(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】橋梁架設用仮受ベント設備又は施工中の構造物の監視方法、並びに橋梁架設用仮受ベント施設又は施工中の構造物の監視システム
(51)【国際特許分類】
E01D 21/00 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
E01D21/00 A
E01D21/00 Z
(21)【出願番号】P 2018241961
(22)【出願日】2018-12-26
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000161356
【氏名又は名称】宮地エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】上原 正
(72)【発明者】
【氏名】越中 信雄
(72)【発明者】
【氏名】永谷 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】中垣内 龍二
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-105483(JP,A)
【文献】特開2006-085609(JP,A)
【文献】特開2006-277464(JP,A)
【文献】特開2018-193849(JP,A)
【文献】特開平10-131128(JP,A)
【文献】特開2003-217054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁架設用で橋桁を仮受けする仮受ベント設備
又は施工中の構造物に、鉛直状態からの傾斜を測定する傾斜センサを取り付け、
前記傾斜センサからの測定情報に基づいて前記仮受ベント設備
又は施工中の構造物の鉛直状態及び傾斜状態を常時監視
し、
GNSSにより前記仮受ベント設備のベント基礎又は前記施工中の構造物における基礎の三次元情報を測位して、前記ベント基礎又は前記基礎の三次元情報を常時監視し、
前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の傾斜状態が制限値を超えた場合は、当該傾斜状態が制限値を超えた緊急情報を登録管理者の携帯端末に無線送信し、
前記GNSSによる測位情報に基づいて前記ベント基礎又は前記基礎に沈下が発生した時は、当該ベント基礎又は基礎に沈下が発生した緊急情報を登録管理者の携帯端末に無線送信することを特徴とする橋梁架設用仮受ベント設備
又は施工中の構造物の監視方法。
【請求項2】
前記仮受ベント設備
又は前記施工中の構造物に、鉛直状態からの歪を測定する歪センサを取り付け、
前記歪センサからの測定情報に基づいて前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の鉛直状態からの歪状態を常時監視することを特徴とする請求項1に記載の橋梁架設用仮受ベント設備
又は施工中の構造物の監視方法。
【請求項3】
前記仮受ベント設備
又は前記施工中の構造物の歪状態が制限値を超えた場合は、当該歪状態が制限値を超えた緊急情報を登録管理者の携帯端末に無線送信することを特徴とする請求項
2に記載の橋梁架設用仮受ベント設備
又は施工中の構造物の監視方法。
【請求項4】
橋梁架設用で橋桁を仮受けする仮受ベント設備又は施工中の構造物に取り付けられ、前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の鉛直状態からの傾斜を測定する傾斜センサと、
前記傾斜センサによる測定情報を無線送信する傾斜情報送信モジュールと、
前記傾斜情報送信モジュールから無線送信された前記傾斜センサによる測定情報を受信し、
前記傾斜センサからの測定情報に基づいて前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の鉛直状態及び傾斜状態を常時監視するとともに、GNSSにより測位された前記仮受ベント設備のベント基礎又は前記施工中の構造物における基礎の三次元情報を常時監視するサーバーと、
を備えており、
前記サーバーは、
前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の傾斜状態が制限値を超えた場合に、当該傾斜状態が制限値を超えた緊急情報を登録管理者の携帯端末に無線送信し、
前記GNSSによる測位情報に基づいて前記ベント基礎又は前記基礎に沈下が発生した時に、当該ベント基礎又は基礎に沈下が発生した緊急情報を登録管理者の携帯端末に無線送信することを特徴とす
る橋梁架設用仮受ベント設備
又は施工中の構造物の監視
システム。
【請求項5】
