(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】テトラヒドロイソキノリン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 491/107 20060101AFI20220907BHJP
A61K 31/4747 20060101ALI20220907BHJP
A61P 1/12 20060101ALI20220907BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20220907BHJP
A61P 9/04 20060101ALI20220907BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220907BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20220907BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20220907BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20220907BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20220907BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20220907BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
C07D491/107
A61K31/4747
A61P1/12
A61P3/00
A61P9/04
A61P11/00
A61P13/02
A61P13/12
A61P21/00
A61P21/02
A61P21/04
A61P35/00
(21)【出願番号】P 2021014223
(22)【出願日】2021-02-01
(62)【分割の表示】P 2018541693の分割
【原出願日】2017-02-10
【審査請求日】2021-03-03
(32)【優先日】2016-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】000006677
【氏名又は名称】アステラス製薬株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501327514
【氏名又は名称】サイトキネティクス・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Cytokinetics Incorporated
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100126985
【氏名又は名称】中村 充利
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 一平
(72)【発明者】
【氏名】上久保 隆
(72)【発明者】
【氏名】三浦 理憲
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 雄司
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏明
(72)【発明者】
【氏名】椎名 康裕
(72)【発明者】
【氏名】山木 晋
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智之
(72)【発明者】
【氏名】清原 宏
(72)【発明者】
【氏名】大江 宗理
(72)【発明者】
【氏名】三原 佳代子
(72)【発明者】
【氏名】モルガン,ブラッドリー・ポール
(72)【発明者】
【氏名】マリク,ファディ
(72)【発明者】
【氏名】コリビー,スコット・エミール
(72)【発明者】
【氏名】アシュクラフト,ルーク
(72)【発明者】
【氏名】ルー,プ-ピン
(72)【発明者】
【氏名】ウォリントン,ジェフリー・マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ジェラルド,マルク
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/139526(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 217/24
C07D 491/107
C07D 491/20
C07D 471/04
C07D 471/10
A61K 31/4375
A61K 31/472
A61K 31/4741
A61K 31/4747
A61K 31/4985
A61P 1/12
A61P 3/00
A61P 9/04
A61P 11/00
A61P 13/02
A61P 13/12
A61P 21/00
A61P 21/02
A61P 21/04
A61P 35/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cu-Kα照射(1.54184Å)により測定した2θ(°)±0.2°で、12.2°、15.5°、18.3°、21.7°および22.7°にピークを含むX線粉末回折スペクトルを有する、(-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オンの
結晶。
【請求項2】
Cu-Kα照射(1.54184Å)により測定し2θ(°)±0.2°で、6.7°、11.1°、12.2°、13.7°、15.5°、16.2°、17.0°、18.3°、21.7°および22.7°にピークを含むX線粉末回折スペクトルを有する、(-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オンの
結晶。
【請求項3】
Cu-Kα照射(1.54184Å)により測定した2θ(°)±0.2°で、12.1°、15.6°、16.6°、21.4°および23.4°にピークを含むX線粉末回折スペクトルを有する、4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリルの
結晶。
【請求項4】
Cu-Kα照射(1.54184Å)により測定した2θ(°)±0.2°で、8.3°、12.1°、15.6°、16.6°、17.3°、20.5°、21.4°、23.4°、24.0°および25.7°にピークを含むX線粉末回折スペクトルを有する、4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリルの
結晶。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の
結晶と医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項6】
請求項1~4のいずれかに記載の
結晶を含んでなり、腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群より選択される疾患または状態を治療するための医薬組成物。
【請求項7】
請求項1~4のいずれかに記載の
結晶を含んでなり、虚弱およびサルコペニアからなる群より選択される疾患または状態を治療するための医薬組成物。
【請求項8】
請求項1~4のいずれかに記載の
結晶を含んでなり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)に伴う悪液質により誘発される筋力低下を治療するための医薬組成物。
【請求項9】
請求項1~4のいずれかに記載の
結晶を含んでなり、心不全、がん、または、慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労を治療するための医薬組成物。
【請求項10】
請求項1~4のいずれかに記載の
結晶を含んでなり、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群より選択される疾患または状態を治療するための医薬組成物。
【請求項11】
請求項1~4のいずれかに記載の
結晶を含んでなり、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群より選択される疾患または状態を治療するための医薬組成物。
【請求項12】
請求項1~4のいずれかに記載の
結晶を含んでなり、末梢血管疾患または末梢動脈疾患に伴う筋力低下および疲労を治療するための医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~4のいずれかに記載の
結晶を含んでなり、手術後の筋力低下を治療するための医薬組成物。
【請求項14】
請求項1~4のいずれかに記載の
結晶を含んでなり、メタボリックシンドロームまたは肥満に伴う筋力低下を治療するための医薬組成物。
【請求項15】
請求項1~4のいずれかに記載の
結晶を含んでなり、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群を治療するための医薬組成物。
【請求項16】
腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群より選択される疾患または状態を治療するための医薬組成物を製造するための、請求項1~4のいずれかに記載の
結晶の使用。
【請求項17】
虚弱およびサルコペニアからなる群より選択される疾患または状態を治療するための医薬組成物を製造するための、請求項1~4のいずれかに記載の
結晶の使用。
【請求項18】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)に伴う悪液質により誘発される筋力低下を治療するための医薬組成物を製造するための、請求項1~4のいずれかに記載の
結晶の使用。
【請求項19】
心不全、がん、または、慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労を治療するための医薬組成物を製造するための、請求項1~4のいずれかに記載の
結晶の使用。
【請求項20】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群より選択される疾患または状態を治療するための医薬組成物を製造するための、請求項1~4のいずれかに記載の
結晶の使用。
【請求項21】
脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群より選択される疾患または状態を治療するための医薬組成物を製造するための、請求項1~4のいずれかに記載の
結晶の使用。
【請求項22】
末梢血管疾患または末梢動脈疾患に伴う筋力低下および疲労を治療するための医薬組成物を製造するための、請求項1~4のいずれかに記載の
結晶の使用。
【請求項23】
手術後の筋力低下を治療するための医薬組成物を製造するための、請求項1~4のいずれかに記載の
結晶の使用。
【請求項24】
メタボリックシンドロームまたは肥満に伴う筋力低下を治療するための医薬組成物を製造するための、請求項1~4のいずれかに記載の
結晶の使用。
【請求項25】
人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群を治療するための医薬組成物を製造するための、請求項1~4のいずれかに記載の
結晶の使用。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、米国仮出願第62/285039号(2016年2月12日に出願)に係る優先権を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、医薬組成物、特に骨格筋サルコメアの収縮性の調節に応答する疾患または状態を治療するための医薬組成物の活性成分として有用であるテトラヒドロイソキノリン誘導体またはその塩に関する。
【背景技術】
【0003】
骨格筋細胞および心筋細胞の細胞骨格は、他の全ての細胞の細胞骨格に比べて独特である。それは緻密に詰まったサルコメアと呼ばれる細胞骨格タンパク質が結晶質に近い状態に並んだものからなる。サルコメアは、細いフィラメントと太いフィラメントが互いに嵌合する配列として、整って構成される。太いフィラメントはミオシン、すなわちATP加水分解の化学エネルギーを力および有向運動へと変換する役割を受け持つ運動タンパク質からなる。細いフィラメントは、らせん状に配列されたアクチン単量体からなる。アクチンフィラメントに結合される4種類の調節性タンパク質が存在し、これらがカルシウムイオンによる収縮調節を可能にする。細胞内カルシウムの流入が筋収縮を開始し、太いフィラメントと細いフィラメントは、細いアクチンフィラメントを有するミオシンモータードメインの反復的相互作用によって駆動される形で互いにすれ違うように滑動する。
【0004】
ヒト細胞における13の別個のクラスのミオシンのうち、ミオシンIIのクラスは骨格筋、心筋および平滑筋の収縮を受け持つ。このクラスのミオシンは、他の12の別個のクラスにおけるミオシンとは、アミノ酸組成および全体構造が著しく異なる。ミオシンIIはホモ二量体を形成する結果、長いアルファヘリックスコイルドコイル型尾部によって一体的に連結される2つの球状頭部ドメインが生じ、これらがサルコメアの太いフィラメントのコアを形成する。球状頭部は、ミオシンのアクチン結合機能とATPアーゼ機能が発生する触媒ドメインを有する。アクチンフィラメントに一旦結合された後、リン酸の放出(例えばADP-PiからADP)は触媒ドメインの構造的配座の変化を合図し、次いでこの変化が球状頭部から延びる軽鎖結合レバーアームの配向を変える。この運動はパワーストロークと呼ばれる。アクチンに関係するこのミオシン頭部の配向の変化により、ミオシン頭部を一部とする太いフィラメントが、ミオシン頭部の結合先である細いアクチンフィラメントを動かす。触媒ドメインおよび軽鎖が最初の配座/配向に戻るとともに、球状頭部がアクチンフィラメントから解離する(Ca2+によって調節される)ことにより、細胞内運動と筋収縮とを受け持つ触媒サイクルが完了する。
【0005】
トロポミオシンおよびトロポニンは、アクシンとミオシンの相互作用に対するカルシウムの効果を媒介する。トロポニン複合体は3つのポリペプチド鎖、すなわちカルシウムイオンを結合させるトロポニンC、アクチンに結合するトロポニンI、およびトロポミオシンに結合するトロポニンTからなる。骨格筋トロポニン-トロポミオシン複合体は、複数のアクチン単位にわたって広がるミオシン結合部位を同時に調節する。
【0006】
トロポニンは、上述の3つのポリペプチドからなる複合体であり、脊椎動物の筋肉中のアクチンフィラメントと密接に付随するアクセサリータンパク質である。トロポニン複合体はトロポミオシンの筋肉型と一緒に作用してミオシンATPアーゼ活性のCa2+依存性を媒介することにより、筋収縮を調節する。トロポニンポリペプチドのT、IおよびCは各々のトロポミオシン結合活性、阻害活性およびカルシウム結合活性を表わす形で命名
されている。トロポニンTはトロポミオシンに結合し、また筋肉の細いフィラメント上でのトロポニン複合体の位置決めを受け持つと考えられている。トロポニンIはアクチンに結合し、またトロポニンIとTによって形成される複合体およびトロポミオシンはアクチンとミオシンとの相互作用を阻害する。骨格筋トロポニンCは、最大4つのカルシウム分子を結合させる能力を有する。複数の研究が示唆するところによると、筋肉中のカルシウムレベルが上昇すると、トロポニンCはトロポニンIの結合部位を露出し、トロポニンIをアクチンから離して動員する。これにより、トロポミオシン分子も位置を移す結果、アクチン上でのミオシン結合部位を露出し、ミオシンATPアーゼ活性を刺激する。
【0007】
ヒト骨格筋は異なる型の収縮線維からなり、これらはミオシンの型によって分類され、遅筋線維または速筋線維と呼ばれる。表1は、これらの型の筋肉を構成する様々なタンパク質の要約である。
【0008】
【0009】
健常人において、ほとんどの骨格筋が速筋線維と遅筋線維の両方からなるが、各々の割合は筋肉の型によって異なる。遅筋線維は、I型線維と呼ばれることも多く、構造は心筋と比較的似ており、微妙な姿勢制御に使われる傾向にある。遅筋線維は通常、酸化能力が比較的高く、継続的使用に伴う疲労に対する抵抗力が比較的高い。速筋線維は、II型線維と呼ばれることも多く、速筋酸化線維(IIa型)と速筋解糖線維(IIx/d型)とに分類される。これらの筋線維は異なるミオシンの型を有する一方、トロポニンおよびトロポミオシン調節性タンパク質を含む多数の成分を共有する。速筋線維は遅筋線維と比べ、より大きな力を発揮するが、より速く疲労する傾向にあり、また急性の大規模な運動、例えば椅子からの起立または転倒からの立ち直りの場合に機能的に有用である。
【0010】
筋収縮および力の発生は、運動ニューロンを刺激することにより、神経刺激を介して制御される。各運動ニューロンは多数の(約100~380本)筋線維を、運動単位と呼ばれる1つの収縮体として支配し得る。筋肉が収縮する必要がある場合、運動ニューロンは脳幹または脊髄からの神経インパルス(活動電位)としての刺激を、運動単位内の各線維に送る。神経と筋線維との間の接触領域は、神経筋接合部(NMJ)と呼ばれる特殊化されたシナプスである。ここで、神経伝達物質であるアセチルコリン(ACh)の放出を介して、神経内の膜を脱分極させる活動電位が筋線維内でインパルスへと変換される。AChは筋肉内の第2の活動電位を誘発し、これが線維に沿って急速に拡散し、横行小管と呼
ばれる膜内の陥入に至る。横行小管は筋肉の筋小胞体(SR)内のCa2+ストアへ、ジヒドロピリジン受容体(DHPR)を介して物理的に接続される。DHPRの刺激はSR内の第2のCa2+チャネル、すなわちリアノジン受容体を活性化することによってSR内のストアから筋肉細胞質へのCa2+の放出を誘発し、ここでCa2+がトロポニン複合体と相互作用する結果、筋収縮を開始し得る。筋肉刺激が止むと、カルシウムは急速に、ATP依存性のCa2+ポンプ、筋/小胞体Ca2+-ATPアーゼ(SERCA)を介してSR内に戻される。
【0011】
筋肉機能は疾患において多数のメカニズムによって障害状態になり得る。例として、老齢に伴う虚弱(サルコペニアと呼ばれる)、ならびに、がん、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および慢性腎疾患/透析などの疾患に伴う悪液質症候群が挙げられる。重度の筋肉機能不全は神経筋疾患(筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、および重症筋無力症など)または筋肉ミオパシー(筋ジストロフィーなど)から生じ得る。加えて、筋肉機能は、例えば手術からの回復(手術後の筋力低下など)、長期間の床上安静、または脳卒中リハビリテーションに伴うリハビリテーション関連の不足が原因で障害状態になり得る。筋肉機能が障害状態になる疾患または状態の付加的な例として末梢血管疾患(跛行など)、慢性疲労症候群、メタボリックシンドローム、肥満、骨盤底筋および尿道/肛門括約筋の機能障害(例えば腹圧性尿失禁(SUI)や混合型尿失禁(MUI)などの尿失禁および便失禁)、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全、および人工呼吸器誘発性筋力低下が挙げられる。
【0012】
現在、神経筋疾患のほとんどについて、治療法が限られているか、または全くない。国際公開第2008/016669号では、骨格筋トロポニンCなどの調節に応答する疾患を有する患者を治療するための、以下の一般式(A)によって表わされる化合物を開示している。
【0013】
【0014】
記号については同文献を参照のこと。
国際公開第2011/0133888号では、骨格筋トロポニンCなどの調節に応答する疾患を有する患者を治療するための、以下の一般式(B)によって表わされる化合物を開示している。
【0015】
【0016】
記号については同文献を参照のこと。
国際公開第2011/0133882号、国際公開第2011/133920号、および米国特許第2013-0060025号では、骨格筋トロポニンCなどの調節に応答する疾患を有する患者を治療するための別の化合物を開示している。
【0017】
国際公開第2013/151938号、国際公開第2013/155262号および国際公開第2015/168064号では、骨格筋トロポニン活性化因子の使用による、横隔膜機能の改善、骨格筋疲労に対する抵抗力の改善、肺活量低下の低減などの治療法を開示している。
【0018】
米国特許第3947451号および米国特許第3301857号では、Journal
of Heterocyclic Chemistry、7(3)615-22頁、(1970)およびSynthetic Communications、32(12)1787-90頁、(2002)と併せて、1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)の構造を有する化合物を開示しているが、文献に記載の化合物の薬理活性を全く開示していない。
【0019】
Tetrahedron Letters、50(47)6476-6479頁、(2009)では1,1-ジアリル-3-オキソ-2,4-ジヒドロイソキノリン-4-カルボキシレートを開示しているが、文献に記載の化合物の薬理活性を全く開示していない。
【0020】
したがって、骨格筋の収縮性を調節する新しい化合物を開発する必要がある。依然、新しい作用機序を活用し、短期と長期の双方における症状の軽減、安全性、および患者の死亡率に関して、より良い成果と改善された治療指数とを有し得る薬剤が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
したがって、本発明の1つの目的は、医薬組成物、特に骨格筋サルコメアの収縮性の調節に応答する疾患または状態を治療するための医薬組成物の活性成分として有用である新規のテトラヒドロイソキノリン化合物またはその塩を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、そのような化合物を含有する新規の医薬組成物を提供することである。
本発明の別の目的は、そのような化合物を調製する新規の方法を提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、骨格筋サルコメアの収縮性の調節に応答する疾患または状態を予防または治療するための新規の方法を提供することである。
これらおよび他の目的は、以下の詳細な説明の過程で明らかとなるが、既に、下記の式
(I)および(I’)の化合物を本発明者らが発見したことによって達成されている。
【0024】
本発明は、医薬組成物、特に骨格筋サルコメアの収縮性の調節に応答する疾患または状態を予防または治療するための医薬組成物中の活性成分として使用されることが予想される新規の化合物を提供する。骨格筋サルコメアの調節は、例えば、速筋ミオシン、アクチン、トロポミオシン、トロポニンC、トロポニンIおよびトロポニンT、ならびにそれらの断片およびアイソフォームのうちの1つまたは複数を介する速筋サルコメアのトロポニン複合体の調節による調節であってもよい。
【0025】
本明細書では式(I)、(I’)の化合物およびそれらの実施形態、ならびにそのような化合物を含有する医薬組成物、そのような化合物の調製方法、および治療におけるそのような化合物の使用方法が提供される。本明細書において提供される医薬組成物、調製方法および使用方法のいずれも、本明細書において提供される式(I)、(I’)の化合物のいずれかおよびそれらの実施形態のいずれかを、実施形態1-1から8-4および実施形態(1)から(57)を制限なく含め、包含することが意図される。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明は式(I)の化合物またはその塩、ならびに式(I)の化合物またはその塩および賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0027】
【0028】
式中、
X1は、C-R11またはNであり、
X2は、C-R12またはNであり、
R11は、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C1-6アルキルであり、
R12は、Hまたはハロゲンであり、
R1は、i)H、ii)ハロゲンおよびピラゾリルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)C2-6アルケニル、またはiv)-OR0であり、
R2は、i)-OR0、ハロゲン、-COOR0、-CONR21R22、G1群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいフェニル、ならびにピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびトリアゾリルからなる群から選択されるヘテロアリールであって、G2群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)C2-6アルケニル、iii)C2-6アルキニル、iv)-OR0、v)-NR23R24、vi)-COOR0、またはvii)フェニルであり、
R21は、HまたはC1-6アルキルであり、
R22は、i)1つまたは複数のフェニルで置換されていてもよいC1-6アルキル、またはii)フェニルであり、
R23は、i)H、またはii)1つまたは複数の-OHで置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
R24は、i)1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよい1つまたは複数のフェニルで置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)1つまたは複数のC1-6アルキルで置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、iii)1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいフェニル、またはiv)テトラヒドロピラニルであり、あるいはR1と、R2と、R1およびR2が結合した炭素原子とが一体となって4-ピペリジン環または4-テトラヒドロピラン環を形成してもよく、R1およびR2が結合した炭素原子はスピロ原子であり、4-ピペリジン環は-SO2-(C1-6アルキル)および-COOR0からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、
R3、R4は、同一または互いに異なり、i)ハロゲンおよび-OHからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-3アルキル、またはii)-OH、ならびにピラゾリルおよびチエニルからなる群から選択されるヘテロアリールであって、1つまたは複数のC1-6アルキルで置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC2-6アルケニルであり、あるいは
R3と、R4と、R3およびR4が結合した炭素原子とが一体となって3-オキセタン環を形成してもよく、R3およびR4が結合した炭素原子はスピロ原子であり、
R5は、i)H、ii)1つまたは複数の-O-(C1-6アルキル)で置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-O-(C1-6アルキル)、iv)ハロゲン、v)-COO-(C1-6アルキル)、またはvi)C3-8シクロアルキルであり、
R6は、i)H、ii)-O-(1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル)およびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-OH、iv)-O-(1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル)、v)ハロゲン、vi)-CN、vii)-S-(C1-6アルキル)、viii)C3-8シクロアルキル、ix)-NR0R0、またはx)C2-6アルケニルであり、
G1群は、i)ハロゲン、ii)-COOR0、iii)-CONR0R0、iv)-OH、v)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、またはvi)-O-(-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル)であり、
G2群は、i)ハロゲン、ii)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、またはiii)-CONR0R0であり、
R0は、同一または互いに異なり、HまたはC1-6アルキルである。
【0029】
一実施形態において、本発明は式(I)の化合物またはその塩、ならびに式(I)の化合物またはその塩および賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0030】
【0031】
式中、
X1は、C-R11またはNであり、
X2は、C-R12またはNであり、
R11は、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C1-6アルキルであり、
R12は、Hまたはハロゲンであり、
R1は、i)H、ii)ハロゲンおよびピラゾリルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)C2-6アルケニル、またはiv)-OR0であり、
R2は、i)-OR0、ハロゲン、-COOR0、-CONR21R22、G1群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいフェニル、ならびにピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびトリアゾリルからなる群から選択されるヘテロアリールであって、G2群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)C2-6アルケニル、iii)C2-6アルキニル、iv)-OR0、v)-NR23R24、vi)-COOR0、またはvii)フェニルであり、
R21は、HまたはC1-6アルキルであり、
R22は、i)1つまたは複数のフェニルで置換されていてもよいC1-6アルキル、またはii)フェニルであり、
R23は、i)H、またはii)1つまたは複数の-OHで置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
R24は、i)1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよい1つまたは複数のフェニルで置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)1つまたは複数のC1-6アルキルで置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、iii)1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいフェニル、またはiv)テトラヒドロピラニルであり、あるいはR1と、R2と、R1およびR2が結合した炭素原子とが一体となって4-ピペリジン環または4-テトラヒドロピラン環を形成してもよく、R1およびR2が結合した炭素原子はスピロ原子であり、4-ピペリジン環は-SO2-(C1-6アルキル)および-COOR0からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、
R3、R4は、同一または互いに異なり、i)ハロゲンおよび-OHからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-3アルキル、またはii)-OH、ならびにピラゾリルおよびチエニルからなる群から選択されるヘテロアリールであって、1つまたは複数のC1-6アルキルで置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC2-6アルケニルであり、
R3と、R4と、R3およびR4が結合した炭素原子とが一体となって3-オキセタン環を形成してもよく、R3およびR4が結合した炭素原子はスピロ原子であり、
R5は、i)H、ii)1つまたは複数の-O-(C1-6アルキル)で置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-O-(C1-6アルキル)、iv)ハロゲン、v)-COO-(C1-6アルキル)、またはvi)C3-8シクロアルキルであり、
R6は、i)H、ii)-O-(1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル)およびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-OH、iv)-O-(1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル)、v)ハロゲン、vi)-CN、vii)-S-(C1-6アルキル)、viii)C3-8シクロアルキル、ix)-NR0R0、またはx)C2-6アルケニルであり、
G1群は、i)ハロゲン、ii)-COOR0、iii)-CONR0R0、iv)-OH、v)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、またはvi)-O-(-OHおよびハロゲンからな
る群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル)であり、
G2群は、i)ハロゲン、ii)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、またはiii)-CONR0R0であり、
R0は、同一または互いに異なり、HまたはC1-6アルキルであり、
ただし前記化合物はメチル1,1-ジアリル-3-オキソ-2,4-ジヒドロイソキノリン-4-カルボキシレートもしくはその塩ではない。
【0032】
別段に具体的に記載のない限り、本明細書における1つの式中の記号が他の式でも使用される場合、同じ記号は同じ意味を表わす。所与の式中で同じ記号が2回以上使用される場合、式中におけるその記号の各例は独立に選択される化学的部分を表わし、式中におけるその記号の全ての例が必ずしも同一の化学的部分を表わすわけではない、という点が理解されなければならない。
【0033】
さらに、本発明は式(I)の化合物またはその塩、および医薬的に許容される賦形剤からなる化合物を含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、骨格筋サルコメアの収縮性の調節、例えば速筋ミオシン、アクチン、トロポミオシン、トロポニンC、トロポニンIおよびトロポニンT、ならびにそれらの断片およびアイソフォームのうちの1つまたは複数を介する速筋サルコメアのトロポニン複合体の調節に応答する疾患または状態を予防または治療するための、式(I)の化合物またはその塩を含む医薬組成物に関する。さらに、本発明は、骨格筋サルコメアの収縮性の調節、例えば速筋ミオシン、アクチン、トロポミオシン、トロポニンC、トロポニンIおよびトロポニンT、ならびにそれらの断片およびアイソフォームのうちの1つまたは複数を介する速筋サルコメアのトロポニン複合体の調節に応答する疾患または状態を予防または治療するための、式(I)の化合物またはその塩を含む薬剤に関する。
【0034】
さらに、本発明は、骨格筋サルコメアの収縮性の調節、例えば速筋ミオシン、アクチン、トロポミオシン、トロポニンC、トロポニンIおよびトロポニンT、ならびにそれらの断片およびアイソフォームのうちの1つまたは複数を介する速筋サルコメアのトロポニン複合体の調節に応答する疾患または状態を予防または治療するための医薬組成物を製造するための式(I)の化合物またはその塩の使用と、骨格筋サルコメアの収縮性の調節、例えば速筋ミオシン、アクチン、トロポミオシン、トロポニンC、トロポニンIおよびトロポニンT、ならびにそれらの断片およびアイソフォームのうちの1つまたは複数を介する速筋サルコメアのトロポニン複合体の調節に応答する疾患または状態を予防または治療するための式(I)の化合物またはその塩の使用と、骨格筋サルコメアの収縮性の調節、例えば速筋ミオシン、アクチン、トロポミオシン、トロポニンC、トロポニンIおよびトロポニンT、ならびにそれらの断片およびアイソフォームのうちの1つまたは複数を介する速筋サルコメアのトロポニン複合体の調節に応答する疾患または状態を予防または治療するための式(I)の化合物またはその塩と、骨格筋サルコメアの収縮性の調節、例えば速筋ミオシン、アクチン、トロポミオシン、トロポニンC、トロポニンIおよびトロポニンT、ならびにそれらの断片およびアイソフォームのうちの1つまたは複数を介する速筋サルコメアのトロポニン複合体の調節に応答する疾患または状態を予防または治療するための、対象に有効量の式(I)の化合物またはその塩を投与するステップを含む方法に関する。さらに、「対象」は予防または治療を必要とするヒトまたはヒト以外の動物であり、一実施形態では予防または治療を必要とするヒトである。
【0035】
一態様において、式(I)の化合物またはその塩は骨格筋サルコメアの収縮性を調節する。具体的には、化合物は速筋ミオシン、アクチン、トロポミオシン、トロポニンC、トロポニンIおよびトロポニンT、ならびにそれらの断片およびアイソフォームのうちの1
つまたは複数を介して速筋サルコメアのトロポニン複合体を調節する。この文脈で使用されるとき、「調節する」とは活性の増加または減少を意味する。一部の例において、本明細書で記載および/または開示される化合物は速筋ミオシン、アクチン、トロポミオシン、トロポニンC、トロポニンIおよびトロポニンT、ならびにそれらの断片およびアイソフォームのうちの1つまたは複数を増強(すなわち活性を増大)する。他の例では、本明細書で記載および/または開示される化合物は速筋ミオシン、アクチン、トロポミオシン、トロポニンC、トロポニンIおよびトロポニンT、ならびにそれらの断片およびアイソフォームのうちの1つまたは複数を阻害(すなわち活性を低減)する。この文脈で使用されるとき、「筋原線維など速筋線維の活性化」とは、刺激/Ca2+に対する速筋線維(筋原線維など)の応答の増幅を意味する。
【0036】
さらなる態様において、本明細書で記載および/または開示される化合物および医薬組成物は、生体内での速筋サルコメアの収縮性を調節する能力を有し、ヒトと動物双方の疾患に応用することができる。調節は多数の状態または疾患において望ましいと想定され、1)筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、末梢神経障害、および重症筋無力症などの神経筋障害、2)筋ジストロフィー、ミオパシー、ならびにサルコペニアおよび悪液質症候群(例えばがん、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および慢性腎疾患/透析などの疾患に起因する悪液質症候群)、手術からの回復(例えば手術後の筋力低下)、長期間の床上安静または脳卒中リハビリテーションなどに伴うリハビリテーション関連の不足、および人工呼吸器誘発性筋力低下などの筋肉疲労の状態を含む、随意筋の障害、3)多発性硬化症、パーキンソン病、脳卒中および脊髄損傷などの筋力低下、萎縮および疲労が顕著な症状である中枢神経系(CNS)障害、4)末梢血管疾患(PVD)または末梢動脈疾患(PAD)(例えば跛行)を含む、全身障害に由来する筋肉の症状、メタボリックシンドローム、慢性疲労症候群、肥満、および老齢に起因する虚弱、ならびに5)腹圧性尿失禁、混合型尿失禁および便失禁などの骨盤底筋および尿道/肛門括約筋の機能障害が挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩を含む、腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩を含む、虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩を含む、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩を含む、心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩を含む、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩を含む、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩を含む、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物に関する。
【0038】
さらなる態様において、本発明は腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、式(I)の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様にお
いて、本発明は虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、式(I)の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、式(I)の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、式(I)の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、および重症筋無力症、筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、式(I)の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、式(I)の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、式(I)の化合物またはその塩の使用に関する。
【0039】
さらなる態様において、本発明は腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、式(I)の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、式(I)の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための、式(I)の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための、式(I)の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、式(I)の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、式(I)の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、式(I)の化合物またはその塩の使用に関する。
【0040】
さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の式(I)の化合物またはその塩を投与するステップを含む、腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の式(I)の化合物またはその塩を投与するステップを含む、虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の式(I)の化合物またはその塩を投与するステップを含む、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の式(I)の化合物またはその塩を投与するステップを含む、心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の式(I)の化合物またはその塩を投与するステップを含む、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または
状態の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の式(I)の化合物またはその塩を投与するステップを含む、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の式(I)の化合物またはその塩を投与するステップを含む、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法に関する。本明細書に記載の如何なる変形においても、「対象」は予防または治療を必要とするヒトまたはヒト以外の動物を指し、一実施形態では予防または治療を必要とするヒトを指す。
【0041】
さらなる態様において、本発明は腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、式(I)の化合物またはその塩に関する。さらなる態様において、本発明は虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、式(I)の化合物またはその塩に関する。さらなる態様において、本発明は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療に使用するための、式(I)の化合物またはその塩に関する。さらなる態様において、本発明は心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療に使用するための、式(I)の化合物またはその塩に関する。さらなる態様において、本発明は筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、式(I)の化合物またはその塩に関する。さらなる態様において、本発明は脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、式(I)の化合物またはその塩に関する。さらなる態様において、本発明は末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、式(I)の化合物またはその塩に関する。
【0042】
本発明および本発明に付随する優位性の多くに関するより完全な理解は、以下の詳細な説明を参考に、下記の添付図面と関連付けて考察することによって理解が深まるにつれ、容易に得られる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】ラットのトレッドミル走行能力のアッセイによって得られた結果を示すグラフである。有意性は
*p<0.05対ビヒクル処置として定義される。
図1では、実施例20は実施例化合物20を意味し、実施例22bは実施例化合物22bを意味する。
【
図2】単離した外肛門括約筋(EAS)の電場刺激(EFS)誘発性凝縮のアッセイによって得られた結果を示すグラフである。
図2では、実施例20は実施例化合物20を意味する。
【
図3】単離したEASのEFS誘発性凝縮のアッセイによって得られた結果を示すグラフである。
図3では、実施例22bは実施例化合物22bを意味する。
【
図4】陰部神経の電気刺激によって誘発される肛門圧のアッセイによって得られた結果を示すグラフである。
図4では、実施例20は実施例化合物20を意味し、実施例22は実施例化合物22bを意味する。
【
図5】腹圧を加えた状態での尿漏出圧(LPP)のアッセイによって得られた結果を示すグラフである。
図5では、実施例20は実施例化合物20を意味する。
【
図6】腹圧を加えた状態での尿LPPのアッセイによって得られた結果を示すグラフである。
図6では、実施例22bは実施例化合物22bを意味する。
【
図7】脊髄損傷(SCI)後におけるBasso、BeattieおよびBresnahan(BBB)スコアのアッセイの研究時系列を示す図である。
図7では、実施例52は実施例化合物52を意味する。
【
図8】SCI後のBBBスコアのアッセイによって得られた結果を示すグラフである。
図8では、実施例52は実施例化合物52を意味する。
【
図9】慢性閉塞性肺疾患(COPD)横隔膜筋生検における力-カルシウムの関係のアッセイによって得られた結果を示すグラフである。
図9では、実施例20は実施例化合物20を意味する。
【
図10】慢性閉塞性肺疾患(COPD)広背筋筋生検における力-カルシウムの関係のアッセイによって得られた結果を示すグラフである。
図10では、実施例20は実施例化合物20を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明について詳しく記載する。
「アルキル」という用語は直鎖または分枝のアルキルを指す。したがって、「C1-6アルキル」は1~6個の炭素原子を有する直鎖または分枝のアルキルであり、具体例としてメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルまたはn-ヘキシルが挙げられ、一実施形態ではメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチルまたはtert-ブチルが挙げられ、一実施形態ではメチル、エチルおよびイソプロピルからなる群から選択される基が挙げられ、一実施形態ではメチルおよびエチルからなる群から選択される基が挙げられる。直鎖または分枝のアルキルは直鎖または分枝の飽和炭化水素を指すという点が理解される。
【0045】
「アルケニル」という用語は、示される数の炭素原子(例えば2~8個、または2~6個の炭素原子)と、対応するアルキルの隣接する炭素原子から水素分子1個を除去することによって得られる少なくとも1つの炭素-炭素二重結合とを有する不飽和の直鎖または分枝のアルキル基を指す。基は二重結合を中心とするcis構成またはtrans構成(Z構成またはE構成)のいずれかであってもよい。アルケニル基の例として、エテニル、プロペニル(例えばプロパ-1-エン-1-イル、プロパ-1-エン-2-イル、プロパ-2-エン-1-イル(アリル))、およびブテニル(例えばブタ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-2-イル、2-メチル-プロパ-1-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イル)が挙げられるが、これらに限定されない。アルケニル基は、当該技術分野において既知の任意の方法で調製してもよい。
【0046】
「アルキニル」という用語は、示される数の炭素原子(例えば2~8個、または2~6個の炭素原子)と、対応するアルキルの隣接する炭素原子から水素分子2個を除去することによって得られる少なくとも1つの炭素-炭素三重結合とを有する不飽和の直鎖または分枝のアルキル基を指す。アルキニル基の例として、エチニル、プロピニル(例えば、プロパ-1-イン-1-イルまたはプロパ-2-イン-1-イル)およびブチニル(例えば、ブタ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-3-イルまたはブタ-3-イン-1-イル)が挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基は、当該技術分野において既知の任意の方法で調製してもよい。
【0047】
「シクロアルキル」という用語は、示される数の炭素原子、例えば3~10個、または3~8個、または3~6個の環炭素原子を有する、非芳香族、完全飽和状態の炭素環を指す。シクロアルキル基は単環式または多環式(例えば二環式または三環式)であってもよい。シクロアルキル基の例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、ならびに架橋環基およびかご状環基(例えば、ノルボルナンまたはビ
シクロ[2.2.2]オクタン)が挙げられる。
【0048】
「ヘテロアリール」という用語は、単環式芳香族ヘテロ環または二環式芳香族ヘテロ環を指す。「単環式芳香族ヘテロ環」の例として、環構成原子としての窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~7員環の単環式芳香族ヘテロ環基が挙げられ、具体例としてピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、フリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニルまたはピラジニルが挙げられ、一実施形態ではピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリルまたはピリジルが挙げられる。
【0049】
「二環式芳香族ヘテロ環」という用語は、単環式芳香族ヘテロ環がベンゼン環または単環式芳香族ヘテロ環と縮合される二環式芳香族ヘテロ環基を指し、部分的に水素化された環基を含み、具体例としてインドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、シノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、プロピリジル、チエノピリジル、インドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロキノリル、テトラヒドロキノリル、ジヒドロイソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、ジヒドロプロピリジルまたはジヒドロチエノピリジルが挙げられ、一実施形態ではベンゾチエニルが挙げられる。
【0050】
「飽和ヘテロ環」という用語は、環構成原子としての窒素原子、酸素原子および硫黄原子からなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を有する3~8員環の飽和環基を含み、C1-6アルキレンで架橋されていてもよく、その場合、環構成原子としての硫黄原子が酸化されていてもよい。具体例としてアゼパニル、ジアゼパニル、オキサゼパニル、チアゼパニル、アジリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピラゾリジニル、ピペラジニル、アゾカニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、オキサゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、テトラヒドロチオピラニル、オキサチオラニル、オキシラニル、オキセタニル、ジオキシラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、または1,4-ジオキサニルが挙げられる。
【0051】
「ハロゲン」という用語はフルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを意味し、具体的な一実施形態ではフルオロ、クロロまたはブロモを意味し、別の具体的な実施形態ではフルオロを意味し、さらなる具体的な実施形態ではクロロを意味し、別の具体的一実施形態ではブロモを意味する。
【0052】
「R3と、R4と、R3およびR4が結合した炭素原子とが一体となって3-オキセタン環を形成し、R3およびR4が結合した炭素原子はスピロ原子であり」という用語は、説明から明確に分かるとおり、R3およびR4が結合する炭素と一体的に、以下に記載のような3-オキセタン環
【0053】
【0054】
を形成することを意味する。
「R1と、R2と、R1およびR2が結合した炭素原子とが一体となって4-ピペリジン環または4-テトラヒドロピラン環を形成し、R1およびR2が結合した炭素原子はスピロ原子であり」という用語は、説明から明確に分かるとおり、R1およびR2が結合する炭素と一体的に、以下に記載のような4-ピペリジン環または4-テトラヒドロピラン環
【0055】
【0056】
を形成することを意味する。
本明細書における「置換されていてもよい」という表現は、「置換されていない」または「約1つ~約5つの置換基で置換されている」ことを意味する。さらに、複数の置換基を有する場合、置換基は同一または互いに異なってもよい。
【0057】
本明細書に記載の粉末X線回折パターンでは、粉末X線回折データの性質に基づく結晶の識別において結晶格子の間隔および総体的パターンが重要であり、回折角および回折強度を厳格に解釈すべきでないが、それらは結晶成長方向、粒子サイズおよび測定条件に応じて多少の誤差を含み得るからである。本明細書における粉末X線回折パターンの回折角(2θ(°))は、測定方法において一般的に許容される許容誤差を踏まえ、一実施形態として±0.2°の測定誤差を含み得る。さらに、例えば、医薬賦形剤から得られるピークに近く、ピークの傾斜ベースライン上にあるピークは、医薬賦形剤との混合物の状態で粉末X線測定が行われる場合、視覚的に±0.3°の範囲で変動してもよい。
【0058】
前臨床環境および臨床環境の双方において、速筋トロポニン複合体の活性剤は神経刺激に対する速筋の応答を増幅する結果、準最大筋肉活性化での発生筋力を増大させることが示されている(例えば、Russell et al.、“The Fast Skeletal Troponin Activator,CK-2017357,Increases Skeletal Muscle Force in vitro and in situ”、2009 Experimental Biology Conference、New Orleans、LA,April 2009を参照のこと)。速筋トロポニン複合体の活性剤は、除膜骨格筋線維のカルシウムに対する感受性を高め、また生体筋肉では刺激頻度の感受性を高め、これらがそれぞれ準最大筋肉活性化での発生筋力の増大という結果をもたらすことが示されている。そのような活性剤は、通常状態および低酸素化状態において筋肉疲労を低減し、および/または疲労に至るまでの総時間を長くすることも示されている(例えば、Russell et al.、“The Fast Skeletal Troponin Activator,CK-2017357,Increases Skeletal Muscle Force and Reduces Muscle Fatigue in vitro and in situ”、5th Cachexia Conference、Barcelona、Spain、December 2009、およびHinken et al.、“The Fast Skeletal Troponin Activator, CK-2017357, Reduces Muscle Fatigue in an in situ
Model of Vascular Insufficiency”、Society for Vascular Medicine’s 2010 Annual Meeting:21st Annual Scientific Sessions、Cleveland、OH、April 2010を参照のこと)。神経インプットに応答する筋力増加は、健康なヒトボランティアにおいても実証済みである(例えば、Hansen et al.、“CK-2017357, a Novel Activator of Fast Skeletal Muscle, Increases Isometric Force Evoked by Electrical Stimulation of the Anterior Tibialis Muscle in Healthy Male Subjects”、Society for Neuroscience 40th Annual Meeting:Neuroscience 2010、November 2010を参照のこと)。筋肉機能に関する付加的な前臨床モデルでの作業が示唆するところ、速筋トロポニン複合体の活性剤は筋パワーおよび/または持久力の増加も引き起こす。これらの薬理学的特性が示唆するところ、この作用機序を例えば、神経筋機能が障害されている状態に応用することができる。
【0059】
それを必要とする患者において、速筋の効率を増進するための、速筋線維またはサルコメアのトロポニン複合体を選択的に結合する有効量の本明細書で記載および/または開示される化合物または組成物を前記患者に投与するステップを含む方法が提供される。一部の実施形態では、本明細書で開示および/または記載される化合物は速筋線維またはサルコメアを活性化する。一部の実施形態では、本明細書で開示および/または記載される化合物の投与により、速筋のパワー出力が増加する結果となる。一部の実施形態では、本明細書で開示および/または記載される化合物の投与により、カルシウムイオンに対する速筋線維またはサルコメアの感受性が、化合物での処置を施されない速筋線維またはサルコメアに比べ増大する結果となる。一部の実施形態では、本明細書で開示および/または記載される化合物の投与により、速筋ミオシンをアクチンに結合させるカルシウムイオンの濃度が低下する結果となる。一部の実施形態では、本明細書で開示および/または記載される化合物の投与により、速筋線維が筋肉活性化の準最大レベルで力を発生する範囲が拡大する結果となる。
【0060】
より低濃度のカルシウムイオンに応答して力を生み出すよう速筋線維を感作するための、速筋サルコメア中のトロポニン複合体に選択的に結合する本明細書で記載および/または開示される化合物または組成物と速筋線維とを接触させるステップを含む方法も提供される。一部の実施形態では、速筋線維を化合物と接触させると、未処置の速筋線維よりも低いカルシウムイオン濃度で速筋線維が活性化する結果となる。一部の実施形態では、速筋線維を化合物と接触させると、未処置の速筋線維と比べ、より低いカルシウムイオン濃度で増大した力が生み出される結果となる。
【0061】
それを必要とする患者において、速筋疲労に至るまでの時間を長くするための、速筋線維のトロポニン複合体に選択的に結合する本明細書で記載および/または開示される化合物または組成物と速筋線維とを接触させるステップを含む方法も提供される。一部の実施形態では、化合物が結合して、速筋線維を活性化するリガンド-トロポニン-カルシウムイオン複合体を形成する。一部の実施形態では、複合体の形成および/または速筋線維の活性化により、同等のカルシウムイオン濃度と接触する未処置の速筋線維と比べ、力が増進および/または疲労に至るまでの時間が長くなる結果となる。
【0062】
本発明の実施形態をいくつか以下に記載する。
実施形態1-1
式(I)の化合物またはその塩であって、
X1が、C-R11またはNであり、
X2が、C-R12またはNであり、
R11が、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C1-6アルキルであり、
R12が、Hまたはハロゲンである、
化合物またはその塩。
【0063】
実施形態1-2
式(I)の化合物またはその塩であって、
X1が、C-R11またはNであり、
X2が、C-R12またはNであり、
R11が、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C1-6アルキルであり、
R12が、Hである、
化合物またはその塩。
【0064】
実施形態1-3
式(I)の化合物またはその塩であって、
X1が、C-R11であり、
X2が、C-R12であり、
R11が、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C1-6アルキルであり、
R12が、Hである、
化合物またはその塩。
【0065】
実施形態1-4
式(I)の化合物またはその塩であって、
X1が、C-R11であり、
X2が、Nであり、
R11が、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C1-6アルキルである、
化合物またはその塩。
【0066】
実施形態1-5
式(I)の化合物またはその塩であって、
X1が、Nであり、
X2が、Nである、
化合物またはその塩。
【0067】
実施形態2-1
式(I)の化合物またはその塩であって、
R1が、i)H、ii)ハロゲンおよびピラゾリルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)C2-6アルケニル、またはiv)-OR0であり、
R2が、i)-OR0、ハロゲン、-COOR0、-CONR21R22、G1群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいフェニル、ならびにピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびトリアゾリルからなる群から選択されるヘテロアリールであって、G2群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)C2-6アルケニル、iii)C2-6アルキニル、iv)-OR0、v)-
NR23R24、vi)-COOR0、またはvii)フェニルであり、
R21が、HまたはC1-6アルキルであり、
R22が、i)1つまたは複数のフェニルで置換されていてもよいC1-6アルキル、またはii)フェニルであり、
R23が、i)H、またはii)1つまたは複数の-OHで置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
R24が、i)1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよい1つまたは複数のフェニルで置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)1つまたは複数のC1-6アルキルで置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、iii)1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいフェニル、またはiv)テトラヒドロピラニルであり、あるいはR1と、R2と、R1およびR2が結合した炭素原子とが一体となって4-ピペリジン環または4-テトラヒドロピラン環を形成してもよく、R1およびR2が結合した炭素原子がスピロ原子であり、4-ピペリジン環が-SO2-(C1-6アルキル)および-COOR0からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、
G1群が、i)ハロゲン、ii)-COOR0、iii)-CONR0R0、iv)-OH、v)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、およびvi)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよい-O-C1-6アルキルからなる群から選択され、
G2群が、i)ハロゲン、ii)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、およびiii)-CONR0R0からなる群から選択され、
R0が、同一または互いに異なり、HまたはC1-6アルキルである、
化合物またはその塩。
【0068】
実施形態2-2
式(I)の化合物またはその塩であって、
R1が、i)Hまたはii)C1-6アルキルであり、
R2が、i)-OR0、ハロゲン、-CONR21R22、ハロゲンおよび-COOR0からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいフェニル、ならびにピラゾリルおよびトリアゾリルからなる群から選択されるヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)C2-6アルケニル、iii)C2-6アルキニル、iv)-NR23R24、またはv)-COOR0であり、
R21が、C1-6アルキルであり、
R22が、C1-6アルキルであり、
R23が、C1-6アルキルであり、
R24が、i)C3-8シクロアルキル、またはii)フェニルであり、あるいは
R1と、R2と、R1およびR2が結合した炭素原子とが一体となって4-テトラヒドロピラン環を形成してもよく、R1およびR2が結合した炭素原子がスピロ原子であり、
R0が、同一または互いに異なり、HまたはC1-6アルキルである、
化合物またはその塩。
【0069】
実施形態2-3
式(I)の化合物またはその塩であって、
R1が、C1-6アルキルであり、
R2が、-OR0で置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
R0が、同一または互いに異なり、HまたはC1-6アルキルである、
化合物またはその塩。
【0070】
実施形態2-4
式(I)の化合物またはその塩であって、
R1が、i)H、ii)ハロゲンおよびピラゾリルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)C2-6アルケニル、またはiv)-OR0であり、
R2が、i)-OR0、ハロゲン、-COOR0、-CONR21R22、G1群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいフェニル、ならびにピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびトリアゾリルからなる群から選択されるヘテロアリールであって、G2群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)C2-6アルケニル、iii)C2-6アルキニル、iv)-OR0、v)-NR23R24、またはvi)フェニルであり、
R21が、HまたはC1-6アルキルであり、
R22が、i)1つまたは複数のフェニル置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、またはii)フェニルであり、
R23が、i)H、またはii)1つまたは複数の-OH置換基で置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
R24が、i)1つまたは複数のハロゲン置換基で置換されていてもよい1つまたは複数のフェニル置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)1つまたは複数のC1-6アルキル置換基で置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、iii)1つまたは複数のハロゲン置換基で置換されていてもよいフェニル、またはiv)テトラヒドロピラニルであり、
G1群が、i)ハロゲン、ii)-COOR0、iii)-CONR0R0、iv)-OH、v)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、またはvi)-O-(-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル)であり、
G2群が、i)ハロゲン、ii)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、またはiii)-CONR0R0であり、
各R0が独立に、HまたはC1-6アルキルである、
化合物またはその塩。
【0071】
実施形態3-1
式(I)の化合物またはその塩であって、
R3およびR4が、同一または互いに異なり、i)ハロゲンおよび-OHからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-3アルキル、またはii)-OH、ならびにピラゾリルおよびチエニルからなる群から選択されるヘテロアリールであって、1つまたは複数のC1-6アルキルで置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC2-6アルケニルであり、
R3と、R4と、R3およびR4が結合した炭素原子とが一体となって3-オキセタン環を形成してもよく、R3およびR4が結合した炭素原子がスピロ原子である、
化合物またはその塩。
【0072】
実施形態3-2
式(I)の化合物またはその塩であって、
R3およびR4が、同一または互いに異なり、i)ハロゲンおよび-OHからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-3アルキル、またはi
i)-OHならびに1つまたは複数のC1-6アルキルで置換されていてもよいピラゾリルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC2-6アルケニルであり、あるいは
R3と、R4と、R3およびR4が結合した炭素原子とが一体となって3-オキセタン環を形成してもよく、R3およびR4が結合した炭素原子がスピロ原子である、
化合物またはその塩。
【0073】
実施形態3-3
式(I)の化合物またはその塩であって、
R3およびR4が、同一または互いに異なり、C1-3アルキルである、
化合物またはその塩。
【0074】
実施形態3-4
式(I)の化合物またはその塩であって、
R3と、R4と、R3およびR4が結合した炭素原子とが一体となって3-オキセタン環を形成してもよく、R3およびR4が結合した炭素原子が以下の式(II)
【0075】
【0076】
によって表わされるスピロ原子である、
化合物またはその塩。
実施形態3-5
式(I)の化合物またはその塩であって、
R3およびR4が独立に、i)ハロゲンおよび-OHからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-3アルキルであり、あるいは
R3およびR4が、結合する炭素と一体的に3-オキセタン環を形成する、
化合物またはその塩。
【0077】
実施形態4-1
式(I)の化合物またはその塩であって、
R5が、i)H、ii)1つまたは複数の-O-C1-6アルキルで置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-O-C1-6アルキル、iv)ハロゲン、v)-COO-C1-6アルキル、またはvi)C3-8シクロアルキルであり、
R6が、i)H、ii)-O-(1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル)およびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-OH、iv)-O-(1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル)、v)ハロゲン、vi)-CN、vii)-S-C1-6アルキル、viii)C3-8シクロアルキル、ix)-NR0R0、またはx)C2-6アルケニルであり、
R0が、同一または互いに異なり、HまたはC1-6アルキルである、
化合物またはその塩。
【0078】
実施形態4-2
式(I)の化合物またはその塩であって、
R5が、i)H、ii)C1-6アルキル、iii)-O-C1-6アルキル、iv)ハロゲン、またはv)C3-8シクロアルキルであり、
R6が、i)H、ii)-O-(C1-6アルキル)およびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-OH、iv)-O-(1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル)、v)ハロゲン、vi)-CN、vii)-S-C1-6アルキル、viii)-NR0R0、またはix)C2-6アルケニルであり、
R0が、同一または互いに異なり、HまたはC1-6アルキルである、
化合物またはその塩。
【0079】
実施形態4-3
式(I)の化合物またはその塩であって、
R5が、Hであり、
R6が、i)C1-6アルキル、ii)-O-(1つ~3つのハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル)、iii)ハロゲン、またはiv)-CNである、
化合物またはその塩。
【0080】
本発明は、互いに矛盾しない上述の実施形態1-1から4-3のうちの2つ以上の組み合わせである化合物を含む。具体例として以下の実施形態が挙げられる。
実施形態5-1
式(I)の化合物またはその塩であって、
X1が、C-R11またはNであり、
X2が、C-R12またはNであり、
R11が、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C1-6アルキルであり、
R12が、Hであり、
R1が、i)H、またはii)C1-6アルキルであり、
R2が、i)-OR0、ハロゲン、-CONR21R22、ハロゲンおよび-COOR0からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいフェニル、ならびにピラゾリルおよびトリアゾリルからなる群から選択されるヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)C2-6アルケニル、iii)C2-6アルキニル、iv)-NR23R24、またはv)-COOR0であり、
R21が、C1-6アルキルであり、
R22が、C1-6アルキルであり、
R23が、C1-6アルキルであり、
R24が、i)C3-8シクロアルキル、またはii)フェニルであり、あるいは
R1と、R2と、R1およびR2が結合した炭素原子とが一体となって4-テトラヒドロピラン環を形成してもよく、R1およびR2が結合した炭素原子がスピロ原子であり、
R3およびR4が、同一または互いに異なり、i)ハロゲンおよび-OHからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-3アルキル、またはii)-OH、および1つまたは複数のC1-6アルキルで置換されていてもよいピラゾリルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC2-6アルケニルであり、あるいは
R3と、R4と、R3およびR4が結合した炭素原子とが一体となって3-オキセタン環を形成してもよく、R3およびR4が結合した炭素原子がスピロ原子であり、
R5が、i)H、ii)C1-6アルキル、iii)-O-C1-6アルキル、iv)ハロゲン、またはv)C3-8シクロアルキルであり、
R6が、i)H、ii)-O-C1-6アルキルおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-OH、iv)1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよい-O-C1-6アルキル、v)ハロゲン、vi)-CN、vii)-S-C1-6アルキル、viii)-NR0R0、またはix)C2-6アルケニルであり、
R0が、同一または互いに異なり、HまたはC1-6アルキルである、
化合物またはその塩。
【0081】
実施形態5-2
R1が、C1-6アルキルであり、
R2が、-OR0で置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
R3と、R4と、R3およびR4が結合した炭素原子とが一体となって3-オキセタン環を形成し、R3およびR4が結合した炭素原子が以下の式(II)
【0082】
【0083】
によって表わされるスピロ原子であり、
R5が、Hであり、
R6が、i)C1-6アルキル、ii)1つ~3つのハロゲンで置換されていてもよい-O-C1-6アルキル)、iii)ハロゲン、またはiv)-CNである、
上述の実施形態5-1に記載の化合物またはその塩。
【0084】
実施形態5-3
X1およびX2が実施形態1-3に記載のとおりである上述の実施形態5-2に記載の化合物またはその塩。
【0085】
実施形態6-1
式(I)の化合物またはその塩であって、R1およびR2が実施形態2-1に記載のとおりであり、
X1が、C-R11またはNであり、
X2が、C-R12またはNであり、
R11が、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C1-6アルキルであり、
R12が、Hまたはハロゲンであり、
R3、R4が、同一または互いに異なり、i)ハロゲンおよび-OHからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-3アルキル、またはii)-OH、ならびにピラゾリルおよびチエニルからなる群から選択されるヘテロアリールであって、1つまたは複数のC1-6アルキルで置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC2-6アルケニルであり、あるいは
R3と、R4と、R3およびR4が結合した炭素原子とが一体となって3-オキセタン環を形成してもよく、R3およびR4が結合した炭素原子がスピロ原子であり、
R5が、i)H、ii)1つまたは複数の-O-(C1-6アルキル)で置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-O-(C1-6アルキル)、iv)ハロゲン、v)-COO-(C1-6アルキル)、またはvi)C3-8シクロアルキルであり、
R6が、i)H、ii)-O-(1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル)およびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-OH、iv)-O-(1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいC1-6アルキル)、v)ハロゲン、vi)-CN、vii)-S-(C1-6アルキル)、viii)C3-8シクロアルキル、ix)-NR0R0、またはx)C2-6アルケニルであり、
G1群は、i)ハロゲン、ii)-COOR0、iii)-CONR0R0、iv)-OH、v)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、またはvi)-O-(-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル)であり、
G2群が、i)ハロゲン、ii)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、またはiii)-CONR0R0である、
化合物またはその塩。
【0086】
実施形態6-2
R3およびR4が実施形態3-1に記載のとおりである上述の実施形態6-1に記載の化合物またはその塩。
【0087】
実施形態6-3
R3およびR4が実施形態4-1に記載のとおりである上述の実施形態6-2に記載の化合物またはその塩。
【0088】
実施形態7-1
(-)-2-(ジフルオロメチル)-8-エチル-8-(2-ヒドロキシエチル)-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン、
4,4-ジエチル-1,1-ジメチル-3-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-カルボニトリル、
8,8-ジエチル-5,5-ジメチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-カルボニトリル、
(-)-6-ブロモ-4-エチル-4-(2-ヒドロキシエチル)-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン、
(+)-6-ブロモ-4-エチル-4-(2-ヒドロキシエチル)-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン、
8,8-ジエチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロ-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-2-カルボニトリル、
8’,8’-ジエチル-7’-オキソ-7’,8’-ジヒドロ-6’H-スピロ[オキセタン-3,5’-ピリド[3,4-b]ピラジン]-2’-カルボニトリル、
4,4-ジエチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル、
6-クロロ-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、
4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル、
2-(ジフルオロメトキシ)-8,8-ジメチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン、
(+)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、
(-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、および
(-)-2-(ジフルオロメトキシ)-8-エチル-8-(2-ヒドロキシエチル)-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【0089】
実施形態7-2
(-)-2-(ジフルオロメチル)-8-エチル-8-(2-ヒドロキシエチル)-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン、
4,4-ジエチル-1,1-ジメチル-3-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-カルボニトリル、
8,8-ジエチル-5,5-ジメチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-カルボニトリル、
(-)-6-ブロモ-4-エチル-4-(2-ヒドロキシエチル)-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン、
(+)-6-ブロモ-4-エチル-4-(2-ヒドロキシエチル)-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン、
8,8-ジエチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロ-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-2-カルボニトリル、
8’,8’-ジエチル-7’-オキソ-7’,8’-ジヒドロ-6’H-スピロ[オキセタン-3,5’-ピリド[3,4-b]ピラジン]-2’-カルボニトリル、
4,4-ジエチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル、
6-クロロ-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、
4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル、
2-(ジフルオロメトキシ)-8,8-ジメチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン、
