(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】改善された吸気系を有する内燃機関およびその原動機付き車両
(51)【国際特許分類】
F02M 35/10 20060101AFI20220907BHJP
F02M 35/024 20060101ALI20220907BHJP
F02M 35/116 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
F02M35/10 301P
F02M35/024 511A
F02M35/116 V
(21)【出願番号】P 2019523563
(86)(22)【出願日】2017-11-03
(86)【国際出願番号】 IB2017056882
(87)【国際公開番号】W WO2018083651
(87)【国際公開日】2018-05-11
【審査請求日】2020-07-13
(31)【優先権主張番号】102016000111203
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102016000111255
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102016000111263
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】102016000111270
(32)【優先日】2016-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】512185877
【氏名又は名称】ピアッジオ・エ・チ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】PIAGGIO & C. S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Viale Rinaldo Piaggio, 25, I-56025 Pontedera, PI,Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(72)【発明者】
【氏名】マッティア・マリタン
(72)【発明者】
【氏名】カルロ・カラペッルッチ
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-236361(JP,A)
【文献】特開2007-303456(JP,A)
【文献】特開2010-071111(JP,A)
【文献】特開2013-148071(JP,A)
【文献】特許第3620191(JP,B2)
【文献】特開2010-060077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/10
F02M 35/024
F02M 35/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関(4)であって、
往復直線運動に従って、モータ軸(X‐X)を中心に回転するドライブシャフトに動作可能に接続された関連する第1のピストンを収容する第1の一対のシリンダ(8)と、
吸気流/混合気の入力方向に関して、前方および後方にそれぞれ配置された少なくとも1つの第1の前部吸気管(20)および少なくとも1つの第1の後部吸気管(24)を収容する吸気容積部(16)を画定するフィルタボックス(12)を備える吸気系とを備え、各吸気管(20、24)が、それぞれのシリンダに入る前に吸気混合気を導き、
前記第1の前部および後部吸気管(20、24)が固定され、
各第1の前部および後部吸気管(20、24)が、第1の下部トランペット(32)および筒状形状を有する第1の上部トランペット(36)を備える、固定され完全に分離され互いに整列した2つの第1のトランペットに分割され、前記第1の上部トランペット(36)が上部インジェクタ装置(48)に面し、前記第1の下部トランペット(32)が前記対応するシリンダに面し、
前記第1の上部および下部トランペット(36、32)が、前記第1の下部トランペット(32)の下部入力縁(40)と前記第1の上部トランペット(36)の上部出力縁(44)との間のギャップ(G)を特定し、前記第1の前部吸気管(20)の前記ギャップ(G1a)が、前記第1の後部吸気管(24)の前記ギャップ(G1p)とは異なる内燃機関(4)。
【請求項2】
前記第1の前部吸気管(20)の前記ギャップ(G1a)が、前記対応するシリンダの傾斜に応じて、前記第1の後部吸気管(24)の前記ギャップ(G1p)とは異なる、請求項1に記載の内燃機関(4)。
【請求項3】
前記第1の前部吸気管(20)の前記ギャップ(G1a)が、前記第1の前部吸気管(20)の前記第1の上部トランペット(36)の内径(D1a)の15%~35%である、請求項1に記載の内燃機関(4)。
【請求項4】
前記第1の後部吸気管(24)の前記ギャップ(G1p)が、前記第1の後部吸気管(24)の前記第1の上部トランペット(36)の内径(D1p)の10%~30%である、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項5】
前記内燃機関(4)が、各第1の前部および後部吸気管(20、24)内に燃料を噴射するように配向された少なくとも1つの上部燃料インジェクタ装置(48)を備え、各上部燃料インジェクタ装置(48)の噴射点(J)が、対応する第1の上部トランペット(36)の上部入力縁(52)から1段(P)離れており、前記第1の前部吸気管(20)の前記段差(P1a)が、前記第1の後部吸気管(24)の前記段差(P1p)とは異なる、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項6】
前記第1の前部吸気管(20)の前記段差(P1a)が、前記第1の前部吸気管(20)の前記第1の上部トランペット(36)の内径(D1a)の3%~7%である、請求項5に記載の内燃機関(4)。
【請求項7】
前記第1の前部吸気管(20)の前記噴射点(J1a)が、前記第1の前部吸気管(20)の前記第1の上部トランペット(36)の外側にある、請求項5または請求項6に記載の内燃機関(4)。
【請求項8】
前記第1の後部吸気管(24)の前記段差(P1p)が、前記第1の後部吸気管(24)の前記第1の上部トランペット(36)の内径(D1p)の10%~20%である、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項9】
前記第1の後部吸気管(24)の前記噴射点(J1p)が、前記第1の後部吸気管(24)の前記第1の上部トランペット(36)の内側にある、請求項5から請求項8のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項10】
前記内燃機関(4)が、往復直線運動に従って、前記ドライブシャフトに動作可能に接続された関連する第2のピストンを収容する第2の一対のシリンダ(56)を備え、前記第2のシリンダ(56)が、前記モータ軸に平行に第1のシリンダ(8)に並置され、前記吸気容積部(16)が、吸気混合気の入力方向に関して前方および後方にそれぞれ配置された少なくとも1つの第2の前部吸気管(60)および少なくとも1つの第2の後部吸気管(64)を収容し、各第2の吸気管(60、64)が、前記それぞれのシリンダ(8、56)に入る前に吸気混合気を導き、
前記第2の前部および後部吸気管(60、64)が、固定され、互いにそれぞれ異なる長さを有する、請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項11】
各第2の前部および後部吸気管(60、64)が、第2の下部トランペット(72)および第2の上部トランペット(76)を備える、固定され少なくとも部分的に分離され互いに整列した2つの第2のトランペットに分割され、前記第2の上部トランペット(76)が上部インジェクタ装置(48)に面し、前記第2の下部トランペット(72)が前記対応するシリンダに面する、請求項10に記載の内燃機関(4)。
【請求項12】
