(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】時間-デジタル変換回路および関連する方法
(51)【国際特許分類】
H03M 1/50 20060101AFI20220907BHJP
H03K 5/26 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
H03M1/50
H03K5/26 C
(21)【出願番号】P 2020561796
(86)(22)【出願日】2019-03-18
(86)【国際出願番号】 CN2019078448
(87)【国際公開番号】W WO2020186414
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2020-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】518295185
【氏名又は名称】シェンチェン グディックス テクノロジー カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ファン イェン-イン
【審査官】及川 尚人
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109104190(CN,A)
【文献】特開平10-004353(JP,A)
【文献】特開2012-175598(JP,A)
【文献】特開2010-273118(JP,A)
【文献】特開2012-070087(JP,A)
【文献】特開2003-032113(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 1/50
H03K 5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間-デジタル変換回路であって、
第一の信号によって起動される第一の発振器であって、前記第一の発振器は、第一の遅延量を有する複数の発振ユニットを備え、
前記第一の発振器内の発振ユニットの数はNであり、前記第一の発振器内の前記複数の発振ユニットの第一の始端発振ユニットは、前記第一の信号および第一の尾端出力信号を受信し、前記第一の発振器に内の前記複数の発振ユニットの第一の尾端発振ユニットは、前記第一の尾端出力信号を生成するように構成される、第一の発振器と、
前記第一の発振器に結合され、前記第一の尾端出力信号が変化する回数をカウントし、前記カウントした回数を第一のカウント結果として記憶するように構成された第一のカウント回路と、
前記第一の発振器に結合され、前記第一の始端発振ユニットの出力が変化するたびに、前記第一の尾端発振ユニット以外の、出力変化を伴う発振ユニットの数をカウントし、前記発振ユニットの前記数を第二のカウント結果として記憶するように構成された第二のカウント回路
であって、前記第二のカウント回路は、前記第一の尾端出力信号が変化するたびに前記第二のカウント結果をリセットする、第二のカウント回路と、
第二の発振器であって、第二の信号によって起動さ
れ、前記第二の発振器は、複数の第二の遅延量を有する複数の発振ユニットを備え、前記第二の発振器内の発振ユニットの数はNであり、前記第二の発振器内の前記複数の発振ユニットの第二の始端発振ユニットは、前記第二の信号および第二の尾端出力信号を受信し、前記複数の発振ユニットの第二の尾端発振ユニットは、前記第二の尾端出力信号を生成する、第二の発振器と、
前記第二の発振器に結合され、前記第二の尾端出力信号が変化する回数をカウントし、前記カウントした回数を第三のカウント結果として記憶するように構成された第三のカウント回路と、
前記第二の発振器に結合され、前記第二の尾端発振ユニット以外の、前記第二の発振器内の出力変化を伴う発振ユニットの数をカウントし、前記第二の尾端発振ユニット以外の前記出力変化を伴う前記発振ユニットの前記数を第四のカウント結果として記憶するように構成された第四のカウント回路と、
前記第一のカウント回路および前記第二のカウント回路に結合され、前記第一の遅延量と、前記第二の発振器を起動したときに記憶された前記第一のカウント結果および前記第二のカウント結果とに応じて、第一の変換信号を生成するように構成された第一の変換回路であって、前記第一の変換信号
は、第一の遅延量×(第一のカウント結果×N+第二のカウント結果)としての第一の推定時間差を示す、第一の変換回路と、
前記第一の遅延量、前記第二の遅延量、前記第二の発振器を起動した後の前記第三のカウント結果および前記第四のカウント結果に応じて、第二の変換信号を生成するように構成された第二の変換回路であって、前記第二の変換信号は、第一の遅延量×(第三のカウント結果×N+第四のカウント結果+1)-第二の遅延量×(第三のカウント結果×N+第四のカウント結果)としての第二の推定時間差を示し、前記第二の推定時間差は前記第一の遅延量よりも小さい、第二の変換回路と、
前記第一の変換回路
および前記第二の変換回路に結合され
、前記第一の変換信号
および前記第二の変換信号に応じて出力信号を生成するように構成された処理回路であって、前記出力信号は、
前記第一の推定時間差+前記第二の推定時間差としての、前記第一の信号の起動時間と前記第二の信号の起動時間との間の測定された時間差を表す、処理回路と、
を備えることを特徴とする、時間-デジタル変換回路。
【請求項2】
前記第二の発振器を起動した後、前記第二の発振器内の任意の発振ユニットの前記出力が変化したとき、前記第一の発振器内の前記複数の発振ユニットの出力を受信し、少なくとも前記第一の発振器内の前記複数の発振ユニットの前記出力と、前記第二の発振器内の前記出力変化を伴う前記発振ユニットの前記出力とに応じて、論理演算を行って論理結果を生成するように構成された論理回路、
