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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】空気入りタイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29D 30/24 20060101AFI20220907BHJP
   B29D 30/30 20060101ALI20220907BHJP
   B29C 33/02 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
B29D30/24
B29D30/30
B29C33/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018225452
(22)【出願日】2018-11-30
(65)【公開番号】P2020082685
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-09-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】丸山 晶之
【審査官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-134822(JP,A)
【文献】特開2002-347033(JP,A)
【文献】特開平10-058913(JP,A)
【文献】特開平10-058554(JP,A)
【文献】特開2017-217830(JP,A)
【文献】特開平07-052277(JP,A)
【文献】特開2012-131167(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29D 30/00- 30/72
B29C 33/00- 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成型ドラムのうち、周方向に分割されたドラムセクタそれぞれの外周部に、ベルト及びトレッドゴムを含むタイヤ構成部材を円筒状に巻き付けてトレッドバンドを成型し、
前記トレッドバンドを、カーカスプライを含む円筒状のカーカスバンドの外径側に位置するグリーンタイヤ成型位置に、移送し、
前記カーカスバンドを径方向外側に膨出させて、トレッドバンドの内周部に結合させてグリーンタイヤを成型し、
前記成型されたグリーンタイヤを、前記グリーンタイヤ成型位置から取り出し、
前記取り出されたグリーンタイヤを、加硫成型して、空気入りタイヤを製造する方法であって、
前記成型ドラムの分割数は、17又は19であり、
前記グリーンタイヤの取り出しは、グリーントランスファのうち、周方向に分割されたグリーン把持部それぞれの内周部が、前記グリーンタイヤを径方向外側から把持することによって実施され、
前記グリーントランスファの分割数は、17又は19である、空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記トレッドバンドの移送は、ベルトトランスファのうち、周方向に分割されたベルト把持部それぞれの内周部が、前記トレッドバンドを径方向外側から把持することによって実施され、
前記ベルトトランスファの分割数は、17又は19である、
請求項に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項3】
前記成型ドラムの分割数は、前記グリーントランスファの分割数及び/又は前記ベルトトランスファの分割数と異なっている、
請求項に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項4】
前記成型ドラムの分割数は、前記グリーントランスファの分割数及び前記ベルトトランスファの分割数の少なくとも一方と等しく、
前記成型ドラムの周方向における分割位置は、分割数が等しい前記少なくとも一方の周方向における分割位置と同じである、
請求項に記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項5】
前記グリーントランスファ及び前記ベルトトランスファは、所定の角度ピッチごとに周方向に分割されており、
前記グリーントランスファの周方向における分割位置は、前記ベルトトランスファの周方向における分割位置に対して、前記所定の角度ピッチの半分の角度ずらして設定されている、
請求項2~4のいずれか1つに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項6】
前記グリーンタイヤの加硫成型は、タイヤ加硫金型によって実施され、
前記タイヤ加硫金型は周方向に17又は19に分割されている、
請求項1~のいずれか1つに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項7】
前記成型ドラムは、前記ドラムセクタの外周部に前記トレッドバンドが成型されている状態で、複数の前記ドラムセクタは互いに周方向に間隔を空けて環状に配置されており、
