(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】自転車用ハンドルバー取付け型ライトパイプ装置
(51)【国際特許分類】
B62J 6/029 20200101AFI20220907BHJP
B62J 6/26 20200101ALI20220907BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20220907BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20220907BHJP
F21V 29/70 20150101ALI20220907BHJP
【FI】
B62J6/029
B62J6/26
F21V8/00 360
F21V29/503
F21V29/70
(21)【出願番号】P 2018524561
(86)(22)【出願日】2016-07-27
(86)【国際出願番号】 GB2016000141
(87)【国際公開番号】W WO2017017396
(87)【国際公開日】2017-02-02
【審査請求日】2019-07-09
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-20
(32)【優先日】2015-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】518032111
【氏名又は名称】カーボン キネティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001830
【氏名又は名称】東京UIT国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ソープ・リチャード・ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】アンジョリーニ・ピーター
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】芦原 康裕
【審判官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第203937800(CN,U)
【文献】中国実用新案第203005621(CN,U)
【文献】中国実用新案第203421654(CN,U)
【文献】韓国公開実用新案第20-2011-0010142(KR,U)
【文献】中国実用新案第204187475(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0062865(US,A1)
【文献】特開2013-045662(JP,A)
【文献】特開2000-053048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/02-6/26
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車用ハンドルバーに取り付ける自転車用ライトであって,
細長いライトパイプ(18),
上記ライトパイプを,上記ハンドルバーに隣接する上記ライトパイプの反射後面(27)とともに上記自転車用ハンドルバーに概略平行に取り付け,これによって上記反射後面から反射された光を上記ハンドルバーから離れる方向に向けて上記ライトパイプから出す,取付け手段(20,21),
光を上記ライトパイプ(18)の端部に向けて出射するように取り付けられたLED(26),および
上記LED(26)からの熱を伝導によって上記自転車ハンドルバーに伝えるヒートシンク(24)を備え,
上記ヒートシンク(24)が,
上記LED(26)の基板に熱接触する基板接触部,および
上記基板接触部に接続され,上記取付け手段(20,21)によって上記自転車用ライトが上記自転車用ハンドルバーに取り付けられたときに上記ハンドルバーの長手方向に沿って上記ハンドルバーと熱接触する平坦接触面
(24a)を備えている,
自転車用ライト。
【請求項2】
上記ライトパイプ(25)の両端部のそれぞれに光を出射するように取り付けられる2つのLED(26),
それぞれのLED(26)にそれぞれ熱接触する2つのヒートシンク(24)を備えている,
請求項1に記載の自転車用ライト。
【請求項3】
上記ライトパイプおよび上記ハンドルバーの少なくとも一部を包囲するように構成されるハウシング(5,6)をさらに備え,上記ハウジングが上記ライトパイプによって出射される光を通過させる透明シールド(17)を備えている,請求項1または2に記載の自転車用ライト。
【請求項4】
上記ハウジングが,上記ライトパイプの全長および対応する長さのハンドルバーを包囲するように構成されている,請求項3に記載の自転車用ライト。
【請求項5】
