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▶ フォールブルック インテレクチュアル プロパティー カンパニー エルエルシーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】連続可変変速機、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   F16H 15/28 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
F16H15/28
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018548923
(86)(22)【出願日】2017-03-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-18
(86)【国際出願番号】 US2017022979
(87)【国際公開番号】W WO2017161278
(87)【国際公開日】2017-09-21
【審査請求日】2020-02-21
(31)【優先権主張番号】62/310,559
(32)【優先日】2016-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512221120
【氏名又は名称】フォールブルック インテレクチュアル プロパティー カンパニー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】ニコルズ ジョン エム.
(72)【発明者】
【氏名】スウィート ブライアン ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ポール ブラッド ピー.
(72)【発明者】
【氏名】トマシー フェルナンド エー.
(72)【発明者】
【氏名】エリオット ウィリアム ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ガルビン デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ダーウェ ダニエル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン デイヴィッド ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】コンテロ ウェイン リロイ
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-227690(JP,A)
【文献】特開2015-75148(JP,A)
【文献】特開2015-227691(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 15/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の傾斜可能な遊星組立品を有する連続可変変速機用のステータであって、各傾斜可能な遊星組立品は遊星および遊星軸を含み、前記遊星軸を傾斜することにより、前記連続可変変速機の伝達比を変え、
複数のオフセットガイドスロットを含み、各オフセットガイドスロットは、遊星軸の端部を受領するように構成され、各オフセットガイドスロットは、
前記遊星軸の前記端部に接触するための第1および第2の表面であって、前記第1および第2の表面は、前記遊星軸の端部の直径に基づ第1の幅によって分離される、第1および第2の表面と、
先端面又は後端面の一方に形成される突出と、を含み、
前記突出は半径方向外方の開口に第2の幅を形成し、前記第2の幅は前記第1の幅より小さい、ステータ。
【請求項2】
前記突出は湾曲面を有する、請求項1に記載のステータ。
【請求項3】
前記第1の表面、前記第2の表面、および前記突出は連続表面を形成する、請求項2に記載のステータ。
【請求項4】
前記突出は前記遊星軸の端部の半径と等しい湾曲の半径を有する、請求項3に記載のステータ。
【請求項5】
複数の傾斜可能な遊星組立品を有する連続可変変速機用のステータ組立品であって、各傾斜可能な遊星組立品は遊星および遊星軸を含み、前記遊星軸を傾斜することにより、前記連続可変変速機の伝達比を変え、
複数のオフセットガイドスロットを含む第1のステータ、および、複数の半径方向ガイドスロットを含む第2のステータを含み、
前記第1のステータの各オフセットガイドスロットは、遊星軸の第1の端部を受領するように構成され、各オフセットガイドスロットは、
前記遊星軸の前記第1の端部と接触するための第1および第2の表面であって、前記第1および第2の表面は、半径方向開口を形成するために、前記遊星軸の前記第1の端部の直径に基づ第1の幅によって分離される、第1および第2の表面と、
前記遊星軸の前記第1の端部の移動を制限するための前記第1および第2の表面の半径方向内方に配置された第3の表面とを含み、
各オフセットガイドスロットは、半径方向外方の開口に第2の幅を形成し、前記第2の幅は前記第1の幅より小さく、
前記第2のステータの各半径方向ガイドスロットは、遊星軸の第2の端部を受領するように構成され、各半径方向ガイドスロットは、
前記遊星軸の前記第2の端部と接触するための第1および第2の表面であって、前記第1および第2の表面は、前記第1の幅によって分離される、第1および第2の表面と、
前記遊星軸の前記第2の端部の移動を制限するための前記第1および第2の表面の半径方向内方に配置された第3の表面とを含み、
前記第1のステータの直径は前記第2のステータの直径より大きい、ステータ組立品。
【請求項6】
前記半径方向ガイドスロットは、半径方向外方の開口に第2の幅を有して形成され、前記半径方向外方の開口における前記第2の幅は前記第1の幅より小さい、請求項5に記載のステータ組立品。
【請求項7】
前記半径方向外方の開口における前記第2の幅は前記遊星軸の前記直径より小さい、請求項6に記載のステータ組立品。
【請求項8】
前記第2のステータ内の各半径方向ガイドスロットの内径は、前記第1のステータ内の各オフセットガイドスロットの内径よりも半径方向内方に延在する、請求項5に記載のステータ組立品。
【請求項9】
複数の遊星と前記第1のステータとの間に介設されたタイミングプレートをさらに含み、前記タイミングプレートは、第1のタイミングスロット表面および第2のタイミングスロット表面によって形成された複数のタイミングスロットを有する、請求項5に記載のステータ組立品。
【請求項10】
前記第1のステータは前記タイミングプレートの外径より大きい外径を有する、請求項9に記載のステータ組立品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2016年3月18日に出願された米国仮特許出願第62/310,559号の優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示の分野
本明細書に開示された実施形態は、概して連続可変変速機に関し、より詳細には連続可変変速機(CVT)のための方法、組立品、および構成要素に関する。
【0003】
関連技術の説明
連続可変変速機は、人々が有限設備の代わりに伝達比の連続範囲を有することの利点および長所を理解しているので、より人気が高くなっている。入力速度対出力速度の連続可変比を達成するために周知の方法がある。典型的には、CVTにおいて出力速度対入力速度の速度比を調節するための機構はバリエータとして公知であり、制御システムは所望の速度比が作動中に達成できるようにバリエータを管理する。ベルト式CVTでは、バリエータはベルトによって結合された2つの調節可能なプーリからなる。ベルト式CVTにとっての欠点は、駆動軸および被駆動軸の2つの軸の必要性であり、2つの軸は互いにずれており、同軸ではない。シングルキャビティ式トロイダルCVTでは、バリエータは、通常シャフトを中心に回転する2つの部分的にトロイダル式の変速機ディスクと、シャフトに垂直のそれぞれの軸線上で回転し、入力変速機ディスクと出力変速機ディスクとの間にクランプされる、2つ以上のディスク形状の動力ローラとを有する。トロイダル式CVTの一般的な問題点は、頑強で動的な軸方向力発生システムを必要とする力のばらつきである。追加費用およびシステムの複雑性に加えて、これらの軸方向力発生システムはCVTに追加の寄生損失を加える。
