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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】顕微鏡装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/00 20060101AFI20220907BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20220907BHJP
   G02B 21/24 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/06
G02B21/24
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018184825
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020052383
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-06-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390014960
【氏名又は名称】シスメックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 昌也
(72)【発明者】
【氏名】岩永 茂樹
【審査官】森内 正明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-44997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 21/00 - 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を設置するための試料設置部と、
前記試料設置部に設置された試料を撮像する撮像部と、
前記試料設置部が設けられるとともに、前記撮像部が内部に配置された筐体部と、
前記試料設置部に蛍光用の光を照射する第1照明と、
前記試料設置部を覆う第1位置と、前記試料設置部を開放する第2位置とに移動可能な第1カバーと、
前記第1位置に移動した前記第1カバー内において前記試料設置部を断熱するように覆う第2カバーと、
前記試料設置部に光を照射する第2照明と、を備え
前記第2照明は、前記第2カバーが前記試料設置部を覆っている状態において、前記第2カバーの前記試料設置部に対向する側に設けられている、顕微鏡装置。
【請求項2】
前記第2照明は、前記第2カバーが前記試料設置部を覆っている状態において、前記第2照明の光軸が前記第1照明の光軸に対してずれるように配置されている、請求項1に記載の顕微鏡装置。
【請求項3】
前記第2照明は、前記第2カバーが前記試料設置部を覆っている状態において、前記第1照明の光軸が通る部分から光を照射しないように形成されている、請求項2に記載の顕微鏡装置。
【請求項4】
前記第2照明は、面状、線状または点状の形状を有する、請求項1または2に記載の顕微鏡装置。
【請求項5】
前記第2照明は、前記第2カバーの中央を囲むように、矩形の周状に設けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の顕微鏡装置。
【請求項6】
前記第2カバーは、前記第2照明を枠状に取り囲み、前記試料設置部側に突出するように形成された突出部を含み、
前記試料設置部は、前記第2カバーが前記試料設置部を覆っている状態において前記突出部が入り込む凹部を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の顕微鏡装置。
【請求項7】
前記第2照明は、明視野用の光を照射するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の顕微鏡装置。
【請求項8】
前記第2照明は、ハロゲンランプ、タングステンランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、および、発光素子のうち少なくとも1つを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の顕微鏡装置。
【請求項9】
前記第2カバーは、断熱性を有する材料により形成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の顕微鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、顕微鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図28に示すように、試料を設置するためのステージ801と、ステージ801に設置された試料を撮像するカメラ802と、ステージ801に向けて明視野用の透過照明光を照射する照明803と、ステージ801に向けて蛍光観察用の光を照射する照明804とを備える顕微鏡装置800が開示されている。この顕微鏡装置800では、ステージ801の前方を着脱可能な標本カバー805により覆い、ステージ801の上方を開閉式の蓋部806で覆うことにより、蛍光観察による撮像の際にステージ801に外部の光が入り込むのを抑制している。
【0003】
また、特許文献1の顕微鏡装置では、照明803は、ステージ801の上方から光を照射し、照明804は、ステージ801の下方から光を照射している。また、照明804から照射する上方からの光の光軸は、ステージ801に設置された対物レンズ807の光軸と一致している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-162764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の顕微鏡装置800では、標本カバー805および蓋部806の密着が十分でない場合には、わずかな隙間から外部の光が入り込んでしまう。このため、微弱な光を撮像して検出する場合に、精度よく光を撮像することが困難であるという問題点がある。また、標本カバー805および蓋部806の内部において、カメラ802などから発生する熱がステージ801に伝わり試料に影響するという問題点もある。
【0006】
また、上記特許文献1の顕微鏡装置800では、照明804から照射する上方からの光の光軸は、ステージ801に設置された対物レンズ807の光軸と一致しているため、照明804により上方から光を照射した場合に、コントラストが弱くなり、画像を鮮明に撮像することが困難であるという問題点がある。
【0007】
この発明は、試料設置部に外部から光が入り込むのを確実に抑制して、微弱な光を精度よく撮像するとともに、熱による試料への影響を抑制すること、または、上方からの光により撮像した場合に、鮮明な画像を撮像することに向けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のの局面による顕微鏡装置100は、試料を設置するための試料設置部11と、試料設置部11に設置された試料を撮像する撮像部10dと、試料設置部11が設けられるとともに、撮像部10dが内部に配置された筐体部10と、試料設置部11に蛍光用の光を照射する第1照明13と、試料設置部11を覆う第1位置と、試料設置部11を開放する第2位置とに移動可能な第1カバー20と、第1カバー20内において試料設置部11を断熱するように覆う第2カバー22と、試料設置部に光を照射する第2照明と、を備え、第2照明は、第2カバーの試料設置部に対向する側に設けられている
【0009】