(-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、および
(-)-2-(ジフルオロメトキシ)-8-エチル-8-(2-ヒドロキシエチル)-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【0090】
実施形態7-3
4,4-ジエチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル、
6-クロロ-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、
4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル、
(+)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、および
(-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【0091】
実施形態7-4
4,4-ジエチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリルである化合物またはその塩。
【0092】
実施形態7-5
6-クロロ-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オンである化合物またはその塩。
【0093】
実施形態7-6
4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリルである化合物またはその塩。
【0094】
実施形態7-7
(+)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オンである化合物またはその塩。
【0095】
実施形態7-8
(-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オンである化合物またはその塩。
【0096】
本発明の一実施形態は以下の実施形態8-1から8-4を含むがこれらに限定されない。
実施形態8-1
Cu-Kα照射(1.54184Å)による測定で、次の角度2θ(°)を含むX線粉末回折スペクトルを有する、4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリルの結晶形態:12.1°、15.6°、16.6°、21.4°および23.4°。
【0097】
実施形態8-2
Cu-Kα照射(1.54184Å)による測定で、次の角度2θ(°)を含むX線粉末回折スペクトルを有する、4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリルの結晶形態:8.3°、12.1°、15.6°、16.6°、17.3°、20.5°、21.4°、23.4°、24.0°および25.7°。
【0098】
実施形態8-3
Cu-Kα照射(1.54184Å)による測定で、次の角度2θ(°)を含むX線粉末回折スペクトルを有する、(-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オンの結晶形態:12.2°、15.5°、18.3°、21.7°および22.7°。
【0099】
実施形態8-4
Cu-Kα照射(1.54184Å)による測定で、次の角度2θ(°)を含むX線粉末回折スペクトルを有する、(-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オンの結晶形態:6.7°、11.1°、12.2°、13.7°、15.5°、16.2°、17.0°、18.3°、21.7°および22.7°。
【0100】
さらなる実施形態において、本発明は上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物
を含む。さらなる実施形態において、本発明は上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を含む。
【0101】
さらなる態様において、本発明は、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩を含む、腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩を含む、虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩を含む、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩を含む、心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩を含む、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩を含む、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩を含む、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物に関する。
【0102】
さらなる態様において、本発明は、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態を含む、腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態を含む、虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態を含む、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態を含む、心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態を含む、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態を含む、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物に関する。さらなる態様において、本発明は、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態を含む、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物に関する。
【0103】
さらなる態様において、本発明は腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩の使用に関する。
【0104】
さらなる態様において、本発明は腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態の使用に関する。さらなる態様において、本発明は虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態の使用に関する。さらなる態様において、本発明は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態の使用に関する。さらなる態様において、本発明は心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態の使用に関する。さらなる態様において、本発明は筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、および重症筋無力症、筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態の使用に関する。さらなる態様において、本発明は脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態の使用に関する。さらなる態様において、本発明は末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態の使用に関する。
【0105】
さらなる態様において、本発明は腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩の使用に関する。さらなる態様において、本発明は末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩の使用に関する。
【0106】
さらなる態様において、本発明は腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態の使用に関する。さらなる態様において、本発明は虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態の使用に関する。さらなる態様において、本発明は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態の使用に関する。さらなる態様において、本発明は心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態の使用に関する。さらなる態様において、本発明は筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態の使用に関する。さらなる態様において、本発明は脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態の使用に関する。さらなる態様において、本発明は末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態の使用に関する。
【0107】
さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩を投与するステップを含む、腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物ま
たはその塩を投与するステップを含む、虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩を投与するステップを含む、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩を投与するステップを含む、心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩を投与するステップを含む、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩を投与するステップを含む、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩を投与するステップを含む、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法に関する。
【0108】
さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態を投与するステップを含む、腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態を投与するステップを含む、虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態を投与するステップを含む、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態を投与するステップを含む、心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態を投与するステップを含む、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態を投与するステップを含む、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法に関する。さらなる態様において、本発明は、対象に有効量の上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態を投与するステップを含む、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法に関する。
【0109】
さらなる態様において、本発明は腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩に関する。さらなる態様において、本発明は虚弱およびサルコペニアからなる群から選択
される疾患または状態の予防または治療に使用するための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩に関する。さらなる態様において、本発明は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療に使用するための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩に関する。さらなる態様において、本発明は心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療に使用するための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩に関する。さらなる態様において、本発明は筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩に関する。さらなる態様において、本発明は脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩に関する。さらなる態様において、本発明は末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、上述の実施形態1-1から実施形態7-8のいずれか1つに記載の化合物またはその塩に関する。
【0110】
さらなる態様において、本発明は腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態に関する。さらなる態様において、本発明は虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態に関する。さらなる態様において、本発明は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療に使用するための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態に関する。さらなる態様において、本発明は心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療に使用するための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態に関する。さらなる態様において、本発明は筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態に関する。さらなる態様において、本発明は脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態に関する。さらなる態様において、本発明は末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、上述の実施形態8-1から実施形態8-4のいずれか1つに記載の結晶形態に関する。
【0111】
さらに、本発明の一実施形態を以下に記載する。
実施形態(1)。式(I’)
【0112】
【0113】
(式中、
X1は、C-R11またはNであり、
X2は、C-R12またはNであり、
R11は、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C1-6アルキルであり、
R12は、Hまたはハロゲンであり、
R1は、i)H、ii)ハロゲンおよびピラゾリルからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)C2-6アルケニル、またはiv)-OR0であり、
R2は、i)-OR0、ハロゲン、-COOR0、-CONR21R22、G1から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいフェニル、ならびに各々がピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびトリアゾリルからなる群から独立に選択されるヘテロアリールであって、各々がG2から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)C2-6アルケニル、iii)C2-6アルキニル、iv)-OR0、v)-NR23R24、vi)-COOR0、またはvii)フェニルであり、
各R21は、独立にHまたはC1-6アルキルであり、
各R22は、独立にi)1つまたは複数のフェニル置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、またはii)フェニルであり、
R23は、i)H、またはii)1つまたは複数の-OH置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
R24は、i)1つまたは複数のハロゲン置換基で独立に任意に置換されていてもよい1つまたは複数のフェニル置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)1つまたは複数のC1-6アルキル置換基で任意に置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、iii)1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいフェニル、またはiv)テトラヒドロピラニルであり、あるいは
R1およびR2は、結合する炭素と一体的に4-ピペリジン環または4-テトラヒドロピラン環を形成し、4-ピペリジン環は-SO2-(C1-6アルキル)および-COOR0からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換され、
R3およびR4は、独立にi)ハロゲンおよび-OHからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-3アルキル、またはii)-OH、ならびに各々がピラゾリルおよびチエニルからなる群から独立に選択されるヘテロアリールであって、各々が1つまたは複数のC1-6アルキルで独立に任意に置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC2-6アルケニルであり、あるいは
R3およびR4は、結合する炭素と一体的に3-オキセタン環を形成し、
R5は、i)H、ii)1つまたは複数の-O-(C1-6アルキル)置換基で任意に置
換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-O-(C1-6アルキル)、iv)ハロゲン、v)-COO-(C1-6アルキル)、またはvi)C3-8シクロアルキルであり、
R6は、i)H、ii)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)およびハロゲンからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-OH、iv)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)、v)ハロゲン、vi)-CN、vii)-S-(C1-6アルキル)、viii)C3-8シクロアルキル、ix)-NR0R0、またはx)C2-6アルケニルであり、各G1は、独立にi)ハロゲン、ii)-COOR0、iii)-CONR0R0、iv)-OH、v)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、またはvi)-O-(-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)であり、
各G2は、独立にi)ハロゲン、ii)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、またはiii)-CONR0R0であり、
各R0は、独立にHまたはC1-6アルキルであり、
ただし前記化合物はメチル1,1-ジアリル-3-オキソ-2,4-ジヒドロイソキノリン-4-カルボキシレートもしくはその塩ではない)
の化合物またはその塩。
【0114】
実施形態(2)。X1がC-R11である実施形態(1)の化合物またはその塩。
実施形態(3)。R11がHである実施形態(1)もしくは(2)の化合物またはその塩。
【0115】
実施形態(4)。X1がNである実施形態(1)の化合物またはその塩。
実施形態(5)。X2がC-R12である実施形態(1)から(4)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0116】
実施形態(6)。R12がHである実施形態(5)の化合物またはその塩。
実施形態(7)。X2がNである実施形態(1)から(4)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0117】
実施形態(8)。R1がi)H、またはii)1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキルである実施形態(1)から(7)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0118】
実施形態(9)。R1がC1-6アルキルである実施形態(1)から(7)のいずれか1つの化合物またはその塩。
実施形態(10)。R2が、i)-OR0、ハロゲン、-COOR0、-CONR21R22、G1から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいフェニル、ならびに各々がピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびトリアゾリルからなる群から独立に選択されるヘテロアリールであって、各々がG2から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)C2-6アルケニル、iii)C2-6アルキニル、iv)-OR0、v)-NR23R24、またはvi)フェニルであり、
各R21が独立に、HまたはC1-6アルキルであり、
各R22が独立に、i)1つまたは複数のフェニル置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、またはii)フェニルであり、
R23が、i)H、またはii)1つまたは複数の-OH置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
R24が、i)1つまたは複数のハロゲン置換基で独立に任意に置換されていてもよい1つまたは複数のフェニル置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)1つまたは複数のC1-6アルキル置換基で任意に置換されていてもよいC3-8シクロアルキル、iii)1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいフェニル、またはiv)テトラヒドロピラニルであり、
各G1が独立に、i)ハロゲン、ii)-COOR0、iii)-CONR0R0、iv)-OH、v)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、またはvi)-O-(-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)であり、
各G2が独立に、i)ハロゲン、ii)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、またはiii)-CONR0R0であり、
各R0が独立に、HまたはC1-6アルキルである、
実施形態(1)から(9)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0119】
実施形態(11)。R2が、i)-OR0、ハロゲン、-COOR0、-CONR21R22、G1から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいフェニル、ならびに各々がピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびトリアゾリルからなる群から独立に選択されるヘテロアリールであって、各々がG2から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキルであり、各R21が独立に、C1-6アルキルであり、
各R22が独立に、1つまたは複数のフェニル置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
各G1が独立に、i)ハロゲンまたはii)-COOR0であり、
各G2が独立に、C1-6アルキルであり、
各R0が独立に、HまたはC1-6アルキルである、
実施形態(1)から(9)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0120】
実施形態(12)。R2が、i)-OR0、ハロゲン、ならびに各々がピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびトリアゾリルからなる群から独立に選択されるヘテロアリールであって、各々がG2から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
各G2が独立に、C1-6アルキルであり、
各R0が独立に、HまたはC1-6アルキルである、
実施形態(1)から(9)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0121】
実施形態(13)。各ヘテロアリールがピラゾリルおよびトリアゾリルからなる群から独立に選択される実施形態(10)から(12)のいずれか1つの化合物またはその塩。
実施形態(14)。R2が1つまたは複数の-OR0置換基で任意に置換され、各R0が独立にHまたはC1-6アルキルである実施形態(1)から(9)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0122】
実施形態(15)。R2がC1-6アルキルである実施形態(1)から(9)のいずれか1つの化合物またはその塩。
実施形態(16)。R2がi)C2-6アルケニル、ii)C2-6アルキニル、iii)-NR23R24、iv)-COOR0、またはv)フェニルであり、
R23が、C1-6アルキルであり、
R24が、C1-6アルキル、C3-8シクロアルキル、またはフェニルであり、
各R0が独立に、HまたはC1-6アルキルである、
実施形態(1)から(9)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0123】
実施形態(17)。R1およびR2が各々メチルである実施形態(1)から(7)のいずれか1つの化合物またはその塩。
実施形態(18)。R1がメチルであり、R2が1つまたは複数の-OR0置換基で任意に置換され、各R0が独立にHまたはC1-6アルキルである実施形態(1)から(7)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0124】
実施形態(19)。R1およびR2が、結合する炭素と一体的に4-ピペリジン環または4-テトラヒドロピラン環を形成し、4-ピペリジン環が-SO2-(C1-6アルキル)および-COOR0からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよい実施形態(1)から(7)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0125】
実施形態(20)。R3およびR4が独立に、i)ハロゲンおよび-OHからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-3アルキルであり、あるいは
R3およびR4が、結合する炭素と一体的に3-オキセタン環を形成する
実施形態(1)から(19)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0126】
実施形態(21)。R3およびR4が独立に、i)ハロゲンおよび-OHからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-3アルキル、またはii)各々がピラゾリルおよびチエニルからなる群から独立に選択されるヘテロアリールであって、各々が1つまたは複数のC1-6アルキル置換基で独立に任意に置換されていてもよい1つまたは複数のヘテロアリール置換基で任意に置換されていてもよいC2-6アルケニルである、
実施形態(1)から(19)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0127】
実施形態(22)。R3およびR4が独立に、ハロゲンおよび-OHからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-3アルキルである実施形態(1)から(19)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0128】
実施形態(23)。R3およびR4が、結合する炭素と一体的に3-オキセタン環を形成する実施形態(1)から(19)のいずれか1つの化合物またはその塩。
実施形態(24)。R5がi)H、ii)C1-6アルキル、iii)-O-(C1-6アルキル)、iv)ハロゲン、またはv)C3-8シクロアルキルである実施形態(1)から(23)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0129】
実施形態(25)。R5がHである実施形態(1)から(23)のいずれか1つの化合物またはその塩。
実施形態(26)。R6がi)H、ii)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)およびハロゲンからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、ii
i)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)、iv)ハロゲン、v)-CN、vi)-S-(C1-6アルキル)、またはvii)C3-8シクロアルキルである実施形態(1)から(25)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0130】
実施形態(27)。R6がi)H、ii)1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-OH、iv)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)、v)ハロゲン、vi)-CN、またはvii)C2-6アルケニルである実施形態(1)から(25)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0131】
実施形態(28)。R6がi)H、ii)C1-6アルキル、iii)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)、iv)ハロゲン、v)-CN、vi)-NR0R0、またはvii)C2-6アルケニルである実施形態(1)から(25)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0132】
実施形態(29)。R6がi)ハロゲンまたはii)-CNである実施形態(1)から(25)のいずれか1つの化合物またはその塩。
実施形態(30)。各R0がHである実施形態(1)から(29)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0133】
実施形態(31)。各R0が独立にC1-6アルキルである実施形態(1)から(29)のいずれか1つの化合物またはその塩。
実施形態(32)。
R1が、i)Hまたはii)1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
R2が、i)-OR0、ハロゲン、-COOR0、-CONR21R22、G1から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいフェニル、ならびに各々がピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびトリアゾリルからなる群から独立に選択されるヘテロアリールであって、各々がG2から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)C2-6アルケニル、iii)C2-6アルキニル、iv)-NR23R24、v)-COOR0、またはvi)フェニルであり、
各R21、R22およびR23が独立にC1-6アルキルであり、
R24が、i)C1-6アルキル、ii)C3-8シクロアルキル、またはiii)フェニルであり、あるいは
R1およびR2が、結合する炭素と一体的に4-ピペリジン環または4-テトラヒドロピラン環を形成し、4-ピペリジン環が-SO2-(C1-6アルキル)および-COOR0からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換され、
R3およびR4が、独立にi)ハロゲンおよび-OHからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-3アルキル、またはii)各々がピラゾリルおよびチエニルからなる群から独立に選択されるヘテロアリールであって、各々が1つまたは複数のC1-6アルキル置換基で独立に任意に置換されていてもよい1つまたは複数のヘテロアリール置換基で任意に置換されていてもよいC2-6アルケニルであり、あるいは
R3およびR4が、結合する炭素と一体的に3-オキセタン環を形成し、
R5が、i)H、ii)C1-6アルキル、iii)-O-(C1-6アルキル)、iv)ハロゲン、またはv)C3-8シクロアルキルであり、
R6が、i)H、ii)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)およびハロゲンからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-OH、iv)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)、v)ハロゲン、vi)-CN、vii)-S-(C1-6アルキル)、viii)C3-8シクロアルキル、ix)-NR0R0、またはx)C2-6アルケニルであり、各G1が独立に、i)ハロゲンまたはii)-COOR0であり、
各G2が独立に、ii)C1-6アルキルであり、
各R0が独立に、HまたはC1-6アルキルである、
実施形態(1)から(7)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0134】
実施形態(33)。
X1が、C-R11であり、
X2が、C-R12であり、
R11が、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C1-6アルキルであり、
R12が、Hまたはハロゲンであり、
R1が、i)Hまたはii)1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
R2が、i)-OR0、ハロゲン、-COOR0、-CONR21R22、G1から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいフェニル、ならびに各々がピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびトリアゾリルからなる群から独立に選択されるヘテロアリールからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)-NR23R24、またはiii)フェニルであり、
各R21が独立に、C1-6アルキルであり、
各R22が独立に、1つまたは複数のフェニル置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
R23が、C1-6アルキルであり、
R24が、i)C1-6アルキル、ii)C3-8シクロアルキル、またはiii)フェニルであり、あるいは
R1およびR2が、結合する炭素と一体的に4-ピペリジン環または4-テトラヒドロピラン環を形成し、4-ピペリジン環が-SO2-(C1-6アルキル)および-COOR0からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換され、
R3およびR4が独立に、1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-3アルキルであり、あるいは
R3およびR4が、結合する炭素と一体的に3-オキセタン環を形成し、
R5が、i)H、ii)C1-6アルキル、iii)-O-(C1-6アルキル)、iv)ハロゲン、またはv)C3-8シクロアルキルであり、
R6が、i)H、ii)1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-OH、iv)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)、iv)ハロゲン、v)-CN、またはvi)C2-6アルケニルであり、
各G1が独立に、i)ハロゲンまたはii)-COOR0であり、
各R0が独立に、HまたはC1-6アルキルである、
実施形態(1)の化合物またはその塩。
【0135】
実施形態(34)。
X1が、C-R11またはNであり、
X2が、C-R12またはNであり、
R11が、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C1-6アルキルであり、
R12が、Hであり、
R1が、i)H、またはii)C1-6アルキルであり、
R2が、i)-OR0、ハロゲン、-CONR21R22、ハロゲンおよび-COOR0からなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいフェニル、ならびに各々がピラゾリルおよびトリアゾリルからなる群から独立に選択されるヘテロアリールからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)C2-6アルケニル、iii)C2-6アルキニル、iv)-NR23R24、またはv)-COOR0であり、
R21が、C1-6アルキルであり、
R22が、C1-6アルキルであり、
R23が、C1-6アルキルであり、
R24が、i)C3-8シクロアルキル、またはii)フェニルであり、あるいは
R1と、R2とが、結合する炭素と一体的に4-テトラヒドロピラン環を形成し、
R3およびR4が独立に、i)ハロゲンおよび-OHからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-3アルキル、またはii)-OH、および各々が1つまたは複数のC1-6アルキル置換基で独立に任意に置換されていてもよいピラゾリルからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC2-6アルケニルであり、あるいは
R3およびR4が、結合する炭素と一体的に3-オキセタン環を形成し、
R5が、i)H、ii)C1-6アルキル、iii)-O-(C1-6アルキル)、iv)ハロゲン、またはv)C3-8シクロアルキルであり、
R6が、i)H、ii)-O-(C1-6アルキル)およびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-OH、iv)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)、v)ハロゲン、vi)-CN、vii)-S-(C1-6アルキル)、viii)-NR0R0、またはix)C2-6アルケニルであり、
各R0が独立に、HまたはC1-6アルキルである、
実施形態(1)の化合物またはその塩。
【0136】
実施形態(35)。
R1が、C1-6アルキルであり、
R2が、-OR0で任意に置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
R3およびR4が、結合する炭素と一体的に3-オキセタン環を形成し、
R5が、Hであり、
R6が、i)C1-6アルキル、ii)-O-(1つ~3つのハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)、iii)ハロゲン、またはiv)-CNである、
実施形態(34)の化合物またはその塩。
【0137】
実施形態(36)。
X1が、C-R11であり、
X2が、C-R12であり、
R11が、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C1-6アルキルであり、
R12が、Hである、
実施形態(34)または(35)の化合物またはその塩。
【0138】
実施形態(37)。
X1が、C-R11であり、
X2が、C-R12であり、
R11が、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C1-6アルキルであり、
R12が、Hまたはハロゲンであり、
R1が、i)Hまたはii)1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
R2が、i)-OR0、ハロゲン、-COOR0、-CONR21R22、G1から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいフェニル、ならびに各々がピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびトリアゾリルからなる群から独立に選択されるヘテロアリールからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)-NR23R24、またはiii)フェニルであり、
各R21が独立に、C1-6アルキルであり、
各R22が独立に、1つまたは複数のフェニル置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
R23が、C1-6アルキルであり、
R24が、i)C1-6アルキル、ii)C3-8シクロアルキル、またはiii)フェニルであり、あるいは
R1およびR2が、結合する炭素と一体的に4-ピペリジン環または4-テトラヒドロピラン環を形成し、4-ピペリジン環が-SO2-(C1-6アルキル)および-COOR0からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換され、
R3およびR4が独立に、1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-3アルキルであり、あるいは
R3およびR4が、結合する炭素と一体的に3-オキセタン環を形成し、
R5が、i)H、ii)C1-6アルキル、iii)-O-(C1-6アルキル)、iv)ハロゲン、またはv)C3-8シクロアルキルであり、