【0004】
本明細書に開示されたバリエータの実施形態は、(動力もしくは速度調整器、ボール、球形ギア、またはローラとしても公知である)遊星を利用するボール式バリエータであり、遊星は、それぞれが作動中に出力速度対入力速度の所望の比率を達成するために調節するように適合された、傾斜可能な回転軸を画定する軸を有する。遊星は、CVTの長手軸に垂直な平面において長手軸を中心に角度的に分布される。遊星は一方の側で入力ディスクから動力を受領し、他方の側で出力ディスクに動力を伝達し、ディスクの一方または両方は動力の伝達を増加させるためにクランプ接触力を印加する。入力ディスクは、入力トルクおよび入力回転速度で(入力)動力を遊星に印加する。遊星がそれら自体の軸を中心に回転する際に、遊星は出力トルクおよび出力回転速度で(出力)動力を出力ディスクに伝達する。出力速度対入力速度比は、遊星の軸に対する入力ディスクおよび出力ディスクの接触点の半径の関数である。バリエータの軸に対して遊星の軸を傾斜させることにより、速度比が調節される。遊星は、入力ディスクもしくは出力ディスクとの直接接触を介して、または動力を伝達できるあらゆる型の流体との接触を介して動力を受領し、または伝達してもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
性能および作動制御を改善するバリエータおよび制御システムへの継続的な要望がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載されたシステムおよび方法はいくつかの特徴を有するが、そのうちの1つのみがその望ましい属性を担うことはない。続く特許請求の範囲によって表される範囲を限定することなく、そのより顕著な特徴について次に簡単に考察する。この考察を考慮した後に、本システムおよび方法の特徴が従来のシステムおよび方法に優るいくつかの長所をどのように提供するかが理解されよう。
【0007】
1つの広い観点では、実施形態は、概して連続可変変速機内のボール遊星式バリエータを対象とすることがある。ボール遊星式連続可変変速機は、太陽組立品を中心に太陽組立品と接触して角度的に配置された複数の遊星を含んでもよい。複数の遊星は、第1の牽引リングと第2の牽引リングとの間に介設される。各遊星は、傾斜可能な回転軸を画定する軸を有する。CVTは、第1の複数のガイドスロットを有する第1のディスクおよび第2の複数のガイドスロットを有する第2のディスクを含んでもよく、各ガイドスロットは複数の軸の1つの第1の端部または第2の端部を制御するように構成される。
【0008】
別の広い観点では、実施形態は、概してボール遊星式連続可変変速機を組み立てるための方法を対象としてもよい。
【0009】
別の広い観点では、実施形態は、概してボール遊星式連続可変変速機を制御するためのシステムを対象としてもよい。
【0010】
別の広い観点では、実施形態は、概してボール遊星式連続可変変速機を制御するための方法を対象としてもよい。
【0011】
別の広い観点では、実施形態は、概してボール遊星式連続可変変速機を含む駆動トレインを備える車両を対象としてもよい。車両動力要件がバリエータの最小の大きさを決定することがあるが、車両の寸法が連続可変変速機の大きさまたは重量を限定することがある。加えて車両はCVTの所望の作動範囲から恩恵を受けることができる。
【0012】
別の広い観点では、実施形態は、概してボール遊星式連続可変変速機を含む駆動トレインを備える自転車を対象としてもよい。乗り手は最軽量で最大作動範囲が可能なCVTを望むことがある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、ボール遊星式連続可変変速機(CVT)の断面図である。
図2A-2B】図2Aおよび2Bは、アンダードライブおよびオーバードライブ条件を例示するボール遊星式CVTの断面図である。
図3図3は、CVTが順方向に作動しているときの関心領域を例示するステータの側面図である。
図4A-4B】図4Aおよび4Bは、遊星軸がステータスロットからの逸脱の危険をどのように冒すかを例示する、FODにおけるCVTの一実施形態の斜視図を示す。
図5図5は、出力ステータの外径より大きい外径を備える、入力ステータを有するCVTの図を示す。
図6A-8B】図6A~6B、図7A~7B、および図8A~8Bは、様々なCVT構成に対する異なる半径方向寸法のステータスロットを例示する入力ステータの実施形態を示す。
図9A-9B】図9Aおよび9Bは、最大範囲の速度比が可能であるために開放端スロットとして形成され、軸端の逸脱を抑制するための特徴を備えたステータスロットを例示するステータの部分図を示す。
図10図10は、出力ステータの一実施形態の側面図を示す。
図11A図11Aは、タイミングプレートの一実施形態の図を示す。
図11B図11Bは、タイミングプレートの一実施形態の拡大部分側面図を示す。
図12図12は、比率調整速度を制御するための一方法を例示する流れ図を示す。
図13A-13D】図13A~13Dは、結合を防ぎ、すべての速度比で性能を最適化するために、CVTの制御に関連した情報を記憶するための方法を例示するグラフを示す。
図14図14は、乗り手がペダルを踏んでおり、伝達比の調節が制御装置により自動的に連続して制御されるとき、変速機の作動に有益な制御ループ内のシステムまたはステップの一部を示す。
図15図15は、手動制御による変速機の作動に有益な制御ループ内のシステムまたはステップの一部を示し、手動制御による変速機の作動に有益な制御ループにおけるシステムまたはステップの一部をさらに示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に添付図面を参照して実施形態について説明するが、同様の数字は全体を通して同様の要素を指す。本明細書で以下に使用される専門用語は、ある特定の実施形態の詳しい説明と関連して使用されているという理由のみで、いかなる限定的または制限的に解釈されるべきではない。さらに実施形態はいくつかの新規の特徴を含むことができ、そのうちの1つのみがその望ましい属性を担うことはなく、または本明細書に記載されたシステムおよび方法を実践するために不可欠ではない。
【0015】
本明細書で使用される場合、用語「動作的に接続される」、「動作的に結合される」、「動作的に連結される」、「動作可能に接続される」、「動作可能に結合される」、「動作可能に連結される」、「接触する」などの用語は、1つの要素の動作が第2の要素の対応する、追従する、もしくは同時に動作もしくは作動をもたらす、要素間の関係(機械的、リンク機構、結合、その他)を指す。実施形態を説明するために上記用語を使用する際、要素を連結もしくは結合する特定の構造または機構が説明されてもよいことに留意されたい。しかしそうではないと具体的に述べない限り、上記用語の1つが使用されるときは、その用語は、実際のリンク機構、結合または接触が様々な形を取ってもよいことを示唆する。
【0016】
説明のために、用語「半径方向」は、本明細書では変速機もしくはバリエータの長手軸に対して垂直な方向または位置を示唆するために使用される。「半径方向内方」は、中心点に比較的近い位置を指すのに対して、「半径方向外方」は、中心点から比較的離れた位置を指す。本明細書で使用される場合、用語「軸方向」は、変速機もしくはバリエータの主軸または長手軸に平行な軸に沿った方向あるいは位置を指す。明瞭性および簡潔性のために、場合によって同様に符号が付された同様の構成要素(例えば要素1Aおよび要素1B)は、単一の符号(例えば要素1)で集合的に指す。
