(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】吐出ポンプを加圧するための手段を備えるジャー
(51)【国際特許分類】
B65D 83/00 20060101AFI20220907BHJP
A45D 34/04 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
B65D83/00 G
A45D34/04 555
(21)【出願番号】P 2018547936
(86)(22)【出願日】2017-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2017055186
(87)【国際公開番号】W WO2017153334
(87)【国際公開日】2017-09-14
【審査請求日】2020-01-22
(32)【優先日】2016-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506273087
【氏名又は名称】シャネル パルファン ボーテ
【氏名又は名称原語表記】CHANEL PARFUMS BEAUTE
【住所又は居所原語表記】135,avenue Charles de Gaulle,F-92200 Neuilly sur Seine,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カステクス,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】ルガストゥロワ,シルビ
(72)【発明者】
【氏名】ペラン,オリビエ
(72)【発明者】
【氏名】ラシュス,マルク
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-061573(JP,U)
【文献】特表2013-515652(JP,A)
【文献】実開平02-070772(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
A45D 34/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上壁(350)を有する本体(102、1002)と、
吐出される製品を包含する可撓性パウチ(302)と、
剛性の壁(306)と、可撓性隔壁(308)とによって境界が定められている変形可能チャンバ(304)であって、一方では、可撓性パウチ(302)と流体連通しており、他方では、上壁(350)上に開いている吐出オリフィス(106)と流体連通している、変形可能チャンバ(304)と、
外側から視認可能である外側の上面(314)と、外側の上面(314)とは反対側の下面(316)と、を有する蓋(104、1004)であって、下面は、開いた位置と閉じた位置との間で移動するように、上壁(350)上に置かれ、それにより、開いた位置と閉じた位置との間の蓋(104)の移動が、上壁(350)上での蓋(104、1004)の滑動からなり
、上壁(350)が曲率半径をもった凹状の形状を有する場合には下面(316)もほぼ同じ曲率半径を有する、蓋(104、1004)と、
蓋(104、1004)が閉じた位置から開いた位置に移動する間、可撓性隔壁(308)を押圧するように適合した加圧手段(360、660、760、960)と、を備えるジャー(100、1000)であって、
前記加圧手段(360)が、
中央部(368)と、吐出オリフィス(106)と同じ側で本体(102)に固定された少なくとも1つの第1のタブ(364)と、および、少なくとも1つの第2のタブ(366)とを含む、板バネ(362)と、
第2のタブ(366)の各々に関し、蓋(104)に取り付けられ、上壁(350)を通るシュー(370a、370b)と、を備え、
板バネ(362)の形状が、蓋(104、1004)が閉じた位置にある際に、中央部(368)が可撓性隔壁(308)と面接触するような形状であり、
板バネ(362)の形状が、蓋(104、1004)を開く際に、シュー(370a、370b)の各々が、中央部(368)、次いで第2のタブ(366)または第2のタブ(366)の各々を連続して押圧するような形状であることを特徴とする、ジャー(100、1000)。
【請求項2】
上壁(350)を有する本体(102、1002)と、
吐出される製品を包含する可撓性パウチ(302)と、
剛性の壁(306)と、可撓性隔壁(308)とによって境界が定められている変形可能チャンバ(304)であって、一方では、可撓性パウチ(302)と流体連通しており、他方では、上壁(350)上に開いている吐出オリフィス(106)と流体連通している、変形可能チャンバ(304)と、