この発明のの局面による顕微鏡装置100では、上記のように、試料設置部11を覆う第1位置に移動可能な第1カバー20と、第1カバー20内において試料設置部11を覆う閉状態に移動可能な第2カバー22とを設ける。これにより、第1カバー20および第2カバー22により2重に試料設置部11を覆うことができるので、第1カバー20と筐体との間にわずかな隙間が生じた場合でも、試料設置部11への外部の光の到達を第2カバー22により確実に抑制することができる。その結果、試料設置部11に外部から光が入り込むのを確実に抑制して、微弱な光を精度よく撮像することができる。なお、第1カバー20により試料設置部11を覆うとは、試料設置部11を第1カバー20により直接覆う場合に加えて、第2カバー22により試料設置部11を覆った上で、さらに、第1カバー20により試料設置部11を覆う場合も含んでいる。また、第2カバー22により断熱するように試料設置部11を覆うことができるので、筐体部10の内部に配置された撮像部10dなどから発生する熱が試料設置部11に伝わるのを抑制することができる。これにより、熱による試料への影響を低減することができる。
【0010】
上記一の局面による顕微鏡装置100において、好ましくは、第2照明は、第2カバーが試料設置部を覆っている状態において、第2照明の光軸が第1照明の光軸に対してずれるように配置されている。
【0011】
この場合、好ましくは、第2照明は、第2カバーが試料設置部を覆っている状態において、第1照明の光軸が通る部分から光を照射しないように形成されている。
【0012】
上記一の局面による顕微鏡装置100において、好ましくは、第2照明は、面状、線状または点状の形状を有する。
【0013】
上記一の局面による顕微鏡装置100において、好ましくは、第2照明は、第2カバーの中央を囲むように、矩形の周状に設けられている。
【0014】
上記一の局面による顕微鏡装置100において、好ましくは、第2カバーは、第2照明を枠状に取り囲み、試料設置部側に突出するように形成された突出部を含み、試料設置部は、第2カバーが試料設置部を覆っている状態において突出部が入り込む凹部を含む。
【0015】
上記一の局面による顕微鏡装置100において、好ましくは、第2照明は、明視野用の光を照射するように構成されている。
【0016】
上記一の局面による顕微鏡装置100において、好ましくは、第2照明は、ハロゲンランプ、タングステンランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、および、発光素子のうち少なくとも1つを含む。
【0017】
上記一の局面による顕微鏡装置100において、好ましくは、第2カバーは、断熱性を有する材料により形成されている。
【発明の効果】
【0032】
試料設置部に外部から光が入り込むのを確実に抑制して、微弱な光を精度よく撮像するとともに、熱による試料への影響を抑制することができる。または、上方からの光により撮像した場合に、鮮明な画像を撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】顕微鏡装置の一例を示した斜視図である。
図2】顕微鏡システムの一例を示した斜視図である。
図3】顕微鏡装置の第2カバーの一例を示した斜視図である。
図4】顕微鏡装置の試料設置部と第2カバーを示した正面図である。
図5】顕微鏡装置の第2カバーの第1変形例を示した図である。
図6】顕微鏡装置の第2カバーの第2変形例を示した図である。
図7】顕微鏡装置の第2カバーの第3変形例を示した図である。
図8】顕微鏡装置の第2カバーの第4変形例を示した図である。
図9】顕微鏡装置の内部の構成の一例を説明するための模式的な斜視図である。
図10】顕微鏡装置の内部に配置された基板の一例を説明するための模式的な斜視図である。
図11】顕微鏡装置の一例を示した側面図である。
図12】顕微鏡装置の一例を示した背面から見た斜視図である。
図13】顕微鏡装置の筐体部と第1カバーとを離した状態を示した斜視図である。
図14】顕微鏡装置の基板の接続を説明するための図である。
図15】顕微鏡装置の筐体部と第1カバーとの接続を説明するための図である。
図16】顕微鏡装置の制御的な構成の一例を示したブロック図である。
図17】顕微鏡装置の一例を示した背面図である。
図18】顕微鏡システムの制御的な構成の一例を示したブロック図である。
図19】顕微鏡装置の第1変形例の構成を示した模式的な斜視図である。
図20】顕微鏡装置の第2変形例の構成を示した模式的な斜視図である。
図21】顕微鏡装置の第3変形例の構成を示した模式的な斜視図である。
図22】顕微鏡装置の第3変形例の制御的な構成を示したブロック図である。
図23】顕微鏡装置の光源の構成の一例を示したブロック図である。
図24】顕微鏡装置の表示部の表示画面の一例を示した図である。
図25】顕微鏡装置の表示部の操作画面の一例を示した図である。
図26】画像撮像処理の一例を示したフロー図である。
図27】超解像画像作成処理の一例を示したフロー図である。
図28】従来の顕微鏡装置を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
(顕微鏡装置の全体構成)
図1を参照して、本実施形態による顕微鏡装置100の概要について説明する。
【0036】
顕微鏡装置100は、試料設置部11に載置された試料を拡大して表示するための装置である。試料は、被検体(被験者)から採取した生体試料であり、たとえば、細胞などである。
【0037】
図1に示すように、顕微鏡装置100は、筐体部10と、第1カバー20とを備える。顕微鏡装置100は、撮像部10dと、試料設置部11とを備える。撮像部10dは、対物レンズ12と、第1照明13と、撮像素子14とを備える。試料設置部11は、筐体部10の上面(Z1方向側の面)に設けられている。対物レンズ12と、第1照明13と、撮像素子14とは、筐体部10の内部に設けられている。顕微鏡装置100は、表示部21を備える。表示部21は、第1カバー20の前面(Y1方向側の面)に設けられている。表示部21の表示面21aは、第1カバー20の前面側に配置されている。顕微鏡装置100は、筐体部10に対して第1カバー20を相対移動させる第1駆動部10aを備える。顕微鏡装置100は、第2カバー22を備える。第2カバー22は、第1カバー20内に配置されている。第2カバー22には、第2照明221が設けられている。
【0038】
以下では、顕微鏡装置100の設置面に平行な面内(すなわち、水平な面内)で直交する2方向をそれぞれX方向、Y方向とする。図1に示すように、顕微鏡装置100が、平面視でX方向およびY方向にそれぞれ沿う略矩形形状の外形形状を有する。X方向を顕微鏡装置100の左右方向とし、Y方向を顕微鏡装置100の前後方向とする。Y1方向が装置本体の前面方向であり、Y2方向が装置本体の背面方向である。水平な面と直交する上下方向をZ方向とする。Z1方向が上方向であり、Z2方向が下方向である。
【0039】
第1カバー20は、試料設置部11を覆う第1位置(図1(A)参照)と、試料設置部11を開放する第2位置(図1(B)参照)とに、筐体部10に対して表示部21とともに相対移動可能である。具体的には、第1カバー20は、筐体部10の設置面に略平行な方向に、筐体部10に対して相対的にスライド移動することにより、第1位置(遮光位置)および第2位置(開放)位置に相対移動する。第1カバー20が筐体部10に対して第2位置に相対移動された状態で、試料設置部11に試料が設置される。第1カバー20が筐体部10に対して第1位置に相対移動された状態で、試料設置部11の試料が撮像される。
【0040】
撮像部10dは、試料設置部11に設置された試料を撮像する。具体的には、撮像部10dは、対物レンズ12を介して試料からの光を集光して撮像素子14により撮像する。撮像部10dは、第1照明13を照射して蛍光による画像を撮像する。たとえば、撮像部10dは、第1照明13からレーザ光を照射して試料を励起させて、試料の蛍光を撮像する。つまり、撮像部10dは、蛍光画像を撮像する。また、撮像部10dは、第2照明221を照射して明視野による画像を撮像する。つまり、第1カバー20および第2カバー22を閉めた状態において、第2照明221から光を照射して画像を撮像し、撮像した画像から、蛍光観察を行う撮像領域を絞り込むことが可能である。第1カバー20および第2カバー22が閉められているので、撮像領域が絞り込まれると、第2照明221の光の照射を停止して、引き続き、蛍光観察による撮像を行うことが可能である。
