(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】電動式建設機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/00 20060101AFI20220907BHJP
E02F 9/08 20060101ALI20220907BHJP
B60K 1/00 20060101ALI20220907BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20220907BHJP
【FI】
E02F9/00 C
E02F9/08 Z
B60K1/00
B60K1/04 Z
(21)【出願番号】P 2018172707
(22)【出願日】2018-09-14
【審査請求日】2021-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 善之
(72)【発明者】
【氏名】富澤 美帆
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-084569(JP,A)
【文献】特開2012-001933(JP,A)
【文献】特開2013-234474(JP,A)
【文献】特開平10-317429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 9/08
B60K 1/00
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に伸びるベースプレートと、
該ベースプレート上に設けられ、電源からの電力が供給されるインバータ及び該インバータが変換した電力によって駆動される電動モータを含む高電圧機器と、
前記ベースプレート上の前記高電圧機器とは異なる領域に設けられて、前記電動モータによって駆動される油圧ポンプ、該油圧ポンプが吐出する作動油を分配する油圧バルブ、及び、各種機器を冷却するクーリングユニットを含む非高電圧機器と、
前記ベースプレート上の前記高電圧機器が設けられた領域を開閉可能に覆う高電圧機器カバー、及び、前記ベースプレート上の前記非高電圧機器が設けられた領域を開閉可能に覆う非高電圧機器カバーを有する外装カバーと、
前記外装カバーの内側で、前記ベースプレート上の前記高電圧機器が設けられた高電圧領域と前記ベースプレート上の前記非高電圧機器が設けられた非高電圧領域とを区画する仕切り部と、
を備える電動式建設機械。
【請求項2】
前記高電圧機器は、前記電源としてのバッテリユニットをさらに有し、
前記高電圧機器は、前記ベースプレート上の後方側の領域に設けられており、
前記高電圧機器カバーは、前記ベースプレート上の後方側の領域を覆う後部カバーである請求項1に記載の電動式建設機械。
【請求項3】
前記高電圧機器は、
前記バッテリユニットの充電時に外部から充電コネクタが接続される充電コネクタ接続部と、
前記インバータ、前記バッテリユニット及び前記充電コネクタ接続部を接続するパワーデリバリユニットと、
をさらに有する請求項2に記載の電動式建設機械。
【請求項4】
前記非高電圧機器は、
前記油圧ポンプ及び前記油圧バルブの少なくとも一方を含む通常点検機器と、
前記クーリングユニット及びオイルタンクの少なくとも一方を含む日常点検機器と、
を含み、
前記通常点検機器は、前記ベースプレート上における前記後部カバーによって覆われた領域の前方側かつ該ベースプレートの幅方向一方側の領域に設けられており、
前記日常点検機器は、前記ベースプレート上における前記後部カバーによって覆われた領域の前方側かつ該ベースプレートの幅方向他方側の領域に設けられており、
前記非高電圧機器カバーは、
前記ベースプレート上における前記通常点検機器が設けられた幅方向一方側の領域を覆う第一側部カバーと、
前記ベースプレート上における前記日常点検機器が設けられた幅方向他方側の領域を覆う第二側部カバーと、
を含む請求項2又は3に記載の電動式建設機械。
【請求項5】
前記通常点検機器は、
前記油圧バルブによる前記作動油の分配先を切り替えることで操作レバーの操作パターンを切り替える操作パターン切替部をさらに有する請求項4に記載の電動式建設機械。
【請求項6】
前記日常点検機器は、
補機に電力を供給する補機バッテリと、
前記油圧ポンプが吐出する前記作動油が貯留されたオイルタンクと、
をさらに有する請求項4又は5に記載の電動式建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動式建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電動式建設機械の一例として電動式油圧ショベルが開示されている。電動式油圧ショベルは、従来の油圧ショベルのエンジンに代えて、バッテリによって駆動される電動モータを備えている。
電動式油圧ショベルの上部旋回体における後部には多数のバッテリを有するバッテリユニットが設けられている。バッテリユニットは、外装カバーの一部としての後部カバーによって覆われている。
油圧式ショベルの上部旋回体における側部には、上記電動モータに加えてインバータ、油圧ポンプ及びクーリングユニット等の機器が設けられている。これら機器は、外装カバーの一部としての側部カバーによって覆われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の電動式油圧ショベルでは、例えば油圧ポンプやクーリングユニット等のメンテナンス時に側部カバーを取り外せば、同時に高電圧機器としての電動モータやインバータにもアクセス可能となってしまう。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、メンテナンス時の安全性を向上させることができる電動式建設機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様に係る電動式建設機械は、水平方向に伸びるベースプレートと、該ベースプレート上に設けられ、電源からの電力が供給されるインバータ及び該インバータが変換した電力によって駆動される電動モータを含む高電圧機器と、前記ベースプレート上の前記高電圧機器とは異なる領域に設けられて、前記電動モータによって駆動される油圧ポンプ、該油圧ポンプが吐出する作動油を分配する油圧バルブ、及び、各種機器を冷却するクーリングユニットを含む非高電圧機器と、前記ベースプレート上の前記高電圧機器が設けられた領域を開閉可能に覆う高電圧機器カバー、及び、前記ベースプレート上の前記非高電圧機器が設けられた領域を開閉可能に覆う非高電圧機器カバーを有する外装カバーと、前記外装カバーの内側で、前記ベースプレート上の前記高電圧機器が設けられた高電圧領域と前記ベースプレート上の前記非高電圧機器が設けられた非高電圧領域とを区画する仕切り部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
