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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】タップ切替器用の保護カバー
(51)【国際特許分類】
   H01F 29/02 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
H01F29/02 Z
H01F29/02 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018151722
(22)【出願日】2018-08-10
(65)【公開番号】P2020027867
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】513296958
【氏名又は名称】東芝産業機器システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】池田 翔大
【審査官】後藤 嘉宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-311017(JP,A)
【文献】実開昭50-081312(JP,U)
【文献】実開平01-109637(JP,U)
【文献】特開平11-297541(JP,A)
【文献】特開2004-281638(JP,A)
【文献】特開平09-185938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タップ切替器のハンドルを保護する保護カバーであって、
前記ハンドルの全体を覆う本体部を有し、当該本体部に、前記ハンドルの取り付け面に表記されているタップ位置を示す複数の識別子のうち、現在のタップ位置に対応する1つの識別子を視認可能にする窓部を形成し、
前記本体部に、前記窓部が現在のタップ位置に対応する識別子の位置となるように当該本体部の取り付け向きを規定する規定部を設けたタップ切替器用の保護カバー。
【請求項2】
前記規定部は、前記ハンドルに設けられているスリットに挿入可能なキー、または、前
記ハンドルの外縁に沿った壁部によって形成されている請求項1記載のタップ切替器用の保護カバー。
【請求項3】
タップ切替器のハンドルを保護する保護カバーであって、
前記ハンドルの全体を覆う本体部を有し、当該本体部に、前記ハンドルの取り付け面に表記されているタップ位置を示す複数の識別子のうち、現在のタップ位置に対応する1つの識別子を視認可能にする窓部を形成し、
前記本体部は、有底円筒状に形成されており、開口側にフランジ部が形成されており、
前記窓部は、前記フランジ部の外周部を1つの識別子に対応する幅で径方向内側に窪ませることにより、または、識別子に対応する位置に孔を形成することにより形成されているタップ切替器用の保護カバー。
【請求項4】
タップ切替器のハンドルを保護する保護カバーであって、
前記ハンドルの全体を覆う本体部を有し、当該本体部に、前記ハンドルの取り付け面に表記されているタップ位置を示す複数の識別子のうち、現在のタップ位置に対応する1つの識別子を視認可能にする窓部を形成し、
前記本体部は、有底円筒状に形成されており、
前記窓部は、前記本体部の外周の一部を1つの識別子に対応する幅で径方向内側に窪ませることにより、または、識別子に対応する位置に孔を形成することにより形成されているタップ切替器用の保護カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、タップ切替器のハンドルを保護するためのタップ切替器用の保護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タップ切替器をタンク内に収容している変圧器等の静止誘導機器は、タップ位置を切り替えるためのハンドルがタンクの外面に設けられている。このとき、ハンドルは、不用意に操作されないように、一般的に保護カバーによって保護されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-311017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、このような静止誘導機器の場合、タップ切替器自体はタンク内に収容されていることから、タンクの外面には、タップ位置を示す番号等の識別子がハンドルの近傍に表記されている。そして、作業者は、ハンドルを所望のタップ位置を示す識別子に向けることによりタップ位置を切り替えている。そのため、保護カバーがない状態であれば、現在のタップ位置は、ハンドルの向きによって把握することができる。