【0017】
本明細書における言及「牽引」は、動力伝達の基本モードまたは占有モードが「摩擦」を通る適用を排除しないことに留意されたい。ここでは牽引駆動と摩擦駆動との間の分類上の差異を定めようとすることなく、概してこれらは動力伝達の異なる形態と理解されてもよい。牽引駆動は、通常2つの要素間に捕捉された薄い流体層内の剪断力による2つの要素間の動力伝達に関与する。これらの適用に使用される流体は、通常従来の鉱油より大きい牽引係数を見せる。牽引係数(μ)は最大に利用可能な牽引力を表し、これは接触する構成要素の境界面に利用可能であるはずであり、最大に利用可能な駆動トルクの測定値である。典型的には、摩擦駆動は概して2つの要素間の摩擦力により2つの要素間の動力を伝達することに関する。本開示のために、本明細書に記載されたCVTは牽引および摩擦適用の両方で動作してもよいことを理解するべきである。例えばCVTが自転車の適用のために使用される実施形態では、CVTは、動作中に存在するトルクおよび速度条件に依存して、摩擦駆動として動作できるときもあれば、牽引駆動で動作できるときもある。
【0018】
本明細書に開示された実施形態は、球状遊星を使用するバリエータおよび/またはCVTの制御に関し、各遊星は、動作中に入力速度対出力速度の所望の比率に達成するように調節できる、傾斜可能な回転軸(本明細書では場合によっては「遊星回転軸」と呼ばれる)を有する。一部の実施形態では、上記回転軸の調節は、遊星上に不均衡な力の組を誘発する第1の平面における遊星軸の偏角または変位に関与し、不均衡な力の組は次いで遊星およびそれらのそれぞれの軸を新しい傾斜位置(またはガンマ角)に進める傾向があり、そこで力は次いで均衡がとられ、それによって第2の平面における遊星回転軸の角度調節を達成し、それによってバリエータの速度比を調節する。第1の平面における偏角、回転または変位は、本明細書では「スキュー」または「スキュー角」と呼ばれる。制御システムは、バリエータ内のある特定の接触する構成要素の間に力を発生させるためにスキュー角の使用を調整し、バリエータは第2の平面における遊星回転軸を均衡のとれた状態に傾斜させ、そこで遊星および軸上の力は新しい傾斜角で均衡を保つ。遊星回転軸の傾斜はバリエータの速度比を調節する。バリエータの所望の速度比を達成するためのスキュー制御システム(本明細書では場合によっては「スキューベース制御システム」と呼ばれる)およびスキュー角作動装置の実施形態について考察する。
【0019】
本明細書に開示された実施形態は、ボール遊星式CVTの長所および特徴を組み込むことがある。図1、2Aおよび2Bは、長手軸13を画定する主軸12を中心に配置された複数の遊星11を有する、ボール遊星式連続可変変速機(CVT)10の一実施形態を示す。各遊星11は、遊星回転軸16を画定するそれ自体の遊星軸15を中心に回転する。太陽組立品18は各遊星11の半径方向内方に、各遊星11と接触して配置される。図1および2A~2Bについて、動力が右から左に流れると仮定すると、CVT10は、遊星に動力を伝達するための牽引リング26、および太陽18への、また太陽18からの伝達を含む、遊星11から動力を伝達するための牽引リング28をさらに含む。CVT10は、軸方向力発生器5、6、ならびに示されていないセンサ、潤滑成分、牽引流体、追加の歯車ギアセット、その他をさらに含んでもよい。一部の実施形態では、各遊星軸15は、入力ステータ32内のステータスロット31の側面37、38(図3参照)と回転接触するための軸キャップ44、およびタイミングプレート36の側面45、46と回転接触するためのタイミングプレート・ローラ43(図4Aおよび4B参照)を有する。
【0020】
遊星軸15(ひいては回転軸16)の制御は、入力ステータ32、出力ステータ34、および受動的役割ではタイミングプレート36を使用して達成されてもよい。概して遊星11は、入力ステータ32と出力ステータ34との間に介設され、タイミングプレート36は入力ステータ32(図1、2Aおよび2Bに示されている)または出力ステータ34(示されていない)に接近して位置付けられる。遊星軸15は、第1の端部15Aが入力ステータ32内のステータスロット31内に配置され、第2の端部15Bが出力ステータ34内のステータスロット33内に配置されるように位置付けられる。入力ステータ32または出力ステータ34の一方が互いに対してある特定のベータ角だけ回転すると、遊星軸15と長手軸13との間にスキュー角がもたらされる。このようにしてCVT10がフルアンダードライブ(FUD)とフルオーバードライブ(FOD)との間の範囲内で調節されると、スロット31および33は偏角され、遊星軸15の端部15Aおよび15Bはスロット31、33に沿って移動する。換言すると、入力ステータ32および出力ステータ34は、遊星軸15のすべての端部を動的に傾斜させて長手軸13と非平行になり、入力リング26、出力リング28および太陽組立品18から遊星11の上に作用する力は、遊星軸15を傾斜角(ガンマ角)に傾斜させ、または進める傾向があり、そこで遊星11の上に作用する力は、入力ステータ32と出力ステータ34との間の選択されたスキュー角(ベータ角)に対して均衡が保たれる。タイミングプレート36は、他のCVTにおける「アイリスプレート」がしてもよいので遊星軸15の傾斜角を決定せず、またCVT10のシフトに動的に関与しない。むしろタイミングプレート36は、CVT10がある特定の条件にあるとき、例えば逆に動作中に軸15が互いから離れ過ぎてずれないように限定された機能を果たす。
【0021】
CVTがその範囲の中間(図1に示されているように)付近で動作しているとき、伝達比の調節は迅速であり労力をほとんど必要としない。しかし図2Aおよび2Bは、アンダードライブおよびオーバードライブの概念を例示するCVTの断面図を示す。CVT10がアンダードライブにあるとき、遊星軸15は、入力速度(入力牽引リング26で観察される)が出力速度(出力牽引リング28で観察される)より大きく、入力トルクは出力トルクより比例して小さいように傾斜している。CVT10がオーバードライブにあるとき、遊星軸15は、入力速度(入力牽引リング26で観察される)が出力速度(出力牽引リング28で観察される)より小さく、入力トルクは出力トルクより大きいように反対方向に傾斜している。CVTの設計の関心事項は、性能の低下および結合によってもたらされる損傷であり、これはCVTがFUDもしくはFODにあり、またはその付近にあり、変速機が所望の速度未満で回転しているときに起きることがある。
【0022】
図3は、CVTが順方向に(FUDまたはFODなどの)極端な傾斜角で動作しているときの関心領域を例示するステータの側面図である。理解しやすくするために、ステータ32のみが示されている。しかし本明細書に記載された関心事項はステータ32またはステータ34のどちらにも適用できる。CVT10の入力ステータ32が反時計回りに回転しているときに、遊星軸15は入力ステータ32内のスロット31の縁部37と接触してもよい。ステータ32が時計回りに回転しているときに、遊星軸15はステータ32内のスロット31の縁部38と接触してもよい。公差、製造時の変形、摩耗または他の要因に起因して、すべての軸15が同じそれぞれの表面と接触しなくてもよいことに留意されたい。図3に示されたステータ32を使用する場合、6個のスロット31が存在してもよい。軸は6個の表面37の内の5個と接触してもよく、6番目の軸が表面38と接触してもよい。
【0023】
