(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】亜鉛含有水溶性ポリグルタミン酸複合体組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 33/16 20160101AFI20220907BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20220907BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20220907BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220907BHJP
A61K 33/30 20060101ALI20220907BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20220907BHJP
【FI】
A23L33/16
A61P37/08
A61P11/02
A61P35/00
A61K33/30
A61K47/34
(21)【出願番号】P 2020573259
(86)(22)【出願日】2018-09-17
(86)【国際出願番号】 KR2018010881
(87)【国際公開番号】W WO2020004712
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2020-12-23
(31)【優先権主張番号】10-2018-0074477
(32)【優先日】2018-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520508114
【氏名又は名称】アレックスタンド カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100215670
【氏名又は名称】山崎 直毅
(72)【発明者】
【氏名】ぺ ジン ホ
【審査官】山本 英一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/084806(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/084805(WO,A1)
【文献】国際公開第2007/043606(WO,A1)
【文献】特開平05-078243(JP,A)
【文献】特表2001-503044(JP,A)
【文献】国際公開第2012/039518(WO,A1)
【文献】特開2011-062164(JP,A)
【文献】The American Journal of Clinical Nutrition,1987年,Vol. 45, No. 6,pp. 1480-1486
【文献】花粉症に効くサプリメントについて,耳鼻科の病気解説 いとう耳鼻咽喉科 [オンライン],2015年01月29日,[検索日 2022年1月28日], インターネット<URL: https://ito-jibika.net/byouki-kaisetsu/2015/01/29/%E8%8A%B1%E7%B2%89%E7%97%87%E3%81%AB%E5%8A%B9%E3%81%8F%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L,A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒスチジン、ポリガンマグルタミン酸及び亜鉛供給体から製造される、亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体
であって、ヒスチジン200重量部に対して、ポリガンマグルタミン酸30~70重量部、及び亜鉛供給体30~150重量部から製造される上記複合体。
【請求項2】
前記亜鉛供給体は、酸化亜鉛、酢酸
亜鉛及び炭酸亜鉛の
1種以上を含む、請求項
1に記載の亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体。
【請求項3】
前記複合体は、複合体総重量に対して、亜鉛
を15重量%以上
含む、請求項
1に記載の亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか一項に記載の亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体の製造方法であって、
(a)水にヒスチジン、ポリガンマグルタミン酸及び亜鉛供給体を添加して還流する段階と、
(b)還流された混合物を蒸留する段階と、
(c)炭素数1~5の低級アルコールを添加して複合体を析出する段階とを含
み、
前記(a)段階は、ヒスチジン200重量部に対して、ポリガンマグルタミン酸30~70重量部及び亜鉛供給体30~150重量部を添加して還流することを含む、上記製造方法。
【請求項5】
前記還流
を30分~4時間行い、前記炭素数1~5の低級アルコールは
、イソプロパノール、ブタノール及びエタノールの
1種以上
を含む、請求項
4に記載の亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体の製造方法。
【請求項6】
請求項
1~3のいずれか一項に記載の亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を含む、亜鉛供給用健康食品組成物。
【請求項7】
請求項
