースプレート231のY軸固定レール236と第一の可動プレート241のY軸固定レール242との間、及び、ベースプレート231のY軸固定レール237と第一の可動プレート241のY軸調整レール243との間に転動体(不図示)を挿入する。
【0115】
Y軸調整レール243は仮固定の状態で転動体の挿入を妨げない。また転動体の挿入は、Y軸調整レール243に隣り合って配置されている背板263の調整ねじ265で転動体に予圧が掛からない状態に緩めておき、転動体をレールの所定位置まで挿入する。
【0116】
転動体をレールの所定位置まで挿入したら、Y軸調整レール243に隣り合って配置されている背板263の調整ねじ265で転動体に適宜予圧を与えるため、調整ねじ265でY軸調整レール243を押した状態で、固定ねじ(不図示)でY軸調整レール243を第一の可動プレート241に固定していく。
【0117】
作業方法としては、転動体が存在する位置の調整ねじ265を、所定のねじ締めトルクで締め、第一の可動プレート241を移動させて転動体の位置を変え、転動体が存在する位置の調整ねじ265を締めて予圧を与えていきながら直動案内機構LM81、LM82の全域のガタ取りを行う。ピックテスタやダイヤルゲージでガタを見ながら行うことも可能である。
【0118】
調整ねじ265によるガタ取りを終えたら、仮固定のY軸調整レール243を固定ねじ(不図示)を用いて、転動体が存在する位置で所定のねじ締めトルクによりねじ固定する。図8(a)では、Y軸調整レール243の固定ねじは不図示であるが、図7(c)の固定ねじ246と同様のねじでY軸調整レール243を固定することが可能である。Y軸調整レール243の本締め固定を終えたら、Y軸調整レール243に隣り合って配置されている背板263の調整ねじ265を緩めた後、図7(c)の固定ねじ264を取り外して、第一の可動プレート241から背板263を取り外す。以上がベースプレート231と第一の可動プレート241との間で構成される直動案内機構LM81、LM82の組立ての概要である。
【0119】
次に、第一の可動プレート241と第二の可動プレート250との間で構成される直動案内機構LM83、LM84の組立てについて説明する。第一の可動プレート241のX軸固定レール246と第二の可動プレート250のX軸固定レール251との間、及び、第一の可動プレート241のX軸固定レール247と第二の可動プレート250のX軸調整レール252との間に転動体(不図示)を挿入する。
【0120】
X軸調整レール252は仮固定の状態で転動体の挿入を妨げない。また転動体の挿入は、X軸調整レール252に隣り合って配置されている背板263の調整ねじ265で転動体に予圧が掛からない状態に緩めておき、転動体をレールの所定位置まで挿入する。
【0121】
転動体をレールの所定位置まで挿入したら、X軸調整レール252に隣り合って配置されている背板263の調整ねじ265で転動体に適宜予圧を与えるため、調整ねじ265でX軸調整レール252を押した状態で、固定ねじ(不図示)でX軸調整レール252を第二の可動プレート250に固定していく。
【0122】
作業方法としては、転動体が存在する位置の調整ねじ265を、所定のねじ締めトルクで締め、第二の可動プレート250を移動させて転動体の位置を変え、転動体が存在する位置の調整ねじ265を締めて予圧を与えていきながら直動案内機構LM83、LM84の全域のガタ取りを行う。ピックテスタやダイヤルゲージでガタを見ながら行うことも可能である。
【0123】
調整ねじ265によるガタ取りを終えたら、仮固定のX軸調整レール252を固定ねじ(不図示)を用いて、転動体が存在する位置で所定のねじ締めトルクによりねじ固定する。図8(a)では、X軸調整レール252の固定ねじは不図示であるが、図7(d)の固定ねじ264と同様のねじでX軸調整レール252を固定することが可能である。X軸調整レール252の本締め固定を終えたら、X軸調整レール252に隣り合って配置されている背板263の調整ねじ265を緩めた後、図7(d)の固定ねじ264を取り外して、第二の可動プレート250から背板263を取り外す。以上が第一の可動プレート241と第二の可動プレート250との間で構成される直動案内機構LM83、LM84の組立ての概要である。尚、上記の方法は組み立ての一例で、他の方法を用いて直動案内機構LM81~LM84を組立てることも可能である。
