(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】湿潤生地の通気性測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 15/08 20060101AFI20220907BHJP
G01N 33/36 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
G01N15/08 E
G01N33/36 A
(21)【出願番号】P 2018176937
(22)【出願日】2018-09-21
【審査請求日】2021-08-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)美津濃株式会社2019年春夏新製品発表展示会(東京) 開催日:平成30年6月7日~同年6月8日(東京) (2)美津濃株式会社2019年春夏新製品発表展示会(大阪) 開催日:平成30年6月12日~同年6月13日(大阪)
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】田島 和弥
(72)【発明者】
【氏名】白石 篤史
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-068244(JP,U)
【文献】登録実用新案第3103656(JP,U)
【文献】特開2009-115655(JP,A)
【文献】実開昭61-203346(JP,U)
【文献】実開昭61-070758(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/08
G01N 33/36
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥生地及び湿潤生地に可視ガスを通気させる生地の通気性測定装置であって、
開口部と、前記開口部
に生地をセットする生地セット部と、
前記生地セット部の下部の貯水容器と、可視ガス発生部を備え、
前記生地セット部は、開口部を有する2枚のプレートで前記生地を挟み込むようにセットし、乾燥状態の生地に可視ガスを通気させて通気性を測定でき、
前記生地セット部を垂直方向にスライド移動し前記貯水容器に浸漬し、前記生地を前記生地セット部から取り外すことなく湿潤状態にすることができ、
前記湿潤状態の前記生地を前記開口部にセットし、前記開口部
にセットされた前記湿潤生地に可視ガスを通気させ
て湿潤状態の生地の通気性を測定できることを特徴とする生地の通気性測定装置。
【請求項2】
前記通気性測定装置は、可視ガス発生部からの可視ガスを開口部に供給するパイプをさらに備える請求項1に記載の生地の通気性測定装置。
【請求項3】
前記通気性測定装置は、さらに可視ガス溜め部を備え、可視ガス発生部からの可視ガスをパイプにより前記可視ガス溜め部に溜め、開口部から湿潤生地に可視ガスを通気させる請求項1に記載の生地の通気性測定装置。
【請求項4】
前記可視ガスは、霧化水又は水蒸気である請求項1~
3のいずれかに記載の生地の通気性測定装置。
【請求項5】
前記可視ガス発生部は、超音波加湿器である請求項1~
4のいずれかに記載の生地の通気性測定装置。
【請求項6】
前記開口部は、垂直方向に向けて複数個存在し、通気性の異なった複数
の生地をセットし、複数の湿潤生地の通気性の相対評価が可能な請求項1~5のいずれかに記載の生地の通気性測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポーツ衣類、暑い時期に着用する衣類等の生地の測定に好適な湿潤生地の通気性測定装置に関する。さらに詳しくは、発汗時の生地の通気性を目視により観察できる湿潤生地の通気性測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、生地の通気度の測定はJIS L1096 8.27.1 A法のフラジール形法が一般的に使用されてきた。この方法は、生地組織の隙間を通る空気量(cm3/cm2・s)を求める方法である。特許文献1~2には、このフラジール形法で測定される初期通気度により、生地特性を特定することが記載されている。また、透湿防水性生地はJIS L1099 A-1法等が一般的であり、特許文献3には、この方法を使用することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-218708号公報