【0005】
しかしながら、保護カバーを取り付けるとハンドルが隠れてしまうことから、ハンドルの向きでタップ位置を判断することができず、また、従来の一般的な保護カバーでは識別子自体も隠されてしまうものが多かった。そのため、例えば点検等によりタップ位置を確認したい場合には、ボルト等で締結されている保護カバーを取り外す必要があった。
そこで、取り外すことなくタップ位置を確認することができるタップ切替器用の保護カバーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のタップ切替器用の保護カバーは、ハンドルの全体を覆う本体部を有し、当該本体部に、ハンドルの取り付け面に表記されているタップ位置を示す複数の識別子のうち、現在のタップ位置に対応する1つの識別子を視認可能にする窓部を形成したことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の変圧器の構成例を模式的に示す図
図2】タップ切替器の構成例を模式的に示す図
図3】ハンドルの構成例を模式的に示す図
図4】符号板および識別子の構成例を模式的に示す図
図5】ハンドルの向きと識別子の位置との対応関係の一例を模式的に示す図
図6】保護カバーの構成例を模式的に示す図
図7】保護カバーを取り付けた状態の一例を模式的に示す図
図8】スリットおよびキーの他の構成例を模式的に示す図
図9】規定部の他の構成例を模式的に示す図その1
図10】規定部の他の構成例を模式的に示す図その2
図11】識別子の他の構成例を模式的に示す図
図12】窓部の他の構成例を模式的に示す図その1
図13】窓部の他の構成例を模式的に示す図その2
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の保護カバー1は、静止誘導機器としての例えば変圧器2に取り付けられている。変圧器2は、タンク3、タンク3内に収容されている鉄心4、巻線5を有する変圧器本体6、タップ切替器7等を備えており、タンク3の外面には、タップ位置を切り替えるためのハンドル8、およびタップ位置が表記されている符号板9が設けられている。このタンク3内には絶縁油(図示省略)が充填されており、変圧器本体6やタップ切替器7はその絶縁油中に浸された状態で収容されている。
【0009】
変圧器本体6を構成する鉄心4は、周知のように例えば薄板状の電磁鋼板を積層することにより構成されている。本実施形態では、鉄心4として3本の脚部を有する三脚鉄心を採用している。この鉄心4の各脚部には、それぞれ巻線5がそれぞれ設けられている。これら3つの巻線5は、それぞれU相、V相およびW相の三相に対応したものである。
【0010】
各相の巻線5は、タンク3の例えば上部に設けられ、タンク3内に連通している3つのブッシング10にそれぞれ接続されている。また、各相の巻線5からはタップ線11が引き出されており、タップ切替器7のタップ端子7aにそれぞれ接続されている。このタップ端子7aは、固定接触子に相当するものであり、変圧器2の巻き数比を可変とするために、それぞれの巻線5に対して複数設けられている。
【0011】
詳細には、タップ切替器7は、図2に示すように、各相に対応して6個ずつのタップ端子7aがそれぞれ設けられている端子板7b、各相のいずれか2つのタップ端子7a間を電気的に接続する3つの可動接触子7cが設けられているとともにその一部に歯切りが施されているスライド板7d、および、スライド板7dの歯切り部と噛み合って回転することによりスライド板7dを直線状にスライドさせる歯車7eとを備えている。これらスライド板7dと歯車7eは、いわゆるラックアンドピニオン式の回転機構を構成している。
【0012】
端子板7bに設けられている各相の6個のタップ端子7aを左方側つまりは歯車7eとは逆側から順に1番~6番とすると、端子板7bには、各相の1番から6番までのタップ端子7aが互いに距離(T)の等間隔で配置されているとともに、他相の同じ番号のタップ端子7aまでの距離が等しくなるように配置されている。また、スライド板7dに設けられている3つの可動接触子7cは、互いの間隔が等しく配置されている。
