(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】軟水化装置及び軟水化装置の操作方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/42 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
C02F1/42 A
C02F1/42 B
(21)【出願番号】P 2019532956
(86)(22)【出願日】2018-02-06
(86)【国際出願番号】 EP2018052952
(87)【国際公開番号】W WO2018153657
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2021-01-18
(32)【優先日】2017-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513021578
【氏名又は名称】ビーダブリューティー アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】バリダス, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ブランド, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン, ユルゲン
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0140178(US,A1)
【文献】特開2000-126764(JP,A)
【文献】特表平07-501746(JP,A)
【文献】米国特許第03246759(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第02481713(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/42
B01J 39/00-49/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水の第一流から硬度成分を除去して、軟水化された水の第二流を生成するように構成されるフィルター(101;201)を含む軟水化装置(100;200)であって、以下のことを特徴とする軟水化装置:
(a)フィルター(101;201)が、イオン交換(IEX)材料を含む、
(b)IEX材料の容量の0.5%~20%が、トレーサー塩由来の第一カチオンイオン種を充填されている、
(c)IEX材料が、硬度成分に対してより第一カチオンイオン種に対して低い親和性を示す、
(d)IEX材料の容量の99.5%~80%が、再生剤塩由来の第二カチオンイオン種を充填されている、
(e)IEX材料が、第一カチオンイオン種に対してより第二カチオンイオン種に対して低い親和性を示す、
(f)第一カチオンイオン種及び第二カチオンイオン種が、それらのイオンモル導電率において異なる、
(g)装置(100;200)が、第一流の電気伝導性及び/又は電気抵抗を監視するための第一センサー(114;214)、及び第二流の電気伝導性及び/又は電気抵抗を監視するための第二センサー(112;212)を含む。
【請求項2】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを有する、請求項1に記載の軟水化装置:
(a)IEX材料が、強酸カチオン(SAC)イオン交換(IEX)樹脂である、
(b)第一カチオンイオン種が、K
+又はNH
4
+である、
(c)第二カチオンイオン種が、Na
+又はLi
+である。
【請求項3】
以下の追加の特徴の少なくとも一つを有する、請求項1に記載の軟水化装置:
(a)装置(100)が、再生剤タンク(108)を含む、
(b)再生剤タンク(108)が、第一塩としてトレーサー塩を含み、第二塩として再生剤塩を含む再生剤を含有する、
(c)トレーサー塩が、塩化カリウム(KCl)である、
(d)再生剤塩が、塩化ナトリウム(NaCl)である。
【請求項4】
以下の追加の特徴の一つを有する、請求項1に記載の軟水化装置:
(a)装置(200)が、第一タンク(208)及び第二タンク(206)を含む、
(b)第一タンク(208)が、再生剤塩タンクであり、再生剤塩を含む、
(c)第二タンク(206)が、トレーサー塩タンクであり、トレーサー塩を含む、
(d)トレーサー塩が、塩化カリウム(KCl)である、
(e)再生剤塩が、塩化ナトリウム(NaCl)である。
【請求項5】
以下の追加の特徴の一つを有する、請求項1に記載の軟水化装置:
(a)第一流の電気伝導性及び/又は電気抵抗を監視するための第一センサー(114;214)が、第一流に電流を付与することができる電解槽として構成されている、
(b)第二流の電気伝導性及び/又は電気抵抗を監視するための第二センサー(112;212)が、第二流に電流を付与することができる電解槽として構成されている、
(c)装置(100;200)が、フィルター(101;201)を通って流れる水の容積を測定するための追加のセンサー(113;213)を含む。
【請求項6】
以下のことを特徴とする、
請求項1に記載の軟水化装置(100;200)の操作方法:
(a)原水の第一流から硬度成分を除去し、それによって軟水化された水の第二流を生成するように構成されるIEX材料を含むフィルター(101;201)に原水の第一流を通過させる、
(b)IEX材料の容量の0.5%~20%に第一カチオンイオン種を充填する、