上記態様の電動式建設機械によれば、メンテナンス時の安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る電動式油圧ショベルの側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電動式油圧ショベルの上部旋回体の内部構造を示す模式的な平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る電動式油圧ショベルの上部旋回体の内部構造を示す模式的な左側面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る電動式油圧ショベルの上部旋回体の内部構造を示す模式的な右側面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る電動式油圧ショベルの上部旋回体の平面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る電動式油圧ショベルの上部旋回体の左側面図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る電動式油圧ショベルの上部旋回体の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について
図1~
図7を参照して詳細に説明する。
<電動式油圧ショベル(電動式建設機械)>
図1に示すように、電動式建設機械の一例としての電動式油圧ショベル200は、下部走行体210及び上部旋回体220を備えている。以下では、電動式油圧ショベル200が水平面に設置された状態における重力が作用する方向を上下方向と称する。
【0010】
<下部走行体>
下部走行体210は、一対の履帯211を有している。これら履帯211が走行用油圧モータ(図示省略)によって駆動されることで下部走行体210が走行する。下部走行体210の走行方向を前後方向、走行方向前方側(通常の前進方向、下記ブレード212が設けられている側)を前方、当該前方の反対側である走行方向後方を後方と称する。また、前進方向を見て右方を「右」、左方を「左」と称する。上記履帯211は、左右に一対が設けられている。
下部走行体210の前部には、下部走行体210の車幅方向(以下、単に幅方向と称する。)に延びる排土板としてのブレード212が設けられている。該ブレード212は、油圧シリンダによって駆動されることで高さ位置が調整可能とされている。
【0011】
<上部旋回体>
上部旋回体220は、下部走行体210上に設けられている。上部旋回体220は、スイングサークル215を介して下部走行体210に接続されている。スイングサークル215は、上下方向に延びる旋回軸線を中心とした円環状をなしている。上部旋回体220は、スイングサークル215によって、下部走行体210に対して旋回軸線回りに旋回可能とされている。
上部旋回体220は、作業機221、旋回フレーム10、門型フレーム20、仕切り壁24(仕切り部)、高電圧機器30、非高電圧機器40、旋回モータ70、運転空間80、プロテクタ95、外装カバー100を備えている。
【0012】
<作業機>
作業機221は、
図1に示すように、ブーム222、アーム223及びバケット224を有する。作業機221は、ブーム222、アーム223及びバケット224がそれぞれ各油圧シリンダにより駆動されることで掘削等の各種作業を行う。以下では、作業機221が電動式油圧ショベル200の前方を向いている状態における上部旋回体220の幅方向を単に「幅方向」と称する。また、幅方向の中央に向かう方向を「幅方向内側」と称し、幅方向の中央から左側(幅方向一方側)又は右側(幅方向他方側)に向かう方向を「幅方向外側」と称する。
【0013】
<旋回フレーム>
旋回フレーム10は、ベースプレート11、横仕切りプレート12、前部縦仕切りプレート13、前部補強プレート14、ブラケット15及び後部縦仕切りプレート16を有している。
【0014】
<ベースプレート>
図2~
図4に示すように、ベースプレート11は、水平方向に延びる板状をなす部材である。即ち、ベースプレート11は、前後方向及び幅方向に延びている。ベースプレート11は、一枚の鋼板によって構成されていてもよいし、複数の鋼板を組み合わせることで構成されていてもよい。ベースプレート11の下面はスイングサークル215上に固定されている。これによって、旋回フレーム10はスイングサークル215によって下方から支持されている。
【0015】
<横仕切りプレート>
横仕切りプレート12は、ベースプレート11の上面から上方に向かって突出するとともに幅方向にわたって延びる板状の部材である。横仕切りプレート12は、幅方向を長手方向として延びている。横仕切りプレート12は、ベースプレート11における前後方向の中央よりも前方側の部分に配置されている。横仕切りプレート12は、ベースプレート11の幅方向両側の端部、即ち、左右両側の端部にわたって延びている。
【0016】
<前部縦仕切りプレート>
前部縦仕切りプレート13は、ベースプレート11の上面から突出するとともに前後方向に延びる板状の部材である。前部縦仕切りプレート13は、ベースプレート11の上面における横仕切りプレート12の前方側で、幅方向に互いに離間して一対が設けられている。即ち、前部縦仕切りプレート13は、左右に間隔をあけて一対が設けられている。一対の前部縦仕切りプレート13は、それぞれベースプレート11の幅方向両側の端部よりも幅方向内側に配置されている。
【0017】
