(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】回転取付式ウインドシールド取付型車載装置の取付構造および取付ベース
(51)【国際特許分類】
B60R 1/04 20060101AFI20220907BHJP
F16B 5/06 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
B60R1/04 Z
F16B5/06 D
(21)【出願番号】P 2019569119
(86)(22)【出願日】2019-01-29
(86)【国際出願番号】 JP2019002944
(87)【国際公開番号】W WO2019151233
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】P 2018014699
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000148689
【氏名又は名称】株式会社村上開明堂
(74)【代理人】
【識別番号】100090228
【氏名又は名称】加藤 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】杉村 直己
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第7726623(US,B2)
【文献】実開昭63-201848(JP,U)
【文献】特開2016-155435(JP,A)
【文献】特開2003-146135(JP,A)
【文献】特開2003-291727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/04
F16B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両室内のウインドシールド面に取り付けられる取付ベースと、該取付ベースに脱落可能に取り付けられる支持ステーとを有する車載装置の支持ステーの取付構造において、
前記取付構造は、前記取付ベースの支持ステー取付面と前記支持ステーの被取付面とを対向させて、前記取付ベースと前記支持ステーとを該対向した両面に交差する所定の回転軸の周り方向に相互に回転可能に支持ステー取付用板ばねを介して連結する構造を有し、
前記支持ステー取付面と前記被取付面は、前記回転軸の周り方向に形成されて前記支持ステー取付用板ばねの付勢力により相互に当接する当接支持構造を有し、
前記取付構造は、前記取付ベースと前記支持ステーとを前記支持ステー取付用板ばねを介して連結した状態で、前記支持ステーを該支持ステー取付用板ばねの付勢力に抗して前記回転軸の周り方向に回転させたときに、前記当接支持構造により前記支持ステー取付用板ばねの付勢力を増大させて、前記支持ステー取付面と前記被取付面とを相互に押圧当接状態にして、前記支持ステーを前記取付ベースに取り付けるように構成されており、
前記取付構造は、前記支持ステーが前記取付ベースに取り付けられた状態で前記支持ステーに所定量以上の外力が加わったときに、前記支持ステー取付用板ばねの付勢力に抗して該外力により、前記支持ステーと前記取付ベースとの連結が外れて前記支持ステーを前記取付ベースから脱落させるように構成されており、
前記当接支持構造は前記回転軸を取り囲む複数の当接支持部で前記支持ステー取付面と前記被取付面とを相互に当接させる構造を有し、
前記複数の当接支持部は、前記取付ベースが車両室内のウインドシールド面に固定されて前記支持ステーが該取付ベースに取り付けられた姿勢で、前記回転軸を中心として該回転軸の周りの下方に向かう角度方向に配置される第1当接支持部を含んでいる
車載装置の支持ステーの取付構造。
【請求項2】
前記複数の当接支持部のうちの一部または全部の当接支持部において、前記支持ステー取付面と前記被取付面は、前記支持ステーが前記取付ベースに取り付けられた状態で相互に嵌合する凹部と凸部による嵌合構造を有する請求項1に記載の車載装置の支持ステーの取付構造。
【請求項3】
前記第1当接支持部は前記嵌合構造を有し、
該第1当接支持部の該嵌合構造は、前記取付ベースが車両室内のウインドシールド面に固定されて前記支持ステーが該取付ベースに取り付けられた姿勢で、前記回転軸を中心とする放射方向のうち該回転軸の周りの下方に向かう角度方向に延在する、前記凹部を構成する嵌合溝と、該嵌合溝に嵌合する、前記凸部を構成する嵌合突起とを有する
請求項2に記載の車載装置の支持ステーの取付構造。
【請求項4】
前記複数の当接支持部は、前記第1当接支持部のほかに、前記取付ベースが車両室内のウインドシールド面に固定されて前記支持ステーが該取付ベースに取り付けられた姿勢で、前記回転軸を中心として該回転軸の周りの左上方、右上方、左下方、右下方に向かう各角度方向に配置される少なくとも4個の第2当接支持部を有する請求項1から3のいずれか1つに記載の車載装置の支持ステーの取付構造。
【請求項5】
前記第2当接支持部において、前記支持ステー取付面と前記被取付面は、前記支持ステーが前記取付ベースに取り付けられた状態で相互に嵌合する凹部と凸部による嵌合構造をそれぞれ有し、
該第2当接支持部の該嵌合構造は、前記取付ベースが車両室内のウインドシールド面に固定されて前記支持ステーが該取付ベースに取り付けられた姿勢で、前記回転軸を中心に放射方向に延在する、前記凹部を構成する嵌合溝と、該嵌合溝に嵌合する、前記凸部を構成する嵌合突起とを有する
請求項4に記載の車載装置の支持ステーの取付構造。
【請求項6】
前記回転軸を中心として該回転軸の周りの左下方および右下方に向かう各角度方向に配置される各第2当接支持部の前記当接支持構造の支持面は、前記嵌合溝を挟んでスライド脱落方向前方側の領域とスライド脱落方向後方側の領域との間で段差を有し、前記嵌合構造がスライド脱落方向に外れやすくされている請求項5に記載の車載装置の支持ステーの取付構造。
【請求項7】
前記支持ステーが前記取付ベースに取り付けられた状態で、前記支持ステー取付面と前記被取付面の間の、前記当接支持構造で相互に当接する箇所を除く領域に空隙が形成される請求項1から6のいずれか1つに記載の車載装置の支持ステーの取付構造。
【請求項8】
前記取付ベースは、カバー取付用の爪受け部を有する請求項1から7のいずれか1つに記載の車載装置の支持ステーの取付構造。
【請求項9】
車両室内のウインドシールド面に取り付けられる取付ベースと、該取付ベースに脱落可能に取り付けられる支持ステーとを有する車載装置の支持ステーの取付構造において、
前記取付構造は、前記取付ベースの支持ステー取付面と前記支持ステーの被取付面とを対向させて、前記取付ベースと前記支持ステーとを該対向した両面に交差する所定の回転軸の周り方向に相互に回転可能に支持ステー取付用板ばねを介して連結する構造を有し、
前記支持ステー取付面と前記被取付面は、前記回転軸の周り方向に形成されて前記支持ステー取付用板ばねの付勢力により相互に当接する当接支持構造を有し、
前記取付構造は、前記取付ベースと前記支持ステーとを前記支持ステー取付用板ばねを介して連結した状態で、前記支持ステーを該支持ステー取付用板ばねの付勢力に抗して前記回転軸の周り方向に回転させたときに、前記当接支持構造により前記支持ステー取付用板ばねの付勢力を増大させて、前記支持ステー取付面と前記被取付面とを相互に押圧当接状態にして、前記支持ステーを前記取付ベースに取り付けるように構成されており、
前記取付構造は、前記支持ステーが前記取付ベースに取り付けられた状態で前記支持ステーに所定量以上の外力が加わったときに、前記支持ステー取付用板ばねの付勢力に抗して該外力により、前記支持ステーと前記取付ベースとの連結が外れて前記支持ステーを前記取付ベースから脱落させるように構成されており、
前記当接支持構造は前記回転軸を取り囲む複数の当接支持部で前記支持ステー取付面と前記被取付面とを相互に当接させる構造を有し、
前記複数の当接支持部のうちの一部または全部の当接支持部において、前記支持ステー取付面と前記被取付面は、前記支持ステーが前記取付ベースに取り付けられた状態で相互に嵌合する凹部と凸部による嵌合構造を有し、
前記嵌合構造のうちの一部または全部は、前記取付ベースが車両室内のウインドシールド面に固定されて前記支持ステーが該取付ベースに取り付けられた姿勢で、前記取付ベースの支持ステー取付面に沿って下方に向けて延在する、前記凹部を構成する嵌合溝と、該嵌合溝に嵌合する、前記凸部を構成する嵌合突起とを有する
車載装置の支持ステーの取付構造。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1つに記載の車載装置の支持ステーの取付構造における前記取付ベースとして利用可能な取付ベース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両室内のウインドシールド面に固定される取付ベース(ボタン等と通称される場合がある)に車載装置を脱落可能に取り付ける取付構造および該取付構造に利用可能な取付ベースに関する。この発明は、特に回転式取付構造において、脱落性能の低下(すなわち、脱落し難くなること)を抑制しながら、車載装置に対する良好な支持性能が得られるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