前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物に取り付けられ、前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の鉛直状態からの歪を測定する歪センサと、
前記歪センサによる測定情報を無線送信する歪情報送信モジュールと、を備え、
前記サーバーは、前記歪情報送信モジュールから無線送信された前記歪センサからの測定情報に基づいて前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の鉛直状態からの歪状態も常時監視することを特徴とする請求項
4に記載の橋梁架設用仮受ベント設備
又は施工中の構造物の監視
システム。
【請求項6】
前記サーバーは、前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の歪状態が制限値を超えた場合に、当該歪状態が制限値を超えた緊急情報を登録管理者の携帯端末に無線送信することを特徴とする請求項
5に記載の橋梁架設用仮受ベント設備
又は施工中の構造物の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁架設用の仮受ベント設備又は施工中の構造物の監視方法と、その方法を実施する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁等の傾斜の変化を計測して無線送信し、監視する、橋梁等の傾斜変化測定技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
鋼橋梁現場架設工事は、仮受ベント設備(大型特殊支保工)を用いて、トラッククレーンで架設する工法が一般的であるが、橋梁架設途中に仮受ベントが公道上などに転倒する事故が発生すると、地域住民に多大な迷惑をかけ社会的責任は重大である。
その転倒防止対策として、仮受ベントの鉛直度を、測量機器を用いて測定している状況である。
仮受ベントの傾斜要因としては、1)仮受ベントの荷重載荷に伴う基礎の不等沈下による倒れ、2)鋼桁架設時における仮受ベントへの偏心載荷による倒れ、3)季節ごとの昼・夜温度変化による鋼桁の伸縮の影響による倒れ、4)地震荷重・風荷重等の水平力による倒れ等が考えられる。
【0004】
なお、特許文献2において、支保工の傾斜角を計測する測定器を用いて、傾斜角の変化を計測して不等沈下量を算出し、その算出値が許容値を越えたときに警告器を作動させる、支保工の不等沈下監視技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-44739号公報
【文献】特開平11-153431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の橋梁等の傾斜変化測定技術では、先ず、橋梁、重要構造物の急斜地の傾斜計測と記載されているが、実際に活用するための計測要領図はない。また、電源は一般的な電源を使用するものと思われ、その場合、電線の切断・停電等の対処が問題となる。そして、警報について、休日・深夜間の緊急警報はどのように伝達されているか不明である。
【0007】
また、特許文献2の支保工の不等沈下監視技術では、先ず、支保工の狭隘な現場内で、ワイヤー式エンコーダーの配置は困難であり、実際の活用頻度は限りなく少ないと思われる。そして、ビデオカメラでの監視については、支保工の狭隘な現場では障害物が多く、実際の使用範囲は限定される。また、電源は一般電源を使用しているが、専用の電源ボックスが必要となる。さらに、異常時の警報は、現場内だけの警報であり、作業関係者が離れた場合は確認できない。例えば、突発的な地震対応はできない。
【0008】
特に、橋梁架設用の仮受ベント設備において、突発的な地震・強風時の対応は困難であり、問題として残っている。
【0009】
本発明の課題は、橋梁架設用の仮受ベント設備又は施工中の構造物において、その傾斜等を常時監視して、制限値を超えた場合は、登録管理者の携帯端末に緊急報知を可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
橋梁架設用で橋桁を仮受けする仮受ベント設備又は施工中の構造物に、鉛直状態からの傾斜を測定する傾斜センサを取り付け、
前記傾斜センサからの測定情報に基づいて前記仮受ベント設備又は施工中の構造物の鉛直状態及び傾斜状態を常時監視し、
GNSSにより前記仮受ベント設備のベント基礎又は前記施工中の構造物における基礎の三次元情報を測位して、前記ベント基礎又は前記基礎の三次元情報を常時監視し、