外側から視認可能である外側の上面(314)と、外側の上面(314)とは反対側の下面(316)と、を有する蓋(104、1004)であって、下面は、開いた位置と閉じた位置との間で移動するように、上壁(350)上に置かれ、それにより、開いた位置と閉じた位置との間の蓋(104)の移動が、上壁(350)上での蓋(104、1004)の滑動からなり
、上壁(350)が曲率半径をもった凹状の形状を有する場合には下面(316)もほぼ同じ曲率半径を有する、蓋(104、1004)と、
蓋(104、1004)が閉じた位置から開いた位置に移動する間、可撓性隔壁(308)を押圧するように適合した加圧手段(360、660、760、960)と、を備えるジャー(100、1000)であって、
前記加圧手段(660)が、
吐出オリフィス(106)とは反対側にある、本体(102)に固定された共通部分と、中心の歯(668)と、この中心の歯(668)の両側のそれぞれの2つの側方の歯(664)とを含む、板バネ(662)と、
側方の歯(664)の各々に関し、蓋(104)に取り付けられ、上壁(350)を通るシュー(670a、670b)と、を備え、
板バネ(662)の形状が、蓋(104)が閉じた位置にある際に、中心の歯(668)が可撓性隔壁(308)と面接触するような形状であり、
板バネ(662)の形状が、蓋(104)が開く間に、各シュー(670a、670b)が側方の歯(664)を押圧するような形状であることを特徴とする、ジャー(100、1000)。
【請求項3】
上壁(350)を有する本体(102、1002)と、
吐出される製品を包含する可撓性パウチ(302)と、
剛性の壁(306)と、可撓性隔壁(308)とによって境界が定められている変形可能チャンバ(304)であって、一方では、可撓性パウチ(302)と流体連通しており、他方では、上壁(350)上に開いている吐出オリフィス(106)と流体連通している、変形可能チャンバ(304)と、
外側から視認可能である外側の上面(314)と、外側の上面(314)とは反対側の下面(316)と、を有する蓋(104、1004)であって、下面は、開いた位置と閉じた位置との間で移動するように、上壁(350)上に置かれ、それにより、開いた位置と閉じた位置との間の蓋(104)の移動が、上壁(350)上での蓋(104、1004)の滑動から
なる、蓋(104、1004)と、
蓋(104、1004)が閉じた位置から開いた位置に移動する間、可撓性隔壁(308)を押圧するように適合した加圧手段(360、660、760、960)と、を備えるジャー(100、1000)であって、
前記加圧手段(760)が、
可撓性パウチ(302)上に配置され、ウィンドウ(763)によって穴が開いているプレート(762)であって、ウィンドウ(763)を通って、変形可能チャンバ(304)および吐出オリフィス(106)が通る、プレート(762)と、
並進移動するようにプレート(762)上に置かれ、ウィンドウ(763)に沿って移動する中心のバー(766)を特徴とするスライド(764)と、
蓋(104)が閉じた位置から開いた位置に通った際に、スライド(764)を、吐出オリフィス(106)から離れた位置から吐出オリフィス(106)に近位の位置に移動することにより、蓋(104)のスライド(764)に対する移動を伝達する伝達システムと、を備えていることを特徴とする、ジャー(100、1000)。
【請求項4】
スライド(764)が、中心のバー(766)の一方の端部に各々が固定された、2つのランプ(768a、768b)を特徴とすることと、伝達システムが、
ランプ(768a、768b)の各々に関し、前記ランプ(768a、768b)に沿って延びる第1の歯状セクタ(772a、772b)と、
第1の歯状セクタ(772a、772b)の各々に関し、回転移動するようにプレート(762)上に取り付けられ、前記歯状セクタ(772a、772b)と噛み合っている、歯状ホイール(774a、774b)と、
歯状ホイール(774a、774b)の各々に関し、蓋(104)に取り付けられた第2の歯状セクタ(776a、776b)であって、上壁(350)を通り、第1の歯状セクタ(772a、772b)とは径方向の反対側の前記歯状ホイール(774a、774b)と噛み合う、第2の歯状セクタ(776a、776b)と、を含んでいることと、を特徴とする、請求項3に記載のジャー(100、1000)。
【請求項5】
上壁(350)を有する本体(102、1002)と、
吐出される製品を包含する可撓性パウチ(302)と、