上記ハウジングがさらに上記透明シールドの上方において前方に延びる不透明カバーピーク(15)を備え,自転車に取り付けられたときに上記自転車用ライトによって出射される光を上記自転車の乗り手によって見えなくする,請求項3または4に記載の自転車用ライト。
【請求項6】
上記ライトパイプの上記反射後面(27)が,上記ライトパイプの外に光を向ける集光および反射素子を備えている,請求項1から5のいずれかに記載の自転車用ライト。
【請求項7】
上記集光および反射素子が,上記ライトパイプ内に向けて突出する一連の角度付ファセットを備えている,請求項6に記載の自転車用ライト。
【請求項8】
上記ライトパイプが概略管状かつ固体透明プラスチック部材である,請求項1から7のいずれかに記載の自転車用ライト。
【請求項9】
ハンドルバーを含み,ハンドルバーに取り付けられた請求項1から8のいずれかに記載の自転車用ライトを有している,自転車。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
自転車の分野において,様々なタイプのハンドルバー取付け型ライト(handlebar mounted lights)が存在する。典型的には,ハンドルバー取付け自転車ライトは発光ダイオード(LED)を使用して発光する。一般にLEDは不透明の金属またはプラスチック・ハウジングに収容され,ライトが自転車に取り付けられたときに乗り手の目を光からシールド(遮蔽)する。ライトハウジングはフロント部分に透明部分を備え,概略前方に向けて光を放出することができる。上記ライトの中には,光を特定方向に反射して集光させたり,所定の強度分布を与えたり,またはイメージまたはパターンを形成したりするミラーおよびレンズ素子を含む,より複雑なデザインを有するものがある。レンズ素子は独立して設けるまたはライトハウジングの透明部分に含ませることができ,ミラー素子は,通常,LEDの後方かつ側方に配置され,光を前方に向けて反射しかつ集光し,透明部分またはレンズを通して出射する。
【0002】
一般に,光を反射しかつ集光するミラーおよびレンズ素子を有するハンドルバー取付け型ライトデザインは前方の道路を照明することができ,これによって乗り手は自分の進路を見ることができる。これは「見るため」のライト(“to see” lights)として知られている。光を反射しかつ集光するミラーおよびレンズ素子を持たないハンドルバー取付け型ライトデザインは一般に前方の道路を有効に照明せずに,「見られるため」のライト(“to be seen” lights)として知られ,他の道路利用者に対して自転車および乗り手の視認性を高めることを主要目的とする。
【0003】
「見られる」タイプのカテゴリに分類される別のタイプのライトデザインがある。このカテゴリのライトデザインは一般に「ライトパイプ」タイプデザイン(“light pile” type designs)と呼ばれ,日中のランニングライト(昼間点灯)(daytime running lights)のために近年の自動車によく用いられている。ライトパイプデザインは,一または複数のLED光源と,細長いほぼ円筒形の固体の透明プラスチックロッドまたは光導管(light conduit)とを備えている。この装置は,液体がパイプに沿って流れるのと同じようにして光がロッドの長手に沿って導かれるので,物理的な管(チューブ)ではないとしても「ライトパイプ」と呼ばれている。LED光源は一般にクリアな(透明の)プラスチックパイプの一端に位置する。プラスチックパイプの長手の一側に沿ってプラスチックロッドの表面に集光および反射素子が形成される。LED光源からの光は端部においてライトパイプに直接に進み,ライトパイプの内面の光の入射角が浅いことに起因して,ライトパイプの滑らかに研磨された表面において内部反射されてライトパイプ内に「閉じ込められた」ままとなる。ライトパイプ内に突出する一連の角度付ファセット(a series of angled facets)とすることできるライトパイプの集光および反射素子部分に光が相互作用する点において,光とライトパイプの内壁との間の高い入射角に起因して,光は上記集光素子の姿勢の方向に反射され,ライトパイプから抜け出る(escape out)。上記ライトパイプデザインの効果は,蛍光管に似た光輝くまたは明るいロッドをもたらすことである。
【0004】
デザイナーは,上記ライトパイプを屈曲または湾曲して,たとえばライトパイプが取り付けられた車両の見栄えおよび特徴に合致させることができる。ライトパイプがその形状を変更できることで,製造者および設計者が製品価値およびブランド差異を高めることができる,個性ある視覚的形状を顧客に提供することが助けられる。
【0005】
自転車用のハンドルバー取付け型ライトデザインに関し,これらは典型的には22mmから35mmの典型的なハンドルバーの直径標準範囲に適する丸いプラスチック製またはゴム製のストラップまたはクランプを用いて,自転車のハンドルバーに取り付けられる。
