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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】カードリーダ
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/08 20060101AFI20220907BHJP
   G11B 25/04 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
G06K7/08 040
G11B25/04 521Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018185034
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020057044
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-08-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】見澤 守
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伴也
(72)【発明者】
【氏名】藤本 将也
【審査官】打出 義尚
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-152070(JP,A)
【文献】特開2008-165880(JP,A)
【文献】実開平3-66001(JP,U)
【文献】特開2013-4053(JP,A)
【文献】特開2012-204527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/08
G11B 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが移動するカード移動路が形成される本体フレームと、前記カード移動路を移動する前記カードの厚さ方向の一方側から前記カード移動路に臨む第1磁気ヘッドと、前記カードの厚さ方向の他方側から前記カード移動路に臨む第2磁気ヘッドと、前記第1磁気ヘッドおよび前記第2磁気ヘッドが電気的に接続される回路基板と、前記第1磁気ヘッドと前記回路基板との間で信号を伝達する第1信号パターン配線と前記第2磁気ヘッドと前記回路基板との間で信号を伝達する第2信号パターン配線とが形成されるフレキシブルプリント基板とを備え、
前記フレキシブルプリント基板は、一端側が前記回路基板に繋がる帯状の共通基板部と、一端側が前記第1磁気ヘッドに繋がるとともに他端が前記共通基板部の他端に繋がる帯状の第1基板部と、一端側が前記第2磁気ヘッドに繋がるとともに他端が前記共通基板部の他端に繋がる帯状の第2基板部とを備え、
前記第1基板部または前記第2基板部には、前記本体フレームのフレームグランドに電気的に接続されるグランド用ランドが形成され、
前記フレキシブルプリント基板には、一端側が前記第1磁気ヘッドに接続されるとともに他端が前記グランド用ランドに繋がる第1フレームグランド用パターン配線と、一端側が前記第2磁気ヘッドに接続されるとともに他端が前記グランド用ランドに繋がる第2フレームグランド用パターン配線とが形成されていることを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記グランド用ランドと前記フレームグランドとを電気的に接続するためのリード線を備え、
前記リード線の一端部は、前記グランド用ランドに半田付けされて固定され、
前記グランド用ランドへの前記リード線の一端部の固定部分である半田付け部は、少なくとも前記フレキシブルプリント基板に貼り付けられる絶縁テープに覆われていることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項3】
前記フレキシブルプリント基板の、前記グランド用ランドの近傍には、前記フレキシブルプリント基板を貫通する位置決め用の貫通穴が形成され、
前記本体フレームには、前記貫通穴に挿通される位置決め用のピンが形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記第1信号パターン配線と前記第2信号パターン配線とは、前記フレキシブルプリント基板の同じ層である信号パターン形成層に形成され、
前記信号パターン形成層には、前記第1フレームグランド用パターン配線と前記第2フレームグランド用パターン配線とが形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のカードリーダ。
【請求項5】
前記信号パターン形成層は、前記フレキシブルプリント基板の一方側の面に配置され、
前記フレキシブルプリント基板の他方側の面には、自身が断線したことおよび短絡したことの少なくともいずれか一方を検知するための破壊検知パターン配線が形成される破壊検知パターン形成層が配置されていることを特徴とする請求項4記載のカードリーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに記録された磁気データの読取りやカードへの磁気データの記録を行うカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カードに記録された磁気データの読取りやカードへの磁気データの記録を行う手動式のカードリーダが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカードリーダの内部には、カードの挿入口から挿入されたカードが移動するカード移動路が形成されている。このカードリーダは、カード移動路を移動するカードの厚さ方向の一方側からカード移動路に臨む磁気ヘッドと、カードの厚さ方向の他方側からカード移動路に臨む磁気ヘッドとの2個の磁気ヘッドを備えている。
【0003】
