(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】部品実装装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20220907BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20220907BHJP
G01B 11/24 20060101ALI20220907BHJP
G01B 11/245 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
H05K13/04 P
B25J13/00 Z
G01B11/24 A
G01B11/245 H
(21)【出願番号】P 2019020112
(22)【出願日】2019-02-06
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】中島 努
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-5206(JP,A)
【文献】特開2012-119643(JP,A)
【文献】特開2018-129497(JP,A)
【文献】特開2000-235589(JP,A)
【文献】特開2008-111821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
B25J 13/00
G01B 11/24
G01B 11/245
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が実装される立体的な形状を有する被実装物を保持する保持部と、
前記保持部を水平面に対して傾斜させるように回動させる回動機構部と、
前記被実装物に対して部品を実装する実装ヘッドと、
前記保持部に保持された前記被実装物の立体形状を計測する立体形状計測部と、
前記立体形状計測部による前記被実装物の計測結果に基づいて、部品が実装される複数の実装面の情報を取得する制御部と、を備える、部品実装装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記立体形状計測部による前記被実装物の計測結果から、前記被実装物の面の傾き情報を取得して、面の傾き情報に基づいて、前記被実装物の前記実装面を特定するように構成されている、請求項1に記載の部品実装装置。
【請求項3】
前記回動機構部は、水平方向の回動軸線回りに前記保持部を回動させる第1回動機構と、前記第1回動機構の回動軸線と略垂直な回動軸線回りに前記保持部を回動させる第2回動機構とを含み、
前記制御部は、前記回動機構部の前記第1回動機構および前記第2回動機構の両方により前記被実装物を回動させて、複数の方向から前記立体形状計測部により前記被実装物の立体形状を計測するように制御するように構成されている、請求項1または2に記載の部品実装装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記立体形状計測部による前記被実装物の計測結果に基づいて、計測方向の死角の有無を判定し、死角がある場合に、未計測の方向から前記立体形状計測部により前記被実装物を計測するように制御するように構成されている、請求項3に記載の部品実装装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記被実装物の前記実装面に死角がある場合に、未計測の方向から前記立体形状計測部により前記被実装物を計測するように制御するように構成されている、請求項4に記載の部品実装装置。
【請求項6】
前記制御部は、取得した複数の前記実装面の情報に基づいて、前記被実装物に部品の実装を行うための実装データを作成するように構成されている、請求項1~5のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記実装面の情報から前記被実装物の前記実装面に部品を実装する際に前記回動機構部により姿勢を調整するための角度情報を取得するように構成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項8】
前記立体形状計測部は、レーザ変位計およびステレオカメラのうち少なくとも一方を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項9】
前記立体形状計測部は、レーザ変位計を含み、
前記制御部は、前記レーザ変位計による前記被実装物の複数の点における位置情報に基づいて、各3点の位置を通る面の法線ベクトルを比較して、前記被実装物の複数の点が同一平面上にあるか否かを判断するように構成されている、請求項8に記載の部品実装装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記実装面の情報と、部品の実装位置の教示とに基づいて、部品実装位置の座標データを作成するように構成されている、請求項1~9のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記実装面の画像に基づいて教示された部品実装位置から、部品実装位置の座標データを作成するように構成されている、請求項10に記載の部品実装装置。
【請求項12】
前記制御部は、前記立体形状計測部による前記被実装物の計測結果に基づいて取得した前記実装面の情報に基づいて、予め設定された前記実装面の情報を補正するように構成されている、請求項1~11のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記立体形状計測部により前記被実装物の計測を行う前に、前記被実装物の概略の寸法の入力を受け付けるように構成されている、請求項1~12のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項14】
前記制御部は、前記被実装物を前記保持部により保持する前に、前記被実装物の概略の寸法を計測して、計測した前記被実装物の概略の寸法に基づいて、前記立体形状計測部により計測する前記被実装物の計測範囲を絞りこむように構成されている、請求項1~13のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【請求項15】
前記制御部は、前記立体形状計測部による前記被実装物の計測結果に基づいて、前記実装面に部品を実装する際に、前記実装ヘッドと、前記被実装物または部品とが干渉するか否かを判断するように構成されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の部品実装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、部品実装装置に関し、特に、立体形状を有する被実装物に部品を実装する部品実装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、立体形状を有する被実装物に部品を実装する部品実装装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、立体的な形状を有する立体基板(被実装物)を支持する立体基板支持体と、立体基板支持体を水平面に対して傾斜させるように回動させる立体基板支持体駆動装置と、立体基板に対して部品を実装する装着ヘッドとを備える電子回路部品装着機(部品実装装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の電子回路部品装着機では、立体基板の実装面が水平になるように立体基板支持体駆動装置により立体基板の姿勢を調整するための立体基板の立体形状の情報を予め入力する必要があると考えられる。つまり、上記特許文献1の電子回路部品装着機では、立体基板の立体形状の情報がない場合には、立体基板の姿勢を調整することが困難であるという不都合がある。また、立体基板の立体形状をユーザが手動により計測して入力したり、立体基板の姿勢をユーザが手動により調整することも考えられるが、この場合には、ユーザの作業負担が増大する。これらの結果、ユーザの作業負担が増大するのを抑制しつつ、立体基板の姿勢を調整して立体基板に部品を実装することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、被実装物の立体形状の情報がない場合でも、ユーザの作業負担が増大するのを抑制しつつ、立体形状を有する被実装物の姿勢を調整して被実装物に部品を実装することが可能な部品実装装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一の局面による部品実装装置は、部品が実装される立体的な形状を有する被実装物を保持する保持部と、保持部を水平面に対して傾斜させるように回動させる回動機構部と、被実装物に対して部品を実装する実装ヘッドと、保持部に保持された被実装物の立体形状を計測する立体形状計測部と、立体形状計測部による被実装物の計測結果に基づいて、部品が実装される複数の実装面の情報を取得する制御部と、を備える。
【0008】