(c)IEX材料の容量の99.5%~80%に、第一カチオンイオン種とはイオンモル導電率において異なる第二カチオンイオン種を充填する、
(d)第一流の電気伝導性及び/又は電気抵抗を第一センサー(114;214)によって監視する、及び
(e)第二流の電気伝導性及び/又は電気抵抗を第二センサー(112;212)によって監視する。
【請求項7】
以下の追加の工程及び/又は特徴を有する、請求項6に記載の方法:
(a)監視された電気伝導性及び/又は電気抵抗の変化が、フィルター(101;201)の消耗状態のためのインディケーターとして使用される。
【請求項8】
以下の追加の工程及び/又は特徴の少なくとも一つを有する、請求項7に記載の方法:
(a)装置(100;200)が、再生剤タンク(108;208)を含むか、又はそれに結合されている、
(b)監視された電気伝導性及び/又は電気抵抗の変化が、再生剤タンク(108;208)からの再生剤でIEX材料を含むフィルターをフラッシすることを含む再生プロセスを誘発させる、
(c)再生剤が、第一カチオン種を含むトレーサー塩を含有する、
(d)装置(200)が、トレーサー塩タンク(206)を含むか、又はそれに結合されている、
(e)監視された電気伝導性及び/又は電気抵抗の変化が、再生剤タンク(208)からの再生剤で第一工程においてフィルター(201)をフラッシし、トレーサー塩タンク(206)からのトレーサー塩で第二工程においてフィルター(201)をフラッシすることを含む再生プロセスを誘発させる。
【請求項9】
以下の追加の工程を有する、請求項6に記載の方法:
(a)フィルター(101;201)が、循環再生され、各再生時にIEX材料の容量の特定百分率割合が、第一カチオンイオン種を充填され、IEX材料の容量の特定百分率割合が、第二カチオンイオン種を充填される、
(b)各再生後、通常操作の段階中、原水の第一流をフィルター(101;201)に通過させ、第二流の電気伝導性及び/又は電気抵抗を、フィルター(101;201)が消耗したことを示す第二流の電気伝導性及び/又は電気抵抗の変化が最大値又は最小値に達するまで監視する、
(c)通常操作の段階中にフィルター(101;201)を通過する水の容積V
SWを計量する、
(d)原水硬度成分TH
RWを、水の計量された容積V
SW、及びIEX材料の容積V
IEX及び比容量C
IEXの関数として決定する。
【請求項10】
以下の追加の工程の少なくとも一つを有する、請求項6に記載の方法:
(a)軟水化された水の第二流をバイパスライン(104)を介して第一流の原水と混合する、
(b)第一流と第二流の比率を、通常操作の段階中、一定に維持する、
(c)第一流と第二流の比率を、第二流の電気伝導性及び/又は電気抵抗における監視された変化に依存して通常操作の段階の終わりに調整する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟水化装置及び軟水化装置の操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軟水化装置は、ナトリウム形態の下で再生される、強酸カチオン(SAC)イオン交換(IEX)材料を充填されたフィルターを含むことが多い。原水は、その材料床を通って流れ、そこではカルシウム及びマグネシウムイオン(硬度原因イオン、又は単に「硬度成分(hardness)」)がナトリウムイオンに対して交換される。交換反応は、IEX材料がナトリウムイオンに対してよりカルシウム及びマグネシウムイオンに対して高い親和性を示すので、起こる。以下の反応が軟水化工程時に起こる:
【0003】
全てのIEX材料が硬度成分を充填されるとき、フィルターの容量が達成され、材料床は、ナトリウム形態に戻って再生されることが必要である。再生交換反応は、以下の反応に従った交換平衡を逆にするために過剰のナトリウムイオンに材料を露出することによって達成される:
【0004】
フィルター中の所定量のIEX材料に対して、再生時に使用される塩水の量は、特に用途及びIEX材料容量に依存して変動することが通常である。家庭用途に対して、IEX材料1リットルあたり約90gのNaClの量での再生が一般的であり、それは、約1.1eq/lの未操作のIEX材料容量をもたらす。工業用途に対して、一般的に、使用される塩水の量は、IEX材料の1リットルあたり約180gのNaClであり、それは、1.5eq/l前後の未操作のIEX材料容量をもたらす。
【0005】
所定の原水組成及びIEX材料の規定された容積に対して、フィルターで処理されることができる原水の容量又は容積は、以下の方程式に従って決定されることができる:
式中、V
RWは、処理される原水の容積[l]であり、
C
IEXは、IEX材料の比容量[eq.
*l
-1]であり、
V
IEXは、フィルター中のIEX材料容積の容積[l]であり、
TH
RWは、原水中の全硬度成分([Ca
2+]+[Mg
2+])[meq.
*l
-1]である。
【0006】
具体例として、以下のパラメーターが家庭用途のために一般的である:
【0007】
この場合において、処理されることができる原水の容量又は容積は、以下の通りになる:
【0008】
これは、原水の約5.3m3の容積の後にIEX材料床が交換されることを意味する。この容量に達するとき、IEX材料は再生されるべきである。
【0009】