車両室内のウインドシールド面に脱落可能に取り付けられる車載装置の1つとして、ウインドシールド取付式インナーミラーがある。ウインドシールド取付式インナーミラーは、車両のウインドシールド(フロントガラス)の車内側の面に接着等で取り付けられた取付ベースに、支持ステーを介してミラー本体(車載装置)を取り付ける構造を有する。同取付構造は、搭乗者の頭部等がミラー本体に衝突してミラー本体に大きな外力が加わったときに、支持ステーがミラー本体ごと取付ベースから脱落して搭乗者を負傷から保護するように構成されている。取付ベースに支持ステーを脱落可能に取り付ける取付構造として、回転式とスライド式がある。特許文献1には3点支持による回転式取付構造が記載されている。特許文献2には4点支持による回転式取付構造が記載されている。特許文献3にはスライド式取付構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第7726623号明細書
【文献】米国特許出願公開第2014/0055617号明細書
【文献】米国特許第9244249号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スライド式取付構造は支持ステーを上方から下方にスライドさせて取付ベースに取り付ける構造を有するため、この取付構造を採用するためには車室の上部に取付用のスペースが必要である。これに対し、回転式取付構造にはそのような問題は起こりにくい。回転式取付構造においては、取付ベースの支持ステー取付面(すなわち、支持ステーの被取付面を取り付け支持する面)に直交する回転軸(すなわち、回転取付動作の回転軸)の周りに配置された当接支持構造による複数の当接支持部で支持ステーを取付ベースに当接支持する。支持ステーは板ばねを介して取付ベースに連結され、この板ばねの付勢力により各当接支持部が押圧当接状態にされて支持ステーが取付ベースに取り付け支持される。ミラー本体に大きな外力が加わると、板ばねの付勢力に抗して支持ステーと取付ベースの連結が外れて、支持ステーがミラー本体ごと取付ベースから脱落する。
【0005】
ところで、近年電子ミラーが普及しつつある。電子ミラーは車両後方を中心とした映像をディスプレイに表示するものである。電子ミラーは、従来の非電子ミラー(反射鏡)に比べて重量が大幅に増加し、取付構造の強度不足によるミラー本体の振動の問題が顕著になってきている。回転式取付構造においては、当接支持部の数を増やすことにより支持強度が高まり、ミラー本体の振動を抑制する効果が期待できる。しかし、当接支持部の数を徒に増やすと、脱落動作に支障を来す恐れがある。
【0006】
この発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、脱落性能の低下を抑制しながら車載装置に対する良好な支持性能が得られるようにした回転式取付構造および該取付構造における取付ベースを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の取付け構造は、車両室内のウインドシールド面に取り付けられる取付ベースと、該取付ベースに脱落可能に取り付けられる支持ステーとを有する車載装置の支持ステーの取付構造において、前記取付構造は、前記取付ベースの支持ステー取付面と前記支持ステーの被取付面とを対向させて、前記取付ベースと前記支持ステーとを該対向した両面に交差する所定の回転軸の周り方向に相互に回転可能に支持ステー取付用板ばねを介して連結する構造を有し、前記支持ステー取付面と前記被取付面は、前記回転軸の周り方向に形成されて前記支持ステー取付用板ばねの付勢力により相互に当接する当接支持構造を有し、前記取付構造は、前記取付ベースと前記支持ステーとを前記支持ステー取付用板ばねを介して連結した状態で、前記支持ステーを該支持ステー取付用板ばねの付勢力に抗して前記回転軸の周り方向に回転させたときに、前記当接支持構造により前記支持ステー取付用板ばねの付勢力を増大させて、前記支持ステー取付面と前記被取付面とを相互に押圧当接状態にして、前記支持ステーを前記取付ベースに取り付けるように構成されており、前記取付構造は、前記支持ステーが前記取付ベースに取り付けられた状態で前記支持ステーに所定量以上の外力が加わったときに、前記支持ステー取付用板ばねの付勢力に抗して該外力により、前記支持ステーと前記取付ベースとの連結が外れて前記支持ステーを前記取付ベースから脱落させるように構成されており、前記当接支持構造は前記回転軸を取り囲む複数の当接支持部で前記支持ステー取付面と前記被取付面とを相互に当接させる構造を有し、前記複数の当接支持部は、前記取付ベースが車両室内のウインドシールド面に固定されて前記支持ステーが該取付ベースに取り付けられた姿勢で、前記回転軸を中心として該回転軸の周りの下方に向かう角度方向に配置される第1当接支持部を含んでいるものである。車載装置の荷重は回転軸を中心として該回転軸の周りの下方に向かう角度方向に向くので、その角度方向に第1当接支持部を配置することにより、車載装置の荷重を第1当接支持部で効率よく支持することができる。これにより、当接支持部の数を徒に増やすことなく車載装置に対する支持性能を向上させて車載装置本体の振動を抑制することができる。その結果、脱落性能の低下を抑制しながら車載装置の支持性能を向上させることができる。
【0008】
前記複数の当接支持部のうちの一部または全部の当接支持部において、前記支持ステー取付面と前記被取付面は、前記支持ステーが前記取付ベースに取り付けられた状態で相互に嵌合する凹部と凸部による嵌合構造を有することができる。これによれば、嵌合構造により、支持ステーが取付ベースに取り付けられた状態を安定に保持することができる。前記第1当接支持部は前記嵌合構造を有し、該第1当接支持部の該嵌合構造は、前記取付ベースが車両室内のウインドシールド面に固定されて前記支持ステーが該取付ベースに取り付けられた姿勢で、前記回転軸を中心とする放射方向のうち該回転軸の周りの下方に向かう角度方向に延在する、前記凹部を構成する嵌合溝と、該嵌合溝に嵌合する、前記凸部を構成する嵌合突起とを有することができる。これによれば、第1当接支持部の嵌合溝が延在する、回転軸を中心として該回転軸の周りの下方に向かう角度方向は、支持ステーのスライド脱落方向に相当するので、支持ステーがスライド脱落する際に嵌合突起は嵌合溝をスライドして容易に嵌合を外すことができる。つまり、支持ステーがスライド脱落する際に嵌合突起は嵌合溝を、該嵌合溝の幅方向に乗り越える必要がない。したがって、嵌合構造による支持ステーのスライド脱落方向の脱落性能の低下を抑制することができる。
【0009】
前記複数の当接支持部は、前記第1当接支持部のほかに、前記取付ベースが車両室内のウインドシールド面に固定されて前記支持ステーが該取付ベースに取り付けられた姿勢で、前記回転軸を中心として該回転軸の周りの左上方、右上方、左下方、右下方に向かう各角度方向に配置される少なくとも4個の第2当接支持部を有することができる。これによれば、車載装置の支持ステーを前記回転軸を中心として該回転軸の周りの全方位の少なくとも5点の当接支持部(第1当接支持部および第2当接支持部)で支持することができ、車載装置の支持性能をさらに向上させることができる。前記第2当接支持部において、前記支持ステー取付面と前記被取付面は、前記支持ステーが前記取付ベースに取り付けられた状態で相互に嵌合する凹部と凸部による嵌合構造をそれぞれ有し、該第2当接支持部の該嵌合構造は、前記取付ベースが車両室内のウインドシールド面に固定されて前記支持ステーが該取付ベースに取り付けられた姿勢で、前記回転軸を中心に放射方向に延在する、前記凹部を構成する嵌合溝と、該嵌合溝に嵌合する、前記凸部を構成する嵌合突起とを有することができる。これによれば、第2当接支持部が嵌合構造をそれぞれ有することにより、支持ステーが取付ベースに取り付けられた状態を安定に保持して、車載装置の支持性能をさらに向上させることができる。前記回転軸を中心として該回転軸の周りの左下方および右下方に向かう各角度方向に配置される各第2当接支持部の前記当接支持構造の支持面は、前記嵌合溝を挟んでスライド脱落方向前方側の領域とスライド脱落方向後方側の領域との間で段差を有し、前記嵌合構造がスライド脱落方向に外れやすくされているものとすることができる。これによれば、前記回転軸を中心として該回転軸の周りの左下方および右下方に向かう各角度方向に配置される各第2当接支持部の嵌合構造は前記段差によりスライド脱落方向に外れやすくなり、スライド脱落を容易にすることができる。