前記第2の上部および下部トランペット(72、76)が互いに完全に分離され、前記第2の下部トランペット(72)の下部入力縁(80)と前記第2の上部トランペット(76)の上部出力縁(84)との間のギャップ(G2)を特定し、前記第2の前部吸気管(60)の前記ギャップ(G2a)が、前記対応するシリンダの傾斜および位置に応じて、前記第2の後部吸気管(64)の前記ギャップ(G2p)とは異なる、請求項11に記載の内燃機関(4)。
【請求項13】
前記第2の前部吸気管(60)の前記ギャップ(G2a)が、前記第2の前部吸気管(60)の前記第2の上部トランペット(76)の内径(D2a)の15%~35%である、請求項12に記載の内燃機関(4)。
【請求項14】
前記第2の後部吸気管(64)の前記ギャップ(G2p)が、前記第2の後部吸気管(64)の前記第2の上部トランペット(76)の内径(D2p)の10%~30%である、請求項12または請求項13に記載の内燃機関(4)。
【請求項15】
前記内燃機関(4)が、各第2の前部および後部吸気管(60、64)内に燃料を噴射するように配向された少なくとも1つの上部燃料インジェクタ装置(48)を備え、各上部燃料インジェクタ装置(48)の噴射点(J)が、対応する第2の上部トランペット(76)の上部入力縁(92)から1段(P)離れており、前記第2の前部吸気管(60)の前記段差(P2a)が、前記第2の後部吸気管(64)の前記段差(P2p)とは異なる、請求項12から請求項14のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項16】
前記第2の前部吸気管(60)の前記段差(P2a)が、前記第2の前部吸気管(60)の前記第2の上部トランペット(76)の内径(D2a)の3%~7%である、請求項15に記載の内燃機関(4)。
【請求項17】
前記第2の前部吸気管(60)の前記噴射点(J2a)が、前記第2の前部吸気管(60)の前記第2の上部トランペット(76)の外側にある、請求項15または請求項16に記載の内燃機関(4)。
【請求項18】
前記第2の後部吸気管(64)の前記段差(P2p)が、前記第2の後部吸気管(64)の前記第2の上部トランペット(76)の内径(D2p)の10%~20%である、請求項15から請求項17のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項19】
前記第2の後部吸気管(64)の前記噴射点(J2p)が、前記第2の後部吸気管(64)の前記第2の上部トランペット(76)の内側にある、請求項15から請求項18のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項20】
前記第1および第2の前部および後部吸気管(20、24、60、64)の前記ギャップ(G1a、G1p、G2a、G2p)がいずれも互いに異なる、請求項3および請求項13と組み合わせた請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項21】
前記第1および第2の前部吸気管(24、64)の前記ギャップ(G1a、G2a)が互いに同じである、請求項1および請求項12と組み合わせた請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項22】
前記第1および第2の後部吸気管(28、68)の前記ギャップ(G1p、G2p)が互いに同じである、請求項1および請求項12と組み合わせた請求項1から請求項19のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項23】
前記第1および第2の前部および後部吸気管(20、24、60、64)の前記段差(P1a、P1p、P2a、P2p)がいずれも互いに異なる、請求項5および請求項15と組み合わせた請求項1から請求項22のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項24】
前記第1および第2の前部吸気管(20、60)の前記段差(P1a、P2a)が互いに同じである、請求項5および請求項15と組み合わせた請求項1から請求項22のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項25】
前記第1および第2の後部吸気管(24、64)の前記段差(P1p、P2p)が互いに同じである、請求項5および請求項15と組み合わせた請求項1から請求項22のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項26】
前記第1の前部吸気管(20)の前記段差(P1a)が、前記第1の後部吸気管(24)の前記段差(P1p)の反対側にある、請求項5および請求項15と組み合わせた請求項1から請求項22のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項27】
前記第2の前部吸気管(60)の前記段差(P2a)が、前記第2の後部吸気管(64)の前記段差(P2p)の反対側にある、請求項5および請求項15と組み合わせた請求項1から請求項22のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項28】
前記第1および第2の下部前部トランペット(32a、72a)の下部入力縁(40a)が、前記第1および第2の後部下部トランペット(32p、72p)の下部入力縁(40p)の下にそれぞれ位置する、請求項1および請求項11と組み合わせた請求項1から請求項27のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項29】
前記第1および第2の上部前部トランペット(36a、76a)の上部入力縁(52a)が、前記第1および第2の後部上部トランペット(32p、72p)の上部入力縁(52p)の下にそれぞれ位置する、請求項1および請求項11と組み合わせた請求項1から請求項28のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項30】
前記第1および第2の上部前部トランペット(36a、76a)の上部出力縁(44a)が、前記第1および第2の後部上部トランペット(36p、76p)の上部出力縁(44p)の下にそれぞれ位置する、請求項1および請求項11と組み合わせた請求項1から請求項29のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項31】
内燃機関(4)であって、
往復直線運動に従って、エンジン軸(X‐X)を中心に回転するドライブシャフトに動作可能に接続された関連する第1のピストンを収容する少なくとも1つの第1のシリンダ(8)と、
前記第1のシリンダに吸気混合気を搬送するための少なくとも1つの第1の吸気管(20)を収容する吸気容積部(16)を画定するボトムカバー(13)およびトップカバー(14)を有するフィルタボックス(12)を備える吸気系とを備え、前記第1の吸気管(20)が、互いに分離されて第1の上部トランペット(36)の上部出力縁(44)と第1の下部トランペット(32)の下部入力縁(40)との間にギャップ(G1)を特定する第1の下部トランペット(32)および第1の上部トランペット(36)に分割され、
前記第1の上部トランペット(36)が、その上部入力縁(52)で上部インジェクタ装置(48)に面し、前記第1の下部トランペット(32)が、前記対応するシリンダに面し、前記フィルタボックス(12)の前記ボトムカバー(13)に固定され、
前記フィルタボックス(12)の前記ボトムカバー(13)が、前記フィルタボックス(12)の少なくとも1つの入力口(28)から来る吸気流/混合気を前記第1の下部トランペット(32)の前記下部入力縁(40)に
直接伝える形状を有する下部形材(100)を備える内燃機関(4)。
【請求項32】
前記下側形材(100)は、前記フィルタボックス(12)の前記ボトムカバー(13)に取り付けられた嵌合下側部材であり、前記ギャップ(G1)に向かって延びる端部を有する、請求項31に記載の内燃機関(4)。
【請求項33】
前記下部形材(100)が、前記フィルタボックス(12)に収容された吸気フィルタ(104)のための支持基部を実現する、請求項
32に記載の内燃機関(4)。
【請求項34】
前記下部嵌合形材(100)が、前記フィルタボックス(12)の前記ボトムカバー(13)に対するその取り付け部分に対して可動である、請求項