実際には、IEX材料容量が依存する幾つかの追加のパラメーターがある。かかるパラメーターは、例えば温度、材料床を通る流速、全カチオン充填量と比較した流入水のナトリウム濃度、原水中の全溶解固形物(TDS)の含有量、再生工程時に使用される塩水の濃度、及びサイクルの終わりに許容される硬度レベルである。全てのそれらのパラメーターの影響を考慮するために、再生が硬度成分突破前に開始されることを確実にするように安全係数が適用されることができる。
【0010】
前の例において示すと、安全係数は、10%の安全マージンの形でC
IEXに一体化されることができる。IEX材料の1リットルあたり90gのNaClの再生剤レベルについて、考慮される実際のIEX材料容量は1.0eq/lになるだろう。硬度成分突破の危険なしで安全に処理されることができる原水の容量又は容積は、以下のようになるだろう:
【0011】
この場合において、フィルターの実際の操作容量は、4.8m3に設定されるだろう。この容積は、再生が開始されなければならない前に安全に処理されることができる水の容積に相当する。上記の5.3m3の未操作の容量と比較すると、差は、0.5m3である。
【0012】
これは、実際にはフィルター中のIEX材料がその全容量に到達する前に常に再生されること、及び操作容量の約10%が各サイクルで失われることを意味する。各再生中、固定された量の塩水及び水が消費される。フィルターがその全容量まで使用されないことは、フィルターがその全容量まで使用される操作モードと比較して増大した消費量の塩水及び水をもたらす。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、IEX材料がその全容量に到達する前にIEX材料の再生による容量ロスの前記問題に対する技術的解決策を提供するという目的に基づく。
【0014】
この目的は、請求項1の特徴を有する軟水化装置、及び請求項7の特徴を有する軟水化装置の操作方法によって達成される。装置の好ましい実施形態は、従属請求項2~6に特定されている。方法の好ましい実施形態は、従属請求項8~11に特定されている。
【0015】
本発明は、特定の再生条件を適用することによって変性されたIEX材料を使用することによって、フィルターが消耗され、硬度成分突破が起こる時点を識別し、使用されたIEX材料の再生を誘導することが可能であるという知見に基づく。これは、完全なIEX材料容量を使用することを可能にし、それは、標準的な軟水化操作モードと比較して塩及び廃水消費の量の減少をもたらす。
【0016】
特定の再生条件は、再生塩に加えて、追加のトレーサー塩がIEX材料再生のために使用されることを意味する。これは、二つの異なるカチオンイオン種を充填されるIEX材料に導く。トレーサー塩は、IEX材料が再生塩のカチオンイオンに対する親和性より高くかつ硬度成分原因イオンに対する親和性より低いトレーサー塩のカチオンイオンに対する親和性を示すように選択されなければならない。これは、操作時に、クロマトグラフィー効果が材料床において徐々に起こりうることを意味する。IEX材料が消耗されるとき、再生剤塩のカチオンイオンは、硬度成分原因イオンに対して交換されている。しかしながら、硬度成分突破前にトレーサー塩のカチオンイオンの濃度は、変性されたIEX材料を有するフィルターから出る水において増加するだろう。この濃度の増加は、特に水の電気特性を監視することによって検出されることができることが見出された。
【0017】
本発明による軟水化装置は、原水の第一流から硬度成分を除去して、軟水化された水の第二流を生成するように構成されるフィルターを含む。硬度成分という用語は、原水中の硬度成分原因イオンとして理解されるべきである。
【0018】
前記装置は、以下の特徴によって特徴づけられる:
・ フィルターが、イオン交換(IEX)材料を含む、
・ IEX材料が、トレーサー塩由来の第一カチオンイオン種を充填されている、
・ IEX材料が、硬度成分に対してより第一カチオンイオン種に対して低い親和性を示す、
・ IEX材料が、再生剤塩由来の第二カチオンイオン種を充填されている、
・ IEX材料が、第一カチオンイオン種に対してより第二カチオンイオン種に対して低い親和性を示す。
【0019】
第一カチオンイオン種及び第二カチオンイオン種がそれらのイオンモル伝導率において異なることが好ましい。これは、極めて有利でありうる。上で説明したように、トレーサー塩のカチオンイオンの濃度の増加は、第二流(軟水化された水)の電気特性の変化を監視することによって検出されることができる。もし二つのイオン種がそれらのイオンモル伝導率において異なるなら、変化はより大きくなる傾向があるだろう。これは、検出を容易にしうる。
【0020】
明確化のため、モル伝導率は、電解質溶液(例えば溶解された塩の溶液)の電気伝導性を電解質(溶解された塩)のモル濃度で割ったものである。それは、溶液中の電解質の1モルを溶解することによって生成された全てのイオンの電気伝導能力である。モル伝導率の単位は、1モル濃度あたりの1メートルあたりのジーメンス、又は1モルあたりの平方化されたジーメンスメートルである。
【0021】
IEX樹脂材料は、IEX樹脂であることが好ましい。
【0022】
好ましい実施形態では、軟水化装置は、以下の追加の特徴の少なくとも一つを含む:
・ IEX材料が、強酸カチオン(SAC)イオン交換(IEX)材料、特に強酸カチオン(SAC)イオン交換(IEX)樹脂である、
・ 原水が、硬度成分原因イオンとしてCa2+及びMg2+を含有する、
・ 第一カチオンイオン種が、K+又はNH4
+である、
・ 第二カチオンイオン種が、Na+又はLi+である。
【0023】