この発明の一の局面による部品実装装置では、上記のように、立体形状計測部による被実装物の計測結果に基づいて、部品が実装される複数の実装面の情報を取得する制御部を設ける。これにより、被実装物の立体形状の情報がない場合でも、被実装物の立体形状をユーザが手動により計測して入力する必要がないとともに、被実装物の姿勢をユーザが手動により調整する必要がない。また、制御部により取得した被実装物の実装面の情報に基づいて、部品が実装可能なように被実装物の姿勢を調整することができる。これらの結果、被実装物の立体形状の情報がない場合でも、ユーザの作業負担が増大するのを抑制しつつ、立体形状を有する被実装物の姿勢を調整して被実装物に部品を実装することができる。
【0009】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、立体形状計測部による被実装物の計測結果から、被実装物の面の傾き情報を取得して、面の傾き情報に基づいて、被実装物の実装面を特定するように構成されている。このように構成すれば、被実装物の立体形状の情報がない場合でも、被実装物の実物を計測して被実装物の面の傾き情報を取得することにより、被実装物の実装面の傾きを取得することができる。
【0010】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、回動機構部は、水平方向の回動軸線回りに保持部を回動させる第1回動機構と、第1回動機構の回動軸線と略垂直な回動軸線回りに保持部を回動させる第2回動機構とを含み、制御部は、回動機構部の第1回動機構および第2回動機構の両方により被実装物を回動させて、複数の方向から立体形状計測部により被実装物の立体形状を計測するように制御するように構成されている。このように構成すれば、複数の方向から被実装物の立体形状を計測するので、1つの方向から計測する場合と比べて、死角が発生するのを抑制することができる。これにより、被実装物の立体形状をより正確に計測することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、制御部は、立体形状計測部による被実装物の計測結果に基づいて、計測方向の死角の有無を判定し、死角がある場合に、未計測の方向から立体形状計測部により被実装物を計測するように制御するように構成されている。このように構成すれば、死角がある場合に、異なる計測方向から追加の計測が行われるので、死角を効果的に減らすことができる。
【0012】
上記制御部が計測方向の死角の有無を判定する構成において、好ましくは、制御部は、被実装物の実装面に死角がある場合に、未計測の方向から立体形状計測部により被実装物を計測するように制御するように構成されている。このように構成すれば、死角により被実装物の実装面の情報を取得し損ねるのを確実に防止することができる。
【0013】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、取得した複数の実装面の情報に基づいて、被実装物に部品の実装を行うための実装データを作成するように構成されている。このように構成すれば、被実装物の立体形状の情報がない場合でも、実装データの作成を容易に行うことができる。
【0014】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、実装面の情報から被実装物の実装面に部品を実装する際に回動機構部により姿勢を調整するための角度情報を取得するように構成されている。このように構成すれば、立体形状を有する被実装物に部品を実装する際に、取得した角度情報に基づいて実装面が水平になるように容易に被実装物の姿勢を調整することができる。
【0015】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、立体形状計測部は、レーザ変位計およびステレオカメラのうち少なくとも一方を含む。このように構成すれば、レーザ変位計またはステレオカメラにより、被実装物の立体形状を容易に計測することができる。
【0016】
この場合、好ましくは、立体形状計測部は、レーザ変位計を含み、制御部は、レーザ変位計による被実装物の複数の点における位置情報に基づいて、各3点の位置を通る面の法線ベクトルを比較して、被実装物の複数の点が同一平面上にあるか否かを判断するように構成されている。このように構成すれば、被実装物の同一平面を容易に検出することができる。
【0017】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、実装面の情報と、部品の実装位置の教示とに基づいて、部品実装位置の座標データを作成するように構成されている。このように構成すれば、被実装物の実装面に対して部品実装位置を対応付けることができるので、実装ヘッドにより実装面に対して部品を実装する動作を行うことができる。
【0018】
この場合、好ましくは、制御部は、実装面の画像に基づいて教示された部品実装位置から、部品実装位置の座標データを作成するように構成されている。このように構成すれば、実物の被実装物の実装面の画像に対してユーザが部品実装位置を教示することができるので、部品実装位置の座標データを容易に作成することができる。
【0019】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、立体形状計測部による被実装物の計測結果に基づいて取得した実装面の情報に基づいて、予め設定された実装面の情報を補正するように構成されている。このように構成すれば、実物の被実装物を計測した結果を反映させて実装面の情報を補正することができるので、実装面の情報の精度を向上させることができる。
【0020】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、立体形状計測部により被実装物の計測を行う前に、被実装物の概略の寸法の入力を受け付けるように構成されている。このように構成すれば、被実装物を保持部により保持して移動させた場合に他の部材と干渉しないかを予め判定することができる。また、立体形状計測部による被実装物の計測範囲を絞りこむことができる。
【0021】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、被実装物を保持部により保持する前に、被実装物の概略の寸法を計測して、計測した被実装物の概略の寸法に基づいて、立体形状計測部により計測する被実装物の計測範囲を絞りこむように構成されている。このように構成すれば、計測範囲を被実装物の大きさに合わせて設定することができるので、計測範囲を大きくし過ぎた場合に比べて、計測時間を短縮することができる。
【0022】
上記一の局面による部品実装装置において、好ましくは、制御部は、立体形状計測部による被実装物の計測結果に基づいて、実装面に部品を実装する際に、実装ヘッドと、被実装物または部品とが干渉するか否かを判断するように構成されている。このように構成すれば、実際に部品を実装する際に、実装ヘッドと、被実装物または部品とが衝突するのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記のように、被実装物の立体形状の情報がない場合でも、ユーザの作業負担が増大するのを抑制しつつ、立体形状を有する被実装物の姿勢を調整して被実装物に部品を実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態による部品実装装置の全体構成を示す模式的な平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による部品実装装置の全体構成を示す模式的な正面図である。
【
図3】本発明の一実施形態による部品実装装置の全体構成を示す模式的な側面図である。
【
図4】本発明の一実施形態による部品実装装置の保持ユニットを示す斜視図である。
【
図5】本発明の一実施形態による部品実装装置の被実装物の一例を示した斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態による部品実装装置のレーザ変位計による被実装物の立体形状の計測を説明するための側面図である。
【
図7】本発明の一実施形態による部品実装装置のレーザ変位計による被実装物の立体形状の計測を説明するための平面図である。
【
図8】本発明の一実施形態による部品実装装置のステレオカメラによる被実装物の立体形状の計測を説明するための側面図である。
【
図9】本発明の一実施形態による部品実装装置の被実装物の計測方向を説明するための表である。
【
図10】本発明の一実施形態による部品実装装置の被実装物の計測方向を説明するための斜視図である。
【
図11】基準位置に対して上方からの計測を説明するための斜視図である。
【
図12】基準位置に対して後方からの計測を説明するための斜視図である。
【
図13】基準位置に対して右方からの計測を説明するための斜視図である。
【
図14】基準位置に対して前方からの計測を説明するための斜視図である。
【
図15】基準位置に対して左方からの計測を説明するための斜視図である。
【
図16】本発明の一実施形態による部品実装装置の平面の判定を説明するための図である。
【
図17】本発明の一実施形態による部品実装装置の各計測方向における平面の判定を説明するための図である。
【
図18】本発明の一実施形態による部品実装装置の計測結果の基準位置への変換を説明するための図である。
【
図19】本発明の一実施形態による部品実装装置の計測結果の合成を説明するための図である。
【
