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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】医療廃棄物収集システム
(51)【国際特許分類】
   A61G 12/00 20060101AFI20220907BHJP
【FI】
A61G12/00 W
A61G12/00 C
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020164857
(22)【出願日】2020-09-30
(62)【分割の表示】P 2018127438の分割
【原出願日】2013-10-22
(65)【公開番号】P2021003587
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2020-10-20
(31)【優先権主張番号】61/717,793
(32)【優先日】2012-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506410062
【氏名又は名称】ストライカー・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】リーズナー,スティーヴン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヘニジズ,ブルース
(72)【発明者】
【氏名】カルシロ,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】マクラクラン,ブライアン
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0187529(US,A1)
【文献】特表2010-522061(JP,A)
【文献】特表2009-519757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引ラインを用いて患者から収集された医療廃棄物を貯蔵するように可動ローバー上で支持される少なくとも1つの廃棄物容器を有する可動ローバーと、
前記可動ローバーから分離されるシャーシであって、前記可動ローバーと離脱可能に結合するように構成されるシャーシと、
前記シャーシ上で支持される真空ポンプであって、前記可動ローバーが前記シャーシと結合したときに前記少なくとも1つの廃棄物容器にて真空を印加するように構成される真空ポンプと、
前記可動ローバー上で支持されるローバー制御装置と、
前記シャーシ上で支持されるシャーシ制御装置であって、前記可動ローバーが前記ローバー制御装置及びシャーシ制御装置間にてデータを送るための通信回路をもたらすように前記シャーシに離脱可能に結合されたときに前記ローバー制御装置と連通するように構成されるシャーシ制御装置と、
前記シャーシ上で支持される真空レギュレータであって、前記少なくとも1つの廃棄物容器にて印加される真空のレベルをもたらすために前記真空ポンプ及び前記真空レギュレータの少なくとも一方を制御するように構成される前記シャーシ制御装置に連通される真空レギュレータと、
前記シャーシに取り付けられ、かつ前記シャーシ制御装置と連通するディスプレイアセンブリであって、前記データに基づいて前記少なくとも1つの廃棄物容器にて印加される真空のレベルを表示するように構成されるディスプレイアセンブリと
を備える医療廃棄物収集システム。
【請求項2】
吸引ラインを用いて患者から収集された医療廃棄物を貯蔵するように可動ローバー上で支持される少なくとも1つの廃棄物容器を有する可動ローバーと、
前記可動ローバーから分離されるシャーシであって、前記可動ローバーと離脱可能に結合するように構成されるシャーシと、
前記シャーシ上で支持される真空ポンプであって、前記可動ローバーが前記シャーシと結合したときに前記少なくとも1つの廃棄物容器にて真空を印加するように構成される真空ポンプと、
前記可動ローバー上で支持されるローバー制御装置と、
前記シャーシ上で支持されるシャーシ制御装置と、
前記可動ローバー上で支持される送信機であって、前記ローバー制御装置と連通する送信機と、
前記シャーシ上で支持される受信機であって、前記可動ローバーが前記ローバー制御装置及び前記シャーシ制御装置間にてデータを送るための通信回路をもたらすように前記シャーシに離脱可能に結合されたときに前記送信機と連通するように構成される受信機と、
前記シャーシに取り付けられ、かつ前記シャーシ制御装置と連通するディスプレイアセンブリであって、前記データに基づいて前記可動ローバーの操作状態に関する情報を表示するように構成されるディスプレイアセンブリと
を備える医療廃棄物収集システム。
【請求項3】
吸引ラインを用いて患者から収集された医療廃棄物を貯蔵するように可動ローバー上で支持される少なくとも1つの廃棄物容器を有する可動ローバーと、
前記可動ローバー上で支持される廃棄物レベルセンサであって、前記少なくとも1つの廃棄物容器の廃棄物レベルを表す廃棄物レベル信号を有するデータを生成するように構成される廃棄物レベルセンサと、
前記可動ローバーから分離されるシャーシであって、前記可動ローバーと離脱可能に結合するように構成されるシャーシと、
前記シャーシ上で支持される真空ポンプであって、前記可動ローバーが前記シャーシと結合したときに前記少なくとも1つの廃棄物容器にて真空を印加するように構成される真空ポンプと、
前記可動ローバー上で支持されるローバー制御装置であって、前記廃棄物レベルセンサと連通し、かつ前記廃棄物レベル信号を受信するように構成されるローバー制御装置と、
前記シャーシ上で支持されるシャーシ制御装置であって、前記可動ローバーが前記ローバー制御装置からシャーシ制御装置に前記廃棄物レベル信号を送るように前記シャーシに離脱可能に結合されたときに前記ローバー制御装置と連通するように構成されるシャーシ制御装置と、
前記シャーシに取り付けられ、かつ前記シャーシ制御装置と連通するディスプレイアセンブリであって、前記廃棄物レベル信号に基づいて前記少なくとも1つの廃棄物容器の廃棄物レベルを表示するように構成されるディスプレイアセンブリと
を備える医療廃棄物収集システム。
【請求項4】
吸引ラインを用いて患者から収集された医療廃棄物を貯蔵するように可動ローバー上で支持される少なくとも1つの廃棄物容器を有する可動ローバーと、
前記可動ローバーから分離されるシャーシであって、前記可動ローバーと離脱可能に結合するように構成されるシャーシと、
前記シャーシ上で支持される真空ポンプであって、前記可動ローバーが前記シャーシと結合したときに前記少なくとも1つの廃棄物容器にて真空を印加するように構成される真空ポンプと、
前記可動ローバー上で支持されるローバー制御装置と、
前記シャーシ上で支持されるシャーシ制御装置と、
前記可動ローバー及び前記シャーシのそれぞれを互いに補い合う電力カプラーであって、前記可動ローバーが前記ローバー制御装置及びシャーシ制御装置間にて電力を送るための電力調節回路をもたらすように前記シャーシに結合されたときに互いに連通する電力カプラーと、
前記シャーシに取り付けられ、かつ前記シャーシ制御装置と連通するディスプレイアセンブリであって、前記可動ローバーの操作状態に関するデータを表示するように構成されるディスプレイアセンブリと
を備える医療廃棄物収集システム。
【請求項5】
前記シャーシ制御装置は、前記電力が前記電力調節回路を用いて前記可動ローバーに送られる後に前記データを自動的に送るように構成されている、請求項4に記載の医療廃棄物収集システム。
【請求項6】
前記可動ローバー上で支持され、かつ前記ローバー制御装置と連通する少なくとも1つの発光ダイオード(LED)であって、前記電力調節回路によって電力を供給され、かつ前記少なくとも1つの廃棄物容器を照射するように構成される少なくとも1つの発光ダイオードをさらに備えている請求項4又は5に記載の医療廃棄物収集システム。
【請求項7】
前記少なくとも1つの廃棄物容器が、切換弁によって切り離された上側廃棄物容器及び下側廃棄物容器であり、
前記切換弁が、廃棄物を前記上側廃棄物容器から前記下側廃棄物容器に送ることができるように選択的に開くように構成され、
前記切換弁が、前記ローバー制御装置と連通し、かつ前記電力調節回路によって電力を供給されるようになっている、請求項4~6のいずれか一項に記載の医療廃棄物収集システム。
【請求項8】
前記可動ローバー上で支持され、かつ前記ローバー制御装置と連通する分岐弁であって、前記電力調節回路によって電力を供給され、かつ前記少なくとも1つの廃棄物容器に向かう水及び洗浄流体の流れを調節するように構成される分岐弁をさらに備えている請求項4~7のいずれか一項に記載の医療廃棄物収集システム。
【請求項9】
前記可動ローバー上で支持され、かつ前記ローバー制御装置と連通する圧力センサであって、前記少なくとも1つの廃棄物容器にて印加される真空のレベルを表す圧力信号を有するデータを生成するように構成される圧力センサをさらに備えている請求項1~8のいずれか一項に記載の医療廃棄物収集システム。
【請求項10】
前記シャーシが、前記シャーシ制御装置と連通する電磁石をさらに有し、
前記ローバー制御装置が、前記可動ローバーを前記シャーシに離脱可能に結合するために前記電磁石を励磁するように前記シャーシ制御装置に指示を送るように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の医療廃棄物収集システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、医療および外科手術手順中に生じた医療廃棄物の収集のための
廃棄物収集システムに関する。さらに詳細には、本発明は、外科施設内において容易に搬
送可能であり、多量の医療廃棄物を保持することができる廃棄物収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一部の医療/外科手術手順の実施による副生成物として、液体、半固形状廃棄物、およ
び固形状廃棄物が生じる。この廃棄物は、血液のような体液、および手術手順が行なわれ
る体の部位に導入される灌注溶液を含んでいる。手術手順中に生じた固形状廃棄物および
半固形状廃棄物は、部位に残された組織の破片および外科手術材料の小片を含んでいる。
理想的には、廃棄物は、外科部位を汚染することなく、また手術手順が行なわれる手術室
または他の箇所に生物学的危害をもたらすことなく、生成時に収集されるとよい。
【0003】
廃棄物が生じたときにこの廃棄物を収集するために外科従事者に用いられる多数のシス
テムが市販されている。一般的に、これらのユニットは、吸引源、吸引源から延在する配
管、および配管と吸引源との間の汚染物ユニットを備えている。システムが作動されると
、廃棄物は、配管の開端を通って引き込まれる。吸引力が廃棄物を配管を通って引き込み
、これによって、廃棄物は、汚染物ユニット内に流れ、汚染物ユニット内に貯蔵されるこ
とになる。このような1つのシステムは、出願人が譲受人のNEPTUNE外科用廃棄物
収集システムである。この特別のシステムは、吸引ポンプおよび2つのキャニスターを備
える可動ユニットを備えている。配管は、取外し可能なマニホールドを通して各キャニス
ターに接続されている。このユニットは、可動式であり、手術手順が行なわれる患者の比
較的近傍に配置することができる。これによって、必然的に手術室を乱雑にする吸引配管
が外科従事者の周りに存在する程度を少なくすることができる。このシステムは、外科手
術箇所または手術室からドッキングステーションに車輪転動によって移動され、ドッキン
グステーションにおいて、中身が空にされ、かつ洗浄されることになる。また、このシス
テムは、外科従事者または補助従事者がシステムによって収集された材料に晒される程度
を少なくする特徴を有している。2009年11月24日に刊行された特許文献1は、こ
のシステムの多数の特徴を記載している。この文献の内容は、参照することによって、こ
こに含まれるものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7,621,898号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術による廃棄物収集システムは、多くの利点を有している。しかし、それらのシ
ステムの有用性を損なういくつかの制限がある。第1に、吸引ポンプが可動ユニットに取
り付けられているので、可動ユニットにおいて、騒音緩和材料および処理方法に対して利
用可能な空間が制限され、所望の騒音レベルよりも高い騒音が外科領域のごく近くに生じ
る可能性がある。第2に、現行の廃棄物収集システムは、約24リットルの医療/外科廃
棄物しか貯蔵することができない。処理能力の限界近くまで充填された容器を有する可動
ユニットの重量は、一部の医療従事者が外科手術箇所または手術室とドッキングステーシ
ョンとの間を移動させるのを困難にする場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、医療/外科手術手順中に生じた医療廃棄物を収集するための新規の有用な廃
棄物収集システムに向けられている。本発明のシステムは、可動シャーシに対して選択的
に連結かつ離脱することができる可動ローバーを備えている。可動シャーシは、シャーシ
真空カプラーを有しており、可動ローバーは、ローバー真空カプラーを有している。ロー
バー真空カプラーは、可動シャーシと可動ローバーとの間に真空シールを形成するように
、シャーシ真空カプラーに接続可能になっている。廃棄物容器は、可動ローバーに取り付
けられており、1つまたは複数の吸引ラインに連結されている。真空源は、可動シャーシ
に取り付けられている。この真空源は、外科部位から、吸引ライン、廃棄物容器、ローバ
ー真空カプラー、およびシャーシ真空カプラーを経由する吸引流体連通経路をもたらすこ
とになる。
【0007】
本発明の多くの態様では、システムは、静止ドッカーも備えている。ローバーおよびド
ッカーは、互いに相補的な流体カップリングを備えている。ローバーカップリングは、廃
棄物流体を廃棄のために移送するラインに接続されることになる。
【0008】
本発明のシステムは、まずローバーが取付けられたシャーシを医療/外科手術手順が行
なわれる箇所に隣接して位置決めすることによって、使用の準備がなされる。吸引印加器
および配管が、ローバー廃棄物容器に接続される。シャーシ吸引ポンプが作動される。吸
引ポンプは、吸引力を廃棄物容器を介して吸引印加器に印加する。吸引力の印加の結果と
して、廃棄物が印加器を通って引き込まれ、容器内に一時的に貯蔵される。
【0009】
ローバー廃棄物容器を空にすることが望ましいとき、ローバーは、シャーシから切り離
される。次いで、ローバーは、ドッカーに移動される。いったんローバーがドッカーに係
留されたなら、ローバー容器が空にされる。廃棄物は、ドッカー流体カップリングを通っ
て、接続された廃棄ライン内に移送される。構成要素を可動ユニット(ローバー)から手
術室にとどまるシャーシに移すことによって、ドッカーに向かう方およびドッカーから離
れる方に移動する装置の重量および大きさを低減させることができる。
【0010】
本発明のシステムの代替的態様では、吸引ポンプが取り付けられるユニットであるシャ
ーシは、静止している。本発明のこれらの態様では、手術手順の開始前に、ローバーは、
シャーシに嵌合されるように位置決めされる。手術手順中、ローバーは、シャーシと共に
静止している。容器を空にすることが望ましいとき、ローバーは、シャーシからドッカー
に向かって手動によって押し出される。
【0011】
シャーシが器具ラックとして機能することが、本発明のさらなる特徴である。さらに具
体的には、シャーシは、医療機器、多くの場合、廃棄物収集ユニットが使用される手術手
順中に用いられる電力コンソールを保持している。手術手順に用いられる電力コンソール
またはラック内の機器は、手術手順において機能を果たすようになっているので、シャー
シは、この機器がシャーシに取外し可能に取り付けられるように設計されている。従って
、シャーシは、特定の手術手順に必要な機器を該手術手順の開始前に装填するようになっ
ている。個別の機器カートを有する場合と比較して、機器ラックをシャーシと組み合わせ
ることによって、手術室に占有される全設置面積を縮小することができる。これは、外科
用テーブルの周りに追加的な有用空間をもたらし、乱雑さを減らすことができる。外科用
吸引装置と同じ位置に機器を配置することによって、チューブおよびワイヤの配置経路を
簡素化することができる。機器ラックは、壁に延びる電力コードの数を減らし、これによ
って、足踏み危害をなくし、他の車輪付き機器を手術室に容易に配置することができる。
【0012】
シャーシが可動シャーシである本発明の態様では、シャーシは、廃棄物収集ローバーの
みならず、取り付けられた機器を調整可能に配置するために用いられる装置としても機能
するので、機器を用いる医療従事者が手術手順に最も有用とみなす手術室内の位置に配置
されることになる。
【0013】
本発明のシステムの1つの特徴は、種々のローバーを種々の時期に同一のドッカーに係
留させることができることにある。本発明のシステムを用いる医療施設は、複数のローバ
ーおよび複数のシャーシを有することができる。個々のローバーが共通のドッカーに係留
可能になっていることから、本発明のシステムは、ローバーごとに個別の専用ドッカーを
設ける施設を必要としない。いくつかの施設では、ローバーの全てから廃棄物を受け入れ
るために単一ドッカーを設けるのみでよいことになる。本発明のシステムの他の特徴は、
異なる大きさのローバーを同一シャーシに嵌合することができることにある。異なる大き
さのローバーは、異なる量の廃棄物を保持することができる。
【0014】
本発明は、請求項において具体的に特定されている。本発明の上記および他の特徴なら
びに利点は、添付の図面と関連させて以下の詳細な説明を読むことによって理解されるだ
ろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態による可動シャーシから分離された可動ローバーを示す、本発明の医療/外科用廃棄物収集システムの後方斜視図である。
図2】一実施形態による可動シャーシに嵌合された可動ローバーを示す、医療/外科用廃棄物収集システムの前方斜視図である。
図3】一実施形態による吸引流体連通経路の線図である。
図4】本発明の医療/外科用廃棄物収集システムおよび静止ドッカーのブロック図である。
図5】カバーが取り外されている可動シャーシの後方斜視図である。
図6】上側フレームおよびカバーが取り外されている可動シャーシの後方斜視図である。
図7】上側フレームおよびカバーが取り外されている可動シャーシの前方分解斜視図である。
図8】可動シャーシ電力カプラーの拡大図である。
図9】可動シャーシ真空カプラーの断面図である。
図10】一実施形態による可動ローバーの前方斜視図である。
図11図10の可動ローバーの底区域の拡大前方斜視図である。
図12】上側および下側廃棄物容器の分解斜視図である。
図13】上側廃棄物容器キャップの分解斜視図である。
図14】上側廃棄物容器キャップの組立斜視図である。
図15】可動ローバー真空カプラーの拡大断面斜視図である。
図16】可動ローバー真空カプラーの拡大断面図である。
図17A】可動ローバー内側ハブの前方斜視図である。
図17B】可動ローバー内側ハブの後方斜視図である。
図17C】可動ローバー内側ハブの断面図である。
図18】可動ローバー外側ハブの断面図である。
図19】可動ローバー面シールの断面図である。
図20】可動ローバー逆止弁の断面図である。
図21】可動ローバー電力カプラーの分解図である。
図22】一実施形態による水および廃液流体連通経路の線図である。
図23】本発明の医療/外科用廃棄物収集システムの電気制御システムの略線図である。
図24】可動ローバー真空カプラーに嵌合された可動シャーシ真空カプラーの拡大断面図である。
図25】可動シャーシから分離された可動ローバーを示す、本発明による医療/外科用廃棄物収集システムの代替的実施形態の斜視図である。
図26】医療/外科用廃棄物収集システムの代替的実施形態に用いられるシャーシの他の代替的実施形態の前方斜視図である。
図27図26のシャーシと共に用いられる可動ローバーの他の代替的実施形態の前方斜視図である。
図28】医療/外科用廃棄物収集システムの代替的実施形態に用いられる図26,27のシャーシおよび可動ローバーの吸引流体連通経路の線図である。
図29】カバーが取り外されているシャーシから分離された可動ローバーを示す、図26および図27の医療/外科用廃棄物収集システムの斜視図である。
図30】カバーが取り外されているシャーシに嵌合された可動ローバーを示す、図29の医療/外科用廃棄物収集システムの斜視図である。
図31】シャーシの電力カプラー、真空カプラー、および浮動機構の拡大斜視図である。
図32図31の真空カプラーの拡大断面図である。
図33A】使い捨て入口取付具の斜視図である。
図33B図33Aの使い捨て入口取付具の断面図である。
図33C】使い捨て入口取付具の他の実施形態の斜視図である。
図34】入口受器に取り付けられた制御弁および使い捨て入口取付具の拡大断面図である。
図35】シャーシに取り付けられた入口マニホールドアセンブリの斜視図である。
図36】入口マニホールドの断面図である。
図37】一実施形態による図29の可動ローバーの後方斜視図である。
図38図37の可動ローバーの断面図である。
図39】キャニスターキャップの拡大斜視図である。
図40】対応する可動ローバー上側廃棄物カプラーに嵌合されたシャーシ廃棄物カプラーの拡大断面図である。
図41図37の可動ローバーの底の拡大斜視図である。
図42】可動ローバー真空カプラーの拡大断面図である。
図43】一実施形態による水/廃液流体連通経路の線図である。
図44図26および図27の医療/外科用廃棄物収集システムの電子制御システムの略線図である。
図45】可動ローバー真空カプラーに嵌合されたシャーシ真空カプラーの拡大断面図である。
図46】シャーシの代替的実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[I.概観]
図1図4は、本発明によって構成された医療/外科用廃棄物収集システム50を示し
ている。廃棄物収集システム50は、可動シャーシ100および可動ローバー1000を
備えている。可動ローバー1000は、使用中、可動シャーシ100に嵌合されており、
手術室/外科(医療)領域52(図4)に配置されている。可動シャーシ100は、吸引
カート100と呼ばれることもある。可動ローバー1000は、容器カートまたは可動廃
棄物収集カート1000と呼ばれることもある。
【0017】
図2を特に参照すると、可動ローバー1000は、一対のマニホールド1260を備え
ている。多数の取付具1261が、マニホールド1260に形成されている。マニホール
ド1260は、(参照することによって、ここに含まれる)米国特許第7,615,03
7号にさらに詳細に開示されている。マニホールドの正確な構造は、本発明の一部をなす
ものではない
【0018】
取付具1261は、吸引ライン60を受け入れることができ、他の取付具1261は、
他の吸引ライン64を受け入れることができる。各吸引ライン60,64の遠位端は、そ
れぞれ、吸引印加器ハンドピース62,66に取り付けられている。本出願では、「遠位
側」は、概して、吸引が印加される外科部位に向かう側を指し、「近位側」は、外科部位
から離れる側を指している。いくつかの実施形態では、吸引印加器ハンドピース62,6
6は、吸引を印加する以外の仕事を達成するために外科部位に適用される他の外科用工具
、例えば、外科用ドリル、生検工具、または融除工具内に組み入れられることが可能にな
っている。
【0019】
図3は、一対の連続吸引流体連通経路70,72を示している。これらの経路70,7
2は、可動シャーシ100および可動ローバー1000の組合せによって、吸引印加器6
2,66から吸引ポンプまたは真空ポンプ210にわたって形成されている。真空ポンプ
210が作動されているとき、生じた吸引力は、廃棄物を各吸引印加器62,64内に引
き込むことになる。吸引流体連通経路70に関連する廃棄物流れは、吸引印加器62から
マニホールド1260を通って可動ローバー1000内に移動し、廃棄物容器1200内
に入る。吸引流体連通経路72に付随する廃棄物流れは、吸引印加器66からマニホール
ド1260を通って廃棄物容器1202内に移動する。流体連通経路70,72は、吸引
経路と呼ばれることもある。
【0020】
マニホールド1260の内部フィルターに捕捉されない液体およびこの流れに混入した
小さい固形片は、この流れから各廃棄物容器1200,1202内に沈殿する。従って、
キャニスターが空にされるまで、廃棄物は、各廃棄物容器1200,1202内に貯蔵さ
れることになる。ガスおよびこのガス流れに混入した物質は、各廃棄物容器1200,1
202から逆止弁1700を通って流れ、可動ローバー1000を出て、ローバー吸引ま
たは真空カプラー1600およびシャーシ吸引または真空カプラー400を通って可動シ
ャーシ100内に入る。廃棄物容器1200,1202に吸引力を印加するための代替的
手段をもたらすために、逆止弁1280が、各吸引流体連通経路70,72と並列接続さ
れている。
【0021】
吸引流体連通経路70、従って、容器1200に印加された真空のレベルを測定するた
めに、圧力センサ1698が吸引流体連通経路70に流体連通している。圧力センサ16