【0013】
そのため、U相に対応する可動接触子7cが1番目と2番目のタップ端子7a間を電気的に接続する位置にある場合、V相に対応する可動接触子7cも1番目と2番目のタップ端子7a間を電気的に接続する位置にあり、W相に対応する可動接触子7cも1番目と2番目のタップ端子7a間を電気的に接続する位置にあることになる。なお、図示は省略するが、タップ端子7aは端子板7bを貫通しており、端子板7bの背面側つまりはスライド板7d側に突出している部位において可動接触子7cによって電気的に接続される構造となっている。
【0014】
以下、各相の可動接触子7cが1番目と2番目のタップ端子7a間を電気的に接続するタップ位置を第1位置(P1)と称し、2番目と3番目のタップ端子7a間を電気的に接続するタップ位置を第2位置(P2)と称し、3番目と4番目のタップ端子7a間を電気的に接続するタップ位置を第3位置(P3)と称し、4番目と5番目のタップ端子7a間を電気的に接続するタップ位置を第4位置(P4)と称し、5番目と6番目のタップ端子7a間を電気的に接続するタップ位置を第5位置(P5)と称する。つまり、本実施形態のタップ切替器7は、5つのタップ位置に切り替え可能となっている。ただし、本実施形態で示すタップ端子7aの数やタップ位置の数は一例であり、これに限定されるものではない。
【0015】
タップ位置の切り替えは、シャフト7fによって連結されたハンドル8を操作することによって行われる。このハンドル8は、作業者が操作するものであり、正転および逆転の回転動作が可能となっている。なお、ここではタップ位置を第1位置(P1)から第2位置(P2)にタップ位置を切り替える際の回転方向を正転、その逆の回転を逆転としている。
【0016】
ハンドル8は、図3に示すように、側面視において概ね長方形の枠状に形成されている。また、ハンドル8は、平面視において上面となる部位の中央部分に、内側まで連通しているスリット8aがハンドル8の長手方向に沿って設けられている。つまり、本実施形態では、スリット8aは、平面視に示すように、ハンドル8の長手方向に所定の長さを有し、ハンドル8の短手方向に所定の幅を有する矩形状に形成されているとともに、ハンドル8の中心に対して長手方向および短手方向において対称となる形状で形成されている。
【0017】
符号板9は、ハンドル8が取り付けられているシャフト7fに設けられている。この符号板9は、図4に示すように、シャフト7fが通る孔を中心に有する円環状に形成されており、タンク3の外面に固定される。そのため、作業者がハンドル8を操作したとしても、符号板9の向きが回転するわけではない。
【0018】
この符号板9には、タップ位置を示す複数の識別子として、本実施形態では1番~5番までの番号(N)が表記されている。各番号は、本実施形態では周方向に中心角が63°ずれた位置に表記されており、いずれの番号も、自身から180°の位置に他の番号が位置しない配置となっている。このため、本実施形態では、ハンドル8の向きによって、符号板9に表記されている番号つまりは現在のタップ位置を把握することが可能となっている。このとき、各識別子は、番号の中心が半径(L1)の円周上に位置するように表記されている。
【0019】
具体的には、図5に示すように、ハンドル8の短手方向に対して矢印にて示す垂直方向に位置する番号が、現在のタップ位置になる。例えば、ハンドル8の垂直方向の番号が「1」であれば、タップ位置が第1位置(P1)であることを示している。なお、垂直方向を示す矢印は説明のために便宜的に付したものである。
【0020】
同様に、ハンドル8の垂直方向の番号が「2」であればタップ位置が第2位置(P2)であることを示し、ハンドル8の垂直方向の番号が「3」であればタップ位置が第3位置(P3)であることを示し、ハンドル8の垂直方向の番号が「4」であればタップ位置が第4位置(P4)であることを示し、ハンドル8の垂直方向の番号が「5」であればタップ位置が第5位置(P5)であることを示している。
【0021】