図20】本発明の一実施形態による部品実装装置の死角を説明するための図である。
【
図21】本発明の一実施形態による部品実装装置の死角がある場合の再計測を説明するための表である。
【
図22】本発明の一実施形態による部品実装装置の死角の判定を説明するための図である。
【
図23】本発明の一実施形態による部品実装装置の部品実装時の姿勢を説明するための図である。
【
図24】本発明の一実施形態による部品実装装置の実装面における実装座標の設定を説明するための図である。
【
図25】本発明の一実施形態による部品実装装置の干渉のチェックを説明するための図である。
【
図26】本発明の一実施形態による部品実装装置のデータ作成処理を説明するための第1フローチャートである。
【
図27】本発明の一実施形態による部品実装装置のデータ作成処理を説明するための第2フローチャートである。
【
図28】本発明の一実施形態による部品実装装置の立体形状計測処理を説明するためのフローチャートである。
【
図29】本発明の一実施形態による部品実装装置のマニュアル操作による水平出し処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
(部品実装装置の構成)
図1~
図4を参照して、本発明の一実施形態による部品実装装置100の構成について説明する。
【0027】
部品実装装置100は、
図1~
図3に示すように、IC、トランジスタ、コンデンサおよび抵抗などの部品E(電子部品)を、立体形状を有する被実装物Pに実装するように構成されている。また、部品実装装置100は、被実装物Pを搬送して、被実装物Pに部品Eを実装する装置である。
【0028】
部品実装装置100は、
図1および
図2に示すように、基台1と、基板搬送部2と、基板保持ユニット3と、ヘッドユニット4と、支持部5と、一対のレール部6と、部品認識カメラ7と、基板認識カメラ8と、立体形状計測部9と、制御装置10(
図2参照)とを備えている。なお、制御装置10は、特許請求の範囲の「制御部」の一例である。
【0029】
被実装物Pは、
図5および
図23に示すように、5つの実装面P1、P2、P3、P4およびP5を有している。実装面P3は、
図5に示す基準位置において、水平に配置されている。実装面P1、P2、P4およびP5は、基準位置において、水平面に対して所定の角度を有して配置されている。
【0030】
実装面P1~P5には、それぞれ、基板認識カメラ8により撮像される位置認識マーク(フィデューシャルマーク)が付されている。また、実装面P1~P5は、共に、ヘッドユニット4により部品Eが実装される平坦面である。
【0031】
図1に示すように、基台1のY2側の端部には、複数のテープフィーダ11を配置するためのフィーダ配置部12が設けられている。
【0032】
テープフィーダ11は、複数の部品Eを所定の間隔を隔てて保持したテープが巻き回されたリール11a(
図3参照)を保持している。テープフィーダ11は、リール11aを回転させて部品Eを保持するテープを送出することにより、先端から部品Eを供給するように構成されている。
【0033】
各テープフィーダ11は、フィーダ配置部12に設けられた図示しないコネクタを介して制御装置10に電気的に接続された状態で、フィーダ配置部12に配置されている。これにより、各テープフィーダ11は、制御装置10からの制御信号に基づいて、リール11aからテープを送出するとともに、部品Eを供給するように構成されている。この際、各テープフィーダ11は、ヘッドユニット4の実装作業に応じて、部品Eを供給するように構成されている。
【0034】
基板搬送部2は、被実装物Pを搬入し、搬送方向(X方向)に搬送し、搬出するように構成されている。また、基板搬送部2は、搬入された被実装物Pを基板保持ユニット3に受け渡すように構成されている。部品実装装置100では、基板搬送部2により、単一の搬送路が形成されている。
【0035】
ここで、
図1~
図3に示すように、被実装物Pは、移載キャリア91(治具)に保持された状態で、基板搬送部2により搬送される。具体的には、複数の移載キャリア91(被実装物P)が1つの搬送ボード90(冶具)に載置された状態で、基板搬送部2により搬送される。搬送ボード90は、被実装物Pの搬送用の部材であって、板形状を有する。また、移載キャリア91は、板形状を有する。板形状を有する移載キャリア91には、上面(Z1側の面)に微粘着性の接着層が形成されている。移載キャリア91は、被実装物Pが接着層に接着されることにより、上面上に着脱可能に被実装物Pを保持して固定するように構成されている。また、移載キャリア91の下面(Z2側の面)には、基板保持ユニット3が保持するための単一の被保持部が設けられている。被保持部は、上面上に保持された被実装物Pの重心位置近傍に設けられている。被保持部は、移載キャリア91の下面から下方(Z2方向)に向けて突出するように形成されている。被実装物Pは、移載キャリア91を介して基板保持ユニット3により保持される。
【0036】
基板搬送部2は、上流側搬送部21と、中央搬送部22と、下流側搬送部23とを含んでいる。
【0037】
上流側搬送部21は、搬送方向(X方向)の上流側(X1側)に設けられた搬送部である。上流側搬送部21は、図示しない搬送路から実装前の被実装物Pを搬入するとともに、搬入された被実装物Pを中央搬送部22まで搬送するように構成されている。上流側搬送部21は、一対のコンベア部211を有している。上流側搬送部21は、一対のコンベア部211により、移載キャリア91の搬送方向と直交する方向(Y方向)の両端部を下方から支持することにより、搬送方向と直交する方向の両側から被実装物Pを支持しながら、搬送方向に被実装物Pを搬送するように構成されている。また、一対のコンベア部211は、搬送方向と直交する方向の間隔を調整可能に構成されている。具体的には、Y1側のコンベア部211が搬送方向と直交する方向に移動可能に構成されており、Y2側のコンベア部211が固定されている。これにより、被実装物Pの大きさ(Y方向の幅)に応じて、一対のコンベア部211の間の幅(Y方向の幅)を調整することが可能である。
【0038】
中央搬送部22は、上流側搬送部21と下流側搬送部23との間に設けられた搬送部である。中央搬送部22は、実装前の被実装物Pを上流側搬送部21から受け取り、受け取った被実装物Pを下流側搬送部23まで搬送するように構成されている。また、中央搬送部22は、被実装物Pを基板保持ユニット3への受け渡し位置まで移動させるように構成されている。
【0039】
中央搬送部22は、一対のコンベア部221を有している。中央搬送部22は、一対のコンベア部221により、移載キャリア91の搬送方向と直交する方向(Y方向)の両端部を下方から支持することにより、搬送方向と直交する方向の両側から被実装物Pを支持しながら、搬送方向に被実装物Pを搬送するように構成されている。また、一対のコンベア部221は、図示しない駆動モータにより、搬送方向と直交する方向に互いに独立して移動可能に構成されている。中央搬送部22は、一対のコンベア部221の間の幅(Y方向の幅)を維持しながら、一対のコンベア部221が搬送方向と直交する方向に移動されることにより、被実装物Pを搬送方向と直交する方向に移動するように構成されている。
【0040】
部品実装装置100では、搬入された被実装物Pが、中央搬送部22の一対のコンベア部221により搬送方向(X方向)に移動(搬送)されて、搬送方向の所定位置に位置決めされる。その後、被実装物Pが、一対のコンベア部221により搬送方向と直交する方向に移動されることにより、搬送方向と直交する方向の所定位置に位置決めされる。これにより、部品実装装置100では、被実装物Pが、基板保持ユニット3に被実装物Pを受け渡すための受け渡し位置まで移動される。
【0041】
下流側搬送部23は、搬送方向(X方向)の下流側(X2側)に設けられた搬送部である。下流側搬送部23は、実装後の被実装物Pを中央搬送部22から受け取り、図示しない搬送路に実装後の被実装物Pを搬出するように構成されている。下流側搬送部23は、一対のコンベア部231を有している。下流側搬送部23は、一対のコンベア部231により、移載キャリア91の搬送方向と直交する方向(Y方向)の両端部を下方から支持することにより、搬送方向と直交する方向の両側から被実装物Pを支持しながら、搬送方向に被実装物Pを搬送するように構成されている。また、一対のコンベア部231は、搬送方向と直交する方向の間隔を調整可能に構成されている。具体的には、Y1側のコンベア部231が搬送方向と直交する方向に移動可能に構成されており、Y2側のコンベア部231が固定されている。これにより、被実装物Pの大きさ(Y方向の幅)に応じて、一対のコンベア部231の間の幅(Y方向の幅)を調整することが可能である。
【0042】
基板保持ユニット3は、受け渡し位置において基板搬送部2から被実装物Pを受け渡され、被実装物Pを保持するように構成されている。具体的には、基板保持ユニット3は、移載キャリア91を介して被実装物Pを保持するように構成されている。
【0043】
また、基板保持ユニット3は、保持された被実装物Pを上下方向(Z方向)に移動させるように構成されている。また、基板保持ユニット3は、保持された被実装物Pを傾斜させる(水平方向の回転軸周りに回動させる)ように構成されている。また、基板保持ユニット3は、保持された被実装物Pを回転させる(上下方向の回転軸周りに回動させる)ように構成されている。言い換えると、基板保持ユニット3は、被実装物Pを上下方向に移動させ、傾斜させ、または回転させることにより、被実装物Pの姿勢を調整可能に構成されている。これにより、たとえば、被実装物Pの実装面P1~P5が水平面(XY平面)と略平行になるように、被実装物Pの姿勢を調整することが可能である。
