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▶ パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】磁気神経刺激に適したマイクロコイル
(51)【国際特許分類】
   A61N 2/02 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
A61N2/02 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019031028
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2019155087
(43)【公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-02-22
(31)【優先権主張番号】15/922,693
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504407000
【氏名又は名称】パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナン・チャガラジャン
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】バーナード・ディー・カッセ
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-140384(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0157147(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 1/00 ― 2/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
埋め込み型磁気神経刺激プローブであって、
少なくとも1つの基板と、
前記少なくとも1つの基板上に配設され、かつ少なくとも1つの平面ループに配置された、ニューロンを活性化するのに十分な電場を生成するように構成された少なくとも1つの導電体と、
前記少なくとも1つの基板上かつ前記少なくとも1つの平面ループ内に配設された磁性材料を含む少なくとも1つの平面磁気コアと、
前記少なくとも1つの基板、前記少なくとも1つの導電性体、および前記少なくとも1つの平面磁気コアを覆って配設された生体適合性コーティングと、を備え、
前記少なくとも1つの導電体は、前記少なくとも1つの平面ループが前記少なくとも1つの平面ループ内に複数のセクションを含むように構成され、
前記少なくとも1つの平面磁気コアは、それぞれが前記複数のセクションのうちのそれぞれ1つの内側に配設された複数の磁気コアを含む、プローブ。
【請求項2】
前記複数の磁気コアは、少なくとも、第1の表面積を有する第1の磁気コアおよび前記第1の表面積とは異なる第2の表面積を有する第2の磁気コアを含む、請求項1に記載のプローブ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの平面ループのうちの少なくとも1つの側面は、鋸歯状外形を有する、請求項1に記載のプローブ。
【請求項4】
前記鋸歯状外形を有する前記少なくとも1つの平面ループは、
複数のセクションであって、前記複数のセクションの各セクションは、前記複数のセクションの他のセクションの面積とは異なる面積を有する、複数のセクションと、
前記複数の磁気コアのそれぞれは、前記複数の磁気コアの他の磁気コアの表面積とは異なる表面積を有する、請求項3に記載のプローブ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの平面ループは、単一の電気的に連続したループである、請求項1に記載のプローブ。
【請求項6】
前記少なくとも1つの導電体は、らせん状に配置された複数の同心ループを形成する電気的に連続した導電体を備える、請求項1に記載のプローブ。
【請求項7】
前記少なくとも1つの平面ループは、複数の平面ループを備える、請求項1に記載のプローブ。
【請求項8】
前記複数の平面ループは、同心である、請求項7に記載のプローブ。
【請求項9】
前記少なくとも1つの基板は、平坦および硬質の一方または両方であり、
前記少なくとも1つの導電体および前記少なくとも1つの平面磁気コアは、前記少なくとも1つの基板に適合する、請求項1に記載のプローブ。
【請求項10】
前記少なくとも1つのループを通る約50mAの電流によって付勢されるとき、前記プローブは、半径約50μmの境界を有する励起体積を生成するように構成され、それにより、前記プローブによって発生される電場勾配は、前記境界内で11000V/m2より大きく、前記境界でおよびそれを超えると11000V/m2未満である、請求項1に記載のプローブ。
【請求項11】
前記少なくとも1つの平面ループを通る所定の値を有する電流によって付勢されるとき、前記プローブは、前記電流の前記所定の値によって付勢される前記少なくとも1つの平面磁気コアを有しないがその他は同一のプローブの活性化体積の半径より最大約60%小さい半径を備えた活性化体積を有する、請求項1に記載のプローブ。
【請求項12】
埋め込み型磁気神経刺激プローブであって、
少なくとも1つの基板と、
前記少なくとも1つの基板上に配設され、かつ少なくとも1つの平面ループとして配置された、ニューロンを活性化するのに十分な電場を生成するように構成された少なくとも1つの導電体と、
