(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】低温加熱式喫煙具の加熱装置及び低温加熱式喫煙具
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20220907BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20220907BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2020214147
(22)【出願日】2020-12-23
(62)【分割の表示】P 2018200170の分割
【原出願日】2018-10-24
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】201721416144.0
(32)【優先日】2017-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201811193550.4
(32)【優先日】2018-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517075997
【氏名又は名称】深▲せん▼市合元科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN FIRST UNION TECHNOLOGY CO.,LTD
【住所又は居所原語表記】Bldg C, Tangwei High-Tech Park, Fuyong Str, Baoan Dist, Shenzhen, Guangdong, China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】呉澤▲シン▼
(72)【発明者】
【氏名】李永海
(72)【発明者】
【氏名】徐中立
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第202907797(CN,U)
【文献】国際公開第2016/123738(WO,A1)
【文献】特開平05-296026(JP,A)
【文献】実開平05-069893(JP,U)
【文献】特表2017-522876(JP,A)
【文献】国際公開第2016/120177(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
A24F 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温加熱式喫煙具の加熱装置であって、
タバコを収容するためのパイプと、
金属材料で製造される加熱部材であって、前記パイプの外に嵌設され、前記パイプを加熱するための加熱部材とを含み、
前記加熱部材に前記加熱部材を容易に前記パイプに嵌設させるノッチが設置され、前記ノッチは前記加熱部材の軸方向に沿って設置され、且つ前記加熱部材の側壁を貫通することを特徴とする低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項2】
前記加熱部材には、前記加熱部材の抵抗を調整し、前記加熱部材を均一に発熱させるための貫通孔群が設置されることを特徴とする請求項1に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項3】
前記貫通孔群は第1の貫通孔群及び第2の貫通孔群を含み、前記第1の貫通孔群及び第2の貫通孔群に複数の貫通孔が設置され、前記第1の貫通孔群及び第2の貫通孔群は前記加熱部材を均一に発熱させるために用いられることを特徴とする請求項2に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項4】
各貫通孔群における全ての貫通孔は前記加熱部材の軸方向に沿って分布され、前記第1の貫通孔群の複数の貫通孔と前記第2の貫通孔群の複数の貫通孔とはそれぞれ対称的に設置されることを特徴とする請求項3に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項5】
前記パイプの外表面に前記パイプと前記加熱部材との導通を避けるための絶縁層が設置されることを特徴とする請求項1に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項6】
前記加熱装置は更に電源モジュールを含み、前記電源モジュールは前記加熱部材に電気的に接続され、前記加熱部材を発熱させるために用いられることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項7】
前記電源モジュールはUSBインタフェース、電池、制御ユニット、充電回路、放電回路、電圧検出回路、二つのスイッチ及び電源管理回路を含み、前記電池はそれぞれ充電回路と放電回路に電気的に接続され、前記電池と前記充電回路と、放電回路との間にそれぞれ前記二つのスイッチが設置され、前記充電回路と放電回路はいずれも前記USBインタフェースに電気的に接続され、前記放電回路は前記電源管理回路に電気的に接続され、前記電源管理回路は前記加熱部材に電気的に接続され、前記電圧検出回路は前記USBインタフェースに電気的に接続され、前記制御ユニットはそれぞれ前記二つのスイッチと前記電圧検出回路と電気的に接続されることを特徴とする請求項6に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項8】
前記加熱部材は少なくとも一つの軸方向の方向に沿って延びる発熱部を含み、且つ各前記発熱部に電極接続部が設置され、
前記発熱部に加熱部材の円周方向に沿って配置する複数の前記貫通孔群が設置され、各前記貫通孔群は軸方向に沿って配置する複数の貫通孔を含むことを特徴とする請求項
2に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項9】
前記発熱部は円周方向において、接触せず近づける第1の側縁及び第2の側縁を備え、前記電極接続部は該第1の側縁と第2の側縁との間に位置し且つ該発熱部の軸方向に沿う両端に位置する第1の電極接続部及び第2の電極接続部を含み、前記第1の電極接続部と第2の電極接続部との間に円周方向に沿って分布する複数の異なる電流経路が形成され、複数の前記電流経路はほぼ同じインピーダンスを有することを特徴とする請求項8に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項10】