遊星軸15がCVT10の長手軸と平行である、または(ほぼ)平行の範囲内にあるとき、軸の調節は変速機のあらゆる回転速度またはトルクと無関係に行われてもよい。しかし遊星軸15が変速機の全範囲の終端に傾斜する場合、軸端15Aまたは15Bはステータスロット31から逸脱または部分的に逸脱することがある。遊星軸端15Aまたは15Bがステータスロット31または33から逸脱または部分的に逸脱する場合、結合が起きる可能性があり、かつ/または遊星軸15、スロット31の表面37もしくは38、領域55、あるいはステータスロット31もしくは33またはステータ32もしくは34のいずれか他の部分に損傷が起きることがある。1つのシナリオでは、自転車がFODで動作しており、乗り手が動力を加えていないとき(例えば丘を下っている、強い追い風で移動している、惰走している、その他のときなど)、遊星軸15は、遊星軸15の逸脱が領域57に近い可能性があるような角度に傾斜していることがある。
【0024】
図4Aおよび4Bは、CVT10内で遊星軸15がどのようにスロット33からの逸脱の危険を冒し得るかを例示する、FODにおけるCVT10の一実施形態の斜視図を示す。
【0025】
結合挙動は、タイミングプレート・スロットの設計によって組み合わされることがある。例えばCVTの速度、遊星軸15の傾斜角、およびタイミングプレート36の設計に依存して、タイミングプレート36は速度比の調節を支援することがある。しかしある特定の動作条件下では、タイミングプレート36は調節を妨げる可能性があるので、領域55は摩耗および疲労の増加を経験することがあり、これにより破砕または故障を招く可能性がある。例えばシステムがFODにある(すなわち遊星軸15が極端な角度に傾斜している)間に迅速な調節が引き起こされた場合、タイミングプレート・ローラ43はタイミングプレート・スロット42の開口の上の比較的大きい半径に非常に接近することがあり、同時に軸キャップ44はステータスロット33の対向する面39または40に当接する。タイミングプレート・ローラ43の上に作用する垂直抗力の方向は、命令された際に傾斜角(ガンマ角)を低減する代わりに増加に向かってCVT10に付勢する。さらに軸キャップ44はステータスロット33の底部に接触し、ゼロスキュー条件を達成しようとするために軸15を軸方向に移動させることがある。この軸方向運動は、タイミングプレート・ローラ43がステータスロット31付近でステータ32の外縁部に縁部荷重を開始できる条件を設ける。調節比の速度および利用可能な調節力の量に依存して、軸キャップ44はステータスロット33の外径付近で表面38または39の上に力を掛けることがある。その力は摩擦を増加させることがあり、それによって温度が上がり、または振動を発生し、それらはスロット縁部37、38、39もしくは40を損傷する可能性を有する。入力ドライバにトルクを印加することによりCVT10を解放することがある。しかし損傷したスロット縁部は、他の構成要素に対して遊星軸15の1端15Aまたは15Bを捕捉する可能性を高める。入力ドライバ上への突然の荷重は、損傷をさらに引き起こし、キャリアを破壊し、またはキャリア、遊星軸15または何らかの他の構成要素に何らかの他の損傷をもたらす可能性がある。
【0026】
以前の手法の欠点を克服するために、またこのようなCVT10の性能を概ね向上させるために、本明細書に開示された実施形態は、結合を防ぐために制御システムと連動して機械的構成および幾何形状(そのそれぞれが個々に結合を防ぐことができる)を利用する。具体的には、本明細書に開示された実施形態は、軸15がステータスロット31、33から逸脱、または部分的に逸脱しないように、または構成要素を損傷しないための配置および構成を含む。
【0027】
入力ステータ32および出力ステータ34は、概してFODおよびFUDに関連した極端な角度で等しいトルクおよび応力を経験しない。したがってFUDまたはFODで遊星軸15を収容するための入力ステータ32の設計は、FUDまたはFODで遊星軸15を収容するための出力ステータ34の設計とは異なってもよい。
【0028】
一部の実施形態では、入力ステータ32は、スロット31が軸15をステータスロット31から逸脱させる危険性のない完全な範囲を提供するためにより長くてもよいように、出力ステータ34より大きい直径を有するように形成されてもよい。図5に示されたように、CVT10は、出力ステータ34の外径より大きい外径を備えた入力ステータ32を有して形成されてもよい。一部の実施形態では、入力ステータ32は、出力ステータ34内のスロット33に対して半径方向内方に(すなわちより深く)窪むスロット31を備えて形成されてもよい。大きくされたステータスロット31を備えたステータ32を形成することにより、軸端15Aはステータスロット31を逸脱する可能性が確実になくなる。本明細書に開示された実施形態は、より大きい直径を有するステータ32を使用することにより、より大きいCVTと同じ大きさ、重量または慣性の利点を実現することがある。本明細書に開示された実施形態は、選択されたより大きい部品の様々な幾何形状を通して、より大きいCVTの動力容量および範囲を達成することがあることに留意されたい。さらに本明細書に開示された実施形態は、使用者がCVTを手動で制御できるだけでなく、CVTが結合する恐れなしに、CVTの自動的な調節を提供できる。
【0029】
図6A~6B、7A~7B、および8A~8Bは、様々なCVTの構成に対する設計を例示する、異なる半径方向寸法のステータスロット31を有する入力ステータ32の実施形態を示す。図6Bに示されたように、入力ステータ32は、第1の半径に半径方向内方に半径方向に窪むスロット31を有してもよい。図7Bおよび8Bに示されたように、入力ステータ32はより大きい外径を有してもよく、ステータスロット31がステータスロット33より半径方向内方にさらに延在するように、第1の半径より小さい第2の半径に半径方向内方に窪むステータスロット31を有してもよい。図7A~7Bまたは8A~8Bに示されたステータ32は、図6A~6Bに示されたステータ32を正確に一定に縮尺した版ではないことに留意されたい。例えば中心ボア52の直径、中心ボア52に対する開口51の配置および大きさ、カットアウト53までの半径方向距離、または他の構成は、入力ステータ32の外径に関わらず変更しなくてもよい。他の実施形態では、中心ボア52、中心ボア52に対する開口51の配置および大きさ、およびカットアウト53までの半径方向距離は変更しなくてもよいが、リブ、ショルダ、カットアウト、フィレットまたは同様のものなどの他の構造は、変更する可能性のある応力を収容するために変更してもよい。
【0030】
スロット31または33が閉端スロットとして形成される場合、軸端15Aまたは15Bは逸脱する可能性はないが、CVT10の作動範囲は低減されることがある。一部の実施形態では、ステータスロット31または33の輪郭は、所望の範囲の速度比を達成するために軸端の半径方向の移動が可能であるが、軸端がステータスロット31または33を逸脱するのを防ぐ解放端として構成されてもよい。図9Aおよび9Bに示されたように、ステータスロット31または33は、最大範囲の速度比が可能な解放端スロットとして形成されてもよく、外側部62は軸端の逸脱を抑止するために内側部61より狭い。内側部61は、所望の動作範囲にわたって軸端15Aまたは15B(存在する場合は軸キャップ44を含む)の自由な移動が可能であるために、第1の幅W1を備えて形成されてもよい。外側部62は第1の幅W1より小さい第2の幅W2を備えて形成されてもよい。一部の実施形態では、第2の幅W2は軸端15Aまたは15Bの直径より小さい。一部の実施形態では、第2の幅W2は軸キャップ44の直径より小さい。一部の実施形態では、図9Aおよび9Bに示されたように、スロット31は第2の幅W2を形成するために前縁部37上に突出63を含む。突出は、遊星軸15の最大移動(ひいてはCVT10の最大動作範囲)を可能にするために、遊星軸15または軸キャップ44の半径と実質的に同じ半径の湾曲を有する、半径方向内方表面を備えて形成されてもよい。他の実施形態では、ステータスロット31は、後縁部(図示せず)の上に突出63を、または2つの突出63の組合せを各縁部の上に1つずつ備えて形成されてもよい。さらに図9Aおよび9Bは、第1の幅W1と第2の幅W2との間に円滑または連続した移行部を有する突出63を示す。第1の幅W1と第2の幅W2との間のあらゆる移行部は、湾曲し、傾斜し、または段状であってもよい。
