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  • -更新デバイス及び更新方法 図1
  • -更新デバイス及び更新方法 図2A
  • -更新デバイス及び更新方法 図2B
  • -更新デバイス及び更新方法 図3A
  • -更新デバイス及び更新方法 図3B
  • -更新デバイス及び更新方法 図4
  • -更新デバイス及び更新方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-09-06
(45)【発行日】2022-09-14
(54)【発明の名称】更新デバイス及び更新方法
(51)【国際特許分類】
   G04C 9/00 20060101AFI20220907BHJP
   G04B 19/243 20060101ALI20220907BHJP
【FI】
G04C9/00 C
G04B19/243 Z
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021083639
(22)【出願日】2021-05-18
(65)【公開番号】P2021196348
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2021-05-18
(31)【優先権主張番号】20180690.8
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・ラゴルゲット
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特許第4406779(JP,B2)
【文献】特許第4770151(JP,B2)
【文献】特許第3772763(JP,B2)
【文献】特許第3010062(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C
G04B
G04G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計のための日付更新デバイス(100)であって、前記日付更新デバイス(100)は、
-時間帯(175)上でプログラムした万年暦に従って、現在の日付(171)を送信するように構成したメモリ(170)と、
-第1の部分(126)及び第2の部分(127)から構成した少なくとも1つの日車(120)と、
-第1のセンサ(130)であって、前記第1のセンサ(130)が前記第2の部分(127)を検出した際に第1の信号(131)を送信するように構成した第1のセンサ(130)と、
-前記少なくとも1つの日車(120)を駆動するように構成した駆動部材(160)と、
-第2のセンサ(180)であって、前記第2のセンサ(180)が前記駆動部材(160)による前記少なくとも1つの日車(120)の駆動を検出した際に第2の信号(181)を送信するように構成した第2のセンサ(180)と、
-中央ユニット(150)と
を備え、前記中央ユニット(150)は、前記第2の信号(181)を受信し、その後、前記第2の部分(127)に設けられた日付情報を現在の日付(171)と比較し、前記日付情報が前記現在の日付(171)とは異なる場合、前記第1のセンサ(130)が前記少なくとも1つの日車(120)の前記第1の部分(126)を検出するまで前記駆動部材(160)により前記少なくとも1つの日車(120)の駆動を制御するように構成する、更新デバイス(100)。
【請求項2】
前記時間帯(175)は、「+10」、「+11」、「+12」、「+13」又は「+14」の時間帯(175)からの時間帯(175)である、請求項1に記載の更新デバイス(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの日車(120)は、1つの日車(121)又は2つの日車(122)から構成され、前記2つの日車(122)は、1の位の日車及び10の位の日車である、請求項1又は2に記載の更新デバイス(100)。
【請求項4】
前記日車の前記第1の部分(126)は、1から28の日付を表し、前記日車の前記第2の部分(127)は、29から31の日付を表す、又は前記2つの日車(122)の第1の部分(126)は、10の位の0及び1の日付、並びに1の位の2から8の日付を表し、前記2つの日車(122)の前記第2の部分(127)は、10の位の2及び3の日付、並びに1の位の0、1及び9の日付を表す、請求項3に記載の更新デバイス(100)。
【請求項5】
前記第1の部分(126)は、前記第2の部分(127)とは異なる、請求項1から4のいずれか一項に記載の更新デバイス(100)。
【請求項6】