1~3のいずれか一項に記載の亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を含む、抗癌活性がある食品組成物。
【請求項8】
請求項
1~3のいずれか一項に記載の亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を含む、抗癌用薬学組成物。
【請求項9】
前記癌は、ホジキン悪性リンパ腫、乳
癌、膠芽細胞腫及び肺癌の
1種以上
を含む、請求項
8に記載の抗癌用薬学組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は新規の亜鉛ポリグルタミン酸ヒスチジン複合体とその用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
恒常性と健康のために我が身体に必ず必要な亜鉛は水にほとんど溶けない状態である酸化亜鉛の形態として最近まで供給されているから、身体への吸収率が非常に低い。
【0003】
したがって、亜鉛の身体吸収率を高めるための研究があった。アメリカのSSVセラピューティクス社は一般アミノ酸と亜鉛の複合体を製造し、銅による毒性を緩和させることができるという特許を2012年に発表した(Om P. Goel, US 8,247,398 B2 (2012年8月21日))。スイスのベルン大学のタミスらは酢酸亜鉛を使って亜鉛と一般アミノ酸の複合体を製造してアルドール縮合(Aldol condensation)の触媒として使用した結果を発表し(Tamis Darbre et al. Chem Comm. 2003, 1090-1091)、イランのソマイエらは亜鉛と一般アミノ酸の複合体が植物においてアミノ酸単独の使用よりずっと長い間に土壌内に存続するということを発表した(Somayeh Ghasemi et al. Soil Biology & Biochemistry. 2013, 63, 73-79)。フェレルらは亜鉛とヒスチジン複合体を炭酸亜鉛から作る方法を発表した(P. Ferrer et al, Journal of Physical Chemistry, 2014, 118, 2842-2850)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Tamis Darbre et al. Chem Comm. 2003, 1090-1091
【文献】Somayeh Ghasemi et al. Soil Biology & Biochemistry. 2013, 63, 73-79
【文献】P. Ferrer et al, Journal of Physical Chemistry, 2014, 118, 2842-2850
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記のように恒常性と健康のために我が身体に必ず必要な亜鉛は水にほとんど溶けない状態である酸化亜鉛の形態として最近まで供給されているから、身体への吸収率が非常に低かった。したがって、本発明の発明者らは亜鉛の吸収率を高めるための研究を行っているうち、ヒスチジン、ポリグルタミン酸を亜鉛と反応させて亜鉛がキレートされた複合体の新規の物質を製造し、前記新規物質は水によく溶ける性質があることを確認した。また、前記新規の物質は相当な抗癌活性効能があることを確認し、花粉が粘膜を刺激して発生する花粉症(pollinosis)の緩和にも効果があることを確認した。
【0007】
本発明の一側面は、ヒスチジン、ポリグルタミン酸に亜鉛を結合させて水によく溶ける安定した亜鉛ポリグルタミン酸複合体(Alex2)を提供しようとする。
【0008】
本発明の一側面は、前記複合体をカプセルに作り、これを我が身に必要な亜鉛供給体として提供しようとする。
【0009】
本発明の一側面は、前記複合体をカプセルに作り、抗癌活性と花粉が粘膜を刺激して発生する花粉症(pollinosis)の緩和効果を提供しようとする。
【0010】
本発明の一側面は、前記複合体を注射剤型に作り、これを我が身に必要な亜鉛供給体として提供しようとする。
【0011】
本発明の一側面は、前記複合体を注射剤型に作り、抗癌活性と花粉が粘膜を刺激して発生する花粉症(pollinosis)の緩和効果を提供しようとする。
【0012】
本発明の目的は以上で言及した目的に制限されない。本発明の目的は以下の説明によってより明らかになるはずであり、特許請求範囲に記載した手段及びその組合せによって実現されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一側面は、ポリガンマグルタミン酸及び亜鉛供給体から製造される亜鉛/ポリグルタミン酸複合体を提供する。
【0014】
本発明の一側面で、前記複合体は、ポリガンマグルタミン酸100重量部に対して、亜鉛供給体30~150重量部から製造される亜鉛/ポリグルタミン酸複合体を提供する。
【0015】
本発明の一側面は、ヒスチジン、ポリガンマグルタミン酸及び亜鉛供給体から製造される亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を提供する。
【0016】
本発明の一側面で、前記複合体は、ヒスチジン200重量部に対して、ポリガンマグルタミン酸30~70重量部、及び亜鉛供給体30~150重量部から製造される亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を提供する。
【0017】