を備え、
前記第二の変換回路は、前記第一の遅延量、前記第二の遅延量と、前記論理結果が変化したときに得られた前記第三のカウント結果および前記第四のカウント結果とに応じて、前記第二の変換信号を生成することを特徴とする、請求項
1に記載の時間-デジタル変換回路。
【請求項3】
前記論理結果に応じて、前記第二の発振器の発振周波数を選択的に調整するように構成された検出回路、
をさらに備えることを特徴とする、請求項
2に記載の時間-デジタル変換回路。
【請求項4】
前記第二の変換回路は、前記第一の遅延量、前記第二の遅延量と、前記第二の発振器の前記発振周波数が変化した後に、前記論理結果が変化したときに得られた前記第三のカウント結果および前記第四のカウント結果とに応じて、前記第二の変換信号を生成することを特徴とする、請求項
3に記載の時間-デジタル変換回路。
【請求項5】
第一の信号を送信して、第一の発振器を起動するステップであって、前記第一の発振器は、第一の遅延量を有する複数の発振ユニットを備え、
前記第一の発振器内の発振ユニットの数はNであり、前記第一の発振器内の前記複数の発振ユニットの第一の始端発振ユニットは、第一の信号および第一の尾端出力信号を受信し、前記複数の発振ユニットの第一の尾端発振ユニットは、前記第一の尾端出力信号を生成するように構成される、ステップと、
第二の信号を送信して、第二の発振器を起動するステップ
であって、前記第二の発振器は、複数の第二の遅延量を有する複数の発振ユニットを備え、前記第二の発振器内の発振ユニットの数はNであり、前記第二の発振器内の前記複数の発振ユニットの第二の始端発振ユニットは、前記第二の信号および第二の尾端出力信号を受信し、前記複数の発振ユニットの第二の尾端発振ユニットは、前記第二の尾端出力信号を生成する、ステップと、
前記第一の尾端出力信号が変化する回数をカウントし、前記カウントした回数を第一のカウント結果として記憶するステップと、
前記第一の始端発振ユニットの出力が変化するたびに、前記第一の尾端発振ユニット以外の、出力変化を伴う発振ユニットの数をカウントし、第二のカウント結果として前記発振ユニットの前記数を記憶
し、前記第二のカウント結果は、前記第一の尾端出力信号が変化するたびにリセットされる、ステップと、
前記第二の尾端出力信号が変化する回数をカウントし、前記カウントした回数を第三のカウント結果として記憶するステップと、
前記第二の尾端発振ユニット以外の、前記第二の発振器内の出力変化を伴う発振ユニットの数をカウントし、前記第二の尾端発振ユニット以外の、前記出力変化を伴う前記発振ユニットの前記数を第四のカウント結果として記憶するステップと、
前記第一の遅延量と、前記第二の発振器を起動したときに記憶された前記第一のカウント結果および前記第二のカウント結果に応じて、第一の変換信号を生成するステップであって、前記第一の変換信号は
、第一の遅延量×(第一のカウント結果×N+第二のカウント結果)としての第一の推定時間差を示す、ステップと、
前記第一の遅延量、前記第二の遅延量、前記第二の発振器を起動した後の前記第三のカウント結果および前記第四のカウント結果に応じて、第二の変換信号を生成するステップであって、前記第二の変換信号は、第一の遅延量×(第三のカウント結果×N+第四のカウント結果+1)-第二の遅延量×(第三のカウント結果×N+第四のカウント結果)としての第二の推定時間差を示し、前記第二の推定時間差は前記第一の遅延量よりも小さい、ステップと、
前記第一の変換信号
および前記第二の変換信号に応じて、出力信号を生成するステップであって、前記出力信号は、
前記第一の推定時間差+前記第二の推定時間差としての、前記第一の信号の起動時間と前記第二の信号の起動時間との間の測定された時間差を表す、ステップと、
を含むことを特徴とする、時間-デジタル変換方法。
【請求項6】
前記第一の遅延量、前記第二の遅延量、前記第三のカウント結果および前記第四のカウント結果に応じて、前記第二の変換信号を生成するステップは、
前記第二の発振器を起動した後、前記第二の発振器内の任意の発振ユニットの前記出力が変化したとき、前記第一の発振器内の前記複数の発振ユニットの出力を受信するステップと、
少なくとも前記第一の発振器内の前記複数の発振ユニットの前記出力と、前記第二の発振器内の前記出力の変化を伴う前記発振ユニットの前記出力とに応じて、論理演算を行って論理結果を生成するステップと、
を含み、
前記第一の遅延量、前記第二の遅延量、前記第三のカウント結果および前記第四のカウント結果に応じて、前記第二の変換信号を生成するステップは、
前記第一の遅延量、前記第二の遅延量と、前記論理結果が変化したときに得られた前記第三のカウント結果および前記第四のカウント結果とに応じて、前記第二の変換信号を生成するステップ
を含むことを特徴とする、請求項
5に記載の時間-デジタル変換方法。
【請求項7】
前記論理結果に応じて、前記第二の発振器の発振周波数を選択的に調整するステップ、をさらに含み、
前記第一の遅延量、前記第二の遅延量、前記第三のカウント結果および前記第四のカウント結果に応じて、前記第二の変換信号を生成するステップは、
前記第一の遅延量、前記第二の遅延量と、前記第二の発振器の前記発振周波数が変化した後に、前記論理結果が変化したときに得られた前記第三のカウント結果および前記第四のカウント結果に応じて、前記第二の変換信号を生成するステップ
を含むことを特徴とする、請求項
6に記載の時間-デジタル変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、デジタル変換回路および関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、測距技術の進歩に伴い、測距は、全体像からの3D測距などの複雑な事例にも適用できるようになってきた。測距は、液体レベル、流速、および流量を測定するための使用でも、材料検出、医療用超音波などのための使用でも、測定システムにおいて、さらに一般的である。
