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特許7137493ガス遮断装置およびガス遮断装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】ガス遮断装置およびガス遮断装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/00 20220101AFI20220907BHJP
   G01F 3/22 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
G01F1/00 T
G01F3/22 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019030565
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2020134398
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩本 龍志
(72)【発明者】
【氏名】中田 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】木場 康雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 廣純
(72)【発明者】
【氏名】越智 毅
(72)【発明者】
【氏名】川口 圭史
(72)【発明者】
【氏名】談議 康晴
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-261746(JP,A)
【文献】特開2001-318019(JP,A)
【文献】特開平11-295128(JP,A)
【文献】中国実用新案第206330652(CN,U)
【文献】特開2010-145250(JP,A)
【文献】特開2008-180566(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00- 9/02
F17D 5/06
G01M 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を介して供給されたガスが流通する計測流路と、
前記計測流路内を流通するガスの流量を計測する流量計測部と、
前記計測流路内の湿度を間欠的に検知する湿度センサと、
前記計測流路の開閉を行う遮断部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記遮断部により前記計測流路が開放されている状態において、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、前記配管内における差水の発生の有無を判定するとともに、前記流量計測部によって計測されたガスの流量の値に基づき、前記計測流路内をガスが流れていると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、ガスが流れていると判定する前の間隔よりも短くするように制御するガス遮断装置。
【請求項2】
配管を介して供給されたガスが流通する計測流路と、
前記計測流路内を流通するガスの流量を計測する流量計測部と、
前記計測流路内の湿度を間欠的に検知する湿度センサと、
前記計測流路の開閉を行う遮断部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記遮断部により前記計測流路が開放されている状態において、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、前記配管内における差水の発生の有無を判定するとともに、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、湿度が上昇していると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、湿度が上昇していると判定する前の間隔よりも短くするように制御するガス遮断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、湿度が上昇していると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、湿度が上昇していると判定する前の間隔よりも短い間隔である第1の間隔に変更するように制御しており、
前記制御部は、湿度が上昇していると判定すると共に、前記流量計測部によって計測されたガスの流量の値に基づき、前記計測流路内をガスが流れていると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、前記第1の間隔よりも短い間隔である第2の間隔に変更するように制御する請求項2に記載のガス遮断装置。
【請求項4】
配管を介して供給されたガスが流通する計測流路と、
前記計測流路内を流通するガスの流量を計測する流量計測部と、
前記計測流路内の湿度を間欠的に検知する湿度センサと、
前記計測流路の開閉を行う遮断部と、を備えるガス遮断装置の制御方法であって、
前記遮断部により前記計測流路が開放されている状態において、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、前記配管内における差水の発生の有無を判定するステップと、
前記流量計測部によって計測されたガスの流量の値に基づき、前記計測流路内をガスが流れていると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、ガスが流れていると判定する前の間隔よりも短くするステップと、を含むガス遮断装置の制御方法。
【請求項5】
配管を介して供給されたガスが流通する計測流路と、
前記計測流路内を流通するガスの流量を計測する流量計測部と、
前記計測流路内の湿度を間欠的に検知する湿度センサと、
前記計測流路の開閉を行う遮断部と、を備えるガス遮断装置の制御方法であって、
前記遮断部により前記計測流路が開放されている状態において、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、前記配管内における差水の発生の有無を判定するステップと、
前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、湿度が上昇していると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、湿度が上昇していると判定する前の間隔よりも短くするステップと、を含むガス遮断装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管内における差水の発生を検出するガス遮断装置(ガスメータ)およびガス遮断装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋設されたガス管の近傍に水道管が埋設されている場合、当該水道管が破損したときに破損箇所からの水流が周辺の土砂や石を巻き込み、当該土砂や石がガス管に衝突するサンドブラストが発生することがある。当該サンドブラストによりガス管が破損した場合、ガス管の内部に泥水が侵入する(以下、差水と呼ぶことがある)ことがある。