【0124】
図8(b)は第5実施形態におけるステージ装置230をベースプレート231の取付面側から見た斜視図である。組立てが完了したステージ装置230には、図13(b)に示す、調整ねじ穴76を有する背板77が無い。代わりにねじ穴248を有する直動案内設置部245と、ねじ穴255を有する直動案内設置部254が形成されている。第5実施形態のステージ装置230では、背板263で調整レール(Y軸調整レール243、X軸調整レール252)の与圧調整をしつつ、調整レールを最終的に固定し、調整ねじ穴を有する背板をステージ装置から着脱できることを特徴としている。
【0125】
調整ねじ穴を有する背板263を再利用することが可能であり、コスト低減を図ることができる。また背板263を外した分、ステージ装置230の小型化と軽量化が可能になる。
【0126】
直動案内機構の転動体に予圧を与えガタ取りをするために従来のステージに要した凸部を含む複雑な部品形状は必要なく、穴加工と平面加工のみの簡素な形状で、加工の簡便化とコスト低減を図ることができる。凸部を含む複雑な形状を高精度に加工する加工機は高価であり、加工機の調整や加工形状の検査も複雑である。本実施形態を適用すれば、穴加工と平面加工機による別形状のステージ製作の汎用使用が容易であり、加工後の部品検査も簡便になる。
【0127】
(第6実施形態)
第6実施形態では、駆動部を配置したステージ装置の構成例について説明する。図9(a)は第6実施形態におけるステージ装置270の分解斜視図であり、図9(b)は、ステージ装置270を組立てた状態の斜視図であり、図9(c)は、ステージ装置を組み立てた状態(図9(b))で、G-Gに沿って切断したときの断面図である。
【0128】
図9のステージ装置270では、駆動部の構成として、電動機構であるコアレスコイルとマグネットによる円筒型リニアモータを用いた例を示している。ステージ装置270はベースプレートユニット271、中間プレートユニット272、上面プレートユニット273を有している。
【0129】
第一の方向にY方向、第二の方向にX方向を設定し、第一の直動案内部としてY軸固定レール236、237を用い、第二の直動案内部としてY軸固定レール242、Y軸調整レール243を用いている。また、第三の直動案内部としてX軸固定レール246、247を用い、第四の直動案内部としてX軸固定レール251と、X軸調整レール252を用いている。
【0130】
図9(a)において、ベースプレートユニット271は、図7(b)のベースプレートユニット238に、穴275を有するY軸コイル276を、コイル取付板277で固定したものである。中間プレートユニット272は、図7(c)の第一の可動プレート241に、穴278を有するX軸コイル279を、コイル取付板280で固定したものである。更にY軸マグネット棒281を2つのマグネット棒取付具282、283で固定したものである。また、上面プレートユニット273は、図7(d)の第二の可動プレート250に、マグネット取付板284を固定し、マグネット取付板284に対して、X軸マグネット棒285を2つのマグネット棒取付具286、287で固定したものである。
【0131】
Y方向駆動部は、Y軸コイル276とY軸マグネット棒281で構成される。組み立ての際は、Y軸コイル276の穴275の中にY軸マグネット棒281を通し、マグネット棒取付具282、283でY軸マグネット棒281は第一の可動プレート241に固定される。Y方向駆動部により、ベースプレート231に対して第一の可動プレート241が第一方向(Y方向)に相対移動する。ステージ装置270の組立てにおいて、Y方向移動可能距離の全域でY軸コイル276の穴275と、Y軸マグネット棒281が接触しないように位置調整される。
【0132】
X方向駆動部は、X軸コイル279とX軸マグネット棒285で構成される。組み立ての際は、X軸コイル279の穴278の中にX軸マグネット棒285を通し、マグネット棒取付具286、287でX軸マグネット棒285は、第二の可動プレート250のマグネット取付板284に固定される。X方向駆動部により、第一の可動プレート241に対して第二の可動プレート250が第二方向(X方向)に相対移動する。ステージ装置270の組立てにおいて、X方向移動可能距離の全域でX軸コイル279の穴278と、X軸マグネット棒285が接触しないように位置調整される。