【0003】
この文脈において、使用される最も一般的な方法は、光学的方法および超音波方法のいずれかである。しかしながら、最終的な選択が光学ベースの技術であるか超音波ベースの技術であるかにかかわらず、時間信号を検出するためには回路が必要とされ、この回路の分解能およびコストは、設計において考慮されるべき要因である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願の1つの目的は、上述の問題に対処するための時間-デジタル変換および関連する方法を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本出願の一実施形態は、時間-デジタル変換回路を開示し、この時間-デジタル変換回路は、第一の発振器と、第二の発振器と、第一のカウント回路と、第二のカウント回路と、第一の変換回路と、処理回路とを備える。第一の発振器は、第一の信号によって起動され、第一の遅延量を有する複数の発振ユニットを備え、第一の発振器内の複数の発振ユニットの第一の始端発振ユニットは、第一の信号および第一の尾端出力信号を受信し、第一の発振器内の複数の発振ユニットの第一の尾端発振ユニットは、第一の尾端出力信号を生成するように構成される。第一のカウント回路は、第一の発振器に結合され、第一の尾端出力信号が変化する回数をカウントし、そのカウントした回数を第一のカウント結果として記憶するように構成される。第二のカウント回路は、第一の発振器に結合され、第一の始端発振ユニットの出力が変化するたびに、第一の尾端発振ユニット以外の、出力変化を伴う発振ユニットの数をカウントし、発振ユニットの数を第二のカウント結果として記憶するように構成されている。第二の発振器は、第一のカウント回路および第二のカウント回路を介して第一の発振器に結合され、第二の発振器は、第二の信号によって起動される。第一の変換回路は、第一のカウント回路および第二のカウント回路に結合され、第一の遅延量と、第二の発振器を起動したときに記憶された第一のカウント結果および第二のカウント結果とに応じて、第一の変換信号を生成するように構成され、第一の変換信号は、第一の推定時間差を示す。処理回路は、少なくとも第一の変換信号に応じて出力信号を生成するように構成され、出力信号は、第一の信号の起動時間と第二の信号の起動時間との間の測定された時間差を示す。本出願が開示する時間-デジタル変換回路を用いれば、第一の発振器で構成される発振ユニットが限られているにもかかわらず、第一の発振器と第二のカウント回路は、発振ユニットが連続して発振している限り、第一の発振器の発振ユニットが発振する回数を連続してカウントすることができる。このようにして、本出願において提案される時間-デジタル変換回路は、発振器を実装するために大きな面積を消費することなく、同じ目的を達成することができ、これは、生産コストと電力消費を大幅に削減することになる。
【0006】
本出願の一実施形態は、時間-デジタル変換方法を開示し、この方法は、第一の信号を送信して、第一の発振器を起動するステップであって、第一の発振器は、第一の遅延量を有する複数の発振ユニットを備え、第一の発振器内の複数の発振ユニットの第一の始端発振ユニットは、第一の信号および第一の尾端出力信号を受信し、第一の発振器内の複数の発振ユニットの第一の尾端発振ユニットは、第一の尾端出力信号を生成するように構成される、ステップと、第二の信号を送信して、第二の発振器を起動するステップと、第一の尾端出力信号が変化する回数をカウントし、そのカウントした回数を第一のカウント結果として記憶するステップと、第一の始端発振ユニットの出力が変化するたびに、第一の尾端発振ユニット以外の出力変化を伴う発振ユニットの数をカウントし、第二のカウント結果として発振ユニットの数を記憶するステップと、第一の遅延量と、第二の発振器を起動したときに記憶された第一のカウント結果および第二のカウント結果に応じて、第一の変換信号を生成するステップであって、第一の変換信号は第一の推定時間差を示す、ステップと、少なくとも第一の変換信号に応じて出力信号を生成するステップであって、出力信号は第一の信号の起動時間と第二の信号の起動時間との間に測定された時間差を示す、ステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本出願の第一の実施形態による時間-デジタル変換回路を示す模式図である。
【
図2】本出願の一実施形態による第一の発振器および発振ユニット出力を示す模式図である。
【
図3】本出願の第二の実施形態による時間-デジタル変換回路を示す模式図である。
【
図4】本出願の一実施形態による第一の発振器および第二の発振器によって出力される波形を示す模式図である。
【
図5】本出願の第三の実施形態による時間-デジタル変換回路を示す模式図である。
【
図6】本発明の一実施形態による検出回路の動作を示す模式図である。
【
図7】本出願の一実施形態による時間-デジタル変換方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の開示は、本発明の異なる特徴を実施するために、多くの異なる実施形態または例を提供する。本開示を簡略化するために、構成要素および配置の具体例を以下で説明する。理解できるように、当然、これらは単なる例であり、限定を意図するものではない。例えば、以下の説明において、第二の特徴の全体に、またはその上に第一の特徴を形成することは、第一および第二の特徴が直接接触して形成される実施形態を含むことができ、また第一および第二の特徴が直接接触しないように、第一および第二の特徴の間に追加の特徴を形成し得る実施形態を含むこともできる。また、本開示では、様々な例において、参照番号および/または文字を繰り返すこともある。この繰り返しは、単純化および明確化のためであり、それ自体では、議論される様々な実施形態および/または構成の間の関係を指示するものではない。