このとき、変圧器2等に用いるタップ切替器7は、周知のようにタップ位置を切り替える際にある程度の力が必要になる。そのため、タップ位置に位置決めされている場合、ハンドル8は、所定の方向つまりはいずれかの番号に向いた状態が維持される。そして、ハンドル8がいずれかの番号に向いている場合には、その逆の位置には他の番号が位置しないため、ハンドル8の向きによって現在のタップ位置を把握することができるようになっている。
【0022】
これらハンドル8および符号板9は、タンク3の外面において保護カバー1によって覆われている。保護カバー1は、図6に示すように、有底円筒状の本体部1aと、本体部1aの開口側において径方向外側に突出し、符号板9と概ね同じ直径で形成されているフランジ部1bとを有している。この本体部1aは、底部の内面にキー1cが設けられているとともに、フランジ部1bの一部に窓部1dが設けられている。なお、図示は省略するが、保護カバー1は、ボルトによって符号板9または符号板9を取り付けている基盤に固定される。
【0023】
キー1cは、本体部1aの中央に設けられており、平面視に示すように、本体部1aの径方向に所定の長さ(L11)と幅(L12)とを有する概ねスリット8aと相似形であって、側面視に示すように、本体部1aの軸方向に所定の高さ(L13)を有する板状に形成されている。このキー1cは、その長さ(L11)が、ハンドル8に設けられているスリット8aの長さ(L1)よりも短く、且つ、スリット8aの幅(L2)よりも長く形成されている。
【0024】
また、キー1cは、その幅(L12)がスリット8aの幅(L2)よりも短く設定されているとともに、その高さが、保護カバー1でハンドル8を保護した状態において下端側がハンドル8の上面よりも下方に位置するように設定されている。そのため、キー1cは、保護カバー1を取り付けた際には、スリット8aの長さ方向と一致する向き、つまり本実施形態でいえば本体部1aが180°逆になる2つの向きでのみ、ハンドル8に設けられているスリット8aに挿入されることになる。換言すると、キー1cは、ハンドル8に対する保護カバー1の取り付け向きを、2つの向きに限定している。
【0025】
このとき、上記したようにいずれかの識別子と180°反対側となる位置には他の識別子は配置されていないことから、窓部1dで識別子を視認可能になるのは、窓部1dが現在のタップ位置に対応する識別子の位置となるように取り付けられた状態のみとなる。つまり、キー1cは、本体部1aつまりは保護カバー1の取り付け向きを、窓部1dが現在のタップ位置に対応する識別子の位置となるように規定する規定部として機能する。
【0026】
窓部1dは、フランジ部1bを厚み方向に貫通しており、その幅が符号板9に表記されている識別子の幅よりも大きく、その内側が中心から半径(L1)の円周上に配置されている識別子よりも内側になるように形成されている。つまり、詳細については後述するが、窓部1dは、保護カバー1を取り付けた状態においていずれかの識別子を視認可能な位置に形成されている。
【0027】
次に、上記した保護カバー1の作用について説明する。
タップ切替器7のハンドル8は、外部から操作可能とするためにタンク3の外面に取り付けられており、そのハンドル8の近傍には、タップ位置を示す番号等の識別子が例えば符号板9によって表記される。そのため、ハンドル8を操作する際には、上記したようにハンドル8の向き等によって現在のタップ位置を把握することができる。
【0028】
しかし、ハンドル8が不用意に操作されないように保護カバー1を取り付けた場合には、ハンドル8が保護カバー1によって隠されてしまうことから、ハンドル8の向き等によってタップ位置を把握することができなくなる。また、例えば本実施形態のように保護カバー1のフランジ部1bと符号板9がほぼ同じ直径の場合、識別子自体も見えなくなってしまう。そのため、例えば点検時に現在のタップ位置を確認したい場合には、ボルト等で止められている保護カバー1を取り外す必要がある。
【0029】
そこで、本実施形態では、保護カバー1を取り外すことなく、タップ位置を確認できる用にしている。具体的には、保護カバー1は、上記したようにフランジ部1bの一部に窓部1dが設けられており、その窓部1dは、識別子を視認可能な形状に形成されている。また、保護カバー1は、キー1cが設けられていることから、その取り付ける向きが、キー1cがスリット8aに挿入される向きに限定される。そして、このキー1cは、上記したように、識別子を視認可能な保護カバー1の取り付け向きを規定している。
【0030】
