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特許7137601移送物落下防止具及び移送物落下防止方法
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  • 特許-移送物落下防止具及び移送物落下防止方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】移送物落下防止具及び移送物落下防止方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 7/00 20060101AFI20220907BHJP
   B63B 21/20 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
E02F7/00 Z
B63B21/20 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020146987
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2022041650
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2021-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000166627
【氏名又は名称】五洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 満
(72)【発明者】
【氏名】三好 秀明
(72)【発明者】
【氏名】浜谷 信介
(72)【発明者】
【氏名】並木 一樹
(72)【発明者】
【氏名】田代 巧
【審査官】柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-117697(JP,U)
【文献】実開平04-009827(JP,U)
【文献】実開昭51-109584(JP,U)
【文献】実開昭57-165625(JP,U)
【文献】特公昭47-049749(JP,B1)
【文献】特開平09-177061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 7/00
B63B 21/20
B63B 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
岸壁から海に向かい延伸するように配置されたシート状部材である第1シートと、
前記岸壁に係留されている船舶から前記岸壁に向かい延伸するように配置され、一部が前記第1シートの上に重なり合った状態で前記岸壁に繋がれ、弾性体により前記船舶と前記岸壁を結ぶ方向にテンションを有するシート状部材である第2シートと
を備える移送物落下防止具。
【請求項2】
前記岸壁の縁部に沿った方向に間を空けて前記岸壁から海に向かい延伸するように配置された複数の棒状部材であるフレーム群
を備え、
前記第1シートは、前記フレーム群に取り付けられ、前記フレーム群を構成する隣り合う2本の棒状部材の間に垂れ下がることによって、全体として波打つ形状を成す
請求項1に記載の移送物落下防止具。
【請求項3】
前記岸壁の縁部に沿った方向に間を空けて前記岸壁から海に向かい延伸するように配置され、前記第1シートが取り付けられる複数の棒状部材であるフレーム群を有し、前記第2シートが前記岸壁に繋がれていない状態とした後に前記岸壁の縁部に沿った方向の軸周りに回動し、前記第1シートを前記岸壁の上面上に移動させる保持部材
を備える請求項1に記載の移送物落下防止具。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の移送物落下防止具を用いて岸壁と船舶の間の水面に対する移送物の落下を防止する移送物落下防止方法であって、
前記第1シートの上に前記第2シートの一部を重ねる工程と、
前記第2シートを前記岸壁に繋ぐ工程と、
前記第1シート又は前記第2シートの上の空間において移送物を移送する工程と