【0010】
この発明の取付け構造は、前記支持ステーが前記取付ベースに取り付けられた状態で、前記支持ステー取付面と前記被取付面の間の、前記当接支持構造で相互に当接する箇所を除く領域に空隙が形成されるものとすることができる。これによれば、支持ステー取付面と被取付面の間の空隙にハーネス、ハーネスコネクタ等を配置することができる。
【0011】
前記取付ベースは、カバー取付用の爪受け部を有することができる。これによれば、取付ベースに直接カバーを取り付けることができるので、カバーを車室天井に取り付ける構造を不要にすることができる。
【0012】
この発明の別の取付け構造は、車両室内のウインドシールド面に取り付けられる取付ベースと、該取付ベースに脱落可能に取り付けられる支持ステーとを有する車載装置の支持ステーの取付構造において、前記取付構造は、前記取付ベースの支持ステー取付面と前記支持ステーの被取付面とを対向させて、前記取付ベースと前記支持ステーとを該対向した両面に交差する所定の回転軸の周り方向に相互に回転可能に支持ステー取付用板ばねを介して連結する構造を有し、前記支持ステー取付面と前記被取付面は、前記回転軸の周り方向に形成されて前記支持ステー取付用板ばねの付勢力により相互に当接する当接支持構造を有し、前記取付構造は、前記取付ベースと前記支持ステーとを前記支持ステー取付用板ばねを介して連結した状態で、前記支持ステーを該支持ステー取付用板ばねの付勢力に抗して前記回転軸の周り方向に回転させたときに、前記当接支持構造により前記支持ステー取付用板ばねの付勢力を増大させて、前記支持ステー取付面と前記被取付面とを相互に押圧当接状態にして、前記支持ステーを前記取付ベースに取り付けるように構成されており、前記取付構造は、前記支持ステーが前記取付ベースに取り付けられた状態で前記支持ステーに所定量以上の外力が加わったときに、前記支持ステー取付用板ばねの付勢力に抗して該外力により、前記支持ステーと前記取付ベースとの連結が外れて前記支持ステーを前記取付ベースから脱落させるように構成されており、前記当接支持構造は前記回転軸を取り囲む複数の当接支持部で前記支持ステー取付面と前記被取付面とを相互に当接させる構造を有し、前記複数の当接支持部のうちの一部または全部の当接支持部において、前記支持ステー取付面と前記被取付面は、前記支持ステーが前記取付ベースに取り付けられた状態で相互に嵌合する凹部と凸部による嵌合構造を有し、前記嵌合構造のうちの一部または全部は、前記取付ベースが車両室内のウインドシールド面に固定されて前記支持ステーが該取付ベースに取り付けられた姿勢で、前記取付ベースの支持ステー取付面に沿って下方に向けて延在する、前記凹部を構成する嵌合溝と、該嵌合溝に嵌合する、前記凸部を構成する嵌合突起とを有することができる。これによれば、嵌合溝が延在する、取付ベースの支持ステー取付面に沿って下方に向かう方向は、支持ステーのスライド脱落方向に相当するので、支持ステーがスライド脱落する際に嵌合突起は嵌合溝をスライドして容易に嵌合を外すことができる。つまり、支持ステーがスライド脱落する際に嵌合突起は嵌合溝を、該嵌合溝の幅方向に乗り越える必要がない。したがって、嵌合構造は、支持ステーのスライド脱落方向の脱落性能の低下を抑制しながら、車載装置を支持するのに寄与することができる。
【0013】
この発明の取付ベースは、この発明の取付構造における取付ベースとして利用可能な取付ベースである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明の実施の形態を示す図で、車両用インナーミラーを背面側(車両前方側)の上方から見た斜視図である。本図は、同インナーミラーを、ウインドシールドに設置された取付ベースに取り付けて、車外からウインドシールド越しに見た様子を示す。センサーサブアッシー(以下「センサー」という)およびカバーおよび補助カバーを外した状態で示す。
【
図2】
図1のインナーミラーの分解斜視図である。ミラー本体の図示は省略する。センサーとセンサー組付用板ばねは、両者を組み付けた状態で示す。
【
図3】
図1のインナーミラーについて、取付ベースにセンサーおよびカバーを取り付ける様子を示す斜視図である。
【
図4】
図1のインナーミラーについて、支持ステーに支持ステー取付用板ばねを取り付ける様子を示す斜視図である。
【
図5A】
図1のインナーミラーについて、支持ステーに支持ステー取付用板ばねを取り付けた状態を示す図で、被取付面を斜め上方から見た様子を示す。
【
図5B】
図1のインナーミラーについて、支持ステーに支持ステー取付用板ばねを取り付けた状態を示す図で、被取付面を正面から見た様子を示す。
【
図6】
図1のインナーミラーについて、センサーおよびカバーを取り付けた取付ベースに、支持ステーを取り付ける様子を示す斜視図である。
【
図7A】
図1のインナーミラーについて、取付ベースに対する支持ステーの取付けが完了した状態を示す斜視図である。センサー、カバー、補助カバー、ミラー本体を外した状態で示す。
【
図8A】
図1のインナーミラーについて、取付ベースに対する支持ステーの取付けが完了した状態を示す斜視図である。カバーおよび補助カバーを取り付けた状態で示す。
【
図9A】
図1のインナーミラーについて、取付ベースに対する支持ステーの取付けが完了した状態を示す図である。これは、
図9BのII-II矢視位置の断面図(すなわち、回転軸を通りかつ車両前後方向に延在する鉛直面で切断した断面図)である。センサー、カバー、補助カバー、ミラー本体を外した状態で示す。
【
図9B】
図9AのI-I矢視位置の断面図(すなわち回転軸を通りかつ車両左右方向に延在する非鉛直面で切断した断面図)である。
【
図10A】
図9Aと同じ断面位置の断面図で、センサーを取り付けた状態で示す。
【
図10B】
図9Bと同じ断面位置の断面図で、センサーを取り付けた状態で示す。
【
図11A】
図1の取付ベースをウインドシールド面に設置して支持ステー取付面の真正面から見た図である。
【
図11B】
図11Aの取付ベースの支持面の輪郭形状を回転軸の周り方向(
図11Aの矢印R方向)に全周展開して示した図である。
【
図12A】
図1の取付ベースを支持ステー取付面の正面やや斜め上方位置から見た図である。
【
図12B】
図12AのB矢視断面図で、センサー組付用板ばねでセンサーを取付ベースに取り付けた状態で示す。
【
図12C】
図12AのC矢視断面図で、センサー組付用板ばねでセンサーを取付ベースに取り付けた状態で示す。
【
図12D】
図12AのD矢視図で、支持ステーが取付ベースに取り付けられた状態で示す。
【
図12E】
図12AのE矢視図で、支持ステーが取付ベースに取り付けられた状態で示す。
【
図12F】
図12AのF矢視図で、支持ステーが取付ベースに取り付けられた状態で示す。
【
図12G】
図12AのG矢視図で、支持ステーが取付ベースに取り付けられた状態で示す。
【
図12H】
図12AのH矢視図で、支持ステーが取付ベースに取り付けられた状態で示す。
【
図13A】
図13~
図16は、
図1のインナーミラーについて、取付ベースに支持ステーを取り付ける工程を順を追って示した図である。このうち、
図13は取付ベースに支持ステーを押し込んだ第1工程を示す。
図13Aは、第1工程を支持ステー取付面の真正面から見た図である。
【
図13B】
図13Aの第1工程における突出部21-2,21-3,21-4,21-5の位置の径方向断面を示す。
【
図13C】
図13Aの第1工程における突出部21-2,21-3,21-4,21-5の周辺の周方向断面を示す。
【
図14A】第1工程に続いて支持ステーを回転取付方向(時計回り方向)に回転させて、突出部が支持面の傾斜面を登りはじめる位置に達した第2工程を示す。
図14Aは、第2工程を支持ステー取付面の真正面から見た図である。
【
図14B】
図14Aの第2工程における突出部21-2,21-3,21-4,21-5の位置の径方向断面を示す。
【
図14C】
図14Aの第2工程における突出部21-2,21-3,21-4,21-5の周辺の周方向断面を示す。
【
図15A】第2工程に続いて支持ステーをさらに回転取付方向に回転させて、突出部が支持面の傾斜面を登り終わる位置に達した第3工程を示す。
図15Aは、第3工程を支持ステー取付面の真正面から見た図である。
【
図15B】
図15Aの第3工程における突出部21-2,21-3,21-4,21-5の位置の径方向断面を示す。
【
図15C】
図15Aの第3工程における突出部21-2,21-3,21-4,21-5の周辺の周方向断面を示す。
【
図16A】第3工程に続いて支持ステーをさらに回転取付方向に回転させて、当接支持部の嵌合構造が嵌合して、取付ベースに対する支持ステーの取り付けが完了した第4工程を示す。
図16Aは、第4工程を支持ステー取付面の真正面から見た図である。
【
図16B】
図16Aの第4工程における突出部21-2,21-3,21-4,21-5の位置の径方向断面を示す。