【0133】
図9(b)は第6実施形態におけるステージ装置270の斜視図であり、Y軸固定レール236、237、242、Y軸調整レール243、X軸固定レール246、247、251、X軸調整レール252で囲まれた内側に、ベースプレート231の取付面231aが位置している。ベースプレート231の取付面231aには、顕微鏡、検査装置、計測装置など各種装置(外部装置)などにステージ装置140を取り付けるための取付部232、233、234、235が形成されている。
【0134】
第一の直動案内部(Y軸固定レール236、237)、及び第三の直動案内部(X軸固定レール246、247)に挟まれた領域の外側領域に、第一方向(Y方向)の駆動部の電気子であるY軸コイル276と、第二方向(X方向)の駆動部の電気子であるX軸コイル279とが配置されているのが第6実施形態によるステージ装置270の特徴である。
【0135】
第一の直動案内部(Y軸固定レール236、237)、及び第三の直動案内部(X軸固定レール246、247)に挟まれた領域の外側領域に、第一方向(Y方向)の駆動部と第二方向(X方向)の駆動部の電気子(Y軸コイル276、X軸コイル279)を配置することで、ステージ装置270を分解することなく、ステージ装置270の外部から修理や調整、検査をすることが容易な構造となる。
【0136】
図9(c)は第6実施形態におけるステージ装置270を組み立てた状態(図9(b))で、G-Gに沿って切断したときの断面図である。第二方向(X方向)の駆動部であるX軸コイル279がX軸固定レール246の外側に配置されている。また、Y軸固定レール236はY軸固定レール242に隠れてしまっているが、Y軸固定レール236の外側に第一方向(Y方向)の駆動部であるY軸コイル276が配置されている。図9(c)ではY軸固定レール242で取付面が隠れてしまっているが、図9(b)を参照し、取付部232、233、234、235は、X軸固定レール246、247の直動案内設置部の位置として、上面プレートユニット273の上面288までの高さを見ることができる。
【0137】
また、図9(b)および図9(c)を参照して、ステージ装置270は、第二方向(X方向)の駆動部であるX軸コイル279と第一方向(Y方向)の駆動部の電気子であるY軸コイル276を設けても、ベースプレート231の取付面231aにある取付部232、233、234、235から上面プレートユニット273の上面288までの高さに、駆動部の高さが加算されない構造であり、薄型のステージ装置を実現することが可能になる。
【0138】
尚、図9(a)~(c)では、駆動部の構成として、円筒型リニアモータによる電動機構の例を示したが、駆動部の構成として手動機構を用いたもの、電動機構を用いたもの、手動機構と電動機構を組み合わせたもののいずれの組合せでもよい。駆動部の構成を、第一の直動案内部(Y軸固定レール236、237)、及び第三の直動案内部(X軸固定レール246、247)に挟まれた領域の外側領域に配置することにより、ステージ装置270の外部から修理や調整、検査をすることが容易なステージ装置の構造となる。
【0139】
(第7実施形態)
第7実施形態では、駆動部を配置したステージ装置の構成例について説明する。図10は第7実施形態におけるステージ装置300の分解斜視図である。ステージ装置300は、ベースプレートユニット301、中間プレートユニット302、上面プレートユニット303を有する。
【0140】
図11A(a)はベースプレートユニット301、中間プレートユニット302、第一方向(Y方向)の駆動部の電気子ユニットであるY方向コイルユニット313の分解斜視図である。図11A(b)はステージ装置300に脱着可能な背板352を取り付けた状態を示す斜視図であり、図11A(c)はステージ装置300を組立てた状態の斜視図である。また、図11B(d)は、ステージ装置を組み立てた状態(図11(c))で、H-Hに沿って切断したときの断面図であり、図11B(e)はステージ装置を組み立てた状態(図11A(c))で、I-Iに沿って切断した断面図である。