R6が、i)H、ii)1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-OH、iv)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)、iv)ハロゲン、v)-CN、またはv)C2-6アルケニルであり、
各G1が独立に、i)ハロゲンまたはii)-COOR0であり、
各R0が独立に、HまたはC1-6アルキルである、
実施形態(1)の化合物またはその塩。
【0139】
実施形態(38)。
X1が、C-R11であり、
X2が、Nであり、
R11が、Hであり、
R1が、i)Hまたはii)C1-6アルキルであり、
R2が、i)-OR0、ハロゲン、ならびに各々がピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびトリアゾリルからなる群から各々が独立に選択されるヘテロアリールであって、各々がG2から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)C2-6アルケニル、iii)C2-6アルキニル、またはiv)-COOR0であり、
R3およびR4が独立に、i)C1-3アルキル、またはii)各々がピラゾリルおよび
チエニルからなる群から独立に選択されるヘテロアリールであって、各々が1つまたは複数のC1-6アルキル置換基で独立に任意に置換されていてもよい1つまたは複数のヘテロアリール置換基で任意に置換されていてもよいC2-6アルケニルであり、あるいは
R3およびR4が、結合する炭素と一体的に3-オキセタン環を形成し、
R5が、Hであり、
R6が、i)H、ii)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)およびハロゲンからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)、iv)ハロゲン、v)-CN、またはvi)-S-(C1-6アルキル)であり、
各G2が独立に、C1-6アルキルであり、
各R0が独立に、HまたはC1-6アルキルである、
実施形態(1)の化合物またはその塩。
【0140】
実施形態(39)。
X1が、C-R11であり、
X2が、Nであり、
R11が、Hであり、
R1が、i)Hまたはii)C1-6アルキルであり、
R2が、i)-OR0、ハロゲン、ならびに各々がピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびトリアゾリルからなる群から独立に選択されるヘテロアリールであって、各々がG2から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)C2-6アルケニル、iii)C2-6アルキニル、またはiv)-COOR0であり、
R3およびR4が独立に、i)C1-3アルキル、またはii)各々がピラゾリルおよびチエニルからなる群から独立に選択されるヘテロアリールであって、各々が1つまたは複数のC1-6アルキル置換基で独立に任意に置換されていてもよい1つまたは複数のヘテロアリール置換基で任意に置換されていてもよいC2-6アルケニルであり、あるいは
R3およびR4が、結合する炭素と一体的に3-オキセタン環を形成し、
R5が、Hであり、
R6が、i)H、ii)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)およびハロゲンからなる群から独立に選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル、iii)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)、iv)ハロゲン、v)-CN、またはvi)-S-(C1-6アルキル)であり、
各G2が独立に、C1-6アルキルであり、
各R0が独立に、HまたはC1-6アルキルである、
実施形態(1)の化合物またはその塩。
【0141】
実施形態(40)。
X1が、Nであり、
X2が、C-R12であり、
R1が、i)H、ii)C1-6アルキルであり、
R2が、i)1つまたは複数の-OR0置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキルまたはii)-COOR0であり、
R3およびR4が独立に、C1-3アルキルであり、あるいは
R3およびR4が、結合する炭素と一体的に3-オキセタン環を形成し、
R5が、Hであり、
R6が、i)ハロゲンまたはii)-CNであり、
各R0が独立に、HまたはC1-6アルキルである、
実施形態(1)の化合物またはその塩。
【0142】
実施形態(41)。
X1およびX2が各々、Nであり、
R1が、i)Hまたはii)C1-6アルキルであり、
R2が、i)C1-6アルキルまたはii)-COOR0であり、
R3およびR4が独立に、1つまたは複数の-OHで任意に置換されていてもよいC1-3アルキルであり、あるいは
R3およびR4が、結合する炭素と一体的に3-オキセタン環を形成し、
R5が、Hであり、
R6が、i)H、ii)C1-6アルキル、iii)-O-(1つまたは複数のハロゲン置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキル)、iv)ハロゲン、v)-CN、iv)-NR0R0、またはvii)C2-6アルケニルであり、
各R0が独立に、HまたはC1-6アルキルである、
実施形態(1)の化合物またはその塩。
【0143】
実施形態(42)。
X1が、CHであり、
X2が、CHまたはNであり、
R1が、HまたはC1-6アルキルであり、
R2が、-OR0およびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で任意に置換されていてもよいC1-6アルキルであり、
R3およびR4が独立に、C1-3アルキルであり、あるいは
R3およびR4が、結合する炭素と一体的に3-オキセタン環を形成し、
R5が、Hであり、
R6が、H、C1-6アルキル、ハロゲンまたは-CNであり、
各R0が独立に、HまたはC1-6アルキルである、
実施形態(1)の化合物またはその塩。
【0144】
実施形態(43)。
X1およびX2が各々、CHであり、
R1が、H、メチル、またはエチルであり、
R2が、-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で各々任意に置換されていてもよいメチルまたはエチルであり、
R3およびR4が、結合する炭素と一体的に3-オキセタン環を形成し、
R5が、Hであり、
R6が、H、メチル、ハロゲンまたは-CNである、
実施形態(1)の化合物またはその塩。
【0145】
実施形態(44)。R1がR2と同一でない場合にR1およびR2を有する炭素がS配置である実施形態(1)から(16)および(18)から(43)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0146】
実施形態(45)。R1がR2と同一でない場合にR1およびR2を有する炭素がR配置である実施形態(1)から(16)および(18)から(43)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0147】
実施形態(46)。R3がR4と同一でない場合にR3およびR4を有する炭素がS配
置である実施形態(1)から(22)および(24)から(45)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0148】
実施形態(47)。R3がR4と同一でない場合にR3およびR4を有する炭素がR配置である実施形態(1)から(22)および(24)から(45)のいずれか1つの化合物またはその塩。
【0149】
実施形態(48)。X1がC-R11であり、X2がC-R12であり、化合物が下記からなる群より選択される実施形態(1)の化合物またはその塩。
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
【0156】
実施形態(49)。X1がC-R11であり、X2がNであり、化合物が下記からなる群から選択される実施形態(1)の化合物またはその塩。
【0157】
【0158】
【0159】
【0160】
【0161】
【0162】
実施形態(50)。X1がNであり、X2がC-R12であり、化合物が下記からなる群から選択される実施形態(1)の化合物またはその塩。
【0163】
【0164】
【0165】
実施形態(51)。X1がNであり、X2がNであり、化合物が下記からなる群から選択される実施形態(1)の化合物またはその塩
【0166】
【0167】
【0168】
実施形態(52)。
4,4-ジエチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル、
6-クロロ-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、
4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル、
(+)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、および
(-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン
からなる群から選択される化合物またはその塩。
【0169】
実施形態(53)。4,4-ジエチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリルである実施形態(52)の化合物またはその塩。
【0170】
実施形態(54)。6-クロロ-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オンである実施形態(52)の化合物またはその塩。
【0171】
実施形態(55)。4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリルである実施形態(52)の化合物またはその塩。
【0172】
実施形態(56)。(+)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オンである実施形態(52)の化合物またはその塩。
【0173】
実施形態(57)。(-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オンである実施形態(52)の化合物またはその塩。
【0174】
実施形態(58)。実施形態(1)から(57)のいずれか1つの化合物または医薬的に許容されるその塩および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
実施形態(59)。腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)、便失禁、虚弱、サルコペニア、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症、筋肉ミオパシー、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全、脳卒中後の筋肉機能不全、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下、および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の治療のための、実施形態(1)から(57)のいずれか1つの化合物または医薬的に許容されるその塩を含む医薬組成物。
【0175】
実施形態(60)。腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)、便失禁、虚弱、サルコペニア、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症、筋肉ミオパシー、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全、脳卒中後の筋肉機能不全、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下、および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の治療のための医薬組成物を製造するための、実施形態(1)から(57)のいずれか1つの化合物または医薬的に許容されるその塩の使用。
【0176】
実施形態(61)。腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)、便失禁、虚弱、サルコペニア、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症、筋肉ミオパシー、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全、脳卒中後の筋肉機能不全、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下、および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の治療のための、実施形態(1)から(57)のいずれか1つの化合物または医薬的に許容されるその塩の使用。
【0177】
実施形態(62)。腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)、便失禁、虚弱、サルコペニア、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症、筋肉ミオパシー、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全、脳卒中後の筋肉機能不全、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下、および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の治療のための、対象に有効量の実施形態(1)から(57)のいずれか1つの化合物または医薬的に許容されるその塩を投与するステップを含む方法。
【0178】
実施形態(63)。腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)、便失禁、虚弱
、サルコペニア、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症、筋肉ミオパシー、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全、脳卒中後の筋肉機能不全、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下、および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、実施形態(1)から(57)のいずれか1つの化合物または医薬的に許容されるその塩。
【0179】
実施形態(64)。腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)、便失禁、虚弱、サルコペニア、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症、筋肉ミオパシー、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全、脳卒中後の筋肉機能不全、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下、および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の治療における使用説明書及び、実施形態(1)から(57)のいずれか1つの化合物または医薬的に許容されるその塩を含むキット。
【0180】
実施形態(65)。実施形態(1)から(57)のいずれか1つの化合物または医薬的に許容されるその塩を含む製品。
本明細書に記載の、式(I)に関する如何なる変形形態も、そのようなありとあらゆる変形形態が具体的に式(I’)について記載されていた場合と同様に式(I’)に適用され得る。同様に、本明細書に記載の、式(I’)に関する如何なる変形形態も、そのようなありとあらゆる変形が具体的に式(I)について記載されていた場合と同様に式(I)に適用され得る。さらに、本明細書に記載のX1、X2、R1、R2、R3、R4、R5、R6およびR0の各々の変形形態は、個々の組み合わせが具体的かつ別々に記載されていた場合と同様に互いに組み合わされ得る。
【0181】
式(I)または式(I’)の化合物に関して、置換基の種類に応じてそれらの互変体または幾何異性体が存在し得る。本明細書において、式(I)または式(I’)の化合物は一部の例において異性体の一形態のみ記載される場合があるが、本発明は他の異性体、異性体の単離形態、またはそれらの混合物も含む。
【0182】
さらに、式(I)または式(I’)の化合物の一部は一部の例において不斉炭素原子または不斉性を有してもよく、相応にそれらの光学異性体が存在し得る。本発明は式(I)もしくは式(I’)の化合物の光学異性体、または任意の比率での光学異性体の混合物の単離形態を含む。
【0183】
加えて、式(I)または式(I’)で表わされる化合物の医薬的に許容されるプロドラッグも本発明に含まれる。医薬的に許容されるプロドラッグは、加溶媒分解により、または生理学的条件下でアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基などに変換され得る基を有する化合物を指す。プロドラッグを形成する基の例として、Prog.Med.、5、2157-2161(1985)または「医薬品の開発」(廣川書店、1990年)、第7巻、分子設計、163-198に記載の基が挙げられる。
【0184】
さらに、式(I)または式(I’)の化合物の塩は式(I)または式(I’)の化合物の医薬的に許容される塩であり、式(I)または式(I’)の化合物は一部の例において置換基の種類に応じて酸添加塩または塩基を有する塩を形成し得る。具体例として、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、およびリン酸などの無機酸との酸添加塩、お
よび、ギ酸、酢酸、プロパン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、マンデル酸、酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、ジトリル酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、およびグルタミン酸などの有機酸との酸添加塩、ならびにナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムなどの金属アニオンを有する塩、メチルアミン、エチルアミン、およびエタノールアミンなどの有機塩基を有する塩、ならびにアセチルロイシン、リシン、およびオルニチンなどの様々なアミノ酸を有する塩、あるいはアミノ酸誘導体、アンモニウム塩などが挙げられる。
【0185】
加えて、本発明は式(I)または式(I’)の化合物およびそれらの塩の様々な水和物または溶媒和物、および結晶多形物質をも含む。加えて、本発明は様々な放射性または非放射性の同位体で標識化された化合物をも含む。
【0186】
式(I)もしくは式(I’)の化合物、またはそれらの塩は、基本構造または置換基の種類に基づく特徴を使用して、様々な既知の合成方法の応用によって調製することができる。官能基の型に応じて、一部の例では出発物質から中間体に至るステップで、適切な保護基(容易に官能基へと変換され得る基)で官能基を保護すると有利である。保護基の例として、“Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis(5th edition、John Wiley & Sons,Inc.、2014)”、P.G.M.Wuts編などに記載の保護基が挙げられ、これらを反応条件に応じて適切に選択し、使用してもよい。これらの方法では、保護基を導入して反応を実行し、その後、望ましい場合は保護基を除去することにより、所望の化合物を得ることができる。
【0187】
加えて、式(I)または式(I’)の化合物のプロドラッグは、出発物質から中間体に至るステップで、上述の保護基と同じ要領で特定の基を導入することにより、あるいは取得した式(I)または式(I’)の化合物を使用する反応をさらに実行することにより、調製することができる。反応は通常のエステル化、アミド化、および脱水など、当業者にとって既知の方法の応用によって実行することができる。
【0188】
以下、式(I)または式(I’)の化合物、ならびに出発化合物である式(a)の化合物の典型的な調製方法を記載する。製造工程は各々、本明細書の記述に併記されている文献を参考に実行してもよい。さらに、本発明の調製方法は下記の実施例に限定されない。
【0189】
製造工程1
【0190】
【0191】
(式中、R3a、R4aは、同一または互いに異なる、ハロゲンおよび-OHからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-3アルキル、または-OH、ならびにピラゾリルおよびチエニルからなる群から選択されるヘテロアリールであって、1つまたは複数のC1-6アルキルで置換されていてもよいヘテロアリールか
らなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC2-6アルケニルを表わし、以下、これが適用される)。
【0192】
この反応は、本発明の化合物である式(Ia)の化合物を、ピクテ-スペングラー反応として知られる環化反応によって製造するための方法である。
この反応は、式(a)および(b)の化合物を等量ずつ、またはいずれかを過剰量で使用して、通常0.1時間から5日間にわたり、反応に対して不活性な溶媒中で、または溶媒を使用せずに、冷却から加熱還流に至る範囲の温度条件下にて、酸性条件で混合物を撹拌することによって実行される。ここで使用する酸は特に限定されないが、例として塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸、メタンスルホン酸、およびイートン試薬が挙げられる。Synthetic Communications、32(12)、1787-1790(2002)なども参照のこと。
【0193】
製造工程2
【0194】
【0195】
(式中、R1aは、ハロゲンおよびピラゾリルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキル、ii)C2-6アルケニル、またはiii)-OR0を表わし、以下、これが適用される)。
【0196】
この製造工程は、式(I)または式(I’)の化合物に含まれる式(Ic)の化合物を、同じく式(I)または式(I’)に含まれる式(Ib)の化合物および式(c)の化合物から製造するための方法である。L1の例としてクロロなどが挙げられる。
【0197】
この反応は、式(Ib)の化合物および式(c)の化合物を等量ずつ、またはいずれかを過剰量で使用して、通常0.1時間から5日間にわたり、反応に対して不活性な溶媒中で、冷却から加熱に至る範囲の温度条件下、好ましくは-20℃~60℃にて、塩基の存在下で混合物を撹拌することによって実行される。ここで使用する塩基は特に限定されないが、例として水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、炭酸カリウムおよび炭酸セシウムが挙げられる。ここで使用する溶媒は特に限定されないが、例としてベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-オン、1-メチルピロリジン-2-オン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、アセトニトリル、水、およびこれらの混合物が挙げられる。国際公開第2011/159760A1号および国際公開第2005/26120号なども参照のこと。
【0198】
製造工程3
【0199】
【0200】
この製造工程は、式(Id)の化合物を式(d)の化合物および化合物(e)から製造するための方法である。
この反応は、式(d)の化合物および式(e)の化合物を2モル当量以上の式(e)の化合物の存在下で使用して、通常0.1時間から5日間にわたり、反応に対して不活性な溶媒中で、冷却から加熱に至る範囲の温度条件下、好ましくは-40℃~60℃、より好ましくは-20℃~60℃にて、2モル当量以上の塩基の存在下で混合物を撹拌することによって実行される。ここで使用する塩基は特に限定されないが、例として水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、炭酸カリウム、および炭酸セシウムが挙げられる。ここで使用する溶媒は特に限定されないが、例としてベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-オン、1-メチルピロリジン-2-オン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、アセトニトリル、水、およびこれらの混合物が挙げられる。国際公開第2011/159760号なども参照のこと。
【0201】
製造工程4
【0202】
【0203】
(式中、Xaはハロゲンを表わす)。
この反応は、本発明の化合物である式(Ie)の化合物を環化反応によって製造するための方法である。
【0204】
この反応は、式(f)の化合物を等量以上の塩基の存在下で使用して、通常0.1時間から5日間にわたり、冷却から室温に至る範囲の温度条件下にて、反応に対して不活性な溶媒中で、または溶媒を使用せずに混合物を撹拌することによって実行される。ここで使用する塩基は特に限定されないが、例としてナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド
、水素化ナトリウム、およびカリウムtert-ブトキシドが挙げられる。ここで使用する溶媒は特に限定されないが、例としてジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-オン、1-メチルピロリジン-2-オンなどが挙げられる。さらに、溶媒と水の混合溶媒が反応に大いに適する場合もある。国際公開第2008/82009号なども参照のこと。
【0205】
製造工程5
【0206】
【0207】
この反応は、本発明の化合物である式(If)の化合物を脱炭酸反応によって製造するための方法である。
この反応は、式(Ie)の化合物を等量以上の酸の存在下で使用して、通常0.1時間から5日間にわたり、反応に対して不活性な溶媒中で、または溶媒を使用せずに、冷却から加熱還流に至る範囲の温度条件下にて、酸性条件で混合物を撹拌することによって実行される。ここで使用する酸は特に限定されないが、例として塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、および硫酸が挙げられる。ここで使用する溶媒は特に限定されないが、例としてジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、N,N-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。さらに、溶媒と水の混合溶媒が反応に大いに適する場合もある。J.Org.Chem.、1983、48(6)、791-796頁、Org.Lett.、2011、Vol.13、5560-5563頁なども参照のこと。
【0208】
製造工程6
【0209】
【0210】
この反応は、本発明の化合物である式(Ih)の化合物を式(Ig)の化合物から、Pd触媒を使用するシアン化によって製造するための方法である。
この反応は、式(Ig)の化合物およびシアン化試薬を使用して、通常0.1時間から5日間にわたり、反応に対して不活性な溶媒中で、または溶媒を使用せずに、冷却から加熱還流に至る範囲の温度条件下にて、またはマイクロ波照射を使用して、混合物を撹拌することによって実行される。ここで使用するシアン化試薬は特に限定されないが、例としてCuCN、Zn(CN)2、KCNが挙げられる。さらに、パラジウム(II)ジアセテート、Pd2(dba)3、Pd(TFA)2または[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)などのパラジウム触媒の存在が反応に大いに適する場合もある。さらに、ジ-tert-ブチル(2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル-2-イル)ホスフィン(tBuXphos)、2’,4’,6’-ジイソプロピル-1,1’-ビフェニル-2-イルジシクロヘキシルホスフィン(Xphos)、または1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)の存在が反応に適する場合もある。さらに、Znの存在が反応に適する場合もある。ここで使用する溶媒は特に限定されないが、例としてジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。さらに、溶媒と水の混合溶媒が反応に大いに適する場合もある。Org.Lett.、2007、9(9)、1711-1714頁、Med.Chem.Lett.、2013、4(2)、211-215頁、Journal of Medicinal Chemistry、2005、vol.48、3953-3979頁などを参照のこと。
【0211】
式(I)または式(I’)の化合物の一部を、化合物(If)から、鈴木カップリング、ipso置換などの、既知の反応によって調製することができる。国際公開第2010/131145号、国際公開第2008/147547号、および米国特許第6809097号なども参照のこと。
【0212】
式(I)または式(I’)の化合物の一部を、式(I)または式(I’)の化合物から、ハロゲン化、還元、水酸化、アミド縮合などの、既知の反応によって調製することができる。Bioorganic and Medicinal Chemistry、2011、vol.19、1666-1673頁、Journal of Organic Chemistry、1980、vol.45、4391-4398頁、および国際公開第2010/51373号なども参照のこと。
【0213】
式(d)の化合物は、製造工程1と同じ方法で調製することができる。式(I)または式(I’)の化合物を調製するためのいくつかの合成中間体を、既知の化合物から、既知の合成方法または本明細書に記載の合成方法によって調製することができる。国際公開第2008/3690号、Org.Lett.、2007、9(9)、1711-1714頁、Med.Chem.Lett.、2013、4(2)、211-215頁、J.Org.Chem.2013、78、2661-2669頁、Bioorganic and
Medicinal Chemistry Letters、2010、vol.20、1890-1894頁、およびJ.Org.Chem.2013、78、2786-2791頁なども参照のこと。
【0214】
合成中間体製造工程1
【0215】
【0216】
この反応は、式(g)の化合物および式(h)の化合物を塩基性条件下で使用して、通常0.1時間から5日間にわたり、冷却から室温に至る範囲の温度条件下にて、反応に対して不活性な溶媒中で、または溶媒を使用せずに、混合物を撹拌することによって実行される。ここで使用する塩基性試薬は特に限定されないが、例としてn-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウムが挙げられる。ここで使用する溶媒は特に限定されないが、例としてジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル、n-ヘキサン、n-ペンタンなどの炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素が挙げられる。
【0217】
合成中間体製造工程2
【0218】
【0219】
(式中、R00はC1-6アルキルを表わし、以下、これが適用される)。
この反応は、式(j)の化合物およびR00-OCO-Lv(LvはO-(C1-6アルキル)またはハロゲンを表わす)を使用して、通常0.1時間から5日間にわたり、冷却から室温に至る範囲の温度条件下にて、反応に対して不活性な溶媒中で、または溶媒を使用せずに、塩基性条件下で混合物を撹拌することによって実行される。ここで使用する塩基性試薬は特に限定されないが、例としてn-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、およびリチウム2,2,6,6-テトラメチルピペリジドが挙げられる。ここで使用する溶媒は特に限定されないが、例としてジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル、n-ヘキサン、n-ペンタンなどの炭化水素が挙げられる。
【0220】
合成中間体製造工程3
【0221】
【0222】
この反応は、式(k)の化合物を酸性条件で使用して、反応に対して不活性な溶媒中で、または溶媒を使用せずに、通常0.1時間から5日間にわたり、冷却から室温に至る範囲の温度条件下で混合物を撹拌することによって実行される。ここで使用する酸は特に限定されないが、例として塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、硫酸、硝酸および塩化チオニルが挙げられる。ここで使用する溶媒は特に限定されないが、例として酢酸エチル、アセトニトリル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテル、n-ヘキサン、n-ペンタンなどの炭化水素、メタノール、エタノールなどのアルコールが挙げられる。
【0223】
合成中間体製造工程4
【0224】
【0225】
この反応は、式(m)の化合物を塩基性条件下で使用して、反応に対して不活性な溶媒中で、または溶媒を使用せずに、通常0.1時間から5日間にわたり、冷却から室温に至る範囲の温度条件下で混合物を撹拌することによって実行される。ここで使用する塩基性試薬は特に限定されないが、例として炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、トリエチルアミン、およびN,N-ジイソプロピルエチルアミンが挙げられる。ここで使用する溶媒は特に限定されないが、例として水、メタノール、エタノールなどのアルコール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、シクロペンチルメチルエーテルなどのエーテルなどが挙げられる。
【0226】
合成中間体製造工程5
【0227】
【0228】
(式中、R1bは、ハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC1-6アルキルを表わす)。
この反応は、式(da)の化合物、ペンタメチルシクロペンタジエニルイリジウム(III)ジクロリド二量体およびR1b-OHを使用して、通常0.1時間から5日間にわたり、室温から加熱還流に至る範囲の温度条件下にて、またはマイクロ波照射を使用して、反応に対して不活性な溶媒中で、または溶媒を使用せずに、塩基性条件下で混合物を撹拌することによって実行される。ここで使用する塩基は特に限定されないが、例として水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、炭酸カリウム、および炭酸セシウムが挙げられる。ここで使用する溶媒は特に限定されないが、例としてR1b-OHなどのアルコール、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素が挙げられる。アルコールを溶媒として使用する場合、アルコールはR1b-OHと同じである必要がある。Tetrahedron、65(2009)、4375-4383頁なども参照のこと。
【0229】
式(I)または式(I’)の化合物は、その遊離化合物、または塩、水和物、溶媒和物、または結晶多形物質として単離および精製される。式(I)または式(I’)の化合物の塩を、従来の方法で調製してもよい。
【0230】
単離および精製は、抽出、分画結晶化および様々な型の分画クロマトグラフィーなど、一般的な化学操作の採用によって実行される。
様々な異性体を、適切な出発化合物の選定によって調製でき、または異性体間での物理化学的特性の違いを使用する分離方法によって分離することができる。例えば、光学異性体を、ラセミ化合物の一般的な光学的分離方法(例えば、光学的に活性な塩基または酸を有するジアステレオマー塩中に化合物を導入する分画結晶化、キラルカラムなどを使用するクロマトグラフィーなど)を手段として取得する、または光学的に活性の適切な出発化合物から調製することもできる。
【0231】
式(I)または式(I’)の特定の化合物の医薬的活性を、以下のアッセイによって確認した。
アッセイ例1。速筋原線維の調製およびアッセイ
速筋原線維の調製。ウサギの骨格筋原線維を、Herrmann et al.(Biochem.32(28):7255-7263(1993)の方法に基づいて調製した。Pel-Freez Biologicals(アーカンソー州)から購入したウサギの腰筋から、発注後2日以内に筋原線維を調製し、氷上で保存した。Omni-Macroホモジナイザーを使用して、ミンチ状にした筋肉を、5mMのエチレンジアミン四酢酸(EDTA)および0.5%のTritonX-100を含有する、10容量の氷冷「標
準」緩衝液(50mMのTris、pH7.4、0.1MのKOAc、5mMのKCl、2mMのジチオトレイトール(DTT)、0.2mMのフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF)、10μMのロイペプチン、5μMのペプスタチン、および0.5mMのアジ化ナトリウム)中で均質化した。低速遠心分離(3000rpmを10分間)によって筋原線維を回収し、TritonX-100を含有する緩衝液で2回洗浄することによって細胞膜が確実に除去されるようにした。Tritonでの洗浄に続き、2mMの酢酸マグネシウムを含有する「標準」緩衝液中で筋原線維を3回洗浄した。アッセイ緩衝液(12mMのピペラジン-1,4-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、pH6.8、60mMのKCl、1mMのDTT)中で最終洗浄を実施し、液体窒素中での瞬間冷凍向けに10%の蔗糖に移し、-80℃で保存した。
【0232】
速筋原線維の活性化。商標名のPUMA(商標)(米国特許第6,410,254号、第6,743,599号、第7,202,051号、および第7,378,254号などを参照のこと)アッセイシステムを使用して筋肉の筋原線維調製物の酵素活性を測定することによって、速筋線維活性化因子を同定した。筋原線維調製物は、機械的に均質化され、細胞膜を除去するために洗浄剤(TritonX-100)で洗浄したウサギ骨格筋(約90%の速筋線維)で構成された。この調製物は、生来の配座における全てのサルコメア構成成分を保持し、酵素活性は引き続きカルシウムによって調節されていた。筋原線維懸濁液および筋原線維の最大酵素活性の25%にまで筋原線維の酵素活性を増加させるうえで十分なカルシウム濃度(pCa25と呼ばれる)を使用して化合物を試験した。酵素活性を、ピルビン酸キナーゼおよび乳酸デヒドロゲナーゼ結合酵素系を介して追跡した。このアッセイは、NADHの酸化によって、ミオシン生成するADPをATPへと再生し、340nmで吸収度変化を生じる。緩衝系は、pH6.8の、12mMのPipes、2mMのMgCl2、1mMのDTT(PM12緩衝液)であった。データをAC1.4として報告した。これは化合物が酵素活性を40%増加させた濃度を指す。結果は下記の表2に要約されている。表2において、「Ex.Cmpd.」は下記の表4に記載の構造を参照する実施例化合物を意味する。
【0233】
【0234】
【0235】
【0236】
【0237】
アッセイ例2。ラットの等尺性足首足底筋の調製および筋力アッセイ
メスのSprague Dawleyラットに吸入イソフルラン(1~5%)で麻酔を掛け、安定麻酔状態にした。右脚大腿部を1箇所切開して坐骨神経を露出させた。足首背屈筋の共収縮を防ぐため、膝蓋骨の側方をさらに1箇所切開して腓骨神経を単離および分断した。ラットをその後、温度を維持する原位置筋肉分析装置(Aurora Scientific製、806C型)に載せた。鋭利な2本のスクリューの間のクランプに膝を挟んで固定し、力変換器(Aurora Scientific(カナダ、オンタリオ州
)製)に取り付けたフットプレートに足をテープで留めた。ステンレス鋼針電極(0.10mm)を、露出した坐骨神経の周囲にフックで留めた。等尺性足首足底筋の筋収縮力を、足首関節が90°屈曲した状態で評価した。30Hzの電気刺激(最大上電圧条件下)を神経に加え、結果的な筋力をサーボモーター経由で記録した。投与前の30Hzの力応答を、ベースライン力とした。投与前の150Hzの筋力応答を、最大等尺性筋力とした。化合物を、50%のポリエチレングリコール(PEG)、16%のCavitron、10%のジメチルアセトアミド(DMA)を含有する形で配合し、60分間にわたる持続静脈注入によって投与した。化合物に対する筋力応答を、投与期間にわたり2分おきに測定した。データを推定EC50値として報告した。これは筋力が投与前最大緊張の50%となる濃度である。EC50の結果は下記の表3に要約されている。表3において、「Ex.Cmpd.」は下記の表4に記載の構造を参照する実施例化合物を意味する。
【0238】
【0239】
【0240】
アッセイ例3。ラットのトレッドミル走行能力の調製およびアッセイ
メスのSprague Dawleyラットを、トレッドミル(Columbus Instruments製)に順応させた。ラットを、5°の傾斜のトレッドミル上で分速25メートル(m/分)で10分間ずつ5日間にわたり走るよう訓練した。トレッドミル走行能力に対する化合物の効果を評価するため、盲検型(experimenter-blinded)クロスオーバートレッドミル研究を実施した。トレッドミル試験に先立ち、各化合物の薬物動態特性に基づいた前処置時間でラットにビヒクル(0.5%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)/0.2%のTween-80)または化合物を投与した。ラットはその後、一定の35m/分または25~45m/分の範囲の段階的速度で最長150分間、極度の疲労に達するまで走った。トレッドミルの時間を記録した。1回目のトレッドミル試験の2日後、ラットに逆の処置を施し、トレッドミル試験手順を繰り返し行った。血漿化合物分析向けに末端血液を採取した。トレッドミル走行距離のデータが
図1に要約されている。
【0241】
トレッドミル走行距離の増加。
図1に示されるとおり、実施例化合物20および実施例化合物22bがトレッドミル走行距離を増やした。
アッセイ例4。単離した外部肛門括約筋(EAS)の電場刺激(EFS)誘発性収縮の調製およびアッセイ
ラットから単離したEASのEFS誘発性収縮の調製。麻酔下での放血によって安楽死させたメスのSDラット(10~11週齢)からEASを単離した。単離した円形EASを切断し、2本の条片に分けた。各条片の一方の端部を、増幅器(AP-621G、日本光電製)およびインターフェース(Power Lab、Ad Instrtument製)に接続した張力変換器(TB-611T、日本光電製)に吊り下げ、吊り下げた条片を、Krebs緩衝液で満たした組織槽中にセットした。Krebs緩衝液を95%のO