98は、吸引流体連通経路70の真空レベルに対応する圧力信号を生成する。同様に、吸
引流体連通経路72、従って、容器1202に印加された真空のレベルを測定するために
、他の圧力センサ1699が吸引流体連通経路72に流体連通している。圧力センサ16
99は、吸引流体連通経路72の真空レベルに対応する圧力信号を生成する。圧力センサ
1698,1699は、容器1200,1202と逆止弁1700との間に取り付けられ
た状態で示されているが、圧力センサ1698,1699は、それぞれ、吸引流体連通経
路70,72における真空レギュレータ222,224の下流のどこに取付けられていて
もよい。一実施形態では、圧力レギュレータ1698は、容器1200内に取付けられて
おり、圧力センサ1699は、容器1202内に取り付けられている。他の実施形態では
、圧力センサ1698、1699は、シャーシカート100内における真空レギュレータ
222,224の下流に取り付けられている。
【0022】
可動シャーシ100内において、吸引流体連通経路70は、シャーシ真空カプラー40
0、真空レギュレータ222、逆止弁226、HEPAフィルター232、および真空ポ
ンプ210を備えている。可動シャーシ100内の吸引流体連通経路72は、シャーシ真
空カプラー400、真空レギュレータ224、逆止弁228、HEPAフィルター232
、および真空ポンプ210を備えている。真空ポンプ210の操作に付随する騒音レベル
を低減させるために、騒音減衰器または排気マフラー236が、真空ポンプ210に接続
されている。
【0023】
図4を参照すると、使用後、可動ローバー1000は、可動シャーシ100から切り離
され、手術室/外科領域52から静止ドッキングステーションまたは静止ドッカー900
に移動される。静止ドッカー900は、典型的には、手術室/外科領域52から遠く離れ
て配置されている。一実施形態では、静止ドッカー900は、1つまたは複数の可動ロー
バー1000を容易に空にすることができるように、いくつかの手術室/外科領域52の
できるだけ近くに配置されている。
【0024】
ローバー1000およびドッカー900は、互いに相補的な流体カップリングを備えて
いる。ローバー1000がドッカー900に係留されると、これらの流体カップリングが
互いに接続される。これらの流体カップリングおよびドッカー900内の導管は、ローバ
ー容器1200,1202から医療施設内の配管ラインに至る流体接続経路をもたらし、
この接続経路を通って、廃棄物が移送され、廃棄されることになる。
【0025】
ローバーがドッカー900に係留されると、ローバー容器内の廃棄物は、ドッカーを通
して空にされる。ドッカーは、可動ローバー容器1200,1202を洗浄する構成要素
も備えている。(参照することによって、ここに含まれる)米国特許第7,621,89
8号は、ドッカーおよび一組のローバー/ドッカーカップリングの構造に関するさらなる
詳細を提示している。ドッカーおよびこれらのカップリングの正確な構造は、本発明の一
部をなすものではない。
【0026】
[II.第1の実施形態]
[A.可動シャーシ]
図1および図2を再び参照すると、本発明の第1の実施形態の可動シャーシ100が示
されている。可動シャーシ100は、略矩形状の下側シャーシ102および略矩形状の上
側シャーシ104を備えている。上側シャーシ104は、互いに離間した一対の支持体1
06によって、下側シャーシ102の上方に支持されている。下側シャーシ102は、外
側カバー107,108を有している。外側カバー108は、U字状の前パネル109、
後パネル110、内パネル111、および外パネル112を備えている。上側シャーシ1
04は、外側カバー114を有している。外側カバー114は、前パネル115、一対の
後ドア116、側パネル117,118、上パネル119、および底パネル120を備え
ている。前パネル115は、いくつかの矩形状開口121を有している。内部空洞122
が、上側シャーシ104内に画定されている。
【0027】
カバー107,108,114,およびドア116は、射出成形プラスチックまたは他
の適切な材料から形成し、適切な方法によって、例えば、固定具の使用によって、下側シ
ャーシ102および上側シャーシ104に取り付けることができる。カバー107,10
8,114,およびドア116は、可動シャーシ100の内部構成要素を保護し、改良さ
れた視覚的外観をもたらすために用いられている。ドア116は、可動シャーシ100の
後部の構成部品ラック138へのアクセスをもたらすものである。
【0028】
レセプタクルまたは空洞124が内パネル111と底パネル120との間に画定されて
いる。空洞124は、可動ローバー1000が可動シャーシ100に嵌合するとき、可動
ローバー1000を受け入れるようになっている。可動ローバー容器1202が医療従事
者から見えるように、U字状切欠き126がパネル109,111に配置されている。電
力カプラー500が前パネル109から開口124内に延在している。電力カプラー50
0は、電力を可動ローバー1000に供給するものである。
【0029】
車輪130が、カバー107の下方において下側シャーシ102に取り付けられている
。車輪130によって、可動シャーシ100を運ぶことができ、手術室/外科領域内にお
いて容易に移動させることができる。車輪130は、車輪130を静止位置に係止するブ
レーキング機構132を備えている。ブレーキング機構132によって、可動シャーシ1
00を手術室内の固定位置に選択的に停止させることができる。
【0030】
互いに離間した2つのハンドル134が、上側シャーシ104の両側に配置され、前パ
ネル115から直角に遠位方向に延在している。ハンドル134によって、医療従事者は
、可動シャーシ100を掴み、該可動シャーシ100を移動させることができる。U字状
フックを有する一対の旋回可能なワイヤ/ホース支持ロッド136が、側パネル117か
ら離れる方に延在している。ロッド136は、側パネル117に向かう方または側パネル
117から離れる方に回転可能になっている。ロッド136によって、医療従事者は、可
動シャーシ100に接続されたワイヤおよびホース(図示せず)を目立たない位置に束ね
て配置することができる。また、ロッド136は、IV流体、灌注液、または膨張溶液の
バッグを保持するために用いられてもよい。
【0031】
上側シャーシ104は、構成部品ラック138を備えている。構成部品ラック138は
、種々の医療/外科用器具、器具コンソール、またはモジュール140を保持するもので
ある。例えば、構成部品ラック138は、機器、器具コンソール、またはモジュール、例
えば、灌注ポンプコンソール、吹付器モジュール、光ファイバー光源モジュール、または
任意の他の適切な外科用器具またはモジュールを収容することができる。ラック138は
、細長の側レール143および十字状レール144によって形成された幾つかの矩形状区
画142を有している。区画142は、前開口121と後開口139との間でラック13
8を貫通している。モジュール140は、ドア116が図1に示されているような開位置
にあるとき、区画142内にすべり込ませることができる。モジュール140がラック1
38内に取り付けられた後、モジュール140の前面は、開口121を通して見えるよう
になっている。
【0032】
上側シャーシ104は、電力帯片146をさらに備えており、電力帯片146を通って
、電力がモジュール140に供給されるようになっている。電力帯片146は、空洞12
2内においてラック138に取り付けられている。電力帯片146は、電力コード147
および電力プラグ148を介して外部の電源に接続されている。電力帯片146は、電力
をモジュール140に供給するため、ワイヤ152に接続された幾つかのコネクタ150
を有している。他の電力コード154および電力プラグ156は、電力を可動シャーシ1
00の他の構成要素に供給するものである。電力コード147,154は、取扱いを容易
にし、乱雑さを抑制するために、それらの長さの一部がシース157によって一緒に束ね
られている。医療施設の電気回路に過剰な電流負荷が生じる可能性を低減させるために、
多数の電力プラグ148,156が用いられている。シャーシ制御装置802(図23
は、プラグ148,156の1つに高周波電圧信号を加え、他のプラグに導通する信号の
強度を監視することによって、プラグ148,156の両方を確実に異なる回路に取り付
けることができる。
【0033】
シャーシ100の操作を制御し、外科用モジュール140の操作を互いに対してかつシ
ャーシ100に対して連係させるために、上側シャーシ104は、前パネル115に取り
付けられたディスプレイアセンブリまたは制御パネル162、およびコントローラまたは
マイクロプロセッサのような電子部品を含む制御モジュール164を有している。電力コ
ード154は、電力を外科用モジュール140以外の可動シャーシ100の構成部品に供
給するものである。外科用モジュール140は、バス168をなすケーブルを通って互い
に連通している。外科用モジュール140は、バス168を通って互いに連通すると共に
制御パネル162にも連通している。本発明のいくつかの態様では、モジュールは、IE
EE1394aに規定されているファイヤーワイヤシステム・アーキテクチャーを用いて
互いに連通している。モジュールを互いに連通させる具体的な手段は、本発明の一部をな
すものではない。機器ラック138をシャーシ100に組み合わせることによって、手術
室に占める全設置面積を縮小することができる。これによって、外科用テーブルの周りに
追加的な有効空間をもたらし、乱雑さを低減させることができる。医療用機器をシャーシ
100と同一位置に配置することによって、チューブおよびワイヤの経路を簡素化するこ
とができる。機器ラック138は、壁に繋がる電力コードの数を少なくし、これによって
、つまづきの危険をなくし、手術内に他の車輪付き機器を容易に配置させることが可能に
なる。
【0034】
図5を参照すると、上側シャーシ104のさらなる詳細が示されている。内部構成要素
を見えるようにするために、下側シャーシ102および上側シャーシ104の構成要素を
通常遮蔽しているカバー107,108,114が、図5では省かれている。ラック13
8は、端197,198を有する互いに離間した一対の平行な細長支持ポスト196によ
って、フレーム180の上方に支持されている。端197は、フレーム180に取り付け
られている。支持ポスト196は、フレーム180から直角に上方に延在している。ラッ
ク138は、端198に取り付けられている。支持ポスト196は、どのような適切な材
料、例えば、鋼から形成されていてもよく、溶接のような適切な方法によってまたは固定
具の使用によって、フレーム180およびラック138に取り付けられている。
【0035】
図6を参照すると、下側シャーシ102のさらなる詳細が示されている。可動シャーシ
100の内部構成要素を見えるようにするために、上側シャーシ104、支持体106、
ポスト196、および下側シャーシ102の構成要素を通常遮蔽しているカバー107,
108は、図6では省かれている。下側シャーシ102は、略平坦なU字状フレーム18
0を備えている。フレーム180は、中心部182および一対のアーム184,186を
有している。一対のアーム184,186は、中心部182から略直角に近位方向に延在
している。アーム184,186は、略同一長さを有しているが、アーム186は、アー
ム184より広くなっている。アーム184,186は、アーム184,186間の距離
が、中心部182に隣接する箇所におけるよりもアーム184,186の近位端において
大きくなるように、傾斜している。アーム184の傾斜は、可動ローバー1000が可動
シャーシ100に嵌合されるとき、可動ローバー1000を開口124内に案内するのを
助長する。
【0036】
フレーム180は、上面187、下面188、およびフレーム180の外周を囲んで直
角に上方に延在する周囲リム190を有している。中心部182およびアーム184,1
86は、それらの間に空洞124の一部を画定している。フレーム180は、どのような
適切な材料、例えば、打抜きシート鋼から形成されていてもよい。4つの車輪130が、
フレーム180の底の4つのコーナの近くに取り付けられており、これによって、シャー
シ100の車輪転動による移動が可能になっている。
【0037】
真空源および濾過をもたらすための真空ポンプ/フィルターアセンブリ200が、フレ
ーム180に取り付けられている。真空ポンプ/フィルターアセンブリ200は、真空源
または真空ポンプ210、真空レギュレータアセンブリ220、およびフィルターアセン
ブリ230を備えている。具体的には、真空ポンプ210は、固定具212を用いて、ア
ーム186の上面187のアーム196の中心の近くに取り付けられている。一実施形態
では、真空源210は、回転ベーン式真空ポンプである。このような1つの真空ポンプは
、イリノイ州ノースブルックのIDEX Corporationの一部署であるGast Manufacturing, In
corporated から市販されている回転ベーン真空ポンプ(Gast 1023 シリーズ1
2CFM、部品番号:1023-318Q-G274AX)である。
【0038】
支持構造240が、固定具(図示せず)を用いて真空ポンプ210に取り付けられてい
る。真空レギュレータアセンブリ220およびフィルターアセンブリ230は、固定具(
図示せず)を用いて支持構造240に取り付けられている。真空レギュレータアセンブリ
220は、真空レギュレータ222,224(図3)および逆止弁226,228(図3
)を単一ユニットに一体化している。フィルターアセンブリ230は、HEPAフィルタ
ー232および真空安全弁234を単一ユニットに一体化している。真空マニホールド2
20およびフィルターアセンブリ230の特徴のさらなる詳細は、2009年11月24
日に刊行された米国特許第7,621、898号に開示されている。この文献の内容は、
参照することによって、ここに含まれるものとする。一対の真空ホース242が、真空レ
ギュレータアセンブリ220とフィルターアセンブリ230との間に接続されている。他
の真空ホース244が、真空ポンプ210をフィルターアセンブリ230に接続している
【0039】
絶縁シェル250が、真空/フィルターアセンブリ200を密閉している。絶縁シェル
250は、真空ポンプ210を含む真空構成要素によって生じる騒音を減衰するものであ
る。絶縁シェル250は、略矩形状であり、5つのパネル252を備えている。パネル2
52は、内部チャンバ256を画定している。絶縁シェル250の内壁は、音響減衰絶縁
物258によって覆われている。絶縁シェル250は、シート金属、鋳造金属、プラスチ
ック、または他の適切な材料から形成されている。絶縁シェル250は、真空/フィルタ
ーアセンブリ200を覆って取り付けられ、固定具(図示せず)によってフレーム180
に固定されている。
【0040】
図7をさらに参照すると、可動シャーシ(吸引カート)100は、浮動カートカップリ
ング特徴部または浮動カプラー300を備えている。浮動カプラー300は、以下に述べ
るシャーシ真空カプラー400およびシャーシ電力カプラー500をシャーシフレーム1
80に対して移動させるために、6自由度を有している。以下に述べるように、この運動
によって、可動シャーシ100に対する可動ローバー1000の電気結合および吸引結合
が容易になる。この浮動カプラーによってもたらされる柔軟性によって、手術室床が凹凸
であっても、すなわち、平らでなくても、嵌合部品のローバー部分およびシャーシ部分を
自動的に真っ直ぐに並べることができる。これによって、ユーザーが手に触れて汚すこと
なくまたは真空カップリングを汚染させることなく、シャーシに対するローバーの迅速な
嵌合を可能とし、外科的設置を早めることが可能になる。
【0041】
浮動カプラー300は、台形状ブラケット302を備えている。ブラケット302は、
その一端から延在する屈曲フランジ306を有している。3つの開口304がブラケット
302を貫通している。支持ポスト310は、ネジ付き端312および円板状ヘッド31
4を有する他端を有している。3つのコイルバネ316が、ブラケット302とフレーム
180の上面187との間に圧縮されている。具体的には、支持ポスト310が、開口3
04を貫通しており、コイルバネ316によって囲まれている、ネジ付き端312は、フ
レーム面187の孔318を貫通している。ナット320がネジ付き端312を固定し、
支持ポスト310をシャーシフレーム180に保持している。
【0042】
バネ316は、ポスト310よりも長くなっている。ブラケット開口304は、ポスト
310の外径よりも大きくかつポストヘッド314の外径よりも小さい外径を有している
。バネ316は、フレーム面187からポスト310の周りに沿って延在し、カプラーブ
ラケット302の下面に押し付けられている。従って、バネ316は、ブラケット302
をフレーム面187の上方に保持することになる。ブラケット302の上向き運動は、ポ
ストヘッド314に対するブラケット302の上面の当接によって制限される。もしポス
ト310の本体がブラケット開口304よりも小さい直径を有しているなら、ブラケット
は、ポスト310、従って、フレーム180に対して3軸を中心として並進運動および回
転運動することができる。
【0043】
垂直方向を向いた矩形状壁324は、前面326および後面328を有している。壁3
24は、ブラケット302が壁324に対して略直交するように、ブラケット302のフ
ランジ306に取り付けられている。壁324は、シート金属から形成されており、溶接
のような適切な方法によってまたは固定具を用いて、フランジ306に取り付けられてい
る。壁342の底部330は、空洞124に隣接する領域のリム190の上方に延在して
いる。一対の孔334が、壁324の下側中心の近くに配置され、壁324を貫通してい
る。孔334の各々は、4つの等間隔に配置された開口336によって囲まれている。2
つの追加的な開口338が、壁324の片側の近くに配置されている。
【0044】
他のL字状ブラケット350が、壁324の前面に取り付けられている。図8を参照す
ると、ブラケット350は、水平プレート352,第1の垂直プレート354、第2の垂
直プレート356、および水平プレート352と第1の垂直プレート354との間に位置
する傾斜区域358を備えている。水平プレート352は、垂直プレート354,356
に対して略直交している。第1の垂直プレート354および第2の垂直プレート356は
、互いに平行であり、かつ互いにいくらか離間している。水平プレート352の一端は、
壁324の前面326に取り付けられている。水平プレート352は、溶接によってまた
は固定具の使用によって、前面326に取り付けられている。第1の矩形状通路360が
、第1の垂直プレート354に画定され、第2の矩形状通過362が、第2の垂直プレー
ト356に画定されている。通路360,362は、互いに同軸である。
【0045】
図6および図7を再び参照すると、浮動カプラー300は、カバーまたはシュラウド3
70をさらに備えている。シュラウド370は、シャーシ電力カプラー500を密閉し、
保護するものである。ブラケット302,350、壁324、およびシュラウド370は
、シート金属から形成されていてもよいし、またはプラスチック材料から形成されていて
もよい。シュラウド370は、略U字状であり、直立壁372、底壁374、および2つ
の傾斜区域376を備えている。直立壁372は、適切な方法によって、例えば、固定具
によって、ブラケットプレート352に取り付けられている。傾斜区域358および傾斜
区域376は、可動シャーシ1000および可動ローバー100が互いに嵌合するとき、
可動シャーシ1000内への可動ローバー1000の心出しを助長する。ブラケット35
0は、壁372をいくらか超えて延在しており、突起またはリップ377を画定している
【0046】
浮動カプラー300によって、シャーシ真空カプラー400およびシャーシ電力カプラ
ー500を可動ローバー1000の対応する嵌合特徴部に対してより容易に位置合わせさ
せるために、いくらか上方、下方、側方、遠位方向、および近位方向に回転させかつ移動
させることができる。特に、コイルバネ316によって、ブラケット302、壁324、
およびシュラウド370をフレーム180に対して適所にいくらか傾斜させ、かつ移動さ
せることができる。その結果、シャーシ真空カプラー400およびシャーシ電力カプラー
500は、コイルバネ316の付勢に対してあらゆる方向に移動することができ、これに
よって、ローバー1000に対する嵌合が容易になる。
【0047】
浮動カプラー300は、壁324に取り付けられた2つのシャーシ真空カプラー400
を備えている。図9を参照すると、各シャーシ真空カプラー400は、シャーシ内側ハブ
410、電磁石420、シャーシ外側ハブ430、およびエルボー取付具450を備えて
いる。内側ハブ410は、略スプール状であり、環状外面412、および孔411を画定
する環状内面413を有している。遠位側に延在するボス414が、内側ハブ410の片
側に配置されている。ボス414は、壁孔334に嵌入されている。環状空洞415が、
環状外面412に画定されている。ワイヤ巻線422が、空洞415内に配置され、電力
がワイヤ巻線422に印加されたとき、電磁石420を形成する。図では、電磁石420
として示されているが、一実施径形態では、永久磁石であってもよい。雌ネジ山416が
、内面413に形成されている。雌ネジ山416は、ボス414の端から始まり、内面4
13に沿って孔411の長さの略半分にわたって延在している。
【0048】
内側ハブ410および外側ハブ430は、電磁石420が励磁されたときに内側ハブ4
10および外側ハブ430が磁場を生じるように、鋼のような強磁性材料から形成されて
いる。リング状の外側ハブ430は、面432,434および環状段435を有している
。面434は、壁面326に隣接しかつ接触して取り付けられている。外側ハブ430は
、面434から孔334内に延在する環状リム436をさらに備えている。4つのネジ付
き孔438が、面434に画定されている。ネジ付き固定具444が、外側ハブ430を
壁324に保持するために、ネジ付き孔438にねじ込まれている。孔440が、面43
2,434間にわたって外側ハブの中心を貫通し、内面442によって画定されている。
環状外面412および内面442は、内側ハブ410が外側ハブ430に保持されるよう
に、テーパが付されている。他の実施形態では、内側ハブ410は、外側ハブ430に圧
入されるか、または外側ハブ430に接着剤によって接続されている。
【0049】
エルボー取付具450が、各内側ハブ410に接続されている。エルボー取付具450
は、ネジ付き端452を有している。ネジ付き端452は、内側ハブのネジ山416に螺
合されるネジ山453を有している。各エルボー取付具450の他端は、真空ホース24
6に接続されている(図7)。各真空ホース246は、エルボー取付具450と真空マニ
ホールド220の対応する取付具との間に延在している。
【0050】
図8を参照すると、シャーシ電力カプラー500のさらなる詳細が示されている。シャ
ーシ電力カプラー500は、誘導結合によって、電力をシャーシ100からローバー10
00に伝送するものである。シャーシ電力カプラー500は、ワイヤ巻線510が巻き付
けられたフェライトコア508を備えており、ワイヤ巻線510およびフェライトコア5
08は、いずれもプレート開口360,362内に取り付けられている。ワイヤ巻線51
0は、電気ケーブル520によって、AC電源に接続されている。ケーブル520の周り
に配置された電気フィルター530は、ローバーへの電気信号の伝送による電気的騒音の
放出を低減させるものである。絶縁材料から形成されたカバー540が、巻線510を覆
おっている。可動ローバー1000が可動シャーシ100に嵌合されたとき、電力カプラ
ー500は、可動ローバー1000の他の巻線に対する巻線510の誘導結合を介して、
電力を可動ローバー1000に供給する。これによって、ユーザーが手動によって個別の
電気接続を行なうことなく、電力を弁、光源、および流体量測定センサのようなローバー
の構成要素に供給することができる。
【0051】
図6および図7を参照すると、可動シャーシ100は、シャーシデータ連通モジュール
6002をさらに備えている。シャーシデータ連通モジュール600は、可動シャーシ1
000と可動ローバー100との間のデータおよび情報の交換を容易にするものである。
シャーシデータ通信モジュール600は、電子通信回路620を含む印刷回路基板610
を備えている。電子通信回路620は、信号結合回路と呼ばれることもある。印刷回路基
板610は、壁324の後面328に取り付けられている。通信回路620は、赤外線発
光ダイオード(IRLED)送信機630および受信機640に接続されている。IRL
ED送信機630および受信機640は、印刷回路基板610に取り付けられており、I
RLED送信機630および受信機640が近位方向を向くように、壁開口338を通っ
て延在している。IRLED送信機630および受信機640は、浮動カプラー機構30
0に取り付けられているので、ローバー1000がシャーシ100に連結されたとき、対
応するローバーデータ通信モジュールに対して自己整合することになる。
【0052】
[B.可動ローバー]
図10を参照すると、廃棄物収集システム50は、シャーシ100に離脱可能に嵌合さ