【
図16C】
図16Aの第4工程における突出部21-2,21-3,21-4,21-5の周辺(すなわち、第2当接支持部P2,P3,P4,P5の周辺)の周方向断面を示す。
【
図16D】
図16Aの第4工程における突出部21-1の周辺(すなわち、第1当接支持部P1の周辺)の周方向断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の実施の形態を説明する。
図1は、この発明が適用された車両用インナーミラーの実施の形態を示す。
図1では、ウインドシールド11に接着された取付ベース12にインナーミラー10を取り付けた状態を、車外からウインドシールド11を透過して見た様子を示す。センサーおよびカバーは外した状態で示す。取付ベース12は、接着面12bを車両のウインドシールド11の車室内側の面に接着して、ウインドシールド11に取り付けられる。したがって、取付ベース12は接着面12bを車両前方斜め上方に向けて傾斜させた姿勢でウインドシールド11に取り付けられている。取付ベース12には、支持ステー14を介してミラー本体16が取り付けられる。ミラー本体16は、反射鏡を使用した旧来のミラーまたは液晶ディスプレイ等の画像表示装置を搭載した電子ミラー(画像表示装置と反射鏡を併設したものを含む)等で構成される。支持ステー14の基端部(すなわち、取付ベース12に取り付けられる側の端部)には、支持ステー取付用板ばね18がねじ止めで取り付けられている。支持ステー14の末端部(すなわち、ミラー本体16が取り付けられる側の端部)には、ミラー本体16がピボット17によりミラー角度を調整可能に取り付けられている。
【0016】
ウインドシールド11に取付ベース12を取り付けた状態で、支持ステー14は次の手順で取付ベース12に取り付けられる。なお、支持ステー14に対するミラー本体16の取付けは、取付ベース12に対する支持ステー14の取付けを行う前または後に行われる。取付ベース12の支持ステー取付面12a(すなわち、支持ステー14を取り付ける面)と支持ステー14の被取付面14a(すなわち、取付ベース12に取り付けられる面)を対向させる。これにより、支持ステー取付用板ばね18の4本の脚部18aは、取付ベース12に向かう方向に突出する。支持ステー14を取付ベース12に接近させて、支持ステー取付用板ばね18の4本の脚部18aの自由端部を取付ベース12に押し込んで係合させる。これで、取付ベース12と支持ステー14は、支持ステー取付用板ばね18を介して相互に連結される。支持ステー14を回転軸19の周り方向に回転させる。ここで、回転軸19は、対向した支持ステー取付面12aおよび被取付面14aの中心を通り、支持ステー取付面12aおよび被取付面14aに直交する軸である。支持ステー取付面12aと被取付面14aには回転軸19の周り方向に延在する、相互に当接して摺動する当接支持構造20が形成されている。支持ステー取付面12aと被取付面14aは支持ステー取付用板ばね18の付勢力により当接支持構造20で相互に当接する。脚部18aの付勢力に抗して支持ステー14を回転軸19の周りを取付方向(ここでは取付作業者から見て時計回り方向)に回転させると、当接支持構造20により支持ステー取付面12aと被取付面14aの間の距離が拡げられ、これに伴い脚部18aの付勢力が増大する。支持ステー14を所定量回転させたところで、支持ステー14の回転は停止される。これで、支持ステー取付面12aと被取付面14aは、支持ステー取付用板ばね18の付勢力により、当接支持構造20で相互に押圧当接した状態となり、その結果、支持ステー14が取付ベース12に取り付けられた状態となる。インナーミラー10がウインドシールド11に取り付けられた
図1の状態で、ミラー本体16に所定量以上の大きな外力が加わると、その外力が支持ステー14を介して取付ベース12に加わり、脚部18aの付勢力に抗して脚部18aと取付ベース12との係合が外れる。その結果、支持ステー14は取付ベース12から脱落する。なお、支持ステー14が取付ベース12から脱落する動作態様には、ミラー本体16に加わる外力の方向に応じて「回転脱落」と「スライド脱落」がある。回転脱落は、支持ステー14が、取付ベース12の支持ステー取付面12aの周方向の任意の1箇所を支点として回転して、取付ベース12から脱落する動作である。すなわち、支持ステー14は、該支点の対角側の箇所が取付ベース12から剥がされるように(すなわち、ウインドシールド11から離れるように)回転して、取付ベース12から脱落する。スライド脱落は、支持ステー14が、取付ベース12の支持ステー取付面12aの傾斜に沿って(すなわち、ウインドシールド11の傾斜に沿って)車両前方斜め下方にスライドして取付ベース12から脱落する動作である。
【0017】
図2は、
図1のインナーミラー10を各部品に分解して示す。ミラー本体16の図示は省略する。また、センサーとセンサー組付用板ばねは、両者を組み付けた状態で示す。各部品について説明する。以下の説明では、各部品の回転軸19の周り方向の「上」「下」「左」「右」の各方位を、次の姿勢を基準として表現する。すなわち、該基準姿勢は、インナーミラー10がウインドシールドに取り付けられている状態で、回転軸19を支持ステー14側から取付ベース12側に向かって軸方向に見たときのときの姿勢である。
【0018】
《取付ベース12》
取付ベース12はガラス繊維強化樹脂、鋼等の材料による一体物で全体が構成されている。取付ベース12の面内には、センサー組付用空所26が形成されている。センサー組付用空所26は、センサー本体収容部26aとコネクタ収容部26bを有する。センサー本体収容部26aは回転軸19を中心とした円形の空所として形成されている。センサー本体収容部26aは、取付ベース12の表裏を貫通して形成されている。コネクタ収容部26bはセンサー本体収容部26aの周方向の一部に連通し、回転軸19を中心に放射方向に延在する矩形の空所として形成されている。コネクタ収容部26bの前端側の左右側壁は連結部26cで相互に連結されている。取付ベース12は、コネクタ収容部26bを上側に配置した姿勢でウインドシールド11の車内側の面(ウインドシールド面)11aに接着で取り付けられる。支持ステー取付面12aには、センサー本体収容部26aに隣接してセンサー本体収容部26aの外周側に、起伏を有する支持面22が形成されている。支持面22は、当接支持構造20の、取付ベース12側の構造を構成する。支持面22は、回転軸19を中心として周方向に延在して形成されている。支持ステー取付面12aの外周面の左右両側位置には、取付ベース側板ばね取付部28が形成されている。取付ベース側板ばね取付部28は、ここでは爪係合用の係合爪として形成されている。支持ステー取付面12aの外周面には、上左、上右、下左、下右の4箇所に、周方向溝30が周方向に延在して形成されている。各周方向溝30の周方向の、反時計回り方向の端部は支持ステー取付面12a側に開口する進入口32にそれぞれ連通している。取付ベース12に支持ステー14を取り付ける際に、進入口32は支持ステー取付用板ばね18の脚部18aの自由端部の爪部18bが回転軸19に沿った方向に移動して進入口32に進入するのを許容する。周方向溝30は進入口32に進入した爪部18bに係合して、爪部18bが回転軸19に沿った方向に移動するのを係止しながら、爪部18bが周方向溝30に沿って回転軸19の周り方向に移動(摺動)するのを許容する。
【0019】
《センサー34およびセンサー組付用板ばね36》
センサー34は、例えば、所謂レインセンサーまたはレインライトセンサーを樹脂ケース内に配置したセンサーサブアッシーとして構成される。センサー34はセンサー本体34aとコネクタ34bを有する。センサー本体34aにはセンサー素子、基板等が収容される。コネクタ34bには車両側のセンサーハーネス(図示せず)が接続される。センサー本体34aの外周面には、周方向の上左、上右、下左、下右の4箇所にセンサー側板ばね取付部34cが形成されている。センサー側板ばね取付部34cは、ここでは爪係合用の係合爪として形成されている。センサー組付用板ばね36は鋼等の金属材料による1枚の板ばねで構成されている。センサー組付用板ばね36の中央には、センサー34の裏面(非センシング面)34rに対面するセンサー押圧部36cが配置されている。センサー押圧部36cから2本の取付ベース取付用脚部36aと4本のセンサー取付用脚部36bが放射状に配置されている。センサー組付用板ばね36はこのように構成されている。6本の脚部36a,36bの自由端部はセンサー34を包囲するようにウインドシールド11に向かう方向に折り曲げられている。取付ベース取付用脚部36aの自由端部には取付ベース被取付部38がそれぞれ形成されている。センサー取付用脚部36bの自由端部にはセンサー被取付部40がそれぞれ形成されている。取付ベース被取付部38およびセンサー被取付部40は、ここでは爪係合用の爪係合穴としてそれぞれ形成されている。4箇所のセンサー被取付部40を、4箇所のセンサー側板ばね取付部34cにそれぞれ爪係合させることにより、センサー組付用板ばね36はセンサー34に取り付けられる。このとき、センサー組付用板ばね36の付勢力により、センサー押圧部36cがセンサー34の裏面34rに押圧当接するので、センサー組付用板ばね36はセンサー34にがたつきなく取り付けられる。センサー組付用板ばね36がセンサー34に取り付けられた状態で、センサー34を取付ベース12のセンサー組付用空所26に挿入し、センサー組付用板ばね36の左右2箇所の取付ベース被取付部38を取付ベース12の左右2箇所の取付ベース側板ばね取付部28にそれぞれ爪係合させる。これにより、センサー34はセンサー組付用板ばね36を介して取付ベース12に取り付けられる。取付ベース12がウインドシールドに取り付けられた状態では、センサー組付用板ばね36の付勢力により、センサー34のおもて面(センシング面)34fがウインドシールド面11aに押し付けられた状態となる。このようにして、センサー34はセンサー組付用空所26に収容され、かつセンシング面34fがウインドシールド面11aに押し付けられた状態に安定に保持される。