2および5%のCO
2で曝気し、37℃の状態に維持した。条片のもう一方の端部を、ドライブ増幅器(SEG-3104、日本光電製)に接続したEFSシステム(SEN-7203およびSEN-8203、日本光電製)の電極に吊り下げた。吊り下げた条片をKrebs緩衝液で洗浄し、0.5gの張力状態で30分間放置して静止張力を安定させた。このステップ(条片の洗浄および30分間放置)を3回繰り返して、静止張力を完全に安定させた。安定させた帯を単一パルス(20Vおよび30μ秒のパルス幅)で刺激し、60mgを超える収縮を示した条片を選択して次のEFS収縮に使用した。選択した条片をKrebs緩衝液で洗浄した後、20Vの刺激電圧、30μ秒のパルス幅、周波数20Hz、持続時間1秒間の条件で条片にEFSを施した。EFSを30秒間隔で3回繰り返した。収縮力を、プレEFS収縮とポストEFS収縮の間における条片の張力差として定義した。プレ収縮を、化合物を投与しない3回のEFSにおける収縮力の平均として定義した。プレ収縮の測定後、実施例化合物20、実施例化合物22b、またはDMSOを、条片を入れたKrebs緩衝液に添加した。添加の15分後、条片にEFSを3回、30秒間隔で施した。ポスト収縮を、各化合物を入れた3回のEFSにおける収縮力の平均として定義し、プレ収縮に対する割合(%)として計算した。実施例化合物20または実施例化合物22bの効果を、ダネット多重比較検定を使用して分析した(0.05未満の確率値を有意差と見なした)。データを平均±平均の標準誤差(SEM)として表わした。
【0242】
単離したEASにおけるEFS誘発性収縮の増加。
図2および
図3に記載のとおり、実施例化合物20および実施例化合物22bは、ラットから単離したEASのEFS誘発性収縮を増加させた。
【0243】
アッセイ例5。陰部神経の電気刺激によって誘発される肛門圧の調製およびアッセイ
陰部神経の電気刺激によって誘発されるラットの肛門圧の調製。メスのSDラット(11~12週齢)を12~16時間絶食させ、ウレタン(1.2g/kg、皮下注射)で麻酔を掛けた。試験物質投与用のカニューレ(PE50)を頸静脈に挿入した。背下部を切開し、電気刺激用電極を片側の陰部神経の下に配置した。肛門圧測定用のUniTipカテーテル(Unisensor AG製)を増幅器(AP-612G、日本光電製)およびインターフェース(Power Lab、ADInstrument製)に接続し、肛門外口から肛門に挿入した。陰部神経刺激(PudNS、周波数:10Hz、パルス幅:50μ秒、持続時間:400ミリ秒、電圧:1V)を電気刺激装置(SEN-3401、日本光電製)によって加え、カテーテルの位置を、PudNS誘発性の肛門圧上昇が安定的に生じ得る箇所に固定した。最大肛門圧の約30~90%の上昇が1~10Vで生じるよう、電圧を調節した。試験物質を評価するため、PudNS(周波数:10Hz、パルス幅:50μ秒、持続時間:400ミリ秒、電圧:上述のとおり調節)を1分間隔で繰り返した。試験物質を投与する前に、少なくとも3回の肛門圧上昇が生じ、おおよそ同等と確認された。ビヒクル、実施例化合物20(3mg/mL/kg)または実施例化合物22b(3mg/mL/kg)を静脈内投与した。投与前の直前3回の肛門圧上昇から計算した平均圧力と、投与後1~4分の間の3回の肛門圧上昇から計算した平均圧力をそれぞれ、プレ圧力およびポスト圧力として定義した。データをプレ圧力に対する割合として表
わし、ビヒクル、実施例化合物20または実施例化合物22bの効果を、ダネット多重比較検定を使用して分析した(0.05未満の確率値を有意差と見なした)。データを4匹の動物の平均±SEMとして表わした。
【0244】
PudNS誘発性肛門圧上昇。
図4に記載のとおり、実施例化合物20および実施例化合物22bは、PudNS誘発性肛門圧上昇を著しく増強した。
アッセイ例6。腹圧を加えた状態での尿漏出圧(LPP)の調製およびアッセイ
腹圧を加えた状態での尿漏出に関するラットモデルの調製。Conway et. al.(Int Urogynecol J 16:359-363、2005)の方法に基づいて、ラットモデルを調製した。メスのSDラット(10~14週齢)にペントバルビタールで麻酔を掛けた。開腹後、膀胱体部を切開し、カニューレ(PE100、Becton、Dickinson and Company製)を膀胱に挿入して縫合した。加えて、別のカニューレ(PE100、Becton、Dickinson and Company製)を十二指腸に挿入して縫合した。腹部を閉じた後、膀胱内の尿を排出させ、膀胱カニューレ経由で生理食塩水を注入した。膀胱内の生理食塩水の量を、最大膀胱容量の75%に維持した(尿道口から生理食塩水が漏れ始める容量を、最大容量とした)。その後、注入ポンプ(TE-331SおよびSTC-525、テルモ製)を使用して膀胱カニューレ経由で生理食塩水を0.6mL/時で注入し、膀胱圧を、次の機器、圧力変換器(DX-100、日本光電製)、圧力増幅器(AP-601G、AP-621GおよびAP630G、日本光電製)およびインターフェース(Power Lab、ADInstrument製)を使用して記録した。生理食塩水注入と同時に、50mLのプラスチック製遠心分離管の蓋側を使用してラットの腹部を手作業で圧迫し、尿道口から漏出が始まる時点での膀胱圧をLPPとして定義した。腹部圧迫を6回以上、1分間隔で繰り返した。化合物投与直前3回のLPPスコアの平均を、プレLPPとした。5mL/kgの実施例化合物20、実施例化合物22b、またはビヒクル(13.3%のDMSO、13.3%のPEG400、13.3%のTween20、および60%の蒸留水)を十二指腸カニューレ経由で投与し、投与後5分、15分、30分、45分および60分経過時点それぞれの段階で3回ずつ測定した。デルタLPPを、プレLPPからの差に基づいて計算した。
【0245】
LPPの増加。
図5および
図6に記載のとおり、実施例化合物20および実施例化合物22bは、腹圧を加えた状態での尿漏出に関するラットモデルにおいて、LPPを増加させた。
【0246】
アッセイ例7。脊髄損傷(SCI)後におけるBasso-Beattie-Bresnahan(BBB)スコアの調製およびアッセイ
SCI後のラットモデルの調製。無限水平衝撃器(IH-0400、Precision Systems and Instrumentation製)を使用するScheff et. al.(J Neurotrauma.、2003、Feb;20(2):179-93)の方法に基づいて、ラットモデルを調製した。メスのSDラット(10週齢)に、0.3mg/kgのメデトミジン、4mg/kgのミダゾラム、および5mg/kgのブトルファノールの混合物で麻酔を掛けた(皮下注射)。ラットの背部を切開し、胸椎をT8からT12まで露出させた。その後、T9およびT10に椎弓切除を実施した。IH-0400のステージ上で、ラットの露出脊柱を、IH-0400の接合部に取り付けた2個の鉗子で挟んで安定させた。接合部および鉗子をそれぞれきつくロックした。T9およびT10の負傷を、210kdynのロッド衝撃によって誘発した。背部を閉じた後、ラットをケージ1つに1匹ずつ収容して術後ケアを施し、術後ケアには、SCI後1週間にわたる5mLの食塩水および50mg/kgのセファメジンの1日2回ずつの皮下注射、ならびに膀胱機能が回復するまでのCrede手順による1日2回ずつのラットの膀胱の手動圧搾が含まれる。3回の時間スロットにおいて(SCI後6~7日目、1
3~14日目、および20~21日目)、試験物質(実施例化合物52およびビヒクル)の投与およびBBBスコアリングを、
図7に示されるとおり実施した。実施例化合物52またはビヒクルの効果を、対応のないt検定を使用して分析した(0.05未満の確率値を有意差と見なした)。データを平均±SEMとして表わした。
【0247】
BBBスコアの増加。
図8に示されるとおり、実施例化合物52はSCI後のラットモデルにおいてBBBスコアを増加させた。
アッセイ例8。慢性閉塞性肺疾患(COPD)筋肉生検における力-カルシウムの関係の調製およびアッセイ
原発性肺腫瘍を除去するための開胸術を受けた対照患者およびCOPD患者から、横隔膜および広背筋の生検標本を取得した。COPD患者全員を、GOLD分類に従って中度または重度の疾患を有する患者として分類した。新鮮な生検の一部を、高濃度のプロテアーゼ阻害剤(1.0mMのDTT、0.24mMのPMSF、0.4mMのロイペプチン、0.1mMのE64)を含有する4mLの弛緩グリセロール(relax-glycerol)溶液(5.89mMのNa
2ATP、6.48mMのMgCl
2、40.76mMのKprop、100mMのBES、6.97mMのEGTA、14.50mMのCrP)中で24時間にわたり-20℃で放置した。その後、約1~1.5mmの単一線維区間を、5℃の弛緩溶液中で単離した。両端にアルミニウム製クリップを2個取り付けた。低温(5℃)の皮膚剥離溶液(1%のTriton X-100、1.0mMのDTT、0.24mMのPMSF、0.04mMのロイペプチン、0.01mMのE64を含有する弛緩溶液)中で10分間にわたり筋原線維を培養して細胞膜を透過性にし、外因性カルシウムで筋フィラメントが活性化するようにした。その後、倒立顕微鏡(Ziess(オランダ)製)のステージにガラス製カバースリップの底を載せた状態で、弛緩溶液を充填したチャンバー(200μL)内の2個のステンレス鋼製フック上に筋原線維を横向きに載せた。一方のフックを力変換器(403A型、Aurora Scientific Inc.(カナダ、オンタリオ州)製)に取り付け、共鳴周波数を10kHzに設定した一方、もう片方をサーボモーター(315C型、Aurora Scientific Inc.(カナダ、オンタリオ州オーロラ)製)に取り付け、ステップ時間を250μ秒に設定した。線維の寸法を、対物レンズに連結したカメラ装置で測定した。線維の長さを倍率100倍で判断し、深度と幅を細胞の最も幅広の部分(筋原線維を楕円形断面とみなした)で倍率400倍で測定した。専用のAuroraソフトウェアを使用して、サルコメア長を2.5μmに設定することにより、線維を最適な長さまで引き延ばした。機械的処理手順全体にわたり、クリップ内での安定した線維付着を確保するため、実験に先立って筋原線維を素早く最大限に活性化させ、必要な場合は2.5μmのサルコメア長まで再度引き延ばした。自動槽制御装置を使用して、単一の筋原線維を弛緩溶液から最大活性化前溶液、準最大活性化溶液および最大活性化溶液(5.97mMのNa2ATP、7.0mMのCaEGTA、6.28mMのMgCl、40.64mMのKprop、100mMのBESおよび14.50mMのCrP。pCaの範囲は4.5から9)に移した。実験中、データ取得ボード(10000Hzのサンプリングレート)によってデータを自動的に収集した。全ての測定を20℃で実施した。ビヒクル(1%のDMSO)または5μMの実施例化合物20と併せてカルシウム濃度を漸進的に増やした溶液で線維を活性化し、得られた力を記録した。対象毎に少なくとも5本ずつの速筋線維を分析した。取得した力-pCaデータをHill方程式に当てはめ、pCa50の値を得た。5μMの実施例化合物20は、対照およびCOPD双方の横隔膜において、カルシウムに対する力の感受性を高めた(対照群は5.74±0.02対6.11±0.03、COPD群は5.76±0.02対6.11±0.02、平均±SEM、n=6/群、p<0.0001)。5μMの実施例化合物20は、対照群およびCOPD群双方の広背筋において、カルシウムに対する力の感受性を高めた(対照群は5.76±0.02対6.11±0.03、COPD群は5.78±0.02対6.11±0.02、平均±SEM、n=6/群、p<0.0001)。力-pCaのデータが
図9および
図10に要約されている。有意性は
*p
<0.05対ビヒクル処置として定義される。
【0248】
式(I)または式(I’)の化合物またはその塩は、骨格筋サルコメアの収縮性を調節し、したがって、1)神経筋障害、2)随意筋の障害、3)筋力低下、萎縮および疲労が顕著な症状であるCNS障害、4)全身障害に由来する筋肉の症状、ならびに5)骨盤底筋および尿道/肛門括約筋の機能障害の予防または治療のための薬剤として使用されることが期待される。
【0249】
本発明の一実施形態において、本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、神経筋疾患、すなわち神経-筋肉単位の一部に影響を及ぼす疾患の治療に使用されることが期待される。神経筋疾患の例として1)運動単位の疾患(延髄および原発性側索硬化症(PLS)変異型を含む筋萎縮性側索硬化症(ALS)、1~4型の脊髄性筋萎縮症(SMA)、ケネディ症候群、ポリオ後症候群、運動神経障害(重症疾患多発神経障害などを含む)、伝導ブロックを伴う多巣性運動神経障害、シャルコー-マリー-トゥース病および他の遺伝性運動神経障害/感覚神経障害、ならびにギランバレー症候群、2)神経筋接合部の障害(重症筋無力症、ランバート-イートン筋無力症候群、および薬物または毒物に起因する長期間の神経筋遮断を含む)、ならびに3)末梢神経障害(急性炎症性脱髄性多発性神経障害、糖尿病性神経障害、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害、外傷性末梢神経病変、ハンセン病の神経障害、血管炎性神経障害、皮膚筋炎/多発性筋炎、およびフリードライヒ運動失調症の神経障害が挙げられる。
【0250】
本発明の別の実施形態において、本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、随意筋の障害の治療に使用されることが期待される。随意筋の障害の例として1)筋ジストロフィー(デュシェンヌ型、ベッカー型、肢帯筋、顔面肩甲上腕型、肢帯筋、エメリー-ドレフュス型、眼咽頭および先天性筋ジストロフィーを含む)、および2)ミオパシー(ネマリンミオパシー、セントラルコア病、先天性ミオパシー、ミトコンドリア性ミオパシー、急性ミオパシー、炎症性ミオパシー(皮膚筋炎/多発性筋炎および封入体筋炎など)、内分泌性ミオパシー(甲状腺機能亢進症または甲状腺機能低下に伴うものなど)、クッシング症候群またはクッシング病またはアジソン症候群またはアジソン病および下垂体障害、代謝性ミオパシー(糖原貯蔵障害(マッカードル病、ポンペ病など)など)、薬物誘発性ミオパシー(スタチン、抗レトロウイルス薬物、ステロイドミオパシー)拘束性肺疾患、サルコイドーシス、シュワルツ-ヤンペル症候群、限局性筋萎縮症、および遠位型ミオパシーなどが挙げられる。
【0251】
本発明の具体的な実施形態において、本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療に使用されることが期待される。ALSは、一般的に中年期以降に起こり(50歳以上)、初期の脚弱から運動麻痺および死へと急速に進行する疾患である。診断後の一般的な推定寿命は、3~5年である。大部分のALS患者について、疾患の原因は不明である(自然発生型と呼ばれる)一方、ごく一部の患者は、遺伝的形態(家族性)の疾患を有する。この状態は運動ニューロンの進行性の死を引き起こすが、原因は明確でない。生き残っている運動単位は、より多くの線維を支配することにより(出芽と呼ばれる)死んでゆく運動単位の埋め合わせをしようと試みるが、続いて筋肉に協調および疲労の問題が生じる傾向が高いことから、筋機能は部分的にしか修正できない。最終的に生き残っている運動ニューロンが死滅する結果、影響を受けた筋肉の完全な運動麻痺が生じる。この疾患は一般的に致命的で、横隔膜への支配が最終的に失われる結果、呼吸不全が生じる。現在、ALSの治療の選択肢は限られている。
【0252】
本発明の別の具体的な実施形態において、本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、脊髄性筋萎縮症(SMA)の治療に使用されることが期待される。
SMAは、運動ニューロンの生存および健康状態に必要と見られるタンパク質、生存運動ニューロン1(SMN1)の変異を介して生じる遺伝的障害である。この疾患は、大多数の患者が11~12歳までしか生存しないことから、小児において最も一般的である。現在、SMAに利用可能な治療法は存在しない。
【0253】
本発明の別の具体的な一実施形態において、本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、重症筋無力症の治療に使用されることが期待される。重症筋無力症は、慢性自己免疫性神経筋疾患であり、この疾患では身体が抗体を作り、この抗体が、神経筋接合部においてシグナル伝達に関与するタンパク質を遮断、変化または破壊する結果、筋収縮の発生を阻止する。これらのタンパク質の例として、ニコチン性アセチルコリン受容体(AChR)、またはさほど多くはないが、AChRクラスタリングに関与する筋特異的チロシンキナーゼ(MuSK)が挙げられる(Drachman、N.Eng.J.of Med.、330:1797-1810、1994などを参照のこと)。この疾患は、身体の骨格筋(随意筋)の衰弱の程度を変化させることを特徴とする。重症筋無力症の特徴は、活動期間中に増加し、安静期間の後で改善する筋力低下である。重症筋無力症は、どの随意筋にも影響を及ぼし得るが、特定の筋肉、例えば、眼や眼瞼の運動、表情、咀嚼、会話、および嚥下を制御する筋肉などが、常にではないが、多くの場合、障害に関係する。呼吸や首および四肢の運動を制御する筋肉も影響され得る。ほとんどの場合、最初に目立つ症状は眼筋の衰弱である。他の場合、嚥下困難や不明瞭発語が最初の徴候となり得る。重症筋無力症に関係する筋力低下の程度は、患者によって大きく異なり、限局型、眼筋に限定されるもの(眼筋無力症)から、重度または全身性の、多くの筋肉(呼吸を制御する筋肉を含む場合もある)が影響を受ける形態の範囲に及ぶ。型および重症度が異なる症状の例として、片方または両方の眼瞼の下垂(眼瞼下垂)、眼の運動を制御する筋肉の衰弱による霧視または複視(二重視)、不安定歩行またはアヒル歩行、腕、手、指、脚、および首の衰弱、表情の変化、嚥下困難および息切れ、ならびに発語障害(構語障害)が挙げられる。患者の約85%において全身性衰弱が進む。
【0254】
本発明のさらなる実施形態において、本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、サルコペニア、例えば加齢または疾患(HIV感染など)に伴うサルコペニアの治療に使用されることが期待される。サルコペニアは、骨格筋の質量、質および強度の低下を特徴とする。臨床的に、骨格筋組織質量の低下(筋萎縮)は、高齢者における虚弱の原因となる。男性において、筋肉量は50~80歳にかけて3分の1低下する。高齢者において、入院の長期化がさらなる廃用性萎縮をもたらす可能性があり、自立生活能力の潜在的低下やそれに続く身体的な衰えに繋がる。さらに、身体的老化過程は、除脂肪体重の顕著な低下および体幹部肥満性の増加を含め、身体組成に顕著な影響を及ぼす。総体的な肥満性および脂肪分布の変化は、多くの一般的な加齢関連の疾患、例えば高血圧、耐糖能障害および糖尿病、異脂肪血症、ならびにアテローム硬化型循環器疾患などにおいて重要な要因であると見られる。加えて、年齢に伴う筋肉量の減少、およびその後の強度や持久力の減少が、機能的な低下、依存性および障害における極めて重要な決定要因となる可能性もある。筋力低下も、高齢者を転倒しやすくさせ、結果的に罹患率および死亡率に繋がる主要な要因である。
【0255】
本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、悪液質の治療に使用されることが期待される。悪液質は、多くの場合、がんまたは他の重大な疾患もしくは状態に伴う状態であり(慢性閉塞性肺疾患(COPD)、心不全、慢性腎疾患および腎透析など)、脂肪組織および骨格筋の損失に起因する進行性の体重減少、筋萎縮および疲労を特徴とする。
【0256】
本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、筋ジストロフィーの治療に使用されることが期待される。筋ジストロフィーは、進行性の筋力低下、筋線維の
破壊および再生、ならびに線維性および脂肪性の結合組織による最終的な筋線維の置換が特徴であると考えられる。
【0257】
本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、手術後の筋力低下、すなわち外科処置後における1つまたは複数の筋肉の強度低下の治療に使用されることが期待される。衰弱は全身性(すなわち全身衰弱)の場合もあれば、特定の領域、身体の側面、四肢または筋肉に局在化する場合もある。
【0258】
本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、外傷後の筋力低下、すなわち外傷発生(身体負傷など)後における1つまたは複数の筋肉の強度低下の治療に使用されることが期待される。衰弱は全身性(すなわち全身衰弱)の場合もあれば、特定の領域、身体の側面、四肢または筋肉に局在化する場合もある。
【0259】
本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、末梢血管疾患(PVD)または末梢動脈疾患(PAD)によって生じる筋力低下および疲労の治療に使用されることが期待される。末梢血管疾患は、脳および心臓の外側の循環系の疾患または障害である。末梢動脈疾患(PAD)は、末梢動脈閉塞性疾患(PAOD)としても知られ、PVDの一形態であり、通常は脚または腕に繋がる動脈の部分的または完全な遮断を指す。PVDおよび/またはPADは、例えば、アテローム性動脈硬化症、狭窄に繋がる炎症過程、塞栓/血栓の形成、または疾患(糖尿病など)、感染もしくは負傷に起因する血管損傷から生じ得る。PVDおよび/またはPADは、急性または慢性いずれかの虚血を、典型的に脚に引き起こし得る。PVDおよび/またはPADの症状の例として、疼痛、衰弱、無感覚、または血流低下に起因する筋痙攣(跛行)、運動中に発生して短時間の安静によって緩和される筋肉の痛み、疼き、激痛、無感覚または疲労(間欠性跛行)、安静時の痛み(安静時疼痛)および生物学的組織損失(壊疽)が挙げられる。PVDおよび/またはPADの症状は大抵、腓筋において生じるが、症状はさらに他の筋肉、例えば大腿部または臀部でも観察され得る。PVDおよび/またはPADのリスク要因の例として、年齢、肥満、座りがちの生活、喫煙、糖尿病、高血圧、および高コレステロール(すなわち高LDL、および/または高トリグリセリドおよび/または低HDL)が挙げられる。冠動脈心疾患または心臓発作または脳卒中の病歴を有する人々は一般的に、PVDおよび/またはPADに罹患する頻度も高くなる。速筋トロポニン複合体の活性剤は、血管不全に関するインビトロモデルおよび原位置モデルにおいて、筋肉疲労を低減し、および/または疲労に至るまでの総時間を長くすることが示されている(例えば、Russell et
al.、“The Fast Skeletal Troponin Activator,CK-2017357,Increases Skeletal Muscle Force and Reduces Muscle Fatigue in vitro and in situ”、5th Cachexia Conference、Barcelona、Spain、December 2009、およびHinken et al.、“The Fast Skeletal Troponin Activator, CK-2017357, Reduces Muscle Fatigue in an in situ Model of Vascular Insufficiency”、Society for Vascular Medicine’s 2010 Annual Meeting:21st Annual Scientific Sessions、Cleveland、OH、April 2010を参照のこと)。
【0260】
本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、虚弱症状、例えば運動単位枯渇や筋パワーに影響を及ぼすことが示されている加齢に伴う虚弱の治療に使用されることが期待される(McComas、Journal of Electromyography and Kinesiology、Vol.8、391-402、199
8)。虚弱は、意図的でない体重減少、筋力低下、遅い歩行速度、極度の疲労、および低い身体活動の1つまたは複数を特徴とする。
【0261】
本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、慢性の発熱および下痢に伴う不随意な体重減少を特徴とする状態を指す、消耗症候群に起因する筋力低下および/または疲労の治療に使用されることが期待される。消耗症候群患者が1か月以内にベースライン体重の10%を失うという例もある。
【0262】
本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、骨格筋組織の構造的および/または機能的異常に起因する筋肉の疾患および状態の治療に使用されることが期待され、例として筋ジストロフィー、先天性筋ジストロフィー、先天性ミオパシー、遠位型ミオパシー、他のミオパシー(筋細線維、封入体など)、筋緊張症候群、イオンチャネル筋肉疾患、悪性高熱、代謝性ミオパシー、先天性筋無力症候群、筋肉減少症、筋萎縮および悪液質が挙げられる。
【0263】
本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、ニューロンの機能不全または伝達に起因する筋肉の機能不全によって引き起こされる疾患および状態の治療に使用されることが期待され、例として筋萎縮性側索硬化症、脊髄性筋萎縮症、遺伝性失調、遺伝性の運動神経障害および感覚神経障害、遺伝性対麻痺、脳卒中、多発性硬化症、運動障害を伴う脳損傷、脊髄損傷、アルツハイマー病、運動障害を伴うパーキンソン病、重症筋無力症ならびにランバート-イートン症候群が挙げられる。
【0264】
本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、内分泌性および/または代謝性失調症に起因するCNS、脊髄もしくは筋肉機能不全によって引き起こされる疾患および状態の治療に使用されることが期待され、例として、末梢動脈疾患に続く跛行、甲状腺機能低下、副甲状腺機能亢進症または副甲状腺機能低下症、糖尿病、副腎機能不全、下垂体機能不全、および酸/塩基不均衡が挙げられる。
【0265】
本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、骨盤底筋および尿道/肛門括約筋の機能障害(腹圧性尿失禁(SUI)や混合型尿失禁(MUI)などの尿失禁および便失禁を含む)の治療に使用されることが期待される(Bharucha et. al.、Am.J.Gastroenterol.、Vol.110、127-36(2015)。
【0266】
本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、腹圧性尿失禁、混合型尿失禁、および便失禁を治療するための1つまたは複数の電気筋肉刺激(EMS)装置と組み合わせて使用されることが期待される。EMS装置の例として、InterStim II(登録商標)(Medtronic製仙骨神経刺激装置。仙骨神経は尿道括約筋、肛門括約筋および骨盤底筋を制御する)およびUromaster(登録商標)(日本メディックス製。尿道括約筋、肛門括約筋および骨盤底筋に干渉低周波刺激を与える)が挙げられる。本発明の化合物およびEMSが尿道括約筋、肛門括約筋および骨盤底筋に及ぼす複合効果は、国際公開第2016/039367号の実施例2または本明細書のアッセイ例5(陰部神経の電気刺激によって誘発される肛門圧の調製およびアッセイ)の結果によって明らかとなる。
【0267】
本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、脳卒中後の筋肉機能不全、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全、およびリハビリテーション関連の不足を治療するための1つまたは複数の電気筋肉刺激(EMS)装置と組み合わせて使用されることが期待される。EMS装置の例として、NESS L300(登録商標)(Bioness Inc.製四肢筋刺激装置)、NESS L300(登録商標)Plus(Bio
ness Inc.製四肢筋刺激装置)、NESS H200(登録商標)(Bioness Inc.製四肢筋刺激装置)、IVES(登録商標)(OG Wellness Technologies Co., Ltd製四肢筋刺激装置)、WalkAide(登録商標)(Innovative Neurotronics ,Inc.製四肢筋刺激装置)、およびNM-F1(伊藤超短波製四肢筋刺激装置)が挙げられる。本発明の化合物およびEMSが四肢筋に及ぼす複合効果は、本明細書のアッセイ例2(ラットの等尺性足首足底筋の調製および筋力アッセイ)の結果によって、またはMuscle Nerve、2014 Dec、50(6):925-31に記載の研究における所見から明らかとなる。
【0268】
本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)および脊髄損傷(SCI)後における横隔膜機能不全を治療するための1つまたは複数の電気筋肉刺激(EMS)装置と組み合わせて使用されることが期待される。EMS装置の例として、NeuRx Diaphragm Pacing System(DPS)(登録商標)(SYNAPSE Biomedical Inc.製横隔膜筋刺激装置)が挙げられる。本発明の化合物およびEMSが横隔膜に及ぼす複合効果は、PLoS One、2014;9(5):e96921に記載の研究の所見から明らかとなる。
【0269】
本明細書で記載および/または開示される化合物および組成物は、単独で投与、あるいは上述の障害の治療に有用な他の治療法および/または治療薬と組み合わせて投与してもよい。
【0270】
活性成分としての式(I)もしくは式(I’)の1種類または2種類以上の化合物を含む医薬組成物は、当該技術分野において通常使用される賦形剤、つまり、医薬調製物用賦形剤、医薬調製物用担体などを使用して、通常用いられる方法に従って調製することができる。
【0271】
本発明において提供される医薬組成物は、実施形態1-1から8-4および実施形態(1)から(57)のいずれかを制限なく含め、式(I)もしくは式(I’)の化合物またはそれらの実施形態のうちの1つまたは複数を含み得る。医薬組成物は、含有する式(I)または式(I’)の化合物のいずれかの単一の光学異性体、あるいは含有する式(I)または式(I’)の化合物のいずれかの単一のジアステレオマー、あるいは含有する式(I)または式(I’)の化合物のいずれかの光学異性体もしくはジアステレオマーの任意の比率での混合物を含み得る。
【0272】
投与は、錠剤、丸薬、カプセル、顆粒、粉末、溶液などを介する経口投与、または関節内注射、静脈注射および筋肉内注射などの注射、坐薬、経皮液体調製物、軟膏、経皮パッチ、経粘膜液体調製物、経粘膜パッチ、吸入剤などを介する非経口投与のいずれかによって達成され得る。
【0273】
経口投与向けの固体組成物として、錠剤、丸薬、顆粒などが使用される。そのような固体組成物では、活性成分の1種類または2種類以上が少なくとも1つの不活性賦形剤と混合される。従来の方法では、組成物は潤滑剤、崩壊剤、安定剤または溶解補助剤など、不活性添加剤を含有していてもよい。必要な場合、錠剤または丸薬を糖衣または胃溶性もしくは腸溶性物質の膜で被覆してもよい。
【0274】
経口投与向けの液体組成物の例として、医薬的に許容される乳剤、溶液、懸濁液、シロップ、エリキシル剤などが挙げられ、また純水またはエタノールなど一般的に使用される不活性希釈剤も挙げられる。液体組成物は、不活性希釈剤に加え、溶解補助剤などの補助
剤、湿潤剤、懸濁剤、甘味剤、風味剤、芳香剤および防腐剤を含んでもよい。
【0275】
非経口投与用注入物の例として無菌の水溶性または非水溶性の溶液調製物、懸濁液もしくは乳剤が挙げられる。水溶性溶媒の例として、注射用蒸留水および生理食塩水などが挙げられる。非水溶性溶媒の例として、エタノールなどのアルコールが挙げられる。そのような組成物は、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、または溶解補助剤も含み得る。これらは例えば、バクテリア保持フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合、または照射によって滅菌される。加えて、これらは、無菌の固体組成物を調製し、それを使用前に無菌水または無菌の注射用溶媒に溶解または懸濁させることによって使用することもできる。
【0276】
外用剤の例として、軟膏、硬膏、クリーム、ゼリー、パップ剤、噴霧剤およびローションが挙げられる。外用剤はさらに、一般的に使用される軟膏基剤、ローション基剤、水溶性または非水溶性の液体調製物、懸濁液、乳剤などを含有する。
【0277】
吸入剤および経鼻剤など経粘膜剤として、固体、液体または半固体状の形態が使用され、これらは関連技術分野において既知の方法に従って調製することができる。例えば、既知の賦形剤、さらにpH調整剤、防腐剤、界面活性剤、潤滑剤、安定剤、増粘剤などを適宜添加してもよい。投与向けに、適切な吸入装置または吹き込み装置を使用してもよい。例えば、化合物を単独で、または配合混合物の粉末として、または医薬的に許容される担体と組み合わせた溶液もしくは懸濁液として、計量投与吸入装置など既知の装置または噴霧器を使用して投与してもよい。乾燥粉末吸入器などを単回または複数回の投与に使用してもよく、また乾燥粉末または粉末含有カプセルを使用してもよい。あるいは、これは例えば、クロロフルオロアルカン、二酸化炭素など適切な気体を適切な推進剤として使用する加圧エアゾールスプレーなどの形態であってもよい。
【0278】
通常、経口投与の場合、1日の投与量は、体重1kg当たり約0.0001mg~100mg、好ましくは0.1mg~30mg、より好ましくは0.1mg~10mgであり、これを1回で、または2回から4回に分けて投与する。静脈内投与の場合、1日の適切な投与量は、体重1kg当たり約0.0001mg~10mgであり、これを1日1回または2回以上投与する。加えて、経粘膜剤の投与量は、体重1kg当たり約0.001mg~100mgであり、これを1日1回または複数回投与する。用量は、個別の事例に応じて症状、年齢、性別などを考慮して決定される。
【0279】
投与経路、投与形態、投与部位、および賦形剤または添加剤の型に応じて相違があるものの、本発明の医薬組成物は、活性成分である式(I)もしくは式(I’)の化合物またはその塩のうちの1つまたは複数を、0.01重量%~100重量%の範囲で、一実施形態としては0.01重量%~50重量%の範囲で含む。
【0280】
式(I)または式(I’)の化合物を、式(I)または式(I’)の化合物が効果を示すと考えられる疾患の治療または予防のための様々な薬剤と組み合わせて使用してもよい。そのような組み合わせた調製物を同時に、または別々かつ連続的に、または所望の時間間隔で投与してもよい。同時に投与される調製物は配合物であってもよく、または個別に調整してもよい。
【0281】
本発明における他の特徴は、以下の例示的実施形態を説明する過程で明らかとなるが、これらの実施形態は本発明を例示するために記載されるものであり、本発明の制限を意図するものではない。
【実施例】
【0282】
以下、式(I)または式(I’)の化合物の製造工程をより詳しく、実施例を参考に説明する。さらに、本発明は以下の実施例に記載の化合物に限定されない。さらに、出発化合物の製造工程を調製例に記載する。加えて、式(I)または式(I’)の化合物の製造工程は下記の具体的な実施例の製造工程に限定されるのではなく、式(I)または式(I’)の化合物はこれらの製造工程の組み合わせにより、あるいは当業者にとって明らかな方法によって調整することもできる。
【0283】
さらに、本明細書では、一部の例における化合物の命名にACD/Name(登録商標、Advanced Chemistry Development, Inc.製)など命名用ソフトウェアを使用する場合もある。
【0284】
さらに、下記の実施例、調製例および表では以下に挙げる略称を使用する場合もある。例えば、「Str」は構造化学式を意味し(「Me」はメチルを表わし、「Et」はエチルを表わし、「Ac」はアセチルを表わし、「n-Bu」はn-ブチルを表わし、「tBu」または「t-Bu」はtert-ブチルを表わし、「cHex」はシクロヘキシルを表わし、「Ph」はフェニルを表わし、「Bz」はベンジルを表わし、「SEM」は[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチルを表わし、「TBDMS」はtert-ブチルジメチルシリルを表わし、「TMS」はトリメチルシリルを表わし、「Boc」はtert-ブトキシカルボニルを表わす)、「EtOAc」は酢酸エチルを表わし、「DMAc」はN,N-ジメチルアセトアミドを表わし、「tBuOH」はtert-ブチルアルコールを表わし、「IPE」はジイソプロピルエーテルを表わし、「DMI」は1,3-ジメチルイミダゾリジン-2-オンを表わし、「DMF」はN,N-ジメチルホルムアミドを表わし、「THF」はテトラヒドロフランを表わし、「MeCN」はアセトニトリルを表わし、「NMP」は1-メチルピロリジン-2-オンを表わし、「DCE」は1,2-ジクロロエタンを表わし、「TFA」はトリフルオロ酢酸を表わし、「WSC/HCl」はN-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩を表わし、「HOBt」は1H-ベンゾトリアゾール-1-オルを表わし、「TBAF」はフッ化テトラブチルアンモニウムを表わし、「Pd2(dba)3」はトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウムを表わし、「NaHMDS」はナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドを表わし、「n-BuLi」はn-ブチルリチウムを表わし、「KOtBu」はカリウムtert-ブトキシドを表わし、「EtOH」はエタノールを表わし、「Et2O」はジエチルエーテルを表わし、「DMSO」はジメチルスルホキシドを表わし、「KOAc」は酢酸カリウムを表わし、「MeI」はヨウ化メチルを表わし、「DIPEA」はN,N-ジイソプロピルエチルアミンを表わし、「min」は分を表わし、「sat.」は飽和を表わし、「aq.」は水溶液を表わし、「Ar」はアルゴンを表わし、「HPLC」は高速液体クロマトグラフィーを意味し、「DAT」は物理化学データを意味し、「NMR」は核磁気共鳴を意味し、「ESI+」は質量分析におけるm/z値を意味し(エレクトロスプレーイオン化法(ESI)では別段に指定されない限り[M+H]+を表わす)、「APCI/ESI+」はAPCI/ESI-MS(大気圧化学イオン化法(APCI)では別段に指定されない限り[M+H]+を表わし、APCI/ESIはAPCIおよびESIの同時測定を意味する)、「APCI」は質量分析におけるm/z値を意味し(大気圧化学イオン化法(APCI)では別段に指定されない限り[M+H]+を表わす)、1H-NMR(CDCl3)はCDCl3における1H-NMRのピークのδ(ppm)を意味し、1H-NMR(DMSO-d6)はDMSO-d6における1H-NMRのピークのδ(ppm)を意味し、1H NMR(CD3OD)はCD3ODにおける1H-NMRのピークのδ(ppm)を意味し、sは一重項(スペクトル)を意味し、dは二重項(スペクトル)を意味し、tは三重項(スペクトル)を意味し、qは四重項(スペクトル)を意味し、brは広幅(スペクトル)(brsなど)を意味し、mは多重項(スペクトル)を意味する。SFCは超臨界流体クロマトグラフィーを表わす。アミノ-シリカは、Chromatorex NH(商標)およびHi-flash ami
no(商標)など、アミノ官能基化シリカゲルを表わす。
【0285】
化学構造式中の記号「*」は、対応する化合物が単一の光学異性体であることを意味する。記号「#」は、対応する化合物が、立体配置が示されていない不斉原子において各々(R)配置および(S)配置を有する異性体の混合物であることを意味する(ラセミ化合物)。記号「$」は、対応する化合物が4つの立体異性体の混合物であることを意味する。さらに構造式式中のHClは化合物が一塩酸塩であることを意味し、2HClは化合物が二塩酸塩であることを意味する。
【0286】
加えて、便宜上、mol/L単位の濃度はMで表わされる。例えば、1Mの水酸化ナトリウム水溶液は1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を意味する。
実施例92aおよび92bにおけるキラル超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)の条件では、CHIRALCEL(登録商標)OZ-Hをカラムとして使用し、CO2:MeOH=80:20を移動相として使用した。実施例134aおよび134bにおけるキラル超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)の条件では、ChromegaChiral CC4をカラムとして使用し、CO2:0.5%のイソプロピルアミンを入れたEtOH=85:15を移動相として使用した。
【0287】
本発明における粉末X線回折の結果を、RINT-TTRIIを使用して、管:銅製、管電流:300mA、管電圧:50kV、サンプリング幅:0.020°、走査速度:毎分4°、波長:1.54184Å、測定回折角(2θ):2.5°~40°の範囲という条件下で測定した。
【0288】
調製例1(1aおよび1b)
P2O5の固体(50.0g)にH3PO4(50.6g)を添加し、混合物を140℃で1.5時間撹拌した。混合物に2-(3-ブロモフェニル)アセトアミド(5.00g)およびアセトン(3.5mL)を80℃で添加し、次いで140℃で2時間撹拌した。混合物にアセトン(2.0mL)を140℃で添加し、同じ温度で1時間撹拌した。次いで、混合物にアセトン(2.0mL)を140℃で再び添加し、同じ温度でさらに1時間撹拌した。混合物を氷水に注入し、EtOAcで希釈し、各相を分離した。有機層を飽和NaHCO3水溶液とブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/MeOH)によって精製した。得られた固体を50%のEtOAc/ヘキサンで洗浄して、6-ブロモ-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン(2.01g)を固体として生成した。母液を減圧条件下で濃縮して、6-ブロモ-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オンと8-ブロモ-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オンの1:1の混合物(996mg)を固体として生成した。
【0289】
調製例2
6-ブロモ-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン(100mg)、N-ブロモスクシンイミド(72mg)、3-クロロ過安息香酸(7mg)、およびCCl4(3mL)の混合物を3時間にわたり還流させた。次いで混合物を室温まで冷却し、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、4,6-ジブロモ-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン(75mg)を固体として生成した。