【0041】
筐体部10には、試料設置部11が設けられている。また、筐体部10には、撮像部10dが内部に配置されている。
【0042】
第1照明13は、試料設置部11に蛍光用の光を照射する。たとえば、第1照明13は、試料設置部11に特定の波長のレーザ光を照射する。つまり、第1照明13は、試料を蛍光励起させる蛍光励起用の光を照射する。
【0043】
第2カバー22は、第1カバー20とは別個に設けられている。第2カバー22は、第1カバー20内において試料設置部11を覆う。また、第2カバー22は、第1カバー20内において試料設置部11を覆う閉状態と、試料設置部11を開放する開状態とに移動可能である。第2カバー22は、第1カバー20内において試料設置部11を断熱するように覆う。つまり、第2カバー22は、断熱性を有する材料により形成されていることが好ましい。たとえば、第2カバーは、断熱性を有する材料として、ABS樹脂やPCABS樹脂などの樹脂、断熱材を設けた金属などにより形成されていてもよい。
【0044】
第2照明221は、第1照明13とは別個に設けられている。第2照明221は、第2カバー22を閉じた状態において試料設置部11に光を照射することが可能である。つまり、第2照明221は、第2カバー22により覆われた空間に配置され、試料設置部11に光を照射することが可能である。また、第2照明221は、明視野撮像を行う場合に、光を照射する。また、第2照明221は、蛍光撮像を行う場合は、光を照射しない。
【0045】
上記のように、試料設置部11を覆う第1位置に移動可能な第1カバー20と、第1カバー20内において試料設置部11を覆う第2カバー22とを設ける。これにより、第1カバー20および第2カバー22により2重に試料設置部11を覆うことができるので、第1カバー20と筐体との間にわずかな隙間が生じた場合でも、試料設置部11への外部の光の到達を第2カバー22により確実に抑制することができる。その結果、試料設置部11に外部から光が入り込むのを確実に抑制して、微弱な光を精度よく撮像することができる。また、第2カバー22により試料設置部11を覆うことができるので、筐体部10の内部に配置された撮像部10dなどから発生する熱が試料設置部11に伝わるのを抑制することができる。これにより、熱による試料への影響を低減することができる。また、第2カバー22を閉じた状態において試料設置部11に光を照射する第2照明221を設けることによって、外部の光が試料設置部11に到達しない状態でも、第2照明221により試料設置部11に光を照射することができるので、第1カバー20および第2カバー22を閉じた状態で、撮像を行うことができる。これにより、第2照明221からの光の照射による撮像により試料の位置を調整してから、第1カバー20および第2カバー22を閉じる動作を行うことなく、蛍光による撮像を行うことができる。その結果、第1カバー20および第2カバー22を閉じる際の振動に起因して試料がずれるのを抑制することができるとともに、撮像時間が長くなるのを抑制することができる。
【0046】
図1に示すように、第1カバー20は、筐体部10の設置面に略平行で、かつ、筐体部10の長手方向(X方向)に、筐体部10に対して相対的にスライド移動する。具体的には、筐体部10が設置面に対して移動しない状態で、第1カバー20が筐体部10および設置面に対して移動される。第1カバー20は、表示部21の表示面21aに対して略平行な方向において筐体部10に対して相対移動可能に構成されている。言い換えると、第1カバー20は、筐体部10の前面に交差する側面(X1方向およびX2方向の側面)に対して略垂直な方向(X方向)に筐体部10に対して相対移動可能である。また、第1カバー20は、試料設置部11に対して水平方向に相対移動可能である。これにより、第1カバー20を試料設置部11に対して垂直方向に移動させる場合と比べて、顕微鏡装置100が上下方向に大型化することを抑制することができる。
【0047】
第1カバー20は、外部からの制御により第1駆動部10aにより筐体部10に対して相対移動される。たとえば、第1カバー20は、ユーザの操作またはプログラムに基づいて、第1駆動部10aが駆動されることにより、第1位置(遮光位置)および第2位置(開放位置)に相対移動される。第1駆動部10aは、たとえば、モータおよびベルトプーリ機構などを含む。
【0048】
図1に示すように、試料設置部11には、試料が設置される。試料設置部11は、筐体部10の設置面と略平行な筐体部10上面(Z1方向の面)に配置されている。これにより、第1カバー20を第2位置(開放位置)に相対移動させた場合に、試料設置部11の上方を開放することができるので、試料設置部11に容易にアクセスすることができる。
【0049】
試料設置部11は、第1カバー20の水平面20aよりも低い位置における筐体部10に設けられている。これにより、試料設置部11の上方を開放することができ、試料設置部11への試料設置動作などをユーザが試料設置部11の上方から容易に行うことができる。
【0050】
試料設置部11は、水平方向の一方向側および上側を除く部分が壁に囲まれるように筐体部10の上面に凹状に設けられている。たとえば、試料設置部11は、筐体部10の前面側および上側を除く部分が壁に囲まれるように筐体部10の上面に凹状に設けられている。具体的には、試料設置部11は、Y2方向に設けられた壁部111と、X方向に対向するように配置された壁部112とを含む。試料設置部11は、壁部111および一対の壁部112により、X1方向側、X2方向側およびY2方向側が囲まれている。試料設置部11は、第1カバー20が第2位置(開放位置)に位置する場合に、上側および水平方向の一方向側が開放される。たとえば、試料設置部11は、第1カバー20が第2位置に位置する場合に、上方(Z1方向)および前方(Y1方向)が開放される。
【0051】
試料設置部11は、第1カバー20が筐体部10に対して相対移動する方向において、筐体部10の端部付近に配置されている。試料設置部11は、筐体部10のX方向における端部付近の上面に配置されている。図1に示すように、試料設置部11は、筐体部10のX1方向側の端部付近に配置されている。これにより、第1カバー20を筐体部10に対して試料設置部11の幅に対応する長さ分だけ相対移動させることにより、第1カバー20を第2位置(開放位置)に移動させることができるので、第1カバー20が第2位置に移動した際に、顕微鏡装置100が大型化するのを抑制することができる。
【0052】
試料設置部11は、ステージ11aを含む。ステージ11aは、水平方向(X方向およびY方向)と、上下方向(Z方向)とに移動可能である。ステージ11aは、X方向、Y方向およびZ方向において、互いに独立して移動可能である。これにより、試料を対物レンズ12に対して相対移動させることができるので、試料の所望の位置を拡大して見ることが可能である。
【0053】
図1に示すように、対物レンズ12は、試料設置部11のステージ11aに近接して配置されている。対物レンズ12は、試料設置部11のステージ11aの下方(Z2方向)に近接して配置されている。対物レンズ12は、上下方向(Z方向)において試料設置部11に対向するように設けられている。対物レンズ12は、光軸が試料設置部11の試料が設置される試料設置面に対して略垂直となるように配置されている。対物レンズ12は、上方向に向いて配置されている。対物レンズ12は、試料設置部11に対して上下方向(Z方向)に相対移動可能である。対物レンズ12は、上下方向に長手方向を有するように配置されている。つまり、対物レンズ12は、略鉛直方向に光軸を有するように配置されている。対物レンズ12は、複数のレンズを含む。対物レンズ12は、試料を所定の倍率により拡大することが可能である。対物レンズ12は、液浸レンズを含む。つまり、対物レンズ12は、シリコーンオイルなどのオイルや、グリセリン、水などの液体が滴下されて用いられる。なお、対物レンズ12は、液浸レンズでなくてもよい。対物レンズ12に液体を滴下せずに用いてもよい。