【0020】
《支持ステー14》
支持ステー14はガラス繊維強化樹脂、鋼等の材料による一体物で全体が構成されている。支持ステー14の被取付面14aには、回転軸19を取り囲んで5本の突出部21が突出形成されている。突出部21は、当接支持構造20の、支持ステー14側の構造を構成する。5本の突出部21の頂部の高さは相互に等しい。つまり、5本の突出部21の頂部は、回転軸19に直交する同一平面上に配置される。
【0021】
《支持ステー取付用板ばね18》
支持ステー取付用板ばね18は、鋼等の金属材料による1枚の板ばねで構成されている。支持ステー取付用板ばね18の中央には、支持ステー14の被取付面14aに載置支持される支持ステー取付部18cが配置されている。支持ステー取付部18cから4本の脚部18aが放射状に配置されている。支持ステー取付用板ばね18はこのように構成されている。脚部18aは支持ステー取付部18cに対し取付ベース12に向かう方向に折り曲げられている。脚部18aの自由端部は内向きに屈曲されて爪部18bを構成している。全4箇所の爪部18bは、回転軸19に関し相互に同一径方向位置(すなわち、同一円周上)に配置されている。各爪部18bの内周面の周方向エッジ18d,18e(
図5B参照)のうち、回転取付方向前端側の周方向エッジ18dはC面に面取りされている。これにより、取付ベース12に支持ステー14を取り付けるために、支持ステー14を回転軸19の周り方向の取付方向に回転させる際に、爪部18bと周方向溝30との摺動抵抗を低減して、取り付けやすくしている。これに対し、回転取付方向後端側の周方向エッジ18eは面取りされていない。これにより、戻り方向(外し方向)について爪部18bと周方向溝30との摺動抵抗を大きくして、車両の振動等により支持ステー14が戻り方向に自然に回転するのを防止している。
図2において、支持ステー取付部18cには、4個の突出部挿通穴42、被取付面14aに対する2個の位置決め穴44a,44b、2個のねじ通し穴46が開設されている。4個の突出部挿通穴42は、5本の突出部21のうちの左右4本の突出部21を挿通させる。回転軸19に関し、突出部挿通穴42は脚部18aと同一周方向位置で、脚部18aよりも内周側の位置に形成されている。4個の突出部挿通穴42のうちの1個には、誤組付防止用切欠42a(
図4参照)が形成されている。これに対応して、左右4本の突出部21のうちの1個には、誤組付防止用切欠42aを進入させる誤組付防止用リブ21b(
図4参照)が形成されている。支持ステー取付用板ばね18の向きを、誤組付防止用リブ21bが誤組付防止用切欠42aに挿入される向きに合わせた状態にして、4本の突出部21を4個の突出部挿通穴42に挿通させて、支持ステー取付用板ばね18を支持ステー14に組み付ける。これにより、支持ステー取付用板ばね18が誤った向きで(すなわち、前後方向に逆向きで)支持ステー14に取り付けられるのが防止される。位置決め穴44aは基準ピン用穴であり、位置決め穴44bは2面幅ピン用穴である。支持ステー取付用板ばね18は2本のタッピングスクリュー48で支持ステー14の被取付面14aに取り付けられる。支持ステー取付用板ばね18が被取付面14aに取り付けられると、5本の突出部21のうちの左右4本の突出部21は脚部18aと同一周方向位置で、脚部18aよりも内周側の位置に配置される。
【0022】
《カバー50および補助カバー52》
カバー50および補助カバー52は樹脂で構成される。カバー50は開口部50aを有する。補助カバー52は開口部52aを有する。カバー50は爪係合で取付ベース12に取り付けられる。カバー50には、この爪係合用の複数の係合爪50bが、開口部50aを臨む位置に形成されている。一方、取付ベース12には、各係合爪50bに係合する爪受け部12dがそれぞれ形成されている。各係合爪50bを各爪受け部12dに爪係合させることにより、カバー50は取付ベース12に取り付けられる。補助カバー52は爪係合でカバー50に取り付けられる。カバー50と補助カバー52により取付ベース12、および取付ベース12と支持ステー14との連結箇所を外部から隠すことができる。カバー50と補助カバー52は取付ベース12、および取付ベース12と支持ステー14との連結箇所を外部から隠すためのものであるので(つまり、これらを隠せればよいので)、小型に構成できる。支持ステー14が大きな外力を受けて取付ベース12から脱落しても、カバー50が取付ベース12に取り付けられた状態は維持される。
【0023】
以上説明した各部品を組み付けて、インナーミラー10をウインドシールド11に取り付ける工程を説明する。
《取付ベースに対するセンサーおよびカバーの取付工程》
図3は取付ベース12にセンサー34およびカバー50を取り付ける工程を示す。予めウインドシールド面11aに取付ベース12を接着しておく。また、センサー34とセンサー組付用板ばね36を組み付けておく。このように、センサー34とセンサー組付用板ばね36を組み付けておくことにより、後の工程を容易に実行することができる。センサー34をセンサー組付用空所26に挿入して収容する。センサー組付用板ばね36の左右の取付ベース被取付部38(爪係合穴)に取付ベース12の取付ベース側板ばね取付部28(係合爪)を爪係合させてセンサー組付用板ばね36を取付ベース12に取り付ける。これにより、センサー34は取付ベース12に取り付けられる。その結果、センサー組付用板ばね36の付勢力により、センサー34のおもて面すなわちセンシング面34fはウインドシールド面11aに押し付けられる。このように、センサー34は、支持ステー14を取付ベース12に取り付ける前に、ウインドシールド面11aに押し付けられた状態で取付ベース12に安定に保持される。次いで、センサー34のコネクタ34bに車両側のセンサーハーネスのコネクタを接続し、さらにカバー50を爪係合で取付ベース12に取り付ける。カバー50を付け終わったときの状態は
図6の上側の図に示されている。
【0024】
《支持ステーに対する支持ステー取付用板ばねの取付工程》
図4は支持ステー14に支持ステー取付用板ばね18を取り付ける工程を示す。支持ステーの被取付面14aには、4本の突出部21、2本の位置決めピン56a,56b、2個のねじ穴58がそれぞれ形成されている。位置決めピン56aは基準ピン、位置決めピン56bは2面幅ピンである。被取付面14aに支持ステー取付用板ばね18を対面させて、突出部挿通穴42に突出部21を挿入し、位置決め穴44aに基準ピン56aを挿入し、位置決め穴44bに2面幅ピン56bを挿入して、支持ステー取付用板ばね18を支持ステー14の被取付面14aに載置する。次いで、2本のタッピングスクリュー48を2個のねじ通し穴46に差し込んで、ねじ穴58にねじ込む。これで、支持ステー14の被取付面14aに支持ステー取付用板ばね18の支持ステー取付部18cが載置支持された状態で、支持ステー14の被取付面14aに支持ステー取付用板ばね18が取り付けられる。
図5Aおよび
図5Bはこの被取付面14aへの支持ステー取付用板ばね18の取付けが完了したときの状態をそれぞれ示す。4本の脚部18aは回転軸19を取り囲んで、回転軸19に関し相互に同一径方向位置に配置される。4本の突出部21は回転軸19を取り囲んで、回転軸19に対し、4本の脚部18aと同一周方向位置で、脚部18aよりも内周側の相互に同一径方向位置に配置される。突出部21の頂部は山状の嵌合突起21aを構成している。
【0025】
《取付ベースに対する支持ステーの取付工程》
以上の工程で取付ベース12側および支持ステー14側の部品の組付けが終了したら、取付ベース12に支持ステー14を取り付ける。