また、特許文献1に記載のカードリーダは、カードリーダの制御回路が実装される回路基板(リジッド基板)を備えている。2個の磁気ヘッドのうちの一方の磁気ヘッドと回路基板とは、リード線によって電気的に接続されている。同様に、他方の磁気ヘッドと回路基板とは、リード線によって電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-122375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、特許文献1に記載のカードリーダのように2個の磁気ヘッドを備えるカードリーダにおいて、カードリーダの部品点数を削減してコストを低減するため、共通のフレキシブルプリント基板(FPC(Flexible printed circuits))によって、2個の磁気ヘッドと回路基板とを電気的に接続することを検討している。
【0006】
また、本願発明者は、共通のFPCによって2個の磁気ヘッドと回路基板とを電気的に接続するために、一端側が回路基板に繋がる共通基板部と、共通基板部の他端から一方の磁気ヘッドに向かって伸びる第1基板部と、共通基板部の他端から他方の磁気ヘッドに向かって伸びる第2基板部とによってFPCを構成することを検討している。ここで、本願発明者は、FPCおよび回路基板を介して、カードリーダの本体フレームのフレームグランドと2個の磁気ヘッドとを電気的に接続することを検討した。
【0007】
FPCおよび回路基板を介して、カードリーダの本体フレームのフレームグランドと2個の磁気ヘッドとを電気的に接続する場合には、FPCの共通基板部において、2個の磁気ヘッドのうちの一方の磁気ヘッドの信号伝達用のパターン配線および他方の磁気ヘッドの信号伝達用のパターン配線と、磁気ヘッドのフレームグランド用のパターン配線との距離を離さないと、静電気等に起因するフレームグランド用のパターン配線からのノイズが、信号伝達用のパターン配線で伝達される信号に影響を及ぼすおそれがある。一方で、共通基板部において、信号伝達用のパターン配線とフレームグランド用のパターン配線との距離を離すと、共通基板部の幅が広くなって、FPCが大型化するおそれがある。また、共通基板部の幅が広くなると、FPCを引き回しにくくなるおそれがある。
【0008】
そこで、本発明の課題は、2個の磁気ヘッドと回路基板とが共通のフレキシブルプリント基板によって電気的に接続される場合であっても、一方の磁気ヘッドの信号伝達用のパターン配線および他方の磁気ヘッドの信号伝達用のパターン配線が形成されるフレキシブルプリント基板の共通基板部の幅を狭めつつ、共通基板部において、フレームグランド用のパターン配線からのノイズが、信号伝達用のパターン配線で伝達される信号に及ぼす影響を低減することが可能なカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードが移動するカード移動路が形成される本体フレームと、カード移動路を移動するカードの厚さ方向の一方側からカード移動路に臨む第1磁気ヘッドと、カードの厚さ方向の他方側からカード移動路に臨む第2磁気ヘッドと、第1磁気ヘッドおよび第2磁気ヘッドが電気的に接続される回路基板と、第1磁気ヘッドと回路基板との間で信号を伝達する第1信号パターン配線と第2磁気ヘッドと回路基板との間で信号を伝達する第2信号パターン配線とが形成されるフレキシブルプリント基板とを備え、フレキシブルプリント基板は、一端側が回路基板に繋がる帯状の共通基板部と、一端側が第1磁気ヘッドに繋がるとともに他端が共通基板部の他端に繋がる帯状の第1基板部と、一端側が第2磁気ヘッドに繋がるとともに他端が共通基板部の他端に繋がる帯状の第2基板部とを備え、第1基板部または第2基板部には、本体フレームのフレームグランドに電気的に接続されるグランド用ランドが形成され、フレキシブルプリント基板には、一端側が第1磁気ヘッドに接続されるとともに他端がグランド用ランドに繋がる第1フレームグランド用パターン配線と、一端側が第2磁気ヘッドに接続されるとともに他端がグランド用ランドに繋がる第2フレームグランド用パターン配線とが形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のカードリーダでは、一端側が第1磁気ヘッドに繋がるとともに他端が共通基板部の他端に繋がる第1基板部、または、一端側が第2磁気ヘッドに繋がるとともに他端が共通基板部の他端に繋がる第2基板部に、本体フレームのフレームグランドに電気的に接続されるグランド用ランドが形成されている。また、本発明では、一端側が第1磁気ヘッドに接続される第1フレームグランド用パターン配線の他端、および、一端側が第2磁気ヘッドに接続される第2フレームグランド用パターン配線の他端は、第1基板部または第2基板部に形成されるグランド用ランドに繋がっている。
【0011】
そのため、本発明では、第1フレームグランド用パターン配線および第2フレームグランド用パターン配線を共通基板部に形成する必要がない。したがって、本発明では、2個の磁気ヘッドと回路基板とが共通のフレキシブルプリント基板によって電気的に接続される場合であっても、共通基板部の幅を狭めつつ、共通基板部において、第1フレームグランド用パターン配線および第2フレームグランド用パターン配線からのノイズが、第1信号パターン配線で伝達される信号および第2信号パターン配線で伝達される信号に及ぼす影響を低減することが可能になる。
【0012】
なお、本発明では、第2信号パターン配線が形成されていない第1基板部において、第1フレームグランド用パターン配線や第2フレームグランド用パターン配線と、第1信号パターン配線との距離を離すことで、第1基板部において、第1フレームグランド用パターン配線および第2フレームグランド用パターン配線からのノイズが、第1信号パターン配線で伝達される信号に及ぼす影響を低減することが可能になる。
【0013】
同様に、本発明では、第1信号パターン配線が形成されていない第2基板部において、第2フレームグランド用パターン配線や第1フレームグランド用パターン配線と、第2信号パターン配線との距離を離すことで、第2基板部において、第1フレームグランド用パターン配線および第2フレームグランド用パターン配線からのノイズが、第2信号パターン配線で伝達される信号に及ぼす影響を低減することが可能になる。
【0014】