【0044】
また、部品実装装置100は、基板保持ユニット3を他のユニットと取り換え可能に構成されている。具体的には、部品実装装置100は、基板保持ユニット3を、略平坦形状の基板を下側から支持する基板バックアップユニット(図示せず)と取り換え可能に構成されている。
【0045】
部品実装装置100は、基板保持ユニット3が取り付けられている場合には、立体形状を有する被実装物Pに部品Eを実装するのに適した装置になる。また、部品実装装置100は、基板バックアップユニットが取り付けられている場合には、略平坦形状を有する基板に部品Eを実装するのに適した装置になる。
【0046】
図1および
図2に示すように、ヘッドユニット4は、支持部5および一対のレール部6を介して、基台1の上方位置に設けられている。また、ヘッドユニット4は、基板搬送部2、基板保持ユニット3およびテープフィーダ11よりも上方(Z1方向)の位置に設けられており、水平方向に移動可能に構成されている。
【0047】
ヘッドユニット4は、基板保持ユニット3が取り付けられている場合には、基板保持ユニット3により保持された状態の被実装物Pに部品Eの実装作業を行うように構成されている。また、ヘッドユニット4は、基板バックアップユニットが取り付けられている場合には、基板バックアップユニットにより支持された状態の基板に部品Eの実装作業を行うように構成されている。具体的には、ヘッドユニット4は、テープフィーダ11から供給される部品Eを吸着するとともに、吸着された部品Eを被実装物Pに実装するように構成されている。
【0048】
図2に示すように、ヘッドユニット4には、複数(6つ)の実装ヘッド41と、実装ヘッド41毎に設けられた複数(6つ)のボールネジ軸42と、ボールネジ軸42毎に設けられた複数(6つ)のZ軸モータ43と、実装ヘッド41毎に設けられた複数(6つ)のR軸モータとが設けられている。
【0049】
実装ヘッド41は、被実装物Pに対して部品Eを実装するように構成されている。複数の実装ヘッド41は、搬送方向(X方向)に沿って直線状に配列されている。各実装ヘッド41の先端には、それぞれ、ノズル41a(
図2および
図3参照)が取り付けられている。実装ヘッド41は、図示しない負圧発生機によりノズル41aの先端部に発生された負圧によって、テープフィーダ11から供給される部品Eを吸着して保持することが可能に構成されている。
【0050】
各ボールネジ軸42は、それぞれ、上下方向に延びるように形成されている。各Z軸モータ43は、それぞれ、対応するボールネジ軸42を回転させるように構成されている。また、各実装ヘッド41には、それぞれ、対応するボールネジ軸42に係合(螺合)されるボールナット41b(
図3参照)が設けられている。実装ヘッド41は、Z軸モータ43によりボールネジ軸42が回転されることにより、ボールネジ軸42と係合(螺合)するボールナット41bとともに、ボールネジ軸42に沿って上下方向に移動可能に構成されている。これにより、実装ヘッド41は、部品Eの吸着や実装(装着)などを行うことが可能な下降した状態の高さ位置と、実装ヘッド41の水平方向の移動が可能な上昇した状態の高さ位置との間で上下方向に移動可能に構成されている。各R軸モータは、それぞれ、対応する実装ヘッド41をノズル41aの中心軸周り(Z方向の回転軸周り)に回転させるように構成されている。
【0051】
支持部5は、ヘッドユニット4を搬送方向(X方向)に移動させるように構成されている。支持部5は、X方向に延びるボールネジ軸51と、ボールネジ軸51を回転させるX軸モータ52と、X方向に延びる図示しないガイドレールとを含んでいる。また、ヘッドユニット4には、ボールネジ軸51が係合(螺合)されるボールナット45(
図3参照)が設けられている。ヘッドユニット4は、X軸モータ52によりボールネジ軸51が回転されることにより、ボールネジ軸51と係合(螺合)するボールナット45とともに、支持部5に沿って搬送方向(X方向)に移動可能に構成されている。
【0052】
一対のレール部6は、共にY方向に延びるように形成されており、基台1のX方向の両端部において基台1上に固定されている。また、一対のレール部6は、支持部5を搬送方向と直交する方向(Y方向)に移動させるように構成されている。一対のレール部6は、共にY方向に延びる一対のボールネジ軸61と、ボールネジ軸61毎に設けられた複数(2つ)のY軸モータ62とを含んでいる。各Y軸モータ62は、それぞれ、対応するボールネジ軸61を回転させるように構成されている。また、支持部5には、ボールネジ軸61が係合(螺合)される図示しないボールナットが設けられている。支持部5は、各Y軸モータ62により各ボールネジ軸61が同期して回転されることにより、各ボールネジ軸61と係合(螺合)するボールナットとともに、一対のレール部6に沿って搬送方向と直交する方向(Y方向)に移動可能に構成されている。
【0053】
このような構成により、ヘッドユニット4は、基台1上を水平方向(X方向およびY方向)に移動可能に構成されている。これにより、ヘッドユニット4は、たとえばテープフィーダ11の上方に移動して、テープフィーダ11から供給される部品Eを吸着することが可能である。また、ヘッドユニット4は、たとえば基板保持ユニット3に保持された状態の被実装物Pの上方に移動して、吸着された部品Eを被実装物Pに実装することが可能である。
【0054】
部品認識カメラ7は、テープフィーダ11の近傍の基台1の上面上に固定されており、部品Eの実装に先立って実装ヘッド41のノズル41aに吸着された部品Eを撮像するように構成されている。部品認識カメラ7は、実装ヘッド41のノズル41aに吸着された部品Eを、下方(Z2方向)から撮像するように構成されている。この撮像結果は、制御装置10により取得される。制御装置10は、実装ヘッド41のノズル41aに吸着された部品Eの撮像結果に基づいて、下方から見た部品Eの吸着状態(回転姿勢および実装ヘッド41のノズル41aに対する吸着位置)を認識するように構成されている。また、制御装置10は、部品Eの吸着状態の認識結果に基づいて、部品Eの回転姿勢および実装時の部品実装位置座標位置(XY座標位置)を補正するように構成されている。
【0055】
基板認識カメラ8は、部品Eの実装に先立って被実装物Pに付された位置認識マークを撮像するように構成されている。位置認識マークは、被実装物Pの位置を認識するためのマークである。この位置認識マークの撮像結果は、制御装置10により取得される。制御装置10は、位置認識マークの撮像結果に基づいて、基板保持ユニット3により保持された状態の被実装物Pの正確な位置および姿勢を認識するように構成されている。また、制御装置10は、被実装物Pの位置および姿勢の認識結果に基づいて、実装時の部品実装位置座標位置(XY座標位置)を補正するように構成されている。
【0056】
また、基板認識カメラ8は、ヘッドユニット4に取り付けられている。具体的には、基板認識カメラ8は、ヘッドユニット4のY1側の側部において、X方向に並んだ実装ノズル配列の中央の位置に取り付けられている。これにより、基板認識カメラ8は、ヘッドユニット4とともに、基台1上を水平方向(X方向およびY方向)に移動可能に構成されている。また、基板認識カメラ8は、基台1上を水平方向に移動して、被実装物Pに付された位置認識マークを、被実装物Pの上方(Z1方向)から撮像するように構成されている。また、基板認識カメラ8は、基板保持ユニット3の後述する保持部34を撮影可能に構成されている。
【0057】
立体形状計測部9は、保持部34に保持された被実装物Pの立体形状を計測するように構成されている。立体形状計測部9は、レーザ変位計9a(
図6参照)およびステレオカメラ9b(
図8参照)のうち少なくとも一方を含む。立体形状計測部9(レーザ変位計9a)は、
図6および
図7に示すように、被実装物Pの複数の計測点にそれぞれレーザ光を照射して、被実装物Pまたは移載キャリア91から反射された反射光を受光することにより、被実装物Pの高さを計測するように構成されている。この高さ位置の計測結果は、制御装置10により取得される。制御装置10は、高さ位置の計測結果に基づいて、被実装物Pの形状を取得するように構成されている。複数の計測点は、所定の間隔を隔てて格子状に設定されている。つまり、レーザ変位計9aによる高さ計測は、点においての計測になるため、XY方向に少しずつ計測点をずらしながら複数個所の計測を行う。これにより、被実装物Pの3次元形状(立体形状)が計測される。
【0058】
また、立体形状計測部9(ステレオカメラ9b)は、
図8に示すように、異なる複数の方向から被実装物Pを撮像するように構成されている。異なる複数の方向からの画像の視差から被実装物Pの各位置における高さ位置が計測される。この高さ位置の計測結果は、制御装置10により取得される。制御装置10は、高さ位置の計測結果に基づいて、被実装物Pの形状を取得するように構成されている。
【0059】