図6は、取付ベース12に支持ステー14を取り付ける工程を示す。作業者が、支持ステー14を持って、支持ステー14の被取付面14aを取付ベース12の支持ステー取付面12aに対向させる。支持ステー14を回転軸19に沿って取付ベース12に接近する方向に移動させて、4本の脚部18aの爪部18bを進入口32に進入させて押し込んで、爪部18bを周方向溝30に係合させる。これで支持ステー14は取付ベース12に自重で脱落しない程度に緩く連結される。この状態から、支持ステー14を時計回り方向に手で回転させると、爪部18bは周方向溝30に沿って周方向溝30を摺動して移動する。これで、爪部18bは進入口32から外れた位置に来るので、支持ステー14は軽い力では取付ベース12から抜けなくなる。ただし、取付ベース12と支持ステー14の間にはまだがたつきがある。支持ステー14をさらに時計回り方向に回転させると、当接支持構造20により、脚部18aの付勢力に抗して支持ステー取付面12aと被取付面14aの間の距離が拡げられる。ここで、当接支持構造20は支持ステー取付面12aの起伏を有する支持面22と、被取付面14aの被支持面を構成する突出部21とで構成される。これにより、脚部18aの付勢力が増大し、支持面22と突出部21が強く押圧当接する。この状態で支持ステー14の回転が停止され、支持ステー14が取付ベース12に取り付けられた状態となる。このとき、全4箇所の爪部18bは、回転軸19に関し、支持面22と突出部21との当接箇所と同一周方向位置でかつ該当接箇所のすぐ外周側の位置に配置されているので、脚部18aの付勢力を該当接箇所に効率よく伝えて、この取り付けられた状態を安定に保持することができる。支持ステー14が取付ベース12に取り付けられた状態では、支持ステー14はセンサー34およびセンサー組付用板ばね36に非接触である。したがって、取付ベース12に支持ステー14を取り付ける際にセンサー34が正規の位置からずれるのが抑制され、センサー34の組付精度を良好にすることができる。これで、ウインドシールド面11aに対する支持ステー14の取付けが完了する。
【0026】
《支持ステーに対するミラー本体の取付工程》
取付ベース12に対する支持ステー14の取付けを行う前または後に、支持ステー14に対するミラー本体16(
図1)の取付けを行う。支持ステー14に対するミラー本体16の取付けを行う際には、予め補助カバー52(
図2)の開口部52aに支持ステー14に通しておく。支持ステー14に対するミラー本体16の取付けは、支持ステー14のピボット17にミラー本体16を取り付けることにより行われる。補助カバー52は、取付ベース12に支持ステー14が取り付けられた状態で、カバー50に嵌めて取り付けられる。補助カバー52の取付けで全工程が終了する。
【0027】
ウインドシールド面11aに対する支持ステー14の取付けが完了した状態における該取付け部分の構造を
図7~
図10を参照して説明する。なお、
図7~
図10では、ミラー本体16の図示を省略する。
図7A、
図7Bは、ウインドシールド面11aに対する支持ステー14の取付けが完了した状態を、センサー34、カバー50、補助カバー52を外してそれぞれ示す。
図8A、
図8Bは、同状態を、カバー50および補助カバー52を取り付けてそれぞれ示す。
図9Aは、同状態を、
図9BのII-II矢視位置の断面、すなわち回転軸19を通りかつ車両前後方向に延在する鉛直面64(すなわち、
図9Bの紙面に直交する平面)で切断した断面で示す。
図9Bは、
図9AのI-I矢視位置の断面、すなわち回転軸19を通りかつ車両左右方向に延在する非鉛直面62(すなわち、
図9Aの紙面に直交する平面)で切断した断面を示す。
図9A、
図9Bとも、センサー34、カバー50、補助カバー52を外した状態でそれぞれ示す。
図10Aは、
図9Aと同じ位置の断面を、センサー34を取り付けて(カバー50、補助カバー52は外して)示す。
図10Bは、
図9Bと同じ位置の断面を、センサー34を取り付けて(カバー50、補助カバー52は外して)示す。
図7A、
図7Bに示すように、4本の脚部18aの爪部18bは進入口32から進入して回転軸19の周り方向に回転されて周方向溝30に係合している。また、脚部18aの付勢力により、回転軸19の周り方向の5箇所で、支持面22と、被支持面を構成する突出部21とが強く押圧当接している。これにより、支持ステー14はウインドシールド面11aに安定に取り付けられている。また、
図8A、
図8Bに示すように、カバー50および補助カバー52を取り付けた状態では、取付ベース12、および取付ベース12と支持ステー14の連結箇所が外部から隠される。また、
図10A、
図10Bに示すように、センサー34のおもて面(センシング面)34fはセンサー組付用板ばね36によりウインドシールド面11aに押し付けられる。また、支持ステー取付面12aと被取付面14aの間(より正確に言えば、センサー組付用板ばね36のセンサー押圧部36cと支持ステー取付用板ばね18の支持ステー取付部18cの間)に空隙60が形成される。この空隙60を有効利用してセンサーハーネス、カメラモニタリングシステム(CMS)用ハーネス等の各種ハーネス、ハーネスコネクタ等を配設することができる。したがって、これらハーネス、ハーネスコネクタの配置箇所の省スペース化を図ることができるので、ウインドシールド11の前方視界を遮る領域を狭くして、その結果、前方視界を拡げて、安全運転に寄与することができる。また、支持ステー14はセンサー34およびセンサー組付用板ばね36に非接触であるので、車両走行による支持ステー14の振動はセンサー34に伝わり難く、センサー34の故障を生じ難くすることができる。
【0028】
支持ステー取付面12aの支持面22と被取付面14aの突出部21とで構成される当接支持構造20について説明する。
図11Aは、取付ベース12がウインドシールド面11aに取り付けられた状態で、取付ベース12を支持ステー取付面12aの真正面から(すなわち、回転軸19の軸方向から)見た様子を示す。一点鎖線は、回転軸19を通りかつ車両前後方向に延在する鉛直面64(
図11Aの紙面に直交する平面)を示す。また、この一点鎖線は支持ステー取付面12aの中心線12cも併せて表す。
図11Bは、当接支持構造20の、取付ベース12側の構造である支持面22の輪郭形状(起伏形状)を示す。これは、回転軸19の周り方向に延在する同輪郭形状を
図11Aの矢印R方向に全周展開して示したものである。
図11Aにおいて矢印P1~P5で示した箇所に対応する
図11Bにおける箇所を、同じ符号でそれぞれ示す。これら箇所P1~P5は、支持ステー14が取り付けられたときに、支持ステー14の突出部21と押圧当接して支持ステー14を支持する当接支持部をそれぞれ構成する。支持面22は、5箇所の谷部24(24-1乃至24-5)と5箇所の山部23(23-1乃至23-5)を交互に有する。谷部24と山部23の境界には傾斜面25(25-1乃至25-5)が配置されている。支持ステー14を取付ベース12に取り付ける際に、突出部21は、脚部18aの付勢力に抗して、谷部24から傾斜面25を経て山部23まで摺動する。全4箇所の進入口32は、4箇所の谷部24-2乃至24-5が配置されている周方向位置にそれぞれ配置されている。5箇所の山部23の周方向の各途中位置には、断面V字状の嵌合溝23a(嵌合構造の凹部)がそれぞれ形成されている。各嵌合溝23aには、支持ステー14の突出部21の山状の頂部に構成された各嵌合突起21a(嵌合構造の凸部)が嵌合する。各嵌合溝23aと各嵌合突起21aとが嵌合して、脚部18aの付勢力により各嵌合溝23aと各嵌合突起21aとが相互に押圧当接して当接支持部P1~P5をそれぞれ構成する。5箇所の嵌合溝23aは回転軸19を中心に放射方向に延在してそれぞれ形成されている。5箇所の嵌合溝23aのうち当接支持部P1(第1当接支持部)の嵌合溝23aは、ここでは鉛直面64上に配置されている。すなわち、当接支持部P1の嵌合溝23aは、回転軸19を中心とする放射方向のうち、回転軸19の周りの下方(ここでは回転軸19の周りの真下方向)に向かう角度方向に延在して形成されている。ここで、回転軸19の周りの下方に向かう角度方向とは、
図11Aにおいて回転軸19から下方に向かう角度方向である。すなわち、同角度方向とは、取付ベース12がウインドシールド面11aに取り付けられた姿勢で、取付ベース12を回転軸19の軸方向から見たときの、回転軸19から下方に向かう角度方向である。インナーミラー10の荷重は回転軸19の周りの下方に向かう角度方向に作用するので、該角度方向に第1当接支持部P1の嵌合溝23aを配置することにより、インナーミラー10の荷重を第1当接支持部P1で効率よく支持することができる。また、第1当接支持部P1の嵌合溝23aが延在する方向は、支持ステー14のスライド脱落方向に相当するので、支持ステー14がスライド脱落する際に、当接支持部P1の突出部21の嵌合突起21aは嵌合溝23aを下方にスライドして、嵌合溝23aとの嵌合を容易に外すことができる。つまり、支持ステー14がスライド脱落する際に嵌合突起21aは嵌合溝23aを嵌合溝23aの幅方向に乗り越える必要がない。したがって、嵌合溝23aは支持ステー14のスライド脱落を邪魔しない。5箇所の嵌合溝23aのうち残りの4箇所の当接支持部P2,P3,P4,P5(第2当接支持部)の嵌合溝23aは、回転軸19を中心とする放射方向のうち回転軸19の周りの右上方、右下方、左下方、左上方に向かう各角度方向(