【文献】特開2002-220759号公報
【文献】特開2014-100843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記従来技術に提案されている測定方法は、生地組織の隙間を通過させる物質は肉眼で見ることができず、スポーツ衣類、暑い時期に着用する衣類、発汗時に着用する衣類等の生地を通気する物質を目視により観察できる通気性測定装置が求められていた。
【0005】
本発明は、前記従来の問題を解決するため、スポーツ衣類、暑い時期に着用する衣類、発汗時に着用する衣類等の生地を通気する物質を目視により観察できる湿潤生地の通気性測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の生地の通気性測定装置は、乾燥生地及び湿潤生地に可視ガスを通気させる生地の通気性測定装置であって、
開口部と、前記開口部に生地をセットする生地セット部と、前記生地セット部の下部の貯水容器と、可視ガス発生部を備え、
前記生地セット部は、開口部を有する2枚のプレートで前記生地を挟み込むようにセットし、乾燥状態の生地に可視ガスを通気させて通気性を測定でき、
前記生地セット部を垂直方向にスライド移動し前記貯水容器に浸漬し、前記生地を前記生地セット部から取り外すことなく湿潤状態にすることができ、
前記湿潤状態の前記生地を前記開口部にセットし、前記開口部にセットされた前記湿潤生地に可視ガスを通気させて湿潤状態の生地の通気性を測定できることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、水に浸漬させた湿潤生地を生地セット部にセットし、可視ガスを通気させることにより、スポーツ衣類、暑い時期に着用する衣類、発汗時に着用する衣類等の生地を通気する可視ガスを目視により観察できる。また、本発明の通気性測定装置は、コンパクトであり、重量も軽く、持ち運び可能で、取り扱い操作も容易であることから、店頭で測定試験を見ながら顧客に生地の通気性を目視で判断してもらうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態の通気性測定装置の模式的断面図である。
【
図4】
図4は同、生地セット部の模式的裏面図である。
【
図5】
図5は本発明の別の実施形態の通気性測定装置の模式的断面図である。
【
図8】
図8は本発明のさらに別の実施形態の通気性測定装置の模式的断面図である。
【
図10】
図10Aは従来の衣類用生地の通常状態における汗の移動を示す模式的説明図、
図10Bは同大量発汗状態における汗の移動を示す模式的説明図、
図10Cは改良した衣類用生地の大量発汗状態における汗の移動を示す模式的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明者らは、特願2018-014466において、生地の厚み方向に貫通した貫通孔を有し、貫通孔は生地の一方向に配列しており、貫通孔に接する少なくとも一部には撥水または疎水領域が配置され、他の部分には親水領域が配置されており、衣類用生地の生地重量100%に対して、300%水分を湿潤させた状態で、貫通孔が垂直方向となるように吊り下げたとき、貫通孔は空隙を維持する「通気性生地」を開発した。そして、生地を湿潤させた状態で、垂直方向にしたときに貫通孔が空隙を維持する状態を目視により分かりやすく観察できないかを着想し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、湿潤生地に可視ガスを通気させる生地の通気性測定装置である。ここで湿潤生地とは、生地質量100%に対して、100質量%以上、好ましくは200質量%、より好ましくは300質量%以上の水分(液体)を浸漬又は付与させた状態をいう。通常の生地は湿潤させると生地表面に水の膜が形成され、空隙は無くなってしまい、可視ガスは通気しない。しかし、前記「通気性生地」は、湿潤させても貫通孔の空隙を維持し、可視ガスは通気する。