【0006】
一般に,ライトパイプ型の自転車ライトの利点は実用的な「見られる」光を提供するためにデザイナーの能力に関連するものであり,ユニークかつ個性的な視覚的外観を提供することである。他の利点は,ライトパイプは本質的に長くかつ細いので,シート,ハンドルバーやフレームチューブなど自転車のフォームファクタと非常に一体化されることに適することである。自転車用ライトパイプスタイルライトのさらなる利点は,個性的で珍しい形状または外観が,乗り手と自転車を,他の道路利用者に対してより目立たせることができ,視認させることができることである。
【0007】
自転車用ライトのメーカーは,ライトパイプ技術を組み込んだ自転車ライトの生産を開始している。これらの設計では,これまでのところ,従来からある後方正方形ライトをライトパイプによって取り囲むといった,既存の後方ライトデザインにライトパイプを追加することに限定されていた。2013年にアウディは特注のマルチチューブハンドルバー構造に成形されたライトパイプスタイルのフロントライトシステムを採用した電動自転車を生産した。この一体成形されたデザインは,アウディの自転車の試作品にあわせて特注されたものであるので,生産が非常に高価である。このデザインは,通常の容易に入手可能な自転車用ハンドルバーおよびステムデザインと組み合わせて用いることができず,既存の自転車に後付けすることができなかった。
【発明の開示】
【0008】
この発明は,自転車用ハンドルバーおよびステムに,低コストかつ審美的に,シームレスに取付け可能なライトパイプを提供することを目的とするもので,上記ライトパイプはハンドルバーとおおよそ平行に配置され,ハンドルバーの前方に延在する。アウディの自転車用ライトパイプデザインの場合,ライトパイプのデザインがハンドルバーの形状にしたがうものであり,この解決策は従来の自転車用ハンドルバーおよびステムは適合せずまたは取り付けることができず,ライトパイプの形状に対応するために複雑かつ高価なモールドデザインの特別なハンドルバーが要求され,このデザインは従来の自転車用ハンドルバーに取付ける用途に適するものでなかった。
【0009】
この発明は,自転車用ハンドルバーおよびステムに取付け可能な,ユニークかつ独自のライトパイプデザインを提供する。上記ライトは,好ましくはブレーキレバーの間に位置決めされ,上記ハンドルバーに沿って延びるように寸法決めされる。ほとんどの自転車用ハンドルバーは金属製であり,「ステム」によって自転車のフロント・ステアリング・フォークに接続される。上記ステムは一般に金属製または炭素繊維製であり,一方の端部にクランプ(締付け)装置を有しており,上記ステムによって,上記クランプ装置を用いて上記ハンドルバーを自転車のフロントフォーク・ステアラー・チューブにしっかりと接続することができる。上記ステムは一般にステアリング・チューブの上端から前方および上方に延び,取り付けられたハンドルバーは上記ステムの前端を横切る。ハンドルバーとステムの接続の形状は,おおむね概略的には「T」接合である。ハンドルバーには,ステムの片側に一つずつ,一対のブレーキレバーが固定される。ハンドルバーにはギアシフト・コントロール,および乗り手が掴む両端にグリップが取り付けられる。ほとんどの自転車は,ブレーキレバーの間のハンドルバー上にスペースを有しており,これがこの発明によるライトパイプを取付けるのに役立つ。
【0010】
一の側面において,この発明は,ハンドルバーに沿って水平に取り付け可能な,前向きの(forward facing)自転車用ライトパイプ・アセンブリを提供する。このライトパイプ・アセンブリは,好ましくは,金属または他の適切な熱伝導性材料製のヒートシンク要素が取り付けられた2つのLEDを含み,これが概略断面円形のライトパイプの各端部に取り付けられる。なお,ライトパイプの一端に取付けられた,単一のLEDを用いることもできることも想定される。上記ライトパイプ・アセンブリは,上記ライトパイプを包囲する,不透明の後方部分およびおおよそ透明の前方部分を含むことができる。上記後方部分の内部を白色のような明るい色で塗装またはコーティングしてもよく,これによって上記ライトパイプの後ろ向き部分を取り囲むことができる。
【0011】
クリアかつ透明な前向きシールドの目的は,光の通過を許容し,しかしながら,ほこり,水およびゴミ(debris)がライトパイプ・アセンブリに入るのを防ぐことにある。おおよそ白くかつ不透明な背景の目的は,ライトオンまたはオフされるライトパイプを前から見たときに均一強度の光を作り出すにことにある。
【0012】