【0141】
ベースプレートユニット301は、ステージ装置300を、外部装置等に取り付け可能な取付面304aを有するベースプレート304を含み、ベースプレート304は、第一の直動案内部(Y軸固定レール307、308)と、第一方向(Y方向)の駆動部(Y方向コイルユニット313)とを有する。
【0142】
中間プレートユニット302は、開口部345を有する第一の可動プレート316、317、318、319と、第二の直動案内部(Y軸固定レール323、Y軸調整レール324)と、第三の直動案内部(X軸固定レール334、335)と、第二方向(X方向)の駆動部(X方向コイルユニット329)とを有する。
【0143】
上面プレートユニット303は、第二の可動プレート337と、第四の直動案内部(X軸固定レール336、X軸調整レール338)とを有する。
【0144】
ベースプレートユニット301を構成するベースプレート304の第一の直動案内部(Y軸固定レール307、308)は、取付面304aと隣接し互いに対向する第一の側面305、306にそれぞれ設けられ、第一の可動プレート316、317の第一方向における移動を案内する。第一の直動案内部(Y軸固定レール307、308)の構成として、第一の側面305、306には、高精度なV溝が形成されている。
【0145】
取付面304aには顕微鏡、検査装置、計測装置など各種装置などへステージ装置300を取り付けるための取付部309、310、311、312が形成されている。取付部309、310、311、312は、相互の平面度と平行度が悪いと装置への取り付けに支障が出るので高い精度で形成されている。
【0146】
また、ベースプレート304には、第一方向(Y方向)の駆動部(Y方向コイルユニット313)が配置されており、Y方向コイルユニット313は複数のコイル314と板部材315とを有し、板部材315とベースプレート304はねじ(不図示)で固定され、脱着可能である。
【0147】
中間プレートユニット302は、第一の可動プレート316、317、318、319を有し、第一の可動プレート316、317、318、319の組立方法については第2実施形態と同様である。第一の可動プレートを組み立てた状態で、第一の可動プレート316、317、318、319は、開口部345を有している。
【0148】
第二の直動案内部(Y軸固定レール323、Y軸調整レール324)は、ベースプレート304の第一の直動案内部に対向し、第一の可動プレート316、317、318、319の第二の側面321、322に設けられている。第二の直動案内部(Y軸固定レール323、Y軸調整レール324)は第一の直動案内部(Y軸固定レール307、308)と協働して、第一の可動プレートの移動(第一方向(Y方向)への移動)を案内する。すなわち、第一の可動プレートは、第一の側面305、306に対向する第二の側面321、322にそれぞれ設けられ、第一の直動案内部との組合せにより直動案内機構LM110、LM111を構成し、第一の可動プレートの移動(第一方向(Y方向)を案内する。第二の直動案内部(Y軸固定レール323、Y軸調整レール324)の構成として、第二の側面321、322には、高精度なV溝が形成されている。第一の側面305、306と第二の側面321、322には、それぞれに形成された溝内の転動体を介して第一の可動プレートの移動(第一方向(Y方向)を案内する第一の直動案内部と第二の直動案内部とが形成される。
【0149】
第一の可動プレート316、317のうち、第二の側面を含まない側面325、326、327、328は高精度な平面が形成されている。また、第一の可動プレートを構成する第一の可動プレート318、319の長さg、hも高精度な寸法で形成され、直動案内機構LM110、LM111の転動体(不図示)をレールの所定位置に挟んだ状態で、図11A(a)に示す複数のねじ346で固定することにより、直動案内機構LM110、LM111の転動体に対して所望の予圧を作用させることができる。予圧調整のため図11A(a)に示すように必要に応じて調整部材であるシム347、348を挟むことも可能である。
【0150】