【0009】
さらに、「下方に」、「下に」、「下部」、「上に」、「上部」などの空間的に相対的な用語は、本明細書では、説明を容易にするために、1つの要素または特徴について、図面に示すような別の要素または特徴に対する関係を説明するために使用することもある。空間的に相対的な用語は、図に描かれている向きに加えて、使用または動作中のデバイスの異なる向きを包含することが意図されている。装置は、別の向きを向いていてもよく(例えば、90°回転されてもよいし、他の向きに回転されてもよい)、本明細書で使用される空間的に相対的な記述子は、同様に、それに応じて解釈されてもよい。
【0010】
本発明の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の具体例に概説される数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、それぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。また、本明細書で使用される場合、「約」という用語は、一般に、所与の値または範囲の10%、5%、1%、または0.5%以内を意味する。あるいは、用語「約」は、当業者によって考慮される場合、平均の許容可能な標準誤差内を意味する。理解されるように、動作/動作例以外では、または特に明記されない限り、本明細書で開示される材料の量、持続時間、温度、動作条件、量の比率などの数値範囲、量、値、およびパーセンテージのすべては、すべての場合において、「約」という用語によって修正されるものと理解されるべきである。したがって、反対に示されない限り、本開示および添付の特許請求の範囲に概説される数値パラメータは、所望に応じて変化し得る近似である。少なく見積もっても、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効数字の数を考慮し、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。範囲は、本明細書では、1つのエンドポイントから別のエンドポイントまで、または2つのエンドポイントの間として表すことができる。本明細書に開示される全ての範囲は、特に明記しない限り、エンドポイントを含む。
【0011】
図1は、本出願の第一の実施形態による時間-デジタル変換回路100を示す模式図である。
図1に示すように、時間-デジタル変換回路100は、第一の発振器110と、第二の発振器120と、第一のカウント回路130と、第二のカウント回路140と、第一の変換回路150と、処理回路160とを含む。
図1に示すように、第一の発振器110は、リング発振器であってもよい。第一の発振器110は、N個の発振ユニットを含み、ここで、Nは、本実施形態では、1より大きい整数であり、Nは、奇数である。第一の発振器110内のN個の発振ユニットは、それぞれ第一の遅延量D1を有しており、N個の発振ユニットは、第一の始端発振ユニット11と、第一の尾端発振ユニット13と、第一の始端発振ユニット11と第一の尾端発振ユニット13との間に結合された複数(すなわちN-2個)の発振ユニット12とを有している。第一のリング発振ユニット110は、第一の信号S1によって起動され、具体的には、始端発振ユニットは、第一の信号S1を受信するように構成された発振ユニット(すなわち、第一の始端発振ユニット11)と定義され、尾端発振ユニットは、その出力を始端発振ユニットが受信する発振ユニット(すなわち、第一の尾端発振ユニット13)と定義される。第一の始端発振ユニット11は、第一の尾端発振ユニットで生成された第一の信号S1および第一の尾端出力信号SoNを受信して、発振ユニット12への出力信号So1を生成する。発振ユニット12は、出力信号So1を受信し、その出力信号So1に基づいて出力信号So2を生成し、以下、同様に続く。
【0012】
本実施形態において、第二の発振器120は、リング発振器であってもよい。しかしながら、本実施形態は、これに限定されるものではない。第一の発振器110とは対照的に、第二の発振器120は、第二の信号S2によって起動される。
【0013】
第一のカウント回路130は、第一の尾端出力信号SoNが変化する回数をカウントし、カウントした回数を第一のカウント結果CN1として記憶する。具体的には、第一の尾端出力信号SoNが論理値「0」から論理値「1」に遷移すると、第一のカウント回路130で生成された第一のカウント結果CN1に1が加算され、同様に、第一の尾端出力信号SoNが論理値「1」から論理値「0」に遷移すると、第一のカウント回路130で生成された第一のカウント結果CN1に1が加算される。第二のカウント回路140は、第一の始端発振ユニット11の出力が変化するたびに、第一の尾端発振ユニット13以外の、出力変化を伴う残りの発振ユニット(すなわち、第一の始端発振ユニット11および複数の発振ユニット12)の数をカウントし、その発振ユニットの数を第二のカウント結果CN2として記憶するように構成されている。具体的には、第一の発振器110が発振を続ける場合、第一の発振器110の複数の発振ユニットの出力は変化を続け、第一の尾端出力信号SoNが変化したとき、これは、信号変化が1サイクルを終えたことを意味し、このとき、第一のカウント回路130で生成された第一のカウント結果CN1に1が加算され、第二のカウント結果CN2がリセットされる。