【0003】
このように、配管内に差水が発生すると、供給されるガス中に水分が含まれ、ガスの供給不良、またはガス流量の測定不良等が生じる可能性がある。また、ガス需要家宅に備えられているガス機器においてバーナの着火不良が生じたり、バーナにおけるガスの噴出口から水が噴出したりする可能性もある。
【0004】
そこで、上記した問題を解決するために、配管内において差水が発生したことを検出することができるガス遮断装置(ガス管内差水検出装置)が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
特許文献1に開示されたガス遮断装置(ガス管内差水検出装置)は、所定の流路内を流れるガス中の湿度を検出する湿度検出器と、湿度検出器からの出力に基づいて、所定の流路にガスを導くガス管内に水が浸入したか否か判定する判定手段とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2001-318019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来のガス遮断装置は、配管内に差水が発生しているか否かを判定するために用いられる湿度センサ(湿度検出器)の駆動に要する電力量の抑制について考慮されていないという問題がある。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、配管内における差水の発生の有無を確度よく判定することができるとともに、湿度センサの駆動に要する電力量を抑制させることができるガス遮断装置およびガス遮断装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るガス遮断装置の一態様(aspect)は、配管を介して供給されたガスが流通する計測流路と、前記計測流路内を流通するガスの流量を計測する流量計測部と、前記計測流路内の湿度を間欠的に検知する湿度センサと、前記計測流路の開閉を行う遮断部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記遮断部により前記計測流路が開放されている状態において、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、前記配管内における差水の発生の有無を判定するとともに、前記流量計測部によって計測されたガスの流量の値に基づき、前記計測流路内をガスが流れていると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、ガスが流れていると判定する前の間隔よりも短くするように制御する。
【0010】
本発明に係るガス遮断装置の一態様は、配管を介して供給されたガスが流通する計測流路と、前記計測流路内を流通するガスの流量を計測する流量計測部と、前記計測流路内の湿度を間欠的に検知する湿度センサと、前記計測流路の開閉を行う遮断部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記遮断部により前記計測流路が開放されている状態において、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、前記配管内における差水の発生の有無を判定するとともに、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、湿度が上昇していると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、湿度が上昇していると判定する前の間隔よりも短くするように制御する。
【0011】
本発明に係るガス遮断装置の制御方法の一態様は、配管を介して供給されたガスが流通する計測流路と、前記計測流路内を流通するガスの流量を計測する流量計測部と、前記計測流路内の湿度を間欠的に検知する湿度センサと、前記計測流路の開閉を行う遮断部と、を備えるガス遮断装置の制御方法であって、前記遮断部により前記計測流路が開放されている状態において、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、前記配管内における差水の発生の有無を判定するステップと、前記流量計測部によって計測されたガスの流量の値に基づき、前記計測流路内をガスが流れていると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、ガスが流れていると判定する前の間隔よりも短くするステップと、を含む。
【0012】
本発明に係るガス遮断装置の制御方法の一態様は、配管を介して供給されたガスが流通する計測流路と、前記計測流路内を流通するガスの流量を計測する流量計測部と、前記計測流路内の湿度を間欠的に検知する湿度センサと、前記計測流路の開閉を行う遮断部と、を備えるガス遮断装置の制御方法であって、前記遮断部により前記計測流路が開放されている状態において、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、前記配管内における差水の発生の有無を判定するステップと、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、湿度が上昇していると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、湿度が上昇していると判定する前の間隔よりも短くするステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、以上の構成により、配管内における差水の発生の有無を確度よく判定することができるとともに、湿度センサの駆動に要する電力量を抑制させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】計測流路が開弁された状態でかつガスの不使用期間およびガスの使用期間における計測流路内の湿度変化を示す時系列データの一例である。
図2】本発明の実施の形態に係るガス遮断装置の構成例を示すブロック図である。
図3図2に示すガス遮断装置の差水判定処理に関する構成の一例を示すブロック図である。
図4図2に示すガス遮断装置による差水判定処理の一例を示すフローチャートである。
図5図2に示すガス遮断装置による差水判定処理の変形例の一例を示すフローチャートである。
図6図2に示すガス遮断装置の有する湿度センサの駆動制御に関する構成の一例を示すブロック図である。
図7図2に示すガス遮断装置の有する湿度センサの駆動制御の一例を示すフローチャートである。
図8図2に示すガス遮断装置が有する湿度センサの駆動制御の変形例1の一例を示すフローチャートである。