前記少なくとも1つの基板上かつ前記少なくとも1つの平面ループ内に配設された磁性材料を含む少なくとも1つの平面磁気コアと、
前記少なくとも1つの基板、前記少なくとも1つの導電性体、および前記少なくとも1つの平面磁気コアを覆って配設された生体適合性コーティングと、を備える、プローブと、
前記導電体を通して電流を印加するように構成されている付勢装置と、を備え、
前記少なくとも1つの導電体は、前記少なくとも1つの平面ループが前記少なくとも1つの平面ループ内に複数のセクションを含むように構成され、
前記少なくとも1つの平面磁気コアは、それぞれが前記複数のセクションのうちのそれぞれ1つの内側に配設された複数の磁気コアを含む、システム。
【請求項13】
埋め込み型磁気神経刺激プローブであって、
少なくとも1つの基板と、
前記少なくとも1つの基板上に配設され、かつ少なくとも1つの平面ループ中に配置された、ニューロンを活性化するのに十分な電場を生成するように構成された少なくとも1つの導電体と、
前記少なくとも1つの基板上かつ前記少なくとも1つの平面ループ内に配設された磁性材料を含む少なくとも1つの平面磁気コアと、
前記少なくとも1つの基板、前記少なくとも1つの導電性体、および前記少なくとも1つの平面磁気コアを覆って配設された生体適合性コーティングと、を備え、
前記少なくとも1つのループを通る約50mAの電流によって付勢されるとき、前記プローブは、半径約50μmの境界を有する励起体積を生成するように構成されており、それにより、前記プローブによって発生される電場勾配は、前記境界内で11000V/m2より大きく、かつ前記境界でおよび境界を超えると11000V/m2未満である、プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ニューロンの磁気刺激のための装置、システム、および方法に関する。
【0002】
神経調節は、神経構造体への強い磁場または小さな電流の印加を含む様々な種類の電磁刺激を含むことができる進化する治療法である。
【0003】
いくつかの実施形態は、埋め込み型磁気神経刺激プローブを対象とする。磁気神経刺激プローブは、少なくとも1つの基板上に配設され、かつ少なくとも1つの平面ループに配置された少なくとも1つの導電体を含む。磁性材料を含む少なくとも1つの平面磁気コアが、基板上かつ平面ループ内に配設されている。生体適合性コーティングが、基板、導電性トレース、および磁気コアを覆って配設されている。
【0004】
いくつかの実施形態によれば、方法は、最低1つの導電体を有する磁気プローブに約10mA~60mAの電流を印加することを含む。導電体は、基板上に配設され、かつ少なくとも1つの平面ループとして配置されている。磁性材料を含む少なくとも1つの磁気コアが、基板上かつ平面ループ内に配設されている。印加された電流に応答して、磁気プローブは、半径約50μmの境界を有する励起体積を生成し、それにより、磁気プローブによって生成される電場勾配は、境界内で11000V/mより大きく、境界でおよびそれを超えると11000V/m未満である。
【0005】
いくつかの実施形態は、埋め込み型磁気神経刺激プローブとプローブに電気的に連結された付勢装置とを備えるシステムを対象とする。埋め込み型磁気神経刺激は、少なくとも1つの基板、基板上に配設され、かつ少なくとも1つの平面ループとして配置された少なくとも1つの導電体、基板上かつ平面ループ内に配設された磁性材料を含む少なくとも1つの平面磁気コア、および基板、コイル、および磁気コアを覆って配設された生体適合性コーティングを含む。付勢装置は、導電体を通して電流を印加するように構成されている。
【0006】
いくつかの実施形態によれば、磁気プローブは、基板上に配設され、かつ少なくとも1つの平面ループとして配置された少なくとも1つの導電体を含む。磁性材料を含む少なくとも1つの平面磁気コアが、基板上かつ平面ループ内に配設されている。ループを通る電流によって付勢されるとき、プローブは、半径約50μmの境界を有する励起体積を生成するように構成され、それにより、プローブによって発生される電場勾配は、境界内で11000V/mより大きく、境界でおよびそれを超えると11000V/m未満である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】いくつかの実施形態による、磁気プローブの上面図および側面図をそれぞれ図示する。
図1B】いくつかの実施形態による、磁気プローブの上面図および側面図をそれぞれ図示する。
図2A】いくつかの実施形態による、鋸歯状外形を有する単一ループ内に配設された複数の磁気コアを有する磁気プローブを図示する。
図2B】いくつかの実施形態による、いくつかの異なるループセクション先端部の構成を図示する。
図3】いくつかの実施形態による、複数の同心平面ループ内に配設された複数の磁気コアを備える磁気プローブの図である。
図4A】いくつかの実施形態による、複数の同一平面上の電気的に絶縁されたループを備える磁気プローブの上面図である。
図4B】いくつかの実施形態による、垂直に積み重ねられた複数の共平面の電気的に絶縁されたループを備える磁気プローブの側面図である。
図5A】いくつかの実施形態による、磁気力顕微鏡の実装に使用される磁気プローブを示す図である。
図5B】いくつかの実施形態による、神経刺激に使用される神経プローブを図示する。
図6A図2のような磁気プローブによって生成された電場勾配dEx/dxのシミュレーションを示す。