第一カチオンイオン種としてK+、第二カチオンイオン種としてNa+が特に好ましい。カリウムのイオンモル伝導率は、ナトリウムのイオンモル伝導率より高い。これは、全てのナトリウムイオンが交換されるとすぐに、しかし硬度成分突破前に電気伝導性ピークをもたらすだろう。この電気伝導性ピークを検出することによって、突破が起こる直前又は突破が起こる瞬間に再生を誘導することが可能である。
【0024】
さらに好ましい実施形態では、軟水化装置は、以下の追加の特徴の少なくとも一つを含む:
・ 装置が、再生剤タンクを含むか、又は再生剤タンクに結合されている、
・ 再生剤タンクが、第一塩としてトレーサー塩を含み、第二塩として再生剤塩を含む再生剤を含有する、
・ トレーサー塩が、塩化カリウム(KCl)である、
・ 再生剤塩が、塩化ナトリウム(NaCl)である。
【0025】
軟水化装置のための再生剤タンクは、商業的に入手可能である。好適なタンクは、例えばEP3103770A1に記載されている。かかるタンクは、第一カチオンイオン種を有する第一塩、及び第二カチオンイオン種を有する第二塩を含むことが可能である。好ましくは、タンクは、二種の塩を溶解状態で含む水溶液を含む。
【0026】
IEX材料の上に固定された第二カチオンイオン種の量と比較したIEX材料の上に固定された第一カチオンイオン種の量は、タンク中の再生剤/トレーサー塩の混合組成に依存するだろう。
【0027】
以下のようであることが好ましい:
・ 再生剤タンク中の第一塩と第二塩の間のモル比は、1~100、好ましくは1~25である、及び/又は
・ IEX材料の容量の0.5%~20%、好ましくは2%~8%が第一カチオンイオン種で充填されている、及び/又は
・IEX材料の容量の80%~99.5%、好ましくは92%~98%が第二カチオンイオン種で充填されている。
【0028】
良好な例は、トレーサー塩としてカリウム塩、再生剤塩としてナトリウム塩の使用であるだろう。例えば再生剤タンク中の塩水(NaCl)に塩化カリウム(KCl)の規定量を加えることによって、IEX材料は、ナトリウム及びカリウム形態の下で再生されるだろう。
【0029】
さらに好ましい実施形態では、軟水化装置は、以下の追加の特徴の少なくとも一つを含む:
・ 装置が、第一タンク及び第二タンクに結合されている、
・ 第一タンクが、再生剤塩タンクであり、再生剤塩(上記の第二塩に相当)を含む、
・ 第二タンクが、トレーサー塩タンクであり、トレーサー塩(上記の第一塩に相当)を含む、
・ 第一塩は、塩化カリウム(KCl)である、
・ 第二塩は、塩化ナトリウム(NaCl)である。
【0030】
理論的には、第二タンクに貯蔵される水溶液の形態でトレーサー塩を与え、それを第一タンクに貯蔵される再生剤塩の水溶液と混合し、それによって二種の水溶液からなる再生剤混合物を与えることも可能である。しかしながら、実際には、まず第一タンクからの再生剤塩の水溶液で、次いで第二工程において第二タンクからのトレーサー塩の水溶液で再生時にIEX材料をフラッシすることが好ましい。
【0031】
好ましい実施形態では、軟水化装置は、以下の追加の特徴の少なくとも一つを含む:
・ 装置が、第一流の電気特性を監視するための第一センサーを含む、
・ 第一センサーが、電気伝導性及び/又は電気抵抗を監視するように構成されている、
・ 第一センサーが、第一流に電流を付与することができる電解槽として構成されている、
・ 装置が、第二流の電気特性を監視するための第二センサーを含む、
・ 第二センサーが、電気伝導性及び/又は電気抵抗を監視するように構成されている、
・ 第二センサーが、第二流に電流を付与することができる電解槽として構成されている。
【0032】
一般に、第一センサー及び第二センサーが電気伝導性を測定するように構成されていることが好ましい。水の電気伝導性を測定するために好適なセンサー、特に水の電気伝導性を測定するために好適な電解槽は、当業者に知られており、さらなる説明を全く必要としない。
【0033】
さらに好ましい実施形態では、装置は、フィルターを通って流れる水の容積を測定するための第三センサーを含む。
【0034】
さらに好ましい実施形態では、軟水化装置は、以下の追加の特徴の少なくとも一つを含むことができる:
・ 装置が、第一センサー及び第二センサーに接続される電子制御ユニットを含む、
・ 電子制御ユニットがさらに、第三センサーに接続される、
・ 電子制御ユニットが、内部データメモリー及びデータ処理ユニットを含む。
【0035】
装置がこれらの特徴の全ての組み合わせによって特徴づけられることが好ましい。
【0036】
さらに好ましい実施形態では、軟水化装置は、以下の追加の特徴の少なくとも一つを含むことができる:
・ 装置が、軟水化された水の第二流を第一流の原水と混合するためのバイパスラインを含む、
・ バイパスラインが、第二流に混合される第一流の水の量を調整するための弁を含む。
【0037】
バイパスラインを介して、第二流は、第一流の水とブレンドされることができる。
【0038】
本発明による方法は、軟水化装置を操作する方法である。好ましくは、この方法に従って操作される装置は、上記のもののような装置である。それは、以下の工程を含む:
・ IEX材料を含むフィルターに原水の第一流を通過させ、それによって軟水化された水の第二流を生成させる、但しフィルター、特にIEX材料は、原水の第一流から硬度成分を除去するように構成される、
・ IEX材料に第一カチオンイオン種を充填する、
・ IEX材料に第二カチオンイオン種を充填する、
・ センサーによって第二流の電気特性を監視する。
【0039】