これにより、図7に示すように、例えばタップ位置が第1位置(P1)であるとき、識別子を視認可能な向きに保護カバー1を取り付けると、現在のタップ位置に対応する「1」の番号が窓部1dから視認可能な状態になる。これにより、保護カバー1を取り外さなくても、現在のタップ位置を把握することができる。また、本実施形態の場合、現在のタップ位置に対応する「1」の番号だけが視認可能となる。
【0031】
同様に、タップ位置が第2位置(P2)であるときには「2」の識別子のみが視認可能となり、タップ位置が第3位置(P3)であるときには「3」の識別子のみが視認可能となり、タップ位置が第4位置(P4)であるときには「4」の識別子のみが視認可能となり、タップ位置が第5位置(P5)であるときには「5」の識別子のみが視認可能となる。
【0032】
また、図7に第5位置(逆向き)として示すように、例えば第5位置(P5)であるにも関わらず万が一保護カバー1を180°逆向きに取り付けてしまった場合には、窓部1dからは番号を視認不可能な状態になることから、取り付けた時点で番号が見えないことから保護カバー1が逆向きでると把握でき、保護カバー1を誤って逆向きに取り付けてしまうことが防止されている。
【0033】
以上説明した保護カバー1によれば、次のような効果を得ることができる。
保護カバー1は、ハンドル8の全体を覆う本体部1aを有し、当該本体部1aに、ハンドル8の取り付け面に表記されているタップ位置を示す複数の識別子のうち、現在のタップ位置に対応する1つの識別子を視認可能にする窓部1dを形成している。これにより、保護カバー1を付けたままでも現在のタップ位置を把握することが可能となり、保護カバー1を外すことなく現在のタップ位置を把握および確認することができる。
【0034】
また、保護カバー1は、本体部1aに、窓部1dが現在のタップ位置に対応する識別子の位置となるように当該本体部1aの取り付け向きを規定する規定部としてのキー1cを設けている。これにより、保護カバー1を誤った向きに取り付ける可能性を低減することができる。
【0035】
また、保護カバー1は、規定部として、ハンドル8に設けられているスリット8aに挿入可能なキー1cを備えている。これにより、保護カバー1の向きとハンドル8の向きとが規定され、保護カバー1を誤った向きに取り付ける可能性を低減することができる。
【0036】
この場合、実施形態のように、キー1cの形状とスリット8aの形状とを相似形とすることにより、保護カバー1の向きが180°反転する2つに限定することが可能になり、さらに、識別子の配置を180°逆の位置に他の識別子が位置しないようにすることによりそのうちの一方に限定することが可能となり、保護カバー1を誤った向きに取り付けることを防止することができる。
【0037】
また、実施形態のように他の番号がフランジ部1bによって隠される構成とすることにより、単純に中が見えるようにしたカバーを取り付ける場合と比べて、タップ位置を誤認することを防止できるという効果を得ることができる。
【0038】
また、保護カバー1は、本体部1aを有底円筒状であって開口側にフランジ部1bを有する形状に形成し、窓部1dを、フランジ部1bの外周部を1つの識別子に対応する幅で径方向内側に窪ませることにより形成している。これにより、削りだし等で本体部1aおよびフランジ部1bを形成した後にドリル加工等で容易に窓部1dを形成することができる。この場合、実施形態のような窪みではなく、識別子を視認可能な大きさの孔をフランジ部1bに形成することによっても、容易に保護カバー1を外すことなく現在のタップ位置を確認できる保護カバー1を製造することができる。
【0039】
また、上記した構成は、適宜変更、拡張あるいは組み合わせることができる。
実施形態ではキー1cが挿入されるいわゆるキー1c溝として長方形状のスリット8aを例示したが、例えば図8に「スリット8a構成例」として示すように、スリット8aがハンドル8の中心よりも図示上方にずれており、ハンドル8の中心に対して対称ではない場合には、「キー1c構成例」として示すように、キー1cの位置をそれに合わせてずらすことで、取り付ける際の保護カバー1の向きとハンドル8の向きとが一意に定められる。これにより、窓部1dの位置が現在のタップ位置に一致する位置関係でのみ保護カバー1を取り付けることができるため、保護カバー1を誤った向きに取り付けてしまうことを防止することができる。