前記発熱部の円周方向において、前記第1の側縁又は第2の側縁に近い貫通孔の開口面積は前記電極接続部に近い貫通孔の開口面積よりも小さいことを特徴とする請求項9に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項11】
前記発熱部において、前記加熱部材の円周方向に沿って、前記電極接続部から離れる方向に向かって、前記貫通孔群の貫通孔の開口面積は順に、次第に小さくなることを特徴とする請求項8に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項12】
前記発熱部において、前記加熱部材の円周方向に沿って、前記電極接続部から離れる方向に向かって、前記貫通孔群同士間のピッチは順に、次第に大きくなることを特徴とする請求項8に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項13】
前記発熱部において、前記加熱部材の円周方向に沿って、隣接する前記貫通孔群はずらして設置されることを特徴とする請求項8に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項14】
前記発熱部において、前記加熱部材の軸方向に沿って、前記貫通孔群における貫通孔の開口面積は次第に小さくなることを特徴とする請求項8に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項15】
前記発熱部において、前記加熱部材の軸方向に沿って、前記貫通孔群における貫通孔のピッチは次第に大きくなることを特徴とする請求項8に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項16】
前記加熱部材は軸方向に配置される第1の発熱部及び第2の発熱部を含み、第1の発熱部及び第2の発熱部にいずれも加熱部材の円周方向に沿って配置される複数の前記貫通孔群が設置され、第1の発熱部と第2の発熱部との間に接続部によって直列接続され、前記接続部に貫通孔群が設けていないことを特徴とする請求項8に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項17】
前記第1の発熱部と前記第2の発熱部とのインピーダンスが同じになるように、前記第1の発熱部と前記第2の発熱部に同じ規則性のある貫通孔群が設置されることを特徴とする請求項16に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項18】
第1の発熱部と第2の発熱部における貫通孔は開口面積及び/又は形状が異なっていることを特徴とする請求項16に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項19】
前記加熱部材に前記発熱部と熱を伝導する温度センサが設置され、前記温度センサの数が該発熱部の数と同じであることを特徴とする請求項8から18のいずれか一項に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項20】
タバコを収容するためのパイプと、
金属材料で製造される加熱部材であって、前記パイプの外に嵌設され、前記パイプを加熱するための加熱部材とを含み、
前記加熱部材は、幅方向に沿ってパイプに巻回されて円筒状をなし、且つ前記加熱部材は、幅方向において対向する第1の側縁及び第2の側縁を有し、前記加熱部材が前記パイプの外周に巻き付けられた時、該第1の側縁と第2の側縁は互いに接近して接触しないことを特徴とする低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項21】
前記加熱部材と前記パイプとの間に絶縁層が設置され、前記絶縁層はポリイミド樹脂を含むことを特徴とする請求項20に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【請求項22】
低温加熱式喫煙具であって、請求項1から21のいずれか一項に記載の低温加熱式喫煙具の加熱装置と前記加熱装置に電力を供給するための電源装置とを含むことを特徴とする低温加熱式喫煙具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低温加熱式喫煙具の技術分野に関し、特に低温加熱式喫煙具の加熱装置及び低温加熱式喫煙具に関する。
【背景技術】
【0002】
低温加熱式喫煙具は主に刻みタバコ又はタバコペーストなどを、低温加熱によって煙を発生させて吸い込むための電子タバコ製品である。このような低温加熱式喫煙具は、一般的に、中空な円筒状加熱装置を有するという構造であり、使用時に巻きタバコを円筒状の加熱装置内に挿し込み、加熱装置によって巻きタバコを加熱して煙を発生させる。
【0003】
このような製品は実施中に、円筒状の巻きタバコの形状に合わせるように、加熱装置を円筒状の形状に設計する。加熱装置を正常に動作させるために、通常、両端に電極ピンがはんだ付けられ、このような加熱装置は使用中に、一番の不足として、円筒状の加熱装置の発熱が不均一なので、巻きタバコの加熱による煙が不均一になる。具体的には、円筒状発熱装置が展開された後の発熱区域の概略図を
図1に示す;
図1において展開後の加熱部材1は、上、下端部にそれぞれ電源に接続するための電極ピン2が設置される;加熱部材1は、通電して使用する時には全体として導電材料で製造されたが、電流自体は、より短い経路とより小さな抵抗を有する経路を優先的に選択して回路を形成する。例えば、
図1には二つの電流回路AとBを示し、ここでは、A経路は二つの電極ピン2の間の距離がB経路より短いので、大部の電流はA経路を優先的に選択して回路を形成する傾向があるため、加熱部材1上の発熱は主に
図1に示される主発熱区域3内に集中する。主発熱領域3以外の部分において、発熱量が少なく、従って加熱部材1全体の発熱は均一ではない。
【発明の概要】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は従来巻きタバコこの加熱部材における発熱の均一性がよくないという欠点を克服し、発熱が均一である低温加熱式喫煙具の加熱装置を提供することである。
【0005】
上記技術的課題を解決するために、本発明は以下の技術的手段を採用する:本発明によって提供される低温加熱式喫煙具の加熱装置であって、
タバコを収容するためのパイプと、
【0006】
金属材料で製造される加熱部材であって、前記パイプ外に嵌設され、前記パイプを加熱するために用いられ、前記加熱部材には、前記加熱部材の抵抗を調整し、前記加熱部材を均一に発熱させるための貫通孔群が設置されるものとを含むことを特徴とする低温加熱式喫煙具の加熱装置。