その後、第一の尾端出力信号SoNが変化するので、出力信号So1もそれに応じて変化することになり、このとき、第二のカウント回路140で生成された第二のカウント結果CN2は、1と示され、次いで、出力信号So1が変化するので、出力信号So2もそれに応じて変化することになり、このとき、第二のカウント回路140で生成された第二のカウント結果CN2は、2と示され、第一の尾端出力信号SoNが再び変化するまで、以下同様に続き、このとき、第一のカウント回路130で生成された第一のカウント結果CN1に1が加算され、第二のカウント結果CN2がリセットされる。これに対応して、出力信号So1は再び変化し、このとき、第二のカウント回路140で生成された第二のカウント結果CN2は、再び1として示されることになる。なお、第一のカウント回路130および第二のカウント回路140のそれぞれは、第一のカウント結果CN1および第二のカウント結果CN2をそれぞれ記憶するように構成された記憶回路を含んでもよい。しかしながら、他の実施形態では、記憶回路は、第一のカウント回路130および第二のカウント回路140の外側に配置することもできる。換言すれば、記憶回路と、第一のカウント回路130と、第二のカウント回路140とは、独立して配置することができる。
【0014】
第二の信号S2によって第二の発振器120を起動すると、第一のカウント回路130および第二のカウント回路140が同時にトリガされて、記憶された第一のカウント結果CN1および第二のカウント結果CN2を第一の変換回路150に送信する。第一の変換回路150は、第一の遅延量D1と、このように受信した第一のカウント結果CN1および第二のカウント結果CN2とに応じて、第一の変換信号TS1を生成し、第一の変換信号TS1は、第一の信号S1の起動時間と第二の信号S2の起動時間との第一の推定時間差を示すように構成されている。処理回路160は、少なくとも第一の変換信号TS1に応じて、出力信号OUTを生成するように構成され、出力信号OUTは、第一の信号S1の起動時間と第二の信号S2の起動時間との間の測定された時間差を示す。
【0015】
2つの信号の間の時間差を検出するために、最も一般的な従来技術の時間-デジタル変換器は、2つの発振器の遅延量の間の差を累積することによって所望の時間差を近似しなければならず、遷移時に得られる最終値は所望の結果である。それにもかかわらず、従来の技術的手段において、2つの信号の間の時間差の検出範囲が十分に大きく、同時に高分解能を達成することが望まれるとき、設計スキームは、2つの発振器の間の遅延量の差がより小さいことを必要とし、積分器は、回路アーキテクチャのステージをより多く必要とするので、所望の回路を実装するには、積分器が占める面積が比較的大きくなる。しかしながら、この設計アプローチでは、全体的なハードウェアコストがあまりにも高くなり、その一方で、高分解能が要求される場合には、2つの発振器間の遅延量の差も大きな偏差率を有することになる。本出願による時間-デジタル変換回路100は、第一の発振器110、第一のカウント回路130、および第二のカウント回路140を適切に設計するので、第一の発振器110内の発振信号を連続的にサイクルし、第一の発振器110内の発振ユニットの出力が変化する回数を第一のカウント回路130および第二のカウント回路140を用いて取得する。このようにして、第一の信号S1の起動時間と第二の信号S2の起動時間との間の時間差の計算は、過剰な回路アーキテクチャを必要としないので、設計コストも消費電力も節約することができる。
【0016】
図2は、本出願の一実施形態による第一の発振器200を示す模式図であり、本実施形態の第一の発振器200は、第一の発振器110を実装するように構成されている。第一の発振器200はリング発振器であってもよく、第一の発振器200は、NANDゲート21と複数のインバータ22、23、24、25とを含み、ここで、NANDゲート21は、第一の発振器110内に第一の始端発振ユニット11を実装するように構成され、インバータ22、23、24は、第一の発振器110内に複数の発振ユニット12を実装するように構成され、インバータ25は、第一の発振器110の第一の尾端発振ユニット13を実装するように構成される。NANDゲート21は、インバータ25により生成された第一の信号S1および第一の尾端出力信号So5を受信し、これに応じて出力信号So1を生成し、インバータ22は、出力信号So1を受信し、これに応じて出力信号So2を生成し、インバータ23は、出力信号So2を受信し、これに応じて出力信号So3を生成し、インバータ24は、出力信号So3を受信し、これに応じて出力信号So4を生成し、インバータ25は、出力信号So4を受信し、これに応じて第一の尾端出力信号So5を生成する。
【0017】
図2の下部に示す波形を参照すると、時点t1に第一の信号S1がアクティブになると、1つの第一の遅延量D1の後に、出力信号So1が遷移し、1つの第一の遅延量D1の後に、出力信号So2が遷移し、以下同様に続く。
図2に示すように、時点t2に第二の信号S2がアクティブになると、第一の尾端出力信号So5が1回遷移するので、
図1の第一のカウント回路130で生成された第一のカウント結果CN1が1として示され、第一の尾端出力信号So5の第一の遷移後は、全ての出力信号So1、出力信号So2、出力信号So3および出力信号So4が変化(遷移)するので、第二のカウント回路140によって生成された第二のカウント結果CN2は、4として示される。第一の発振器200は5つの発振ユニットを含んでいるので、
図1の第一の変換回路150は、第一の遅延量D1、第一のカウント結果CN1および第二のカウント結果CN2に応じて第一の変換信号TS1を生成し、第一の変換信号TS1が示す第一の推定時間差を(1*5+4)*D1と表すことができる。
【0018】