【0011】
本発明の生地の通気性測定装置は、開口部と、前記開口部に繊維生地をセットする生地セット部と、可視ガス発生部を備え、水に浸漬させた湿潤生地を生地セット部にセットし、前記開口部から前記湿潤生地に可視ガスを通気させる。この通気性測定装置は、ハウジング(箱)を密閉しておくことにより、可視ガス発生部から発生する可視ガスは開口部から湿潤生地を通気する。これにより、通気した可視ガスを目視により観察できる。
【0012】
本発明の一実施形態の通気性測定装置は、開口部と、前記開口部に繊維生地をセットする生地セット部と、可視ガス発生部と、前記可視ガス発生部からの可視ガスを前記開口部に供給するパイプを備える。
本発明の別の実施形態の通気性測定装置は、開口部と、前記開口部に繊維生地をセットする生地セット部と、可視ガス発生部と、可視ガス溜め部と、前記可視ガス発生部からの可視ガスを前記可視ガス溜め部に供給するパイプを備える。前記可視ガス溜め部には、可視ガスを溜め飽和状態にさせておく。そして、生地は水に浸漬させ、湿潤生地とし、これを生地セット部にセットし、開口部から湿潤生地に可視ガス溜め部の可視ガスを通気させることで、通気した可視ガスを目視により観察できる。
【0013】
通気性測定装置は、さらに繊維生地を水に浸漬するための貯水容器を備えるのが好ましい。貯水容器があると、繊維生地を水に浸漬するのに便利である。貯水容器は必須ではなく、貯水容器を備えない場合は、別の容器に水を入れて準備する。本発明の通気性測定装置は、繊維生地を水に浸漬して湿潤させる前後の状態、すなわち乾燥状態と湿潤状態の通気性を測定できる。
【0014】
可視ガスは霧化水(霧)又は水蒸気が好ましい。より好ましくは超音波加湿器から発生するミスト状の霧化水である。霧化水は人体に安全であり、無臭で、取り扱い性も容易である。また、特願2018-014466では汗をかいても通気性を維持するウエアとして生地を開発しており、着用時の環境に近い点からもミスト状の霧化水が好ましい。その他、例えばドライアイスに水を付与すると目視可能なガス(可視ガス)が発生するが、このようなガスであってもよい。このような可視ガスは霧と同様に扱える。超音波加湿器は、乾燥した室内の湿度調整用、美容用、又は鼻炎治療用等に販売されている市販の加湿器を適用できる。
【0015】
開口部は、垂直の障壁面に複数個(例えば並列に2個)設けられ、通気性の異なった複数の繊維生地をセットし、複数の湿潤生地の通気性の相対評価が可能であることが好ましい。生地セット部は、開口部を有する2枚のプレートで生地を挟み込むようにセットし、パイプの先端部は生地セット部の開口部に合わせてセット可能であるのが好ましい。また、可視ガス溜め部を設ける場合は、パイプの先端部を可視ガス溜め部に接続し、可視ガス溜め部の開口部に合わせて生地セット部の開口部をセットするのが好ましい。このようにすると、装置の構造を簡略化できる。
【0016】
以下、図面を用いて本発明の好適な一実施形態の通気性測定装置を説明する。以下の図面において、同一符号は同一物を示す。
図1は本発明の一実施形態の通気性測定装置の模式的断面図である。この通気性測定装置1は、可視ガス発生部2として市販の超音波加湿器を使用した。まず、可視ガス発生部2からの可視ガスを、供給パイプ3を通してパイプ先端部3a,3bまで送り、開口部7にセットした繊維生地を通気させて可視ガスを外部に向けて排出する。繊維生地は水に浸漬させて湿潤生地6としておく。湿潤生地6は、生地セット部5の下部に設置した貯水容器8内の水9に浸漬するか、あるいは別の容器内の水に浸漬しておく。水9を入れた貯水容器8を生地セット部5の直下に取り付けると、生地セット部5をガイド等により垂直方向にスライドでき、繊維生地を生地セット部5から取り外すことなく湿潤状態にすることができる。湿潤生地6は、生地セット部5にセットする。湿潤生地6を通気した可視ガスは開口部7から外側に向けて排出されるので、これを目視により観察できる。