剛性の壁(306)と、可撓性隔壁(308)とによって境界が定められている変形可能チャンバ(304)であって、一方では、可撓性パウチ(302)と流体連通しており、他方では、上壁(350)上に開いている吐出オリフィス(106)と流体連通している、変形可能チャンバ(304)と、
外側から視認可能である外側の上面(314)と、外側の上面(314)とは反対側の下面(316)と、を有する蓋(104、1004)であって、下面は、開いた位置と閉じた位置との間で移動するように、上壁(350)上に置かれ、それにより、開いた位置と閉じた位置との間の蓋(104)の移動が、上壁(350)上での蓋(104、1004)の滑動から
なる、蓋(104、1004)と、
蓋(104、1004)が閉じた位置から開いた位置に移動する間、可撓性隔壁(308)を押圧するように適合した加圧手段(360、660、760、960)と、を備えるジャー(100、1000)であって、
前記加圧手段(960)が、
可撓性パウチ(302)上に配置され、ウィンドウ(963)によって穴が開いているプレート(962)であって、ウィンドウ(963)を通って、変形可能チャンバ(304)および吐出オリフィス(106)が通る、プレート(962)と、
突出したゾーンを有する少なくとも1つのカム(964)であって、自在に回転するようにプレート(962)上に置かれ、かつ、カム(964)の軸と同軸であるように歯状ホイール(966)に取り付けられた、少なくとも1つのカム(964)と、
カム(964)の各々に関し、上壁(350)を通り、前記カム(964)の歯状ホイール(966)と噛み合う、蓋(104)に取り付けられた歯状セクタ(970)であって、蓋(104)が閉じた位置から開いた位置に移る際に、可撓性隔壁(308)を押圧しない位置から、可撓性隔壁(308)を押圧する位置に、突出したゾーンを移動させることにより、蓋(104)の各カム(964)に対する移動を伝達するような方式である、歯状セクタ(970)と、を備えていることを特徴とする、ジャー(100、1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出ポンプを加圧するための手段を含む、液体、粘性、または固体の状態の化粧品または薬品のためのジャーに関する。
【背景技術】
【0002】
仏国特許出願公開第2926116号明細書の文献には、製品が充填された可撓性パウチを含むジャーが開示されている。このジャーは、変形可能チャンバをも含んでいる。この変形可能チャンバは、一方では剛性の壁により、また、他方では可撓性隔壁により、境界が定められている。この変形可能チャンバは、全体として細長い形状である。第1の端部を介して、この変形可能チャンバは、可撓性パウチと、開口を介して流体連通している。第2の端部を介して、この変形可能チャンバは、外側と、スロットを介して流体連通している。
【0003】
動作原理は、変形可能チャンバ内に包含される製品を、スロットを介して排出させるために、ユーザにとっては、ユーザの指で第1の端部を押し、指を第2の端部に向かって移動させることで構成されている。ユーザが、自分がかけていた圧力を開放すると、スロットが閉じられ、変形可能チャンバは、その最初の形状に戻る傾向がある。最初の形状への復帰は、可撓性パウチに包含される製品の、開口を介しての吸引を伴う。
【0004】
この使用の間に、ユーザは、可撓性隔壁に圧力を印加しなければならず、このことは、時には、時間外に、ランダムな量の製品の吐出に繋がるか、あるユーザには同意できないことを示す場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の欠点を有しておらず、特に、可撓性隔壁を押圧する加圧手段を設置することにより、ユーザが、可撓性隔壁と接触することを避ける、ジャーを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、
上壁を有する本体と、
吐出される製品を包含する可撓性パウチと、
剛性の壁および可撓性隔壁とによって境界が定められている変形可能チャンバであって、一方では、可撓性パウチと流体連通しており、他方では、上壁上に開いている吐出オリフィスと流体連通している、変形可能チャンバと、
外側から視認可能である、外側の上面と、外側の上面とは反対側の、本体の上壁とほぼ同じ曲率半径を有する下面とを有する蓋であって、開いた位置と閉じた位置との間で移動するように、上壁上に置かれ、それにより、開いた位置と閉じた位置との間の蓋の移動が、上壁上での蓋の滑動からなり、上壁が平坦であるか凹状の形状を有する、蓋と、
蓋が閉じた位置から開いた位置に移動する間、可撓性隔壁を押圧するように適合した加圧手段と、を含むジャーが提案されている。
【0008】