【0290】
調製例3
2-(3-ブロモフェニル)ブタン酸(582mg)とMeCN(10mL)の混合物
にWSC/HCl(551mg)およびHOBt(389mg)をアルゴン雰囲気下で添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。混合物に28%のアンモニア水溶液(0.8mL)を、氷浴冷却下で5分間にわたり滴下した。次いで混合物を室温で13時間撹拌した。混合物を減圧条件下で濃縮し、H2Oで希釈し、氷浴冷却下で1時間撹拌した。沈殿物を収集して粗生成物を固体として生成した。得られた固体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/CHCl3)によって精製して、2-(3-ブロモフェニル)ブタンアミド(427mg)を固体として生成した。
【0291】
調製例4
1-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)エタン-1-オン(78.8g)、CH2Cl2(300mL)、2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(60.6g)、およびチタンテトラエトキシド(284.4g)の混合物を50℃で終夜撹拌した。追加のチタンテトラエトキシド(50.0g)を添加し、混合物を50℃で4時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、次いでNaHCO3水溶液をゆっくり添加した。次いで混合物をセライトパッドに通して濾過し、セライトパッドをCH2Cl2で洗浄した。濾液を濃縮し、EtOAc中で懸濁し、次いで飽和NaHCO3水溶液で洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濃縮し、次いでシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、N-[1-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)エチリデン]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(63.9g)をオイルとして生成した。
【0292】
調製例5
N-[1-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)エチリデン]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(130.5g)とTHF(300mL)の混合物に、アリルマグネシウムブロミド(Et2O中で1M、447mL)を-78℃でゆっくり添加した。混合物を-78℃で2時間撹拌し、続いて飽和NaHCO3水溶液(600mL)をゆっくり添加した。混合物を室温まで昇温し、セライトパッドに通して濾過した。セライトをEtOAcで洗浄した。濾液を飽和NaHCO3水溶液(100mL)で3回洗浄した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、次いで濃縮して、N-[2-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)ペンタ-4-エン-2-イル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(134.8g)をオイルとして生成した。
【0293】
調製例6
5-クロロ-2,3-ジフルオロピリジン(9.0g)、イソブチロニトリル(4.2g)、およびトルエン(120mL)の混合物に、NaHMDS(THF中で2M、30.6mL)を-78℃で添加した。次いで混合物を1時間撹拌した。混合物を飽和NH4Cl水溶液(50mL)で希釈し、室温まで昇温した。次いで混合物をEtOAc(300mL)で希釈し、水(100mL)とブライン(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、次いでシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)で精製して、2-(5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)-2-メチルプロパンニトリル(10.6g)を固体として生成した。
【0294】
調製例7
2-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)-2-メチルプロパンニトリル(10.00g)と硫酸(100mL)の混合物を室温で12時間撹拌した。混合物を氷水に注入し、混合物を28%のアンモニア水溶液で塩基性化した。混合物にEtOAcとH2Oを添加し、各相を分離した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮して、2-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)-2-メチルプロパンアミド(10.76g)を固体として生成した。
【0295】
調製例8
2-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)-2-メチルプロパンアミド(10.76g)、MeCN(220mL)、およびH2O(110ml)の混合物に、[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン(22.00g)を室温で添加した。次いで混合物を室温で24時間撹拌した。混合物を飽和NaHCO3水溶液で希釈した。混合物にEtOAcとH2Oを添加し、各相を分離した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層を1MのHCl水溶液で抽出した。水層をNaHCO3水溶液で塩基性化し、EtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮して、2-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)プロパン-2-アミン(9.40g)をオイルとして生成した。
【0296】
調製例9
2-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)プロパン-2-アミン(4.40g)および2,4-ジメトキシベンズアルデヒド(3.92g)およびCH2Cl2(100mL)の混合物に、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(6.80g)を室温で添加した。次いで混合物を同じ温度で12時間撹拌した。混合物にCHCl3と飽和NaHCO3水溶液を添加し、各相を分離した。水層をCHCl3で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、2-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)-N-(2,4-ジメトキシベンジル)プロパン-2-アミン(7.62g)をオイルとして生成した。
【0297】
調製例10
2-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)-N-(2,4-ジメトキシベンジル)プロパン-2-アミン(7.62g)、2,6-ジメチルピリジン(7.5mL)、およびトルエン(100mL)の混合物に、エチル2-(クロロカルボニル)ブタノエート(5.55g)とトルエン(20mL)の混合物を、アルゴン雰囲気下で氷浴冷却しながら添加した。次いで混合物を同じ温度で30分間撹拌し、室温で6時間撹拌した。混合物にEtOAcと飽和NaHCO3水溶液を添加し、各相を分離した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をアミノシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、エチル2-{[2-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)プロパン-2-イル](2,4-ジメトキシベンジル)カルバモイル}ブタノエート(9.65g)を固体として生成した。
【0298】
調製例11
tert-ブチル2-{[1-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}-2-(3,5-ジクロロピラジン-2-イル)プロパン-2-イル]カルバモイル}ブタノエート(1.17g、全ての立体異性体の1:1混合物)と無水トルエン(10mL)の混合物に、NaHMDS(トルエン中で1M、6.95mL)を氷浴冷却下で滴下した。混合物を同じ温度で2時間撹拌した。混合物を飽和NH4Cl水溶液(30mL)で希釈し、EtOAc(2×75mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、tert-ブチル5-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-2-クロロ-8-エチル-5-メチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-8-カルボキシレート(457mg、全ての立体異性体の3:2混合物)をオイルとして生成した。
【0299】
調製例12
5,5,8-トリメチル-7-オキソ-8-(プロパ-2-イン-1-イル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-カルボニトリル(40mg)とDMSO/H2O混合物(5:1、1mL)の混合物に、トリメチルシリメチルアジド(100mg)、硫酸銅(I)(1mg)、およびアスコルビン酸ナトリウム(3mg)を添加した。混合物を室温で18時間撹拌し、続いて注射器フィルターに通して濾過した。次いで濾液をHPLC(1~50%のMeCN、0.1%のギ酸)によって精製して、5,5,8-トリメチル-7-オキソ-8-({1-[(トリメチルシリル)メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}メチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-カルボニトリル(29mg)を固体として生成した。
【0300】
調製例13
2-(tert-ブトキシカルボニル)ブタン酸(14.8g)、塩化チオニル(11.5mL)、CH2Cl2(80mL)、およびDMF(4滴)の混合物を室温で2時間撹拌し、次いで濃縮して、tert-ブチル2-(クロロカルボニル)ブタノエート(16.1g)をオイルとして生成した。
【0301】
調製例14
2-(5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)-2-メチルプロパンニトリル(7.5g)、DMSO(75mL)、およびK2CO3(7.85g)の混合物に、H2O2(30%水溶液、44mL)をゆっくり、氷浴冷却下で添加した。反応物を室温まで昇温し、1時間撹拌した。次いで反応物をEtOAc(300mL)で希釈し、H2O(100mL)とブライン(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、2-(5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)-2-メチルプロパンアミド(8.2g)を固体として生成した。
【0302】
調製例15
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(45mL)とTHF(350mL)の混合物に、n-BuLi(ヘキサン中で1.55M、155mL)を、アルゴン雰囲気下でドライアイス-アセトン浴冷却しながら添加した。次いで混合物を氷浴冷却下で10分間撹拌した。混合物に2,6-ジクロロピリジン(36.96g)とTHF(100mL)を20分間にわたりドライアイス-アセトン浴冷却下で添加した。次いで混合物を同じ温度で1時間撹拌した。混合物に2-メチル-N-(オキセタン-3-イリデン)プロパン-2-スルフィンアミド(35.00g)とTHF(50mL)の混合物を、同じ温度で30分間にわたり添加した。次いで混合物を同じ温度で1時間撹拌した。同じ温度で、混合物を飽和NH4Cl水溶液(200mL)で希釈した。混合物にEtOAc(200mL)を添加し、次いで有機層を分離した。水層をEtOAc(200mL)で抽出し、合わせた有機層をブライン(200mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/EtOAcおよびEtOAc/ヘキサン)によって2回精製して、N-[3-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)オキセタン-3-イル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(31.58g)を発泡体として生成した。
【0303】
調製例16
N-[3-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)オキセタン-3-イル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(79.29g)とEtOAc(1.2L)の混合物に、HCl(EtOAc中で4M、184mL)を室温で添加した。次いで混合物を同じ温度で1時間撹拌した。沈殿物を収集し、EtOAcで洗浄して、3-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)オキセタン-3-アミン一塩酸塩(59.61g)を固体として生成した。
【0304】
調製例17
N-[3-(3,5-ジクロロピラジン-2-イル)オキセタン-3-イル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(1.21g)、2-(tert-ブトキシカルボニル)ブタン酸(847mg)、ヨウ化2-クロロ-1-メチルピリジニウム(1.44g)、トリエチルアミン(758mg)、およびMeCN(20mL)の混合物を4時間にわたり還流させ、部分的に濃縮した(約5mL)。残留物をEtOAc(30mL)に溶解し、H2Oとブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、tert-ブチル2-{[3-(3,5-ジクロロピラジン-2-イル)オキセタン-3-イル]カルバモイル}ブタノエート(951mg)を固体として生成した。
【0305】
調製例18
2-クロロ-8,8-ジエチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(1.70g)とDMF(45mL)の混合物に、NaH(鉱物油中で55%分散、363mg)を氷浴冷却下で添加した。次いで混合物を同じ温度で10分間撹拌した。混合物に[2-(クロロメトキシ)エチル](トリメチル)シラン(1.20mL)を氷浴冷却下で添加した。次いで混合物を室温で4時間撹拌した。追加のNaH(鉱物油中で55%分散、368mg)および[2-(クロロメトキシ)エチル](トリメチル)シラン(1.20mL)を氷浴冷却下で添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を飽和NH4Cl水溶液で希釈した。混合物にH2OとEtOAcを添加し、各相を分離した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、2-クロロ-8,8-ジエチル-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(1.73g)をオイルとして生成した。
【0306】
調製例19
2-クロロ-8,8-ジエチル-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(1.73g)、1,4-ジオキサン(35mL)、およびH2O(3.5mL)の混合物に、2,4,6-トリビニルシクロトリボロキサンピリジン複合体(2.08g)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(330mg)、およびK2CO3(1.76g)を添加した。次いで混合物を110℃で4時間撹拌した。混合物をセライトパッドに通して濾過した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、8,8-ジエチル-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-2-ビニル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(1.37g)を粘剤として生成した。
【0307】
調製例20
8,8-ジエチル-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-2-ビニル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(1.37g)、THF(72mL)、およびH2O(18mL)の混合物に、OsO4(tBuOH中で2.5重量%、3.50mL)を室温で添加した。次いで混合物を室温で10分間撹拌した。混合物に過ヨウ素酸ナトリウム(2.31g)とH2O(54mL)の混合物を添加した。次いで混合物を室温で3時間撹拌した。混合物を飽和Na2S2O3水溶液(100mL)で希釈し、減圧条件下で濃縮した。EtOAcを混合物に添加し、各相を分離した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した
。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、8,8-ジエチル-7-オキソ-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7,8-ジヒドロ-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-2-カルバルデヒド(524mg)を固体として生成した。
【0308】
調製例21
8,8-ジエチル-7-オキソ-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-7,8-ジヒドロ-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-2-カルバルデヒド(524mg)とTHF(15mL)の混合物に、NaBH4(66mg)を、アルゴン雰囲気下で氷浴冷却しながら添加した。次いで混合物を同じ温度で2時間撹拌した。混合物を飽和NH4Cl水溶液で希釈した。EtOAcを混合物に添加し、各相を分離した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、8,8-ジエチル-2-(ヒドロキシメチル)-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(567mg)を固体として生成した。
【0309】
調製例22
8,8-ジエチル-2-(ヒドロキシメチル)-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(283mg)とDMF(6mL)の混合物に、NaH(鉱物油中で55%分散、45mg)を氷浴冷却下で添加した。次いで混合物を10分間撹拌した。混合物にMeI(65μL)を添加した。次いで混合物を室温で1時間撹拌した。混合物を飽和NH4Cl水溶液で希釈した。EtOAcを混合物に添加し、各相を分離した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、8,8-ジエチル-2-(メトキシメチル)-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(299mg)をオイルとして生成した。
【0310】
調製例23
8-(2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)-2-クロロ-8-エチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(456mg)、Zn(CN)2(398mg)、Zn(38mg)、パラジウム(II)ビス(トリフルオロアセテート)(41mg)、ジ-tert-ブチル(2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル-2-イル)ホスフィン(tBuXphos、106mg)およびDMAc(10mL)の混合物(使用前に15分間、アルゴンガスを通じさせた)を、マイクロ波反応器内にて130℃で1時間加熱した。混合物をEtOAcと水で希釈し、セライトパッドに通して濾過した。濾液をEtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、8-(2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)-8-エチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロ-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-2-カルボニトリル(342mg)を固体として生成した。
【0311】
調製例24
6-クロロ-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(30.00g)とDMI(150mL)の混合物に、NaH(鉱物油中で55%分散、5.78g)を氷浴冷却下で添加した。氷浴を除去した後、混合物を20分間撹拌した。混合物にtert-ブチル(2-ヨードエトキシ)ジメチルシラン(39
.74g)とDMI(30mL)を5分間にわたり氷浴冷却下で滴下した。氷浴を除去した後、混合物を2時間撹拌した。混合物を氷水(500mL)に注入し、次いで室温で終夜撹拌した。沈殿物を収集して、4-(2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)-6-クロロ-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(49.98g)を固体として生成した。
【0312】
調製例25
tert-ブチル5-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-2-クロロ-8-エチル-5-メチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-8-カルボキシレート(457mg、全ての立体異性体の3:2混合物)とCH2Cl2(3mL)の混合物に、TFA(3mL)を添加した。混合物を室温で1.5時間撹拌した。溶媒を減圧条件下で留去し、残留物をEtOAc(50mL)と飽和NaHCO3水溶液(20mL)との間で分離させた。各層を分離し、有機相をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、5-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-2-クロロ-8-エチル-5-メチル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-7(6H)-オン(140mg、全ての立体異性体の3:2混合物)を固体として生成した。
【0313】
調製例26
6-ブロモ-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(1.00g)、KOAc(497mg)、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.03g)、および[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(247mg)の混合物に、1,4-ジオキサン(15mL)を添加し、混合物を85℃で18時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、EtOAc(100mL)とH2O(100mL)で希釈した。二相混合物をセライトパッドに通して濾過し、各層を分離した。水相をEtOAc(100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、粗固体になるまで濃縮した。固体をCH2Cl2(5mL)中で懸濁し、粉砕し、室温で15分間寝かせた。沈殿物を収集して、4,4-ジメチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(721mg)を固体として生成した。
【0314】
調製例27
3-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)オキセタン-3-アミン一塩酸塩(31.0g)とDMF(300mL)の混合物に、2-(tert-ブトキシカルボニル)ブタン酸(27.4g)、WSC/HCl(34.9g)、HOBt(24.6g)、およびトリエチルアミン(42mL)を室温で添加した。次いで混合物を同じ温度で3時間撹拌した。混合物にH2Oを添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、tert-ブチル2-{[3-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)オキセタン-3-イル]カルバモイル}ブタノエート(42.9g)を固体として生成した。
【0315】
調製例28
2-クロロ-8,8-ジエチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(1.18g)、Pd2(dba)3(200mg)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(XantPhos、245mg)、および1,4-ジオキサン(24mL)の混合物に、2-エチルヘキシル3-スルファニルプロパノエート(1.35mL)およびDIPEA(2.20mL)
を添加した。混合物を90℃で15時間、アルゴン雰囲気下で撹拌した。混合物を室温まで冷却した後、固体を濾過によって除去し、濾液を減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、2-エチルヘキシル3-[(8,8-ジエチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロ-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-2-イル)スルファニル]プロパノエート(1.78g)をオイルとして生成した。
【0316】
調製例29
8-(2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)-2-クロロ-8-エチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(20.94g)とトルエン(200mL)の混合物に、Cs2CO3(33.2g)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(XantPhos、1.18g)、二酢酸パラジウム(II)(230mg)、ベンジルアルコール(10.55mL)をこの順序で添加し、次いで混合物を110℃で30分間、アルゴン雰囲気下で撹拌した。混合物を室温まで冷却した。混合物をセライトパッドに通して濾過し、ろ過ケークをEtOAcで洗浄した。濾液をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、2-(ベンジルオキシ)-8-(2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)-8-エチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(23.89g)を固体として生成した。
【0317】
調製例30
2-(ベンジルオキシ)-8-(2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)-8-エチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(23.87g)、10%のパラジウム炭素(50%湿潤、2g)、およびEtOH(240mL)の混合物を室温で2時間、水素雰囲気下(1atm)混合物をセライトパッドに通して濾過した後、ろ過ケークをCHCl3で洗浄した。濾液を減圧条件下で濃縮した。50%のIPE/ヘキサン(200mL)中の残留物を還流状態で撹拌し、次いで室温まで冷却した。沈殿物を収集して、8-(2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)-8-エチル-2-ヒドロキシ-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(14.15g)を固体として生成した。
【0318】
調製例31
2-ヒドロキシ-8,8-ジメチル-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(1.44g)、NMP(15mL)、およびH2O(1.5mL)の混合物に、Cs2CO3(2.59g)およびクロロ(ジフルオロ)酢酸ナトリウム(1.52g)をアルゴン雰囲気下で添加し、次いで混合物を100℃で2時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、Cs2CO3(2.59g)およびクロロ(ジフルオロ)酢酸ナトリウム(1.52g)を混合物に添加した。混合物を100℃で1.5時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、Cs2CO3(2.59g)およびクロロ(ジフルオロ)酢酸ナトリウム(1.52g)を混合物に添加した。混合物を100℃で1時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、次いでH2Oで希釈し、EtOAcで抽出した。有機層をH2Oとブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、2-(ジフルオロメトキシ)-8,8-ジメチル-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(1.48g)を固体として生成した。
【0319】
調製例32
2-(5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)-2-メチルプロパンアミド(2.16g)、[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン(5.16g)、MeCN(48mL)、およびH2O(24mL)の混合物を終夜撹拌した。次いで反応物をEtOAc(200mL)で希釈し、H2O(100mL)とブライン(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、5-クロロ-3-フルオロ-2-(2-イソシアナトプロパン-2-イル)ピリジン(1.9g)を固体として生成した。
【0320】
調製例33
8-(2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)-8-エチル-2-ヒドロキシ-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(14.69g)とMeCN(75mL)の混合物に、KOH(21.0g)およびH2O(75mL)を添加した。混合物にジエチル[ブロモ(ジフルオロ)メチル]ホスホネート(13.0g)を氷浴冷却下で添加し、次いで混合物を同じ温度で30分間撹拌した。混合物をEtOAcで3回抽出し、合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液とブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。EtOAc(30mL)およびヘキサン(100mL)中の残留物を還流状態で撹拌し、次いで室温まで冷却した。沈殿物を収集して、8-(2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)-2-(ジフルオロメトキシ)-8-エチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(11.46g)を固体として生成した。
【0321】
調製例34
8-(2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)-2-(ジフルオロメトキシ)-8-メチル-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(1.80g)とTHF(36mL)の混合物に、TBAF(THF中で1.0M、3.5mL)を氷浴冷却下で添加し、次いで混合物を同じ温度で1時間撹拌し、次いで室温で終夜撹拌した。混合物を飽和NaHCO3水溶液に注入し、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、2-(ジフルオロメトキシ)-8-(2-ヒドロキシエチル)-8-メチル-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(1.43g)をオイルとして生成した。
【0322】
調製例35
5-クロロ-3-フルオロ-2-(2-イソシアナトプロパン-2-イル)ピリジン(1.7g)、MeOH(8mL)、およびトリメチルアミン(2mL)の混合物を1時間撹拌し、次いで部分的に濃縮した。得られた固体を濾過し、濾液を濃縮して、メチル[2-(5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)プロパン-2-イル]カルバメートを生成し、これを次のステップで直接使用した。
【0323】
調製例36
4-ブロモ-1-ヨード-2-メチルベンゼン(87.5g)とTHF(400mL)の混合物に、n-BuLi(ヘキサン中で1.55M、200mL)を、アルゴン雰囲気下でドライアイス-アセトン浴冷却しながら50分間にわたり滴下した。次いで混合物を同じ温度で10分間撹拌した。混合物に2-メチル-N-(オキセタン-3-イリデン)プロパン-2-スルフィンアミド(56.8g)とTHF(40mL)の混合物を、同じ温度で30分間にわたり滴下した。次いで混合物を同じ温度で1時間撹拌した。同じ温度
にて混合物を飽和NH4Cl水溶液(200mL)で希釈し、ブライン(100mL)を添加し、室温で30分間撹拌した。次いで有機層を分離し、濃縮し、EtOAc(300mL)で希釈した。水層をEtOAc(300mL)で抽出し、合わせた有機層をブラインで2回洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物にIPE(150mL)を添加し、混合物を室温で15分間、および氷浴冷却下で30分間撹拌した。沈殿物を収集し、IPEで洗浄して、N-[3-(4-ブロモ-2-メチルフェニル)オキセタン-3-イル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(48.07g)を固体として生成した。
【0324】
調製例37
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(81mL)とTHF(95mL)の混合物に、n-BuLi(ヘキサン中で1.55M、300mL)を、アルゴン雰囲気下でドライアイス-アセトン浴冷却しながら8分間にわたり滴下した。次いで混合物を氷浴冷却下で30分間撹拌した。混合物に、N-[3-(4-ブロモ-2-メチルフェニル)オキセタン-3-イル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(48.06g)、炭酸ジエチル(33.7mL)、およびTHF(220mL)を、ドライアイス-アセトン浴冷却下で30分間にわたり滴下した。次いで混合物を30分かけて-40℃まで昇温し、同じ温度で10分間撹拌した。同じ温度にて、混合物を飽和NH4Cl水溶液(700mL)で希釈し、ブライン(100mL)を添加した。次いで有機層を分離し、濃縮し、EtOAc(500mL)で希釈した。水層をEtOAc(500mL)で抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮して、エチル(5-ブロモ-2-{3-[(tert-ブチルスルフィニル)アミノ]オキセタン-3-イル}フェニル)アセテート(63.78g)を固体として生成した。
【0325】
調製例38
HCl(EtOAc中で4M、115mL)、EtOAc(250mL)および所望の化合物(エチル[2-(3-アミノオキセタン-3-イル)-5-ブロモフェニル]アセテート一塩酸塩)の微量の固体(seed solid)片の混合物に、エチル(5-ブロモ-2-{3-[(tert-ブチルスルフィニル)アミノ]オキセタン-3-イル}フェニル)アセテート(63.77g)およびEtOAc(250mL)の混合物を、室温で20分間にわたり滴下した。次いで混合物を同じ温度で20分間撹拌した。沈殿物を収集し、EtOAc(100mL)および50%のEtOAc/ヘキサン(200mL)で洗浄して、エチル[2-(3-アミノオキセタン-3-イル)-5-ブロモフェニル]アセテート一塩酸塩(48.68g)を固体として生成した。
【0326】
上述の微量の固体は、上記と同じ手順を用いた小規模実験において、微量の固体を使用せずに調製した。
調製例39
NaHCO3(15.2g)とH2O(700mL)の混合物に、エチル[2-(3-アミノオキセタン-3-イル)-5-ブロモフェニル]アセテート一塩酸塩(48.67g)を室温で少しずつ添加した。次いで混合物を同じ温度で40分間撹拌した。沈殿物を収集し、H2O(100mL)で2回とMeOH(100mL)で2回洗浄して、6-ブロモ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)オン(32.35g)を固体として生成した。
【0327】
調製例40
(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)アセトニトリル(3.86g)とTHF(120mL)の混合物に、NaH(鉱物油中で55%分散、2.00g)を、アルゴン雰囲気下で氷浴冷却しながら添加した。次いで混合物を同じ温度で10分間撹拌した。混合物にMeI(3.25mL)を、アルゴン雰囲気下で氷浴冷却しながら添加した。次いで混
合物を同じ温度で2時間撹拌した。同じ温度にて、混合物を飽和NH4Cl水溶液で希釈した。混合物にH2OとEtOAcを添加し、各相を分離した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、2-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)-2-メチルプロパンニトリル(4.39g)を固体として生成した。
【0328】
調製例41
メチル(2-(5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)プロパン-2-イル)カルバメート(900mg)、EtOH(12mL)、およびNaOH(H2O中で3M、4mL)の混合物を、マイクロ波反応器内にて150℃で30分間加熱した。次いで反応物を濃縮し、EtOAc(100mL)で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、2-(5-クロロ-3-フルオロピリジン-2-イル)プロパン-2-アミン(520mg)を生成した。
【0329】
調製例42(42aおよび42b)
8-(2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)-2-(ジフルオロメトキシ)-8-エチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(14.42g)をキラルカラムクロマトグラフィー(CHIRALFLASH(商標)IA、溶離剤は80/20~0/100のヘキサン/EtOAc、流速12~20mL/分)によって分離して、8-(2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)-2-(ジフルオロメトキシ)-8-エチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(6.93g、保持時間が短い1つの光学異性体)を固体として、および8-(2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)-2-(ジフルオロメトキシ)-8-エチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(6.78g、保持時間が長い1つの光学異性体)を固体として生成した。
【0330】
調製例83
1-ブロモ-4-クロロ-2-メチルベンゼン(73.28g)とTHF(250mL)の混合物に、n-BuLi(ヘキサン中で1.55M、220mL)を、窒素雰囲気下でドライアイス-アセトン浴冷却しながら90分間にわたり滴下した。次いで混合物を同じ温度で10分間撹拌した。混合物に2-メチル-N-(オキセタン-3-イリデン)プロパン-2-スルフィンアミド(50.00g)とTHF(100mL)を、同じ温度で60分間にわたり滴下した。次いで混合物を同じ温度で20分間撹拌した。同じ温度で混合物を飽和NH4Cl水溶液で希釈し、室温まで昇温した。混合物を減圧条件下で部分的に濃縮し、次いで混合物をH2Oで希釈し、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。合わせた水層をセライトパッドに通して濾過し、ケークをEtOAcで3回洗浄した。濾液をEtOAcで抽出し、有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。合わせた残留物をIPEで希釈し、次いで減圧条件下で濃縮した。残留物にIPEを添加し、室温で終夜放置した。固体を収集し、50%のIPE/ヘキサンで洗浄して、N-[3-(4-クロロ-2-メチルフェニル)オキセタン-3-イル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(57.00g)を固体として生成した。
【0331】
調製例84
2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(109mL)とTHF(114mL)の混合物に、n-BuLi(ヘキサン中で1.55M、400mL)を、窒素雰囲気下でドライアイス-MeCN浴冷却しながら40分間にわたり滴下した。混合物に、N-[3-(4-クロロ-2-メチルフェニル)オキセタン-3-イル]-2-メチルプロパン-2-