本発明の一側面で、前記亜鉛供給体は、酸化亜鉛、酢酸亜鉛及び炭酸亜鉛のいずれか1種以上を含む亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を提供する。
【0018】
本発明の一側面で、前記複合体は、亜鉛含量が複合体総重量に対して15重量%以上である亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を提供する。
【0019】
本発明の一側面で、前記複合体は、水にヒスチジン、ポリガンマグルタミン酸及び亜鉛供給体を添加し、還流した後、炭素数1~5の低級アルコールを用いて複合体を析出することによって製造される亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を提供する。
【0020】
本発明の他の側面は、本発明の一側面による亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体の製造方法であって、
【0021】
(a)水にヒスチジン、ポリガンマグルタミン酸及び亜鉛供給体を添加して還流する段階と、
【0022】
(b)還流された混合物を蒸留する段階と、
【0023】
(c)炭素数1~5の低級アルコールを添加して複合体を析出する段階とを含む亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体の製造方法を提供する。
【0024】
本発明の他の側面で、前記(a)段階は、ヒスチジン200重量部に対してポリガンマグルタミン酸30~70重量部及び亜鉛供給体30~150重量部を添加して還流する亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体の製造方法を提供する。
【0025】
本発明の他の側面で、前記還流は30分~4時間行い、前記炭素数1~5の低級アルコールは、イソプロパノール、ブタノール及びエタノールのいずれか1種以上である亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体の製造方法を提供する。
【0026】
本発明のさらに他の側面は、本発明の一側面による亜鉛/ポリグルタミン酸複合体又は本発明の一側面による亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を含む亜鉛供給用健康食品組成物を提供する。
【0027】
本発明のさらに他の側面は、本発明の一側面による亜鉛/ポリグルタミン酸複合体又は本発明の一側面による亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を含む花粉症予防又は緩和用食品組成物を提供する。
【0028】
本発明のさらに他の側面は、本発明の一側面による亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を含む抗癌活性がある食品組成物を提供する。
【0029】
本発明のさらに他の側面は、本発明の一側面による亜鉛/ポリグルタミン酸複合体又は本発明の一側面による亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を含む花粉症予防、緩和又は治療用薬学組成物を提供する。
【0030】
本発明のさらに他の側面は、本発明の一側面による亜鉛/ポリグルタミン酸複合体又は本発明の一側面による亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を含む抗癌用薬学組成物を提供する。
【0031】
本発明のさらに他の側面で、前記癌は、ホジキン悪性リンパ腫、乳房癌、膠芽細胞腫及び肺癌などのいずれか1種以上である抗癌用薬学組成物を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本発明が提供する水溶性亜鉛アミノ酸複合体は亜鉛が必要なヒトや動植物に供給して亜鉛不足による異常現象を防止し、またこれらの化合物は抗癌活性を提供するとともに春期の花粉によって生ずる花粉症の症状を緩和させるのに用いることができる。
【0033】
本発明の効果は以上で言及した効果に限定されない。本発明の効果は以下の説明で推論可能な全ての効果を含むものと理解されなければならないであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の実験例3-1によるホジキン悪性リンパ腫細胞に対する抗癌活性を測定したものであり、Alex1は亜鉛とヒスチジン複合体(比較例1)、Alex2は亜鉛、ヒスチジンポリガンマグルタミン酸複合体(実施例1)、HDLM2はホジキン悪性リンパ腫細胞である。
【
図2】本発明の実験例3-2による血清がある状態で乳房癌細胞、脳の膠芽細胞腫及び肺癌細胞に対する抗癌活性を測定したものであり、Alex1は亜鉛とヒスチジン複合体(比較例1)、Alex2は亜鉛、ヒスチジンポリガンマグルタミン酸複合体(実施例1)、MDA-MB-231は乳房癌細胞、U87-MGは脳の膠芽細胞腫、A549は肺癌細胞である。
【
図3】本発明の実験例3-3による血清がない状態で乳房癌細胞、脳の膠芽細胞腫及び肺癌細胞に対する抗癌活性を測定したものであり、Alex1は亜鉛とヒスチジン複合体(比較例1)、Alex2は亜鉛、ヒスチジンポリガンマグルタミン酸複合体(実施例1)、MDA-MB-231は乳房癌細胞、U87-MGは脳の膠芽細胞腫、A549は肺癌細胞である。
【
図4】本発明の実験例3-4によるNK細胞に対する活性測定結果である。
【
図5】本発明の実験例4による一般細胞に対する毒性測定結果である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