32または33に記載の内燃機関(4)。
【請求項35】
前記下部嵌合形材(100)が、吸気流/混合気の減少時に上昇し、前記下部入力縁(40)から離れ、前記上部出力縁(44)に向かって移動し、その逆もまた同様であるように構成される、請求項
32、33または請求項34に記載の内燃機関(4)。
【請求項36】
前記下部嵌合形材(100)が、吸気流/混合気の減少時に前記ギャップ(G1)の外側に気流を導くまで上昇し、その逆もまた同様であるように構成される、請求項
32から請求項35のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項37】
前記下部嵌合形材(100)が、前記フィルタボックス(12)の前記入力口(28)から来る吸気の推力の下で曲がるように構成された板バネである、請求項
32から請求項36のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項38】
前記下部嵌合形材(100)が、吸気流/混合気レジメンに応じて前記形材を導くのに適したモータ手段(116)に動作可能に接続される、請求項
32から請求項37のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項39】
内燃機関(4)であって、
往復直線運動に従って、エンジン軸(X‐X)を中心に回転するドライブシャフトに動作可能に接続された関連する第1のピストンを収容する少なくとも1つの第1のシリンダ(8)と、
前記第1のシリンダに吸気混合気を搬送するための少なくとも1つの第1の吸気管(20)を収容する吸気容積部(16)を画定するボトムカバー(13)およびトップカバー(14)を有するフィルタボックス(12)を備える吸気系とを備え、前記第1の吸気管(20)が、互いに分離されて第1の上部トランペット(36)の上部出力縁(44)と第1の下部トランペット(32)の下部入力縁(40)との間にギャップ(G1)を特定する第1の下部トランペット(32)および筒状形状を有する第1の上部トランペット(36)に分割され、
前記第1の上部トランペット(36)が、その上部入力縁(52)で上部インジェクタ装置(48)に面し、前記第1の下部トランペット(32)が、前記対応するシリンダに面し、前記フィルタボックス(12)の前記ボトムカバー(13)に固定され、
前記フィルタボックス(12)の前記トップカバー(14)が、前記フィルタボックス(12)の少なくとも1つの入力口(28)から来る吸気流/混合気を前記第1の上部トランペット(36)の前記上部入力縁(52)に導くように輪郭付けられた上部形材(108)を備える内燃機関(4)。
【請求項40】
前記上部形材(108)が、前記フィルタボックス(12)に収容された吸気フィルタ(104)のための支持当接部を実現する、請求項39に記載の内燃機関(4)。
【請求項41】
前記上部形材(108)が、前記フィルタボックス(12)の前記トップカバー(14)に取り付けられた嵌合形材である、請求項39または請求項40に記載の内燃機関(4)。
【請求項42】
前記上部嵌合形材(108)が、前記フィルタボックス(12)の前記トップカバー(14)に対するその取り付け部分に対して可動である、請求項41に記載の内燃機関(4)。
【請求項43】
前記上部嵌合形材(108)が、吸気流/混合気の減少時に上昇し、前記上部入力縁(52)に接近し、その逆もまた同様であるように構成される、請求項41または請求項42に記載の内燃機関(4)。
【請求項44】
前記上部嵌合形材(108)が、吸気流/混合気の増加時にそれ自体を下降させて、前記上部入力縁(52)に気流を導き、その逆もまた同様であるように構成される、請求項41から請求項43のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項45】
前記上部嵌合形材(108)が、前記フィルタボックス(12)の前記入力口(28)から来る吸気の推力の下で曲がるように構成された板バネである、請求項41から請求項44のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項46】
前記上部嵌合形材(108)が、吸気流/混合気レジメンに応じて前記形材を導くのに適したモータ手段(116)に動作可能に接続される、請求項41から請求項45のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項47】
請求項1から請求項30のいずれか一項と組み合わせた請求項31から請求項38のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項48】
請求項1から請求項30のいずれか一項と組み合わせた請求項39から請求項46のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項49】
請求項39から請求項46のいずれか一項と組み合わせた請求項31から請求項38のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項50】
請求項1から請求項30のいずれか一項と組み合わせた請求項49に記載の内燃機関(4)。
【請求項51】
内燃機関(4)であって、
往復直線運動に従って、エンジン軸(X‐X)を中心に回転するドライブシャフトに動作可能に接続された関連する第1のピストンを収容する少なくとも1つのシリンダ(8)と、
それぞれのシリンダに入る前に吸気混合気を導く少なくとも1つの第1の吸気管(20)を収容する吸気容積部(16)を互いに接合して画定するボトムカバー(13)およびトップカバー(14)を備えるフィルタボックス(12)を備える吸気系とを備え、
前記第1の吸気管が、第1の下部トランペット(32)および第1の上部トランペット(36)を備える、固定され少なくとも部分的に分離され互いに整列した2つの第1のトランペットを備え、前記第1の上部トランペット(36)が上部インジェクタ装置(48)に面し、前記第1の下部トランペット(32)が前記対応するシリンダに面し、
前記第1の上部トランペット(36)が、前記第1の上部トランペット(36)と前記トップカバー(14)の内側壁(15)との間に配置された取り付け手段(108)によって前記トップカバー(14)に接合される内燃機関(4)。
【請求項52】
前記取り付け手段(108)が、前記第1の上部トランペット(36)と一体でありかつ前記トップカバー(14)上に取り付けレッジ(112)を備えた少なくとも1つの足部(110)を備える、請求項51に記載の内燃機関(4)。
【請求項53】
前記少なくとも1つの足部(110)が、横(T)方向に関して、前記吸気容積部(16)内の混合気の吸気および進行方向に垂直な前記第1の上部トランペット(36)の側端部(116)上に配置される、請求項52に記載の内燃機関(4)。
【請求項54】
前記取り付け手段(108)が接着剤を含む、請求項51から請求項53のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項55】
前記取り付け手段(108)が溶接部を備える、請求項51から請求項54のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項56】
前記取り付け手段(108)が成形スナップ留め具を備える、請求項51から請求項55のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項57】
前記取り付け手段(108)が、前記トップカバー(14)の上壁(123)上に作製された穴(122)を通って前記フィルタボックス(12)の外側から挿入されたねじ接続手段(120)を備える、請求項51から請求項56のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【請求項58】
請求項1から請求項50のいずれか一項と組み合わせた請求項51から請求項57のいずれか一項に記載の内燃機関(4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された吸気系を有する内燃機関および関連する原動機付き車両に関する。
【背景技術】
【0002】