IEX材料の特性及び好ましい実施形態、第一カチオン種、第二カチオン種、及び水の第二流の電気特性は、本発明による装置の記載で既に記載された。例えば、本発明による方法と関連しても、第一カチオンイオン種及び第二カチオンイオン種は、IEX樹脂が第二カチオンイオン種より第一カチオンイオン種に対して高い親和性を示すように選択され、第一カチオンイオン種と第二カチオンイオン種は、それらのイオンモル伝導率において異なることが好ましい。
【0040】
以下のようであることが好ましい:
・ 監視された電気特性が、第二流の電気伝導性又は電気抵抗である、及び/又は
・ 監視された電気特性の変化が、フィルターの消耗状態のためのインディケーターとして使用される。
【0041】
方法は、以下の追加の工程又は特徴の少なくとも一つによって特徴づけられることができることが特に好ましい:
・ 装置が、再生剤タンク(特に上記のようなタンク)に結合されている、
・ 監視された電気特性の変化が、再生剤タンクからの再生剤でIEX材料を含むフィルターをフラッシすることを含む再生プロセスを誘発させる、
・ 再生剤が、第一カチオン種を含むトレーサー塩を含有する、
・ 装置が、トレーサー塩タンクを含むか、又はそれに結合されている、
・ 監視された電気特性の変化が、再生剤タンクからの再生剤で第一工程においてフィルターをフラッシし、トレーサー塩タンクからのトレーサー塩で第二工程においてフィルターをフラッシすることを含む再生プロセスを誘発させる。
【0042】
本発明による方法は、循環的に繰り返されることが好ましい。完全なサイクルは、通常の操作の段階と再生工程から構成される。従って、各再生工程の後、通常の操作の段階が続く。また、逆もあり、通常の操作の各段階の後に、再生工程が続く。通常の操作の段階は、フィルター、特にそこに含まれるIEX材料が消耗されたときに終了する。この時点は、上で述べた監視された電気特性の変化によって示される。さらに詳細には、この時点は、監視された電気特性の変化が最大値又は最小値に達する時に到達される。例えば、これは、第一カチオン種としてNa+、第二カチオン種としてK+イオンを充填されるIEX材料を含有するフィルターを出る第二流の監視された電気伝導性が流れ中のK+イオンの増加によって最大値に達する場合である。
【0043】
好ましい実施形態では、本発明による方法は、以下の追加の工程の少なくとも一つを含む:
・ フィルターが、循環再生され、各再生時にIEX材料の容量の特定の百分率割合が、第一カチオンイオン種を充填され、IEX材料の容量の特定の百分率割合が、第二カチオンイオン種を充填される、
・ 各再生後、通常操作の段階中、原水の第一流をフィルターに通過させ、第二流の電気特性を、フィルターが消耗したことを示す第二流の電気特性の変化が最大値又は最小値に達するまで監視する、
・ 通常操作の段階中にフィルターを通過する水の容積VSWを、好ましくは上記の第三センサーによって計量する。
【0044】
可能な次の工程では、原水硬度成分THRWは、水の計量された量の容積VSW及びIEX材料の比容積CIEX及びイオン交換材料の容積VIEXの関数として決定されることができる。
【0045】
以下の方程式は、特にもしIEX材料の容量の2%~8%が第一カチオンイオン種を充填されるなら、相対的に良好な精度を有する結果を与える。
【0046】
さらに好ましい実施形態では、本発明による方法は、以下の追加の工程の少なくとも一つ、好ましくは以下の追加の工程の全てを含む:
・ 軟水化された水の第二流を、バイパスラインを介して第一流の原水と混合する、
・ 第一流と第二流の比率を、通常操作の段階中、一定に維持する、
・ 第一流と第二流の比率を、第二流の電気特性における監視された変化に依存して通常操作の段階の終わりに調整する。
【0047】
調整は、電子制御ユニットによって自動的に制御されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明のさらなる特徴及び利点は、図面及び好ましい実施形態の以下の記載から導かれることができる。記載された好ましい実施形態は、説明目的のため、及び本発明のより良い理解を与えるためにすぎず、いかなる場合でも限定と解釈されるべきできない。
【0049】
【
図1】
図1は、Na
+モードで操作されたIEX樹脂を含むフィルターを含有する軟水化装置の操作時のイオン交換の一般的な方法を概略的に示す。
【0050】
【
図2】
図2は、本発明による軟水化装置の好ましい実施形態を概略的に示す。
【0051】
【
図3】
図3は、本発明による軟水化装置のさらに好ましい実施形態を概略的に示す。
【0052】
【
図4】
図4は、フィルターを通過する容積の関数として本発明による軟水化装置のフィルターを出る軟水化された水中のカチオンNa
+、Ca
2+、Mg
2+、及びK
+の濃度の変化を示す。
【0053】
【
図5】
図5は、フィルターを通過する容積の関数として本発明による軟水化装置のフィルターを出る軟水化された水の電気伝導性、及びその中の硬度成分の濃度を示す。
【0054】
【
図6】
図6は、IEX樹脂のトレーサー塩の充填量の関数として本発明による軟水化装置のフィルターを出る水で測定された電気伝導性ピークにおける硬度成分濃度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
(1)Na
+モードで操作されるSAC IEX樹脂でのイオン交換の一般的な方法
遭遇されるほとんどの天然水について、全硬度THは、水中のCa
2+及びMg
2+イオンの濃度の合計に相当する。Na