図6B図2と同様であるが磁気コアを有しない磁気プローブによって生成された電場勾配dEx/dxの比較シミュレーションを示す。
図7A図2のような磁気プローブによって生成された電場勾配dEy/dyのシミュレーションを示す図である。
図7B図2と同様であるが磁気コアを有しない磁気プローブによって生成された電場勾配dEy/dyの比較シミュレーションを示す。
図8A図2のような磁気プローブによって生成された電場勾配dEz/dzのシミュレーションを示す。
図8B図2と同様であるが磁気コアを有しない磁気プローブによって生成された電場勾配dEz/dzの比較シミュレーションを示す。
図9】横および縦断面線を有する図3の神経プローブ300を示す。
図10A】横断面線に沿ったシミュレーションされた電場勾配のグラフである。
図10B】縦断面線に沿ったシミュレーションされた電場勾配のグラフである。
図11】いくつかの実施形態による、磁気プローブの励起体積を図示する。
図12】磁気コアを含まない比較磁気プローブの励起体積を図示する。
図13】いくつかの実施形態による、神経刺激システムのブロック図である。
【0008】
神経刺激は、多数の神経障害を治療する潜在的可能性を有する。しかしながら、標的にされていない近くのニューロンを同時に活性化することなく標的にされたニューロンを活性化する効果的な刺激を提供することは課題となり得る。非標的ニューロンの意図しない活性化は、標的面積を超えた活性化の広がりにつながり、望ましくないまたは未知の結果をもたらす。
【0009】
磁気刺激されるとき、ニューロンは付勢された磁気コイルによって生成された電場の空間的勾配によって活性化される。神経刺激に適した磁気コイルは、磁気コイルの位置から三次元で外向きに延在する活性化体積内で、ニューロンを活性化するのに十分な電場勾配、例えば約11000V/m、を生成することができる。活性化体積は、電場の空間的勾配の活性化境界を画定する半径を有する。電場の空間的勾配は、活性化体積内でニューロンを活性化するのに十分であるが、活性化体積の境界または境界の外側でニューロンを活性化するには不十分である。
【0010】
埋め込まれた磁気プローブを使用するニューロンの磁気刺激は、ニューロンの従来の電気刺激と比較したときに潜在的にいくつかの利点を有する。埋め込まれたマイクロコイルによって発生された電場は、空間的に非対称であり得、したがって、従来の神経電気刺激を用いた神経刺激よりも、標的ニューロンの選択的活性化により適している場合がある。さらに、電気プローブによる従来の神経刺激と比較して、磁場は実質的な減衰なしに生物学的材料をより容易に通過する。磁気刺激コイルは、標的とされるニューロンと直接接触して載置される必要はなく、かつ生体適合性材料に封入することができる。
【0011】
本明細書に開示される実施形態は、神経性刺激ならびに他の実装での使用に適した磁気プローブを含む。磁気プローブは、任意の適切な形状または構成を有することができるマイクロコイル、例えば平面または三次元(3D)コイル、を組み込む。いくつかの実施形態では、磁気プローブは、少なくとも部分的にループ内に配設された高透磁率コアを有する基板上に配設された平面ループの形のマイクロコイルを組み込む。磁気コアは、低電流によって平面ループを付勢することを可能にし、比較的小さい活性化体積を超えて広がらない高い電場勾配を生成する。開示された磁気プローブによって生成されるより小さな活性化体積は、他の位置に影響を及ぼさずに、または最小限に影響を及ぼして特定の位置を選択的に標的にするのに有用である。例えば、開示された磁気プローブが磁気神経刺激のために使用されるとき、活性化体積は、近くの非標的ニューロンの活性化なしで標的ニューロンの活性化を可能にする。様々な実装によれば、開示された磁気プローブは、活性化体積内に1.1×10V/mより大きい電場勾配を生成することができ、このため、生体神経の刺激に十分な空間的電場勾配を提供する。これらの電場勾配は、約1Vの電圧で約50mAのオーダーのマイクロコイルを通る付勢電流を使用して生成することができる。
【0012】
図1Aおよび図1Bは、いくつかの実施形態による、磁気プローブ100の上面図(図1A)および側面図(図1B)を図示する概念図である。磁気プローブ100は、基板110上に配設され、少なくとも1つの電気的に連続した平面ループ121として配置された少なくとも1つの導電体120を有する基板110を備える。磁性材料を含む平面磁気コア130が、基板110上かつ少なくとも部分的に平面ループ121内に配設されている。図1Aおよび図1Bに示されるように、平面磁気コア130および導電体120は、同一平面上にあることができ、両方とも基板110の同じ表面に配設される。医療用途では、磁気プローブ100は、基板110、導電体120、および磁気コア130を覆って配設された適切な生体適合性コーティング140内に封入され得る。
【0013】
基板110は、平坦および/または硬質であり得、とりわけ、シリコン、ゲルマニウム、サファイア、石英および/または溶融シリカのような材料を含み得る。いくつかの実装によれば、導電体120は、基板110上に堆積された導電トレースであり得る。導電体120は、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、白金および/またはそれらの合金を含む様々な金属を含むことができる。磁気コア130は、例えば、cmmol-1当たり約10~2000Gの範囲の磁化変化を有し得る。磁気コア130に適した材料は、鉄、コバルト、ニッケル、および/またはそれらの合金を含む強磁性材料を含む。さらなる例では、イットリウム系セラミックなどのいくつかのセラミックを使用することができる。基板110、導電体120、および磁気コア130は、封止材料140、例えば、気密性封止材料および/または生体適合性封止材料によって少なくとも部分的にまたは完全に封入され得る。適切な封止材料としては、ポリイミドまたは酸窒化ケイ素(SiON)が挙げられる。