前記間隔は27mm以下に設定されている、
請求項1~のいずれか1つに記載の空気入りタイヤの製造方法。
【請求項8】
成型ドラムのうち、周方向に分割されたドラムセクタそれぞれの外周部に、ベルト及びトレッドゴムを含むタイヤ構成部材を円筒状に巻き付けてトレッドバンドを成型し、
前記トレッドバンドを、カーカスプライを含む円筒状のカーカスバンドの外径側に位置するグリーンタイヤ成型位置に、移送し、
前記カーカスバンドを径方向外側に膨出させて、トレッドバンドの内周部に結合させてグリーンタイヤを成型し、
前記成型されたグリーンタイヤを、前記グリーンタイヤ成型位置から取り出し、
前記取り出されたグリーンタイヤを、加硫成型して、空気入りタイヤを製造する方法であって、
前記成型ドラムの分割数は、17又は19であり、
前記成型ドラムは、前記ドラムセクタの外周部に前記トレッドバンドが成型されている状態で、複数の前記ドラムセクタは互いに周方向に間隔を空けて環状に配置されており、
前記間隔は27mm以下に設定されている、空気入りタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤを製造するには、カーカスプライを含むタイヤ構成部材を第1成型ドラムに巻き付けてカーカスバンドを成型する一方で、ベルト、トレッドゴムを含むタイヤ構成部材を第2成型ドラムに巻き付けてトレッドバンドを成型する。次いで、トレッドバンドを、ベルトトランスファによってカーカスバンドの外径側に位置するグリーンタイヤ成型位置に移送し、カーカスバンドを径方向外側に膨出させてトレッドバンドの内周部に結合させることによって、グリーンタイヤを成型する。
【0003】
成型されたグリーンタイヤをグリーンタイヤ成型位置からグリーントランスファによって取り出して、最後に、グリーンタイヤをタイヤ加硫金型において加硫成型することによって、空気入りタイヤが製造される。
【0004】
成型ドラムは、周方向に複数のドラムセクタに分割されるとともに、それぞれのドラムセクタが径方向に拡縮可能に構成されており、拡径した状態で、それぞれのドラムセクタの外周部にタイヤ構成部材が巻き付けられる(例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
一方、ベルトトランスファ及びグリーントランスファは、周方向に複数の把持部に分割されるとともに、それぞれの把持部が径方向に拡縮可能に構成されており、縮径した状態で、それぞれの把持部の内周部においてトレッドバンド若しくはグリーンタイヤのトレッド部が径方向内側に把持される(例えば、特許文献3,4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2007/116502号
【文献】特開2012-035562号
【文献】特開2005-153284号
【文献】特開2016-078342号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように製造された空気入りタイヤでは、周方向における均一性(ユニフォーミティ)に関する特性の一つとしてRFV(Radial Force Variation)が計測される。RFVは、空気入りタイヤに一定の荷重をかけて回転させた際の、空気入りタイヤと接地面との間に生じる径方向における反力のバラツキを表したものである。RFVが過大になると、走行時の振動等の発生原因となるため、RFVを低減することが求められている。
【0008】
本発明は、RFVを低減することができる、空気入りタイヤの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、RFVの要因の一つとして、グリーンタイヤを成型する際にベルトに含まれるベルトコードに生じる屈曲及び/又は残留歪みを抑制することによってRFVを低減することを着目して、本発明を完成させた。
【0010】
具体的には、成型ドラムで成型されるトレッドバンドは、ドラムセクタによって支持されている第1部分と、周方向に隣り合うドラムセクタ間の隙間に対応して位置しておりドラムセクタに支持されていない第2部分とが、周方向に交互に並んでいる。すなわち、成型ドラムは、トレッドバンドを周方向に断続的に径方向内側から支持している。同様に、ベルトトランスファ及びグリーントランスファも、周方向に断続的にトレッドバンド及びグリーンタイヤをそれぞれ外径側から支持している。
【0011】
この結果、トレッドバンド及びグリーンタイヤのトレッド部は、略多角形状に形成されやすく、トレッドバンドに含まれるベルトコードには、前記略多角形状に起因して、例えば、屈曲および/又は残留歪み等の影響が生じ得る。この影響が、最終的に製造される空気入りタイヤにおいてRFVとして現れる場合がある。
【0012】
したがって、本発明は、グリーンタイヤ成型時におけるベルトコードに生じ得る屈曲及び/又は残留歪みを低減し、これによってRFVを低減することを着想した。本発明は、かかる着想に基づく。
【0013】
本発明は、