+形態の下で操作されたSAC樹脂床の上で処理されたかかる水は、以下のように反応するだろう。
【0056】
SAC樹脂の上に固定されたNa
+イオンは、硬度成分(Ca
2+及びMg
2+)に対して交換される。この方法は、
図1に示される。
【0057】
(2)本発明による装置の好ましい実施形態
図2に示された装置100は、SAC IEX樹脂を含むフィルター101、及び塩水を含む塩水タンク108を含む。フィルター101の上には、フィルターヘッド102が設置される。このフィルターヘッド102は、マルチウェイ弁、又は弁の組み合わせを含む。マルチウェイ弁、又は弁の組み合わせは、フィルター101からの及びフィルター101への全ての流れ(フィルター101への原水の流れ、及びフィルター101から出る軟水化された水の流れを含む)を調整する。マルチウェイ弁、又は弁の組み合わせによって、フィルター101は、塩水タンク108にさらに接続される。
【0058】
フィルター101中のIEX樹脂は、定期的に再生されなければならない。再生中、飽和された塩水は、塩水タンク108からライン109(それは弁110を含む)及びフィルターヘッド102を介してフィルター101中に移動され、その中の樹脂床をフラッシする。塩水は、主な再生剤塩の塩化ナトリウムに加えて、トレーサー塩として溶解された塩化カリウムを含む。樹脂床を例えばライン103からの水でフラッシする前に水でフィルターヘッド102中の塩水を希釈することが好ましい。例えば、塩水中の塩濃度を約10重量%の値まで調整することが好ましい。フィルター101から出る使用済塩水は、ライン111を介して廃棄されることができる。再生後、IEX樹脂の容量の通常2%~8%がカリウムイオンを充填されており、残りはナトリウムイオンを充填されている。正確な値は、再生条件及び塩水の組成に依存する。
【0059】
原水は、ライン103を介してフィルターヘッド102中に入る。軟水化された水の流れは、ライン107を介してフィルターヘッド102から出る。ライン103と107を直接接続する直接バイパスライン104がある。フィルター101から出た水は、バイパスライン103を介して原水とブレンドされることができる。原水の量は、弁105によって調整されることができる。
【0060】
装置100は、装置を通って流れる水の電気伝導性を測定するための二つのセンサー112及び114を含む。センサー112は、出口ライン117に位置される。センサー114は、入口ライン103に位置される。これに加えて、装置100は、フィルター101を通って及びバイパスライン104を通って流れる水の容積を測定するためのセンサー113及び119を含む。センサー112,113,114及び119は、電子制御ユニット115に接続される。
【0061】
(3)本発明による装置のさらに好ましい実施形態
図3に示された装置200は、SAC IEX樹脂を含むフィルター201、再生剤塩として塩化ナトリウムの水溶液を含む塩水タンク208、及びトレーサー塩として塩化カリウムの水溶液を含むトレーサー塩タンク206を含む。フィルター201の上にフィルターヘッド202が設置される。このフィルターヘッド202は、マルチウェイ弁、又は弁の組み合わせを含む。マルチウェイ弁、又は弁の組み合わせは、フィルター201からの、及びフィルター201への全ての流れ(フィルター201への原水の流れ、及びフィルター201から出る軟水化された水の流れを含む)を調整する。マルチウェイ弁、又は弁の組み合わせによって、フィルター201は、塩水タンク208及びトレーサー塩タンク206にさらに接続される。
【0062】
フィルター201中のIEX樹脂は、定期的に再生されなければならない。再生中、塩化ナトリウムの水溶液は、まず塩水タンク208からライン209(それは弁210を含む)を介してフィルターヘッド202を経てフィルター201中に移動され、その中の樹脂床をフラッシする。次いで、第二工程では、塩化カリウムの水溶液は、トレーサー塩タンク206からライン216(それは弁218を含む)を介してフィルターヘッド202を経てフィルター201中に移動される。
【0063】
フィルターヘッド202中の塩化ナトリウムの水溶液及び/又はトレーサー塩の水溶液を、樹脂床をフラッシする前に水で、例えばライン203からの原水で希釈することが好ましい。例えば、塩水中の塩濃度を約10重量%の値まで調整することが好ましい。フィルター201から出る使用済の再生剤は、ライン211を介して廃棄されることができる。再生後、IEX樹脂の容量の通常2%~8%がカリウムイオンを、残りがナトリウムイオンを充填されている。正確な値は、再生条件及びトレーサー塩の水溶液の組成に依存する。
【0064】
原水は、ライン203を介してフィルターヘッド202中に入る。軟水化された水の流れは、ライン207を介してフィルターヘッド202から出る。ライン203とライン207を直接接続する直接バイパスライン204がある。フィルター201から出た軟水化された水は、バイパスライン203を介して原水とブレンドされることができる。原水の量は、弁205によって調整されることができる。
【0065】
装置200は、装置を通って流れる水の電気伝導性を測定するための二つのセンサー212及び214を含む。センサー212は、出口ライン207に位置される。センサー214は、入口ライン203に位置される。これに加えて、装置200は、フィルター201を通って流れる水の容積を測定するためのセンサー213を含む。センサー212,213,及び214は、電子制御ユニット215に接続される。
【0066】