スルフィンアミド(57.0g)、炭酸ジエチル(45.0mL)、およびTHF(256mL)の混合物を、ドライアイス-MeCN浴冷却下で90分間にわたり滴下した。次いで混合物を同じ温度で30分間撹拌した。同じ温度にて混合物を飽和NH4Cl水溶液で希釈した。混合物を減圧条件下で部分的に濃縮し、混合物をEtOAcで2回抽出した。合わせた有機層を50%のブライン/H2Oで2回洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮して、エチル(2-{3-[(tert-ブチルスルフィニル)アミノ]オキセタン-3-イル}-5-クロロフェニル)アセテート(70.6g)をオイルとして生成した。
【0332】
調製例85
HCl(EtOAc中で4M、285mL)とEtOAc(850mL)の混合物に、エチル(2-{3-[(tert-ブチルスルフィニル)アミノ]オキセタン-3-イル}-5-クロロフェニル)アセテート(142.46g)とEtOAc(800mL)の混合物を、室温で25分間にわたり滴下した。次いで混合物を同じ温度で25分間撹拌した。沈殿物を収集し、50%のEtOAc/ヘキサンで3回洗浄して、エチル[2-(3-アミノオキセタン-3-イル)-5-クロロフェニル]アセテート一塩酸塩(116.70g)を固体として生成した。
【0333】
調製例86
NaHCO3(42.0g)とH2O(1170mL)の混合物に、エチル[2-(3-アミノオキセタン-3-イル)-5-クロロフェニル]アセテート一塩酸塩(116.7g)を室温で少しずつ添加した。次いで混合物を同じ温度で1時間撹拌した。沈殿物を収集し、H2Oで2回とEtOAcで2回洗浄して、6-クロロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(62.9g)を固体として生成した。
【0334】
調製例95
2-(3,5-ジクロロピラジン-2-イル)-2-メチルプロパンアミド(2.5g)、H2O(11mL)、MeCN(11mL)、および硫酸(11mL)の混合物に、亜硝酸ナトリウム(3.7g)を氷浴冷却下で添加した。混合物を同じ温度で5分間撹拌し、次いで室温まで昇温し、2時間撹拌した。得られた固体を収集し、H2Oで洗浄して、2-(3,5-ジクロロピラジン-2-イル)-2-メチルプロパン酸(2.5g)を固体として生成した。
【0335】
調製例96
2-(3,5-ジクロロピラジン-2-イル)-2-メチルプロパン酸(2.2g)、トルエン(45mL)、トリエチルアミン(1.7mL)およびジフェニルホスホリルアジド(3.1g)の混合物を、還流状態で2.5時間撹拌した。次いで混合物を室温まで冷却し、4-メトキシベンジルアルコール(5.2g)とトリエチルアミン(7.8mL)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで濃縮した。粗生成物をCH2Cl2(10mL)に溶解し、続いてTFA(10mL)を添加した。混合物を室温で3時間撹拌し、次いで濃縮した。粗固体にHCl(1,4-ジオキサン中で4M、10mL)を室温で添加し、次いでこれを濃縮して、2-(3,5-ジクロロピラジン-2-イル)プロパン-2-アミン一塩酸塩(1.4g)を固体として生成した。
【0336】
調製例100
2-ブロモ-4-フルオロ-1-ヨードベンゼン(3.12g)とTHF(25mL)の混合物に、n-BuLi(ヘキサン中で1.6M、6.5mL)を、窒素雰囲気下にて-100℃で滴下した。得られた混合物を同じ温度で30分間撹拌し、次いでこれに2-メチル-N-(オキセタン-3-イリデン)プロパン-2-スルフィンアミド(2.0g
)を含有するTHF(5mL)をゆっくりと、内部温度を-90~-100℃の範囲に維持しながら滴下した。得られた溶液を同じ温度で30分間撹拌した。混合物を飽和NH4Cl水溶液(50mL)とH2O(50mL)で希釈し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、次いでシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、N-[3-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)オキセタン-3-イル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(1.29g)を固体として生成した。
【0337】
調製例101
200mLの丸底フラスコにN-[3-(2-ブロモ-4-フルオロフェニル)オキセタン-3-イル]-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(1.05g)、Pd2(dba)3(137mg)、および2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル(Xphos、143mg)を入れた。フラスコ内を減圧脱気してから窒素を再充填する操作を3回繰り返し、注射器により無水脱気THF(15mL)を添加し、続いてtert-ブトキシ-2-オキソエチル亜鉛クロリド(Et2O中で0.5M、15mL)を添加した。得られた混合物を55℃で1時間撹拌し、次いで室温まで冷却し、EtOAc(100mL)とH2O(50mL)で希釈した。混合物をセライトパッドに通して濾過した。各相を分離し、水相をEtOAc(50mL)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させて、濃縮して、茶色の固体を生成した。粗固体とCH2Cl2(50mL)の混合物にTFA(10mL)を添加した。得られた混合物を室温で1.5時間撹拌した。溶媒を留去し、残留物を飽和NaHCO3水溶液(50mL)とEtOAc(50mL)との間で分離させた。各層を分離し、水相をEtOAc(50mL)で洗浄した。次いで水相をギ酸でpH5まで酸性化し、EtOAc(2×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をNa2SO4で乾燥させ、濃縮して、(2-{3-[(tert-ブチルスルフィニル)アミノ]オキセタン-3-イル}-5-フルオロフェニル)酢酸(0.52g)を固体として生成した。
【0338】
調製例102
(2-{3-[(tert-ブチルスルフィニル)アミノ]オキセタン-3-イル}-5-フルオロフェニル)酢酸(491mg)と1,4-ジオキサン(4mL)の混合物に、HCl(1,4-ジオキサン中で4M、0.45mL)を氷浴冷却下で添加した。反応混合物を室温まで昇温し、1時間撹拌した。沈殿物を濾過して粗固体(150mg)を生成し、これを次のステップで直接使用した。粗固体(150mg)、DMF(2mL)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU、326mg)、HOBt(116mg)、およびトリメチルアミン(0.24mL)の混合物を室温で1時間撹拌した。次いで反応混合物をH2O(25mL)およびEtOAc(25mL)に注入した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた固体を25%のCH2Cl2/ヘキサンで洗浄して、6-フルオロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(85mg)を固体として生成した。
【0339】
調製例104
(2-{3-[(tert-ブチルスルフィニル)アミノ]オキセタン-3-イル}-5-クロロピリジン-3-イル)酢酸(4.84g)とMeCN(112mL)の混合物に、塩化チオニル(2.1mL)を氷浴冷却下で添加した。反応混合物を同じ温度で90分間撹拌した。混合物に飽和NaHCO3水溶液(40mL)を添加し、次いで混合物を容積約80mLまで濃縮し、得られた固体を濾過し、H2O(15mL)、Et2O(30mL)、およびEtOAc(10mL)で洗浄した。次いで得られた固体を10%のMeOH/ヘキサンで粉砕して、3-クロロ-5H-スピロ[1,7-ナフチリジン-8,3’-オキセタン]-6(7H)-オン(1.12g)を固体として生成した。
[実施例1]
【0340】
1000mLの三つ口フラスコに6-ブロモ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)オン(17.35g)およびDMF(160mL)を入れた。フラスコ内を減圧脱気してからアルゴンを再充填する操作を2回繰り返し、NaH(鉱物油中で55%分散、6.50g)を氷浴冷却下で少しずつ添加し、次いで混合物を室温で30分間撹拌した。混合物にMeI(8.1mL)とDMF(35mL)の混合物を1時間にわたり氷浴冷却下で滴下した。追加のMeI(0.5mL)を氷浴冷却下で添加し、混合物を同じ温度で10分間撹拌した。混合物をH2O(250mL)と飽和NH4Cl水溶液(150mL)で希釈し、室温で1時間撹拌した。沈殿物を収集し、固体と40%のトルエン/ヘキサン(200mL)の混合物を還流状態で1時間撹拌し、次いで室温まで冷却した。混合物を室温で30分間撹拌し、沈殿物を収集して、6-ブロモ-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(14.47g)を固体として生成した。
[実施例2]
【0341】
P2O5の固体(20.00g)にH3PO4(12mL)を添加し、混合物を140℃で1時間撹拌した。混合物に2-(3-メチルフェニル)ブタンアミド(3.00g)およびアセトン(2.70mL)を100℃で添加し、同じ温度で2時間撹拌した。混合物にアセトン(2.70mL)を120℃で添加し、同じ温度で2時間撹拌した。混合物を氷水に注入し、EtOAcで希釈し、分離した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をEtOAc/ヘキサンで洗浄して、4-エチル-1,1,6-トリメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン(2.83g)を固体として生成した。
[実施例3]
【0342】
4-エチル-1,1,6-トリメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン(600mg)、NaH(鉱物油中で60%分散、167mg)およびDMF(6.0mL)の混合物を、氷浴冷却下で30分間撹拌した。同じ温度にて混合物に2-(3-ブロモプロポキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン(924mg)を添加し、室温で終夜撹拌した。混合物にEtOAcとブラインを添加し、各相を分離した。有機層をH2Oとブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製した。残留物にHCl(1M水溶液、5.0mL)とTHF(5.0mL)を添加し、70℃で2時間撹拌した。混合物にEtOAcとブラインを添加し、各相を分離した。有機層をH2Oとブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサンからCHCl3/MeOHへ)によって精製した。残留物をヘキサンで洗浄して、4-エチル-4-(3-ヒドロキシプロピル)-1,1,6-トリメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン(84mg)を固体として生成した。
[実施例4]
【0343】
500mLのフラスコに6-ブロモ-4,4-ジエチル-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン(15.0g)、パラジウム(II)ビス(トリフルオロアセテート)(1.62g)、Zn(1.27g)、ジ-tert-ブチル(2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル-2-イル)ホスフィン(tBuXphos、4.11g)および脱気DMAc(5分間アルゴンを通じさせることによって調製、150mL)を入れた。フラスコ内を減圧脱気してからアルゴンを再充填する操作を3回繰り返し、Zn(CN)2(7.39g)を室温で添加した。混合物を80℃で6時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物にEtOAc(300mL)を添加した。次いで
不溶物をセライトパッドに通して濾過し、EtOAc(300mL)で洗浄した。濾液をH2O(150mL)で2回、およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物に50%のヘキサン/EtOAc(240mL)を添加し、80℃で30分間撹拌し、室温で30分間撹拌した。沈殿物を収集し、50%のヘキサン/EtOAc(80mL)で洗浄して、4,4-ジエチル-1,1-ジメチル-3-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-カルボニトリル(6.18g)を固体として生成した。
[実施例5]
【0344】
4,6-ジブロモ-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン(150mg)とTHF(3.0mL)の混合物に、N-メチルシクロヘキシルアミン(153mg)を添加した。次いで混合物を室温で15時間撹拌した。混合物を飽和NaHCO3水溶液に注入し、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、6-ブロモ-4-[シクロヘキシル(メチル)アミノ]-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン(118mg)を固体として生成した。
[実施例6]
【0345】
2-クロロ-8-エチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(6.0g)とDMF(150mL)の混合物に、NaH(鉱物油中で55%分散、1.13g)を、アルゴン雰囲気下で氷浴冷却しながら添加した。10分後、EtI(2.0mL)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。飽和NH4Cl水溶液とEtOAcを添加し、有機層を分離し、H2Oで2回およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、2-クロロ-8,8-ジエチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(6.19g)を固体として生成した。
[実施例7]
【0346】
メチル4-[(6-ブロモ-4-エチル-1,1-ジメチル-3-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-イル)メチル]ベンゾエート(300mg)、THF(6.0mL)、およびMeOH(6.0mL)の混合物に、NaOH(1Mの水溶液、1.4mL)を室温で添加し、同じ温度で72時間撹拌した。氷浴冷却下で混合物を1MのHCl水溶液とH2Oで中和してpH7~8の状態にした。混合物にEtOAcを添加し、各相を分離した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/MeOH)によって精製して、固体を生成した。得られた固体をEtOAcで洗浄して、4-[(6-ブロモ-4-エチル-1,1-ジメチル-3-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-イル)メチル]安息香酸(212mg)を固体として生成した。
[実施例8]
【0347】
(6-ブロモ-4-エチル-1,1-ジメチル-3-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-イル)酢酸(170mg)とDMF(2mL)の混合物に、HOBt(101mg)、WSC/HCl(144mg)、ジメチルアミン一塩酸塩(122mg)、およびDIPEA(260μL)を添加し、混合物を室温で15時間撹拌した。混合物をH2Oで希釈し、EtOAcで抽出した。有機層をH2Oとブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮して、2-(6-ブロモ-4-エチル-1,1-ジメチル-3-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-4-
イル)-N,N-ジメチルアセトアミド(128mg)を固体として生成した。
[実施例9]
【0348】
6-ブロモ-4-エチル-4-(2-ヒドロキシエチル)-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン(210mg)をキラル超臨界流体クロマトグラフィー(SFC)(CHIRALPAK(登録商標)IC、溶出液CO2:MeOH=65:35、流速15mL/分、背圧100bar、カラム温度40℃)によって分離した。保持時間が短い1つの光学異性体をヘキサンで洗浄して、(+)-6-ブロモ-4-エチル-4-(2-ヒドロキシエチル)-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン(82mg)を固体として生成した。保持時間が長い他方の光学異性体をヘキサンで洗浄して、(-)-6-ブロモ-4-エチル-4-(2-ヒドロキシエチル)-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン(82mg)を固体として生成した。
[実施例10]
【0349】
2-クロロ-8,8-ジエチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(1.65g)、1,4-ジオキサン(40mL)、およびH2O(4mL)の混合物(使用前にアルゴンガスを通じさせた)、トリメチルボロキシン(1.64mL)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(430mg)、およびK2CO3(3.0g)を添加した。次いで混合物を110℃で4時間撹拌した。混合物をEtOAcとH2Oで希釈し、セライトパッドに通して濾過した。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物を順次、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって、アミノ-シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって、次いでシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/MeOH)によって精製した。残留物を9%のIPE/ヘキサン(10mL)で固化して、8,8-ジエチル-2-メチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(1.3g)を固体として生成した。
[実施例11]
【0350】
2-クロロ-8,8-ジエチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(0.75g)、2,2,2-トリフルオロエタノール(1.90mL)、Cs2CO3(1.75g)、二酢酸パラジウム(II)(60mg)、ジ-tert-ブチル(2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル-2-イル)ホスフィン(tBuXphos、225mg)および脱気トルエン(15mL)の混合物を、マイクロ波反応器内にて150℃で90分間加熱した。追加のバッチ(合計2バッチ)を上記と同じ手順で実施した。2個のバイアル中の混合物をH2OとEtOAcで希釈し、セライトパッドに通して濾過した。有機層を分離し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製した。残留物を6%のIPE/ヘキサン(10mL)で固化し、収集して、8,8-ジエチル-2-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(1.56g)を固体として生成した。
[実施例12]
【0351】
2-クロロ-8,8-ジエチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(500mg)とEtOH(17mL)の混合物に、トリエチルアミン(500μL)および10%のパラジウム炭素(50%湿潤、100mg)を、正のアルゴン流下で添加した。混合物を室温で水素雰囲気下にて終夜撹拌した。混合物を濾過し、濾液を減圧条件下で濃縮した。残留物にH2Oを添加し、混合物をCHCl
3で抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮して、8,8-ジエチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(385mg)を固体として生成した。
[実施例13]
【0352】
8,8-ジエチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(100mg)、ビス(ジフルオロメタンスルフィン酸)亜鉛(253mg)、TFA(31μL)、CH2Cl2(2.1mL)、およびH2O(0.6mL)の混合物に、t-ブチルヒドロペルオキシド(70%水溶液、177μL)を氷浴冷却下で添加した。次いで混合物を室温で22時間撹拌した。混合物を50%の飽和Na2S2O3水溶液/飽和NaHCO3水溶液で希釈した。混合物をCHCl3で抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、2-(ジフルオロメチル)-8,8-ジエチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(62mg)を生成した。
[実施例14]
【0353】
8,8-ジエチル-2-(メトキシメチル)-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(299mg)とDMF(9mL)の混合物に、TBAF(550mg)を添加した。次いで混合物を100℃で8時間撹拌した。混合物にH2OとEtOAcを添加し、各相を分離した。有機層をH2Oで2回およびブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製した。残留物を5%のIPE/ヘキサン(2mL)で洗浄して、8,8-ジエチル-2-(メトキシメチル)-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(100mg)を固体として生成した。
[実施例15]
【0354】
8-(2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)-2-(ジフルオロメトキシ)-8-エチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(8260mg、保持時間が短い1つの光学異性体)とTHF(80mL)の混合物に、HCl(1Mの水溶液、25mL)を水浴下で添加し、次いで混合物を室温で10分間撹拌した。混合物を飽和NaHCO3水溶液で希釈し、減圧条件下で濃縮し、混合物をCHCl3で3回抽出した。合わせた有機層をMgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/MeOH)によって精製した。IPE(20mL)中の残留物を加熱した。混合物を室温まで冷却した後、沈殿物を収集して、(-)-2-(ジフルオロメトキシ)-8-エチル-8-(2-ヒドロキシエチル)-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(5.73g)を固体として生成した。
[実施例16]
【0355】
2-クロロ-8,8-ジエチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(118mg)、Zn(CN)2(150mg)、Zn(12mg)、パラジウム(II)ビス(トリフルオロアセテート)(15mg)、ジ-tert-ブチル(2’,4’,6’-トリイソプロピルビフェニル-2-イル)ホスフィン(tBuXphos、38mg)およびDMAc(4mL)の混合物を、マイクロ波反応器内にて130℃で1時間加熱した。冷却後、混合物をEtOAcとH2Oで希釈し、次いでセライトパッドに通して濾過した。有機層を分離し、H2Oとブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、8,8-ジエチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロ-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-2-カルボニトリル(78mg)を固体として生成した。
[実施例17]
【0356】
アルゴン雰囲気下で、2-エチルヘキシル3-[(8,8-ジエチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロ-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-2-イル)スルファニル]プロパノエート(625mg)、THF(6.3mL)、およびMeOH(6.3mL)の混合物に、KOtBu(168mg)を氷浴冷却下で添加し、混合物を室温で1時間撹拌し、60℃で20時間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物にMeI(110μL)を添加し、混合物を室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧条件下で留去した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)およびアミノ-シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製した。残留物にIPE(2mL)を添加し、混合物に超音波照射した。ヘキサン(10mL)を添加した後、混合物を室温で10分間撹拌した。沈殿物を収集して、8,8-ジエチル-2-(メチルスルファニル)-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(225mg)を固体として生成した。
[実施例18]
【0357】
2-(ジフルオロメトキシ)-8,8-ジメチル-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(1.40g)とNMP(25mL)の混合物に、TBAF水和物(2.90g)を添加し、混合物を100℃で3時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、次いでH2Oで希釈し、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、固体を生成した。得られた固体をIPE(3mL)とヘキサン(15mL)で希釈し、混合物を室温で10分間撹拌した。固体を収集して粗固体を生成した。上述の通り得られた固体(粗固体、483mg)をMeCN(6mL)とMeOH(4mL)で溶解した。次いで溶液をHPLC[カラム:YMC-Pack ODS-A、S-15μm、12nm、250×50、流速:80mL/分、検出:ELSD(蒸発光散乱検出器)(およびUV=210nm)、溶離剤:MeCN/0.1%のHCO2H水溶液]によって精製して、2-(ジフルオロメトキシ)-8,8-ジメチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(406mg)を固体として生成した。
[実施例19]
【0358】
2-(ジフルオロメトキシ)-8-(2-ヒドロキシエチル)-8-メチル-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(343mg)とCH2Cl2(7mL)の混合物に、TFA(0.3mL)を氷浴冷却下で添加し、次いで混合物を同じ温度で3時間撹拌した。混合物にTFA(0.3mL)を氷浴冷却下で添加し、次いで混合物をさらに1時間撹拌した。混合物を濃縮し、残留物をCHCl3(4mL)とMeCN(4mL)で希釈した。混合物にエチレンジアミン(1mL)を添加し、次いで混合物を室温で終夜撹拌した。混合物を濃縮し、残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(CHCl3/MeOH)によって精製して、固体(132mg)を生成した。残留物をMeOHとIPEで固化して、2-(ジフルオロメトキシ)-8-(2-ヒドロキシエチル)-8-メチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(93mg)を固体として生成した。
[実施例20]
【0359】
6-ブロモ-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(24.9g)と脱気DMF(10分間アルゴンを通じさせることによって調製)の混合物に、Zn(CN)2(9.9g)、Zn(2.75g)、Pd2(dba)3(770mg)、および1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(932mg)を添加した。次いで混合物を80℃で14時間撹拌した。混合物にEtOAc(500mL)を添加し、10分間撹拌した。次いで不溶物をセライトパッドに通して濾過し、EtOAc(500mL)で洗浄した。濾液をH2O(50mL)、28%のアンモニア水溶液(100mL)およびブライン(50mL)で2回洗浄し、合わせた水層をEtOAc(250mL)で2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物を加熱条件下でTHF(750mL)に溶解し、室温まで冷却した後、アンモニウムピロリジン-1-カルボジチオエート(1.22g)を添加した。次いで混合物を室温で1時間撹拌した。混合物をセライトパッドに通して濾過し、濾液を減圧条件下で濃縮した。残留物をEtOAc(200mL)で固化し、収集した。固体をアミノ-シリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/ヘキサン)によって精製して、4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル(18.87g)を固体として生成した。
[実施例21]
【0360】
7-クロロ-4,4-ジエチル-1,1-ジメチル-3-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-カルボニトリル(80mg)と1,4-ジオキサン(800μL)の混合物に、MeOH(56μL)およびKOtBu(38mg)を室温で添加した。混合物をマイクロ波反応器内にて120℃で30分間加熱した。混合物に飽和NH4Cl水溶液を添加し、CHCl3で抽出した。有機層を減圧条件下で濃縮した。残留物をアミノ-シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製した。得られた固体に50%のヘキサン/EtOAc(2mL)を添加し、次いで混合物を室温で10分間撹拌した。沈殿物を収集し、50%のヘキサン/EtOAc(1mL)で洗浄して、4,4-ジエチル-7-メトキシ-1,1-ジメチル-3-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-カルボニトリル(14mg)を固体として生成した。
[実施例22]
【0361】
6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(130.00g)をキラルカラムクロマトグラフィー(CHIRALPAK(商標)IC、溶離剤は100%MeOH)で分離して、(+)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(58.4g:>99%ee、保持時間が短いもの)を固体として、および(-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(58.3g:99%ee、保持時間が長いもの)を固体として生成した。
[実施例23]
【0362】
4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルバルデヒド(150mg)とCH2Cl2(4mL)の混合物に、ビス(2-メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド(2.70g)を添加した。混合物を室温で48時間撹拌した。混合物にCH2Cl2(25mL)と飽和NaHCO3水溶液(25mL)を添加した。各層を分離し、水相を追加のCH2Cl2(20mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、0.1%のギ酸を含有する勾配10%~100%のMeCN/H2Oを使
用する逆相HPLCによって40分間にわたり精製して(Phenomenex Gemini、5ミクロンのC18)、6-(ジフルオロメチル)-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(38mg)を固体として生成した。
[実施例24]
【0363】
6-ヒドロキシ-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(475mg)とDMF(4mL)の混合物に、Cs2CO3(1.20g)とクロロジフルオロ酢酸ナトリウム(700mg)を添加し、混合物を90℃で18時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、EtOAc(100mL)とH2O(100mL)を添加した。各層を分離し、水相をEtOAc(50mL)で抽出した。合わせた有機相をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。残留物を、0.1%のギ酸を含有する勾配10%~100%のMeCN/H2Oを使用する逆相HPLCによって40分間にわたり精製して(Phenomenex Gemini、5ミクロンのC18)、6-(ジフルオロメトキシ)-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(107mg)を固体として生成した。
[実施例25]
【0364】
DMF(0.5mL)、2,2,2-トリフルオロエタノール(0.5mL)、およびNaH(鉱物油中で60%分散、28mg)の混合物に、2’-クロロ-8’,8’-ジエチル-6’H-スピロ[オキセタン-3,5’-ピリド[3,4-b]ピラジン]-7’(8’H)-オン(20mg)を添加した。混合物を100℃で1時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、飽和NH4Cl水溶液(10mL)で希釈した。次いでEtOAc(30mL)とH2O(20mL)を添加し、得られた有機層を分離し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、逆相HPLC(20~100%のMeCN/H2O、0.1%のギ酸緩衝液)によって40分間にわたり精製して、8’,8’-ジエチル-2’-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)-6’H-スピロ[オキセタン-3,5’-ピリド[3,4-b]ピラジン]-7’(8’H)-オン(15mg)を固体として生成した。
[実施例26]
【0365】
ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウム(IV)ジクロリド(20mg)とナトリウムビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムヒドリド(Red-Al、トルエン中で3.4M、1.8g)の混合物を10分間撹拌し、次いで氷浴冷却した。次いで混合物に2’-クロロ-8’,8’-ジエチル-6’H-スピロ[オキセタン-3,5’-ピリド[3,4-b]ピラジン]-7’(8’H)-オン(200mg)を添加し、混合物を30分間撹拌した。混合物を室温まで昇温し、飽和NaHCO3水溶液(10mL)で希釈した。次いでEtOAc(30mL)とH2O(20mL)を添加し、有機層を分離し、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、逆相HPLC(20~100%のMeCN/H2O、0.1%のギ酸緩衝液)によって40分間にわたり精製して、8’,8’-ジエチル-6’H-スピロ[オキセタン-3,5’-ピリド[3,4-b]ピラジン]-7’(8’H)-オン(150mg)を固体として生成した。
[実施例27]
【0366】
2-クロロ-8,8-ジエチル-5,5-ジメチル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-7(6H)-オン(100mg)とナトリウムエトキシド(EtOH中の25%溶液、5mL)の混合物を、マイクロ波反応器内にて190℃で30分間加熱した。EtOAc(100mL)とH2O(50mL)を混合物に添加し、次いで有機層を分離した。次いで有機層をH2O(50mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧条件下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によっ
て精製して、2-エトキシ-8,8-ジエチル-5,5-ジメチル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-7(6H)-オン(45mg)を固体として生成した。
[実施例28]
【0367】
8’,8’-ジエチル-2’-ビニル-6’H-スピロ[オキセタン-3,5’-ピリド[3,4-b]ピラジン]-7’(8’H)-オン(6mg)、10%のパラジウム炭素(12mg)、およびMeOH(2mL)の混合物を、水素雰囲気下(20psi)で2時間撹拌した。次いで混合物をセライトパッドに通して濾過し、濾液を濃縮した。残留物を逆相HPLC(20~100%のMeCN/H2O、0.1%のギ酸緩衝液)によって40分間にわたり精製して、2’,8’,8’-トリエチル-6’H-スピロ[オキセタン-3,5’-ピリド[3,4-b]ピラジン]-7’(8’H)-オン(4mg)を固体として生成した。
[実施例29]
【0368】
5-({[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)-2-クロロ-8,8-ジエチル-5-メチル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-7(6H)-オン(20mg)と無水THF(1mL)の混合物に、TBAF(THF中で1M、0.070mL)を氷浴冷却下で添加し、混合物を氷浴冷却下で5分間撹拌し、続いて室温で15分間撹拌した。混合物を飽和NaHCO3水溶液(5mL)で希釈し、EtOAc(2×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、2-クロロ-8,8-ジエチル-5-(ヒドロキシメチル)-5-メチル-5,8-ジヒドロピリド[3,4-b]ピラジン-7(6H)-オン(11mg)を固体として生成した。
[実施例30]
【0369】
2’-クロロ-8’,8’-ジエチル-6’H-スピロ-3,5’-ピリド[3,4-b]ピラジン-7’(8’H)-オン(28mg)とMe2NH(THF中で2M、1mL)の混合物を、マイクロ波反応器内にて130℃で1時間加熱した。反応物を冷却し、逆相HPLC(20~100%のMeCN/H2O、0.1%のギ酸緩衝液)によって40分間にわたり直接精製して、2’-(ジメチルアミノ)-8’,8’-ジエチル-6’H-スピロ[オキセタン-3,5’-ピリド[3,4-b]ピラジン]-7’(8’H)-オン(10mg)を固体として生成した。
[実施例31(31aおよび31b)]
【0370】
5-アリル-2-クロロ-8,8-ジエチル-5-メチル-5,8-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-7(6H)-オン(100mg)、1-メチル-4-ビニル-1H-ピラゾール(74mg)、Grubbs第2世代触媒(6mg)、およびCH2Cl2(1mL)の混合物を40℃で4日間撹拌し、2日目と3日目の始まりにさらなる触媒(6mg)を添加した。反応物を逆相HPLC(20~100%のMeCN/H2O、0.1%のギ酸緩衝液)によって40分間にわたり直接精製して、2-クロロ-8,8-ジエチル-5-メチル-5-[3-(1-メチル-1H-ピラゾール-4-イル)プロパ-2-エン-1-イル]-5,8-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-7(6H)-オンのシス異性体およびトランス異性体を固体として生成した(保持時間が短い異性体が2mgと、保持時間が長い異性体が7mg)。
[実施例32]
【0371】
メチル(6-クロロ-4-エチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-4-イル)アセテート(389mg)と無水THF(5mL)の混合物に、リチウムアルミニウムヒドリド(THF中で1.0M、1.3
2mL)を氷浴冷却下で滴下した。混合物を氷浴冷却下で20分間撹拌し、次いでH2O(0.050mL)、NaOH(3Mの水溶液、0.050mL)およびH2O(0.150mL)を添加した。混合物をセライトパッドに通して濾過し、濾過された固体を余分なTHF(200mL)で洗浄した。濾液をNa2SO4で乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、発泡体を生成した。発泡体をEt2O中で粉砕および超音波照射し、濾過して、6-クロロ-4-エチル-4-(2-ヒドロキシエチル)-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(235mg)を固体として生成した。
[実施例33]
【0372】
5,5,8-トリメチル-7-オキソ-8-({1-[(トリメチルシリル)メチル]-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル}メチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-カルボニトリル(27mg)とTHF(2mL)の混合物に、H2O(20μL)およびTBAF(THF中で1M、100μL)を添加した。混合物を室温で24時間撹拌した。混合物を濃縮し、EtOAc(10mL)とH2Oとの間で分離させた。有機層を分離し、水相をEtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を逆相HPLC(5~100%のMeCN、0.1%のギ酸)によって精製して、5,5,8-トリメチル-8-[(1-メチル-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル)メチル]-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-カルボニトリル(11mg)を固体として生成した。
[実施例34]
【0373】