前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の傾斜状態が制限値を超えた場合は、当該傾斜状態が制限値を超えた緊急情報を登録管理者の携帯端末に無線送信し、
前記GNSSによる測位情報に基づいて前記ベント基礎又は前記基礎に沈下が発生した時は、当該ベント基礎又は基礎に沈下が発生した緊急情報を登録管理者の携帯端末に無線送信する、橋梁架設用仮受ベント設備又は施工中の構造物の監視方法を特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、
請求項1に記載の橋梁架設用仮受ベント設備又は施工中の構造物の監視方法であって、
前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物に、鉛直状態からの歪を測定する歪センサを取り付け、
前記歪センサからの測定情報に基づいて前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の鉛直状態からの歪状態を常時監視することを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明は、
請求項2に記載の橋梁架設用仮受ベント設備又は施工中の構造物の監視方法であって、
前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の歪状態が制限値を超えた場合は、当該歪状態が制限値を超えた緊急情報を登録管理者の携帯端末に無線送信することを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明は、
橋梁架設用で橋桁を仮受けする仮受ベント設備又は施工中の構造物に取り付けられ、前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の鉛直状態からの傾斜を測定する傾斜センサと、
前記傾斜センサによる測定情報を無線送信する傾斜情報送信モジュールと、
前記傾斜情報送信モジュールから無線送信された前記傾斜センサによる測定情報を受信し、
前記傾斜センサからの測定情報に基づいて前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の鉛直状態及び傾斜状態を常時監視するとともに、GNSSにより測位された前記仮受ベント設備のベント基礎又は前記施工中の構造物における基礎の三次元情報を常時監視するサーバーと、
を備えており、
前記サーバーは、
前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の傾斜状態が制限値を超えた場合に、当該傾斜状態が制限値を超えた緊急情報を登録管理者の携帯端末に無線送信し、
前記GNSSによる測位情報に基づいて前記ベント基礎又は前記基礎に沈下が発生した時に、当該ベント基礎又は基礎に沈下が発生した緊急情報を登録管理者の携帯端末に無線送信する、橋梁架設用仮受ベント設備又は施工中の構造物の監視システムを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、
請求項4に記載の橋梁架設用仮受ベント設備又は施工中の構造物の監視システムであって、
前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物に取り付けられ、前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の鉛直状態からの歪を測定する歪センサと、
前記歪センサによる測定情報を無線送信する歪情報送信モジュールと、を備え、
前記サーバーは、前記歪情報送信モジュールから無線送信された前記歪センサからの測定情報に基づいて前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の鉛直状態からの歪状態も常時監視することを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、
請求項5に記載の橋梁架設用仮受ベント設備又は施工中の構造物の監視システムであって、
前記サーバーは、前記仮受ベント設備又は前記施工中の構造物の歪状態が制限値を超えた場合に、当該歪状態が制限値を超えた緊急情報を登録管理者の携帯端末に無線送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、橋梁架設用の仮受ベント設備において、その傾斜等を常時監視して、制限値を超えた場合に登録管理者の携帯端末に緊急報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明を適用した橋梁架設用仮受ベント設備の監視システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【