本発明において、カードリーダは、グランド用ランドとフレームグランドとを電気的に接続するためのリード線を備え、リード線の一端部は、グランド用ランドに半田付けされて固定され、グランド用ランドへのリード線の一端部の固定部分である半田付け部は、少なくともフレキシブルプリント基板に貼り付けられる絶縁テープに覆われていることが好ましい。このように構成すると、リード線に外力が作用しても、半田付け部に応力が集中しにくくなるため、グランド用ランドからのリード線の外れを抑制することが可能になる。
【0015】
本発明において、フレキシブルプリント基板の、グランド用ランドの近傍には、フレキシブルプリント基板を貫通する位置決め用の貫通穴が形成され、本体フレームには、貫通穴に挿通される位置決め用のピンが形成されていることが好ましい。このように構成すると、フレキシブルプリント基板の、グランド用ランドの近傍部分に外力が作用しても、グランド用ランドが大きく動くのを防止することが可能になる。したがって、たとえば、グランド用ランドにリード線が半田付けして固定されている場合、フレキシブルプリント基板の、グランド用ランドの近傍部分に外力が作用しても、グランド用ランドからのリード線の外れを抑制することが可能になる。
【0016】
本発明において、第1信号パターン配線と第2信号パターン配線とは、フレキシブルプリント基板の同じ層である信号パターン形成層に形成され、信号パターン形成層には、第1フレームグランド用パターン配線と第2フレームグランド用パターン配線とが形成されていることが好ましい。このように構成すると、第1信号パターン配線と第2信号パターン配線と第1フレームグランド用パターン配線と第2フレームグランド用パターン配線とが同じ信号パターン形成層に形成されているため、フレキシブルプリント基板のコストを低減することが可能になる。
【0017】
なお、本発明では、第1フレームグランド用パターン配線および第2フレームグランド用パターン配線を共通基板部に形成する必要がないため、第1信号パターン配線と第2信号パターン配線と第1フレームグランド用パターン配線と第2フレームグランド用パターン配線とが同じ信号パターン形成層に形成されていても、第1信号パターン配線、第2信号パターン配線、第1フレームグランド用パターン配線および第2フレームグランド用パターン配線を容易に引き回すことが可能になる。
【0018】
本発明において、信号パターン形成層は、フレキシブルプリント基板の一方側の面に配置され、フレキシブルプリント基板の他方側の面には、自身が断線したことおよび短絡したことの少なくともいずれか一方を検知するための破壊検知パターン配線が形成される破壊検知パターン形成層が配置されていることが好ましい。このように構成すると、破壊検知パターン形成層がカードリーダの外部側を向くようにフレキシブルプリント基板を引き回すことで、カードリーダのセキュリティ性を高めることが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明のカードリーダでは、2個の磁気ヘッドと回路基板とが共通のフレキシブルプリント基板によって電気的に接続される場合であっても、一方の磁気ヘッドの信号伝達用のパターン配線および他方の磁気ヘッドの信号伝達用のパターン配線が形成されるフレキシブルプリント基板の共通基板部の幅を狭めつつ、共通基板部において、フレームグランド用のパターン配線からのノイズが、信号伝達用のパターン配線で伝達される信号に及ぼす影響を低減することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの斜視図である。
図2図1に示すカードリーダを別の角度から示す斜視図である。
図3図1に示す第1磁気ヘッド、付勢機構および図2に示す第2磁気ヘッド、付勢機構の構成を説明するための側面図である。
図4】(A)は、図1に示すフレキシブルプリント基板の信号パターン形成層の構成を説明するための展開図であり、(B)は、図1に示すフレキシブルプリント基板の構成を説明するための断面図である。
図5図1に示すフレキシブルプリント基板の破壊検知パターン形成層の構成を説明するための展開図である。
図6図4(A)のE部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(カードリーダの全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の斜視図である。図2は、図1に示すカードリーダ1を別の角度から示す斜視図である。図3は、図1図2に示す磁気ヘッド6、7および付勢機構8、9の構成を説明するための側面図である。
【0023】
本形態のカードリーダ1は、カード2に記録された磁気データの読取りやカード2への磁気データの記録を行う装置である。具体的には、カードリーダ1は、カードリーダ1へのカード2の挿入とカードリーダ1からのカード2の抜取りとを手動で行って磁気データの読取りや記録を行ういわゆるディップ式のカードリーダである。すなわち、カードリーダ1は、手動式のカードリーダである。
【0024】
カード2は、たとえば、厚さが0.7~0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。カード2には、磁気データが記録される磁気ストライプが形成されている。具体的には、カード2の両面に磁気ストライプが形成されている。なお、カード2にICチップが内蔵されていても良い。また、カード2は、厚さが0.18~0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0025】
カードリーダ1には、カード2が挿入されるカード挿入口3が形成されている(図1参照)。また、カードリーダ1には、カード挿入口3から挿入されたカード2が移動するカード移動路4が形成されている。カードリーダ1は、カード挿入口3およびカード移動路4が形成される本体フレーム5と、本体フレーム5を覆うケース体(図示省略)とを備えている。また、カードリーダ1は、カード2に記録された磁気データの読取りおよびカード2への磁気データの記録の少なくともいずれか一方を行う2個の磁気ヘッド6、7を備えている。本形態の磁気ヘッド6は、第1磁気ヘッドであり、磁気ヘッド7は、第2磁気ヘッドである。