【0031】
図10は出力ステータ34の側面図を示す。一部の実施形態では、出力ステータ34は、より大きい組立公差を有する組立品内に使用されてもよい。出力ステータ34は、組立品に追加の公差を提供するために非対称の縁部を備えて形成されてもよい。例えば図10は、1つ、複数またはすべてのステータスロット33の半径方向外方端の近くに非接線縁部66を有する、出力ステータ34の一実施形態を示す。非接線縁部66は、縁部66が実質的に半径に等しくないように傾斜し、または湾曲していてもよい。非接線縁部66は鋳造工程中に形成されてもよく、または切断もしくは別法として出力ステータ34から材料を取り除くことによって形成されてもよい。非接線縁部66が形成される角度は、これに限定されないが、遊星軸15(軸キャップ44もしくはタイミングプレート・ローラ43の有無を含む)の寸法、ステータスロット31の寸法、およびタイミングプレート36の寸法を含む、いくつかの要因に基づく。一部の実施形態では、非接線縁部66は、スロット33の中心線においてステータ34の外周の接線に対して3度を超す角度で形成されてもよい。一部の実施形態では、ステータスロット31および33内に軸端15Aまたは15Bを備えたCVT10内に遊星軸15を位置付ける隙間を提供するために、6度を超す角度が必要であることがある。
【0032】
タイミングプレートは、CVTの性能を理想的に向上させるが、ある特定の環境では性能を妨げ、またはCVTに結合もしくは損傷さえもたらす可能性がある、別の構成要素である。タイミングプレート36は、ステータスロット31、33が軸15のための主要ガイドであるので、CVT10のシフトに動的役割を果たさないが、タイミングプレート36は、傾斜角におけるエラーを制限するために使用されてもよく、あらゆる単一の遊星軸15は残りの遊星軸15の中間傾斜角に関連してもよい。タイミングプレート36は、トルクがCVT10を通して後方に駆動されるときに特に有益であり、それによってタイミングプレート36は、軸15のずれの変形に起因して結合状態が起きるのを防ぐ。タイミングプレート36は、半径方向ガイドスロット45を備えた回転自在なディスクであってもよく、ステータディスク32と34との間、またはステータディスク32および34の外側に軸方向に置かれてもよい。タイミングプレート36は、ステータディスク32、34のいずれかに直接結合して、またはステータディスク32もしくは34に関しても接地される要素(図示せず)を介して接地されてもよい。一部の実施形態(図示せず)では、タイミングプレート36は、ステータディスク32または34に反時限設定されてもよく、タイミングプレート36は、ステータディスク32、34に対してタイミングプレート36を結合するギア機構により、ステータディスク32または34に隣接する。各遊星軸15はタイミングプレート36のスロット45を通って延在し、ステータガイドスロット31、33を係合する。タイミングプレート・スロット45の公差は、ステータガイドスロット31、33が遊星軸15に対する主要整合特徴であることを可能にする。
【0033】
図11Aはタイミングプレート36の一実施形態の側面図を示し、図11Bはタイミングプレート36の拡大部分側面図を示す。タイミングプレート36は、遊星軸15を制御するためにステータスロット31、33と協働するように構成されたタイミングプレート・スロット45を有する。しかし軸端15Aまたは15Bがステータスロット31または33の半径方向外方端に接近しているとき、タイミングプレート・スロット45によって加えられた力がステータスロット31または33から外れた軸15に付勢し得る可能性がある。一部の実施形態では、タイミングプレート・スロット45は半径が低減された角部48を備えて形成される。スロット45の角部半径を低減することにより、遊星軸15が巻き上がって角部48を超えないことを確保することができ、すなわち遊星軸15はスロット45から逸脱せず、それにより軸キャップ44がステータスロット31または33に端部荷重するのを防ぐことができる。
【0034】
遊星速度ゼロでは、ガンマ角で変更を誘発するためにスキュー力を発生する可能性はない。ベータ角(すなわちステータディスク32、34の一方の他方に対する相対角位置)が変わると、遊星軸15は、タイミングプレート・ローラ43がタイミングプレート・スロット45に接触するまで斜めに進み、遊星軸15の上に剪断行為を生成する。摩擦力が十分に高い場合、遊星軸15は、剪断面(すなわち表面37、38または41)に沿って摺動することができず、CVT10が結合する。タイミングプレート・スロット45は磨かれ、または別法として摩擦を低減するために表面仕上げを有してもよい。タイミングプレート・スロット45における摩擦を低減することにより、結合の可能性が低減する。一部の実施形態では、スロット45は、機械加工され、磨かれ、または別法としてステータスロット31もしくは33の表面仕上げより小さい表面仕上げを有するように形成されてもよい。例えばタイミングプレート36は、2ナノメートル未満、1.5ナノメートル未満、または1.2ナノメートル未満の表面仕上げを有する、タイミングプレート・スロット45を備えて形成されてもよい。
【0035】
CVT設計に加えて、遊星11の回転速度は結合に影響を及ぼすことがある。例えば時としてスキュー制御システム内に存在する摩擦力、ステータまたはタイミングプレートの幾何形状、ステータまたはタイミングプレートと接触する軸端の間の摩擦力などは、ゼロ速度またはほぼゼロ速度で結合を引き起こす可能性がある。また本明細書に開示された実施形態は調節速度を制御してもよく、これによりそのような結合を除去することができる。
【0036】
非対称のスキューシステムにおいて、牽引力、軸端上の力およびリング回転のいずれか、またはそれらの組合せは、ガンマ調節速度を生成する。システムが入力トルクまたは回転なしに傾斜する場合、遊星軸はガンマ調節なしに傾斜する。調節システムは、一旦タイミングローラが摩擦力およびガンマ調節力の欠如に起因してタイミングプレートに接触すると、結合する可能性がある。また同じ理由でトルクがほとんど印加されない、またはまったく印加されないときも、結合が遅い速度で起きる可能性がある。ガンマ角が変わることができる速度は、遊星速度およびリング26、28上のトルクに直接関連する。ガンマ角がベータ角から遅れるほど、結合の可能性が増加する。一部の実施形態では、タイミングローラのタイミングプレートとの接触を最小にするために、ベータ調節速度がガンマ調節速度に厳密に一致する必要がある。
【0037】
位置制御装置は、CVTを所望のベータ角に調節するように実施してもよい。制御装置は特定のベータ角を達成するためにドライバにトルクを印加してもよい。印加されたトルクはモータ停動トルクに限定されてもよい。ベータ停止部はベータ角を限定するために加えられてもよい。一部の実施形態では、ベータ停止部はベータ角を-5度~+6度の角度に限定するために実施されてもよい。実施形態は、ファームウェア、または記憶装置、処理装置および比率調整速度を制御するための器具のセットを含む何らかの他の有形媒体を含んでもよい。図12は、比率調整速度を制御するための一方法を例示する流れ図を示す。
【0038】
ステップ1205および1208では、CVT10に関する入力および出力速度はセンサから決定される。
【0039】
ステップ1210では、最大比率調整速度が決定される。最大比率調整速度の決定は、理論上の最大比率調整速度を算出するために様々なセンサからの入力信号を使用して、アルゴリズムによって達成されてもよく、経験的試験およびその後予測された最大比率調整速度を表に保存したもの、またはいくつかの組合せによって達成されてもよい。
【0040】
ステップ1212では、所望の比率調整速度は、制御装置から信号を受信することなどによって決定される。一部の実施形態では、使用者はハンドグリップを曲げ、または別法として所望の比率調整速度を手動で課そうとしてもよい。センサが、ハンドグリップの角度偏位に基づいて所望の比率調整速度を決定してもよい。