図9図2に示すガス遮断装置が有する湿度センサの駆動制御の変形例2の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(本発明の一形態を得るに至った経緯)
本発明者らは配管内における差水の発生を検出することができるガス遮断装置として、上記した特許文献1に係るガス遮断装置(ガス管内差水検出装置)のように、湿度センサ(湿度検出器)を用いる構成について鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
【0016】
まず特許文献1に開示されたガス遮断装置(ガス管内差水検出装置)では、以下の構成が提案されている。
【0017】
すなわち、所定の流路内を流れるガスの湿度を検出する湿度検出器と、湿度検出器からの出力に基づいて、所定の流路にガスを導く配管内に水が浸入したか否か判定する判定手段を備える。この構成により、流路内を流れるガスを検出対象としてガス中の水分の混入を検出することができる。
【0018】
しかしながら、特許文献1に開示されたガス遮断装置では、湿度センサの駆動の態様と、駆動に要する電力量とについて考慮されていないという問題がある。
【0019】
つまり、湿度センサは、消費電力量が大きい。そのため、通常、消費電力量を抑制するように、間欠的に駆動させ、湿度を検出するように構成されている。ここで、特許文献1に開示されたガス遮断装置の構成において、湿度センサを間欠的に駆動させた場合、以下の問題が生じる。
【0020】
すなわち、湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を短くすると湿度の変化(湿度の時系列データの変化)の検出精度は向上するが、湿度の検出に要する電力量が大きくなる。一方、湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を長くすると湿度の検出に要する電力量を抑制することができるが、湿度の変化の検出精度が低くなる。
【0021】
そこで、本発明者らは、配管内における差水の発生を検出するにあたり、湿度の変化を詳細に把握する必要がある期間では、湿度センサを間欠的に駆動させる間隔をより短くし、湿度の変化を詳細に把握する必要がない期間では、湿度センサを間欠的に駆動させる間隔をより長くすることで、湿度センサの消費電力量を抑制しつつ、適切に差水の発生を検出することができることを見出した。
【0022】
具体的には、図1に示すように配管に差水が生じている場合、ガス不使用期間およびガスの使用開始後において湿度の時系列データに特徴的な変化が見られることを見出した。
【0023】
なお、図1は、計測流路が開弁された状態でかつガスの不使用期間およびガスの使用期間における計測流路内の湿度変化を示す時系列データの一例である。図1において、実線により配管に差水が生じている場合の湿度の時系列変化を示し、一点鎖線により配管に差水が生じていない場合の湿度の時系列変化を示している。
【0024】
より具体的には、図1に示すように、配管内に差水が生じている場合、ガスの不使用期間において徐々に湿度が上昇する。一方、配管内に差水が生じていない場合は、ガスの不使用期間においてほぼ湿度に変化が見られない。さらに、配管内に差水が生じている場合、ガスの使用が開始されると、短時間(数十秒)だけ湿度が急増するピークが生じるが、配管内に差水が生じていない場合はこのようなピークが生じない。
【0025】
このように、本発明者らは、配管内に差水が発生している場合、ガス不使用期間およびガスの使用開始後において湿度の時系列データに特徴的な変化がみられることに気が付いた。
【0026】
そして、配管内に差水が発生している時の図1に示す湿度の特徴的な時系列データの変化から、配管内における差水の有無を判定する構成とすることで、配管内に差水が発生しているか否か適切に判定することができることを見出した。
【0027】
さらに、この特徴的な時系列データの変化が見られる期間では、湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を短くし、それ以外の期間では湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を長くすることで、配管内における差水の発生を確度よく判定することができるとともに湿度センサの駆動に要する電力量を低減させることができることを見出した。
【0028】
上記した本発明者等の知見は、これまで明らかにされていなかったものであり、顕著な作用効果を奏する新規な技術的特徴を有するものである。そこで、本発明は具体的には以下に示す態様を提供する。
【0029】
本発明の第1の態様に係るガス遮断装置は、配管を介して供給されたガスが流通する計測流路と、前記計測流路内を流通するガスの流量を計測する流量計測部と、前記計測流路内の湿度を間欠的に検知する湿度センサと、前記計測流路の開閉を行う遮断部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記遮断部により前記計測流路が開放されている状態において、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、前記配管内における差水の発生の有無を判定するとともに、前記流量計測部によって計測されたガスの流量の値に基づき、前記計測流路内をガスが流れていると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、ガスが流れていると判定する前の間隔よりも短くするように制御する。
【0030】
上記構成によると、制御部は、流量計測部によって計測されたガスの流量の値に基づき、計測流路内をガスが流れていると判定した場合、湿度センサを間欠的に駆動させる間隔をガスが流れていると判定する前の間隔よりも短くするように制御する。このため、配管内に差水が発生している場合に現れる、ガスの使用開始後における湿度の時系列変化のピークの有無を確度よく判定することができる。
【0031】
また、ガスの使用開始後から湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を短くするように制御するため、湿度センサの駆動に要する電力量を抑制することができる。
【0032】
よって、配管内における差水の発生の有無を確度よく判定することができるとともに、湿度センサの駆動に要する電力量を抑制させることができるという効果を奏する。
【0033】
本発明の第2の態様に係るガス遮断装置は、配管を介して供給されたガスが流通する計測流路と、前記計測流路内を流通するガスの流量を計測する流量計測部と、前記計測流路内の湿度を間欠的に検知する湿度センサと、前記計測流路の開閉を行う遮断部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記遮断部により前記計測流路が開放されている状態において、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、前記配管内における差水の発生の有無を判定するとともに、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、湿度が上昇していると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、湿度が上昇していると判定する前の間隔よりも短くするように制御する。