4,4-ジエチル-1,1-ジメチル-3-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-カルボニトリル(1.00g)とDCE(15mL)の混合物に、N-クロロスクシンイミド(690mg)、二酢酸パラジウム(II)(45mg)、およびp-トルエンスルホン酸一水和物(378mg)を室温で添加した。次いで混合物を70℃で16時間撹拌した。混合物にN-クロロスクシンイミド(676mg)を室温で添加した。次いで混合物を70℃で7時間撹拌した。混合物にN-クロロスクシンイミド(676mg)、二酢酸パラジウム(II)(47mg)、およびp-トルエンスルホン酸一水和物(375mg)を室温で添加した。次いで混合物を70℃で1日間撹拌した。室温まで冷却した後、混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって直接精製した。得られた残留物に50%のヘキサン/EtOAcを添加し、次いで80℃で10分間撹拌し、室温で1時間撹拌した。沈殿物を収集して、7-クロロ-4,4-ジエチル-1,1-ジメチル-3-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-カルボニトリル(140mg)を固体として生成した。
[実施例35]
【0374】
4-(2-{[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)-6-クロロ-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(49.98g)とTHF(350mL)の混合物に、HCl(1Mの水溶液、164mL)を氷浴冷却下で添加した。混合物を室温で30分間撹拌した。NaHCO3(16.0g)とH2O(200mL)の混合物を氷浴冷却下で添加し、次いでTHFを減圧条件下で留去した。混合物にEtOAc(200mL)を添加し、室温で15分間撹拌した。次いでヘキサン(400mL)を添加し、室温で2時間撹拌した。沈殿物を収集し、H2O(100mL)、33%のEtOAc/ヘキサン(50mL)で洗浄して、6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(31.56g)を固体として生成した。
[実施例36]
【0375】
tert-ブチル2-{[3-(2,6-ジクロロピリジン-3-イル)オキセタン-3-イル]カルバモイル}ブタノエート(42.9g)とTHF(500mL)の混合物に、NaHMDS(THF中で1.1M、250mL)を、アルゴン雰囲気下で氷浴冷却しながら滴下した。次いで混合物を同じ温度で2時間撹拌した。混合物にH2Oを添加し、混合物をEtOAcで抽出した。有機層をH2Oとブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/MeOH)によって精製した。残留物をヘキサンで洗浄して、tert-ブチル2-クロロ-8-エチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロ-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-8-カルボキシレート(27.7g)を固体として生成した。
[実施例37]
【0376】
エチル2-クロロ-6-(2,4-ジメトキシベンジル)-8-エチル-5,5-ジメチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-8-カルボキシレート(8.36g)、アニソール(6mL)、およびTFA(25mL)の混合物を80℃で4時間撹拌した。冷却後、溶媒を減圧条件下で留去した。氷浴冷却下で残留物を飽和NaHCO3水溶液で塩基性化してpH7~8の状態にし、EtOAcで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、エチル2-クロロ-8-エチル-5,5-ジメチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-8-カルボキシレート(5.56g)を固体として生成した。
[実施例38]
【0377】
エチル2-クロロ-8-エチル-5,5-ジメチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-8-カルボキシレート(5.60g)とH2SO4(12Mの水溶液、60mL)の混合物を50℃で8時間撹拌した。冷却後、混合物を氷水に注入し、28%のアンモニア水溶液で塩基性化した。混合物にEtOAcとH2Oを添加し、各相を分離した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮して、2-クロロ-8-エチル-5,5-ジメチル-5,8-ジヒドロ-1,6-ナフチリジン-7(6H)-オン(4.25g)を固体として生成した。
[実施例39]
【0378】
tert-ブチル2-クロロ-8-エチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロ-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-8-カルボキシレート(27.7g)とDCE(300mL)の混合物に、TFA(30mL)を添加した。次いで混合物を50℃で4時間撹拌した。混合物を濃縮した。残留物にH2Oと1MのNaOH水溶液を氷浴冷却下で添加し、EtOAcとTHFの混合物で抽出した。有機層をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物にIPEを添加し、超音波照射した。沈殿物を収集して、2-クロロ-8-エチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(17.1g)を固体として生成した。
[実施例40]
【0379】
6-クロロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(4.0g)、ペンタメチルシクロペンタジエニルイリジウム(III)ジクロリド二量体(73mg)、KOH(123mg)、およびMeOH(16mL)の混合物を、アルゴン雰囲気下で、脱気のため超音波照射した。混合物をマイクロ波反応器内にて130℃で90分間加熱した。次いで混合物を氷浴冷却下で15分間撹拌した。追加の9バッチ
(合計10バッチ)を上記と同じ手順で実施した。全てのバイアル中の沈殿物を同じ漏斗上で収集し、EtOHで洗浄して、6-クロロ-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)オン(34.31g)を固体として生成した。[実施例41]
【0380】
4,4-ジメチル-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(700mg)とTHF(20mL)の混合物に、KOH(1Mの水溶液、6.12mL)とH2O2(35%の水溶液、0.56mL)を添加した。混合物を室温で15分間撹拌した。1MのHCl水溶液を使用して混合物を中和し、pH7の状態にした。EtOAc(100mL)を添加し、各層を分離した。水相をEtOAc(75mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮して、6-ヒドロキシ-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(475mg)を固体として生成した。
[実施例42]
【0381】
6-ブロモ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(3.00g)とDMF(75mL、窒素で脱気)の混合物に、NaH(鉱物油中で60%分散、895mg)を添加した。反応フラスコ内を減圧脱気してから窒素を再充填する操作を3回繰り返し、反応物を窒素雰囲気下で室温にて30分間撹拌した。混合物にEtI(3.49g)とDMF(2mL)の混合物を氷浴冷却下で滴下し、混合物を室温で30分間撹拌した。混合物にH2Oを氷浴冷却下で慎重に添加し、混合物をEtOAcで希釈し、相を分離した。水相をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、6-ブロモ-4,4-ジエチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(2.59g)を固体として生成した。
[実施例52]
【0382】
1000mLの三つ口フラスコに6-クロロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)オン(30.00g)、NMP(75mL)およびDMI(75mL)を入れた。フラスコ内を減圧脱気してからアルゴンを再充填する操作を2回繰り返し、NaH(鉱物油中で55%分散、13.48g)を氷浴冷却下で少しずつ10分間にわたり添加し、次いで混合物を同じ温度で10分間撹拌した。混合物にMeI(17.5mL)とNMP(30mL)の混合物を100分間にわたり氷浴冷却下で滴下した。混合物を同じ温度で20分間撹拌した。追加のMeI(0.25mL)を氷浴冷却下で添加し、混合物を同じ温度で1時間撹拌した。混合物を氷浴冷却下でH2Oで希釈し、次いで同じ温度で30分間撹拌した。沈殿物を収集し、H2OとEtOAc/ヘキサン(1/3)で洗浄して、粗固体を生成した。固体にEtOAcを添加し、混合物を90℃まで加温し、次いで室温で終夜撹拌した。沈殿物を収集して粗固体を生成した。固体をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって精製して、6-クロロ-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(10.88g)を固体として生成した。
[実施例55]
【0383】
250mLの丸底フラスコに6-ブロモ-4,4-ジエチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(2.70g)、1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(462mg)、Pd2(dba)3(381mg)、Zn(CN)2(1.27g)、Zn(218mg)を入れた。この固体混合物にDMA
c(30mL、使用前に45分間窒素で脱気)を添加した。フラスコ内を減圧脱気してから窒素を再充填する操作を3回繰り返し、次いで80℃で18時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、H2OとEtOAcで希釈した。二相混合物をセライトパッドに通して濾過し、各層を分離した。水相を追加のEtOAcで3回抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(MeOH/CH2Cl2)によって精製して、固体を生成した。固体をEtOHで洗浄して、4,4-ジエチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル(1.55g)を固体として生成した。
[実施例137]
【0384】
メチル(6-クロロ-4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-4-イル)アセテート(60mg)と無水THF(2mL)の混合物に、臭化メチルマグネシウム(Et2O中で3M、0.323mL)を添加した。混合物を室温で15分間撹拌した。混合物を飽和NH4Cl水溶液(1mL)とH2O(5mL)で希釈した。混合物をEtOAc(2×35mL)で抽出し、合わせた有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、0.1%のギ酸を含有する勾配10%~100%のMeCN/H2Oを使用する逆相HPLCによって50分間にわたり精製した(Phenomenex Gemini、5ミクロンのC18)。残留物をEt2Oで固化して、6-クロロ-4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(38mg)を固体として生成した。
[実施例143]
【0385】
8,8-ジエチル-2-(ヒドロキシメチル)-6-{[2-(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(283mg)、CuI(47mg)、およびMeCN(12mL)の混合物に、ジフルオロ(フルオロスルホニル)酢酸(0.14mL)を80℃で添加した。1時間後、混合物にジフルオロ(フルオロスルホニル)酢酸(0.14mL)を同じ温度で添加した。2時間後、混合物にCuI(106mg)とジフルオロ(フルオロスルホニル)酢酸(0.14mL)を同じ温度で添加した。次いで混合物を同じ温度で1時間撹拌した。室温まで冷却した後、飽和NaHCO3水溶液を添加し、EtOAcで抽出した。有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、減圧条件下で濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン)によって2回精製して、2-[(ジフルオロメトキシ)メチル]-8,8-ジエチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン(14mg)を固体として生成した。
[実施例148]
【0386】
4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル(59.22g)とEtOH(1260mL)の混合物に、H2O(540ml)を添加した。混合物を75℃で20分間、78℃で15分間撹拌した。混合物にH2O(1.8L)を添加し、65℃で80分間撹拌し、1時間かけて20℃まで冷却し、次いで20℃で2時間撹拌した。沈殿物を収集し、35%のEtOH水溶液で洗浄して、4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル(54.43g)を結晶として生成した。
【0387】
銅を管として使用する粉末X線回折測定を結晶に対して行った結果、8.3°、12.1°、15.6°、16.6°、17.3°、20.5°、21.4°、23.4°、24.0°および25.7°の角度2θ(°)をピークとして含むチャートが得られた。
[実施例149]
【0388】
6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(21.59g)をキラルカラムクロマトグラフィー(CHIRALFLASH(商標)IC、溶離剤;40~100%のEtOH/ヘキサン、その後100%MeOH)で分離して、(-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(保持時間が長いもの)を生成した。次いで化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl3/MeOH)によって精製した。残留物をEtOAcで共沸させ、次いでEtOAc(30mL)を添加し、超音波照射した。混合物にEtOAc(10mL)とヘキサン(80mL)を添加し、次いで再び超音波照射した。混合物を室温で15分間撹拌した。沈殿物を収集し、50℃の減圧条件下で乾燥させて、(-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(8.99g)を結晶として生成した。
【0389】
銅を管として使用する粉末X線回折測定を結晶に対して行った結果、6.7°、11.1°、12.2°13.7°、15.5°、16.2°、17.0°、18.3°、21.7°および22.7°の角度2θ(°)をピークとして含むチャートが得られた。
[実施例154]
【0390】
液体ポリリン酸(20g)にtert-ブチル4-(3-クロロフェニル)-4-シアノピペリジン-1-カルボキシレート(4.5g)を140℃で添加し、5分間撹拌した。混合物にアセトン(2.3g)を2時間にわたり滴下した。次いで混合物を100℃で1時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、氷(約100g)とEtOAc(300mL)の混合物にゆっくり注入した。有機層を分離した。混合物のpHが10になるまで水層をK2CO3で処理した後、EtOAc(400mL)で2回抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、6-クロロ-1,1-ジメチル-1,2-ジヒドロ-3H-スピロ[イソキノリン-4,4’-ピペリジン]-3-オン(1.5g)を固体として生成した。
[実施例155]
【0391】
6-クロロ-1,1-ジメチル-1,2-ジヒドロ-3H-スピロ[イソキノリン-4,4’-ピペリジン]-3-オン(56mg)、CH2Cl2(2mL)、DIPEA(0.070mL)、およびメタンスルホニルクロリド(0.017mL)の混合物を室温で30分間撹拌し、次いで逆相HPLC(20~100%のMeCN/H2O、0.1%のギ酸緩衝液)を使用して40分間にわたって直接精製して、6-クロロ-1,1-ジメチル-1’-(メチルスルホニル)-1,2-ジヒドロ-3H-スピロ[イソキノリン-4,4’-ピペリジン]-3-オン(34mg)を固体として生成した。
[参考例166]
【0392】
6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(259mg)とCH2Cl2(7mL)の混合物に、1,1,1-トリアセトキシ-1,1-ジヒドロ-1,2-ベンゾヨードキソール-3(1H)-オン(デス-マーチンペルヨージナン)(585mg)を添加し、混合物を室温で30分間撹拌した。混合物にCH2Cl2を添加し、飽和NaHCO3水溶液で2回洗浄した。次いで有機層をNa2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、(6-クロロ-4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-4-イル)アセトアルデヒド(514mg)を固体として生成した。
[実施例167(167aおよび167b)]
【0393】
(6-クロロ-4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-4-イル)アセトアルデヒド(514mg、従前の反応からの粗生成物)とTHF(8mL)の混合物に、臭化メチルマグネシウム(Et2O中で3M、0.9mL)を氷浴冷却下で添加し、得られた混合物を氷浴冷却下で30分間撹拌した。混合物を飽和NH4Cl水溶液(5mL)とH2O(30mL)で希釈した後、EtOAc(75mL)で2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、粗固体になるまで濃縮した。粗固体を逆相HPLC(Phenomenex Gemini、5ミクロンのC18、10~100%のMeCN/H2O、0.1%のギ酸緩衝液、50分間)によって精製して、両方のジアステレオマーを固体として生成した。単結晶X線構造分析の測定結果として、カラムから溶離する第1のジアステレオマーはrac-(4R)-6-クロロ-4-[(2R)-2-ヒドロキシプロピル]-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(65mg)で、カラムから溶離する第2のジアステレオマーはrac-(4R)-6-クロロ-4-[(2S)-2-ヒドロキシプロピル]-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン(69mg)であった。
【0394】
下表に記載の調製例、参考例および実施例の化合物は、上述の調製例、参考例または実施例における方法と同一もしくは類似する様式で製造された。表4における「Ex. Cmpd.」は実施例化合物を表わす。表4における「Reference Ex. Cmpd. 166」は参考例化合物166を表わす。表5における「Ex. Cmpd.」は表4に記載の構造を参照する実施例化合物を表わす。表5における「Reference Ex. Cmpd. 166」は表4に記載の参考例化合物166の構造を参照する参考例化合物166を表わす。さらに、表5に記載の実施例化合物および参考例化合物は各々、対応する形で示される実施例または参考例に記載の手順もしくは同様の手順によって調製されており、「Syn」で表わされる。例えば、表5の最初の記載項目は実施例化合物1に関係し、表4の最初の記載項目に示される構造を有する。この実施例化合物は本明細書の実施例1に記載の手順に従って調製され、この実施例化合物のデータが表5の最初の記載項目に記載されている。表6における「Prep. Ex. Cmpd.」は調製例化合物を表わす。表7における「Prep. Ex. Cmpd.」は表6に記載の構造を参照する調製例化合物を表わす。さらに、表7に記載の調製例化合物は各々、対応する形で示される調製例に記載の手順もしくは同様の手順によって調製されており、「PSyn」で表わされる。例えば、表7の最初の記載項目は調製例化合物1aに関係し、表6の最初の記載項目に示される構造を有する。この調製例化合物は本明細書の調製例1に記載の手順に従って調製され、この調製例化合物のデータが表7の最初の記載項目に記載されている。
【0395】
【0396】
【0397】
【0398】
【0399】
【0400】
【0401】
【0402】
【0403】
【0404】
【0405】
【0406】
【0407】
【0408】
【0409】
【0410】
【0411】
【0412】
【0413】
【0414】
【0415】
【0416】
【0417】
【0418】
【0419】
【0420】
【0421】
【0422】
【0423】
【0424】
【0425】
【0426】
【0427】
【0428】
【0429】
【0430】
【0431】
【0432】
本方法および組成物は、その特定の例示的な態様を参照して記載されているが、修正や変形は、記載および特許請求されるそれらの趣旨および範囲内にあることが理解されるだろう。
【産業上の利用可能性】
【0433】
式(I)または式(I)の実施例化合物またはその塩は、骨格筋サルコメアの収縮性を調節し、したがって、1)神経筋障害、2)随意筋の障害、3)筋力低下、萎縮および疲労が顕著な症状であるCNS障害、4)全身障害に由来する筋肉の症状、ならびに5)骨盤底および尿道/肛門括約筋の機能障害の予防または治療のための薬剤として使用されることが期待される。
【0434】
本明細書において数値の限度または範囲が記載されている場合、エンドポイントも含まれる。数値の限度または範囲に含まれる全ての値と部分範囲も、明示的に記載されている場合と同様に特異的に含まれる。
【0435】
本明細書で使用する「1つの」および同様の言葉は「1つまたは複数の」という意味を有する。
明らかに、上述の内容を踏まえ、本発明の多数の修正および変形が可能である。したがって、添付の請求項の範囲内で本発明は本明細書における具体的記述以外の形でも実践され得ることが理解されなければならない。
【0436】
上述の全ての特許および他の参考文献は、本明細書に詳しく記載されている場合と同様に、全内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
[1] 式(I)
【化1】
(式中、
X
1は、C-R
11またはNであり、
X
2は、C-R
12またはNであり、
R
11は、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C
1-6アルキルであり、
R
12は、Hまたはハロゲンであり、
R
1は、i)H、ii)ハロゲンおよびピラゾリルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキル、iii)C
2-6アルケニル、またはiv)-OR
0であり、
R
2は、i)-OR
0、ハロゲン、-COOR
0、-CONR
21R
22、G
1群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいフェニル、ならびにピリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリルおよびトリアゾリルからなる群から選択されるヘテロアリールであって、G
2群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキル、ii)C
2-6アルケニル、iii)C
2-6アルキニル、iv)-OR
0、v)-NR
23R
24、vi)-COOR
0、またはvii)フェニルであり、
R
21は、HまたはC
1-6アルキルであり、
R
22は、i)1つまたは複数のフェニルで置換されていてもよいC
1-6アルキル、またはii)フェニルであり、
R
23は、i)H、またはii)1つまたは複数の-OHで置換されていてもよいC
1-6アルキルであり、
R
24は、i)1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよい1つまたは複数のフェニルで置換されていてもよいC
1-6アルキル、ii)1つまたは複数のC
1-6アルキルで置換されていてもよいC
3-8シクロアルキル、iii)1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいフェニル、またはiv)テトラヒドロピラニルであり、あるいは
R
1と、R
2と、R
1およびR
2が結合した炭素原子とが一体となって4-ピペリジン環または4-テトラヒドロピラン環を形成してもよく、R
1およびR
2が結合した炭素原子はスピロ原子であり、4-ピペリジン環は-SO
2-(C
1-6アルキル)および-COOR
0からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよく、
R
3、R
4は、同一または互いに異なり、i)ハロゲンおよび-OHからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC
1-3アルキル、またはii)-OH、ならびにピラゾリルおよびチエニルからなる群から選択されるヘテロアリールであって、1つまたは複数のC
1-6アルキルで置換されていてもよいヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC
2-6アルケニルであり、あるいは
R
3と、R
4と、R
3およびR
4が結合した炭素原子とが一体となって3-オキセタン環を形成してもよく、R
3およびR
4が結合した炭素原子はスピロ原子であり、
R
5は、i)H、ii)1つまたは複数の-O-(C
1-6アルキル)で置換されていてもよいC
1-6アルキル、iii)-O-(C
1-6アルキル)、iv)ハロゲン、v)-COO-(C
1-6アルキル)、またはvi)C
3-8シクロアルキルであり、
R
6は、i)H、ii)-O-(1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル)およびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキル、iii)-OH、iv)-O-(1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル)、v)ハロゲン、vi)-CN、vii)-S-(C
1-6アルキル)、viii)C
3-8シクロアルキル、ix)-NR
0R
0、またはx)C
2-6アルケニルであり、
G
1群は、i)ハロゲン、ii)-COOR
0、iii)-CONR
0R
0、iv)-OH、v)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキル、またはvi)-O-(-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキル)であり、
G
2群は、i)ハロゲン、ii)-OHおよびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキル、またはiii)-CONR
0R
0であり、
R
0は、同一または互いに異なり、HまたはC
1-6アルキルであり、
ただし前記化合物はメチル1,1-ジアリル-3-オキソ-2,4-ジヒドロイソキノリン-4-カルボキシレートもしくはその塩ではない)
の化合物またはその塩。
[2] R
1が、i)Hまたはii)C
1-6アルキルであり、
R
2が、i)-OR
0、ハロゲン、-CONR
21R
22、ハロゲンおよび-COOR
0からなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいフェニル、ならびにピラゾリルおよびトリアゾリルからなる群から選択されるヘテロアリールからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキル、ii)C
2-6アルケニル、iii)C
2-6アルキニル、iv)-NR
23R
24、またはv)-COOR
0であり、
R
21が、C
1-6アルキルであり、
R
22が、C
1-6アルキルであり、
R
23が、C
1-6アルキルであり、
R
24が、i)C
3-8シクロアルキル、またはii)フェニルであり、あるいは
R
1と、R
2と、R
1およびR
2が結合した炭素原子とが一体となって4-テトラヒドロピラン環を形成してもよく、R
1およびR
2が結合した炭素原子がスピロ原子である、[1]に記載の化合物またはその塩。
[3] R
3およびR
4が、同一または互いに異なり、i)ハロゲンおよび-OHからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC
1-3アルキル、またはii)-OHならびに1つまたは複数のC
1-6アルキルで置換されていてもよいピラゾリルからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC
2-6アルケニルであり、あるいは、R
3と、R
4と、R
3およびR
4が結合した炭素原子とが一体となって3-オキセタン環を形成してもよく、R
3およびR
4が結合した炭素原子がスピロ原子である、[1]または[2]に記載の化合物またはその塩。
[4] R
5が、i)H、ii)C
1-6アルキル、iii)-O-C
1-6アルキル、iv)ハロゲン、またはv)C
3-8シクロアルキルであり、R
6が、i)H、ii)-O-(C
1-6アルキル)およびハロゲンからなる群から選択される1つまたは複数の置換基で置換されていてもよいC
1-6アルキル、iii)-OH、iv)-O-(1つまたは複数のハロゲンで置換されていてもよいC
1-6アルキル)、v)ハロゲン、vi)-CN、vii)-S-(C
1-6アルキル)、viii)-NR
0R
0、またはix)C
2-6アルケニルである、[1]~[3]のいずれかに記載の化合物またはその塩。
[5] X
1が、C-R
11またはNであり、X
2が、C-R
12またはNであり、R
11が、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C
1-6アルキルであり、R
12が、Hである、[1]~[4]のいずれかに記載の化合物またはその塩。
[6] R
1が、C
1-6アルキルであり、R
2が、-OR
0で置換されていてもよいC
1-6アルキルであり、R
3と、R
4と、R
3およびR
4が結合した炭素原子とが一体となって3-オキセタン環を形成してもよく、R
3およびR
4が結合した炭素原子が以下の式(II)
【化2】
によって表わされるスピロ原子であり、R
5が、Hであり、R
6が、i)C
1-6アルキル、ii)1つから3つのハロゲンで置換されていてもよい-O-C
1-6アルキル、iii)ハロゲン、またはiv)-CNである、[1]~[5]のいずれかに記載の化合物またはその塩。
[7] X
1が、C-R
11であり、X
2が、C-R
12であり、R
11が、i)H、ii)ハロゲン、iii)-CN、またはiv)-O-C
1-6アルキルであり、R
12が、Hである、[1]~[6]のいずれかに記載の化合物またはその塩。
[8] (-)-2-(ジフルオロメチル)-8-エチル-8-(2-ヒドロキシエチル)-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン、
4,4-ジエチル-1,1-ジメチル-3-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-6-カルボニトリル、
8,8-ジエチル-5,5-ジメチル-7-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1,6-ナフチリジン-2-カルボニトリル、
(-)-6-ブロモ-4-エチル-4-(2-ヒドロキシエチル)-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン、
(+)-6-ブロモ-4-エチル-4-(2-ヒドロキシエチル)-1,1-ジメチル-1,4-ジヒドロイソキノリン-3(2H)-オン、
8,8-ジエチル-7-オキソ-7,8-ジヒドロ-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-2-カルボニトリル、
8’,8’-ジエチル-7’-オキソ-7’,8’-ジヒドロ-6’H-スピロ[オキセタン-3,5’-ピリド[3,4-b]ピラジン]-2’-カルボニトリル、
4,4-ジエチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル、
6-クロロ-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、
4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル、
2-(ジフルオロメトキシ)-8,8-ジメチル-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン、
(+)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、
(-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、および
(-)-2-(ジフルオロメトキシ)-8-エチル-8-(2-ヒドロキシエチル)-6H-スピロ[1,6-ナフチリジン-5,3’-オキセタン]-7(8H)-オン
からなる群から選択される化合物、
または前記化合物の塩である、[1]に記載の化合物またはその塩。
[9] 4,4-ジエチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル、
6-クロロ-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、
4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル、
(+)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、および
(-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン
からなる群から選択される化合物またはその塩。
[10] 4,4-ジエチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル、またはその塩である、[1]に記載の化合物またはその塩。
[11] 6-クロロ-4,4-ジメチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、またはその塩である、[1]に記載の化合物またはその塩。
[12] 4,4-ジメチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-6-カルボニトリル、またはその塩である、[1]に記載の化合物またはその塩。
[13] (+)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、またはその塩である、[1]に記載の化合物またはその塩。
[14] (-)-6-クロロ-4-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチル-2H-スピロ[イソキノリン-1,3’-オキセタン]-3(4H)-オン、またはその塩である、[1]に記載の化合物またはその塩。
[15] [9]に記載の化合物または塩および医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物。
[16] [9]に記載の化合物またはその塩を含む、腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物。
[17] [9]に記載の化合物またはその塩を含む、虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物。
[18] [9]に記載の化合物またはその塩を含む、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための医薬組成物。
[19] [9]に記載の化合物またはその塩を含む、心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための医薬組成物。
[20] [9]に記載の化合物またはその塩を含む、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物。
[21] [9]に記載の化合物またはその塩を含む、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物。
[22] [9]に記載の化合物またはその塩を含む、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物。
[23] 腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、[9]に記載の化合物またはその塩の使用。
[24] 虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、[9]に記載の化合物またはその塩の使用。
[25] 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、[9]に記載の化合物またはその塩の使用。
[26] 心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、[9]に記載の化合物またはその塩の使用。
[27] 筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、および重症筋無力症、筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、[9]に記載の化合物またはその塩の使用。
[28] 脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、[9]に記載の化合物またはその塩の使用。
[29] 末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための医薬組成物を製造するための、[9]に記載の化合物またはその塩の使用。
[30] 腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、[9]に記載の化合物またはその塩の使用。
[31] 虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、[9]に記載の化合物またはその塩の使用。
[32] 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための、[9]に記載の化合物またはその塩の使用。
[33] 心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための、[9]に記載の化合物またはその塩の使用。
[34] 筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、[9]に記載の化合物またはその塩の使用。
[35] 脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、[9]に記載の化合物またはその塩の使用。
[36] 末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための、[9]に記載の化合物またはその塩の使用。
[37] 対象に有効量の[9]に記載の化合物またはその塩を投与するステップを含む、腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法。
[38] 対象に有効量の[9]に記載の化合物またはその塩を投与するステップを含む、虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法。
[39] 対象に有効量の[9]に記載の化合物またはその塩を投与するステップを含む、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療のための方法。
[40] 対象に有効量の[9]に記載の化合物またはその塩を投与するステップを含む、心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療のための方法。
[41] 対象に有効量の[9]に記載の化合物またはその塩を投与するステップを含む、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法。
[42] 対象に有効量の[9]に記載の化合物またはその塩を投与するステップを含む、脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法。
[43] 対象に有効量の[9]に記載の化合物またはその塩を投与するステップを含む、末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療のための方法。
[44] 腹圧性尿失禁(SUI)、混合型尿失禁(MUI)および便失禁からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、[9]に記載の化合物またはその塩。
[45] 虚弱およびサルコペニアからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、[9]に記載の化合物またはその塩。
[46] 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の予防または治療に使用するための、[9]に記載の化合物またはその塩。
[47] 心不全、がん、または慢性腎疾患/透析に起因する悪液質症候群および/または筋肉疲労の予防または治療に使用するための、[9]に記載の化合物またはその塩。
[48] 筋萎縮性側索硬化症(ALS)、脊髄性筋萎縮症(SMA)、重症筋無力症および筋肉ミオパシーからなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、[9]に記載の化合物またはその塩。
[49] 脊髄損傷(SCI)後の筋肉機能不全および脳卒中後の筋肉機能不全からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、[9]に記載の化合物またはその塩。
[50] 末梢血管疾患、末梢動脈疾患、リハビリテーション関連の不足、メタボリックシンドローム、肥満、人工呼吸器誘発性筋力低下および慢性疲労症候群からなる群から選択される疾患または状態の予防または治療に使用するための、[9]に記載の化合物またはその塩。