上記ライトパイプ・アセンブリは好ましくはハウジング内に収められ,ハウジングがハンドルバーの中央部分を囲み,かつ開口を備え,開口を通じてステムをハウジングの外に延ばすことができる。上記ハウジングはさらにクリアかつ透明な前向きシールドを備えることができ,そこを通じてライトパイプの集光造作(focus features)によって前方に反射されかつ再集光される光を通過させることができる。不透明のライトパイプ・カバーピーク(つば)・アセンブリ(opaque light pipe cover peak assembly)が,好ましくはライトパイプ・アセンブリの上方において上記ハウジングから前方に延びるように設けられ,これによって上記ライトパイプからの光が乗り手の目に入ることが防止される。
【0013】
ライトパイプ・アセンブリは,ハウジングの上部カバー部および下部カバー部によってハンドルバーに沿う中央に長手方向に保持され,ハンドルバーに隣接するステムの少なくとも一端部とブレーキレバーの間のハンドルバーの一部とを包囲する。上記下部カバーは概略「T」字の断面を有しており,標準的な自転車用ステムおよびハンドルバー接続部にフィットさせることができ,上記上部カバーは上記下部カバーの概略嵌合半体(generally a mating half)であり,上部および下部カバーがフィットされると,これらは上記ステムの少なくとも端部とブレーキレバー間のハンドルバーの一部とを囲むハウジングを形成する。上部カバーおよび下部カバーはプラスチック材料から成形することができ,ネジまたはボルトのような固定具によって一体に固定することができる。取り付けられたとき,上記ねじが上部カバーと下部カバーとをハンドルバーの周りにしっかりと保持し,上記ライトパイプ・アセンブリをカバー内にしっかりと固定するクランプ(締付け)装置を形成する。上記ライトパイプ・アセンブリは,各LEDについて,LEDからの熱を逃がすためのヒートシンクをそれぞれ含む。上記ライトパイプ・アセンブリが自転車に取り付けられると,LEDのヒートシンクは,一般に金属から形成されるハンドルバーに接触した状態で保持され,上記金属製ハンドルバーによって熱をヒートシンクから逃がすことができる。
【0014】
好ましくは上部カバーおよび下部カバーは,各端部に上記ハンドルバーにフィットするように構成される概略円形断面を有しており,一体にされて締め付けられたときに,上記カバー(複数)は上記ハンドルバーの周囲に適切かつ同心に配置される。弾性リングを上記カバーの端部においてハンドルバーを取り囲むように設け,振動を低減する助けとするようにしてもよい。上記上部および下部カバーによって規定されるハウジング内に空間が確保され,上記ライトパイプのLEDを制御するために用いられるLEDドライバプリント回路基板(pcb)が収容される。
【0015】
以下,添付する図面を参照してこの発明の好ましい実施態様を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】自転車ライトの取付け位置を示す従来の自転車の側面図である。
【
図2】正面および側面から見たこの発明の自転車用ライトの斜視図であり,自転車用ハンドルバーに取り付けられたライトパイプ・アセンブリおよびハウジングを示す。
【
図3】
図2のライトパイプおよびハウジングを上方から見た一部破断図である。
【
図4】ハンドルバーおよびハンドルバーステムの断面図であり,そこに取り付けられたハウジングおよびライトパイプを示す。
【
図5】ハンドルバーへのライトパイプ・アセンブリの他の取付け配置を示す斜視図である。
【
図6】ライトパイプ・アセンブリの様々なパーツを示す前方斜視図である。
【
図7】
図6のライトパイプ・アセンブリの様々なパーツを示す後方斜視図である。
【
図8】
図6のライトパイプ・アセンブリを上方から見た水平断面図である。
【
図9】
図6のライトパイプ・アセンブリの拡大垂直断面図である。
【実施例】
【0017】
図面を参照して,
図1は自転車2に取り付けられたハンドルバー・ライト1の取付け位置を示している。この実施例では,上記ハンドルバーが,自転車のステアリング・チューブの上端から上方および前方にのびるステムによって支持される。
【0018】
図2は,この発明によるライトパイプを組み込んだ自転車用ライトをより詳細に示すもので,ハンドルバー3に取り付けられかつブレーキレバー4の間に配置されている。
図2に示す実施態様では,上記ハンドルバー3は,自転車のステアリング・チューブの延長部として実質的に垂直に延びるステム9によって支持されている。
【0019】
上記自転車用ライトは,好ましくは射出成型(インジェクション・モールド)されたプラスチック材料からつくられる上部カバー5および下部カバー6によって形成されるハウジングを備えている。上記カバー5および6はクラムシェル型の構成(clam shell type arrangement)であり,ハンドルバー3の中央部分を受け入れることができ,かつライトパイプ・アセンブリ7をしっかりと保持することができる。上記カバー5および6は好ましくはカバーねじ(複数)8によって一体に保持され,カバーねじは上記カバーの一方の開口を通り,他方のカバーの材料に係合する。カバーねじ8はセルフタップ型(self-tapping variety)のものであってもよい。下部カバー6には下方にのびる自転車のハンドルバーステム9を通す開口14が形成されている。