【0041】
ステップ1214では、所望の比率調整速度は最大比率調整速度と比較される。最大調整速度は記憶装置に記憶されてもよく、または継続して算出されてもよい。
【0042】
ステップ1216では、所望の比率調整速度が最大比率調整速度を超える場合、比率調整速度は現在の比率調整速度に保持される。別法としてステップ1218では、所望の比率調整速度が最大比率調整速度を超える場合、比率調整速度は最大比率調整速度とほぼ等しく調節される。
【0043】
ステップ1220では、所望の比率調整速度が最大比率調整より小さい場合、比率調整速度は所望の比率調整速度に調節される。
【0044】
図13A、13B、13Cおよび13Dは、最大比率調整速度を決定するための様々な解決策を示す。図13Aに示されたように、最大比率調整速度は異なる比率で動作する所与のCVTに対して算出されてもよい。算出された最大比率調整速度は実質的に直線であってもよく、または増加または減少する比率調整速度などの曲線であってもよい。比率と比率調整速度との間に直線関係が存在する場合、比率調整速度の算出が好ましいことがある。比率と比率調整速度との間に非直線関係が存在する場合、比率調整速度を決定するためにルックアップテーブルが好ましいことがある。調整速度の決定は、CVTの伝達比に基づいて決定されてもよい。図13Bに示されたように、比率調整速度は伝達比に対応する。さらに図13Bに示されたように、最大比率調整速度は一連の範囲として表されてもよい。第1の範囲(FUDから1:1付近まで)では、最大比率調整速度は第1の速度1310であってもよい。第2の範囲(範囲のアンダードライブ側の1:1付近から範囲のオーバードライブ側の1:1付近まで)では、最大比率調整速度は第2の速度1320であってもよい。第3の範囲(1:1付近からFODまで)では、最大比率調整速度は第3の速度1330であってもよい。さらに一部の状況または構成では、結合条件の存在は変速機の回転方向に依存してもよい。最大調整速度は同様に他の要因に基づいて決定されてもよい。図13Cおよび13Dに示されたように、複数のデータ構造が複数の荷重に対して決定されてもよい。図13Cは、異なる荷重下で最大調整速度を決定するための複数のデータ構造を示す。この工程は、CVTまたは荷重に基づく直線関係が存在する動作に適することがある。図13Dは、複数の曲線を記憶する単一のデータ構造を示す。図13Dでは、CVTがより高い荷重を有する場合、CVTは第1の方向に(例えばFUDからFODに進む)より低い最大調整速度1350をもたらすことがあるが、第2の方向に(例えばFODからFUDに進む)より高い最大調整速度1354をもたらすことがあることに留意されたい。別法として、実施形態は、アップシフトおよびダウンシフトの両方に対してハイブリッドの調節速度1352を選択してもよい。したがって移送された荷重の量に依存して、異なる表または他のデータ構造が最大比率調整速度を決定するために参照されてもよい。
【0045】
本明細書に開示された実施形態は、動作モードに依存して1つまたは複数の制御戦略を実施してもよい。例えば自転車に関与する適用では、乗り手が自転車のペダルを踏んでいるときに第1のモードの動作、乗り手が自転車のペダルを踏んでいないときに第2のモードの動作が存在してもよく、または目標伝達比を決定する制御装置などにより、伝達比が自動的に制御されるときに第1のモードの動作が存在してもよく、使用者が変速機の手動制御を望むときに第2のモードの動作が存在してもよい。図14は、乗り手がペダルを踏んでいるときにCVTを調節するためのシステムおよび方法を例示する流れ図を示す。
【0046】
ブロック1410、1412、1414、1416、1418、1420、1422、1424、1428、1430および1436は、乗り手がペダルを踏んでおり、伝達比の調節が制御装置により自動的に連続して制御されるときの、変速機の動作に有益な制御ループにおけるシステムまたはステップの一部を表すことがある。
【0047】
ステップ1410では、実施形態は自転車が動いているかどうかを決定してもよい。車輪速センサは、自転車の前輪または後輪のいずれかに対して位置付けられてもよい。一部の実施形態では、機械、電気または磁気(電磁気などの一部の変形を含む)センサは、車輪速(本明細書ではωwまたはWwと呼ばれる)を提供してもよい。一実施形態では、ホール効果センサが車輪速を決定するために使用されてもよい。センサは制御装置に通信可能に結合されてもよい。一部の実施形態では、センサは車輪速を決定するためにあらゆる信号を処理してもよい。他の実施形態では、センサはあらゆる信号を制御装置に提供してもよく、制御装置は車輪速を決定するためにあらゆる信号を処理してもよい。
【0048】
ステップ1412では、ケイデンスが必要とされることがある。車輪ケイデンスの要求は、制御装置に通信可能に結合されたグラフィカル・ユーザ・インタフェース(GUI)内にケイデンスを入力することなどにより、使用者が特定のケイデンスまたはケイデンスの範囲を要求するものであってもよい。
【0049】
ステップ1414では、ペダル速度またはケイデンス(本明細書ではωpまたはWpと呼ばれる)が算出されてもよい。車輪ケイデンスを算出することは、車輪速(車輪速センサから受信した、車輪速および車輪半径に基づいて決定された、その他)を使用する制御装置、およびリアギアに対するフロントギアの比率に関与してもよい。一部の実施形態では、比率はフロントギア上の歯の数および後輪上の歯の数、フロントリングの直径、ならびにリアコグの直径、または同種のものに基づいて決定されてもよい。一部の実施形態では、ケイデンス(ωp)は以下の方程式に基づいて決定されてもよい。
ωp=ωc*Tf/Tr
【0050】
上式でωpはケイデンスであり、ωc(またはWc)はリアコグの回転速度である。Tfはフロントリング(また一般にフロントクランクとも呼ばれる)上の歯の数であり、Trはリアリング(また一般にリアコグとも呼ばれる)上の歯の数である。ステップ1416では、算出された車輪ケイデンス値はローパスフィルタ(LPF)などのフィルタを通過してもよい。
【0051】
ステップ1418では、要求されたケイデンスの値および実際のケイデンスを比較することができる。一部の実施形態では、加算機能がエラー値を算出するために使用されてもよい。
【0052】
エラー値がゼロでない場合、システムが引き続きCVTを調節しようとする可能性がある。これにより、モータの温度が上昇する、またはモータによりバッテリ電源の消費が増加するなどの問題をもたらす可能性がある。実施形態は、信号を補正しシステム性能を向上する追加機能または機能性を含んでもよい。ステップ1420では、不感帯が決定されてもよい。制御装置は、自転車速度、要求されたケイデンス、車輪速、モータ定格、モータ・デューティサイクル、バッテリから引き込まれた電流、バッテリ/モータから入力した動力、または何らかの他の要因に基づいて不感帯を決定してもよい。ステップ1422では、不感帯によって画定された値の範囲内のあらゆる値のケイデンスが0に変わる。ステップ1420および1422は、CVTを調節する必要があり得る頻度を低減することができ、これによりシステムの寿命を増し、バッテリの範囲を向上し、モータ、その他などの構成要素の寿命を増すことができる。ステップ1420および1422の一部は制御装置によって行われてもよい。
【0053】
ステップ1424では、モータドライバは要求されたケイデンスを達成するために作動されてもよい。モータドライバはピストン、カム、またはCVTの伝達比を調節するための何らかの他の機構に結合されてもよい。一部の実施形態では、モータドライバは、傾斜角または傾斜角を調節できるスキュー角を調節するように構成されてもよい。モータドライバは、デューティサイクルによりモータを作動するように構成されてもよい。ステップ1428では、モータドライバに結合されたモータは、CVTの伝達比を調節してもよい。モータドライバは、時間周期の0~100%の速度で信号を提供してもよい。一部の実施形態では、回転エンコーダ位置はモータによって調節されてもよい。
