(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】電動4輪駆動車の冷却装置
(51)【国際特許分類】
B60K 11/04 20060101AFI20220907BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20220907BHJP
H02K 9/19 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
B60K11/04 H
B60K11/04 Z
B60K11/04 K
B62D25/20 N
H02K9/19 Z
(21)【出願番号】P 2019043761
(22)【出願日】2019-03-11
【審査請求日】2021-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】越島 将史
(72)【発明者】
【氏名】上原 利矢子
【審査官】中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-126191(JP,A)
【文献】特開2005-113831(JP,A)
【文献】特開2010-274675(JP,A)
【文献】特開平11-022460(JP,A)
【文献】特開2015-059705(JP,A)
【文献】再公表特許第2011/145215(JP,A1)
【文献】特開2012-138214(JP,A)
【文献】特開2008-141945(JP,A)
【文献】特開2014-118122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
B62D 25/20
H02K 9/00 - 9/28
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前部に配置され前輪を駆動するフロント電動部品と、車両後部に配置され後輪を駆動するリヤ電動部品と、を備え、これらフロント電動部品とリヤ電動部品とを冷却水を介して冷却する電動4輪駆動車の冷却装置において、
ウォータポンプおよび車両前端部に位置するラジエータを経路中に含み、上記フロント電動部品と上記リヤ電動部品の双方を冷却水が流れるように構成された冷却水回路と、
この冷却水回路の一部として上記フロント電動部品側から上記リヤ電動部品側へと延びる冷却水配管に介装され、かつ車両床下に配置されたサブラジエータと、
を備えてなる電動4輪駆動車の冷却装置。
【請求項2】
上記サブラジエータは、車体フロアと該車体フロアの下方に位置するアンダーカバーとの間の空間内に収容されており、この空間には冷却風が導入される、請求項1に記載の電動4輪駆動車の冷却装置。
【請求項3】
上記冷却風として、車室内の空気が導かれる、請求項2に記載の電動4輪駆動車の冷却装置。
【請求項4】
上記冷却風として、駆動用バッテリの冷却に用いられた空調風が導かれる、請求項2に記載の電動4輪駆動車の冷却装置。
【請求項5】
上記冷却風として、上記アンダーカバーに付設される導風ダクトを介して車両走行風が導かれる、請求項2に記載の電動4輪駆動車の冷却装置。
【請求項6】
上記冷却水配管として、上記リヤ電動部品へ冷却水を導く入口側冷却水配管と、上記リヤ電動部品から冷却水が流れ出る出口側冷却水配管と、を有し、
これらの入口側冷却水配管および出口側冷却水配管の各々にサブラジエータが設けられている、請求項1~5のいずれかに記載の電動4輪駆動車の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、前輪を駆動するモータやインバータ等のフロント電動部品と、後輪を駆動するモータやインバータ等のリヤ電動部品と、を有する電動4輪駆動車に関し、特に各々の電動部品を水冷式に冷却する冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、前輪を駆動するメインモータおよび該メインモータに電力を供給するメインインバータと、後輪を駆動するリヤモータおよび該リヤモータに電力を供給するリヤインバータと、を備えた電動4輪駆動車が開示されている。メインモータおよびメインインバータは車両前部に配置され、リヤモータおよびリヤインバータは車両後部に配置されている。