【0014】
磁気プローブ100は、約2mm~5mmの範囲の全長Lp、50μm~200μmの範囲の全幅Wp、および約55μm~約510μmの範囲の全プローブ厚Tp(基板、導電体、磁気コア、および封止材料の厚さを含む)を有し得る。
【0015】
基板110は、約25μm~500μmの範囲の厚さTsを有することができる。
【0016】
導電体120は、約1μm~約20μmの範囲の幅Wcおよび約1μm~約10μmの範囲の厚さTcを有することができる。ループを形成する導電体120は、約5mm~約20mmの全長Lcを有することができる。
【0017】
ループ121は、図1Aに示すように矩形でもよく、または平面、三次元コイル、等を含む任意の適切な形状を有してもよい。ループ121(またはプローブ内の各ループ)は、約2mm~約5mmの最大長Ll、および約30μm~約150μmの最大幅Wlを有してもよい。
【0018】
磁気コア130は、図1Aに描かれるように概して矩形の形状を有してもよく、または磁気コアがループ121によって少なくとも部分的に取り囲まれるような任意の他の適切な形状を有してもよい。例えば、磁気コア130は、約2mm~5mmの最大長Lcと、約30μm~約150μmの最大幅Wcおよび約1μm~約10μmの厚さTmを有することができる。
【0019】
いくつかの実施形態において、ループは、図1Aおよび図1Bに図示される単純なループよりもより複雑な形状を有してもよい。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、図2に示すように、複数の磁気コアを導電体の単一ループ内に配設し得る。図2は、基板210上に配設され平面ループ221を形成する導電体220を含む磁気プローブ200の上面図を提供する。複数の磁気コア231、232、233は、ループ221によって少なくとも部分的に取り囲まれている。図2に示す実施形態では、平面ループ221は、縁部250に沿って階段状または鋸歯状外形を有し、これは、概して異なる長さの磁気コア231、232、233に適合する。いくつかの実施形態では、追加の縁部もまた鋸歯状外形を有し得る。図2には3つの磁気コアが示されているが、任意の適切な数の磁気コアがループ221内に少なくとも部分的に取り囲まれてもよい。いくつかの実施形態では、磁気コア231、232、233の各々は、同じ磁性材料で作られてもよい。あるいは、磁気コア231、232、233のうちの少なくとも1つを作り上げる磁性材料は、別の磁気コアを作り上げる磁性材料とは異なってもよい。磁気コア231、232、233は、同じ幾何形態、例えば、同じ形状、同じ面積、同じ厚さを有してもよい。あるいは、図2に示すように、磁気コア231、232、233のうちの1つ以上は、他の磁気コアの幾何形態とは異なる幾何形態を有してもよい。図2に示す実施形態では、磁気コア231は、磁気コア232および233よりも長く、より大きい表面積を有し、磁気コア232は、磁気コア233よりも長く、より大きい表面を有する。
【0021】
磁気コア231、232、233は、磁気ループ221のそれぞれのセクション221-1、221-2、221-3内に配設されている。磁気コア231は、ループセクション221-1内に配設され、磁気コア232は、ループセクション221-2内に配設され、磁気コア233は、ループセクション221-3内に配設されている。
【0022】
磁気プローブ200は、約2mm~5mmの範囲の全長、50μm~200μmの範囲の全幅、および約2μm~10μmの範囲の厚さを有し得る。例えば、基板210は、約25μm~500μmの範囲の厚さを有することができる。
【0023】
導電体220は、約1μm~20μmの範囲の幅および約1μm~約10μmの範囲の厚さを有し得る。第1のループセクション221-1は、約2mm~5mmの最大長Ll1、および約30μm~150μmの最大幅W11を有し得る。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、第2のループセクション221-2は、第1のループセクション221-1の長さLl1の約50~75%である長さLl2を有し得る。第3のループセクション221-3は、第2のループセクション221-2の長さLl2の約50~75%である長さLl3を有し得る。第1、第2および第3のループセクション221-1、221-2、221-3の幅Wl1、Wl2、Wl3は、いくつかの実施形態ではほぼ同じであることができる。
【0025】
鋸歯状外形における階段状パターンによって、ループ221の終端先端部251a、252a、253aの異なる位置は、生体組織への挿入に応じて(x-y平面内の)横断場勾配を制御する。図2Aに示す鋸歯状形状は、挿入深さに沿った電場勾配の制御を可能にする。鋸歯状コイルの先端部、横方向の電場勾配の制御を提供する。
【0026】