知られているように、内燃機関の分野では、高いエネルギ効率を有するエンジンを提供する必要性が感じられている。エネルギ効率は、他の要因の中でも、エンジンの充填係数、すなわち可能な最大量の混合気をシリンダに導入する能力にも依存する。
【0003】
この目的のために、先行技術では様々な技術的解決策が開発されてきた。
【0004】
例えば、エンジン過給を提供することが知られている。しかし、そのような解決策は、容積式圧縮機であろうとターボチャージャであろうと費用がかかり開発が複雑である。それはまた、オートバイ分野では採用できない適切な容量/寸法を必要とすることが多い。
【0005】
エンジン過給を欠く場合、エンジンの充填率を改善するために、内燃機関の流体力学の完全な知識が必要になる。
【0006】
特に、高性能エンジンでは、優れた体積効率を得るために、気体の塊内で起こる気体の慣性、およびパルセータ現象(音速で進行する圧力波)の最適な利用を可能にするような形状が吸気系に与えられる。気体は質量を有するため、慣性の法則に従う。したがって、気体は、動くと突然停止しづらく、静止している場合は逆に動き始めにくい。ピストンが吸気行程の終点の下死点に達すると、その動きは逆転し、上死点に向かって上昇し始め、ダクトから来る混合気は突然停止するのではなく、慣性によってシリンダに入り続ける。この現象を利用してシリンダの充填(すなわち体積効率)を改善するために、吸気弁はBDCに関してかなりの遅れを伴って閉じられる。この遅れはもちろん最大トルクを得たい回転速度が高いほど大きくなければならない。理想的には、ダクトからシリンダに流れ込む気柱は、弁が閉じ終わった時点で正確に停止するべきである。所与の各分配タイミングに対して(すなわち、任意の所与の閉鎖遅延に対して)、これは所与の回転速度でのみ起こり得る。高速では、気体がまだ停止していない(したがって、再びシリンダに入る傾向がある)時点で弁が閉じるのに対して、低速では、気体がすでに停止しているだけでなく、その動きを逆転させさえした(したがって、すでに入っていた新鮮な気体の一部がシリンダから出てくる)時点で弁が閉じる。吸気ダクトの各長さは、気体の慣性の利用が最適である速度に対応する。吸気ダクトの形状を調整することにより、パルセータ現象をうまく利用することもできる。理想的には、弁が閉じようとしている時点で、陽圧の波が到達し、本来の「ピストン流体」として、普通なら入らないであろう一定量の気体をシリンダ内に押し込むことができるはずである。
【0007】
さらに詳細には、吸気ダクト内のピストンによって生成された降下波は、その開放端まで伝播し、シリンダに向かって戻る過圧波に反射変換される。
【0008】
こうして、過圧波が弁に到達すると、圧縮された空気をシリンダに押し込み、所望の動的過給を生成する。最大量の空気がシリンダ内に入った瞬間に弁を閉じることによって、最大の体積効率が達成される。
【0009】
排気ライン内の気体の排出によって生成された反射波はその開放端まで伝播し、降下波に変換され、これがシリンダに向かって戻る。降下波が到達した瞬間に、排気弁および吸気弁が交差段階にある、すなわち同時に半開状態にある場合、降下波は吸気ダクトから燃焼室を通って吸気し、以下の3つの機能を実行する:交差段階の間に吸気ダクトに入る可能性がある排煙の再吸気、燃焼室の洗浄、およびプランジャの実際の吸気行程が始まる前であっても空気の動的な予備吸気。
【0010】
したがって、基本的に重要な2つの現象は以下の通りである。
1)吸気ダクトによって発生し、過給効果を生じさせる強力な動的過圧。
2)交差中に吸気ダクトに入る可能性がある排煙の再吸気、燃焼室の洗浄、および吸気段階の動的な予備開始を実行する、排気システム(パイプ+管)によって発生する強力な動的降下。
【0011】
したがって、このような流体力学的現象を利用してエンジンの効率を改善するために、可変長の吸気装置を使用することが知られている。換言すれば、エンジン回転速度の関数として可変長を有する吸気トランペットが提供される。このように、吸気ダクトの長さを用いてモータ回転速度を「調整」して、吸気された混合気の流量を増加させ、それにより広範囲の回転速度の体積充填を増加させ得る(上述の)「共鳴」現象の発生を利用する試みが行われている。
【0012】
しかし、この解決策にも欠点がないわけではない。例えば、可変長吸気ダクトの可動部品を駆動するためにモータ手段が必要とされる。そのようなモータ手段はコスト、重量およびサイズを増大させる。さらに、そのような寸法は、有効吸気容積部(エアボックス)を減少させる。
【0013】
さらに、可動部品および関連駆動装置は、吸気された混合気の流路に対する障害物を構成するため、必然的に全体の吸気流体力学を変化させ、それを悪化させる。
【0014】
さらに、(オートバイエンジンの回転速度の極端な変動性を考えると)可変長吸気ダクトの動きを極めて迅速かつ正確に管理する制御装置を使用する必要がある。
【0015】
したがって、可変長ダクトの既知の解決策は、コスト、全体寸法、重量および調整に関して欠点を有する。
【発明の概要】
【0016】
したがって、先行技術に関して述べた欠点および制限を解決する必要性が感じられる。
【0017】
そのような必要性は、請求項1に記載の内燃機関によって満たされる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明のさらなる特徴および利点は、その好ましい非限定的な実施形態の以下の説明からさらに明らかになるであろう。
【0019】
【
図2】
図1の矢印IIの側から見た
図1の内燃機関の側面図を示す。
【
図3】
図1の矢印IIIの側から見た
図1の内燃機関の側面図を示す。
【
図4】
図1のエンジンのフィルタボックス群の平面図を示す。
【
図5】
図4に示す切断線V‐Vに沿った、
図1のエンジンのフィルタボックス群の断面図を示す。
【
図6】
図4に示す切断線V‐Vに沿った、
図1のエンジンのフィルタボックス群の断面図を示す。
【
図7】本発明によるフィルタボックス、および内燃機関のヘッドの一部の部分断面図を示す。
【
図8】本発明の一実施形態によるフィルタボックス群の部分斜視図を示す。
【
図9】本発明の一実施形態による内燃機関用フィルタボックスの上部カバーの異なる角度から見た斜視図を示す。
【
図10】本発明の一実施形態による内燃機関用フィルタボックスの上部カバーの異なる角度から見た斜視図を示す。
【
図11】本発明の一実施形態によるフィルタボックス、および内燃機関のヘッドの一部の部分断面図を示す。
【
図12】本発明の一実施形態によるフィルタボックス群の平面図を示す。
【
図13】
図12に示す切断線XIII‐XIIIに沿った、
図12のフィルタボックス群の断面図を示す。
【
図14】
図12に示す切断線XIV‐XIVに沿った、
図12のフィルタボックス群の詳細の断面図を示す。
【
図16】本発明のさらなる実施形態によるフィルタボックス群の平面図を示す。
【
図17】
図16に示す切断線XVII‐XVIIに沿った、
図16のフィルタボックス群の断面図を示す。
【
図18】
図16に示す切断線XVIII‐XVIIIに沿った、
図16のフィルタボックス群の詳細の断面図を示す。
【
図19】
図16に示す切断線XIX‐XIXに沿った、
図16のフィルタボックス群の詳細の断面図を示す。
【
図21】本発明の一実施形態による内燃機関用フィルタボックスの上部カバーの異なる角度から見た斜視図を示す。
【
図22】本発明の一実施形態による内燃機関用フィルタボックスの上部カバーの異なる角度から見た斜視図を示す。
【
図23】本発明の一実施形態によるフィルタボックス群の平面図を示す。
【
図24】
図23に示す切断線XXIV‐XXIVに沿った、
図23のフィルタボックス群の断面図を示す。
【
図25】
図23に示す切断線XXV‐XXVに沿った、
図23のエンジンのフィルタボックス群の断面図を示す。
【
図26】本発明によるフィルタボックス、および内燃機関のヘッドの一部の部分断面図を示す。
【
図27】本発明の一実施形態によるフィルタボックス群の部分斜視図を示す。
【
図28】本発明の一実施形態による内燃機関用フィルタボックスの上部カバーの異なる角度から見た斜視図を示す。
【
図29】本発明の一実施形態による内燃機関用フィルタボックスの上部カバーの異なる角度から見た斜視図を示す。