【0003】
これらのモータやインバータは、何らかの手段により冷却することが望ましく、特許文献1には、リヤインバータを冷却ファンにより冷却することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような冷却ファンによる空冷形式は、構成が簡素ではあるが、冷却性能は低く、インバータ等を十分に冷却することはできない。
【0006】
一方、後輪側のモータやインバータを水冷式に冷却しようとすると、前輪側のモータやインバータを冷却する冷却水循環系の熱負荷がそれだけ増え、冷却水からの放熱を行うラジエータの大型化が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、車両前部に配置され前輪を駆動するフロント電動部品と、車両後部に配置され後輪を駆動するリヤ電動部品と、を備え、これらフロント電動部品とリヤ電動部品とを冷却水を介して冷却する電動4輪駆動車の冷却装置において、
ウォータポンプおよび車両前端部に位置するラジエータを経路中に含み、上記フロント電動部品と上記リヤ電動部品の双方を冷却水が流れるように構成された冷却水回路と、
この冷却水回路の一部として上記フロント電動部品側から上記リヤ電動部品側へと延びる冷却水配管に介装され、かつ車両床下に配置されたサブラジエータと、
を備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、車両床下に配置されたサブラジエータによって冷却水から一部の熱が放熱されるため、車両前端部に位置するラジエータの大型化を抑制しつつリヤ電動部品を確実に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】この発明に係る冷却装置の回路構成を示す説明図。
【
図2】車室内から空調風を導く第1実施例の要部の説明図。
【
図4】バッテリパックを通過した空調風を導く第2実施例の要部の説明図。
【
図5】第2実施例の送風ファンの制御を示すフローチャート。
【
図6】車両走行風を導く第3実施例の要部の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、この発明に係る電動4輪駆動車の冷却装置の回路構成を示している。この実施例の電動4輪駆動車は、いわゆるシリーズハイブリッド型自動車であって、発電機1を駆動する内燃機関2を有し、発電した電力をバッテリ3に一時的に蓄えた上で、この電力により前輪用モータと後輪用モータとを駆動して走行する。内燃機関2は、一般的な水冷式の多気筒内燃機関であり、内燃機関2を冷却して高温となった冷却水の熱を放熱するために、外気との間で熱交換を行う熱交換器つまりエンジン用ラジエータ4を備えている。
【0012】
前輪を駆動するフロント電動部品5としては、前輪を駆動する前輪用モータと、バッテリ3の直流電力を三相交流電力に変換して前輪用モータに供給する前輪用インバータと、を含んでおり、冷却水の通流によってフロント電動部品5の少なくとも一部例えばモータおよびインバータの少なくとも一方が冷却される。このモータおよびインバータを含むフロント電動部品5は、前輪に近い車両前部に配置されている。例えば、車両の運転席前方にダッシュパネルを介して画成されたエンジンコンパートメント内に、フロント電動部品5が収容されている。
【0013】
同様に、後輪を駆動するリヤ電動部品6としては、後輪を駆動する後輪用モータと、バッテリ3の直流電力を三相交流電力に変換して後輪用モータに供給する後輪用インバータと、を含んでおり、冷却水の通流によってリヤ電動部品6の少なくとも一部例えばモータおよびインバータの少なくとも一方が冷却される。このモータおよびインバータを含むリヤ電動部品6は、後輪に近い車両後部に配置されている。例えば、車両後方のラゲッジルーム下方にリヤ電動部品6が配置されている。
【0014】
この実施例の冷却装置は、冷却水が流れる冷却水回路として、フロント電動部品5を冷却するループ状に閉じた主冷却水回路11と、この主冷却水回路11から分岐しかつリヤ電動部品6を冷却した後に主冷却水回路11に合流する分岐冷却水回路12と、を含んでいる。これら冷却水回路11,12は、内燃機関2の冷却水系統からは独立している。