【0026】
さらに、カードリーダ1は、磁気ヘッド6を付勢する付勢機構8と、磁気ヘッド7を付勢する付勢機構9と、カードリーダ1の制御回路が実装される回路基板10と、磁気ヘッド6、7と回路基板10とを電気的に接続するフレキシブルプリント基板11とを備えている。以下の説明では、フレキシブルプリント基板11を「FPC11」とする。
【0027】
本形態では、手動で操作されるカード2は、図1等に示すX方向に移動する。すなわち、X方向は、カード移動路4を移動するカード2の移動方向である。また、カード2は、X方向の一方側であるX1方向側に向かってカード挿入口3に挿入されるとともに、X方向の他方側であるX2方向側に向かってカード挿入口3から抜き取られる。また、X方向に直交する図1等のZ方向は、カード移動路4を移動するカード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交する図1等のY方向は、カード移動路4を移動するカード2の幅方向(短手幅方向)である。
【0028】
以下の説明では、カード2の移動方向であるX方向を前後方向とする。また、Y方向を左右方向とし、Z方向を上下方向とする。また、カードリーダ1へのカード2の挿入方向側であるX1方向側を「後ろ」側とし、カードリーダ1からのカード2の抜取り方向側であるX2方向側を「前」側とする。また、左右方向の一方側であるY1方向側を「右」側とし、左右方向の他方側であるY2方向側を「左」側とし、上下方向の一方側であるZ1方向側を「上」側とし、上下方向の他方側であるZ2方向側を「下」側とする。
【0029】
本体フレーム5は、上下方向に分割される上フレーム15と下フレーム16とから構成されている。上フレーム15は、本体フレーム5の上側部分を構成し、下フレーム16は、本体フレーム5の下側部分を構成している。カード移動路4は、上フレーム15と下フレーム16との間に形成されている。上フレーム15および下フレーム16は、樹脂で形成されている。具体的には、上フレーム15は、導電性を有する導電性樹脂で形成され、下フレーム16は、導電性を有しない絶縁性の樹脂で形成されている。本形態では、上フレーム15は、本体フレーム5のフレームグランドになっている。
【0030】
また、本体フレーム5は、カードリーダ1に挿入されたカード2の後端側部分が収容されるカード収容部5aと、磁気ヘッド6、7が配置されるヘッド配置部5bと、カード挿入口3から挿入されたカード2を案内するためのカード案内部5cとを備えている。ヘッド配置部5bおよびカード案内部5cは、カード収容部5aよりも前側に配置されている。ヘッド配置部5bおよびカード案内部5cと、カード収容部5aとの間には、鍔状に広がる鍔部5dが形成されている。ヘッド配置部5bおよびカード案内部5cは、鍔部5dから前側へ突出している。ヘッド配置部5bとカード案内部5cとは、左右方向において間隔をあけた状態で形成されている。本形態では、ヘッド配置部5bが右側に配置され、カード案内部5cが左側に配置されている。
【0031】
上フレーム15には、FPC11の一部を構成する後述の第1基板部11bを位置決めするための位置決め用のピン15aが形成されている。ピン15aは、上フレーム15の右側面に形成されている。また、ピン15aは、ヘッド配置部5bの右側面の2箇所に形成されている。ピン15aは、上フレーム15の右側面から右側に突出する円柱状に形成されている。2本のピン15aは、上下方向に間隔をあけた状態で配置されている。上フレーム15の右側面には、右側に向かって突出する半円柱状の突出部15bが形成され、下フレーム16の右側面には、右側に向かって突出する半円柱状の突出部16bが形成されている。突出部15b、16bは、ヘッド配置部5bの右側面に形成されている。突出部15bと突出部16bとは上下方向で重なっている。
【0032】
突出部15bには、上下方向に貫通するネジ穴が形成されている。このネジ穴には、上フレーム15と下フレーム16とを固定するためのネジ18の軸部に形成されるオネジが螺合している。突出部16bには、上下方向に貫通する貫通穴が形成されている。この貫通穴には、ネジ18の軸部が下側から挿通されている。ネジ18は、金属製のネジであり、導線性を有している。なお、本形態のネジ18は、タッピングネジであり、突出部15bに形成されるネジ穴は、突出部15bに形成された貫通穴にネジ18をねじ込むことで形成される。
【0033】
磁気ヘッド6、7は、ヘッド配置部5bの前端側に取り付けられている。磁気ヘッド6は、上側からカード移動路4に臨むように配置されている。磁気ヘッド7は、下側からカード移動路4に臨むように配置されている。具体的には、磁気ヘッド6は、磁気ヘッド6の磁気ギャップ6aが上側からカード移動路4に臨むように配置され、磁気ヘッド7は、磁気ヘッド7の磁気ギャップ7aが下側からカード移動路4に臨むように配置されている。磁気ヘッド6と磁気ヘッド7とは、左右方向において略同じ位置に配置されており、上下方向で対向している。また、磁気ヘッド6と磁気ヘッド7とは、前後方向において互いにずれた位置に配置されている。具体的には、磁気ヘッド6の磁気ギャップ6aが、磁気ヘッド7の磁気ギャップ7aよりも前側に配置されている。
【0034】
付勢機構8は、下側に向かって磁気ヘッド6を付勢している。付勢機構8は、磁気ヘッド6が固定されるヘッド固定部材22と、ヘッド固定部材22を支持する2本の支持ピン23と、ヘッド固定部材22を付勢する圧縮コイルバネ24とを備えている。ヘッド固定部材22は、ステンレス鋼板等の薄鋼板を所定形状に折り曲げることで形成された板バネである。ヘッド固定部材22は、磁気ヘッド6が固定されるヘッド固定部22aと、2本の支持ピン23に支持されるとともに圧縮コイルバネ24に付勢される被支持部22bとから構成されている。ヘッド固定部22aは、長方形の枠状に形成されており、ヘッド固定部22aの内周側に、磁気ヘッド6の上端部が固定されている。ヘッド固定部22aは、磁気ヘッド6のヘッドケースに接触している。
【0035】