前部縦仕切りプレート13は、後方側の端部が横仕切りプレート12の前方側を向く面に接続されている。即ち、前部縦仕切りプレート13は、横仕切りプレート12から前方に延びるように設けられている。
図2に示すように、一対の前部縦仕切りプレート13は、横仕切りプレート12との接続箇所である後方側の端部から前方側に向かうに従って、互いに近接するように設けられている。
【0018】
<前部補強プレート>
前部補強プレート14は、一対の前部縦仕切りプレート13の前部で、これら一対の前部縦仕切りプレート13に一体に固定されている。前部補強プレート14は、一対の前部縦仕切りプレート13の配置に応じて、平面視にて前方に向かうに従って幅方向の間隔が小さくなる形状をなしている。
【0019】
<ブラケット>
ブラケット15は、一対の前部縦仕切りプレート13及び前部補強プレート14の前端に固定されている。ブラケット15は、上下方向に貫通する円筒状をなす部材である。当該円筒状の外周面に一対の前部縦仕切りプレート13及び前部補強プレート14の前端が一体に固定されている。ブラケット15を介して作業機221がベースプレート11に支持されている。
【0020】
<後部縦仕切りプレート>
後部縦仕切りプレート16は、ベースプレート11の上面から突出するとともに前後方向に延びる板状の部材である。後部縦仕切りプレート16は、ベースプレート11の上面における横仕切りプレート12の後方側で、幅方向に互いに離間して一対が設けられている。即ち、後部縦仕切りプレート16は、左右に一対が設けられている。一対の後部縦仕切りプレート16の幅方向の間隔は、一対の前部縦仕切りプレート13の後端におけるこれら前部縦仕切りプレート13の幅方向の間隔よりも大きい。
【0021】
<門型フレーム>
図2~
図4に示すように、門型フレーム20は、ベースプレート11上に固定されている。門型フレーム20は、一対の柱部21及び梁部22を有している。
【0022】
一対の柱部21は、ベースプレート11上における横仕切りプレート12よりも後方で、幅方向に離間して一対が設けられている。柱部21は上下方向に延びており、下端がベースプレート11に固定されている。
梁部22は、一対の柱部21の上端にわたって幅方向に延びている。梁部22は、ベースプレート11の上面の上方に該上面と間隔をあけて設けられている。一対の柱部21と梁部22とは一体に固定されている。門型フレーム20は、前後方向から見て逆U字状をなしている。
【0023】
<高電圧領域>
平面視にてベースプレート11上における門型フレーム20よりも後方側の幅方向かつ後方側にわたって延びる後部領域は、高電圧領域Hとされている。
【0024】
<通常点検領域>
ベースプレート11上における高電圧領域Hの前方かつ左側の領域は、通常点検領域Nとされている。本実施形態の通常点検領域Nは、ベースプレート11上における左側の前部縦仕切りプレート13の幅方向外側かつ横仕切りプレート12の前方の領域、及び、後部縦仕切りプレート16の左側かつ横仕切りプレート12の左側の領域のうち門型フレーム20から前方側の部分を含む。
【0025】
<日常点検領域>
ベースプレート11上における高電圧領域Hの前方かつ右側の領域は、日常点検領域Dとされている。本実施形態の日常点検領域Dは、ベースプレート11上における右側の前部縦仕切りプレート13の幅方向外側かつ横仕切りプレート12の前方の領域の右部分、及び、後部縦仕切りプレート16の右側かつ横仕切りプレート12の右側の領域のうちの門型フレーム20から前方側の部分を含む。
通常点検領域Nと高電圧領域Hとによって、非高電圧領域Lが形成されている。
【0026】
<仕切り壁>
仕切り壁24は、門型フレーム20に一体に固定されている。仕切り壁24は、上下方向及び幅方向に延びる板状をなしている。仕切り壁24は、一対の柱部21のうち左側の柱部21の上部から幅方向外側に向かって張り出すように設けられている。仕切り壁24は、左側の柱部21の後方側を向く面に固定されている。仕切り壁24の上端は、門型フレーム20の上端と同様の高さ位置とされている。仕切り壁24の下端は、ベースプレート11の上面まで延びている。仕切り壁24によって、ベースプレート11上の左側の部分では、高電圧領域Hと通常点検領域Nとが前後に区画されるように隔てられている。仕切り壁24には、該仕切り壁24を前後に貫通する孔部24aが形成されている。
【0027】
<高電圧機器>
高電圧機器30は、人体に感電の影響を与えるおそれがある比較的高い電圧(例えば数百ボルトの電圧)を扱う電機機器である。高電圧機器30は、ベースプレート11上の高電圧領域Hに設けられている。本実施形態では高電圧機器30として、バッテリユニット31、インバータ36、パワーデリバリユニット37、充電コネクタ接続部38、電動モータ39及び図示しないバッテリケーブルを含む。
【0028】
<バッテリユニット>
バッテリユニット31は、電動式油圧ショベル200の電源である。
図2~
図4に示すように、バッテリユニット31は、ベースプレート11上における後部の中央付近に設けられている。本実施形態のバッテリユニット31は、
図3及び
図4に示すように、複数(本実施形態では4つ)のバッテリモジュール32を上下方向に積層することで組み立てられている。
【0029】
各バッテリモジュール32は、バッテリケース33、バッテリ本体(図示省略)、センサボックス34を有している。
バッテリケース33は、平面視で前後方向及び幅方向に延びる矩形枠状をなしている。バッテリ本体は、バッテリケース33の内側に水平方向に複数が配置されている。バッテリ本体がバッテリユニット31全体で電気的に接続されることで、バッテリ回路が構成されている。センサボックス34は、バッテリケース33の後面からさらに後方に突出するように設けられている。センサボックス34は、幅方向に延びる箱状をなしている。センサボックス34の内部には、各種のセンサ及びコンタクタ等が収容されている。最上部のセンサボックス34には、当該センサボックス34から後方に突出するようにサービスプラグ35が設けられている。サービスプラグ35を引き抜くことで、バッテリユニット31のバッテリ回路が遮断される。
【0030】