【0015】
主冷却水回路11は、高温となった冷却水の熱を放熱する電動部品用ラジエータ14と、主冷却水回路11内で冷却水を循環させるための電動ウォータポンプ15と、を経路中に含んでいる。主冷却水回路11のフロント電動部品5から冷却水が流れ出る冷却水出口側には、冷却水温度を検出する第1温度センサ16が配設されている。電動ウォータポンプ15は、電動部品用ラジエータ14の上流側および下流側のいずれかに配置することができるが、図示冷では、電動部品用ラジエータ14の上流側に電動ウォータポンプ15が配置されている。
【0016】
電動部品用ラジエータ14は、エンジン用ラジエータ4と前後2段に重なり合った形で車両前端部に車両走行風を受けるように配置されている。電動部品5,6を冷却するために冷却水回路11,12を循環する冷却水の温度は、基本的に、内燃機関2の冷却水系統を循環する冷却水の温度よりも低く設定されている。例えば、内燃機関2の冷却水が一般に70℃以上となるのに対し、電動部品5,6冷却用の冷却水の温度は50℃前後に保たれる。従って、冷却水と外気温との温度差が相対的に小さなものとなる電動部品用ラジエータ14がエンジン用ラジエータ4の前方に位置しており、電動部品用ラジエータ14を通過した後の冷却風でもってエンジン用ラジエータ4が冷却される。エンジン用ラジエータ4の背面側には、車両停止時など車両走行風が不十分なときにラジエータ4,14を通過する冷却風を得るための図示しない電動ファンが設けられている。
【0017】
フロント電動部品5内部の冷却水通路と電動部品用ラジエータ14とを含む主冷却水回路11は、基本的には、車両前部の上述したエンジンコンパートメント内に構成されている。
【0018】
分岐冷却水回路12は、電動部品用ラジエータ14からフロント電動部品5に至るラジエータ14出口側において主冷却水回路11から分岐し、フロント電動部品5の出口側で第1温度センサ16よりも下流側となる位置において主冷却水回路11に再び合流している。つまり、分岐冷却水回路12は、主冷却水回路11からリヤ電動部品6に至るリヤ電動部品6への入口側通路となる第1冷却水配管12Aと、リヤ電動部品6からの出口側通路として該リヤ電動部品6から主冷却水回路11に至る第2冷却水配管12Bと、を含んでいる。
【0019】
これらの第1冷却水配管12Aおよび第2冷却水配管12Bは、車両前部のエンジンコンパートメントから車体フロアに沿って車両後方へと延びており、各々の冷却水配管12A,12Bの少なくとも一部分は、車両床下を通って配管されている。そして、これらの冷却水配管12A,12Bの各々の経路中に、内部を通流する冷却水と外気との間で熱交換を行う熱交換器つまりサブラジエータ18が介装されている。2つのサブラジエータ18は、いずれも、車両床下に配置されている。
【0020】
リヤ電動部品6から冷却水が流れ出るリヤ電動部品6の出口部には、リヤ電動部品6を出た冷却水の温度を検出する第2温度センサ19が配置されている。
【0021】
上記のように回路構成された冷却装置にあっては、電動ウォータポンプ15の動作により主冷却水回路11内を冷却水が循環し、フロント電動部品5を冷却するとともに、この冷却水の一部が分流して分岐冷却水回路12を冷却水が流れ、リヤ電動部品6を冷却する。これらのフロント電動部品5およびリヤ電動部品6から回収された熱は、まとめて電動部品用ラジエータ14から放熱される。また一部の熱が車両床下の2つのサブラジエータ18から放熱されるため、電動部品用ラジエータ14の大型化を回避しつつ冷却水温度を低く保つことが可能となり、リヤ電動部品6をフロント電動部品5とともに効果的に冷却することができる。サブラジエータ18は、車両床下のスペースを有効利用して配置することが可能である。
【0022】
特に、前輪駆動を基本形式として設計された車両にリヤ電動部品6を付加して4輪駆動形式とするような場合に、リヤ電動部品6の熱量をサブラジエータ18で放熱することで、ラジエータ14を含む主冷却水回路11の構成を基本的に変更せずに対応することが可能となる。
【0023】
電動ウォータポンプ15およびラジエータ4,14背面の電動ファンは、第1温度センサ16および第2温度センサ19の検出温度、フロント電動部品5ないしリヤ電動部品6に含まれるモータやインバータの温度、さらには内燃機関2の冷却水温度、などに基づいて制御される。