1つの特定の実施形態によれば、前記加圧手段は、
中央部、吐出オリフィスの側で本体に固定された少なくとも1つの第1のタブ、および、少なくとも1つの第2のタブを含む、板バネと、
第2のタブの各々に関し、蓋に取り付けられ、上壁を通るシューと、を備え、
板バネの形状が、蓋が閉じた位置にある際に、中央部が可撓性隔壁と同一平面であるような形状であり、
板バネの形状が、蓋を開く際に、シューの各々が、中央部、次いで第2のタブまたは第2のタブの各々を連続して押圧するような形状である。
【0009】
1つの特定の実施形態によれば、前記加圧手段は、
吐出オリフィスとは反対側にある、本体に固定された共通部分と、中心の歯と、この中心の歯の両側のそれぞれの2つの側方の歯とを含む、板バネと、
側方の歯の各々に関し、蓋に取り付けられ、上壁を通るシューと、を備え、
板バネの形状が、蓋が閉じた位置にある際に、中心の歯が可撓性隔壁と同一平面であるような形状であり、
板バネの形状が、蓋が開く間に、各シューが側方の歯を押圧するような形状である。
【0010】
1つの特定の実施形態によれば、前記加圧手段は、
可撓性パウチ上に配置され、ウィンドウによって穴が開いているプレートであって、ウィンドウを通って、変形可能チャンバおよび吐出オリフィスが通る、プレートと、
並進移動するようにプレート上に置かれ、ウィンドウに沿って移動する中心のバーを特徴とするスライドと、
蓋が閉じた位置から開いた位置に通った際に、スライドを、吐出オリフィスから離れた位置から吐出オリフィスに近位の位置に移動することにより、蓋のスライドに対する移動を伝達する伝達システムと、を備えている。
【0011】
スライドは、有利には、2つのランプを特徴とし、この2つのランプは、各々が、中心のバーの一方の端部に固定されており、伝達システムは、
ランプの各々に関し、前記ランプに沿って延びる第1の歯状セクタと、
第1の歯状セクタの各々に関し、回転移動するようにプレート上に取り付けられ、前記歯状セクタと噛み合っている、歯状ホイールと、
歯状ホイールの各々に関し、蓋に取り付けられた第2の歯状セクタであって、上壁を通り、第1の歯状セクタとは径方向の反対側の前記歯状ホイールと噛み合う、第2の歯状セクタと、を含んでいる。
【0012】
1つの特定の実施形態によれば、前記加圧手段は、
可撓性パウチ上に配置され、ウィンドウによって穴が開いているプレートであって、ウィンドウを通って、変形可能チャンバおよび吐出オリフィスが通る、プレートと、
突出したゾーンを有する少なくとも1つのカムであって、自在に回転するようにプレート上に置かれ、かつ、カムの軸と同軸であるように歯状ホイールに取り付けられた、少なくとも1つのカムと、
カムの各々に関し、上壁を通り、前記カムのツールホイールと噛み合う、蓋に取り付けられた歯状セクタであって、歯状セクタであって、蓋が閉じた位置から開いた位置に移る際に、可撓性隔壁を押圧しない位置から、可撓性隔壁を押圧する位置に、突出したゾーンを移動させることにより、蓋の各カムに対する移動を伝達する方式である、歯状セクタとを備えている。
【0013】
本発明の上述の特徴は、他の特徴とともに、一実施形態の以下の説明を読むことで、より明確になり、前記説明は、添付図面を参照して与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】蓋が閉じた位置にある、本発明に係るジャーの斜視図である。
【
図2】蓋が開いた位置にある、
図1のジャーの斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る、平面IIIの、
図1のジャーの断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る、ジャーの部分断面図である。
【
図7】本発明の第3の実施形態に係る、ジャーの分解図である。
【
図9】本発明の第4の実施形態に係る、ジャーの部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の説明では、位置に関する用語は、支持部に置かれた状態、すなわち、
図3に示すようなジャーを参照して使用される。
【0016】
図1は、本体102と、閉じた位置にある蓋104とを含むジャー100を示している。ここでは、ジャー100は、円筒状の形状であるが、ジャーの形状および容量100は、異なっていてもよい。同じ方式で、ここでは、蓋104がディスクの形状を有しているが、この蓋は異なる形状を有していてもよい。
【0017】
たとえば、
図10は、本体1002および蓋1004を含むジャー1000を示している。本発明のこの実施形態では、本体1002および蓋1004は矩形の形状を有している。以下の説明では、本発明は、