【0007】
好ましくは、前記貫通孔群は第1の貫通孔群及び第2の貫通孔群を含み、前記第1の貫通孔群及び第2の貫通孔群に複数の貫通孔が設置され、前記第1の貫通孔群及び第2の貫通孔群は前記加熱部材を均一に発熱させるために用いられる。
【0008】
好ましくは、各貫通孔群における全ての貫通孔は前記加熱部材の軸方向に沿って分布される。前記第1の貫通孔群の複数の貫通孔と前記第2の貫通孔群の複数の貫通孔とはそれぞれ対称的に設置される。
【0009】
好ましくは、前記パイプの外表面に前記パイプと前記加熱部材との導通を避けるための絶縁層が設置される。
【0010】
好ましくは、前記加熱装置は更に電源モジュールを含み、前記電源モジュールは前記加熱部材に電気的に接続され、前記加熱部材を発熱させるために用いられる。
【0011】
好ましくは、前記加熱部材に前記加熱部材を容易に前記パイプに嵌設させるノッチが設置され、前記ノッチは前記加熱部材の軸方向に沿って設置され、且つ前記加熱部材の側壁を貫通する。
【0012】
好ましくは、前記電源モジュールはUSBインタフェース、電池、制御ユニット、充電回路、放電回路、電圧検出回路、二つのスイッチ及び電源管理回路を含み、前記電池はそれぞれ充電回路と放電回路に電気的に接続され、前記電池と前記充電回路と、放電回路との間にそれぞれ前記二つのスイッチが設置され、前記充電回路と放電回路はいずれも前記USBインタフェースに電気的に接続され、前記放電回路は前記電源管理回路に電気的に接続され、前記電源管理回路は前記加熱部材に電気的に接続され、前記電圧検出回路は前記USBインタフェースに電気的に接続され、前記制御ユニットはそれぞれ前記二つのスイッチと前記電圧検出回路と電気的に接続される。
【0013】
好ましくは、前記加熱部材は少なくとも一つの軸方向に沿って延びる発熱部を含み、且つ各前記発熱部に電極接続部が設置され、
前記発熱部に加熱部材の円周方向に沿って配置する複数の前記貫通孔群が設置され、各前記貫通孔群は軸方向に沿って配置する複数の貫通孔を含む。
【0014】
好ましくは、前記発熱部は円周方向において、接触せず近づける第1の側縁及び第2の側縁を備え、前記電極接続部は該第1の側縁と第2の側縁との間に位置し且つ該発熱部の軸方向に沿う両端に位置する第1の電極接続部及び第2の電極接続部を含み、前記第1の電極接続部と第2の電極接続部との間に円周方向に沿って分布する複数の異なる電流経路が形成され、複数の前記電流経路はほぼ同じインピーダンスを有する。
【0015】
好ましくは、前記発熱部の円周方向において、前記第1の側縁又は第2の側縁に近い貫通孔の開口面積は前記電極接続部に近い貫通孔の開口面積よりも小さい。
【0016】
好ましくは、前記発熱部において、前記加熱部材の円周方向に沿って、前記電極接続部から離れる方向に向かって、前記貫通孔群の貫通孔の開口面積は順に、次第に小さくなる。
【0017】
好ましくは、前記発熱部において、前記加熱部材の円周方向に沿って、前記電極接続部から離れる方向に向かって、前記貫通孔群間のピッチは順に、次第に大きくなる。
【0018】
好ましくは、前記発熱部において、前記加熱部材の円周方向に沿って、隣接する前記貫通孔群はずらして設置される。
【0019】
好ましくは、前記発熱部において、前記加熱部材の軸方向に沿って、前記貫通孔群における貫通孔の開口面積は次第に小さくなる。
【0020】
好ましくは、前記発熱部において、前記加熱部材の軸方向に沿って、前記貫通孔群における貫通孔のピッチは次第に大きくなる。
【0021】
好ましくは、前記加熱部材は軸方向に配置される第1の発熱部及び第2の発熱部を含み、第1の発熱部及び第2の発熱部にいずれも加熱部材の円周方向に沿って配置される複数の前記貫通孔群が設置される;第1の発熱部と第2の発熱部との間に接続部によって直列接続され、前記接続部に貫通孔群が設けられていない。
【0022】
好ましくは、前記第1の発熱部と前記第2の発熱部とのインピーダンスが同じになるように、前記第1の発熱部と前記第2の発熱部に同じ規則性のある貫通孔群が設置される。
【0023】
好ましくは、第1の発熱部と第2の発熱部における貫通孔は開口面積及び/又は形状が異なっている。
【0024】
好ましくは、前記加熱部材に前記発熱部と熱を伝導する温度センサが設置され、前記温度センサの数が該発熱部の数と同じである。
【0025】
本発明は更に上記低温加熱式喫煙具の加熱装置と前記加熱装置に電力を供給するための電源装置とを含む上記低温加熱式喫煙具の加熱装置を含む低温加熱式喫煙具を提供する。
【0026】
本発明は設置された貫通孔によって、加熱装置全体の抵抗を均一にさせ、それにより電流は加熱装置が動作する時に均一に分布され、これによって発熱を均一にさせ、タバコを均一に加熱することを保証し、煙の発生効率及び安定性を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】従来技術における低温加熱式喫煙具巻きタバコの加熱部材が展開された後の概略図である。
【
図2】本発明の一実施例に係る低温加熱式喫煙具の構造概略図である。
【
図3】本発明の一実施例に係る低温加熱式喫煙具における加熱装置の立体概略図である。
【
図4】
図2に示される加熱部材の構造概略図である。
【
図5】
図2に示される電源モジュールの構造概略図である。
【
図6】別の実施例に係る低温加熱式喫煙具の加熱装置が組み立てられた後の構造概略図である。
【
図7】
図6の実施例に示されるパイプの構造概略図である。
【
図8】
図6の実施例に示される加熱部材の構造概略図である。
【
図9】更に別の実施例に係る加熱部材が円周方向に展開された後の構造概略図である。
【
図10】更に別の実施例に係る加熱部材が円周方向に展開された後の構造概略図である。
【
図11】更に別の実施例に係る加熱部材が円周方向に展開された後の構造概略図である。
【
図12】更に別の実施例に係る加熱部材が円周方向に展開された後の構造概略図である。
【
図13】更に別の実施例に係る加熱部材が円周方向に展開された後の構造概略図である。
【
図14】
図8の実施例に係る加熱部材が円周方向に展開された後の構造概略図である。
【
図15】更に別の実施例に係る加熱部材が円周方向に展開された後の構造概略図である。
【
図16】更に別の実施例に係る加熱部材が円周方向に展開された後の構造概略図である。
【
図17】更に別の実施例に係る加熱部材が円周方向に展開された後の構造概略図である。
【