成型ドラムのうち、周方向に分割されたドラムセクタそれぞれの外周部に、ベルト及びトレッドゴムを含むタイヤ構成部材を円筒状に巻き付けてトレッドバンドを成型し、
前記トレッドバンドを、カーカスプライを含む円筒状のカーカスバンドの外径側に位置するグリーンタイヤ成型位置に、移送し、
前記カーカスバンドを径方向外側に膨出させて、トレッドバンドの内周部に結合させてグリーンタイヤを成型し、
前記成型されたグリーンタイヤを、前記グリーンタイヤ成型位置から取り出し、
前記取り出されたグリーンタイヤを、加硫成型して、空気入りタイヤを製造する方法であって、
前記成型ドラムの分割数は、17又は19であり、
前記グリーンタイヤの取り出しは、グリーントランスファのうち、周方向に分割されたグリーン把持部それぞれの内周部が、前記グリーンタイヤを径方向外側から把持することによって実施され、
前記グリーントランスファの分割数は、17又は19である、空気入りタイヤの製造方法を提供する。
【0014】
本発明によれば、成型ドラムは17又は19のドラムセクタに周方向に分割されているので、この外周部で成型されるトレッドバンドに含まれるベルトコードには1周あたり17又は19箇所に屈曲若しくは残留歪み等の影響が生じ得る。この結果、タイヤ回転に対して17次又は19次の周波数で振動が現れ得る。
【0015】
ここで、タイヤ回転に対する17次又は19次の次数は、ユニフォーミティ評価において一般に対象となる15次までの次数より大きく、また、一般に3種類用意されるパターンピッチから生じ得る3次の次数とは異なり、さらに、いわゆるセグメンテッドモールドタイプのタイヤ加硫金型における一般的な分割数である7,9,11に起因した7次,9次,11次の次数とも異なっている。さらに、次数17次及び19次は、素数であり、上記ユニフォーミティ評価の対象となる次数、パターンピッチに基づく次数、タイヤ加硫金型の分割数に基づく次数のいずれの倍数にもなり得ない。
【0016】
したがって、成型ドラムの分割数に起因した次数における振動が、他の要因に基づく次数における振動との共振を防止できるのでRFVを向上させやすい。特に、ベルトコードに影響が生じやすい成型ドラムの分割数を17又は19にすることによって、本発明の上記効果が効果的に発揮される。
【0018】
また、グリーントランスファの分割数に起因した次数が、ユニフォーミティ評価の対象となる次数、パターンピッチに起因した次数、およびタイヤ加硫金型の分割数に起因した次数のいずれとも異ならせることができると共に、これらの倍数にもなり得ない。したがって、グリーントランスファの分割数に起因した次数における振動と、他の要因に基づく次数における振動との共振を防止できる。成型ドラムに次いで、ベルトコードに影響を生じさせやすいグリーントランスファの分割数を17又は19にすることによって、上記効果がさらに効果的に発揮される。
【0019】
また、好ましくは、前記トレッドバンドの移送は、ベルトトランスファのうち、周方向に分割されたベルト把持部それぞれの内周部が、前記トレッドバンドを径方向外側から把持することによって実施され、
前記ベルトトランスファの分割数は、17又は19である。
【0020】
本構成によれば、ベルトトランスファの分割数に起因した次数が、ユニフォーミティ評価の対象となる次数、パターンピッチに起因した次数、およびタイヤ加硫金型の分割数に起因した次数のいずれとも異ならせることができると共に、これらの倍数にもなり得ない。したがって、ベルトトランスファの分割数に起因した次数における振動と、他の要因に基づく次数における振動との共振を防止できる。グリーントランスファドラムに次いで、ベルトコードに影響を生じさせやすいベルトトランスファの分割数を17又は19にすることによって、上記効果がさらにより一層効果的に発揮される。
【0021】
また、好ましくは、前記成型ドラムの分割数は、前記グリーントランスファの分割数及び/又は前記ベルトトランスファの分割数と異なっている。
【0022】
本構成によれば、成型ドラムの分割数に起因した振動とグリーントランスファの分割数及び/又はベルトトランスファの分割数に起因した振動との共振を防止できる。これによって、RFVをさらに向上させることができる。
【0023】
また、好ましくは、前記成型ドラムの分割数は、前記グリーントランスファの分割数及び前記ベルトトランスファの分割数の少なくとも一方と等しく、
前記成型ドラムの周方向における分割位置は、分割数が等しい前記少なくとも一方の周方向における分割位置と同じである。
【0024】
本構成によれば、トレッドバンド(又はグリーンタイヤのトレッド部)のうち、成型ドラムのドラムセクタによって支持される部分と、グリーントランスファ及びベルトトランスファのうち分割数が成型ドラムと同じである少なくとも一方の把持部によって把持される部分とが、一致する。これによって、成型ドラムによって径方向外側に押圧された部分が、上記一方の把持部によって径方向内側に押圧されることになるので、互いに相殺するように作用する。これによって、略多角形状に巻回されたトレッドバンドが、真円状に補正しやすく、RFVが向上する。