図2Aでは、先端部251a、252a、253aのそれぞれは直線状であり、y軸に沿って延在する。しかしながら、ループセクション221a、221b、221cの先端部は、図2Bに示すように他の形状を有してもよい。図2Bは、V字形先端部251b、U字形先端部253b、およびW字形先端部252bを図示する。図2Bに示されるように、磁気プローブの先端部は同一に終端される必要はない。先端部の形状は横断場勾配の実質的な違いを許容し、横断勾配を特定の用途に従って形づくることを可能にする。コイル形状に応じて、場勾配の異方性並びに場強度を変えることができる。これはニューロンの選択的指向性励起を可能にする。
【0027】
磁気プローブは、複数の平面ループ内に配設された複数の磁気コアを含んでもよい。いくつかの実施形態において、複数のループは、例えば、複数の同心ループを構成するらせん状に配置された単一の電気的に連続した導電体を使用して形成されてもよい。いくつかの実施形態では、ループは、例えば、複数の電気的に分離した同心ループの複数の分離導電体を使用して形成されてもよい。
【0028】
複数の同心コア332、333、334、335および複数のループ351、352、353、354、355を有する磁気プローブ300の一例を図3に提供する。図3に示す実施形態では、各コア332、333、334、335は、少なくとも1つのループ351、352、353、354、355内に少なくとも部分的に囲まれている。コア333、334、335のうちの少なくともいくつかは、複数のループ351、353、354、355内に少なくとも部分的に囲まれてもよく、他のコア332は、より少ないループ351、352内またはただ1つのループ内に配設されてもよい。図3に示す例では、ループ351および352は少なくとも部分的にすべての磁気コア332、333、334、335を囲み、ループ353は少なくとも部分的にコア333、334、335を囲んでコア332はループ353の外側に配設され、ループ354は少なくとも部分的にコア334および335を囲んでコア332および333はループ354の外側に配設され、ループ355は少なくとも部分的にコア335を囲んでコア332、333、および334はループ355の外側に配設されている。前述のように、磁気コアのうちの少なくとも1つの幾何形態は、同じでもよく、または他の磁気コアの幾何形態と異なってもよい。複数の磁気コアは、コアごとに異なる他の特性を有してもよい。例えば、磁気コアは、同じまたは異なる透磁率、材料組成、等を有してもよい。
【0029】
磁気プローブ300は、約2mm~5mmの範囲の全長、50μm~200μmの範囲の全幅、および約51μm~約501μmの範囲全体の全厚(基板、導電体、コア、および封止材料を含めて)を有し得る。ループ351~355の導電体は、約1μm~20μmの範囲の幅および約1μm~約10μmの範囲の厚さを有し得る。
【0030】
ループ351は、約2mm~5mmの最大長Ll1、および約30μm~150μmの最大幅Wl1を有し得る。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、第2のループ352は、第1のループ351の長さの約75~90%の長さである長さを有し得、ループ353は、ループ352の約50~75%の長さである長さを有し得、ループ354は、ループ353の約50~75%の長さである長さを有し得、ループ355は、ループの約50~75%の長さである長さを有し得る。いくつかの実施形態では、コアのうちのいくつかの表面積、例えば図3のコア332、333、334、は同じであることができ、コアのうちの1つ以上の表面積は別のコアの表面積と異なることができる。例えば、コア335は、コア332、333、334よりも幅が広くそして長い。
【0032】
図3に示す構成では、少し例を挙げると、磁気コアのサイズ、磁気コアのループへの近接度、およびループの先端部を含めて、制御可能な少数の明確な自由度がある。互いに独立したパラメータを調節することによって、場の線の広がりを意図的に狭めて、電場勾配をカスタマイズ可能な構成に合わせることができる。これらおよび/または他のパラメータを調節することによって、電場勾配の制御を強化することができる。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、磁気プローブは、図4Aおよび図4Bによって図示されるように、複数の電気的に不連続なループを含むことができる。図4Aは、複数のループ451a、452a、453aを備える磁気プローブ400aの上面図を示す。各ループ451a、452a、453aは、他の導電体421a、422a、423aから電気的に絶縁されている導電体421a、422a、423aによってそれぞれ形成されている。ループ451a、452a、453aの各々は、同時にまたは異なる時間に付勢することができる。ループ451a、452a、453aの各々は、同じ電流値で付勢することができる。あるいは、ループのうちの少なくとも1つは、ループのうちの別のループを付勢するために使用される電流値とは異なる電流値によって付勢することができる。
【0034】
ループ451a、452a、453aは、例えば、図4Aに示すように、幾何形態が異なっていてもよい。図示の実施形態では、ループ451aは、ループ452aおよび453aよりも大きい表面積を囲み、ループ452aは、ループ453aよりも大きい表面積を囲む。したがって、ループ451aを形成する導電体421aは、それぞれループ452aおよび453aを形成する導電体422aおよび423aよりも長い。異なるループ451a、452a、453aの導電体421a、422a、423aは、同じ導電材料で作られてもよく、またはいくつかの実施形態では、導電材料はループごとに異なってもよい。
【0035】