【0017】
図2は同、模式的平面図である。可視ガス発生部2からの可視ガスは、供給するパイプ3の先端部が3a,3bのように2つに分岐している。また、繊維生地6a,6bのように、複数の生地を生地セット部5にセットし、相対比較してもよい。10は空箱であり、装置全体の載置を安定化させるためのものであり、なくてもよい。
【0018】
図3は同、模式的斜視図である。通気性測定装置1の全体の大きさは、ヨコ450mm、奥行き420mm、高さ360mmであった。また貯水容器8の大きさは、ヨコ350mm、奥行き20mm、背面高さ145mm、前面高さ135mm、透明樹脂の厚さ2mm(但し両サイドのみ5mm)であった。
【0019】
図4は同、生地セット部の模式的裏面図である。
図4に示すように、繊維生地6a,6bのように形状を変えてもよい。但し、裏面側の繊維生地6a’,6b’の可視ガス通過面積は同一にしておく。裏面側の繊維生地6a’,6b’の直径は例えば85mmとする。
【0020】
図5は本発明の別の実施形態の通気性測定装置の模式的断面図である。前記した通気性測定装置と異なる点は、可視ガス溜め部4を設けたことである。可視ガス溜め部4について説明すると、可視ガス発生部2からの可視ガスを可視ガス溜め部4に供給するパイプ3の先端部を、可視ガス溜め部4に配置し、可視ガスをいったん可視ガス溜め部4に溜め、開口部7にセットした湿潤生地6に可視ガス溜め部4の可視ガスを通気させる。湿潤生地6を通気した可視ガスは開口部7から外側に向けて排出されるので、これを目視により観察できる。
図6は同、模式的平面図である。可視ガス発生部2からの可視ガスを可視ガス溜め部4に供給するパイプ3の先端部が、3a,3bのように2つに分岐している。また、繊維生地6a,6bのように、複数の生地を生地セット部5にセットし、相対比較してもよい。10は空箱であり、装置全体の載置を安定化させるためのものであり、なくてもよい。
図7は同、模式的斜視図である。大きさは第1番目の通気性測定装置とほぼ同一である。
【0021】
図8は本発明のさらに別の実施形態の通気性測定装置の模式的断面図、
図9は同、模式的平面図である。この通気性測定装置1は、ハウジング(箱)が密閉されており、可視ガス発生部2から発生する可視ガスは開口部7から湿潤生地6を通気する。これにより、通気した可視ガスを目視により観察できる。他の部分は
図1、
図2と同じである。
【0022】
図10Aは従来の衣服の通常状態における汗の移動を示す模式的説明図である。肌11から出た汗13a,13bは衣類用生地12aの空隙部から外気側に拡散する。14は空気の流れである。
図10Bは従来の衣類用生地の大量発汗状態における汗の移動を示す模式的説明図である。大量発汗状態においては、衣類用生地の濡れは大きくなり、水の膜が形成され、衣類用生地12bの空隙部は無くなるか少なくなってしまい、汗13も空気14も肌11面に残存してしまい、無効発汗が増え、深部体温の上昇による運動パフォーマンスが低下し、不快感も高くなる。
【0023】
これに対して
図10Cは、改良した衣類用生地12Cの大量発汗状態における汗の移動を示す模式的説明図である。大量発汗状態になり、衣類用生地の濡れは大きくなっても、貫通孔の空隙は確保されるため、水の膜の形成を抑制し、衣類用生地12Cの通気性を確保し、肌11から出た汗13a,13bも空気14も衣類用生地12cの空隙部から外気側に拡散する。また、皮膚上の汗を常に身体表面上で気化することで、有効発汗量を増やし、運動パフォーマンスを低下させず、発汗時にも快適に着用できる。本発明の通気性測定装置1は、湿潤状態における衣類用生地の通気性が確保されているか否かを目視により評価できる。
【0024】
図11Aは改良した衣類用生地15の平面図、