各バッテリモジュール32は、平面視で各バッテリケース33の後面及び側面を一致させるように上下に積層一体化されている。複数のバッテリモジュール32のうち、最上部のバッテリモジュール32を除くバッテリモジュール32のバッテリケース33は、互いに同一の形状をなしている。これにより、最上部を除くバッテリモジュール32のバッテリケース33は、平面視で後面及び側面に加えて前面も一致している。最上部のバッテリケース33は、他のバッテリモジュール32よりも前後方向の寸法が短い。これにより、最上部のバッテリケース33の前面は、他のバッテリケース33よりも後方側に後退するように配置されている。
【0031】
複数のバッテリケース33の側面によって、バッテリユニット31の側面31aが形成されている。最上部を除くバッテリケース33の前面によって、バッテリユニット31の第一前面31bが形成されている。最上部のバッテリケース33の前面は、バッテリユニット31の第二前面31cとされている。
上から二番目のバッテリモジュール32の上面における前方側の部分は、最上部のバッテリモジュール32が積層されておらず上方に露出している。当該部分は、図示しないファンが設けられた第一蓋部31fによって閉塞されている。第一蓋部31fの上面は、バッテリユニット31の第一上面31dとされている。
【0032】
最上部のバッテリモジュール32の上面は、図示しないファンが設けられた第二蓋部31gによって閉塞されている。第二蓋部31gの上面は、バッテリユニット31の第二上面31eとされている。
バッテリユニット31は、最下部のバッテリケース33の下方から流入する空気がバッテリ本体を冷却しながら上方に向かって流通する。そして、当該空気は、第一蓋部31f及び第二蓋部31gに設けられたファンを介してバッテリユニット31の外部に排出される。
【0033】
バッテリユニット31は、下面における左右両側の端部が、後部縦仕切りプレート16上に固定されている。
図2に示すように、バッテリユニット31の左右一対の側面31aは、平面視で後部縦仕切りプレート16に沿うように前後方向に延びている。バッテリユニット31の第一前面31bは、横仕切りプレート12に沿って延びている。バッテリユニット31の第一前面31bは、横仕切りプレート12の後面に幅方向にわたって当接している。バッテリユニット31の第一上面31dは、門型フレーム20の梁部22の下方に対向している。バッテリユニット31の第二前面31cは、門型フレーム20の梁部22の後方に対向している。即ち、バッテリユニット31は、最上部のバッテリモジュール32を除く複数のバッテリモジュール32の前部からなるバッテリユニット31の前部のみが、逆U字状をなす門型フレーム20の内側を挿通するようにして当該門型フレーム20よりも前方側に配置されている。
【0034】
<インバータ>
インバータ36は、
図2から
図4に示すように、バッテリユニット31の第二上面31e上に、枠状をなすキャリア36aを介して設けられている。インバータ36は、バッテリユニット31から供給される直流電力を交流電力に変換する。
【0035】
<パワーデリバリユニット>
パワーデリバリユニット37は、
図2及び
図4に示すように、ベースプレート11上の高電圧領域Hにおけるバッテリユニット31の右側に設けられている。パワーデリバリユニット37の前面は、門型フレーム20の右側の柱部21の後方側に間隔をあけて配置されている。パワーデリバリユニット37の下端は、ベースプレート11上に固定されている。パワーデリバリユニット37は、
図2に示す平面視で前後方向を長手方向、幅方向を短手方向とする矩形状をなしている。パワーデリバリユニット37は、
図4に示す右側面視では、前後方向を短手方向、上下方向を長手方向とした矩形状をなしている。パワーデリバリユニット37の高さは、バッテリユニット31の高さと同等とされている。
【0036】
パワーデリバリユニット37は、バッテリユニット31に充電された直流電力をインバータ36に供給する。即ち、インバータ36には、パワーデリバリユニット37を介してバッテリユニット31からの直流電力が供給される。パワーデリバリユニット37には、コンタクタ、DC-DC変換器及び車載充電器等の各種電気機器が設けられている。
【0037】
<充電コネクタ接続部>
充電コネクタ接続部38は、
図2から
図4に示すように、バッテリユニット31上に設けられている。充電コネクタ接続部38は、インバータ36と同様、バッテリユニット31の第二上面31e上に固定されたキャリア36aに固定されている。充電コネクタ接続部38は、センサボックス34の直上に配置されている。充電コネクタ接続部38は、普通充電口及び急速充電口を有している。
【0038】
普通充電口には、外部から普通充電コネクタが接続される。普通充電コネクタからの電力は、パワーデリバリユニット37の普通充電器及びコンタクタを介してバッテリユニット31に供給される。
急速充電口には、外部から急速充電コネクタが接続される。急速充電コネクタからの電力は、パワーデリバリユニット37のコンタクタを介してバッテリユニット31に供給される。
上記パワーデリバリユニット37によって、バッテリユニット31、インバータ36及び充電コネクタ接続部38が電気的に接続されている。
【0039】
<電動モータ>
電動モータ39は、インバータ36から供給される交流電力によって駆動される。電動モータ39は、
図2及び
図3に示すように、ベースプレート11上の高電圧領域Hにおけるバッテリユニット31の左側に設けられている。電動モータ39は、駆動軸が前後方向に沿うように設けられている。
図2に示す平面視にて、電動モータ39の前方側の端面は、仕切り壁24の後方側に対向している。
図3に示す側面視にて電動モータ39は、図示しない支持部に固定されることで、ベースプレート11の上方に配置されている。電動モータ39の前後方向の寸法は、バッテリユニット31のバッテリケース33の前後方向の寸法よりも短い。電動モータ39は、バッテリケース33の前面と後面との間の前後方向位置に設けられている。
【0040】
<非高電圧機器>
非高電圧機器40は、高電圧を扱う高電圧機器30に対して、電気を扱わない機器又は低電圧を扱う機器である。本実施形態では、
図2に示すように、非高電圧機器40として、通常点検機器50及び日常点検機器60を有している。
【0041】
<通常点検機器>
