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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】旅客搭乗橋
(51)【国際特許分類】
   B64F 1/305 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
B64F1/305
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019194875
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021066389
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2021-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桝井 允
(72)【発明者】
【氏名】吉本 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】下森 亘
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0060128(US,A1)
【文献】特開昭56-099898(JP,A)
【文献】国際公開第2018/055980(WO,A1)
【文献】米国特許第05226204(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64F 1/30- 1/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターミナルビルに接続されたロタンダと、
基端が前記ロタンダに接続されたトンネル部と、
前記トンネル部の先端に設けられたキャブと、
前記トンネル部を支持する走行装置と、
前記走行装置の動作を制御する第1制御装置と、
を備え、
前記キャブは、前記トンネル部と連通する歩行通路となる第1床と、前記第1床に設けられた第2床と、前記第2床を航空機に接近または接触する停止位置に移動させる移動機構と、を備える旅客搭乗橋であって、
前記移動機構は、前記第2床に駆動力を与える駆動器と、電力供給装置と、前記駆動器の駆動を制御する第2制御装置と、を備え、
前記第2制御装置に用いる配線は、前記第1制御装置に用いる配線とは独立して設けられており、前記第2制御装置は、前記駆動器を制御して、前記停止位置で停止した第2床を前記航空機から離した退避位置に退避させるとともに、商用電源から前記旅客搭乗橋への電力供給が停止した場合、前記駆動器は、前記電力供給装置の電力が供給される旅客搭乗橋。
【請求項2】
前記第2制御装置は、前記キャブが航空機から離脱するための前記走行装置の走行車輪の回転が禁止されている場合において、前記駆動器を制御して、前記停止位置で停止した第2床を前記航空機から離した退避位置に退避させる請求項1に記載の旅客搭乗橋。
【請求項3】
前記駆動器のブレーキで前記第2床が前記退避位置に固定させている請求項1または2に記載の旅客搭乗橋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、旅客搭乗橋に関する。
【背景技術】
【0002】
空港のターミナルビルと航空機との間の乗客の歩行通路になる設備として、旅客搭乗橋が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
旅客搭乗橋は、ターミナルビルに接続されて回転自在に支持されたロタンダと、基端がロタンダに接続されて複数のトンネルがテレスコピック式に嵌合されて伸縮自在に構成されたトンネル部と、トンネル部の先端に設けられて回転自在なキャブとを備えている。さらに、トンネル部の先端寄りには、支持脚としてドライブコラムが設けられている。
【0004】
ドライブコラムには、トンネル部を支持して上下移動させる昇降装置と、昇降装置の下方に複数の走行車輪を備えた走行装置とを備えている。昇降装置によってトンネル部を上下移動させることにより、トンネル部はロタンダを基点として上下方向に揺動運動することができる。また、走行装置によってドライブコラムをエプロン上で走行させることによって、トンネル部は前後方向の伸縮運動および/またはロタンダを基点とした水平方向の揺動運動をすることができる。このようなドライブコラムの走行装置によってトンネル部を移動させることで、トンネル部の先端のキャブが航空機に接続するとともに、航空機とキャブとの接続解除が行われる。なお、以下、便宜上、このような航空機とキャブとの接続解除の動作のことを、キャブの通常離脱動作という。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実開昭62-145800号公報
【文献】実公平3-11119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来例は、キャブの通常離脱動作を行えない場合の問題について検討されていない。よって、本開示は、一例として、キャブの通常離脱動作を行えない場合でも、従来に比べて適切にキャブを航空機から退避させ得る旅客搭乗橋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一態様(aspect)の旅客搭乗橋は、ターミナルビルに接続されたロタンダと、基端が前記ロタンダに接続されたトンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられたキャブと、前記トンネル部を支持する走行装置と、を備え、
前記キャブは、前記トンネル部と連通する歩行通路となる第1床と、前記第1床に設けられた第2床と、前記第2床を航空機に接近または接触する停止位置に移動させる移動機構と、を備える旅客搭乗橋であって、
前記移動機構は、前記第2床に駆動力を与える駆動器と、前記駆動器の駆動を制御する制御装置と、備え、
前記制御装置は、前記走行装置の走行車輪の回転が不能である場合、または、前記キャブが航空機から離脱するための前記走行装置の走行車輪の回転が禁止されている場合において、前記駆動器を制御して、前記停止位置で停止した第2床を前記航空機から離した退避位置に退避させる。
【0008】
また、本開示の一態様の旅客搭乗橋は、ターミナルビルに接続されたロタンダと、基端が前記ロタンダに接続されたトンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられたキャブと、前記トンネル部を支持する走行装置と、前記走行装置の動作を制御する第1制御装置と、
を備え、
前記キャブは、前記トンネル部と連通する歩行通路となる第1床と、前記第1床に設けられた第2床と、前記第2床を航空機に接近または接触する停止位置に移動させる移動機構と、を備える旅客搭乗橋であって、
前記移動機構は、前記第2床に駆動力を与える駆動器と、前記駆動器の駆動を制御する第2制御装置と、備え、
前記第2制御装置に用いる配線は、前記第1制御装置に用いる配線とは独立して設けられており、前記第2制御装置は、前記駆動器を制御して、前記停止位置で停止した第2床を前記航空機から離した退避位置に退避させる。
【0009】
また、本開示の一態様の旅客搭乗橋は、ターミナルビルに接続されたロタンダと、基端が前記ロタンダに接続されたトンネル部と、前記トンネル部の先端に設けられたキャブと、を備え、
前記キャブは、前記トンネル部と連通する歩行通路となる第1床と、前記第1床に設けられた第2床と、前記第2床が航空機に接近または接触する停止位置と前記航空機から離した退避位置との間で移動するための移動機構と、を備える旅客搭乗橋であって、