第一の可動プレート316にはマグネット320が固定され、Y方向コイルユニット313とマグネット320とで第一方向(Y方向)の駆動部を構成し、第一方向(Y方向)の駆動部は、ベースプレートユニット301のベースプレート304に対して第一の可動プレートを第一の方向(Y方向)に駆動する。
【0151】
また、中間プレートユニット302には、第二方向(X方向)の駆動部(X方向コイルユニット329)が配置されており、X方向コイルユニット329は複数のコイル330と板部材331とを有し、板部材331と中間プレートユニット302の第一の可動プレート318とは、ねじ(不図示)で固定され、脱着可能である。
【0152】
中間プレートユニット302における第三の直動案内部(X軸固定レール334、335)は、第一の可動プレートの、互いに対向する一対の側面332、333にそれぞれ設けられている。第一の可動プレート318、319の外周の側面(第三の側面)332、333の2面には、第三の直動案内部(X軸固定レール334、335)の構成として、それぞれ高精度なV溝が形成されており、第三の直動案内部(X軸固定レール334、335)は第二の可動プレート337の第二方向(X方向)における移動を案内する。そして、ベースプレート304と第一の可動プレート316、317、318、319とを組立てた状態で、ベースプレート304が、第一の可動プレートの開口部345内に配置される。第三の直動案内部(X軸固定レール334、335)は、第一の可動プレートの第二の側面を有する部材(316、322)に対して交差する部材(318、319)の外周側に位置する第三の側面にそれぞれ配置されている。
【0153】
上面プレートユニット303の第二の可動プレート337には、第三の直動案内部と協働して、第二の可動プレート337の第二の方向(X方向)における移動を案内する、第四の直動案内部(X軸固定レール336、X軸調整レール338)が配置されている。すなわち、第四の直動案内部(X軸固定レール336、X軸調整レール338)は、第三の案内部に対向するように配置されており、第四の直動案内部(X軸固定レール336、X軸調整レール338)は、第三の直動案内部(X軸固定レール334、335)との組合せにより直動案内機構LM112、LM113を構成し、第二の可動プレート337の第二の方向(X方向)における移動を案内する。
【0154】
第二の可動プレート337にはスケール341が配置されている。このスケール341は、第一の方向及び第二の方向に周期的に形成されたパターンを有する。ベースプレート304が、第一の可動プレートの開口部345内に配置され、ベースプレート304と、第一の可動プレートが略同一平面に配列されているので、図11A(a)に示す、X軸位置検出部(第二位置検出部)349、Y軸位置検出部(第一位置検出部)350とスケール341によって、ベースプレート304に対する第二の可動プレート337のXY座標(第一方向と第二方向に対する位置)を検出することができる。すなわち、Y軸位置検出部(第一位置検出部)350は、ベースプレート304に対する第二の可動プレート337の第一方向に対する位置をスケール341のパターンの検知に基づいて検出することが可能である。また、X軸位置検出部(第二位置検出部)349は、ベースプレート304に対する第二の可動プレート337の第二方向に対する位置をパターンの検知に基づいて検出することが可能である。
【0155】
フレキシブル基板351はX軸位置検出部349とY軸位置検出部350への配線のために設置されているが、フレキシブル基板351に代わりリード線などによる配線を用いることも可能である。
【0156】
マグネット343が板部材344に固定されたマグネットユニット342が、第二の可動プレート337に固定される。X方向(第二方向)のX方向コイルユニット329とマグネットユニット342とで第二の方向(X方向)の駆動部(第二方向駆動部)を構成し、第二方向駆動部は、第一の可動プレート316、317、318、319に対し、第二の可動プレート337を第二の方向に駆動する。
【0157】