支持ピン23は、上フレーム15に固定されている。支持ピン23は、ヘッド固定部材22を下側から支持している。支持ピン23の上端部は、被支持部22bに形成された貫通穴に挿通されている。磁気ヘッド6は、2本の支持ピン23に対して前後方向を揺動の軸方向とする揺動が可能となっている。圧縮コイルバネ24には、2本の支持ピン23のうちの一方の支持ピン23の上端部が挿入されている。圧縮コイルバネ24の下端は、被支持部22bの上面に接触し、圧縮コイルバネ24の上端は、上フレーム15に固定されるバネ保持部材25に接触している。圧縮コイルバネ24は、ヘッド固定部材22を下側に付勢している。
【0036】
付勢機構9は、上側に向かって磁気ヘッド7を付勢している。付勢機構9は、磁気ヘッド7が固定されるヘッド固定部材31と、ヘッド固定部材31を支持する2本の支持ピン32と、ヘッド固定部材31を付勢する圧縮コイルバネ33とを備えている。ヘッド固定部材31は、ステンレス鋼板等の薄鋼板を所定形状に折り曲げることで形成された板バネである。ヘッド固定部材31は、磁気ヘッド7が固定されるヘッド固定部31aと、2本の支持ピン32のうちの一方の支持ピン32に支持されるとともに圧縮コイルバネ33に付勢される被支持部31bと、他方の支持ピン32に支持される被支持部31cとから構成されている。ヘッド固定部31aは、長方形の枠状に形成されており、ヘッド固定部31aの内周側に、磁気ヘッド7の下端部が固定されている。
【0037】
支持ピン32は、ピン固定板34に固定されている。ピン固定板34は、下フレーム16に固定されている。支持ピン32は、ヘッド固定部材31を下側から支持している。支持ピン32の上端部は、被支持部31b、31cに形成された貫通穴に挿通されている。磁気ヘッド7は、支持ピン32に対して前後方向を揺動の軸方向とする揺動が可能となっている。圧縮コイルバネ33には、2本の支持ピン32のうちの一方の支持ピン32が挿通されている。圧縮コイルバネ33の下端は、ピン固定板34の上面に接触し、圧縮コイルバネ33の上端は、被支持部31bの下面に接触している。圧縮コイルバネ33は、ヘッド固定部材31を上側に付勢している。
【0038】
なお、本形態では、付勢機構8による磁気ヘッド6の付勢力は、付勢機構9による磁気ヘッド7の付勢力よりも大きくなっている。そのため、カード挿入口3から挿入されたカード2が磁気ヘッド6と磁気ヘッド7との間を通過するときには、図3の二点鎖線で示すように、磁気ヘッド7は、付勢機構9の付勢力に抗して下側へ動くが、磁気ヘッド6は、上側へ動かない。
【0039】
回路基板10は、略長方形の平板状に形成されたリジッド基板である。回路基板10は、上フレーム15の上面に固定されている。また、回路基板10は、カード収容部5aの上面に固定されている。上述のように、FPC11は、磁気ヘッド6、7と回路基板10とを電気的に接続している。すなわち、回路基板10には、FPC11を介して磁気ヘッド6、7が電気的に接続されている。また、2個の磁気ヘッド6、7と回路基板10とは、共通のFPC11によって電気的に接続されている。回路基板10には、FPC11の一端部が差し込まれるコネクタ35が実装されている。
【0040】
(フレキシブルプリント基板の構成)
図4(A)は、図1に示すFPC11の信号パターン形成層38の構成を説明するための展開図であり、図4(B)は、図1に示すFPC11の構成を説明するための断面図である。図5は、図1に示すFPC11の破壊検知パターン形成層39の構成を説明するための展開図である。図6は、図4(A)のE部の拡大図である。
【0041】
FPC11は、所定形状に折り曲げられた状態で本体フレーム5に沿って引き回されている。FPC11は、一端側が回路基板10に繋がる帯状の共通基板部11aと、一端側が磁気ヘッド6に繋がるとともに他端が共通基板部11aの他端に繋がる帯状の第1基板部11bと、一端側が磁気ヘッド7に繋がるとともに他端が共通基板部11aの他端に繋がる帯状の第2基板部11cとを備えている。本形態では、FPC11は、共通基板部11aと第1基板部11bと第2基板部11cとから構成されている。すなわち、FPC11は、共通基板部11aと、共通基板部11aの他端から分岐する2個の第1基板部11bおよび第2基板部11cとから構成されている。
【0042】
共通基板部11aの一端部は、コネクタ35に差し込まれている被差込み部11dとなっている。第1基板部11bの一端部は、磁気ヘッド6に固定される被固定部11eとなっている。第2基板部11cの一端部は、磁気ヘッド7に固定される被固定部11fとなっている。第2基板部11cは、被固定部11fを上側から覆う覆部11gと、被固定部11fと覆部11gとを接続する接続部11hとを備えている。
【0043】
また、FPC11は、FPC11の厚さ方向で積層される信号パターン形成層38、破壊検知パターン形成層39およびベース層40を備えている。ベース層40は、絶縁性の樹脂フィルムで形成されている。図4(B)に示すように、信号パターン形成層38とベース層40と破壊検知パターン形成層39とは、FPC11の一方の面から他方の面に向かってこの順番で積層されている。すなわち、信号パターン形成層38は、FPC11の一方側の面に配置され、破壊検知パターン形成層39は、FPC11の他方側の面に配置されている。
【0044】
信号パターン形成層38には、磁気ヘッド6と回路基板10との間で信号を伝達する第1信号パターン配線としての信号パターン配線41と、磁気ヘッド7と回路基板10との間で信号を伝達する第2信号パターン配線として信号パターン配線42とが形成されている。破壊検知パターン形成層39には、自身が断線したことおよび短絡したことの少なくともいずれか一方を検知するための破壊検知パターン配線43が形成されている。信号パターン配線41、42および破壊検知パターン配線43は、絶縁性を有する樹脂で形成されるカバーフィルム(図示省略)によって覆われている。
【0045】