前記第2床は、前記移動機構のストッパー部材で前記退避位置および/または前記停止位置に固定される。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様の旅客搭乗橋は、キャブの通常離脱動作を行えない場合でも、従来に比べて適切にキャブを航空機から退避させ得る、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態の旅客搭乗橋の一例を示す図である。
図2図2は、第1実施形態の旅客搭乗橋のキャブの一例を示す図である。
図3図3は、第1実施形態の旅客搭乗橋のキャブの一例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態の旅客搭乗橋のキャブの一例を示す図である。
図5A図5Aは、図2のキャブをA-A矢視した図である。
図5B図5Bは、図2のキャブをB-B矢視した図であって、図5Aのキャブの状態から移動床を後方へ退避させた状態を示す図である。
図6図6は、キャブの通常離脱動作を行えない場合に、キャブを航空機の機体から退避させるとともにキャブを退避位置で固定させるための動作の一例を示すフローチャートである。
図7図7は、第2実施形態の旅客搭乗橋のキャブの一例を示す図である。
図8A図8Aは、図7のキャブをA-A矢視した図である。
図8B図8Bは、図7のキャブをA-A矢視した図であって、図8Aのキャブの状態から移動床を後方へ退避させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
キャブの通常離脱動作を行えない場合の問題について鋭意検討が行われ、以下の知見が得られた。
【0013】
上記のとおり、通常、ドライブコラムの走行装置によってトンネル部を移動させることでトンネル部の先端に設けられたキャブを航空機から退避することが可能であるが、以下の如く、キャブの通常離脱動作で、キャブを航空機から退避できない状態に陥る可能性がある。
【0014】
第1に、商用電源から旅客搭乗橋への電力供給が停止した場合、走行装置の駆動器(走行モータ)を動作できないので、キャブの通常離脱動作で、キャブを航空機から退避できない(以下、第1ケース)。この場合、従来の対応策として、例えば、商用電源から旅客搭乗橋への電力供給の復旧を待つ必要がある。また、例えば、走行装置の走行モータのブレーキを解放することで、トーイングトラクターなどで旅客搭乗橋を航空機から離すように引っ張る必要がある。
【0015】
第2に、旅客搭乗橋の制御系にトラブルが発生した場合、走行装置の駆動器(走行モータ)を動作できないので、キャブの通常離脱動作で、キャブを航空機から退避できない(以下、第2ケース)。この場合、従来の対応策として、例えば、かかる制御系の復旧を待つ必要がある。また、例えば、走行装置の走行モータのブレーキを解放することで、トーイングトラクターなどで旅客搭乗橋を航空機から離すように引っ張る必要がある。
【0016】
第3に、走行装置の走行車輪が、キャブを航空機から退避させる方向に回転できない状態で、キャブが航空機に装着されることがある。
【0017】
一般的に、走行装置の前進動作が行われる操作位置になるように作業員が走行レバーを操作することで、走行装置の走行車輪を順方向で回転させながら、キャブが航空機の機体に装着されること(以下、キャブの前進装着と略す場合がある)を前提にして、旅客搭乗橋は構成されている。このため、走行装置の後進動作が行われる操作位置になるように作業員が走行レバーを操作することで、走行装置の走行車輪を逆方向で回転させながら、キャブが航空機の機体に装着されること(以下、キャブの後進装着と略す場合がある)は通常禁止されている。つまり、一般的には、走行装置の後進動作が行われる操作位置になるように、作業員が走行レバーを操作することで、走行装置の走行車輪を逆方向で回転させながら、キャブを通常退避動作で航空機から退避させることができる。
【0018】
しかし、例えば、旅客搭乗橋の操作に不慣れな作業者が不用意に走行装置の走行車輪を切り返した結果、キャブの後進装着が行われる場合がある。すると、走行装置の前進動作が行われる操作位置になるように、作業員が走行レバーを操作することで、走行装置の走行車輪を順方向で回転させながら、キャブを航空機から退避させることができない。この理由は、キャブを航空機の機体に装着したとき、キャブの前進装着が行われることを前提とする旅客搭乗橋では、キャブの前進装着の完了後、それ以上の走行装置の前進動作を禁止すべく、走行装置のリミットスイッチがオンしているからである。なお、このとき、仮に、キャブの後進装着が行われたことを作業者が気づかないまま、走行装置の後進動作が行われる操作位置になるように、作業員が走行レバーを操作すると、キャブを航空機の機体に押し付けてしまうこととなる。
【0019】
以上により、キャブの後進装着が行われた場合、キャブの通常離脱動作で、キャブを航空機から退避できない(以下、第3ケース)。この場合、従来の対応策として、例えば、走行装置の走行モータのブレーキを解放することで、トーイングトラクターなどで旅客搭乗橋を航空機から離すように引っ張る必要がある。また、例えば、走行装置のリミットスイッチを外すことで(つまり、リミットスイッチを強制的にオフすることで)、走行装置の前進動作が行われる状態にする必要がある。
【0020】
以上のような第1ケース-第3ケースにおける従来の対応策でキャブを航空機から退避させるには、作業の手間および時間がかかると考えられる。例えば、トーイングトラクターで旅客搭乗橋を引っ張るには、旅客搭乗橋の周辺にトーイングトラクターを配置するための十分なスペースの確保が必要となるなど、様々な前提条件が存在する。また、例えば、走行装置のリミットスイッチを外すには、高所作業車の手配などの様々な準備作業が伴う。
【0021】
ところで、出願人による先行特許(国際公開第2018/055980号)において、移動部材をキャブの床に対して歩行者の通行方向に移動させる移動機構が提案されている。
【0022】
そこで、本開示者らは、このような移動機構を利用することで、キャブの通常離脱動作を行えない場合でも、キャブを航空機から適切に退避できることを見出して、以下の本開示の一態様に想到した。
【0023】
すなわち、本開示の第1態様の旅客搭乗橋は、ターミナルビルに接続されたロタンダと、基端がロタンダに接続されたトンネル部と、トンネル部の先端に設けられたキャブと、トンネル部を支持する走行装置と、を備え、
キャブは、トンネル部と連通する歩行通路となる第1床と、第1床に設けられた第2床と、第2床を航空機に接近または接触する停止位置に移動させる移動機構と、を備える旅客搭乗橋であって、
移動機構は、第2床に駆動力を与える駆動器と、駆動器の駆動を制御する制御装置と、を備え、
制御装置は、走行装置の走行車輪の回転が不能である場合、または、キャブが航空機から離脱するための走行装置の走行車輪の回転が禁止されている場合において、駆動器を制御して、停止位置で停止した第2床を航空機から離した退避位置に退避させる。
【0024】
また、本開示の第2態様の旅客搭乗橋は、ターミナルビルに接続されたロタンダと、基端がロタンダに接続されたトンネル部と、トンネル部の先端に設けられたキャブと、トンネル部を支持する走行装置と、走行装置の動作を制御する第1制御装置と、を備え、
キャブは、トンネル部と連通する歩行通路となる第1床と、第1床に設けられた第2床と、第2床を航空機に接近または接触する停止位置に移動させる移動機構と、を備える旅客搭乗橋であって、
移動機構は、第2床に駆動力を与える駆動器と、駆動器の駆動を制御する第2制御装置と、を備え、
第2制御装置に用いる配線は、第1制御装置に用いる配線とは独立して設けられており、第2制御装置は、駆動器を制御して、停止位置で停止した第2床を航空機から離した退避位置に退避させる。
【0025】
ここで、本開示の第3態様の旅客搭乗橋は、第1態様または第2態様の旅客搭乗橋において、駆動器のブレーキで第2床が退避位置に固定されていてもよい。また、本開示の第4態様の旅客搭乗橋は、第1態様から第3態様のいずれか一つの旅客搭乗橋において、上記の移動機構は、電力供給装置を備えていてもよい。