(4)本発明による方法の好ましい実施形態の詳細な記述
本発明による方法は、特にIEX樹脂再生のためのトレーサー塩を含む再生剤の使用によって特徴づけられる。この塩の性質、特にこの塩に対する樹脂選択性は、重要である。希望の効果を得るために、IEX樹脂からトレーサー塩までの選択性は、再生のために使用される塩(通常、ナトリウム塩)に対する選択性と硬度成分(Mg
2+及びCa
2+)に対する選択性の間に位置されるべきである。SAC樹脂については、親和性/選択性の順は、ほとんどの一般的な種に対して以下の通りである。
【0067】
ナトリウム塩(Na+イオン)で再生された軟化剤について、カリウム塩(K+イオン)は、前の条件を尊重するだろう。なぜならその選択性はナトリウムイオン(Na+)と硬度成分(Mg2+及びCa2+)についての選択性の間に位置されるからである。アンモニウムイオン(NH4
+)もまた、その条件を尊重するだろう。それゆえ、アンモニウム塩もまた、トレーサー塩として使用されることができるだろう。実際、選択性が硬度成分と再生剤塩の選択性の間に位置されるいずれの塩もトレーサー塩として使用されることができるだろう。
【0068】
トレーサー塩のカチオンは、再生中、特に塩水漬け工程中にIEX樹脂の上に固定される。この工程中、IEX樹脂は、塩水タンクからの塩水でフラッシされる。再生の終わりにおける目的は、IEX樹脂操作容量に対して0.5~20%のトレーサー塩充填率を得ることである。
【0069】
トレーサー塩をIEX樹脂と接触させるために二つの異なるアプローチがある。第一のアプローチは、塩水タンク中の塩水溶液にトレーサー塩を混合することである。このアプローチは、家庭用途に対して好ましい。第二のアプローチは、例えば水溶液の形態で、トレーサー塩を含有する第二タンクを(塩水タンクに加えて)設置することである。このアプローチは、工業用途に対して好ましい。
【0070】
家庭条件(IEX樹脂1リットルあたり~90gNaCl)の下で再生剤塩としてナトリウム塩を用いて再生する場合、通常、再生効率は、ナトリウムに対して約60%である。これは、IEX樹脂を有するフィルターを通過したナトリウム塩1molに対して、約0.6molがIEX樹脂の上に固定されることを意味する。再生剤塩及びトレーサー塩を含有する再生剤を使用するとき、トレーサー塩についての再生効率は、再生剤塩に対してより低い。例えば、IEX樹脂容量に対して5%のカリウム充填率を得るために、カリウムに対する再生効率は、約45%である(IEX樹脂1リットルあたり90gNaClを使用するとき)。カリウムに対する樹脂の選択性がより高いという事実にかかわらず、高い塩水濃度は、再生中、それらの条件ではトレーサー塩に対する選択性を低くする。
【0071】
工業的条件下で再生剤塩としてナトリウム塩を使用する再生に対しては、通常、塩水タンクからの塩水がまずIEX樹脂床に通過される。トレーサー塩は、いったんIEX樹脂が通常の再生剤塩で再生されたら、第二工程においてIEX樹脂にもたらされる。トレーサー塩がIEX樹脂にもたらされるとき、両塩間で競争はもはやない。この場合において、通常の再生剤塩で再生されたIEX樹脂は、トレーサー塩に対して高い親和性を示し、トレーサー塩に対する再生効率は、100%に近い。
【0072】
通常の操作中にIEX樹脂床(それは、再生剤塩及びトレーサー塩で再生されている)に対して起こったことを理解するために、以下の例が与えられる。
【0073】
フィルターに25リットルのSAC IEX樹脂を充填する。かかるフィルターのための通常の再生剤はNaClであり、家庭用途に対してIEX樹脂1リットルあたり90gのNaClの再生レベルであり、1.1eq/lの未加工のIEX樹脂操作容量をもたらす。トレーサー塩として、KClが選択された。再生条件は、K
+を充填されたIEX樹脂容量の5%を得るために設定された。原水は、全硬度の26°fを含有していた。詳細な原水組成は、以下に与えられる:
【0074】
フィルターの内側では、流速は、630l/h(19.6m/hの速度)に構成された。フィルターを出る軟水化された水におけるカチオンNa
+、Ca
2+、Mg
2+、及びK
+の濃度の変化が監視された。結果は、
図4に示される。
【0075】
イオンNa
+、Ca
2+、Mg
2+、及びK
+のIEX樹脂選択性に従って、クロマトグラフィー効果が観察された。選択性が再生剤塩(Na
+)の選択性と硬度成分(Ca
2+及びMg
2+)の選択性の間に位置されるトレーサー塩(K
+)は、硬度成分突破前でNa
+濃度が有意に減少しはじめた後にのみ放出された。これは、フィルターを出る水の電気伝導性の変化を生じた(
図5参照)。
【0076】
電気伝導性のピークは、フィルターを出る水におけるカリウムイオンの濃度に相当する。電気伝導性がカリウム濃度とともに増加するという事実は、各種のイオンモル伝導率によって説明されることができる。ナトリウムイオンは、カリウムイオンについての7.35S.m2.mol-1に対して5.01S.m2.mol-1のイオンモル伝導率を持つ。カリウムイオンがより高いイオンモル伝導率を示すことは、いったんナトリウムイオンがフィルターの容量の終わりにカリウムイオンによって置き換えられはじめると電気伝導性が増加する理由を説明する。カリウムピークは、硬度成分突破が差し迫っていることを示す。
【0077】