【0054】
実施形態は制御システムを作動させるべきときを決定してもよい。ステップ1410では、車輪速(ωw)が決定されてもよい。制御装置は、自転車が閾値を超えて作動しているかどうかを決定してもよい。例えば毎分20回転(RPM)の閾値が記憶装置に記憶されてもよい。動き検出機能が現在の車輪速(ωw)の値を受信し、傍受し、または別法として獲得し、その値を20RPMと比較してもよい。現在の車輪速が閾値以上である場合、信号(例えばフラッグ)はモータドライバに送信されてもよく、モータドライバはモータを作動させることができる。現在の車輪速が閾値未満である場合、モータドライバはモータを作動させることが許可されない。ステップ1436では、制御装置はモータドライバがモータを駆動することを許可するべきかどうかを決定する。自転車が閾値を超えると決定された場合、実施形態は第2の制御ループを採用してもよい。ステップ1430では、現在の回転エンコーダ位置が決定される。回転エンコーダ位置は、ベータ角(すなわちCVT内の2つのステータディスクの間の相対回転)を決定するために使用されてもよい。ベータ角により、ボール遊星式CVT内の複数の軸がスキュー角を有することがある。スキュー角により、CVTが傾斜またはガンマ角を有する。
【0055】
上記のステップは、乗り手がペダルを踏んでいるときに自転車内のCVTを制御するために有益であることがある。しかし乗り手が惰走している、または別法としてペダルを踏んでいないときがある。これはCVTが望ましくない伝達比である危険性があるシナリオを生み出す可能性がある。例えば使用者は高い伝達比(フルオーバードライブすなわち「FOD」とも呼ばれる)で乗り、次いでペダルを踏むことを止め、停止するために惰走することがある。使用者がペダルを踏み始めるときに、CVTは依然としてFODにある可能性があり、自転車を加速するために乗り手によって印加されたトルクは所望の閾値を超す。したがって本明細書に開示された実施形態は、乗り手がペダルを踏んでいないことを検出した際に、伝達比を調節することができる制御スキームを行うので、使用者が再度ペダルを踏み始めるときにCVTが適切な伝達比になる。別法として、使用者がCVTを手動で制御したいと望んでもよいシナリオが存在してもよい。図15は、惰走している、または乗り手が最小(ゼロを含む)入力動力を提供している、もしくは手動で伝達比を制御している他の動作中に、CVTの伝達比を制御するためのシステムおよび方法を例示する概略図を示す。
【0056】
ブロック1502、1506、1507、1513、1518、1520、1522、1524、1528、1530および1536は、手動制御により変速機を作動するために有益な制御ループにおけるシステムまたはステップの一部を表すことがある。
【0057】
ステップ1502では、要求された比率が制御装置によって受信されてもよい。要求された比率は、ハンドルを回す、GUIを使用して値を入力する、ボタンまたは他の入力機構を押すことなどにより使用者によって入力されてもよい。
【0058】
ステップ1506では、制御装置は、要求された比率についての情報を受信し、要求し、または別法として獲得してもよい。一部の実施形態では、インタフェースは、情報を受信し、その情報から使用者が手動で変速機を調節したいと望んでいることを決定するように構成されてもよい。
【0059】
ステップ1507では、制御装置は、要求された比率に関する情報を受信する。この情報を使用して、制御装置は、伝達比の概算を提供してもよい。位置と伝達比との間の関係が非線形であるシステムでは、制御装置は、ルックアップテーブルまたは伝達比の概算を提供するために記憶装置に記憶された他のデータ構造を参照してもよい。
【0060】
ステップ1510では、実施形態は、自転車が動いていることを決定してもよい。車輪速センサは、自転車の前輪または後輪のいずれかに対して位置付けられてもよい。一部の実施形態では、機械、電気または磁気(電磁気などのいくつかの変形を含む)センサは車輪速(ωw)を提供してもよい。一実施形態では、ホール効果センサが車輪速を決定するために使用されてもよい。センサは制御装置と通信可能に結合されてもよい。一部の実施形態では、センサは車輪速を決定するためにあらゆる信号を処理してもよい。他の実施形態では、センサは制御装置にあらゆる信号を提供してもよく、制御装置は車輪速を決定するためにあらゆる信号を処理してもよい。
【0061】
ステップ1511では、制御装置は車輪速(ωw)に基づいて速度制限を決定してもよい。車輪速(ωw)から計算された制限は、回転エンコーダまたは他のアクチュエータ要素の位置に対する制限として使用されてもよい。
【0062】
ステップ1513では、制御装置は位置参照値および速度制限値を受信してもよく、最大伝達比調節速度を提供してもよい。一部の実施形態では、速度制限値は、ステップ1511に関して記載されたような速度制限機能を通過する値に限定されてもよい。
【0063】
ステップ1518では、要求されたケイデンスの値および実際のケイデンスを比較することができる。一部の実施形態では、加算機能がエラー値を算出するために使用されてもよい。エラー値がゼロでない場合、システムが引き続きCVTを調節しようとする可能性がある。これは、とりわけモータの温度が上昇する、またはモータによりバッテリ電源の消費が増加するなどの問題をもたらす可能性がある。実施形態は、信号を補正しシステム性能を向上する追加機能または機能性を含んでもよい。ステップ1520では、不感帯が決定されてもよい。制御装置は、自転車速度、要求されたケイデンス、車輪速、モータ定格、モータ・デューティサイクル、バッテリから引き込まれた電流、バッテリ/モータから入力した動力、または何らかの他の要因に基づいて不感帯を決定してもよい。ステップ1522では、不感帯によって画定された値の範囲内のあらゆる値のケイデンスが0に変わる。ステップ1520および1522は、CVTを調節する必要があり得る頻度を低減することができ、これによりシステムの寿命を増し、バッテリの範囲を向上し、モータ、配線、バッテリ、その他などの構成要素の寿命を増すことができる。ステップ1520および1522の一部は制御装置によって行われてもよい。
【0064】
ステップ1524では、モータドライバは要求されたケイデンスを達成するために作動されてもよい。モータドライバはピストン、カム、またはCVTの伝達比を調節するための何らかの他の機構に結合されてもよい。一部の実施形態では、モータドライバは、傾斜角または傾斜角を調節できるスキュー角を調節するように構成されてもよい。モータドライバは、デューティサイクルによりモータを作動するように構成されてもよい。ステップ1528では、モータドライバに結合されたモータは、CVTの伝達比を調節してもよい。モータドライバは、時間周期の0~100%の速度で信号を提供してもよい。一部の実施形態では、回転エンコーダ位置はモータによって調節されてもよい。
【0065】
ステップ1530では、現在の回転エンコーダ位置が決定される。回転エンコーダ位置は、ベータ角(すなわちCVT内の2つのステータディスクの間の相対回転)を決定するために使用されてもよい。ベータ角により、ボール遊星式CVT内の複数の軸がスキュー角を有することがある。スキュー角により、CVTが傾斜を有する。実施形態は、いつ制御システムを作動するべきかを決定してもよい。ステップ1510では、車輪速(ωw)が決定されてもよい。ステップ1532では、制御装置は、自転車が閾値を超えて作動しているかどうかを決定してもよい。例えば毎分20回転(RPM)の閾値が記憶装置に記憶されてもよい。動き検出機能が現在の車輪速(ωw)の値を受信し、傍受し、または別法として獲得し、その値を20RPMと比較してもよい。現在の車輪速が閾値以上である場合、信号(例えばフラッグ)はモータドライバに送信されてもよく、モータドライバはモータを作動させることができる。現在の車輪速が閾値未満である場合、モータドライバはモータを作動させることが許可されない。ステップ1536では、制御装置はモータドライバがモータを駆動することを許可するべきかどうかを決定する。