他に明示しない限り、本明細書で使用した成分、反応条件、成分の含量を表現する全ての数字、値及び/又は表現は、このような数字が本質的に他のものの中でこのような値を得るのに発生する測定の多様な不確実性が反映された近似値であるので、全ての場合に“約”という用語で修飾されるものと理解されなければならない。また、本記載で数値範囲を開示する場合、このような範囲は連続的であり、他に指示しない限り、このような範囲の最小値から最大値が含まれた前記最大値までの全ての値を含む。さらに、このような範囲が整数を指示する場合、他に指示しない限り、最小値から最大値が含まれた前記最大値までを含む全ての整数が含まれる。
【0036】
本明細書において、範囲を変数に対して記載する場合、前記変数は前記範囲の記載された終了点を含む記載した範囲内の全ての値を含むものと理解されるであろう。例えば、“5~10”の範囲は5、6、7、8、9、及び10の値だけではなく、6~10、7~10、6~9、7~9などの任意の下位範囲を含み、5.5、6.5、7.5、5.5~8.5及び6.5~9などの記載した範囲の範疇に妥当な整数間の任意の値も含むものと理解されるであろう。また、例えば、“10%~30%”の範囲は10%、11%、12%、13%などの値と30%までを含む全ての整数だけではなく、10%~15%、12%~18%、20%~30%などの任意の下位範囲を含み、10.5%、15.5%、25.5%などのように記載された範囲の範疇内の妥当な整数間の任意の値も含むものと理解されるであろう。
【0037】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0038】
本発明は、ポリグルタミン酸に亜鉛を結合させるか又はポリグルタミン酸にL-ヒスチジンと亜鉛を結合させて水によく溶ける安定した亜鉛/ポリグルタミン酸複合体又は亜鉛/ポリグルタミン酸/ヒスチジン複合体を作り、これを単独で又は多くの補助剤と混合してカプセル、注射剤型に作るか又はパウダーに製造して我が身に非常によく吸収される亜鉛供給体としての役割をするだけでなく、このような物質は癌細胞に対する抗癌活性と花粉が粘膜を刺激して発生する花粉症(pollinosis)の緩和にも効果を示すことを確認し、ヒト、動物及び植物に使うためのものである。
【0039】
前記亜鉛/ポリグルタミン酸複合体又は亜鉛/ポリグルタミン酸/ヒスチジン複合体の合成に関しては論文と特許に説明されて公示されていなく、ただ亜鉛と一般的なアミノ酸の複合体の製造は論文と特許に記述されていた。このような先行技術の特許と論文等はポリグルタミン酸、ヒスチジン亜鉛複合体を製造する方法についての説明と用途に関する内容も発表されたものがない。
【0040】
よって、我が身によく吸収される水溶性亜鉛含有ポリグルタミン酸複合体又は水溶性亜鉛含有ポリグルタミン酸ヒスチジン複合体を製造し、吸収効率に優れた水溶性亜鉛供給体としての役割をするだけでなく、このような物質は癌細胞に対する抗癌活性と花粉が粘膜を刺激して発生する花粉症(pollinosis)の緩和にも効果を示すことを実験的に確認したところ、ヒト及び動植物に使用可能な組成物を製造及び提供するためのものである。
【0041】
本発明の一具現例で、水にポリガンマグルタミン酸及び酸化亜鉛を入れるか、水にヒスチジン、ポリガンマグルタミン酸及び酸化亜鉛を入れて2~10時間還流し、全部溶けた後、水がある程度残っている状態まで蒸留し、これにエタノールを含めたイソプロパノール、ブタノールなどの無害な種々のアルコールを使って固体を析出し、12~36時間の間に室温で乾燥して所望の亜鉛/ポリグルタミン酸複合体又は亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を製造する。
【0042】
また、本発明の一具現例で、水にポリガンマグルタミン酸及び酢酸亜鉛を入れるか、ヒスチジン、ポリガンマグルタミン酸及び酢酸亜鉛を入れて2~10時間還流し、全部溶けた後、水がある程度残っている状態まで蒸留し、これにエタノールを含めたイソプロパノール、ブタノールなどの無害な種々のアルコールを使って固体を析出し、12~36時間の間に室温で乾燥して所望の亜鉛/ポリグルタミン酸複合体又は亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を製造する。
【0043】
また、本発明の一具現例で、水にポリガンマグルタミン酸及び炭酸亜鉛を入れるか、ヒスチジン、ポリガンマグルタミン酸及び炭酸亜鉛を入れて2~10時間還流し、全部溶けた後、水がある程度残っている状態まで蒸留し、これにエタノールを含めたイソプロパノール、ブタノールなどの無害な種々のアルコールを使って固体を析出し、12~36時間の間に室温で乾燥して所望の亜鉛/ポリグルタミン酸複合体又は亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を製造する。
【0044】
以下では本発明の多様な側面を説明する。
【0045】
本発明の一側面は、ポリガンマグルタミン酸及び亜鉛供給体から製造される亜鉛/ポリグルタミン酸複合体を提供する。
【0046】
本発明の一側面は、ヒスチジン、ポリガンマグルタミン酸及び亜鉛供給体から製造される亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を提供する。
【0047】