また、信号パターン形成層38には、本体フレーム5のフレームグランドである上フレーム15と磁気ヘッド6とを電気的に接続するためのフレームグランド用パターン配線44と、上フレーム15と磁気ヘッド7とを電気的に接続するためのフレームグランド用パターン配線45とが形成されている。フレームグランド用パターン配線44、45は、絶縁性を有する樹脂で形成されるカバーフィルム(図示省略)によって覆われている。本形態のフレームグランド用パターン配線44は、第1フレームグランド用パターン配線であり、フレームグランド用パターン配線45は、第2フレームグランド用パターン配線である。以下の説明では、フレームグランド用パターン配線44を「FG用パターン配線44」とし、フレームグランド用パターン配線45を「FG用パターン配線45」とする。
【0046】
信号パターン配線41は、磁気ヘッド6によってカード2から読み取った磁気データの信号を伝達し、信号パターン配線42は、磁気ヘッド7によってカード2から読み取った磁気データの信号を伝達する。また、カードリーダ1で磁気データの記録が行われる場合には、信号パターン配線41は、磁気ヘッド6によってカード2に記録する磁気データの信号を伝達し、信号パターン配線42は、磁気ヘッド7によってカード2に記録する磁気データの信号を伝達する。
【0047】
上述のように、信号パターン配線41、42は、信号パターン形成層38に形成されている。すなわち、FPC11には、信号パターン配線41と信号パターン配線42とが形成されている。また、信号パターン配線41と信号パターン配線42とは、FPC11の同じ層である信号パターン形成層38に形成されている。本形態では、2本の信号パターン配線41と4本の信号パターン配線42とが信号パターン形成層38に形成されている。なお、信号パターン形成層38に6本の信号パターン配線42が形成されていても良い。
【0048】
また、信号パターン配線41は、共通基板部11aおよび第1基板部11bに形成されている。具体的には、信号パターン配線41は、被差込み部11dから被固定部11eまで連続的に形成されている。また、信号パターン配線42は、共通基板部11aおよび第2基板部11cに形成されている。具体的には、信号パターン配線42は、被差込み部11dから被固定部11fまで連続的に形成されている。共通基板部11aでは、共通基板部11aの幅方向における共通基板部11aの一端側に2本の信号パターン配線41が配置され、共通基板部11aの幅方向における共通基板部11aの他端側に4本の信号パターン配線42が配置されている。
【0049】
信号パターン配線41の一端は、被固定部11eに形成されるランド47に繋がっている。ランド47は、磁気ヘッド6の端子に半田付けされて固定されている。ランド47は、環状に形成されており、ランド47の内周側には、磁気ヘッド6の端子が挿通される貫通穴が形成されている。信号パターン配線42の一端は、被固定部11fに形成されるランド48に繋がっている。ランド48は、磁気ヘッド7の端子に半田付けされて固定されている。ランド48は、環状に形成されており、ランド48の内周側には、磁気ヘッド7の端子が挿通される貫通穴が形成されている。
【0050】
破壊検知パターン配線43には、矩形波状のデジタル信号である破壊検知信号が流れている。図5に示すように、破壊検知パターン配線43は、破壊検知パターン形成層39の、被差込み部11d、被固定部11e、被固定部11fおよび接続部11hを除いた箇所のほぼ全域に形成されている。破壊検知パターン配線43は、1本のパターン配線によって構成されており、破壊検知パターン配線43の一端は、回路基板10に形成される破壊検知回路に接続され、破壊検知パターン配線43の他端は、接地されている。
【0051】
本形態では、磁気データを不正に取得するために犯罪者によって何らかの不正行為が行われて、破壊検知パターン配線43の断線や短絡が検知されると、回路基板10に記憶されているデータを消去したり、回路基板10を使用不可な状態にしたり、カードリーダ1が搭載される上位装置に異常を通知する等の所定の処理が実行される。
【0052】
第1基板部11bには、本体フレーム5のフレームグランドである上フレーム15に電気的に接続されるグランド用ランド50(以下、「FG用ランド50」とする。)が形成されている。FG用ランド50は、帯状に形成される第1基板部11bの長手方向において、第1基板部11bの中心よりも、共通基板部11aの他端側に形成されている。FG用ランド50は、円環状に形成されており、FG用ランド50の内周側には、貫通穴が形成されている。
【0053】
FG用パターン配線44の一端は、被固定部11eに形成されるランド51に繋がっている。ランド51は、ヘッド固定部材22のヘッド固定部22aに一体で形成されるFG端子(フレームグランド端子)に半田付けされて固定されている。また、上述のように、ヘッド固定部22aは、磁気ヘッド6のヘッドケースに接触している。そのため、FG用パターン配線44の一端側は、ランド51およびヘッド固定部22aを介して磁気ヘッド6のヘッドケースに電気的に接続されている。すなわち、FG用パターン配線44の一端側は、磁気ヘッド6に接続されている。なお、ランド51は、ヘッド固定部材22と別体で形成されて磁気ヘッド6のヘッドケースに固定されるFG端子に半田付けされて固定されていても良い。
【0054】
FG用パターン配線45の一端は、覆部11gに形成されるランド52に繋がっている。ランド52は、磁気ヘッド7のヘッドケースに固定されるFG端子に半田付けされて固定されている。そのため、FG用パターン配線45の一端側は、ランド52およびFG端子を介して磁気ヘッド7のヘッドケースに電気的に接続されている。すなわち、FG用パターン配線45の一端側は、磁気ヘッド7に接続されている。なお、ランド52は、ヘッド固定部材31のヘッド固定部31aに形成されるFG端子に半田付けされて固定されていても良い。
【0055】
FG用パターン配線44の他端は、FG用ランド50に繋がっている。すなわち、FG用パターン配線44は、被固定部11eに形成されるランド51からFG用ランド50まで連続的に形成されており、第1基板部11bに形成されている。また、FG用パターン配線45の他端も、FG用ランド50に繋がっている。すなわち、FG用パターン配線45は、覆部11gに形成されるランド52からFG用ランド50まで連続的に形成されており、第2基板部11cおよび第1基板部11bに形成されている。このように、本形態では、FG用パターン配線44、45は、共通基板部11aには形成されていない。