立体形状計測部9は、被実装物PのCADデータによる立体形状の情報がない場合に、立体形状の情報を取得するために、被実装物Pの立体形状を計測する。また、立体形状計測部9は、被実装物Pに部品Eを実装する際に、個々の被実装物Pの位置、姿勢および形状を取得するために、被実装物Pの立体形状を計測する。
【0060】
また、立体形状計測部9は、ヘッドユニット4に取り付けられている。これにより、立体形状計測部9は、ヘッドユニット4とともに、基台1上を水平方向(X方向およびY方向)に移動可能に構成されている。また、立体形状計測部9は、基台1上を水平方向に移動して、被実装物Pの上方から立体形状を計測するように構成されている。
【0061】
制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)などの情報処理部と、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Random Access Memory)などの記憶部とを含む。また、制御装置10は、部品実装装置100の動作を制御するように構成されている。具体的には、制御装置10は、基板搬送部2、基板保持ユニット3、ヘッドユニット4、支持部5、一対のレール部6、部品認識カメラ7、基板認識カメラ8、立体形状計測部9、およびテープフィーダ11などを予め記憶されたプログラムに従って制御して、被実装物Pに部品Eの実装を行うように構成されている。
【0062】
(基板保持ユニットの構成)
次に、
図4を参照して、基板保持ユニット3の構成について説明する。
図4に示すように、基板保持ユニット3は、昇降機構部31と、傾斜機構部32と、回転機構部33と、保持部34と、固定部35とを含んでいる。なお、傾斜機構部32は、特許請求の範囲の「回動機構部」および「第1回動機構部」の一例である。また、回転機構部33は、特許請求の範囲の「回動機構部」および「第2回動機構部」の一例である。
【0063】
昇降機構部31は、上下方向に延びる軸線A1(一点鎖線により示す)に沿って、保持部34(被実装物P)を上下方向に移動させるための上下軸機構部である。具体的には、昇降機構部31は、駆動モータ311によりボールネジ軸312を回転させて、傾斜機構部32、回転機構部33および保持部34を上下方向に移動させるように構成されている。
【0064】
傾斜機構部32は、保持部34を水平面に対して傾斜させるように回動させるように構成されている。具体的には、傾斜機構部32は、昇降機構部31に取り付けられており、軸線A2(一点鎖線により示す)周りに回転機構部33を回転させることにより、保持部34により保持された被実装物Pを傾斜させるためのチルト軸回転機構部である。軸線A2は、水平方向に延びる軸線である。つまり、傾斜機構部32は、水平方向の回動軸線回りに保持部34(被実装物P)を回動させるように構成されている。軸線A2は、搬送方向に略平行な方向に延びるチルト軸線であって、昇降機構部31に対する傾斜機構部32の取付方向(Y方向)および軸線A1に対して略直交する方向に延びる軸線である。また、軸線A2は、複数の実装ヘッド41の配列方向(X方向)と略平行な方向に延びる軸線である。傾斜機構部32は、駆動モータ321により回転機構部33および保持部34を回転させるように構成されている。つまり、傾斜機構部32は、保持部34および保持部34に保持された被実装物Pを軸線A2周りに回転させて、YZ平面内で傾斜させるように構成されている。
【0065】
回転機構部33は、傾斜機構部32に取り付けられており、保持部34により保持された被実装物Pを軸線A3(一点鎖線により示す)周りに回転させるための回転軸機構部である。軸線A3は、軸線A2(チルト軸線)に対して略直交する方向に延びる軸線である。つまり、回転機構部33は、傾斜機構部32の回動軸線と略垂直な回動軸線回りに保持部34を回動させるように構成されている。また、軸線A3は、保持部34中心を通る軸線であって、傾斜機構部32により回転機構部33および保持部34が傾斜されるのとともに、傾斜される。回転機構部33は、駆動モータ331により保持部34を回転させるように構成されている。
【0066】
保持部34は、部品Eが実装される立体的な形状を有する被実装物Pを保持するように構成されている。具体的には、保持部34は、回転機構部33に取り付けられており、移載キャリア91を介して被実装物Pを保持して固定するように構成されている。保持部34は、円柱形状を有する本体部341と、複数(3つ)の爪部342とを有している。複数(3つ)の爪部342は、本体部341の上面上に等角度間隔(120度間隔)で配置されている。また、複数の爪部342は、それぞれ、保持部34の回転の半径方向に移動可能に構成されている。
【0067】
固定部35は、基板保持ユニット3を基台1に取り付けて固定するための部材である。基板保持ユニット3は、
図1~
図3に示すように、固定部35を介して、たとえばネジなどにより基台1に固定される。
【0068】
図5に示すように、移載キャリア91および被実装物Pの外寸のデータがあらかじめ取得される。つまり、制御装置10は、立体形状計測部9により被実装物Pの計測を行う前に、被実装物Pの概略の寸法の入力を受け付けるように構成されている。被実装物Pの概略の寸法は、ユーザが定規等で測って計測される。
図5では、移載キャリア91は、横がB1、縦がB2、高さがB3の寸法を有している。また、被実装物Pは、横がC1、縦がC2、高さがC3の寸法を有している。また、被実装物Pは、移載キャリア91から横D1、縦D2の位置に固定されている。事前に被実装物Pおよび移載キャリア91の概略の寸法を計測することにより、装置仕様内か否かを事前に確認することが可能である。
【0069】
また、制御装置10は、被実装物Pを保持部34により保持する前に、被実装物Pの概略の寸法を計測して、計測した被実装物Pの概略の寸法に基づいて、立体形状計測部9により計測する被実装物Pの計測範囲を絞りこむように構成されている。
【0070】
ここで、本実施形態では、制御装置10は、立体形状計測部9による被実装物Pの計測結果に基づいて、部品Eが実装される複数の実装面P1~P5の情報を取得するように構成されている。具体的には、制御装置は、立体形状計測部9による被実装物Pの計測結果から、被実装物Pの面の傾き情報を取得して、面の傾き情報に基づいて、被実装物Pの実装面P1~P5を特定するように構成されている。
【0071】
また、制御装置10は、取得した複数の実装面P1~P5の情報に基づいて、被実装物Pに部品Eの実装を行うための実装データを作成するように構成されている。制御装置10は、実装データに基づいて、各実装面P1~P5が水平になるように姿勢を制御するとともに、各実装面P1~P5の設定された位置に部品Eを実装する制御を行う。
【0072】
また、本実施形態では、制御装置10は、傾斜機構部32および回転機構部33の両方により被実装物Pを回動させて、複数の方向から立体形状計測部9により被実装物Pの立体形状を計測するように制御するように構成されている。具体的には、
図9~
図15に示すように、制御装置10は、被実装物Pを実装面P3を上に向けた基準位置に対して、被実装物Pを上方、後方、右方、前方、左方の5方向から計測する制御を行う。なお、上方、後方、右方、前方、左方は、基準位置における方向を意味しており、立体形状計測部9の実際の計測方向を意味しているものではない。
【0073】
具体的には、基準位置における上方から被実装物Pを計測する場合、Z軸をz0の位置とし、チルト軸を0度(傾斜させない)とし、R軸を0度とする。基準位置における後方から被実装物Pを計測する場合、Z軸をz1の位置とし、チルト軸を+90度とし、R軸を0度とする。基準位置における右方から被実装物Pを計測する場合、Z軸をz2の位置とし、チルト軸を+90度とし、R軸を+90度とする。基準位置における前方から被実装物Pを計測する場合、Z軸をz3の位置とし、チルト軸を+90度とし、R軸を+180度とする。基準位置における左方から被実装物Pを計測する場合、Z軸をz4の位置とし、チルト軸を+90度とし、R軸を-90度とする。なお、z1、z2、z3およびz4は、被実装物Pのサイズおよびチルト軸およびR軸の回転に応じて自動で調整される。具体的には、被実装物Pが立体形状計測部9の計測レンジに収まるように、概略の寸法データをもとに上下方向が調整される。
【0074】
基準位置における上方から被実装物Pを計測する場合、
図11に示すように、被実装物Pの実装面P3およびP5が計測される。基準位置における後方から被実装物Pを計測する場合、
図12に示すように、被実装物Pの実装面P5が計測される。基準位置における右方から被実装物Pを計測する場合、
図13に示すように、被実装物Pの実装面P4が計測される。基準位置における前方から被実装物Pを計測する場合、
図14に示すように、被実装物Pの実装面P1が計測される。基準位置における左方から被実装物Pを計測する場合、
図15に示すように、被実装物Pの実装面P2が計測される。
【0075】
また、本実施形態では、制御装置10は、レーザ変位計9aによる被実装物Pの複数の点における位置情報に基づいて、各3点の位置を通る面の法線ベクトルを比較して、被実装物Pの複数の点が同一平面上にあるか否かを判断するように構成されている。具体図的には、