図2】
図1の仮受ベント設備部分を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
(概要)
橋梁架設用の仮受ベント設備において、その傾斜等の監視を24時間リアルタイムで行って、制限値を超えた場合に登録管理者の携帯電話等に緊急報知する。
【0023】
(実施形態)
図1は本発明を適用した橋梁架設用仮受ベント設備の監視システムの一実施形態を示すもので、1は橋脚、2は固定支承、3は橋桁、4は仮受ベント設備、6はサーバー、11は傾斜センサ、21は歪センサである。
【0024】
図示のように、橋脚1の固定支承2上の橋桁3を送り出して次の橋脚1に架設する工程において、橋脚1上から送り出された橋桁3が仮受ベント設備4の上に仮受け支持される。
そして、仮受ベント設備4には、頂部付近に複数の傾斜センサ11が取り付けられて、それより下方に複数の歪センサ21が取り付けられている。
【0025】
図2は
図1の仮受ベント設備部分を拡大したもので、図示のように、仮受ベント設備4は大型特殊支保工で、ベント基礎41の上に、複数(図示例では6本)の柱42を、下部及び上部の水平材43、及び頂部梁44で固定するとともに、その柱42、水平材43及び頂部梁44に多数の斜材45及び筋交い材46を架設して構成されている。
そして、仮受ベント設備4の四隅の柱42には、上部寄りの側面と前面又は後面に傾斜センサ11がそれぞれ取り付けられて、それより下方の側面と前面又は後面に歪センサ21がそれぞれ取り付けられている。
【0026】
図3は
図2の傾斜センサ取付部分を拡大したもので、図示のように、傾斜センサ11は、略五角形状のケース内に、仮受ベント設備4の鉛直状態からの傾斜を測定するセンサ機能部品と最低1年充電不要な小型バッテリーを内蔵して構成されている。傾斜センサ11のケースは、ネオジウム磁石を用いて鋼製の柱2にワンタッチで固定される。
傾斜センサ11から導出された配線ケーブル12が、傾斜情報送信モジュール13内に接続されている。傾斜情報送信モジュール13は、傾斜センサ11による測定情報を一定時間の間隔で自動無線送信するもので、その略筒形状のケースも、ネオジウム磁石を用いて鋼製の柱2にワンタッチで固定される。
【0027】
図4は
図2の歪センサ取付部分を拡大したもので、図示のように、歪センサ21は、略筒型形状のケース内に、仮受ベント設備4の軸力(内部応力)を測定する光ファイバーと最低1年充電不要な小型バッテリーを内蔵して構成されている。歪センサ21のケースは、ネオジウム磁石を用いて鋼製の柱2にワンタッチで固定される。
歪センサ21から導出された配線ケーブル22が、歪情報送信モジュール23内に接続されている。歪情報送信モジュール23は、歪センサ21による測定情報を一定時間の間隔で自動無線送信するもので、その略筒形状のケースも、ネオジウム磁石を用いて鋼製の柱2にワンタッチで固定される。
【0028】
そして、
図1に示すように、現場事務所等に設置されたサーバー6は、送受信モジュールを備えており、傾斜情報送信モジュール13から無線送信された傾斜センサ11による測定情報と、歪情報送信モジュール23から無線送信された歪センサ21による測定情報とを受信する。
サーバー6は、傾斜センサ11からの測定情報に基づいて仮受ベント設備4の鉛直状態及び傾斜状態を常時監視するとともに、歪センサ21からの測定情報に基づいて仮受ベント設備4の鉛直状態からの歪状態を常時監視する。
なお、サーバー6は、インターネット回線を介してクラウド7に接続されている。
【0029】
以上のように、仮受ベント設備4の側面と前面又は後面に各々取り付けた傾斜センサ11及び歪センサ21と、その測定情報を自動無線送信する傾斜情報送信モジュール13及び歪情報送信モジュール23と、その無線送信された傾斜及び歪測定情報を受信するサーバー6及びクラウド7とにより、橋梁架設用仮受ベント設備の監視システムが構成されている。
また、クラウド7には、仮受ベント設備4の傾斜状態が制限値を超えた場合は、当該傾斜状態が制限値を超えた緊急情報と、仮受ベント設備4の歪状態が制限値を超えた場合は、当該歪状態が制限値を超えた緊急情報とをサーバー6から登録管理者の携帯端末(携帯電話)8に無線送信する、橋梁架設用仮受ベント設備の監視プログラムが格納されている。
【0030】
以上、実施形態の構成による橋梁架設用仮受ベント設備の監視方法及びシステムによれば、仮受ベント設備4に取り付けた傾斜センサ11及び歪センサ21からの測定情報に基づいて仮受ベント設備4の鉛直状態及び傾斜状態と鉛直状態からの歪状態を常時監視することによって、仮受ベント設備4の傾斜及び歪が制限値を超えた場合には、登録管理者の携帯端末8に緊急報知することができる。