図1のジャー100の場合について、より具体的に説明されるが、
図10のジャー1000に同じ方式で適用される。
【0018】
図2は、本体102の上壁350をカバーしていない、蓋104が開いた位置にある際のジャー100を示している。上壁350は、吐出オリフィス106をカバーしておらず、この吐出オリフィス106を通して、本体102の可撓性パウチ(302、
図3)に包含された製品が流れる。この製品は、たとえば、化粧品であるか、粘性、ペースト状、または固体の状態の医薬品(たとえば、クリーム、ファンデーション、フェイスパウダーなど)など、様々なタイプである場合がある。したがって、吐出オリフィス106は、上壁350上に開いている。すなわち、上壁350を通る。
【0019】
図1のケースでは、ジャー100は、ここでは、円筒状であり、上壁350から延びている側壁320と、側壁320を閉じるとともに、可撓性パウチ302を包含する底部322とをも有している。
【0020】
図10のケースでは、側壁は、矩形のベースを有している。
【0021】
吐出オリフィス106は、内部から外部へ流体を通すことを可能にするが、逆向きに流体が通ることを防止する、逆止弁の形態を取る。たとえば、吐出オリフィス106は、直線状または十字状のスロットを特徴とする可撓性フィルムである場合がある。当然、任意の他のフィルム形状が、等しく適しているものとすることができる。
【0022】
図3は、ジャー100の断面を示している。本体102は、吐出される製品を包含する液密な可撓性パウチ302を含んでいる。変形可能チャンバ304は、剛性の壁306と、可撓性隔壁308とによって境界が定められている。剛性の壁306は、可撓性パウチ302の上に配置され、可撓性隔壁308は、剛性の壁306の上に配置されている。
【0023】
剛性の壁306は、開口310によって穴が開いており、この開口310により、可撓性パウチ302と変形可能チャンバ304との間が流体連通している。変形可能チャンバ304は、吐出オリフィス106とも、ここでは煙突状部分312を介して流体連通している。開口310は、チェックバルブ311によってブロックされている。このチェックバルブ311は、可撓性パウチ302から変形可能チャンバ304へ流体を通すことを可能にするが、逆向きに流体が通ることを防止する。したがって、チェックバルブ311は、変形可能チャンバ304が可撓性パウチ302に対して加圧された際に作動し、それにより、吐出されることになる製品が、可撓性隔壁308の圧力のために、可撓性パウチ302内に戻ることを防止する。ここでは、チェックバルブ311は、変形可能チャンバ304の内部に固定された舌の形態を取り、開口310に対して押圧されている。閉鎖部材の任意の他の形態が、等しく適している場合があることをよく理解されたい。
【0024】
変形可能チャンバ304は、第1の端部の煙突状部分312と、第2の端部の開口310とを特徴とする、全体として細長い形状を有している。
【0025】
蓋104は、開いた位置と、蓋104が吐出オリフィス106の上に来る閉じた位置との間で移動できるように、上壁350に置かれている。蓋104は、第1の保持手段を含んでおり、本体102は、本体102の上壁350上で蓋104が滑動することを可能にしつつ、ともに取り付けられた本体102と蓋104とを保持するように、第1の保持手段と協同する第2の保持手段を含んでいる。
【0026】
図4は、蓋が開いた位置にあるジャー100を示しており、
図5は、特に保持手段を示すジャー100の断面図である。
【0027】
図1から
図9に示す本発明の実施形態では、上壁350は、部分的に球形の凹形状である。上壁350には、蓋104の開いた位置と閉じた位置との間の蓋104の移動の方向に平行な、側縁部354a、354bを有するメインスロット352が形成されている。メインスロット352は、側縁部354a、354bに対して全体として垂直な前縁部356a、356bをも有している。
【0028】
蓋104は、外側から視認可能である、外側の上面314と、この外側の上面314とは反対側の、部分的に球状の凸形状であり、本体102の上壁350とほぼ同じ曲率半径を有する下面316とを特徴としている。下面316と上壁350とは、開いた位置から閉じた位置に、およびその逆に蓋104が移動する間、一方が他方の上でスライドすることが意図されている。
【0029】
図10に示す本発明の実施形態では、上壁は、部分的に筒状の、凹形状であり、蓋の下面は、本体の上壁とほぼ同じ曲率半径を有する部分的に筒状の凸形状である。
【0030】
したがって、
図1から