れる可動ローバー1000をさらに備えている。図10において、内部構成要素をより明
瞭に見せるために、可動ローバー1000の内部部品を通常遮蔽しているカバーが省かれ
ている。可動ローバー1000は、上側廃棄物容器1200および下側廃棄物容器120
2を備えている。フレーム1204が下側廃棄物容器1202を支持しており、下側廃棄
物容器1202が上側廃棄物容器1200を支持している。上側廃棄物容器1200は、
上側容器1200内の廃棄物を重力によって下側容器1202内に空けることができるよ
うに、下側廃棄物容器1202の上方に取り付けられている。2つの廃棄物容器1200
,1202が図10に示されているが、いくつかの実施形態では、可動ローバー1000
は、1つのみの廃棄物容器を有していてもよい。
【0053】
図11をさらに参照すると、フレーム1204は、平坦な矩形状の可動ベース1206
、およびU字状支持部材1208を備えている。フレーム1204の構成要素は、鋼のよ
うな金属から形成されているとよい。ベース1206は、上面1207および底面120
9を備えている。支持部材1208は、上面1207に取り付けられている。下側廃棄物
容器1202は、支持部材1208に取り付けられた底支持リング1210を有している
。4つの車輪1212が、可動ローバー1000の車輪転動による移動を可能にするため
に、ベース1206の底に取り付けられている。
【0054】
図1および図2を参照すると、ベース1206は、カバー1002によって覆われてい
る。前カバー1004が、廃棄物容器1200,1202の前面を被って取り付けられて
おり、後カバー1006が廃棄物容器1200,1202の後面を被って取り付けられて
いる。ハンドル1010は、掴みバー1012およびフレーム1204に取り付けられた
アーム1014を有している。解除ボタン1015のような入力装置が、掴みバー101
2に取り付けられている。ボタン1015は、可動ローバー1000を可動シャーシ10
0に保持する電磁石420(図9)の作動を停止するものである。医療従事者は、ハンド
ル1010を押すかまたは引っ張ることによって、可動ローバー1000を位置決めする
ことができる。透明窓1020,1022が、前カバー1002に形成されており、これ
によって、ユーザーは、廃棄物容器1200,1202の内容物を視覚的に確認すること
ができる。
【0055】
カバー1002,1004,1006およびハンドル1010は、成形プラスチックか
ら形成され、適切な方法によって、例えば、固定具の使用によって、フレーム1204お
よび廃棄物容器1200,1202に取り付けられている。カバー1002,1004,
1006は、可動ローバー1000の内部構成要素を保護し、かつ改良された視覚的外観
をもたらすために用いられている。
【0056】
図10を特に参照すると、上側廃棄物容器1200は、上側キャニスター1218を備
えている。上側キャニスター1218は、円筒状に見えるが、いくらか円錐台状になって
いる。上側キャニスター1218は、医療/外科廃棄物を保持するための上側廃棄物チャ
ンバ1220を画定している。上側キャップ1222が、上側キャニスター1218を覆
っており、これによって、上側廃棄物チャンバ1220を密閉している。下側廃棄物容器
1202は、いくらか円錐台状の下側キャニスター1224を備えている。下側キャニス
ター1224は、廃棄物を保持するための下側廃棄物チャンバ1226を画定している。
下側キャップ1228が、下側キャニスター1224を覆っており、これによって、下側
廃棄物チャンバ1226を密閉している。
【0057】
下側キャニスター1224は、略10リットルから40リットルの間の比較的大きな容
積を有している。上側キャニスター1218は、略1リットルから10リットルの間のよ
り小さい容積を有している。キャニスター1218,1224は、円錐台形状を有するも
のとして示されているが、他の形状が用いられてもよい。キャニスター1218,122
4およびキャップ1222,1228は、その少なくとも透明の部分が成形プラスチック
から形成されている。上側キャップ1222および下側キャップ1228にさらなる剛性
をもたらすために、構造的支持/取付け特徴部1225が、キャップ1222,1228
の外面に形成されており、これによって、キャップ1222,1228の倒れを防ぎ、他
の構成部品をキャップ1222,1228に取り付けることが可能になる。
【0058】
図12をさらに参照すると、キャニスター1218,1224は、それぞれ、底123
0,1232を備えている。外壁1234,1236は、それぞれ、底1230,123
2から開端に向かって上方に延在している。環状リム1238,1240が、それぞれ、
開端において、外壁1234,1236の各々の周りに周方向に延在している。溝124
2,1244が、それぞれ、リム1238,1240に画定されている。キャップ122
2,1228をキャニスター1218,1224に封止するために、エラストマーシール
1246,1248が、それぞれ、溝1242,1244に配置されている。
【0059】
キャップ1222,1228の各々は、周辺リップ1250,1252を備える略ドー
ム形状を有している。周辺リップ1250,1252は、それぞれ、キャニスター121
8,1224のリム1238,1240にそれらの間にエラストマーシール1246,1
248を介在させて係合されている。V字状クランプ1254,1256が、それぞれ、
周辺リップ1250,1252をリム1238,1240に締め付けることによって、キ
ャップ1222,1228をキャニスター1218,1224に固定している。
【0060】
マニホールド受器1258が、それぞれ、キャップ1222,1228に取り付けられ
ている。マニホールド受器1258は、使い捨てマニホールド1260(図2参照)を受
け入れるように構成されている。マニホールド1260は、廃棄物を患者に近接する1つ
または複数の部位から吸引ライン60,64(図2参照)を通して廃棄物容器1200,
1202に導くものである。単一の吸引ライン60,64が、図2において、使い捨てマ
ニホールド1260の各々に取り付けられた状態で示されている。最大4つの吸引ライン
が各使い捨てマニホールド1260に取り付け可能になっている。吸引ライン60の遠位
端は、吸引印加器62に接続されており、吸引ライン64の遠位端は、吸引印加器66に
接続されている。吸引印加器62,66は、さらなる外科手術手順を行なう他の外科用工
具および外科用器具内に組み込まれていてもよい。
【0061】
一実施形態では、使い捨てマニホールド1260は、吸引ライン60,66から受けた
廃棄物をキャニスター1218,1224に入る前に濾過するために、フィルター(図示
せず)を備えている。
【0062】
上側キャニスター底1230は、固定具(図示せず)を用いて、支持プラットホーム1
211に取り付けられている。支持プラットホーム1211は、下側キャニスターキャッ
プ1228に取り付けられている。具体的には、支持プラットホーム1211は、固定具
(図示せず)を用いて、下側キャニスターキャップ1228の取付け特徴部1225に取
り付けられている。
【0063】
図13および図14を参照すると、キャップ1222,1228のさらなる特徴が示さ
れている。図13および図14では、上側キャップ1222のみが示されている。下側キ
ャップ1228は、上側キャップ1222と同じ特徴を有している。ただし、下側キャッ
プ1228の寸法は、下側キャニスターのより大きい寸法に対応して、大きくなっている
【0064】
各キャップ1222,1228内には、スプリンクラーヘッド1180に接続されたス
プリンクラーポート1172が設けられている。スプリンクラーポート1172およびス
プリンクラーヘッド1180は、廃棄物キャニスター1218,1224を洗浄するため
の水および洗浄流体の源に接続されている。
【0065】
各キャップ1222,1228内に、廃棄物導管または廃棄物ポート1270が設けら
れている。廃棄物導管1270は、マニホールド受器1258からその関連するキャニス
ター1218または1224内に至る流体連通経路として機能する。導管1270の出口
は、流入する空気および廃棄物の流れをキャニスター1218,1224の中心軸から該
キャニスターの外壁1234,1236に向かって導くようになっている。空気および廃
棄物をキャニスター壁1234,1236に向かって導くことによって、キャニスター内
に生じる流体面の擾乱が最小限に抑えられ、貯蔵された流体量をより正確に測定すること
ができる。また、空気および廃棄物の流れを強制的にキャニスター壁1234,1236
に向かって導くことによって、液体と空気との分離を促進することができる。流入する空
気内に捕捉された流体粒子は、空気よりもかなり重い。空気は、キャニスター壁に衝突し
たときに、その方向が変化する。しかし、流体粒子は、重すぎるので、その方向を変化さ
せることができない。流体粒子は、キャニスター壁に衝突し、表面張力によって該壁に付
着し、キャニスターの底に流れ落ちることになる。
【0066】
真空ポートまたは真空導管1564が、キャップ1222,1228の各々を通って画
定されている。90°エルボー継手1500が、真空ポート1564の各々に取り付けら
れている。エルボー継手1500は、真空ポート1564に接続された一端、および真空
ライン1496,1510(図10)に接続された他端を有している。エルボー継手15
00は、真空ポート1564および真空ライン1496,1510内に圧入可能になって
いる。真空ライン1496,1510の他端は、ローバー真空カプラー1600(図10
)に接続されている。
【0067】
キャップ1222,1228の各々は、水滴および廃棄物が真空システムおよび真空ラ
イン1496,1510に侵入し、真空ポンプ210を塞ぐおそれを防ぐために、フィル
ター/フロートアセンブリ1562を備えている。
【0068】
上側キャップ1222の真空ポート1564は、フィルター区画1566内に開いてい
る。フィルター区画1566は、上側キャップ1222の底から下方に延在する仕切り壁
1568によって画定されている。フィルター/フロートアセンブリ1562は、フィル
ター区画1566内に取り付けられている。
【0069】
フィルター/フロートアセンブリ1562は、フィルター区画1566内に配置された
ミストトラップ1570を備えている。上側キャニスター1218内から真空ポート15
64内に入る任意の流体、例えば、空気は、ミストトラップ1570を先ず通過しなけれ
ばならない。ミストトラップ1570は、活性化炭素材料を含む多孔性構造を有するフィ
ルター要素である。ミストトラップ1570は、保持部材によってフィルター区画156
6内に保持されている。保持部材は、複数の細長ベント1576を画定するベントプレー
ト1574を備えており、これによって、流体をミストトラップ1570内に通流させる
ことができる。ベントプレート1574は、上方に延在するスリーブ1578を備えてい
る。
【0070】
フロート1580は、プラスチックまたは他の軽量材料から形成されており、スリーブ
1578上に摺動可能に支持されている。フロート1580は、バルーン状ヘッド158
2、および該ヘッド1582から先端1586に向かって上方に延在するネック1584
を備えている。ネック1584は、スリーブ1578内に摺動するようになっている。ネ
ジ山が先端1586に画定されている。ステム1590が、その一端に先端1586のネ
ジ山と係合するネジ山を有している。ステム1590は、ステム1590と先端1586
との間にシール部材1596を捕捉する肩部1594を有している。ステム1590は、
ネック1584から第2の端に延在している。ネック1584は、真空ポート1564の
底において上側キャップ1222内に画定された孔内に摺動可能に支持されている。
【0071】
廃棄物収集システムの使用中、もし上側キャニスター1218における廃棄物のレベル
が所定の閾値を超えたなら、廃棄物がフロート1580を上方に持上げ、ステム1590
の第2の端を真空ポート1564内に押し込む。その結果、肩部1594が上側キャップ
1222と当接し、フロート1580のさらなる上方移動を阻止する。この時点で、シー
ル部材1596が真空ポート1564を覆い、真空ポンプ210からの吸引を機械的に遮
断する。これによって、廃棄物流体が上側キャニスター1218から真空ポート1564
に入ることが阻止される。フロート1580は、電子的遮断の故障によって廃棄物が真空
ポンプ210内に引き込まれるのを阻止するための予備の遮断弁をもたらしている。
【0072】
図12は、上側キャニスター1218の廃棄物を重力によって下側キャニスター122
4に空けるのを容易にするために、上側キャニスター1218と下側キャニスター122
4との間に配置された切換弁1276を示している。切換弁1276は、廃棄物容器12
00,1202間の真空経路を封止するように選択的に閉鎖可能になっており、これによ
って、独立した真空調節を行なうことができる。開位置では、上側キャニスター1218
内の廃棄物が、重力の影響を受けて、下側キャニスター1224に排出される。閉位置で
は、廃棄物は、上側キャニスター1218内に保持される。一実施形態では、上側キャニ
スター1218から下側キャニスター1224への廃棄物の排出を助長するために、低レ
ベルの真空が下側キャニスター1224に印加されるようになっている。切換弁1276
は、弁球とすることができる。切換弁1276によって、可動ローバー1000は、多量
の廃棄物を保持することができ、空にすることが必要とされる前に、いくつかの医療手術
手順に用いることができる。
【0073】
切換弁1276は、切換弁アクチュエータまたはモータ1278によって移動するよう
になっている。切換弁モータ1278は、切換弁1276を開位置と閉位置との間で移動
させるように、切換弁1276に連結されている。開位置では、キャニスター1218,
1224間に連通が生じ、閉位置では、キャニスター1218,1224間の流体連通が
遮蔽される。切換弁1276および切換弁モータ1278は、いずれも支持プラットホー
ム1211に取り付けられている。切換弁1276および切換弁モータ1278のさらな
る詳細は、米国特許第7,621,898号に開示されている。この文献の内容は、参照
することによって、ここに含まれるものとする。
【0074】
図11は、ローバー真空カップリング1600のさらなる詳細を示している。平坦な矩
形状の取付けプレート1300が、フレーム1204の上面1207から直角に上方に延
在している。取付けプレート1300は、金属から形成されており、フレーム1204に
取り付けられている。取付けプレート1300は、遠位面1302および近位面1304
を備えている。2つの開口1306(図16参照)が、取付けプレート1300の上端の
近くに画定され、取付けプレート1300を完全に貫通している。他の対のより小さい直
径の開口1308(図16参照)が、各開口1306の互いに向き合った側において互い
に直径方向に向き合っている。矩形状凹部1310が、フレーム1204に隣接する取付
けプレート1300の底縁の近くに配置されている。2つのローバー真空カップリング1
600は、取付けプレート1300に並んで取り付けられている。真空カプラー1600
は、可動ローバー1000から遠位方向を向いており、可動ローバー1000が可動シャ
ーシ100に嵌合したとき、空洞124(図1)の方を向くようになっている。
【0075】
図15および図16を参照すると、ローバー真空カプリング1600の断面図が示され
ている。ローバー真空カップリング1600は、ローバー内側ハブ1610、ローバー外
側ハブ1640、面シール1660、逆止弁1700、およびエルボー取付具1750を
備えている。面シール1660は、ローバー外側ハブ1640を囲んでおり、ローバー外
側ハブ1640は、ローバー内側ハブ1610の一部を囲んでいる。ローバー内側ハブ1
610は、逆止弁1700を含んでいる。逆止弁1700は、可動シャーシ100から可
動ローバー1000への吸引流体の流れを阻止し、可動ローバー1000から可動シャー
シ100への吸引流体の流れのみを可能にするものである。さらに、逆止弁1700によ
って、ローバー1000は、代替的吸引源、例えば、逆止弁1280(図3)を介して接
続される外部吸引源に接続可能になる。また、逆止弁1700は、可動ローバー1000
が可動シャーシ100から切り離されたとき、真空カプラー1600内に残留する材料の
滴下を阻止することができる。
【0076】
図17A図17Cは、ローバー内側ハブ1610の詳細を示している。ローバー内側
ハブ1610は、両端1611,1612および環状中心フランジ1614を備える略円
筒形状を有している。中心フランジ1614は、両側面1615,1616を有している
。ボス1618が側面1615から直角に遠位方向に延在しており、ボス1619が側面
1616から直角に近位方向に延在している。孔1620Aが内側環状面1609によっ
てボス1618に画定されており、孔1620Bが内側環状面1608によってボス16
19に画定されている。孔1620A,1620Bは、互いに同軸である。孔1620A
,1620B間において、環状壁1625が、中心フランジ1614から部分的に内方に
延在している。
【0077】
環状段1622が、ボス1618の基部から遠位方向に延在している。環状溝1621
が、段1622に隣接してボス1618の外面に画定されている。2つの直径方向におい
て互いに向き合ったポスト1624が、ボス1618の両側において側面1615から直
角に延在している。
【0078】
ボス1619の一部が除去され、切欠き1626を画定している。切欠き1626は、
エルボー取付具1750の一部を受け入れるものである。長孔1627が、ボス1619
の長さに沿って画定されている。2つの直径方向において向き合ったポスト1628が、
ボス1619の両側において側面1616から直角に近位方向に延在している。ネジ付き
孔1629が、各ポスト1628内に延在しており、一対のタブ1630がポスト162
8の各々から傾斜して延在している。タブ1630は、それらの間に傾斜した長孔163
2を画定している。雄ネジ山1634が、ボス1618の外面に画定されている。
【0079】
図18を参照すると、ローバー外側ハブ1640が示されている。ローバー外側ハブ1
640は、遠位面1641および近位面1642を備える略円筒形状を有している。ロー
バー外側ハブ1640は、遠位面1641に隣接する外側環状面1643を有している。
環状フランジ1644が、外側環状面1643から外方に延在し、段1645を画定して
いる。他の外側環状面1646が、近位面1642に隣接している。外側環状面1643
の直径は、外側環状面1646の直径よりも大きくなっている。他の段1647が、フラ
ンジ1644と外側環状面1646との間に画定されている。近位方向を向く傾斜面16
48が、段1647から外方に延在している。
【0080】
中心貫通孔1650が、ローバー外側ハブ1640を貫通し、環状内面1651によっ
て画定されている。雌ネジ山1652が、環状内面1651に画定されている。外側ハブ
の雌ネジ山1652は、内側ハブ1610および外側ハブ1640が互いに取り付けられ
るように、内側ハブの雄ネジ山1634(図17A)に嵌合される。座ぐり孔1654が
、近位面1642からローバー外側ハブ1640内に部分的に延在している。座ぐり孔1
654は、近位側を向く部分的円錐面1655によって画定されている。環状溝1656
が、環状内面1651に画定されている。環状リップ1658が、遠位面1641に隣接
して孔1650内に延在している。
【0081】
ローバー外側ハブ1640は、磁場に吸引される鋼のような強磁性材料から形成されて
いる。ローバー内側ハブ1610は、プラスチックから形成されていてもよいし、または
金属から形成されていてもよい。外側ハブ1640は、電磁石420(図9)が励磁され
たとき、可動シャーシ真空カップリング400に吸引される。
【0082】
図19は、面シール1660の詳細を示している。面シール1660は、中心体166
2、遠位側を向いた柔軟な環状リム1663、および近位面1664を備える略円筒形状
を有している。面シール1660は、外側環状面1666および中心貫通孔1668を有
している。孔1668は、環状内面1670によって部分的に画定されている。座ぐり孔
1672が、近位面1664から部分的に面シール1660内に延在している。座ぐり孔
1668は、環状内面1673によって画定され、段1674で終端している。
【0083】
環状溝1676が、環状内面1670に画定されている。環状溝1676は、環状傾斜
面1678、環状段1689、および孔1668内に延在する環状リップ1682によっ
て、さらに画定されている。環状溝1676は、面シール1660の中心の近くに配置さ
れている。柔軟な環状リム1663は、環状リップ1682の基部に向かって傾斜する傾
斜内面1684を有している。面シール1660は、面シール1660がいくらか圧縮さ
れるようにかつリム1663が周方向外方および内方に撓むように、ゴムまたはプラスチ
ックのような弾性材料から形成されているとよい。
【0084】
図20を参照すると、逆止弁1700の詳細が示されている。図20では、逆止弁17
00は、吸引空気の流れを塞ぐ閉位置にある状態で示されている。逆止弁1700は、略
円筒形状を有している。逆止弁1700は、弁ヘッド1730を含む円筒状中空弁体17
02を有している。弁体1702は、遠位端1704および向き合った近位端1706を
備えている。弁体1702は、外周面1708を有している。環状溝1710が、外面1
708の端1706の近くに画定されている。ゴムシール1712が、環状溝1710内
に取り付けられている。
【0085】
弁体1702は、内面1715を備える中心通路1714を有している。開口1716
が、丸形リップ1718によって通路1714の端1706に画定されており、他の開口
1720が、通路1714の端1704に画定されている。環状長孔1722が、内面1
715の弁体1702の近くに画定されている。環状段1724が長孔1722と内面1
715との間に画定されており、他の環状段1726が長孔1722の他端に画定されて
いる。部分的円錐面1728が、通路1714の方を向いて弁体1702内に画定され、
段1726と遠位端1704との間に位置している。
【0086】
弁ヘッド1730は、略キノコ状であり、ステム1734に取り付けられた丸形キャッ
プ1732を有している。キャップ1732は、近位側を向く上面1736および遠位側
を向く底面1738を有している。環状凹部1740が、ステム1734を囲むように底
面1738に画定されている。柔軟な環状リップシール1739が、段1724に取り付
けられている。円錐状弁部材1742が、開口1720に隣接して通路1714内に取り
付けられている。弁部材1742は、円錐壁1744および中空円筒ポスト1745を有
している。円錐壁1744は、弁部材1742が遠位方向に移動しないように、円錐面1
728に接触して配置されている。孔1746が、ポスト1745の中心を通って画定さ
れている。孔1746は、ステム1734を受け入れるようになっている。ポスト174
5は、ステム1734を孔1746内において線状に摺動可動に支持している。
【0087】
コイルバネ1747が、ステム1734およびポスト1745を囲んでいる。コイルバ
ネ1747は、遠位端1748および近位端1749を有している。遠位端1748は、
円錐壁1744およびポスト1745の接合点に位置している。近位端1749は、凹部
1740内に保持されている。コイルバネ1749は、キャップ上面1736の一部がリ
ップシール1739に接触して着座する閉位置に、弁ヘッド1730を付勢している。リ
ップシール1739とキャップ上面1736との接触によって、リップシール1739は
、端1706に向かって撓むことになる。弁ヘッド1730が最大開位置にあるとき、弁
ヘッド1730の遠位方向の運動は、キャップ底面1736と環状段1726および円錐
壁1744との係合によって制限される。
【0088】
図16図17A図17Cおよび図20を参照すると、逆止弁1700は、内側ハブ
孔1620A内に取り付けられている。この状態にあるとき、逆止弁外面1708は、内
側ハブ内面1609によって囲まれており、逆止弁端1706は、内側ハブ壁1625に
当接している。弁1700と内側ハブ1610との間を封止するために、シール1712
が、溝1710の底と内側ハブ内面1609との間に圧縮される。このシールによって、
逆止弁1700と内側ハブ1610との間の真空の漏れを実質的になくすことができる。
逆止弁1700は、逆止弁遠位端1704の一部にわたって延在する外側ハブ環状リップ
1658によって、孔1620A内にさらに保持されている。
【0089】
図16図18および図19を参照すると、面シール1660は、外側ハブ1640を
囲んで取り付けられている。具体的には、外側ハブフランジ1644は、面シール溝16
76によって囲まれており、外側ハブ段1647は、面シール段1680に当接している
。ゴム面シール1660の柔軟性によって、面シール1660を外側ハブ1640の全体
にわたって引き伸ばすことができる。面シールリップ1682は、外側ハブ段1645の
上に取り付けられており、外側ハブ段1645に当接している。面シールの近位面166