図11Aにおいて回転軸19から右上方、右下方、左下方、左上方に向かう各角度方向)に延在してそれぞれ形成されている。5箇所の嵌合溝23aにそれぞれ嵌合する嵌合突起21aは、嵌合溝23aに嵌合するように、回転軸19を中心に放射方向に延在する山形の突条(嵌合突条)として形成されている(
図5A参照)。これにより、支持ステー14は回転軸19を中心として回転軸19の周りの全方位の5点で安定に支持することができる。また、全5箇所の当接支持部P1~P5において、支持ステー14の嵌合突起21aは嵌合溝23aにそれぞれ嵌合して支持されるので、支持ステー14が取付ベース12に取り付けられた状態を安定に保持することができる。
【0029】
全5箇所の谷部24は回転軸19に直交する同一平面上にあり、支持ステー取付面12aの基準面を構成する。基準面に対する山部23の高さは次のように設定されている。すなわち、領域23-3(L),23-4(L)を除いた全領域(すなわち、領域23-1,23-2,23-3(H),23-4(H),23-5)は同じ高さである。領域23-3(L),23-4(L)は、領域23-1,23-2,23-3(H),23-4(H),23-5よりも一定量それぞれ低くなっている。領域23-3(L)は、山部23-3の周方向の全領域のうち嵌合溝23aを境にスライド脱落方向前方側に位置する領域である。領域23-4(L)は、山部23-4の周方向の全領域のうち嵌合溝23aを境にスライド脱落方向前方側に位置する領域である。すなわち、当接支持部P3の山部23-3は、嵌合溝23aを挟んでスライド脱落方向前方側の領域23-3(L)がスライド脱落方向後方側の領域23-3(H)に比べて、基準面からの高さが低くなっている。同様に、当接支持部P4の山部23-4は、嵌合溝23aを挟んでスライド脱落方向前方側の領域23-4(L)がスライド脱落方向後方側の領域23-4(H)に比べて、基準面からの高さが低くなっている。これにより、当接支持部P3,P4において、嵌合突起21aと嵌合溝23aとの嵌合はスライド脱落方向に外れやすくなり、スライド脱落が容易になっている。
【0030】
取付ベース12にセンサー34および支持ステー14を組み付けた状態での各部の組付構造を
図12A~
図12Hを参照して説明する。
図12Aは取付ベース12を支持ステー取付面12aの正面やや斜め位置から見た図である。
図12Aには、
図12B~
図12Hに示す各部の構造について、その見た方向を矢印B~Hでそれぞれ示している。
図12B~
図12Hは、取付ベース12にセンサー34および支持ステー14を組み付けた状態での、
図12Aの矢印B~H方向の矢視断面構造または矢視構造である。各構造について説明する。
【0031】
《B矢視断面構造(
図12B)》
図12AのB矢視位置の断面構造、すなわち取付ベース12の右側の取付ベース側板ばね取付部28に、センサー組付用板ばね36の右側の取付ベース取付用脚部36aを取り付けた構造を
図12Bに示す。取付ベース取付用脚部36aは、取付ベース被取付部38(爪係合穴)を取付ベース側板ばね取付部28(係合爪)に爪係合させることにより、取付ベース側板ばね取付部28に取り付けられている。
【0032】
《C矢視断面構造(
図12C)》
図12AのC矢視位置の断面構造、すなわち取付ベース12の左側の取付ベース側板ばね取付部28に、センサー組付用板ばね36の左側の取付ベース取付用脚部36aを取り付けた構造を
図12Cに示す。取付ベース取付用脚部36aは、取付ベース被取付部38(爪係合穴)を取付ベース側板ばね取付部28(係合爪)に爪係合させることにより、取付ベース側板ばね取付部28に取り付けられている。
【0033】
《D矢視構造(
図12D)》
図12AのD矢視位置の構造、すなわち第1当接支持部P1の支持構造を
図12Dに示す。嵌合突起21aが嵌合溝23aに嵌合して嵌合構造66-1を構成している。
【0034】
《E矢視構造(
図12E)》
図12AのE矢視位置の構造、すなわち第2当接支持部P2の支持構造を
図12Eに示す。嵌合突起21aが嵌合溝23aに嵌合して嵌合構造66-2を構成している。
【0035】
《F矢視構造(
図12F)》
図12AのF矢視位置の構造、すなわち第2当接支持部P3の支持構造を
図12Fに示す。嵌合突起21aが嵌合溝23aに嵌合して嵌合構造66-3を構成している。前述のように、支持面22の山部23-3における、嵌合溝23aを挟んでスライド脱落方向前方側の領域23-3(L)の、基準面(谷部24)からの高さは、スライド脱落方向後方側の領域23-3(H)に比べて、段差Δdで示す分低くなっている。これによりスライド脱落を容易にしている。
【0036】
《G矢視構造(
図12G)》
図12AのG矢視位置の構造、すなわち第2当接支持部Pの支持構造を
図12Gに示す。嵌合突起21aが嵌合溝23aに嵌合して嵌合構造66-4を構成している。前述のように、支持面22の山部23-4における、嵌合溝23aを挟んでスライド脱落方向前方側の領域23-4(L)の、基準面(谷部24)からの高さは、スライド脱落方向後方側の領域23-4(H)に比べて、段差Δdで示す分低くなっている。これによりスライド脱落を容易にしている。
【0037】
《H矢視構造(
図12H)》
図12AのH矢視位置の構造、すなわち第2当接支持部P5の支持構造を
図12Hに示す。嵌合突起21aが嵌合溝23aに嵌合して嵌合構造66-5を構成している。
【0038】
以上説明した回転軸19の周りの5箇所の当接支持部P1~P5の嵌合構造66-1乃至66-5により、支持ステー14が取付ベース12に取り付けられた状態を安定に保持することができる。
【0039】
取付ベース12に支持ステー14を取り付ける際の各工程の動作を
図13~
図16を参照して順を追って説明する。なお、
図13~
図16において、各A図~D図はそれぞれ次を示す。
・A図:取付ベース12と支持ステー14の、回転軸19の周り方向の位置関係
・B図:突出部21-2,21-3,21-4,21-5の位置の径方向断面
・C図:突出部21-2,21-3,21-4,21-5の周辺の周方向断面。ただし、
図12F、
図12Gで示した山部23-3,23-4の段差Δdは無視して図示している。
・D図:突出部21-1の周辺の周方向断面
以下、各工程を説明する。
【0040】
《第1工程(
図13):取付ベースに対する支持ステーの押し込み》
図13Aに示すように、4本の脚部18aを進入口32の位置に合わせる。このとき、支持ステー取付面12aの中心線12cに対する被取付面14aの中心線14cの、回転軸19の周り方向の角度は20度である。この状態で、支持ステー14を取付ベース12に向けて回転軸19に沿った方向に押し込む。これにより、爪部18bは進入口32に進入する。
図13Bに示すように、進入口32には緩やかな突条32a(進入方向に直交する方向に延在する突条)がある。進入口32から進入した爪部18bは、脚部18aの付勢力に抗して比較的軽い力で突条32aを乗り越えて周方向溝30に係合される。爪部18bが周方向溝30に一旦係合すると、爪部18bは進入口32から抜ける方向の動作が突条32aで係止されるので、支持ステー14は自重では落下しない程度に取付ベース12に連結される。爪部18bが周方向溝30に係合されると、爪部18bは反時計回り方向の回転が、周方向溝30の延在方向一端側の壁面で係止され、時計回り方向の回転のみが可能となる。爪部18bが周方向溝30に係合すると、
図13B~
図13Dに示すように、嵌合突起21aは谷部24に当接する。
【0041】
《第2工程(
図14):支持ステーの回転(その1:谷部を移動)》
第1工程に続いて、
図14Aに示すように、支持ステー14を時計回り方向に回転する。これにより、嵌合突起21aは谷部24を摺動して移動し、
図14C、
図14Dに示すように、嵌合突起21aは谷部24と傾斜面25の境界に達する。このとき、支持ステー取付面12aの中心線12cに対する被取付面14aの中心線14cの、回転軸19の周り方向の角度は16度である。ここまでは、脚部18aの付勢力は作用せず、支持ステー14を軽く回転させることができる。
【0042】
《第3工程(
図15):支持ステーの回転(その2:傾斜面を登坂)》
第2工程に続いて、