磁気コア431aは、ループ451aによって少なくとも部分的に囲まれており、磁気コア432aは、ループ452aによって少なくとも部分的に囲まれており、磁気コア433aは、ループ453aによって少なくとも部分的に囲まれている。磁気プローブ400aでは、各コア431a、432a、433aは、ループ421a、422a、423aのうちの1つのみによって囲まれている。前述のように、磁気コアの幾何形態、表面積、形状、材料、厚さ、等は、いくつかの実施形態ではコアごとに異なってもよく、あるいは、これらの特性のうちの少なくともいくつかは、コアごとに異なってはならない。
【0036】
図4Aは、各ループ451a、452a、453aが少なくとも部分的に1つの磁気コア431a、432a、433aを囲む単一のループ451a、452a、453aを示す。あるいは、例えば、図3に関連して前述したように、単一の連続した導電体の複数のループ、例えば、複数のスパイラルループ、または別々の導電体ループの複数の同心ループが使用されてもよい。あるいは、例えば、図2に関連して前述したように、各単一ループが、複数の磁気コアを少なくとも部分的に囲んでもよい。封止材料(図4Aには図示せず)をループ451a、452a、453aおよび磁気コア431a、432a、433aを覆って配設することができる。
【0037】
図4Bは、複数の電気的に絶縁された導電性ループ451b、452b、453bを含む磁気プローブ400bの側面図を提供する。この例では、ループ451b、452b、453bを形成する導電体421b、422b、423bはそれぞれ別々の基板411b、412b、413b上に配設されている。磁気コア431b、432b、433bはそれぞれループ451b、452b、453b内に配設されている。
【0038】
図4Bに図示するように、導電体421bおよび磁気コア431bは、基板411bの同じ表面上に配設されている。導電体421bは、磁気コア431bを少なくとも部分的に囲むループ451bを形成する。導電体422bおよび磁気コア432bは、基板412b上に配設されている。導電体422bおよび磁気コア432bは、基板412bの同じ表面上に配設されている。導電体422bは、磁気コア432bを少なくとも部分的に囲むループ452bを形成する。導電体423bおよび磁気コア433bは、基板413bの同じ表面上に配設されている。導電体423bは、磁気コア433bを少なくとも部分的に囲むループ453bを形成する。
【0039】
基板411b、ループ451b、およびコア431bは、磁気プローブ400bの第1の部分461を形成し、基板412b、ループ452b、およびコア432bは、磁気プローブ400bの第2の部分462を形成し、基板413b、ループ453b、およびコア433bは、磁気プローブ400bの第3の部分463を形成する。封止材料440を、第1、第2、および第3の部分461、462、463のそれぞれを覆って配設することができる。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、第1、第2、および第3の部分461、462、463の各々は、図1Aおよび図1Bに関連して説明したように、単一のループ内に単一のコアを備え得る。いくつかの実施形態によれば、第1、第2、および第3の部分461、462、463の各々は、図2に関連して説明したように単一ループ内に複数のコアを備え得る。いくつかの実施形態によれば、第1、第2、および第3の部分461、462、463の各々は、図3に関連して説明したように、複数のループ内にそれぞれ配設された複数のコアを備え得る。第1、第2、および第3の部分461、462、463の各々は、複数のループ内にそれぞれ配設された複数のコア、単一のループ内に配設された単一のコア、および/または単一のループ内に配設された複数のコアの様々な組み合わせを備え得る。
【0041】
図5Aおよび図5Bは、開示された磁気プローブに対する2つの技術的用途を図示する。図5Aに示される技術的用途では、プローブ500aは磁気力顕微鏡を実装するために使用される。この実装では、磁気プローブ500aは、磁気サンプル590の表面の上を移動する。プローブ500aが表面の上を走査されると、プローブは試料の表面の磁場をループ内に誘導される電流に変換する。プローブのループ内の誘導電流は、試料表面の磁気的構造に関する情報を提供するために使用され得る。
【0042】
図5Bに示される技術的用途では、プローブ500bは神経束のニューロンを刺激するために使用される。神経束580に近接して載置されたプローブ500bは、プローブ500bの1つ以上のループを通して電流を供給することによって付勢される。電流はループを通して外部電源(図5Bに図示せず)から供給され、神経束内の標的神経線維を活性化するのに十分な電場勾配を生成する。
【0043】
開示された磁気プローブのこの設計は、ループ内の電流注入の振幅に依存して、構造の空間的境界内の異なる位置での励起を可能にする。図6A図8Bは、高透磁率磁性コアを有する場合と有しない場合の、図2に概して図示されるような磁気プローブ(本明細書では鋸歯状設計と呼ばれる)の性能間の比較を示す。鋸歯状幾何形態は、磁気プローブによって生成される励起体積にわたって横断(dEz/dz)制御をサポートする。
【0044】