第二の可動プレート337に配置されている第四の直動案内部であるX軸固定レール336は、第三直動案内部に対向するように配置され、マイクロメートルレベルの真直度で、第二の可動プレート337に固定されている。また、第二の可動プレート337には第四の直動案内部であるX軸調整レール338が固定され、X軸調整レール338の直動案内設置部339には、図11A(b)に示す背板352を取り付けるためのねじ穴340を有する。尚、背板352の固定には、ねじ穴340でなく、ボルト穴を用いても良い。
【0158】
本実施形態では第四の直動案内部(X軸固定レール336,X軸調整レール338)は、第二の可動プレート337の取付面側に配置されているが、第二の可動プレートの第四の直動案内部は、第三の直動案内部(X軸固定レール334、335)に対向するように第二の可動プレートの側面に設けてもよい。更に、第二の可動プレートに第二の開口部を形成し、第一の可動プレートが、第二の可動プレートの第二の開口部内に配置されるようにしてもよい。
【0159】
この場合、例えば、第二の可動プレートの開口部(第二の開口部)の近傍に、第一の方向(Y方向)及び第二の方向(X方向)に周期的に形成されたパターンを有するスケールを配置し、このスケールのパターンをベースプレート304に配置された、X軸位置検出部(第二位置検出部)349、Y軸位置検出部(第一位置検出部)350で検出するようにしてもよい。この場合は、開口部の配置位置や配置形状に対応して、X軸位置検出部(第二位置検出部)349、Y軸位置検出部(第一位置検出部)350の配置やフレキシブル基板の配置を行えばよい。
【0160】
図11A(b)は、第7実施形態におけるステージ装置300に脱着可能な背板352を取り付けた状態を示す斜視図である。X軸調整レール338(第四の直動案内部)は、まず、仮固定の状態で第二の可動プレート337に固定しておく。
【0161】
X軸固定レール335(第三の直動案内部)とX軸固定レール336(第四の直動案内部)との間、X軸固定レール334(第三の直動案内部)とX軸調整レール338(第四の直動案内部)との間に、転動体(不図示)を挿入した後、背板352の複数の調整ねじ355にて適宜転動体に予圧を与えた状態でX軸調整レール338を固定ねじ(不図示)で固定する。
【0162】
背板352にはボルト穴353と調整ねじ穴354が形成されている。複数のボルト穴353に固定ねじ356を取り付け、背板352を第二の可動プレート337に固定する。尚、ボルト穴353でなく、ねじ穴で第二の可動プレート337に固定する方法でもよい。
【0163】
複数の調整ねじ穴354にはそれぞれ調整ねじ355が取り付けられ、図8(a)で説明した方法と同様にして直動案内部のレールや転動体に適宜予圧を与えるガタ取りを行う。
【0164】
図11A(c)は第7実施形態おけるステージ装置300を組立てた状態の斜視図である。ステージ装置300の斜視図である。Y軸固定レール307、308(第一の直動案内部)で挟まれた領域の外側領域に、Y方向(第一の方向)の駆動部の電気子であるコイル314とX方向(第二の方向)の駆動部の電気子であるコイル330が配置されているのが第7実施形態におけるステージ装置300の特徴である。ステージ装置300のコイル314とコイル330の全ての電気子が、取付部309、310、311、312の反対側の面となる図11B(d)に示す上面357側のどの面からも面外に出ていない構造である。
【0165】
図11B(d)はステージ装置を組み立てた状態(図11A(c))で、H-Hに沿って切断したときの断面図であり、第一の直動案内部のY軸固定レール307、308と第二の直動案内部のY軸固定レール323およびY軸調整レール324の断面部分を示す。第一の方向の駆動部のY方向コイルユニット313は複数のコイル314と板部材315から成り、Y方向コイルユニット313とマグネット320とで第一の方向であるY方向の駆動部を構成している。第一の直動案内部のY軸固定レール307、308に挟まれた領域の外側領域に、第一の方向(Y方向)の駆動部のY方向コイルユニット313があることにより、ステージ装置300における取付部309、310の取付面側からY方向コイルユニット313の修理や調整、検査をすることが容易なステージ装置の構造となる。
【0166】
ここでは、Y方向コイルユニット313とマグネット320を、Y軸固定レール307の外側に配置した単発型の駆動部を示したが、Y軸固定レール308の外側に配置した単発型の駆動部や、Y軸固定レール307の外側とY軸固定レール308の外側に駆動部を配置する双発型のステージ装置の構成も可能である。