【0024】
なお、内燃機関2の冷却系統における冷却水および冷却水回路11,12を循環する冷却水は、例えば適宜な添加剤を含むエチレングリコール水溶液などからなるが、両者が同じものであってもよく、あるいは成分や濃度等が互いに異なるものであってもよい。
【0025】
図2は、車両床下に配置されたサブラジエータ18へ冷却風を導くための第1実施例の構成を示している。サブラジエータ18は、車両の後部例えば後席付近において車体フロア(フロアパネル)21の下方に配置されており、車体フロア21と該車体フロア21の下方に位置するアンダーカバー22との間に形成されるダクト状をなす空間23内に収容されている。アンダーカバー22は、上記空間23内に配置されるサブラジエータ18および該サブラジエータ18に接続された冷却水配管12A,12Bの下側面を覆っている。
【0026】
上記の空間23には、冷却風として車室内から空気を導く導風ダクト24が接続されており、この導風ダクト24内に、電動の送風ファン25が設けられている。導風ダクト24は、図示せぬ基端側が車室の例えば後席付近あるいは後席より後方のラゲッジルーム内などで車室内に連通しており、先端側が車体フロア21を通して空間23のサブラジエータ18よりも前方位置に開口している。夏期等には、車室内に図示しない空調装置によって外気よりも低い温度となった空調風が供給される。この空調風は、車室後部から導風ダクト24を介して空間23に排出され、サブラジエータ18を冷却した上で車両後部へと排出される。従って、夏期等の外気温が高い条件下において、外気温よりも低い温度の車室空調空気を利用してサブラジエータ18を効率よく冷却することができる。
【0027】
なお、一般に自動車の車室には適当な換気が必要であることから、車室後部に換気孔が設けられており、この換気孔を通して外部へ車室内の空気が排出される。
図2の構成では、このような換気孔に代えて導風ダクト24が設けられており、導風ダクト24が換気用の経路を兼ねたものとなっている。従って、空調空気が導風ダクト24を通して外部へ流れることに伴う空調負荷の増大は最小限である。好ましくは、換気に必要な流量となるように導風ダクト24を設定することで、空調負荷の増大を実質的に0とすることができる。
【0028】
図3は、導風ダクト24に設けられた送風ファン25の制御を示すフローチャートであって、ステップ1で、冷却水温度例えばリヤ電動部品6の出口側における第2温度センサ19の検出温度TWを所定の設定温度TW1(例えば55℃)と比較する。検出温度TWが設定温度TW1以上であれば、ステップ2へ進んで送風ファン25をONとし、検出温度TWが設定温度TW1未満であれば、ステップ3へ進んで送風ファン25をOFFとする。
【0029】
次に、
図4は、サブラジエータ18への冷却風として車両走行用のバッテリ3を冷却した後の空調風を利用するようにした第2実施例の構成を示している。サブラジエータ18の配置は第1実施例と同様であり、車両の後部例えば後席付近において車体フロア(フロアパネル)21の下方に配置されており、車体フロア21と該車体フロア21の下方に位置するアンダーカバー22との間に形成されるダクト状をなす空間23内に収容されている。アンダーカバー22は、上記空間23内に配置されるサブラジエータ18および該サブラジエータ18に接続された冷却水配管12A,12Bの下側面を覆っている。
【0030】
上記の空間23には、サブラジエータ18よりも前方位置において空間23と連通するように導風ダクト31が接続されている。この導風ダクト31は、密閉されたパックケースを有するバッテリパックとして構成されたバッテリ3の冷却風出口に接続されている。バッテリ3の冷却風入口ダクト32は、前述した第1実施例における導風ダクト24と同様に、基端側が車室の例えば後席付近あるいは後席より後方のラゲッジルーム内などで車室内に連通しており、この冷却風入口ダクト32に電動の送風ファン33が設けられている。
【0031】