前記第1のセンサ(130)は、第1の光学センサ(130)、第1の抵抗センサ(130)、第1の静電容量センサ(130)及び/又は第1の誘導センサ(130)である、請求項1から5のいずれか一項に記載の更新デバイス(100)。
【請求項7】
前記第2のセンサ(180)は、第2の光学センサ(180)、第2の抵抗センサ(180)、第2の静電容量センサ(180)及び/又は第2の誘導センサ(180)である、請求項1から6のいずれか一項に記載の更新デバイス(100)。
【請求項8】
前記駆動部材(160)はモータ(160)である、請求項1から7のいずれか一項に
記載の更新デバイス(100)。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の更新デバイス(100)によって実施する、時計のための日付更新方法(500)であって、前記日付更新方法(500)は、
-時間帯(175)上でプログラムした万年暦に従って、現在の日付(171)をメモリ内に保存すること(570)と、
-駆動部材(160)による少なくとも1つの日車(120)の駆動を検出するように構成した第2のセンサ(180)によって送信される第2の信号(181)を受信すること(580)と、
前記中央ユニット(150)が、前記第2の信号(181)を受信した後、第1の信号(131)を検証すること(530)であって、前記第1の信号(131)は、前記第1のセンサ(130)が前記少なくとも1つの日車(120)の第2の部分(127)を検出した際に第1のセンサ(130)によって送信される、前記検証すること(530)と、
-前記日付情報と現在の日付(171)とを比較すること(510)と、
-前記日付情報が現在の日付(171)とは異なる場合、前記第1のセンサ(130)が前記少なくとも1つの日車(120)の第1の部分(126)を検出するまで、駆動部材(160)により前記少なくとも1つの日車(120)の駆動を制御すること(560)と
を含む、更新方法(500)。
【請求項10】
前記時間帯(175)は、「+10」、「+11」、「+12」、「+13」又は「+14」の時間帯(175)からの時間帯(175)である、請求項9に記載の更新方法(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、更新デバイス及び更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大部分の現在の水晶時計は、日車を備える。とはいえ、ユーザは、2月、4月、6月、9月及び11月等、特定の月の月末に対し、次の月の日付が正しいかどうか、即ち、表示される日付が「29日」、「30日」又は「31日」ではなく、「1日」であるかどうかを確認する必要がある。
【0003】
万年暦が存在するが、そのアルゴリズム及び/又は時計は、全ての可能なケースを想定する必要があるため、非常に複雑である。
【0004】
このことは、ユーザが、例えば欧州からアジアへ等、時間帯を変更した場合、より一層複雑になる。この場合、万年暦による日付変更は、内部時計の日付変更の前に実行され、誤差をもたらし、ユーザの介入を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、時計のための日付更新デバイスにより、これらの欠点の全て又は一部を解決することを提案するものであり、前記更新デバイスは、
-時間帯上でプログラムした万年暦に従って、現在の日付を送信するように構成したメモリと、
-第1の部分及び第2の部分から構成した少なくとも1つの日車と、
-第1のセンサであって、前記第1のセンサが前記第2の部分を検出した際に第1の信号を送信するように構成した第1のセンサと、
-前記少なくとも1つの日車を駆動するように構成した駆動部材と、
-第2のセンサであって、前記第2のセンサが前記駆動部材による前記少なくとも1つの日車の駆動を検出した際に第2の信号を送信するように構成した第2のセンサと、
-中央ユニットと
から構成し、中央ユニットは、前記第2の信号を受信し、その後、前記第1の信号を現在の日付と比較し、前記第2の部分が現在の日付とは異なる場合、前記第1のセンサが前記少なくとも1つの日車の前記第1の部分を検出するまで前記駆動部材により少なくとも1つの日車の駆動を制御するように構成する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この構成により、日付変更が正確、単純に実行され、この日付変更は、ユーザの場所とは無関係である。
【0007】
一実施形態によれば、前記時間帯は、「+10」、「+11」、「+12」、「+13」又は「+14」の時間帯からの時間帯である。
【0008】
この構成により、前記メモリの内部時計の万年暦の日付変更は、最初に実行される。
【0009】
一実施形態によれば、前記少なくとも1つの日車は、1つの日車又は2つの日車から構成され、2つの日車は、1の位の日車及び10の位の日車である。