【0020】
以下に記載される実施形態の共通の要素または要素の一部は、同じ参照番号によって参照される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
上記の図を参照すると、参照番号4は、直線的往復運動に従って、モータ軸X‐Xの周りを回転するモータシャフトに動作可能に関連付けられた関連する第1のピストンを収容する第1の一対のシリンダ8を備える内燃機関を全体として示す。一実施形態によれば、上記モータ軸X‐X‐は、関連車両の長手方向走行方向Y‐Yに垂直な横方向に配置される。
【0022】
本発明の目的にとって、内燃機関の構造の種類は拘束力がない。ただし、添付の図は多気筒エンジンの「V」構造のみを示しているが、本発明は、任意の内燃機関構造の流体力学的吸気挙動を最適化することを可能にする。実際、本発明は、直列多気筒エンジンだけでなく単気筒エンジンにも適用される。
【0023】
以下の説明では、上付き文字「1」を使用して、第1の一対のシリンダ8に対するエンジンの構成要素を示すものとする。
【0024】
図7にさらに良く示されるように、エンジン4は、吸気容積部16を画定するフィルタボックス12を備える吸気系を備える。フィルタボックス12はエアフィルタ104を収容する。好ましくは、フィルタボックス12は、互いに取り外し可能に関連付けられたボトムカバー13とトップカバー14とを備える。
【0025】
吸気容積部16は、吸気混合気の入口方向に対して前進位置および後退位置にそれぞれ配置された少なくとも1つの第1の前部吸気ダクト20および少なくとも1つの第1の後部吸気ダクト24を収容する(
図8)。
【0026】
以下の説明では、上付き文字「a」を使用して前部吸気ダクト20に対するエンジンの構成要素を示すものとし、上付き文字「p」を使用して後部吸気ダクト24に対するエンジン構成要素を示すものとする。
【0027】
例えば、上記吸気混合気は、好ましくは車両の走行方向に対して正面位置に配置された1つ以上の流入口28を介して吸気容積部16に入る(
図8)。
【0028】
各吸気ダクト20、24は、それぞれのシリンダに入る前に吸気混合気を導く。
【0029】
本発明の目的にとって、概して「V」として配置されている、すなわちエンジン軸X‐Xに平行な方向に関して整列されておらず、かつ互いに平行でない第1の一対のシリンダ8によって特定される角度は重要でない。
【0030】
好適には、第1の前部および後部吸気ダクト20、24は固定されている。一実施形態によれば、上記第1の前部および後部吸気ダクト20、24は互いに異なるそれぞれの長さを有する。
【0031】
「固定されている」とは、上記前部および後部吸気ダクト20、24がフィルタボックス12と一体であることを意味する。
【0032】
各第1の前部および後部吸気ダクト20、24は、第1の下部トランペット32および第1の上部トランペット36を備える、完全に分離され互いに整列した2つの第1の固定されたトランペットに分割される。
【0033】
固定された吸気トランペット間の整列は、垂直方向、すなわち重なり方向に関して理解されなければならず、その結果、後述するように、互いに完全に分離された重なり合うトランペットは、トランペット自体の間の分離ギャップを除いて連続した完全な吸気ダクトを全体に画定することができる。
【0034】
さらに良く以下に説明するように、第1の上部トランペット36は上部インジェクタ装置に面しているのに対して、第1の下部トランペット32は対応するシリンダに面しており、フィルタボックス12の下部カバーに固定されている。
【0035】
図5に示すように、第1の上部および下部トランペット36、32は互いに完全に分離され、第1の下部トランペット32の下部前縁40と第1の上部トランペット36の上部後縁44との間にギャップG1を画定する。
【0036】
ギャップG1は、第1のシリンダ8内に導かれる吸気混合気のための通路部を構成する。
【0037】
好適には、第1の前部吸気ダクト20のギャップG1aは、第1の後部吸気ダクト24のギャップG1Pとは異なる。第1の前部吸気ダクト20のギャップG1aと第1の後部吸気ダクト24のギャップG1Pとの間の差は、対応するシリンダの傾斜および位置の関数として定めることができる。この差はまた、エンジンの他の形状的および技術的パラメータの関数として定めることができる。
【0038】
上述のギャップ間の差は、それぞれの前部吸気ダクト20および後部吸気ダクト24の縁間の距離の差として表される。
【0039】
そのような差は、あらゆる吸気ダクト(前部および後部)の間に、またはそれらのうちの一部(前部または後部)のみの間に提供されてもよい。
【0040】
一実施形態によれば、第1の前部吸気ダクト20のギャップG1aは、第1の前部吸気ダクト20の第1の上部トランペット36の内径D1aの15%~35%である。
【0041】
一実施形態によれば、第1の後部吸気ダクト24のギャップG1pは、第1の後部吸気ダクト24の第1の上部トランペット36の内径D1pの10%~30%である。
【0042】
上述したように、内燃機関4は、各第1の前部および後部吸気ダクト20、24内に燃料を噴射するように配向された少なくとも1つの上部燃料インジェクタ装置48を備え、各上部燃料インジェクタ装置48の噴射点Jは、対応する第1の上部トランペット36の上部前縁52から段差Pだけ離れており、第1の前部吸気ダクト20の段差P1aは、第1の後部吸気ダクト24の段差P1pとは異なる。
【0043】
好ましくは、第1の前部吸気ダクト20の段差P1aは、第1の前部吸気ダクト20の第1の上部トランペット36の内径D1aの3%~7%である。
【0044】
一実施形態によれば、第1の前部吸気ダクト20の噴射点J1aは、第1の前部吸気ダクト20の第1の上部トランペット36に対して外側にある。
【0045】
このように、少なくとも部分的に、噴射点から噴射された燃料噴射は、噴射が第1の上部トランペット36に入る前に上部前縁52と平行な平面内で燃料噴射に衝突する吸気流の直接的な作用を受ける。
【0046】
一般に、各上部トランペット36、76の目的は、対応する下部トランペット32、72内に、それぞれの上部インジェクタ装置48によって霧化された燃料の流れを搬送することである。
【0047】
したがって、本発明の可能な実施形態によれば、各上部燃料インジェクタ装置48は、対応する上部トランペット内に一体的に収容されてもよいか、トランペット自体に対して部分的に収容されても完全に外側にあってもよい。
【0048】
一実施形態によれば、第1の後部吸気ダクト24の段差P1pは、第1の後部吸気ダクト24の第1の上部トランペット36の内径D1pの10%~20%である。
【0049】
一実施形態によれば、第1の後部吸気ダクト24の噴射点J1pは、第1の後部吸気ダクト24の第1の上部トランペット36に対して内側にある。
【0050】
このように、噴射点から噴射された燃料噴射は、それが第1の上部トランペット36に入る前に吸気流の直接的な作用を受けない。
【0051】
一実施形態によれば、上記第1のシリンダ8は、吸気混合気に関してそれらの間に部分的な位置ずれを有するように、横方向に沿ってオフセットWだけ互いに部分的にオフセットされる。
【0052】
オフセットWは、吸気ダクト20、24、60、64の軸間の距離として測定される(
図4)。
【0053】
このように、吸気混合気の流れの方向に関して第1の前部吸気ダクト20と第1の吸気ダクト24との間の重なりが部分的に減少する。
【0054】
本発明は、2つのシリンダのみを有するエンジン、すなわち第1の一対のシリンダ8に限定されない。
【0055】
可能な実施形態によれば、内燃機関4は、直線的往復運動に従って上記モータシャフトに動作可能に接続されたそれぞれの第2のピストンを収容する第2の一対のシリンダ56(
図3)を備える。
【0056】
第2のシリンダ56は、上記モータ軸と平行に第1のシリンダ8と並んでいる。
【0057】
第2のシリンダ56もまた、概して「V」として配置されている、すなわちエンジン軸X‐Xに平行な方向に関して整列されておらず、かつ互いに平行でないが、それらは重要ではない。
【0058】
このように、「V」として配置された合計4つのシリンダ8、56を有するエンジンが得られる。
【0059】