図10に示す本発明の実施形態では、蓋104、1004の移動は、全体的に回転であるが、下面316および上壁350が平坦である場合、この移動が並進移動であることが予想できる。
【0031】
ここで、第1の保持手段は、2つのクリップ358a、358bの形態を取り、これらクリップの各々が、側縁部354a、354bの一方と接触して、長手方向にガイドする壁と、壁の端部におけるホックとを有している。このホックは、上壁350の下で、メインスロット352を介して留まって本体102と蓋104とをともに締結する。ここで、側縁部354a、354bは、第2の保持手段を形成している。
【0032】
ジャー100は、等しく、蓋104が閉じた位置から開いた位置に移動する間、可撓性隔壁308を押圧するように適合した加圧手段を含んでいる。このため、蓋104を開くと、変形可能チャンバ304に包含された製品は、吐出オリフィス106を介して押し出される。このため、ユーザは、可撓性隔壁308とは接触せず、また、蓋104の完全な移動により、吐出される製品の量を調整することが可能になる。この量は、変形可能チャンバ304の容量に実質的に対応している。
【0033】
蓋が閉じた位置に戻った後は、加圧手段はもはや、可撓性隔壁308にいずれの圧力も印加していない。可撓性隔壁308は、その弾性によって再度膨張し、可撓性パウチ302内に包含される製品を吸引する。この可撓性隔壁308が最初の位置に戻ることを確実にするために、可撓性隔壁308は、たとえばTPE、TPU、またはシリコンのフィルムなどの、その最初の形状に復帰する傾向にある弾性材料で構築されている。可撓性パウチ302の可撓性により、空気が入ることなく、製品を変形可能チャンバ304内に吸引することが可能になる。可撓性パウチ302は、たとえばPE、PP、Surlyn(R)、アルミニウム、または多層複合材料などの、弾性材料で形成されている。
【0034】
図3から
図5は、第1の実施形態に係る加圧手段360を示しており、
図6は、第2の実施形態に係る加圧手段660を示しており、
図7および
図8は、第3の実施形態に係る加圧手段760を示しており、
図9は、第4の実施形態に係る加圧手段960を示している。
【0035】
第1の実施形態によれば、加圧手段360は、ほぼ水平に延び、中央部368と、基部によって中央部368に固定され、自由端部によって本体102に固定された2つの第1のタブ364、より具体的には、上壁350の下で、吐出オリフィス106の両側のそれぞれと同じ側において、この両側にある、固定された2つの第1のタブ364と、基部によって中央部368に固定され、自由端部が固定されていない2つの第2のタブ366とを特徴とする板バネ362を備えている。2つの第1のタブ364は、中央部368の、蓋104の移動方向に対して一方側から延び、2つの第2のタブ366は、中央部368の他方側から延び、上から見て全体としてHを形成する。
【0036】
板バネ362の形状は、蓋104が閉じた位置にある際に、中央部368が可撓性隔壁308の上部と同一平面になるような形状である。
【0037】
ここで示す本発明の実施形態では、中央部368は平坦であり、2つの第1のタブ364と2つの第2のタブ366とは、中央部368に対して立ち上がっている。
【0038】
加圧手段360は、等しく、蓋104に取り付けられ、メインスロット352の両側にそれぞれ配された上壁350の2つの二次スロット372a、372bを介して上壁350を通る2つのシュー370a、370bを備えている。各シュー370a、370bは、蓋104の閉じた位置(
図3)において中央部368を押圧し、蓋104を開く際(
図4)には、中央部368と、2つの第2のタブ366とを連続して押圧するように設計されている。
【0039】
蓋104を開く際の蓋104の円形状移動、および中央部368および2つの第2のタブ366の形状のために、中央部368は、可撓性隔壁308上に下降するとともに押圧し、こうして、変形可能チャンバ304内に包含される製品を、吐出オリフィス106を介して押し出す傾向にある。
【0040】
板バネ362およびシュー370a、370bの形状は、蓋104の移動、および、押し出される製品の量に応じて異なる場合がある。
【0041】
同じ方式で、本明細書に示す本発明の実施形態では、2つのシュー370a、370bが存在するが、メインスロット352を通り、中央部368を押圧する、中心のシュー1つのみを設けること、および、第2のタブ366を1つのみ設けることも可能である。
【0042】
最後に、利用可能なスペースに応じて、中心にある方式で固定された、ただ1つの第1のタブ364を設けることも等しく可能である。
【0043】