【0025】
また、好ましくは、前記グリーントランスファ及び前記ベルトトランスファは、所定の角度ピッチごとに周方向に分割されており、
前記グリーントランスファの周方向における分割位置は、前記ベルトトランスファの周方向における分割位置に対して、前記所定の角度ピッチの半分の角度ずらして設定されている。
【0026】
本構成によれば、トレッドバンド(又はグリーンタイヤのトレッド部)のうち、グリーン把持部によって径方向内側に支持される部分と、ベルト把持部によって径方向内側に支持される部分とが一致することがないので、トレッドバンドに径方向内側に支持された部分の影響(凹状)が過度に残ることがない。
【0027】
さらに、トレッドバンドのうち、グリーン把持部によって支持される部分と、ベルト把持部によって支持される部分とが、周方向に半ピッチずれている。この結果、グリーン把持部及びベルト把持部の一方によって径方向内側に支持されていない部分が、他方によって径方向内側に支持されるので、トレッドバンドが周方向にわたって、均等に径方向内側に押圧される。この結果、トレッドバンドをより真円状に近づけやすいので、RFVがさらに向上する。
【0028】
また、好ましくは、前記グリーンタイヤの加硫成型は、タイヤ加硫金型によって実施され、
前記タイヤ加硫金型は周方向に17又は19に分割されている。
【0029】
本構成によれば、タイヤ加硫金型の分割数に起因した次数が、ユニフォーミティ評価の対象となる次数、パターンピッチに起因した次数、およびタイヤ加硫金型の分割数に起因した次数のいずれとも異ならせることができると共に、これらの倍数にもなり得ない。したがって、タイヤ加硫金型の分割数に起因した次数における振動と、他の要因に基づく次数における振動との共振を防止できる。
【0030】
また、好ましくは、前記成型ドラムは、前記ドラムセクタの外周部に前記トレッドバンドが成型されている状態で、複数の前記ドラムセクタは互いに周方向に間隔を空けて環状に配置されており、
前記間隔は27mm以下に設定されている。
【0031】
本構成によれば、ドラムセクタ間の間隔を適正に設定することで、該間隔へのトレッドバンドの落ち込みが抑制されるので、トレッドバンドの変形が抑制され真円状に維持しやすい。ドラムセクタ間の間隔が27mmより大きいとトレッドバンドのドラムセクタ間への落ち込みが過度に大きくなり、ユニフォーミティ悪化の要因になり得る。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、グリーンタイヤ成型時におけるベルトコードに生じ得る屈曲及び/又は残留歪みを低減し、これによってRFVを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】グリーンタイヤの成型設備の概略構成を示す平面図。
図2】グリーンタイヤの成型行程を概略的に示す図。
図3】成型ドラムの側面図。
図4】ベルトトランスファの側面図。
図5】グリーントランスファの側面図。
図6】タイヤ加硫金型の平面図。
図7】変形例に係るグリーントランスファの側面図。
図8】更なる変形例に係るグリーントランスファの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、グリーンタイヤTの成型設備100を示す概略図である。図1に示すように、グリーンタイヤTの成型設備100は、第1~第4成型装置10,20,30,40を有している。第1~第4成型装置10,20,30,40のそれぞれは、各工程の成型に対した第1~第4成型ドラムD1~D4を備えている。
【0035】
第1成型装置10は、第1成型ドラムD1と、第1成型ドラムD1の外周部に、ゴムストリップからなるインナーライナ5及びラバーチェーファ6を螺旋状に巻き付ける第1及び第2成型機11,12と、帯状の第1及び第2カーカスプライ4a,4bを巻き付ける第3及び第4成型機13,14と、これらを順に接続する第1搬送経路15と、第1搬送経路15に沿って第1成型ドラムD1を第1~第4成型機11~14に順に搬送する第1搬送部16とを有している。
【0036】
図2(a)に示すように、第1成型装置10において、第1成型ドラムD1の外周部に、インナーライナ5、ラバーチェーファ6、第1及び第2カーカスプライ4a,4bが順に巻き付けられて円筒状のカーカスバンド51が成型される。図1に示すように、カーカスバンド51は、移送手段C1のトランスファ19により、外周側から保持されて、第1成型ドラムD1より抜き出され後続の第2成型装置20に移送される。
【0037】
第2成型装置20は、第2成型ドラムD2と、第2成型ドラムD2をドラム幅方向の両側から回転駆動可能に支持する一対の支持体21,22とを有している。支持体21,22には、エアブラダー等のターンアップ手段(不図示)及びビード3(図2参照)のセット手段(不図示)が設けられている。上記セット手段は、第2成型ドラムD2にカーカスバンド51を保持した後、カーカスバンド51の両側部の所定位置にビードをセットする。図2(b)に示すように、上記ターンアップ手段のブラダーによって、ビード3を包むようにカーカスバンド51の両側部が外径側且つドラム幅方向内側に折り返される。