【0026】
かかる構成によると、本態様の旅客搭乗橋は、キャブの通常離脱動作を行えない場合でも、従来に比べて適切にキャブを航空機から退避させ得る。
【0027】
なお、走行装置の走行車輪の回転が不能である場合とは、例えば、上記の第1ケースおよび第2ケースなどを挙げることができる。また、キャブが航空機から離脱するための走行装置の走行車輪の回転が禁止されている場合とは、例えば、上記の第3ケースなどを挙げることができる。
【0028】
具体的には、本態様の旅客搭乗橋は、一例として、第1ケースの如く、商用電源から旅客搭乗橋への電力供給が停止しても、上記の電力供給装置の電力により、制御装置または第2制御装置が、駆動器を制御して、第2床を航空機から離した退避位置に退避させることができる。また、制御装置または第2制御装置が、駆動器を制御して、駆動器のブレーキで第2床を退避位置に固定することができる。これにより、本態様の旅客搭乗橋は、キャブと航空機との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。すると、例えば、トーイングトラクターなどで航空機を適宜、移動させることができる。つまり、キャブの第2床が航空機の機体に接近または接触しているとき、トーイングトラクターなどで航空機を牽引すると、キャブの第2床と航空機の機体とが擦れ合うことで航空機の機体が損傷する可能性があるが、本態様の旅客搭乗橋は、以上の構成により、このような可能性を低減することができる。例えば、キャブの第2床と航空機の機体との間の距離が、約70mm程度であると、トーイングトラクターなどで航空機を牽引する場合でも、キャブの第2床と航空機の機体とが擦れ合う可能性が低い。
【0029】
また、本態様の旅客搭乗橋は、一例として、第2ケースの如く、旅客搭乗橋の制御系にトラブルが発生しても、この制御系とは独立した第2制御装置が、駆動器を制御して、第2床を航空機から離した退避位置に退避させることができる。また、第2制御装置が、駆動器を制御して、駆動器のブレーキで第2床を退避位置に固定させることができる。これにより、本態様の旅客搭乗橋は、キャブと航空機との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。すると、例えば、トーイングトラクターなどで航空機を適宜、移動させることができる。つまり、キャブの第2床が航空機の機体に接近または接触しているとき、トーイングトラクターなどで航空機を牽引すると、キャブの第2床と航空機の機体とが擦れ合うことで航空機の機体が損傷する可能性があるが、本態様の旅客搭乗橋は、以上の構成により、このような可能性を低減することができる。
【0030】
また、本態様の旅客搭乗橋は、一例として、第3ケースの如く、走行装置の走行車輪を逆方向で回転させながら、キャブが航空機の機体に装着しても、制御装置または第2制御装置が、駆動器を制御して、第2床を航空機から離した退避位置に退避させることができる。また、制御装置または第2制御装置が、駆動器を制御して、駆動器のブレーキで退避位置に固定させることができる。これにより、本態様の旅客搭乗橋は、キャブと航空機との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。すると、例えば、トーイングトラクターなどで航空機を適宜、移動させることができる。また、走行装置の走行車輪の順方向回転を禁止するためのリミットスイッチがオフになるので、走行装置の前進動作が行われる操作位置になるように、作業員が走行レバーを操作することで、走行装置の走行車輪を順方向で回転させながら、キャブを航空機からさらに遠ざけることもできる。つまり、キャブの第2床が航空機の機体に接近または接触しているとき、トーイングトラクターなどで航空機を牽引すると、キャブの第2床と航空機の機体とが擦れ合うことで航空機の機体が損傷する可能性があるが、本態様の旅客搭乗橋は、以上の構成により、このような可能性を低減することができる。
【0031】
本開示の第5態様の旅客搭乗橋は、ターミナルビルに接続されたロタンダと、基端がロタンダに接続されたトンネル部と、トンネル部の先端に設けられたキャブと、を備え、
キャブは、トンネル部と連通する歩行通路となる第1床と、第1床に設けられた第2床と、第2床が航空機に接近または接触する停止位置と航空機から離した退避位置との間で移動するための移動機構と、を備える旅客搭乗橋であって、
第2床は、移動機構のストッパー部材で退避位置および/または停止位置に固定される。
【0032】
また、本開示の第6態様の旅客搭乗橋は、第5態様の旅客搭乗橋において、停止位置で停止した第2床は、移動機構の伸縮部材が縮むことにより退避位置に移動してもよい。
【0033】
かかる構成によると、本態様の旅客搭乗橋は、キャブの通常離脱動作を行えない場合でも、従来に比べて適切にキャブを航空機から退避させ得る。
【0034】
具体的には、本態様の旅客搭乗橋は、一例として、第1ケースの如く、商用電源から旅客搭乗橋への電力供給が停止しても、伸縮部材が、例えば、圧縮過重を受けて働く付勢部材であるとき、伸縮部材の圧縮作用により第2床を適切に手動で移動させ、ストッパー部材で第2床を退避位置に固定することができる。また、伸縮部材が、例えば、引張過重を受けて働く付勢部材であるとき、伸縮部材の引張作用により第2床を適切に手動で移動させ、ストッパー部材で第2床を停止位置に固定することができる。これにより、本態様の旅客搭乗橋は、移動機構の伸縮部材が縮むことで、キャブと航空機との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。すると、例えば、トーイングトラクターなどで航空機を適宜、移動させることができる。つまり、キャブの第2床が航空機の機体に接近または接触しているとき、トーイングトラクターなどで航空機を牽引すると、キャブの第2床と航空機の機体とが擦れ合うことで航空機の機体が損傷する可能性があるが、本態様の旅客搭乗橋は、以上の構成により、このような可能性を低減することができる。
【0035】
また、本態様の旅客搭乗橋は、一例として、第2ケースの如く、旅客搭乗橋の制御系にトラブルが発生しても、伸縮部材が、例えば、圧縮過重を受けて働く付勢部材であるとき、伸縮部材の圧縮作用により第2床を適切に手動で移動させ、ストッパー部材で第2床を退避位置に固定することができる。また、伸縮部材が、例えば、引張過重を受けて働く付勢部材であるとき、伸縮部材の引張作用により第2床を適切に手動で移動させ、ストッパー部材で第2床を停止位置に固定することができる。これにより、本態様の旅客搭乗橋は、移動機構の伸縮部材が縮むことで、キャブと航空機との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。すると、例えば、トーイングトラクターなどで航空機を適宜、移動させることができる。つまり、キャブの第2床が航空機の機体に接近または接触しているとき、トーイングトラクターなどで航空機を牽引すると、キャブの第2床と航空機の機体とが擦れ合うことで航空機の機体が損傷する可能性があるが、本態様の旅客搭乗橋は、以上の構成により、このような可能性を低減することができる。
【0036】
また、本態様の旅客搭乗橋は、一例として、第3ケースの如く、走行装置の走行車輪を逆方向で回転させながら、キャブが航空機の機体に装着しても、伸縮部材が、例えば、圧縮過重を受けて働く付勢部材であるとき、伸縮部材の圧縮作用により第2床を適切に手動で移動させ、ストッパー部材で第2床を退避位置に固定することができる。また、伸縮部材が、例えば、引張過重を受けて働く付勢部材であるとき、伸縮部材の引張作用により第2床を適切に手動で移動させ、ストッパー部材で第2床を停止位置に固定することができる。これにより、本態様の旅客搭乗橋は、移動機構の伸縮部材が縮むことで、キャブと航空機との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。すると、例えば、トーイングトラクターなどで航空機を適宜、移動させることができる。また、走行装置の走行車輪の順方向回転を禁止するためのリミットスイッチがオフになるので、走行装置の前進動作が行われる操作位置になるように、作業員が走行レバーを操作することで、走行装置の走行車輪を順方向で回転させながら、キャブを航空機からさらに遠ざけることもできる。つまり、キャブの第2床が航空機の機体に接近または接触しているとき、トーイングトラクターなどで航空機を牽引すると、キャブの第2床と航空機の機体とが擦れ合うことで航空機の機体が損傷する可能性があるが、本態様の旅客搭乗橋は、以上の構成により、このような可能性を低減することができる。