通常点検機器50は、電動式油圧ショベル200のメンテナンス作業員によるメンテナンス・修理等の作業(例えば下記油圧ポンプ51や油圧バルブ52の圧力点検等の作業)が施される機器である。通常点検機器50は、ベースプレート11上の通常点検領域Nに設けられている。通常点検機器50は主として油圧機器である。本実施形態では通常点検機器50として、油圧ポンプ51、油圧バルブ52及び操作パターン切替部53が設けられている。
【0042】
<油圧ポンプ>
油圧ポンプ51は、電動モータ39の駆動軸の回転に伴って駆動されることで、作動油を吐出する。油圧ポンプ51は、
図2に示すように、通常点検領域Nにおける仕切り壁24の前方側であって横仕切りプレート12の前後位置付近に設けられている。油圧ポンプ51は、回転軸が前後方向に沿うように配置されている。
【0043】
図3に示すように、油圧ポンプ51は図示しない支持部に支持されることでベースプレート11の上方に間隔をあけて設けられている。油圧ポンプ51の回転軸の軸線は、電動モータ39の駆動軸の回転軸線と一致するように前後方向に延びている。油圧ポンプ41の回転軸と電動モータ39の駆動軸とは、仕切り壁24の孔部24aを挿通する連結軸51aによって連結されている。
【0044】
<油圧バルブ>
油圧バルブ52は、
図2に示すように、ベースプレート11上の通常点検領域Nにおける前部縦仕切りプレート13の左側かつ横仕切りプレート12の前方側に設けられている。油圧バルブ52は、油圧ポンプ51に接続されている。油圧バルブ52は、油圧ポンプ51から吐出される作動油を各種油圧シリンダ等の油圧機器に分配する。
【0045】
油圧バルブ52は、
図2に示す平面視にて、左側の前部縦仕切りプレート13に沿うように、長手方向を前部縦仕切りプレート13の延在方向に一致させて延びている。油圧バルブ52は、
図3に示すように、ベースプレート11の上面に固定されている。油圧バルブ52の上端は、油圧ポンプ51よりも低い位置に配置されている。
【0046】
<操作パターン切替部>
操作パターン切替部53は油圧バルブ52に接続されており、メンテナンス作業員によって設定変更されることで、油圧バルブ52による作動油の分配先を変更する。これにより、運転者の各種レバー操作によって可動される油圧シリンダが変更される。その結果、運転者による各種レバー操作の操作パターンを切り替えることができる。
操作パターン切替部53は、
図2に示すように、平面視にて油圧バルブ52の左側(幅方向外側)に配置されている。操作パターン切替部53は、ベースプレート11上に固定されている。操作パターン切替部53の上端の位置は、油圧バルブ52と同等か当該油圧バルブ52よりも低い位置とされている。
【0047】
<日常点検機器>
日常点検機器60は、電動式油圧ショベル200のオペレータによる日常的な点検(例えば冷却水の水量や作動油の油量の点検等の作業)が行われる機器である。日常点検機器60は、通常点検機器50に比べて点検頻度が高い。
図2に示すように、日常点検機器60は、ベースプレート11上の通常点検領域Nに設けられている。本実施形態では日常点検機器60として、クーリングユニット61、補機バッテリ64及びオイルタンク65が設けられている。
【0048】
<クーリングユニット>
クーリングユニット61は、
図2に示すように、ベースプレート11上の日常点検領域Dにおける横仕切りプレート12の前方側に設けられている。クーリングユニット61は、
図4に示すように、ベースプレート11の上面の上方に図示しない支持部を介して設けられている。
クーリングユニット61は、クーリングファン62及び熱交換部63を有している。
【0049】
クーリングファン62は、前後方向に沿う軸線回りに回転駆動される。クーリングファン62が駆動されることで、クーリングファン62が配置された箇所で後方側から前方側に向かっての送風が行われる。
【0050】
熱交換部63は、各種機器を冷却する熱交換器である。熱交換部63は、クーリングファン62の後方側で、該クーリングファン62と一体に設けられている。熱交換部63は、ラジエータ、メインオイルクーラ及びサブオイルクーラを有する。
【0051】
ラジエータには、インバータ36及びパワーデリバリユニット37と熱交換することで高温となった冷却水が流通する。メインオイルクーラには、油圧ポンプ51で吐出される作動油が流通する。サブオイルクーラには、電動モータ39と熱交換することで高温となった潤滑油が流通する。これらラジエータ、メインオイルクーラ及びサブオイルクーラには、それぞれ前後方向に空気が流通する連通部が形成されている。当該連通部をクーリングファン62により送風される空気が流通することで、冷却水、作動油及び潤滑油が冷却される。
本実施形態の熱交換部63は、後方側から前方側に向かってラジエータ、サブオイルクーラ及びメインオイルクーラの順序で積層されることで構成されている。
【0052】
<補機バッテリ>
補機バッテリ64は、
図2及び
図4に示すように、ベースプレート11上の日常点検領域Dにおけるクーリングユニット61の下方に設けられている。補機バッテリ64は、ベースプレート11の上面に固定されている。補機バッテリ64は、例えばライトや各種コントローラ等の補機に電力を供給する。補機バッテリ64は、高電圧機器30が扱う電圧よりも低い電圧(例えば数十ボルト、一例として24ボルト)を出力する。補機バッテリ64には、パワーデリバリユニット37のDC-DCコンバータを介して充電が行われる。
【0053】
<オイルタンク>
オイルタンク65は、
図2に示すように、ベースプレート11上の日常点検領域Dにおけるクーリングユニット61の前方側に設けられている。オイルタンク65は、
図4に示すように、ベースプレート11の上方に図示しない支持部を介して設けられている。オイルタンク65には、各油圧シリンダ及び油圧モータに供給される作動油が貯留されている。
【0054】
<旋回モータ>
旋回モータ70は、油圧バルブ52から供給される作動油によって回転駆動される油圧駆動式のモータである。旋回モータ70は、ベースプレート11における一対の前部縦仕切りプレート13の間の位置で、ベースプレート11を貫通するように設けられている。旋回モータ70は回転軸の軸線は上下方向に一致している。旋回モータ70が油圧によって駆動されることで、当該旋回モータ70の駆動力は、図示しないスイングピニオンを介してスイングサークル215に伝達される。これによって、上部旋回体220が下部走行体に対して旋回駆動する。