4は、取付けプレート面1302と当接し、取付けプレート面1302に対していくらか
圧縮されている。中心体1662は、取付けプレート面1662と外側ハブ段近位面16
47との間に挟まれ、圧縮されている。中心体1662は、ゴムのような弾性材料から形
成されているので、真空カプラー400に嵌合されるとき、外側ハブ遠位面1641を撓
ませ、位置合せを助長することによって、バネとして作用する。
【0090】
図16図17A図17Cおよび図18を参照すると、ローバー内側ハブ1610は
、取付けプレート1300に取り付けられている。具体的には、内側ハブボス1618お
よび段1622は、取付けプレート孔1306を貫通し、内側ハブフランジ面1615は
、取付けプレート近位面1304に当接し、内側ハブポスト1624は、開口1308を
貫通している。ローバー内側ハブ1610は、ローバー外側ハブ1640に嵌合され、連
結されるようになっている。面シール1660が外側ハブ1640に取り付けられ、この
組合体が、取付けプレート1300の遠位側に配置され、次いで、内側ハブ1610に対
して回転され、またはねじ込まれる。
【0091】
具体的には、内側および外側ハブ1610,1640を一緒に保持するために、外側ハ
ブネジ山1652は、内側ハブネジ山1634に螺合される。外側ハブ1640が内側ハ
ブ1610に対して回転すると、面シール近位面1664(図19)が取付けプレート面
1302に当接し、取付けプレート面1302に対していくらか圧縮される。シール17
70が、外側ハブ傾斜面1655と内側ハブ段1622との間に圧縮され、内側ハブ16
10と外側ハブ1640との間に真空シールを形成する。このシールによって、内側ハブ
1610と外側ハブ1640との間の真空の漏れを実質的になくすことができる。
【0092】
図16および図17Bを再び参照すると、90°エルボー取付具1750は、棘付き端
1752および他の端1754を有している。環状溝1756が、端1754の外面に画
定され、シール1755を受け入れている。端1754は、内側ハブ切欠き1626およ
び孔1620B(図17B)を受け入れている。シール1755は、溝1756の基部と
内側ハブ1610の内面1608との間に圧縮され、エルボー取付具1750と内側ハブ
1610との間にシールを形成している。このシールによって、内側ハブ1610とエル
ボー取付具1750との間の真空の漏れを実質的になくすことができる。
【0093】
環状棘1758が、端1752の外面に画定されている。エルボー取付具1750は、
真空ライン1496,1510の各々に連結されている。具体的には、取付端1750は
、真空ライン1499,1510の各々に接続されている。環状棘1758は、真空ライ
ン1496,1510の内面を把持している。管腔1760が、エルボー取付具1750
を通って画定されている。図15は、取付具1750の各側面に配置された直径方向にお
いて互いに向き合った一対の特徴部1762を示している。ネジ付き固定具1764、例
えば、ネジが取付特徴部1762の各々を貫通し、ネジ付き孔1629(図17B)に保
持され、エルボー取付具1750の全体にわたって延在するワイヤクリップ1766に取
り付けられている。このようにして、エルボー取付具1750は、内側ハブ1610に取
り付けられている。
【0094】
可動ローバー電力カプラー1800が、図21に示されている。ローバー電力カプラー
1800は、シャーシ電力カプラー500(図8)から電力を受給するものである。ロー
バー電力カプラー1800は、誘導結合によって、可動シャーシ電力カプラー巻線510
図8)から誘導結合によって電力を受給するようになっている。ローバー電力カプラー
1800は、固定具1804(図11)によってフレーム底面1208に取り付けられた
矩形状ハウジング1802を備えている。カバー1806が、カバー開口1810を貫通
するネジ付き固定具1808を用いて、ハウジング1802の前面に取り付けられている
。カバー1806は、成形プラスチックのような非導電性材料から形成されている。カバ
ー1806は、空洞1816および遠位側を向く開口1818を有している。前プレート
1820が開口1818を覆って取り付けられており、空洞1816を密閉している。前
プレート1820は、プレート1820を空洞1816内に保持するために、カバー18
06の部分に当接する4つの外方に延在する肩部を有している。4つのコイルバネ181
2が、ハウジング1802の遠位面とプレート1820の近位側面の孔(図示せず)との
間に取り付けられている。コイルバネ1812は、前プレートの肩部が開口1818の近
くのカバー1806の部分と係合するように、前プレート1820をハウジング1802
から離れる方に付勢している。フェライトコア1822およびワイヤ巻線1824が、カ
バー1806内に取り付けられている。ワイヤ巻線1824は、電気ケーブル1826に
よって、可動ローバー1000内の電気回路に接続されている。
【0095】
コイルバネ1812によって、電力カプラー1800を嵌合中に電力カプラー500に
良好に位置合わせさせるために、プレート1820を空洞1816内において浮上させる
かまたは移動させることができる。可動ローバー1000が可動シャーシ100に嵌合し
たとき、ワイヤ巻線1824は、可動シャーシワイヤ巻線510から誘導結合によって電
力を受給することができる。この電力は、可動ローバー1000の種々のシステムによっ
て用いられることになる。
【0096】
図10および図11を参照すると、可動ローバー1000は、ローバーデータ通信モジ
ュール1850をさらに備えている。ローバーデータ通信モジュール1850は、可動ロ
ーバー1000と可動シャーシ100との間のデータおよび情報の交換を容易にするもの
である。ローバーデータ通信モジュール1850は、電子通信回路1856を内蔵する印
刷回路基板1854を含むハウジング1852を備えている。通信回路1856は、信号
結合回路と呼ばれることもある。ハウジング1852は、支持部材1208に取り付けら
れている。
【0097】
通信回路1856は、赤外線発光ダイオード(TRLED)送信機1858および受信
機1860を備えている。IRLED送信機1858および受信機1860は、印刷回路
基板1854上に取り付けられ、可動ローバー1000が可動シャーシ100に嵌合され
たとき、IRLED送信機1858および受信機1860が遠位方向、すなわち、可動シ
ャーシデータ通信モジュール609(図7)の方を向くように、ハウジング開口1862
を通って延在している。
【0098】
図6および図11に示されているように、可動ローバー1000が可動シャーシ100
に嵌合したとき、ローバーIRLED送信機1858は、シャーシIRLED受信機64
0と並置され、ローバーIRLED受信機1860は、シャーシ送信機630と並置され
るようになっている。IRLED送信機630,1858は、光信号631を送信し、I
RLED受信機640,1860は、光信号631を受信する。IRLED送信機および
受信機によって、赤外線信号631を用いる可動シャーシ100と可動ローバー1000
との間の通信が可能になる。
【0099】
図11は、ガイド装置1870を示している。ガイド装置1870は、可動ローバー1
000が可動シャーシ100に嵌合されるとき、浮動カプラー機構300(図6)をガイ
ド装置1870に案内するように構成されている。ガイド装置1870は、フレーム12
04の底面1208に取り付けられている。ガイド装置1870は、互いに離間した一対
の細長のガイドレール1872および一対のガイドプレート1874を備えている。ガイ
ドレール1872は、水/廃液マニホールド1900と一体に形成されている。ガイドプ
レート1874は、フレーム1204を通って取り付けられた固定具1876によって、
一体のガイドレール1872に連結されている。固定具1876は、さらに水/廃液マニ
ホールド1900をフレーム1204に取り付けている。ガイドレール1872およびガ
イドプレート1874は、フレーム1204の開口1878の両側に配置されている。開
口1878は、フレーム1204の前縁の近くに配置されている。ガイドレール1872
は、フレーム1204の中心軸から離れる方に延在する丸形端を有しており、ガイドプレ
ート1874は、丸形縁を有している。ガイドレール1872は、底面1208から略直
角に配向されており、ガイドプレート1872は、ガイドレール1872から直角に取り
付けられている。
【0100】
ガイド装置1870は、遠位側を向いた丸形のガイド肩部1880をさらに備えている
。ガイド肩部1880は、開口1878に隣接してフレーム1204の前縁からガイドレ
ール1872間を上方に延在している。
【0101】
ガイドレール1872は、隣接ガイドレール1872の(肩部1880に隣接する)遠
位端間の距離がガイドレール1872の近位端間の距離よりも大きくなるように、互いに
外方に傾斜して形成されている。ガイドプレート1874は、フレーム底面1208に傾
斜して取り付けられている。肩1880の近くのガイドプレート1874の端は、ガイド
プレート1874の他端よりも低い位置に配置されている。
【0102】
水/廃液マニホールド1900は、開口1878の全体にわたってフレームに取り付け
られている。水/廃液マニホールド1900は、廃棄物カップリングポートまたは出口取
付具1902、およびマニホールド1900から開口1878内に向かって下方を向く水
カップリングポートまたは入口取付具1904を備えている。廃棄物ポート1902およ
び水ポート1904は、廃棄物キャニスター1218,1224からの排気物の排出およ
び洗浄を容易にするために、静止ドッカー900(図4)に接続されるようになっている
【0103】
[C.静止ドッカー]
図22を参照すると、静止ドッカー900に係留された可動ローバー1000の水/廃
液図が示されている。可動ローバー1000は、静止ドッカー900に係留されている間
に、貯蔵された医療/外科廃棄物が空にされ、洗浄される。静止ドッカー900は、廃棄
物ポート902および水ポート904を備えている。廃棄物ポート902および水ポート
904は、それぞれ、可動ローバー1000の廃棄物ポート1902および水ポート19
04に連結されている。静止ドッカーの廃棄物ポート902および可動ローバーの廃棄物
ポート1902は、係留後に、連携して完全な廃棄物ポート906を形成している。水ポ
ート1904は、水ライン1908を介して分岐弁1906に接続されている。分岐弁1
906は、廃棄物容器1200,1202への水および洗浄流体の流れを調節するもので
ある。水ライン1910は、分岐弁1906を廃棄物容器1200内のスプリンクラーヘ
ッド1180に接続している。水ライン1912は、分岐弁1906を廃棄物容器120
2内のスプリンクラーヘッド1180に接続している。廃棄物ポート1902は、容器1
202の底に配置された吐出口1914によって廃棄物容器1202の底に接続されてい
る。
【0104】
可動ローバー1000が静止ドッカー900に係留された後、下側廃棄物容器1202
内に貯蔵された廃棄物が静止ドッカー900に空けられる。切換弁1276は、空にする
操作中、上側廃棄物容器1200内の廃棄物が下側廃棄物容器1202内に流れるように
、開位置にある。下側廃棄物容器1202が空になった後、上側廃棄物容器1200およ
び下側廃棄物容器1202は、静止ドッカー900によって、水ポート1904、水ライ
ン1908、分岐弁1906、各水ライン1910,1912、各スプリンクラーヘッド
1180を通って各廃棄物容器1200,1202に送り込まれる洗浄流体によって洗浄
される。溜まった洗浄流体は、吐出口1914および廃棄物ポート1902を通して空に
される。
【0105】
[D.電力/制御システム]
図23は、電力を送給し、可動シャーシ100および可動ローバー1000の操作を制
御するための電力/制御システム1980の概略図を示している。電力コード147,1
54は、可動シャーシ100から延在して電力プラグ148、156で終端するそれらの
長さの一部が一緒に束ねられている。電力プラグ148,156は、商用電力システムへ
の接続を容易にするために、医療施設内の電気レセプタクルに接続されている。電力帯片
146は、電力コード147および電力プラグ148を介して、外部電源に接続されてい
る。電力帯片146は、電力をワイヤ152を通して外科用モジュール140に送給する
ものである。
【0106】
電力コード154および電力プラグ156は、電力を電源804に送給するために用い
られている。電源804は、1つまたは複数の電圧および電流レベルを可動シャーシ10
0に送給することができる。電源804は、可動シャーシ制御装置802に接続されてい
る。可動シャーシ制御装置802は、可動シャーシ100の構成部品の操作を制御するた
めのコントローラまたはマイクロプロセッサおよび半導体スイッチを備えている。
【0107】
制御装置802は、電力/データケーブル808を介して電力カプラー制御装置806
に接続されている。電力カプラー制御装置806は、電力ケーブル520を介して電力カ
プラー500に接続されている。電力カプラー500は、誘導結合によって、電力を可動
ローバー1000に伝送している。可動ローバー1000は、電力ケーブル1826を介
して電力調節回路1950に接続された電力カプラー1800を備えている。電力調節回
路1950は、電力/データケーブル1954を介して可動ローバー制御装置1952に
接続されている。ローバー制御装置1952は、電力を電力調節回路1950を介して電
力カプラー1800から受給するようになっている。
【0108】
電力カプラー500は、巻線510を有しており、電力カプラー1800は、巻線18
24を有している。可動ローバー1000が可動シャーシ100に嵌合されると、各電力
カプラー500,1800および各巻線510,1824は、互いに物理的に近接し、こ
れによって、AC電力が電力カプラー制御装置806によって巻線510に送給されると
き、巻線510,1824が互いに誘電結合される。
【0109】
電力は、巻線510から誘電間隙を超えて巻線1824に伝送され、電力調整回路19
50に電力を供給する。この電力は、可動ローバー1000の種々のシステムによって用
いられる。電力調節回路1950は、電力の電圧、電流、および周波数を制御し、典型的
には、DC電力を制御装置1952に供給している。
【0110】
電力カプラー500,1800における誘電結合を用いて電力を可動ローバー1000
に供給することによって、廃棄物流体の吸引中の塵埃または腐食した電気接点に付随する
ローバー1000と可動シャーシ100との間の電力接続の信頼性の問題を阻止すること
ができる。
【0111】
可動シャーシ100は、電力/データケーブル810を介して制御装置802に接続さ
れた通信回路620を有している。通信回路620は、赤外線発光ダイオード(IELE
D)送信機630および受信機640に連通している。同様に、可動ローバー1000は
、データ信号1957を伝達する電力/データケーブル1956を介して制御装置195
2に接続された通信回路1856を有している。通信回路1856は、IRLED送信機
1858および受信機1860に接続されている。
【0112】
可動ローバー1000が可動シャーシ100に嵌合したとき、IRLED送信機および
受信機は、互いに物理的に近接し、これによって、赤外先通信光信号が赤外線送信機と受
信機との間に伝達される。各IRLED送信機630、受信機640、送信機1858、
および受信機1860によって、可動シャーシ100と可動ローバー1000との間のデ
ータ通信が容易になる。
【0113】
可動ローバー1000が静止ドッカー900(図4)に係留したとき、ローバー電力カ
プラー1800およびローバー通信回路1856によって、静止ドッカー900は、廃棄
物を空にして洗浄する手順中に、電力を可動ローバー1000に送給し、かつ可動ローバ
ー1000と通信することが可能になる。
【0114】
図9および図16をさらに参照すると、制御装置802は、電力ケーブル812を介し
て電磁石420にさらに接続されている。電磁石420は、可動シャーシ真空カプラー4
00および金属ハブ430に組み入れられている。金属外側ハブ1640は、ローバー真
空カプラー1600の一部である。可動ローバー1000が可動シャーシ100に嵌合さ
れるとき、金属ハブ1640は、電磁石420に物理的に近接する。可動ローバー100
0が可動シャーシ100に嵌合されたとき、可動ローバー1000は、電力カプラー50
0から電力を受け、これによって、ローバー制御装置1952は、電磁石420を励磁さ
せることを指示する電気信号をデータ通信回路1856,620を介してシャーシ制御装
置802に自動的に送信する。電磁石420が励磁されると、磁場が生じる。この磁場は
、ローバー外側ハブ1640を引き込み、互いに向き合った面432,1641が隣接す
るように、ローバー外側ハブ1640をシャーシ外側ハブ430に接触させる。ローバー
1000がシャーシ100に嵌合するときはいつでも、電磁石420は、自動的に励磁さ
れる。電磁石420を継続的に励磁することによって、可動ローバー真空カプラー160
0は、可動シャーシ真空カプラー400に保持される。
【0115】
解除ボタン1015は、可動ローバー1000に取り付けられており、制御装置195
2に連通している。ユーザーが解除ボタン1015を押し込むと、制御装置1952は、
電気信号をデータ通信回路1856,620を介して制御装置802に送信し、制御装置
802に電磁石420を脱磁するように指示する。電磁石420が脱磁すると、磁場がシ
ャーシ外側ハブ430から取り除かれ、これによって、可動ローバー真空カプラー160
0が可動シャーシ真空カプラー400から離脱させられている。
【0116】
図23のみを参照すると、シャーシ制御装置802は、電力/データケーブル820を
介して真空ポンプ210に連通している。制御装置802は、真空ポンプ210の操作を
制御する。制御装置802は、電力/データケーブル824を介してHEPAフィルター
メモリ装置822に連通している。制御装置802は、フィルターが変更を必要とするこ
とを指示する信号をHEPAフィルターメモリ装置822から受信する。制御装置802
は、電力/データケーブル826を介して真空レギュレータ222にも連通している。制
御装置802は、電力/データケーブル828を介して真空レギュレータ224にも連通
している。制御装置802は、廃棄物容器1200,1202の各々に供給される真空レ
ベルを独立して調節するために、真空レギュレータ222,224の操作を制御するよう
になっている。
【0117】
制御装置802は、電力/データケーブル832を介してスマートアクセサリポート8
30にさらに連通している。制御装置802は、スマートアクセサルポート830を用い
て連通するように構成された種々の外科用工具および器具とインターフェイスを介して連
通している。制御装置802は、電力/データケーブル834を介して可動シャーシ制御
パネル162にも連通している。ユーザーは、制御パネル162を用いて、パラメータを
見ることができ、設定値を調整することができ、可動シャーシ100および可動ローバー
1000の操作を制御することができる。
【0118】
制御装置802は、データケーブルまたはバス168を介して外科用モジュール140
にもさらに連通している。制御装置802は、電力/データケーブル836を介して電力
帯片146に連通している。
【0119】
可動ローバー制御装置1952は、データケーブル1960を介して解除ボタン101
5にさらに連通している。制御装置1952は、データケーブル1964を介して廃棄物
制御装置レベルセンサ1962にも連通している。レベルセンサ1962は、廃棄物容器
1200,1202の各々内の廃棄物のレベルを表す電気信号を生成するものである。廃
棄物のレベルは、制御パネル162に表示されるようになっている。制御装置1952は
、電力ケーブル1968を介してLED光源1966に連通しており、電力ケーブル19
72を介してLED光源1970に連通している。制御パネル162を用いるユーザーは
、各廃棄物容器1200,1202を照明するために、LED光源1966,1970を
点灯および消灯するように制御装置1952を指示することができる。
【0120】
制御装置1952は、データケーブル1967を介して圧力センサ1698に連通して
いる。データケーブル1967は、圧力信号を圧力センサ1698から制御装置1952
に送信する。制御装置1952は、データケーブル1971を介して圧力センサ1699
に連通している。データケーブル1967は、圧力信号を圧力センサ1699から制御装
置1952に送信する。圧力信号は、ローバー制御装置1952から通信回路1856,
620を介してシャーシ制御装置802に送信される。シャーシ制御装置802は、少な
くとも部分的に圧力センサ信号に基づき、容器1200,1202に印加される真空を調
節する。一実施形態では、制御装置802は、廃棄物容器1200,1202の各々に印
加される真空レベルを独立して調整するために、圧力センサ信号に基づき、真空レギュレ
ータ222,224の操作を制御している。
【0121】
制御装置1952は、電力/データケーブル1974を介して切換弁アクチュエータ1
278にも連通している。制御装置1952は、アクチュエータ1278を用いて制御弁
1276を開閉することができる。制御装置1952は、電力/データケーブル1976
を介して分岐弁アクチュエータ1907にもさらに連通している。制御装置1952は、
アクチュエータ1907を用いて、分岐弁1906を開閉することができる。
【0122】
[E.第1の実施形態の操作]
図1および図2を参照すると、医療/外科用廃棄物収集システム50が、医療/外科廃
棄物の収集に用いられる準備がなされる。可動シャーシ100は、典型的には、使用中、
手術室/外科領域に配置されている。係止可能な車輪130によって、医療従事者は、可
動シャーシ100を所望の位置に配置し、所望の方向に配向させることができる。電力プ
ラグ148,156が電力を可動シャーシ100に供給するために電源に接続され、可動
シャーシ100がユーザーによって制御パネル162を介して作動される。
【0123】
図6および図11をさらに参照すると、空の可動ローバー1000がユーザーによって
可動シャーシ空洞124内に移動される。可動ローバー1000が空洞124内に移動さ
れると、ガイド開口1870が浮動カプラー機構300に係合する。具体的には、可動ロ
ーバー1000が可動シャーシ100に向かって移動すると、傾斜したガイドレール18
72が傾斜した区域372に係合し、傾斜したガイドプレート1874がリップ377に
係合し、ローバーガイド機構1870およびシャーシカプラー機構300を互いに整合す
る位置に移動させる。同時に、カプラー機構300は、コイルバネ316によって、いく
らか移動または浮上し、これによって、シャーシ真空カプラー400およびシャーシ電力
カプラー500が、それぞれ、ローバー真空カプラー1600およびローバー電力カプラ
ー1800と真っ直ぐに並ぶために、いくらか上方、下方、側方に移動し、かつ傾斜また
は回転する。
【0124】
最終的に、ローバー真空カプラー1600は、シャーシ真空カプラー400と接触し、
これによって、可動ローバー1000の前方移動を制限することになる。この位置におい
て、ローバー電力カプラー1800は、シャーシ電力カプラー500に隣接し、これによ
って、巻線510,1824が互いに物理的に近接する。巻線510,1824が誘導結
合され、電力が可動ローバー1000に送給される。また、この位置において、可動ロー
バーの通信LED1858,1860(図23)とシャーシ630,640の通信LED
図23)とが真っ直ぐに並んでいる。
【0125】
ローバー電力カプラー1800およびシャーシ電力カプラー500は、可動吸引カート
から可動容器カートへの電力接続をもたらすために、自動的に接続される。可動容器カー
ト内の通信回路1856の通信LED1858,1860および通信回路620の通信L
ED630,640が、可動吸引カートから可動容器カートへのデータ伝達接続をもたら
すために、自動的に接続される。
【0126】
図23をさらに参照すると、電力が可動ローバー1000に送給された後、シャーシ制
御装置802は、自動的にデータ通信回路620,1856を介するローバー制御装置1
952とのデータ通信を開始する。一実施形態では、制御装置1952は、データ信号1
957を生成し、該信号1957は、通信回路1856,620を介して制御装置802
に送信される。制御装置802,1952は、廃棄物収集システム50の操作を準備する
ための起動シーケンスを開始することができる。
【0127】
可動ローバー1000が空洞124内に十分に挿入された状態で、ローバー制御装置1
952は、電磁石420を自動的に励磁する指示をシャーシ制御装置802に送信する。
電磁石は、ローバー1000とシャーシ100との組合体を再位置決めするために、もし
必要なら離脱することなく、ローバー1000を大きな力でシャーシ100に保持するこ
とができる。
【0128】
図24を参照すると、電磁石420が励磁されたとき、シャーシ外側ハブ430も磁化
され、互いに向き合った面432,1641が接触するように、ローバー外側ハブ164