【0031】
すなわち、先ず、仮受ベント設備4に取り付けた傾斜センサ11からの傾斜測定情報に基づいて仮受ベント設備4の前後方向と左右方向の鉛直状態及び傾斜状態を常時監視して、仮受ベント設備4の傾斜が制限値を超えた場合には、登録管理者の携帯端末8に緊急報知することができる。
したがって、その緊急報知を受けた登録管理者等は、仮受ベント設備4の傾斜状態に対する適切な修復作業を行うことができる。
【0032】
さらに、仮受ベント設備4に取り付けた歪センサ21からの歪測定情報に基づいて仮受ベント設備4の前後方向と左右方向の鉛直状態からの歪状態を常時監視して、仮受ベント設備4の歪が制限値を超えた場合には、登録管理者の携帯端末8に緊急報知することができる。
したがって、その緊急報知を受けた登録管理者等は、仮受ベント設備4の歪状態に対する適切な修復作業を行うことができる。
【0033】
そして、仮受ベント設備4に歪センサ21を配置することで、傾斜による内部応力の測定、並びに橋梁架設工事途中における荷重増加に対する内部応力を監視することができ、安全性は向上する。つまり、傾斜の影響だけでなく、例えば設計・計画ミス等による荷重オーバーの検証もできる。
また、橋梁架設工事において重要仮設設備である、仮受けベント設備4の傾斜計測と 応力測定を同時に行うことで、工事の安全管理システムが一元化される。さらに、早期に対策を講ずることができる。したがって、市街地内の橋梁・鉄道近接工事などの重要なインフラ工事で活用することができる。
【0034】
特に、最低1年充電不要な小型バッテリーを内蔵した傾斜センサ11及び歪センサ21と無線通信により計測システムが簡素化されており、仮受けベント設備4の狭隘な現場の中に大型の測定装置・電線・計測線は不要である。
【0035】
ここで、仮受ベント設備4の四隅の柱42の側面と前面又は後面に傾斜センサ11と歪センサ21を各々取り付けることで、四隅の柱42の前後方向と左右方向において、鉛直状態及び傾斜状態と鉛直状態からの歪状態を常時監視することができる。
なお、傾斜センサ11は、
図1に示したように、柱42の頂部付近に配置した方が傾斜の測定に好都合と考えられるが、他の適切な高さ配置してもよい。
また、歪センサ21については、鉛直状態からの歪を検知し得る適切な高さに配置すればよい。
【0036】
(他の実施形態)
前記実施形態において、GNSSによりベント基礎41を測位して、そのベント基礎41の三次元情報を常時監視して、GNSSによる測位情報に基づいてベント基礎41に沈下が発生した時に、そのベント基礎41に沈下が発生した緊急情報を登録管理者の携帯端末8に送信するようにしてもよい。
【0037】
すなわち、ベント基礎41の前後端及び左右端等、複数個所の適所に、GNSSアンテナ及び送受信機を設置する。このGNSSアンテナ及び送受信機により受信されたベント基礎41のGNSS測位に基づく三次元情報がサーバー6に自動無線送信される。
このように、GNSSによりベント基礎41の三次元情報を測位して、そのベント基礎41の三次元情報を監視プログラムより常時監視することによって、GNSSによる測位情報に基づいてベント基礎41に沈下が発生した時は、当該ベント基礎41に沈下が発生した緊急情報を登録管理者の携帯端末8に無線送信することができる。
したがって、その緊急報知を受けた登録管理者等は、ベント基礎41に沈下状態に対する適切な修復作業を行うことができる。
【0038】
(変形例)
以上の実施形態では、仮受ベント設備4において、柱42に傾斜センサ11と歪センサ21を取り付けたが、頂部梁44に傾斜センサ11を取り付けたり、水平材43に歪センサ21を取り付けたりしてもよく、仮受ベント設備4に対する傾斜センサ11と歪センサ21の取付位置は任意である。
また、仮受ベント設備の構成、監視システムの具体的な構成、例えば傾斜センサ、歪センサ及び送信モジュール等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【0039】
さらに、ドーム球場等の大空間構造建方工事で、高い仮受ベントを数多く配置して進める工事もあり、そのような特殊構造物構築工事に当システムを活用することで安全性は向上する。
また、本発明の技術は、仮受ベント設備だけではなく、施工中の構造物(主柱他)の傾斜、歪測定にも活用できる。
【符号の説明】
【0040】
1 橋脚
2 固定支承
3 橋桁
4 仮受ベント設備
41 ベント基礎
42 柱
43 水平材
44 頂部梁
45 斜材
46 筋交い材
6 サーバー
7 クラウド
8 携帯端末
11 傾斜センサ
12 配線ケーブル
13 傾斜情報送信モジュール
21 歪センサ
22 配線ケーブル
23 歪情報送信モジュール