【0010】
この構成により、更新デバイスは、日車又は大型日付(large date)のために動作する。
【0011】
一実施形態によれば、前記日車の前記第1の部分は、1から28の日付を表し、前記日車の前記第2の部分は、29から31の日付を表す、又は前記2つの日車の第1の部分は、10の位の0及び1の日付、並びに1の位の2から8の日付を表し、前記2つの日車の前記第2の部分は、10の位の2及び3の日付、並びに1の位の0、1及び9の日付を表す。
【0012】
この構成により、例えば、2月、4月、6月、9月及び11月等、31日を含まない短い月の月末をかなり単純に区別することが可能である。
【0013】
一実施形態によれば、前記第1の部分は、前記第2の部分とは異なる。
【0014】
一実施形態によれば、前記第1のセンサは、第1の光学センサ、第1の抵抗センサ、第1の静電容量センサ及び/又は第1の誘導センサである。
【0015】
これら上述の構成の1つ又はその他により、単一の第1のセンサで、第1の部分を第2の部分から区別するのに十分である。
【0016】
一実施形態によれば、前記第2のセンサは、第2の光学センサ、第2の抵抗センサ、第2の静電容量センサ及び/又は第2の誘導センサである。
【0017】
この構成により、前記少なくとも1つの日車によって実行される日付変更を検出することが可能である。
【0018】
一実施形態によれば、前記駆動部材はモータである。
【0019】
この構成により、前記少なくとも1つの日車を駆動することが可能である。
【0020】
本発明は、本発明による更新デバイスによって実施される、時計のための日付更新方法に関し、前記更新方法は、
-時間帯上でプログラムした万年暦に従って、現在の日付をメモリ内に保存することと、
-駆動部材による少なくとも1つの日車の駆動を検出するように構成した第2のセンサによって送信される第2の信号を受信することと、
-前記第2の信号を受信した後、第1の信号を検証することであって、前記第1の信号は、前記第1のセンサが前記少なくとも1つの日車の第2の部分を検出した際に第1のセンサによって送信する、検証することと、
-前記第2の信号を現在の日付と比較することと、
-前記第2の部分が現在の日付とは異なる場合、前記第1のセンサが前記少なくとも1つの日車の第1の部分を検出するまで駆動部材により前記少なくとも1つの日車の駆動を制御することと
から構成する。
【0021】
この構成により、日付変更が正確、単純に実行され、この日付変更は、ユーザの場所とは無関係である。
【0022】
一実施形態によれば、前記時間帯は、時間帯「+10」、「+11」、「+12」、「+13」又は「+14」からの時間帯である。
【0023】
この構成により、前記メモリの内部時計の万年暦の日付変更は、最初に実行される。
【0024】
以下、非限定的な例として与える添付の図面を使用して本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】一実施形態による、時計のための日付更新デバイス100の図である。
図2A】一実施形態による日車121の図である。
図2B】一実施形態による日車121の図である。
図3A】一実施形態による、大型日付を形成する2つの日車122の図である。
図3B】一実施形態による、大型日付を形成する2つの日車122の図である。
図4】時間帯マップの図である。
図5】本発明による更新デバイス100によって実施される、時計のための日付更新方法500の図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明は、単純で、正確な日付変更を可能にし、このことは、ユーザの場所とは無関係である。実際、暦を有する水晶時計は、概して、電池の交換が行われた場所の時間帯、又は時計が設計された工場の場所の時間帯上で調節される。ユーザが旅行し、時間帯が変化するや否や、この調節は、最終的に暦機能の不正確な調節となることがあり、「短い月」の月末の間の動作を可能にしない。原則的に、時計はユーザがどの時間帯を旅行しているかわからないため、この困難は現実である。旅行中の特定のケース、特に、例えばアジアへの旅行の場合等、日付変更線を横断するケースが取られる場合、複雑さが出現する。
【0027】
本発明は、電池交換の間、及びユーザが時間帯に対応する時間及び日付を調節している限り、万年暦に対する1回の調節により、時計が、例えば2月、4月、6月、9月及び11月等の「短い月」の月末を管理することを可能にする。時間帯とは、ユーザが位置する場所の時間帯、即ち、ユーザが居住する場所の時間帯、又は更にはユーザが単に旅行している場所の時間帯である。
【0028】
このため、本発明は、更新方法500を実施する、時計のための日付更新デバイス100の形態である。