図16に示すように、レーザ変位計9aにより計測した各計測点における座標に基づいて、隣接する計測点3点からなる三角形の平面を求める。平面の式は、ax+by+cz+d=0によりあらわされる。平面の式は、3点の座標からa、b、cおよびdを求めることにより、算出される。また、平面に対する法線ベクトル(a、b、c)を取得する。なお、上方から計測するため、法線ベクトルは、上向きに定まる。制御装置10は、各三角形の法線ベクトルを比較して、法線ベクトルが所定の誤差範囲内にある三角形同士の面の延びる方向が同じであると判断する。また、制御装置10は、平面の式に基づいて、面の向きが同じ三角形の平面同士が同一平面上か否かを判定する。これにより、被実装物Pの表面を構成する面が求められる。
図17に示すように、上方、後方、右方、前方、左方のそれぞれの計測により、実装面P1~P5の情報が求められる。
【0076】
制御装置10は、各方向(各姿勢)により求めた実装面P1~P5のデータを0原点姿勢(基準位置)に移動させる座標変換を行う。具体的には、
図18に示すように、Z軸の座標を調整する。たとえば、左方からの計測の場合、Z軸をz4としているので、基準位置に合わせてz0に変換する。次に、チルト軸の回転に基づいて、座標を変換する。たとえば、左方からの計測の場合、チルト軸を90度としているので、基準位置に合わせてチルト軸を0度に変換する(回転させる)。次に、R軸の回転に基づいて、座標を変換する。たとえば、左方からの計測の場合、R軸をー90度としているので、基準位置に合わせてR軸を0度に変換する(回転させる)。これにより、姿勢を変更させて計測を行った場合に得られた座標データが、基準位置における座標データに変換される。なお、左方における計測について、座標を変換する例を示したが、他の方向(後方、右方、前方)においても同様にして、座標が変換される。
【0077】
制御装置10は、各方向(各姿勢)において取得した実装面P1~P5を、基板保持ユニット3の原点姿勢(基準位置)において合成する。具体的には、
図19に示すように、各方向から取得した実装面P1~P5を合成して、被実装物Pの立体形状を取得する。なお、この場合、異なる方向から計測した面について重複する場合がある。たとえば、実装面P5は、上方から計測した場合と、後方から計測した場合と、において取得される。この場合は、重複する面はひとつにまとめられる。たとえば、いずれか一つの計測により計測した面を選択する。また、たとえば、複数取得された面の平均を面として取得する。
【0078】
また、制御装置10は、立体形状計測部9による被実装物Pの計測結果に基づいて、計測方向の死角の有無を判定し、死角がある場合に、未計測の方向から立体形状計測部9により被実装物Pを計測するように制御するように構成されている。また、制御装置10は、被実装物Pの実装面に死角がある場合に、未計測の方向から立体形状計測部9により被実装物Pを計測するように制御するように構成されている。たとえば、
図20に示すように、5つの方向(上方、後方、右方、前方、左方)から計測した場合に死角が生じる場合がある。この場合、制御装置10は、他の方向から再度計測を行う。たとえば、
図20に示すように、チルト軸およびR軸を細かい刻み幅により変化させながら、被実装物Pの立体形状の計測が行われる。なお、被実装物Pの移載キャリア91側からは、計測することが困難であるため、移載キャリア91側については、死角判定の対象から除かれる。
【0079】
制御装置10は、
図22に示すように、死角の判定を行う。具体的には、制御装置10は、各面が他の面と接しているか否かを判定する。そして、一の面が他の面と接している辺がある場合、その辺の近辺には死角がないと判定される。一方、一の面が他の面と接していない辺を有する場合、その辺の近辺に死角があると判定される。たとえば、制御装置10は、三角形T1について、同じ面の三角形T11、T12およびT13が各辺に隣接している。この場合、三角形T1は、この面の内部にあると判定される。三角形T3およびT4は、互いに異なる面に属している。また、三角形T3およびT4は、所定の距離内(しきい値内)に隣接している。この場合、制御装置10は、三角形T3およびT4がそれぞれ属する面は、互いに接していると判定する。三角形T2は、2辺が同じ面の三角形T21およびT22に隣接している。しかし、三角形T2は、1辺が同一面または他の面の三角形と所定の距離内(しきい値内)に隣接していない。この場合、制御装置10は、三角形T2の他の三角形と隣接しない辺の近傍には死角があると判定する。
【0080】
また、制御装置10は、実装面P1~P5の情報から被実装物Pの実装面P1~P5に部品Eを実装する際に傾斜機構部32および回転機構部33により姿勢を調整するための角度情報を取得するように構成されている。具体的には、制御装置10は、各実装面P1~P5の面の向き(法線ベクトル)に基づいて、各実装面P1~P5を水平にするチルト軸およびR軸の姿勢を算出する。つまり、制御装置10は、面の法線ベクトルが上方向に向く姿勢を算出する。
図23に示すように、実装面P1は、R軸を+180度とし、チルト軸を+90度とする。また、実装面P2は、R軸を-90度とし、チルト軸を+90度とする。また、実装面P3は、R軸を0度とし、チルト軸を0度とする。また、実装面P4は、R軸を+90度とし、チルト軸を+90度とする。また、実装面P5は、R軸を0度とし、チルト軸を+45度とする。
【0081】
また、制御装置10は、実装面P1~P5の姿勢に基づいて、基板保持ユニット3を駆動させて、部品Eの実装を行う各実装面P1~P5を水平にする制御を行う。また、制御装置10は、実装面P1~P5の情報に基づいて、適切な実装高さに実装面P1~P5を配置するように、基板保持ユニット3を駆動させて上下方向の高さを調整する。
【0082】
また、制御装置10は、実装面P1~P5の情報と、部品Eの実装位置の教示とに基づいて、部品実装位置の座標データを作成するように構成されている。具体的には、制御装置10は、実装面P1~P5の画像に基づいて教示された部品実装位置から、部品実装位置の座標データを作成するように構成されている。たとえば、
図24に示すように、基板認識カメラ8により、実装面P1~P5を撮像し、画像が表示される。ユーザは、マニュアル操作によりXY軸を移動させて、実装面P1~P5のフィデューシャルマーク、部品Eの実装位置がカメラの中心に写るように調整して、実装位置およびフィデューシャルマークの位置が教示される。また、この際に、実装される部品Eのサイズおよび使用されるノズル41aの種類が指定される。
【0083】
また、制御装置10は、立体形状計測部9による被実装物Pの計測結果に基づいて、実装面P1~P5に部品Eを実装する際に、実装ヘッド41と、被実装物Pまたは部品Eとが干渉するか否かを判断するように構成されている。具体的には、
図25に示すように、計測した被実装物Pの形状、実装時の姿勢、部品Eの実装位置、部品サイズ、ノズル41aの種類に基づいて、ノズル41aと、部品E、被実装物Pおよび移載キャリア91とが、干渉しないか否かが判断される。制御装置10は、ノズル41aを円筒形状するとともに、部品E、被実装物Pおよび移載キャリア91を三角ポリゴンとして、互いに交差するか否かをシミュレーションにより判定する。互いに交差する場合は、干渉すると判断する。
【0084】
また、制御装置10は、被実装物Pの部品Eの実装時に、被実装物Pを部品実装装置100に搬入する際に、立体形状をチェックするように構成されている。具体的には、制御装置10は、搬入された被実装物Pが、生産プログラムに対応した形状を有しているか否かをチェックする。制御装置10は、自動精算運転開始時に、搬入された一つ目の被実装物Pを形状情報に基づいて計測して、データの形状と異なっていないかをチェックするように構成されている。また、最初の1つ目の被実装物Pの形状をチェックするか、すべての被実装物Pの形状をチェックするかを任意に選択可能に構成されている。
【0085】
また、制御装置10は、立体形状計測部9による被実装物Pの計測結果に基づいて取得した実装面P1~P5の情報に基づいて、予め設定された実装面P1~P5の情報を補正するように構成されている。
【0086】
(データ作成処理)
図26~
図29を参照して、被実装物Pに部品Eを実装する際に用いるデータを作成するデータ作成処理について説明する。データ作成処理は、制御装置10により行われる。
【0087】
図26のステップS1において、被実装物Pおよび移載キャリア91の寸法の基本情報が入力される。具体的には、
図5に示すように、移載キャリア91の外寸、被実装物Pの外寸、移載キャリア91上における被実装物Pの固定位置が入力される。ステップS2において、移載キャリア91(被実装物P)が複数載置された搬送ボード90が基板搬送部2により搬送され、搬送ボード90がコンベア部221上においてクランプされて固定される。
【0088】
ステップS3において、搬送ボード90上の各移載キャリア91の吸着位置(部品実装装置100上での移載キャリア91の位置)が基板認識カメラ8の画像に基づいてユーザにより教示される。ステップS4において、搬送ボード90上の一つ目の被実装物Pが立体形状計測部9により上方から計測される。具体的には、搬送ボード90上の被実装物Pが立体形状計測部9により計測され、形状データが取得される。この際に、移載キャリア91の表面形状のデータは除外され、被実装物Pのみの形状データが取得される。具体的には、再下面の水平の形状のデータが除外される。これにより、被実装物Pの概略の外形寸法が取得される。そして、被実装物Pの寸法の情報が、ステップS1において入力された被実装物Pの寸法の情報から、取得した形状データの情報に更新される。