より大きな電場勾配を得るための直接的な方法は、より大きなAC電流励起を使用することである。しかしながら、マイクロコイル内の電流を単に増加させることの結果の1つは、励起の体積もまた増加することである。例えば、幅10μmのCuループを通る電流を1mAから100mAに増加させると、半径>150μmを有する励起の体積の増加を発生する。これは、非標的領域の刺激につながる可能性がある。しかしながら、高透磁率コアを有するマイクロコイル幾何形態は、11000V/mより大きい電場勾配で、または約10V/mの電場勾配でさえ約50mAの電流で小さい励起体積(半径約50μm以内)を依然として維持することができる。
【0045】
図6Aは、50mAの電流がループを通して供給されたときに、図2のような磁気プローブによって生成された電場勾配dEx/dxのシミュレーションを示す。比較のために、図6Bは、50mAの電流がループを通して供給されたときに、図2のような磁気プローブであるが磁気コアなしによって生成された電場勾配dEx/dxのシミュレーションを示す。図7Aは、50mAの電流がループを通して供給されたときに、図2のような磁気プローブによって生成された電場勾配dEy/dyのシミュレーションを示す。比較のために、図7Bは、50mAの電流がループを通して供給されたときに、図2のような磁気プローブであるが磁気コアなしによって生成された電場勾配dEy/dyのシミュレーションを示す。図8Aは、50mAの電流がループを通して供給されたときに、図2のような磁気プローブによって生成された電場勾配dEz/dzのシミュレーションを示す。比較のために、図8Bは、50mAの電流がループを通して供給されたときに、図2のような磁気プローブであるが磁気コアなしによって生成された電場勾配dEz/dzのシミュレーションを示す。
【0046】
図6A図7A、および図8Aに示す例では、磁気コアを有する磁気プローブは、約30μmの半径を有する活性化体積内で、約1.1×10V/mより大きいおよび/または最大約10V/mまでの電場勾配を生成する。活性化体積の境界での電場勾配は1.1×10V/m未満である。比較例では、図6B図7Bおよび図8Bによって示されるような磁気コアを有しない磁気プローブの活性化体積は、約100μmより大きい半径を有する。磁気プローブのループに複数の磁気コアを組み込むことは、神経刺激のための活性化体積の体積を約20%~約70%超減少させることができる。例えば、本明細書に図示される実施形態のように複数の磁気コアを磁気プローブに組み込むことは、神経刺激のための活性化体積の体積を約60%減少させることができる。
【0047】
図3に示す複数ループ神経プローブについてもシミュレーションを行った。図9は、図3の神経プローブ300を示す。図10Aは、図9の線901に沿った電場勾配の線断面を示す。図10Aは、断面に沿った電場勾配がコイルに近接した領域の近く(中心軸から約75μmの距離以内)で最大であって約10V/mの値を有することを示している。図10Aの線901は、このシミュレーションにおいて断面がとられた経路を表す。図10Aにおいて、x軸上の0は、図9の線901の最も左の点に対応し、x軸上の10-3は、線901の最も右の点に対応する。図10Bは、図9の線902に沿った電場勾配の線断面を示す。図10Bにおいて、x軸上の0は、図9の線902の最下点に対応し、x軸上の4×10-3は、線902の最上点に対応する。
【0048】
このシミュレーションされた例における磁気プローブの幅は200μmである。磁気プローブ300は、5つの異なる全長を有する5つの電気的に絶縁された同心ループ351~355を含む。ループ351~355は、1コア~4コアの異なる数のコア332~335を少なくとも部分的に囲む。ループ351~355の幅は、11000V/mの勾配閾値以上の電場勾配のコイル332~335から異なる減衰深さを得るように修正することができる。ループの縁部は、界面を横切る材料の誘電率に強い不連続性がある領域である。より広いループはより狭いループよりも場の線を広げる。しかしながら、より狭いループはまた抵抗を増加する。したがって、電流要件と場を狭める要件との間の相互作用を使用して、特定用途に適したループ幅を確かめることができる。
【0049】
この例では、図10Aおよび図10Bに示すように、電場勾配は、コイル331~335から約125μmの距離まで神経活性化の閾値を上回る。この特定の例では、神経活性化の閾値は11000V/mより大きい電場勾配に対応する。しかしながら、他のシナリオでは、閾値は、励起されているニューロンに依存して異なり得る。10V/mのオーダーの高い電場勾配を示す、コイルに近接した約75μmの幅の狭い領域がある。図10Bは縦断面に沿った電場勾配を示す。線902は、縦電場勾配が評価された経路である。最大10V/mの電場勾配が、20μm程度の小さい領域で見られる。
【0050】
このような高い電場勾配の理由は、この設計が高透磁率コアを有する2Dソレノイドに類似していることを考慮することによって理解することができる。ソレノイドの「長さ」が非常に小さい数(この場合は2μm、または対応するトレースの厚さ)に近づいて、コアの周りのループの数が増加するとき、これはソレノイドの巻き数を増やすのと同様である。アンペールの法則とソレノイドの機能から、発生させることができる磁場強度は、ソレノイドの長さに反比例し、ソレノイドの巻き数に正比例することが知られている。より正確には、ソレノイド式は次のように書くことができる。
B=μμnI (式1)
【0051】
式1においてμは自由空間の透磁率でありμはフェライトコアの比透磁率である。式1において、nはソレノイドの単位長さ当たりの巻き数であり、Iはソレノイドを流れる電流である。このため、比較的大きな磁場を達成することができ、これは、AC電流の変調を介して変調されたとき、シミュレーションにおいて観察されるように大きな電場勾配を生じる。式1から、2D電流ループに対して軸上に生み出される磁場は以下の通りであると結論付けることもできる。