従って、フィルターの出口の電気伝導性を監視することによって、特に電気伝導性ピークを検出することによって硬度成分突破を検出することが可能である。本方法は、もっぱらフィルターの出口の一つだけのセンサーでの出口電気伝導性に対して、又はフィルターの入口に一つの電気伝導性センサーを有し、出口にもう一つのものを設置した、出口から入口までの電気伝導性比率に焦点を当てることができる(
図2を比較:電気伝導性センサー112は、フィルターの下流に位置され、電気伝導性センサー114は、フィルターの上流に位置される)。第二の構成は、ある原水変化に関係する軟水化された水の電気伝導性ピークが硬度成分突破として装置によって解釈されないことを確実にするために原水条件を変動する場合には特に重要である。
【0078】
工業的用途
工業的用途のために好適な軟水化装置が
図3に示されている。工業的用途のためには、原水と軟水化された水の間のバイパス204は、閉じられているか、又は存在しない。軟水化装置の下流で要求される硬度レベルは、0°fであることが好ましい。
【0079】
所定の原水硬度成分濃度に対して、出口ライン207で測定された電気伝導性ピークにおける硬度成分漏出濃度は、再生時にIEX樹脂の上に固定されたトレーサー塩の量に直接関係される。
図6の曲線は、IEX樹脂のトレーサー塩の充填量の関数として出口ライン207で測定された電気伝導性ピークにおける硬度成分濃度を示す。
【0080】
この曲線から、関係するトレーサー塩の量に依存して、電気伝導性ピークにおける硬度成分漏出が所定の原水硬度成分濃度に対して制御されることができることが明らかになる。工業的用途では、通常の構成は、第一軟水化装置の下流に研磨軟水剤(polisher softener)を持つことである。それゆえ、軟水化された水における硬度レベルが0°fのままであるべきであるという事実にかかわらず、第一軟水化装置の出口での硬度成分漏出を制限することが可能である。研磨軟水剤が存在する場合、漏出は、その研磨剤によってとられるだろう。
【0081】
これは、いったん原水硬度がわかると、再生時に伴なうトレーサー塩の量が、電気伝導性ピークが起こる各サイクルの終わりに希望の硬度成分漏出を得るために必要なレベルに設定されることができるという結論に導く。例えば、もし原水が26°fの一定の硬度によって特徴づけられ、ターゲット硬度が2°fであるなら、再び電気伝導性ピークが起こる各サイクルの終わりに、10%のIEX樹脂でのトレーサー塩充填率(K+として)は、適切であるだろう。この場合において、再生中に伴なうトレーサー塩量は、IEX樹脂での10%充填率を得るために設定されるだろう。この構成におけるトレーサー塩に対する再生効率が100%に近いとき、伴なうトレーサー塩の量は、電気伝導性ピークが起こる各サイクルの終わりにターゲット漏出条件に整合するように明確に規定されることができる。
【0082】
家庭用途
図2による軟水化装置は、家庭用途のために特に好適である。特に、それは、フィルター101を通って流れる水の量を測定するためのセンサー113を含む。
【0083】
かかるセンサーは、前の再生と、
図5で示された電気伝導性ピークが起こる時点との間の時間においてフィルターを通過した水の容積V
SWを決定することを可能にする。前の再生時に使用される再生レベルがわかると、IEX樹脂からの容量もわかる。次いで、水の容積、IEX容量、及びイオン交換樹脂の容積から、以下の計算式に従って比較的良好な精度で原水硬度成分濃度を推定することが可能である:
式中、V
SWは、監視された電気伝導性が最大値に達するまでに処理される水の容積[l]であり、
C
IEXは、IEX樹脂の比容量[eq.]であり、
V
IEXは、フィルター中のIEX樹脂材料の容積[l]であり、
TH
RWは、原水における全硬度([Ca
2+]+[Mg
2+])[meq.
*l
-1]である。
【0084】
図5の曲線によれば、電気伝導性ピークは、5.2m
3で起こる。この場合において、原水硬度推定値は、以下のようであるだろう:
【0085】
26°fの原水硬度に対して、前の方法による26.4°fの推定値は、この場合には、IEX樹脂の5%トレーサー充填率に対して1.5%の精度で原水硬度を与えるだろう。
【0086】
いったん原水硬度がトレーサー塩での第一再生後にわかると、軟水化された水における希望の硬度成分濃度を得るために、バイパスは、例えばコントローラー115によって自動的に、弁105を介して調整されることができる。家庭用途では、ターゲット値は、8~12°fに設けられる。設定点は、使用者によって入れられることができ、バイパスは、設定硬度値を得るために自動的にそれ自身で調整するだろう。そうするために、バイパスライン104を通過した水の容積を決定するための追加のセンサーが要求されるだろう。かかるセンサーにより、軟水化された水と混合される原水の量は、必要レベルに調整されることができる。
【0087】
所定の原水硬度、及びIEX樹脂に対する所定の塩トレーサー充填率について、電気伝導性ピークで硬度成分漏出濃度を決定することが可能であることを上で説明した。それゆえ、各サイクルの終わりに、電気伝導性が上がり始めるとき、電気伝導性の増加を硬度成分漏出の増加に関連づけることは可能である。それらの条件下では、バイパス設定は、弁105が装置の下流の硬度成分レベルを一定レベルに維持するために徐々に閉じるように自動的に調整されることができる。
【0088】
これは、容器出口の硬度レベルが混合された水のために設定された値に達する点までIEX樹脂床を消耗することを可能とし、水の最大容積は、IEX樹脂によって処理されることができる。この点は、到達されるべきであり、バイパス弁が完全に閉じられかつ硬度成分漏出が設定値に到達したときに再生が開始されるべきである。