本発明の一側面で、前記複合体は、ヒスチジン200重量部に対してポリガンマグルタミン酸30~70重量部及び亜鉛供給体30~150重量部から製造される、亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を提供する。
【0048】
本発明の一側面で、前記亜鉛供給体は、酸化亜鉛、酢酸亜鉛及び炭酸亜鉛のいずれか1種以上を含む、亜鉛/ポリグルタミン酸複合体又は亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を提供する。
【0049】
本発明の一側面で、前記複合体は、亜鉛含量が15重量%以上である、亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を提供する。
【0050】
本発明の一側面で、前記複合体は、水にヒスチジン、ポリガンマグルタミン酸及び亜鉛供給体を添加して還流した後、炭素数1~5の低級アルコールを用いて複合体を析出することによって製造される、亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を提供する。
【0051】
本発明の他の側面は、本発明の一側面による亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体の製造方法であって、
【0052】
(a)水にヒスチジン、ポリガンマグルタミン酸及び亜鉛供給体を添加して還流する段階と、
【0053】
(b)還流された混合物を蒸留する段階と、
【0054】
(c)炭素数1~5の低級アルコールを添加して複合体を析出する段階と、を含む亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体の製造方法を提供する。
【0055】
本発明の他の側面で、前記(a)段階は、ヒスチジン200重量部に対してポリガンマグルタミン酸30~70重量部及び亜鉛供給体30~150重量部を添加して還流する、亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体の製造方法を提供する。
【0056】
本発明の他の側面で、前記還流は30分~4時間行い、前記炭素数1~5の低級アルコールは、イソプロパノール、ブタノール及びエタノールのいずれか1種以上である、亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体の製造方法を提供する。
【0057】
本発明のさらに他の側面は、本発明の一側面による亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を含む亜鉛供給用健康食品組成物を提供する。亜鉛が不足な場合、花粉などのアレルギー源に対する抵抗性が低くなることはもちろんのこと、免疫機能の悪化、紅板症、脱毛、圧迫点の痂皮形成、頭垢、身の開口部付近の化膿、かゆみ、荒い被毛及び過度な皮脂、続発性細菌感染、角化亢進、過度な色素沈着などの症状が現れることが知られている。特に、亜鉛が不足な場合、免疫機能の悪化による花粉症の可能性が高くなる。よって、亜鉛供給体としての食品組成物は前記のような疾患又は症状を予防あるいは緩和することができ、特に免疫機能の悪化による花粉症を予防あるいは緩和することができる。
【0058】
本発明のさらに他の側面は、本発明の一側面による亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を含む花粉症予防又は緩和用食品組成物を提供する。
【0059】
本発明のさらに他の側面は、本発明の一側面による亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を含む抗癌活性がある食品組成物を提供する。
【0060】
本発明のさらに他の側面による食品組成物は、活性成分として亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を含む。前記活性成分は、錠剤、カプセル剤、粉末剤、顆粒剤、丸剤、液状剤、懸濁剤などに製造した食品として摂取するか、あるいは一般食品に添加して摂取することができる。前記健康食品は、一般薬品とは違い、食品を原料とするので、薬品の長期服用の際に発生し得る副作用などがない利点がある。活性成分の含有量はその使用目的(予防又は改善用)によって適宜決定することができる。一般的に、健康食品組成物中に活性成分は0.1~90重量%含まれることができる。しかし、健康及び衛生を目的とするか又は健康調節を目的とする長期間の摂取の場合には、前記量は前記範囲以下であることができ、安全性の面で何らの問題がないから、活性成分は前記範囲以上の量でも使われることができる。
【0061】
前記食品の種類には特別な制限はない。前記活性成分を添加することができる食品の例としては、ドリンク剤、飲料水、イオン飲料、乳製品、肉類、ソーセージ、パン、麺類、キャンティー類、スナック類、ガム、お茶、ビタミン複合剤を含む通常的な意味の健康機能食品を全部含む。前記食品の性状も特に制限されなく、固状、半固体状、ゲル状、液状、粉末状などのいずれでもよい。
【0062】
本発明の健康食品組成物を用いて飲料に製造することができる。飲料に含まれる成分として活性成分以外に他の成分の選択に特別な制限がなく、通常の飲料のようにさまざまな香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含むことができる。上述した天然炭水化物の例は、単糖類、例えば葡萄糖、果糖など、二糖類、例えばマルトース、スクロースなど、及び多糖類、例えばデキストリン、シクロデキストリンなどのような通常の糖、及びキシリトール、ソルビトール、エリトリトールなどの糖アルコールである。上述したもの以外の香味剤として、天然香味剤(タウマチン)、ステビア抽出物(例えば、レバウジオシドA、グリシルリジンなど)及び合成香味剤(サッカリン、アスパルテームなど)を有利に使うことができる。前記天然炭水化物の量は、本発明の組成物100ml当たり、一般的に約1~20g、好ましくは約5~12gである。