【0056】
第1基板部11bでは、第1基板部11bの幅方向における第1基板部11bの一端側に2本の信号パターン配線41が配置され、第1基板部11bの幅方向における第1基板部11bの他端側にFG用パターン配線44、45が配置されている。また、第2基板部11cの、被固定部11fおよび接続部11hを除いた部分では、第2基板部11cの幅方向における第2基板部11cの一端側に4本の信号パターン配線42が配置され、第2基板部11cの幅方向における第2基板部11cの他端側にFG用パターン配線45が配置されている。
【0057】
第1基板部11bの、FG用ランド50の近傍には、第1基板部11bを貫通する位置決め用の貫通穴11kが形成されている。すなわち、FPC11の、FG用ランド50の近傍には、FPC11を貫通する位置決め用の貫通穴11kが形成されている。貫通穴11kは、帯状に形成される第1基板部11bの長手方向において間隔をあけた状態で2箇所に形成されている。また、2個の貫通穴11kは、第1基板部11bの幅方向において信号パターン配線41とFG用パターン配線44との間に形成されている。貫通穴11kには、上フレーム15のピン15aが挿通されている。
【0058】
上述のように、被固定部11eに形成されるランド47は、ランド47の内周側に形成される貫通穴に挿通された磁気ヘッド6の端子に半田付けされて固定されている。また、被固定部11eに形成されるランド51は、ヘッド固定部22aに形成されるFG端子に半田付けされて固定されている。被固定部11eは、磁気ヘッド6の上端部に固定されている。第1基板部11bの一端側は、被固定部11eの上面を覆うように折り返されている。第1基板部11bの一端側の、被固定部11eを覆う部分と、被固定部11eとの間には、樹脂封止部材が塗布されている。第1基板部11bの一端側は、この樹脂封止部材を上側から覆うように折り返されており、樹脂封止部材によって固定されている。第1基板部11bの一端側の、被固定部11eを覆う部分の上面には、この部分を上側から覆うカバー55が固定されている。
【0059】
なお、本形態では、カード2に対する磁気ヘッド6の追従性を確保するために、第1基板部11bの、被固定部11eと貫通穴11kとの間の部分に、U字状に形成されたU字部11pが形成されている。すなわち、本形態では、第1基板部11bの、ピン15aによって位置決めされる部分と、第1基板部11bの、磁気ヘッド6に固定される部分との間にU字部11pを形成することで、第1基板部11bに弛みを持たせており、この弛みによって、カード2に対する磁気ヘッド6の追従性が確保されている。
【0060】
また、上述のように、被固定部11fに形成されるランド48は、ランド48の内周側に形成される貫通穴に挿通された磁気ヘッド7の端子に半田付けされて固定されている。被固定部11fは、磁気ヘッド7の下端部に固定されている。覆部11gは、被固定部11fを下側から覆っている。接続部11hは、被固定部11fが覆部11gに覆われるように折り返されている。覆部11gに形成されるランド52は、磁気ヘッド7のヘッドケースに固定されるFG端子に半田付けされて固定されている。被固定部11fと覆部11gとの間には、樹脂封止部材が塗布されている。覆部11gは、樹脂封止部材によって固定されている。覆部11gの下面には、覆部11gを下側から覆うカバー56が固定されている。
【0061】
被固定部11eが磁気ヘッド6に固定されるとともに被固定部11fが磁気ヘッド7に固定されたFPC11は、信号パターン形成層38がカードリーダ1側を向くように(すなわち、破壊検知パターン形成層39がカードリーダ1の外部側を向くように)、本体フレーム5に沿って引き回されている。なお、鍔部5dには、FPC11を引き回すためのスリット状の貫通穴5eが形成されている(図2参照)。貫通穴5eは、前後方向で鍔部5dを貫通している。
【0062】
(グランド用ランドと上フレームとの接続部分の構成)
図1図2に示すように、カードリーダ1は、FG用ランド50と本体フレーム5のフレームグランド(すなわち、上フレーム15)とを電気的に接続するためのリード線58および端子59を備えている。端子59は、L形状に折り曲げられて形成された金属板である。リード線58の一端部は、FG用ランド50に半田付けされて固定されている。具体的には、FG用ランド50の内周側に形成される貫通穴にリード線58の一端側の芯線が挿入された状態で、リード線58の一端部は、FG用ランド50に半田付けされて固定されている。
【0063】
リード線58の他端部は、端子59に半田付けされて固定されている。具体的には、端子59に形成される貫通穴にリード線58の他端側の芯線が挿入された状態で、リード線58の他端部は、端子59に半田付けされて固定されている。端子59は、金属製のネジ18によって、突出部16bに固定されている。上述のように、ネジ18のオネジは、上フレーム15の突出部15bに形成されるネジ穴に螺合している。FG用ランド50と上フレーム15とは、リード線58、端子59およびネジ18を介して電気的に接続されている。
【0064】
FG用ランド50へのリード線58の一端部の固定部分である半田付け部60は、FPC11に貼り付けられる絶縁テープ61に覆われている。具体的には、半田付け部60は、第1基板部11bに貼り付けられる絶縁テープ61に覆われている。なお、絶縁テープ61の一部は、本体フレーム5に貼り付けられていても良い。具体的には、絶縁テープ61の一部は、ヘッド配置部5bの右側面に貼り付けられていても良い。また、貫通穴11kからピン15aが抜けないように、絶縁テープ61によってピン15aの右端側が覆われていても良い。
【0065】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、一端側が磁気ヘッド6に接続されるFG用パターン配線44の他端、および、一端側が磁気ヘッド7に接続されるFG用パターン配線45の他端は、第1基板部11bに形成されるFG用ランド50に繋がっており、FG用パターン配線44、45は、共通基板部11aには形成されていない。そのため、本形態では、2個の磁気ヘッド6、7と回路基板10とが共通のFPC11によって電気的に接続される場合であっても、共通基板部11aの幅を狭めつつ、共通基板部11aにおいて、FG用パターン配線44、45からのノイズが、信号パターン配線41、42で伝達される信号に及ぼす影響を低減することが可能になる。