図18】実施例に係る低温加熱式喫煙具の加熱装置とタバコとを組み立てた後の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、具体的な実施例によって上記発熱が均一である低温加熱式喫煙具の加熱装置の内容及び詳細を具体的に説明し、主に低温非燃焼の加熱式電子喫煙具製品に関する。本発明の一実施例に係る低温加熱式喫煙具の構造は
図2から
図4に示す。
【0029】
図2に示すように、本発明の一実施例に係る低温加熱式喫煙具の構造概略図である。本発明の実施例に係る低温加熱式喫煙具100aは加熱装置10a及びケーシング30aを含む。ケーシング30はハウジングとして用いられ、加熱装置10aはケーシング30a内に収容され、加熱装置10aはタバコカプセル20aを収容しタバコカプセル20aを加熱するために用いられ、それによりタバコカプセル20aが加熱されて煙を発生する。
【0030】
図3に示すように、本実施例において、加熱装置10aはパイプ11a、加熱部材12a及び電源モジュール13aを含み、ここでは、パイプ11aはタバコを収容するために用いられ、加熱部材12aはパイプ11aの外周に嵌設され、パイプ11aを加熱するために用いられ、電源モジュール13aは加熱部材12aに電気的に接続され、加熱部材12aを発熱させるために用いられる。
【0031】
上記パイプ11aはほぼ円筒状であり、パイプ11aは金属材料で製造されてもよく、例えば鉄、銅、アルミニウム、スズ、ニッケル、金、銀、鉛、亜鉛及びそれらの合金などのような純金属、合金、金属化合物又は特殊金属材料などが挙げられる。パイプ11aの外表面に絶縁用の絶縁層(図示せず)が設けられ、それによりパイプ11aと加熱部材12aとの導通を避ける。絶縁層は例えば合成樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、4250プラスチック、ポリイミドプラスチック、ポリマープラスチックなどの絶縁材料で製造される。パイプ11aに收容腔110aが設けられ、該收容腔110aはタバコを収容するために用いられる。收容腔110の内径はタバコを容易に挿し込み、且つタバコと密着するように、5-8mmであってもよく、それによりタバコの加熱効率を高める。
【0032】
理解できるように、幾つかの他の実施例において、パイプ11aの絶縁層は酸化層であってもよく、例えば、パイプ11aの外面を酸化することによって酸化層を形成し、酸化層で絶縁という目的を達成し、それによりパイプ11aと加熱部材12aとの導通を避ける。
【0033】
図4と併せて参照すると、上記加熱部材12aの形状はほぼ中空な円筒状であり、金属材料で製造される。本実施例において、加熱部材12aは、ステンレス鋼板を用いて作製されることが好ましい。そのため、加熱部材12aの外観がより流行り、美しく、耐食性が高く、加熱装置10aの耐用年数を延ばすことができる。加熱部材12aの厚みは加熱速度を速くするために、0.4mmであってもよい。
【0034】
加熱部材12aは第1の電極121aと第2の電極123aを含み、第1の電極121aと第2の電極123aは前記電源モジュール13aに電気的に接続され、電流を加熱部材12aに通過させるために用いられ、それにより加熱部材12aを発熱させる。
図4に示すように、第1の電極121aと第2の電極123aはそれぞれ加熱部材12aの二つの対向端に設置され、電流を加熱部材12aに通過させることができ、それにより加熱部材12aが完全に発熱可能である。
【0035】
加熱部材12aには、第1貫通孔群122aと第2貫通孔群124aを含む貫通孔群120aが設けられ、第1貫通孔群122aと第2貫通孔群124aはほぼ長尺形状であり、いずれも加熱部材12aの抵抗を調整するために用いられる。第1の貫通孔群122aと第2の貫通孔群124aは、電流を加熱部材12aに均一に通過させるように、対称的に設置してもよい。貫通孔群122a、124aのそれぞれは複数の貫通孔を含み、各貫通孔群122a、124aにおける全ての貫通孔は加熱部材12aに沿って軸方向に分布する。第1の貫通孔群122aと第2の貫通孔群124aの貫通孔の数は実際の状況に応じて決定してもよい。ここでは、第1の貫通孔群122aの複数の貫通孔と第2の貫通孔群124aの複数の貫通孔はそれぞれ対称的に設置され、それにより電流をより均一に通過させることができ、加熱部材12aを均一に発熱させる。
【0036】
理解できるように、幾つかの他の実施例において、貫通孔群120aを省略してもよく、加熱部材12aの長さの増減によって加熱部材12aの抵抗を調整することができる。
【0037】
理解できるように、幾つかの他の実施例において、加熱部材12aは加熱部材12aをパイプ11aに容易に嵌設させるためのノッチ125aを設置してもよい。ノッチ125aは加熱部材12aの軸方向に沿って設置され、且つ加熱部材12aの側壁を貫通する。第1の電極121aと第2の電極123aはノッチ125aの両側に設置されてもよく、加熱部材12aを完全に発熱させるようにする。
【0038】
図5を併せて参照すると、上記電源モジュール13aは導線によってそれぞれ第1の電極121aと第2の電極123aに接続されてもよく、従って加熱部材12aに電気的に接続される。電源モジュール13aはUSBインタフェース130a、電池131a、制御ユニット132a、充電回路133a、放電回路134a、電圧検出回路135a、二つのスイッチ136a及び電源管理回路137aを含み、電池131aはそれぞれ与充電回路133aと放電回路134aに電気的に接続され、且つ電池131aと充電回路133aとの間にスイッチ136aが設置され、電池131aと放電回路134aとの間に他のスイッチ136aが設置される。充電回路133aと放電回路134aはいずれもUSBインタフェース130aに電気的に接続され、且つUSBインタフェース130aを介して外部電源に接続される。電圧検出回路135aは該USBインタフェース130aに電気的に接続され、電源モジュール13aが外部電源に接続されているかどうかを検出するために用いられる。制御ユニット132aはそれぞれ二つのスイッチ136aと電圧検出回路135aに電気的に接続される。放電回路134aは電源管理回路137aに電気的に接続され、電源管理回路137aは加熱部材12aに電力を供給するために用いられる。電圧検出回路135aが電圧を検出すると、即ち、外部電源によって電源モジュール13aがオンされると、制御ユニット132aに電気信号を送信し、制御ユニット132aは該電気信号を受信し、電池131aと充電回路133aとの間におけるスイッチ136aを、"オフ"状態から"オン"状態に変換するように制御し、外部電源の電流は充電回路133aを介して電池131aに充電する。電圧検出回路135aが電圧を検出していない場合、即ち、電源モジュール13aに外部電源を入れていない場合、制御ユニット132aに別の電気信号を送信し、制御ユニット132aは該電気信号を受信し、電池131aと放電回路134aとの間におけるスイッチ136a(即ち、別のスイッチ136)を、"オフ"状態から"オン"に変換するように制御し、電池の電流は放電回路134aと電源管理回路137aを経て加熱部材12aへ流れる。