【0054】
図1に示すように、第1照明13は、試料に光を照射することが可能である。第1照明13は、対物レンズ12を介して試料に光を照射する。第1照明13は、試料に対して、撮像素子14と同じ側から光を照射する。第1照明13は、所定の波長の光を出力することが可能である。第1照明13は、異なる複数の波長の光を出力することが可能である。つまり、第1照明13は、異なる種類の光を出力することが可能である。第1照明13は、発光素子を含む。発光素子は、たとえば、LED素子、または、レーザ素子などを含む。
【0055】
図1に示すように、撮像素子14は、第1照明13から照射された光に基づいて試料を撮像することが可能である。具体的には、撮像素子14は、第1照明13から照射された光によって試料から発せられる光に基づいて、試料の静止画または動画を撮像することが可能である。撮像素子は、たとえば、CCD素子や、CMOS素子を含む。撮像素子14は、高感度撮像が可能である。つまり、撮像素子14は、微弱な光に基づいて撮像することが可能である。また、撮像素子14は、試料設置部11に対して対物レンズ12とは反対側(Z1方向側)に設けられた第2照明221の光に基づいて、試料を撮像する。
【0056】
図1に示すように、表示部21は、撮像素子14により撮像された画像を表示することが可能である。表示部21は、第1カバー20に一体的に設けられている。表示部21は、顕微鏡装置100を操作するための画面を表示することが可能である。表示部21は、試料を撮像する際のプログラムに基づく画面を表示することが可能である。表示部21は、顕微鏡装置100の状態を示す画面を表示することが可能である。表示部21は、外部の制御部からの信号に基づく画面を表示することが可能である。表示部21は、第1カバー20における水平方向の一方向側に配置されている。たとえば、表示部21は、第1カバー20における前方側(Y1方向側)に配置されている。
【0057】
図1に示すように、第1カバー20は、水平面20aと、交差面20bと、X方向に対向するように配置された一対の側面20cとを含む。水平面20aは、筐体部10の設置面に略平行な方向(XY方向)に延びて筐体部10の試料設置部11を上方から覆うように構成されている。交差面20bは、水平面20aに連結され、水平面20aに対して交差する方向に延びて筐体部10の試料設置部11を設置面に略平行な一方側から覆うように構成されている。具体的には、交差面20bは、筐体部10の試料設置部11を前方から覆うように構成されている。これにより、第1カバー20を第2位置(開放位置)に相対移動させた場合、試料設置部11の上方および前方を開放することができるので、試料設置部11に容易にアクセスすることができる。その結果、試料設置部11への作業をより容易に行うことができる。表示部21を交差面20bに配置することにより、表示部21を前面に配置することができるので、表示部21の視認性を向上させることができる。側面20cは、水平面20aのX方向の両端の下方に連結されている。側面20cは、鉛直方向に延びるように形成されている。側面20cは、筐体部10の試料設置部11をX方向側から覆うように構成されている。第1カバー20は、水平面20aと交差面20bとにより、略逆L字形状に形成されている。交差面20bには、表示部21が配置されている。
【0058】
図1に示すように、第1カバー20が第1位置(遮光位置)に位置する場合に、筐体部10の設置面に略平行で、かつ、筐体部10の長手方向において、第1カバー20の交差面20bに配置された表示部21により、筐体部10の略全体が覆われるように構成されている。表示部21は、交差面20bの略全体に配置されている。交差面20bは、第1カバー20が第1位置に位置する場合に、筐体部10の水平方向の一方側の面全体を覆うように構成されている。表示部21は、画面の横方向(X方向)において、第1カバー20の交差面20bの略全体に跨って配置されている。表示部21は、画面の縦方向(Z方向に沿った方向)において、第1カバー20の交差面20bの略全体に跨って配置されている。これにより、表示部21を、筐体部10の前面の長手方向(X方向)の略全体を覆う範囲に配置することができるので、表示部21を大きくすることができる。その結果、表示内容を見やすくすることができる。
【0059】
表示部21は、筐体部10の設置面と垂直な方向(Z方向)に対して所定の傾きを有するように配置されている。言い換えると、第1カバー20の交差面20bは、設置面と垂直な方向(Z方向)に対して所定の傾きを有するように配置されている。たとえば、表示部21は、設置面と垂直な方向に対して、約1度~約30度程度傾いた状態で配置されている。表示部21は、上端(Z1方向端)に対して下端(Z2方向端)が前方(Y1方向)に出るように配置されている。これにより、表示部21が設置面と垂直な方向に沿って配置されている場合に比べて、表示部21を見やすくすることができる。表示部21が配置された第1カバー20の部分は、所定の傾きと略同じ傾きを有している。
【0060】
表示部21は、鉛直方向に対して所定の傾きを有するように第1カバー20に配置され、第1カバー20は、表示部21が所定の傾きを有した状態で、試料設置部11に対して相対移動するように構成されている。これにより、表示部21を所定の傾きを有した状態で相対移動させることができるので、表示部21をどの位置においても見やすくすることができる。
【0061】
筐体部10の前面(Y1方向の面)は、交差面20bの所定の傾きと略同じ傾きを有している。所定の傾きと略同じ傾きを有する第1カバー20の部分に対向する筐体部10の面は、所定の傾きと略同じ傾きを有している。筐体部10の前面と、表示部21とは、略平行である。
【0062】
第2カバー22は、第1カバー20が第1位置(遮光位置)に位置する場合に試料設置部11を覆う閉状態となり、第1カバー20が第2位置(開放位置)に位置する場合に試料設置部11を開放する開状態となる。これにより、第1カバー20を第1位置に位置させて第2カバー22を閉状態とすることにより、第1カバー20と第2カバー22とにより試料設置部11を2重に覆うことができる。また、第1カバー20を第2位置に位置させて第2カバー22を開状態とすることにより、試料設置部11に容易にアクセスすることができる。
【0063】
具体的には、第2カバー22は、第1カバー20が筐体部10に対して第1位置(遮光位置)に相対移動してから、閉状態になり、第1カバー20が筐体部10に対して第2位置(開放位置)に相対移動する前に、開状態になる。つまり、第2カバー22が開状態の場合に、第1カバー20が筐体部10に対して相対移動する。これにより、第2カバー22が閉状態の場合に、第1カバー20が相対移動されることがないので、閉状態の第2カバー22が第1カバー20の相対移動に干渉するのを抑制することができる。
【0064】
第2カバー22は、第1カバー20の一方側(X1方向側)の側面20cの内側に取り付けられている。また、第2カバー22は、Y方向に延びる回動軸線を中心に回動可能である。第2カバー22は、下方向に回動されることにより、試料設置部11を覆う閉状態となる。また、第2カバー22は、上方向に回動されることにより、試料設置部11を開放する開状態となる。なお、第2カバー22は、水平方向にスライド移動することにより開状態と閉状態とが切り替えられてもよい。また、第2カバー22は、上下方向に並進移動することにより開状態と閉状態とが切り替えられてもよい。
【0065】
第2カバー22は、外部からの制御により第2駆動部223により第1カバー20に対して駆動される。たとえば、第2カバー22は、ユーザの操作またはプログラムに基づいて、第2駆動部223が駆動されることにより、閉状態と開状態とが切り替えられるように移動される。第2駆動部223は、たとえば、モータおよびベルトプーリ機構などを含む。第2カバー22は、第1カバー20の開閉と連携して、第2駆動部223により駆動される。