を備える移送物落下防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土砂等の移送物が積み込み、積み卸し時に水面に落下することを防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
海上工事において、岸壁に係留されている船舶と岸壁の間で、バックホウやベルトコンベアー等を用いて、土砂等の移送物の積み込み又は積み卸しが行われる場合がある。また、岸壁に設置したバックホウによって岸壁に係留した土運搬船内の土砂等を攪拌改質する場合がある。その際、岸壁と船舶の間の水面に、バックホウのグラブバケットやベルトコンベアーからこぼれ落ちた移送物が落下する場合がある。移送物が水面に落下すると海水が汚濁されることから、岸壁と船舶の間の水面に移送物が落下しないように適切な措置が取られる必要がある旨が法律で定められている。
【0003】
従来、岸壁と船舶の間で移送物の積み込み又は積み卸しが行われる際には、岸壁と船舶にシートを掛け渡し、岸壁及び船舶においてシートの上に土嚢を置くなどして固定することで、バックホウのグラブバケット等からこぼれ落ちた移送物をシートで受け止め、水面に落下することを防止する措置が取られている。
【0004】
移送中の土砂等がグラブバケットから水面へ落下することを防止するための技術を開示している特許文献として、例えば特許文献1がある。特許文献1には、グラブ枠内の海底からグラブバケットにより浚渫された土砂を、グラブ枠に近接する位置に停泊している土運船に積み込む際に、グラブバケットからこぼれ落ちた土砂がグラブ枠と土運船の間の水面に落ちないように、グラブ枠と土運船の間を覆うように傾斜した複数のパネルを配置する方法が提案されている。この方法によれば、グラブバケットからこぼれ落ちた土砂は傾斜したパネル上を滑り落ち、土運船又はグラブ枠の上まで導かれた後、落下する。その結果、土砂の水面への落下が防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-044208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の方法による場合、パネルの設置等に時間と労力を要する。また、パネル及びパネルを支える支柱等のコストもかかる。さらに、安全通路が確保できない課題がある。岸壁と船舶にシートを掛け渡し、シートの上に土嚢等を置いて固定する方法は、特許文献1の方法と比較し、短時間で手間がかからず、低コストで実施できる。
【0007】
しかしながら船舶の高さは、潮の干満により上下する。岸壁の縁部と船舶の縁部(土倉の縁部)の距離は、満潮時より干潮時の方が長くなる。従って、岸壁と船舶に掛け渡されるシートの幅(岸壁から海に向かう方向における長さ)は、干潮時の岸壁の縁部と船舶の縁部の距離よりも長くする必要がある。
【0008】
上記のように、干潮時に合わせた幅のシートは、満潮時に弛むことになる。そして、弛んだシートに岸壁により下から上昇する風が当たると、シートが上に膨らんで、バックホウの運転者の視界を遮り、作業を妨げる場合がある。図7は、満潮時に弛んだシートが上に膨らむ様子を示した図である。図7(A)は干潮時の状態を示し、図7(B)は満潮時の状態を示している。図7に示されるように、船舶Eの縁部と岸壁Qに掛け渡されたシートSは、干潮時(図7(A))においては弛みが少なく、下から上昇する風が当たっても上に大きく膨らむことはないが、満潮時(図7(B))においては弛みが多くなり、下から上昇する風が当たると上に大きく膨らみ、バックホウBの運転者の視界を遮る。
【0009】
上述の背景に鑑み、本発明は、潮の干満や風の状態に左右されることなく、岸壁と船舶の間の水面に移送物が落下することを防止する手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明は、岸壁から海に向かい延伸するように配置されたシート状部材である第1シートと、前記岸壁に係留されている船舶から前記岸壁に向かい延伸するように配置され、一部が前記第1シートの上に重なり合った状態で前記岸壁に繋がれ、弾性体により前記船舶と前記岸壁を結ぶ方向にテンションを有するシート状部材である第2シートとを備える移送物落下防止具を第1の態様として提案する。
【0011】
第1の態様に係る移送物落下防止具によれば、潮の干満や風の状態に左右されることなく、岸壁と船舶の間の水面に対する移送物の落下が防止される。