【0034】
上記構成によると、制御部は、湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、湿度が上昇していると判定した場合、湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、湿度が上昇していると判定する前の間隔よりも短くするように制御する。このため、配管内に差水が発生している場合に現れる湿度の特徴的な時系列変化の有無を確度よく判定することができる。
【0035】
また、湿度が上昇していると判定した時点から湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を短くするように制御するため、湿度センサの駆動に要する電力量を抑制することができる。
【0036】
よって、配管内における差水の発生の有無を確度よく判定することができるとともに、湿度センサの駆動に要する電力量を抑制させることができるという効果を奏する。
【0037】
本発明の第3の態様に係るガス遮断装置は、上記した第2の態様において、前記制御部は、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、湿度が上昇していると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、湿度が上昇していると判定する前の間隔よりも短い間隔である第1の間隔に変更するように制御しており、前記制御部は、湿度が上昇していると判定すると共に、前前記流量計測部によって計測されたガスの流量の値に基づき、前記計測流路内をガスが流れていると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、前記第1の間隔よりも短い間隔である第2の間隔に変更するように制御するように構成されていてもよい。
【0038】
上記構成によると、制御部は、湿度が上昇していると判定した場合、湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、第1の間隔に変更して短くすることができる。このため、配管内に差水が発生している場合に現れる湿度の特徴的な時系列変化の有無を確度よく判定することができる。
【0039】
また、湿度が上昇していると判定した時点から湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を第1の間隔に変更させて短くすることができるため、湿度センサの駆動に要する電力量を抑制することができる。
【0040】
さらにまた、制御部は、湿度が上昇していると判定すると共に、計測流路内をガスが流れていると判定した場合、湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、第1の間隔よりも短い間隔である第2の間隔に変更させて短くすることができるため、湿度センサの駆動に要する電力量を抑制することができる。
【0041】
また、ここで、計測流路内をガスが流れていないガス不使用期間における湿度の時系列変化よりも、ガスの使用開始後における湿度の時系列変化の方が短時間で大きく変化する。
【0042】
そこで、本発明の第3の態様に係るガス遮断装置では、ガス不使用期間よりもガスの使用開始後の方が湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を短くするように構成されている。
【0043】
このため、ガス不使用期間およびガスの使用開始後それぞれにおいて湿度の時系列変化を適切に得ることができる。それ故、配管内における差水の有無の判定を確度よく行うことができる。
【0044】
本発明の第4の態様に係るガス遮断装置の制御方法は、配管を介して供給されたガスが流通する計測流路と、前記計測流路内を流通するガスの流量を計測する流量計測部と、前記計測流路内の湿度を間欠的に検知する湿度センサと、前記計測流路の開閉を行う遮断部と、を備えるガス遮断装置の制御方法であって、前記遮断部により前記計測流路が開放されている状態において、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、前記配管内における差水の発生の有無を判定するステップと、前記流量計測部によって計測されたガスの流量の値に基づき、前記計測流路内をガスが流れていると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、ガスが流れていると判定する前の間隔よりも短くするステップと、を含む。
【0045】
上記方法によると、流量計測部によって計測されたガスの流量の値に基づき、計測流路内をガスが流れていると判定した場合、湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、ガスが流れていると判定する前の間隔よりも短くする。このため、配管内に差水が発生している場合に現れる、ガスの使用開始後における湿度の時系列変化のピークの有無を確度よく判定することができる。
【0046】
また、ガスの使用開始後から湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を短くするため、湿度センサの駆動に要する電力量を抑制することができる。
【0047】
よって、配管内における差水の発生の有無を確度よく判定することができるとともに、湿度センサの駆動に要する電力量を抑制させることができるという効果を奏する。
【0048】
本発明の第5の態様に係るガス遮断装置の制御方法は、配管を介して供給されたガスが流通する計測流路と、前記計測流路内を流通するガスの流量を計測する流量計測部と、前記計測流路内の湿度を間欠的に検知する湿度センサと、前記計測流路の開閉を行う遮断部と、を備えるガス遮断装置の制御方法であって、前記遮断部により前記計測流路が開放されている状態において、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、前記配管内における差水の発生の有無を判定するステップと、前記湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、湿度が上昇していると判定した場合、前記湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を、湿度が上昇していると判定する前の間隔よりも短くするステップと、を含む。
【0049】