【0066】
上記のように、試料設置部11を外部光に対して遮光する第1位置(遮光位置)と、試料設置部11を開放する第2位置(開放位置)とに、筐体部10に対して相対移動可能な第1カバー20を設けることによって、撮像時に試料設置部11を遮光することができる。これにより、暗室内に顕微鏡装置100を設置せずに、検査室や病理教室のような明るい場所に顕微鏡装置100を設置して使用することができる。表示部21が一体的に設けられた第1カバー20を、第1位置と、第2位置とに相対移動させることにより、第1カバー20を第2位置に移動させた場合に、試料設置部11へのアクセス時に邪魔にならないように、第1カバー20とともに表示部21も移動させることができる。これにより、試料設置部11に対して試料を配置するなどの作業を容易に行うことができる。第1カバー20を第2位置に移動させた場合に、表示部21が試料設置部11へのアクセス時に邪魔にならないので、表示部21を最大限に大きくすることができる。これにより、拡大されて表示された試料を詳細に確認することができる。
【0067】
(顕微鏡システムの構成例)
次に、図2を参照して、顕微鏡システム300の具体的な構成例を説明する。
【0068】
図2に示すように、顕微鏡システム300は、顕微鏡装置100と、制御部200とを備える。顕微鏡装置100および制御部200は、互いに信号を送受信可能に接続されている。たとえば、顕微鏡装置100および制御部200は、有線または無線により互いに通信可能に接続されている。
【0069】
制御部200は、顕微鏡装置100を制御するように構成されている。制御部200は、たとえば、コンピュータにより構成されており、CPU(中央演算処理装置)、メモリなどを含む。制御部200は、顕微鏡装置100による試料の撮像処理を制御する。制御部200は、顕微鏡装置100の第1カバー20の第1位置(遮光位置)と第2位置(開放位置)との移動を制御する。制御部200は、顕微鏡装置100の第2カバー22の閉状態と開状態との移動を制御する。制御部200は、プログラムに基づいて、顕微鏡装置100を制御する。制御部200は、顕微鏡装置100により撮像した画像の画像処理を行うことが可能である。制御部200は、処理した画像を顕微鏡装置100に出力し、顕微鏡装置100の表示部21に表示させることが可能である。制御部200は、プログラムに基づく画像を、顕微鏡装置100の表示部21に表示させることが可能である。
【0070】
次に、図3および図4を参照して顕微鏡装置100の第2カバー22の具体的な構成例を説明する。
【0071】
図3に示すように、第2カバー22は、板状に形成されている。また、第2カバー22は、図4に示すように、第2カバー22の試料設置部11に対向する側に第2照明221が設けられている。これにより、第2カバー22を閉じた状態で、第2照明221から試料設置部11に容易に光を照射することができる。また、第2照明221を直接第2カバー22の試料設置部11に対向する側に配置することにより、光ファイバーなどの導光部材を設ける必要がないので、照明の構成を簡素化することができる。
【0072】
第2照明221は、面状、線状または点状の形状の発光体を含む。これにより、厚みが小さい面状、線状または点状の形状の発光体を第2カバー22に配置することができるので、第2照明221を第2カバー22にコンパクトに配置することができる。
【0073】
第2カバー22は、第2照明221を枠状に取り囲み、試料設置部11側に突出するように形成された突出部222を含む。試料設置部11は、図4に示すように、第2カバー22が閉状態の場合に、突出部222が入り込む凹部113を含む。これにより、第2カバー22の突出部222が試料設置部11の凹部113に入り込むことにより、第2カバー22と試料設置部11との間に光が直接的に入り込む隙間ができるのを抑制することができるので、試料設置部11に光が入るのをより効果的に抑制することができる。
【0074】
第2照明221は、光軸が第1照明13の光軸に対してずれるように配置されている。これにより、第1照明13による下方からの光の撮像に適した方向に第1照明13の光軸を向けることができるとともに、第2照明221による上方からの光の撮像に適した方向に第2照明221の光軸を向けることができる。これにより、上方からの光による撮像と、下方からの光による撮像との両方を、鮮明に撮像することができる。
【0075】
たとえば、第2照明221は、光軸が第1照明13の光軸に対して傾斜するように配置されている。これにより、第1照明13の光軸方向と、第2照明221の光軸方向とを互いにずらすことができるので、両方の照明において各々適した方向から光を照射することができる。
【0076】
第2照明221は、試料設置部11に設けられた対物レンズ12の光軸に対して斜めの方向から試料に光を照射する。つまり、第2照明221は、カバー22に傾斜して設けられている。これにより、光を対物レンズ12の光軸と平行に照射する場合に比べて、コントラストを強調して試料を撮像することができる。なお、第2照明221は、対物レンズ12の光軸と平行に光を照射するように配置してもよい。
【0077】
また、第2照明221は、ハロゲンランプ、タングステンランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、および、発光素子のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。第2照明221として、ハロゲンランプ、タングステンランプ、水銀ランプ、キセノンランプを用いる場合は、光ファイバやミラーなどにより光を試料設置部11に導くようにしてもよい。
【0078】
また、第2照明221は、第1照明13の光軸が通る部分から光を照射しないように形成されている。これにより、第2照明221の光の光軸を、第1照明13の光の光軸に対して容易にずらすことができる。つまり、第2照明221の光軸は、第1照明13の光軸とずれていれば、第1照明13の光軸と平行であってもよい。
【0079】
たとえば、第2照明221は、図5に示すように、発光体の略中央に光不透過の遮光部材2211が設けられていてもよい。これにより、対物レンズ12の光軸と平行に照射する光が試料設置部11に到達するのを抑制することが可能である。遮光部材2211は、たとえば、遮光シールである。また、遮光部材2211は、樹脂材料または金属材料により形成されている。
【0080】
また、第2照明221は、図6に示すように、第2カバー22の中央を挟んで線状に設けられていてもよい。また、第2照明221は、図7に示すように、第2カバー22の中央を囲むように、矩形の周状に設けられていてもよい。また、第2照明221は、図8に示すように、第2カバー22の中央を囲むように、円形の周状に設けられていてもよい。なお、第2照明221の形状や配置は左右対称や点対称でなくてもよい。
【0081】
(光学系の構成例)
次に、図9および図10を参照して、顕微鏡装置100の光学系の構成例を説明する。
【0082】
図9に示すように、顕微鏡装置100は、光学系の構成として、対物レンズ12と、第1照明13と、撮像素子14と、第1光学素子15と、フィルタ16aと、第2光学素子16b、16c、16fおよび16gと、レンズ16d、16eおよび16hと、反射部17a、17bおよび17dと、レンズ17cとを備える。対物レンズ12と、第1照明13と、撮像素子14と、第1光学素子15と、フィルタ16aと、第2光学素子16b、16c、16fおよび16gと、レンズ16d、16eおよび16hと、反射部17a、17bおよび17dと、レンズ17cとは、筐体部10の内部に配置されている。
【0083】
第1光学素子15は、第1照明13から照射された光を対物レンズ12の光軸方向に反射し、試料からの光を透過するように構成されている。第1光学素子15は、たとえば、ダイクロイックミラーを含む。つまり、第1光学素子1は、第1照明13から照射される波長の光を反射し、試料から発生される光の波長を透過させるように構成されている。