【0038】
図1に示すように、第2成型装置20において両側部が折り返された円筒状のカーカスバンド51(グリーンケースともいう)は、移送手段C2のトランスファ23により、外周側から保持されて、成型ドラムD2より抜き出され、後続の第4成型装置40に移送される。
【0039】
第3成型装置30は、第3成型ドラムD3と、第3成型ドラムD3の外周部に帯状の第1及び第2ベルト7a,7bを巻き付ける第5及び第6成型機31,32と、ストリップ状の補強ベルト8を螺旋状に巻き付ける第7成型機33と、ゴムストリップからなるトレッドベース9a及びトレッドキャップ9bを螺旋状に巻き付けてトレッドゴム9を成型する第8及び第9成型機34,35と、これらを順に接続する第3搬送経路36と、第3搬送経路36に沿って第3成型ドラムD3を第5~第9成型機31~35に順に搬送する第3搬送部37とを有している。
【0040】
図2(c)に示すように、第3成型装置30において、第3成型ドラムD3の外周部に、第1及び第2ベルト7a,7b、補強ベルト8、トレッドベース9a、及びトレッドキャップ9bが順に巻き付けられて円筒状のトレッドバンド52が成型される。図1に示すように、トレッドバンド52は、ベルトトランスファ70により外周部から保持されて、第3成型ドラムD3より抜き出され、第4成型装置40に移送される。
【0041】
第4成型装置40は、第4成型ドラムD4を有している。第4成型ドラムD4は、第2成型装置20から移送されたカーカスバンド51を左右一対のビード3において内径側から保持する一対の支持体41,42を備えている。一対の支持体41,42は、ドラム軸方向において互いに近接、離間可能に設けられており、外周部に支持したカーカスバンド51の内側に膨出媒体(例えば圧縮空気)を充填する媒体供給部(不図示)を備えている。
【0042】
図2(d)に示すように、ベルトトランスファ70によって、トレッドバンド52を、第4成型ドラムD4に支持されたカーカスバンド51に対して軸芯を一致させつつこの外周側に位置するグリーンタイヤ成型位置に移送した後、一対の支持体41,42を互いに近接させながらカーカスバンド51の内側に膨出媒体を供給させる。これによって、図2(e)に示すように、カーカスバンド51が、外径側にトロイダル状に膨出してトレッドバンド52の内周部に結合した組合せ体が成型される。
【0043】
また、図1に示すように、第4成型装置40には、前記組合せ体の両サイド部に対しサイドウォール2を形成するゴムストリップを押し出すための第10成型機43,43が設けられている。図2(f)に示すように、第10成型機43,43により、前記組合せ体の両サイド部に対しサイドウォール2用のゴムストリップを押し出し供給してグリーンタイヤTが完成する。
【0044】
したがって、本実施形態に係る空気入りタイヤの製造方法によれば、第3成型ドラムD3に、ベルト7及びトレッドゴム9を含むタイヤ構成部材を円筒状に巻き付けてトレッドバンド52を成型し、トレッドバンド52を、カーカスプライ4を含む円筒状のカーカスバンド51の外径側に位置するグリーンタイヤ成型位置に、移送し、カーカスバンド51を径方向外側に膨出させて、トレッドバンド52の内周部に結合させてグリーンタイヤTを成型し、グリーンタイヤTを、グリーンタイヤ成型位置から取り出し、取り出されたグリーンタイヤTを加硫成型することによって、空気入りタイヤが製造される。
【0045】
完成したグリーンタイヤTは、移送手段C3のグリーントランスファ80によって、グリーンタイヤ成型位置から取り出される。取り出されたグリーンタイヤTは、タイヤ加硫金型90(図6参照)において加硫成型されて空気入りタイヤが製造される。
【0046】
図3は、第3成型ドラムD3を、この外周部に成型されるトレッドバンド52のタイヤ軸線方向から見た側面図である。図3に示すように、第3成型ドラムD3は、タイヤ構成部材が巻き付けられる外周部が、複数のドラムセクタ60に周方向に分割されている。
【0047】
各ドラムセクタ60は、不図示の駆動手段によって、鎖線で示す径方向内側位置から、実線で示す径方向外側位置まで、第3成型ドラムD3の径方向に突出後退可能に構成されている。第3成型ドラムD3は、各ドラムセクタ60が径方向に移動することによって、外径が拡縮可能に構成されている。
【0048】
各ドラムセクタ60が径方向外側に突出した突出位置において、各ドラムセクタ60の外周部61それぞれにわたって、複数のタイヤ構成部材が巻き付けられる。第3成型ドラムD3に巻き付けられたトレッドバンド52は、ドラムセクタの外周部61によって径方向内側から支持されている被ドラム支持部52aと、隣り合うドラムセクタ60間に位置しておりドラムセクタ60によって支持されていない非ドラム支持部52bとが、周方向に交互に並んでいる。
【0049】