このため、大まかに言うと、第1の実施形態に係る加圧手段360に関し、前記加圧手段360は、
中央部368と、吐出オリフィス106と同じ側で本体102に固定された少なくとも1つの第1のタブ364と、および、吐出オリフィス106とは反対側の少なくとも1つの第2のタブ366とを、それ自体が含む、板バネ362と、
第2のタブ366の各々に関し、蓋104に取り付けられ、上壁350を通るシュー370a、370bと、を備え、
板バネ362の形状が、蓋104が閉じた位置にある際に、中央部368が可撓性隔壁308と同一平面であるような形状であり、
板バネ362の形状が、蓋104を開く際に、シュー370a、370bの各々が、中央部368、次いで第2のタブ366または第2のタブ366の各々を連続して押圧するような形状である。
【0044】
蓋104を閉じる間、板バネ362は、可撓性隔壁308を押圧していない、その最初の位置を回復するように持ち上がる傾向がある。
【0045】
第2の実施形態によれば、加圧手段660は、中心の歯668と、この中心の歯668の両側のそれぞれの2つの側方の歯664(1つのみが見られる)とを有する三つ叉の形状を取る板バネ662を備えている。各歯664、668の基部は、その共通部分666に固定されており、この共通部分666は、それ自体が、本体102に固定されている。より具体的には、吐出オリフィス106とは反対側の、上壁350の下に固定されている。各歯664、668は、共通部分664からほぼ水平に、吐出オリフィス106の方向に延びている。
【0046】
板バネ662の形状は、蓋104が閉じた位置にある際に、中心の歯668が可撓性隔壁308の上部と同一平面となるような形状である。
【0047】
加圧手段660は、等しく、蓋104に取り付けられ、メインスロット352の両側にそれぞれ配された上壁350の2つの二次スロット372a、372bを通って上壁350を通る2つのシュー670a、670bを備えている。シュー670a、670bの各々は、側方の歯664上に押圧されるように、かつ、蓋104を開く間、側方の歯664をますます押圧することになるように設計されている。
【0048】
蓋104を開く間の蓋104の移動、および、側方の歯664の各々の形状のために、側方の歯664の各々は、下降し、また、中心の歯668を等しく下降するようにさせている。このため、中心の歯668は、可撓性隔壁308を押圧し、こうして、変形可能チャンバ304内に包含される製品を、吐出オリフィス106を介して押し出す傾向にある。
【0049】
板バネ662およびシュー670a、670bの形状は、蓋104の移動、および、押し出される製品の量に応じて異なる場合がある。
【0050】
蓋104を閉じる間、板バネ662は、可撓性隔壁308を押圧していない、その最初の位置を回復するように持ち上がる傾向がある。
【0051】
第3の実施形態に係る加圧手段760を示すために、
図7は分解図を示し、
図8は、本体102がなく、かつ、蓋104の一部がない、上面図を示している。
【0052】
加圧手段760は、本体102と一片であるか、可撓性パウチ302の上の本体102の内部に固定された別個の部品である場合があるプレート762を含んでいる。プレート762は、ウィンドウ763を特徴としており、このウィンドウ763を通して、変形可能チャンバ304、煙突状部分312、および吐出オリフィス106が通る。
【0053】
加圧手段760は等しく、並進移動するように、プレート762上に置かれたスライド764を含んでいる。スライド764は、ウィンドウ763内に配置された中心のバー766と、2つのランプ768a、768bとを特徴とする。2つのランプ768a、768bは、各々が、中心のバー766の一方の端部に固定されている。各ランプ768a、768bは、プレート762によって並進移動するようにガイドされる。プレート762は、このため、ここではU形状の溝770a、770bを含んでいる。このため、中心のバー766は、ウィンドウ763に沿って移動可能であり、吐出オリフィス106から離れた位置から吐出オリフィス106に近い位置に(
図8の矢印802によって示されているように)並進移動の際に、可撓性隔壁308を押圧する。
【0054】
加圧手段760は、等しく、蓋104が閉じた位置から開いた位置、およびその逆に移る際に、スライド764を、吐出オリフィス106から離れた位置から吐出オリフィス106に近位の位置に移動することにより、蓋104のスライド764に対する移動を伝達する伝達システムを含んでいる。
【0055】
図7および
図8に示す本発明の実施形態では、伝達システムには、
ランプ768a、768bの各々に関し、前記ランプ768a、768bに沿って延びる第1の歯状セクタ772a、772bと、