【0084】
フィルタ16aは、所定の波長の光を透過させてそれ以外の波長の光を遮蔽する、または、所定の波長の光を遮蔽してそれ以外の波長の光を透過させる、ように構成されている。つまり、フィルタ16aにより、所望の波長の光が透過されて、撮像素子14に到達する。
【0085】
第2光学素子16b、16c、16fおよび16gは、試料からの光を撮像素子14に向けて反射するように構成されている。第2光学素子16b、16c、16fおよび16gは、反射部を含む。第2光学素子16b、16c、16fおよび16gは、たとえば、ミラーを含む。
【0086】
反射部17a、17bおよび17dは、第1照明13からの光を対物レンズ12に向けて反射するように構成されている。反射部17a、17bおよび17dは、たとえば、ミラーを含む。
【0087】
第1照明13から出射された光は、反射部17aに反射されて反射部17bに入射する。反射部17bに入射した光は、反射されてレンズ17cを介して反射部17dに入射する。反射部17dに入射した光は、反射されて第1光学素子15に入射する。第1光学素子15に入射した光は、反射されて対物レンズ12を介して、試料設置部11に到達し、試料に照射される。
【0088】
第1照明13の光に基づいて試料から発せられる光は、対物レンズ12を介して、第1光学素子15に入射される。第1光学素子15に入射した光は、透過されてフィルタ16aを介して第2光学素子16bに入射する。第2光学素子16bに入射した光は、反射されて第2光学素子16cに入射する。第2光学素子16cに入射した光は、反射されてレンズ16dおよび16eを介して第2光学素子16fに入射する。第2光学素子16fに入射した光は、反射されて第2光学素子16gに入射する。第2光学素子16gに入射した光は、反射されてレンズ16hを介して撮像素子14に到達する。撮像素子14は、到達した光に基づいて試料の拡大画像を撮像する。
【0089】
第1照明13は、第1照明13からの光が略鉛直方向(Z方向)に進むように少なくとも1回方向が変更されて対物レンズ12に入射する位置に配置されている。つまり、第1照明13は、対物レンズ12の光軸に対してオフセットされた位置に配置されている。これにより、対物レンズ12を略鉛直方向に配置した場合に、対物レンズ12の光軸方向の延長線上に第1照明13を設ける必要がないので、顕微鏡装置100の上下方向の大きさが大きくなるのを抑制することができる。
【0090】
撮像素子14は、試料からの光が対物レンズ12の光軸と略平行な方向から変更されて撮像素子14に入射する位置に配置されている。つまり、撮像素子14は、対物レンズ12の光軸に対してオフセットされた位置に配置されている。これにより、試料からの光の光軸方向の延長線上に撮像素子14を設ける必要がないので、顕微鏡装置100の上下方向の大きさが大きくなるのを抑制することができる。なお、試料からの光は、対物レンズ12の光軸と略平行な方向から、撮像素子14に入射するまでに方向が変更されなくてもよい。
【0091】
図10に示すように、顕微鏡装置100は、筐体部10の内部に配置され、光軸が試料設置部11に対して略垂直となるように配置された対物レンズ12と、第1照明13と、撮像素子14とが配置される基板18を備える。基板18は、筐体部10の設置面に対して略垂直となるように配置(図11参照)されている。基板18は、対物レンズ12の光軸と略平行となるように配置されている。具体的には、基板18は、XZ平面に沿って延びるように配置されている。これにより、対物レンズ12と、第1照明13と、撮像素子14とを共通の基板18に配置することができるので、光学系の部材の位置関係がずれるのを抑制することができる。
【0092】
筐体部10は、一方向に長い内部空間を有している。対物レンズ12は、光軸が筐体部10の長手方向(X方向)に対して略垂直となるように配置されている。第1照明13および撮像素子14は、筐体部10の長手方向(X方向)において、対物レンズ12に対して同一側(X2方向側)に配置されている。これにより、顕微鏡装置100の上下方向の大きさが大きくなるのを抑制することができる。
【0093】
第1光学素子15と、第2光学素子16b、16c、16fおよび16gとは、基板18上に配置されている。これにより、第1照明13と、第1光学素子15と、第2光学素子16b、16c、16fおよび16gとを共通の基板18に配置することができるので、第1照明13と、第1光学素子15と、第2光学素子16b、16c、16fおよび16gとの相対的な位置関係がずれるのを抑制することができる。
【0094】
基板18には、試料設置部11が両持ちにより取り付けられている。つまり、試料設置部11は、基板18から水平方向につきだす2本の柱により支持されている。これにより、試料設置部11を安定して支持することができるので、撮像時に撮像位置がずれるのを抑制することが可能である。
【0095】
(筐体部および第1カバーの接続構造の例)
次に、図12図15を参照して、顕微鏡装置100の筐体部10および第1カバー20の接続構造の例について説明する。
【0096】
図12および図13に示すように、筐体部10は、上方(Z1方向)に突出する係合部10bを含む。第1カバー20は、筐体部10の係合部10bに係合する凹部23を含む。凹部23は、上下方向に凹むように形成されている。凹部23は、X方向に延びるように形成されている。図12に示すように、筐体部10の係合部10bに、第1カバー20の凹部23が係合する。これにより、第1カバー20が筐体部10に対してX方向に移動可能に接続される。
【0097】
図14に示すように、筐体部10の内部に配置された基板18は、接続端子181と、フレックスケーブル182と、接続端子183とを含む。接続端子181は、基板18に接続可能である。フレックスケーブル182は、接続端子181および183を互いに接続している。接続端子183は、第1カバー20に設けられた基板に接続可能である。
【0098】
図15に示すように、表示部21は、筐体部10に対して移動可能なように、筐体部10に電気的に接続されている。これにより、筐体部10に対して第1カバー20とともに相対移動する表示部21に対して電力を供給することができるとともに、表示部21に電気信号を送受信させることができる。
【0099】
(コントローラおよびファンの構成例)
次に、図16図18を参照して、顕微鏡装置100のコントローラ192の構成例について説明する。
【0100】
図16に示すように、顕微鏡装置100は、基板19を備える。基板19には、電源191と、コントローラ192と、複数のファン193が設けられている。基板19は、筐体部10の内部の下方(図11参照)に配置されている。基板19は、水平になるように配置されている。電源191は、外部から電力が供給される。電源191は、供給された電力を顕微鏡装置100の各部に供給する。たとえば、電源191は、第1照明13、第2照明221、撮像素子14、表示部21、第1駆動部10a、第2駆動部223、コントローラ192、ファン193などに電力を供給する。
【0101】
コントローラ192は、顕微鏡装置100の各部を制御する。たとえば、コントローラ192は、第1照明13による光の照射を制御する。コントローラ192は、第1駆動部10aの駆動を制御する。コントローラ192は、第2照明221による光の照射を制御する。コントローラ192は、第2駆動部223の駆動を制御する。コントローラ192は、制御部200による制御に基づいて、顕微鏡装置100の各部を制御する。コントローラ192は、筐体部10の内部において、対物レンズ12と、第1照明13と、撮像素子14とが配置された領域と仕切られた領域(図11参照)に配置されている。具体的には、仕切り部材10cにより、仕切られている。仕切り部材10cの上方には、基板18が配置されている。仕切り部材10cの下方には、基板19が配置されている。これにより、コントローラ192を、対物レンズ12、第1照明13および撮像素子14と隔離して配置することができるので、コントローラ192の熱が対物レンズ12、第1照明13および撮像素子14に伝わるのを抑制することができる。コントローラ192が配置される領域を仕切る部材により対物レンズ12、第1照明13および撮像素子14の遮光性を高めることができる。