【0039】
本実施例の加熱装置10aはパイプ11aと、加熱部材12aと電源モジュール13aとを含み、電源モジュール13aを加熱部材12aに電気的に接続することによって、加熱部材12aを発熱させ、加熱部材12aがパイプ11aの外に嵌設されて、パイプ11aを加熱し、加熱部材12aに貫通孔群120aが設置され、加熱部材12aの抵抗を調整でき、パイプ11a全体を加熱することができ、且つ加熱を均一にさせ、そのうえ金属材料で製造された加熱部材12aは加熱温度を上昇させ、迅速に煙を出すことができ、ユーザの体験を効果的に改善する。
【0040】
本実施例において、タバコのカプセル20aは固体の煙を発生できる材質であってもよく、例えばタバコの葉、タバコ粉末のうち一つ又は複数の成形されたタバコ棒、タバコペースト又は漢方薬などであってもよい。
【0041】
本実施例において、ケーシング30aはほぼ中空な円筒体であって、加熱装置10aを収容する。ケーシング30aはプラスチックケーシングであってもよく、例えば、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミドなどの断熱効果の高いプラスチックケーシングであってもよい。他の実施例において、ケーシング30aは更に、金属ケーシングであってもよく、断熱効果を達成するために、プラスチックフィルムをケーシング30a上にメッキすることができる。
【0042】
本実施例における低温加熱式喫煙具100aは加熱温度を上げることができる加熱装置10aを含み、それにより低温加熱式喫煙具100a全体が迅速に煙を発生させ、ユーザの体験を効果的に改善する。
【0043】
以上の実施例の他に、本発明は更に別の実施形態による低温加熱式喫煙具の加熱装置を提供し、その構造は
図6から
図8に示すとおり、
図6は別の実施例に係る低温加熱式喫煙具の加熱装置が組み立てられた後の構造概略図である。
図7は
図6の実施例に示されるパイプの構造概略図である。
図8は
図6の実施例に示される加熱部材の構造概略図である。図示によれば、加熱装置は中空なパイプ10、パイプ10の外表面上に巻き付けられた加熱部材20、及び加熱部材20に設置される電極コネクタ30を含む。ここでは、
パイプ10は熱伝導材質で作製された円筒状の部材であり、円筒状の内腔にタバコを装着するために用いられる;
加熱部材20の外形はパイプ10の円筒状外形に適合し、パイプ10の外周に嵌設され、パイプ10とパイプ10内に収容されたタバコを加熱するために用いられる;
電極コネクタ30は
図6と
図8から分かるように、この図において喫煙具の電源モジュールの出力電極と接続するための電極ピンの形式に設計されており、これによって加熱部材20への電力供給を実現し、電気加熱効果を生じさせる。勿論、最も一般的に用いられる電極接続方法はピン方式であるが、本発明のピン方式に加えて、電極コネクタ30は、ピン方式に限らず、ポスト/端子などを用いてもよく、当業者は状況に応じて使用することができる。
【0044】
更に、上記の各実施形態を基に、加熱部材20自体は、タバコを加熱する目的で、純ニッケル合金、ニッケルクロム合金、ニッケル鉄合金、鉄クロム合金、鉄クロムアルミニウム合金、チタン合金、ステンレス鋼などの電熱材料を用いて作製される。パイプ10は、一般的に、鉄、銅、アルミニウム、スズ、金、銀、及びそれらの合金などの純金属、合金、金属化合物又は特殊材料であり得る金属材料のような、良い熱伝導率を有する材料で作られる。パイプ10は金属材料で作られているので、パイプ10との電気伝導を防止するために、実施例では、パイプ10と加熱部材20との間に、好ましくは、加熱部材20とは反対側のパイプ10の外表面には、スパッタリング/堆積/めっきによって形成されるか、又はフィルム密着によってパイプに付着された絶縁層40が設けられる。絶縁の目的で、絶縁層40自体の材質は、合成樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、金属酸化物などであってもよい。カートリッジ10の内腔は、タバコを装着するために使用され、内径は通常のタバコの直径に適合し、タバコの円滑な挿入とタバコの密着を保証でき、加熱時の加熱効率を高めるように、5~8mmが好適である。
【0045】
更に、加熱部材20の円筒形状は、シート状体をパイプ10の幅方向に沿って巻回して形成されたものであり、それ自体はシート構造である。加熱部材20自体の形状及び構造的内容をより明確に示すために、
図8に示す実施形態における加熱部材20が巻回の円周方向に沿って平坦に展開された後の構造を
図14に示す。
図14に示すような加熱部材20が展開された後の構造から分かるように、加熱部材20自体は、幅方向に沿ってパイプ10の外表面に巻回されてパイプ10に嵌合する円筒状をなすシート状のものであり、厚さが例えば0.03~0.1mmの均一なシート状のものである。
【0046】
更に
図8と
図14に示すように、加熱部材20の両端に電極接続部21が設置され、上記電極コネクタ30は該電極接続部21に接続され、勿論、電極接続部21の数は少なくとも二つでなければならず、例えば、正極と負極とを接続して回路を形成するための第1電極接続部211と第2電極接続部212を含む。電極接続部21の具体的な用途は、電極コネクタ30の種類に応じて採用することができる。例えば、本発明の各図面の実施例のでは、電極コネクタ30はいずれもピンで実現する場合、対応する電極接続部21がピンのはんだ付けポイントであり、他の実施形態では、電極コネクタ30がプラグ端子である場合、電極接続部21は、プラグ端子に適合するプラグインポイントである。しかしながら、実施中に、加熱部材20自体の形状に基づいて、ピンのはんだ付けの方法が最も好適な方法である。当然のことながら、当業者は、従来の様々な電極接続モードの中から最適なものを選択することができ、以下の図面の実施例で採用される方法に限定されない。
【0047】
更に図面6、及び図面9~13に示すように、上記加熱部材20は、幅方向において対向する第1の側縁23及び第2の側縁24を有し、上記第1の電極接続部211及び第2の電極接続部212は、いずれも第1の側縁23と第2の側縁24との間における、例えば、中央位置のようなある位置にある。