0を吸引する。電磁石420の励磁を継続することによって、可動ローバー真空カプラー
1600を可動シャーシ真空カプラー400に保持することができる。ローバー外側ハブ
1640がシャーシ外側ハブ430に向かって移動するのと同時に、面シールの周辺リム
1663が、外側ハブ段435に係合し、外側ハブ段435に対して圧縮され、これによ
って、リム1663を半径方向外方にいくらか撓ませ、ローバー真空カプラー1600と
シャーシ真空カプラー400との間にシール1990をもたらすことになる。
【0129】
図1図2および図3を再び参照すると、新しい使い捨てマニホールド1260がマニ
ホールド受器1258の一方または両方に挿入され、1つまたは複数の吸引ライン62,
64が使い捨てマニホールド1260の1つまたは複数の入口(またはポート)に接続さ
れる。制御パネル162によって、ユーザーは、真空ポンプ210を選択的に作動または
遮断することができ、適切な真空レギュレータ222,224を用いることによって、廃
棄物容器1200,1202の一方または両方に印加される真空の大きさを選択的に変化
させることができる。
【0130】
真空ポンプ210は、吸引印加器62,66から吸引ポンプまたは真空ポンプ210に
わたって形成される2つの連続的吸引流体連通経路70,72をもたらしている。真空ポ
ンプ210が作動されると、生じた吸引力がユーザーによって選択された各吸引印加器6
2,66内に廃棄物を引き込む。吸引流体連通経路70に関連する廃棄物流れは、吸引印
加器62から吸引ライン60、マニホールド1260、および廃棄物導管1270(図1
4)を通って上側廃棄物容器1200内に入り、上側廃棄物容器1200において、廃棄
物流れが沈殿する。主に空気を含む吸引流体連通経路70は、廃棄物容器1200から真
空導管1564(図14)、真空ライン1496(図10)、エルボー取付具1750(
図24)、逆止弁1700(図24)、および内側ハブ410を経て、エルボー取付具4
50(図24)に至る。吸引流体連通経路70は、さらにエルボー取付具450から、真
空ホース246(図6)、真空レギュレータ222(図3)、逆止弁226(図6)、真
空ホース242(図6)、HEPAフィルター232(図6)、およびホース244(図
6)を経て、真空ポンプ210で終端する。
【0131】
吸引流体連通経路72に関連する廃棄物流れは、吸引印加器66から吸引ライン64、
マニホールド1260、および廃棄物導管1270(図14)を通って、下側廃棄物容器
1202内に入り、下側廃棄物容器1202内において、廃棄物流れが沈殿する。主に空
気を含む吸引流体連通経路72は、廃棄物容器1202から真空導管1564(図14
、真空ライン1510(図10)、エルボー取付具1750(図24)、逆止弁1700
図24)、および内側ハブ450を経て、エルボー取付具450(図24)に至る。吸
引流体連通経路72は、さらにエルボー取付具450から、真空ホース246(図6)、
真空レギュレータ224(図3)、逆止弁228(図3)、真空ホース242(図6)、
HEPAフィルター(図6)、およびホース244(図6)を経て、真空ポンプ210で
終端する。
【0132】
液体廃棄物および小片の固形廃棄物は、各廃棄物容器キャニスター1200,1202
内に沈殿する。従って、廃棄物は、空にされるまで、各廃棄物キャニスター1200,1
202内に貯蔵される。
【0133】
代替的実施形態では、廃棄物流体の吸引が上側廃棄物容器1200内にのみ生じ、下側
廃棄物容器が上側廃棄物容器1200から送られる廃棄物の貯蔵のためにのみ用いられる
ように、下側廃棄物容器1202内への吸引流体連通経路72が省略されている。
【0134】
廃棄物収集システム50の操作中に、種々の操作パラメータがユーザーによって制御可
能になっており、廃棄物収集システム50は、ユーザーに種々の作動状態または作動条件
を通知することができる。一実施形態では、ユーザーは、制御パネル162を用いて、廃
棄物容器1200,1202のいずれの内容物を照明するかを選択し、発光ダイオード1
968,1970の一方または両方を点灯することができる。他の実施形態では、レベル
センサ1962が、廃棄物容器1200,1202のいずれがいつ充填されるかを検出し
、廃棄物収集システム50の作動状態を表すレベルセンサ信号を制御パネル162に送信
し、ユーザーにこの状態を警告する。
【0135】
医療従事者は、種々の外科機能を果たすために、廃棄物収集システム50の操作中にま
たは該操作とは別に、外科用モジュール140を操作することもできる。
【0136】
一定時間が経過した後、上側廃棄物容器1200が用いられていると、上側キャニスタ
ー1218が充填され、空にする必要がある。あるいは、充填される前に、オペレータに
よって、上側廃棄物容器を空にすることが選択されることもある、この時点で、ユーザー
は、制御パネル162を用いて、切換弁1276(図3)を開いて廃棄物を上側容器12
00から下側容器1202に送るように、弁アクチュエータ1278(図24)に指示す
ることができる。
【0137】
上側容器1200から下側容器1202への廃棄物の移動中、上側容器1200内の真
空が、真空レギュレータ222を介して大気圧に開放される。下側廃棄物容器1202の
真空は、2つの廃棄物容器1200,1202の所望の低真空レベルの圧力に設定されて
いる。その結果、下側廃棄物容器1202の真空が、廃棄物を下側廃棄物容器1202内
に引き込むのを助長することになる。
【0138】
いったん上側および下側廃棄物容器1200,1202の両方が充填されたなら、また
はもしユーザーが充填される前に廃棄物容器1200,1202を空にし、洗浄すること
を望んだなら、ユーザーは、制御パネル162を用いて真空ポンプ210を遮断すること
ができる。次いで、電磁石420の作動を停止するために、ボタン1015が押し込まれ
る。電磁石420の作動が停止された状態で、医療従事者は、ハンドル1012を可動シ
ャーシ100から離れる方向に引っ張ることによって、可動ローバー1000を可動シャ
ーシ100から離脱または分離させることができる。分離可能なローバーによって、制限
のない量の流体廃棄物の収集を便利に行なうことができる。廃棄物容器が充填されたロー
バーを取り外し、他の空のローバーと迅速に置き換え、行っている外科手術手順の混乱を
最小限に抑えることができる。
【0139】
次いで、可動ローバー1000は、廃棄物を治療施設910(図4)に排出し、かつ廃
棄物容器1200,1202を洗浄するために、外科領域52(図4)から静止ドッカー
900(図4)に車輪転動によって移動される。
【0140】
[III.第2の実施形態]
図25は、本発明によって構成された医療/外科用廃棄物収集システム2000の代替
的実施形態を示している。廃棄物収集システム2000は、可動シャーシ2100および
可動ローバー2500を備えている。可動ローバー2500は、外部構成要素のいくつか
の形状および大きさが変更されていることを除けば、第1の実施形態に記載されているも
のと同じである。可動ローバー2500の内部構成要素および操作は、可動ローバー10
00に対するものと同じである。可動シャーシ2100は、吸引カート2100と呼ばれ
ることもある。可動ローバー2500は、容器カート2500と呼ばれることもある。
【0141】
可動シャーシ2100は、上側シャーシ104(図1)が省略されていることを除けば
、第1の実施形態の可動シャーシ100と同様である。可動シャーシ2100は、略矩形
状であり、可動シャーシ2100の4つの外側壁2106の上に延在する略平坦な上側カ
バー2104を備えている。ユーザーが可動シャーシ2100を位置決めすることを可能
にするために、ハンドル2108が1つまたは複数の壁2106に取り付けられている。
制御パネル162が、壁2106の1つに取り付けられている。空洞124が、可動シャ
ーシ2100内の壁2106の1つに画定されており、可動ローバー2500が可動シャ
ーシ2100に嵌合されるとき、可動ローバー2500を受け入れるようになっている。
矩形状空洞2110が、可動シャーシ2100の壁2106の1つに画定されている。外
科用モジュール140は、空洞2110内に取り付けられており、空洞2110内におい
て棚2112によって支持されている。可動シャーシ2100の内部構成要素および操作
は、可動シャーシ100に対して前述したものと同じである。
【0142】
[IV.第3の実施形態]
[A.可動シャーシ]
図26および図28を参照すると、廃棄物収集システム3000は、シャーシ3100
および可動ローバー4000を備えている。ローバー4000は、シャーシ3100と嵌
合可能になっている。シャーシ3100は、吸引カート3100と呼ばれることもある。
可動ローバー4000は、容器カート4000と呼ばれることもある。図26を特に参照
すると、シャーシ3100は、略矩形状であり、下側シャーシ3102および上側シャー
シ3104を有している。シャーシ3100は、いくつかの外側成形カバー3108を支
持する内側フレームを有している。カバー3108は、前パネル3109、後パネル31
10、側パネル3111,および上パネル3112を備えている。
【0143】
カバー3108は、適切な方法によって、例えば、固定具の使用によって、成形プラス
チックから形成可能であり、下側シャーシ3102および上側シャーシ3104に取付け
可能になっている。カバー3108は、シャーシ3100の内部構成要素を保護し、かつ
改良された視覚的外観をもたらすために、用いられている。レセプタクルまたは空洞31
24が、前パネル3109に画定されている。可動ローバー4000が可動シャーシ31
00に嵌合されたとき、空洞3124は、可動ローバー4000を受け入れるようになっ
ている。空洞3124は、上部3125および下部3126を有している。可動ローバー
4000が可動シャーシ3100に嵌合されるときに可動ローバー4000を空洞312
4に案内するために、前パネル3109は、下部3126のいずれの側においても傾斜し
ている。開口3127が、上部3125の上方において前パネル3109に画定されてい
る。
【0144】
浮動カプラー機構3300、真空カプラー3400、および電力/データカプラー35
00は、前パネル3109からレセプタクル3124内に延在している。図26の実施形
態では、シャーシ3100は、車輪を有していない状態で示されている。シャーシ310
0は、外科領域52(図4)内の比較的静止位置で用いることが可能になっている。他の
実施形態では、シャーシ3100を運び、手術室/外科領域52内において容易に移動さ
せることを可能にするために、車輪3130(図28)をシャーシ3100に取り付ける
こともできる。
【0145】
内部空洞3122が、上側シャーシ3104内に画定されている。構成部品ラック31
38が、空洞3122内において上側シャーシ3104に取り付けられている。構成部品
ラック3138は、種々の医療/外科用器具またはモジュール3140を保持している。
例えば、構成部品ラック3138は、機器、器具、またはモジュール、例えば、灌注ポン
プコンソール、電気焼灼器具、吹付けモジュール、光ファイバー光モジュール、または任
意の他の適切な外科用器具またはモジュールを収納することができる。器具3140は、
1つまたは複数のメモリ装置、または器具3140の機能に関するデータ、情報、指示を
記憶することができるメモリを含んでいる。ラック3138は、データコネクタ3144
および電力コネクタ3146を含む電子バックプレーン3142を有している。電力コネ
クタ3146は、電力をモジュール3140を送給するものである。
【0146】
モジュール3140は、電力コネクタ3148およびデータコネクタ3150を備えて
いる。モジュール3140は、ラック3138内にすべり込ませることができる。モジュ
ール3140がラック3138内に取り付けられると、モジュール電力コネクタ3148
がシャーシ電力コネクタ3146に嵌合され、モジュールデータコネクタ3150がシャ
ーシデータコネクタ3144に嵌合されるようになっている。電力コード3154および
電力プラグ3156は、電力を可動シャーシ3100およびモジュール3140に送給す
るために用いられている。
【0147】
旋回可能な支持ロッド3158が、上パネル3112の上に延在しており、側パネル3
111の1つに沿って下方に屈曲している。ディスプレイアセンブリまたは制御パネル3
162が、支持ロッド3158に取り付けられている。支持ロッド3158によって、医
療従事者は、制御パネル3162を観察および指令の入力に最適な位置に配置することが
できる。
【0148】
制御パネル3162は、シャーシ3100の構成要素および可動ローバー4000の構
成要素のいくつかの操作を制御するようになっている。制御パネル3162は、タッチス
クリーンディスプレイアセンブリであってもよいし、またはボタンのようなユーザー入力
装置を備えていてもよい。一実施形態では、制御パネル3162は、外科用モジュール3
140の操作を制御することができる。ディスプレイアセンブリ3162は、少なくとも
部分的に圧力センサ1698,1699またはレベルセンサ1962,4962から受信
したセンサ信号に基づき、容器カートまたは吸引カートの操作状態に関する情報を表示し
ている。また、ディスプレイアセンブリ3162は、圧力センサ1698,1699から
の圧力センサ信号およびレベルセンサ1962,4962からのレベルセンサ信号を直接
表示することができる。制御パネル3162は、バックプレーン3142およびデータコ
ネクタ3144,3150を介して外科用モジュール3140と通信することができる。
【0149】
2つの電磁石3160が、遠位方向を向いてレセプタクル3124内に面している。励
磁されたとき、電磁石3160は、可動ローバー4000をシャーシ3100に保持する
ことになる。
【0150】
シャーシ3100は、3つの使い捨て吸引入口取付具5100を備えるマニホールドア
センブリ5000を備えている。吸引入口取付具5100は、下側シャーシの前パネル3
109に取り付けられ、前パネル3109から直角に延在している。吸引入口取付具51
00は、吸引入口受器と呼ばれることもある。各使い捨て入口取付具5100には、吸引
ライン60,64の1つまたは他に吸引ライン(図示せず)が嵌入されるようになってい
る。各吸引ライン62,64の遠位端は、それぞれ、吸引印加器ハンドピース62,66
に取付け可能になっている。
【0151】
図28図29および図30を参照すると、シャーシ3100のさらなる詳細が示され
ている。図29および図30において、シャーシ3100の内部構成要素をより明瞭に示
すために、シャーシ3100および上側シャーシ3104の構成要素を通常遮蔽している
カバー3108は、示されていない。
【0152】
下側シャーシ3102は、矩形状フレーム3180を備えている。フレーム3180は
、ベース3181,上パネル3182、およびベース3181と平面状上パネル3182
との間に直角に延在する6つの支持脚または支持レール3184を備えている。フレーム
3180は、金属のような適切な材料から形成可能になっている。ベース3181は、中
心取付けプレート3185、および中心取付けプレート3185からシャーシ3100の
遠位端に向かって略直角に延在する一対のアーム3186を有している。アーム3186
、遠位側に位置するアーム3184、および上パネル3182は、それらの内方に空洞3
124を画定している。
【0153】
4つの近位レール3184、取付けプレート3185、および上パネル3182は、内
部空洞3187を画定している。近位壁3188が、近位レール3184間において取付
けプレート3185から部分的に上方に延在している。矩形状取付け壁3189が、上パ
ネル3182の遠位端から直角に上方に延在している。支持ガセット3190が、取付け
壁3189の各端に取り付けられ、近位方向に延在し、上パネル3182い取り付けられ
ている。4つの支持/水平化脚3191が、ベース3181の下側コーナに取り付けられ
ている。
【0154】
真空源および濾過をもたらすための真空/フィルターアセンブリ3200が、取り付け
プレート3185に取り付けられている。真空/フィルターアセンブリ3200は、真空
/フィルターアセンブリ200と同じであってもよい。真空/フィルターアセンブリ32
00は、真空源または真空ポンプ3210、真空レギュレータアセンブリ3220、およ
びフィルターアセンブリ3230を備えている。具体的には、真空マニホールド3220
は、取付けプレート3185の上面に取り付けられている。真空ポンプ3210およびフ
ィルターアセンブリ3230は、真空レギュレータアセンブリ3220に取り付けられて
いる。
【0155】
図28をさらに参照すると、真空レギュレータアセンブリ3220は、真空レギュレー
タ3222,3224および逆止弁3226,3228を単一ユニットに一体化している
。フィルターアセンブリ3230は、HEPAフィルター3232および真空安全弁32
34を単一ユニットに一体化している。真空ホース3242が、逆止弁3226,322
8とHEPAフィルター3234との間に接続されている。他の真空ホース3244が、
真空ポンプ3210をHEPAフィルターアセンブリ3234に接続している。
【0156】
絶縁シェル3250(図29)が、真空/フィルターアセンブリ3200を略密閉して
いる。絶縁シェル3250は、真空構成部品によって生じる騒音を減衰するものである。
絶縁シェル3250は、略矩形状であり、5つの隣接パネル3251によって画定され、
内部チャンバ3256を有している。絶縁シェル3250の内壁は、音響抑制絶縁物32
58によって覆われている。絶縁シェル3250は、シート金属、鋳造金属、プラスチッ
ク、または他の適切な材料から形成されている。絶縁シェル3250は、真空/フィルタ
ーアセンブリを覆って取り付けられ、固定具(図示せず)によって取付けプレート318
5に固定されている。
【0157】
図31をさらに参照すると、シャーシ3100は、カートカップリング特徴部3300
を備えている。カートカップリング特徴部3300は、保持特徴部または浮動カプラー特
徴部3300と呼ばれることもある。浮動カプラー機構3300は、可動ローバー400
0に対するシャーシ吸引(真空)カプラー3400およびシャーシ電力/データカプラー
3500の6自由度の運動を可能にし、これによって、可動ローバー4000のそれぞれ
のカップリングに対するシャーシ真空カプラー3400およびシャーシ電力/データカプ
ラー3500の嵌合能力を高めるものである。
【0158】
浮動カプラー機構3300は、ベントバネブラケット3302を備えている。ベントバ
ネブラケット3302は、底プレート3303、対向する上プレート3304、前プレー
ト3305、前プレート3305と上プレート3304との間に延在する傾斜プレート3
306、接続プレート3307、および段プレート3308を有している。これらのプレ
ートの全てが互いに接続され、ブラケット3302を形成している。ブラケット3302
は、金属材料から形成可能になっている。プレート3304~3308は、それらの間に
通路3310を画定している。ベントフランジ3309が、上プレート3304から上方
に延在している。2つの互いに離間したアーム3312が、底プレート3302の近位端
に沿って配置され、底プレート3302から直角に延在している。固定具3316が、ア
ーム3312を近位壁3188に固定している。
【0159】
ブラケット3302は、空洞3124内に、特に、空洞3124の下側区域3126内
に向かって遠位方向に延在している。ブラケット3302は、バネとして作用し、上プレ
ート3304およびフランジ3309を底プレート3310に向かってまたは底プレート
3310から離れる方に撓ませることができる。また、上プレート3304およびフラン
ジ3309を左右方向および遠位-近位方向においてもいくらか撓ませることができる。
【0160】
浮動カプラー機構3300は、バネブラケット3302の全体にわたって取り付けられ
たカバーまたはシュラウド3320(図26参照)をさらに備えている。シュラウド33
20は、傾斜区域3322、およびシュラウド3320の互いに向き合った上縁から外方
に延在するリップ3324を備えている。傾斜区域3322およびリップ3324は、可
動ローバー4000がシャーシ3100に嵌合されるとき、シャーシ3100内への可動
ローバー4000の心出しするのを助長する。浮動カプラー機構3300によって、シャ
ーシ真空カプラー3400およびシャーシ電力/データカプラー3500を、可動ローバ
ー4000の対応する嵌合特徴部に対してより容易に位置合わせさせるために、いくらか
上下動させることができる。特に、プレート3304およびフランジ3309をフレーム
3180に対していくらか傾斜して適所に移動させることができる。その結果、シャーシ
真空カプラー3400およびシャーシ電力/データカプラー3500をバネブラケット3
302の付勢に対して上下に傾斜させ、これによって、可動ローバー4000の対応する
カプラーに容易に嵌合させることができる。
【0161】
図31および図32は、シャーシ真空カプラー3400を示している。2つのシャーシ
真空カプラー3400が、上プレート3304に取り付けられている。各シャーシ真空カ
プラー3400は、90°エルボー取付具3402を備えている。エルボー取付具340
2は、ネジ付き円筒状内側バレル3410およびネジ付き外側本体3430を備えている
。内側バレル3410は、テーパ端3411および環状外面3412を備える略円筒形状
を有している。雄ネジ山3413が、外面3412に画定されている。ネジ付き内側バレ
ル3410は、貫通孔3414、および内側バレル3410の一端の近くに位置して外方
に延在するフランジ3416をさらに有している。
【0162】
内側バレル3410は、上プレート3304の開口3340を通って取り付けられてい
る。フランジ3416が、上プレート3404に当接している。環状溝3418が、環状
外面3412に画定されている。シール3420が、溝3412内に取り付けられている
【0163】
ネジ付き外側本体3430は、基部3432、および基部3432から離れる方に延在
する円筒ボス3434を備えている。ボス3434は、内面3436を有しており、この
内縁3436に雌ネジ山3438が画定されている。貫通孔3440が、基部3432お
よびボス3434を貫通している。
【0164】
内側バレル3410は、バレル雄ネジ山3413を基部雌ネジ山3438に螺合させな
がら孔3440に嵌入され、これによって、エルボー取付具3402を上プレート330
4に取り付けている。棘付き取付具3442が、基部3432の片側から延在している。
真空ホース3444が、各棘付き取付具3442の周りに取り付けられている。これらの
真空ホース3444は、シャーシカプラー3400を真空レギュレータ3222,322
4(図28)の各々に接続するものである。各真空ホース3444は、取付具3442か
ら、真空レギュレータ3222,3224(図28)を含む真空レギュレータアセンブリ
3220(図30)に延在している。
【0165】
図31を参照すると、シャーシ電力/データカプラー3500のさらなる詳細が示され
ている。シャーシ電力/データカプラー3500は、電力およびデータをシャーシ310
0から電気接点を介して可動ローバー4000に伝達するものである。シャーシ電力/デ
ータカプラー3500は、電力接点3502、接地接点3504、およびデータ接点35
10を含む4つのブレード状接点を有している。接点3502、3504,3510は、
各々、電気絶縁材料3512の領域によって包囲されている。接点3502,3504,
3510は、上プレート3304とフランジ3309との内側接合部に取り付けられてお
り、上プレート3304およびフランジ3309の両方から直角に延在している。接点3
502,3504,3510は、銅合金のような導電金属から形成されており、アーク放
電に耐えかつ腐食を防ぐためにメッキされていてもよい。接点3502,3504,35
10は、可動ローバー4000の説明に関して後述するように、可動ローバー4000の
対応する接点に嵌合されるようになっている。
【0166】
電気ケーブル3810が、接点3502,3504をシャーシ3100内の電源に接続
している。シャーシの電力/データカプラー3500は、可動ローバー4000に対して
電力/データ連通をもたらすものである。この電力は、可動ローバー4000の種々のシ
ステムによって用いられる。電気ケーブル3812は、データ接点3510をシャーシ制
御装置3802(図44)に接続している。データ接点3510は、シャーシ3100と
可動ローバー4000との間でデータおよび情報の交換を容易にするものである。
【0167】
図33Aおよび図33Bを参照すると、使い捨て入口取付具5100の詳細が示されて
いる。使い捨て入口取付具5100は、遠位側を向くテーパ付きノズル5154および近
位バレル5102を有する円筒キャップ5150を備えている。テーパ付きノズル515
4は、吸引ライン60,64の1つを受け、吸引ライン60,64に対して真空シールを
形成するように構成されている。キャップ5150およびバレル5102は、入口取付具
5100を形成するように互いに連結されている。
【0168】
入口取付具の最近位部は、バレル5102である。バレル5102は、略円筒状であり
、遠位端5106および丸形近位端5108を有する管状側壁5104を有している。側