【0102】
図16および図17に示すように、ファン193は、筐体部10の内部を冷却するように構成されている。具体的には、ファン193は、駆動することにより、筐体部10に外部からの空気を取り込み、循環させて、排気口193aから排出させるように構成されている。ファン193は、X方向に沿って、一対設けられている。ファン193は、筐体部10の背面側(Y2方向側)の下方側(Z2方向側)に設けられている。ファン193は、撮像素子14による試料の撮像中に動作が停止される。これにより、撮像中にファン193による振動が撮像素子14や試料設置部11などに伝わるのを防止することができるので、試料を精度よく撮像することができる。なお、ファン193は、撮像素子14による試料の撮像中に動作を停止しなくてもよい。これにより、撮像中も効率よく筐体部10の内部を冷却することが可能である。
【0103】
図18に示すように、コントローラ192は、制御部200に接続されている。制御部200は、処理部201と、記憶部202と、インターフェース203とを備える。制御部200は、入力部204が接続されている。コントローラ192は、インターフェース203を介して、処理部201に接続されている。処理部201は、たとえば、CPUを含み、顕微鏡装置100の動作を制御する。記憶部202は、たとえば、HDD(ハードディスクドライブ)や、SSD(ソリッドステートドライブ)などを含み、制御部200により実行するプログラムや、情報が格納される。入力部204は、ユーザの操作を受けつける。入力部204は、たとえば、マウスやキーボードなどを含む。入力部204は、インターフェース203を介して処理部201に接続されている。
【0104】
(第1変形例による顕微鏡装置の構成)
次に、図19を参照して、第1変形例による顕微鏡装置400の構成について説明する。
【0105】
図19に示すように、顕微鏡装置400は、筐体部410と、第1カバー420とを備える。筐体部410には、試料設置部411が設けられている。第1カバー420には、表示部421が一体的に設けられている。試料設置部411には、試料設置部411を覆う第2カバー22が設けられている。図19に示すように、第1カバー420は、筐体部410の前面側(Y1方向側)に配置されている。第1カバー420は、筐体部410の設置面に対して垂直な平面(XZ平面)に沿って延びる平板形状を有している。
【0106】
第1カバー420は、上下方向(Z方向)に沿ってスライド移動することにより、第1位置(遮光位置)と、第2位置(開放位置)とに移動可能に構成されている。なお、第1カバー420の移動方向は、表示部421の延びる面方向に略平行である。つまり、表示部421が、上下方向(Z方向)に対して所定の角度を有して傾斜して配置されている場合、第1カバー420の移動方向も、上下方向(Z方向)に対して所定の角度を有して傾斜する方向となる。図19に示すように、第1カバー420が第2位置に位置する場合、試料設置部411の前方側(Y1方向側)が開放される。この場合、第2カバー22も開状態となる。試料設置部411は、筐体部410のX1方向側に配置されている。試料設置部411は、上下方向(Z方向)において、筐体部410の上側(Z1方向側)に配置されている。
【0107】
(第2変形例による顕微鏡装置の構成)
次に、図20を参照して、第2変形例による顕微鏡装置500の構成について説明する。
【0108】
図20に示すように、顕微鏡装置500は、筐体部510と、第1カバー520とを備える。筐体部510には、試料設置部511が設けられている。第1カバー520には、表示部521が一体的に設けられている。試料設置部511には、試料設置部511を覆う第2カバー22が設けられている。図20に示すように、第1カバー520は、筐体部510の前面側(Y1方向側)に配置されている。第1カバー520は、筐体部510の設置面に対して垂直な平面(XZ平面)に沿って延びる平板形状を有している。
【0109】
第1カバー520は、水平方向(X方向)に沿ってスライド移動することにより、第1位置(遮光位置)と、第2位置(開放位置)とに移動可能に構成されている。図20に示すように、第1カバー520が第2位置に位置する場合、試料設置部511の前方側(Y1方向側)が開放される。この場合、第2カバー22も開状態となる。試料設置部511は、前方方向(Y1方向)に移動可能である。これにより、試料設置部511を前方に移動させると、試料設置部511の上方(Z1方向)も開放される。試料設置部511は、筐体部510のX1方向側に配置されている。試料設置部511は、上下方向(Z方向)において、筐体部510の上側(Z1方向側)に配置されている。
【0110】
(第3変形例による顕微鏡装置の構成)
次に、図21および図22を参照して、第3変形例による顕微鏡装置600の構成について説明する。
【0111】
図21に示すように、顕微鏡装置600は、筐体部610と、第1カバー620とを備える。筐体部610には、試料設置部611が設けられている。第1カバー620には、表示部621が一体的に設けられている。試料設置部611には、試料設置部611を覆う第2カバー22が設けられている。図21に示すように、第1カバー620は、筐体部610の前面側(Y1方向側)に配置されている。第1カバー620は、筐体部610の設置面に対して垂直な平面(XZ平面)に沿って延びる平板形状を有している。
【0112】
第1カバー620は、水平方向(X方向)に沿ってスライド移動することにより、第1位置(遮光位置)と、第2位置(開放位置)とに移動可能に構成されている。図21に示すように、第1カバー620が第2位置に位置する場合、試料設置部611の前方側(Y1方向側)が開放される。この場合、第2カバー22も開状態となる。試料設置部611は、筐体部610のX1方向側に配置されている。試料設置部611は、上下方向(Z方向)において、筐体部610の中央付近に配置されている。
【0113】
図22に示すように、顕微鏡装置600の基板18には、対物レンズ12と、第1照明13と、撮像素子14と、アクチュエータ611aと、第1光学素子15と、フィルタ16aと、第2光学素子16bと、レンズ16hとが配置されている。対物レンズ12は、試料設置部611の下方(Z2方向)に配置されている。試料設置部611は、筐体部10の設置面と、試料設置部611との間の距離D1が、対物レンズ12の光軸方向の長さD2よりも長くなるように配置されている。これにより、対物レンズ12の光軸が上下方向(Z方向)になるように配置することができるので、試料設置部611を水平方向とした場合に、対物レンズ12を光軸方向において試料に容易に近づけることができる。
【0114】
(光源の構成例)
次に、図23を参照して、第1照明13の構成例を説明する。
【0115】
図23に示すように、第1照明13は、第1蛍光用照明131aと、第2蛍光用照明131bと、ミラー132aと、ダイクロイックミラー132bと、ファン133とを含む。第1蛍光用照明131aおよび第2蛍光用照明131bは、互いに異なる波長の光を出力する。第1蛍光用照明131aは、特定の波長領域の光を出力する。第2蛍光用照明131bは、第1蛍光用照明131aとは異なる特定の波長領域の光を出力する。第1蛍光用照明131aおよび第2蛍光用照明131bは、それぞれ、レーザ光を出力することが可能である。なお、第1蛍光用照明131aおよび第2蛍光用照明131bの出力する光は、可視光領域の光であってもよいし、遠赤外領域、近赤外領域、近紫外領域または遠紫外領域の非可視光領域の光であってもよい。
【0116】