【0037】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。以下で説明する実施形態は、上記各態様の一具体例を示すものである。よって、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態などは、あくまで一例であり、上記の各態様を限定するものではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、本開示の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、図面において、同じ符号が付いたものは、説明を省略する場合がある。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したもので、形状および寸法比などについては正確な表示ではない場合がある。
【0038】
(第1実施形態)
[装置の全体構成]
図1は、第1実施形態の旅客搭乗橋の一例を示す図である。ここでは、トンネル部10の全長が伸びた旅客搭乗橋100を側面視した図が示されている。
【0039】
以下、説明の便宜上、旅客搭乗橋100のトンネル部10の全長が伸縮する方向を前後方向とし、旅客搭乗橋100に重力が作用する方向を上下方向とし、旅客搭乗橋100の幅方向(前後方向および上下方向に直交する方向)を左右方向として説明する。また、図1に示すように、旅客搭乗橋100において、航空機200側を「前」とし、ターミナルビル側を「後」として説明する。
【0040】
本実施形態の旅客搭乗橋100は、ターミナルビルの乗降口に接続されて鉛直軸の回りに回転自在に支持されたロタンダ(後方円形室)12と、基端がロタンダ12に接続されて先端が昇降するように上下方向に揺動可能なトンネル部10と、トンネル部10の先端に回転自在に設けられたキャブ(前方円形室)20と、トンネル部10の先端寄りでトンネル部10を支持するドライブコラム15と、補助階段16と、制御装置50Aと、を備えている。
【0041】
トンネル部10は、乗客の歩行通路を形成するとともに、筒状体の複数のトンネル10A、10Bがテレスコピック式(入れ子式)に嵌合されて伸縮自在に構成されている。
【0042】
トンネル部10の先端寄り部分(最も先端側のトンネル10B)には、支持脚としてドライブコラム15が設けられている。ドライブコラム15には、トンネル部10を上下移動させる昇降装置15Aが設けられている。この昇降装置15Aによってトンネル部10を上下移動させることにより、トンネル部10およびキャブ20は、ロタンダ12を基点として上下方向に揺動運動することができる。
【0043】
また、ドライブコラム15には、昇降装置15Aの下方に走行装置15Bが設けられている。走行装置15Bは、トンネル部10を支持する装置であって、前進走行および後進走行が可能で、走行方向を変更可能に構成されている。この走行装置15Bによってドライブコラム15をエプロンの地面18上で走行させることによって、トンネル部10は前後方向の伸縮動作および/またはロタンダ12を基点とした水平方向の揺動動作をすることができる。
【0044】
具体的には、走行装置15Bは、順方向および逆方向に回転可能な左右一対の走行車輪14を備えている。図1の旅客搭乗橋100において、例えば、左右一対の走行車輪14が順方向に同一速度で回転するとき、走行装置15Bの前進動作が行われ、トンネル部10は前方に伸びる。また、図1の旅客搭乗橋100において、例えば、左右一対の走行車輪14が逆方向に同一速度で回転するとき、走行装置15Bの後進動作が行われ、トンネル部10は後方に縮む。また、図1の旅客搭乗橋100において、例えば、左右一対の走行車輪14のそれぞれの回転方向を逆にするとき、走行装置15Bが移動する向きが変化する。
【0045】
キャブ20は、トンネル部10の前端に回転可能に配置されている。キャブ20内には、操作盤(図示せず)が設置され、操作者が、操作盤のジョイスティックなどを用いて、旅客搭乗橋100の機器(例えば、ドライブコラム15など)を操作することができる。キャブ20の詳細な構成は後述する。
【0046】
補助階段16は、トンネル部10の内部とエプロンの地面18とを連絡するように、トンネル部10のサイドに設けられている。補助階段16は、例えば、操作者がキャブ20に出入りするのに使用される。
【0047】
制御装置50Aは、例えば、旅客搭乗橋100の操作盤内に設けられ、ドライブコラム15の走行装置15B(走行車輪14)の回転動作、および、ドライブコラム15の昇降装置15Aの昇降動作などを制御する。なお、制御装置50Aは、これらの機器以外の旅客搭乗橋100の全体の制御対象機器の動作を制御してもよい。
【0048】
制御装置50Aは、例えば、演算回路(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶回路(図示せず)と、を備えている。演算回路として、例えば、MPU、CPUなどを挙げることができる。記憶回路として、例えば、メモリなどを挙げることができる。制御装置50Aは、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。
【0049】
[キャブの構成]
以下、第1実施形態のキャブの一例について図面を参照しながら説明する。
【0050】
図2図3および図4は、第1実施形態の旅客搭乗橋のキャブの一例を示す図である。図2には、図1のキャブ20の前端部分を上下方向に平面視した図が示され、図3には、図1のキャブ20を前方から見た図が示されている。また、図4は、キャブを航空機に装着した状態の一例を示す側面図である。
【0051】
また、図5Aは、図2のキャブをA-A矢視した図である。図5Bは、図2のキャブをB-B矢視した図であって、図5Aのキャブの状態から移動床を後方へ退避させた状態を示す図である。なお、図5Aおよび図5Bでは、便宜上、先端リミットスイッチLSfの図示を省略している。
【0052】
第1実施形態の旅客搭乗橋100では、キャブ20は、トンネル部10(図1参照)の先端に設けられ、歩行通路21と、クロージャー24と、移動床30と、移動機構45と、を備えている。
【0053】
ここで、歩行通路21が、トンネル部10と連通する歩行通路となる固定床21Aと、固定床21Aに設けられ、この固定床21Aに対して幅方向300に傾斜可能に構成されている床21B(以下、傾斜床21Bという)とを備えている。
【0054】
なお、傾斜床21Bの傾斜機構は公知であるので、本機構の詳細な説明は行わずに、以下に概説する。例えば、図示しない連結ヒンジ部などを介して、上記の固定床および傾斜床21Bが連結されている。そして、パワーシリンダまたは電動モータなどの図示しない動力発生器の動力により傾斜床21Bの右端部または左端部が上下に移動する。すると、傾斜床21Bの前端部は、連結ヒンジ部を中心として揺動し得る。これにより、傾斜床21Bは幅方向300に傾斜し得る。
【0055】
ただし、以上の歩行通路21の構成は例示であって、本例に限定されない。例えば、キャブ20の歩行通路21となる床は、傾斜床21Bの部分を含めて全体が固定床で構成されていてもよい。
【0056】