一般に、本発明は、2つ以上のシリンダのV字形の配列を有するエンジンに、制限なく適用可能である。
【0060】
以下の説明では、上付き文字「2」を使用して、第2の一対のシリンダ56に対するエンジンの構成要素を示すものとする。
【0061】
例えば
図8に示すように、上記第2のシリンダ56の吸気系に関して、吸気容積部16は、吸気混合気の入口方向に対して前進位置および後退位置にそれぞれ配置された少なくとも1つの第2の前部吸気ダクト60および少なくとも1つの第2の後部吸気ダクト64を収容する。
【0062】
各第2の前部および後部吸気ダクト20、24は、それぞれの第2のシリンダ56に入る前に吸気混合気を導く。
【0063】
好適には、上記第2の前部および後部吸気ダクト60、64は固定され、それぞれ互いに異なる長さを有する。
【0064】
各第2の前部および後部吸気ダクト60、64は、第2の下部トランペット72および第2の上部トランペット76を備える、少なくとも部分的に分離され互いに整列した2つの第2の固定されたトランペットに分割され、第2の上部トランペット76は上部インジェクタ装置48に面し、第2の下部トランペット72は対応するシリンダに面している。
【0065】
一実施形態によれば、
図7を参照すると、上記第2の上部および下部トランペット76、72は互いに完全に分離され、第2の下部トランペット72の下部前縁80と第2の上部トランペット76の上部後縁84との間にギャップG2を画定する。
【0066】
ギャップG2は、第2のシリンダ56内に導かれる吸気混合気のための通路部を構成する。
【0067】
第2の前部吸気ダクト60のギャップG2aは、対応するシリンダの傾斜および位置の関数として、第2の後部吸気ダクト64のギャップG2pとは異なる。
【0068】
一実施形態によれば、第2の前部吸気ダクト60のギャップG2aは、第2の前部吸気ダクト60の第2の上部トランペット76の内径D2aの15%~35%である。
【0069】
一実施形態によれば、第2の後部吸気ダクト64のギャップG2pは、第2の後部吸気ダクト64の第2の上部トランペット76の内径D2pの10%~30%である。
【0070】
内燃機関4は、各第2の前部および後部吸気ダクト60、64内に燃料を噴射するように配向された少なくとも1つの上部燃料インジェクタ装置48を備え、各上部燃料インジェクタ装置48の噴射点Jは、対応する第2の上部トランペット76の上部前縁92から段差Pだけ離れており、第2の前部吸気ダクト20の段差P2aは、第2の後部吸気ダクト24の段差P2pとは異なる。
【0071】
好ましくは、第2の前部吸気ダクト60の段差P2aは、第2の前部吸気ダクト60の第2の上部トランペット76の内径D2aの3%~7%である。
【0072】
一実施形態によれば、第2の前部吸気ダクト60の噴射点J2aは、第2の前部吸気ダクト60の第2の上部トランペット76に対して外側にある。
【0073】
このように、少なくとも部分的に、噴射点Jから噴射された燃料噴射は、噴射が第2の上部トランペット76に入る前に上部前縁92と平行な平面内で燃料噴射に衝突する吸気流の直接的な作用を受ける。
【0074】
一実施形態によれば、第2の後部吸気ダクト64の段差P2pは、第2の後部吸気ダクト64の第2の上部トランペット76の内径D2pの10%~20%である。
【0075】
一実施形態によれば、第2の後部吸気ダクト64の噴射点J2pは、第2の後部吸気ダクト64の第2の上部トランペット76に対して内側にある。
【0076】
1つの可能な実施形態によれば、第1および第2の前部および後部吸気ダクト20、24、60、64のギャップG1a、G1p、G2a、G2pはいずれも互いに異なる。このように、各吸気ダクトは、エンジンの全体構造に対する単一シリンダの位置によって決定される単一シリンダの特定の運用状態に合わせられる。
【0077】
実際、「V」配列のシリンダを有するエンジンでは、各前部または前側シリンダは、混合気の入口方向に関して、対応する後部シリンダを少なくとも部分的に隠している。これは、後部シリンダが前部シリンダよりも少ない空気を受けることと、後部シリンダに達するために空気が移動しなければならない経路が前部シリンダに達するために移動しなければならない経路よりも大きいこととを意味する。加えて、前部シリンダおよび後部シリンダには外気の流れが異なったように衝突するため、前部シリンダおよび後部シリンダは異なる流体力学的条件で機能する。これらの差は、同じ前部シリンダおよび後部シリンダでは、第1の一対のシリンダと第2の一対のシリンダとの間にも当てはまる。実際、シリンダはエンジン/車両の中心線平面に関して対称的に配置されるが、それらはスペースのために互いにオフセットされ、エンジンの様々な内部部材(例えば、クラッチ側に配置されたシリンダおよびピニオン側に配置されたシリンダ)の近くに配置される。これは、やはり、供給混合気が移動する距離、および流体力学的条件が変化することを意味する。
【0078】
一実施形態によれば、上記第1および第2のシリンダ8、56は、吸気混合気に関してそれらの間に部分的な位置ずれを有するように、横方向に沿ってオフセットWだけ互いに部分的にオフセットされる。このように、吸気混合気の流れの方向に関して、第1の前部吸気ダクト20と第1の吸気ダクト24との間、ならびに第2の前部吸気ダクト60と第2の後部吸気ダクト64との間の重なりは、部分的に減少する。
【0079】
各シリンダを実際の運用状態に合わせるために、上述のギャップGおよび段差Pを好適に変化させることが可能である。
【0080】
可能な実施形態の変形例によれば、第1および第2の前部吸気ダクト24、64のギャップG1a、G2aは互いに等しい。第1および第2の吸気ダクト28、68のギャップG1p、G2pを互いに等しくすることも可能である。
【0081】
同じ変形例が段差Pに提供されてもよい。
【0082】
例えば、第1および第2の前部および後部吸気ダクト20、24、60、64の段差P1a、P1p、P2a、P2p(
図7)はいずれも互いに異なる。
【0083】
一実施形態によれば、第1および第2の前部吸気ダクト20、60の段差P1a、P2aは互いに等しい。
【0084】
一実施形態によれば、第1および第2の後部吸気ダクト24、64の段差P1p、P2pは互いに等しい。
【0085】
また、一実施形態によれば、第1の前部吸気ダクト20の段差P1aは、第1の後部吸気ダクト24の段差P1pの反対側にある。
【0086】
これは、一方の場合、例えば第1の前部吸気ダクト20では、噴射点Jが第1の上部トランペット36に対して外側にあり、他方の場合、例えば第1の後部吸気ダクト24では、噴射点Jが第1の上部トランペット36に対して内側にあり、その逆もまた同様であることを意味する。
【0087】
第2のシリンダ56についても同様である。
【0088】
したがって、第2の前部吸気ダクト60の段差P2aは、例えば、第2の後部吸気ダクト64の段差P2pの反対側にある。
【0089】
1つの可能な実施形態によれば、第1および第2の下部前部トランペット32a、72aの下部前縁40aは、それぞれ第1および第2の下部後部トランペット32p、72pの下部前縁40pの下に位置する。
【0090】
このように、第1および第2の下部前部トランペット32a、72aは、第1および第2の下部後部トランペット32p、72pに到達しなければならない吸気混合気の流れを妨げない。
【0091】
1つの可能な実施形態によれば、第1および第2の上部前部トランペット36a、76aの上部前縁52aは、それぞれ第1および第2の上部後部トランペット32p、72pの上部前縁52pの下に位置する。
【0092】
1つの可能な実施形態によれば、第1および第2の上部前部トランペット36a、76aの上部後縁44aは、それぞれ第1および第2の上部後部トランペット36p、76pの上部後縁44pの下に位置する。
【0093】
このように、理解されるように、第1および第2の下部前部トランペット32a、72aは、第1および第2の下部後部トランペット32p、72pに到達しなければならない吸気混合気の流れを妨げない。
【0094】