【0089】
ステップS5において、計測した被実装物Pの形状が装置仕様の範囲内の大きさか否かが判断される。装置仕様の範囲内であれば、ステップS7に進み、装置仕様の範囲外であれば、ステップS6に進む。ステップS6において、エラーを表示して処理を中断する。
【0090】
ステップS7において、一つ目の被実装物Pを実装ヘッド41により吸着して基板保持ユニット3に移載する。また、基板保持ユニット3の保持部34により、移載キャリア91(被実装物P)が保持される。ステップS8により、被実装物の立体形状を計測する。具体的には、基板保持ユニット3により被実装物Pの姿勢を変更させて、複数の方向から立体形状計測部9により被実装物Pの立体形状が計測される。
【0091】
図27のステップS9において、部品Eの実装座標のデータがあるか否かが判断される。たとえば、実装位置についてのCADデータがあるか否かが判断される。実装座標のデータがあれば、ステップS10に進み、実装座標のデータがなければ、ステップS11に進む。ステップS10において、部品Eの実装座標をデータから変換し、ステップS18に進む。
【0092】
ステップS11において、実装面の水平出しをマニュアル操作により行うか否かを判断する。マニュアル操作を行う場合、ステップS12に進み、マニュアル操作を行わない場合、ステップS13に進む。ステップS12において、マニュアル操作により実装面の水平出しを行い、ステップS15に進む。
【0093】
ステップS13において、立体形状の解析結果に基づいて、ユーザによる実装面の選択を受け付ける。ステップS14において、選択された実装面が水平になる保持部34の姿勢が算出され、保持部34の姿勢が算出した姿勢に変更される。
【0094】
ステップS15において、部品Eの実装座標のユーザによる教示を受け付ける。具体的には、実装面における基板認識カメラ8の画像に基づいて、実装座標の教示が受け付けられる。ステップS16において、この実装面の実装位置の教示が完了したか否かが判断される。完了すれば、ステップS17に進み、完了していなければ、ステップS15に戻る。
【0095】
ステップS17において、全ての実装面の実装位置の教示が完了したか否かが判断される。完了すれば、ステップS18に進み、完了していなければ、ステップS11に戻る。ステップS18において、実装される各部品Eの外形寸法、使用ノズルのユーザによる入力を受け付ける。
【0096】
ステップS19において、部品Eの実装の干渉がチェックされる。具体的には、実装しようとしている部品Eと実装済みの部品Eとの干渉がチェックされる。また、実装しようとしている部品Eを吸着するノズル41aと実装済みの部品Eとの干渉がチェックされる。また、実装しようとしている部品Eを吸着するノズル41aと被実装物Pとの干渉がチェックされる。また、実装しようとしている部品Eを吸着するノズル41aと移載キャリア91との干渉がチェックされる。また、実装中の姿勢における被実装物Pとヘッドユニット4の構造物との干渉がチェックされる。また、実装中の姿勢における移載キャリア91とヘッドユニット4の構造物との干渉がチェックされる。ステップS20において、部品実装の干渉のチェック結果が表示される。その後、データ作成処理が終了される。
【0097】
(立体形状計測処理)
図28を参照して、
図26のステップS8における被実装物Pの立体形状計測処理について説明する。
【0098】
図28のステップS21において、基準位置における5方向(上方、後方、右方、前方、左方)から立体形状計測部9により被実装物Pが計測される。ステップS22において、各方向での計測値毎に、隣接する計測座標3点から三角形の平面の法線ベクトルが求められる。複数の三角形の法線ベクトルが比較されて、同一平面にあるかを判定して平面が求められる。
【0099】
ステップS23において、各方向で求められた平面を原点(基準位置)に移動させた平面に座標変換される。また、複数の面が一つに合成される。これにより、被実装物Pの立体形状の情報が取得される。ステップS24において、隣接する計測点3点からなる三角形の3辺のうち、同一平面上の他の三角形と接していない辺が求められる。
【0100】
ステップS25において、同一平面上の他の三角形と接していない辺の近傍において他の面の三角形を探索し、三角形が所定の距離内にない場合に死角があると判定する。ステップS26において、死角がある場合において、再計測が必要か否かが判断される。再計測が必要であれば、ステップS27に進み、再計測が必要なければ、ステップS28に進む。
【0101】
ステップS27において、立体形状計測部9により被実装物Pの再計測が行われる。この場合、チルト軸およびR軸の刻み幅が入力されて、各方向から被実装物Pの再計測が行われる。その後、ステップS22に戻る。ステップS28において、面の解析結果が表示される。解析結果に基づいてユーザが死角がないかを確認する。
【0102】
ステップS29において、ユーザから再計測の指示があるか否かが判断される。再計測の指示があれば、ステップS30に進み、再計測の指示がなければ、立体形状計測処理が終了される。ステップS30において、立体形状計測部9により被実装物Pの再計測が行われる。この場合、チルト軸およびR軸の刻み幅が入力されて、各方向から被実装物Pの再計測が行われる。その後、ステップS28に戻る。
【0103】
(マニュアル操作による水平出し処理)
図29を参照して、
図27のステップS12におけるマニュアル操作による水平出し処理について説明する。
【0104】
図29のステップS31において、部品Eを実装する実装面が見た目においておよそ水平になるように保持部34の姿勢を変化させるユーザによる手動操作を受け付ける。ステップS32において、手動操作により略水平にされた実装面がレーザ変位計9aにより高さ計測される。実装面が平面の場合は、3点以上の高さ計測が行われ、実装面が曲面の場合は、十字状に計測が行われる。
【0105】
ステップS33において、高さ計測結果から実装面が水平になる保持部34の姿勢が算出されて、保持部34の姿勢が算出された姿勢に変更される。その後、マニュアル操作による水平出し処理が終了される。
【0106】
(実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0107】
本実施形態では、上記のように、立体形状計測部9による被実装物Pの計測結果に基づいて、部品Eが実装される複数の実装面P1~P5の情報を取得する制御装置10を設ける。これにより、被実装物Pの立体形状の情報がない場合でも、被実装物Pの立体形状をユーザが手動により計測して入力する必要がないとともに、被実装物Pの姿勢をユーザが手動により調整する必要がない。また、制御装置10により取得した被実装物Pの実装面P1~P5の情報に基づいて、部品Eが実装可能なように被実装物Pの姿勢を調整することができる。これらの結果、被実装物Pの立体形状の情報がない場合でも、ユーザの作業負担が増大するのを抑制しつつ、被実装物Pの姿勢を調整して被実装物Pに部品Eを実装することができる。
【0108】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置10を、立体形状計測部9による被実装物Pの計測結果から、被実装物Pの面の傾き情報を取得して、面の傾き情報に基づいて、被実装物Pの実装面P1~P5を特定するように構成する。これにより、被実装物Pの立体形状の情報がない場合でも、被実装物Pの実物を計測して被実装物Pの面の傾き情報を取得することにより、被実装物Pの実装面P1~P5の傾きを取得することができる。
【0109】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置10を、傾斜機構部32および回転機構部33の両方により被実装物Pを回動させて、複数の方向から立体形状計測部9により被実装物Pの立体形状を計測するように制御するように構成する。これにより、複数の方向から被実装物Pの立体形状を計測するので、1つの方向から計測する場合と比べて、死角が発生するのを抑制することができる。これにより、被実装物Pの立体形状をより正確に計測することができる。
【0110】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置10を、立体形状計測部9による被実装物Pの計測結果に基づいて、計測方向の死角の有無を判定し、死角がある場合に、未計測の方向から立体形状計測部9により被実装物Pを計測するように制御するように構成する。これにより、死角がある場合に、異なる計測方向から追加の計測が行われるので、死角を効果的に減らすことができる。
【0111】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置10を、被実装物Pの実装面に死角がある場合に、未計測の方向から立体形状計測部9により被実装物Pを計測するように制御するように構成する。これにより、死角により被実装物Pの実装面P1~P5の情報を取得し損ねるのを確実に防止することができる。
【0112】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置10を、取得した複数の実装面P1~P5の情報に基づいて、被実装物Pに部品Eの実装を行うための実装データを作成するように構成する。これにより、被実装物Pの立体形状の情報がない場合でも、実装データの作成を容易に行うことができる。