【0063】
また、本発明の食品組成物は、活性成分以外にもさまざまな営養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び充填剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使われる炭酸化剤などを添加剤として含むことができる。その他にも、天然果物ジュース及び果物ジュース飲料及び野菜飲料の製造のための果肉を含むことができる。このような成分は独立的に又は組合せで使うことができる。このような添加剤の比はそんなに重要ではないが、本発明の健康食品組成物中に0.1~20重量%の範囲で選択されることが一般的である。
【0064】
本発明のさらに他の側面は、本発明の一側面による亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を含む花粉症の予防、緩和又は治療用薬学組成物を提供する。
【0065】
本発明のさらに他の側面は、本発明の一側面による亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体を含む抗癌用薬学組成物を提供する。
【0066】
本発明のさらに他の側面で、前記癌は、ホジキン悪性リンパ腫、乳房癌、膠芽細胞腫及び肺癌などのいずれか1種以上である抗癌用薬学組成物を提供する。
【0067】
本発明のさらに他の側面による薬学組成物は、通常の無毒性薬剤学的に許容可能な担体、補強剤及び賦形剤などを添加して薬剤学的分野で通常的な製剤、例えば錠剤、カプセル剤、トローチ剤、液剤、懸濁剤などの経口投与用製剤に製造することができる。本発明の複合体組成物に使用可能な賦形剤としては、甘味剤、結合剤、溶解剤、溶解補助剤、湿潤剤、乳化剤、等張化剤 、吸着剤、崩壊剤、酸化防止剤、防腐剤、滑沢剤、充填剤、芳香剤などを含むことができる。例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、グリシン、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン、マグネシウムステアリン酸塩、マグネシウムアルミニウム珪酸塩、澱粉、ゼラチン、トラガカントゴム、アルギニン酸、アルギン酸ナトリウム、メチルセルロース、ソジウムカルボキシルメチルセルロース、寒天、水、エタノール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、オレンジエッセンス、いちごエッセンス、バニラ香などを挙げることができる。
【0068】
また、本発明の複合体又はこれを含む薬学組成物の人体に対する投与量は、患者のお年、体重、性別、投与形態、健康状態及び疾病程度によって変わることができ、体重が70kgの大人患者を基準とするとき、一般的に1日に0.01mg~5000mgであり、一定の時間間隔で1日に1回~数回で分割服用することもできる。
発明の実施のための形態
【0069】
以上で説明したような本発明を次の実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0070】
[実施例]
【0071】
実施例1.酸化亜鉛を使った亜鉛ヒスチジンポリガンマグルタミン酸複合体(Alex2)の合成
【0072】
水1000mLにヒスチジン200g、ポリガンマグルタミン酸50g、酸化亜鉛49.8gを入れ、2時間還流し、全部溶けた後、水を蒸留する。エタノール1000mLを入れて固体を得て濾過し、室温で24時間乾燥して白色パウダーの固体270gを得る。
【0073】
1H-NMR (400 MHz, D 2O) δ7.61 (s, 1H), 6.90 (s, 1H), 3.86 (m, 1H), 3.07 (m, 2H), 2.22 (m, 0.5H), 1.82 (m, 0.5H); Atomic absorption spectroscopy (AAS) 亜鉛含量15.4%
【0074】
実施例2.酢酸亜鉛を使用した亜鉛ヒスチジンポリガンマグルタミン酸複合体の合成
【0075】
水1000mLにヒスチジン200g、ポリガンマグルタミン酸50g、酢酸亜鉛134.3gを入れ、2時間還流し、全部溶けた後、水を蒸留する。エタノール1000mLを入れて固体を得て濾過し、室温で24時間乾燥して白色パウダーの固体260gを得る。
【0076】
1H-NMR (400 MHz, D 2O) δ7.61 (s, 1H), 6.90 (s, 1H), 3.86 (m, 1H), 3.07 (m, 2H), 2.22 (m, 0.5H), 1.82 (m, 0.5H); Atomic absorption spectroscopy (AAS) 亜鉛含量15.9%
【0077】
実施例4.炭酸亜鉛を使った亜鉛ヒスチジンポリガンマグルタミン酸複合体の合成
【0078】
水1000mLにヒスチジン200g、ポリガンマグルタミン酸50g、炭酸亜鉛76.7gを入れ、2時間還流し、全部溶けた後、水を蒸留する。エタノール1000mLを入れて固体を得て濾過し、室温で24時間乾燥して白色パウダーの固体250gを得る。
【0079】