【0012】
第1の態様の移送物落下防止具において、前記岸壁の縁部に沿った方向に間を空けて前記岸壁から海に向かい延伸するように配置された複数の棒状部材であるフレーム群を備え、前記第1シートは、前記フレーム群に取り付けられ、前記フレーム群を構成する隣り合う2本の棒状部材の間に垂れ下がることによって、全体として波打つ形状を成す、という構成が第2の態様として採用されてもよい。
【0013】
第2の態様に係る移送物落下防止具によれば、第1シートと第2シートの間に風が抜ける経路が形成されるため、下から上昇する風が生じてもそれらのシートが大きく上に膨らむことがない。
【0014】
第1の態様の移送物落下防止具において、前記岸壁の縁部に沿った方向に間を空けて前記岸壁から海に向かい延伸するように配置され、前記第1シートが取り付けられる複数の棒状部材であるフレーム群を有し、前記第2シートが前記岸壁に繋がれていない状態とした後に前記岸壁の縁部に沿った方向の軸周りに回動し、前記第1シートを前記岸壁の上面上に移動させる保持部材を備える、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0015】
第3の態様に係る移送物落下防止具によれば、岸壁と船舶の間の移送物の移送が行われない時における強風等による第1シートの破損が防止される。
【0016】
また、本発明は、第1乃至第3のいずれかの態様に係る移送物落下防止具を用いて岸壁と船舶の間の水面に対する移送物の落下を防止する移送物落下防止方法であって、前記第1シートの上に前記第2シートの一部を重ねる工程と、前記第2シートを前記岸壁に繋ぐ工程と、前記第1シート又は前記第2シートの上の空間において移送物を移送する工程とを備える移送物落下防止方法を第4の態様として提案する。
【0017】
第4の態様に係る移送物落下防止方法によれば、潮の干満や風の状態に左右されることなく、岸壁と船舶の間の水面に対する移送物の落下が防止される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態に係る移送物落下防止具の岸壁側構成部の外観を示した図。
図2】一実施形態に係る移送物落下防止具の外観を示した図。
図3】一実施形態に係る移送物落下防止具のシートに弛みが生じない様子を示した図。
図4】一変形例に係る移送物落下防止具の構成を示した図。
図5】一変形例に係る移送物落下防止具の構成を示した図。
図6】一変形例に係る移送物落下防止具の構成を示した図。
図7】従来技術に係るシートが満潮時に風を受けて上に膨らむ様子を示した図。
【0019】
[実施形態]
以下に本発明の一実施形態に係る移送物落下防止具1の構成を説明する。移送物落下防止具1は、岸壁に設置されている構成部(以下、「岸壁側構成部」という)と、岸壁に係留されている船舶と岸壁とに掛け渡される構成部(以下、便宜的に「船舶側構成部」という)を備える。
【0020】
図1は、移送物落下防止具1の岸壁側構成部の外観を示した図である。図1(A)は岸壁側構成部の岸壁縁部断面図であり、図1(B)は岸壁側構成部を海側から見た正面図であり、図1(C)は岸壁側構成部の平面図である。
【0021】
岸壁側構成部は、岸壁Q上に固定され、岸壁Qの縁部に沿って延伸する棒状部材である土台材11と、土台材11の上に固定され、岸壁Qから海に向かい延伸するように配置された棒状部材である複数のフレーム12(以下、複数のフレーム12を「フレーム群」という)と、フレーム群の上に、岸壁Qから海に向かい延伸するように配置されたシート状部材であるシート13(第1シートの一例)を備える。
【0022】
土台材11は、例えばH鋼であり、フレーム群の土台の役割を果たす。フレーム群を構成するフレーム12は、土台材11の上にジョイント金具等により固定されており、岸壁Qから海に向かい延伸するシート13を支える役割を果たす。シート13はフレーム群の上に紐等により取り付けられており、岸壁Qから海に向かい延伸し、バックホウのグラブバケットからこぼれ落ちた土砂等の移送物がその下の水面に落下することを防止する。
【0023】
図1(B)に示されるように、シート13は、隣り合う2本のフレーム12の間に垂れ下がることによって、海側から見たときに、全体として波打つ形状を成す。