図3は、本出願の第二の実施形態による時間-デジタル変換回路300を示す模式図である。時間-デジタル変換回路300は、時間-デジタル変換回路100と同様であり、両方とも、第一の発振器110、第一のカウント回路130、第二のカウント回路140、および第一の変換回路150を含み、これらの回路の動作は、
図1および
図2の実施形態に関連して説明したので、それらの詳細な説明は、簡潔にするために本明細書では省略される。上記の回路に加えて、時間-デジタル変換回路300は、第二の発振器320、第三のカウント回路350、第四のカウント回路360、第二の変換回路380、および処理回路390をさらに含む。第二の発振器は、N個の発振ユニットを含むリング発振器であってもよく、Nは、1より大きい整数である。N個の発振ユニットのそれぞれは、第二の遅延量D2を有し、第二の始端発振ユニット31と、第二の尾端発振ユニット33と、第二の始端発振ユニット31と第二の尾端発振ユニット33との間に結合された複数の発振ユニット32とを有する。第二のリング発振ユニット320は、第二の信号S2によって起動され、具体的には、第二の始端発振ユニット31は、第二の信号S2および第二の尾端発振ユニット33により生成された第二尾端出力信号SoN’を受信し、発振ユニット32への出力信号So1’を生成する。発振ユニット32は、出力信号So1’を受信し、これに応じて出力信号So2’を生成し、以下、同様に続く。当業者は、発振信号を生成するために第二の発振器320に奇数個の発振ユニットがあるべきであることを容易に理解することができる。
【0019】
第一のカウント回路130と同様に、第三のカウント回路350は、第二の尾端出力信号SoN’が変化した回数をカウントし、そのカウントした回数を第三のカウント結果CN3として記憶するように構成されている。具体的には、第二の尾端出力信号SoN’が論理値「0」から論理値「1」に遷移すると、第三のカウント回路350によって生成された第三のカウント結果CN3に1が加算される。同様に、第二の尾端出力信号SoN’が論理値「1」から論理値「0」に遷移すると、第三のカウント回路350によって生成された第三のカウント結果CN3に1が加算される。第四のカウント回路360は、第二の始端発振ユニット31の出力が変化するたびに、第二の尾端発振ユニット33以外の、出力変化を伴う発振ユニット(すなわち、第二の始端発振ユニット31および複数の発振ユニット32)の数をカウントし、その発振ユニットの数を第四のカウント結果CN4として記憶するように構成されている。
【0020】
具体的には、第二の発振器320が発振を続ける場合、第二の発振器320内の複数の発振ユニットの出力は、変化を続け、第二の尾端出力信号SoN’が変化したとき、これは、信号変化が1サイクルを終えたことを意味し、このとき、このとき、第三のカウント回路350で生成された第三のカウント結果CN3には、1が加算される。その後、第二の尾端出力信号SoN’が変化するので、出力信号So1’もそれに応じて変化することになり、このとき、第四のカウント回路360で生成された第四のカウント結果CN4は、2と示され、第二の尾端出力信号SoN’が再び変化するまで、以下同様に続き、このとき、第三のカウント回路350で生成された第三のカウント結果CN3には、1が加算される。これに対応して、出力信号So1’は再び変化し、このとき、第四のカウント回路360で生成された第四のカウント結果CN4は、再び1として示される。
【0021】
なお、第三のカウント回路350および第四のカウント回路360のそれぞれは、第三のカウント結果CN3および第四のカウント結果CN4をそれぞれ記憶するように構成された記憶回路を含んでもよい。しかしながら、他の実施形態では、記憶回路は、第三のカウント回路350および第四のカウント回路の外側に配置することもできる。換言すれば、記憶回路と、第三のカウント回路350と、第四カウント回路360とは、独立して配置することができる。
【0022】
他の実施形態では、第三のカウント回路350は、第一のカウント回路130によって実装されてもよく、第四のカウント回路360は、第二のカウント回路140によって実装されてもよい。このようにして、第二の信号S2によって第二の発振器320を起動すると、第一のカウント回路130は、第二の尾端出力信号SoN’が変化する回数をカウントし、そのカウントした回数を第三のカウント結果CN3として記憶するように構成されている。第二のカウント回路140は、第二の始端発振ユニット31の出力が変化するたびに、第二の尾端発振ユニット33以外の、出力変化を伴う発振ユニット(すなわち、第二の始端発振ユニット31および複数の発振ユニット32)の数をカウントし、その発振ユニットの数を第四のカウント結果CN4として記憶するように構成されている。
【0023】
第二のリング発振器320を起動した後、第二の変換回路380は、第一の遅延量D1、第二の遅延量D2、第三のカウント結果CN3および第四のカウント結果CN4に応じて、第二の変換信号TS2を生成するように構成され、第二の変換信号TS2は第二の推定時間差を示し、第二の推定時間差は第一の遅延量D1よりも小さい。本実施形態では、第二の変換回路380は、論理回路381を含み、第二の発振器320を起動した後、第二の発振器320内の任意の発振ユニット(すなわち、第二の始端発振ユニット31、複数の発振ユニット32および第二の尾端発振ユニット33)の出力が変化した場合、論理回路381は、第一の発振器110の複数の発振ユニット(すなわち、第一の始端発振ユニット11、複数の発振ユニット12および第一の尾端発振ユニット13)のいずれかからの出力を受信し、第一の発振器110の複数の発振ユニットの出力と、出力変化が生じた第二の発振器320の発振ユニットの出力に応じて論理演算を行い、論理結果を生成するように構成されている。以下の段落で、第二の変換回路380および論理回路381の詳細な動作について説明する。図面を単純に保つために、論理回路381と他の回路との間の接続は、