また、傾斜床21Bの前部には、移動床30が設けられている。図4には、移動床30が、航空機200の機体に接触する停止位置に移動した状態が示されているが、これに限定されない。移動床30が、航空機200の機体に接近する停止位置に移動した状態でも、キャブ20を航空機200に装着することができる。
【0057】
本実施形態の旅客搭乗橋100では、移動床30は、傾斜床21Bの主面と平行な方向にスライド移動可能なスライド板31と、スライド板31に設けられたバンパー32などを備えている。なお、移動床30のスライド板31およびバンパー32の詳細は後で説明する。
【0058】
クロージャー24は、前後方向に伸縮可能な蛇腹部24A(図4参照)と、蛇腹部24Aの前端に設けられ、航空機200に当接する門型の当接部24Bと、蛇腹部24Aが縮む場合に蛇腹部24Aを収容し、上記の固定床またはキャブフレームと一体に連結された収容部24Cと、を備えている。これにより、キャブ20を航空機200に接続(装着)するとき、当接部24Bが前方へ傾倒することにより航空機200の乗降部201(図1参照)の周囲に当接することができる。
【0059】
また、キャブ20の側壁(収容部24C)には、レベル検知装置25が配置されている。レベル検知装置25は、キャブ20を航空機200の乗降部201と接続した後、乗客の乗降、荷物の積み下ろしなどによって航空機200が上下動した場合に、キャブ20に対する航空機200の相対的な上下の移動量を検出する機器である。
【0060】
レベル検知装置25は、例えば、ホイル25Aと、ホイル25Aが前進する際の接触リミットスイッチ(図示せず)などで構成されている。
【0061】
上記の接触リミットスイッチは、航空機200の機体表面へのホイル25Aの圧力が最適となるように予め調整されていて、ホイル25Aが前進移動する場合に、接触リミットスイッチがオンすることで、この前進移動を所望の移動量で停止することができる。これにより、レベル検知装置25は、航空機200の機体表面にホイル25Aを最適な圧力で押すことが可能となり、航空機200が上下動する場合、レベル検知装置25のホイル25Aが回転する。そして、このホイル25Aの回転方向および回転角度に基づいて、キャブ20に対する航空機200の相対的な上下の移動量(以下、航空機200の上下の移動量ともいう)を検出する検出手段を備えている。そして、レベル検知装置25は、検出手段で検出される航空機200の上下の移動量が所定量以上になると、上記検出される航空機200の上下の移動量を制御装置50Aへ出力する。制御装置50Aは、キャブ20が航空機200の上下動に追従移動するようにドライブコラム15の昇降装置15Aを制御する。
【0062】
次に、キャブ20の傾斜床21Bの前部に設けられた移動床30および移動機構45の構成について、図2図5Aおよび図5Bを参照しながら説明する。
【0063】
上記のとおり、移動床30は、スライド板31と、バンパー32と、を備えている。
【0064】
バンパー32は、傾斜床21Bに対して歩行通路の通行方向400に離れた位置において、キャブ20の先端に配置されている。移動床30が、航空機200に接近または接触する停止位置に移動すると、キャブ20が航空機200に装着される。このとき、バンパー32の前面部分が航空機200に接近または接触する。バンパー32は、合成ゴム製のものであり、キャブ20が航空機200に接触した時の衝撃を緩和する機能を備えた緩衝部材である。なお、通行方向400は、歩行通路21を通る乗客の通行方向であり、傾斜床21Bの幅方向300(図2)に対して垂直な方向であり、図1では前後方向に相当する。
【0065】
スライド板31は、矩形の板状部材からなり、通行方向400に離れた2つの対向する縁部31a、31bのうち一方の前側縁部31aがバンパー32の上端に沿って取り付けられるとともに他方の後側縁部31bが傾斜床21Bの表面上に載せられ、バンパー32の移動にともなって傾斜床21Bの表面に沿ってスライドするように支持されている。乗客は、スライド板31上を通行することができる。
【0066】
スライド板31の前端部の下面に接続部材33が固定されており、接続部材33の前面にバンパー32が取り付けられる。
【0067】
本実施形態の旅客搭乗橋100では、キャブ20を航空機200に装着する際、移動機構45は、移動床30を傾斜床21Bに対して通行方向400に沿って航空機200に接近または接触する停止位置(5A参照)まで移動させることができる。また、キャブ20を航空機200から離脱する際、移動機構45は、かかる停止位置で停止した移動床30を航空機200から離した退避位置に退避させるとともに移動床30を退避位置(図5B参照)に固定させることができる。
【0068】
以下、このような移動機構45の具体的な構成の一例について、図面を参照しながら詳しく説明する。
【0069】
移動機構45は、ラック取付部材36、ラック37A、ピニオン37B、シャフト39、モータ40、モータ支持部材41、制御装置50Bおよび電力供給装置51などを備えている。接続部材33の後面側に通行方向400に延びるラック取付部材36が固定され、ラック取付部材36にラック37Aが固定されている。なお、電力供給装置51として、例えば、無停電電源装置(UPS)、二次電池、発電機などを挙げることができる。
【0070】
ラック37Aとともにラックアンドピニオン機構を構成するピニオン37Bは、シャフト39に固定され、シャフト39は、適宜設けられた軸受42(図2)で支持されている。図2に示すように、ラック37Aおよびピニオン37Bは、傾斜床21Bの幅方向300に延びて設けられたシャフト39の両端部分に2組設けられている。モータ40は、モータ支持部材41などによって傾斜床21Bの下方に固定されており、モータ40の回転力は、カップリングなどを介してシャフト39へ伝達される。
【0071】
すなわち、モータ40が回転することによって、シャフト39とともにピニオン37Bが回転し、ピニオン37Bの回転によってラック37Aが傾斜床21Bの表面と平行な通行方向400に移動する。この際、接続部材33とラック取付部材36とがラック37とともに移動する。なお、これらが上記の通行方向400に移動可能なように適宜の案内部材(図示せず)が設けられている。このようにして、モータ40は、移動床30に駆動力を与える。
【0072】
制御装置50Bは、モータ40の駆動を制御する。ここで、図示を省略するが、制御装置50Bに用いる配線は、制御装置50Aに用いる配線とは独立して設けられている。具体的には、制御装置50Bの制御対象機器(本例ではモータ40)は、制御装置50A(図1参照)の制御対象機器(本例ではドライブコラム15)とは独立した配線(例えば、通信線、電源線など)により接続されている。また、制御装置50Bに信号を送る検知器(本例では後方リミットスイッチLSb)は、制御装置50Aに信号を送る検知器(本例では先端リミットスイッチLSf)とは独立した配線(例えば、通信線、電源線など)により接続されている。
【0073】
このようにして、本実施形態の旅客搭乗橋100では、制御装置50Bは、走行装置15Bの走行車輪14の回転が不能である場合、または、キャブ20が航空機200から離脱するための走行装置15Bの走行車輪14の回転が禁止されている場合において、モータ40を制御して、移動床30を退避位置に退避させるとともにモータ40のブレーキで退避位置に固定させることができる。なお、走行装置15Bの走行車輪14の回転が不能である場合とは、例えば、上記の第1ケースおよび第2ケースなどを挙げることができる。また、キャブ20が航空機200から離脱するための走行装置15Bの走行車輪14の回転が禁止されている場合とは、例えば、上記の第3ケースなどを挙げることができる。
【0074】