上記方法によると、湿度センサによって検知された湿度の値の時系列変化に基づき、湿度が上昇していると判定した場合、湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を湿度が上昇していると判定する前の間隔よりも短くする。このため、配管内に差水が発生している場合に現れる湿度の特徴的な時系列変化の有無を確度よく判定することができる。
【0050】
また、湿度が上昇していると判定した時点から湿度センサを間欠的に駆動させる間隔を短くするため、湿度センサの駆動に要する電力量を抑制することができる。
【0051】
よって、配管内における差水の発生の有無を確度よく判定することができるとともに、湿度センサの駆動に要する電力量を抑制させることができるという効果を奏する。
【0052】
以下、本発明の代表的な実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図を通じて同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0053】
[ガス遮断装置の構成]
本実施の形態に係るガス遮断装置100は、図2に示すように、流量計測部20と、制御部21と、報知部22と、遮断部23と、湿度センサ24とを備えた、ガスメータである。図2は、本発明の実施の形態に係るガス遮断装置100の構成例を示すブロック図である。
【0054】
ガス遮断装置100では、計測流路11は、ガスの流れ方向において上流側の端部で、例えば公道下に敷設された配管(不図示)と接続されている供給管10と第1接続部25を介して接続されている。一方、計測流路11は、下流側の端部で、需要家に引き込まれる室内管12と第2接続部26を介して接続されている。
【0055】
このため、配管を流通するガスは供給管10を介して計測流路11を流れ、室内管12を通じて需要家に設けられたガス機器に供給することができる。
【0056】
なお、計測流路11には、上流側から順に遮断部23、湿度センサ24、および流量計測部20が設けられている。
【0057】
遮断部23は、計測流路11の開閉を行う装置であり、制御部21からの制御指示に応じて計測流路11を遮断して閉状態としたり、開放させて開状態としたりする。遮断部23は、例えば、電磁遮断弁または機械式遮断弁等を挙げることができる。遮断部23は、地震など有事の発生時には、制御部21から送信された電気信号に応じて計測流路11を遮断する構成としてもよいし、感震器(不図示)の動作に応じて、計測流路11を遮断する構成としてもよい。
【0058】
湿度センサ24は、計測流路11内の湿度を検知する装置であり、検知された値は制御部21に送信される。
【0059】
流量計測部20は、計測流路11を流通する単位時間当たりのガスの流量を計測する装置である。流量計測部20は膜式ガスメータであってもよいし超音波式ガスメータであってもよい。あるいは、例えば、電子的な検出原理を利用したフローセンサ、あるいはフルイディック方式等の瞬時流量計によってガス流量を求めるように構成されていてもよい。流量計測部20によって計測されたガスの流量を示す値は制御部21に送信される。
【0060】
制御部21は、ガス遮断装置100が備える各部の各種制御を行うものであり、CPU等の演算部(不図示)、及びROM、RAM等の記憶部(不図示)を備えている。記憶部には、例えば、ガス遮断装置100の基本プログラム及び各種固定データ等の情報が記憶されており、演算部はこの基本プログラム等を読み出して実行することにより、制御部21は各部の動作を制御する。なお、制御部21は、集中制御する単独の制御部によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御部によって構成されていてもよい。
【0061】
報知部22は、外部に情報を知らせる装置であり、例えば、配管内における差水の発生を外部に通知することができる。報知部22は、例えば、音声で通知する場合は音響装置、通信回線網を通じて外部装置に通知する場合は通信インタフェース、光などで通知する場合は発光装置等が例示できる。
【0062】
次に、本実施の形態に係るガス遮断装置100における差水の有無を判定する差水判定処理に関する構成について図3を参照して説明する図3は、図2に示すガス遮断装置100の差水判定処理に関する構成の一例を示すブロック図である。
【0063】
[差水判定処理]
(差水判定処理に関する構成)
図3に示すように、制御部21は、差水判定処理に関する機能ブロックとして、湿度上昇判定部31、流量演算部32、流通判定部33、および差水判定部34を備える。
【0064】
湿度上昇判定部31は、湿度センサ24によって検知された計測流路11内の湿度の値を所定の間隔で逐次受け付け、湿度が上昇したか否か判定する。湿度上昇判定部31は、湿度センサ24によって検知された湿度の値を逐次受け付け、記憶部(不図示)に時系列データを記憶する。そして、湿度上昇判定部31は、この時系列データの変化に基づき、湿度の上昇の有無を判定する。
【0065】
例えば、湿度上昇判定部31は、時系列データにおいて、直近の湿度の値と前回、受け付けた湿度の値とを比較して湿度の上昇の有無を判定する構成であってもよい。あるいは、湿度上昇判定部31は、時系列データにおける直近のn個(nは任意の自然数)のデータの平均を求めた移動平均の値の変化から湿度の上昇の有無を判定する構成であってもよい。
【0066】
また、湿度の値が所定値以上変化した場合に湿度上昇判定部31は、湿度が上昇したと判定してもよい。換言すると湿度センサ24による湿度の測定誤差に対処するため、湿度の値が所定値以上変化していない場合は、仮に検知された直近の湿度の値が前回、検知された湿度の値よりも大きくなっていても湿度が上昇したとは判定しない。
【0067】
流量演算部32は、流量計測部20によって計測された値を所定の間隔で逐次受け付ける。そして、流量演算部32は、受け付けた値に基づき、計測流路11を流れるガスの流量値を求める。
【0068】
流通判定部33は、流量演算部32によって求めたガスの流量値に基づき、計測流路11内をガスが流れているか否か判定する。
【0069】
ここで、流通判定部33が、ガスが流れていると判定した場合、ガスが使用されている状態にあることを示す。一方、流通判定部33が、ガスが流れていないと判定した場合、ガスが使用されていない状態にあることを示す。
【0070】
差水判定部34は、湿度上昇判定部31の判定結果と、流通判定部33の判定結果とに基づき、配管における差水の有無を判定する。具体的には、差水判定部34は、湿度が上昇していると判定し、かつ計測流路11内をガスが流れていないと判定した場合、配管内に差水が発生していると判定する。
【0071】
差水判定部34は、差水の有無の判定結果において、配管内に差水が生じていると判定した場合、その判定結果を報知部22に送信する。報知部22は、差水判定部34の判定結果を受信すると、外部に対して配管内における差水の発生を報知する。
【0072】
(差水判定処理フロー)