【0052】
【数1】
【0053】
式2において、zはコイルから離れる軸に沿った距離であり、Rはコイルの半径であり、Iは電流でありそしてNはループの数である。所与の距離および所与の半径に対して、ループの数を増やすことによって磁場を増強することができる。
【0054】
図10Aでは、同じマルチループマルチコア設計における電場勾配が、線901によって示される縦断面に沿ってプロットされている。高透磁率コアがトレースに極めて接近するいくつかの領域では、空間的電場勾配における電場強度が急激に増加し、10V/mより大きい値に達している。強い電場勾配が得られるこのような空間位置の数は、含まれるループおよびフェライトコアの数を変えることによって調節することができる。電場勾配は、最も内側のコアの上で11000V/mの神経活性化閾値より高いが、これはこれらの実施例で使用されている50mAの値から電流を減少させることによって減少させることができる。
【0055】
図11は、いくつかの実施形態による開示された磁気プローブ1100の動作を図示する。プローブ1100は、基板1110上に配設された少なくとも1つの導電体1120を含み、ループ内に配設された少なくとも1つの磁気コア1130を有する少なくとも1つのループを形成する。ループを通る電流によって付勢されるとき、プローブ1100は半径Rcの活性化体積1199を有する。活性化体積1199内の電場勾配は、概してニューロンを活性化するのに十分であり、活性化体積1199の外側の電場勾配は概してニューロンを活性化するのに不十分である。少なくとも1つの磁気コアを含まない実質的に同様のプローブと比較すると、同じ付勢電流および同じ電場勾配に対して、磁気コアを有するプローブ内の活性化体積は、例えば、少なくとも数パーセント~約60%だけ減少され得る。
【0056】
概して、本明細書で論じる電場勾配を得るために、導電体1120によって形成されるループを通る電流は、約500mA未満、または250mA未満、または100mA未満、または50mA未満、あるいは約25mA未満でさえあり得る。ループを通る約25mA~約500mAの範囲内の電流、例えば、約25mA、50mA、約100mA、約200mA、または約500mAの電流、によって付勢されるとき、プローブは、プローブ周囲の体積内に約10V/m~約10V/mの空間的電場勾配を生成するように構成されている。体積は、例えば、150μm未満~約25μm未満の半径を有し得る。例えば、プローブは、体積の内側で10V/mより大きい電場勾配を、および境界でおよびそれを超えると10V/m未満の空間的電場勾配を生成し得る。別の例では、プローブは、体積の内側で10V/mより大きい空間的電場勾配を、かつ境界でおよびそれを超えると10V/m未満の空間的電場勾配を生成し得る。別の例では、プローブは、体積の内側で10V/mより大きい空間的電場勾配を、および体積の外側で10V/m未満の空間的電場勾配を生成し得る。さらに別の例では、プローブは、体積の内側で10V/mよりも大きい空間的電場勾配を、かつ体積の境界でおよびそれを超えると10V/m未満の空間的電場勾配を生成し得る。少なくとも1つの磁気コアを含まない実質的に同様のプローブと比較すると、同じ付勢電流および同じ電場勾配に対して、体積は少なくとも数パーセント~約60%だけ減少され得る。
【0057】
前述のように、本明細書に開示されている磁気プローブは、神経刺激プローブとしての用途がある。図13は、本開示の磁気プローブ1310を組み込んだ神経刺激システム1300を図示する。プローブ1310は、生物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)の体内への埋め込みのために構成され得る。様々な実装において、プローブ1310は生体内または生体外で使用され得る。プローブ1310のループを形成する導電体は、導線1315によって付勢装置1320に電気的に接続されている。付勢装置1320は、電流I、例えば、リード線1315を通って、かつプローブのループを通って流れる交流電流(AC電流)、を生成する。電流Iは磁場および電場勾配を発生させる。磁気プローブ1310が電流Iによって付勢されるとき、磁気プローブ1310によって生成された電場勾配は、プローブ1310の周りの活性化体積内でニューロンを活性化するのに十分である。いくつかの実施形態では、リード線1315および/または付勢装置1320は埋め込み用に構成されてもよい。
【0058】
高透磁率コアを使用することによって、活性化の体積は、11000V/mの神経刺激のための閾値を超えて閉じ込めることができる。例えば、15mAの同じ電流値に対して、シミュレーションは活性化半径が最大3倍減少することを実証している。このため、より大きな電流をループに流すことを可能にし、したがってより大きな電場勾配を得、一方、励起体積の選択性を犠牲にしない。
【0059】
3Dソレノイドまたは2D電流ループの概念を2D平面に拡張して、プローブによって生成される電場勾配を増大させるマルチループおよびマルチコア磁気プローブが設計された。これらの設計は、駆動される同じ電流に対してコアなしのプローブと比較した場合、プローブの活性化深度を約3倍制限することができる。

図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12
図13