理解されるように、内燃機関4は、対応する前部吸気ダクト20、60および後部吸気ダクト24、64に供給する上部インジェクタ装置48の存在を提供する。そのような上部インジェクタ装置は、対応する前部吸気ダクト20、60および後部吸気ダクト24、64の上流に燃料を噴射する。上部インジェクタ装置48に加えて、および/またはそれに代えて、吸気容積部16の下流に燃料を噴射する下部インジェクタ装置96(
図7)の存在を提供することも可能である。上記下部インジェクタ装置96は、下部トランペットの延長ダクト内に、または直接燃焼室内に噴射することができる。
【0095】
上部および下部インジェクタ装置の使用を好適に管理して、内燃機関のあらゆる運用状態で供給を最適化することができる。
【0096】
本発明のさらなる可能な実施形態によれば、フィルタボックス12の下部カバー13は、フィルタボックス12の少なくとも1つの流入口28から来る吸気混合気の流れを第1の下部トランペット32の上記下部前縁40に導くように成形された下部形材100を備える。
【0097】
一実施形態によれば、上記下部形材100は、上記フィルタボックス12内に収容された吸気フィルタ104のための支持基部を形成する。
【0098】
可能な実施形態によれば、上記下部形材100は、フィルタボックス12の下部カバー13に接合および固定された下部形材である。
【0099】
一実施形態によれば、接合された下部形材100は、フィルタボックス12の下部カバー13に対するその固定部分に対して移動可能である。
【0100】
例えば、接合された下部形材100は、吸気混合気の流れが減少するにつれて持ち上げられ、下部前縁40から離れて上部後縁44に接近し、その逆もまた同様であるように構成される。このように、吸気混合気の流れが減少すると、エンジンの回転速度が低下するにつれて、上記流れが下部前縁40から可能な限り離れ、その結果、混合気の流れが追従する経路が全体として増加する。逆に、吸気混合気の流れが増加すると、エンジンの回転速度が上昇するにつれて、上記流れが下部前縁40に可能な限り接近し、その結果、混合気の流れが追従する経路が全体として減少する。
【0101】
一実施形態によれば、接合された下部形材100は、吸気された混合気の流れが減少するにつれて持ち上げられて、上記ギャップG1の外側に空気の流れを導き、その逆もまた同様であるように構成される。このように、吸気された混合気の流れが移動しなければならない総経路の増加がさらに促進される。
【0102】
可能な実施形態によれば、上記接合された下部形材100は、フィルタボックス12の流入口28から来る吸気の推力の下で曲がるように構成された板バネである。
【0103】
可能な実施形態によれば、上記接合された下部形材100は、吸気混合気の流れの速度の関数として形材自体を配向するように適合されたモータ手段116に動作可能に接続される。
【0104】
一実施形態によれば、フィルタボックス12の上部カバー14は、フィルタボックス12の少なくとも1つの流入口28から来る吸気混合気の流れを第1の上部トランペット36の上部前縁52(
図5)に導くように成形された上部形材108を備える。
【0105】
一実施形態によれば、上部形材108は、上記フィルタボックス12内に収容された吸気フィルタ104のための支持当接部112(
図12)を形成する。
【0106】
一実施形態によれば、上記上部形材108は、フィルタボックス12の上部カバー14に接合および固定された形材である。
【0107】
例えば、接合された上部形材108は、フィルタボックス12の上部カバー14に対するその固定部分に対して移動可能である。
【0108】
一実施形態によれば、接合された上部形材108は、吸気された混合気の流れが減少するにつれて持ち上げられ、上部前縁52に接近し、その逆もまた同様であるように構成される。
【0109】
さらに、接合された上部形材108は、吸気された混合気の流れが増加するにつれて下降して、下部前縁40に向かって空気の流れを導き、その逆もまた同様であるように構成される。
【0110】
このように、吸気混合気の流れが減少すると、エンジンの回転速度が低下するにつれて、上記流れが上部前縁52に可能な限り接近し、その結果、混合気の流れが追従する経路が全体として増加する。逆に、吸気混合気の流れが増加すると、エンジンの回転速度が上昇するにつれて、上記流れが上部前縁52から離れ、下部前縁40に可能な限り接近し、その結果、混合気の流れが追従する経路が全体として減少する。
【0111】
例えば、接合された上部形材108は、フィルタボックス12の流入口28から来る吸気の推力の下で曲がるように構成された板バネである。
【0112】
一実施形態によれば、上記接合された上部形材108は、吸気混合気の流れの速度の関数として形材自体を配向するように適合されたモータ手段116に動作可能に接続される。
【0113】
好ましくは、エンジンは、下部形材100および上部形材108の両方を備える。さらに、上記上部および下部形材100、108は、同期して動作して、低速から中速のエンジン回転数では全体として上部前縁52に吸気混合気を導き、高速では全体として下部前縁40に吸気混合気を導く。
【0114】
これは、例えば、下部形材100と上部形材108とを同期して、中速から低速のエンジン回転数では上部前縁52に向かって、高速のエンジン回転数では下部前縁40に向かって移動させることによって行うことができる。
【0115】
好適には、フィルタボックス12の下部カバー13は、フィルタボックス12の少なくとも1つの流入口28から来る吸気混合気の流れを第1の前部吸気ダクト20および第1の後部吸気ダクト24の下部前縁40に導くように成形された下部形材100を備える。
【0116】
例えば、下部形材100は、フィルタボックス12の少なくとも1つの流入口28から来る吸気混合気の流れを各シリンダに関連する各下部トランペット32の下部前縁40に導くように成形される。
【0117】
一実施形態によれば、上記第1のシリンダ8は、横方向に沿ってオフセットWだけ互いに部分的にオフセットされ、下部カバー13は、上記第1のシリンダ8に吸気混合気の流れの一部を導くように、同じ横方向に沿って互いにオフセットされた2つの付属物または下部形材100’、100’’を備える。
【0118】
オフセットWは、吸気ダクト20、24、60、64の軸間の距離として測定される。
【0119】
下部形材100は、シリンダ、ひいてはそれぞれのトランペット32のオフセットに追従して、吸気混合気の流れをそれらにさらに良く導く。
【0120】
同様に、上部カバー14が、上記第1のシリンダ8に吸気混合気の流れの一部を導くように、同じ横方向に沿って互いにオフセットされた2つの付属物または上部形材108’、108’’を備えると規定する。
【0121】
一実施形態によれば、エンジン4は、上述のように、フィルタボックス12の少なくとも1つの流入口28から来る吸気混合気の流れを各シリンダに関連する各上部トランペット36、76の上部前縁52に導くように成形された上部形材108を備える。
【0122】
一実施形態によれば、フィルタボックス12の下部カバー13は、フィルタボックス12の少なくとも1つの流入口28から来る吸気混合気の流れを第1の前部吸気ダクト20の下部前縁40、第1の後部吸気ダクト64の下部前縁40、第2の前部吸気ダクト60の下部前縁40および第2の後部吸気ダクト64の下部前縁40に導くように成形された下部形材100を備える。
【0123】
一実施形態によれば、エンジン4は、フィルタボックス12の少なくとも1つの流入口28から来る吸気混合気の流れを各シリンダに関連する各上部トランペット36、76の上部前縁92に導くように成形された上部形材108を備える。
【0124】
一実施形態によれば、上記第1および第2のシリンダ8は、横方向に沿って互いに部分的にオフセットされ、上部カバー14は、上記第1および第2のシリンダ8、56に吸気混合気の流れの一部を導くように、同じ横方向に沿って互いにオフセットされた2つの付属物または下部形材100’、100’’を備える。
【0125】
換言すれば、下部形材100は、シリンダ、ひいてはそれぞれのトランペット32のオフセットに追従して、吸気混合気の流れをそれらにさらに良く導く。
【0126】
同様に、上部カバー14が、上記第1のシリンダ8、56に吸気混合気の流れの一部を導くように、同じ横方向に沿って互いにオフセットされた2つの付属物または上部形材108’、108’’を備えると規定する。
【0127】