上記した構成を有するガス遮断装置100では、図4に示すフローチャートにより差水判定処理を実施する。図4は、図2に示すガス遮断装置100による差水判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0073】
すなわち、図4に示すように、遮断部23により計測流路11が開放されている状態(開状態)において、湿度上昇判定部31が湿度センサ24から湿度の値を逐次、受け付ける(ステップS11)。そして、受け付けた湿度の値に基づき、湿度が上昇したか否か判定する(ステップS12)。
【0074】
ここで、湿度上昇判定部31が、湿度が上昇していないと判定した場合(ステップS12において「No」)、ステップS11に戻って、湿度の値を所定の間隔で逐次受け付ける。
【0075】
一方、湿度が上昇したと判定した場合(ステップS12において「Yes」)、流量演算部32が、流量計測部20によって検知された値に基づき、計測流路11内を流れるガスの流量を求める(ステップS13)。流量演算部32によって求められたガスの流量の値に基づき、流通判定部33が計測流路11内をガスが流れているか否か判定する(ステップS14)。
【0076】
ここで、流通判定部33が、計測流路11内をガスが流れていると判定した場合(ステップS14において「No」)、ステップS13に戻って、流量演算部32が、流量計測部20によって計測された値を所定の間隔で逐次受け付け、計測流路11内を流れるガスの流量を求める。
【0077】
一方、流通判定部33が、計測流路11内をガスが流れていないと判定した場合(ステップS14において「Yes」)、差水判定部34は、配管内に差水が発生していると判定する。そして、配管内における差水の発生を報知するように報知部22を制御する(ステップS15)。
【0078】
なお、上記ではステップS11およびステップS12によって湿度の上昇判定を行った後、湿度が上昇している場合に、ステップS13およびステップS14によって計測流路11内をガスが流れているか否か判定する構成であった。
【0079】
しかしながら、ステップS13およびステップS14を先に実行し、計測流路11内をガスが流れていない場合に、ステップS11およびステップS12を実行してもよい。あるいは、ステップS11およびステップS12とステップS13およびステップS14を並行して実行して、湿度が上昇し、かつ計測流路11内をガスが流れていないという条件を満たす場合に配管内において差水が発生していると差水判定部34が判定してもよい。
【0080】
以上のように、本発明の実施の形態に係るガス遮断装置100は、計測流路11が開弁状態でかつ、ガスが流れていない時に、配管内に差水が発生したか否か判定することができる。このため、ガスが使用される前の時点で適切に配管内に差水が発生したか否か判定し、外部に報知することができる。
【0081】
なお、本発明の実施の形態に係るガス遮断装置100では、ガスの不使用期間において計測流路11内の湿度が上昇した場合に配管内に差水が生じていると判定する構成であった。しかしながら、ガスの使用が確認されたタイミング(計測流路11内をガスが流れていると判定したタイミング)から所定期間における湿度の時系列データから所定期間に所定値以上、湿度が上昇し、かつ湿度が下降しているか否か判定し配管内の差水の発生を判定する構成としてもよい。
【0082】
すなわち、ガスの使用開始後の短時間に生じる、湿度が急増しピークが生じる変化から配管内の差水の発生を判定する構成としてもよい。以下、差水判定処理の変形例について説明する。
【0083】
[差水判定処理の変形例]
差水判定処理の変形例に関する制御部21の機能ブロックは、図3に示す機能ブロックと同様であるため説明は省略する。
【0084】
ガス遮断装置100は、図5に示すようにして差水判定処理の変形例を実施する。図5は、図2に示すガス遮断装置100による差水判定処理の変形例の一例を示すフローチャートである。
【0085】
すなわち、図5に示すように、遮断部23により計測流路11が開放されている状態(開状態)において、流量演算部32が、流量計測部20によって検知された値に基づき、計測流路11内を流れるガスの流量を求める(ステップS21)。流量演算部32によって求められたガスの流量の値に基づき、流通判定部33が計測流路11内をガスが流れているか否か確認して、ガスの使用が開始されたか否か判定する(ステップS22)。
【0086】
ガスの使用が開始されたと判定されない間(ステップS22において「No」)は、ステップS21に戻って流量演算部32がガスの流量を求める。
【0087】
一方、ガスの使用が開始されたと判定された場合、湿度上昇判定部31が湿度センサ24から湿度の値を逐次、受け付ける(ステップS23)。そして、受け付けた湿度の値に基づき、湿度が所定期間において所定値以上、上昇し、かつその後、降下したか否か判定する(ステップS24)。
【0088】
湿度上昇判定部31が、湿度が所定期間において所定値以上、上昇し、かつその後、降下したと判定した場合(ステップS24において「Yes」)、差水判定部34は、配管内に差水が発生していると判定する。そして、配管内における差水の発生を報知するように報知部22を制御する(ステップS25)。
【0089】
一方、ステップS24において「No」の場合、配管内に差水が発生していないと判定する(ステップS26)。
【0090】
なお、制御部21は、上記した差水判定処理および差水判定処理の変形例の両方を実施し、両方の判定で配管内に差水が発生したと判定した場合に、配管内における差水の発生を報知するように報知部22を制御する構成としてもよい。
【0091】
以上のように、制御部21は、湿度センサ24によって検知された値の時系列変化に基づき、配管内における差水の有無を判定することができる。また、このように、差水判定処理を実施するにあたり、制御部21は、湿度センサ24を以下のように間欠的に駆動させるように制御する。
【0092】
[湿度センサの駆動制御]
(湿度センサの駆動制御に関する構成)
次に、本実施の形態に係るガス遮断装置100における湿度センサの駆動制御に関する構成について図6を参照して説明する。図6は、図2に示すガス遮断装置100の有する湿度センサ24の駆動制御に関する構成の一例を示すブロック図である。
【0093】
図6に示すように、制御部21は、湿度センサ24の駆動制御に関する機能ブロックとして、湿度上昇判定部31、流量演算部32、流通判定部33、および測定間隔指示部35を備える。なお、湿度上昇判定部31、流量演算部32、および流通判定部33については、上記した「差水判定処理に関する構成」において説明したため、ここでは説明を省略する。
【0094】
測定間隔指示部35は、流通判定部33の判定結果および湿度上昇判定部31の判定結果の少なくとも1つの判定結果に基づき、湿度センサ24を間欠的に駆動させる間隔を指示する。
【0095】
本発明の実施の形態に係るガス遮断装置100では、湿度センサ24を間欠的に駆動させる駆動パターンとして、湿度センサ24を間欠的に駆動させる間隔がより短い駆動パターンAと間隔がより長い駆動パターンBとが設定されている。