図11Bは同、模式的断面図である。この衣類用生地15は厚み方向に貫通した貫通孔16を有し、この貫通孔16は衣類用生地15のタテ方向に配列している。貫通孔16に接する少なくとも一部には撥水性繊維糸又は疎水性繊維糸17が配置され、他の部分には親水性繊維糸18が配置されている。親水性繊維糸18の編地部分は厚く、撥水性繊維糸又は疎水性繊維糸17の編地部分は薄いことからタテ方向に溝部(ライン)19を形成している。撥水性繊維糸又は疎水性繊維糸17が配置されている部分は撥水又は疎水領域となり、親水性繊維糸18が配置されている部分は親水領域となる。
【実施例】
【0025】
以下実施例を用いてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定して解釈されるものではない。
(実施例1、比較例1)
表1に示す内容の生地を作成した。撥水性糸又は疎水性糸Iで貫通孔を含む生地部分を形成し、他の部分は親水性糸IIで形成した。実施例1(開発品A)、比較例1(比較品a)はシャツを対象とした。表1において、PETはポリエチレンテレフタレート繊維糸である。また、Tはdicitex,fはフィラメント数、SDはセミダルを示す。
【0026】
【0027】
実施例品1、比較例品1の湿潤時の通気性を
図5~
図7に示す通気性測定装置を用いて測定した。超音波加湿器はSib社製、製品名"URBAN UTILITY mist box"、型番"UCHM-AQ1"、超音波振動方式、電源AC100V,60/60Hz,定格電力約30W,タンク容量約4.1Lを使用した。この加湿器は最大350ml/Hrの加湿能力があるが、約1/3の目盛り量で運転した。
実施例品1、比較例品1の各生地の水に浸漬後の生地サンプルを2つの生地セット部にそれぞれセットし、同時に相対比較した。その結果、実施例品1からは霧が通気したが、比較例品1からは霧が通気しなかった。超音波加湿器から発生する霧は白色ガスであり、目視により観察できた。
【0028】
実施例品1、比較例品1の開口率を測定した。開口率は下記の方法で測定した。
(1)生地の画像を印刷し、4点の貫通孔の中心を結んだ線分で形成された四角形の範囲を切り取る。
(2)切り取られた四角形の部分の紙重量W1を測定する。
(3)切り取られた四角形部分に入っている貫通孔を切り取り、その紙重量W2を測定する。
(4)開口率=(1-(W2/W1))×100で算出する。
各生地の開口率を表2にまとめて示す。
【0029】
【0030】
乾燥時及び湿潤時の通気抵抗を測定した。測定には通気抵抗試験機KES-F8(カトーテック社製)を用いた。この測定は、大気中へ空気を放出・吸引し、放出・吸引時の圧力を検知し、通気抵抗Rを算出することにより行った。
通気量:4cc/cm2/sec.(通気量一定方式)
通気穴面積:2πcm2
乾燥時の通気抵抗は、生地を乾燥させた状態で温度20℃、相対湿度65%R.H.の条件で測定した。
湿潤時の通気抵抗は生地質量100%に対して、300%の水分を湿潤させた状態で、空気の放出・吸引方向を地面と平行で測定した。温度と湿度は前記と同じである。測定方法は次のとおりである。
(1)生地が地面に対して垂直の状態となるようにした。
(2)水槽の中に浸漬させた試料を取り出し、試験機に生地を設置した。
(3)KESの試験マニュアルに準拠した方法で測定開始した。
各生地の通気抵抗値を表3にまとめて示す。
【0031】
【0032】
開口率はそれほど大きく違わないが(表2)、表3から明らかなとおり、実施例1品は比較例1品に比べて乾燥時も湿潤時も通気抵抗値が低く、とくに湿潤時の通気抵抗値は顕著に低いことがわかる。湿潤時の通気抵抗値は0.1kPa・s/m2以下であると衣服内から衣服外に水分が抜ける体感が得られる。また、表3の結果は、前記通気性測定装置を用いた湿潤時の通気性とよく一致していた。
【符号の説明】
【0033】
1 通気性測定装置
2 可視ガス発生部
3 供給パイプ
3a,3b パイプ先端部
4 可視ガス溜め部
5 生地セット部
6,6a,6b 湿潤生地
7 開口部
8 貯水容器
9 水
10 空箱
11 肌
12a,12b,12C,15 衣類用生地
13,13a,13b 汗
14 空気
15 衣類用生地
16 貫通孔
17 撥水性繊維糸又は疎水性繊維糸
18 親水性繊維糸
19 溝部(ライン)