【0113】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置10を、実装面P1~P5の情報から被実装物Pの実装面P1~P5に部品Eを実装する際に傾斜機構部32および回転機構部33により姿勢を調整するための角度情報を取得するように構成する。これにより、立体形状を有する被実装物Pに部品Eを実装する際に、取得した角度情報に基づいて実装面P1~P5が水平になるように容易に被実装物Pの姿勢を調整することができる。
【0114】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置10を、レーザ変位計9aによる被実装物Pの複数の点における位置情報に基づいて、各3点の位置を通る面の法線ベクトルを比較して、被実装物Pの複数の点が同一平面上にあるか否かを判断するように構成する。これにより、被実装物Pの同一平面を容易に検出することができる。
【0115】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置10を、実装面P1~P5の情報と、部品Eの実装位置の教示とに基づいて、部品実装位置の座標データを作成するように構成する。これにより、被実装物Pの実装面P1~P5に対して部品実装位置を対応付けることができるので、実装ヘッド41により実装面P1~P5に対して部品Eを実装する動作を行うことができる。
【0116】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置10を、実装面P1~P5の画像に基づいて教示された部品実装位置から、部品実装位置の座標データを作成するように構成する。これにより、実物の被実装物Pの実装面P1~P5の画像に対してユーザが部品実装位置を教示することができるので、部品実装位置の座標データを容易に作成することができる。
【0117】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置10を、立体形状計測部9による被実装物Pの計測結果に基づいて取得した実装面P1~P5の情報に基づいて、予め設定された実装面P1~P5の情報を補正するように構成する。これにより、実物の被実装物Pを計測した結果を反映させて実装面P1~P5の情報を補正することができるので、実装面P1~P5の情報の精度を向上させることができる。
【0118】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置10を、立体形状計測部9により被実装物Pの計測を行う前に、被実装物Pの概略の寸法の入力を受け付けるように構成する。これにより、被実装物Pを保持部34により保持して移動させた場合に他の部材と干渉しないかを予め判定することができる。また、立体形状計測部9による被実装物Pの計測範囲を絞りこむことができる。
【0119】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置10を、被実装物Pを保持部34により保持する前に、被実装物Pの概略の寸法を計測して、計測した被実装物Pの概略の寸法に基づいて、立体形状計測部9により計測する被実装物Pの計測範囲を絞りこむように構成する。これにより、計測範囲を被実装物Pの大きさに合わせて設定することができるので、計測範囲を大きくし過ぎた場合に比べて、計測時間を短縮することができる。
【0120】
また、本実施形態では、上記のように、制御装置10を、立体形状計測部9による被実装物Pの計測結果に基づいて、実装面P1~P5に部品Eを実装する際に、実装ヘッド41と、被実装物Pまたは部品Eとが干渉するか否かを判断するように構成する。これにより、実際に部品Eを実装する際に、実装ヘッド41と、被実装物Pまたは部品Eとが衝突するのを抑制することができる。
【0121】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0122】
たとえば、上記実施形態では、被実装物が、平坦な実装面を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、被実装物が、平坦でない実装面を有していてもよい。また、被実装物が、平坦な実装面と、平坦でない実装面との両方を有していてもよい。
【0123】
また、上記実施形態では、保持部を傾斜させる基準面を略水平面とした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、保持部を傾斜させる基準面を略水平面以外にしてもよい。たとえば、基準面を鉛直面としてもよい。
【0124】
また、上記実施形態では、傾斜機構部により回転機構部が支持されている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、回転機構部により傾斜機構部が支持されていてもよい。また、昇降機構部により傾斜機構部および回転機構部が支持された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、傾斜機構部および回転機構部により昇降機構部が支持されていてもよい。
【0125】
また、上記実施形態では、被実装物が、移載キャリアを介して基板搬送部により搬送され、基板保持ユニットの保持部により保持された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、搬送可能であれば、被実装物が、基板搬送部により直接的に搬送されてもよい。また、本発明では、保持可能であれば、被実装物が、保持部により直接的に保持されてもよい。
【0126】
また、上記実施形態では、把持することにより、被実装物を保持するように基板保持ユニットの保持部が構成された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、把持以外の方法により、被実装物を保持するように保持部が構成されてもよい。たとえば、負圧により被実装物を吸着することにより、被実装物を保持するように保持部が構成されていてもよい。
【0127】
また、上記実施形態では、部品実装装置が、基板保持ユニットと、基板バックアップユニットとを取り換え可能に構成された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品実装装置が、基板保持ユニットと、基板バックアップユニット以外のユニットとを取り換え可能に構成されていてもよい。
【0128】
また、上記実施形態では、基台の一方側(Y2側)の端部にのみ、フィーダ配置部が設けられるとともに、テープフィーダが配置された例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基台の両側(Y方向の両側)の端部に、フィーダ配置部がそれぞれ設けられるとともに、テープフィーダがそれぞれ配置されていてもよい。
【0129】
また、上記実施形態では、1つのレーンに沿って、基板(被実装物)が搬送されて作業が行われる構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、2つ以上のレーンに沿って、被実装物が搬送されて作業が行わる構成であってもよい。
【0130】
また、上記実施形態では、立体形状計測部がレーザ変位計およびステレオカメラにより構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、立体形状計測部は、レーザ変位計およびステレオカメラ以外により構成してもよい。たとえば、立体形状計測部は、光切断計測により計測する光切断計測ユニットでもよいし、干渉縞計測により計測する干渉縞計測ユニットでもよい。これらの場合、撮像を行うカメラは、基板認識カメラを用いるようにしてもよい。
【0131】
また、上記実施形態では、部品供給位置にテープに保持された部品を供給する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、部品供給位置にトレイなどに載置された部品を供給してもよい。
【0132】
また、上記実施形態では、複数の実装ヘッドが直線状に1列または複数列設けられたいわゆるインライン式のヘッドユニットを設ける構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、実装ヘッドが円周状に複数設けられたいわゆるロータリー式のヘッドユニットを設けてもよい。
【0133】
また、上記実施形態では、ヘッドユニットが1つ設けられている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ヘッドユニットを複数設けてもよい。
【0134】
上記実施形態では、説明の便宜上、制御装置(制御部)の処理動作を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0135】
9 立体形状計測部
9a レーザ変位計
9b ステレオカメラ
10 制御装置(制御部)
32 傾斜機構部(回動機構部、第1回動機構)
33 回転機構部(回動機構部、第2回動機構)
34 保持部
41 実装ヘッド
100 部品実装装置
E 部品
P 被実装物
P1、P2、P3、P4、P5 実装面