第1の歯状セクタ772a、772bの各々に関し、前記歯状セクタ772a、772bと噛み合う歯状ホイール774a、774bであって、前記歯状ホイール774a、774bが、スライド764が移動する平面に対して垂直な軸周りに回転移動するようにプレート762上に取り付けられた、歯状ホイール774a、774bと、
歯状ホイール774a、774bの各々に関し、蓋104に取り付けられた第2の歯状セクタ776a、776bであって、二次スロット372a、372bを介して上壁350を通り、第1の歯状セクタ772a、772bとは径方向の反対側の前記歯状ホイール774a、774bと噛み合う、第2の歯状セクタ776a、776bと、を含んでいる。
【0056】
こうして、閉じた位置から開いた位置への(矢印804の方向における)蓋104の移動は、第2の歯状セクタ776a、776bの、同じ方向(804)における移動に繋がり、このため、噛み合いにより、歯状ホイール774a、774b、そして最終的には、第1の歯状セクタ772a、772bの方向802における移動に繋がる。蓋104が開いた位置から閉じた位置に移動する場合、移動は逆向きになる。
【0057】
2つの二次スロット372a、372bは、メインスロット352の両側のそれぞれに配置されている。
【0058】
吐出オリフィス106がカバーされていない場合にのみ製品が排出されることを確実にするために、第2の歯状セクタ776a、776bは、蓋104が前記吐出オリフィス106をカバーしなくなった後にのみ、歯状ホイール774a、774bと噛み合う。この理由は、閉じた位置(
図7)では、第2の歯状セクタ776a、776bが延びる距離が限られており、蓋104の移動の端においてのみ噛み合うためである。
【0059】
製品の迅速な排出を確実にするように、歯状ホイール776a、776bの各々は、減速によるトルクの増加(demultiplication)を提供するために、対になっている。
【0060】
図9は、第4の実施形態に係る加圧手段960を有するジャー100の一部を示している。
【0061】
加圧手段960は、本体102と一片の部品であるか、可撓性パウチ302の上の本体102の内部に固定された別個の部品である場合があるプレート962を含んでいる。プレート962は、ウィンドウ963を特徴としており、このウィンドウ963を通して、変形可能チャンバ304、煙突状部分312、および吐出オリフィス106が通る。
【0062】
加圧手段960は、等しく、ここでは垂直な軸周りに自在に回転するようにプレート962上に取り付けられた、少なくとも1つのカム964を含んでいる。このカム964は、カム964の軸と同軸の歯状ホイール966に取り付けられている。カム964は、突出したゾーンを特徴としている。
【0063】
カム964またはカム964の各々の位置および形状は、蓋104の閉じた位置において、突出したゾーンが可撓性隔壁308を押圧せず、蓋104の開いた位置において、突出したゾーンが、カム964の回転の後に可撓性隔壁308を押圧するような位置および形状である。
【0064】
好ましい実施形態では、変形可能チャンバ304の対称の長手軸の両側のそれぞれに対称的に配置された2つのカム964が存在する。
図9では、1つのカム964のみが明確化のために示されている。
【0065】
加圧手段960は、等しく、蓋104が閉じた位置から開いた位置に移る際に、突出したゾーンが、可撓性隔壁308を押圧しない位置から、可撓性隔壁308を押圧する位置に通過するような方式で、各カム964を旋回させることにより、蓋104の各カム964に対する移動を伝達する伝達システムを含んでいる。
【0066】
図示の本発明の実施形態では、伝達システムは、各カム964に関し、適切なスロットを介して上壁350を通り、前記カム964の歯状ホイール966と噛み合う、蓋104に取り付けられた歯状セクタ970を含んでいる。
【0067】
こうして、閉じた位置から開いた位置への蓋104の移動は、歯状セクタ970の移動に繋がり、このため、噛み合いにより、歯状ホイール966、そして最終的には、カム964の移動に繋がる。蓋104が開いた位置から閉じた位置に移動する場合、移動は逆向きになる。
【0068】
図3の実施形態に示すように、このことは、すべての他の実施形態に適用できるが、蓋104の外部の上面314は、吐出オリフィス106とは反対側に位置するヒンジ12に回転可能に置かれている。この構成により、外側の上面314とは反対側の面において、ミラーを蓋の内側に収容すること、および/または、スポンジを蓋104の下部14に収容することを可能にするチェックバルブが形成される。