ただし、以上の制御システムの構成は例示であって、本例に限定されない。例えば、旅客搭乗橋100の通常動作が行われる場合は、後方リミットスイッチLSbの検知信号に基づいて、制御装置50Aが、モータ40を制御するように、これらの機器を結線してもよい。そして、キャブ20の通常離脱動作を行えない場合、後方リミットスイッチLSbの検知信号に基づいて、制御装置50Bが、モータ40を制御するように、これらの機器を結線し直してもよい。
【0075】
さらに、本実施形態の旅客搭乗橋100では、移動機構45には、電力供給装置51が設けられている。これにより、例えば、商用電源から旅客搭乗橋100への電力供給が停止しても、電力供給装置51を用いて、制御装置50Bおよびモータ40に電力を供給することができる。
【0076】
なお、制御装置50Bは、例えば、演算回路(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶回路(図示せず)と、を備えている。演算回路として、例えば、MPU、CPUなどを挙げることができる。記憶回路として、例えば、メモリなどを挙げることができる。制御装置50Bは、集中制御を行う単独の制御器で構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御を行う複数の制御器で構成されていてもよい。
【0077】
また、本実施形態の旅客搭乗橋100には、図2図5Aおよび図5Bに示す如く、移動機構45の制御などに用いられる、複数(図2のキャブ20では3個)の先端リミットスイッチLSfと、複数(図2のキャブ20では2個)の後方リミットスイッチLSbと、が設けられている。
【0078】
先端リミットスイッチLSfは、接続部材33の下端に取り付けられ、バンパー32が航空機200の機体に接近または接触したことを検出するための検知器である。すなわち、バンパー32が航空機200の機体に接近または接触すると、先端リミットスイッチLSfがON(オン)する。また、バンパー32が航空機200の機体から離れると、先端リミットスイッチLSfがOFF(オフ)する。そして、このとき、先端リミットスイッチLSfの状態信号(ON信号、OFF信号)が、旅客搭乗橋100の操作盤内の制御装置50Aに送信される。これにより、制御装置50Aは、先端リミットスイッチLSfの状態信号に基づいて、走行装置15Bの走行車輪14の回転を制御する。具体的には、キャブ20を航空機200の機体に装着したとき、制御装置50Aによって、キャブ20を一定以上の押圧力で航空機200の機体に押し付け過ぎないように、走行装置15Bの走行車輪14の順方向回転が禁止される。つまり、先端リミットスイッチLSfがON(オン)すると、走行装置15Bの走行車輪14を順方向に回転させることができない。
【0079】
なお、上記のとおり、先端リミットスイッチLSfは複数設けられており、航空機200の機体の形状などによっては、バンパー32が航空機200の機体に接触したときに全ての先端リミットスイッチLSfがONするとは限らない。よって、制御装置50A(図1参照)では、全ての先端リミットスイッチLSfの状態信号(ON信号、OFF信号)を入力し、少なくとも1個の先端リミットスイッチLSfがONしていれば、先端リミットスイッチLSfがON状態であると判定し、全ての先端リミットスイッチLSfがOFF(オフ)しているときを、先端リミットスイッチLSfがOFF状態であると判定する。
【0080】
また、後方リミットスイッチLSbは、図5Aおよび図5Bに示す如く、傾斜床21Bの前端部に取り付けられている。そして、後方リミットスイッチLSbをONさせるための平面視で短冊状の接触平板38が、ラック取付部材36に取り付けられている。
【0081】
後方リミットスイッチLSbは、移動床30が退避位置に移動した状態になったときにONする。すなわち、図5Bに示すように、接触平板38が後方リミットスイッチLSbに接触すると、後方リミットスイッチLSbがON(オン)する。また、図5Aに示すように、接触平板38が後方リミットスイッチLSbから離れると、後方リミットスイッチLSbがOFF(オフ)する。そして、このとき、後方リミットスイッチLSbの状態信号(ON信号、OFF信号)が、モータ40の駆動を制御する制御装置50Bに送信される。これにより、制御装置50Bは、後方リミットスイッチLSbの状態信号に基づいて、モータ40の駆動を制御する。具体的には、後方リミットスイッチLSbがON(オン)すると、移動床30がさらに後方に移動しないように、モータ40の回転が停止する。
【0082】
[動作]
以下、旅客搭乗橋100の動作の一例について説明する。なお、以下の動作のうち、ステップS1、ステップS3およびステップS4の動作は、制御装置50Bの演算回路が、制御装置50Bの記憶回路から制御プログラムを読み出すことにより行われてもよい。ただし、これらの動作を制御装置50Bで行うことは、必ずしも必須ではない。操作者が、その一部の動作を行ってもよい。
【0083】
図6は、キャブの通常離脱動作を行えない場合に、キャブを航空機の機体から退避させるとともにキャブを退避位置で固定させるための動作の一例を示すフローチャートである。
【0084】
まず、キャブの通常離脱動作を行えない状態であるとき、ステップS1で、モータ40を回転させることで、移動床30を後方に移動可能かどうかが判定される。例えば、後方リミットスイッチLSbがOFF(オフ)の場合、移動床30を後方に移動が可能であると判定され、後方リミットスイッチLSbがON(オン)の場合、移動床30を後方に移動が可能でないと判定される。
【0085】
移動床30を後方に移動が可能でない場合(ステップS1において「No」の場合)、トーイングトラクターで旅客搭乗橋100を航空機200から離すようにけん引する(ステップS2)。その後、キャブの通常離脱動作を行えない状態が解消すると、ステップS5で、旅客搭乗橋100を適宜の待機位置に移動させる。なお、旅客搭乗橋100の待機位置への移動動作は公知であるので説明を省略する。
【0086】
移動床30を後方に移動が可能である場合(ステップS1において「Yes」の場合)、モータ40の回転により、移動床30を航空機200の機体から離した退避位置に退避させる(ステップS3)。そして、移動床30をモータ40のブレーキで、この退避位置に固定させる(ステップS4)。
【0087】
なお、以上の退避位置は、例えば、図5Bに示す如く、後方リミットスイッチLSbがON(オン)する際の移動床30の位置であってもよい。退避位置として、例えば、移動床30のバンパー32の前端部と航空機200の機体との間を約70mm程度離した位置を挙げることができるが、これに限定されない。
【0088】
その後、キャブの通常離脱動作を行えない状態が解消すると、ステップS5で、旅客搭乗橋100を適宜の待機位置に移動させる。
【0089】
以上のとおり、本実施形態の旅客搭乗橋100は、キャブ20の通常離脱動作を行えない場合でも、従来に比べて適切にキャブ20を航空機200から退避させ得る。
【0090】
具体的には、本実施形態の旅客搭乗橋100は、一例として、第1ケースの如く、商用電源から旅客搭乗橋100への電力供給が停止しても、電力供給装置51の電力により、制御装置50Bが、モータ40を制御して、移動床30を航空機200から離した退避位置に退避させるとともにモータ40のブレーキで移動床30を退避位置に固定することができる。これにより、本実施形態の旅客搭乗橋100は、キャブ20と航空機200との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。すると、例えば、トーイングトラクターなどで航空機200を適宜、移動させることができる。つまり、キャブ20の移動床30が航空機200の機体に接近または接触しているとき、トーイングトラクターなどで航空機200を牽引すると、キャブ20の移動床30と航空機200の機体とが擦れ合うことで航空機200の機体が損傷する可能性があるが、本実施形態の旅客搭乗橋100は、以上の構成により、このような可能性を低減することができる。
【0091】