図6に示すように、加熱部材20がパイプ10の外周に巻き付けられた時、該第1の側縁23と第2の側縁24は互いに接近して接触せず、約1~5mmのピッチに維持することによって、パイプ10の円周を実質的完全に被覆できるうえ、第1の側縁23と第2の側縁24との接触による接触箇所の過度の発熱により、局所的な温度が高すぎることを避けることも可能である。
【0048】
更に、該電熱材質の加熱部材20に均一に電流を流し、各部分の区域の位置で適切な抵抗に調整するために、加熱部材20には、例えば、一般的に製品の加熱電力の要件に応じて幾つかの孔が切られ、これによって加熱部材20の全体的なインピーダンスを0.4~1.0オームに維持できる。具体的に
図9~13に示すように、加熱部材20には、電極接続部21に近い区域では抵抗を大きくするために、幅方向(巻回後の円周方向)に沿って分布する複数の貫通孔群22が設置され、これによって加熱部材20の電極接続部21と近い区域と遠く離れた区域内の抵抗は近くなる傾向にあり、加熱部材20全体の円周方向における発熱が均一になる傾向がある。更に全体の抵抗をより近づけるために、貫通孔群22は不均一な配置で設置される。具体的な様々な配置方式は
図9~13に示す。
【0049】
まず
図9の実施例に示される加熱部材20を参照すると、加熱部材20の上、下両端は電極接続部21であり、具体的に第1の電極接続部211と第2の電極接続部212であり、それぞれ電極コネクタ30によって電源の正極と負極とを接続して回路を形成して電気を通す。加熱部材20に配置される貫通孔群22は長手方向(即ち卷回後の軸方向)に沿って並列に設置される複数の貫通孔221を有する;幅方向において、隣接する貫通孔群22同士間にずらして配置するようにし、例えば幅方向において隣接する貫通孔群22Aと貫通孔群22Bはずらして配置するように設置され、貫通孔群22Aにおける貫通孔221Aと貫通孔群22Bにおける貫通孔221Bは横方向であっても縦方向であってもずらして設置される。上記のようにずらして配置されることによって、電流経路と抵抗分布がより分散され、これによって加熱部材20の発熱を均一にする傾向がある。例えば
図9における二つのそれぞれ異なる区域経路に位置する電流aと電流b、最終電流密度、大きさと抵抗の大きさは接近又はほぼ同様となる傾向があり、従って加熱部材20全体の発熱を各領域においてほぼ同じすることができる。
【0050】
図9の実施例から更に分かるように、同じ貫通孔群22における貫通孔221は、角孔形状、孔径、ピッチが同じになるように、長手方向に沿って配置されている。勿論、同一の貫通孔群22内における貫通孔221は、長手方向に異なる形状及び/又はピッチで順次配置されていてもよい。
【0051】
上記の考え方に基づき、
図10を具体的に参照して、
図10は、別の実施形態に係る加熱部材を円周方向に展開した後の構造概略図であり、この本実施例では、貫通孔群22は、加熱部材20の長手方向に沿って複数の貫通孔221を有し、これらの貫通孔群22が幅方向に配置される場合、隣接する貫通孔群22同士の間のピッチは、電極接続部21から離れる方向に沿って次第に大きくなる。全体的に、第1の側縁23又は第2の側縁24に近い貫通孔の開口面積は、電極接続部211に近い貫通孔の開口面積よりも小さくする。本実施形態によれば、加熱部材20上で各区域の抵抗を再度変化させ、隣接する貫通孔群22同士の間のピッチは、電極接続部21から離れる方向に徐々に大きくすることによって、電極接続部21に近い区域の一部の抵抗が高くなり、その増大量は電極接続部21から離れた区域の一部の抵抗値よりも大きく、これにより、加熱部材20全体の全区域の抵抗が比較的均一に分布し、加熱部材20全体の各領域で電流が均一化され、通電後の発熱が均一化される傾向がある。例えば、
図10中に示される二つの経路の発熱電流mと電流nとは、二つの経路がそれぞれ加熱部材20の幅方向に沿って距離が遠い区域に位置するが、貫通孔221によって各区域の抵抗値が調整されるため、最終電流mと電流nの電流の大きさは経路抵抗とほぼ同じであり、比較的均一な加熱を達成する。
【0052】
それと同時に、この貫通孔群22のピッチの段階的な増大によって加熱部材20における各区域の抵抗の大きさが等しくなるように調整されるという構想から、他の実施形態では、幅方向に沿って配置される複数の貫通孔群22が別の態様で配置されてもよい(
図11参照)。
図11は、さらに別の実施形態に係る加熱部材が円周方向に展開された後の構造模式図である。
図11から分かるように、隣接する貫通孔群22同士間の幅方向でのピッチは常に一定であるが、貫通孔群22自体は電極接続部21から離れる方向において孔径が次第に小さくなり、即ち開口面積が次第に小さくなる。そして、この実施形態では、隣接する貫通孔群22同士間の幅方向でのピッチが一定であるが、開口面積が次第に小さくなるという方式も同じく電極接続部21に近い区域の一部の抵抗を大きくさせ、その増大の幅は電極接続部21から離れた区域の一部の抵抗よりも大きくなり、これにより、加熱部材20全体の全区域の抵抗が比較的均一に分散され、加熱部材20全体で電流が均一化され、通電後の発熱が均一化される。同様に、同一貫通孔群22内における貫通孔221は、長手方向に沿った配置では、孔径とピッチが同じな丸孔を並べて設置することが好ましく、様々な形状/ピッチの異なる貫通孔221による長手方向での不均一な抵抗を生じさせることを避ける。
【0053】
当然のことながら、
図10と
図11の二つの配置態様を組み合わせて実施することも可能であり、孔径を次第に小さくしながらピッチを次第に大きくすることによって上記2種類の貫通孔群22を幅方向に設置してもよく、加熱部材20全体の全区域の抵抗を比較的均一に分布させる効果を達成することも可能である。
【0054】
なお、
図10及び
図11に示す実施例では、貫通孔群22は、幅方向において、電極接続部21から離れる方向に沿って、貫通孔221の開口面積/ピッチを変化させる。電極接続部21は、上下両端部の中央位置に対称的に配置されているため、開口前の
図10と
図11における主な電流経路は主に上、下端部の電極接続部21の最短接続線の周りに分布している。このため、幅方向において、電極接続部21は貫通孔221が変更される初期位置として、貫通孔221の開口面積/ピッチ設定態様を変更することによって加熱部材20の電気抵抗が近づく傾向がある。電極接続部21の設置が
図10及び
図11に示す中央位置を用いていない場合には、電極接続部21の位置と一致するように貫通孔群22における貫通孔221の開口面積/ピッチ変化の開始位置が対応して変更される。