【0020】
図3は,ハンドルバー3にフィットされかつブレーキレバー4の間に位置する自転車用ランプを上方から見た切欠き図を示している。上記自転車用ランプは上部カバー5と下部カバー6を備えている。従来技術において既知であるプリント回路LEDドライバ基板10が,上記ハンドルバー3の上方において,カバー5,6によって形成されるハウジング内に位置している。LEDドライバ基板10の機能は,ハンドルバー3の前方において,カバー5および6内に搭載されるライトパイプ・アセンブリ7を電気的に制御することにある。上部カバー5および下部カバー6にはそれらの両端部に内溝(internal grooves)がそれぞれ形成されており,カバー5および6が一体に締め付けられることで内溝にOリング11をはめることができ,Oリングが上記カバーに侵入する湿気やゴミに対するシールとして作用し,ハンドルバー3に係合する適合インターフェース(compliant interface engaging with handlebar 3)を提供する。
【0021】
図4は,
図2および
図3の自転車用ハンドルバー3およびステム9を通る垂直断面を示している。上記ステム9の上端にクランプが形成されており,クランプをステムねじ12によってハンドルバー3の周りに締め付けることができる。上部カバー5とハンドルバー3との間に位置するLEDドライバ基板10が示されている。LEDドライバ基板10は好ましくは保護材料内に封止され,上記封止材料によってまたはシリコンもしくは他の適切な接着剤といった接着剤によって,上部カバー5に保持することができる。
【0022】
ライトパイプ・アセンブリは,概略ロッド状のライトパイプ18,ライトパイプ18が内部に収められる概略チャネル状断面のバッキングピース16,および上記バッキングピース16に嵌合する透明シールド17を備え,ライトパイプ18の全体が包囲されている。上記バッキングピース16はおおよそ不透明のもので,好ましくは明るい色を持つのに対し,上記透明シールド17はクリア(透明)(clear)であり,その前方部分14にレンズを有することができる形状を持つ。上記バッキングピース16は上記透明シールド17の自由縁部(複数)に係合する外向きに突出するフランジを有しており,2つの部分を一緒に配置することができる。上記透明シールド17は,上記シールド17の光放出部の直上および直下に一対の前方を向く肩部を持つ。上記ライトパイプ・アセンブリはさらに,肩部において上記透明シールド17と係合し,後端部に外向きの舌部13aを含むカバーピーク(ひさしカバー)15をさらに備えている。これはリベート(rebates)13において上部および下部カバー部と係合する。
【0023】
上部カバー5および下部カバー6にライトパイプ保持チャネル(light pipe retention channels)13bが形成され,これはそれぞれ,上部カバー5および下部カバー6の前方縁に沿ってのびている。ライトパイプ保護チャネル13bは,上記ライトパイプ・カバーピーク15のそれぞれの舌部13aを受け入れるようにつくられている。バッキングピース16,透明シールド17およびカバーピーク15は,任意の適切な接合技術によって,たとえば超音波溶接,接着接合その他によって,一体に固定することができる。上記ライトパイプ18は,不透明なバッキングピース16および透明シールド17内に収められ,上記ライトパイプ18と,上記不透明バッキングピース16と透明シールド17との間には空隙19が存在する。
【0024】
図5は,この発明の変形例の取付け配置を示す斜視図である。この実施態様では,自転車用ライトはハンドルバーの概略前方に取り付けられるもので,ハンドルバー3を包囲するハウジングを持たない。ハンドルバークランプ20およびクランプねじ21が,ライトパイプ・アセンブリ7をハンドルバー3に取り付けるために用いられる。ブレーキレバー4が取り付けられたハンドルバー3が示されており,ハンドルバー3にはステムねじ12によってハンドルバーステム9に取り付けられている。クランプねじ21とともにハンドルバークランプ20を用いることで,上記ハンドルバー3に対する上記ライトパイプ・アセンブリ7の角度を調整することができ,広範囲の既知の自転車用ハンドルバーのバリエーションにおおよそ適応させることができる。ハンドルバークランプ20は好ましくはプラスチック成形品種からつくられ,ライトパイプ・アセンブリ7と一体化することができる。この実施態様では,上記ライトパイプ・アセンブリ7は,ライトパイプが保護ハウジング内に収められかつLEDのヒートシンクが上記ハウジングの後部に露出するように配置されており,これによってクランプ20が係合されると,上記ヒートシンクがハンドルバー3と接触し,ハンドルバーの材料を通じて熱を逃がすことができる。