また、本実施形態の旅客搭乗橋100は、一例として、第2ケースの如く、旅客搭乗橋100の制御装置50Aにトラブルが発生しても、制御装置50Aとは独立した制御装置50Bが、モータ40を制御して、移動床30を航空機200から離した退避位置に退避させるとともにモータ40のブレーキで移動床30を退避位置に固定させることができる。これにより、本実施形態の旅客搭乗橋100は、キャブ20と航空機200との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。すると、例えば、トーイングトラクターなどで航空機200を適宜、移動させることができる。つまり、キャブ20の移動床30が航空機200の機体に接近または接触しているとき、トーイングトラクターなどで航空機200を牽引すると、キャブ20の移動床30と航空機200の機体とが擦れ合うことで航空機200の機体が損傷する可能性があるが、本実施形態の旅客搭乗橋100は、以上の構成により、このような可能性を低減することができる。
【0092】
また、本実施形態の旅客搭乗橋100は、一例として、第3ケースの如く、走行装置15Bの走行車輪14を逆方向で回転させながら、キャブ20が航空機200の機体に装着しても、制御装置50Bが、モータ40を制御して、移動床30を航空機200から離した退避位置に退避させるとともにモータ40のブレーキで退避位置に固定させることができる。これにより、本実施形態の旅客搭乗橋100は、キャブ20と航空機200との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。すると、例えば、トーイングトラクターなどで航空機200を適宜、移動させることができる。また、走行装置15Bの走行車輪14の順方向回転を禁止するための先端リミットスイッチLSfがオフになるので、走行装置15Bの前進動作が行われる操作位置になるように、作業員が走行レバーを操作することで、走行装置15Bの走行車輪14を順方向で回転させながら、キャブ20を航空機200からさらに遠ざけることもできる。つまり、キャブ20の移動床30が航空機200の機体に接近または接触しているとき、トーイングトラクターなどで航空機200を牽引すると、キャブ20の移動床30と航空機200の機体とが擦れ合うことで航空機200の機体が損傷する可能性があるが、本実施形態の旅客搭乗橋100は、以上の構成により、このような可能性を低減することができる。
【0093】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の旅客搭乗橋100では、移動床30が、スライド板31を備える例を説明したが、これに限定されない。
【0094】
例えば、図示を省略するが、移動床は、幅方向に延伸する連結ヒンジ部などを介して傾斜床21Bの前端部に連結した傾倒板を備えてもよい。そして、この傾倒板が、連結ヒンジ部を中心に傾倒することで、航空機200に接近または接触する停止位置と航空機200から離した退避位置との間で移動するように構成されていてもよい。これにより、本変形例の旅客搭乗橋100は、傾倒床が傾倒することで、キャブ20と航空機200との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。
【0095】
本変形例の旅客搭乗橋100は、上記の特徴以外は、第1実施形態の旅客搭乗橋100と同様であってもよい。
【0096】
(第2実施形態)
第2実施形態の旅客搭乗橋100は、以下に説明するキャブ20の構成以外は、第1実施形態の旅客搭乗橋100と同様である。
【0097】
図7は、第2実施形態の旅客搭乗橋のキャブの一例を示す図である。図7には、図1のキャブ20の前端部分を上下方向に平面視した図が示されている。
【0098】
また、図8Aは、図7のキャブをA-A矢視した図である。図8Bは、図7のキャブをA-A矢視した図であって、図8Aのキャブの状態から移動床を後方へ退避させた状態を示す図である。なお、図8Aおよび図8Bでは、便宜上、先端リミットスイッチLSfの図示を省略している。
【0099】
第2実施形態の旅客搭乗橋100では、キャブ20は、トンネル部10(図1参照)の先端に設けられ、歩行通路21と、クロージャー24と、移動床30と、移動機構65と、を備えている。
【0100】
ここで、歩行通路21、クロージャー24および移動床30は、第1実施形態の旅客搭乗橋100と同様であるので詳細な説明を省略する。
【0101】
本実施形態の旅客搭乗橋100では、キャブ20を航空機200から離脱する際、移動機構65は、航空機200に接近または接触する停止位置(図8A参照)で停止した移動床30を航空機200から離した退避位置(図8B参照)に移動させるとともに移動床30を退避位置に固定させることができる。
【0102】
以下、このような移動機構65の具体的な構成の一例について、図面を参照しながら詳しく説明する。
【0103】
移動機構65は、上記のとおり、移動床30が航空機200に接近または接触する停止位置と航空機200から離した退避位置との間で移動するための機構である。
【0104】
本実施形態の旅客搭乗橋100では、移動機構65は、伸縮部材60と、ストッパー部材63と、を備えている。
【0105】
伸縮部材60は、傾斜床21Bの前端部と接続部材33の後面との間において、通行方向400(前後方向)に伸縮可能なように、幅方向300(左右方向)に所定間隔を隔てて複数個(図7のキャブ20では3個)、配置されている。これにより、伸縮部材60が伸縮することで、移動床30が、傾斜床21Bに対して通行方向400に沿って移動することができる。伸縮部材60としては、例えば、圧縮過重を受けて働く付勢部材などを挙げることができる。このような付勢部材として、例えば、圧縮コイルばねなどを用いることができる。
【0106】
具体的には、例えば、図8Aに示す如く、スライド板31の適所(図7のキャブ20では、幅方向300に等間隔な位置に2か所)に設けられた差し込み口62に補助具64を差し込み、この補助具64を手動で後方に引っ張ると、伸縮部材60が縮む。すると、図8Bに示す如く、移動床30を航空機200から離した退避位置(図8B参照)に容易に移動させることができる。
【0107】
ストッパー部材63は、移動床30を航空機200から離した退避位置に移動させた際に、移動床30を退避位置に固定させるための部材である。ストッパー部材63として、例えば、ロックピンなどを用いることができる。
【0108】
具体的には、例えば、図8Aに示す如く、スライド板31および傾斜床21Bの適所(図7のキャブ20では、幅方向300(左右方向)に所定間隔を隔てて配置した3か所)に、一対のロックピン孔61A、61Bが通行方向400に並んで設けられている。そして、図8Bに示す如く、伸縮部材60が縮むことにより、移動床30を航空機200から離した退避位置に移動させると、ロックピン孔61Aとロックピン孔61Bとが重なり合うので、これらのロックピン孔61A、61Bにストッパー部材63(ロックピン)を挿入することができる。これにより、伸縮部材60が縮むことで、停止位置から退避位置に移動した移動床30に対して伸縮部材60の付勢力(圧縮力)が作用しても、移動床30を退避位置に固定させることができる。
【0109】
以上のとおり、本実施形態の旅客搭乗橋100は、キャブ20の通常離脱動作を行えない場合でも、従来に比べて適切にキャブ20を航空機200から退避させ得る。
【0110】
具体的には、本実施形態の旅客搭乗橋100は、一例として、第1ケースの如く、商用電源から旅客搭乗橋100への電力供給が停止しても、伸縮部材60の圧縮作用により移動床30を適切に手動で移動させ、ストッパー部材63で移動床30を退避位置に固定することができる。これにより、本実施形態の旅客搭乗橋100は、伸縮部材60が縮むことで、キャブ20と航空機200との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。すると、例えば、トーイングトラクターなどで航空機200を適宜、移動させることができる。つまり、キャブ20の移動床30が航空機200の機体に接近または接触しているとき、トーイングトラクターなどで航空機200を牽引すると、キャブ20の移動床30と航空機200の機体とが擦れ合うことで航空機200の機体が損傷する可能性があるが、本実施形態の旅客搭乗橋100は、以上の構成により、このような可能性を低減することができる。