【0055】
更に
図12と
図13に示すように、
図12と
図13はそれぞれ更に別の実施例に係る加熱部材が円周方向に沿って展開された後の構造概略図である。
図12に示される更に別の実施例において、各貫通孔群22が備える貫通孔221は長手方向において孔径が次第に小さくなるように設置される。
図13の実施例において、各貫通孔群22自体の内部に備える貫通孔221は同じ構造で変更設計されてもよく、具体的に各貫通孔群22が備える貫通孔221は長手方向に沿ってピッチが次第に大きくなるように設置される。
【0056】
貫通孔群22が備える貫通孔221を変更する上記二つの方法を採用することにより、長手方向において回路経路に多方向の電流分岐と合流が生じ、加熱部材20全体の抵抗を変化させ、貫通孔221を設置していない主発熱区域に分離及び制限を行うことで、発熱区域全体が均一となる。
【0057】
当然のことながら、各実施例に示す図から分かるように、貫通孔群22における貫通孔221の形状は、通常の円形孔や
図9で用いた角孔、あるいは六角形などの形状のような様々な種類を用いてもよい。
【0058】
更に、低温加熱喫煙具による喫煙では、新しいタバコの煙の含有量が高いため、初期の加熱段階での煙の発生量は比較的多いが、タバコの加熱時間が長くなることに伴って、煙の発生量が次第に低くなる。従って、一定時間の加熱で煙の発生量が減少した後に煙の量を増加させ、喫煙過程全体で発生する煙の量を比較的均一にするために、他の実施例では
図14に示す加熱部材20を使用する。該実施例では加熱部材20の設計が変更され、加熱部材20は二つの長手方向に直列接続される発熱部を有し、それぞれ第1の発熱部210と第2の発熱部220であり(いずれも第1の側縁23と第2の側縁24内に位置する)、第1の発熱部210と第2の発熱部220は接続部230によって直列接続され、該第1の発熱部210と第2の発熱部220の区域内にいずれも貫通孔群22が設けられ、該接続部分230の区域に貫通孔が設けられていない(第1の発熱部210と第2の発熱部220との導電直列接続に用いられる);以上の直列接続された二つの発熱部の設計によって、タバコの加熱長さを調整して後続の時間に煙の量を増やす。具体的に、第1の発熱部210の上端に第1の電極接続部211が設置され、第2の発熱部220に第2の電極接続部213が設置され、且つ第1の発熱部210と第2の発熱部220の直列接続箇所における接続部230上に共通電極接続部212が設置される。第1の発熱部210と第2の発熱部220は対応する電極接続部によってそれぞれ電源部に接続され、独立動作を実現できる。初期の加熱段階において、タバコのタバコの葉の煙の含有量が多い場合には、第1電極接続部211と共通電極接続部212を電極コネクタ30(実施では電極ピン)によって電源の正負極に通してもよい。この場合、第1の発熱部210が動作してタバコを加熱する。加熱時間が長くなるにつれて、タバコの煙の発生量が徐々に減少し、必要に応じて第1の電極接続部211と第2の電極接続部213がそれぞれ電源の正負極に接続されるように電極の接続を変更し、この場合、第1発熱部210及び第2発熱部220の両方は共に動作加熱状態にあり、この時にタバコの加熱区域及び煙の発生量を増加する。このため、上記セグメント加熱方式では、加熱部材20に複数の発熱部を設け、発熱部を異なる段階で制御することによって、タバコ全体の煙発生過程において、前後の煙の量のバランスがとれる。
【0059】
当然のことながら、上記のセグメント加熱実施においてまず第1の発熱部210を動作させ、続いて第1の発熱部210と第2の発熱部220を同時に動作させるように制御される;当然のことながら、別の実施形態においてまず第2の電極接続部213と共通電極接続部212を電極に接続させて第2の発熱部220をまず動作させ、その後の烟の発生量が減少した後に第1の電極接続部211と第2の電極接続部213をそれぞれ電源の正、負極に接続し、第1の発熱部210と第2の発熱部220の両方をいずれも動作させて煙の発生量を増加させる。
【0060】
上記の
図14の実施例における発熱部の数は二つであり、変形例における数は二つに限らず、対応的に三つ、四つ又はそれ以上に増加してもよい;この場合、対応する電極接続部をより多く設ける必要があり、段階別加熱時に一部の発熱部を先に動作させ、一定時間後により多くの発熱部を動作させるように調整してもよい。タバコの長さ/発熱部の長さに応じて特定の量と選択を適切に採用することができ、制御時に発熱部に対応する電極接続部をピンなどによって電極に接続すればよい。
【0061】
上記の
図14の実施例における加熱部材20を複数の発熱部(第1の発熱部210と第2の発熱部220)に設置する段階別加熱方式をもとに、更に更なる変形例を用いて加熱部材20を設置してもよく、該実施形態において、各発熱部はいずれも複数の発熱区域を含むように設計される。具体的に
図15に示すように、加熱部材20も二つの発熱部を含み、即ち第1の発熱部210と第2の発熱部220である。そのうち、第1の発熱部210のうちそれぞれ三つの発熱区域を有し、具体的には第1の発熱区域2110、第2の発熱区域2120、第3の発熱区域2130であり、各発熱区域上にいずれもアレイで配置される複数の貫通孔が設置される。また、異なる発熱区域における貫通孔は、孔形状及び/又は孔径が他の発熱区域と異なるように設置される。例えば
図15における三つの発熱区域に示すように、長手方向に沿って上から下へ、それぞれ孔形状と孔径が異なる貫通孔が設置され、具体的に図から分かるように三つの区域にそれぞれ設置される貫通孔は大孔径の丸孔、小孔径の丸孔と角孔であり、その目的は、全体の各区域の抵抗を更に近づけるようにし、それによって発熱の均一性を向上させることである。当然のことながら、同じ考え方に基づき、第2の発熱部220も第1の発熱部210と同様に、孔径及び/又は孔形状が異なる三つの発熱区域を有する。なお、本実施形態では、
図15に示す実施例において、発熱部に含まれる発熱区域の数は三つであり、実施中には対応的に四つ又は以上に増加してもよく、各発熱区域に対応して、例えば六角形の孔、菱形状の孔などのような、孔径及び/又は孔形状が異なる貫通孔を用いてもよい。
【0062】
上記実施形態から分かるように、第1発熱部210に含まれる三つの発熱領域が縦方向に沿って縦に並んで設置されるが、他の変形例では、発熱領域が幅方向に沿って横方向に並んで設置されてもよい。
【0063】
もちろん、上記加熱部材20は、同じ段階別加熱方式をもとに、