壁5104は、外面5110および内面5112を有するように形成されている。内面5
112が、貫通孔5114を画定している。環状テーパ溝5116が、バレル5102の
中心の近くにおいて内面5112に画定されている。3つの隆起部またはリブ5118が
、バレル5102の近くにおいて外面5110の周りに周方向外方に延在している。
【0169】
液滴停止/逆流阻止具5120が、バレル5102と一体に形成されており、孔511
4内の近位端5108の近くに配置されている。バレル5102は、ポリイソプレンゴム
のような圧縮可能なエラストマー材料から形成されている。液滴/逆流阻止具5120は
、リング状基部5122およびヘッド5124を有している。ヘッド5124は、基部5
124と一体で基部5124から近位方向に突出する凹凸輪郭を有している。液滴停止ヘ
ッド5124は、2つの直径方向において互いに向き合った柔軟なリップ5126を備え
ている。リップ5126は、長孔5128をそれらの間に画定するように、互いに当接し
ている。
【0170】
長孔5128は、孔5114の直径よりもいくらか短い長さを有している。液滴停止ヘ
ッド5124の互いに向き合ったリップの通常時の当接によって、入口取付具5100が
切り離されているとき、入口取付具5100内に溜まったわずかな量の廃棄流体が近位端
5108から流れることが阻止される。真空吸引が貫通孔5114に印加されると、互い
に向き合ったリップ5126が撓み、内面5112に向かって近位方向に移動し、その結
果として、リップ5126間の距離が拡大し、長孔5128の寸法が増大し、これによっ
て、吸引流体は、液滴停止具5120およびバレル5102を通って流れることが可能に
なる。
【0171】
以下、図33Aおよび図33Bをさらに参照して、キャップ5150の特徴部について
説明する。キャップ5150は、ポリプロピレンのような成形プラスチックの単一片から
形成することができる。
【0172】
キャップ5150は、遠位面5157を備えるフランジ5156を有している。近位側
に延在する円筒状スカート5158が、フランジ5156から延在し、端5160で終端
している。スカート5158は、環状内面5162および環状外面5164を有している
。長孔5166が、スカート5158に画定されている。長孔5166は、端5160を
起点としてスカート5158の略半分にわたって遠位方向に延在している。長孔5166
は、90°屈曲し、長孔5166と連続するノッチ5168内に延在している。
【0173】
管状スリーブ5170が、フランジ5156から近位方向に突出し、端5172で終端
している。スリーブ5170は、環状外面5174、内面5175、および周方向リップ
5176を有している。リップ5176は、外面5164から半径方向外に突出し、端5
172の近くに位置している。内面5175は、スリーブ孔5178を画定している。
【0174】
バレル5012は、スリーブ5170を覆って装着され、スリーブ5179に保持され
ている。具体的には、スリーブ5170は、バレル遠位端5106の開口に嵌合され、バ
レル孔5114に嵌入されている。スリーブ5170は、スリーブ端5172が孔511
4内に延在する基部5122の一部に当接し、かつスリーブ外面5174がバレル内面5
112と並置されるまで、孔5114内に摺動される。この位置において、スリーブリッ
プ5176は、バレル溝5116内に着座し、その結果、バレル5102がスリーブ51
70に対して近位方向に移動するのを阻止し、これによって、バレル5102をキャップ
5150に保持することができる。スリーブ外面5174の周りのバレル内面5112の
圧縮によって、キャップ5150とバレル5102との間の吸引の漏れを実質的になくす
ことができる。
【0175】
キャップ5150は、フランジ遠位面5157から遠位方向に延在する遠位側を向くテ
ーパ付きノズル5154をさらに備えている。テーパ付きノズル5154は、吸引ライン
60,64の1つを受けるものである。ノズル5154は、遠位端5180およびテーパ
付き内面5182を有している。内面5182は、孔5184を画定している。孔511
4,5178,5184は、全てが連続しており、入口取付具5100を通る連続流体通
流孔5188を形成している。周方向長孔5190が、スカート環状内面5162とバレ
ル環状外面5110との間に画定されている。長孔5190は、スカート端5160から
延在し、フランジ5156の近位面で終端している。
【0176】
図33Cを参照すると、使い捨て入口取付具5800の他の実施形態が示されている。
使い捨て入口取付具5800は、使い捨て入口取付具5800が多数のノズル5854,
5856および取外し可能なフィルター5900をさらに備えていることを除けば、使い
捨て入口取付具5100と同様である。使い捨て入口取付具5100は、2つの遠位側を
向くテーパ付きノズル5854,5856および近位バレル5802を有する円筒キャッ
プ5850を備えている。テーパ付きノズル5854,5856は、吸引ライン60,6
4の1つを受け、吸引ライン60,64に対して真空シールを形成するように構成されて
いる。キャップ5850およびバレル5802は、入口取付具5800を形成するように
互いに連結されている。
【0177】
入口取付具の最近位部は、バレル5802である。バレル5802は、略円筒状であり
、遠位端5806および丸形近位端5808を備える管状側壁5804を有している。側
壁5804は、外面5810および内面5812を有するように形成されている。内面5
812は、貫通孔5814を画定している。3つの隆起部またはリブ5818が、バレル
5802の中心の近くにおいて外面5810の周りに周方向外方に延在している。
【0178】
バレル5802は、入口取付具5800が切り離されているときに廃棄物流体の漏れを
防ぐために、入口取付具5100に関して説明したのと同じ液滴停止/逆流阻止具(図示
せず)を備えることができる。バレル5802は、ポリイソプレンゴムのような圧縮可能
なエラストマー材料から形成されている。
【0179】
以下、図33Cをさらに参照して、キャップ5850の特徴について説明する。キャッ
プ5850は、ポリプロピレンのような成形プラスチックの単一片から形成することがで
きる。キャップ5850は、遠位面5857および基部5861を備えるヘッド5855
を有している。近位側に延在する円筒状スカート5858が、基部5861から延在し、
端5860で終端している。キャップ5850は、外面5864を有しており、スカート
5858は、環状内面5862を有している。長孔5866が、スカート5858に画定
されている。長孔5866は、端5860を起点としてスカート5858の略幅にわたっ
て遠位方向に延在している。長孔5866は、90°に屈曲し、(図33Cには示されて
いない)ノッチ内に延在している。周方向長孔5889が、スカートの環状内面5862
とバレルの環状外面5810とに間に画定されている。キャップ5850は、入口取付具
5100と同じ内部構成要素、例えば、キャップ5850をバレル5802に連結させ、
かつ保持させるスリーブ(図示せず)を備えている。
【0180】
キャップ5850は、ヘッド遠位面5857から遠位方向に延在する2つの遠位側を向
くテーパ付きポートまたはノズル5854,5856をさらに備えている。テーパ付きノ
ズル5854,5856は、各々、吸引ライン60,64の1つを受けることができるよ
うになっている。ノズル5854は、遠位端5880およびテーパ付き内面5882を有
している。内面5882は、孔5884を画定している。ノズル5856は、遠位588
1およびテーパ付き内面5883を有している。内面5883は、孔5885を画定して
いる。2つのノズル5854,5856が図33Cに示されているが、2つよりも多いか
または少ない数のノズルが、入口取付具5800と共に用いられてもよい。使用しないと
きにノズル5854,5856の一方または両方を閉じるために、カバーまたは蓋587
0が、端5880,5881の一方または両方に取付けられていてもよい。
【0181】
キャップ5880は、中心区域5872を備えている。矩形状のフィルター空洞589
0が、中心区域5872に画定されている。フィルター空洞5890は、4つの側壁58
91および底壁5892によって画定されている。開口5893が、最遠位壁5891に
画定されている。チャンバ6894が、ヘッド5855内に画定され、孔5854,58
55に接続され、開口5893に接続されている。孔5854,5856、チャンバ58
94、開口5893、フィルター空洞5890、および孔5814は、全てが連続し、入
口取付具5800を通る連続流体通流経路を形成している。
【0182】
取外し可能なフィルター5900は、略矩形状であり、ハウジング5910を有してい
る。ハウジング5910は、2つの互いに向き合った平坦な側壁5912および2つの互
いに向き合った平坦な側壁5914によって画定されている。壁5912、5914は、
内部空洞5920を画定している。上壁5914は、空洞5890の大きさよりもいくら
か大きくなっており、上壁5914がキャップの外面5864を覆うように開いている。
メッシュスクリーンまたはフィルターグリッド5930が、空洞5920を横切ってハウ
ジング5910の片側に取り付けられている。ハンドル5916が、上壁5914に取り
付けられている。ハンドル5916によって、ユーザーは、フィルター5900を手動に
よって取り扱うことができる。フィルター5900およびスクリーン5930は、ポリプ
ロピレンのような成形プラスチックの単一片から形成することができる。一実施形態では
、フィルター5900は、ユーザーがフィルター5900の内容物を見ることができるよ
うに、少なくとも一部が透明材料から形成されている。
【0183】
フィルター5900は、フィルター空洞5890に嵌入されるようになっている。キャ
ップ外面5864および空洞側壁5891によって、フィルター5900を密封すること
ができる。フィルター5900は、ユーザーによって、空洞5920が開口5893の方
を向き、上壁5914がキャップ外面5864に当接するように、フィルター空洞589
0内に挿入される。一実施形態では、シャーシ3100またはローバー4000の内部構
成要素を遮るかまたは塞ぐ可能性のある骨片または組織のような固体廃棄物粒子を収集す
るために、フィルター5900が用いられる。もしフィルター5900が使用中に破片に
よって詰まったなら、ユーザーは、各入口取付具5800を通る真空を遮断し、用いられ
ているフィルター5900を取り外し、新しいフィルター5900を挿入することができ
る。次いで、使用済みのフィルターは、医療廃棄物として廃棄されることになる。
【0184】
他の実施形態では、フィルター5900は、外科手術手順中に組織試料を収集する試料
収集器として用いられる。医療従事者は、組織試料を収集するために、新しいフィルター
5900を入口取付具5900に挿入し、各入口取付具5800を通して真空を印加する
ことができる。組織試料は、流体が入口取付具5800を通って流れるとき、スクリーン
5930に捕捉される。組織試料が収集された後、真空が遮断され、組織試料を含むフィ
ルター5900は、入口取付具5800から取り外され、さらなる分析のために研究所に
送られる。次いで、新しいフィルター5900が、入口取付具5800内に挿入されるこ
とになる。
【0185】
図34を参照すると、入口取付具受器5200および制御弁5400が示されている。
ユーザーは、使い捨て入口取付具5100を入口取付具受器5200に取り付けることが
でき、入口取付具受器5200から取り外すことができる。入口取付具受器5200は、
制御弁5400の一部である。制御弁5400は、固定具(図示せず)によって、シャー
シ取付け壁3189の後側に取り付けられている。制御弁5400は、略T字状弁体54
02を備えており、弁体5402から、入口取付具受器5200が取付け壁3189を通
って遠位方向に延在している。弁体5402は、ポリプロピレンのような射出成形プラス
チックの単一片から形成することができる。
【0186】
入口取付具受器5200は、管状壁5202を有している。管状壁5202は、弁体5
402から延在し、遠位端5204で終端している。壁5202は、環状外面5206お
よび環状内面5208を有している。ポスト5210が、遠位端5204の近くにおいて
外面520から直角に延在している。孔5212が、受器5200を通って弁体5402
内に延在している。孔5212は、環状内面5208によって画定されている。
【0187】
図33Aをさらに参照すると、入口取付具5100が孔5212に嵌入されるようにな
っている。具体的には、バレル5102は、バレル近位端5108が弁体5402に当接
触し、受器内面5208がバレル外面5110に隣接するように、孔5112内に配置さ
れる。受器壁5202は、スカート環状長孔5190内に嵌合される。遠位壁端5204
は、取付具フランジ5156の近位面に当接する。バレルリブ5118が、受器内面52
08に対して圧縮される。受器内面5208に対するバレルリブ5118の圧縮によって
、入口取付具受器5200とバレル5102との間の吸引の漏れを実質的になくすことが
できる。
【0188】
使い捨て入口取付具5100は、ユーザーがキャップスカート5158を掴み、バレル
5102を受器孔5212内に挿入することによって、入口取付け受器5200に取り付
けられる。具体的には、ポート5210を長孔5166に位置合わせし、バレル5102
が孔5212内に着座するまで、入口取付具5100を近位方向に移動させる。バレル近
位端5108が弁体5402に当接し、遠位端5204がフランジ5156の近位面に当
接する。次いで、スカート5158および入口取付具5100を時計方向に回転させ、ポ
スト5210を凹部5168内にすべり込ませ、これによって、入口取付具5100を入
口取付具受器5200に係止する。
【0189】
使い捨て入口取付具5100は、ユーザーがキャップスカート5158を掴み、ポスト
5210が凹部5168からすべり出るように、スカート5158および入口取付具51
00を反時計方向に回転させることによって、入口取付具受器5200から取り外すこと
ができる。次いで、ユーザーが入口取付具5100を手動によって遠位方向に引っ張るこ
とによって、バレル5102を孔5112からすべり出させ、ポスト5210を長孔51
66からすべり出させることになる。
【0190】
管状ダクト5300が、弁体5402から遠位方向に延在し、近位端5304で終端し
ている。ダクト5300は、孔5310を画定する内面5308を有している。プラグ5
312が、孔5310内にねじ込まれ、これによって、ダクト内面5308に当接し、孔
5310を封止する。このダクト5300は、制御弁5400の製造中に用いられるもの
である。
【0191】
他の管状ダクト5350が、弁体5402から下方に延在し、端5354で終端してい
る。ダクト5350は、孔5360を画定する内面5358を有している。プラグ526
2が、孔5360にねじ込まれ、ダクト内面5358に当接する。孔5364が、プラグ
5362を通って画定されている。90°エルボー取付具5380が、ダクト5350に
取り付けられている。エルボー取付具5380は、孔5360および棘付き端5384内
に嵌合される端5382を有している。
【0192】
弁体5402は、球面状弁球5410を含む球空洞5404をさらに有している。弁球
5410は、3つの環状テーパ付きシール5412によって、空洞5404内に回転可能
に支持されている。シール5412が、空洞5404内に取り付けられている。シール5
412は、弁球5410と空洞5404の内壁との間に流体シールを形成している。90
°屈曲部を有する孔5414が、弁球5410を通して画定されている。角状長孔541
6が、弁球5410の頂部に画定されている。ボス5406が、弁体5402から直角に
上方に突出して、貫通孔5408を有している。
【0193】
回転アクチュエータ5430が、適切な手段によって、例えば、固定具(図示せず)に
よって、弁体5402の頂部に取り付けられている。回転アクチュエータ5430は、電
源に接続された電動モータの形式である。回転アクチュエータ5430は、角状長孔54
16内に嵌入された下方に延在する角状シャフト5432を有している。回転アクチュエ
ータ5430は、シャーシ制御装置3802(図44)に連通している。回転アクチュエ
ータ5430は、弁球5410を開位置と閉位置との間で回転させ、または制御弁540
0によって流量を制御すべく弁球5410を1つまたは複数の中間位置に回転させるため
に、制御装置3802の指令によって、時計方向および反時計方向に回転することができ
る。このように、シャーシ制御装置3802は、制御弁5400の操作を制御することが
できる。
【0194】
図34では、開位置にある弁球5410が示されている。開位置では、吸引流体は、入
口取付具5100、受器孔5412、球孔5414、プラグ孔5364、およびエルボー
取付具5380を通って流れることができる。弁球5410が回転アクチュエータ543
0によって90°回転したとき、弁球5410は、制御弁5400を通る吸引流体の流れ
を妨げる閉位置にある。
【0195】
図35および図36を参照すると、シャーシ3100に取り付けられた入口マニホール
ドアセンブリ5000の図が示されている。3つの制御弁5400が、取付けプレート3
189に取り付けられている。制御弁5400の各々は、関連するアクチュエータ543
0を有している。各アクチュエータ5430をシャーシ制御装置3802(図44)に接
続するために、電気ケーブル5440が用いられている。制御弁5400によって、入口
取付具5100および吸引ライン60,64(図26)の各々への吸引または真空を、各
制御弁5400を所望の位置に設定することによって、独立して制御または調節されるこ
とが可能になる。
【0196】
入口マニホールドアセンブリ5000は、シャーシ廃棄物カプラー5600に連結され
たマニホールド5500を備えている。マニホールド5500は、シャーシ廃棄物カプラ
ーの一端と呼ばれることもある。マニホールド5500は、U字状壁5504によって画
定された略楕円状アキュムレータ5502を有している。アキュムレータ5502の開端
は、廃棄物カプラー5600の方を向いている。周辺リム5506が、壁5504の底縁
から周方向外方に延在している。壁5504は、アキュムレータ5502内に空洞550
8を画定している。3つの棘付きホース取付具5510が、アキュムレータ5502の上
面から直角に上方に延在している。マニホールド5500は、適切な方法によって、例え
ば、接着剤または固定具(図示せず)を用いて、シャーシ廃棄物カプラー5600の上面
5604に取り付けられている。リム5506が、上面5604上に位置している。
【0197】
真空ホース5520が、各制御弁5400と各取付具5510との間に接続されている
。具体的には、真空ホース5520は、端5522,5524を有している。ホース端5
522は、取付具棘付き端5385に取り付けられ、かつ保持されており、ホース端55
24は、取付具5510に取り付けられ、かつ保持されている。ホース5520は、制御
弁5400とマニホールド5500との間に吸引流体連通経路をもたらしている。
【0198】
シャーシ廃棄物カプラー5600は、フレーム上パネル3182に取り付けられている
。シャーシ廃棄物カプラー5600は、略D字状であり、ポリプロピレンのようなプラス
チック材料の単一片から形成されている。フレーム上パネル3182は、シャーシ廃棄物
カプラー5600を受け入れる切欠き部5602を有している。シャーシ廃棄物カプラー
5600は、中心体5601を有している。中心体5601は、上面5604および向き
合った底面5606を有しており、端とも呼ばれている。周辺側面5608が、シャーシ
廃棄物カプラー5600を囲んでいる。周辺リップ5610が、側面5608の全体にわ
たって上面5604から外方に延在している。リップ5610は、上パネル3182上に
位置しており、廃棄物カプラー5600が切欠き5602を下方に通ることを防ぐもので
ある。
【0199】
孔5620が、上面5604から下方に延在している。傾斜した座ぐり孔5622が、
底面5606に位置する凹部5624の上端から上方に延在している。傾斜した座ぐり孔
5622は、凹部5624の方を向く円錐台状面5623によって画定されている。孔5
620、傾斜した座ぐり孔5622、および凹部5624は、互いに同軸であり、上面5
604と底面5606との間の全体に延在している。底を向く傾斜面または壁5626が
、凹部5624から側面5608に延在している。傾斜した面または壁5626が、ガイ
ドレセプタクル5630を画定している。
【0200】
シャーシ廃棄物カプラー5600は、3つのバネクリップ5640によって、シャーシ
上パネル3182に移動可能に連結されている。開口5642が、上パネル3182に画
定されている。バネクリップ5640は、端5646およびU字状クランプ端5648を
有している。開口5643が、端5646に画定されている。バネクリップ5640は、
開口5642,5643を通る固定具5644によって、上パネル3182に取り付けら
れている。クランプ端5648は、廃棄物カプラー上面5604に係合し、廃棄物カプラ
ー上面5604を加圧する。
【0201】
バネクリップ5640は、端5646,5648間に配置された中心バネ区域5650
をさらに有している。バネ区域5650によって、バネクリップ5640を曲げ、シャー
シ廃棄物カプラー5600を下方に付勢することができる。バネクリップ5640によっ
て、可動ローバー4000がシャーシ3100に嵌合したとき廃棄物カプラー5600を
いくらか上方に移動させることができる。また、バネクリップ5640によって、可動ロ
ーバー4000がシャーシ3100に嵌合したとき、廃棄物カプラー5600を可動ロー
バー4000に向かって下方に付勢することができる。
【0202】
[B.可動ローバー]
図29および図37を参照すると、可動ローバー4000の詳細が示されている。廃棄
物収集システム3000は、可動シャーシ3100に嵌合されかつ可動シャーシ310か
ら離脱される可動ローバー4000を備えている。可動ローバー4000は、使用中に、
上側廃棄物容器4200および下側貯蔵タンク4202を利用して、医療/外科廃棄物を
収集し、一時的に貯蔵するようになっている。
【0203】
フレーム4204が、下側貯蔵タンク4202を支持し、下側貯蔵タンク4202が上
側廃棄物容器4200を支持している。上側廃棄物容器4200は、貯蔵タンク4202
の上方に取り付けられており、これによって、上側容器4200内の廃棄物を重力にて下
側貯蔵タンク4202内に空にするすることができる。上側廃棄物4200および貯蔵タ
ンク4202が図29に示されているが、いくつかの実施形態では、可動ローバー400
0は、廃棄物容器4200または貯蔵タンク4202のいずれか1つのみを備えるように
なっていてもよい。
【0204】
フレーム4204は、平坦な矩形状ベース4206およびU字状支持部材4208を備
えている。フレーム4204の構成要素は、鋼のような金属から形成することができる。
ベース4206は、上面4207および底面4209を備えている。支持部材4208は
、溶接または固定具によって、フレーム上面4207に取り付けられている。U字状支持
部材4208およびフレーム上面4207は、通路4210を画定している。下側貯蔵タ
ンク4202は、支持部材4208に取り付けられた底面を有している。4つの車輪42
12が、可動ローバー4000の車輪転動による移動を可能にするために、ベース420
6の底4209に取り付けられている。
【0205】
図27をさらに参照すると、フレームベース4206は、カバー4002によって覆わ
れている。前カバー4004が、上側廃棄物容器4200および下側貯蔵タンク4202
の前部を覆って取り付けられており、後カバー4006が、上側廃棄物容器4200およ
び下側貯蔵タンク4202の後部を覆って取り付けられている。ハンドル4010は、掴
みバー4012、および貯蔵タンク4202に取り付けられたアーム4014を有してい
る。解除ボタン4015が、掴みバー4012上に取り付けられている。ボタン4015
は、可動ローバー4000をシャーシ3100に保持する電磁石3160(図26)の作
動を停止するものである。医療従事者は、ハンドル4010を押すかまたは引っ張ること
によって、可動ローバー4000を位置決めすることができる。透明窓4020が、前カ
バー40004に形成されており、これによって、ユーザーは、上側廃棄物容器4200
の内容物を視覚的に確認することができる。
【0206】
カバー4002,4004,4006、およびハンドル4010は、成形プラスチック
から形成し、適切な方法によって、例えば、固定具の使用によって、フレーム4204お
よび廃棄物容器4200,4202に取り付けることができる。カバー4002,400
4,4006は、可動ローバー4000の内部構成要素を保護し、改良された視覚的外観
をもたらすために、用いられている。
【0207】
図37を特に参照すると、上側廃棄物容器4200は、上側キャニスター4218を備
えている。上側キャニスター4218は、円筒状に見えるが、いくらか円錐台状である。
上側キャニスター4218は、医療/外科廃棄物を収集し、かつ保持するための上側廃棄