第1蛍光用照明131aにより出力された光は、ミラー132aにより反射されるとともに、ダイクロイックミラー132bを透過して、第1照明13から出力される。第2蛍光用照明131bにより出力された光は、ダイクロイックミラー132bにより反射されて、第1照明13から出力される。これらにより、第1蛍光用照明131aから出力される光と、第2蛍光用照明131bから出力される光とが、互いに光軸が一致された状態で、第1照明13から出力される。
【0117】
第1蛍光用照明131aは、試料に結合された複数の色素の一部を活性状態にするための波長の光を試料に照射する。第2蛍光用照明131bは、活性状態となった複数の色素を非活性状態にするための波長の光を試料に照射する。そして、撮像素子14は、複数の色素のうち、活性状態となった一部の色素から発せられた光を撮影するように構成されている。これにより、活性状態となった一部の色素の発光に基づいて、画像を撮像することができる。撮像素子14は、試料を複数回撮像するように構成されている。そして、表示部21は、撮像素子14により撮像された複数枚の画像が合成された画像を表示するように構成されている。
【0118】
試料に結合された複数の色素のうち一部が発光される。色素は細胞の分子ごとに結合されている。そして、複数回色素を順次励起させて撮像した蛍光画像を、色素の蛍光位置を精度よく取得する。そして、複数の画像が重ね合わされる。この場合、色素の蛍光位置は、1分子単位で精度よく取得される。この1分子ごとの位置精度で取得された蛍光画像が重ね合わされることにより、解像度の限界を超える超解像画像を取得することが可能である。
【0119】
ファン133は、筐体部10の内部に配置され、第1照明13を冷却するために設けられている。具体的には、ファン133は、駆動することにより、第1照明13の周辺に空気の流れを発生させて、第1照明13から発生する熱を取り除くように構成されている。ファン133は、撮像素子14による試料の撮像中に動作が停止される。これにより、撮像中にファン133による振動が撮像素子14や試料設置部11などに伝わるのを防止することができるので、試料を精度よく撮像することができる。なお、ファン133は、撮像素子14による試料の撮像中に動作を停止しなくてもよい。これにより、撮像中も効率よく第1照明13を冷却することが可能である。
【0120】
(表示部の表示画面例)
次に、図24を参照して、表示部21に表示される表示画面の一例について説明する。
【0121】
図24に示す表示画面例では、表示部21に、顕微鏡装置100において、試料を撮像している場合に、制御用表示と、解析用表示とが表示される。制御用表示は、カメラ画面表示と、撮像パラメータ設定表示と、試料設置部移動操作表示と、撮像パラメータモニター表示と、第1カバー開閉操作表示とを含む。解析用表示は、超解像画像表示と、超解像画像解析パラメータ設定表示とを含む。
【0122】
カメラ画面表示には、撮像素子14により撮像されるリアルタイムのカメラ画面が表示される。撮像パラメータ設定表示には、顕微鏡装置100における撮像処理の撮像パラメータが表示される。撮像パラメータ設定表示には、たとえば、第1照明13から出力されるレーザ光のパワー調整のための表示などが表示される。試料設置部移動操作表示には、たとえば、試料設置部11の位置を移動させるための操作画面が表示される。撮像パラメータモニター表示には、モニター情報が表示される。撮像パラメータモニター表示には、たとえば、試料設置部11の位置や、第1照明13のレーザ光のパワーや、撮像素子14の温度や、撮像時間や、撮像終了までの時間などが表示される。第1カバー開閉操作表示には、たとえば、第1カバー20を第1位置(遮光位置)および第2位置(開放位置)に移動させるための操作画面が表示される。
【0123】
超解像画像表示には、超解像画像が表示される。なお、超解像画像のデータは、数千ピクセル四方~数万ピクセル四方程度の大きさを有する。ここで、表示部21の大きさが大きいほど、超解像画像表示の表示面積を大きくすることができるので、表示部21の面積が大きいことが好ましい。超解像画像解析パラメータ設定表示には、超解像撮像の解析パラメータが表示される。超解像画像解析パラメータ設定表示には、たとえば、第1照明13から出力されるレーザ光の照射順や、撮像枚数などが表示される。
【0124】
(表示部の操作画面例)
次に、図25を参照して、表示部21に表示される操作画面の一例について説明する。図25の例では、試料設置部11のステージ11aを移動させる操作画面例について説明する。図25の例では、ステージ11aをX方向およびY方向(水平方向)に移動させる操作ボタンと、ステージ11aをZ方向(上下方向)に移動させる操作ボタンとが表示される。ユーザは、各操作ボタンを操作することにより、ステージ11aを移動させることができる。外側の各操作ボタンを操作することにより、ステージ11aを大きく移動させることができる。また、内側の各操作ボタンを操作することによりステージ11aを小さく移動させることができる。なお、ステージ11aは、外部に接続されたキーボードやマウスの操作により移動させることも可能である。
【0125】
(画像撮像処理動作)
図26を参照して、顕微鏡システム300の画像撮像処理動作について説明する。
【0126】
まず、図26のステップS1において、ユーザの操作により撮像ボタンがONにされると、ステップS2において、制御部200は、コントローラ192を介して、ファン193およびファン133の駆動を停止させる制御を行う。ステップS3において、制御部200は、撮像素子14による試料の撮像の制御を行う。試料の撮像は、複数枚行われる。たとえば、ステップS3において、試料は、数千枚~数万枚程度撮像される。
【0127】
ステップS4において、撮像終了後、制御部200は、コントローラ192を介して、ファン193およびファン133を駆動させる制御を行う。その後、画像撮像処理動作が終了される。
【0128】
(超解像画像作成処理動作)
図27を参照して、顕微鏡システム300の超解像画像作成処理動作について説明する。
【0129】
まず、図27のステップS11において、制御部200は、第1照明13から蛍光用照明を照射しながら試料の蛍光を撮像する。ステップS12において、制御部200は、撮像された各々の画像の蛍光の輝点を抽出する。具体的には、撮像された画像について、ガウスフィッティングにより蛍光の輝点が抽出される。ステップS13において、制御部200は、抽出された輝点の座標を取得する。つまり、画像上の輝点の画素の位置が求められる。具体的には、2次元平面において、各輝点の座標が取得される。そして、画像上の輝点の領域が取得される。具体的には、撮像された画像上の各蛍光領域について、ガウスフィッティングにより、所定範囲で基準波形とのマッチングが得られた場合は、この範囲に応じた広さの輝点領域が各輝点に割り当てられる。基準波形と1点でマッチングする蛍光領域の輝点については、最低レベルの広さの輝点領域が割り当てられる。
【0130】
ステップS14において、制御部200は、各画像の輝点領域を重ねる。そして、制御部200は、取得した各輝点の輝点領域を全ての画像について重ね合わせることにより、超解像画像を作成する。その後、超解像画像作成処理が終了される。
【0131】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【符号の説明】
【0132】
10、410、510、610:筐体部、10a:第1駆動部、10d:撮像部、11、411、511、611:試料設置部、12:対物レンズ、13:第1照明、14:撮像素子、15:第1光学素子、16b、16c、16f、16g:第2光学素子、18:基板、20、420、520、620:第1カバー(カバー)、20a:水平面、20b:交差面、21、421、521、621:表示部、22:第2カバー(カバー)、100、400、500、600:顕微鏡装置、113:凹部、192:コントローラ、193:ファン、221:第2照明、222:突出部、223:第2駆動部
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