図3では完全には図示されていないことに留意されたい。
【0024】
また、処理回路390は、第一の変換信号TS1および第二の変換信号TS2に応じて、出力信号OUTを生成するように構成されており、この出力信号は、第一の信号S1の起動時間と第二の信号S2の起動時間との間の測定された時間差を表す。
図2に示す第一の発振器200は、第二の発振器320を実装するためにも適用可能であることに留意されたい。
【0025】
図2の実施形態に続いて、
図4は、本出願の一実施形態による第一の発振器110および第二の発振器320によって出力される波形を示す模式図である。本実施形態では、第二の遅延量D2は、第一の遅延量D1よりも若干大きい。
図4に示すように、時点t1に第一の信号S1がアクティブになると、時点t2に第二の信号S2がアクティブになる。時点t2に第二の信号S2がアクティブになると、出力信号So1’は、1つの第二の遅延量D2が通過した後に遷移し、出力信号So2’は、1つの第二の遅延量D2が通過した後に遷移し、以下同様に続く。出力信号So1’が初めて遷移するとき、すなわち、立ち下がりエッジdn1’が発生するとき、立ち下がりエッジdn1’は、第一の尾端出力信号So5の立ち上がりエッジup1よりも後方で、出力信号So1の立ち下がりエッジdn1よりも前方に位置する。その後、1つの第二の遅延量D2の後に、出力信号So2’が初めて遷移し、すなわち、立ち上がりエッジup1’が発生するとき、立ち上がりエッジup1’は、出力信号So1の立ち下がりエッジdn1よりも後方で、出力信号So2の立ち上がりエッジup2よりも前方に位置する。しかしながら、第二の遅延量D2は、第一の遅延量D1よりも若干大きいので、立ち上がりエッジup1’と立ち上がりエッジup2の間の距離は、立ち下がりエッジdn1と立ち下がりエッジdn1’の間の距離よりも小さい。この状況は、出力信号So1’の立ち上がりエッジup3’が出力信号So1の立ち上がりエッジup3の後方に位置する時点t4まで続く。第一の遅延量D1と第二の遅延量D2が同じ場合、出力信号So1’の立ち上がりエッジup3’は立ち下がりエッジdn2の後方で、立ち上がりエッジup3の前方に位置するはずであるが、第二の遅延量D2は第一の遅延量D1よりも若干大きいので、立ち上がりエッジup3’は、時点t4で立ち上がりエッジup3の後方にある。これが生じると、第三のカウント結果CN3および第四のカウント結果CN4は、第二の変換回路380に送信される。
【0026】
また、時点t4では、信号が1サイクルの遷移を完了するので、第三のカウント結果CN3は1として示され、出力信号So1’が遷移を完了するので、第四のカウント結果CN4は1として示される。上述したように、第二の変換回路380は、1*5+1=6の遅延が、時点t2からt4までに経過したことを見出すことができ、したがって、第二の遅延量D2に応じて、時点t2からt4までに、6*D2の期間が経過している。第一の発振器110が受ける第一の遅延量D1は、第二の発振器320が受ける第二の遅延量D2よりも1つ多いので、第二の変換回路380は、第一の遅延量D1、第二の遅延量D2、第三のカウント結果CN3および第四のカウント結果CN4に応じて、第二の変換信号TS2を生成し、第二の変換信号TS2が示す第二の推定時間差は、(6+1)*D1-6*D2で表すことができ、第二の推定時間差は、時点t3と時点t2との間の時間差である。
【0027】
第一のカウント結果CN1および第二のカウント結果CN2に応じて第一の変換信号TS1が生成されるので、第一の変換信号TS1が示す第一の推定時間差は、時点t1と時点t3との時間差であり、第二の変換信号TS2が示す第二の推定時間差は、時点t2と時点t3との時間差である。処理回路390は、第一の変換信号TS1および第二の変換信号TS2に応じて、出力信号OUTを生成する。
【0028】
次に、第二の変換回路380が、どのようにして、出力信号So1’の立ち上がりエッジup3’が出力信号So1の立ち上がりエッジup3の後方に位置すると判断するかについて議論を進める。出力信号So1’の立ち下がりエッジdn1’が発生すると、第一の発振器110内の複数の対応する発振ユニットの出力の論理値(すなわち、出力信号So1、So2、So3、So4、第一の尾端出力信号So5)は「10101」となる。論理回路381は、論理値「10101」を受け取り、論理値「10101」と出力信号So1の論理値「0」とを論理演算した後、このとき、出力信号So1は遷移を完了していないのに対し、第一の尾端出力信号So5は遷移したばかりであることを確認する。例えば、このとき、論理値「10101」と論理値「0」には、0と1の同数が存在し、したがって、出力信号So1の立ち下がりエッジdn1’は、第一の尾端出力信号So5の立ち上がりエッジup1よりも後方で、出力信号So1の立ち下がりエッジdn1よりも前方にあると判断される。したがって、第二の変換回路380は、論理値「0」のような特定の論理値を示す論理結果を生成する。
【0029】