図15Aに示すように、支持ステー14を時計回り方向にさらに回転する。これにより、嵌合突起21aは傾斜面25を摺動して登る。嵌合突起21aが傾斜面25を登るにつれて、支持ステー取付面12aと被取付面14aの間の距離が拡げられるので、脚部18aの付勢力が増大する。このとき、爪部18bは周方向溝30の幅方向の側壁30aに係止されるので、脚部18aの付勢力が増大しても、爪部18bは周方向溝30から外れなくなる。嵌合突起21aは、
図15C、
図15Dに示すように、傾斜面25を登りきって山部23に達する。このとき、支持ステー取付面12aの中心線12cに対する被取付面14aの中心線14cの、回転軸19の周り方向の角度は9度である。
【0043】
《第4工程(
図16):支持ステーの取付完了》
嵌合突起21aが山部23に達して、支持ステー14をそのまま時計回り方向に回転させると、
図16C、
図16Dに示すように、嵌合突起21aは山部23を少し摺動して嵌合溝23aに嵌合する。このとき、
図16Aに示すように、支持ステー取付面12aの中心線12cに対する被取付面14aの中心線14cの、回転軸19の周り方向の角度は0度である。これで、取付ベース12に対する支持ステー14の取付けが完了する。なお、嵌合突起21aが嵌合溝23aに嵌合した状態で、支持ステー14をさらに時計回り方向に回転させようとしても、爪部18bは周方向溝30の延在方向他端側の壁面で係止されるので、支持ステー14はほとんど回転しない。したがって、嵌合溝23aに一旦嵌合した嵌合突起21aがそのまま嵌合溝23aを通り過ぎてしまうことはなく、または仮に通り過ぎたとしてもすぐに戻して、嵌合突起21aを嵌合溝23aに再嵌合させることができる。また、一旦取付けが完了した支持ステー14を、ミラー交換等のために外す必要が生じた場合は、支持ステー14を脚部18aの付勢力に抗して反時計回り方向に強い力で回転させる。これにより、嵌合突起21aと嵌合溝23aの嵌合が外れて、取付時と逆の工程で支持ステー14を取付ベース12から外すことができる。
【0044】
取付ベース12に取り付けられた支持ステー14が、大きな外力を受けて取付ベース12から脱落するときの動作を説明する。
《回転脱落動作》
図16Aにおいて、支持ステー14に例えば車両前方水平方向に向かう大きな外力が加わると、支持ステー14は、例えば下側の当接支持部P1を支点として、該支点の対角側の箇所が取付ベース12から剥がされるように回転する。すなわち、上側の当接支持部P2,P5側で、脚部18aの付勢力に抗して、爪部18bと周方向溝30の係合が周方向溝30の幅方向の側壁30a(
図16B)を乗り越えて外れる。これにより、支持ステー14は取付ベース12から剥がされるように(すなわち、ウインドシールド面11aから離れるように)回転して、取付ベース12から脱落する。
《スライド脱落動作》
図16Aにおいて、支持ステー14に例えばウインドシールド面11aに沿って車両前方斜め下方に向かう外力が加わると、脚部18aの付勢力に抗して爪部18bと周方向溝30の係合が同方向に外れる。これにより、支持ステー14は取付ベース12に沿って斜め下方に向けてスライドして、取付ベース12から脱落する。このとき、当接支持部P2,P3,P4,P5では、嵌合突起21aが嵌合溝23aを乗り越えて嵌合溝23aとの嵌合を外す。このうち、当接支持部P3,P4では前述した段差Δd(
図12F、
図12G)により、嵌合溝23aのスライド脱落方向側に隣接する山部の領域23-3(L),23-4(L)が低くなっているので、該嵌合はスライド脱落方向に容易に外れることができる。また、当接支持部P1では、嵌合溝23aはスライド脱落方向に延在しているので、嵌合突起21aは嵌合溝23aをスライドして(すなわち、嵌合溝23aを乗り越えることなく)嵌合溝23aとの嵌合を容易に外すことができる。
【0045】
前記実施の形態では第1当接支持部を支持ステー取付面の丁度中心線上(すなわち、回転軸を中心として該回転軸の周りの丁度下方に向かう角度方向)に配置したが、これに限らない。すなわち、第1当接支持部を支持ステー取付面の中心線から少し外れた位置(回転軸を中心として該回転軸の周りの概ね下方に向かう角度方向)に配置することもできる。また、第1当接支持部を支持ステー取付面の中心線を挟んで該中心線の近傍に左右に分けて配置することもできる。すなわち、この発明において「下方」とは、厳密な下方であることを要しない。前記実施の形態では第2当接支持部を4箇所に配置したが、第2当接支持部を5箇所以上に配置することもできる。前記実施の形態では、当接支持構造の山部、谷部を取付ベース側に配置し、突出部を支持ステー側に配置したが、配置を逆にすることもできる。すなわち、当接支持構造の突出部を取付ベース側に配置し、山部、谷部を支持ステー側に配置することができる。前記実施の形態では、取付ベースが車両室内のウインドシールド面に固定されて支持ステーが該取付ベースに取り付けられた姿勢で、取付ベースの支持ステー取付面に沿って下方に向けて延在する、凹部を構成する嵌合溝と、該嵌合溝に嵌合する、凸部を構成する嵌合突起とを有する嵌合構造を、第1当接支持部に配置したが、同嵌合構造の配置位置はこれに限らない。すなわち、同嵌合構造を、第1当接支持部に代えてあるいは第1当接支持部に加えて、ほかの1または複数箇所の当接支持部に配置することもできる。前記実施の形態では支持ステーに対する支持ステー取付用板ばねの取付けをねじ止めで行ったが、支持ステーに対する支持ステー取付用板ばねの取付方法はこれに限らない。例えば、支持ステーを樹脂成形するための金型内に支持ステー取付用板ばねを配置してインサート成形により支持ステーに支持ステー取付用板ばねを取り付けることができる。前記実施の形態では、この発明を取付ベースにセンサーを搭載するインナーミラーに適用した場合について説明したが、この発明は取付ベースにセンサーを搭載しないインナーミラーにも適用することができる。前記実施の形態では、この発明を取付ベースに開口部(センサー組付用空所26)を有するインナーミラーに適用した場合について説明したが、この発明は取付ベースに開口部を有しないインナーミラーにも適用することができる。前記実施の形態のインナーミラーは支持ステーとミラー本体が分割して構成されていたが、この発明は、支持ステーとミラー本体が分割されていない(すなわち、両者が一体構造の)インナーミラーにも適用することができる。前記実施の形態では、この発明をインナーミラー(車載視認装置)の取付構造に適用した場合について説明したが、この発明は、車載カメラその他の車載装置の取付構造にも適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
10…インナーミラー、11…ウインドシールド、11a…車室内側のウインドシールド面、12…取付ベース、12a…支持ステー取付面、12b…接着面、12c…支持ステー取付面の中心線、12d…爪受け部、14…支持ステー、14a…被取付面、14c…被取付面の中心線、16…ミラー本体、17…ピボット、18…支持ステー取付用板ばね、18a…脚部、18b…爪部、18c…支持ステー取付部、18d…爪部の内周面の周方向エッジ(回転取付方向前端側)、18e…爪部の内周面の周方向エッジ(回転取付方向後端側)、19…回転軸、20…当接支持構造、21(21-1乃至21-5)…突出部、21a…突出部の頂部(嵌合構造の凸部、嵌合突起)、21b…誤組付防止用リブ、22…支持面、23(23-1乃至23-5)…支持面の山部、23a…嵌合構造の凹部(嵌合溝)、23-3(L),23-4(L)…支持面の山部の、嵌合溝に対しスライド脱落方向前方側の領域、23-3(H),23-4(H)…支持面の山部の、嵌合溝に対しスライド脱落方向後方側の領域、24(24-1乃至24-5)…支持面の谷部、25(25-1乃至25-5)…支持面の傾斜面、26…センサー組付用空所、26a…センサー本体収容部、26b…コネクタ収容部、26c…連結部、28…取付ベース側板ばね取付部(爪係合用の係合爪)、30…周方向溝、30a…側壁、32…進入口、32a…突条、34…センサー、34a…センサー本体、34b…コネクタ、34c…センサー側板ばね取付部(爪係合用の係合爪)、34f…おもて面(センシング面)、34r…裏面(非センシング面)、36…センサー組付用板ばね、36a…取付ベース取付用脚部、36b…センサー取付用脚部、36c…センサー押圧部、38…取付ベース被取付部(爪係合用の爪係合穴)、40…センサー被取付部(爪係合用の爪係合穴)、42…突出部挿通穴、42a…誤組付防止用切欠、44a…位置決め穴(基準ピン用)、44b…位置決め穴(2面幅ピン用)、46…ねじ通し穴、48…タッピングスクリュー、50…カバー、50a…開口部、50b…係合爪、52…補助カバー、52a…開口部、56a…位置決めピン(基準ピン)、56b…位置決めピン(2面幅ピン)、58…ねじ穴、60…空隙、62…回転軸を通りかつ車両左右方向に延在する面、64…回転軸を通りかつ車両前後方向に延在する鉛直面、66(66-1乃至66-5)…嵌合構造、P1…当接支持部(第1当接支持部)、P2,P3,P4,P5…当接支持部(第2当接支持部)、Δd…段差