【0055】
<運転空間>
運転空間80は、オペレータが搭乗し、該オペレータによる電動式油圧ショベル200の操縦が行われる部分である。運転空間80は、
図5に示すように、上部旋回体220の前部かつ上部における左寄りの部分に設けられている。
【0056】
運転空間80は、
図5及び
図6に示すように、フロアパネル81、運転空間仕切りパネル82、側方仕切りパネル83、運転席84、右コンソール85、左コンソール86、操作レバー87、操作ペダル88及びキャノピー90を有する。
【0057】
フロアパネル81は、運転空間80の床面を形成する。フロアパネル81は、ベースプレート11上面の上方に間隔をあけて配置されている。フロアパネル81は、フロアパネル81上の通常点検領域N、一対の前部縦仕切りプレート13の間の領域を上方から覆っている。これにより、フロアパネル81とベースプレート11の上面との間の空間には、油圧バルブ52、操作パターン切替部53及び旋回モータ70が収容されている。
図3に示すように、フロアパネル81の底面の高さ位置は、前部縦仕切りプレート13の高さと同等とされている。
フロアパネル81の上面における左側の部分は、上部旋回体220の外方に開放されている。オペレータは、当該開放されたフロアパネル81の左側から運転空間80に搭乗することができる。
【0058】
運転空間仕切りパネル82は、
図3及び
図4に示すように、運転空間80をバッテリユニット31の前方及び上方に隔てる部材である。運転空間仕切りパネル82は、水平パネル82a及び上下パネル82bを有している。
【0059】
水平パネル82aは、バッテリユニット31の第一上面31dの上方に間隔をあけて前後方向及び幅方向に延びる板状をなしている。水平パネル82aの後端は、門型フレーム20における梁部22に幅方向にわたって固定されている。水平パネル82aの前端は、バッテリユニット31の第一前面31bよりも前方側に位置している。
【0060】
上下パネル82bは、上下方向及び幅方向に延びる板状をなしている、上下パネル82bの上端は、水平パネル82aの前端に接続されている。上下パネル82bの下端は、一対の前部縦仕切りプレート13の高さ位置に位置している。上下パネル82bの後方側の空間に各種コントローラが収容されていてもよい。また、水平パネル82a及び上下パネル82bの両側に、バッテリユニット31を幅方向外側から覆う側方パネルが設けられていてもよい。
【0061】
側方仕切りパネル83は、
図5及び
図6に示すように、前後方向かつ上下方向に延びるパネルであって、運転空間80を右側から区画する。側方仕切りパネル83は、
図2に示すように、ベースプレート11上で、日常点検領域Dを右側に区画している。日常点検領域Dに設けられたクーリングユニット61、補機バッテリ64及びオイルタンク65は、側方仕切りパネル83によって運転空間80と幅方向に隔てられている。
【0062】
運転席84は、オペレータが電動式油圧ショベル200を操縦する際に着座する部分であって、座部84a及び背もたれ部84bを有している。座部84aは、運転空間仕切りパネル82における水平パネル82a上に固定されている。背もたれ部84bは、座部84aの後部から上方に向かって延びている。
【0063】
図5に示すように、右コンソール85及び左コンソール86は、それぞれ運転席84の右側及び左側に設けられている。右コンソール85及び左コンソール86内には、各種コントローラ等が収容されている。
操作レバー87は、オペレータが操作するレバーであって、右コンソール85上、左コンソール86上及びフロアパネル81の前部に設けられている。上述した操作パターン切替部53によってこれら操作レバー87による操作パターンが切り替えられる。
操作ペダル88はフロアパネル81上に複数が設けられている。
【0064】
キャノピー90は、運転空間80を上方から区画する。キャノピー90は、
図6に示すように、後部支柱91、前部支柱92及び天井部93を有している。
後部支柱91は、門型フレーム20の上端に幅方向に間隔をあけて一対が固定されている。前部支柱92は、フロアパネル81の前部に幅方向に間隔をあけて一対が固定されている。
天井部93は、一対の後部支柱91及び前部支柱92の上端に固定されており、運転空間80を上方側から覆っている。
【0065】
<プロテクタ>
プロテクタ95は、
図6及び
図7に示すように、上部旋回体220の後部かつ下部の両角部に幅方向に間隔をあけて一対が設けられている。プロテクタ95は、例えば鋼材等の高強度部材によって形成されている。プロテクタ95は、ベースプレート11の後端の両側の角部に一体に固定されており、上方に向かって延びている。プロテクタ95は、上部旋回体220の旋回時に後部が衝突した場合における衝撃から該上部旋回体220を保護する。
【0066】
<外装カバー>
外装カバー100は、
図5~7に示すように、上部旋回体220の外形を形成するカバーである。該外装カバー100の内側に上部旋回体220の各種機器が収容されている。
外装カバー100は、後部カバー110、左カバー120及び右カバー130を有している。後部カバー110は、高電圧機器30を覆う高電圧機器カバーである。左カバー120及び右カバー130は、非高電圧機器40を覆う非高電圧機器カバーである。左カバー120及び右カバー130は、側部カバーである。
【0067】
<後部カバー>
図5~
図7に示すように後部カバー110は、外装カバー100の後部を形成している。
図2~
図4に示すように、ベースプレート11上の高電圧領域H、及び該高電圧領域Hに収容された機器を、該上部旋回体220の後方、上方及び幅方向両側から覆っている。後部カバー110の内側に高電圧領域Hが区画されている。後部カバー110は、複数の外装パネルを組み合わせることによって構成されており、各外装パネルは取り外し可能とされている。後部カバー110の一部または全部を取り外すことによって、各高電圧機器30に外部からアクセス可能となる。このように、高電圧領域H及び各高電圧機器30は後部カバー110によって開閉可能に覆われている。
【0068】
<左カバー>
図5及び