【0025】
図6はライトパイプ・アセンブリの様々な部品を示す前方から見た斜視図である。ライトパイプ・カバーピーク15は前方開口を有しており,これを通じて透明シールド17が露出する。ライトパイプ・カバーピーク15から外向きに延びているのはLEDワイヤ22であり,これにLEDワイヤ・コネクタ23が接続されている。LEDワイヤ22およびLEDワイヤ・コネクタ23は既知のものであり,LEDドライバ基板10からLEDに電力および制御信号を送信するために,上記LEDドライバ基板10に取り付けられた相手方コネクタとインターフェースをとるようにつくられている。
【0026】
図7は,
図6のライトパイプ・アセンブリの背面がわの斜視図である。ライトパイプ・カバーピーク15に取り付けられた不透明なバッキングピース16が示されている。ライトパイプ・カバーピーク15から外向きにのびているのはLEDワイヤ22であり,これにLEDワイヤ・コネクタ23が接続されている。
図7にはLEDヒートシンク24も示されており,これは好ましくはアルミニウムまたは他の適切な材料といった金属製のもので,上記ライトパイプ・アセンブリのLEDからの熱を効率的に吸収することができる。上記自転車用ライトが自転車用ハンドルバーに取り付けられると,伝導によってLEDヒートシンク24から自転車用ハンドルバーに熱を伝えることができる,そのような形状および配置位置をLEDヒートシンク24は持つ。
【0027】
図8は上方から見た水平断面図であり,上記ライトパイプ・アセンブリの様々な部品を示している。透明シールド17を包囲するライトパイプ・カバーピーク15が示されている。ライトパイプ・カバーピーク15に取り付けられた不透明なバッキングピース16が示されており,これらの中にライトパイプ18が収納されている。ライトパイプ18の対向端部には,LEDワイヤ22に接続されかつLEDワイヤ・コネクタ23に接続されたLED基板アセンブリ(LED pcb assemblies)26がある。LED基板アセンブリ26は入手が容易な既知のものであり,LED基板アセンブリ26から出射する光が実質的にライトパイプ18の端部を向くように配置されている。LEDヒートシンク24に取り付けられたLED基板アセンブリ26が示されている。実装手段としては熱伝導性接着剤または他の既知の熱伝達接着剤によるものとすることができ,これによってLED基板アセンブリ26からの熱がLEDヒートシンク24に伝達され,オーバーヒートすることなくLED基板アセンブリ26を動作させることができる。上記ヒートシンク24には接触面24aが設けられており,これが,ライトパイプ・アセンブリが自転車用ハンドルバーに取り付けられたときに自転車用ハンドルバーに接触し,これによって伝導によって熱をヒートシンク24からハンドルバー材料に放出することができる。
【0028】
図9は,ライトパイプ・アセンブリの様々な部品を示す縦断側面図である。外向きに突出する上部および下部の舌部13aを備えるライトパイプ・カバーピーク15が示されている。上記透明シールド17がカバーピーク15内に取り付けられており,同様にして不透明なバッキングピース16が上記透明シールド17内に取り付けられており,これによってライトパイプ18が収納されている。上記不透明バッキングピース16,ライトパイプ・カバーピーク15および透明シールド17は接着剤または超音波溶接などの任意の適切なプラスチック接合方法によって接合することができる。ライトパイプ18は,実質的に外向きにライトパイプ18の対向端部に向かう不透明なバッキングピース16に接続することによって定位置に保持され,空隙19が実質的にライトパイプ18の周囲に存在する。空隙19は好ましくは0.2~1mm程度であり,均一な光強度発現の提供を補助するために存在する。
【0029】
ライトパイプ18は概略的には円形の断面を有するが,平坦な反射面27が形成されている。反射面27は,ライトパイプ18内を進む光が反射面27から反射され,かつ透明シールド17を通じて出射するように形成される。ライトパイプ18の反射面27に沿って,ライトパイプ18中にのびる一連の角度付ファセット(a series of angled facets)30から構成される集光および反射素子(focus and reflecting elements )が,ライトパイプ18の上記表面27に形成されている。LED源からの光は,端部においてライトパイプ18内を直ちに進み,ライトパイプの内面上の光の浅い入射角に起因して上記パイプの滑らかな研磨表面から内部反射されるので,ライトパイプ内に「捕捉」されてとどまる。光がライトパイプの集光および反射素子部30と相互作用する点において,光は上記面27から反射されて上記透明シールド17を通って上記ライトパイプの外に出る。