1H-NMR (400 MHz, D 2O) δ7.61 (s, 1H), 6.90 (s, 1H), 3.86 (m, 1H), 3.07 (m, 2H), 2.22 (m, 0.5H), 1.82 (m, 0.5H); Atomic absorption spectroscopy (AAS) 亜鉛含量16.9%
【0080】
実施例5.酸化亜鉛を使った亜鉛とポリガンマグルタミン酸複合体の合成
【0081】
水200mLにポリガンマグルタミン酸10g、酸化亜鉛3.54gを入れ、2時間還流して得た固体を濾過し、室温で24時間乾燥して白色パウダーの固体13gを得る。
【0082】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d 6 + D 2O) δ8.20 (s, 1H), 4.10 (s, 1H), 2.20 (bs, 2H), 1.98 (bs, 1H), 1.89 (bs, 1H)
【0083】
実施例6.酢酸亜鉛を使用した亜鉛とポリガンマグルタミン酸複合体の合成
【0084】
水200mLにポリガンマグルタミン酸10g、酢酸亜鉛9.54gを入れ、2時間還流して得た固体を濾過し、室温で24時間乾燥して白色パウダーの固体11gを得る。
【0085】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d 6 + D 2O) δ8.20 (s, 1H), 4.10 (s, 1H), 2.20 (bs, 2H), 1.98 (bs, 1H), 1.89 (bs, 1H)
【0086】
実施例7.炭酸亜鉛を使った亜鉛とポリガンマグルタミン酸複合体の合成
【0087】
水200mLにポリガンマグルタミン酸10g、炭酸亜鉛5.45gを入れ、2時間還流して得た固体を濾過し、室温で24時間乾燥して白色パウダーの固体10gを得る。
【0088】
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d 6 + D 2O) δ8.20 (s, 1H), 4.10 (s, 1H), 2.20 (bs, 2H), 1.98 (bs, 1H), 1.89 (bs, 1H)
【0089】
比較例1.亜鉛ヒスチジン複合体(Alex1)の合成
【0090】
水2000mLにヒスチジン250g、酸化亜鉛65.6gを入れ、2時間還流する。約1500mLの水を蒸留し、エタノール500mLを入れて固体を析出させる。析出された固体を濾過し、室温で24時間乾燥して298.0gの亜鉛ヒスチジン複合体を得る。
【0091】
収率99%; 1H-NMR (400 MHz, DMSO-d 6 + D 2O) δ7.65 (s, 1H), 6.96 (s, 1H), 3.89 (m, 1H), 3.10 (m, 2H); Atomic absorption spectroscopy (AAS) 亜鉛含量14.5%
【0092】
[実験例]
【0093】
前記で製造された実施例と比較例を対象として下記のような実験を行った。
【0094】
実験例1.亜鉛ヒスチジンポリグルタミン酸複合体(Alex2)の水溶性
【0095】
室温(約25℃、1気圧)で水25mLに酸化亜鉛1gを入れる場合、溶液はほとんど溶けない状態である反面、実施例1~4の亜鉛ヒスチジンポリグルタミン酸複合体は同じ条件で水に入れた途端溶解した。
【0096】
実施例5~7の亜鉛とポリグルタミン酸複合体は同じ条件で亜鉛、ヒスチジン、ポリグルタミン酸複合体よりはよく溶けないが、比較的よく溶解した。
【0097】
実験例2.亜鉛ヒスチジンポリグルタミン酸複合体の亜鉛含量
【0098】
原子吸光分光学法(Atomic absorption spectroscopy、AAS)を用いて比較例1の亜鉛ヒスチジン複合体と実施例1の亜鉛ヒスチジンポリガンマグルタミン酸複合体の亜鉛含量を調査した結果、比較例1は14.5%、実施例1は15.4%(重量比)を示した。また、実施例5の亜鉛とポリグルタミン酸複合体の亜鉛含量は16.6%(重量比)を示した。
【0099】
実験例3.亜鉛ヒスチジンポリグルタミン酸複合体の抗癌性
【0100】
実験例3-1.ホジキン悪性リンパ腫に対する抗癌活性測定
【0101】
前記実施例1と比較例1を対象としてホジキン悪性リンパ腫細胞に対する抗癌活性を測定した。
【0102】
実施例1と比較例1を対象として結晶性硬化性ホジキン病4期の74歳男性の胸膜滲出液から得たHDLM2ホジキン悪性リンパ腫細胞血清がある状態と血清がない状態に区分し、24時間の間にそれぞれ0、1、5、10、50、100、200及び300μg/mlの濃度で処理したとき、細胞の生存能力(cell viability)をMTT assay法を用いてELISA readerで測定した。
【0103】
【0104】
実験例3-2.乳房癌、膠芽細胞腫及び肺癌細胞に対して血清がある状態で抗癌活性測定
【0105】
前記実施例1と比較例1を対象として、乳房癌、膠芽細胞腫及び肺癌細胞に対して血清がある状態で各癌細胞に対する抗癌活性を測定した。
【0106】
乳房癌細胞はヒトの乳房癌細胞であるMDA-MB-231、
【0107】
膠芽細胞腫細胞は44歳女性から得た神経膠芽癌細胞であるU87-MG、
【0108】
肺癌細胞は58歳男性から得た腺癌細胞であるA549を使った。
【0109】
前記細胞に対して、血清がある状態で24時間の間にそれぞれ0、1、5、10、50、100、200及び300μg/mlの濃度で処理したとき、細胞の生存能力(cell viability)を測定した。
【0110】
【0111】