【0096】
なお、駆動パターンAを、例えば、数秒間隔で湿度センサ24を間欠的に駆動させるパターンとし、駆動パターンBを、例えば、数十秒間隔で湿度センサ24を間欠的に駆動させるパターンとしてもよい。
【0097】
そして、通常では、駆動パターンBで湿度センサ24を間欠的に駆動させ、湿度センサ24の消費電力量を抑制している。そして、差水が発生しているか否か判定することができるガスの使用開始後からの所定期間において駆動パターンBから駆動パターンAに切替えて、湿度変化の検出精度を高めるように構成されている。なお、ガスの使用開始後からの所定期間は固定された期間であってもよいし、ガスの流量が所定値を超えたと判定するまでの期間であってもよい。
【0098】
なお、湿度センサ24を間欠的に駆動させる間隔は、上記した駆動パターンA、Bに限定されるものではなく、駆動パターンBよりもさらに間欠的に駆動させる間隔がより長い駆動パターン(駆動パターンC)がさらに設定されていてもよい。
【0099】
この駆動パターンに関する情報は記憶部(不図示)に予め記憶されており、測定間隔指示部35は、記憶されている駆動パターンを参照して湿度センサ24を間欠的に駆動させる駆動パターンを、別の駆動パターンに切り換えるように制御する。例えば、測定間隔指示部35は、湿度センサ24の駆動パターンを駆動パターンBから駆動パターンAに切換えたり、駆動パターンAから駆動パターンBに切り換えたりするように制御する。
【0100】
また、湿度センサ24が駆動パターンAで駆動する期間を、ガスの使用開始後からの固定された期間とする場合、測定間隔指示部35は、計時部(不図示)によって計測された時間に基づき駆動パターンAで湿度センサ24を駆動させる期間を管理する。一方、湿度センサ24が駆動パターンAで駆動する期間を、ガスの使用開始後からガスの流量が所定値を超えるまでとする場合は、測定間隔指示部35は、流量演算部32によって求めたガスの流量値に基づき、ガスの流量が所定値を超えたか否か判定し、駆動パターンAで湿度センサ24を駆動させる期間を管理する構成としてもよい。
【0101】
(湿度センサの駆動制御フロー)
上記した構成を有するガス遮断装置100では、図7に示すフローチャートにより湿度センサ24の駆動制御を実施する。図7は、図2に示すガス遮断装置100の有する湿度センサ24の駆動制御の一例を示すフローチャートである。
【0102】
すなわち、図7に示すように、遮断部23により計測流路11が開放されている状態(開状態)で、流量演算部32が、流量計測部20によって検知された値に基づき、計測流路11内を流れるガスの流量を求める(ステップS31)。流量演算部32によって求められたガスの流量の値に基づき、流通判定部33が計測流路11内をガスが流れているか否か判定する(ステップS32)。
【0103】
ここで、流通判定部33が、計測流路11内をガスが流れていないと判定した場合(ステップS32において「No」)、ステップS31に戻って、流量演算部32が、流量計測部20によって計測された値を所定の間隔で逐次受け付け、計測流路11内を流れるガスの流量を求める。なお、ステップS32の判定を行う際にガス遮断装置100において湿度センサ24の駆動パターンが駆動パターンAに設定されている場合、ステップS32において「No」と判定したとき、測定間隔指示部35は、湿度センサ24を駆動させる間隔を駆動パターンBに戻すように構成していてもよい。
【0104】
一方、流通判定部33が、計測流路11内をガスが流れていると判定した場合(ステップS32において「Yes」)、測定間隔指示部35は、湿度センサ24を駆動させる間隔を変更させる(ステップS33)。
【0105】
具体的には、測定間隔指示部35は、駆動パターンBからより駆動させる間隔が短くなる駆動パターンAで駆動するように湿度センサ24を制御する。このように、制御部21では、湿度センサ24を、ガスの使用開始後から所定期間は駆動パターンAで駆動するように制御する。
【0106】
以上のように、計測流路11内をガスが流れて、ガスが使用開始されたと判定すると、湿度センサ24を間欠的に駆動させる間隔がより短くなるように制御することができる。このため、図1に示すように、管内に差水が発生しているときにガスの使用開始後に現れる湿度変化のピークを確度よく検出することができる。
【0107】
また、ガスが使用開始されるまでは、湿度センサ24を間欠的に駆動させる間隔が長くなる駆動パターンBで駆動させるように制御しており、ガスの使用開始後から所定期間は湿度センサ24を間欠的に駆動させる間隔が短くなる駆動パターンAで駆動させるように制御されている。このため、湿度センサ24の駆動に要する電力量を抑制することができる。
【0108】
[湿度センサの駆動制御の変形例1]
以下において、湿度センサ24の駆動制御の変形例1について説明する。湿度センサ24の駆動制御の変形例1に関する制御部21の機能ブロックは、図6に示す機能ブロックと同様であるため説明は省略する。
【0109】
ガス遮断装置100は、図8に示すようにして湿度センサ24の駆動制御の変形例1を実施する。図8は、図2に示すガス遮断装置100が有する湿度センサ24の駆動制御の変形例1の一例を示すフローチャートである。
【0110】
すなわち、図8に示すように、遮断部23により計測流路11が開放されている状態(開状態)において、湿度上昇判定部31が湿度センサ24から湿度の値を逐次、受け付ける(ステップS41)。そして、受け付けた湿度の値に基づき、湿度が上昇したか否か判定する(ステップS42)。
【0111】
ここで、湿度上昇判定部31が、湿度が上昇していないと判定した場合(ステップS42において「No」)、ステップS41に戻って、湿度の値を所定の間隔で逐次受け付ける。なお、ステップS42の判定を行う際にガス遮断装置100において湿度センサ24の駆動パターンが駆動パターンAに設定されている場合、ステップS42において「No」と判定したとき、測定間隔指示部35は、湿度センサ24を駆動させる間隔を駆動パターンBに戻すように構成していてもよい。
【0112】
一方、湿度上昇判定部31が、湿度が上昇したと判定した場合(ステップS42において「Yes」)、測定間隔指示部35は、湿度センサ24を間欠的に駆動させる間隔を変更させる(ステップS43)。
【0113】
具体的には、測定間隔指示部35は、駆動パターンBからより駆動させる間隔がより短くなる駆動パターンAで駆動するように湿度センサ24を制御する。このように、制御部21では、湿度センサ24を、湿度が上昇したタイミングから所定期間は駆動パターンAで駆動するように制御する。
【0114】
以上のように、計測流路11内の湿度が上昇したと判定すると、湿度センサ24を間欠的に駆動させる間隔がより短くなるように制御することができる。このため、図1に示すように、管内に差水が発生しているときにガスの不使用期間に現れる湿度の上昇を確度よく検出することができる。
【0115】