【0024】
図2は、岸壁Qに船舶Eが係留され、岸壁側構成部に加えて、岸壁Qと船舶Eの間に掛け渡すように移送物落下防止具1の船舶側構成部が配置された状態の岸壁側構成部及び船舶側構成部の外観を示した図である。図2(A)は岸壁側構成部及び船舶側構成部の岸壁Q縁部断面図であり、図2(B)は岸壁側構成部及び船舶側構成部の平面図である。
【0025】
船舶側構成部は、船舶Eから岸壁Qに向かい延伸するように配置され、一部がシート13の上に重なり合った状態で岸壁Qに繋がれるシート状部材であるシート14(第2シートの一例)と、シート14の船舶E側の端部に取り付けられている棒状部材であるポール15と、シート14の岸壁Q側の端部に取り付けられている棒状部材であるポール16と、シート14を岸壁Qに繋ぐ索体である弾性部材17を備える。
【0026】
ポール15は、船舶Eの岸壁Q側の縁部に紐等により固定され、シート14の船舶E側の端部を船舶Eに繋ぐ役割を果たす。ポール16は、弾性部材17を介してフレーム12の陸側端部付近もしくは土台材11に繋がれることで、シート14の岸壁Q側の端部を岸壁Qに繋ぐ役割を果たす。
【0027】
弾性部材17は、例えばゴムやバネ等の弾性体の索体であり、一方の端部がポール16にフック等により取り付けられ、他方の端部がフレーム12の陸側端部付近にフック等により取り付けられることで、シート14を岸壁Qに繋ぐ役割を果たす。また、弾性部材17は、シート14に対し、船舶Eと岸壁Qを互いに引き合う方向に力を生じさせる役割を果たす。すなわち、弾性部材17の弾性により、シート14は、船舶Eと岸壁Qを結ぶ方向にテンションを有する。
【0028】
なお、フレーム12は、海側に向かって伸縮するものであってもよい。また、シート14の両端部に近い位置の弾性部材17は、他の位置の弾性部材17より弾性が弱いものを用いるようにしてもよい。そうすることでシート14の表面にテンションがかかった状態とすることが出来る。
【0029】
以上が移送物落下防止具1の構成である。続いて、移送物落下防止具1を用いて、バックホウのグラブバケットからこぼれ落ちる移送物が水面に落下することを防止する方法(移送物落下防止方法)を説明する。
【0030】
まず、岸壁Qに対する船舶Eの係留作業が完了すると、作業員はシート14とポール16を岸壁Q側に展開し、シート14の一部がシート13の上に重ね合わされた状態とする。
【0031】
続いて、作業員は、ポール16にあらかじめ取り付けられている弾性部材17の一方の端部を土台材11またはフレーム12に取り付ける。これにより、シート14が岸壁Qに繋がれる。続いて、バックホウBの運転者は、バックホウBを操縦して、シート13又はシート14の上の空間において土砂等の移送物の移送を行う。
【0032】
上記の移送物落下防止方法によれば、移送物の移送中にバックホウBのグラブバケットから移送物がこぼれ落ちても、その移送物はシート13又はシート14により捕捉されるため、それらのシートの下方の水面に移送物が落下することはない。
【0033】
また、上記の移送物落下防止方法によれば、潮が満潮時にシート13及びシート14が下方から上昇する風を受けても、シート13及びシート14が上に膨らむことはない。なぜなら、満潮時には弾性部材17の弾性によりシート14の陸側の縁辺が陸側に移動することで、シート14に大きな弛みが生じないためである。
【0034】
図3は、潮の干満に応じてシート14の陸側の端辺の位置が移動することで、シート14に弛みが生じない様子を示した図である。図3(A)は干潮時のシート14の状態を示し、図3(B)は満潮時のシート14の状態を示している。
【0035】
また、波打つ形状を成すシート13と、その上に重ね合わせられたシート14の間には大きな隙間が生じる。そして、シート13及びシート14の下から上昇する風は、シート13とシート14の間の隙間から抜ける。従って、シート13及びシート14が上に大きく膨れ上がることはなく、バックホウBの運転者の視界がシート13又はシート14により遮られることはない。
【0036】
[変形例]
上述の実施形態は様々に変形され得る。以下に、それらの変形の例を示す。なお、以下に示す2以上の変形例が適宜組み合わされてもよい。
【0037】