【0040】
この場合、例えば異形状や中心からずれた位置に形成されている丸穴など、ハンドル8の中心に対して上下および左右に対称ではない形状となるキー1c溝がハンドル8に設けられている場合には、それに合わせたキー1cを設けることにより、窓部1dの位置を現在のタップ位置に一致する位置関係とすることができる。すなわち、規定部は、実施形態で例示したものに限らず、窓部1dを現在のタップ位置に対応する位置に規定できるものであれば、他の構成とすることができる。
【0041】
また、実施形態では規定部としてスリット8aに挿入されるキー1cを例示したが、例えば図9に示すように、規定部は、ハンドル8の外縁に沿った壁部1eによって形成することもできる。具体的には、平面視においてハンドル8の側方に長手方向に沿うように、また、側面視においてハンドル8の上面よりも下方まで延びるような壁部1eを設けることにより、保護カバー1の取り付け向きは、180°ずれた2つの向きに限定される。そして、実施形態のような符号板9が設けられている場合には識別番号が見える向きを選択すれば、保護カバー1を外すことなく現在のタップ位置を確認することができる。この構成は、キー1c溝が形成されていないハンドル8を採用している場合等において特に有意となる。
【0042】
この場合、例えば図10に示すように本体部1aの底部に、平面視においてハンドル8寄りも大きく、側面視においてハンドル8の少なくとも上面を収容可能な凹部1fを設け、ハンドル8の両側方にそれぞれ壁部1eを形成する構成とすることもできる。このような構成によっても、保護カバー1の取り付け向きをハンドル8の向きに対して2つに限定することができ、保護カバー1を誤った向きで取り付けるおそれを低減することができる。
【0043】
ところで、例えば図11に示すように、平面視においてハンドル8によって識別子(N)が隠されてしまうようなことが想定される。そのような場合には、例えば図12に示すように、保護カバー1の図示下方側に符号板9を収容可能なスペースを設け、本体部1aの一部に貫通孔を形成して窓部1dとし、識別子を視認可能な構成とすることができる。あるいは、図13に示すように、フランジ部1bから本体部1aまで窪んだ窓部1dを形成することで識別子を視認可能な構成とすることができる。
【0044】
この場合、ハンドル8を収容する内壁が、壁部1eとして機能することで、ハンドルの向きに対する保護カバーの取り付け向きを規定あるいは限定することが可能となる。このような構成によっても、保護カバー1を外すことなく現在のタップ位置を把握および確認することができる。
【0045】
この場合、ハンドル8を収容する本体部1aの中空部分の形状によって、上記したように保護カバー1を取り付ける向きを180°ずれた2つの向きに限定し、また、識別子の配置によって現在のタップ位置に対応する識別子のみを視認可能にすることもできる。これにより、保護カバー1を誤った向きに取り付けてしまうことを防止できる。
【0046】
実施形態では平面視において概ね矩形状のハンドル8を例示したが、ハンドル8の形状はこれに限定されない。また、ハンドル8が他の形状である場合には、キー1cの形状や壁部1eの形状をハンドル8に合わせた形状や位置とすることにより、保護カバー1を外すことなく現在のタップ位置を把握および確認することができる等、上記した各種の効果を得ることができる。
【0047】
実施形態では周方向に1列で識別子が表記されている例を示したが、識別子が複数列で表記されている場合には、窓部1dを複数列で設ける構成とすることができる。この場合、識別子を表記する位置をある程度考慮すれば、1つの窓部1dでのみ視認可能とすることができ、保護カバー1の向きを間違えたりタップ位置を誤認識したりすることを防止できる。識別子は、タップ切替器7を構成する符号板9ではなく、タンク3の外面に表記されていてもよい。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0049】
図面中、1は保護カバー、1aは本体部、1bはフランジ部、1cはキー(規定部)、1dは窓部、1eは壁部(規定部)、7はタップ切替器、8はハンドル、8aはスリット、9は符号板(取り付け面)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13