被ドラム支持部52aはドラムセクタの外周部61に沿って円弧状に延びている一方で、非ドラム支持部52bは隣り合うドラムセクタ60間を直線状に延びている。したがって、第3成型ドラムD3上に巻き付けられたトレッドバンド52は、円弧状の被ドラム支持部52aと直線状の非ドラム支持部52bとが周方向に交互に並ぶように略多角形状に成型される。
【0050】
この状態から、トレッドバンド52は、ベルトトランスファ70(図4参照)によって径方向外側から把持されると共に、各ドラムセクタ60が径方向内側に後退することにより第3成型ドラムD3が縮径して、これによって、第3成型ドラムD3からベルトトランスファ70に受け渡される。
【0051】
図4は、ベルトトランスファ70を、ここに把持されるトレッドバンド52のタイヤ軸線方向から見た側面図である。図4に示すように、ベルトトランスファ70は、環状に構成されており、トレッドバンド52を外径側から把持する内周部が、複数のベルト把持部71に周方向に分割されている。
【0052】
各ベルト把持部71は、不図示の駆動手段によって、鎖線で示す径方向外側位置から、実線で示す径方向内側位置まで、ベルトトランスファ70の径方向に突出後退可能に構成されている。ベルトトランスファ70は、各ベルト把持部71が径方向に移動することによって、内径が拡縮可能に構成されている。
【0053】
各ベルト把持部71が径方向内側に突出した突出位置において、各ベルト把持部71の内周部72それぞれにおいて、トレッドバンド52を径方向外側から把持する。ベルトトランスファ70に把持されたトレッドバンド52は、ベルト把持部71の内周部72によって径方向外側から把持された被ベルト把持部52cと、隣り合うベルト把持部71間に位置しておりベルト把持部71によって把持されていない非ベルト把持部52dとが、周方向に交互に並んでいる。
【0054】
被ベルト把持部52cはベルト把持部71の内周部72に沿って円弧状に延びている一方で、非ベルト把持部52dは隣り合うベルト把持部71間を直線状に延びている。したがって、ベルトトランスファ70によって把持されたトレッドバンド52は、円弧状の被ベルト把持部52cと直線状の非ベルト把持部52dとが周方向に交互に並ぶように略多角形状に成型される。
【0055】
図5は、グリーントランスファ80を、ここに把持されるグリーンタイヤTのタイヤ軸線方向から見た側面図である。図5に示すように、グリーントランスファ80は、環状に構成されており、グリーンタイヤTを外径側から把持する内周部が、複数のグリーン把持部81に周方向に分割されている。
【0056】
各グリーン把持部81は、不図示の駆動手段によって、鎖線で示す径方向外側位置から、実線で示す径方向内側位置まで、グリーントランスファ80の径方向に突出後退可能に構成されている。グリーントランスファ80は、各グリーン把持部81が径方向に移動することによって、内径が拡縮可能に構成されている。
【0057】
各グリーン把持部81が径方向内側に突出した突出位置において、各グリーン把持部81の内周部82それぞれにおいて、グリーンタイヤTを径方向外側から把持する。グリーントランスファ80に把持されたグリーンタイヤTは、グリーン把持部81の内周部82によって径方向外側から把持された被グリーン把持部Taと、隣り合うグリーン把持部81間に位置しておりグリーン把持部81によって把持されていない非グリーン把持部Tbとが、周方向に交互に並んでいる。
【0058】
被グリーン把持部Taはグリーン把持部81の内周部82に沿って円弧状に延びている一方で、非グリーン把持部Tbは隣り合うグリーン把持部81間を直線状に延びている。したがって、グリーントランスファ80によって把持されたグリーンタイヤTは、円弧状の被グリーン把持部Taと直線状の非グリーン把持部Tbとが周方向に交互に並ぶように略多角形状に成型される。
【0059】
ここで、第3成型ドラムD3の分割数N1、ベルトトランスファ70の分割数N2、及びグリーントランスファ80の分割数N3は、それぞれ、17以上の素数に設定されている。図3~5に示すように、本実施形態では、分割数N1~N3は、それぞれ17に設定されている。なお、分割数N1~N3が多くなると、第3成型ドラムD3、ベルトトランスファ70、及びグリーントランスファ80の部品点数が増大すると共に構造が複雑化するので、分割数の上限を19にするのが好ましい。
【0060】
また、第3成型ドラムD3、ベルトトランスファ70、及びグリーントランスファ80は、周方向における分割位置が、トレッドバンド52のタイヤ軸線を中心とした同じ角度位置(同一位相)に設定されている。すなわち、第3成型ドラムD3の各ドラムセクタ60と、ベルトトランスファ70の各ベルト把持部71及びグリーントランスファ80の各グリーン把持部81とは、トレッドバンド52のタイヤ軸線を中心とする同一位相において、トレッドバンド52を挟んで対向している。
【0061】
換言すれば、トレッドバンド52における、被ドラム支持部52aと被ベルト把持部52cとが、同一位相において径方向に対向して位置している。同様に、トレッドバンド52における被ドラム支持部52aと、グリーンタイヤTにおける被グリーン把持部Taとが、同一位相において径方向に対向して位置している。