【0167】
ステージ装置300の第一の方向(Y方向)の駆動部が、取付部309、310から見て、上面プレートユニット303の上面357までの高さ方向に対して出っ張らない構造(上面より厚み方向に突出していない構造)のため、顕微鏡用ステージに用いた場合、ステージ装置の上方に位置する対物レンズに干渉しない利点がある。
【0168】
図11B(e)はステージ装置を組み立てた状態(図11A(c))で、I-Iに沿って切断した断面図であり、第三の直動案内部のX軸固定レール334、335と、第四の直動案内部のX軸固定レール336およびX軸調整レール338の断面部分を示す。第二の方向(X方向)の駆動部のX方向コイルユニット329は複数のコイル330と板部材331から成る。マグネット343が板部材344に固定されたマグネットユニット342とX方向コイルユニット329とで第二の方向(X方向)の駆動部を構成している。第一の直動案内部のY軸固定レール307、308に挟まれた領域の外側領域に、第二の方向(X方向)の駆動部のX方向コイルユニット329があることにより、ステージ装置300における取付部310、312の取付面側からX方向コイルユニット329の修理や調整、検査をすることが容易なステージ装置の構造となる。
【0169】
図11B(d)および図11B(e)を参照して、ステージ装置300は、X方向の駆動部とY方向の駆動部を付加しても、ベースプレート304の取付面304a(取付部309、310、311、312)から上面プレートユニット303(第二の可動プレート337)の上面357までの高さに、駆動部の高さが加算されない構造であり、薄型のステージ装置を実現することが可能になる。
【0170】
(第8実施形態)
第8実施形態では、ステージ装置を組み込んだ装置400の構成について説明する。ここでは、装置400として顕微鏡にステージ装置を組み込んだ顕微鏡システムの構成を例として示すが、装置400は、精密工作機器、測定器(計測装置)、検査装置というマイクロメートル単位での精度で位置決めが必要な装置に適用可能である。本実施形態では、ステージ装置の構成として、第7実施形態のステージ装置300を用いているが、第1実施形態から第6実施形態のいずれのステージ装置を用いてもよい。
【0171】
図12(a)はステージ装置300を装置400に設置した側面図であり、図12(b)は装置400の代表例としての顕微鏡(ステージ装置300の取付前)を示す斜視図である。図12(c)、(d)はステージ装置300を装置400に設置した斜視図である。
【0172】
装置400(顕微鏡)は、ステージ装置300と、光学系である対物レンズ401、接眼レンズ407、鏡筒408と、焦準系であるハンドル(つまみ)402、ステージ装置300を保持する保持部であるステージ設置部404、アーム(鏡柱)409、鏡脚410とで構成されている。
【0173】
光源である反射鏡(照明系)や、調整ねじ等の一部部材は省略されている。観察光学系は対物レンズ401、接眼レンズ407、鏡筒408から構成されている。観察光学系は、観察対象である試料を観察するために設けられ、このような観察光学系を介して、試料の観察像を得ることができる。焦準系(ハンドル402)は、回転させる量に対応して上下方向(Z方向)に移動し、試料に焦点距離を合わせることができる。
【0174】
アーム(鏡柱)409、鏡脚410(ベース部材)は、上述した観察光学系、照明系、焦準系を保持している。ステージ設置部404は保持部の一部である。ステージ装置300は、光学系を構成する対物レンズ401と、保持部であるステージ設置部404との間に配置され、装置400のステージ設置部404にステージ装置300の取付面を合わせ、ねじ405で固定され、配置されている。装置400の対物レンズ401はハンドル402により、矢印403に示す方向(Z方向)に移動可能である。
【0175】
ステージ装置300の上面357に対して、矢印403に示す対物レンズ401の可動範囲は有限で、この可動範囲を大きく取ろうとすると、装置400全体の大きさや、対物レンズ401の可動機構が大型になる。装置400のステージ設置部404から対物レンズ401までの距離Jの間に、ステージ装置300が設置される。そのためステージ装置300は、ステージ設置部404からステージ装置300の上面357までを極力薄くすることが求められる。