また、計測流路11内の湿度が上昇するまでは、湿度センサ24を間欠的に駆動させる間隔が長くなる駆動パターンBで駆動させるように制御しており、湿度の上昇後からの所定期間は湿度センサ24を間欠的に駆動させる間隔が短くなる駆動パターンAで駆動させるように制御されている。このため、湿度センサ24の駆動に要する電力量を抑制することができる。
【0116】
また、上記した湿度センサの駆動制御の変形例1において、ガスの流量に基づきガスが流れているか否かについても並行して判定し、ガスが流れていない(ガス不使用期間)状態でかつ、ステップS42において湿度が上昇したと判定した場合に、ステップS43において湿度センサ24を間欠的に駆動させる間隔が短くなるように駆動パターンを変更させる構成としてもよい。
【0117】
なお、「湿度センサの駆動制御の変形例1」では、湿度の上昇を検出したタイミングで湿度センサ24を間欠的に駆動させる間隔をより短い間隔とすることができる。このため、図7に示す湿度センサ24の駆動制御と比較して、管内に差水が発生している時に現れる湿度の時系列データの特徴的な変化をより確実に検出することができる。
【0118】
その一方で、ガスの使用開始よりも前の段階で湿度センサ24を間欠的に駆動させる間隔を短くするため、湿度センサ24の駆動に要する電力量が図7に示す湿度センサ24の駆動制御と比較して大きくなる。
【0119】
なお、上記した図8に示す湿度センサ24の駆動制御と、図8に示す湿度センサ24の駆動制御の変形例1とを組み合わせて、湿度センサ24の間欠的な駆動の間隔を変更させる構成としてもよい。以下において、湿度センサ24の駆動制御の変形例2について図9を参照して説明する。図9は、図2に示すガス遮断装置100が有する湿度センサ24の駆動制御の変形例2の一例を示すフローチャートである。
【0120】
[湿度センサの駆動制御の変形例2]
まず、湿度センサ24の駆動制御の変形例2では、湿度センサ24を間欠的に駆動させる駆動パターンとして上記した駆動パターンA、駆動パターンB、および駆動パターンCの3パターンがある。なおここで、駆動パターンAが本発明の第2の間隔に、駆動パターンBが本発明の第1の間隔に相当する。
【0121】
湿度センサ24の駆動制御の変形例2に関する制御部21の機能ブロックは、図6に示す機能ブロックと同様であるため説明は省略する。
【0122】
ガス遮断装置100は、図9に示すように、遮断部23により計測流路11が開放されている状態(開状態)において、湿度上昇判定部31が湿度センサ24から湿度の値を逐次、受け付ける(ステップS51)。そして、受け付けた湿度の値に基づき、湿度が上昇したか否か判定する(ステップS52)。
【0123】
ここで、湿度上昇判定部31が、湿度が上昇していないと判定した場合(ステップS52において「No」)、ステップS51に戻って、湿度の値を所定の間隔で逐次受け付ける。なお、ステップS52の判定を行う際にガス遮断装置100において湿度センサ24の駆動パターンが駆動パターンAまたは駆動パターンBに設定されている場合、ステップS52において「No」と判定したとき、測定間隔指示部35は、湿度センサ24を駆動させる間隔を駆動パターンCに戻すように構成してもよい。
【0124】
一方、湿度が上昇したと判定した場合(ステップS52において「Yes」)、測定間隔指示部35は、湿度センサ24を駆動させる間隔を変更させるように制御する(ステップS53)。具体的には、測定間隔指示部35は、駆動パターンCからより駆動させる間隔が短くなる駆動パターンBで駆動するように湿度センサ24を制御する。このように、制御部21は、湿度センサ24を、湿度が上昇したタイミングから駆動パターンBで駆動するように制御する。
【0125】
さらに、流量演算部32が、流量計測部20によって検知された値に基づき、計測流路11内を流れるガスの流量を求める(ステップS54)。流量演算部32によって求められたガスの流量の値に基づき、流通判定部33が計測流路11内をガスが流れているか否か判定する(ステップS55)。
【0126】
ここで、流通判定部33が、計測流路11内をガスが流れていないと判定した場合(ステップS55において「No」)、ステップS54に戻って、流量演算部32が、流量計測部20によって計測された値を所定の間隔で逐次受け付け、計測流路11内を流れるガスの流量を求める。なお、ステップS55の判定を行う際にガス遮断装置100において湿度センサ24の駆動パターンが駆動パターンAに設定されている場合、ステップS32において「No」と判定したとき、測定間隔指示部35は、湿度センサ24を駆動させる間隔を駆動パターンBに戻すように構成していてもよい。
【0127】
一方、流通判定部33が、計測流路11内をガスが流れていると判定した場合(ステップS55において「Yes」)、測定間隔指示部35は、湿度センサ24を駆動させる間隔を変更させるように制御する(ステップS56)。具体的には、測定間隔指示部35は、駆動パターンBから駆動させる間隔がより短くなる駆動パターンAで駆動するように湿度センサ24を制御する。
【0128】
このように、制御部21は、ガスの使用が開始されたタイミングから駆動パターンAで所定期間、駆動するように湿度センサ24を制御する。
【0129】
なお、上記ではステップS51およびステップS52によって湿度の上昇判定を行った後、湿度が上昇している場合に、湿度センサ24を間欠的に駆動させる間隔を変更させ、その後、ステップS54およびステップS55によって計測流路11内をガスが流れているか否か判定する構成であった。
【0130】
しかしながら、ステップS51~ステップS53とステップS54~ステップS56を並行して実行してもよい。そして、湿度上昇判定部31が、湿度が上昇したと判定した場合、測定間隔指示部35が湿度センサ24の駆動パターンを駆動パターンCから駆動パターンBに変更させるように制御してもよい。また、流通判定部33が、計測流路11内をガスが流れていると判定した場合、測定間隔指示部35が湿度センサ24の駆動パターンを駆動パターンBから駆動パターンAに変更させるように制御してもよい。
【0131】
本発明は前記実施の形態の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲内で種々の変更が可能であり、異なる実施の形態や複数の変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明は、湿度センサによって検知された値に基づき、配管内に差水が生じたか否か判定することができるガス遮断装置等の分野に広く好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0133】
11 計測流路
20 流量計測部
21 制御部
22 報知部
23 遮断部
24 湿度センサ
31 湿度上昇判定部
32 流量演算部
33 流通判定部
34 差水判定部
35 測定間隔指示部
100 ガス遮断装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9