図14と同様に、第1発熱部210の上端、第1発熱部210及び第2発熱部220の下端、及び第1発熱部210と第2の発熱部220との直列接続部に電極の正負極との接続のための電極接続部が設けられてもよく、これによってタバコへの段階別加熱を実現し、煙の発生量を比較的均一にすることができる。
【0064】
同様に、上記の加熱部材20の段階別加熱方式に基づいて、
図16と
図17に示す変形設計を更に採用してもよい。具体的には、まず
図16に示すように、加熱部材20も長手方向に並列に設置される二つの発熱区域210を含み、各発熱区域210にいずれも幅方向に配置される貫通孔群22が設置され、各貫通孔群22はいずれも複数の長手方向に配置される貫通孔221を含み、各貫通孔群22内における貫通孔221は、長手方向にピッチが次第に大きくなるように設置される。加熱部材20の上端、下端、及び2つの発熱区域210の間の位置にいずれも電源電極と接続するための電極接続部21が設置される。段階別加熱の制御方式は、上記実施例と同様に行うことができ、まず対応する電極接続部21に接続し、そのうち1つの発熱区域210を動作させる;一定の時間後に上、下両端の電極接続部21を電極ピンによって電源電極に接続し、加熱部材20全体を発熱させ、段階別加熱への制御を実現する。
【0065】
図17実施例における加熱部材20は
図16と同様に、段階別加熱のための発熱区域が二つあり、各発熱区域内の貫通孔群群22における貫通孔221が、長手方向において貫通孔221の孔径が次第に小さくなるように設置される点で異なる。段階別加熱方式において、二つの発熱部(第1の発熱部210と第2の発熱部220)における貫通孔群22は、二つの発熱部のインピーダンスを同じするように、規則が同じな貫通孔群を用いて設置されてもよい。あるいは、第1発熱部210と第2発熱部220の貫通孔は、必要に応じて開口面積及び/又は形状が異なってもよい。
【0066】
従って、上記から分かるように、加熱部材20は単一の発熱部として一体的に加熱することができ、段階別加熱が必要とする場合には、軸方向に並列される少なくとも二つの発熱部を備えるように、上記の段階別加熱手段に従って分割してもよく、続いて各発熱部には対応的に電極を接続するための電極接続部が設置され、これによって個別に制御することを実現する。そして、必要に応じて、そのうちの一部の発熱部を選択して、段階別発熱の効果を達成することができる。
【0067】
しかも、各発熱部は、上述した単一の発熱部と同様の貫通孔群の設計(ずらして配置すること、開口面積の変更、ピッチの変更など)を採用して発熱部全体の抵抗を調整することで、全体を均一にするようにする。同時に、上記に加えて、発熱部について、
図15の実施例で示される三つの発熱区域の方式に従って、発熱部のそれぞれに対して異なる発熱区域(少なくとも二つの)に分割し、異なる発熱区域に対して形状/孔径が異なる貫通孔の組み合わせを採用することによって、全体の抵抗値を調整して、均一な発熱を実現する。
【0068】
また、上記実施形態では、本発明は加熱部材20上の貫通孔を調整することで加熱部材20の上下端部の区域内の抵抗を変化させることにより、上下端部の区域の抵抗を低下させ、それによってタバコとの組み立て及び接続を容易にする。具体的には、低温加熱式喫煙具に対して、最終的にパイプを含む加熱装置にタバコを挿入して加熱して吸うことを必要とし、特定のタバコを組み立てた後の構造は
図18に示すとおり、タバコは軸方向に沿って、順位で軸方向に組み立てられたフィルターノズル100、冷却充填物200、及びタバコセクション300を含む。製品を使用する時には、加熱装置400内でタバコのタバコの葉のセグメント300を加熱して、約260度の煙を発生し、続いて煙を冷却充填物200によって冷却してから、フィルターノズル100で濾過して吸い込む。冷却充填物200は、通常、煙の温度を高すぎないように冷却するために使用されるポリマー材料を有し、これによって高温の煙によって喫煙者に火傷させることを避ける。従って、加熱装置400にタバコを挿入する時には、加熱装置400と冷却充填物200との間にある程度の距離を保つ必要があり、加熱装置400が冷却充填物200に充填されたポリマー材料に接触してポリマー材料を加熱することによって焦げた物や有害物質を生成することを避ける。加熱装置400が、
図9から
図18の各実施例に示される低温加熱式喫煙具の加熱装置を採用する場合、加熱部材20には、それにおける発熱区域を調整するための貫通孔221が設置され、熱は主に貫通孔221を含む区域に集中し、上、下端部の発熱量は非常に低く、たとえ冷却充填物200と接触していても、冷却充填材200中のポリマー材料を焦げさせて有害物質を生じさせるのに十分な温度ではない。従って、低温加熱式喫煙具にタバコを挿入する時には、タバコを底に直接挿入し密着させることにより組み立てることができ、間隔を残しておく必要がある組み立て方法よりも便利である。
【0069】
また、加熱部材自体の加熱動作状況を監視するために、上記各実施例をもとに、
図6に詳細に示すように、加熱部材20に温度センサ50を搭載してもいい、加熱部材20自体の構造的特徴に基づき、温度センサを嵌め込むように貫通孔に設置されることが好ましく、加熱部材20の表面の平坦を保証でき、巻回後にパイプ10の外表面に嵌着することを容易にする。勿論、温度センサ50は、加熱モジュールの動作状態へのリアルタイム監視を実現するように温度検出情報を受信して処理するために、電源と制御モジュールのメインボードに更に接続する必要がある。温度センサ50の数は、
図6から分かるように、加熱部材20が備える発熱部の数と同様であり、各発熱部への温度監視を実現する。
【0070】
本発明は、上記の各低温加熱式喫煙具の加熱装置をもとに、上記低温加熱式喫煙具の加熱装置を含む低温加熱式喫煙具製品を更に提供する。具体的に、製品は、導線を介して加熱装置に電気的に接続し、次に冷却キャビティ、フィルターノズルなどと軸方向に組み立て、最終的に喫煙具製品が得られる、低温加熱式喫煙具の加熱装置に電力を供給するための電源モジュールを含む。
【0071】
本発明の低温加熱式喫煙具製品は、上記各実施例における加熱装置の設計を用いて、様々な態様で設置される貫通孔によって、全体的に抵抗を均一化するようにし、それにより電流は加熱装置の動作時に均一に分布し、発熱が均一であり、タバコへの均一に加熱を保証し、煙の発生効率及び安定性を向上させる。
【0072】
上記実施例は、本発明の理解を容易にするために明細書に記載された実施形態の一部にすぎず、本発明の技術的解決手段へのいかなる限定ではなく、実行可能な実施形態を全て挙げるものではなく、従って、本発明の構造、プロセス又は手順に対してなされた任意の軽微な改良又は等価の置換は、保護の範囲内に含まれるべきである。