物チャンバ4220を画定している。カバーまたはキャップ4222が、上側キャニスタ
ー4218を覆っており、上側廃棄物チャンバ4220を閉鎖している。下側貯蔵タンク
4203は、略立方体の廃棄物容器4224を備えている。廃棄物容器4224は、廃棄
物を保持するための下側廃棄物チャンバ4226を画定している。下側廃棄物容器422
4は、上面4227、底面4228、および4つの側面4229を有している。
【0208】
貯蔵タンク4202は、流体廃棄物を収集するために用いられない。貯蔵タンク420
2は、流体廃棄物を貯蔵するために用いられる。貯蔵タンク4202は、略30リットル
から100リットルの比較的に大きい内部容量を有している。上側キャニスター4218
は、略3リットルから10リットルのより小さい容量を有している。キャニスター421
8およびキャップ4222は、成形プラスチックから形成されており、少なくともその一
部が透明になっている。貯蔵タンク4202は、回転成形またはブロー成形されたプラス
チックから形成することができる。
【0209】
支持構造4230が、固定具(図示せず)によって、貯蔵タンク上面4227に取り付
けられている。支持構造4230は、上面4227に取り付けられた4つの下方に延在す
る脚4232を有している。上側キャニスター4218は、固定具(図示せず)によって
、支持構造4230に取り付けられている。上側キャニスター4218は、脚4232の
長さだけ貯蔵タンク4202から上方に離間している。支持構造4230は、上側廃棄物
容器4200を貯蔵タンク4202の上方に保持している。
【0210】
可動ローバーの上側廃棄物カプラー4700は、キャップ4222に取り付けられてお
り、キャップ4222から直角に上方に延在している。エルボー取付具4498が、キャ
ップ4222に取り付けられ、かつ保持されている。エルボー取付具4498は、上側廃
棄物チャンバ4220に流体連通している。真空ホース4496の一端は、エルボー取付
具4498に接続されており、真空ホース4496の他端は、可動ローバーの吸引(真空
)カプラー4600に接続されている。真空ホース4496は、上側廃棄物チャンバ44
20を可動ローバー真空カプラー4600の1つに接続し、上側廃棄物容器4200と可
動ローバー真空カプラー4600との間に流体連通経路をもたらしている。
【0211】
他のエルボー取付具4512が、貯蔵タンク上面4227の開口4508を通って取り
付けられており、下側廃棄物チャンバ4226に流体連通している。真空ホース4510
の一端は、エルボー取付具4512に接続されており、真空ホース4510の他端は、可
動ローバー真空カプラー4600(図28)に接続されている。真空ホース4512は、
下側廃棄物容器4224を可動ローバー真空カプラー4600の1つに接続し、貯蔵タン
ク4202と可動ローバー真空カプラー4600との間に流体連通経路をもたらししてい
る。
【0212】
図39および図40は、キャップ4222および可動ローバー上側廃棄物カプラー47
00の詳細を示している。図39および図40を参照すると、キャップ4222は、周辺
リップ4250を有する略ドーム状である。リップ4250は、キャニスター4218の
リム4238をそれらの間に捕捉されたエラストマーシール4246に係合している。V
字状クランプ4254が、周辺リプ4250をリム4238に締め付けることによって、
キャプ4222をキャニスター4218に固定している。
【0213】
キャップ4222は、上方に突出するボス4260を有している。真空ポートまたは導
管4264が、ボス4260およびキャップ4222を通って上側廃棄物チャンバ422
0内に画定されている。90°エルボー継手4498が、真空ポート4264内に取り付
けられている。エルボー継手4498は、真空ポート4264の接続された一端および真
空ホース4496に接続された他端を有している。エルボー継手の一端は、真空ポート4
264内に圧入され、その他端は、真空ホース4496内に圧入されている。真空ホース
の他端は、ローバー真空カプラー4600に接続されている。
【0214】
いくつかの取付け特徴部4268およびウエブ4270が、キャップ4222の上外面
に形成されている。ウエブ4270は、キャップ4222に剛性および強度を追加するも
のである。可動ローバー上側廃棄物カプラー4700は、固定具4272を用いて取付け
特徴部4268に取付けられている。可動ローバー上側廃棄物カプラー4700は、平坦
な基部4702、および基部4702と直交する円筒状廃棄物導管4704を有している
。孔4705が、廃棄物導管4704を貫通している。上側廃棄物カプラー4700に構
造的剛性を追加するために、いくつかのガセット4706が、基部4702と導管470
4との間に形成されている。廃棄物導管4704は、シャーシ廃棄物カプラー5600か
ら可動ローバー上側廃棄物容器4200に至る廃棄物流体連通経路として機能している。
【0215】
廃棄物導管4704は、互いに向き合った端4710,4712をさらに備えている。
環状溝4714が、端4712に隣接して廃棄物導管4704の外面に画定されており、
ゴムシール4716を含んでいる。端4712は、キャップ4222に形成された環状ス
リーブ4274に嵌入されている。スリーブ4274は、廃棄物チャンバ4220内に延
在する貫通孔を有している。
【0216】
シール4716によって、真空シールがスリーブ4274の内面と廃棄物導管4704
の外面との間に形成されている。出口4276が、キャップ4222の底面から下方に延
在し、キャップ4222の一部として形成されている。出口4276は、廃棄物導管47
04に流体連通している。出口4276は、廃棄物流れを廃棄物キャニスター4218の
中心軸からキャニスターの外壁に向かって導くようになっている。
【0217】
廃棄物導管端4710は、テーパが付されており、環状溝4720を有している。環状
溝4720は、端4710に隣接して廃棄物導管の外面に画定されている。ゴムシール4
722が、溝4720に取り付けられている。可動ローバー4000がシャーシ3100
に嵌合されるとき、廃棄物導管4704は、廃棄物カプラー5600に嵌入されることに
なる。
【0218】
具体的には、廃棄物導管端4710は、該廃棄物導管端4710が凹部5624に入り
、傾斜した座ぐり孔5622内にすべり込むまで、廃棄物カプラーの傾斜面5626の全
体にわたって摺動する。ゴムシール4722は、傾斜した座ぐり孔5622の内面562
3と端4710における廃棄物導管4704の外面との間に真空シールを形成する。内面
5623と廃棄物導管4704の外面との間のシール4722の圧縮によって、ローバー
上側廃棄物カプラー4700とシャーシ廃棄物カプラー5600との間の吸引の漏れを実
質的になくすことができる。
【0219】
図28および図29を参照すると、切換弁4280が、上側廃棄物容器4200から貯
蔵タンク4202に重力によって廃棄物を空にするのを容易にするために、上側廃棄物容
器4200と貯蔵タンク4202との間に配置されている。切換弁4280は、上側廃棄
物容器4200と貯蔵タンク4202との間の真空経路を密封して個別の真空調整を可能
にするために、選択的に閉鎖可能になっている。開位置では、上側廃棄物容器4200内
の廃棄物は、重力によって、貯蔵タンク4202内に排出される。閉位置では、廃棄物は
、上側廃棄物容器4200に保持される。一実施形態では、上側廃棄物容器4200から
貯蔵タンク4202への廃棄物の排出を助長するために、低レベルの真空が貯蔵タンク4
202に印加されてもよい。切換弁4280は、ボール弁である。切換弁4280によっ
て、可動ローバー4000は、多量の廃棄物を保持することができ、空にすることが必要
になる前にいくつかの医療手術手順に用いられることが可能になる。
【0220】
切換弁4280は、切換弁アクチュエータまたはモータ4282によって移動するよう
になっている。切換弁モータ4282は、切換弁4280に連結され、切換弁4280を
上側廃棄物容器4200と貯蔵タンク4202との間に流体連通をもたらす開位置と上側
廃棄物容器4200と貯蔵タンク4202との間の流体連通を妨げる閉位置との間で移動
させる。切換弁4280および切換弁モータ4282は、いずれも貯蔵タンク4202の
上端と支持構造4230との間に取り付けられている。
【0221】
吸引流体経路3070、従って、容器4200に印加される真空のレベルを測定するた
めに、圧力センサ1698が吸引流体連通経路3070に流体連通している。圧力センサ
1698は、吸引流体連通経路3070の真空レベルに対応する圧力信号を生成する。同
様に、吸引流体連通経路3072、従って、容器4202に印加される真空のレベルを測
定するために、他の圧力センサ1699が吸引流体連通経路3072に流体連通している
。圧力センサ1699は、吸引流体連通経路3072の真空レベルに対応する圧力信号を
生成する。容器4200,4202とカプラー4600との間に取り付けられた圧力セン
サ1698,1699が示されているが、圧力センサ1698,1699は、真空レギュ
レータ3222,3224の下流における吸引流体連通経路3070,3072のどこに
取り付けられていてもよい。一実施形態では、圧力センサ1698は、容器4200内に
取り付けられており、圧力センサ1699は、容器4202内に取り付けられている。他
の実施形態では、圧力センサ1698,1699は、真空レギュレータ3222,322
4の下流においてシャーシカート3100内に取り付けられている。
【0222】
図41および図42を参照すると、可動ローバー4000は、ガイド装置4870を備
えている。ガイド装置4870は、可動ローバー4000がシャーシ3100に嵌合され
るときに浮動カプラー機構3300(図26)をガイド装置4870内に案内するように
構成されている。ガイド装置4870は、可動ローバーフレーム4204の底面4209
に取り付けられている。ガイド装置4870は、互いに離間した一対の細長のガイドレー
ル4872および一対のガイドプレート4874を備えている。ガイドレール4872は
、水/廃液マニホールド4900と一体に形成されている。ガイドプレート4874は、
固定具4876によって、一体のガイドレール4872に連結されている。また、固定具
4876は、水/廃液マニホールド4900をフレーム4204に取り付けている。ガイ
ドレール4872およびガイドプレート4874は、フレーム4204の開口4878の
両側に配置されている。開口4878は、フレーム4204の近位縁の近くに配置されて
いる。ガイドレール4872は、フレーム4204の中心軸から離れる方に延在する丸形
端を有しており、ガイドプレート4874は、丸形縁を有している。ガイドレール487
2は、フレームの底面4209と略直交して配向しており、ガイドプレート4872は、
ガイドレール4874と直交して取り付けられている。
【0223】
ガイド装置4870は、4つの丸形ガイド肩部4880をさらに備えている。ガイド肩
部4880は、ガイドレール4872間において、開口4878に隣接するフレーム42
04の近位縁から上方に延在している。
【0224】
ガイドレール4872は、近位側を向く開口を有している。この開口は、肩部4880
に隣接するガイドレール4872の端間の距離がポスト4882に隣接するガイドレール
4872の端間の距離よりも大きくなるように、互いに傾斜している。ガイドプレート4
874は、フレーム底面1209に傾斜して取り付けられている。肩部4880に向かう
ガイドプレート4874の近位端は、ガイドプレート4874の遠位端よりも低くなって
いる。
【0225】
真空/排出マニホールド4900は、開口4878の全体にわたってフレーム4204
に取り付けられている。真空/排液マニホールド4900は、下側廃棄物排出カップリン
グまたは廃棄物排出ポート4902、水カップリングまたは水ポート4904、および2
つの真空カップリング4600を備えており、これらの全てがマニホールド4900から
開口4878内に下向き方向に向けられている。真空/排出マニホールド4900は、固
定具(図示せず)を用いてフレーム4204に取り付けられている。真空カップリング4
600は、可動ローバー4000が静止ドッカー900(図4)に係留したとき、ガイド
ピンレセプタクルとしても用いられるようになっている。廃棄物排出ポート4902およ
び水ポート4904は、上側廃棄物容器4200および貯蔵タンク4202(図37)か
ら廃棄物を空にし、かつ洗浄することを容易にするために、静止ドッカー900に接続さ
れるようになっている。
【0226】
図41および図42をさらに参照すると、ローバー真空カップリング4600の詳細が
示されている。可動ローバー4000がシャーシ3100に嵌合されたとき、ローバー真
空カップリング4600は、シャーシ真空カップリング3400(図32)に嵌合される
。真空/排出マニホールド4900は、開口4878の全体にわたってフレーム4204
に取り付けられた略矩形状ハウジング4920を有している。ハウジング4920は、上
面4922、底面4924、および丸形近位面4880を有している。ハウジング492
0は、周辺リップ4928も有している。周辺リップ4928は、ハウジング4920の
3つの側面から開口4878を通って延在し、フレーム底面4209に接触している。
【0227】
ローバー真空カップリング4600は、ハウジング4920を貫通する孔4602と、
ハウジング底面4924からハウジング4920の厚みの略1/3にわたってハウジング
4920内に延在する傾斜した座ぐり孔4604と、によって画定されている。傾斜した
座ぐり孔4604は、円錐台状下向き面4606によって画定されている。表面4606
がハウジング底面4924との交差箇所において、円開口4608が画定されている。
【0228】
ローバー真空カップリング4600は、ハウジング上面4922から直角に延在する2
つの円筒状導管4610をさらに備えている。導管4610は、ハウジング4920と一
体に形成することができる。導管4610は、各々、ハウジング上面4922に取り付け
られた端4612、他端4614,および孔4602に繋がる孔4616を有している。
【0229】
90°エルボー取付具4620が、各導管端4614に取り付けられている。各エルボ
ー取付具4620は、中心体4622、下向き端4624、および遠位側を向く棘付き端
4626を有している。1つのエルボー取付具の棘付き端4626は、真空ホース449
6の端を受け入れ、他のエルボー取付具の棘付き端4626は、真空ホース4510の端
を受け入れている。環状溝4630が、取付具端4624の内面に画定されている。ゴム
シール4632が、環状溝4630に着座している。エルボー取付具端4624が導管端
4614の周りに押圧され、これによって、ゴムシール4632が導管4610の外面と
エルボー取付具端4624の内面との間に圧縮され、その結果、真空シールを形成するこ
とができる。
【0230】
可動ローバー電力/データカプラー4800が図37および図41に示されている。ロ
ーバー電力/データカプラー4800は、可動ローバー4000がシャーシ3100に嵌
合したとき、低電圧電力およびデータをシャーシ電力/データカプラー―3500(図3
1)から受給するようになっている。この電力は、可動ローバー4000の種々のシステ
ムによって用いられる。電力/データカプラー4800によって、(例えば、解除ボタン
4015を介する)制御およびローバーと可動シャーシとの間の(例えば、レベルセンサ
4962を介する)測定情報の交換が行なわれる。ローバー電力/データカプラー480
0は、電気接点を介して、シャーシ3100から可動ローバー4000に電力を送給する
【0231】
4つの長孔4801が、4つのフレーム肩部4880間に画定されている。ブレードレ
セプタクル4802,4804,4810が真空/排出ハウジング4920の近位部分に
取り付けられている。ブレードレセプタクル4802,4804,4810は、長孔48
01に隣接して配置され、長孔4801内に向いており、長孔4801を通してアクセス
可能になっている。ブレードレセプタクル4802,4804,4810は、分岐され、
バネ付勢されている。ブレード接点3502,3504,3510(図31)が、それぞ
れ、ブレードレセプタクル4802,4804,4810内にすべり込み、ブレードレセ
プタクル4802,4804,4810によって把持されることになる。
【0232】
さらに具体的には、電力レセプタクル4802は、電力接点3502に嵌合され、可動
ローバー4000に陽電位をもたらす。接地レセプタクル4804は、接地接点3504
に嵌合され、可動ローバー4000に接地電位をもたらす。データレセプタクル4810
は、データ接点3510に嵌合され、可動ローバー4000とシャーシ3100との間の
データ通信を容易にする。レセプタクル4802,4804,4810は、銅合金のよう
な導電金属から形成されており、アーク放電に耐え、腐食を防ぐためにメッキが施されて
いるとよい。
【0233】
図42を参照すると、平坦な矩形状取付けプレート4300が、フレーム4204の上
面4207から直角に上方に延在している。取付けプレート4300は、金属から形成さ
れており、フレーム4204に取り付けられている。取付けプレート4300は、近位面
4302および遠位面4304を備えている。2つの円筒状ドラム4310が、近位面4
302に取り付けられており、近位方向を向いている。ドラム4310は、鋼のような磁
場に吸引される材料から形成されている。可動ローバー4000がシャーシ31000に
嵌合されたとき、ドラム4310は、レセプタクル3124(図26)内を向き、電磁石
3160が励磁されると、電磁石3160(図26)に吸引されて接触する。励磁された
とき、電磁石3160は、可動ローバー4000をシャーシ3100を保持することにな
る。
【0234】
[C.静止ドッカー]
図43を参照すると、静止ドッカー900に係留された可動ローバー4000の水/廃
液図が示されている。可動ローバー4000が静止ドッカー900に係留されている間に
、可動ローバー400の貯められた医療/外科廃棄物が空にされ、次いで、可動ローバー
400が洗浄される。静止ドッカー900は、廃棄物ポート902および水ポート904
を備えている。廃棄物ポート902および水ポート904は、それぞれ、可動ローバー4
000の廃棄物ポート4902および水ポート4904に連結されている。
【0235】
水ポート4904は、水ライン4908を通って分岐弁4906に接続されている。分
岐弁4906は、各廃棄物容器4200,4202への水および洗浄流体の流れを調節す
るものである。水ライン4910は、分岐弁4906を上側廃棄物容器4200内のスプ
リンクラーヘッド4180に接続している。水ライン4912は、分岐弁4906を貯蔵
タンク4202内のスプリンクラーヘッド4180に接続している。廃棄物ポート490
2は、吐出口4914によって、貯蔵タンク4202の底に接続されている。
【0236】
可動ローバー4000が静止ドッカー900に係留された後、貯蔵タンク4200内の
溜まった廃棄物は静止ドッカー900内に空になるまで排出される。切換弁4276は、
排出操作中に開位置にあり、これによって、上側廃棄物容器4200内の廃棄物が貯蔵タ
ンク4202内に流れる。貯蔵タンク4202が空になった後、上側廃棄物容器4200
および貯蔵タンク4202は、静止ドッカー4906から、水ポート4904、水ライン
4908、分岐弁4906、水ライン4910、4912、およびスプリンクラーヘッド
4180を通って、各廃棄物容器4200および貯蔵タンク4202内に送り出される流
体によって、洗浄される。溜まった洗浄流体は、廃棄物ポート4902を通って空にされ
る。
【0237】
[D.電力/制御システム]
図44は、電力を供給し、シャーシ3100および可動ローバー4000の操作を制御
するための電力/制御システム4980の概略図を示している。電力/制御システム49
80の構成要素が、シャーシ3100および可動ローバー4000内に取り付けられてい
る。電力コード3154は、可動シャーシ3100から延在し、電力プラグ3156で終
端している。商用電源システムへの接続を容易にするために、電力プラグ3156は、医
療用施設内の電気的レセプタクルに接続されている。
【0238】
電力コード3154および電力プラグ3156は、電源3804に接続されている。電
源3804は、1つまたは複数の電圧/電流レベルを可動シャーシ3100に供給するこ
とができる。電源3804は、電力を電力ケーブル3152を通して外科用モジュール3
140に供給する。電源3804は、電力を電力ケーブル3153を通してシャーシ制御
装置3802にも供給する。主電力が失われたときに補充電力をシャーシ3100に供給
するために、補充バッテリまたは超コンデンサ3805が、電力ケーブル3806を通し
て電源3804に接続されている。熱管理システム3808が、外科用モジュール314
0および他の電子制御装置の近くでシャーシ3100内に取り付けられている。熱管理シ
ステム3808は、ファンのような冷却装置および熱レベルを検出するセンサを備えてい
る。熱管理システム3808は、電力ケーブル3809を通して電源3804に接続され
ている。
【0239】
シャーシ制御装置3802は、シャーシ3100の構成要素の操作を制御するために、
コントローラまたはマイクロプロセッサおよび半導体スイッチを備えている。制御装置3
802は、電力ケーブル3810およびデータケーブル3812を通して電力/データカ
プラー3500に接続されている。電力/データカプラー3500は、電力およびデータ
を電気接点を介して可動ローバー4000に伝達する。可動ローバー4000は、電力/
データカプラー4800を備えている。電力/データカプラー4800は、電力ケーブル
4954およびデータケーブル4956を通して可動ローバー制御装置4952に接続さ
れている。電力およびデータは、電力/データカプラー4500,4800内の各接点お
よびレセプタクルの嵌合を介して伝達される。
【0240】
可動ローバー4000が静止ドッカー900(図4)に係留されたとき、廃棄物を空に
し、洗浄する手順中に、ローバー電力/データカプラー4800によって、静止ドッカー
900が電力を可動ローバー4000に供給し、かつ可動ローバー4000と通信するこ
とが可能になる。
【0241】
図26および図27をさらに参照すると、制御装置3802は、電力ケーブル3814
を介して電磁石3160にさらに接続されている。電磁石3160は、シャーシ3100
に嵌合され、レセプタクル3124の方を向いている。可動ローバー4000がシャーシ
3100に嵌合されると、鋼ドラム4310が電磁石3160に物理的に近接する。ロー
バー4000がシャーシ3100に嵌合され、電力がローバー4000に最初に供給され
ると、制御装置4952は、電気信号をカプラー4800,3500を通して制御装置3
802に自動的に送信し、電磁石3160を励磁または作動するように制御装置3802
に指令をもたらす。電磁石3160が励磁されると、磁場が生じ、鋼ドラム4310を電
磁石3160に接触するように吸引し、これによって、可動ローバー4000がシャーシ
3100に保持される。
【0242】
解除ボタン4015が可動ローバー4000に取り付けられており、制御装置4952
に接続されている。ユーザーが解除ボタン4015を押し込むと、制御装置4952は、
電気信号をカプラー4800,3500を通して制御装置3802に送信し、電磁石31
60を脱磁するように制御装置3802に指令をもたらす。電磁石3160が脱磁される
と、磁場が取り除かれ、これによって、可動ローバー4000をシャーシ3100から取
り外すことができる。
【0243】
図44を参照すると、制御装置3802は、電力/データケーブル5440を介して制
御弁アクチュエータ5430にも連通している。制御装置3802は、アクチュエータ5
430を用いて、制御弁5400のいずれかを選択的に開閉または部分的に開放すること
ができる。制御装置3802は、電力/データケーブル3820を介して真空ポンプ32
10に連通している。制御装置3802は、真空ポンプ3210の操作を制御する。制御
装置3802は、電力/データケーブル3824を介してHEPAフィルターメモリ装置
3802に連通している。制御装置3802は、フィルターが変化を要求することを示す
信号をHEPAフィルターメモリ装置3822から受信することができる。
【0244】
制御装置3802は、電力/データケーブル3826を介して真空レギュレータ322
2にも連通しており、電力/データケーブル3828を介して真空レギュレータ3224
にも連通している。制御装置3802は、上側廃棄物容器4200および貯蔵タンク42
02に供給された真空レベルを独立して調節するために、真空レギュレータ3222,3
224の操作を制御している。
【0245】
制御装置3802は、電力/データケーブル3832を介して無線周波数識別装置(R
FID)リーダー3830にさらに連通している。RFIDリーダー3830は、医療用
機器の種々の断片に配置されたRFIDタグから情報を読み取り、該情報を制御装置38
02に送信するものである。一実施形態では、RFIDタグは、外科用ハンドピース62
,64(図2)上に配置されており、制御装置3802は、用いられているハンドピース