【0111】
また、本実施形態の旅客搭乗橋100は、一例として、第2ケースの如く、旅客搭乗橋100の制御系にトラブルが発生しても、伸縮部材60の圧縮作用により移動床30を適切に手動で移動させ、ストッパー部材63で移動床30を退避位置に固定することができる。これにより、本実施形態の旅客搭乗橋100は、伸縮部材60が縮むことで、キャブ20と航空機200との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。すると、例えば、トーイングトラクターなどで航空機200を適宜、移動させることができる。つまり、キャブ20の移動床30が航空機200の機体に接近または接触しているとき、トーイングトラクターなどで航空機200を牽引すると、キャブ20の移動床30と航空機200の機体とが擦れ合うことで航空機200の機体が損傷する可能性があるが、本実施形態の旅客搭乗橋100は、以上の構成により、このような可能性を低減することができる。
【0112】
また、本実施形態の旅客搭乗橋100は、一例として、第3ケースの如く、走行装置15Bの走行車輪14を逆方向で回転させながら、キャブ20が航空機200の機体に装着しても、伸縮部材60の圧縮作用により移動床30を適切に手動で移動させ、ストッパー部材63で第2床を退避位置に固定することができる。これにより、本実施形態の旅客搭乗橋100は、伸縮部材60が縮むことで、キャブ20と航空機200との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。すると、例えば、トーイングトラクターなどで航空機200を適宜、移動させることができる。また、走行装置15Bの走行車輪14の順方向回転を禁止するための先端リミットスイッチLSfがオフになるので、走行装置15Bの前進動作が行われる操作位置になるように、作業員が走行レバーを操作することで、走行装置15Bの走行車輪14を順方向で回転させながら、キャブ20を航空機200からさらに遠ざけることもできる。つまり、キャブ20の移動床30が航空機200の機体に接近または接触しているとき、トーイングトラクターなどで航空機200を牽引すると、キャブ20の移動床30と航空機200の機体とが擦れ合うことで航空機200の機体が損傷する可能性があるが、本実施形態の旅客搭乗橋100は、以上の構成により、このような可能性を低減することができる。
【0113】
本実施形態の旅客搭乗橋100は、上記の特徴以外は、第1実施形態の旅客搭乗橋100と同様であってもよい。
【0114】
(第2実施形態の第1変形例)
第2実施形態の旅客搭乗橋100では、移動床30が、スライド板31を備えるとともに、移動機構65が、伸縮部材60を備える例を説明したが、これに限定されない。
【0115】
例えば、図示を省略するが、移動床は、幅方向に延伸する連結ヒンジ部などを介して傾斜床21Bの前端部に連結した傾倒板を備えてもよい。そして、この傾倒板が、連結ヒンジ部を中心に傾倒することで、航空機200に接近または接触する停止位置と航空機200から離した退避位置との間で移動するように構成されていてもよい。これにより、本変形例の旅客搭乗橋100は、傾倒床が傾倒することで、キャブ20と航空機200との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。
【0116】
本変形例の旅客搭乗橋100は、上記の特徴以外は、第2実施形態の旅客搭乗橋100と同様であってもよい。
【0117】
(第2実施形態の第2変形例)
第2実施形態の旅客搭乗橋100では、伸縮部材60として、圧縮過重を受けて働く付勢部材(例えば、圧縮コイルばね)を例示したが、これに限定されない。
【0118】
例えば、図示を省略するが、伸縮部材は、引張過重を受けて働く付勢部材(例えば、引張コイルばね)であってもよい。この場合、伸縮部材の引張作用により、退避位置から停止位置に移動した移動床30に対して伸縮部材60の付勢力(引張力)が作用しても、適宜のストッパー部材(図示せず)を用いて、移動床30を停止位置に固定させることができる。そして、適時に、このストッパー部材を取り除くことで、移動床30は、自動的に退避位置に移動することができる。これにより、本変形例の旅客搭乗橋100は、伸縮部材が縮むことで、キャブ20と航空機200との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。
【0119】
本変形例の旅客搭乗橋100は、上記の特徴以外は、第2実施形態の旅客搭乗橋100と同様であってもよい。
【0120】
(第2実施形態の第3変形例)
第2実施形態および第2実施形態の第2実施例の旅客搭乗橋100では、移動機構65が、伸縮部材60として付勢部材を備える例を説明したが、これに限定されない。
【0121】
例えば、図示を省略するが、移動機構は、移動床30が航空機200に接近または接触する停止位置と航空機200から離した退避位置との間で移動するための機構を備えていればよく、必ずしも付勢部材を備える必要はない。この場合、移動床30は、適宜のストッパー部材(図示せず)で退避位置および停止位置の両方に固定される。これにより、本変形例の旅客搭乗橋100は、移動機構の移動操作により、キャブ20と航空機200との間で所望の離隔距離を簡易かつ迅速に確保することができる。
【0122】
本変形例の旅客搭乗橋100は、上記の特徴以外は、第2実施形態の旅客搭乗橋100と同様であってもよい。
【0123】
なお、第1実施形態、第1実施形態の変形例、第2実施形態、第2実施形態の第1変形例-第3変形例は、互いに相手を排除しない限り、互いに組み合わせても構わない。
【0124】
上記説明から、当業者にとっては、本開示の多くの改良、他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本開示の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本開示の一態様は、キャブの通常離脱動作を行えない場合でも、従来に比べて適切にキャブを航空機から退避させ得る旅客搭乗橋に利用することができる。
【符号の説明】
【0126】
10 :トンネル部
10A :トンネル
10B :トンネル
12 :ロタンダ
14 :走行車輪
15 :ドライブコラム
15A :昇降装置
15B :走行装置
16 :補助階段
18 :地面
20 :キャブ
21 :歩行通路
21A :固定床
21B :傾斜床
24 :クロージャー
24A :蛇腹部
24B :当接部
24C :収容部
25 :レベル検知装置
25A :ホイル
30 :移動床
31 :スライド板
31a :前側縁部
31b :後側縁部
32 :バンパー
33 :接続部材
36 :ラック取付部材
37 :ラック
37A :ラック
37B :ピニオン
38 :接触平板
39 :シャフト
40 :モータ
41 :モータ支持部材
42 :軸受
45 :移動機構
50A :制御装置
50B :制御装置
51 :電力供給装置
60 :伸縮部材
61A :ロックピン孔
61B :ロックピン孔
62 :差し込み口
63 :ストッパー部材
64 :補助具
65 :移動機構
100 :旅客搭乗橋
200 :航空機
201 :乗降部
300 :幅方向
400 :通行方向
LSb :後方リミットスイッチ
LSf :先端リミットスイッチ
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B