【0066】
ブロック1504、1505、1506、1507、1513、1518、1520、1522、1524、1528、1530および1536は、手動制御により変速機を作動するために有益な制御工程におけるシステムまたはステップの一部を表すことがある。
【0067】
ステップ1504では、制御装置は、要求された比率の表示を要求し、受信し、または別法として獲得してもよい。ステップ1505では、制御装置は、車輪速(ωw)およびTf/Trの比率に基づいて伝達比を計算してもよい。
【0068】
ステップ1506では、制御装置は、要求された比率についての情報を受信し、要求しまたは別法として獲得してもよい。一部の実施形態では、インタフェースは、情報を受信し、その情報から使用者が惰走をしていることを決定するように構成されてもよい。
【0069】
ステップ1507では、制御装置は、要求された比率に関する情報を受信する。この情報を使用して、制御装置は、伝達比の概算を提供してもよい。位置と伝達比との間の関係が非線形であるシステムでは、制御装置は、ルックアップテーブルまたは伝達比の概算を提供するために記憶装置に記憶された他のデータ構造を参照してもよい。
【0070】
ステップ1510では、実施形態は、自転車が動いていることを決定してもよい。車輪速センサは、自転車の前輪または後輪のいずれかに対して位置付けられてもよい。一部の実施形態では、機械、電気または磁気(電磁気などのいくつかの変形を含む)センサは車輪速(ωw)を提供してもよい。一実施形態では、ホール効果センサが車輪速を決定するために使用されてもよい。センサは制御装置と通信可能に結合されてもよい。一部の実施形態では、センサは車輪速を決定するためにあらゆる信号を処理してもよい。他の実施形態では、センサは制御装置にあらゆる信号を提供してもよく、制御装置は車輪速を決定するためにあらゆる信号を処理してもよい。
【0071】
ステップ1511では、制御装置は車輪速(ωw)に基づいて速度制限を決定してもよい。車輪速(ωw)から計算された制限は、回転エンコーダまたは他のアクチュエータ要素の位置に対する制限として使用されてもよい。
【0072】
ステップ1513では、制御装置は位置参照値および速度制限値を受信してもよく、最大伝達比調節速度を提供してもよい。一部の実施形態では、速度制限値は、ステップ1511に関して記載されたような速度制限機能を通過する値に限定されてもよい。
【0073】
ステップ1518では、要求されたケイデンスの値および実際のケイデンスを比較することができる。一部の実施形態では、加算機能がエラー値を算出するために使用されてもよい。エラー値がゼロでない場合、システムが引き続きCVTを調節しようとする可能性がある。これは、とりわけモータの温度が上昇する、またはモータによりバッテリ電源の消費が増加するなどの問題をもたらす可能性がある。実施形態は、信号を補正しシステム性能を向上する追加機能または機能性を含んでもよい。ステップ1520では、不感帯が決定されてもよい。制御装置は、自転車速度、要求されたケイデンス、車輪速、モータ定格、モータ・デューティサイクル、バッテリから引き込まれた電流、バッテリ/モータから入力した動力、または何らかの他の要因に基づいて不感帯を決定してもよい。ステップ1522では、不感帯によって画定された値の範囲内のあらゆる値のケイデンスが0に変わる。ステップ1520および1522は、CVTを調節する必要があり得る頻度を低減することができ、これによりシステムの寿命を増し、バッテリの範囲を向上し、モータ、その他などの構成要素の寿命を増すことができる。ステップ1520および1522の一部は制御装置によって行われてもよい。
【0074】
ステップ1524では、モータドライバは要求されたケイデンスを達成するために作動されてもよい。モータドライバはピストン、カム、またはCVTの伝達比を調節するための何らかの他の機構に結合されてもよい。一部の実施形態では、モータドライバは、傾斜角または傾斜角を調節できるスキュー角を調節するように構成されてもよい。モータドライバは、デューティサイクルによりモータを作動するように構成されてもよい。ステップ1528では、モータドライバに結合されたモータは、CVTの伝達比を調節してもよい。モータドライバは、時間周期の0~100%の速度で信号を提供してもよい。一部の実施形態では、回転エンコーダ位置はモータによって調節されてもよい。
【0075】
ステップ1530では、現在の回転エンコーダ位置が決定される。回転エンコーダ位置は、ベータ角(すなわちCVT内の2つのディスクの間の相対回転)を決定するために使用されてもよい。ベータ角により、ボール遊星式CVT内の複数の軸がスキュー角を有することがある。スキュー角により、CVTの比率をシフトする傾斜角を有するCVTをもたらす。実施形態は、いつ制御システムを作動するべきかを決定してもよい。ステップ1510では、車輪速(ωw)が決定されてもよい。ステップ1532では、制御装置は、自転車が上記の閾値で作動しているかどうかを決定してもよい。例えば毎分20回転(RPM)の閾値が記憶装置に記憶されてもよい。動き検出機能が現在の車輪速(ωw)の値を受信し、傍受し、または別法として獲得し、その値を20RPMと比較してもよい。現在の車輪速が閾値以上である場合、信号(例えばフラッグ)はモータドライバに送信されてもよく、モータドライバはモータを作動させることができる。現在の車輪速が閾値未満である場合、モータドライバはモータを作動させることが許可されない。ステップ1536では、制御装置はモータドライバがモータを駆動することを許可するべきかどうかを決定する。
【0076】
本開示に記載された実施形態により、CVT製造業者が、より小さい大きさ、重量、および慣性を有する一方で、依然として従来の手法以上の動力容量を提供し、CVTもしくは構成要素の結合または損傷に関連した危険性がない、CVTを構築し、組み立て、制御することができる。本明細書に記載された特徴は、必要に応じて実施されてもよいことに留意されたい。換言すると、一部の実施形態は、調節速度を制御するためにアルゴリズムのみを、結合を避けるために修正されたタイミングプレートのみを、修正された入力ステータのみを、または修正された出力ステータのみを使用して作動してもよいが、他の実施形態は、制御アルゴリズム、修正されたタイミングプレート、修正された入力ステータ、および修正された出力ステータの任意の2つ以上の組合せを使用してもよい。
【0077】
上記はある特定の構成要素または部分組立品に対する寸法が提供されていることに留意されたい。述べられた寸法または寸法の範囲は、ある特定の実施形態についてさらに説明するために提供されている。しかし本明細書に記載された本発明の範囲は、特許請求の範囲の文言のみによって決定されるべきであり、したがって、いずれかの請求項が指定された寸法、またはその範囲、請求項の特徴を規定しない限り、言及した寸法のいずれも本発明の実施形態に対する限定とみなされるべきではない。
【0078】
前述の説明は本発明のある特定の実施形態を詳述している。しかし前述が本文においていかに詳細に見えようとも、本発明は多くの方法で実行することができることが理解されよう。同様に上述のように、本発明のある特定の特徴または態様を説明するときに、特定の専門用語の使用は、当該専門用語が関連する本発明の特徴または態様の任意の具体的な特性を含むことに限定されるように、当該専門用語が本明細書で再定義されていることを示唆すると取るべきではないことに留意されたい。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15