62,64の種類を認識し、可動ローバー4000およびシャーシ3100のための1つ
または複数の操作パラメータを決定するようになっている。
【0246】
制御装置3802は、電力/データケーブル3834を介してシャーシ制御パネル31
62にも連通している。ユーザーは、制御パネル3162を用いて、シャーシ3100お
よび可動ローバー4000のパラメータ、制御設定値、および操作を見ることができる。
制御装置3802は、データケーブルまたはバス3168を介して外科用モジュールまた
は器具3140にさらに連通している。制御装置3802は、容器カート4000の容器
4200,4202に印加される吸引のレベルを定めるために真空レギュレータ3222
,3224を制御するために、器具3140と一体のメモリ3143からデータを受信す
ることができる。制御装置3802は、器具3140のメモリからデータを受信し、器具
3140のメモリから読み取ったデータに基づいて、容器4200,4202に印加され
る吸引のレベルを設定する。
【0247】
制御装置3802は、電力ケーブル3968を介してLED光源3966にさらに連通
しており、電力ケーブル3972を介してLED光源3970にさらに連通している。可
動ローバー4000がシャーシ3100に嵌合されたとき、シャーシ3100に取り付け
られたLED光源3966は、上側廃棄物容器4202に隣接して配置され、シャーシ3
100に取り付けられたLED光源3970は、貯蔵タンク4202に隣接して配置され
る。制御装置3802は、上側廃棄物容器4200および貯蔵タンク4202を背後から
照明するために、LED光源3966,3970を点灯および消灯する。
【0248】
可動ローバー制御装置4952は、電力/データケーブル4960を介して解除ボタン
4015にさらに連通している。制御装置4952は、電力/データケーブル4964を
介して廃棄物容器および貯蔵タンクのレベルセンサ4962に連通している。レベルセン
サ4962は、上側廃棄物容器4200および貯蔵タンク4202内の廃棄物のレベルを
表す電気信号を生成する。制御装置4952は、電力/データケーブル4966を介して
切換弁アクチュエータ4282にも連通している。制御装置4952は、上側廃棄物容器
4200から貯蔵タンク4202への廃棄物の流れを選択的に制御するために、アクチュ
エータ4282を用いて、切換弁4280を開閉または部分的に開放することができる。
制御装置4952は、電力/データケーブル4970を介して分岐弁アクチュエータ49
07にもさらに連通している。上側廃棄物容器4200および貯蔵タンク4202への水
の流れを選択的に制御するために、アクチュエータ4907を用いて分岐弁4906を開
閉することができる。
【0249】
制御装置4952は、データケーブル1967を介して圧力センサ1698に連通して
いる。データケーブル1967は、圧力信号をセンサ1698から制御装置4952に伝
達する。データケーブル1971は、圧力信号をセンサ1699から制御装置5952に
伝達する。圧力信号は、ローバー制御装置4952から通信回路1856,620を介し
てシャーシ制御装置3802に伝達される。シャーシ制御装置3802は、少なくとも部
分的に圧力センサ信号に基づき、容器4200,4202に印加される真空を調節する。
一実施形態では、廃棄物容器4200,4202の各々に供給される真空レベルを独立し
て調節するために、制御装置3802は、圧力センサ信号に基づき、真空レギュレータ3
222,3224の操作を操作する。
【0250】
[E.第2の実施形態の操作]
図26図28を参照すると、医療/外科用廃棄物収集システム3000が、医療/外
科廃棄物の収集に用いるために準備される。シャーシ3100は、使用中、手術室/外科
領域に配置されている。電力プラグ3156が電源に接続され、電力をシャーシ3100
に供給する。オペレータが、制御パネル3162を用いて、シャーシ3100を作動させ
る。
【0251】
図31および図41をさらに参照すると、ユーザーが空の可動ローバー4000をシャ
ーシレセプタクルまたは空洞3124に移動させることによって、空の可動ローバー40
00がシャーシ3100に嵌合される。可動ローバー4000が空洞3124内に移動す
ると、ガイド装置4870が、浮動カプラー機構3300に係合する。具体的には、可動
ローバー4000がシャーシ3100に向かって移動すると、ローバーの傾斜したガイド
レール4872がシャーシの傾斜した区域3322に係合し、ローバーの傾斜したガイド
プレート4874がシャーシリップ3324に係合し、これによって、ローバーガイド機
構4870およびシャーシ浮動カプラー機構3300が、互いに対して中心位置に移動す
ることになる。同時に、シャーシ浮動カプラー機構3300は、バネブラケット3302
によって、いくらか移動または浮上し、これによって、シャーシ真空カプラー3400お
よびシャーシ電力/データカプラー3500をいくらか上下動させることができ、その結
果、各ローバー真空カプラー4600およびローバー電力/データカプラー4800に対
してより容易に位置合わせさせることができる。
【0252】
最終的に、ローバー電力/データカプラー4800は、シャーシ電力/データカプラー
3400に係合かつ接触し、鋼ドラム4310が、電磁石3160に接触し、可動ローバ
ー4000の前方移動を制限する。この位置において、ローバー電力/データカプラー4
800は、ローバーレセプタクル4802,4804,4810がそれぞれシャーシ接点
3502,3504,3510に嵌合するように、シャーシ電力/データカプラー350
0に係合される。これによって、シャーシ電力/データカプラー3400は、電力を可動
ローバー4000に供給することができる。
【0253】
図44をさらに参照すると、電力が可動ローバー4000に供給された後、シャーシ制
御装置3802は、データ接点3510およびレセプタクル4810を介してローバー制
御装置4952とのデータ通信を開始する。制御装置3802,4952は、廃棄物収集
システム3000の操作を準備する起動シーケンスを開始する。可動ローバー4000が
シャーシ空洞3124内に完全に着座した状態で、制御装置3802,4952は、ロー
バー4000がシャーシ3100に嵌合されたことを検出し、自動的に電磁石3160を
励磁することができる。シャーシ電磁石3160が励磁されると、該電磁石3160は、
鋼ドラム4310を吸引し、これによって、鋼ドラム4310が引き込まれ、電磁石31
60に接触する。電磁石3160の励磁の継続によって、可動ローバー4000は、シャ
ーシ3100に保持されることになる。
【0254】
図32図42および図45を特に参照すると、可動ローバー4000がシャーシ31
00に嵌合するとき、ローバー真空カプラー4600は、シャーシ真空カプラー3400
に係合かつ嵌合する。可動ローバー4000が近位方向において空洞3124内に移動す
ると、ローバーハウジング4920の底面4924が、シャーシエルボー取付具3402
のテーパ端3411に接触し、エルボー取付具3402および上プレート3304を下方
に加圧する。バネブラケット3302のバネ撓みによって、この下方運動が可能になる。
【0255】
可動ローバー4000の近位運動を継続させると、ローバーの傾斜した座ぐり孔460
4がシャーシテーパ端3411と同軸位置合せし、これによって、テーパ端3411を受
けることになる。バネブラケット3302が、取付具テーパ端3411を付勢し、傾斜し
た座ぐり孔4604内に移動させ、その結果、シール3420が円錐面4606に着座し
、かつ円錐面4606に対して圧縮される。シール3420の圧縮によって、円錐面46
06に対して真空シール4605をもたらし、これによって、エルボー取付具3402と
ハウジング4920との間の吸引の漏れをなくすことができる。孔4610,4602,
3414,3440によって、ローバー真空カプラー4600およびシャーシ真空カプラ
ー3400を通る連続吸引流体連通経路が画定される。すなわち、ハウジング4920を
含むカート構成要素は、シャーシ機械的カプラー3400を受け入れ、容器カート400
0および吸引カート3100を単一ユニットとして離脱可能に一緒に保持する機械的な連
動装置をもたらすことになる。具体的には、シャーシ真空カプラーのテーパ端3411は
、ハウジングの座ぐり孔4604に係合し、容器カート4000および吸引カート310
0を単一ユニットとして離脱可能に一緒に保持する機械的戻り止め4603を形成するこ
とになる。
【0256】
図36および図40を参照すると、可動ローバー4000がシャーシ3100に嵌合す
るとき、ローバー上側廃棄物カプラー4700も、シャーシ廃棄物カプラー5600に係
合かつ嵌合する。可動ローバー4000が近位方向に空洞3124内に移動すると、ロー
バー廃棄物導管4704は、シャーシ廃棄物カプラー5600に嵌入される。
【0257】
具体的には、可動ローバー4000が近位方向に移動している状態で、ローバー廃棄物
導管のテーパ端4710がシャーシ開口3127内にすべり込み、シャーシの傾斜面56
26に接触する。傾斜面5626に対してすべる傾斜端4710の当接によって、廃棄物
カプラー本体5601が、バネクリップ5640によって生じる下方付勢を上回って、上
方に付勢される。近位方向における運動がさらに継続されると、廃棄物導管のテーパ端4
710が、凹部5624に入り、次いで、傾斜した座ぐり孔5622内にすべり込む。バ
ネクリップ5640は、廃棄物カプラー本体5610を下方に移動するように付勢し、こ
れによって、座ぐり孔円錐面5623がシール4722に着座されかつ圧縮される。シー
ル4722の圧縮によって、円錐面5623に対して真空シール4701をもたらし、こ
れによって、カプラー本体5610と廃棄物導管4704との間の吸引の漏れをなくすこ
とができる。孔4705,5620,5622によって、ローバー上側廃棄物カプラー4
700およびシャーシ廃棄物カプラー5600を通る連続吸引流体連通経路が画定される
。すなわち、廃棄物カプラー本体5601を含むカート構成要素は、廃棄物導管4704
を受け入れ、容器カート4000および吸引カート3100を単一ユニットとして離脱可
能に一緒に保持する機械的な連動装置をもたらすことになる。具体的には、導管テーパ端
4710は、本体の傾斜した座ぐり孔5622に係合し、容器カート4000および吸引
カート3100を単一ユニットとして離脱可能に一緒に保持する他の機械的戻り止め47
11を形成することになる。
【0258】
図26図27図33Aおよび図34を参照すると、1つまたは複数の新しい使い捨
て入口取付具5100が、1つまたは複数の対応する入口取付具受器5200に取り付け
られる。ユーザーは、キャップスカート5158を掴み、バレル5102を受器孔521
2内に挿入する。ポスト5210が長孔5166と真っ直ぐに並んだ状態で、入口取付具
5100を、バレル5102が孔5212内に着座するまで、近位方向に移動させる。バ
レル近位端5108が弁体5402と当接し、遠位端5204がフランジ5156の近位
面に当接する。次いで、スカート5158および入口取付具5100を時計方向に回転さ
せ、その結果として、ポスト5210が凹部5168内にすべり落ち、これによって、入
口取付具5100が入口取付具受器520に係止されることになる。
【0259】
1つまたは複数の吸引ライン62,64が、使い捨て入口取付具5100の1つまたは
複数に接続される。制御弁5400によって、吸引ライン60,64の各々の吸引または
真空を独立して制御されることができる。制御パネル3162によって、ユーザーは、制
御弁5400の各々を選択的に開閉または部分的に開放することができる。これによって
、ユーザーは、自在に吸引ラインへの吸引を遮断し、手術室の騒音を低減させることがで
きる。
【0260】
吸引ライン62,64が入口取付具5100を介してシャーシ3100に取り付けられ
ているので、医療手術手順中、可動ローバー4000が廃棄物によって充填されたとき、
外科領域に延びる吸引ライン60,64を離脱させることなく、他の空の可動ローバーと
取り換えることができる。加えて、可動ローバー4000を取り換えるとき、外科用モジ
ュールまたは機器3149から延在する他のケーブルおよびチューブ(図示せず)を離脱
させる必要がない。これによって、充填した可動ローバーを空の可動ローバーに迅速に取
り換えることが可能であり、多量の流体廃棄物が収集される外科用手術手順の中断を最小
限に抑えることができる。
【0261】
一実施形態では、制御弁5400の操作は、1つまたは複数の医療/外科用器具または
モジュール3140によって制御される。これによって、医療/外科用器具は、互いに協
働し、性能を改良することができる。例えば、流出カニューレに接続された制御弁と相互
作用する関節鏡ポンプは、関節への流入/流出する膨張流体の流れを良好に制御すること
ができ、可視化および関節膨張圧力を維持する間に用いられる流体の体積を最小限に抑え
ることができる。
【0262】
図28および図44をさらに参照すると、制御パネル3162によって、ユーザーは、
真空ポンプ3210を選択的に作動かつ遮断することができ、また真空レギュレータ32
22,3224を用いて、上側廃棄物容器4200または貯蔵タンク4202の一方また
は両方内に印加される真空の大きさを選択的に変化させることができる。
【0263】
真空ポンプ3210は、吸引印加器62または66(図26)から吸引または真空ポン
プ3210にわたって形成される連続吸引流体連通経路3070をもたらしている。真空
ポンプ3210が作動されると、得られた吸引が、廃棄物をユーザーによって選択された
吸引印加器62または66内に引き込む。吸引流体連通経路3070は、真空経路307
0と呼ばれることもある。
【0264】
真空ポンプ3210が操作状態にあり、制御弁5400が開位置にあるとき、吸引流体
連通経路3070に関連する廃棄物流れは、吸引印加器62から吸引ライン60に入り、
使い捨て入口取付具5100、入口取付具受器5200、制御弁5400、およびエルボ
ー取付具5380(図40)を通って流れる。図40を参照すると、吸引流体連通経路3
070は、さらに真空ホース5520、取付具5510、マニホールド5500、シャー
シ弁カプラー本体5601、およびローバー廃棄物導管4704を通って、出口4276
から出て、上側廃棄物容器4200に入り、上側廃棄物容器4200において廃棄物流れ
が沈殿する。
【0265】
図28図37および図45を参照すると、主に空気を含む吸引流体連通経路3070
は、上側廃棄物容器4200からエルボー取付具4498および真空ホース4496に至
り、エルボー取付具4620を経てハウジング4920の孔4620およびエルボー取付
具3402内に至る。吸引流体連通経路3070は、さらにエルボー取付具3402から
真空ホース3444(図32)に至り、真空レギュレータ3222(図28)、逆止弁3
226、真空ホース3242、HEPAフィルター3232、および真空ホース3244
を経て、真空ポンプ3210で終端する。
【0266】
図28図37および図45を参照すると、主に空気を含む吸引流体連通経路3072
は、貯蔵タンク4202から、エルボー取付具4512、真空ホース4510、エルボー
取付具4620,ハウジング4920の孔4602、およびエルボー取付具3402に至
る。吸引流体連通経路3072は、さらにエルボー取付具3402から、真空ホース34
44(図32)、真空レギュレータ3222(図28)、逆止弁3226、真空ホース3
242、HEPAフィルター3232、および真空ホース3244を経て、真空ポンプ3
210で終端する。
【0267】
液体廃棄物および固形廃棄物の小片は、上側廃棄物容器4200内に沈殿している。い
ったん上側廃棄物容器が充填されたなら、またはユーザーが上側廃棄物容器を空にするこ
とが望んだなら、ユーザーは、切換弁4280を用いて、廃棄物を貯蔵タンク4202に
移すように選択することができる。これによって、廃棄物は、貯蔵タンク4202におい
て空にされるまで貯蔵される。
【0268】
廃棄物収集システム3000の操作中、種々の操作状態またはパラメータがユーザーに
よって制御可能であり、廃棄物収集システムは、ユーザーに種々の操作状態を通知するこ
とができる。一実施形態では、ユーザーは、制御パネル3162を用いて、廃棄物容器4
200または貯蔵タンク4202のいずれかの内容物を照明するかを選択し、発光ダイオ
ード3966または3970(図44)を点灯させることができる。他の実施形態では、
レベルセンサ4962(図44)は、上側容器4200または貯蔵タンク4202のいず
れがいつ充填するかを検出し、パネル廃棄物収集システム3000の操作状態を表すレベ
ルセンサ信号を制御パネル3162に送信し、ユーザーにこの状態を通知することができ
る。
【0269】
医療従事者は、種々の外科機能を果たすために、廃棄物収集システム3000の操作中
または廃棄物収集システム3000とは無関係に、外科用モジュール3140を操作する
こともできる。
【0270】
一定時間が経過した後、上側廃棄物容器4200が用いられていると、上側廃棄物容器
4200が充填され、空にする必要がある。あるいは、充填される前に、オペレータによ
って上側廃棄物容器を空にすることが選択されることもある。この時点で、ユーザーは、
制御パネル3162を用いて、切換弁アクチュエータ4282(図44)に切換弁428
0(図44)を開くように指示し、廃棄物を上側廃棄物容器4200から貯蔵タンク42
02に送ることができる。
【0271】
図28に示されているように、真空ポンプ3210は、貯蔵タンク4202から吸引ま
たは真空ポンプ3210にわたって形成された連続吸引流体連通経路3072をもたらし
ている。吸引流体連通経路3072は、真空経路3072と呼ばれることもある。吸引流
体連通経路3072は、上側廃棄物容器4200から貯蔵タンク4202への廃棄物の移
送中に用いられる。切換弁4280にて上側廃棄物容器4200から貯蔵タンク4202
への溜まった廃棄物の排出を助長するために、吸引流体連通雨経路3072によって、低
レベルの真空を貯蔵タンク4202内に供給することができる。廃棄物の移送に用いられ
る真空のレベルを最小限に抑えることによって、貯蔵タンク4202の強度の要件を低減
させることができる。これによって、貯蔵タンクを円筒状または球面状の壁ではなく平坦
な壁によって作製することが可能になる。平坦な側壁を有する貯蔵タンクによって、より
多量の流体を同一の床空間内に貯蔵することが可能になる。また、強度要求の低下によっ
て、材料選択および製造プロセスの柔軟性を大きくすることができる。
【0272】
上側廃棄物容器4200から貯蔵タンク4202への廃棄物の移送中に、上側廃棄物容
器4200内の真空は、真空レギュレータ3222を通って大気圧に解放される。貯蔵タ
ンク4202内の真空は、上側廃棄物容器4200の真空レベルよりも低い圧力に設定さ
れている。その結果、貯蔵タンク内の真空は、廃棄物を切換弁4280を介して貯蔵タン
ク4202内に引き込むのを助長することになる。
【0273】
いったん上側廃棄物容器4200および貯蔵タンク4202の両方が充填されたなら、
またはもしユーザーが上側廃棄物容器4200および/または貯蔵タンク4202を充填
前に空にして洗浄することを望んだなら、ユーザーは、制御パネル3162を用いて真空
ポンプ3210を遮断することができる。次いで、電磁石3160を脱磁させるために、
ボタン1015(図27)が押し込まれる。電磁石3160が脱磁されると、医療従事者
は、ハンドル4012(図27)をシャーシ3100から遠位方向に引っ張ることによっ
て、ローバー4000をシャーシ3100から取り外すかまたは切り離すことができる。
【0274】
次いで、可動ローバー4000は、外科領域から静止ドッカー900(図4)に車輪転
動によって移動され、廃棄物を治療施設910(図4)に排出し、廃棄物容器4200お
よび貯蔵タンク4202を洗浄する。
【0275】
[V.第4の実施形態]
図46は、本発明によって構成された医療/外科用廃棄物収集システム6000の代替
的実施形態を示している。廃棄物収集システム6000は、可動ローバー4000(図2
7)と共に用いられる静止シャーシ6100を備えている。静止シャーシ6100は、静
止シャーシ6100が手術室/外科領域52の壁6002内に埋め込まれているかまたは
取り付けられていることを除けば、シャーシ3100と同様である。壁6202内への静
止シャーシ6100の取付けによって、手術室/外科領域52内の利用可能な床空間を拡
大することができる。周辺フランジ6004が、静止シャーシ6100の両側面および上
面から外方に延在し、壁6002に拡がっている。静止シャーシ6100の内部構成要素
および操作は、前述のシャーシ3100と同じである。
【0276】
[VI.代替的実施形態]
本発明を例示的実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲か
ら逸脱することなく、種々の変更がなされてもよく、本発明の要素および特徴部がそれら
の等価物に置き換えられてもよいことを理解するだろう。例えば、一実施形態の要素およ
び/または特徴部は、他の実施形態の要素および/または特徴部と組み合わされてもよい
し、またはそれらと置き換えられてもよいことも考慮されている。加えて、本発明の根本
的な範囲から逸脱することなく、特定のシステム、装置、または構成要素を本発明の示唆
に適合させる多くの修正がなされてもよい。本発明は、本発明を実施するために開示され
た特定の実施形態に制限されることを意図していない。
【0277】
例えば、本発明の全ての態様が必ずしも開示されている特徴の全てを有している必要が
ない。本発明の異なる実施形態の特徴が組み合わされてもよい。同様に、本発明の全ての
態様が、前述の高可動性ローバー1000,4000を必ずしも備えている必要がない。
本発明のいくつかの態様では、ローバー1000,4000は、静止ユニットであっても
よい。いくつかの実施形態では、真空ポンプ3210が作動中に連続吸引が3つの使い捨
て入口取付具5100の全てにもたらされるように、制御弁5400(図28)がシャー
シ3100から省略されていてもよい。他の態様では、制御弁5400および入口取付具
5100(図28)は、シャーシ3100から取り外され、可動ローバー4000に取り
付けられ、ローバー制御装置4952が制御弁54000の操作を制御するようになって
いてもよい。この実施形態では、廃棄物カップリング4700、5600は、用いる必要
がなく、省略されてもよい。
【0278】
本発明のさらなる実施形態では、外科用モジュール3140(図44)の1つは、灌注
流体を外科部位に供給する灌注ポンプおよび制御システムであってもよい。外科用モジュ
ール3140は、シャーシ制御装置3802(図44)に連通していてもよい。灌注ポン
プが灌注流体を外科部位に供給するために作動するとき、制御装置3802は、外科部位
に吸引をもたらすために、灌注ポンプの操作を検出し、自動的に真空ポンプ3210およ
び制御弁5400の1つを作動することができる。従って、外科部位が灌注流体によって
洗浄されるときはいつでも、吸引ラインの1つまたは複数が自動的に吸引を印加し、外科
手術中に生じた廃棄流体および破片を除去することができる。
【0279】
本発明のいくつかの態様では、カート100,1000を離脱可能に一緒に保持する構
成要素は、廃棄物収集カート1000に取り付けられていてもよい。これによって、磁石
または移動する機械部材をカート1000に取り付けることができる。制御装置802か
ら吸引カート1000に送られる信号に基づき、カート100,1000を離脱可能に一
緒に保持する構成要素が作動され、かつ停止されることになる。
【0280】
本発明の全ての態様において、ローバーは、必ずしも取り換え可能なマニホールドを保
持するための受器を備えている必要がない。本発明のこれらの態様では、受器は、吸引ラ
インを受ける単純な取付具であってもよい。同様に、受器は、吸引ラインが延出するある
種の流体カップリングを受ける装置であってもよい。
【0281】
本発明のいくつかの態様では、シャーシまたは吸引カートの一端と容器カートの他端と
の間のデータおよび/または指令信号の伝送は、無線接続であってもよい。この接続は、
誘導結合に関連する周波数またはRF信号交換に関連する高周波数のいずれによって行わ
れてもよい。
【0282】
真空レギュレータは、開示されているものと異なる機能を有していてもよい。従って、
本発明のいくつかの態様では、真空レギュレータは、真空ポンプのオン/オフ状態および
/または真空ポンプの作動率を単純に制御するものであってもよい。
【0283】
本発明のいくつかの態様では、ローバーが最初にシャーシに嵌合され、その後、シャー
シ制御装置802がローバー制御装置1952に問合せ要求を送信するようになっていて
もよい。ローバー制御装置1952は、適切な認識コードに対応しなければならない。も
しシャーシ制御装置802が適切な認識コードを受信しなければ、シャーシ制御装置は、
ポンプ210を作動しない。これによって、シャーシと共に用いられるように特別に設計
されていない容器に吸引が印加されることがない。
【0284】
従って、添付の請求項の目的は、本発明の真の精神および範囲内に含まれるこのような
変更および修正の全てを包含することにある。
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