【0066】
また、本形態では、第1基板部11bにおいて、第1基板部11bの幅方向における第1基板部11bの一端側に2本の信号パターン配線41が配置され、第1基板部11bの幅方向における第1基板部11bの他端側にFG用パターン配線44、45が配置されているため、第1基板部11bにおいても、FG用パターン配線44、45からのノイズが、信号パターン配線41で伝達される信号に及ぼす影響を低減することが可能になる。
【0067】
同様に、本形態では、第2基板部11cの、被固定部11fおよび接続部11hを除いた部分において、第2基板部11cの幅方向における第2基板部11cの一端側に4本の信号パターン配線42が配置され、第2基板部11cの幅方向における第2基板部11cの他端側にFG用パターン配線45が配置されているため、第2基板部11cにおいても、FG用パターン配線45からのノイズが、信号パターン配線42で伝達される信号に及ぼす影響を低減することが可能になる。
【0068】
本形態では、FG用ランド50へのリード線58の一端部の固定部分である半田付け部60は、FPC11に貼り付けられる絶縁テープ61に覆われている。そのため、本形態では、リード線58に外力が作用しても、半田付け部60に応力が集中しにくくなる。したがって、本形態では、FG用ランド50からのリード線58の外れを抑制することが可能になる。
【0069】
また、本形態では、FPC11の、FG用ランド50の近傍に貫通穴11kが形成され、上フレーム15に形成されるピン15aが貫通穴11kに挿通されているため、FPC11の、FG用ランド50の近傍部分に外力が作用しても、FG用ランド50が大きく動くのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、FPC11の、FG用ランド50の近傍部分に外力が作用しても、FG用ランド50からのリード線58の外れを抑制することが可能になる。
【0070】
本形態では、信号パターン配線41、42およびFG用パターン配線44、45は、FPC11の同じ層である信号パターン形成層38に形成されている。そのため、本形態では、信号パターン配線41およびFG用パターン配線44が形成される層と、信号パターン配線42およびFG用パターン配線45が形成される層とが異なっている場合と比較して、FPC11のコストを低減することが可能になる。なお、本形態では、FG用パターン配線44、45を共通基板部11aに形成する必要がないため、信号パターン配線41、42およびFG用パターン配線44、45が信号パターン形成層38に形成されていても、信号パターン配線41、42およびFG用パターン配線44、45を容易に引き回すことが可能になる。
【0071】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0072】
上述した形態において、第2基板部11cにFG用ランド50が形成されていても良い。この場合には、第2基板部11cの、被固定部11fおよび接続部11hを除いた部分において、第2基板部11cの幅方向における第2基板部11cの一端側に4本の信号パターン配線42が配置され、第2基板部11cの幅方向における第2基板部11cの他端側にFG用パターン配線44、45が配置される。
【0073】
上述した形態において、FG用ランド50と上フレーム15とは、リード線58以外のケーブルによって電気的に接続されていても良い。また、上述した形態において、上フレーム15は、導電性を有しない絶縁性の樹脂で形成されていても良い。この場合には、本体フレーム5は、本体フレーム5のフレームグランドとなる導線性の部材を備えている。たとえば、本体フレーム5は、本体フレーム5のフレームグランドとなる金属製の部材を備えている。
【0074】
上述した形態において、FPC11は、破壊検知パターン形成層39を備えていなくても良い。この場合には、たとえば、信号パターン配線41およびFG用パターン配線44が形成される信号パターン形成層がFPC11の一方側の面に配置され、信号パターン配線42およびFG用パターン配線45が形成される信号パターン形成層がFPC11の他方側の面に配置されていても良い。すなわち、信号パターン配線41およびFG用パターン配線44が形成される信号パターン形成層と、信号パターン配線42およびFG用パターン配線45が形成される信号パターン形成層とが異なっていても良い。
【0075】
上述した形態において、磁気ヘッド7の磁気ギャップ7aが、前後方向において、磁気ヘッド6の磁気ギャップ6aよりもカード挿入口3側に配置されていても良い。また、上述した形態において、磁気ギャップ6aと磁気ギャップ7aとが前後方向において同じ位置に配置されていても良い。また、上述した形態において、カードリーダ1は、カード2を自動で搬送するカード搬送機構を有するカード搬送式のカードリーダであっても良い。
【符号の説明】
【0076】
1 カードリーダ
2 カード
4 カード移動路
5 本体フレーム
6 磁気ヘッド(第1磁気ヘッド)
7 磁気ヘッド(第2磁気ヘッド)
10 回路基板
11 FPC(フレキシブルプリント基板)
11a 共通基板部
11b 第1基板部
11c 第2基板部
11k 貫通穴
15 上フレーム(フレームグランド)
15a ピン
38 信号パターン形成層
39 破壊検知パターン形成層
41 信号パターン配線(第1信号パターン配線)
42 信号パターン配線(第2信号パターン配線)
43 破壊検知パターン配線
44 FG用パターン配線(第1フレームグランド用パターン配線)
45 FG用パターン配線(第2フレームグランド用パターン配線)
50 FG用ランド(グランド用ランド)
58 リード線
60 半田付け部
61 絶縁テープ
Z カードの厚さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6