図7に示すように、左カバー120は、外装カバー100の左側部分を形成している。左カバー120及びフロアパネル81の内側に通常点検領域Nが区画されている。左カバー120は、左カバー本体121(第一側部カバー本体)及び床下カバー122を有している。
【0069】
左カバー本体121は、
図2及び
図5に示すように、ベースプレート11における通常点検領域Nの後部を上方、幅方向及び前方から覆っている。
図6に示すように、左カバー本体121は、後部カバー110の前端に接続されており、上端の高さ位置は運転席84と同等とされている。左カバー本体121の内側には、通常点検機器50のうち油圧ポンプ51が収容されている。左カバー本体121は、上部旋回体220に取り外し可能に設けられている。当該左カバー本体121を取り外すことによって、油圧ポンプ51に外部からアクセス可能となる。
【0070】
床下カバー122は、
図5及び
図6に示すように、ベースプレート11における通常点検領域Nの前部を左側及び前方から覆っている。即ち、床下カバー122は、通常点検領域Nにおけるフロアパネル81とベースプレート11の間の部分を左側及び前方から閉塞している。床下カバー122の後端は、左カバー本体121の前端に接続されている。床下カバー122の側面には、開閉可能な第一扉部122aが設けられている。該第一扉部122aを開放することで、通常点検領域Nに配置された操作パターン切替部53に外部からアクセス可能となる。床下カバー122及びフロアパネル81は上部旋回体220に取り外し可能に固定されている。これら床下カバー122及びフロアパネル81を取り外すことで、油圧バルブ52及び上部旋回体220に外部からアクセス可能となる。
このように、左カバー120は、通常点検領域N及び通常点検機器50にアクセスするために開閉可能に覆っている。
【0071】
<右カバー>
図5及び
図7に示すように、右カバー130は、外装カバー100の右側部分を形成している。右カバー130の内側に日常点検領域Dが区画されている。右カバー130は、外壁パネル131及び開閉パネル132を有している。
【0072】
外壁パネル131は、ベースプレート11における日常点検領域Dを右側から覆っている。
図7に示すように、外壁パネル131の後端は後部カバー110の前端に接続されている。外壁パネル131の幅方向内側に、クーリングユニット61、補機バッテリ64及びオイルタンク65が収容されている。
【0073】
外壁パネル131には、幅方向に連通する第一開口部131a及び第二開口部131bが形成されている。第一開口部131aは、クーリングユニット61における空気の吸込側に対応する位置に形成されている。第一開口部131aを介して日常点検領域D内に入り込んだ空気がクーリングユニット61に吸い込まれる。第二開口部131bは、クーリングユニット61における空気の排出側に対応する位置に形成されている。クーリングユニット61から排出された空気は、第二開口部131bを介して日常点検領域Dの外部、即ち、上部旋回体220の外部に排出される。
【0074】
外壁パネル131の側面の下部には、開閉可能な第二扉部131cが設けられている。該第二扉部131cを開放することで、日常点検領域Dに配置された補機バッテリ64に外部からアクセス可能となる。
【0075】
開閉パネル132は、日常点検領域Dを上方及び前方から覆っている。開閉パネル132は、右カバー130の前端下部で幅方向に延びる軸線回りに回動可能に設けられている。即ち、開閉パネル132は、外壁パネル131とともに日常点検領域Dを覆う閉塞位置と、該閉塞位置から上記軸線回りに前方側に向かって回動して日常点検領域Dを解放する開放位置との間で回動可能とされている。閉塞位置の開閉パネル132は、外壁パネル131及び後部カバー110に接している。開閉パネル132を解放位置とすることで、クーリングユニット61及びオイルタンク65に外部からアクセス可能となる。
このように右カバー130は、日常点検領域D及び日常点検機器60を開閉可能に覆っている。
【0076】
<作用効果>
上記構成の電動式油圧ショベル200では、高電圧機器30が配置された高電圧領域Hは外装カバー100の後部カバー110で覆われており、非高電圧機器40が配置された非高電圧領域Lは外装カバー100の左カバー120及び右カバー130で覆われている。
高電圧機器30へのメンテナンス・点検は、高電圧機器30の取り扱いについての研修を受けた者や高電圧機器30の取り扱いについての資格を有する者等の特別な作業員が、後部カバー110を開放することで行われる。
【0077】
一方、オペレータや一般的なメンテナンス作業員が非高電圧機器40にアクセスする際には、左カバー120又は右カバー130を開放する。この際、左カバー120及び右カバー130で覆われている機器は非高電圧機器40のみであり、左カバー120及び右カバー130を開放したとしても高電圧機器30は開放されない。そのため、オペレータや一般的なメンテナンス作業員は高電圧機器30にアクセスすることはできない。即ち、非高電圧機器40にアクセスする際に同時に高電圧機器30にアクセスすることはできないため、オペレータや作業員が非高電圧機器40に対するメンテナンス・点検を施す際の安全性を担保することができる。
特に本実施形態では、非高電圧領域Lである通常点検領域(N)は、仕切り壁24によって高電圧領域Hと隔てられている。そのため、通常点検領域(N)の通常点検機器50を点検するメンテナンス作業員の安全性をより一層担保することができる。
【0078】
本実施形態では電源としてのバッテリユニット31はベースプレート11上の後方側の領域に設けられている。これにより、重量物であるバッテリユニット31がカウンタウェイトを兼ねた構成とすることができる。そして、バッテリユニット31やインバータ36を含む高電圧機器30が後部カバー110で覆われていることで、当該後部カバー110を開放させることで特別な作業員が容易に高電圧機器30にアクセスすることができる。
【0079】
本実施形態では外部からの充電コネクタが接続される充電コネクタ接続部38、パワーデリバリユニット37も高電圧領域Hに設けられている。したがって、オペレータや一般的な作業員が、バッテリユニット31やインバータ36のみならず、充電コネクタ接続部38、パワーデリバリユニット37の高電圧機器30にも手が触れてしまうことを回避できる。