一実施形態によれば、上記第2の上部および下部トランペット76、72は互いに完全に分離され、第2の下部トランペット72の下部前縁80と第2の上部トランペット76の上部後縁84との間にギャップG2を画定する。
【0128】
可能な実施形態によれば、内燃機関4は、
・直線的往復運動に従って、エンジン軸X‐Xを中心に回転するモータシャフトに動作可能に接続された関連する第1のピストンを収容する少なくとも1つの第1のシリンダ8と、
・上記第1のシリンダに吸気混合気を搬送するための少なくとも1つの第1の吸気ダクト20を収容する吸気容積部16を画定する下部カバー13および上部カバー14を有するフィルタボックス12を備える吸気系とを備え、第1の吸気ダクト20は、互いに分離されて第1の上部トランペット36の上部後縁44と第1の下部トランペットの下部前縁40との間にギャップG1を画定する第1の下部トランペット32および第1の上部トランペット36に分割され、
・第1の上部トランペット36は、その上部前縁52で上部インジェクタ装置48に面し、第1の下部トランペット32は、対応するシリンダに面し、フィルタボックス12の下部カバー13に固定され、
フィルタボックス12の下部カバー13は、フィルタボックス12の少なくとも1つの流入口28から来る吸気混合気の流れを第1の下部トランペット32の上記下部前縁40に導くように成形された下部形材100を備える。
【0129】
本発明のさらなる実施形態によれば、内燃機関4は、
・直線的往復運動に従って、エンジン軸X‐Xを中心に回転するモータシャフトに動作可能に接続された関連する第1のピストンを収容する少なくとも1つの第1のシリンダ8と、
・上記第1のシリンダに吸気混合気を搬送するための少なくとも1つの第1の吸気ダクト20を収容する吸気容積部16を画定する下部カバー13および上部カバー14を有するフィルタボックス12を備える吸気系とを備え、第1の吸気ダクト20は、互いに分離されて第1の上部トランペット36の上部後縁44と第1の下部トランペットの下部前縁40との間にギャップG1を画定する第1の下部トランペット32および第1の上部トランペット36に分割され、
・第1の上部トランペット36は、その上部前縁52で上部インジェクタ装置48に面し、第1の下部トランペット32は、対応するシリンダに面し、フィルタボックス12の下部カバー13に固定され、
フィルタボックス12の上部カバー14は、フィルタボックス12の少なくとも1つの流入口28から来る吸気混合気の流れを第1の上部トランペット36の上記上部前縁52に導くように成形された上部形材108を備える。
【0130】
本発明のさらなる実施形態によれば、内燃機関4は、
・直線的往復運動に従って、エンジン軸X‐Xを中心に回転するモータシャフトに動作可能に接続された関連する第1のピストンを収容する少なくとも1つのシリンダ8と、
・それぞれのシリンダに入る前に吸気混合気を導く少なくとも1つの第1の吸気ダクト20を収容する吸気容積部16を画定する、互いに関連する下部カバー13および上部カバー14を備えるフィルタボックス12を備える吸気系とを備え、
・上記第1の吸気ダクトは、第1の下部トランペット32および第1の上部トランペット36を備える、少なくとも部分的に分離され互いに整列した2つの第1の固定されたトランペットを備え、第1の上部トランペット36は上部インジェクタ装置48に面し、第1の下部トランペット32は対応するシリンダに面し、
・第1の上部トランペット36は、第1の上部トランペット36と上部カバー14の内側壁15との間に配置された固定手段118によって、上部カバー(14)に関連付けられる。
【0131】
好適には、第1の上部トランペット36は、第1の上部トランペット36と上部カバー14の内側壁15との間に配置された固定手段118によって、上部カバー14に関連付けられる。
【0132】
一実施形態によれば、上記固定手段118は、第1の上部トランペット36と一体でありかつ上部カバー14上に固定当接部112を備えた少なくとも1つの脚部110を備える。
【0133】
好ましくは、上記少なくとも1つの脚部110は、横方向Tに関して、吸気容積部16内の混合気の吸気および供給方向に垂直な第1の上部トランペット36の側端部116上に配置される。
【0134】
さらなる実施形態によれば、上記固定手段118は接着剤を含む。
【0135】
さらなる実施形態によれば、上記固定手段118は溶接部を備える。例えば、超音波溶接を行って、上部カバー14の材料に関して溶接適合材料から脚部を製造してもよい。
【0136】
さらなる実施形態によれば、上記固定手段118はスナップ式形状の継手を備える。
【0137】
さらなる実施形態によれば、固定手段118は、上部カバー14の上壁123上に作製された穴122を通ってフィルタボックス12の外側から挿入されたねじ接続手段120を備える。これにより、ねじ固定手段120が誤って外れて吸気ダクト内に落下し得る危険性が防止される。
【0138】
上述した固定手段118のあらゆる実施形態は必ずしも互いに代替的ではなく、互いに共存してもよいことに留意されたい。
【0139】
次に、本発明による原動機付き車両用の内燃機関の動作について説明する。
【0140】
すでに述べたように、本発明は、各シリンダの圧力波を「調整」して、可変長吸気ダクトなどの大きすぎる部品および/または可動部品の助けを借りずに各シリンダの最大充填度を得ることを目的とする。
【0141】
様々なシリンダの前部トランペットと後部トランペットとの間の構造および相対配置のために、エンジンの広範囲の回転速度にわたって各シリンダの最適充填を達成するように、互いに干渉しない吸気混合気の流れを作り出すことが可能である。
【0142】
説明から理解されるように、本発明は先行技術の欠点を克服することを可能にする。
【0143】
実際、本発明は、可動部品、駆動装置およびモータを用いることなく、広範囲のエンジン回転数にわたって内燃機関の体積充填を最適化することを可能にする。
【0144】
これは、エンジン自体の性能の向上を犠牲にすることなく、吸気装置の(およびそれぞれの内燃機関の)コスト、寸法および重量を減らす。
【0145】
本発明による吸気系は、ターボ過給システムおよび/または可変形状ダクトを備える、可動部品を有するさらに複雑で厄介かつ高価な解決策を使用して得られるものと同様に、極めて広い動作範囲で内燃機関の体積効率を最適化することを可能にする。
【0146】
さらに、設けられた仕切りは、フィルタボックス内に組み込まれた形材の形であろうと接合された形材の形であろうと、内燃機関の構造、すなわちシリンダの相対配置に従って、それぞれの吸気トランペット内の吸気混合気の流れを搬送することができる。
【0147】
また、理解されるように、エンジンの回転速度の関数として混合気の流れの吸気経路を変えることが可能である。特に、低速から中速のエンジン回転数では経路が細長いことが好ましく、高速では経路が短いことが好ましい。
【0148】
さらに、上部トランペットをも支持し接続するフィルタボックスのカバーを作製することによって、吸気容積部内の構成要素の数を減らして、組立および保守作業を単純化することを可能にする。
【0149】
例えば、操作者は、上部カバーを取り外すことにより、一回の操作でトランペット自体を取り外して、下部トランペットおよびシリンダに迅速にアクセスすることができる。
【0150】
好ましくは、上部カバーはまた、インジェクタを支持して、その取り外しによって同じ操作でインジェクタ自体を取り外すこともできるようにする。
【0151】
さらに、上部カバーに対して上部トランペットを固定することによって、同一の目的のために先行技術の解決策で使用されている固定ブラケットおよびブリッジを下部カバーにより排除することが可能になる。そのようなブラケットおよびブリッジは、実際、フィルタボックスの全体寸法が等しい場合に有用な吸気容積部を減らす。
【0152】
さらに、そのようなブラケットおよびブリッジは、吸気容積部内の吸気流の流体力学を悪化させ、充填係数、ひいてはエンジンから得られる性能を低下させる乱流および障害物を生み出す。
【0153】
当業者であれば、特定の付随的な必要性を満たすために上記のエンジンおよび吸気系にいくつかの変更および調整を加えることができ、それらはすべて添付の特許請求の範囲で定義される保護の範囲内にある。