【0176】
本実施形態の小型・薄型のステージ装置300を配置することで、対物レンズの可動範囲が大きくとれるため、測定範囲の拡大が期待できる。
【0177】
図12(c)を参照し、ステージ装置300を装置400に設置する際は、ステージ装置300のX軸固定レール336と、装置400のステージ位置決めの基準となる部分である、鏡基406とを基準として、治具(不図示)にて位置出しをすると、配置の際に精度が高くなるため好適である。X軸固定レール336と鏡基406で位置出しをすることにより、ステージ装置300の第二の方向であるX方向と装置400位置出しが容易となる。
【0178】
ステージ装置300を組み込んだ顕微鏡システムにおいては、X方向の移動可能距離がY方向より大きく、顕微鏡観察でステージ装置300をX方向に駆動した際、斜行を極力少なくするように設置することができる。
【0179】
ステージ装置300が装置400に設置された時、第二の方向の駆動部の電気子であるX方向コイルユニット329が、装置操作者が操作する際に、手前側に配置されるため、保守や点検、調整の際、好適である。
【0180】
図12(d)を参照し、ステージ装置300は、装置400に設置した状態のままで、第一の方向の駆動部の電気子であるY方向コイルユニット313、および第二の方向の駆動部の電気子であるX方向コイルユニット329の修理や調整を容易にすることができる。
【0181】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。ステージ装置の構成も上記の実施形態に限定されず、種々の変形及び変更が可能である。
【0182】
(変形例1)
例えば、第3実施形態では、ベースプレートと第一の可動プレートとの間で構成される直動案内機構と、第一の可動プレートと第二の可動プレートとの間で構成される直動案内機構は、いずれも、ベースプレートの取付面側に配置された構成を説明したが(図3)、いずれか一方の直動案内機構をプレートの側面に設ける構成にしてもよい。
【0183】
例えば、第一の可動プレートと第二の可動プレートとの間で構成される直動案内機構を、図2に示すように、第一の可動プレートの側面と、この側面に対向する第二の可動プレートの側面に設けることも可能である。
【0184】
また、第一の可動プレートとベースプレートとの間で構成される直動案内機構を、例えば、図2に示すように、第一の可動プレートの側面と、この側面に対向するベースプレートの側面に設けることも可能である。
【0185】
(変形例2)
第7実施形態で説明したステージ装置の構成において、ベースプレートと第一の可動プレートとの間で構成される直動案内機構と、第一の可動プレートと第二の可動プレートとの間で構成される直動案内機構は、いずれも、プレート間の対向面に配置される構成を説明したが(図11A図11B)、いずれか一方の直動案内機構をベースプレートの取付面側に設ける構成にしてもよい。
【0186】
例えば、第一の可動プレートと第二の可動プレートとの間で構成される直動案内機構を、図1に示すように、ベースプレートの取付面側に設けることも可能である。
【0187】
また、第一の可動プレートとベースプレートとの間で構成される直動案内機構を、例えば、図1に示すように、ベースプレートの取付面側に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0188】
208:ベースプレートユニット、210:ステージ装置、211:ベースプレート、216:固定レール(第一の直動案内部(第一の案内部)、217:調整レール(第一の直動案内部(第一の案内部)、222:開口部、223:第一の可動プレート、224:固定レール(第二の直動案内部(第二の案内部))、225:調整レール(第二の直動案内部(第二の案内部))、211a:取付面、LM11:直動案内機構(216、224)、LM12: 直動案内機構(217、225)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13