出力信号So2’の立ち上がりエッジup1’が発生すると、第一の発振器110内の複数の対応する発振ユニットの出力の論理値が「00101」となる。論理回路381が論理値「00101」のを受け取り、出力信号So2の論理値「00101」と論理値「1」とで論理演算を行った後、このとき、出力信号So1は遷移したばかりであるのに対し、出力信号So2は遷移を完了していないことを確認する。例えば、このとき、論理値「00101」と論理値「1」には同じ数の0と1があるので、出力信号So2’の立ち上がりエッジup1は立ち下がりエッジdn1よりも後方で、立ち上がりエッジup2よりも前方に位置すると判定される。したがって、第二の変換回路380は、論理値「0」を示す論理結果を生成する。立ち上がりエッジup3’が発生すると、本来、立ち上がりエッジup3’は、立ち下がりエッジdn2と立ち上がりエッジup3との間に位置し、それによって、第一の発振器110内の複数の対応する発振ユニットの出力の論理値を「01010」として得るべきである。しかしながら、第二の遅延量D2は、第一の遅延量D1よりもわずかに大きいので、立ち上がりエッジup3’は、立ち上がりエッジup3の後方に位置し、その結果、得られる第一の発振器110内の複数の対応する発振ユニットの出力の論理値は、「11010」である。したがって、論理回路381は、出力信号So1の論理値「11010」と論理値「1」に対して論理演算を行った後、出力信号So1’の立ち上がりエッジup3’が出力信号So1の立ち上がりエッジup3の位置にあることを確かめる。例えば、このとき、論理値「11010」と論理値「1」の0と1の数が異なるので、第二の変換回路380は、異なる論理値「1」を示す論理結果を生成する。
【0030】
なお、
図4の実施形態では、第二の遅延量D2は第一の遅延量D1よりも若干大きいが、本出願はこれに限定されるものではない。他の実施形態では、第二の遅延量D2は第一の遅延量D1よりも若干小さく、第二の変換回路380および論理回路381の動作は、
図4の実施形態に関連して説明したものと同様であるので、簡潔にするために、ここでは詳細な説明を省略する。
【0031】
図5は、本出願の第三の実施形態による時間-デジタル変換回路500を示す模式図である。時間-デジタル変換回路500および時間-デジタル変換回路は、実質的に同じである。ただし、時間-デジタル変換回路500は、検出回路510を含み、検出回路510は、論理回路381に結合され、論理回路381によって生成された論理結果が変化するとき、第二の発振器320の発振周波数を調整するように構成されている。検出回路510の詳細な機能は、後続の実施形態で論じられる。本実施形態では、検出回路510は、複数セットのコンデンサを含んでもよく、コンデンサを第二の発振器320に結合することによって、第二の発振器320の発振周波数を調整する。
【0032】
図6は、本発明の一実施形態による検出回路510の動作を示す模式図である。
図4の実施形態に続いて、時点t4において、出力信号So1’が遷移し、論理結果は、立ち上がりエッジup3’が立ち上がりエッジup3の後方に位置すると判断し、したがって、検出回路510は、第二の発振器320の発振周波数を増加させ、その結果、ある期間の後に、出力信号So1’の立ち上がりエッジup4’が、出力信号So1の立ち上がりエッジup4の前に位置する。検出回路510は、第二の発振器320の発振周波数を調整して、立ち上がりエッジ4’が一定の時間差tXだけ前に押し上げられるようにしてもよく、第二の遅延量D2と第一の遅延量D1とが不変のままであるので、第二の発振器320の発振周波数を調整した後、
図4の実施形態で説明した論理回路381を使用して、第二の発振器320の出力が再び第一の発振器110の出力の後に位置するタイミングを決定する。また、第二の変換回路380は、このときの第一の遅延量D1、第二の遅延量D2、および第三のカウント結果CN3と第四のカウント結果CN4に応じて、時点t5と時点t4との間の時間差tYを決定してもよい。このようにして、このように生成された第二の変換信号TS2は、さらに高い分解能を有することになる。
【0033】
具体的には、tXが45ピコ秒であり、第二の遅延量D2が第一の遅延量D1よりも5ピコ秒大きいと仮定し、時点t6の後に、3つの第二の遅延量D2が経過し、出力信号So4’の立ち下がりが出力信号So4の立ち下がりと、ちょうど一致すると仮定すると、時点t5とt4との時間差tYが45-3*5=30ピコ秒であることが確かめられる。
図4および
図6の両方の実施形態を参照すると、第二の変換回路380は、第一の遅延量D1、第二の遅延量D2、第三のカウント結果CN3および第四のカウント結果CN4に応じて、第二の変換信号TS2を生成し、第二の変換信号TS2が示す第二の推定時間差は、(6+1)*D1-6*D2+tYで表すことができ、第二の推定時間差は、時点t3とt2との時間差である。
【0034】
図7は、本出願の一実施形態による時間-デジタル変換方法700を示すフローチャートである。時間-デジタル変換方法700を実行する場合、実質的に同じ結果が得られる限り、本出願は
図7に示すプロセスのステップに限定されない。時間-デジタル変換方法700は、以下のように要約される。
【0035】
ステップ702:第一の信号を送信して、第一の発振器を起動する。
【0036】
ステップ704:第二の信号を送信して、第二の発振器を起動する。
【0037】
ステップ706:第一の尾端出力信号が変化する回数をカウントし、そのカウントした回数を第一のカウント結果として記憶する。
【0038】
ステップ708:第一の始端発振ユニットの出力が変化するたびに、第一の尾端発振ユニット以外の、出力変化を伴う発振ユニットの数をカウントし、その発振ユニットの数を第二のカウント結果として記憶する。
【0039】
ステップ710:第一の遅延量と、第二の発振器を起動したときに記憶された第一のカウント結果および第二のカウント結果とに応じて、第一の変換信号を生成する。
【0040】
ステップ712:少なくとも第一の変換信号に応じて出力信号を生成する。
【0041】
当業者は、
図1~
図6の実施形態を読むと、時間-デジタル変換方法700の詳細を容易に理解することができ、したがって、その詳細な説明は、簡潔にするために本明細書では省略している。