(1)上述した実施形態において、フレーム12の姿勢は使用時であっても不使用時であっても変化することはない。従って、岸壁Qに船舶Eが係留されておらず、岸壁Qと船舶Eの間の移送物の移送が行われない期間中に、強風等が生じると、その強風等によりフレーム12に取り付けられているシート13が破損する場合がある。
【0038】
上記のような不使用時におけるシート13の破損を防止するために、本発明に係る移送物落下防止具が、シート13を保持し、シート14が岸壁Qに繋がれていない状態において、岸壁Qの縁部に沿った方向の軸周りに回動し、シート13を岸壁Qの上面上に移動させる保持部材を備えるように構成してもよい。
【0039】
図4は、この変形例に係る移送物落下防止具2の構成を示した図である。ただし、移送物落下防止具2が備える船舶側構成部は移送物落下防止具1が備える船舶側構成部と同じであるため、図4において船舶側構成部の図示は省略されている。図4(A)は使用時の岸壁側構成部の岸壁Q縁部断面図であり、図4(B)は使用時の岸壁側構成部を海側から見た正面図であり、図4(C)は使用時の岸壁側構成部の平面図である。また、図5は、不使用時の岸壁側構成部を岸壁Q上に移動させた断面図である。
【0040】
以下、移送物落下防止具2が移送物落下防止具1と異なる点を説明する。移送物落下防止具2の岸壁側構成部は、土台材11の上に取り付けられた複数の軸受け21と、複数の軸受け21によって回転可能に指示された棒状部材であるシャフト22を備える。複数のフレーム12は、土台材11ではなくシャフト22に取り付けられている。シャフト22は岸壁Qの縁部に沿った方向の軸周りに回動可能である。すなわち、移送物落下防止具2において、軸受け21に支持されたシャフト22に取り付けられたフレーム群が、シート13を岸壁Qの縁部に沿った方向の軸周りに回動可能に保持する保持部材を構成する。
【0041】
作業員は、移送物落下防止具2の使用後に、シート13が取り付けられたフレーム12を軸周りに回動させて、図5に示される状態とする。また、作業員は、移送物落下防止具2の使用前に、図5の状態のフレーム12を軸周りに回動させて、図4(A)の状態とする。
【0042】
移送物落下防止具2によれば、移送物落下防止具2のシート13が、不使用時に強風等により破損することがない。
【0043】
(2)上述した実施形態において、シート14が有するテンションは、シート14の岸壁Q側の端部に取り付けられたポール16とフレーム12とを繋ぐ弾性部材17により生じる。シート14にテンションを生じさせる構成はこれに限られない。
【0044】
例えば、船舶側構成部が、シート14を巻き取る巻取装置を備え、巻取装置がシート14に対し、シート14を巻き取る方向に力を加えることによって、シート14にテンションを生じさせる構成が採用されてもよい。
【0045】
図6は、この変形例に係る移送物落下防止具3の構成を示した図である。図6(A)は干潮時の移送物落下防止具3の状態を示した図であり、図6(B)は満潮時の移送物落下防止具3の状態を示した図である。
【0046】
以下に、移送物落下防止具3が移送物落下防止具1と異なる点を説明する。移送物落下防止具3の船舶側構成部は、船舶Eの岸壁Q側の縁部に取り付けられ、シート14を巻き取る巻取装置31を備える。巻取装置31は、例えばバネの力によって、巻き出されたシート14に対し常時、シート14を巻き取る方向に力を加える。
【0047】
移送物落下防止具3の船舶側構成部は、移送物落下防止具1の船舶側構成部が備える弾性部材17に代えて、実質的に弾性がない索体であるロープ32を備える。
【0048】
移送物落下防止具3によれば、潮が引く時にはシート14が巻取装置31から巻き出され、潮が満ちる時にはシート14が巻取装置31に巻き取られる。その結果、シート14に大きな弛みが生じず、風を受けてもシート14が上に大きく膨れ上がることはない。
【符号の説明】
【0049】
1…移送物落下防止具、2…移送物落下防止具、3…移送物落下防止具、11…土台材、12…フレーム、13…シート、14…シート、15…ポール、16…ポール、17…弾性部材、21…軸受け、22…シャフト、31…巻取装置、32…ロープ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7