バッテリ3は、充放電可能な二次電池例えばリチウムイオンバッテリのセルをパックケース内に多数収容した構成であり、セルの冷却のためにパックケース内部を冷却風を通流し得る構成となっている。夏期等には、車室内に図示しない空調装置によって外気よりも低い温度となった空調風が供給されており、送風ファン33の作動に伴い、この車室空調空気が冷却媒体としてバッテリ3を通過する。そして、バッテリ3冷却後の空気が導風ダクト31を介してサブラジエータ18へ冷却風として供給される。なお、夏期等の外気温が高い条件下では、バッテリ3通過後の冷却風の温度がなおも外気温より低いものとなり得る。
【0032】
図5は、バッテリ3の冷却風入口ダクト32に設けられた送風ファン33の制御を示すフローチャートであって、ステップ11で、図示せぬ温度検出手段によって検出されるバッテリ温度Tbattを所定の設定温度Tbatt1と比較する。バッテリ温度Tbattが設定温度Tbatt1未満であれば、ステップ12へ進み、冷却水温度例えばリヤ電動部品6の出口側における第2温度センサ19の検出温度TWを所定の設定温度TW1(例えば55℃)と比較する。検出温度TWが設定温度TW1以上であれば、ステップ13へ進んで送風ファン33を中速で駆動し、検出温度TWが設定温度TW1未満であれば、ステップ14へ進んで送風ファン33をOFFとする。
【0033】
バッテリ温度Tbattが設定温度Tbatt1以上であれば、ステップ15へ進み、ステップ12と同様にリヤ電動部品6の出口側における第2温度センサ19の検出温度TWを設定温度TW1と比較する。検出温度TWが設定温度TW1以上であれば、ステップ16へ進んで送風ファン33を高速で駆動し、検出温度TWが設定温度TW1未満であれば、ステップ17へ進んで送風ファン33を中速で駆動する。
【0034】
すなわち、この実施例では、送風ファン33が、停止、中速、高速の3段階に制御される。バッテリ温度Tbattおよび第2温度センサ19の検出温度TWの双方が低ければ送風ファン33は停止し、双方が各々の設定温度よりも高ければ送風ファン33は高速で駆動され、いずれか一方のみが設定温度よりも高い場合には送風ファン33は中速で駆動される。これにより、バッテリ3およびサブラジエータ18を効率よく冷却することができる。
【0035】
次に、
図6は、サブラジエータ18への冷却風として車両走行風を利用するようにした第3実施例を示している。サブラジエータ18の配置は第1,第2実施例と同様であり、車両の後部例えば後席付近において車体フロア(フロアパネル)21の下方に配置されており、車体フロア21と該車体フロア21の下方に位置するアンダーカバー22との間に形成されるダクト状をなす空間23内に収容されている。アンダーカバー22は、上記空間23内に配置されるサブラジエータ18および該サブラジエータ18に接続された冷却水配管12A,12Bの下側面を覆っている。
【0036】
第3実施例では、サブラジエータ18の前方位置においてアンダーカバー22に導風ガイド41が設けられている。この導風ガイド41は、空間23内に車両走行風を導くようにアンダーカバー22下面において車両前方へ向かって開口する入口部41aを有し、この入口部41aから流入した車両走行風が傾斜したガイド部41bに沿ってサブラジエータ18へ向かって流れるように構成されている。
【0037】
このように導風ガイド41を備えることで、走行中に確実にサブラジエータ18を冷却することができる。モータやインバータを含む電動部品5,6の発熱は主に走行中に生じるので、車両走行風による冷却が可能である。
【0038】
なお、
図1の例では放熱面積の拡大のために2つのサブラジエータ18を備えているが、サブラジエータ18は、冷却水配管12A,12Bのいずれか一方のみに設けるようにしてもよい。
【0039】
また、本発明は、パラレルハイブリッド型自動車などシリーズハイブリッド型以外のハイブリッド型自動車や、内燃機関2を具備しない電動自動車にも適用が可能である。
【符号の説明】
【0040】
1…発電機
2…内燃機関
3…バッテリ
4…エンジン用ラジエータ
5…フロント電動部品
6…リヤ電動部品
11…主冷却水回路
12…分岐冷却水回路
14…電動部品用ラジエータ
15…電動ウォータポンプ
18…サブラジエータ
21…車体フロア
22…アンダーカバー
23…空間
24…導風ダクト
25…送風ファン
31…導風ダクト
33…送風ファン
41…導風ガイド