【0062】
これによって、図3~5において白抜き矢印で示すように、トレッドバンド52のうち、第3成型ドラムD3において径方向内側から支持されて外径側に押圧されている被ドラム支持部52aが、ベルトトランスファ70によって径方向外側から把持されて内径側に押圧されることになる。さらに、トレッドバンド52における被ドラム支持部52aは、グリーンタイヤTにおける対応する部分が、グリーントランスファ80によって径方向外側から把持されて内径側に押圧されることになる。
【0063】
この結果、第3成型ドラムD3によって略多角形状に支持されたトレッドバンド52が、ベルトトランスファ70及びグリーントランスファ80によって把持されて真円に近づくように補正される。
【0064】
各ドラムセクタ60は、上記突出位置に位置する状態で、互いに周方向に間隔を空けて環状に配置されている。図3において、第3成型ドラムD3を例にとって示すように、周方向において、隣り合うドラムセクタ60間の間隔Lが27mm以下に設定されている。各ベルト把持部71及び各グリーン把持部81についても、それぞれ突出位置に位置する状態で、内周部72(又は内周部82)の長さに対する隣り合うベルト把持部71(又はグリーン把持部81)間の長さの比率が同様に設定されている。
【0065】
これによって、周方向に分割された要素間に過度の隙間が形成されることが抑制され、該隙間にトレッドバンド52又はグリーンタイヤTが落ち込むことが抑制される。これによって、トレッドバンド52又はグリーンタイヤTの変形を抑制しやすい。
【0066】
上記説明したグリーンタイヤの成型設備によれば、次のような効果が得られる。
【0067】
(1)第3成型ドラムD3は17個のドラムセクタ60に周方向に分割されているので、この外周部で成型されるトレッドバンド52に含まれるベルトコードには1周あたり17箇所に屈曲若しくは残留歪み等の影響が生じ得る。この結果、タイヤ1回転あたり17次の周波数で振動が現れ得る。
【0068】
ここで、タイヤ回転に対する17次の次数は、ユニフォーミティ評価において一般に対象となる15次までの次数より大きく、一般に3種類用意されるパターンピッチから生じ得る3次の次数とは異なり、さらに、いわゆるセグメンテッドモールドタイプのタイヤ加硫金型における一般的な分割数である7,9,11に起因した7次,9次,11次の次数とも異なっている。さらに、次数17次及び19次は、素数であり、上記ユニフォーミティ評価の対象となる次数、パターンピッチに基づく次数、タイヤ加硫金型の分割数に基づく次数のいずれの倍数にもなり得ない。
【0069】
したがって、第3成型ドラムD3の分割数N1に起因した次数における振動が、他の要因に基づく次数における振動との共振を防止できるのでRFVを向上させやすい。特に、ベルトコードに影響が生じやすい第3成型ドラムD3の分割数を17以上の素数にすることによって効果的にRFVを低減できる。
【0070】
(2)ベルトトランスファ70及びグリーントランスファ80の分割数N2,N3も同様に17に設定することによって、これらの分割数に起因した次数における振動と、他の要因に基づく次数における振動との共振を防止できる。
【0071】
(3)第3成型ドラムD3の分割数N1、ベルトトランスファ70の分割数N2、及びグリーントランスファ80の分割数N3は、17で等しく、且つ、それぞれの分割位置は同じ角度位置(位相)に設定されている。
【0072】
この場合、図3~5において白抜き矢印で示すように、トレッドバンド52において、第3成型ドラムD3の各ドラムセクタ60によって径方向内側から支持されて外径側に押圧されている被ドラム支持部52aと、ベルトトランスファ70の各ベルト把持部71によって径方向外側から支持されて内径側に押圧されている被ベルト把持部52cとが、互いに相殺される。この結果、第3成型ドラムD3において略多角形状に成型されたトレッドバンド52が真円状に近づくように補正されるので、RFVが向上する。
【0073】
同様に、グリーントランスファ80のグリーン把持部81によって、第3成型ドラムD3において略多角形状に成型されたトレッドバンド52を有するグリーンタイヤTが真円状に近づくように補正されるので、RFVが向上する。
【0074】
(4)図3に示すように、第3成型ドラムD3において、突出位置に位置する、隣り合うドラムセクタ60間の間隔Lが27mm以下に設定されている。これによって、周方向に分割されたドラムセクタ間に過度の隙間が形成されることが抑制され、該隙間にトレッドバンド52が落ち込むことが抑制される。これによって、トレッドバンド52の変形が抑制され真円状に維持しやすい。ベルトトランスファ70及びグリーントランスファ80においても同様に構成されており、これによりトレッドバンド52及びグリーンタイヤTが、隣り合う要素間に落ち込むことが抑制されるので、変形が抑制される。
【0075】
間隔Lが27mmより大きいとトレッドバンド52のドラムセクタ60間への落ち込みが過度に大きくなり、ユニフォーミティ悪化の要因になり得る。
【0076】