【0080】
本実施形態では、左カバー120内によって覆われた通常点検領域Nに通常点検機器50としての油圧ポンプ51や油圧バルブ52が収容されている。右カバー130内によって覆われた日常点検領域Dに日常点検領域Dとしての熱交換部63が収容されている。
【0081】
一般に、油圧ポンプ51や油圧バルブ52等の通常点検機器50は、オペレータではなくメンテナンス・修理等を業務とするメンテナンス作業員によって行われ、メンテナンス頻度は比較的低い。一方、クーリングユニット61等の日常点検機器60は、オペレータによって日々の点検が行われる機器であり、メンテナンス頻度は比較的高い。このように、作業者やメンテナンス頻度に応じて、通常点検機器50と日常点検機器60の収容領域を左右に分けることによって、各点検を効率良く行うことができる。即ち、オペレータが日常点検を行う際には、右カバー130のみを開放すればよく、左カバー120を開放しなくともよい。メンテナンス作業員が通常点検を行う際も、まずは左カバー120を開放すればよく、これにより当該メンテナンス作業員によって必要な通常点検や修理を油圧ポンプ51・油圧バルブ52に対して効率よく施すことができる。
【0082】
また、通常点検領域Nには操作パターン切替部53も配置されているため、メンテナンス作業員によるメンテナンス時に油圧ポンプ51や油圧バルブ52と同時に当該操作パターン切替部53にもアクセスすることができる。
【0083】
さらに、日常点検領域Dには、補機バッテリ64やオイルタンク65も設けられており、オペレータは、日常点検時にこれら補機バッテリ64及びオイルタンク65にも容易にアクセスすることができる。
【0084】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0085】
例えば、本実施形態では、後部カバー110を高電圧機器30カバーとし、左カバー120及び右カバー130を非高電圧機器40カバーとしたが、これに限定されることはない。高電圧領域Hを上部旋回体220の後部ではなく他の部分に形成して当該高電圧領域Hを覆うカバーを高電圧機器30カバーとしてもよい。また、高電圧領域Hの配置にしたがって、他の部分に非高電圧領域Lを配置して当該非高電圧領域Lを非高電圧機器40カバーで覆ってもよい。
【0086】
実施形態では非高電圧機器40を通常点検機器50及び日常点検機器60に区分し、これらを異なる領域に配置するとともに異なるカバーで覆った構成とした。しかしながらこれに限定されることはなく、通常点検機器50及び日常点検機器60を非高電圧機器40として同一の領域に配置して、当該領域を同一のカバーで覆う構成であってもよい。
【0087】
高電圧機器30は、インバータ36及びバッテリユニット31の少なくとも一方を含んでいればよい。
通常点検機器50は、油圧ポンプ51及び油圧バルブ52の少なくとも一方を含んでいればよい。
日常点検機器60は、クーリングユニット61及びオイルタンク65の少なくとも一方を含んでいればよい。
【0088】
高電圧領域Hに、電動モータ39の潤滑油を貯留する潤滑油タンク等の非高電圧の機器を配置してもよい。日常点検領域Dに、オイルフィルタ等の他の機器を配置してもよい。即ち、各領域には、実施形態で説明を省略した他の機器を配置してもよい。
【0089】
高電圧領域Hと日常点検領域Dとを区画する仕切り壁24を別途設けてもよい。即ち、高電圧領域Hと非高電圧領域Lとを区画する仕切り壁24があってもよい。これら高電圧領域Hと非高電圧領域Lとを区画する仕切り壁24は、壁状のものに限られれず、非高電圧領域Lに作業を行うオペレータやメンテナンス作業員が、高電圧領域Hの高電圧機器30に対してアクセス不能となる構造となる仕切り部であれば、他の構造であってもよい。例えば、仕切り部は、格子状や棒状をなしていてもよい。
【0090】
実施形態では、電動式建設機械の例として、電動式油圧ショベル200について説明したがこれに限定されることはない。例えば作業機221等の駆動も全て電動で行う電動式ショベル、さらにはケーブルを介して外部から電力が供給される電動式油圧ショベルに本発明を適用してもよい。また、他の電動式建設機械に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0091】
10…旋回フレーム,11…ベースプレート,12…横仕切りプレート,13…前部縦仕切りプレート,14…前部補強プレート,15…ブラケット,16…後部縦仕切りプレート,20…門型フレーム,21…柱部,22…梁部,24…仕切り壁(仕切り部),24a…孔部,30…高電圧機器,31…バッテリユニット,31a…側面,31b…第一前面,31c…第二前面,31d…第一上面,31e…第二上面,31f…第一蓋部,31g…第二蓋部,32…バッテリモジュール,33…バッテリケース,34…センサボックス,35…サービスプラグ,36…インバータ,36a…キャリア,37…パワーデリバリユニット,38…充電コネクタ接続部,39…電動モータ,40…非高電圧機器,50…通常点検機器,51…油圧ポンプ,51a…連結軸,52…油圧バルブ,53…操作パターン切替部,60…日常点検機器,61…クーリングユニット,62…クーリングファン,63…熱交換部,64…補機バッテリ,65…オイルタンク,70…旋回モータ,80…運転空間,81…フロアパネル,82…運転空間仕切りパネル,82a…水平パネル,82b…上下パネル,83…側方仕切りパネル,84…運転席,84a…座部,84b…背もたれ部,85…右コンソール,86…左コンソール,87…操作レバー,88…操作ペダル,90…キャノピー,91…後部支柱,92…前部支柱,93…天井部,95…プロテクタ,100…外装カバー,110…後部カバー,120…左カバー,121…左カバー本体,122…床下カバー,122a…第一扉部,130…右カバー,131…外壁パネル,131a…第一開口部,131b…第二開口部,131c…第二扉部,132…開閉パネル,200…電動式油圧ショベル,210…下部走行体,211…履帯,212…ブレード,215…スイングサークル,220…上部旋回体,221…作業機,222…ブーム,223…アーム,224…バケット,H…高電圧領域,L…非高電圧領域,N…通常点検領域,D…日常点検領域