【0029】
図1の前記更新デバイス100は、もっぱら、メモリ170と、少なくとも1つの日車120と、第1のセンサ130、典型的には第1の光学センサ130、第1の抵抗センサ130、第1の静電容量センサ130及び/又は第1の誘導センサ130と、駆動部材160と、第2のセンサ180と、中央ユニット150とを備える。
【0030】
工場で調節する間、及びその後でさえ、現在の日付171は、前記メモリ170内の時間帯175上にプログラムされた万年暦に従って、メモリ570内に保存される。実際、前記メモリ170の内部時計の万年暦は、「+10」、「+11」、「+12」、「+13」又は「+14」の時間帯175からの時間帯175である前記時間帯175に従って現在の日付171を送信し、これにより、特に前記時間帯175が「+13」の時間帯175である場合、万年暦の日付変更を最初に可能にする。実際、図4のこれらの時間帯175、より詳細には「+13」の時間帯175は、最初に日付変更される。
【0031】
図2A図3Bにおいて、前記少なくとも1つの日車120は、第1の部分126及び第2の部分127から構成されることを表す。より正確には、図2A及び図2Bでは日車121が示され、図3A及び図3Bでは、「大型日付」のための2つの日車122は、1の位の日車及び10の位の日車により表示する。
【0032】
図2A及び図2Bの実施形態では、前記日車の前記第1の部分126は、1から28の日付を表し、前記日車の前記第2の部分127は、29から31の日付を表す。一方で、図3A及び図3Bの実施形態では、前記2つの日車122の前記第1の部分126が10の位の0及び1の日付、並びに1の位の2から8の日付を表し、前記2つの日車122の前記第2の部分127は、10の位の2及び3の日付、並びに1の位の0、1及び9の日付を表す。
【0033】
互いに異なる第1の部分と第2の部分とを区別するのに十分であるため、前記更新デバイス100が前記第1のセンサ130のみを備えると仮定すると、前記第1のセンサ130が前記第2の部分127を検出した際に第1の信号131を送信するため、前記第1のセンサ130が前記2つの日車122の前記第2の部分127を検出しない場合、信号は送信されない。このことにより、2月、4月、6月、9月及び11月の月末をかなり単純に区別することが可能である。
【0034】
前記少なくとも1つの日車120の前記第2の部分127は、前記少なくとも1つの日車120を駆動するように構成した前記駆動部材160、典型的にはモータ160を介して、前記第1のセンサ130の反対側にもたらされる。
【0035】
それぞれの日付変更時、即ち、前記駆動部材160が前記少なくとも1つの日車120を駆動するたび、前記第2のセンサ180、典型的には第2の光学センサ180、第2の抵抗センサ180、第2の静電容量センサ180及び/又は第2の誘導センサ180は、日付の転換を検出すると、即ち、前記第2のセンサ180が前記駆動部材160による前記少なくとも1つの日車120の駆動585を検出すると、第2の信号181を送信する。この検出は、前記少なくとも1つの日車120の転換が生じた際、即ち、日付の更新が表示される間、測時器ムーブメントの日付の転換がトルクの増大を生じさせ、次に、前記トルクが急激に下落する際に生じる。
【0036】
前記中央ユニット150は、第2のセンサ180によって送信された前記第2の信号181を受信し580、前記第1のセンサ130が前記少なくとも1つの日車120の第2の部分127を検出した際に前記第1のセンサ130によって送信された前記第1の信号131を検証する530。第1のセンサ130により検出された日付と現在の日付171との比較510が続く。
【0037】
前記第1のセンサ130が前記第1の部分126を検出した場合、前記中央ユニット150は、この情報に反応しない。反対に、前記第1のセンサ130が前記第2の部分127を検出し、現在の日付171が月末に対応しない場合、即ち、前記第1のセンサ130が前記第2の部分127を介して「29日」、「30日」及び「31日」からの日付を検出し、現在の日付171が「1日」である場合、前記中央ユニット150は、前記第1のセンサ130が、「1日」にも対応する前記少なくとも1つの日車120の前記第1の部分126を検出するまで、前記駆動部材160により前記少なくとも1つの日車120の駆動を制御する。
【符号の説明】
【0038】
100 デバイス
120 日車
126 第1の部分
127 第2の部分
130 第1のセンサ
131 第1の信号
150 中央ユニット
160 駆動部材
170 メモリ
171 現在の日付
175 時間帯
180 第2のセンサ
181 第2の信号
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5