上記実施形態では、グリーンタイヤの成型設備100について、第3成型ドラムD3、ベルトトランスファ70、及びグリーントランスファ80の分割数N1~N3を、17に設定したが、これに加えて、タイヤ加硫金型90の分割数N4も同様に17以上の素数に設定してもよい。
【0077】
図6は、タイヤ加硫金型90の平面図である。タイヤ加硫金型90はセグメンテッドモールドであって、周方向に複数に分割されたセクタ91を有している。図6においては各セクタ91のみ示されている。各セクタ91は、径方向に突出後退可能に構成されている。
【0078】
タイヤ加硫金型90の内側にグリーンタイヤTが載置された状態で、各セクタ91は径方向内側に突出して、真円状に連続的に形成されたキャビティ92を形成し、グリーンタイヤTを加硫して空気入りタイヤを成型する。セクタ91の分割数N4は、成型設備100における第3成型ドラムD3、ベルトトランスファ70、及びグリーントランスファ80の分割数N1~N3と同様に、17以上の素数に設定されている。分割数N4の上限は、同様に19に設定されている。
【0079】
タイヤ加硫金型90において、複数のセクタ91によって形成されたキャビティ92は、グリーンタイヤTの外径よりも若干大きく形成されている。このため、グリーンタイヤTが所定の規格寸法に成型されている場合には、セクタ91を径方向内側に突出させる型締めの際に、通常はグリーンタイヤTに接触することはない。
【0080】
しかしながら、グリーンタイヤTが規格を超えて外径が大きく成型された場合には、径方向内側に突出するセクタ91とグリーンタイヤTとが接触する場合がある。この場合、グリーンタイヤTにおいては、セクタ91に最初に接触した部分と、型締め後に接触した部分とで、加硫成型時における伸び代が異なる。
【0081】
上述したように、タイヤ加硫金型90は分割数が17以上の素数(本実施形態では17)に設定されているので、加硫成型される空気入りタイヤには1周当たり17箇所にベルトコードの屈曲又は残留歪み等の影響が生じやすい。上述したように、タイヤ回転に対する17次に次数は、他の要因に基づく次数に一致せず、これらの倍数にも一致しない。したがって、タイヤ加硫金型90の分割数N4に起因した次数における振動と、他の要因に基づく次数における振動との共振を防止できる。
【0082】
また、上記実施形態では、グリーンタイヤTの成型設備100について、第3成型ドラムD3、ベルトトランスファ70、及びグリーントランスファ80の分割数N1~N3を、同じに設定したが、異ならせてもよい。例えば、図7に示すように、グリーントランスファ83の分割数N3を19に設定してもよい。
【0083】
この場合、第3成型ドラムD3及びベルトトランスファ70の分割数N1,N2による振動の次数と、グリーントランスファ80の分割数N3による振動の次数とが一致しないので、これらの共振が抑制されるので、RFVを向上できる。
【0084】
また、上記実施形態では、グリーンタイヤTの成型設備100について、第3成型ドラムD3、ベルトトランスファ70、及びグリーントランスファ80の分割数N1~N3を、同じであって、分割位置も同じに設定したが、これに限らない。例えば、図8に示すように、グリーントランスファ85の分割数N3は17のままとして、所定角度ピッチごとに分割されている分割位置を、当該所定角度ピッチの半分の角度ずらしてもよい。
【0085】
これによって、トレッドバンド52の被ベルト把持部52cと、グリーンタイヤTに対応する被グリーン把持部Taとが、同一位相に並ぶことがないので、トレッドバンド52に径方向内側に支持された部分の影響(凹状)が過度に残ることがない。
【0086】
さらに、トレッドバンド52の被ベルト把持部52cと、グリーンタイヤTにおける対応する被グリーン把持部Taとが、周方向に半ピッチずれている。この結果、グリーンタイヤT及びトレッドバンド52において、被グリーン把持部Ta及び被ベルト把持部52cの一方によって径方向内側に支持されていない部分が、他方によって径方向内側に支持されるので、トレッドバンド52が周方向にわたって、均等に径方向内側に押圧される。この結果、トレッドバンド52を真円状に補正しやすく、RFVがさらに向上する。
【0087】
なお、本発明は、上記実施形態に記載された構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0088】
7 ベルト
10 第1成型装置
20 第2成型装置
30 第3成型装置
40 第4成型装置
51 カーカスバンド
52 トレッドバンド
52a 被ドラム支持部
52b 非ドラム支持部
52c 被ベルト把持部
52d 非ベルト把持部
60 ドラムセクタ
70 ベルトトランスファ
71 ベルト把持部
80 グリーントランスファ
81 グリーン把持部
90 タイヤ加硫金型
91 セクタ
D1~D4 第1~第4成型ドラム
T グリーンタイヤ
Ta 被グリーン把持部
Tb 非グリーン把持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8