実験例3-3.乳房癌、膠芽細胞腫及び肺癌細胞に対して血清がない状態で抗癌活性測定
【0112】
前記実施例1と比較例1を対象として、乳房癌、膠芽細胞腫及び肺癌細胞に対して血清がない状態で各癌細胞に対する抗癌活性を測定した。
【0113】
【0114】
実験例3-4.兔疫細胞であるNK細胞活性測定
【0115】
前記実施例1と比較例1を対象として、NK細胞の活性を測定した。NK細胞は癌細胞の除去に重要な役割をするものと知られている。
【0116】
NK細胞株(cell line)としてNK細胞リンパ腫を病む患者に由来のNK-92を使用し、実施例1と比較例1を処理してNK細胞の活性を測定した。
【0117】
実験結果は
図4の通りであった。
図4で確認することができるように、ヒスチジン/亜鉛/ポリグルタミン酸複合体は、比較例1に比べ、癌細胞の除去に重要な役割をするNK細胞の増殖を向上させることにより、癌の進行を抑制する能力が優秀であることを確認した。
【0118】
実験例4.一般細胞に対する実施例1及び比較例1の毒性実験
【0119】
実施例1と比較例1を用いて正常細胞であるヒトES細胞株(Human embryonic kidney cell line)を対象として毒性を測定した。ヒトの腎臓細胞に由来の293T細胞を実施例1と比較例1で処理した後、毒性を測定した。
【0120】
実験結果は
図5の通りであった。
図5で確認することができるように、実施例1のヒスチジン/亜鉛/ポリグルタミン酸複合体は、比較例1に比べ、正常細胞で細胞毒性が減少した。よって、実施例1の複合体は、比較例1の複合体に比べ、特異的に癌細胞の細胞毒性に作用することを確認することができる。
【0121】
前記実験例で確認したように、本発明による新規の亜鉛ヒスチジンポリグルタミン酸複合体又は亜鉛ポリグルタミン酸複合体は、これをカプセル又は注射剤型に作り、これを我が身に必要な亜鉛供給体としての役割をするだけでなく、このような物質は癌細胞に対する抗癌活性を提供するとともに花粉が粘膜を刺激して発生する花粉症(pollinosis)の緩和にも効果を示すことを確認し、よってヒト及び動植物に使用可能な組成物を製造して提供するためのものである。
【0122】
〔製剤例〕
一方、本発明による亜鉛/ポリグルタミン酸複合体又は亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体は目的によってさまざまな形態に製剤化が可能である。次は本発明による亜鉛/ポリグルタミン酸複合体の中で実施例5、及び亜鉛/ヒスチジン/ポリグルタミン酸複合体の中で実施例1の化合物を含有させたいくつかの製剤化方法を例示したものであり、本発明がこれに限定されるものではない。
【0123】
製剤例1.錠剤(直接加圧)
【0124】
実施例1の5.0mgを篩にかけた後、ラクトース14.1mg、クロスポビドンUSNF0.8mg及びステアリン酸マグネシウム0.1mgを混合し、加圧して錠剤に製造した。
【0125】
製剤例2.錠剤(湿式造粒)
【0126】
実施例1の5.0mgを篩にかけた後、ラクトース16.0mgと澱粉4.0mgを混合した。ポリソルベート800.3mgを純粋な水に溶かした後、この溶液の適量を添加した後、微粒化した。乾燥の後、微粒を篩にかけた後、コロイダル二酸化ケイ素2.7mg及びステアリン酸マグネシウム2.0mgと混合した。微粒を加圧して錠剤に製造した。
【0127】
製剤例3.粉末とカプセル剤
【0128】
実施例1の5.0mgを篩にかけた後、ラクトース14.8mg、ポリビニルピロリドン10.0mg、ステアリン酸マグネシウム0.2mgとともに混合した。混合物を適当な装置を使って硬いNo.5ゼラチンカプセルに満たした。
【0129】
製剤例4.注射剤
【0130】
実施例1の100mgを含有させ、その他にもマンニトール180mg、Na2HPO4/H2O26mg及び蒸留水2974mgを含有させて注射剤を製造した。
【0131】
製剤例5.錠剤(直接加圧)
【0132】
実施例5の5.0mgを篩にかけた後、ラクトース14.1mg、クロスポビドンUSNF0.8mg及びステアリン酸マグネシウム0.1mgを混合し、加圧して錠剤に製造した。
【0133】
製剤例6.錠剤(湿式造粒)
【0134】
実施例5の5.0mgを篩にかけた後、ラクトース16.0mgと澱粉4.0mgを混合した。ポリソルベート800.3mgを純粋な水に溶かした後、この溶液の適量を添加した後、微粒化した。乾燥の後、微粒を篩にかけた後、コロイダル二酸化ケイ素2.7mg及びステアリン酸マグネシウム2.0mgと混合した。微粒を加圧して錠剤に製造した。
【0135】
製剤例7.粉末とカプセル剤
【0136】
実施例5の5.0mgを篩にかけた後、ラクトース14.8mg、ポリビニルピロリドン10.0mg、ステアリン酸マグネシウム0.2mgとともに混合した。混合物を適当な装置で硬いNo.5ゼラチンカプセルに満たした。
【0137】
製剤例8.注射剤
【0138】
実施例5の100mgを含有させ、その他にもマンニトール180mg、Na2HPO4/H2O26mg及び蒸留水2974mgを含有させて注射剤を製造した。
【0139】
以上、添付図面に基づいて本発明の実施例を説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は本発明がその技術的思想又は必須な特徴を変更せずに他の具体的な形態に実施できるということが理解可能である。したがって、以上で記述した実施例は全ての面で例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。